以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明は例示である。
<分析観察装置Aの全体構成>
図1は、本開示の実施形態に係る分析装置としての分析観察装置Aの全体構成を例示する模式図である。図1に例示される分析観察装置Aは、観察対象物および分析対象物としてのサンプルSPの拡大観察を行うとともに、該サンプルSPの成分分析を行うことができる。
詳しくは、本実施形態に係る分析観察装置Aは、例えば微少物体等の試料、電子部品、被加工物等からなるサンプルSPを拡大して撮像することで、そのサンプルSPにおいて成分分析が行われるべき部位を探索したり、その外観の検査、計測等を行ったりすることができる。分析観察装置Aは、その観察機能に着目した場合、拡大観察装置と呼称したり、単に顕微鏡と呼称したり、あるいは、デジタルマイクロスコープと呼称したりすることができる。
分析観察装置Aはまた、サンプルSPの成分分析に際し、レーザ誘起ブレークダウン法(Laser Induced Breakdown Spectroscopy:LIBS)、レーザ誘起プラズマ分光法(Laser Induced Plasma Spectroscopy:LIPS)等と呼称される手法を実施することができる。分析観察装置Aは、その分析機能に着目した場合、成分分析装置と呼称したり、単に分析装置と呼称したり、あるいは、分光装置と呼称したりすることもできる。
なお、本実施形態に係る分析観察装置Aは、LIBS法を用いた分析装置には限定されない。分析観察装置Aは、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope:SEM)によって得られる電子線を使ったエネルギー分散型X線分析(Energy Dispersive X-ray spectroscopy:EDX)による分析方法(以下、「SEM/EDX」と呼称する)、ラマン分光法、赤外分光法および紫外可視近赤外分光(UV-Vis-NIR)を用いた分析装置として構成してもよい。このうち、赤外分光法には、少なくとも、フーリエ変換赤外分光法と、光熱変換赤外分光法と、が含まれる。
ここで、例えばLIBS法を用いた場合、サンプルSPは主に無機物となり、赤外分光法等を用いた場合、サンプルSPは主に有機物となる。
図1に示すように、本実施形態に係る分析観察装置Aは、主要な構成要素として、光学系アセンブリ(光学系本体)1と、コントローラ本体2と、操作部3と、を備える。
このうち、光学系アセンブリ1は、サンプルSPの撮像および分析を行うとともに、その撮像結果および分析結果に対応した電気信号を外部に出力することができる。
コントローラ本体2は、第1カメラ81等、光学系アセンブリ1を構成する種々の部品を制御するための制御部21を有する。コントローラ本体2は、制御部21を介して、光学系アセンブリ1にサンプルSPの観察および分析を行わせることができる。コントローラ本体2はまた、種々の情報を表示可能な表示部22を有する。この表示部22には、光学系アセンブリ1において撮像された画像、サンプルSPの分析結果を示すデータ等を表示することができる。
操作部3は、ユーザによる操作入力を受け付けるマウス31、コンソール32およびキーボード33を有する(キーボード33は、図11にのみ図示)。コンソール32は、ボタン、調整ツマミ等を操作することで、コントローラ本体2に画像データの取込、明るさ調整、第1カメラ81のピント合わせ等を指示することができる。
なお、操作部3は、マウス31、コンソール32およびキーボード33を3つとも有する必要はなく、任意の1つまたは2つを有していてもよい。また、マウス31、コンソール32およびキーボード33に加えてまたは代えて、タッチパネル式の入力装置、音声式の入力装置等を用いてもよい。タッチパネル式の入力装置の場合、表示部22に表示されている画面上の任意の位置を検出可能に構成することができる。
<光学系アセンブリ1の詳細>
図2~図4は、それぞれ、光学系アセンブリ1を例示する斜視図、側面図および正面図である。また、図5は光学系アセンブリ1の分解斜視図であり、図6は光学系アセンブリ1の構成を模式化して示す側面図である。
図1~図6に示すように、光学系アセンブリ1は、各種機器を支持するとともにサンプルSPが載置されるステージ4と、このステージ4に取り付けられるヘッド部6と、を備える。ここで、ヘッド部6は、分析光学系7が収容された分析筐体70に、観察光学系9が収容された観察筐体90を装着してなる。ここで、分析光学系7はサンプルSPの成分分析を行うための光学系である。観察光学系9はサンプルSPの拡大観察を行うための光学系である。ヘッド部6は、サンプルSPの分析機能と拡大観察機能とを兼ね備えた装置群として構成されている。
