JP7841776B1 - ホモポリマーおよび遮蔽材料を含むホモポリマー組成物からホモポリマーを分解するための方法 - Google Patents

ホモポリマーおよび遮蔽材料を含むホモポリマー組成物からホモポリマーを分解するための方法

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Abstract

【課題】 安全かつ効率的にホモポリマーを分解することのできる、ホモポリマーを分解するための方法を提供すること。
【解決手段】 ホモポリマーおよび遮蔽材料を含むホモポリマー組成物から該ホモポリマーを分解するための方法を開示する。本発明の方法は、ホモポリマー組成物を金属酸化物の存在下で加熱する工程を含む。ここで、ホモポリマーは環状モノマー由来のポリマーである。本発明によれば、ホモポリマーを効率良く分解することができ、その分解の際に副反応を生じる可能性が少なくできる。また環状モノマー成分を良好な収率で回収可能である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ホモポリマーおよび遮蔽材料を含むホモポリマー組成物からホモポリマーを分解するための方法に関する。
従来から、ポリマーを分解する手法の検討が行われている。多くのポリマーは400~600℃に加熱すれば熱分解するが、反応を制御することは難しく、様々な反応が多発的に起こるため反応生成物の安全性が問題にあることがある上に分解収率は必ずしも高くない。そのため、エネルギー的にも優位なより低温でかつ分解反応収率の高い反応が必要とされている。特に、単一モノマーから構成されるホモポリマーでは分解反応を制御できれば、回収したモノマー再利用することもできるのでなおさらである。
特許文献1には、生分解性樹脂と光触媒機能を有する微粉末酸化チタンとからなる生分解性樹脂組成物が開示されている。生分解性樹脂としてはポリ乳酸または乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸のコポリマーが例示されている。この技術によれば、微生物による生分解性樹脂の分解と、微粉末酸化チタンの光触媒作用による分解とを併用することで、自然環境下で優れた分解性を示す生分解性樹脂組成物を得ることができる。
特許文献2には、熱可塑性樹脂からなる樹脂成形体に表面保護層が積層されて形成された樹脂積層体が開示されている。この表面保護層は樹脂成形体から分離可能であり、樹脂成形体には光触媒活性を有する金属酸化物が含有されている。樹脂成型体としては、ポリオレフィン、ポリスチレン等が例示され、光触媒活性を有する金属酸化物としては酸化チタン等が例示されている。この樹脂積層体は、廃棄またはリサイクルする際には表面保護層を分離し、天日などに暴露することで、光触媒活性により樹脂成形体の自然分解を促進することができる。
しかし、特許文献1の生分解性樹脂組成物および特許文献2の樹脂積層体はいずれも、自然環境下での分解を意図しており、特に使い捨ての梱包材や食器等に用いるポリマーを対象としたものに過ぎない。このため、自然環境下の分解のために長期間を要し、分解に要する期間中、当該ポリマーの飛散に対する安全性の確保が必要とされる。また、このような自然環境下の分解は効率的であるとは言い難い。
特開2004-99739号公報 特許第4715303号公報
本発明は、上記課題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、安全かつ効率的にホモポリマーを分解することのできる、ホモポリマーおよび遮蔽材料を含むホモポリマー組成物からホモポリマーを分解するための方法を提供することにある。
本発明は、ホモポリマーおよび遮蔽材料を含むホモポリマー組成物から該ホモポリマーを分解するための方法であって、
該ホモポリマー組成物を金属酸化物の存在下で加熱する工程を含み、
該ホモポリマーが、環状モノマー由来のポリマーである、方法である。
1つの実施形態では、上記遮蔽材料は酸化チタンである。
1つの実施形態では、上記金属酸化物は、酸化チタンおよび酸化マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1種の化合物である。
