JP7841915B2 - 石膏硬化体 - Google Patents
石膏硬化体Info
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Description
(1) 石膏と、60rpmにおけるB型粘度が、2000mPa・s以下であるセルロース微細繊維とを含有する石膏硬化体。
(2) 前記セルロース微細繊維の含有量が、0.1~5重量%である(1)に記載の石膏硬化体。
(3) 前記セルロース微細繊維は、化学変性セルロースナノファイバーである、(1)または(2)に記載の石膏硬化体。
(4) 前記化学変性セルロースナノファイバーは、TEMPO酸化セルロースナノファイバーである(3)に記載の石膏硬化体。
本発明の石膏硬化体の製造方法は特には限定されないが、例えば、焼石膏と、特定の粘度を有するセルロース微細繊維の水分散液と、水とを混練して得られた石膏スラリーを硬化することにより得ることができる。
本発明で用いるセルロース微細繊維は、セルロースを原料とする微細繊維であり、平均繊維径が500nm以上のミクロフィブリルセルロース(以下「MFC」という場合がある)及び平均繊維径が500nm未満のセルロースナノファイバー(以下「CNF」という場合がある)を包含する。セルロース微細繊維の平均繊維径は、特に限定されないが、1nm~20μm程度である。セルロース微細繊維の平均繊維径および平均繊維長は、ABB株式会社製ファイバーテスターやバルメット社製フラクショネータ、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を繊維径の大きさによって適宜選択し用いて、各繊維を観察した結果から得られる繊維径および繊維長を平均することによって得ることができる。セルロース微細繊維は、セルロースを解繊することによって製造することができる。
アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
(酸化)
アニオン変性セルロースとして酸化(カルボキシル化)したセルロースを用いることができる。酸化セルロース(「カルボキシル化セルロース」とも呼ぶ)は、上記のセルロース原料を公知の方法で酸化(カルボキシル化)することにより得ることができる。特に限定されないが、カルボキシル基の量はアニオン変性セルロースの絶乾重量に対して、0.6~3.0mmol/gが好ましく、1.0~2.0mmol/gがさらに好ましい。酸化(カルボキシル化)方法の一例として、セルロース原料を、N-オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物、およびこれらの混合物からなる群から選択される化合物との存在下で酸化剤を用いて水中で酸化する方法を挙げることができる。この酸化反応により、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、表面にアルデヒド基と、カルボキシル基(-COOH)またはカルボキシレート基(-COO―)とを有するセルロース繊維を得ることができる。反応時のセルロースの濃度は特に限定されないが、5重量%以下が好ましい。
好ましいアニオン基としては、カルボキシメチル基等のカルボキシアルキル基が挙げられる。カルボキシアルキル化セルロースは公知の方法で得てもよく、また市販品を用いてもよい。セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシアルキル置換度は0.60未満であることが好ましい。さらにアニオン基がカルボキシメチル基である場合、カルボキシメチル置換度は0.60未満であることが好ましい。当該置換度が0.60以上であると結晶性が低下し、溶解成分の割合が増加するため、微細繊維としての機能が失われる。またカルボキシアルキル置換度の下限値は0.01以上が好ましい。操業性を考慮すると当該置換度は0.02~0.50であることが特に好ましく、0.10~0.30であることが更に好ましい。このようなカルボキシアルキル化セルロースを製造する方法の一例として、以下の工程を含む方法が挙げられる。当該変性は置換反応による変性である。カルボキシメチル化セルロースを例にして説明する。
i)発底原料と溶媒、マーセル化剤を混合し、反応温度0~70℃、好ましくは10~ 60℃、かつ反応時間15分~8時間、好ましくは30分~7時間、マーセル化処理する工程、
