以下、図面を参照しながら、本発明に係るクラッチ装置の実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係るクラッチ装置10の断面図である。クラッチ装置10は、例えば、自動二輪車等の車両に設けられている。クラッチ装置10は、動力源の入力軸(例えばクランクシャフト)の回転駆動力を出力軸15に伝達または遮断する装置である。動力源は、例えば、自動二輪車のエンジンや電動モータ等である。クラッチ装置10は、出力軸15を介して入力軸の回転駆動力を駆動輪(後輪)に伝達または遮断するための装置である。
以下の説明では、クラッチ装置10のプレッシャプレート70とクラッチセンタ40とが並ぶ方向を方向Dとする。本実施形態では、方向Dは、略水平方向である。プレッシャプレート70がクラッチセンタ40に接近する方向を第1の方向D1、プレッシャプレート70がクラッチセンタ40から離隔する方向を第2の方向D2とする。本実施形態では、出力軸15の軸線方向、クラッチハウジング30の軸線方向、クラッチセンタ40の軸線方向およびプレッシャプレート70の軸線方向は、方向Dと同じ方向である。以下の説明では、特段の記載がされていない限り、「軸線方向」とは、出力軸15の軸線方向のことをいう。また、出力軸15、クラッチハウジング30、クラッチセンタ40およびプレッシャプレート70の周方向は、同一の方向であり、これを周方向S(図2参照)とする。周方向Sに関して、一方のプレッシャ側カム部90から他方のプレッシャ側カム部90に向かう方向を第1の周方向S1(図7参照)、他方のプレッシャ側カム部90から一方のプレッシャ側カム部90に向かう方向を第2の周方向S2(図7参照)とする。プレッシャプレート70およびクラッチセンタ40は、第1の周方向S1に回転する。本実施形態では、出力軸15、クラッチハウジング30、クラッチセンタ40およびプレッシャプレート70の径方向は、同一の方向である。以下の説明では、特段の記載がされていない限り、「径方向」とは、出力軸15の径方向のことをいう。ただし、上記方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、クラッチ装置10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
図1は、後述のように、クラッチ装置10がクラッチONの状態になり、プレッシャプレート70が最もクラッチセンタ40に接近して、入力側回転板20と出力側回転板22とが互いに押圧された状態を示す。図1に示すように、クラッチ装置10は、出力軸15と、入力側回転板20と、出力側回転板22と、クラッチハウジング30と、クラッチセンタ40と、プレッシャプレート70と、クラッチスプリング25と、ストッパプレート100と、ジャダースプリング120と、第1スプリング130Aと、第2スプリング130Bと、を備えている。
図1に示すように、出力軸15は、中空状に形成された軸体である。出力軸15の一方側の端部は、ニードルベアリング15Aを介して、後述する入力ギア35およびクラッチハウジング30を回転自在に支持する。出力軸15は、ナット15Bによりクラッチセンタ40に固定されている。出力軸15は、クラッチセンタ40と一体的に回転する。出力軸15の他方側の端部は、例えば、自動二輪車の変速機(図示せず)に連結されている。
図1に示すように、出力軸15は、その中空部15Hにプッシュロッド16Aと、プッシュロッド16Aに隣接して設けられたプッシュ部材16Bと、を備えている。中空部15Hは、オイルの流通路としての機能を有する。オイルは、出力軸15内、即ち中空部15H内を流動する。プッシュロッド16Aおよびプッシュ部材16Bは、出力軸15の中空部15H内を摺動可能に設けられている。プッシュロッド16Aは、一方の端部(図示左側の端部)が自動二輪車のクラッチ操作レバー(図示せず)に連結されており、クラッチを切断する際は、クラッチ操作レバーの操作によって中空部15H内を摺動してプッシュ部材16Bを第2の方向D2に押圧する。プッシュ部材16Bの一部は、出力軸15の外方(ここでは第2の方向D2)に突出しており、プレッシャプレート70に設けられたレリーズベアリング18に連結している。プッシュロッド16Aおよびプッシュ部材16Bの他の一部は、中空部15Hの内径よりも細く形成されており、中空部15H内においてオイルの流通性が確保されている。なお、プッシュロッド16Aは、例えば、クラッチ操作用スイッチに接続され、当該クラッチ操作用スイッチを押すことにより、プッシュ部材16Bが第2の方向D2に押圧されるものであってもよい。
クラッチハウジング30は、アルミニウム合金から形成されている。クラッチハウジング30は、有底円筒状に形成されている。図1に示すように、クラッチハウジング30は、略円形状に形成された底壁31と、底壁31の縁部から第2の方向D2に延びる側壁33と、を有する。クラッチハウジング30は、複数の入力側回転板20を保持する。
図1に示すように、クラッチハウジング30の底壁31には、入力ギア35が設けられている。入力ギア35は、トルクダンパ35Aを介してリベット35Bによって底壁31に固定されている。入力ギア35は、エンジンの入力軸の回転駆動によって回転する駆動ギア(図示せず)と噛み合っている。入力ギア35は、出力軸15から独立してクラッチハウジング30と一体的に回転する。
入力側回転板20は、入力軸の回転駆動によって回転駆動する。図1に示すように、入力側回転板20は、クラッチハウジング30の側壁33の内周面33Nに保持されている。本実施形態では、内周面33Nは、第2の方向D2に行くほど、径方向の外側に向かう方向に延びており、出力軸15の軸線方向から傾斜している。入力側回転板20は、クラッチハウジング30の側壁33に形成された切欠き30C(図2も参照)に係合して保持されている。入力側回転板20は、クラッチハウジング30にスプライン嵌合によって保持されている。入力側回転板20は、クラッチハウジング30の軸線方向に沿って変位可能に設けられている。入力側回転板20は、クラッチハウジング30と一体的に回転可能に設けられている。
入力側回転板20は、出力側回転板22に押し当てられる部材である。入力側回転板20は、環状に形成された平板である。入力側回転板20は、SPCC(冷間圧延鋼板)材からなる薄板を環状に打ち抜いて成形されている。入力側回転板20の表面および裏面には、複数の紙片からなる摩擦材(図示せず)が貼り付けられている。摩擦材の間にはオイルを保持するための深さ数μm~数十μmの溝が形成されている。
全ての出力側回転板22は、プレッシャプレート70に保持されている。出力側回転板22は、プレッシャプレート70の後述するプレッシャ側嵌合歯77に保持されている。出力側回転板22は、クラッチセンタ40の軸線方向に沿って変位可能に設けられている。出力側回転板22は、クラッチセンタ40と一体的に回転可能に設けられている。
出力側回転板22は、入力側回転板20に押し当てられる部材である。出力側回転板22は、環状に形成された平板である。出力側回転板22は、SPCC材からなる薄板材を環状に打ち抜いて成形されている。出力側回転板22の表面および裏面には、オイルを保持するための深さ数μm~数十μmの溝が形成されている。出力側回転板22の表面および裏面には、耐摩耗性を向上させるために表面硬化処理がそれぞれ施されている。なお、入力側回転板20に設けられた摩擦材は、入力側回転板20に代えて出力側回転板22に設けられていてもよいし、入力側回転板20および出力側回転板22のそれぞれに設けてもよい。
図2には、クラッチハウジング30、入力側回転板20、出力側回転板22および後述するプレッシャプレート70の突出部75が図示されている。側壁33(図1参照)の内周面33Nは、突出部75に対して径方向の外側に対向している。図2に示すように、出力側回転板22は、リング状の本体部22aと、複数の回転板嵌合歯22bと、複数の回転板溝22cと、を有する。回転板嵌合歯22bは、本体部22aの内周縁22Nから径方向の内側に向けて延びている。回転板嵌合歯22bは、周方向Sに並んで複数形成されている。回転板溝22cは、周方向Sにおいて、隣り合う回転板嵌合歯22bの間に形成された溝である。回転板溝22cには、後述するプレッシャ側嵌合歯77が嵌合する。クラッチハウジング30と出力側回転板22の回転中心軸が同軸上に位置している状態において、側壁33の内周面33Nと出力側回転板22の外周縁22Uとの径方向の間隔は、長さL20である。なお、図1に示すように、長さL20は、方向Dにおいて、内周面33Nと出力側回転板22との径方向の間隔のうち、最も狭い間隔、すなわち、最も第1の方向D1側における間隔である。
クラッチセンタ40は、クラッチハウジング30に収容されている。クラッチセンタ40は、クラッチハウジング30と同心に配置されている。図3に示すように、クラッチセンタ40は、リング状のセンタ側フランジ68と、センタ側フランジ68の径方向の内側に位置するセンタ側本体部42と、センタ側本体部42とセンタ側フランジ68との間に形成されたセンタ側凹部59と、を有する。クラッチセンタ40は、出力軸15(図1参照)と共に回転駆動する。
図3に示すように、センタ側本体部42は、環状のボス部43と、ボス部43に接続された複数のセンタ側カム部60と、複数のセンタ側嵌合部58とを備えている。ボス部43の径方向の内側部分は、出力軸15に保持される出力軸保持部50を構成している。図4に示すように、ボス部43の径方向の外側の外縁部43Eは、センタ側カム部60に接続されている。本実施形態では、3つの外縁部43Eそれぞれにセンタ側カム部60が接続されている。
図3に示すように、出力軸保持部50には、出力軸15(図1参照)が挿入されてスプライン嵌合する挿入孔51が形成されている。出力軸保持部50の内周面50Aには、軸線方向に沿って複数のスプライン溝が形成されている。出力軸保持部50には、出力軸15が連結されている。
詳細は後述するが、クラッチ装置10はアシスト&スリッパー(登録商標)機構を備えている。アシスト&スリッパー(登録商標)機構とは、入力側回転板20(図1参照)と出力側回転板22(図1参照)との押圧力(圧接力)を増加させる力であるアシストトルク、または、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力を減少させる力であるスリッパートルクを生じさせる機構のことである。センタ側カム部60は、アシスト&スリッパー(登録商標)機構を構成する傾斜面からなるカム面60A,60Sを有している。センタ側カム部60は、ボス部43の径方向の外側に接続されている。センタ側カム部60は、ボス部43よりも第2の方向D2に突出している。図4に示すように、センタ側カム部60は、クラッチセンタ40の周方向Sに等間隔に配置されている。本実施形態では、クラッチセンタ40は、3つのセンタ側カム部60を有しているが、センタ側カム部60の数は3に限定されない。
図3に示すように、センタ側カム部60の第1の方向D1側の端60Eは、センタ側嵌合部58と接続されている。図4に示すように、センタ側カム部60は一体的に形成されているが、ここでは周方向Sに並んだ以下の2つの部分を有しているものとする。センタ側カム部60は、センタ側アシストカム面60Aを有するアシスト側カム部63Aと、センタ側スリッパーカム面60Sを有するスリッパー側カム部63Sと、を備えている。スリッパー側カム部63Sは、アシスト側カム部63Aに対して第1の周方向S1側に並んでいる。アシスト側カム部63Aとスリッパー側カム部63Sとは一体に形成されている。図3に示すように、アシスト側カム部63Aは、スリッパー側カム部63Sよりも第2の方向D2側に延びている。アシスト側カム部63Aの方向Dの寸法は、スリッパー側カム部63Sの方向Dの寸法よりも大きい。なお、アシスト側カム部63Aとスリッパー側カム部63Sとは、別体に形成されていてもよい。
本実施形態では、クラッチセンタ40は、アシスト側カム部63Aからスリッパー側カム部63Sに向かう方向(即ち第1の周方向S1)に回転する。センタ側アシストカム面60Aは、クラッチセンタ40がプレッシャプレート70(図1参照)に対して相対回転した際に、入力側回転板20(図1参照)と出力側回転板22(図1参照)との押圧力(圧接力)を増加させるためにプレッシャプレート70からクラッチセンタ40に向かう方向の力を発生させるように構成されている。本実施形態では、上記力が発生するときにはクラッチセンタ40に対するプレッシャプレート70の位置は変化せず、プレッシャプレート70がクラッチセンタ40に対して物理的に接近する必要はない。なお、プレッシャプレート70がクラッチセンタ40に対して物理的に変位してもよい。センタ側アシストカム面60Aは、第2の方向D2に行くほど第2の周方向S2に向かう方向に延びており、軸線方向に対して傾斜している。センタ側スリッパーカム面60Sは、クラッチセンタ40がプレッシャプレート70に対して相対回転した際に、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力(圧接力)を減少させるように構成されている。押圧力が減少するときには、プレッシャプレート70は、クラッチセンタ40から離隔するように、周方向Sおよび軸線方向(方向D)の位置が変化する。センタ側スリッパーカム面60Sは、第2の方向D2に行くほど第2の周方向S2に向かう方向に延びており、軸線方向に対して傾斜している。図4に示すように、一のセンタ側カム部60Lのセンタ側アシストカム面60Aと、他の一のセンタ側カム部60Mのセンタ側スリッパーカム面60Sとは、周方向Sに対向している。なお、図1の断面図は、センタ側アシストカム面60Aと、後述するプレッシャ側アシストカム面90Aとが接触しているときの断面図である。
図3に示すように、センタ側カム部60におけるセンタ側スリッパーカム面60Sの隣には、段差部60Tが形成されている。段差部60Tは、径方向に延びている。図4に示すように、段差部60Tの径方向の内側部分は、ボス部43に接続されている。段差部60Tの径方向の外側部分は、センタ側嵌合部58に接続されている。また、段差部60Tは、センタ側スリッパーカム面60Sの第2の方向D2側の端部と接続されている。さらに、段差部60Tは、方向Dにおいて、センタ側カム部60の略中央に位置している。
アシスト側カム部63Aの第2の方向D2側の端面63Eの一部と、アシスト側カム部63Aの第1の方向D1側の端面63F(図5参照)の一部とは、周方向Sにおいて互いにずれた位置に配置されている。図6に示すように、端面63Eの第1の周方向S1側の端は、端面63Fの第1の周方向S1側の端よりも第2の周方向S2側にずれている。
