JP7841902B2 - 硬化体及びその製造方法 - Google Patents
硬化体及びその製造方法Info
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Description
そこで本発明は、天然コンクリーションを応用し、セメントの使用量を極力減らすことで低炭素化に寄与し且つ高強度の実現が可能である硬化体及びその製造方法を提供することにある。
本発明は前記の知見に基づきなされたものであり、粉体と液体とを混合し硬化させてなる硬化体であって、
前記粉体は、消石灰と、セメントと、骨材とを含み、
前記液体は、グリセロールカーボネートと、ジメチルカーボネートとを含む、硬化体を提供することにより前記の課題を解決したものである。
前記粉体同士を混合した粉体混合物を作製するとともに前記液体同士を混合した液体混合物を作製し、
前記粉体混合物と前記液体混合物とを混合して硬化させる、硬化体の製造方法を提供するものである。
グリセロールカーボネートと、ジメチルカーボネートとを含む液体成分パッケージとの組み合わせを備えた硬化体製造用キットを提供するものである。
本発明は硬化体に関するものである。本発明の硬化体は、粉体成分と液体成分とを混合し、コンクリーションを応用した硬化機序に基づき該粉体成分を硬化させることによって生じる。つまり、本発明の硬化体はその製造方法によって特定されるものである。この理由は、本発明の硬化体は、該硬化体を構成する成分やその含有量、あるいは該硬化体を代表する物性値で直接的に特定することに馴染まないものであり、またそのような特定を行うことは現実的でなく、このような表現をとらざるを得ない不可能事情が存在するからである。
グリセリンを生じる化合物として、グリセロールカーボネートを単独で用い、ジメチルカーボネートを用いない場合には、グリセロールカーボネートに由来する過剰量のグリセリンが生じてしまうことがある。この理由は、粉体成分と、液体成分とを作業性よく混練するためには、粉体成分の使用量に対して、液体成分をある程度多量に使用する必要があるからである。過剰量のグリセリンは、コンクリーションの進行中及び/又はコンクリーションが完了した後の硬化体中に残存し、硬化体の表面に漏出する。漏出したグリセリンは硬化体の外観を損なう一因となる。また、漏出したグリセリンは硬化体の強度低下の一因ともなる。そこで本発明においては、グリセロールカーボネートを単独で用いる場合の上述の不都合を解消する目的で、グリセロールカーボネートに加えてジメチルカーボネートも用い、過剰量のグリセリンが生成することを抑制している。なお、ジメチルカーボネートはその加水分解によってメタノールを生じるところ、メタノールはグリセリンよりも高速で揮発することから、メタノールは硬化体の表面に露出しづらい。このように本発明においては、グリセロールカーボネートとジメチルカーボネートとを併用することで、粉体成分と液体成分との作業性のよい混練を実現しつつ、過剰量のグリセリンの生成を抑制している。
なお、グリセロールカーボネートを用いず、ジメチルカーボネート単独で用いた場合には、見かけ上硬化を生じるが、単に材料がまとまっているに過ぎず、圧縮強度は1N/mm2にも満たない。
したがって、本発明においては、グリセロールカーボネート及びジメチルカーボネートに代えてグリセリンを用いることは有利とは言えない。尤も、硬化速度のコントロールの観点から、グリセロールカーボネート及びジメチルカーボネートに加えてグリセリンを用いることは許容される。この場合、グリセリンの使用量は、グリセロールカーボネート及びジメチルカーボネートの合計100質量部に対して、好ましくは30質量部以下であり、更に好ましくは10質量部以下である。
なお、本発明の硬化体は、これ気中放置すると、初期は強度が低下し、その後強度が増加に転じる傾向を示す。強度が低下する理由は炭酸カルシウムの成長によって、硬化体が膨張し、その内部に欠陥が生じるからであると考えられる。強度が増加に転じる理由は、炭酸カルシウムの成長が継続し、欠陥を埋めるからであると考えられる。
なお消石灰と同様に、水中でカチオンを与え塩基性を示す物質である水酸化マグネシウム、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムを消石灰に代えて硬化の実験を行ったところ、硬化体の強度は消石灰を用いた場合が最も高いことが本発明者によって確認された。この事実に基づくと、本発明において消石灰を用いることの優位性が明らかである。
セメントが強塩基性であると、グリセロールカーボネートの加水分解が促進されると推測される。したがって、セメントの添加量を制御することによって、硬化速度を調整できるので好ましい。
ポルトランドセメントとしては、例えば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント及び耐硫酸塩ポルトランドセメントが挙げられる。
これらのセメントは1種を単独で使用してもよく、あるいは2種以上を組み合わせて使用してもよい。特にポルトランドセメント又はアルミナセメントを用いることが製造コストの観点から好ましい。