ii)次いで、カルボキシメチル化剤をグルコース残基当たり0.05~10.0倍モル添加し、反応温度30~90℃、好ましくは40~80℃、かつ反応時間30分~10時間、好ましくは1時間~4時間、エーテル化反応を行う工程。
アニオン変性セルロースとしてエステル化したセルロースを用いることもできる。セルロース原料にリン酸系化合物Aの粉末や水溶液を混合する方法、セルロース原料のスラリーにリン酸系化合物Aの水溶液を添加する方法等が挙げられる。リン酸系化合物Aはリン酸、ポリリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ポリホスホン酸あるいはこれらのエステルが挙げられる。これらは塩の形態であってもよい。上記の中でも、低コストであり、扱いやすく、またパルプ繊維のセルロースにリン酸基を導入して、解繊効率の向上が図れるなどの理由からリン酸基を有する化合物が好ましい。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、メタリン酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、メタリン酸アンモニウム等が挙げられる。これらは1種、あるいは2種以上を併用してリン酸基を導入することができる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、下記解繊工程で解繊しやすく、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましい。特にリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムが好ましい。また、反応を均一に進行できかつリン酸基導入の効率が高くなることから前記リン酸系化合物Aは水溶液として用いることが望ましい。リン酸系化合物Aの水溶液のpHは、リン酸基導入の効率が高くなることから7以下であることが好ましいが、パルプ繊維の加水分解を抑える観点からpH3~7が好ましい。
本発明において、セルロース原料を解繊する装置は特に限定されないが、高速回転式、コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式、リファイナー、ビーター、PFIミル、ニーダー、ディスパーザー、グラインダー、キャビテーション噴流装置などの装置を用いてセルロース原料(通常は水分散体)にせん断力を印加することが好ましい。特に、MFCを得るためには、微細繊維を効率的に得られるビーター、グラインダーを用いることが好ましく、CNFを得るためには、セルロース原料(通常は水分散体)に50MPa以上の圧力を印加し、かつ強力なせん断力を印加できる湿式の高圧または超高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。また、解繊・分散処理に先立って、必要に応じて、予備処理を施すことも可能である。予備処理は、高速せん断ミキサーなどの公知の混合、撹拌、乳化、分散装置を用いて行うことができる。解繊装置での処理(パス)回数は、1回でもよいし2回以上でもよく、2回以上が好ましい。
実施例、比較例、および参考例で得られた硬化体(各10個以上)を圧縮強度試験機(アイコーエンジニアリング株式会社製、CH-1002P)を用いて、クロスヘッド速度5mm/分の条件下で応力を加え、破壊時の応力を試料断面積で除して、圧縮強度値を得た。なお、圧縮強度試験において、直線的な応力歪曲線を与えた試料のデータ(6個以上)を採用し、その算術平均を取り、圧縮強度値とした。圧縮強度値を下記基準で評価した。圧縮強度値および評価結果を表1に示す。値が大きいほど、圧縮強度に優れることを示す。
A:圧縮強度値が、3.5MPa以上
B:圧縮強度値が、3.1MPa以上、3.5MPa未満
C:圧縮強度値が、2.7MPa以上、3.1MPa未満
D:圧縮強度値が、2.3MPa以上、2.7MPa未満
E:圧縮強度値が、1.9MPa以上、2.3MPa未満
F:圧縮強度値が、1.9MPa未満
(TEMPO酸化セルロースナノファイバー1の製造)