図3に示すように、アシスト側カム部63Aの外周面とスリッパー側カム部63Sの外周面とによりメイン外周面63Pが形成されている。メイン外周面63Pは、アシスト側カム部63Aおよびスリッパー側カム部63Sにわたって形成されている。また、アシスト側カム部63Aには、メイン外周面63Pと交差するサブ外周面61Aが形成されている。サブ外周面61Aは、センタ側アシストカム面60Aと接続されている。サブ外周面61Aは、第1の方向D1に行くほど径方向の内側に向かうように延び、軸線方向に対して傾斜している。即ち、サブ外周面61Aは、第1の方向D1に行くほどメイン外周面63Pから径方向の内側に離れるように傾斜している。なお、サブ外周面61Aは、出力軸15の軸線と平行であってもよい。メイン外周面63Pのうち、少なくともサブ外周面61A側(即ち、第2の周方向S2側)は、第1の方向D1に行くほどサブ外周面61Aから径方向の外側に離れるように傾斜している。したがって、センタ側アシストカム面60Aの径方向の長さは、第2の方向D2側に行くほど長くなる。ここでは、図4に示すように、センタ側アシストカム面60Aの径方向の長さのうち最も長い径方向の長さを長さL1とする。また、センタ側スリッパーカム面60Sの径方向の長さのうち最も長い径方向の長さを長さL2とする。長さL1は、長さL2よりも長い。センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2の端における径方向の中間の位置と、センタ側スリッパーカム面60Sの第2の方向D2の端における径方向の中間の位置とは、一致している。軸線CLを中心とし、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2の端における径方向の中間の位置を通る円弧AR1は、センタ側スリッパーカム面60Sの第2の方向D2の端における径方向の中間の位置を通っている。なお、長さL1と長さL2は同じ長さであってもよい。円弧AR1は、軸線CLを中心とし、後述するネジ部54aの中心54Cを通る円弧AR2よりも外径側に位置する。これにより、センタ側アシストカム面60Aおよびセンタ側スリッパーカム面60Sは、クラッチセンタ40における径方向外側部に位置することとなる。このため、センタ側アシストカム面60Aあるいはセンタ側スリッパーカム面60Sによりトルクを伝達する際、センタ側アシストカム面60Aあるいはセンタ側スリッパーカム面60Sに加わる面圧を低くすることができる。
長さL1を長さL2よりも長くする場合、径方向において、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2の端における内径側端の位置とセンタ側スリッパーカム面60Sの第2の方向D2の端における内径側端の位置とを同じ位置にしてもよい。この場合、軸線CLを中心とし、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2の端における径方向の中間の位置を通る円弧AR1と、軸線CLを中心とし、センタ側スリッパーカム面60Sの第2の方向D2の端における径方向の中間の位置を通る円弧とは、径方向において位置がずれる。すなわち、軸線CLを中心とし、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2の端における径方向の中間の位置を通る円弧AR1は、軸線CLを中心とし、センタ側スリッパーカム面60Sの第2の方向D2の端における径方向の中間の位置を通る円弧よりも外径側に位置する。センタ側アシストカム面60Aの第2の方向の端における径方向の長さを、センタ側スリッパーカム面60Sの第2の方向の端における径方向の長さと同じにしてもよい。この場合、軸線CL方向に見たときに、軸線CLを中心とし、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2の端における径方向の中間の位置を通る円弧AR1が、センタ側スリッパーカム面60Sの第2の方向D2の端における径方向の中間の位置を通るようにしてもよい。メイン外周面63P(図3参照)は、全体に亘って第2の方向D2に向けて径方向の内側に傾斜していてもよい。
アシスト側カム部63Aは、スリッパー側カム部63Sよりも第2の方向D2側に延びている。したがって、図6に示すように、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、センタ側スリッパーカム面60Sの第2の方向D2側の端67Sよりも第2の方向D2側に位置している。また、方向Dにおいて、センタ側アシストカム面60Aの長さL3と、方向Dにおけるセンタ側スリッパーカム面60Sの長さL4が異なっている。ここでは、長さL3は、長さL4よりも長い。また、上述のように、センタ側アシストカム面60Aの径方向の長さL1(図4参照)は、センタ側スリッパーカム面60Sの径方向の長さL2(図4参照)よりも長い。さらに、図6に示すように、センタ側アシストカム面60Aの傾斜面方向の長さL5は、センタ側スリッパーカム面60Sの傾斜面方向の長さL6よりも長い。したがって、センタ側アシストカム面60Aとセンタ側スリッパーカム面60Sとは、互いに面積が異なっている。ここでは、センタ側アシストカム面60Aは、センタ側スリッパーカム面60Sよりも面積が大きい。ただし、L1>L2、L3>L4、およびL5>L6の3つの条件のすべてが成立する必要はなく、いずれか1つまたは2つの条件のみが成立してもよい。このような場合であっても、センタ側アシストカム面60Aの面積をセンタ側スリッパーカム面60Sの面積よりも大きくすることができる。なお、本実施形態では、センタ側アシストカム面60Aの第1の方向D1側の端67Bと、センタ側スリッパーカム面60Sの第1の方向D1側の端67Tとは、方向Dにおいて略同一の位置にある。ただし、センタ側アシストカム面60Aの面積をセンタ側スリッパーカム面60Sよりも広くするために、センタ側アシストカム面60Aの第1の方向D1側の端67Bを、センタ側スリッパーカム面60Sの第1の方向D1側の端67Tよりも第1の方向D1側に位置付けてもよい。
図3に示すように、アシスト側カム部63Aの内周面とスリッパー側カム部63Sの内周面とにより、メイン内周面63Nが形成されている。メイン内周面63Nは、アシスト側カム部63Aおよびスリッパー側カム部63Sにわたって形成されている。アシスト側カム部63Aおよびスリッパー側カム部63Sの内側部分は、ボス部43に接続されており、ボス部43に一体化されている。よって、アシスト側カム部63Aの少なくとも一部およびスリッパー側カム部63Sの少なくとも一部がボス部43と一体化されている。より詳しくは、アシスト側カム部63Aおよびスリッパー側カム部63Sの第1の方向D1側の部分が、ボス部43に接続されている。
図4に示すように、センタ側カム部60とボス部43との間には、内周側凹部63Rが形成されている。内周側凹部63Rは、第2の周方向S2側に向かう方向、即ち、センタ側スリッパーカム面60Sからセンタ側アシストカム面60Aに向かう方向に凹んでいる。内周側凹部63Rの第2の周方向S2の端は、アシスト側カム部63Aよりも第1の周方向S1側に位置している。スリッパー側カム部63Sの内周面は、ボス部43から径方向に離隔している。
図3に示すように、アシスト側カム部63Aには、第1の方向D1に凹んだアシスト側凹部65が形成されている。図4に示すように、アシスト側凹部65は、方向Dから見て(すなわち、出力軸15の軸線方向に見て)略四角形状に形成されている。アシスト側凹部65は、第1の方向D1に行くほど、先細る形状を有している。アシスト側凹部65の方向Dに直交する断面(以下、横断面という)の開口面積は、第1の方向D1に行くほど小さくなる。図6に示すように、アシスト側凹部65の底面65Eは、スリッパー側カム部63Sの第2の方向側の端面63Gよりも第1の方向D1側に位置している。
図5に示すように、スリッパー側カム部63Sには、第2の方向D2側に凹んだスリッパー側凹部66が形成されている。スリッパー側凹部66は、方向Dから見て略四角形状に形成されている。スリッパー側凹部66は、第2の方向D2に行くほど、先細る形状を有している。スリッパー側凹部66の横断面の開口面積は、第2の方向D2に行くほど小さくなる。図6に示すように、アシスト側凹部65の底面65Eは、スリッパー側凹部66の底面66Eよりも第1の方向D1側に位置している。
図3に示すように、クラッチセンタ40は、ストッパプレート100(図1参照)を支持するための複数(本実施形態では3つ)のボス部54を備えている。複数のボス部54は、周方向Sに等間隔に配置されている。ボス部54は、円筒状に形成されている。ボス部54は、出力軸保持部50より径方向の外側に位置する。ボス部54は、プレッシャプレート70(図1参照)に向けて(即ち第2の方向D2に向けて)延びている。ボス部54は、アシスト側カム部63Aよりも第2の方向D2側に延びている。ボス部54の一部は、アシスト側カム部63Aに設けられ、ボス部54の他の一部は、スリッパー側カム部63Sに設けられている。ボス部54は、アシスト側カム部63Aとスリッパー側カム部63Sとに跨って設けられている。ボス部54は、クラッチセンタ40を軸線方向(即ち、方向D)に貫通している。図5に示すように、ボス部54の一部は、アシスト側カム部63Aの端面63Fに設けられている。
図3に示すように、センタ側嵌合部58は、出力軸保持部50およびセンタ側カム部60より径方向の外側に位置する。センタ側嵌合部58は、センタ側カム部60よりも第1の方向D1側に位置する。センタ側嵌合部58は、センタ側嵌合部58の第2の方向D2側の端58Dにて、センタ側カム部60に接続されている。センタ側嵌合部58の第1の方向D1側の端58Eは、後述するセンタ側フランジ68のセンタ側押圧面69よりも第1の方向D1側に位置している。センタ側嵌合部58は、後述するプレッシャ側嵌合部88(図7参照)に摺動可能に内嵌するように構成されている。センタ側嵌合部58の外径は、プレッシャ側嵌合部88に対して出力軸15(図1参照)の先端部15T(図1参照)から流出するオイルの流通を許容する嵌め合い公差を有して形成されている。即ち、センタ側嵌合部58と後述するプレッシャ側嵌合部88との間には隙間が形成されている。本実施形態では、例えば、センタ側嵌合部58は、プレッシャ側嵌合部88の外径に対して例えば0.1mm大きな内径に形成されている。
図3および図4に示すように、クラッチセンタ40は、センタ側本体部42の一部を貫通するセンタ側カム孔43Hを有する。センタ側カム孔43Hは、ボス部43の側方から、センタ側嵌合部58よりも径方向の外側まで延びる。各センタ側カム孔43Hは、周方向に隣り合うセンタ側カム部60の間に形成されている。図5に示すように、方向Dから見て、センタ側アシストカム面60Aの一部は、センタ側カム孔43Hの内側に位置している。センタ側カム孔43Hは、方向Dから見て、略扇形形状を有している。図4に示すように、ボス部43は、センタ側カム孔43Hの径方向の内側を仕切る内縁部43Haを形成している。センタ側カム孔43Hの径方向の内側の位置は、センタ側カム部60よりも径方向の内側に位置している。
図3に示すように、センタ側凹部59は、センタ側嵌合部58の径方向の外側に形成されている。センタ側凹部59は、センタ側嵌合部58とセンタ側フランジ68とに接続されている。センタ側凹部59は、径方向において、センタ側嵌合部58と、後述するセンタ側フランジ68のセンタ側押圧面69との間に形成されている。センタ側凹部59は、第1の方向D1側に凹んでいる。また、センタ側凹部59は、センタ側フランジ68のセンタ側押圧面69に対して第1の方向D1側に凹んでいる。センタ側凹部59は、周方向Sにおいて、センタ側嵌合部58と同じ位置に形成されている。方向Dから見て、センタ側凹部59の周方向Sの端部は、センタ側カム孔43Hに接続されている。図1に示すように、センタ側凹部59は、方向Dにおいて、後述するプレッシャプレート70の円環壁74Aの端面74Dおよびプレッシャ側嵌合歯77の第1の方向D1側の端面77Bと対向する。図4に示すように、センタ側凹部59の径方向の長さは、L14となっている。本実施形態では、センタ側凹部59の径方向の長さL14は、センタ側凹部59の方向Dにおける位置に依らず均一である。ただし、センタ側凹部59の径方向の長さは、これに限定されない。センタ側凹部59の径方向の長さは、例えば、第1の方向D1に行くほど短くなっていてもよい。センタ側凹部59の径方向の長さL14は、センタ側凹部59の周方向Sにおける位置に依らず均一である。ただし、センタ側凹部59の径方向の長さは、これに限定されない。センタ側凹部59の径方向の長さは、例えば、第1の周方向S1に行くほど短くなっていてもよい。なお、センタ側凹部59は、例えばその一部が方向Dにおいて貫通していてもよい。
図3に示すように、センタ側フランジ68は、センタ側凹部59よりも径方向の外側に位置している。センタ側フランジ68は、センタ側嵌合部58よりも径方向の外側に位置している。センタ側フランジ68は、センタ側凹部59と一体に形成されている。センタ側フランジ68の第2の方向D2側の面であるセンタ側押圧面69は、プレッシャプレート70(図1参照)との間に入力側回転板20(図1参照)および出力側回転板22(図1参照)を挟み込む。センタ側押圧面69は、入力側回転板20および出力側回転板22を押圧する。センタ側押圧面69は、センタ側凹部59における第1の方向D1の端(底面)よりも第2の方向D2側に位置している。図6に示すように、方向Dにおいて、センタ側押圧面69から、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aまでの長さは、長さL7となっている。長さL7は、後述するプレッシャ側押圧面98A(図11参照)からプレッシャ側嵌合歯77(図11参照)の端面77B(図11参照)までの長さL15(図11参照)よりも長い(図1も参照)。また、図1に示すように、プレッシャプレート70が最もクラッチセンタ40に接近して、入力側回転板20と出力側回転板22とが互いに押圧された状態において、長さL7は、センタ側押圧面69から後述するプレッシャ側押圧面98Aまでの長さL18よりも長い。
図1に示すように、プレッシャプレート70は、クラッチセンタ40に対して接近および離隔可能かつ相対回転可能に設けられている。プレッシャプレート70は、入力側回転板20および出力側回転板22を押圧可能に構成されている。プレッシャプレート70は、クラッチセンタ40およびクラッチハウジング30と同心に配置されている。図7に示すように、プレッシャプレート70は、プレッシャ側本体部72と、プレッシャ側凹部85と、プレッシャ側フランジ98とを備えている。プレッシャ側フランジ98は、プレッシャ側本体部72の第2の方向D2側の部分に接続され、かつ、径方向の外側に延びている。プレッシャ側本体部72は、プレッシャ側フランジ98よりも第1の方向D1に突出している。プレッシャプレート70は、入力側回転板20(図1参照)と交互に配置された複数の出力側回転板22(図1参照)を保持する。