なお、以下の説明では、図1~図4に示すように光学系アセンブリ1の前後方向および左右方向が定義される。すなわち、ユーザと対面する一側が光学系アセンブリ1の前側であり、これと反対側が光学系アセンブリ1の後側であり、ユーザと光学系アセンブリ1とが対面したときに、そのユーザから見て右側が光学系アセンブリ1の右側であり、ユーザから見て左側が光学系アセンブリ1の左側である。なお、前後方向および左右方向の定義は、説明の理解を助けるためのものであり、実際の使用状態を限定するものではない。いずれの方向が前となるように使用してもよい。
また、以下の説明では、光学系アセンブリ1の左右方向を「X方向」とし、光学系アセンブリ1の前後方向を「Y方向」とし、光学系アセンブリ1の上下方向を「Z方向」とし、このZ軸に平行な軸を中心に回転する方向を「φ方向」と定義する。X方向とY方向とは同一水平面上で互いに直交しており、その水平面に沿った方向を「水平方向」と定義する。Z軸は、その水平面に対して直交する法線の方向である。これらの定義についても、適宜変更することが可能である。
また詳細は後述するが、ヘッド部6は、図2~図6に示す中心軸Acに沿って移動したり、この中心軸Acまわりに揺動したりすることができる。この中心軸Acは、図6等に示すように、前述の水平方向、特に前後方向に沿って延びるように構成される。
(ステージ4)
ステージ4は、作業台等に設定されるベース41と、ベース41に接続されたスタンド42と、ベース41またはスタンド42によって支持された載置台5と、を有する。このステージ4は、載置台5およびヘッド部6の相対的な位置関係を規定するための部材であり、少なくとも、ヘッド部6の観察光学系9および分析光学系7を取付可能に構成される。
ベース41は、ステージ4の略下半部を構成しており、図2に示すように、左右方向の寸法に比して、前後方向の寸法が長い台座状に形成される。ベース41は、作業台等に設置される底面を有する。ベース41の前側部分には、載置台5が取り付けられる。
また、図6等に示すように、ベース41の後側部分(特に、載置台5よりも後側に位置する部分)には、第1支持部41aと第2支持部41bが、前側から順番に並んだ状態で設けられる。第1および第2支持部41a,41bは、双方ともベース41から上方へ突出するように設けられる。第1および第2支持部41a,41bには、前記中心軸Acと同心になるように配置される円形の軸受孔(不図示)が形成される。
スタンド42は、ステージ4の上半部を構成しており、図2~図3、図6等に示すように、ベース41(特にベース41の底面)に対して垂直な上下方向に延びる柱状に形成される。スタンド42における上側部分の前面には、別体の装着具43を介してヘッド部6が取り付けられる。
また、図6等に示すように、スタンド42の下側部分には、第1取付部42aと第2取付部42bが、前側から順番に並んだ状態で設けられる。第1および第2取付部42a,42bは、前述の第1および第2支持部41a,41bに対応した構成とされている。具体的に、第1および第2支持部41a,41bならびに第1および第2取付部42a,42bは、第1取付部42aと第2取付部42bによって第1支持部41aを挟み込むとともに、第1支持部41aと第2支持部41bによって第2取付部42bを挟み込むようにレイアウトされる。
また、第1および第2取付部42a,42bには、第1および第2支持部41a,41bに形成された軸受孔と同心かつ同径に構成された円形の軸受孔(不図示)が形成される。これら軸受孔に対し、クロスローラベアリング等のベアリング(不図示)を介して軸部材44が挿入される。この軸部材44は、その軸心が前述の中心軸Acと同心になるように配置される。軸部材44を挿入することで、ベース41とスタンド42は、相対的に揺動可能に連結される。軸部材44は、第1および第2支持部41a,41bならびに第1および第2取付部42a,42bとともに、本実施形態における傾斜機構45を構成する。
傾斜機構45を介してベース41とスタンド42を連結することで、スタンド42は、中心軸Acまわりに揺動可能な状態で、ベース41によって支持されることになる。スタンド42は、中心軸Acまわりに揺動することで、所定の基準軸Asに対して左右方向に傾斜することになる(図10Aおよび図10Bを参照)。この基準軸Asは、図4等に示す非傾斜状態においては、載置台5の上面(載置面51a)に垂直に延びる軸とすることができる。また、中心軸Acは、傾斜機構45による揺動の中心軸(回転中心)として機能することになる。