1つの実施形態では、上記金属酸化物の配合量は、上記ポリマー組成物に含まれる上記遮蔽材料の配合量に基づいて算出された量である。
さらなる実施形態では、上記ポリマー組成物に含まれる上記遮蔽材料の配合量は、黒鉛炉原子吸光法、比色法、アルミニウム還元鉄(III)滴定法、原子吸光法、X線回折法(XRD)、エネルギー分散型X線分析法、蛍光X線分析法(XRF)、誘導結合高周波プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)、および誘導結合高周波プラズマ質量分析法(ICP-MS)からなる群から選択される少なくとも1つの方法により測定された量である。
さらなる実施形態では、上記ポリマー組成物に含まれる上記遮蔽材料の配合量は、上記ポリマー組成物を熱分解して得られる灰分質量から算出された量である。
さらなる実施形態では、上記金属酸化物の配合量は、以下の式(I)に基づいて算出された量である:
Y=Z-X (I)
式(I)中、
Xは上記ホモポリマー組成物の全体質量に対する上記遮蔽材料の配合量(質量%)であり、
Yは上記ホモポリマー組成物および該金属酸化物の全体質量に対する該金属酸化物の量(質量%)であり、
Zは0.5~3.5質量%である。
1つの実施形態では、上記加熱工程で付与される温度は265~325℃である。
1つの実施形態では、上記ホモポリマーはポリ乳酸である。
1つの実施形態では、上記加熱工程は窒素気流下または減圧下で行われる。
さらなる実施形態では、上記加熱工程は減圧下で行われ、かつ該減圧下における真空度が0.5~30kPaである。
1つの実施形態では、上記ホモポリマー組成物は、最大辺が20mm以下に裁断された形態を有する。
1つの実施形態では、上記ホモポリマー組成物は繊維製品の形態を有する。
本発明によれば、ホモポリマーを効率良く分解することができる。本発明はまた、その分解の際に副反応を生じる可能性が少なくすることができ、モノマー成分を良好な収率で回収可能である。
以下、本開示の例示的な実施形態について説明する。ただし、本開示は下記実施形態に何ら限定されるものではない。なお、本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、具体的に明示する場合を除き、「~」の前後に記載される数値の単位は同じである。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。
以下、本発明の方法について説明する。
本発明の方法では、ホモポリマーおよび遮蔽材料を含むホモポリマー組成物が金属酸化物の存在下で加熱される。
本発明の方法によれば、ホモポリマーを無触媒や他の触媒よりも低濃度かつ低温で分解することができる。さらに、このようなホモポリマーの分解方法は、副反応を起こし難く、高いモノマー回収率を得ることができる。
(ホモポリマー)
本発明におけるホモポリマーは、同一の種類の単位分子(モノマー)の繰り返しにより構成される高分子化合物を指して言い、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸、ポリアミド6、ポリアミド12、ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
なお、上記ホモポリマーは例えば繊維状の形態を有し、これを基材として含有する製品(繊維製品)の一部であってもよい。
本発明におけるホモポリマーは環状モノマーから構成されるものであってもよい。すなわち、ホモポリマーは、環状モノマーを重合して得られるものであってもよい。
環状モノマーは、環状ラクトン、環状ラクタム、環状エ-テル、ラクチド等のモノマーである。環状ラクトンの例としては、カプロラクトン、バレロラクトン、ノナラクトン、ブチロラクトン、プロピオラクトン等が挙げられる。環状ラクタムの例としては、プロピオラクタム、ブチロラクタム、バレロラクタム、カプロラクタム、ラウロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム等が挙げられる。環状エ-テルの例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキサノン等が挙げられる。ラクチドは、2分子のヒドロキシ酸においてそれぞれのヒドロキシ基とカルボキシル基とが脱水縮合した分子内にエステル結合を2個有する環状化合物であり、例えば、グリコリド、3,6-ジメチル-1,4-ジオキサン-2,5-ジオン(2-ヒドロキシプロピオン酸(乳酸)由来)、1,6-ジオキサシクロデカン-2,7-ジオン(4-ヒドロキシブタン酸由来)等が挙げられる。これらの中でも、いわゆる乳酸由来のラクチドは光学活性物質である場合もあり、L-ラクチド、D-ラクチド、meso-ラクチドがある。