図7に示すように、プレッシャ側本体部72は、筒状部80と、外周壁73と、複数のプレッシャ側カム部90と、プレッシャ側嵌合部88と、スプリング収容部84(図8参照)とを備えている。
筒状部80は、円筒状に形成されている。筒状部80は、プレッシャ側カム部90と一体に形成されている。筒状部80は、出力軸15の先端部15T(図1参照)を収容する。筒状部80には、レリーズベアリング18(図1参照)が収容される。筒状部80は、プッシュ部材16B(図1参照)からの押圧力を受ける部位である。また、筒状部80は、出力軸15の先端部15Tから流出したオイルを受け止める部位である。
図7に示すように、外周壁73は、筒状部80よりも径方向の外側に配置されている。外周壁73は、第1の方向D1に延びる。外周壁73は、出力軸15(図1参照)の軸線を中心とする筒状に形成された円筒部74と、突出部75とを有している。円筒部74は、円環壁74Aと、円環壁74Aの径方向の外側に設けられたスプライン嵌合部74Bとを有している。スプライン嵌合部74Bは、方向Dに延びる複数のプレッシャ側嵌合歯77と、隣り合うプレッシャ側嵌合歯77の間に形成された複数のスプライン溝78と、隣り合うプレッシャ側嵌合歯77の間に形成された複数の欠歯部76と、オイル排出孔79とを有する。欠歯部76は、スプライン溝78よりも周方向Sの長さが長い。プレッシャ側嵌合歯77は、出力側回転板22(図1参照)を保持する。複数のプレッシャ側嵌合歯77は、周方向Sに並んでいる。プレッシャ側嵌合歯77は、円環壁74Aから径方向の外側に突出している。欠歯部76には、プレッシャ側嵌合歯77が設けられていない。したがって、欠歯部76を挟んで周方向Sに並ぶ2つのプレッシャ側嵌合歯77の周方向Sの間隔は、スプライン溝78を挟んで周方向Sに並ぶ2つプレッシャ側嵌合歯77の周方向Sの間隔よりも長い。本実施形態では、欠歯部76は、周方向Sに沿って3箇所等間隔に設けられている。
オイル排出孔79は、欠歯部76を径方向に貫通して形成されている。オイル排出孔79は、プレッシャプレート70の内部と外部とを連通する。オイル排出孔79は、出力軸15(図1参照)からプレッシャプレート70内に流出したオイルを、プレッシャプレート70の外部に排出する孔である。本実施形態では、欠歯部76に4つのオイル排出孔79が形成されている。4つのオイル排出孔をそれぞれオイル排出孔79L,79M,79N1,79N2とも称することとする。ただし、オイル排出孔79L,79M,79N1,79N2の全てに共通する説明をする場合には、オイル排出孔79という名称を適宜使用する。オイル排出孔79Lと、オイル排出孔79Mと、オイル排出孔79N1,79N2とは、3つ並んだ欠歯部76のうちの1つにそれぞれ形成されている。オイル排出孔79は、プレッシャ側アシストカム面90Aに対して第1の周方向S1側に近接している。例えば、オイル排出孔79Lよりも第2の周方向S2側に位置するプレッシャ側アシストカム面90Aと、オイル排出孔79Lとの周方向Sの間隔は、オイル排出孔79Lよりも第1の周方向S1側に位置するプレッシャ側スリッパーカム面90Sとオイル排出孔79Lとの周方向Sとの間隔よりも短い。オイル排出孔79M,79N1,79N2についても同様である。なお、1つの欠歯部76に形成されるオイル排出孔79の数は特に限定されない。例えば、1つの欠歯部76のうち、プレッシャ側アシストカム面90Aに近接する位置に2つ以上のオイル排出孔79が形成されていてもよい。
図11に示すように、オイル排出孔79Lは、方向Dにおいてプレッシャ側アシストカム面90Aの第1の方向D1側の端95Bと重なっている。図7に示すように、オイル排出孔79L,79M,79N1,79N2は、互いに方向Dにずれた位置に形成されている。ただし、オイル排出孔79の方向Dの位置は特に限定されない。複数のオイル排出孔79のうちの一部が方向Dにおいて互いに揃っていてもよく、あるいは、複数のオイル排出孔79の全てが方向Dにおいて互いに揃っていてもよい。オイル排出孔79Lと、オイル排出孔79Mと,オイル排出孔79N1とは、周方向Sに沿って略等間隔に配置されている。ただし、オイル排出孔79は、周方向Sに略等間隔に配置されていなくてもよい。複数のプレッシャ側嵌合歯77の一部は、等間隔に並んでいる。例えばオイル排出孔79Lとオイル排出孔79Mとの間に配置された複数のプレッシャ側嵌合歯77は、等間隔に並んでいる。
図7および図8に示すように、プレッシャ側本体部72には、欠歯部76に位置して、方向Dに貫通する貫通孔89が形成されている。貫通孔89は、周方向Sに3つ等間隔に並んで配置されている(図10も参照)。貫通孔89は、平面視においてプレッシャ側嵌合歯77と同様の形状に形成されている。したがって貫通孔89の径方向の長さおよび周方向Sの長さは、プレッシャ側嵌合歯77の径方向の長さおよび周方向Sの長さと同様に形成されている。図8に示すように、貫通孔89は、方向Dから見て略台形形状に形成されている。より詳しくは、貫通孔89の径方向内側の縁89aの周方向Sの長さは、貫通孔89の径方向外側の縁89bの周方向Sの長さよりも長い(図14も参照)。また、図7に示すように、周方向Sに関して隣り合う貫通孔89とプレッシャ側嵌合歯77との間隔は、スプライン溝78を挟んで周方向Sに隣り合う2つのプレッシャ側嵌合歯77と等しい(図10も参照)。貫通孔89は、周方向Sにおいて、オイル排出孔79の少なくとも一部と重なる位置に形成されている。したがって、オイル排出孔79から流出したオイルの一部は、入力側回転板20および出力側回転板22を潤滑した後、貫通孔89を通過し、プレッシャプレート70の外部に排出される。
図7に示すように、プレッシャプレート70は、円筒部74、具体的にはプレッシャ側嵌合歯77から、円筒部74の第1の方向D1側の端面、具体的にはプレッシャ側嵌合歯77の第1の方向D1側の端面77Bよりも第1の方向D1に延びる突出部75を有している。突出部75は、複数のプレッシャ側嵌合歯77のうち、一部のプレッシャ側嵌合歯77の第1の方向D1側の端面77Bに接続されている。プレッシャ側嵌合歯77の第1の方向D1側の端面77Bとは、複数のプレッシャ側嵌合歯77のうち、突出部75が接続されていないプレッシャ側嵌合歯77の第1の方向D1側の端面のことを指す。なお、本実施形態では、円環壁74Aの第1の方向D1側の端面74Dとプレッシャ側嵌合歯77の第1の方向D1側の端面77Bとが面一である。そこで、「円筒部74の第1の方向D1側の端面」とは、円環壁74Aの端面74Dとプレッシャ側嵌合歯77の端面77Bとを指すものとする。ただし、円環壁74Aの端面74Dとプレッシャ側嵌合歯77の端面77Bとが方向Dに互いにずれている場合、「円筒部74の第1の方向D1側の端面」とは、円環壁74Aの端面74Dおよびプレッシャ側嵌合歯77の端面77Bのうち、第1の方向D1側に位置する端面を指すものとする。図9は、図1における突出部75付近の拡大図である。図9に示すように、円環壁74Aは、後述するスプリング収容部84の一部を形成する第1円環部分74A1と、第1円環部分74A1から第1の方向D1側に延びる第2円環部分74A2とを備えている。第2円環部分74A2は、第1円環部分74A1の第1の方向D1側の端に接続され、第1円環部分74A1よりも第1の方向D1側に延びている。プレッシャ側嵌合歯77は、第1円環部分74A1および第2円環部分74A2に形成されている。プレッシャ側嵌合歯77の第1の方向D1側の端面77B(図1も参照)の位置は、第2円環部分74A2の第1の方向D1側の端の位置と同一である。プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aの位置は、第1円環部分74A1の第2の方向D2側の端の位置と同一である。図9に示すように、第1円環部分74A1の内周面74C1は、第2円環部分74A2の内周面74C2よりも径方向の内側に位置している。図9に示すように、第1円環部分74A1の径方向の厚みH1は、第2円環部分74A2の径方向の厚みH2よりも大きい。
図7に示すように、突出部75は、プレッシャ側嵌合歯77の端面77Bおよび円環壁74Aの端面74D(すなわち、円筒部74の第1の方向D1側の端面)よりも第1の方向D1に突出するように形成されている。図10に示すように、突出部75は、周方向Sの3か所に形成されている。突出部75は、周方向Sに等間隔に配置されている。突出部75は、クラッチセンタ40(図3参照)とプレッシャプレート70とが組み付けられたとき(図16も参照)、方向Dから見て少なくとも一部がセンタ側カム孔43H(図5参照)の内側に配置されている。なお、突出部75は、円筒部74と別体に形成されていてもよい。外周壁73は、3つの突出部75を有しているが、突出部75の数は3に限定されない。また、突出部75は、周方向Sに等間隔に配置されていなくてもよい。突出部75は、図7に示す円環壁74Aの第1の方向D1側の端面74Dと、プレッシャ側嵌合歯77の第1の方向D1側の端面77Bとに跨って接続されていてもよく、円環壁74Aの第1の方向D1の端面74Dのみに接続されていてもよい。
突出部75は、第1の方向D1に向かって延び、方向Dから見て略四角錘台形状を有する部材である(図11も参照)。突出部75は、第1の方向D1に行くほど先細る形状を有している。図9に示すように、突出部75は、斜面75S1を有している。斜面75S1は、突出部75における、径方向外側の外周面を形成している。斜面75S1は、プレッシャ側嵌合歯77の第1の方向D1側の端面77Bから、突出部75の第1の方向D1側の端面75Aに向かって延びている。斜面75S1は、第1の方向D1に向かうほど径方向の内側に向かう方向に延び、軸線方向に対して傾斜している。突出部75は、第1の方向D1に行くほど、径方向の長さが短くなる形状に形成されている。また、図10に示すように、突出部75は、斜面75S2,75S3を有している。斜面75S2,75S3は、プレッシャ側嵌合歯77(図9参照)の第1の方向D1側の端面77Bから、突出部75の端面75A(図9参照)に向かって延びている。斜面75S2は、突出部75の端面75Aに対して、第1の周方向S1側に位置している。斜面75S3は、突出部75の端面75Aに対して、第2の周方向S2側に位置している。突出部75は、第1の方向D1に向かうほど周方向Sの長さが短くなる形状に形成されている(図7も参照)。本実施形態では、突出部75の端面75Aは、センタ側カム孔43H(図16参照)の内側に配置されている。ただし、突出部75の端面75Aは、センタ側カム孔43Hよりも第1の方向D1側に位置していてもよい。図7に示すように、1つの突出部75の周方向の長さは、1つのプレッシャ側嵌合歯77と略同一に形成されている。
図2に示すように、クラッチハウジング30と出力側回転板22とプレッシャプレート70の回転中心軸が同軸上(すなわち、軸線CL(図1参照)上)に位置している状態において、斜面75S1の第1の方向D1側の縁(図9も参照)と、出力側回転板22の内周縁22Nとの径方向の間隔は、間隔L21である。間隔L21は、側壁33(図1参照)の内周面33Nと出力側回転板22の外周縁22Uとの径方向の間隔L20よりも長い。なお、複数の出力側回転板22の全てに対して、L21>L20が成立する必要はない。少なくとも、出力側回転板22のうち最も第1の方向D1側に位置する出力側回転板22と側壁33とにおいて、L21>L20が成立していればよい。プレッシャ側嵌合歯77の外周面77Uと出力側回転板22の内周縁22Nとの径方向の間隔は、長さL22である。長さL22は、図2に示す側壁33の内周面33Nと出力側回転板22の外周縁22Uとの径方向の間隔L20よりも短い。
図10に示すように、1つの突出部75の周方向Sの長さは、W1である。本実施形態では、プレッシャプレート70は、3つの突出部75を備えているので、突出部75の周方向Sの長さを合計した合計長さは、3×W1である。ここで、円環壁74Aの半周の長さをW2とする。このとき、突出部75の周方向Sの長さを合計した合計長さ3×W1は、円筒部74の半周の長さW2よりも短い。
図7に示すプレッシャ側カム部90は、傾斜面からなるカム面90A,90Sを有した台状に形成されている。プレッシャ側カム部90は、センタ側カム部60(図3参照)とともに、互いに摺動してアシストトルクまたはスリッパートルクを発生させるアシスト&スリッパー(登録商標)機構を構成している。プレッシャ側カム部90は、プレッシャ側フランジ98よりも第1の方向D1に突出している。プレッシャ側カム部90は、プレッシャプレート70の周方向Sに等間隔に配置されている。本実施形態では、プレッシャプレート70は、3つのプレッシャ側カム部90を有しているが、プレッシャ側カム部90の数は3に限定されない。
プレッシャ側カム部90は、筒状部80よりも径方向の外側に位置する。プレッシャ側カム部90は、プレッシャ側アシストカム面90Aを含むプレッシャ側アシストカム部91と、プレッシャ側スリッパーカム面90Sを含むプレッシャ側スリッパーカム部92と、プレッシャ側アシストカム部91とプレッシャ側スリッパーカム部92との間に位置するプレッシャ側カム本体部93とを有する。プレッシャ側アシストカム部91とプレッシャ側カム本体部93とプレッシャ側スリッパーカム部92は一体に形成されている。本実施形態では、プレッシャプレート70は、プレッシャ側カム本体部93からプレッシャ側アシストカム部91に向かう方向(即ち第1の周方向S1)に回転する。プレッシャ側カム本体部93は、プレッシャ側アシストカム部91に対し、プレッシャプレート70の回転方向(即ち第1の周方向S1)とは反対側に位置する。プレッシャ側カム本体部93は、プレッシャ側スリッパーカム部92に対し、プレッシャプレート70の回転方向(即ち第1の周方向S1)側に位置する。プレッシャ側アシストカム面90Aは、センタ側アシストカム面60A(図3参照)と接触可能に構成されている。プレッシャ側アシストカム面90Aは、プレッシャプレート70がクラッチセンタ40(図3参照)に対して相対回転した際に、入力側回転板20(図1参照)と出力側回転板22(図1参照)との押圧力(圧接力)を増加させるために、プレッシャプレート70をクラッチセンタ40に接近させる方向の力を発生させるように構成されている。プレッシャ側アシストカム面90Aは、第1の方向D1に行くほど第1の周方向S1に向かう方向に延びており、軸線方向に対して傾斜している。プレッシャ側スリッパーカム面90Sは、センタ側スリッパーカム面60S(図3参照)と接触可能に構成されている。プレッシャ側スリッパーカム面90Sは、プレッシャプレート70がクラッチセンタ40に対して相対回転した際に、入力側回転板20と出力側回転板22との押圧力(圧接力)を減少させるために、プレッシャプレート70をクラッチセンタ40から離隔させる方向の力を発生させるように構成されている。周方向Sに関して隣り合うプレッシャ側カム部90において、一方のプレッシャ側カム部90Lのプレッシャ側アシストカム面90Aと他方のプレッシャ側カム部90Mのプレッシャ側スリッパーカム面90Sとは、周方向Sに対向して配置されている。プレッシャ側スリッパーカム面90Sは、プレッシャ側カム本体部93を挟んでプレッシャ側アシストカム面90Aと反対側に位置する。プレッシャ側スリッパーカム面90Sは、第1の方向D1に行くほど第1の周方向S1に向かう方向に延びており、軸線方向に対して傾斜している。