具体的に、本実施形態に係る傾斜機構45は、スタンド42を基準軸Asに対して右側に90°程度傾斜させたり、基準軸Asに対して左側に60°程度傾斜させたりすることができるようになっている。前述のように、スタンド42にはヘッド部6が取り付けられることになるため、このヘッド部6もまた、基準軸Asに対して左右方向に傾斜させることができる。ヘッド部6を傾斜させることは、分析光学系7および観察光学系9を傾斜させること、ひいては、後述の分析光軸Aaおよび観察光軸Aoを傾斜させることに等しい。
装着具43は、スタンド42の長手方向に沿ってヘッド部6を案内するレール部43aと、レール部43aに対するヘッド部6の相対位置をロックするためのロックレバー43bと、を有する。ここで、スタンド42の長手方向は、非傾斜状態では上下方向(第1方向)に一致するとともに、分析光軸Aa、観察光軸Aoおよび基準軸Asに沿って延びる方向に一致する。スタンド42の長手方向は、傾斜状態では上下方向および基準軸Asに沿って延びる方向とは不一致になるものの、分析光軸Aaおよび観察光軸Aoに沿って延びる方向とは依然として一致する。スタンド42の長手方向は、以下の記載では「略上下方向」とも呼称される。
レール部43aにはヘッド部6の後面部分(具体的にはヘッド取付部材61)が挿入される。レール部43aは、その後面部分を略上下方向に沿って移動させることができる。そして、ヘッド部6を所望位置に設定した状態でロックレバー43bを操作することで、ヘッド部6を所望位置に固定することができる。また、図2~図3に示される第1操作ダイヤル46を操作することで、ヘッド部6の位置調整を行うこともできる。
さらに、ステージ4またはヘッド部6には、該ヘッド部6を略上下方向に移動させるためのヘッド駆動部47が内蔵される。このヘッド駆動部47は、コントローラ本体2によって制御される不図示のアクチュエータ(例えば、ステッピングモータ)と、そのステッピングモータの出力軸の回転を略上下方向の直線運動に変換する運動変換機構とを含んでおり、コントローラ本体2から入力される駆動パルスに基づいてヘッド部6を移動させる。ヘッド駆動部47がヘッド部6を移動させることで、このヘッド部6、ひいては分析光軸Aaおよび観察光軸Aoを略上下方向に沿って移動させることができる。
載置台5は、ベース41の前後方向中央部よりも前側に配置されており、このベース41の上面に取り付けられている。載置台5は、電動式の載置台として構成されており、その載置面51a上に載置されたサンプルSPを水平方向に沿って移動させたり、上下方向に沿って昇降させたり、φ方向に沿って回動させたりすることができる。
具体的に、本実施形態に係る載置台5は、図2~図4に示すように、サンプルSPを載置するための載置面51aを有する載置台本体51と、ベース41および載置台本体51の間に配置されかつ載置台本体51を変位させる載置台支持部52と、後述の図11に示す載置台駆動部53と、を有する。
載置台本体51は、いわゆるXYステージとして構成されている。載置台本体51の上面は、サンプルSPが載置される載置面51aを構成している。この載置面51aは、略水平方向に沿って延びるように形成される。載置面51aには、大気開放状態、すなわち真空室等に収容されない状態でサンプルSPが載置される。
載置台支持部52は、ベース41と載置台本体51とを連結する部材であり、上下方向に沿って延びる略円柱状に形成される。載置台支持部52には、載置台駆動部53を収容することができる。
載置台駆動部53は、コントローラ本体2によって制御される不図示かつ複数のアクチュエータ(例えば、ステッピングモータ)と、そのステッピングモータの出力軸の回転を直線運動に変換する運動変換機構とを含んでおり、コントローラ本体2から入力される駆動パルスに基づいて載置台本体51を移動させる。載置台駆動部53が載置台本体51を移動させることで、この載置台本体51、ひいては、その載置面51aに載置されたサンプルSPを、水平方向および上下方向に沿って移動させることができる。
同様に、載置台駆動部53は、コントローラ本体2から入力される駆動パルスに基づいて、載置台本体51を所定の回転軸まわりにφ方向に沿って回転させることもできる。載置台駆動部53が載置台本体51を回転させることで、載置面51aに載置されたサンプルSPを、φ方向に回動させることもできる。なお、載置台駆動部53を備えた構成は必須ではない。載置台本体51を手動で回転させるように構成してもよい。
特に、本実施形態に係る載置面51aは、前記回転軸として、図6等に示した基準軸Asまわりに回転可能に構成されている。つまり、本実施形態では、傾斜の基準となる基準軸Asと、載置面51aの回転軸とが同軸化されている。
また、図2に例示される第2操作ダイヤル54等を操作することで、載置台本体51を手動で移動および回転させることもできる。第2操作ダイヤル54の詳細は省略する。
