JP7843337B1 - 溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物、ポリエステル系繊維の製造方法、及びポリエステル系繊維 - Google Patents

溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物、ポリエステル系繊維の製造方法、及びポリエステル系繊維

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Abstract

【課題】ポリエステル系繊維において、染色条件を緩和したときの染着性の低下及び堅牢度の低下を抑えるとともに、染色ムラを低減させることを可能とする。
【解決手段】(B)ポリエステル系共重合体は、(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位を有する。(B1)ポリアルキレングリコールの平均分子量は、400以上、4000以下の範囲内である。(B)ポリエステル系共重合体中における(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の含有量は、15質量%以上、60質量%以下の範囲内であり、600以下の分子量を有する低分子量成分の含有量は、15質量%以下である。(B)ポリエステル系共重合体は、(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体との合計100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下の範囲内となるように(A)ポリエステルと混合して溶融紡糸用途に用いられる。
【選択図】なし

Description

本開示は、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物、ポリエステル系繊維の製造方法、及びポリエステル系繊維に関する。
ポリエステル系繊維を溶融紡糸するための溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物には、改質を目的としてポリエステル系共重合体が含有される場合がある。このようなポリエステル系重合体としては、特許文献1~3に記載されるように、例えば、ポリテトラメチレングリコールを共重合成分として含有するものが知られている。
特開平06-158429号公報 特開2010-236144号公報 特開昭50-116713号公報
ポリエステル系繊維を染色する際に、染色温度等の染色条件を緩和することは、例えば、染色工程におけるエネルギー消費量を削減するという観点で有利である。染色条件を緩和した場合、ポリエステル系繊維の染着性の低下や堅牢度の低下を抑えるために、ポリエステルにポリエステル系共重合体を混合することを試みたところ、次のような現象が発生した。ポリアルキレングリコールを共重合成分として含むポリエステル系共重合体をポリエステルに混合することで、ポリエステル系繊維の染着性の低下及び堅牢度の低下を抑えることができるものの、染色ムラが生じた。
上記課題を解決するポリエステル系共重合体は、(A)ポリエステルと混合することで溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を得る用途に用いられる(B)ポリエステル系共重合体であって、(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位を有し、前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の平均分子量は、400以上、4000以下の範囲内であり、前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の含有量は、15質量%以上、60質量%以下の範囲内であり、前記(B)ポリエステル系共重合体中において、600以下の分子量を有する低分子量成分の含有量は、15質量%以下であり、前記(A)ポリエステルと前記(B)ポリエステル系共重合体との合計100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下の範囲内となるように前記(A)ポリエステルと混合して用いられる。
上記課題を解決する溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物は、(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体とを含有する溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物であって、前記(B)ポリエステル系共重合体は、(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位を有し、前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の平均分子量は、400以上、4000以下の範囲内であり、前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の含有量は、15質量%以上、60質量%以下の範囲内であり、前記(B)ポリエステル系共重合体中において、600以下の分子量を有する低分子量成分の含有量は、15質量%以下であり、前記溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物中における前記(B)ポリエステル系共重合体の含有量は、前記(A)ポリエステルと前記(B)ポリエステル系共重合体との合計100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下の範囲内である。
上記課題を解決するポリエステル系繊維の製造方法は、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を溶融紡糸する工程を備えるポリエステル系繊維の製造方法であって、前記溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物は、(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体とを含有し、前記(B)ポリエステル系共重合体は、(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位を有し、前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の平均分子量は、400以上、4000以下の範囲内であり、前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の含有量は、15質量%以上、60質量%以下の範囲内であり、前記(B)ポリエステル系共重合体中において、600以下の分子量を有する低分子量成分の含有量は、15質量%以下であり、前記溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物中における前記(B)ポリエステル系共重合体の含有量は、前記(A)ポリエステルと前記(B)ポリエステル系共重合体との合計100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下の範囲内である。
上記課題を解決するポリエステル系繊維は、(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体とを含有するポリエステル系繊維であって、前記(B)ポリエステル系共重合体は、(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位を有し、前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の平均分子量は、400以上、4000以下の範囲内であり、前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の含有量は、15質量%以上、60質量%以下の範囲内であり、前記(B)ポリエステル系共重合体中において、600以下の分子量を有する低分子量成分の含有量は、15質量%以下であり、前記ポリエステル系繊維中における前記(B)ポリエステル系共重合体の含有量は、前記(A)ポリエステルと前記(B)ポリエステル系共重合体との合計100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下の範囲内である。
本開示は、ポリエステル系繊維において、染色条件を緩和したときの染着性の低下及び堅牢度の低下を抑えるとともに、染色ムラを低減させることが可能となる効果を発揮する。
以下、本開示の実施形態について説明する。
溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物は、(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体とを含有する。