図7に示すように、プレッシャ側カム本体部93には、メイン内周面93Nが形成されている。プレッシャ側カム部90には、サブ内周面91Aが形成されている。サブ内周面91Aは、プレッシャ側アシストカム面90Aに接続されている。サブ内周面91Aは、第1の方向D1に行くほど径方向の内側に向かう方向に延びており、軸線方向に対して傾斜している。即ち、サブ内周面91Aは、第2の方向D2に行くほどメイン内周面93Nから径方向の外側に離れるように傾斜している。なお、サブ内周面91Aは、出力軸15の軸線と平行であってもよい。メイン内周面93Nのうち、少なくともサブ内周面91A側(即ち、第1の周方向S1側)は、第2の方向D2に行くほどサブ内周面91Aから径方向の内側に離れるように傾斜している。したがって、プレッシャ側アシストカム面90Aの径方向の長さは、第1の方向D1側に行くほど長くなる。ここでは、図10に示すように、プレッシャ側アシストカム面90Aの径方向の長さのうち最も長い径方向の長さを長さL8とする。また、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの径方向の長さのうち最も長い径方向の長さを長さL9とする。長さL8は、長さL9と同じ長さである。プレッシャ側アシストカム面90Aの第1の方向D1の端における径方向の中間の位置と、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの第1の方向D1の端における径方向の中間の位置とは、一致している。軸線CLを中心とし、プレッシャ側アシストカム面90Aの第1の方向D1の端における径方向の中間の位置を通る円弧AR3は、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの第1の方向D1の端における径方向の中間の位置を通っている。なお、長さL8と長さL9とは異なっていてもよい。長さL8は、長さL9よりも長くてもよい。長さL8を長さL9よりも長くする場合、プレッシャ側アシストカム面90Aの第1の方向D1の端における内径側端を、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの第1の方向D1の端における内径側端よりも内径側に位置させてもよい。この場合、軸線CLを中心とし、プレッシャ側アシストカム面90Aの第1の方向D1の端における径方向の中間の位置を通る円弧AR3と、軸線CLを中心とし、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの第1の方向D1の端における径方向の中間の位置を通る円弧とは、径方向において位置がずれていてもよい。すなわち、軸線CLを中心とし、プレッシャ側アシストカム面90Aの第1の方向D1の端における径方向の中間の位置を通る円弧AR3が、軸線CLを中心とし、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの第1の方向D1の端における径方向の中間の位置を通る円弧よりも内径側に位置するようにしてもよい。プレッシャ側アシストカム面90Aの第1の方向D1の端における径方向の長さを、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの第1の方向D1の端における径方向の長さと同じにしてもよい。この場合、軸線CL方向に見たときに、軸線CLを中心とし、プレッシャ側アシストカム面90Aの第1の方向D1の端における径方向の中間の位置を通る円弧AR3が、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの第1の方向D1の端における径方向の中間の位置を通るようにしてもよい。
図12に示すように、プレッシャ側アシストカム面90Aは、方向Dにおいてプレッシャ側フランジ98よりも第2の方向D2側まで延びている。より詳しくは、プレッシャ側アシストカム面90Aは、後述する外側面98Bよりも第2の方向D2側まで延びている。即ち、プレッシャ側アシストカム面90Aの第2の方向D2側の端95は、プレッシャ側フランジ98よりも第2の方向D2側に位置している。上述のように、プレッシャ側嵌合歯77は、プレッシャ側フランジ98よりも第1の方向D1側に延びるプレッシャ側本体部72に設けられている。よって、プレッシャ側アシストカム面90Aの端95は、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aよりも第2の方向D2側に位置している。また、図1に示すように、プレッシャ側アシストカム面90Aの第2の方向D2側の端95は、入力側回転板20のうち、最も第2の方向D2側に位置する入力側回転板20である最外方入力側回転板20A、および、出力側回転板22のうち最も第2の方向D2側に位置する出力側回転板22である最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に配置されている。即ち、プレッシャ側アシストカム面90Aの端95は、複数の入力側回転板20および複数の出力側回転板22のうち最も第2の方向D2側に位置する回転板(図1では、出力側回転板22)よりも第2の方向D2側に位置している。一方、プレッシャ側スリッパーカム面90Sは、図12に示すように、方向Dにおいて、プレッシャ側フランジ98よりも第1の方向D1側に位置している。したがって、プレッシャ側アシストカム面90Aの端95は、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの第2の方向D2側の端96よりも第2の方向D2側に位置している。また、プレッシャ側アシストカム面90Aの端95は、プレッシャ側カム部90の第2の方向D2側の端面90D(図8参照)に接続されている。即ち、プレッシャ側アシストカム面90Aの端95は、プレッシャ側カム部90の第2の方向D2の端となっている。
方向Dにおいて、プレッシャ側アシストカム面90Aの長さL10と、センタ側スリッパーカム面60Sの長さL11とは異なっている。ここでは、長さL10は、長さL11よりも長い。また、図12に示すように、プレッシャ側アシストカム面90Aの傾斜面方向の長さL12は、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの傾斜面方向の長さL19よりも長い。したがって、プレッシャ側アシストカム面90Aとプレッシャ側スリッパーカム面90Sとは、それぞれの面積が異なっている。ここでは、プレッシャ側アシストカム面90Aは、プレッシャ側スリッパーカム面90Sよりも面積が大きい。ただし、L10>L11およびL12>L19の2つの条件のいずれもが成立する必要はなく、いずれか1つの条件のみが成立してもよい。このような場合であっても、プレッシャ側アシストカム面90Aの面積をプレッシャ側スリッパーカム面90Sの面積よりも大きくすることができる。なお、本実施形態では、プレッシャ側アシストカム面90Aの第1の方向D1側の端95Bと、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの第1の方向D1側の端96Bとは、方向Dにおいて略同一の位置にある。ただし、プレッシャ側アシストカム面90Aの面積をプレッシャ側スリッパーカム面90Sよりも広くするために、プレッシャ側アシストカム面90Aの第1の方向D1側の端95Bを、プレッシャ側スリッパーカム面90Sの第1の方向D1側の端96Bよりも第1の方向D1側に位置付けてもよい。
ここで、センタ側カム部60(図3参照)およびプレッシャ側カム部90の作用について説明する。エンジンの回転数が上がり、クラッチONの状態になった際は、図1に示すプッシュ部材16Bが最も第1の方向D1に移動し、入力側回転板20と出力側回転板22とが互いに押圧され、入力軸の回転駆動力が出力軸15に伝達される。このとき、プレッシャプレート70は、最も第1の方向D1側に移動している状態、即ち、最もクラッチセンタ40に接近している状態である。また、このとき、センタ側カム部60(図3参照)のセンタ側アシストカム面60Aとプレッシャ側カム部90(図7参照)のプレッシャ側アシストカム面90Aとが互いに当接している。クラッチONの状態では、図1に示す入力ギア35およびクラッチハウジング30に入力された回転駆動力は、クラッチセンタ40を介して出力軸15に伝達され得る状態となる。このときには、図13Aに示すように、プレッシャプレート70には第1の周方向S1の回転力が付与される。このため、センタ側アシストカム面60Aおよびプレッシャ側アシストカム面90Aの作用により、プレッシャプレート70には第1の方向D1への力が発生する。これにより、入力側回転板20と出力側回転板22との圧接力が増加する。
一方、図1に示す出力軸15の回転数が入力ギア35およびクラッチハウジング30の回転数を上回ると、バックトルクが生じる。この際には、図13Bに示すように、クラッチセンタ40には第1の周方向S1の回転力が付与される。このため、センタ側スリッパーカム面60Sおよびプレッシャ側スリッパーカム面90Sの作用により、入力側回転板20(図1参照)と出力側回転板22(図1参照)との圧接力は解放される。これにより、バックトルクによるエンジンや変速機に対する不具合を回避することができる。
図7に示すように、プレッシャ側嵌合部88は、プレッシャ側カム部90より径方向の外側に位置する。プレッシャ側嵌合部88は、プレッシャ側カム部90よりも第1の方向D1側に位置する。図9に示すように、プレッシャ側嵌合部88は、円環壁74Aの第2円環部分74A2のうち、第1の方向D1側の端部から第2の方向D2に延びる部分である。第2円環部分74A2は、後述するスプリング収容部84の底面84Aから第1の方向D1側に延びる。スプリング収容部84は、後述するクラッチスプリング25が収容される。したがって、プレッシャ側嵌合部88は、スプリング収容部84の底面84Aおよびクラッチスプリング25の第1の方向D1側の端25Aよりも、第1の方向D1側に位置している。プレッシャ側嵌合部88は、センタ側嵌合部58と方向Dに摺動可能に外嵌するように構成されている。円筒部74は、センタ側嵌合部58に外嵌している。ただし、プレッシャ側嵌合部88は、センタ側嵌合部58に内嵌するものであってもよい。
プレッシャプレート70の径方向において、スプライン溝78(図9参照)からプレッシャ側嵌合歯77の外周面77Uまでの長さ、すなわちプレッシャ側嵌合歯77の高さは、長さL13となっている。円筒部74の径方向の長さは、長さL26となっている。センタ側凹部59の径方向の長さL14は、長さL13および長さL26よりも長い。
図14に示すように、プレッシャ側カム部90には、スプリング側凹部94が形成されている。スプリング側凹部94は、プレッシャ側カム部90のうち、プレッシャ側スリッパーカム面90Sよりも第2の方向D2側に形成されている(図8も参照)。スプリング側凹部94は、後述するプレッシャ側カム孔73Hと、後述するスプリング収容部84とに接続して形成されている。スプリング側凹部94は、第1の周方向S1側にてスプリング収容部84と接続され、第2の周方向S2側にてプレッシャ側カム孔73Hと接続されている。スプリング側凹部94は、プレッシャ側カム部90の第2の方向D2側の端面90Dから第1の方向D1側に切り欠かれた形状を有し、第1の方向D1側に凹んだ部分である。スプリング側凹部94の径方向の長さは、後述するスプリング収容部84の径方向の長さよりも短く形成されている。また、スプリング側凹部94の方向Dにおける長さは、後述するクラッチスプリング25の方向Dにおける長さの半分以下となっている。
図7に示すように、プレッシャ側凹部85は、外周壁73の外周縁の径方向の外側に形成されている。プレッシャ側凹部85は、外周壁73とプレッシャ側フランジ98とに接続されている。プレッシャ側凹部85は、後述するプレッシャ側フランジ98のプレッシャ側押圧面98Aよりも第2の方向D2側に凹んでいる。プレッシャ側凹部85は、周方向Sに亘って形成されている。図1に示すように、プレッシャ側凹部85には、ジャダースプリング120が収容される。ジャダースプリング120は、プレッシャプレート70に保持されている。ジャダースプリング120の内周縁は、プレッシャ側嵌合歯77の外周面に当接して、プレッシャ側嵌合歯77に保持されている。ジャダースプリング120は、プレッシャ側嵌合歯77に対して方向Dに相対的に移動可能かつ周方向Sに相対的に移動可能に保持されている。ジャダースプリング120は、プレッシャプレート70に保持された出力側回転板22と方向Dに並んでいる。ジャダースプリング120は、プレッシャプレート70に保持された出力側回転板22と接触可能に設けられている。本実施形態では、ジャダースプリング120は、プレッシャプレート70に保持された出力側回転板22のうち最外方出力側回転板22Aとプレッシャ側フランジ98との間に配置されている。ジャダースプリング120とプレッシャ側フランジ98との間には、鉄製のシート材122が配置されている。これにより、ジャダースプリング120がプレッシャ側フランジ98と直接接触しないため、アルミニウム合金で形成されたプレッシャ側フランジ98の摩耗が抑制される。なお、ジャダースプリング120は、例えば、皿バネやウェーブスプリング等であってもよい。
図7に示すように、プレッシャ側フランジ98は、プレッシャ側凹部85に接続され、プレッシャ側本体部72よりも径方向の外側に位置している。プレッシャ側フランジ98は、プレッシャ側本体部72およびプレッシャ側凹部85と一体に形成されている。即ち、プレッシャ側フランジ98は、プレッシャ側凹部85を介してプレッシャ側本体部72に接続されている。プレッシャ側フランジ98の第1の方向D1側の面であるプレッシャ側押圧面98Aは、出力側回転板22(図1参照)を押圧する。プレッシャ側フランジ98の第2の方向D2側の面である外側面98B(図11参照)は、方向Dにおいてプレッシャ側押圧面98Aと平行に形成されている。図11に示すように、方向Dにおけるプレッシャ側押圧面98Aからプレッシャ側嵌合歯77の第1の方向側の端面77Bまでの長さは、長さL15となっている。なお、プレッシャ側フランジ98は、プレッシャ側本体部72に直接接続されていてもよい。