なお、ベース41およびスタンド42の説明に戻ると、前述したベース41には、第1傾斜センサSw3が内蔵されている。この第1傾斜センサSw3は、重力方向に対する、載置面51aに垂直な基準軸Asの傾きを検出することができる。一方、スタンド42には、第2傾斜センサSw4が取り付けられている。この第2傾斜センサSw4は、重力方向に対する分析光学系7の傾き(より詳細には、重力方向に対する分析光軸Aaの傾き)を検出することができる。第1傾斜センサSw3と第2傾斜センサSw4の検出信号は、双方とも制御部21に入力される。
(ヘッド部6)
ヘッド部6は、ヘッド取付部材61と、分析筐体70に分析光学系7を収容してなる分析ユニット62と、観察筐体90に観察光学系9を収容してなる観察ユニット63と、筐体連結具64と、スライド機構(水平駆動機構)65と、を有する(分析ユニット62および観察ユニット63は、図5にのみ図示)。ヘッド取付部材61は、分析筐体70をスタンド42に接続するための部材である。分析ユニット62は、分析光学系7によってサンプルSPの成分分析を行うための装置である。観察ユニット63は、観察光学系9によってサンプルSPの観察を行うための装置である。筐体連結具64は、観察筐体90を分析筐体70に接続するための部材である。スライド機構65は、スタンド42に対して分析筐体70をスライド移動させるための機構である。
詳しくは、本実施形態に係るヘッド取付部材61は、ヘッド部6の後側に配置されており、スタンド42にヘッド部6を取り付けるための板状部材として構成される。前述のように、ヘッド取付部材61は、スタンド42の装着具43に固定される。
ヘッド取付部材61は、ヘッド部6の後面と略平行に延びるプレート本体61aと、プレート本体61aの下端部から前方に突出するカバー部材61bと、を有する。プレート本体61aは、サンプルSPに反射型対物レンズ74を向かい合わせた後述の第1モードにおいては、前後方向においてヘッド部6の後面から離間する。プレート本体61aは、サンプルSPに対物レンズ92を向かい合わせた後述の第2モードにおいては、ヘッド部6の後面と密着または近接する。
また、図8に示すように、ヘッド取付部材61の左端部には、スライド機構65を構成するガイドレール65aが取り付けられている。ガイドレール65aは、ヘッド取付部材61と、ヘッド部6における他の要素(具体的には、分析光学系7、観察光学系9および筐体連結具64)と、を水平方向に相対変位可能に連結する。
以下、分析ユニット62、観察ユニット63、筐体連結具64およびスライド機構65の構成について順番に説明する。
-分析ユニット62-
図7は、分析光学系7の構成を例示する模式図である。
分析ユニット62は、分析光学系7と、分析光学系7が収容された分析筐体70と、を有する。分析光学系7は、分析対象物としてのサンプルSPの分析を行うための部品の集合であり、各部品が分析筐体70に収容されるようになっている。また、サンプルSPの分析を行うための要素には、コントローラ本体2の制御部21も含まれる。
分析光学系7は、例えばLIBS法を用いた分析を行うことができる。この分析光学系7には、コントローラ本体2との間で電気信号を送受するための通信ケーブルC1が接続される。この通信ケーブルC1は必須ではなく、分析光学系7とコントローラ本体2とを無線通信によって接続してもよい。
なお、ここでいう「光学系」の語は、広義で用いる。すなわち、分析光学系7は、レンズ等の光学素子に加え、光源、撮像素子等を包括したシステムとして定義される。観察光学系9についても同様である。
図7に示すように、本実施形態に係る分析光学系7は、出射部71と、出力調整手段72と、偏向素子73と、反射型対物レンズ74と、分光素子75と、第1パラボリックミラー76Aと、第1検出器77Aと、第1ビームスプリッター78Aと、第2パラボリックミラー76Bと、第2検出器77Bと、第2ビームスプリッター78Bと、同軸照明79と、結像レンズ80と、第1カメラ81と、側射照明84と、を含んでなる。分析光学系7の構成要素のうちの一部は、図6にも示す。また、側射照明84は、図11のみに示す。
なお、これらの構成要素は、LIBS法を用いた分析観察装置Aにおいては有用であるが、分析方法次第では、反射型対物レンズ74等は不要となり、一部の要素のみが必要となる。分析観察装置Aは、出射部71と、第1および第2検出器77A,77Bの少なくとも一方と、を備えていればよい。
出射部71は、サンプルSPに対して1次電磁波または1次線を出射する。特に、本実施形態に係る出射部71は、1次電磁波としてのレーザ光を出射するレーザ光源によって構成される。