これらを重合することにより、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリノナラクトン、ポリブチロラクトン、ポリプロピオラクトン、ポリプロピオラクラム、ポリブチロラクタム、ポリバレロラクタム、ポリカプロラクタム、ポリラウロラクタム、ポリエナントラクタム、ポリウンデカンラクタム、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリジオキサン、ポリジオキサノン、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブタン酸などのホモポリマーが得られる。環状モノマーから重合されたホモポリマーは本発明の分解反応において副反応が起こりにくく、モノマー回収しやすいため、本発明の触媒組成物が使用されるホモポリマーの対象として好適である。
(ポリ乳酸)
本発明における好ましいホモポリマーとしては、ポリ乳酸が挙げられる。
ポリ乳酸としては、融点が高いとの理由から、L-乳酸率が高いポリ乳酸が好ましく使用される。ポリ乳酸のL-乳酸率は、好ましくは96%以上であり、より好ましくは98%以上であり、さらに好ましくは98.6%以上である。本発明におけりホモポリマーを構成するポリ乳酸は1種のみで構成されていてもよく、2種以上を組み合わせて構成されていてもよい。
ポリ乳酸の重量平均分子量は特に限定されない。本発明においては、分解が所望されるポリ乳酸は成形品の成形加工方法や形状や用途によって、様々な重量平均分子量を有するものであってもよい。
上記ホモポリマー組成物はまた、必要に応じて、任意の適切なその他の成分(添加剤)や充填剤などを含有していてもよい。
ポリマー組成物を構成し得る添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ブロッキング防止剤、抗菌剤、相溶化剤、可塑剤、粘着付与剤、加工助剤、潤滑剤、カップリング剤、難燃剤、脱酸素剤、発泡剤、着色剤等が挙げられる。上記添加剤は、例えば、液体、粉体、ペレット、顆粒の形態、またはマスターバッチ等の形態で、ホモポリマーの製造工程において任意のタイミングで投入され得る。ポリマー組成物を構成し得る添加剤は、少なくとも1種であり、その含有量は当業者によって適宜選択され得る。
なお、本発明のホモポリマー組成物は、任意の形態を有するものであってもよい。例えば、球状やストランドカット状のペレットであってもよく、公知の成形方法(例えば、射出成形、押出し成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、異形押出し成形、インフレーション成形、プレス成形、溶融紡糸、溶液紡糸、真空成形、真空圧空成形、熱板成形など)を用いて成形された成形品であってもよい。また上記成形品としては、例えば、筐体、容器、袋、チューブ、カップ、ボトル、トレー、長・短繊維、布帛製品などを包含し、その形状、大きさ、厚みなどに関しては特に限定されない。
ここで、上記ホモポリマー組成物で構成される繊維製品は、概して他の成形品よりも質量当たりの表面積が大きいため、後述する金属酸化物と接触易い点で好ましい。このような繊維製品は、交織、交編、混紡、交撚などによって、綿、麻、ウール、シルク、テンセルなどの天然繊維;レーヨン、キュプラ、ポリノジックなどの再生繊維;アセテート、トリアセテート、プロミックスなどの半合成繊維;などの他の繊維が複合化されていてもよい。
また本発明に使用され得るホモポリマー組成物は、細分化により表面積を増大してホモポリマーの分解反応か加速させるために最大辺が20mm以下にまでに裁断された形態を有するものであることが好ましい。