図14に示すように、プレッシャプレート70は、プレッシャ側本体部72の一部を方向Dに貫通するプレッシャ側カム孔73Hを有する。プレッシャ側カム孔73Hは、筒状部80よりも径方向の外側に位置する。プレッシャ側カム孔73Hは、隣り合うプレッシャ側カム部90のプレッシャ側アシストカム面90Aとプレッシャ側スリッパーカム面90Sとの間に形成されている。図14に示すように、方向Dから見て、プレッシャ側アシストカム面90Aの一部がプレッシャ側カム孔73Hの内側に位置している。プレッシャ側カム孔73Hは、第1部分73HAと第2部分73HBとを有する。第1部分73HAは、プレッシャ側カム孔73Hのうち、周方向Sにおける略中間の位置よりも第1の周方向S1側に位置している。第2部分73HBは、第1部分73HAよりも第2の周方向S2側に位置している。第1部分73HAは、径方向の内側の縁74Nと径方向の外側の縁74Uとを有する。径方向において、縁74Nと縁74Uとの間隔は、長さL16である。第2部分73HBは、径方向の内側の縁75Nと径方向の外側の縁75Uとを有する。径方向において、縁75Nと縁75Uとの間隔は、長さL17である。第2部分73HBの縁75Nは、プレッシャプレート70の径方向において、第1部分73HAの縁74Nよりも内側に位置している。第2部分73HBの縁75Uは、プレッシャプレート70の径方向において、第1部分73HAの縁74Nよりも外側に位置している。したがって、第2部分73HBの径方向の長さL17は、第1部分73HAの径方向の長さL16よりも長い。
図8および図14に示すように、スプリング収容部84は、プレッシャ側カム部90の端面90Dから第1の方向D1に凹んだ筒状に形成されている。図9に示すように、第1円環部分74A1の内周面74C1がスプリング収容部84の内周面のうち、径方向の外側に位置する部分を構成している。スプリング収容部84は、方向Dから見て、略円形状に形成されている(図14参照)。スプリング収容部84は、クラッチスプリング25を収容する部分である。図14に示すように、スプリング収容部84は、スプリング側凹部94に接続されている。スプリング側凹部94は、上述のように、第1の方向D1側に切り欠かれた形状を有している。したがって、スプリング収容部84のうち、スプリング側凹部94に接続された部分は、スプリング収容部84の他の部分に比べて、方向Dにおける長さが短く形成されている。スプリング収容部84は、スプリング側凹部94を介して、プレッシャ側カム孔73Hと接続されている。図9に示すように、スプリング収容部84は、底面84Aを有している。底面84Aは、プレッシャ側嵌合歯77の方向Dの中間の位置77Pよりも第1の方向D1側に位置している。
クラッチスプリング25は、スプリング収容部84に収容されている。クラッチスプリング25は、プレッシャプレート70をクラッチセンタ40に向けて(即ち第1の方向D1に向けて)付勢する。クラッチスプリング25は、例えば、ばね鋼を螺旋状に巻いたコイルスプリングである。クラッチスプリング25の第1の方向D1側の端25Aは、スプリング収容部84の底面84Aに接触している。これにより、プレッシャプレート70がクラッチセンタ40に向けて付勢される。
図1に示すように、第1スプリング130Aおよび第2スプリング130Bは、方向Dに相対的に伸縮可能であり、プレッシャプレート70に保持されている。本実施形態では、図15Aおよび図15Bに示すように、第1スプリング130Aおよび第2スプリング130Bは、例えば、ウェーブスプリングであるが、ウェーブスプリングに限定されず、ゴムなどの弾性部材や皿バネなどのスプリングでもよい。図1に示すように、第1スプリング130Aは、プレッシャプレート70に保持された隣り合う出力側回転板22の間に配置されている。第1スプリング130Aは、プレッシャプレート70に保持された出力側回転板22と接触可能に設けられている。ここで、図9に示すように、プレッシャプレート70に保持された出力側回転板22であって、第1スプリング130Aと接触し、かつ、第1スプリング130Aよりも第1の方向D1側に位置する出力側回転板22を出力側回転板22PAとする。出力側回転板22PAと隣接し、かつ、出力側回転板22PAよりも第2の方向D2側に位置する入力側回転板20を入力側回転板20PAとする。第1スプリング130Aは、センタ側アシストカム面60A(図1参照)とプレッシャ側アシストカム面90A(図1参照)とが接触した時点(例えばクラッチが切断された状態から半クラッチ状態の一部の領域に到達した時点)で、出力側回転板22PAと入力側回転板20PAとが接触することを抑制するように構成されている。即ち、第1スプリング130Aは、センタ側アシストカム面60Aとプレッシャ側アシストカム面90Aとが接触した時点で、出力側回転板22PAと入力側回転板20PAとの間に隙間を形成させる。なお、「半クラッチ状態」とは、運転者がクラッチ操作レバーを握ったり、変速用のボタンを押したりしてクラッチ操作を行うことによって、入力側回転板20と出力側回転板22との間で滑りが発生し、入力軸から出力軸15(図1参照)に伝達される回転駆動力が入力軸に伝達される回転駆動力の0%より大きくかつ100%未満の状態を指す。「半クラッチ状態の少なくとも一部の領域」とは、例えば、入力軸から出力軸15に伝達される回転駆動力が入力軸に伝達される回転駆動力の0%より大きくかつ50%以下(例えば80%以下)の領域である。センタ側アシストカム面60Aとプレッシャ側アシストカム面90Aとが接触した時点で、出力側回転板22PAよりも第2の方向D2側に位置する出力側回転板22と、それらの間に位置する入力側回転板20は、互いに圧接されて入力側回転板20から出力側回転板22に動力を伝達することが許容される。第1スプリング130Aは、例えば運転者が握ったクラッチレバーを徐々に解放し、クラッチスプリング25のセット荷重が第1スプリング130Aのセット荷重を上回ったときに、出力側回転板22PAと入力側回転板20PAとの接触を許容する。
第2スプリング130Bは、プレッシャプレート70に保持された出力側回転板22とプレッシャプレート70との間に配置されている。第2スプリング130Bは、プレッシャプレート70に保持された隣り合う出力側回転板22の間に配置されている。第2スプリング130Bは、プレッシャプレート70に保持され、最も第2の方向D2側に位置する出力側回転板22と、それよりも第1の方向D1側に位置する出力側回転板22とに接触可能に設けられている。ここで、プレッシャプレート70に保持された出力側回転板22であって、第2スプリング130Bと接触し、かつ、第2スプリング130Bよりも第1の方向D1側に位置する出力側回転板22を出力側回転板22PBとする。出力側回転板22PBと隣接し、かつ、出力側回転板22PBよりも第2の方向D2側に位置する入力側回転板20を入力側回転板20PBとする。第2スプリング130Bは、センタ側アシストカム面60Aとプレッシャ側アシストカム面90Aとが接触した時点で、出力側回転板22PBと入力側回転板20PBとが接触することを抑制するように構成されている。即ち、第2スプリング130Bは、センタ側アシストカム面60Aとプレッシャ側アシストカム面90Aとが接触した時点で、出力側回転板22PBと入力側回転板20PBとの間に隙間を形成させる。第2スプリング130Bは、例えば運転者が握ったクラッチレバーを徐々に解放し、クラッチスプリング25のセット荷重が第2スプリング130Bのセット荷重を上回ったときに、出力側回転板22PBと入力側回転板20PBとの接触を許容する。なお、クラッチ装置10(図1参照)は、第1スプリング120Aおよび第2スプリング130Bのいずれか一方のみを備えていてもよい。
上記態様により、プレッシャプレート70に保持された出力側回転板22の少なくとも一部と入力側回転板20との圧接が抑制されるため、カム推力が入力側回転板20と出力側回転板22とに急に加わることを抑制することができる。これにより、入力側回転板20と出力側回転板22との圧接力が急激に増加することを抑制することができる。
図16は、クラッチセンタ40とプレッシャプレート70とが組み付けられた状態を示している。図16に示す状態では、センタ側嵌合部58(図3参照)にプレッシャ側嵌合部88(図7参照)が外嵌している。また、このとき、プレッシャ側アシストカム面90Aとセンタ側アシストカム面60Aとが接触している。プレッシャ側アシストカム面90Aとセンタ側アシストカム面60Aとが接触しているとき、プレッシャプレート70は、最も第1の方向D1側に位置している。図16に示すように、クラッチセンタ40とプレッシャプレート70とが組み付けられた状態のとき、方向D(ここでは、第1の方向D1側)から見て、スプライン溝78の少なくとも一部が、センタ側カム孔43Hと重なる位置に配置されている。また、このとき、方向Dから見て、プレッシャプレート70の突出部75は、センタ側カム孔43Hの内側に配置されている。本実施形態では、突出部75の全てがセンタ側カム孔43Hの内側に配置されているが、突出部75の一部がセンタ側カム孔43Hの内側に配置されていてもよい。
プレッシャ側アシストカム面90Aとセンタ側アシストカム面60Aとが接触しているとき、図9に示すように、突出部75の第1の方向D1側の端面75Aは、センタ側押圧面69よりも第1の方向D1側に位置している。したがって、突出部75の一部は、センタ側押圧面69よりも第1の方向D1側に位置し、突出部75の他の部分は、センタ側押圧面69よりも第2の方向D2側に位置している。言い換えると、外周壁73の一部である突出部75の一部は、径方向において、センタ側凹部59の一部と重なる位置に配置されている。また、突出部75の一部が、径方向においてセンタ側カム孔43Hと重なっている。センタ側凹部59は、センタ側カム部60(図3参照)およびセンタ側嵌合部58よりも第1の方向D1側に位置しているので、図1に示すように、外周壁73の一部がセンタ側カム部60の第1の方向D1側の端60Eよりも第1の方向D1側に位置している。また、外周壁73のうち、突出部75の一部以外は、センタ側押圧面69よりも第2の方向D2側に位置している。
センタ側押圧面69から、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aまでの長さL7は、プレッシャ側押圧面98Aからプレッシャ側嵌合歯77の第1の方向側の端面77Bまでの長さL15よりも長いため、クラッチセンタ40とプレッシャプレート70が組み付けられた状態において、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、プレッシャ側押圧面98Aよりも第1の方向D1側に位置している。ここでは、プレッシャ側アシストカム面90Aとセンタ側アシストカム面60Aとが接触しているとき、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、出力軸15の軸線に沿って見たとき、プレッシャ側カム孔73H(図14も参照)と重なるとともに、プレッシャ側フランジ98の外側面98Bよりも第2の方向D2側に配置される。また、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aよりも第2の方向D2側に配置されている。また、このとき、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、最外方入力側回転板20Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に配置されている。即ち、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、複数の入力側回転板20および複数の出力側回転板22のうち最も第2の方向D2側に位置する回転板(図1では、出力側回転板22)よりも第2の方向D2側に位置している。
なお、プレッシャ側スリッパーカム面90S(図17参照)とセンタ側スリッパーカム面60S(図17参照)とが接触し始めたときのプレッシャプレート70およびクラッチセンタ40の方向Dの位置は、プレッシャ側アシストカム面90Aとセンタ側アシストカム面60Aとが接触するときの位置から変化しない。図17は、プレッシャ側スリッパーカム面90Sとセンタ側スリッパーカム面60Sとが接触し始めたときのクラッチ装置10の断面図である。図17に示すように、プレッシャ側スリッパーカム面90Sとセンタ側スリッパーカム面60Sとが接触し始めたとき、および、プレッシャ側スリッパーカム面90Sおよびセンタ側スリッパーカム面60Sの作用によってプレッシャプレート70が第2の方向D2に移動している状態においても、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aよりも第2の方向D2側に配置されている。また、このとき、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、最外方入力側回転板20Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に配置されている。即ち、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、複数の入力側回転板20および複数の出力側回転板22のうち最も第2の方向D2側に位置する回転板(図17では、出力側回転板22)よりも第2の方向D2側に位置している。
図18は、半クラッチ状態におけるクラッチ装置10の断面図である。クラッチ装置10が「半クラッチ状態」のとき、プレッシャプレート70は、最もクラッチセンタ40に接近して入力側回転板20および出力側回転板22を押圧する状態よりも第2の方向D2側に位置し、かつ、ストッパプレート100に接触した状態よりも第1の方向D1側に位置する状態となっている。図18に示すように、半クラッチ状態において、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aよりも第2の方向D2側に配置されている。また、このとき、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、最外方入力側回転板20Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に配置されている。即ち、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、複数の入力側回転板20および複数の出力側回転板22のうち最も第2の方向D2側に位置する回転板(図18では、出力側回転板22)よりも第2の方向D2側に位置している。
ストッパプレート100は、プレッシャプレート70と接触可能に設けられている。ストッパプレート100は、プレッシャプレート70がクラッチセンタ40から第2の方向D2に、所定の距離以上離隔することを抑制する部材である。ストッパプレート100は、クラッチセンタ40のボス部54にボルト28によって固定されている。ボス部54の内側には、ボルト28が螺合するネジ部54aが形成されている。プレッシャプレート70は、スプリング収容部84にクラッチスプリング25が配置された状態で、ストッパプレート100をボルト28によりボス部54に締め付けることにより、クラッチセンタ40に取り付けられている。ストッパプレート100は、平面視で略三角形状に形成されている。