詳細な図示は省略するが、本実施形態に係る出射部71は、レーザダイオード(Laser Diode:LD)等で構成される励起光源と、その励起光源から出力されたレーザを集光してレーザ励起光として出射するフォーカシングレンズと、そのレーザ励起光に基づいて基本波を生成するレーザ媒質と、基本波をパルス発振するためのQスイッチと、基本波を共振させるためのリアミラーおよび出力ミラーと、出力ミラーから出力されたレーザ光の波長を変換する波長変換素子と、を有する。
ここで、レーザ媒質としては、1パルスあたりのエネルギーを高くとるべく、例えばロッド状のNd:YAGを用いることが好ましい。なお、本実施形態では、誘導放出によってレーザ媒質から放出される光子の波長(いわゆる基本波長)は、本実施形態では赤外域の1064nmに設定されている。
また、Qスイッチとしては、基本波の強度が所定の閾値を超えると透過率が増大するパッシブQスイッチを用いることができる。パッシブQスイッチは、例えばCr:YAG等の過飽和吸収体によって構成される。パッシブQスイッチを用いることで、レーザ媒質に所定以上のエネルギーが蓄積されたタイミングで自動的にパルス発振することが可能になる。また、減衰率を外部から制御可能ないわゆるアクティブQスイッチを用いることもできる。
また、波長変換素子としては、LBO(LiB3O3)等の非線形光学結晶を2つ用いた構成とされている。2つの結晶を用いることで、基本波から3次高調波を生成することができる。3次高調波の波長は、本実施形態では紫外域の355nmに設定されている。
すなわち、本実施形態に係る出射部71は、1次電磁波として、紫外線からなるレーザ光を出力することができる。これにより、ガラスの様に光学的に透明なサンプルSPに対してもLIBS法による分析を行うことができる。加えて、紫外域にあるレーザ光は、人間の網膜に到達する割合が非常に少ない。網膜上でレーザ光が結像しないように構成することで、装置の安全性を高めることができる。
なお、LIBS法以外の分析方法を用いた分析観察装置Aの場合、分析方法の種類に応じて、レーザ光以外の電磁波を1次電磁波として用いることができる。例えば、ラマン分光法を用いた場合は、1次電磁波として所定の単色光を用いることができる。また、赤外分光法を用いた場合は、1次電磁波として赤外光を用いることができ、紫外可視近赤外分光法を用いた場合は、1次電磁波として紫外光、可視光および近赤外光に属する電磁波を用いることができる。
なお、分析方法の種類次第では、1次電磁波ではなく、放射線からなる1次線を出射部71から出射させることもできる。また、SEM/EDX法、または、蛍光X線分析法を用いた分析観察装置Aの場合、出射部71は、1次線として、X線、電子線、荷電粒子等を出射することになる。さらに、質量分析法を用いた分析観察装置Aの場合、出射部71は、電子線、中性原子、レーザ、イオン化された気体、プラズマ化された気体を出射することになる。
出力調整手段72は、出射部71と偏向素子73を結ぶ光路上に配置されており、レーザ光(1次電磁波)の出力を調整することができる。具体的に、本実施形態に係る出力調整手段72は、1/2波長板72aと、偏光ビームスプリッター72bと、を有する。1/2波長板72aは、偏光ビームスプリッター72bに対して相対的に回転するように構成されており、その回転角度を制御することで、偏光ビームスプリッター72bを通過する光量を調整することができる。
出力調整手段72によってその出力が調整されたレーザ光(1次電磁波)は、不図示のミラーによって反射されて偏向素子73に入射する。
詳しくは、偏向素子73は、出射部71から出力されて出力調整手段72を通過したレーザ光を反射し、反射型対物レンズ74を介してサンプルSPに導く一方、このレーザ光に対応してサンプルSPにおいて発生した光(サンプルSPの表面で生じるプラズマ化に伴って発せられる光であり、以下、「プラズマ光」と呼称する)を通過させ、これを第1検出器77A、第2検出器77Bに導くようにレイアウトされている。偏向素子73はまた、撮像用に集光した可視光を通過させ、その大部分を第1カメラ81に導くようにレイアウトされている。
偏向素子73によって反射された紫外レーザ光は、平行光として分析光軸Aaに沿って伝搬し、反射型対物レンズ74に至る。
反射型対物レンズ74は、出射部71から出射された1次電磁波または1次線がサンプルSPに照射されることによって該サンプルSPにおいて生じた2次電磁波を収集するように構成されている。特に、本実施形態に係る反射型対物レンズ74は、1次電磁波としてのレーザ光を集光してサンプルSPに照射するとともに、サンプルSPに照射されたレーザ光(1次電磁波)に対応してサンプルSPにおいて発生したプラズマ光(2次電磁波)を収集するように構成されている。この場合、2次電磁波は、サンプルSPの表面で生じるプラズマ化に伴って発せられるプラズマ光に相当する。