本発明において、ホモポリマー組成物中に含まれるホモポリマーの含有量は特に限定されないが、例えばポリマー組成物の全体質量を基準として、好ましくは50質量%~99質量%、より好ましくは70質量%~99質量%である。ポリマー組成物中に含まれるホモポリマーの含有量が50質量%を下回ると、ホモポリマー以外の含有物の分解により、ホモポリマーの分解が阻害され、目的の分解反応性が低下し、分解生成物(例えば、モノマー)回収率が低下することがある。
(遮蔽材料)
ポリマー組成物に含まれる遮蔽材料は、ホモポリマーに練り込むことにより、可視光線、赤外線、および紫外線のいずれをも吸収せず、反射および/または散乱させる材料である。例えば、可視領域に特定の吸収を有しておらず、高い反射率を有し、屈折率が大きく不透明なものであることが好ましい。
遮蔽材料の例としては、無機化合物である酸化チタン(チタン白)、亜鉛華(亜鉛白)、リトポン、および鉛白、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。酸化チタンは、屈折率がかなり高く、したがって高い隠ぺい力を有しており、熱的にも化学的に安定であり、安全性が高いことから遮蔽材料として好ましい。
本発明において、遮蔽材料として使用される酸化チタンとは、酸化チタン(IV)(TiO2)を指して言う。
使用され得る酸化チタンの結晶構造としては、アナターゼ型(正方晶)、ルチル型(正方晶、図参照)、およびブルッカイト型(斜方晶)が挙げられる。本発明では、触媒としての活性が最も高いことから、アナターゼ型酸化チタンであることが好ましい。
なお、酸化チタンの触媒活性を高めるために、比表面積の大きい方ものを用いることが好ましい。本発明における酸化チタンのBET比表面積の下限値は好ましくは5m2/g以上、より好ましくは10m2/g以上である。また酸化チタンの粒子径をより小さくすることでさらに比表面積が大きくなり触媒性能を高めることができるが、ナノスケールの微粒子化が必要となることから、製造時の負荷や、ホモポリマーへの混合加工時やホモポリマー使用時における安定性も考慮すると、酸化チタンのBET比表面積の上限値は好ましくは300m2/g以下、より好ましくは200m2/g以下である。
遮蔽材料の含有量について、ホモポリマー組成物中に含まれる遮蔽材料が酸化チタンである場合について説明する。
ホモポリマー組成物中に含まれる遮蔽材料が酸化チタンである場合、当該酸化チタンは後述の金属酸化物とともに当該組成物中に含まれるホモポリマーの分解における触媒として機能し得る。このため、本発明においては、ホモポリマー組成物中に含まれる遮蔽材料(酸化チタン)の配合量が測定されていることが好ましい。
ホモポリマー組成物中に含まれる遮蔽材料(酸化チタン)の配合量は、例えば、黒鉛炉原子吸光法、比色法、アルミニウム還元鉄(III)滴定法、原子吸光法、X線回折法(XRD)、エネルギー分散型X線分析法、蛍光X線分析法(XRF)、誘導結合高周波プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)、誘導結合高周波プラズマ質量分析法(ICP-MS)、および白色度測定から選択される少なくとも1つの方法を用いて測定できる。これら方法は酸化チタン定性・定量方法として公知である。
あるいは、ホモポリマー組成物中に含まれる遮蔽材料(酸化チタン)の配合量は、ポリマー組成物を熱分解して得られる灰分質量から算出したものであってもよい。概算にはなるが、灰分質量をそのままホモポリマー組成物中に含まれる酸化チタンの配合量として使用することができる。
(金属酸化物)
本発明における金属酸化物は、金属と酸素が結合した化合物である。これら金属酸化物は、上記ポリマー組成物中に含まれる遮蔽材料との組合せによって触媒活性を有し、ポリマー組成物中に含まれるホモポリマーの分解を促すことができる。
金属酸化物の例としては、酸化鉄(II)、磁性酸化鉄、酸化鉄(III)、酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ベリリウム、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化インジウム、酸化タリウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化バリウム、触媒としての酸化チタン、酸化ストロンチウム、酸化銅(I)、酸化銅(II)、過酸化銅、パラメラコナイト、酸化銅(III)、および酸化銅(IV)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