図19は、プレッシャプレート70がストッパプレート100に接触した状態におけるクラッチ装置10の断面図である。プレッシャ側スリッパーカム面90Sとセンタ側スリッパーカム面60Sとが接触し、プレッシャプレート70が第2の方向に移動すると、プレッシャプレート70がストッパプレート100に接触する。プレッシャプレート70がストッパプレート100に接触した状態においても、プレッシャ側スリッパーカム面90Sとセンタ側スリッパーカム面60Sとが接触している。図19に示す状態において、プレッシャプレート70は、クラッチセンタ40から第2の方向D2側に最も離れている。プレッシャプレート70がストッパプレート100に接触した状態において、プレッシャプレート70の円環壁74Aの端面74Dは、センタ側嵌合部58の第2の方向D2側の端58Dよりも第1の方向D1側に位置している。このとき、プレッシャプレート70の円環壁74Aの端面74Dは、センタ側フランジ68のセンタ側押圧面69よりも第2の方向D2側に位置している。したがって円筒部74は、センタ側押圧面69よりも第2の方向D2側に位置している。また、このとき、プレッシャ側嵌合部88の第1の方向D1側の端88Eは、センタ側嵌合部58の第2の方向D2側の端58Dよりも第1の方向D1側に位置している。
また、プレッシャプレート70がストッパプレート100に接触した状態において、突出部75の一部は、センタ側押圧面69よりも第1の方向D1側に位置し、突出部75の他の部分は、センタ側押圧面69よりも第2の方向D2側に位置している。このとき、円筒部74の第1の方向D1側の端面(ここでは、円環壁74Aの端面74Dおよびプレッシャ側嵌合歯77の端面77B)がセンタ側押圧面69よりも第2の方向D2側に位置している。突出部75の一部は、出力軸15の軸線に沿って見たときに、センタ側凹部59の一部と重なる位置に配置されている。センタ側凹部59は、センタ側カム部60およびセンタ側嵌合部58よりも第1の方向D1側に位置している(図7も参照)。外周壁73の一部は、センタ側カム部60の第1の方向D1側の端60Eよりも第1の方向D1側に位置している。プレッシャプレート70が最も第1の方向D1側に位置しているときも、外周壁73の一部およびプレッシャ側嵌合歯77の一部が、センタ側カム部60の第1の方向D1側の端60Eよりも第1の方向D1側に位置している。したがって、プレッシャプレート70が最も第1の方向D1側に位置する状態から、プレッシャプレート70が最も第2の方向D2側に位置する状態までの全ての状態において、外周壁73の少なくとも一部およびプレッシャ側嵌合歯77の少なくとも一部が、センタ側カム部60の第1の方向D1側の端60Eよりも第1の方向D1側に位置している。
また、プレッシャプレート70がストッパプレート100に接触した状態において、円環壁74Aの端面74Dは、センタ側凹部59よりも第2の方向D2側に位置している。円環壁74Aの端面74Dは、センタ側カム部60の第1の方向D1側の端60Eよりも第1の方向D1側に位置している。このとき、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aよりも第2の方向D2側に配置されている。また、このとき、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、最外方入力側回転板20Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に配置されている。即ち、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、複数の入力側回転板20および複数の出力側回転板22のうち最も第2の方向D2側に位置する回転板(図19では、出力側回転板22)よりも第2の方向D2側に位置している。
ここで、クラッチセンタ40とプレッシャプレート70との組み付けについて説明する。クラッチセンタ40およびプレッシャプレート70は、例えば、自動二輪車に組付けられたエンジンに組み付けられる。クラッチハウジング30およびクラッチセンタ40は、水平方向(方向D)に延びる出力軸15に取り付けられている。入力側回転板20および出力側回転板22は、クラッチハウジング30に取り付けられている。入力側回転板20は、径方向外側に突出するように外周縁に形成した爪部をクラッチハウジング30の切欠き30Cに挿入することにより、クラッチハウジング30に取り付けられている。プレッシャプレート70は、図20Aおよび図20Bに示すように、クラッチセンタ40に向けて移動されることにより組み付けられる。図20Aでは、クラッチセンタ40にプレッシャプレート70が組み付けられていないため、出力側回転板22は、自重により下方に偏倚している。図20Cは、図20Aを第1の方向D1側から見たときの図である。図20Cに示すように、出力側回転板22の上部は、クラッチハウジング30の上側部分から下方に離間し、出力側回転板22の最下端22Dは、クラッチハウジング30の下側部分の内周面33Nに支持される。図20Cには、出力側回転板22の最下端22Dと出力軸15(図1参照)の軸線CLとを通る直線SL1、および直線SL1に直交し軸線CLを通る直線SL2が図示されている。出力側回転板22の回転板溝22cのうち、直線SL1を通り、かつ、直線SL2に対して、最下端22Dと反対側(ここでは、上方)に位置する回転板溝22cUは、複数の回転板溝22cの中で最も径方向内側に位置している。ここでは、回転板溝22cUは、複数の回転板溝22Cのうち最も上方に位置している。このとき、突出部75も直線SL2に対して、最下端22Dと反対側に位置している。クラッチハウジング30とプレッシャプレート70の回転中心軸が同軸上(すなわち、軸線CL上)に位置している状態において、斜面75S1(図20B参照)の第1の方向D1側の縁75Eは、回転板溝22cUよりも内側に位置している。このように、出力側回転板22の最下端22Dが、クラッチハウジング30の下側部分の内周面33Nに支持された状態であり、かつ、クラッチハウジング30とプレッシャプレート70の回転中心軸が、同軸上(すなわち、軸線CL上)に位置している状態において、斜面75S1の第1の方向D1側の縁75Eが、直線SL2に対して、最下端22Dと反対側(ここでは、上方)に位置する回転板溝22cUよりも内側に位置しているため、クラッチハウジング30に取り付けられた入力側回転板20および出力側回転板22に対してプレッシャプレート70を容易に組み付けることができる。これは、図20Aに示すように、クラッチハウジング30に入力側回転板20および出力側回転板22が取り付けられた状態において、作業者がプレッシャプレート70を第1の方向D1側に移動させると、図20Bに示すように、突出部75が出力側回転板22の内周縁22Nに接触し、斜面75S1によって出力側回転板22を押し上げることができるからである。作業者がプレッシャプレート70を第1の方向D1側に移動させることで、斜面75S1によって全ての出力側回転板22が押し上げられ、入力側回転板20および出力側回転板22の内径側に、プレッシャ側嵌合歯77を挿入することができる。これにより、クラッチハウジング30、クラッチセンタ40、プレッシャプレート70、入力側回転板20、出力側回転板22のエンジンへの取り付けを行うことができる。
図2に示すように、クラッチハウジング30と出力側回転板22とプレッシャプレート70の回転中心軸が同軸上(すなわち、軸線CL(図1参照)上)に位置している状態において、斜面75S1の第1の方向D1側の縁75E(図9も参照)と、出力側回転板22の内周縁22Nとの径方向の間隔L21は、側壁33の内周面33Nと出力側回転板22の外周縁22Uとの径方向の間隔L20よりも長い。クラッチハウジング30に取り付けられた出力側回転板22は、自重などにより、最大で間隔L20(図20Bも参照)だけ径方向に移動しうる。間隔L21は間隔L20よりも長いため、出力側回転板22が径方向に移動しても、斜面75S1の縁75Eは、出力側回転板22の内周縁22Nよりも径方向の内側に位置する。なお、このとき、入力側回転板20は、クラッチハウジング30に保持されている(図1参照)。この状態において、作業者がプレッシャプレート70を第1の方向D1側に移動させると、図20Bに示すように、突出部75が出力側回転板22の内周縁22Nに接触し、出力側回転板22が押し上げられる。作業者がプレッシャプレート70を第1の方向D1側に移動させることで、斜面75S1によって全ての出力側回転板22が押し上げられ、入力側回転板20および出力側回転板22の内径側に、プレッシャ側嵌合歯77を容易に挿入することができる。これにより、クラッチハウジング30、クラッチセンタ40、プレッシャプレート70、入力側回転板20、出力側回転板22の組付けを容易かつ確実に行うことができる。間隔L21を間隔L20よりも長くすることは、クラッチハウジング30がエンジンから取り外された状態であって、クラッチハウジング30と出力側回転板22とプレッシャプレート70の回転中心軸が鉛直方向に延びた状態で組付けを行う場合にも、組付けを容易にすることに有効である。
クラッチ装置10には、オイルが供給される。オイルは、図1に示す出力軸15の中空部15Hを介してクラッチセンタ40およびプレッシャプレート70内に流通し、その後、センタ側嵌合部58とプレッシャ側嵌合部88との隙間や、オイル排出孔79(図7参照)を介して入力側回転板20および出力側回転板22に供給される。オイルは、熱を吸収したり、摩擦材の摩耗を抑止する。本実施形態のクラッチ装置10は、いわゆる湿式多板摩擦クラッチ装置である。
次に、本実施形態のクラッチ装置10の作動について説明する。クラッチ装置10は、上述のように、自動二輪車のエンジンと変速機との間に配置されるものであり、運転者がクラッチ操作レバーを操作することによって、エンジンの回転駆動力を変速機へ伝達および遮断する。
クラッチ装置10は、自動二輪車の運転者がクラッチ操作レバーを操作しない場合には、クラッチレリーズ機構(図示せず)がプッシュロッド16Aを押圧しないため、プレッシャプレート70がクラッチスプリング25の付勢力(弾性力)によって入力側回転板20と出力側回転板22を押圧する。これにより、クラッチ装置10は、クラッチセンタ40とプレッシャプレート70とにより入力側回転板20と出力側回転板22とが互いに押圧された状態、即ち、摩擦連結されたクラッチONの状態となる。クラッチON状態のときに、エンジンの回転駆動力が出力軸15に伝達される。
クラッチON状態において、出力軸15の中空部15H内を流動しかつ出力軸15の先端部15Tから流出したオイルは、筒状部80内に落下または飛散して付着する(図1の矢印F参照)。筒状部80内に付着したオイルは、プレッシャプレート70内に導かれる。これにより、オイルは、オイル排出孔79を介してプレッシャプレート70の外部に流出する。また、オイルは、センタ側嵌合部58とプレッシャ側嵌合部88との隙間を介してプレッシャプレート70の外部に流出する。そして、プレッシャプレート70の外部に流出したオイルは、入力側回転板20および出力側回転板22に供給される。
一方、クラッチ装置10は、クラッチON状態において自動二輪車の運転者がクラッチ操作レバーを操作した場合には、クラッチレリーズ機構(図示せず)がプッシュロッド16Aを押圧するため、プレッシャプレート70がクラッチスプリング25の付勢力に抗してクラッチセンタ40から離隔する方向(第2の方向D2)に変位する。これにより、クラッチセンタ40は、入力側回転板20と出力側回転板22との摩擦連結が解消されたクラッチOFFの状態となるため、出力軸15の回転駆動が減衰または回転駆動が停止する状態となる。即ち、エンジンの回転駆動力が出力軸15に伝達されることが遮断される。
クラッチOFF状態において、出力軸15の中空部15H内を流動しかつ出力軸15の先端部15Tから流出したオイルは、クラッチON状態と同様に、プレッシャプレート70内に導かれる。このとき、プレッシャプレート70は、クラッチセンタ40に対して離隔するため、センタ側嵌合部58およびプレッシャ側嵌合部88との嵌合量が少なくなる。この結果、筒状部80内のオイルは、より積極的にプレッシャプレート70の外部に流出してクラッチ装置10の内部の各所に流動する。特に、互いに離隔する入力側回転板20と出力側回転板22との間にオイルを積極的に導くことができる。
そして、クラッチOFF状態において運転者がクラッチ操作レバーを解除した場合には、クラッチレリーズ機構(図示せず)によるプッシュ部材16Bを介したプレッシャプレート70の押圧が解除されるため、プレッシャプレート70はクラッチスプリング25の付勢力によってクラッチセンタ40に接近する方向(第1の方向D1)に変位する。
以上のように、本実施形態のクラッチ装置10によると、図1に示すように、プレッシャ側アシストカム面90Aの第2の方向D2側の端95は、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向側の端面77Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に位置している。プレッシャ側カム部90(図7参照)は、プレッシャ側押圧面98Aよりも第1の方向D1に突出しているため、プレッシャ側アシストカム面90Aは、第1の方向D1に延びると共に、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2に延びている。これにより、プレッシャ側アシストカム面90Aが比較的大きく形成されている。ここで、例えば、プレッシャ側アシストカム面90Aを第1の方向D1のみに延ばし、プレッシャ側アシストカム面90Aの面積を大きくすると、クラッチセンタ40の位置も第1の方向D1に移動するため、クラッチ装置10の方向Dのサイズが大型化する。しかし、本実施形態によれば、プレッシャ側アシストカム面90Aが第1の方向D1および第2の方向D2に延びている。これにより、クラッチセンタ40の位置が第1の方向D1側に移動し、クラッチ装置10が大型化することが抑制されている。したがって、クラッチ装置10がコンパクトなものでありながら、プレッシャ側アシストカム面90Aの単位面積当たりに掛かる力が大きくなることを抑制することができる。