反射型対物レンズ74は、出射部71からの1次電磁波の出射に係る光学系と、第1カメラ81での反射光の受光ならびに第1および第2検出器77A,77Bでの2次電磁波の受光に係る光学系と、を同軸化するように構成されている。言い換えると、反射型対物レンズ74は、2種類の光学系で共有化されている。
反射型対物レンズ74は、前述の略上下方向に沿って延びる分析光軸Aaを有する。分析光軸Aaは、観察光学系9の対物レンズ92が有する観察光軸Aoと平行になるように設けられる。
詳しくは、本実施形態に係る反射型対物レンズ74は、2枚のミラーからなるシュヴァルツシルト型の対物レンズである。この反射型対物レンズ74は、図7に示すように、分円環状かつ相対的に大径の1次ミラー74aと、円板状かつ相対的に小径の2次ミラー74bと、を有する。
1次ミラー74aは、その中央部に設けた開口によってレーザ光(1次電磁波)を通過させる一方、その周囲に設けられた鏡面によってサンプルSPにて発生したプラズマ光(2次電磁波)を反射させる。後者のプラズマ光は、2次ミラー74bの鏡面によって再び反射され、レーザ光と同軸化された状態で1次ミラー74aの開口を通過する。
2次ミラー74bは、1次ミラー74aの開口を通過したレーザ光を透過させる一方、1次ミラー74aによって反射されたプラズマ光を集光して反射するように構成される。前者のレーザ光はサンプルSPに照射される一方、後者のプラズマ光は、前述のように1次ミラー74aの開口を通過して偏向素子73に至る。
したがって、反射型対物レンズ74にレーザ光を入力すると、そのレーザ光は、反射型対物レンズ74の中央部に配置された2次ミラー74bを透過してサンプルSPの表面に到達する。サンプルSPに到達したレーザ光によってサンプルSPが局所的にプラズマ化し、それに伴ってプラズマ光が発せられると、そのプラズマ光は2次ミラー74bの周囲に設けた開口を通過して1次ミラー74aに到達する。1次ミラー74aに到達したプラズマ光は、その鏡面によって反射されて2次ミラー74bに到達し、2次ミラー74bによって再び反射されて反射型対物レンズ74から偏向素子73に至る。偏向素子73に到達した反射光は、該偏向素子73を通過して分光素子75に至る。
なお、LIBS法以外の分析方法を用いた分析観察装置Aの場合、分析方法の種類に応じて、プラズマ光以外の電磁波を2次電磁波として用いることができる。例えば、ラマン分光法を用いた場合は、2次電磁波としてラマン散乱光を用いることができる。また、赤外分光法を用いた場合は、2次電磁波としてサンプルSPにより反射された光もしくはサンプルSPを透過した光を用いることができ、紫外可視近赤外分光法を用いた場合は、2次電磁波として紫外光、可視光および近赤外光に属する電磁波を用いることができる。
なお、ラマン分光法を用いた場合、2次電磁波は、サンプルSPで発生した電磁波ではなく、サンプルSPで反射された反射光となる。フーリエ変換赤外分光法および紫外可視近赤外分光法を用いた場合、2次電磁波は、サンプルSPを透過した1次電磁波またはサンプルSPにより反射された1次電磁波となる。
また、1次電磁波ではなく1次線を出射部71から出射させた場合も、様々な電磁波を2次電磁波として用いることができる。具体的に、SEM/EDXによって分析観察装置Aを構成した場合、第1および第2検出器77A,77Bは、2次電磁波として特性X線を受光することになる。
分光素子75は、反射型対物レンズ74の光軸方向(分析光軸Aaに沿った方向)において偏向素子73と第1ビームスプリッター78Aとの間に配置されており、サンプルSPで発生したプラズマ光のうちの一部を第1検出器77Aに導く一方、他部を第2検出器77B等へ導く。後者のプラズマ光は、その大部分が第2検出器77Bに導かれるものの、その残りは第1カメラ81に至る。
詳しくは、サンプルSPから戻るプラズマ光(2次電磁波)には、1次電磁波としてのレーザ光に対応した波長以外にも種々の波長成分が含まれる。そこで、本実施形態に係る分光素子75は、サンプルSPから戻る2次電磁波のうち短い波長帯域の電磁波を反射させ、それを第1検出器77Aに導く。分光素子75はまた、それ以外の帯域の電磁波を透過させ、それを第2検出器77B等に導く。
第1パラボリックミラー76Aは、いわゆる放物面鏡であり、分光素子75と第1検出器77Aとの間に配置される。第1パラボリックミラー76Aは、分光素子75によって反射された2次電磁波を集光し、集光された2次電磁波を第1検出器77Aに入射させる。