<(A)ポリエステル>
(A)ポリエステルは、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物の主成分である。(A)ポリエステルとしては、例えば、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル等が挙げられる。芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。脂肪族ポリエステルとしては、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸等が挙げられる。
(A)ポリエステルは、一種又は二種以上を使用することができる。(A)ポリエステルは、染着性をより高めるという観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、及びポリブチレンテレフタレートから選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。(A)ポリエステルの固有粘度は、0.3以上、1.7以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、0.4以上、1.0以下の範囲内である。
<(B)ポリエステル系共重合体>
(B)ポリエステル系共重合体は、(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位を有する。(B)ポリエステル系共重合体中における(B1)ポリアルキレングリコールを由来する構成単位は、ポリアルキレングリコールから末端のOHを除いた基である。換言すると、(B)ポリエステル系共重合体は、(B1)ポリアルキレングリコールを共重合成分として含む。共重合成分とは、(B)ポリエステル系共重合体を形成するモノマー単位をいう。
(B)ポリエステル系共重合体中における(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の平均分子量は、400以上、4000以下の範囲内であり、好ましくは、400以上、3000以下の範囲内である。この平均分子量が400以上の場合、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を溶融紡糸する工程において、糸切れの発生を抑えることが可能となる。この平均分子量が4000以下の場合、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物から得られたポリエステル系繊維の染着性を高めることが可能となる。
本明細書で言う(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の平均分子量は、数平均分子量である。(B1)ポリアルキレングリコールの数平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定することができる。
(B)ポリエステル系共重合体中における(B1)ポリアルキレングリコールを由来する構成単位の含有量は、15質量%以上、60質量%以下の範囲内であり、好ましくは、15質量%以上、50質量%以下の範囲内である。この含有量が15質量%以上の場合、染着性を高めることが可能となる。この含有量が60質量%以下の場合、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を溶融紡糸する工程において、糸切れの発生を抑えることが可能となる。
(B)ポリエステル系共重合体中における(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の含有量は、(B)ポリエステル系共重合体のH-NMRスペクトル分析で得られるピーク強度に基づいて求めることができる。
(B1)ポリアルキレングリコールは、アルキレングリコールの単独重合体であってもよいし、アルキレングリコールの共重合体であってよい。アルキレングリコールの単独重合体としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。アルキレングリコールの共重合体としては、例えば、ポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール)、ポリエチレングリコール-ポリテトラメチレングリコール共重合体等が挙げられる。
(B1)ポリアルキレングリコールは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及びポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール共重合体から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
(B)ポリエステル系共重合体は、例えば、(B21)芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の少なくとも一方を由来とする構成単位と、(B22)ジオールを由来とする構成単位とを含む。(B)ポリエステル系共重合体中における(B21)芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位は、芳香族ジカルボン酸からCOOH基を除いた基である。(B)ポリエステル系共重合体中における(B21)芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体に由来する構成単位は、(B21)芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体からCOOR基を除いた基である。COOR基のRは、例えば、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のヒドロキシアルキル基である。(B)ポリエステル系共重合体中における(B22)ジオールに由来する構成単位は、(B22)ジオールからOHを除いた基である。
換言すると、(B)ポリエステル系共重合体は、例えば、(B1)ポリアルキレングリコールと共重合する(B2)第2の共重合成分として、(B21)芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の少なくとも一方と、(B22)ジオールとを含む。
(B21)芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、5-リチウムスルホイソフタル酸、5-(テトラアルキル)ホスホニウムスルホイソフタル酸、4,4´-ジフェニルジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸は、一種又は二種以上を用いることができる。
(B21)芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、上記(B21)芳香族ジカルボン酸の炭素数1~6のアルキルエステル又は炭素数1~6のヒロドキシアルキルエステルが挙げられ、例えば、テレフタル酸ジメチルエステル、テレフタル酸ジエチルエステル、テレフタル酸ジプロピルエステル、テレフタル酸ジブチルエステル、テレフタル酸ジヘキシルエステル、テレフタル酸ビスヒドロキシエチルエステル、テレフタル酸ビスヒドロキシプロピルエステル、テレフタル酸ビスヒドロキシブチルエステル、テレフタル酸ビスヒドロキシヘキシルエステル等が挙げられる。芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体は、一種又は二種以上を用いることができる。
(B21)芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の少なくとも一方における芳香族ジカルボン酸は、紡糸性、及び得られるポリエステル系繊維の染着性を高めるという観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、及び2,6-ナフタレンジカルボン酸から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
(B)ポリエステル系共重合体中における(B21)芳香族ジカルボン酸を由来とする構成単位及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体を由来とする構成単位の合計の含有量は、15質量%以上、50質量%以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、20質量%以上、40質量%以下の範囲内である。この含有量が15質量%以上の場合、紡糸性を高めることが可能となる。この含有量が50質量%以下の場合、紡糸性を高めることが可能となる。