本実施形態のクラッチ装置10によると、プレッシャプレート70は、全ての出力側回転板22を保持する。ここで、プレッシャプレート70の保持する出力側回転板22の数が比較的多い場合、出力側回転板22を介してプレッシャ側アシストカム面90Aに掛かる力が比較的大きくなる。しかし、本実施形態では、プレッシャ側アシストカム面90Aの単位面積当たりに掛かる力が大きくなることが抑制されているため、プレッシャプレート70の保持する出力側回転板22の数が比較的多い場合であっても、プレッシャプレート70およびクラッチセンタ40の耐久性を向上させることができる。プレッシャプレート70が全ての出力側回転板22を保持する場合、プレッシャ側アシストカム面90Aに掛かる力が特に大きい。よって、ここに開示される技術を適用することが殊に好ましい。
本実施形態のクラッチ装置10によると、方向Dにおいて、プレッシャ側アシストカム面90Aとセンタ側アシストカム面60Aとが接触している状態のとき、センタ側押圧面69からセンタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端95までの長さL7は、センタ側押圧面69からプレッシャ側押圧面98Aまでの長さL15よりも長い。したがって、プレッシャ側アシストカム面90Aとセンタ側アシストカム面60Aとが接触し、入力側回転板20と出力側回転板22とがプレッシャ側押圧面98Aとセンタ側押圧面69とにより押圧されたとき、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向側の端67Aは、プレッシャ側押圧面98Aよりも第2の方向D2側に位置する。このため、軸線方向においてプレッシャ側アシストカム面90Aを大きなものにして、センタ側アシストカム面60Aの単位面積当たりに掛かる力が大きくなることを抑制することができる。
本実施形態のクラッチ装置10によると、センタ側アシストカム面60Aとプレッシャ側アシストカム面90Aとが接触した状態のとき、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向側の端面77Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に位置している。センタ側アシストカム面60Aは、第1の方向D1側に延びると共に、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に延びている。したがって、例えばセンタ側アシストカム面60Aを第1の方向D1側のみに延ばして大きくする場合に比べて、クラッチ装置10全体がコンパクトなものでありながら、軸線方向においてセンタ側アシストカム面60Aを大きなものにすることができる。したがって、クラッチ装置10がコンパクトなものでありながら、センタ側アシストカム面60Aの単位面積当たりに掛かる力が大きくなることを抑制することができる。
本実施形態のクラッチ装置10によると、図17に示すように、センタ側スリッパーカム面60Sとプレッシャ側スリッパーカム面90Sとが接触し始めたとき、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に位置している。センタ側アシストカム面60Aは、第1の方向D1側に延びると共に、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に延びている。したがって、例えば、センタ側アシストカム面60Aを第1の方向D1側のみに延ばして大きくする場合に比べて、クラッチ装置10全体がコンパクトなものでありながら、軸線方向においてセンタ側アシストカム面60Aを大きなものにすることができる。したがって、クラッチ装置10がコンパクトなものでありながら、センタ側アシストカム面60Aの単位面積当たりに掛かる力が大きくなることを抑制することができる。
本実施形態のクラッチ装置10によると、センタ側スリッパーカム面60Sとプレッシャ側スリッパーカム面90Sとが接触し、かつ、プレッシャプレート70が最も第1の方向に位置する状態(図17参照)から、センタ側スリッパーカム面60Sとプレッシャ側スリッパーカム面90Sとが接触し、かつ、プレッシャプレート70が最も第2の方向D2に位置する状態(図19参照)までの全ての状態において、センタ側アシストカム面60Aの端67Aは、プレッシャ側嵌合歯77の端面77Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に位置している。したがって、スリッパートルクが生じ、プレッシャプレート70がクラッチセンタ40から離隔するときの全ての状態において、センタ側アシストカム面60Aの単位面積当たりに掛かる力が大きくなることを抑制することができる。
本実施形態のクラッチ装置10によると、図19に示すように、プレッシャプレート70がストッパプレート100に接触した状態のとき、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に位置している。センタ側アシストカム面60Aは、第1の方向D1側に延びると共に、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に延びている。したがって、例えば、センタ側アシストカム面60Aを第1の方向D1側のみに延ばして大きくする場合に比べて、クラッチ装置10全体がコンパクトなものでありながら、軸線方向においてセンタ側アシストカム面60Aを大きなものにすることができる。したがって、クラッチ装置10がコンパクトなものでありながら、センタ側アシストカム面60Aの単位面積当たりに掛かる力が大きくなることを抑制することができる。
本実施形態のクラッチ装置10によると、図18に示すように、クラッチ装置10が半クラッチ状態のとき、センタ側アシストカム面60Aの第2の方向D2側の端67Aは、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に位置している。センタ側アシストカム面60Aは、第1の方向D1側に延びると共に、プレッシャ側嵌合歯77の第2の方向D2側の端面77Aおよび最外方出力側回転板22Aよりも第2の方向D2側に延びている。したがって、例えば、センタ側アシストカム面60Aを第1の方向D1側のみに延ばして大きくする場合に比べて、クラッチ装置10全体がコンパクトなものでありながら、軸線方向においてセンタ側アシストカム面60Aを大きなものにすることができる。したがって、クラッチ装置10がコンパクトなものでありながら、センタ側アシストカム面60Aの単位面積当たりに掛かる力が大きくなることを抑制することができる。
上述した実施形態では、図1に示すように、複数の出力側回転板22の全てがプレッシャプレート70に保持されていたがこれに限定されない。本発明は、クラッチセンタ40およびプレッシャプレート70のそれぞれが出力側回転板22を保持するクラッチ装置にも適用することができる。図21は、第1変形例に係るクラッチ装置10Aの断面図である。クラッチ装置10Aは、クラッチセンタ40Aを備えている。
クラッチセンタ40Aは、リング状のセンタ側フランジ68と、センタ側フランジ68の径方向の内側に位置するセンタ側本体部42Aと、を有している。センタ側本体部42Aは、環状のボス部43と、センタ側カム部60と、センタ側嵌合部58と、センタ側嵌合部58に接続された外周壁45と、を備えている。
外周壁45は、ボス部43よりも径方向の外側に配置されている。外周壁45は、センタ側フランジ68よりも第2の方向D2に延びている。外周壁45には、外周壁45の外周面から径方向の外側に突出する複数のセンタ側嵌合歯47が形成されている。複数のセンタ側嵌合歯47は、周方向S(図3参照)に並んでいる。ここでは、センタ側嵌合歯47は、5つの出力側回転板22のうち1つの出力側回転板22を保持している。
プレッシャプレート70のプレッシャ側嵌合歯77は、5つの出力側回転板22のうち4つの出力側回転板22を保持している。ただし、プレッシャプレート70が保持する出力側回転板22の数は、クラッチセンタ40Aが保持する出力側回転板22の数より多い限り、特に限定されない。
第1変形例に係るクラッチ装置10Aでは、プレッシャプレート70が保持する出力側回転板22の数は、クラッチセンタ40Aが保持する出力側回転板22の数よりも多い。上述した実施形態と同様、プレッシャ側アシストカム面90Aの単位面積当たりに掛かる力が大きくなることが抑制されているため、プレッシャプレート70の保持する出力側回転板22の数が比較的多い場合であっても、プレッシャプレート70およびクラッチセンタ40Aの耐久性を向上させることができる。
図22は、第2変形例に係るプレッシャプレート370を示す斜視図である。図22に示すようにプレッシャプレート370は、3つのオイル排出孔79L,79M,79N1を有している。プレッシャプレート70(図7参照)と同様に、オイル排出孔79L,79M,79N1は、3つ並んだ欠歯部76のうちの1つにそれぞれ形成されている。オイル排出孔79L,79M,79N1は、周方向Sに略等間隔に配置されている。オイル排出孔79L,79M,79N1は、方向Dにおいて互いにずれた位置に配置されている。
第2変形例に係るプレッシャプレート370のプレッシャ側本体部72には、貫通孔89(図8参照)に代えて、貫通孔389が形成されている。貫通孔389は、方向Dから見て略矩形状に形成されている(図23も参照)。プレッシャプレート370の欠歯部76には、切り欠き387が形成されている。切り欠き387は、プレッシャ側アシストカム面90Aによってせき止められたオイルをプレッシャプレート70の外部に排出する孔である。図23に示すように、切り欠き387は、プレッシャ側本体部72の第2の方向D2側の端面72Dから第1の方向D1に凹むように形成されている。切り欠き387と貫通孔389とは連通している。切り欠き387の周方向Sの長さは、貫通孔389の周方向Sの長さと略同一である。図22に示すように、切り欠き387は、周方向Sに沿って3つ形成されている。3つの切り欠き387をそれぞれ切り欠き387L,387M,387Nとも称することとする。ただし、切り欠き387L,387M,387Nの全てに共通する場合には、切り欠き387という名称を適宜使用する。切り欠き387Lは、3つの欠歯部76のうちオイル排出孔79Lが形成された欠歯部76に形成されている。切り欠き387M,387Nも同様に、3つの欠歯部76のうちオイル排出孔79M,79N1が形成された欠歯部76にそれぞれ形成されている。切り欠き387は、オイル排出孔79よりも第2の方向D2側に位置している。図24に示すように、切り欠き387の第1の方向D1側の縁387Aは、プレッシャ側アシストカム面90Aの第2の方向D2側の端95よりも第1の方向D1側に位置している。切り欠き387は、プレッシャ側アシストカム面90Aに対して第1の周方向S1(プレッシャプレート370の回転方向)側に近接している。例えば、図22に示すように、切り欠き387Lよりも第2の周方向S2側に位置するプレッシャ側アシストカム面90Aと切り欠き387Lとの周方向Sの間隔は、切り欠き387Lよりも第1の周方向S1側に位置するプレッシャ側スリッパーカム面90Sと切り欠き387Lとの周方向Sの間隔よりも短い。切り欠き387Mおよび切り欠き387Nとプレッシャ側アシストカム面90Aとの間隔についても同様である。
図24に示すように、切り欠き387とプレッシャ側アシストカム面90Aとの周方向Sの間隔は、オイル排出孔79とプレッシャ側アシストカム面90Aとの周方向Sの間隔と略同一となっている。ここで、プレッシャ側アシストカム面90Aは、第1の方向D1に行くほど、第1の周方向S1に向かう方向に延びており、軸線方向に対して傾斜している。このため、例えば、切り欠き387Nは、オイル排出孔79N1に対してプレッシャ側アシストカム面90Aが傾斜する方向、すなわち第2の周方向S2側にずれている。このとき、切り欠き387Nとプレッシャ側アシストカム面90Aとの間隔と、オイル排出孔79N1とプレッシャ側アシストカム面90Aとの間隔とが略同一である。図22に示すオイル排出孔79Lおよび切り欠き387Lと、オイル排出孔79Lおよび切り欠き387Mとについても同様である。なお、周方向Sに関して、オイル排出孔79と切り欠き387を同じ位置に設けてもよい。
ここで、例えば、エンジンの回転数が上がり、プレッシャプレート370が第1の周方向S1に回転すると、出力軸15(図1参照)からプレッシャプレート370内にオイルが流出する。このとき、オイルは、回転方向S1と反対方向、すなわち回転方向S2に流れ、オイルの一部が、プレッシャ側アシストカム面90Aによってせき止められる。プレッシャ側アシストカム面90Aによってせき止められたオイルは、プレッシャ側アシストカム面90Aに沿って、第2の方向D2に流れる。上記態様によれば、プレッシャ側アシストカム面90Aによってせき止められたオイルは、切り欠き387により、プレッシャプレート70の外部に排出される。また、上記態様によれば、図24に示すように、切り欠き387の縁387Aがプレッシャ側アシストカム面90Aの端95よりも第1の方向D1側に位置しているため、プレッシャ側アシストカム面90Aによってせき止められたオイルをプレッシャプレート70の外部に、より確実に排出することができる。さらに、オイル排出孔79とプレッシャ側アシストカム面90Aとの周方向Sの間隔と、切り欠き387とプレッシャ側アシストカム面90Aとの周方向Sの間隔が略同一となっているため、プレッシャ側アシストカム面90Aによってせき止められたオイルを、オイル排出孔79と切り欠き387とにより、プレッシャプレート70の外部に確実に排出することができる。
なお、切り欠き387の数は特に限定されない。例えば、1つの欠歯部76(図22参照)に2つ以上の切り欠き387が形成されていてもよい。また、切り欠き387の形状も上記の第2変形例に限定されない。第2変形例では、切り欠き387がオイル排出孔79よりも第2の方向D2側に位置していたが、例えば、切り欠き387がオイル排出孔79よりも第1の方向D1側まで延びていてもよい。
<第2実施形態>
図25は、第2実施形態に係るクラッチセンタ140の斜視図である。クラッチセンタ140は、クラッチハウジング30(図1参照)に収容されている。クラッチセンタ140は、クラッチハウジング30と同心に配置されている。図25に示すように、クラッチセンタ140は、センタ側本体部142と、センタ側凹部59と、センタ側フランジ68とを有する。センタ側本体部142は、環状のボス部143と、ボス部143の中央に設けられた出力軸保持部50と、ボス部143に接続された複数のセンタ側カム部160と、収容部用凹部145とを備えている。センタ側カム部160は、クラッチセンタ140の周方向に等間隔に3つ配置されている。
センタ側カム部160は、出力軸保持部50よりも径方向の外側に位置する。センタ側カム部160は、センタ側アシストカム面160Aと、センタ側スリッパーカム面160Sとを有している。センタ側カム部160には、ボス部54が立設されている。