上記金属酸化物のうち、上記遮蔽材料との組み合わせによって高い触媒機能を発現し得るという点で、上記金属酸化物は触媒としての酸化チタンおよび/または酸化マグネシウムを含有することが好ましい。
ここで、触媒として使用される酸化チタンは、住宅や自動車の塗料、食品包装材インキ、冷蔵庫・洗濯機等の合成樹脂の顔料、カプセル・錠剤等の医薬品の着色料、チョコレート・ガム等の食品の着色剤、ナイロン・ポリエステル等の化学繊維の艶消し剤、化粧品の着色料などの用途向けに市販されているものを使用することができる。
当該触媒としての酸化チタンにおいては、他の金属類や製造工程で使用する硫酸など他の化学物質からなる不純物の少ない方が、触媒活性が高くかつホモポリマー分解時の分散性も高い。不純物の少ない方が、比抵抗値が大きいため、比抵抗値の下限値は好ましくは2,000Ω・cm以上、より好ましくは5,000Ω・cm以上である。なお、遠心分離機による粗粒子除去などの精製によって純度を高めることで比抵抗値をさらに向上させることができるが、精製の負荷などを考慮すると、比抵抗値の上限値は好ましくは12,000Ω・cm以下、より好ましくは10,000Ω・cm以下である。
また、触媒としての酸化チタンについて、酸化チタンの結晶構造にはアナターゼ型(正方晶)、ルチル型(正方晶、図参照)、ブルッカイト型(斜方晶)があるが、アナターゼ型が最も触媒としての活性が高いことから、アナターゼ型を使用することが好ましい。なお、比表面積の大きい方が、触媒活性が高いため、触媒としての酸化チタンについて、BET比表面積の下限値は好ましくは5m2/g以上、より好ましくは10m2/g以上である。また酸化チタンの粒子径をより小さくすることでさらに比表面積が大きくなると、触媒性能も高まる一方で、ナノスケールの微粒子化が必要となり、製造時の負荷が生じること考慮すると、触媒としての酸化チタンについて、BET比表面積の上限値は好ましくは400m2/g以下、より好ましくは300m2/g以下である。
酸化マグネシウムは、例えば、耐火物、各種添加剤、樹脂への充填剤、光学材料、電子部品用途、蛍光体原料、各種ターゲット材原料、超伝導薄膜下地用の原料、カラープラズマディスプレイパネル用の保護膜原料などの用途向けに市販されているものを使用することができる。
なお、酸化マグネシウムは、高い触媒活性を有するとの理由から比表面積の大きいものであることが好ましい。本発明における酸化マグネシウムのBET比表面積の下限値は好ましくは3m2/g以上、より好ましくは10m2/g以上である。また本発明における酸化マグネシウムのBET比表面積の上限値は好ましくは400m2/g以下、より好ましくは200m2/g以下である。酸化マグネシウムのBET比表面積がこのような範囲内であることにより、ホモポリマーへの優れた分散性を提供することができる。
本発明における金属酸化物の配合量は、好ましくは以下の式(I)に基づいて算出され得る:
Y=Z-X (I)
式(I)中、
Xはホモポリマー組成物の全体質量に対する遮蔽材料の配合量(質量%)であり、
Yはホモポリマー組成物および該金属酸化物の全体質量に対する該金属酸化物の量(質量%)であり、
Zは0.5~3.5質量%である。
(加熱)
本発明のホモポリマー組成物の加熱は、例えば反応装置内に仕込んだ状態で行われる。反応装置としては、特に限定されないが、例えば、回分式や連続式の槽型反応装置、リアクター、ミルロール、ミキサー、単軸又は二軸押出機などが挙げられる。反応装置は、電気式ヒーターや熱媒などによる加熱手段を備えたものであることが好ましい。
加熱のために付与される温度は、好ましくは265~325℃、より好ましくは270~300℃である。当該温度が265℃を下回ると、ホモポリマーの分解反応を通じて得られる反応生成物(例えば、モノマー)の収率が低くなることがある。当該温度が325℃を上回ると、分解反応を通じて得られる反応生成物(例えば、モノマー)の収率が低くなることがある。それは、触媒組成物の有無に関わらず組成物中のホモポリマーの熱分解が生じる温度領域となり、副反応が起こり、所望でない副生成物が生成し易くなることがあるためである。