(B22)ジオールとしては、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、芳香族ジオール等が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール(トリメチレングリコール)、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール等が挙げられる。脂環式ジオールとしては、例えば、シクロペンタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,2-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。芳香族ジオールとしては、例えば、ナフタレンジオール、ビスフェノールA、レゾルシン等が挙げられる。(B22)ジオールとしては、上記(B1)ポリアルキレングリコール以外のポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)を用いることもできる。(B22)ジオールは、一種又は二種以上を用いることができる。
(B22)ジオールは、紡糸性、及び得られるポリエステル系繊維の染着性を高めるという観点から、エチレングリコール、プロパンジオール、及びブタンジオールから選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
(B)ポリエステル系共重合体中における(B22)ジオールを由来とする構成単位の含有量は、0.5質量%以上、20質量%以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、5質量%以上、15質量%以下の範囲内である。この含有量が0.5質量%以上の場合、紡糸性を高めることが可能となる。この含有量が20質量%以下の場合、紡糸性を高めることが可能となる。
(B)ポリエステル系共重合体は、例えば、(B1)ポリアルキレングリコールと、(B21)芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の少なくとも一方と、(B22)ジオールとの反応により得られる。(B)ポリエステル系共重合体は、一段階の反応で合成してもよいし、多段階の反応で合成してもよい。例えば、(B21)芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の少なくとも一方と(B22)ジオールとを予め反応させてポリエステルを得た後、そのポリエステルと(B1)ポリアルキレングリコールとを反応させてもよい。
(B)ポリエステル系共重合体は、(B)ポリエステル系共重合体を構成する高分子鎖が実質的に線状である範囲内であれば、三価以上の多官能化合物を共重合成分として含有していてもよい。三価以上の多官能化合物としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、トリカルバリル酸、没食子酸等が挙げられる。また、(B)ポリエステル系共重合体は、共重合成分として、単官能化合物を含んでいてもよい。単官能化合物としては、例えば、安息香酸、トルイル酸、1-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸、о-ベンゾイル安息香酸等が挙げられる。(B)ポリエステル系共重合体は、共重合成分として、ヒドロキシカルボン酸を含んでいてもよい。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。
(B)ポリエステル系共重合体中において、600以下の分子量を有する低分子量成分の含有量は、15質量%以下であり、好ましくは、10質量%以下であり、より好ましくは、7質量%以下であり、さらに好ましくは、3質量%以下である。この低分子量成分の含有量が15質量%以下の場合、染色ムラを低減することが可能となる。
本明細書で言う低分子量成分の分子量は、数平均分子量である。低分子量成分の数平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフィー)によって測定することができる。低分子量成分は、(B)ポリエステル系共重合体からテトラヒドロフランを用いて抽出することができる。
600以下の分子量を有する低分子量成分としては、例えば、未反応の原料、芳香族モノエステル化合物、芳香族ジエステル化合物、芳香族ポリエステルオリゴマー等が挙げられる。未反応の原料としては、例えば、上記(B21)芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の少なくとも一方、(B22)ジオール等が挙げられる。芳香族モノエステル化合物及び芳香族ジエステル化合物としては、(B21)芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の少なくとも一方と、(B22)ジオールとの反応生成物が挙げられる。芳香族ポリエステルオリゴマーとしては、直鎖状オリゴマー、及び環状オリゴマーが挙げられる。直鎖状オリゴマーとしては、ポリエステルのモノマー構造からなる二量体、及び三量体挙げられる。環状オリゴマーとしては、ポリエステルのモノマー構造からなる三量体が挙げられる。環状オリゴマーのうち、例えば、ポリエチレンテレフタレートのモノマー構造からなる三量体の分子量は、576.5である。
(B)ポリエステル系共重合体の固有粘度は、紡糸性、及び得られるポリエステル系繊維の染着性を高めるという観点から、0.1以上、1.7以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、0.3以上、1.0以下の範囲内である。
(B)ポリエステル系共重合体は、周知のエステル化反応及び重合反応(重縮合反応)を利用して合成することができる。また、(B)ポリエステル系共重合体は、エステル形成性誘導体のエステル交換反応及び重合反応を利用して合成することもできる。
(B)ポリエステル系共重合体を得るための原料組成物は、上記(B1)ポリアルキレングリコールを含有する。(B)ポリエステル系共重合体を得るための原料組成物は、(B21)芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の少なくとも一方と、(B22)ジオールとをさらに含有する。
原料組成物中における(B1)ポリアルキレングリコールの含有量は、10質量%以上、60質量%以下の範囲内であることが好ましい。原料組成物中における(B21)芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の少なくとも一方の含有量は、20質量%以上、50質量%以下の範囲内であることが好ましい。原料組成物中における(B22)ジオールの含有量は、3.0質量%以上、55質量%以下の範囲内であることが好ましい。
エステル化反応の反応条件、又はエステル交換反応の反応条件は、(B)ポリエステル系共重合体中における上記低分子量成分の含有量に影響を与える。エステル化反応の反応条件、又はエステル交換反応の反応条件を次のように設定することで、(B)ポリエステル系共重合体中における上記低分子量成分の含有量を低下させることができる。
・反応時間を長くすること。
・昇温速度を遅くすること。
・原料組成物中において、(B21)芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の少なくとも一方の含有量に対して、(B1)ポリアルキレングリコールの含有量を増大させること。
・原料組成物中において、(B21)芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体の少なくとも一方の含有量に対して、(B22)ジオールの含有量を増加させること。
例えば、反応開始温度は、130℃以上、160℃以下の範囲内であることが好ましい。反応終了温度は、220℃以上、300℃以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは230℃以上、280℃以下の範囲内である。
反応時間は、180分以上、500分以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、200分以上、500分以下の範囲内である。
反応開始温度から反応終了温度まで昇温する昇温速度は、例えば、0.1℃/分以上、5℃/分以下の範囲内である。昇温速度は、一定でもよいし、変化させてもよい。
<溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物及びポリエステル系繊維>
溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物中における(B)ポリエステル系共重合体の含有量は、(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体との合計100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下の範囲内であり、好ましくは、1質量部以上、10質量部以下の範囲内である。この含有量が0.5質量部以上の場合、染着性を高めることが可能となる。この含有量が15質量部以下の場合、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を溶融紡糸する工程において、糸切れの発生を抑えることが可能となる。
溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物中における(A)ポリエステルの含有量は、紡糸性を高めるという観点から、例えば、50質量%以上、99.5質量%以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、60質量%以上、99.0質量%以下の範囲内であり、さらに好ましくは、70質量%以上、98.0質量%以下の範囲内であり、最も好ましくは、80%質量以上、97.0質量%以下の範囲内である。
ポリエステル系繊維中の(B)ポリエステル系共重合体の含有量及び(A)ポリエステルの含有量についても上記溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物中における含有量と同様である。
溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物中には、例えば、耐熱剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、導電剤、帯電防止剤、相溶化剤、可塑剤、離型剤、抗菌剤、核形成剤、艶消し剤、消泡剤、防腐剤、ゲル化剤、ラテックス、フィラー、香料等を含有させることもできる。
溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物は、(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体とを(B)ポリエステル系共重合体が上記の含有量の範囲内となるように混合することで調製することができる。なお、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物は、(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体とを混合した混合物を予め調製しておき、その混合物を(A)ポリエステルで希釈することで調製することもできる。また、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物は、(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体とを混合した混合物を予め調製しておき、その混合物に(B)ポリエステル系共重合体をさらに混合することで調製することもできる。
(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体との混合は、周知の方法で行うことができる。この混合に用いられる混合機としては、例えば、タンブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、バンバリーミキサー、混練ロール、1軸又は2軸の押出機等が挙げられる。
ポリエステル系繊維の単繊維における繊度は、例えば、紡糸性、及び得られるポリエステル系繊維の染着性を高めるという観点から、0.01dtex以上、300dtex以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、0.05dtex以上、250dtex以下の範囲内である。
ポリエステル系繊維は、染色される用途に用いられる。ポリエステル系繊維は、例えば、分散染料を用いて染色することができる。分散染料としては、例えば、ベンゼンアゾ系、複素環アゾ系、ジスアゾ系、アントラキノン系、キノリン系、ニトロ系、クマリン系、メチン系、アミノケトン系等が挙げられる。
染色方法としては、例えば、捺染法、連続染色法、浸染法等を用いることができる。浸染法としては、例えば、液流染色、チーズ染色、ビーム染色、オーバーマイヤー染色、高圧噴射染色等が挙げられる。
染色工程におけるエネルギー消費量を削減するという観点から、染色温度は、例えば、125℃以下であることが好ましく、より好まししくは、95℃以上、125℃以下の範囲内であり、さらに好ましくは、97℃以上、120℃以下の範囲内であり、最も好ましくは、100℃以上、120℃以下の範囲内である。染色圧力は、染色液に含有される水の飽和蒸気圧である。
ポリエステル系繊維は、糸、編み物、織物、不織布等の形態で使用することができる。ポリエステル系繊維の用途としては、例えば、アパレル用途、インテリア用途、産業資材用途等が挙げられる。
<ポリエステル系繊維の製造方法>
ポリエステル系繊維の製造方法は、上記溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を溶融紡糸する工程を備えている。溶融紡糸する工程は、周知の方法を用いることができる。ポリエステル系繊維の製造方法は、溶融紡糸する工程の前工程として、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を乾燥する工程を備えていることが好ましい。この場合、溶融紡糸する工程において、ポリエステル系樹脂の加水分解による分子量低下を抑えたり、水分を要因とする発泡を抑えたりすることが可能となる。溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を乾燥する工程は、(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体とを混合した混合物を乾燥する工程であってよいし、(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体とを別々に乾燥する工程であってもよい。
(A)ポリエステルの含水率及び(B)ポリエステル系共重合体の含水率は、0ppm以上、300ppm以下であることが好ましく、より好ましくは、0ppm以上、100ppm以下であり、さらに好ましくは、0ppm以上、50ppm以下である。
溶融紡糸する工程は、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を調製する工程と連続して行ってもよいし、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を固化したペレットを予め準備し、そのペレットを用いて行ってもよい。
溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物の溶融には、溶融押出機を用いることができる。溶融押出機としては、例えば、プレッシャーメルター型の溶融押出機、1軸又は2軸エクストルーダー型の溶融押出機等が挙げられる。
溶融紡糸する工程では、溶融紡糸機の紡糸口金から溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を繊維状に吐出させる。溶融紡糸する工程では、紡糸口金から吐出された繊維状の溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を冷却により固化されることで、ポリエステル系繊維を得ることができる。得られたポリエステル系繊維は、例えば、原糸油剤が付着された後に巻き取られる。
溶融紡糸する工程における紡糸温度は、(A)ポリエステル及び(B)ポリエステル系共重合体の融点、耐熱性等に応じて選択することができる。紡糸温度は、例えば、190℃以上、320℃以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、240℃以上、310℃以下の範囲内であり、さらに好ましくは、250℃以上、310℃以下の範囲内であり、最も好ましくは、260℃以上、300℃以下の範囲内である。紡糸温度が190℃以上の場合、糸切れの発生を抑えることができる。紡糸温度が320℃以下の場合、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物の熱分解を抑えることができる。
溶融紡糸する工程における紡糸速度は、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物の組成、紡糸温度等に応じて選択することができる。また、紡糸速度は、例えば、溶融紡糸する工程と延伸する工程とを連続して行う一工程法、溶融紡糸する工程の後に別工程で原糸を延伸又は仮撚を行う二工程法に応じて以下のように選択される。一工程法としては、FDY(Fully Draw Yarn)法とも呼ばれる。二工程法は、POY(Partially Oriented Yarn)・DTY(Draw Textured Yarn)法とも呼ばれる。
上記一工程法の場合、紡糸速度は、例えば、第1引取ローラーと第2引取ローラーとにより設定される。第1引取ローラーの速度は、50m/min以上、5000m/min以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、80m/min以上、4500m/min以下の範囲内である。第2引取ローラーの速度は、60m/min以上、6000m/min以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、100m/min以上、5500m/min以下の範囲内である。