第1検出器77Aは、出射部71から出射された1次電磁波または1次線がサンプルSPに照射されることによってサンプルSPで生じた2次電磁波を受光し、該2次電磁波の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する。
特に、レーザ光源によって出射部71を構成するとともに、1次電磁波としてのレーザ光の照射に対応して発生した2次電磁波としてのプラズマ光を集光するように反射型対物レンズ74を構成した場合、第1検出器77Aは、波長毎に異なる角度に光を反射させることで光を分離し、分離させた各々を複数の画素を有する撮像素子に入射させる。これにより、各画素によって受光される光の波長を相違させるとともに、波長毎に受光強度を取得することができる。この場合、強度分布スペクトルは、光の波長毎の強度分布に相当する。
なお、分析観察装置Aは、1次電磁波をサンプルSPに照射することによって、そのサンプルSPにおいて1次電磁波が吸収されたことを検出することもできる。その際、出射部71は、波長を変化させながら連続的に1次電磁波を照射する。検出器としての第1および第2検出器77A,77Bは、サンプルSPにおいて吸収された1次電磁波の波長と、1次電磁波の吸収により生じた熱膨張の大きさとに基づいて、強度分布スペクトルを生成することができる。
例えば、分析方法として光熱変換赤外分光法を用いた場合、分析観察装置Aは、サンプルSPに対し、1次電磁波としての赤外光を照射する。照射された赤外光は、サンプルSPに吸収される。サンプルSPは、1次電磁波の吸収に伴って温度変化を生じ、その温度変化に応じて熱膨張を来す。分析観察装置Aは、サンプルSPの熱膨張の大きさと、その熱膨張に対応した波長との関係に基づいてサンプルSPの特徴を分析することができる。すなわち、光熱変換赤外分光法を用いた場合、検出器としての第1および第2検出器77A,77Bは、サンプルSPに照射された赤外光の波長と、その波長毎に生じた温度変化熱膨張の大きさとの関係を表す強度分布スペクトルを生成することになる。
また、分析観察装置Aは、1次電磁波または1次線をサンプルSPに照射することによって、イオン化されたサンプルSPを検出することもできる。その際、出射部71は、電子線、中性原子、レーザ、イオン化された気体、プラズマ化された気体を照射する。第1および第2検出器77A,77Bは、1次電磁波または1次線によりイオン化されたサンプルSPのm/z(イオンの質量を統一原子質量単位で割り、さらにイオンの電荷数で割った無次元量)と、各m/zに対する検出強度の大きさとに基づいて、強度分布スペクトルを生成することができる。
例えば、分析方法として電子イオン化法(EI法)を用いた場合、分析観察装置Aは、サンプルSPに対し、1次電磁波としての熱電子を照射する。熱電子が照射されたサンプルSPはイオン化される。分析観察装置Aは、イオン化されたサンプルSPのm/zと、その検出強度との関係に基づいて、サンプルSPの特徴を分析することができる。
なお、強度分布スペクトルは、波数毎に取得された受光強度によって構成してもよい。波長と波数とは一意に対応しているため、波数毎に取得された受光強度を用いた場合であっても、強度分布スペクトルを波長毎の強度分布とみなすことができる。後述の第2検出器77Bにおいても同様である。
第1検出器77Aとしては、例えばツェルニターナー型の検出器をベースしたものを用いることができる。第1検出器77Aの入射スリットは、第1パラボリックミラー76Aの焦点位置にアライメントされている。第1検出器77Aによって生成された強度分布スペクトルは、コントローラ本体2の制御部21に入力される。
第1ビームスプリッター78Aは、分光素子75を透過した光のうちの一部(可視光帯域を含む赤外側の2次電磁波)を反射して第2検出器77Bに導く一方、他部(可視光帯域の一部)を透過して第2ビームスプリッター78Bに導く。可視光帯域に属するプラズマ光のうち、相対的に多量のプラズマ光が第2検出器77Bに導かれ、相対的に少量のプラズマ光が、第2ビームスプリッター78Bを介して第1カメラ81に導かれる。
第2パラボリックミラー76Bは、第1パラボリックミラー76Aと同様にいわゆる放物面鏡であり、第1ビームスプリッター78Aと第2検出器77Bとの間に配置される。第2パラボリックミラー76Bは、第1ビームスプリッター78Aによって反射された2次電磁波を集光し、集光された2次電磁波を第2検出器77Bに入射させる。
第2検出器77Bは、第1検出器77Aと同様に、出射部71から出射された1次電磁波または1次線がサンプルSPに照射されることによってサンプルSPで生じた2次電磁波を受光し、該2次電磁波の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する。