漂白済み針葉樹由来DKP(バッカイ社製)5g(絶乾)を、TEMPO(Sigma Aldrich社)78mg(0.5mmol)と臭化ナトリウム755mg(7.3mmol)を溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に2M次亜塩素酸ナトリウム水溶液16mL添加した後、0.5N塩酸水溶液でpHを10.3に調整し、酸化反応を開始した(酸化処理)。反応中は系内のpHは低下するが、0.5N水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。2時間反応させた後、ガラスフィルターで濾過し、十分に水洗することで酸化セルロースを得た。得られた酸化セルロースのカルボキシル基量は、1.7mmol/gであった。これを水で5.0%(w/v)に調整し、超高圧ホモジナイザー(20℃、140MPa)で10回処理し(解繊及び分散処理)、セルロースナノファイバー(CNF)1の分散液を得た。平均繊維径は6nm、平均繊維長は230nmであった。透明度は、100%(固形分0.01%)および、92.5%(固形分1.0%)であった。また、このCNF1の分散液は、固形分濃度1wt%とした際の60rpmにおけるB型粘度が9mPa・sであり、6rpmにおけるB型粘度が10mPa・s未満であった。
(TEMPO酸化セルロースナノファイバー2の製造)
針葉樹由来の漂白済み未叩解クラフトパルプ(白色度85%)5.00g(絶乾)をTEMPO(Sigma Aldrich社)39mg(絶乾1gのセルロースに対し0.05mmol)と臭化ナトリウム514mg(絶乾1gのセルロースに対し1.0mmol)を溶解した水溶液500mLに加え、パルプが均一に分散するまで撹拌した。反応系に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、次亜塩素酸ナトリウムが6.0mmol/gになるように添加し、酸化反応を開始した。反応中は系内のpHが低下するが、3M水酸化ナトリウム水溶液を逐次添加し、pH10に調整した。次亜塩素酸ナトリウムを消費し、系内のpHが変化しなくなった時点で反応を終了した。反応後の混合物を塩酸を用いて酸性化処理した後、ガラスフィルターで濾過してパルプ分離し、パルプを十分に水で洗浄することで酸化されたパルプ(カルボキシル化セルロース)を得た。この時のパルプ収率は90%であり、酸化反応に要した時間は90分、カルボキシル基量は1.6mmol/gであった。これを水で1.0%(w/v)に調整し、3M水酸化ナトリウム溶液を添加してpH7に調整した。超高圧ホモジナイザー(20℃、150Mpa)で3回処理して、セルロースナノファイバー(CNF)2の分散液を得た。平均繊維径は3nm、平均繊維長は550nmであった。透明度は、100%(固形分0.01%)および88.9%(固形分1.0%)であった。また、このCNF2の分散液は、固形分濃度1wt%とした際の60rpmにおけるB型粘度が3260mPa・sであり、6rpmにおけるB型粘度が22530mPa・sであった。
(機械処理ミクロフィブリルセルロースの製造)
晒サーモメカニカルパルプ(BCTMP)を水で2.0%(w/v)に調整し、ナイヤガラビーターで濾水度を100mL以下とした後、グラインダー(マスコロイダー)で3回処理して、機械処理ミクロフィブリルセルロース(MFC)の分散液を得た。平均繊維径は21μm、平均繊維長は211μmであった。透明度は、25.4%(固形分0.01%)であった。なお、固形分を1.0%とした場合は、透明度が低すぎて、測定不能であった。また、このMFC分散液は、1wt%とした際の60rpmにおけるB型粘度が140mPa・sであり、6rpmにおけるB型粘度が540mPa・sであった。また、このMFC分散液を1wt%とした際のpHは7.9であった。
焼石膏58.7gに、製造例1で得られたTEMPO酸化CNF1(固形分5%)を、CNFの固形分濃度が、得られる硬化体の0.5wt%となる量添加混合し、さらに水73.8gを添加混合してスラリーを調製した。ポリフルオロエチレン(テフロン(登録商標))製の、内径10mm、高さ30mmの空間を有する型枠を10個以上用意し、このスラリーを装填し、硬化させた後、脱型して、37.5℃で恒量になるまで乾燥し、比重が0.7の石膏硬化体を得た。