上記二工程法の場合、紡糸速度は、500m/min以上、6000m/min以下の範囲内であることが好ましい。この紡糸速度は、1000m/min以上であることがより好ましく、さらに好ましくは、1500m/min以上である。この紡糸速度は、4500m/min以下であることがより好ましく、さらに好ましくは、4000m/min以下である。
上記一工程法又は二工程法において延伸する工程では、一段延伸法又は二段以上の多段延伸法のいずれの方法を用いることができる。延伸する工程における走行糸条は、直接的又は間接的な加熱方法により加熱される。加熱方法としては、例えば、加熱ローラー、熱ピン、熱板等の加熱部材、温水、熱水等を用いた液体浴、熱空気、スチーム等を用いた気体浴、レーザー照射等が挙げられる。加熱方法は、一つの方法又は二つ以上の方法を組み合わせて用いることができる。加熱方法としては、例えば、温度制御が容易であるという観点から、加熱部材との接触、及び液体浴への浸漬の少なくとも一方であることが好ましい。
延伸する工程における延伸温度は、(A)ポリエステル及び(B)ポリエステル系共重合体の補外融解開始温度、延伸後の繊維の強度、伸度等に応じて選択することができる。延伸する工程の延伸温度は、一工程法の場合、50℃以上、150℃以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、60℃以上、145℃以下の範囲内であり、さらに好ましくは、70℃以上、140℃以下の範囲内である。一工程法の延伸温度が50℃以上の場合、例えば、糸条の品位を高めることができる。一工程法の延伸温度が150℃以下の場合、例えば、延伸する工程を安定して行うことができる。延伸する工程では、必要に応じて60℃以上、150℃以下の温度範囲で熱セットを行ってもよい。
延伸する工程の延伸温度は、二工程法の場合、100℃以上、230℃以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、120℃以上、210℃以下の範囲内であり、さらに好ましくは、160℃以上、200℃以下の範囲内である。二工程法における延伸温度が100℃以上の場合、走行糸条が安定することで、糸切れの発生をより抑えることができる。二工程法における延伸温度が230℃以下の場合、糸切れの発生をより抑えることができる。
延伸する工程の延伸倍率は、延伸前の繊維の伸度、延伸後の繊維の強度、伸度等に応じて選択することができる。延伸倍率は、堅牢度及び染着性をより高めるという観点から、1.02倍以上、7.0倍以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、1.2倍以上、6.5倍以下の範囲内であり、さらに好ましくは、1.5倍以上、6.0倍以下の範囲内である。
延伸する工程における延伸速度は、一工程法、二工程法等に応じて選択することができる。一工程法の延伸速度は、上記第2引取ローラーの速度に相当するため、説明を省略する。二工程法の場合の延伸速度は、30m/min以上、1000m/min以下の範囲内であることが好ましく、より好ましくは、50m/min以上、900m/min以下の範囲内であり、さらに好ましくは、100m/min以上、800m/min以下の範囲内である。延伸速度が上記下限値以上の場合、走行糸条が安定することで、糸切れの発生を抑えることができる。延伸速度が上記上限値以下の場合、糸切れの発生を抑えることができる。また、巻き取り速度は、特に制限はなく、500m/min以上、6000m/min以下の範囲内であることが好ましい。
<本実施形態の作用及び効果>
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(B)ポリエステル系共重合体は、(A)ポリエステルと混合することで溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を得る用途に用いられる。(B)ポリエステル系共重合体は、(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位を有する。(B)ポリエステル系共重合体中における(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の平均分子量は、400以上、4000以下の範囲内である。(B)ポリエステル系共重合体中における(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の含有量は、15質量%以上、60質量%以下の範囲内である。(B)ポリエステル系共重合体は、(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体との合計100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下の範囲内となるよう(A)ポリエステルと混合して用いられる。
この構成によれば、上記溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物から得られたポリエステル系繊維において、染色条件を緩和したときの染着性の低下及び堅牢度の低下を抑えることが可能となる。
上記(B)ポリエステル系共重合体は、(A)ポリエステルよりも柔軟な分子構造を有するため、ポリエステル系繊維の染色処理時にポリエステル系繊維が加熱されると、(B)ポリエステル系共重合体は、(A)ポリエステルよりも活発に分子運動する。このため、(B)ポリエステル系共重合体中に含有される低分子量成分は、ポリエステル系繊維の染色処理時にポリエステル系繊維の表面に析出し易い。ポリエステル系繊維の染色処理時に上記の低分子量成分の析出量が増加することにより、ポリエステル系繊維に染色ムラが大きくなる。
本実施形態の(B)ポリエステル系共重合体中において、600以下の分子量を有する低分子量成分の含有量は、15質量%以下であるため、ポリエステル系繊維の染色処理時における低分子量成分の析出量を低減させることが可能となる。これにより、ポリエステル系繊維の染色ムラを低減させることが可能となる。
<実施例>
次に、実施例及び比較例を説明する。
<(B)ポリエステル系共重合体の合成>
(合成例A)
合成例Aでは、(B1)ポリアルキレングリコール12.1質量部、(B21)テレフタル酸ジメチル(DMT)49.5質量部、(B22)エチレングリコール38.4質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した。反応容器内の原料を150℃から240℃に徐々に昇温するとともに、水を留去することでエステル交換反応を行った。合成例Aにおけるエステル交換反応の反応時間Tは、450分とした。この反応時間は、150℃から240℃まで昇温する昇温時間であり、450分後に240℃となるように、ほぼ一定の昇温速度で昇温した。
次に、反応容器内に重縮合触媒0.01質量部を添加し、50分かけて前重合を行った。続いて、反応容器内を徐々に減圧し、最終的には、0.1kPa、275℃、160分の条件で重合反応を行うことで、(B)ポリエステル系共重合体を得た。
合成例Aの原料の詳細は、以下のとおりである。
・(B1)PAG:ポリエチレングリコール(PEG)、平均分子量:1540、日油株式会社製、商品名:PEG#1540
・(B21)芳香族ジカルボン酸:テレフタル酸ジメチル、富士フィルム和光純薬株式会社製
・(B22)ジオール:エチレングリコール(モノエチレングリコール:MEG)、富士フィルム和光純薬株式会社製
・エステル化触媒:チタンテトラノルマルブトキシド
・重縮合触媒:チタンテトラノルマルブトキシド
(合成例B)
合成例Bでは、(B1)ポリアルキレングリコール13.0質量部、(B21)テレフタル酸(TPA)45.7質量部、(B22)エチレングリコール41.3質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した。反応容器内の原料を150℃から240℃に徐々に昇温するとともに、水を留去することでエステル化反応を行った。合成例Bにおけるエステル化反応の反応時間Tを450分とした。この反応時間は、150℃から240℃までに昇温する昇温時間であり、450分後に240℃となるように、ほぼ一定の昇温速度で昇温した。
次に、反応容器内に重縮合触媒0.01質量部を添加し、50分かけて前重合を行った。続いて、反応容器内を徐々に減圧し、最終的には、0.1kPa、275℃、160分の条件で重合反応を行うことで、(B)ポリエステル系共重合体を得た。
合成例Bの原料の詳細は、以下のとおりである。
・(B1)PAG:ポリエチレングリコール(PEG)、平均分子量:1540、日油株式会社製、商品名:PEG#1540
・(B21)芳香族ジカルボン酸:テレフタル酸、富士フィルム和光純薬株式会社製
・(B22)ジオール:エチレングリコール(モノエチレングリコール:MEG)、富士フィルム和光純薬株式会社製
・エステル化触媒:チタンテトラノルマルブトキシド
・重縮合触媒:チタンテトラノルマルブトキシド
(合成例C)