なお、セメントの特性を表す代表的な指標の一つにブレーン比表面積があるところ、本発明で用いるセメントのブレーン比表面積に特に制限はなく、コンクリートやモルタルの製造に用いられるセメントが有する一般的なブレーン比表面積を採用することができる。
一つ目の理由はセメントと、シリカヒュームとでポゾラン反応が生じ、ポゾラン反応生成物が生成されているためである。二つ目の理由は、シリカヒュームによるマイクロフィラー効果である。セメントにおけるマイクロフィラー効果とは、微粒なシリカヒュームがセメント粒子の隙間に充填されることによる材料の分散性、充填性の向上効果である。すなわち、本発明において粉体成分と液体成分とを混合して硬化を生じさせると、セメントのみならず、他の粉体の間隙(例えば後述する骨材)にもシリカヒュームが入り込むことで充填性及び分散性が向上していると考えられる。硬化体において充填性及び分散性が向上することは、硬化体の強度向上に寄与すると考えられる。
同様の観点から、シリカヒュームの使用量は、セメントの使用量との関係で、シリカヒューム100質量部に対して、セメントを50質量部以上250質量部以下とすることが好ましく、75質量部以上200質量部以下とすることが更に好ましく、100質量部以上150質量部以下とすることが一層好ましい。
骨材として粒径の異なる2種以上の骨材の組み合わせを用いる場合には、該骨材が、メジアン径(D50)が25μm以上250μmより小さい第1骨材と、メジアン径(D50)が250μm以上1000μm以下の第2骨材とを含むことが、硬化体の強度が一層向上する観点から好ましい。また、メジアン径が50μm以上200μmより小さい第1骨材と、メジアン径が250μm以上500μm以下の第2骨材とを含むことがより好ましい。
第1骨材と第2骨材とは、その種類が同じであってもよく、あるいは異なっていてもよい。特に好ましくは、第1骨材及び第2骨材のいずれもがケイ砂である。
第1骨材と第2骨材とは、それらを混合した後の混合骨材の平均粒径が上述の範囲内である限りにおいて、両者の配合割合を広く設定することができる。硬化体の一層の強度向上を図る観点からは、第1骨材及び第2骨材の合計100質量部に対して第1骨材を50質量部以上含むことが好ましく、60質量部以上95質量部以下含むことが更に好ましく、70質量部以上90質量部以下含むことが一層好ましい。
例えば粉体成分パッケージに減水剤を添加することができる。減水剤としては、例えばニトロフミン酸塩、リグニンスルホン酸塩、クエン酸、ポリカルボン酸、ナフタレンなどが挙げられる。
一方、液体成分パッケージに、上述したグリセロールカーボネート及びジメチルカーボネート以外の炭酸エステルを添加することもできる。そのような炭酸エステルとしては、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、1,3-ジオキサン-2-オン、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-クロロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-ビニル-1,3-ジオキソラン-2-オン、4-メトキシ-1,3-ジオキソラン-2-オン、炭酸ビニレンが挙げられる。
混合機としてパドルミキサーを用いる場合、撹拌体として木の葉型のものやフック型のものなどを用いることができる。これらの撹拌体のうち、フック型のものを用いると、両パッケージの混合物に高い剪断力が加わり、各成分が十分に且つ均一に混合されるので、高強度の硬化体が得られやすい点から好ましい。
また本発明の硬化体を、緊急工事に用いられる止水材として用いることもできる。この止水材は河川の氾濫や、上下水道管の破裂等によって溢水した場合に好適に使用される。
本発明の硬化体を地盤改良材等の固化材としても用いることができる。この場合、天然コンクリーションと同様に、炭酸カルシウムの成長によって、地中に硬化体を生成させることができるので好ましい。
また本発明の硬化体を、インターロッキングブロックに用いることができる。インターロッキングブロックは、従来、その製造に蒸気養生が必要であったが、本発明においては蒸気養生が必要ないという点で有利である。
更に、本発明の硬化体を、コンクリート構造物やモルタル構造物の表面に生じた損傷箇所の補修に用いることができる。具体的には、該構造物の表面に生じたひびなどの損傷箇所に、前記両パッケージの混合物を塗り込むことで、該補修箇所を埋めて補修することができる。この場合にも、天然コンクリーションと同様に、炭酸カルシウムの成長によって損傷箇所が自己修復する。
・消石灰(カルブリード、宇部マテリアルズ製、密度2.21g/cm3、平均粒径6.5μm)
・普通ポルトランドセメント(ONC、宇部興産製、密度3.16g/cm3、平均粒径15μm)
・シリカヒューム(CN、SKW製、密度3.16g/cm3、平均粒径2μm)
・第1のケイ砂(N70、瓢屋製、密度2.60g/cm3、平均粒径155μm、メジアン径158μm)
・第2のケイ砂(6号、宇部サンド工業製、密度2.60g/cm3、平均粒径308μm、メジアン径302μm)