センタ側カム部160には、凸部164が設けられている。凸部164は、センタ側カム部160のうち、径方向の内側の部分に形成されている。凸部164は、センタ側カム部160の第1の周方向S1側および第2の周方向S2側にそれぞれ形成されている。第1の周方向S1側に形成された凸部164を第1凸部164A、第2の周方向S2側に形成された凸部164を第2凸部164Bとも称することとする。第1凸部164Aは、第1の周方向S1側に延びている。第1凸部164Aは、周方向Sにおいて、センタ側スリッパーカム面160Sの最も第1の周方向S1側の位置と略同一の位置まで延びている。第2の周方向S2側に設けられた第2凸部164Bは、第2の周方向S2側に延びている。第2凸部164Bは、周方向Sにおいて、センタ側アシストカム面160Aの最も第2の周方向S2側の位置と略同一の位置まで延びている。センタ側カム部160に凸部164が設けられていることにより、センタ側アシストカム面160Aと後述するプレッシャ側アシストカム面190A(図27参照)とが互いに接触して作用する場合において、センタ側カム部160の耐久性を向上することができる。
センタ側カム部160の内周面であるメイン内周面163Aとボス部143との間に、段差部165が形成されている。段差部165は、周方向Sに延びている。段差部165は、第1凸部164Aの第1の周方向S1側の端から第2凸部164Bの第2の周方向S2側の端に亘って形成されている。
収容部用凹部145は、周方向Sに関して隣り合うセンタ側カム部160の間に形成されている。収容部用凹部145は、後述するプレッシャプレート170(図27参照)のスプリング収容部184(図27参照)が挿入される部分である。収容部用凹部145は、壁面146と底面147とを有する。収容部用凹部145は、方向Dに貫通していてもよい。壁面146は、一のセンタ側カム部160Lの第2凸部164Bと、他のセンタ側カム部160Mの第1凸部164Aと、ボス部143とに接続されている。壁面146は、平面視にて略C字形状に形成されている。底面147は、壁面146の第1の方向D1側に接続された面である。壁面146は、センタ側嵌合部158の第2の方向D2側の端158Dよりも第1の方向D1側に位置している。壁面146および底面147の第1の周方向S1側の一部は、センタ側カム孔143Hに接続されている。なお、収容部用凹部145にスプリング収容部184が挿入されるとき、壁面146と後述するスプリング収容部184の壁面185との間に隙間があってよく、あるいは、隙間が無くてもよい(即ち、壁面146と壁面185とが嵌合していてもよい)。
図26に示すように、センタ側カム部160の第1の方向D1側の端面160Dには、カム側凹部166が形成されている。カム側凹部166は、第2の方向D2側に凹むように形成されている。カム側凹部166は、センタ側カム部160のうち、ボス部54よりも第1の周方向S1側に形成されている。カム側凹部166は、平面視にて略扇形に形成されている。カム側凹部166は、径方向の内側にてボス部143に接続されている。カム側凹部166は、最も第1の周方向S1側にて、センタ側カム孔143Hに接続されている。カム側凹部166が形成されていることにより、クラッチセンタ140を軽量化することができる。
図25および図26に示すように、クラッチセンタ140は、センタ側本体部142の一部を貫通するセンタ側カム孔143Hを有する。センタ側カム孔143Hは、ボス部143から、センタ側嵌合部158よりも径方向の外側まで延びている。センタ側カム孔143Hは、センタ側アシストカム面160Aに対して第2の周方向S2側に隣接して形成されている。方向Dから見て、センタ側アシストカム面160Aの一部がセンタ側カム孔143Hの内側に位置している。
図27は、第2実施形態に係るプレッシャプレート170の斜視図である。プレッシャプレート170は、クラッチセンタ140に対して接近および離隔可能かつ相対回転可能に設けられている。図27に示すプレッシャプレート170は、入力側回転板20(図1参照)および出力側回転板22(図1参照)を押圧可能に構成されている。プレッシャプレート170は、クラッチセンタ140(図26参照)およびクラッチハウジング30(図1参照)と同心に配置されている。図27に示すように、プレッシャプレート170は、プレッシャ側本体部172と、プレッシャ側フランジ98とを備えている。プレッシャ側本体部172は、プレッシャ側フランジ98よりも第1の方向D1に突出している。プレッシャプレート70は、入力側回転板20と交互に配置された複数の出力側回転板22を保持する。
プレッシャ側本体部172は、筒状部80と、外周壁173と、複数のプレッシャ側カム部190と、プレッシャ側嵌合部88と、スプリング収容部184とを備えている。
外周壁173は、筒状部80よりも径方向の外側に配置されている。外周壁173は、第1の方向D1に延びる。外周壁173は、円環壁174Aと、円環壁174Aの径方向の外側に設けられたスプライン嵌合部174Bとを有している。スプライン嵌合部174Bは、方向Dに延びる複数のプレッシャ側嵌合歯177と、隣り合うプレッシャ側嵌合歯177の間に形成された複数のスプライン溝178とを有する。プレッシャ側嵌合歯177は、出力側回転板22を保持する。複数のプレッシャ側嵌合歯177は、周方向Sに並ぶ。複数のプレッシャ側嵌合歯177は、同じ形状に形成されている。プレッシャ側嵌合歯77は、円環壁174Aから径方向の外側に突出している。
図27に示すプレッシャ側カム部190は、傾斜面からなるカム面190A,190Sを有した台状に形成されている。プレッシャ側カム部190は、プレッシャ側フランジ98よりも第1の方向D1に突出するように形成されている。プレッシャ側カム部190は、プレッシャプレート170の周方向Sに等間隔に配置されている。本実施形態では、プレッシャプレート170は、3つのプレッシャ側カム部190を有しているが、プレッシャ側カム部90の数は3に限定されない。
プレッシャ側カム部190は、筒状部80よりも径方向の外側に位置する。プレッシャ側カム部190は、プレッシャ側アシストカム面190Aを含むプレッシャ側アシストカム部191と、プレッシャ側スリッパーカム面190Sを含むプレッシャ側スリッパーカム部192と、プレッシャ側アシストカム部191とプレッシャ側スリッパーカム部192との間に位置するプレッシャ側カム本体部193とを有する。プレッシャ側アシストカム部191とプレッシャ側カム本体部193とプレッシャ側スリッパーカム部192は一体に形成されている。
図28に示すように、プレッシャ側カム部190は、第2の周方向S2側の端にて、後述するプレッシャ側カム孔173Hと接続されている。図27に示すように、プレッシャ側スリッパーカム面190Sよりも第2の方向D2側にてプレッシャ側カム部190と、プレッシャ側カム孔173Hとが接続されている。
プレッシャプレート170は、プレッシャ側本体部172の一部を方向Dに貫通するプレッシャ側カム孔173Hを有する。プレッシャ側カム孔173Hは、筒状部80よりも径方向の外側に位置する。プレッシャ側カム孔173Hは、隣り合うプレッシャ側カム部190のプレッシャ側アシストカム面190Aとプレッシャ側スリッパーカム面190Sとの間に形成されている。図28に示すように、方向Dから見て、プレッシャ側アシストカム面190Aの一部がプレッシャ側カム孔173Hの内側に位置している。
プレッシャ側カム孔173Hは、カム孔凹部174を有している。カム孔凹部174は、プレッシャ側カム孔173Hの第1の周方向S1側に形成されている。カム孔凹部174は、プレッシャ側カム孔173Hのうち、第1の周方向S1側に凹んだ部分である。カム孔凹部174は、プレッシャ側カム部190に接続されている。カム孔凹部174の径方向の長さは、プレッシャ側カム部190の径方向の長さと略同一に形成されている。プレッシャプレート170とクラッチセンタ140とが組み付けられたとき、カム孔凹部174の内側の領域にボス部54(図25参照)が挿入される。したがって、カム孔凹部174により、ボス部54のプレッシャプレート170への干渉が防止されている。
図28に示すように、スプリング収容部184は、プレッシャ側カム部190の第2の方向D2側の端面190Dに形成されている。スプリング収容部184は、プレッシャ側カム部190の端面190Dから第1の方向D1側に凹むように形成されている。スプリング収容部184は、方向Dから見て、略円形状に形成されている。スプリング収容部184は、クラッチスプリング25(図1参照)を収容する部分である。
図27に示すように、スプリング収容部184は、壁面185と底面186とを有している。壁面185は、クラッチスプリング25(図1参照)の周方向を囲う壁面である。壁面185は、プレッシャ側カム部190の第1の方向D1側の端面190Eよりも第1の方向D1まで延びている。また、壁面185は、径方向の内側において、筒状部80に接続されている。底面186は、壁面185の第1の方向D1側の端に接続されている。底面186は、平面視にて円形の形状に形成されている。プレッシャプレート170がクラッチセンタ140(図25参照)に組み付けられると、スプリング収容部184のうち、プレッシャ側カム部190よりも第1の方向D1側の部分が、クラッチセンタ140の収容部用凹部145(図25参照)に挿入される。また、このとき、スプリング収容部184の底面186が収容部用凹部145の底面147(図25参照)と対向するように配置される。スプリング収容部184がクラッチセンタ140の収容部用凹部145に挿入されることにより、クラッチ装置10における方向Dにおける寸法をコンパクトなものにすることができる。
〈第3実施形態〉
図29は、第3実施形態に係るクラッチ装置210の断面図である。図29に示すように、クラッチ装置210は、出力軸15と、入力側回転板20と、出力側回転板22と、クラッチハウジング30と、クラッチセンタ240と、プレッシャプレート270と、クラッチスプリング25と、リフタープレート300と、を備えている。クラッチ装置210は、プレッシャプレート270が、クラッチセンタ240とクラッチハウジング230との間に位置する、いわゆる外切りタイプのクラッチ装置である。
図29に示すように、クラッチハウジング30は、入力側回転板20を支持している。プレッシャプレート270は、全ての出力側回転板22を支持している。クラッチハウジング30と出力側回転板22との回転中心軸が同軸上(すなわち、軸線CL上)に位置している状態において、図30に示すように、クラッチハウジング30の側壁33の内周面33Nと出力側回転板22の外周縁22Uとの径方向の間隔は、長さL23である。図29に示すように、クラッチセンタ240には、クラッチスプリング25が当接している。クラッチセンタ240は、例えば、第1の方向D1から第2の方向D2に凹むように形成されたスプリング収容部を有する。当該スプリング収容部にクラッチスプリング25が収容される。
リフタープレート300は、プレッシャプレート270を方向Dに変位させるための部材である。リフタープレート300は、プレッシャプレート270に固定されている。リフタープレート300は、プレッシャプレート270に形成されたボス部254にボルト28によって固定されている。リフタープレート300は、プレッシャプレート270と一体的に回転する。リフタープレート300は、クラッチセンタ240に対して方向Dに移動するとともに、クラッチセンタ240に対して相対的に回転する。リフタープレート300は、円盤状に形成されている。図示は省略するが、リフタープレート300には、例えば、レリーズベアリングが設けられている。レリーズベアリングは、クラッチレリーズ機構(図示せず)のレリーズフォークに押圧される部材である。ここで、クラッチレリーズ機構とは、クラッチ装置210が搭載された自動二輪車等の車両において、運転者のクラッチ操作レバー(図示せず)の操作によってレリーズフォークを介してレリーズベアリングを出力軸15側(即ち第2の方向D2側)に押圧する機械装置である。リフタープレート300は、クラッチスプリング25を支持する。リフタープレート300には、リフタープレート300をプレッシャプレート270に固定するボルト28が挿入される挿入孔304Hが形成されている。
プレッシャプレート270は、リフタープレート300によって、クラッチセンタ240に対して接近および離隔可能かつ相対回転可能に設けられている。プレッシャプレート270は、第1実施形態に係るプレッシャプレート70(図7参照)と同様に、プレッシャ側本体部72を有している。プレッシャ側本体部72は、第1実施形態と同様に、突出部75とプレッシャ側嵌合歯77を有している。突出部75は、第1の方向D1に行くほど径方向の長さ短くなる形状に形成されている。突出部75の外周面には、突出部75の第1の方向D1側の端面75Aに向かって径方向の内側に向かう斜面75S1が形成されている。図30に示すように、クラッチハウジング30と出力側回転板22とプレッシャプレート270の回転中心軸が同軸上(すなわち、軸線CL(図29参照)上)に位置している状態において、斜面75S1の第1の方向D1側の縁75Eと、出力側回転板22の内周縁22Nとの径方向の間隔は、長さL24である。長さL24は、側壁33の内周面33Nと出力側回転板22の外周縁22Uとの径方向の間隔L23よりも長い。プレッシャ側嵌合歯77の外周面77Uと出力側回転板22の内周縁22Nとの径方向の間隔は、長さL25である。長さL25は、長さL23よりも短い。第3実施形態に係るクラッチ装置210においても、第1実施形態に係るクラッチ装置10(図1参照)と同様、クラッチセンタ240にプレッシャプレート270が組み付けられていないとき、出力側回転板22が自重により落下し、クラッチハウジング30の内周面33Nに支持される。出力側回転板22が内周面33Nに支持されているとき、斜面75S1の縁75Eは、出力側回転板22の内周縁22Nよりも径方向の内側に位置することができる。したがって、第3実施形態に係るクラッチ装置210においても、第1実施形態に係るクラッチ装置10(図1参照)と同様、好適に出力側回転板22の径方向の位置決めをすることができる。また、突出部75によって出力側回転板22が押し上げられたとき、出力側回転板22が側壁33の内周面33Nに接触することが防止されている。したがって、第3実施形態に係るクラッチ装置210においても、第1実施形態に係るクラッチ装置10と同様、入力側回転板20および出力側回転板22の内径側に、プレッシャ側嵌合歯77を容易に挿入することができる。これにより、クラッチセンタ240にプレッシャプレート270を、より円滑に組み付けることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他にも種々の形態で実施することができる。
上述した各実施形態では、プレッシャプレートのみが出力側回転板22を保持していたが、これに限定されない。クラッチセンタが出力側回転板22の一部を保持するものであってもよい。