合成例Cでは、(B1)PAG36.2質量部、(B21)テレフタル酸ジメチル37.5質量部、(B22)エチレングリコール26.3質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した後、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
(合成例D)
合成例Dでは、エステル交換反応の反応時間Tを450分から200分に変更した以外は、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
(合成例E)
合成例5では、エステル交換反応の反応時間Tを450分から180分に変更した以外は、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
(合成例F)
合成例Fでは、以下の(B1)PAGを用いた。
(B1)PAG:ポリエチレングリコール(PEG)、平均分子量:600、三洋化成工業株式会社製、商品名:PEG-600
合成例Fでは、(B1)PAG12.3質量部、(B21)テレフタル酸ジメチル50.5質量部、(B22)エチレングリコール37.2質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した後、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
(合成例G)
合成例Gでは、以下の(B1)PAGを用いた。
合成例Gの(B1)PAG:ポリエチレングリコール(PEG)、平均分子量:2000、三洋化成工業株式会社製、商品名:PEG-2000
合成例Gでは、(B1)PAG12.0質量部、(B21)テレフタル酸ジメチル48.9質量部、(B22)エチレングリコール39.1質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した後、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
(合成例H)
合成例Hでは、以下の(B1)PAGを用いた。
合成例Hの(B1)PAG:ポリプロピレングリコール(PPG)、平均分子量:2000、株式会社ADEKA製、商品名:アデカポリエーテルP-2000
合成例Hでは、(B1)PAG12.0質量部、(B21)テレフタル酸ジメチル48.9質量部、(B22)エチレングリコール39.1質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した後、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
(合成例I)
合成例Iでは、以下の(B1)PAGを用いた。
合成例Iの(B1)PAG:ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)、平均分子量:2000、三菱ケミカル株式会社製、商品名:PTMG2000
合成例Iでは、(B1)PAG12.0質量部、(B21)テレフタル酸ジメチル48.9質量部、(B22)エチレングリコール39.1質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した後、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
(合成例J)
合成例Jでは、以下の(B1)PAGを用いた。
合成例Jの(B1)PAG:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(POEPOPG)、平均分子量:2000、株式会社ADEKA製、商品名:アデカプルロニックL-44
合成例Jでは、(B1)PAG12.0質量部、(B21)テレフタル酸ジメチル48.9質量部、(B22)エチレングリコール39.1質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した後、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
(合成例K)
合成例Kでは、以下の二種類の(B1)PAGを用いた。
・第1の(B1)PAG:ポリエチレングリコール(PEG)、平均分子量:3400、三洋化成工業株式会社製、商品名:PEG-4000S
・第2の(B1)PAG:ポリプロピレングリコール(PPG)、平均分子量:2000、株式会社ADEKA製、商品名:アデカポリエーテルP-2000
合成例Kでは、第1の(B1)PAG15.8質量部、第2の(B1)PAG3.2質量部、(B21)テレフタル酸ジメチル45.1質量部、(B22)エチレングリコール36.0質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した後、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
(合成例L)
合成例Lでは、以下の(B1)PAGを用いた。
合成例Lの(B1)PAG:ポリエチレングリコール(PEG)、平均分子量:3400、三洋化成工業株式会社製、商品名:PEG-4000S
合成例Lでは、(B1)PAG12.0質量部、(B21)テレフタル酸ジメチル48.9質量部、(B22)エチレングリコール39.1質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した後、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
(合成例M)
合成例Mでは、以下の(B1)PAGを用いた。
(B1)PAG:ポリエチレングリコール(PEG、平均分子量:400、三洋化成工業株式会社製、商品名:PEG-400)
合成例Mでは、(B1)PAG12.4質量部、(B21)テレフタル酸ジメチル51.4質量部、(B22)エチレングリコール36.2質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した後、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
(合成例N)
合成例Nでは、以下の(B1)PAGを用いた。
(B1)PAG:ポリエチレングリコール(PEG、平均分子量:1000、三洋化成工業株式会社製、商品名:PEG-1000)
合成例Nでは、(B1)PAG3.4質量部、(B21)テレフタル酸ジメチル54.0質量部、(B22)エチレングリコール42.6質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した後、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
(合成例O,P,Q)
合成例O,P,Qでは、合成例Aと同じ原料を用いた。
合成例Oでは、(B1)PAG5.7質量部、(B21)テレフタル酸ジメチル52.7質量部、(B22)エチレングリコール41.5質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した後、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
合成例Pでは、(B1)PAG52.2質量部、(B21)テレフタル酸ジメチル29.5質量部、(B22)エチレングリコール18.3質量部、及びエステル化触媒0.01質量部を反応容器内に投入した後、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。合成例Qでは、エステル交換反応の反応時間Tを450分から150分に変更した以外は、合成例Aと同様に、(B)ポリエステル系共重合体の合成を行った。
<(B)ポリエステル系共重合体のサンプルの作製>
合成例A~Qの各合成例で得られた(B)ポリエステル系共重合体を水中にストランド状に押し出した後、冷却したものをカッティングし、チップ(ペレット)状のポリエステル系共重合体を作製した。チップ状のポリエステル系共重合体を80℃、120分間の条件で乾燥させることでサンプルを得た。サンプルの形状は、楕円柱形状であり、断面楕円長径4~5mm、短径2~3mm、高さ4~5mmであった。
<(B)ポリエステル系共重合体中の各構成単位の含有量>
(B)ポリエステル系共重合体中における(B1)ポリアルキレングリコール(以下、「PAG」と言う。)を由来とする構成単位の含有量を、表1中の“B1”、“含有量[質量%]”欄に示す。(B)ポリエステル系共重合体中における(B21)芳香族ジカルボン酸を由来とする構成単位の含有量及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体を由来とする構成単位の含有量を、表1中の“B21”、“含有量[質量%]”欄に示す。(B)ポリエステル系共重合体中における(B22)ジオールを由来とする構成単位の含有量を、表1中の“B22”、“含有量[質量%]”欄に示す。
(B)ポリエステル系共重合体中における(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の含有量及び(B22)エチレングリコールを由来とする構成単位の含有量は、H-NMRスペクトルのピーク強度から求めることができる。