なお、本発明の加熱工程は、ホモポリマー組成物と上記金属酸化物とが予め混合された状態で上記温度まで加熱されてもよく、あるいは上記反応装置内でホモポリマー組成物が上記温度まで加熱された後に反応装置内に金属酸化物が添加されてもよい。
また上記加熱工程において反応装置内は、常圧でもよいが、窒素などの不活性ガス雰囲気下で行うこともでき、また不活性ガス気流下もしくは減圧下で行ってもよい。分解反応を通じて得られる反応生成物(例えば、モノマー)を継続的に加熱下に置くと副次的な化学反応、劣化を受ける可能性があることから、速やかに系外へ排出ならびに回収することが好ましい。すなわち、減圧下で行うことが好ましい。
上記減圧の場合は、反応装置内の真空度が0.5~30kPaであることが好ましい。30kPaを上回ると分解反応を通じて得られる反応生成物を系外への排出効率が悪く、0.5kPaを下回ると、真空度が高すぎるために、真空排気口からのホモポリマー溢れ出て外部に排出されてしまうことがある。
加熱工程に要する時間は特に限定されないが、好ましくは2分間~60分間であり、より好ましくは5分間~30分間である。加熱工程に要する時間が2分間を下回ると、触媒効果が十分に発現されず、分解反応の収率が低下することがある。加熱工程に要する時間が60分を上回ると、分解反応が触媒によって活性化され過ぎることで分解の2次反応、副反応が起こり易くなり、分解を通じて得られる反応生成物(例えば、モノマー)収率が低くなることがある。
上記加熱工程を経て反応系内には、ホモポリマーが分解した反応生成物が生成される。このような反応生成物は、例えばホモポリマーを構成するモノマー(例えば、環状モノマー)である。
分解により生成したモノマーは当業者に公知の手段を用いて分離かつ精製が行われ、回収される。回収したモノマーは再びホモポリマーを形成するための材料として再利用することも可能である。
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
本実施例および比較例における1H-NMR測定および熱重量測定について、次の方法で測定した。
(1H-NMR測定)
分解反応生成物の解析を、ブルカー社製AV-600を用い、以下に示す分析条件で1H-NMR測定により行った。なお、NMR測定に使う溶媒は重クロロホルム、内部標準はテトラメチルシランを使用した。
(1)測定温度:23℃
(2)試料濃度:0.01g/0.6mL
(3)積算回数:8
(4)緩和時間:2秒
(5)溶剤:重クロロホルム
(6)化学シフト基準:内部標準試料中のテトラメチルシランのメチル基の水素原子シグナル(0.0ppm)
(熱重量測定)
窒素気流下での分解反応収率を、株式会社リガク製TG-DTA8122を用いて窒素気流下での熱重量測定によって行った。なお、昇温速度は毎分10℃で室温から所定温度まで昇温したのち、10分間保持した。
(実施例1)
ホモポリマーであるポリ乳酸(Total Corbion社製Luminy、L130)100質量部、および遮蔽材料として酸化チタン(富士チタン工業株式会社製TA301)0.3質量部を、2軸押出混練機にてシリンダー温度180~200℃の条件にて混練することによりポリ乳酸および遮蔽材料を含む混合物(ホモポリマー組成物)をペレット状で得た。
次いで、このペレットをシリンダー温度220℃に設定した押出機にフィードして溶融紡糸して長繊維を製造した。この長繊維を原糸として織った布帛100質量部を、撹拌機構を備える三口フラスコから構成される反応装置内に仕込み、酸化チタン(富士チタン工業株式会社製TA301)0.3質量部と、酸化マグネシウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)1.0質量部とを含有する触媒組成物(触媒組成物100質量部中に含まれる酸化チタンの含有量は、23.1質量部)の存在下で280℃まで加熱した。5分後から上記布帛が溶融し始め、10分後には完全に溶融したので反応装置内を撹拌した。
なお、反応装置内は冷却トラップを介して真空ポンプにより4kPaまで減圧した。撹拌開始数分後には分解物が装置内から留去し、冷却トラップ内にトラップされ、10分間保持すると系内からの留去は起こらなくなった。