焼石膏58.4gに、製造例1で得られたTEMPO酸化CNF1(固形分5%)を、CNFの固形分濃度が、得られる硬化体の1.0wt%となる量添加混合し、さらに水57.6gを添加混合してスラリーを調製した。このスラリーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比重が0.7の石膏硬化体を得た。得られた石膏硬化体のSEM観察結果の画像を図1に示した。
焼石膏58.1gに、製造例1で得られたTEMPO酸化CNF1(固形分5%)を、CNFの固形分濃度が、得られる硬化体の1.5wt%となる量添加混合し、さらに水60.1gを添加混合してスラリーを調製した。このスラリーを用いたこと以外は実施例1と同様にして、比重が0.7の石膏硬化体を得た。
セルロース微細繊維として、製造例1で得られたTEMPO酸化CNF1に代えて、製造例3で得られた機械処理MFC(固形分2%)を添加したこと以外は実施例1と同様にして、比重が0.7の石膏硬化体を得た。
機械処理MFCの添加量を、MFCの固形分濃度が、得られる硬化体の1.0wt%となる量に変更したこと以外は実施例4と同様にして、比重が0.7の石膏硬化体を得た。
機械処理MFCの添加量を、MFCの固形分濃度が、得られる硬化体の1.5wt%となる量に変更したこと以外は実施例4と同様にして、比重が0.7の石膏硬化体を得た。
焼石膏56.1gに、Ca(OH)2(関東化学株式会社製、試薬特級)を、炭酸化後のCaCO3換算で、炭酸化後に得られる硬化体の5.0wt%となる量添加混合し、さらに水80.2gを添加混合してスラリーを調製した。このスラリーを実施例1と同じ型枠に装填し、硬化させた後、脱型して、37.5℃で恒量になるまで乾燥し、比重が0.7の石膏硬化体を得た。得られた硬化体は、23℃、相対湿度93%、0.3気圧の二酸化炭素、0.7気圧の窒素ガスの雰囲気に24時間保持することにより、炭酸化させた。
Ca(OH)2の添加量を、炭酸化後のCaCO3換算で、炭酸化後に得られる硬化体の10wt%となる量に変更したこと以外は比較例1と同様にして、比重が0.7の石膏硬化体を得た。
製造例1で得られたTEMPO酸化CNF1に代えて、カオリナイト(自然化粧品研究所製、ホワイトカオリン)を添加したこと、及び、添加量を、得られる硬化体の1.0wt%となる量に変更したこと以外は実施例1と同様にして、比重が0.7の石膏硬化体を得た。
製造例1で得られたTEMPO酸化CNF1に代えて、ベントナイト(白石工業株式会社製、国産品)を添加したこと、及び、添加量を、得られる硬化体の1.0wt%となる量に変更したこと以外は実施例1と同様にして、比重が0.7の石膏硬化体を得た。
製造例1で得られたTEMPO酸化CNF1に代えて、Al(OH)3(関東化学株式会社製、試薬特級)を添加したこと、及び、添加量を、得られる硬化体の5.0wt%となる量に変更したこと以外は実施例1と同様にして、比重が0.7の石膏硬化体を得た。
Al(OH)3の添加量を、得られる硬化体の10wt%となる量に変更したこと以外は比較例5と同様にして、比重が0.7の石膏硬化体を得た。
製造例1で得られたTEMPO酸化CNF1に代えて、製造例2で得られたTEMPO酸化CNF2(固形分1%)を添加したこと以外は実施例1と同様にして、比重が0.7の石膏硬化体を得た。
TEMPO酸化CNF2の添加量を、CNFの固形分濃度が、得られる硬化体の1.0wt%となる量に変更したこと以外は比較例7と同様にして、比重が0.7の石膏硬化体を得た。
添加剤を用いずに、硬化体を得た。具体的には、焼石膏59.0gに水80.6gを添加混合してスラリーを調製した。このスラリーを実施例1と同様の手順で成形、硬化、脱型、乾燥し、比重が0.7の石膏硬化体を得た。得られた石膏硬化体のSEM観察結果の画像を図2に示した。
Claims (3)
- 石膏と、60rpmにおけるB型粘度が、2000mPa・s以下であるセルロース微細繊維とを含有し、
前記セルロース微細繊維は、化学変性セルロースナノファイバーであり、
前記化学変性は、セルロースにアニオン性基を導入するアニオン変性である、石膏硬化体。 - 前記セルロース微細繊維の含有量が、0.1~5重量%である請求項1に記載の石膏硬化体。
- 前記化学変性セルロースナノファイバーは、TEMPO酸化セルロースナノファイバーである請求項1または2に記載の石膏硬化体。
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