H-NMRスペクトルの測定条件は、以下のとおりである。
核磁気共鳴装置:日本電子株式会社製、商品名:ECZ-500R
重溶媒:重水素化トリフルオロ酢酸
積算回数:16回
(B)ポリエステル系共重合体のサンプル濃度:サンプル0.01g/重溶媒0.7mL
(B1)ポリアルキレングリコールの含有量は、テレフタル酸由来の化学シフト(8.4ppm)の積分値を4.0と設定し、(B1)ポリアルキレングリコールの化学シフトの積分値との相対値により求めた。エチレングリコールの化学シフトは、5.1ppmであり、ポリエチレングリコール(PEG)の化学シフトは、4.2ppmである。ポリプロピレングリコール(PPG)の化学シフトは、1.5ppmである。ポリテトラメチレングリコール(PTMG)の化学シフトは、2.0ppmである。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(POEPOPG)の化学シフトは、1.5ppm及び2.0ppmである。
<(B1)PAGの平均分子量>
(B1)PAGの平均分子量を表1中の“B1”、平均分子量欄に示す。表1に示す(B1)PAGの平均分子量は、原料の(B1)PAGの平均分子量である。(B)ポリエステル系共重合体中の(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の平均分子量は、表1に示す平均分子量からOHの分子量を除いた値に相当する。
(B)ポリエステル系共重合体中における(B1)PAGを由来とする構成単位の平均分子量は、以下のように測定することができる。
水5mlとエタノール10mlの混合溶液に(B)ポリエステル系共重合体のサンプル1gと水酸化ナトリウム3gとを添加し、120℃で20時間加熱しアルカリ分解させた。アルカリ分解物を中和し、ろ過して中和塩を取り除き、ろ液を乾固させた。この乾固物をクロロホルムにて抽出した後、クロロホルムを除去し、ポリアルキレングリコールの抽出物を得た。
抽出物の数平均分子量(Mn)を以下の方法に従って測定した。抽出物(2mg)をテトラヒドロフラン(2mL)に加えて混合した。得られた混合液のテトラヒドロフラン可溶化分をゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって分析し、ポリエチレングリコール換算にてポリアルキレングリコールのMnを求めた。GPCの測定条件は、以下のとおりである。
・測定装置:HLC-8320GPC(商品名、東ソー株式会社製)
・検出装置:RI検出器(HLC-8320GPCに付属の検出器)
・移動相:テトラヒドロフラン
・カラム:TSKgel superMultipore HZ-M(東ソー株式会社製)を2本と、TSKgel superMultipore HZ-H(東ソー株式会社製)を1本と、を直列に接続したものを用いた。
・サンプルインジェクターとカラムの温度:40℃
・RI検出器の温度:35℃
・サンプル注入量:5μL
・流速:0.35mL/分
・測定時間:20分
<(B)ポリエステル系共重合体に含有される低分子量成分の含有量>
(B)ポリエステル系共重合体に含有される低分子量成分の含有量を表2中の“低分子量成分の含有量[質量%]”欄に示す。
(B)ポリエステル系共重合体に含有される低分子量成分の含有量は、次のように測定した。(B)ポリエステル系共重合体のサンプル1.0gをTHF(テトラヒドロフラン)10mLに8時間浸漬した。次に、浸漬液をろ過することでサンプルを採取し、浸漬前のサンプルの質量M1と浸漬後のサンプルの質量M2から下記式によりTHFに溶解した成分量(THF溶解成分量)を算出した。
THF溶解成分量[%]=(質量M1-質量M2)/質量M1
次に、浸漬液のろ液をゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)によって分析し、低分子量成分の含有量を算出した。GPCの条件は、上記PAGの平均分子量の測定におけるGPCの条件と同様である。低分子量成分の含有量は、浸漬液のろ液中に含有する成分の全体の面積を1としたときの分子量(数平均分子量)が600以下の成分のピークの面積比率Aから下記式により低分子量成分の含有量を算出した。
低分子量成分の含有量[%]=THF溶解成分量[%]×面積比率A
<固有粘度の測定>
(B)ポリエステル系共重合体の固有粘度を表2中の“固有粘度IV値”欄に示す。
(B)ポリエステル系共重合体の固有粘度(IV値)は、JIS K7367-1:2002、「プラスチック-毛細管形粘度計を用いたポリマー希釈溶液の粘度の求め方」に準拠して測定した。詳述すると、(B)ポリエステル系共重合体を0.4g/dlの濃度となるように、フェノールと1,1,2,2-テトラクロロエタンとの混合溶媒に溶解し、30℃において測定した。混合溶媒におけるフェノールと1,1,2,2-テトラクロロエタンとの容量比は、1:1である。
(実施例1)
(A)ポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート(ユニチカ株式会社製、商品名:MA-6102-K、固有粘度:0.6)を準備した。上記合成例Aで得られた(B)ポリエステル系共重合体のサンプルを140℃、100mL/minの窒素気流下、8時間の条件で乾燥させた。表3に示すように、(A)ポリエステル95質量部と、(B)ポリエステル系共重合体5質量部とを押出混練機を用いて溶融混練することで、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を得た。
得られた溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を、ギヤポンプを用いて48個の紡口を有する紡糸口金に供給した。紡糸口金から押し出されたフィラメントを第1引取ローラーと第1引取ローラーの下流側に設けられる第2引取ローラーとの速度差により延伸した。
紡糸工程の条件は、以下のとおりである。
・紡糸温度:280℃
・冷却温度:20℃
・冷却風速度:1.8m/s
・第1引取ローラーの速度(延伸速度):500m/min
・第1引取ローラーの温度(延伸温度):100℃
・第2引取ローラーの速度(延伸速度):2500m/min
・第2引取ローラーの温度(延伸温度):115℃
・延伸倍率:5.0倍
・巻取速度:2470m/min
上記紡糸工程により、80デニール(約88.8dtex)/48フィラメントの生糸(FDY)を得た。
(実施例2)
表3に示すように、実施例2では、上記合成例Bで得られた(B)ポリエステル系共重合体のサンプルを用いた以外は、実施例1と同様に溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を得た後、紡糸工程を行った。
(実施例3,4)
表3に示すように、実施例3,4では、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物中の(B)ポリエステル系共重合体のサンプルの含有量を変更した以外は、実施例1と同様に溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を得た後、紡糸工程を行った。
(実施例5~14)
表3及び表4に示すように、実施例5~14では、上記合成例C~Lで得られた(B)ポリエステル系共重合体のサンプルを用いた以外は、実施例1と同様に溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を得た後、紡糸工程を行った。
(比較例1,2)
表5に示すように、比較例1,2では、合成例A,Bで得られた(B)ポリエステル系共重合体のサンプルを(A)ポリエステルに配合せずに、合成例A,Bで得られた(B)ポリエステル系共重合体のサンプルのみを用いて、実施例1と同様に紡糸工程を行った。
(比較例3,4)
表5に示すように、比較例3,4では、(A)ポリエステルと、(B)ポリエステル系共重合体のサンプルと質量部を変更した以外は、実施例1と同様に溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を得た後、紡糸工程を行った。
(比較例5~7)
表5に示すように、比較例5~7では、合成例O~Qで得られた(B)ポリエステル系共重合体のサンプルを用いた以外は、実施例1と同様に溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を得た後、紡糸工程を行った。
(比較例8)
表5に示すように、比較例7では、(A)ポリエステルのみを用いた以外は、実施例1と同様に紡糸工程を行った。
(紡糸性)
上記紡糸工程により連続紡糸を1時間行ったときの糸切れの発生の有無を確認した。糸切れが発生しなかった場合を優れると判定し、紡糸できたものの30分以上、1時間未満で糸切れが発生した場合を良好と判定し、30分未満で糸切れが発生した場合を不良と判定した。表3~5の“紡糸性”欄には、優れる場合を“a”、良好の場合を“b”、不良の場合を“c”で示す。
(染着性)
各実施例及び各比較例で得られた生糸を一口試験筒編機(英光産業株式会社製、商品名:model NCR-E)を用いて、20ゲージで筒編みすることで、染色用の試験片を作成した。