反応装置内の残分より算出された分解回収率は94.0質量%であり、高い分解反応収率となった。
さらに、冷却トラップに回収された生成物の1H-NMR測定による解析を行った。
1.68ppm付近にL,L-ラクチドまたはD,D-ラクチドに由来するピークを観測した。また1.72ppm付近にD,L-ラクチドに由来するピークを観測した。なお、乳酸および乳酸重合物に帰属されるピークは観測されなかった。1H-NMRスペクトルによる各ピークの積分比よりそれぞれの存在比率を解析したところ、L,L-ラクチドまたはD,D-ラクチドの含有率が89.6質量%、D,L-ラクチドの含有率が10.4質量%であった。粗ラクチド(L,L-ラクチド、D,D-ラクチド、およびD,L-ラクチド)の含有率は100質量%であり、非常に高いモノマー回収率であった。
(実施例2)
ホモポリマーであるポリ乳酸(Total Corbion社製Luminy、L130)100質量部、および遮蔽材料として酸化チタン(富士チタン工業株式会社製TA301)0.3質量部を、2軸押出混練機にてシリンダー温度180~200℃の条件にて混練することによりポリ乳酸および遮蔽材料を含む混合物(ホモポリマー組成物)をペレット状で得た。
次いで、このペレットをシリンダー温度220℃に設定した押出機にフィードして溶融紡糸して長繊維を製造した。この長繊維を原糸として織った布帛100質量部を撹拌機構を備える三口フラスコから構成される反応装置内に仕込み、酸化チタン(富士チタン工業株式会社製TA301)0.1質量部と、酸化マグネシウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)0.5質量部とを含有する触媒組成物(触媒組成物100質量部中に含まれる酸化チタンの含有量は16.7質量部であった)の存在下にて280℃まで加熱した。5分後から上記布帛が溶融し始め、10分後には完全に溶融したので反応装置内を撹拌した。
なお、反応装置内は冷却トラップを介して真空ポンプにより4kPaまでに減圧した。撹拌開始数分後には分解物が装置内から留去し、冷却トラップ内にトラップされ、10分間保持すると系内からの留去は起こらなくなった。
反応装置内の残分より算出された分解回収率は90.7質量%であり、高い分解反応収率となった。
さらに、冷却トラップに回収された生成物の1H-NMR測定による解析を行った。
1.59ppm付近に乳酸および乳酸重合物のピークを観測し、1.68ppm付近にL,L-ラクチドまたはD,D-ラクチドに由来するピークを観測した。また1.72ppm付近にD,L-ラクチドに由来するピークを観測した。1H-NMRスペクトルによる各ピークの積分比よりそれぞれの存在比率を解析したところ、L,L-ラクチドまたはD,D-ラクチドの含有率は82.3質量%、D,L-ラクチドの含有率は12.0質量%、乳酸または乳酸重合物の含有率は5.7質量%であった。粗ラクチド(L,L-ラクチド、D,D-ラクチド、およびD,L-ラクチド)の含有率は94.3質量%であり、高いモノマー回収率となった。
(実施例3)
ホモポリマーであるポリ乳酸(Total Corbion社製Luminy、L130)に遮蔽材料として酸化チタンを含有した材料からなる長繊維を原糸として織った布帛サンプルを使用した。JIS,K 7250-1の直接灰化法にしたがって、上記サンプル25gをるつぼに入れ、600℃まで加熱して灰分を測定した。測定結果、灰分は1.0質量%であった。この含有量が遮蔽材料の含有量であると読み替え、以下の式(1):
Y=Z-X (1)
(ここで、Xは布帛サンプル中の遮蔽材料の含有量(1.0質量%)であり、Zは、3.5質量%である)に基づいて、この反応系に添加すべき金属酸化物の含有量(Y値)として2.5質量%を算出した。
この布帛を裁断機により2.0mm角以内となるように裁断した。その後、この裁断片100質量部と、酸化チタン(富士チタン工業株式会社製TA301)0.6質量部と、酸化マグネシウム(富士フィルム和光純薬株式会社製)1.8質量部とを含有する触媒組成物(触媒組成物100質量部中に含まれる酸化チタンの含有量は、2.5質量部であり、上記Y値の含有量に相当する)を反応装置である2軸押出混練機にフィーダし、シリンダー温度280℃の条件にて混練押出した。なお、押出機内に2か所あるベント口は、冷却トラップを介して真空ポンプに接続されており、押出機内を4kPaまで減圧した。押出開始後には分解物が装置内から留去し、冷却トラップ内にトラップされ、押出機のダイからは残渣成分が排出された。