・グリセロールカーボネート(宇部興産製)
・ジメチルカーボネート(宇部興産製)
(1)粉体成分パッケージの調製
消石灰、普通ポルトランドセメント、シリカヒューム、並びに第1のケイ砂及び第2のケイ砂を、表1に示す割合(質量部)で混合して粉体成分パッケージを調製した。なお、実施例1及び比較例1~3において、第1のケイ砂と、第2のケイ砂とをあわせた平均粒径は199μmであり、メジアン径は174μmであった。
1,2-グリセロールカーボネート(GC)及びジメチルカーボネート(DMC)を、表1に示す割合(質量部)で混合して液体成分パッケージを調製した。
フック型の撹拌体を備えたモルタルミキサーに粉体成分パッケージ及び液体成分パッケージを投入し、23℃・湿度70%RHの条件下で混合を行った。なお、混合は硬化が観察されるまで行い、本実施例では5分間であった。
両パッケージの混合物を、縦10mm、横60mm、深さ10mmの型枠に流し込み、23℃・湿度70%RHの条件で3時間保持することで硬化を行った。このようにして硬化体を得た。
表1に示す粉体成分パッケージ及び液体成分パッケージを用いた以外は実施例1と同様にして硬化体を得た。粉体成分パッケージと液体成分パッケージとの混合は硬化が観察されるまで行い、比較例1では4分間、比較例2では7分30秒、比較例3では5分間であった。
実施例及び比較例で得られた硬化体について、気中及び水中での圧縮強度、質量変化及び密度変化を以下の方法で測定した。また、気中曲げ強度を以下の方法で測定した。それらの結果を表1に示す。
硬化体について、「JIS R 5201 セメントの物理試験方法」に基づいて、圧縮強度を評価した。脱型直後に評価をしたものを材齢0日の試験結果として表1に示した。また、脱型してから、23℃・湿度70%RHの条件で1日放置した硬化体の圧縮強度を気中1日放置の試験結果として表1に示した。また、脱型してから、23℃の水中に1日放置した硬化体の圧縮強度を水中1日放置の試験結果として表1に示した。
脱型直後の硬化体について質量を測定し、また、縦10mm、横60mm、深さ10mmとした硬化体の見かけの密度を測定した。更に、脱型してから、23℃・湿度70%RHの条件で1日放置した硬化体の質量及び見かけの密度を測定した。更に、脱型してから、23℃の水中に1日放置した硬化体の質量及び見かけの密度を測定した。結果を表1に示す。
硬化体について、「JIS R 5201 セメントの物理試験方法」に基づいて曲げ強度を評価した。また脱型してから、23℃・湿度70%RHの条件で7日放置した硬化体の曲げ強度を評価した。結果を表1に示す。
Claims (7)
- 粉体と液体とを混合し硬化させてなる硬化体であって、
前記粉体は、消石灰と、セメントと、骨材とを含み、
前記液体は、グリセロールカーボネートと、ジメチルカーボネートとを含み、
前記ジメチルカーボネートの含有量が、前記グリセロールカーボネートと、前記ジメチルカーボネートとの合計100質量部に対して15質量部以上50質量部以下であり、
前記グリセロールカーボネートと、前記ジメチルカーボネートとを合計した含有量が、前記消石灰100質量部に対して80質量部以上200質量部以下であり、
前記セメントの含有量が、前記消石灰70質量部に対して10質量部以上70質量部以下である、硬化体。 - 請求項1に記載の硬化体であって、
前記セメントは、ポルトランドセメント又はアルミナセメントである、硬化体。 - 請求項1又は2に記載の硬化体であって、
前記粉体が、更にシリカヒュームを含む、硬化体。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載の硬化体であって、
前記骨材が、炭酸カルシウム又はケイ砂である、硬化体。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の硬化体であって、
前記硬化体は、河川護岸用二次製品、止水材、又は地盤改良材に用いられる、硬化体。 - 消石灰と、セメントと、骨材とを含む粉体成分パッケージと、
グリセロールカーボネートと、ジメチルカーボネートとを含む液体成分パッケージとの組み合わせを備えた硬化体製造用キットであって、
前記液体は、グリセロールカーボネートと、ジメチルカーボネートとを含み、
前記ジメチルカーボネートの含有量が、前記グリセロールカーボネートと、前記ジメチルカーボネートとの合計100質量部に対して15質量部以上50質量部以下であり、
前記グリセロールカーボネートと、前記ジメチルカーボネートとを合計した含有量が、前記消石灰100質量部に対して80質量部以上200質量部以下であり、
前記セメントの含有量が、前記消石灰70質量部に対して10質量部以上70質量部以下である、硬化体製造用キット。 - 請求項1から6のいずれか1項に記載の硬化体の製造方法であって、
前記粉体同士を混合した粉体混合物を作製するとともに前記液体同士を混合した液体混合物を作製し、
前記粉体混合物と前記液体混合物とを混合して硬化させる、硬化体の製造方法。
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