得られた試験片を、浴比1:15になるように、精練浴に投入した。この精練浴を昇温速度3℃/分で40℃から80℃に昇温した後、80℃で20分間保持した。次に、精練浴を70℃に降温した後、精練浴から試験片を取り出した。続いて、取り出した試験片を、水洗、及び脱水乾燥することで、精練加工された試験片を得た。
次いで、試験片を染色浴に投入した。
実施例1~14及び比較例1~7では、以下の<染色条件1>により試験片を染色した。
<染色条件1>
染色条件1では、染色温度を低温に設定した。染色条件1では、染色浴を昇温速度2℃/分で60℃から100℃に昇温した後、100℃で60分間保持した。次に、染色浴を70℃に降温した後、染色浴から試験片を取り出した。
比較例8では、以下の<染色条件2>により試験片を染色した。
<染色条件2>
染色条件2では、染色温度を高温に設定した。染色条件2では、染色浴を昇温速度2℃/分で60℃から130℃に昇温した後、130℃で30分間保持した。次に、70℃に降温した後、染色浴から試験片を取り出した。
以上の<染色条件1>及び<染色条件2>で染色した各試験片について、還元洗浄浴を用いて、80℃、15分、浴比1:15の条件で還元洗浄した。還元洗浄後の試験片を水洗、脱水、及び乾燥することで、染色された試験片を得た。
精練浴、染色浴、還元洗浄浴の組成を表6に示す。
染色された試験片について、分光測色計(コニカミノルタセンシング株式会社製、商品名:CM-3600d)を用いて400~700nmの10nm毎のK/S値を求めた後、これらK/S値の積分値を求めた。比較例8の試験片における積分値を100とした場合の比較例8以外の各実施例及び各比較例の試験片における積分値を求めた。この積分値を比較例8以外の各実施例及び各比較例の試験片の染着率とした。その結果を表3~5に示す。
染着率が高いほど、濃く染色できていること、すなわち染着性が優れていることを示す。染着性について、染着率が60以上の場合を合格と判定した。表3~5の“判定結果”欄には、合格の場合を“a”、不合格の場合を“c”で示す。
(染色ムラ)
染色された試験片を目視観察し、色の薄いスジや染色ムラの有無を確認した。表3~5の“色ムラ”欄には、色の薄いスジや染色ムラが確認されなかった場合を、染色ムラの低減効果に優れると判定した。また、色の薄いスジや染色ムラが少量確認された場合を染色ムラの低減効果が良好であると判定した。また、色の薄いスジや染色ムラが多く確認された場合を染色ムラの低減効果に劣ると判定した。表3~5の“染色ムラ”欄には、染色ムラの低減効果に優れる場合を“a”、染色ムラの低減効果が良好の場合を“b”、染色ムラの低減効果に劣る場合を“c”で示す。
(洗濯堅牢度)
JIS L0844:2011のA-5法に準じて洗濯堅牢度の試験を行い、汚染用グレースケール(JIS L0805:2005)を用いて洗濯堅牢度の級数を決定した。その結果を表1~3に示す。この洗濯堅牢度の級数が大きいほど、堅牢度に優れている。洗濯堅牢度について、洗濯堅牢度が3級以上の場合を合格と判定した。表1~3の“判定結果”欄には、合格の場合を“a”、不合格の場合を“c”で示す。
表3及び表4に示すように、実施例1~14では、染着性及び洗濯堅牢度のいずれも合格の結果が得られた。また、実施例1~14では、染色ムラの低減効果に優れる、又は染色ムラの低減効果が良好である結果が得られた。
一方、表5に示すように、比較例1では、(A)ポリエステルを配合していないため、紡糸性が不良の結果となった。比較例2では、(A)ポリエステルを配合せずに、(B2)PAGの含有量が15質量%未満の(B)ポリエステル系共重合体を用いている。この比較例2では、紡糸性が良好であり、かつ染着性について合格の結果が得られるものの、洗濯堅牢度が不合格であり、かつ染色ムラの低減効果に劣っていた。
比較例3では、(B)ポリエステル系重合体の含有量が(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体との合計100質量部に対して、0.5質量部未満であるため、染着性の結果が不合格となった。比較例4では、(B)ポリエステル系重合体の含有量が(A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体との合計100質量部に対して、15質量部を超えるため、紡糸性が不良の結果となった。比較例5では、(B1)PAGの含有量が15質量%未満であるため、染着性の結果が不合格となった。比較例6では、(B1)PAGの含有量が60質量%を超えるため、紡糸性が不良の結果となった。比較例7では、(B)ポリエステル系共重合体中の低分子量成分の含有量が15質量%を超えるため、染色ムラの低減効果に劣っていた。

Claims (3)

  1. (A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体とを含有する溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物であって、
    前記(B)ポリエステル系共重合体は、(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位を有し、
    前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の平均分子量は、400以上、4000以下の範囲内であり、
    前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の含有量は、15質量%以上、60質量%以下の範囲内であり、
    前記(B)ポリエステル系共重合体中において、600以下の分子量を有する低分子量成分の含有量は、15質量%以下であり、
    前記溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物中における前記(B)ポリエステル系共重合体の含有量は、前記(A)ポリエステルと前記(B)ポリエステル系共重合体との合計100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下の範囲内である、溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物。
  2. 溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物を溶融紡糸する工程を備えるポリエステル系繊維の製造方法であって、
    前記溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物は、
    (A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体とを含有し、
    前記(B)ポリエステル系共重合体は、(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位を有し、
    前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の平均分子量は、400以上、4000以下の範囲内であり、
    前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の含有量は、15質量%以上、60質量%以下の範囲内であり、
    前記(B)ポリエステル系共重合体中において、600以下の分子量を有する低分子量成分の含有量は、15質量%以下であり、
    前記溶融紡糸用ポリエステル系樹脂組成物中における前記(B)ポリエステル系共重合体の含有量は、前記(A)ポリエステルと前記(B)ポリエステル系共重合体との合計100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下の範囲内である、ポリエステル系繊維の製造方法。
  3. (A)ポリエステルと(B)ポリエステル系共重合体とを含有するポリエステル系繊維であって、
    前記(B)ポリエステル系共重合体は、(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位を有し、
    前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の平均分子量は、400以上、4000以下の範囲内であり、
    前記(B)ポリエステル系共重合体中における前記(B1)ポリアルキレングリコールを由来とする構成単位の含有量は、15質量%以上、60質量%以下の範囲内であり、
    前記(B)ポリエステル系共重合体中において、600以下の分子量を有する低分子量成分の含有量は、15質量%以下であり、
    前記ポリエステル系繊維中における前記(B)ポリエステル系共重合体の含有量は、前記(A)ポリエステルと前記(B)ポリエステル系共重合体との合計100質量部に対して、0.5質量部以上、15質量部以下の範囲内である、ポリエステル系繊維。
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