反応装置のダイから排出された残渣質量より算出された分解回収率は93.5質量%であり、高い分解反応収率となった。
さらに、冷却トラップに回収された生成物の1H-NMR測定による解析を行った。
1.68ppm付近にL,L-ラクチドまたはD,D-ラクチドに由来するピークを観測した。また1.72ppm付近にD,L-ラクチドに由来するピークを観測した。なお、乳酸および乳酸重合物に帰属されるピークは観測されなかった。1H-NMRスペクトルによる各ピークの積分比よりそれぞれの存在比率を解析したところ、L,L-ラクチドまたはD,D-ラクチドの含有率は93.3質量%、D,L-ラクチドの含有率は6.7質量%であった。粗ラクチド(L,L-ラクチド、D,D-ラクチド、およびD,L-ラクチド)の含有率は100質量%であり、非常に高いモノマー回収率となった。
本発明によれば、製造段階で生じた廃棄物または消費後の廃棄物として得られた、遮蔽材料を含む種々のホモポリマー組成物に含まれるホモポリマーを効率よく分解することができる。これにより産業廃棄物または家庭用廃棄物の廃棄処理やリサイクルを始めとして、アパレル分野、樹脂成形分野等の広い分野において有用である。

Claims (10)

  1. ホモポリマーおよび遮蔽材料を含むホモポリマー組成物から該ホモポリマーを分解するための方法であって、
    該ホモポリマー組成物を金属酸化物の存在下で加熱する工程を含み、
    該ホモポリマーがポリ乳酸であり、
    該遮蔽材料が酸化チタンであり、
    該金属酸化物が酸化マグネシウムを含む、方法。
  2. 前記金属酸化物の配合量が、前記ホモポリマー組成物に含まれる前記遮蔽材料の配合量に基づいて算出された量である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ホモポリマー組成物に含まれる前記遮蔽材料の配合量が、黒鉛炉原子吸光法、比色法、アルミニウム還元鉄(III)滴定法、原子吸光法、X線回折法(XRD)、エネルギー分散型X線分析法、蛍光X線分析法(XRF)、誘導結合高周波プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)、および誘導結合高周波プラズマ質量分析法(ICP-MS)からなる群から選択される少なくとも1つの方法により測定された量である、請求項2に記載の方法。
  4. 前記ホモポリマー組成物に含まれる前記遮蔽材料の配合量が、該ホモポリマー組成物を熱分解して得られる灰分質量から算出された量である、請求項2に記載の方法。
  5. 前記金属酸化物の配合量が、以下の式(I)に基づいて算出された量である、請求項2に記載の方法:
    Y=Z-X (I)
    式(I)中、
    Xは前記ホモポリマー組成物の全体質量に対する前記遮蔽材料の配合量(質量%)であり、
    Yは該ホモポリマー組成物および該金属酸化物の全体質量に対する該金属酸化物の量(質量%)であり、
    Zは0.5~3.5質量%である、請求項2に記載の方法。
  6. 前記ホモポリマー組成物を金属酸化物の存在下で加熱する工程で付与される温度が265~325℃である、請求項1に記載の方法。
  7. 前記ホモポリマー組成物を金属酸化物の存在下で加熱する工程が窒素気流下または減圧下で行われる、請求項1に記載の方法。
  8. 前記ホモポリマー組成物を金属酸化物の存在下で加熱する工程が減圧下で行われ、かつ該減圧下における真空度が0.5~30kPaである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記ホモポリマー組成物が、最大辺が20mm以下に裁断された形態を有する、請求項1に記載の方法。
  10. 前記ホモポリマー組成物が繊維製品の形態を有する、請求項1に記載の方法。
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