特に、レーザ光源によって出射部71を構成するとともに、1次電磁波としてのレーザ光の照射に対応して発生した2次電磁波としてのプラズマ光を集光するように反射型対物レンズ74を構成した場合、第2検出器77Bは、波長毎に異なる角度に光を反射させることで光を分離し、分離させた各々を複数の画素を有する撮像素子に入射させる。これにより、各画素によって受光される光の波長を相違させるとともに、波長毎に受光強度を取得することができる。この場合、強度分布スペクトルは、光の波長毎の強度分布に相当する。
第2検出器77Bとしては、例えばツェルニターナー型の検出器をベースしたものを用いることができる。第2検出器77Bの入射スリットは、第1パラボリックミラー76Aの焦点位置にアライメントされている。第2検出器77Bによって生成された強度分布スペクトルは、第1検出器77Aによって生成された強度分布スペクトルと同様に、コントローラ本体2の制御部21に入力される。
制御部21には、第1検出器77Aによって生成された紫外側の強度分布スペクトルと、第2検出器77Bによって生成された赤外側の強度分布スペクトルと、が入力される。制御部21は、それらの強度分布スペクトルに基づいて、後述の基本原理を用いてサンプルSPの成分分析を行う。制御部21は、紫外側の強度分布スペクトルと、赤外側の強度分布スペクトルとを組合わせて用いることで、より広い周波数域を利用した成分分析を行うことができる。
第2ビームスプリッター78Bは、LED光源79aから発せられて光学素子79bを通過した照明光(可視光)を反射して、これを第1ビームスプリッター78A、分光素子75、偏向素子73および反射型対物レンズ74を介してサンプルSPに照射する。サンプルSPで反射された反射光(可視光)は、反射型対物レンズ74を介して分析光学系7に戻る。
同軸照明79は、照明光を発するLED光源79aと、LED光源79aから発せられた照明光が通過する光学素子79bと、を有する。同軸照明79は、いわゆる「同軸落射照明」として機能する。LED光源79aから照射される照明光は、出射部71から出力されてサンプルSPに照射されるレーザ光(1次電磁波)、および、サンプルSPから戻る光(2次電磁波)と同軸に伝搬する。
詳しくは、同軸照明79は、出射部71から出射される1次電磁波と同軸化された光路を介して照明光を照射する。具体的に、照明光の光路のうち偏向素子73と反射型対物レンズ74とを結ぶ部分が、1次電磁波の光路と同軸化されている。また、照明光の光路のうち第1ビームスプリッター78Aと反射型対物レンズ74とを結ぶ部分が、2次電磁波の光路と同軸化されている。
第2ビームスプリッター78Bはまた、分析光学系7に戻った反射光のうち、第1ビームスプリッター78Aを透過した反射光と、第1および第2検出器77A,77Bに到達せずに第1ビームスプリッター78Aを透過したプラズマ光とをさらに透過させ、結像レンズ80を介して第1カメラ81に入射させる。
同軸照明79は、図7に示す例では分析筐体70に内蔵されているが、本開示は、そうした構成には限定されない。例えば、分析筐体70の外部に光源をレイアウトし、その光源と分析光学系7とを光ファイバーケーブルを介して光学系に結合してもよい。
側射照明84は、反射型対物レンズ74を取り囲むように配置される。図示は省略するが、側射照明84は、サンプルSPの側方(言い換えると、分析光軸Aaに対して傾斜した方向)から照明光を照射する。
第1カメラ81は、サンプルSPで反射された反射光を、反射型対物レンズ74を介して収集する。第1カメラ81は、収集された反射光の受光量を検出することで、サンプルSPを撮像する。
具体的に、本実施形態に係る第1カメラ81は、その受光面に配置された複数の画素によって結像レンズ80を通じて入射した光を光電変換し、被写体(サンプルSP)の光学像に対応した電気信号に変換する。
第1カメラ81は、受光面に沿って複数の受光素子を並べたものとすればよい。この場合、各受光素子が画素に対応することになり、各受光素子での受光量に基づいた電気信号を生成することができるようになる。具体的に、本実施形態に係る第1カメラ81は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)からなるイメージセンサによって構成されているが、この構成には限定されない。第1カメラ81としては、例えばCCD(Charged-Coupled Device)からなるイメージセンサを使用することもできる。
そして、第1カメラ81は、各受光素子での受光量を検出することで生成される電気信号をコントローラ本体2の制御部21に入力する。制御部21は、入力された電気信号に基づいて、被写体の光学像に対応した画像データを生成する。
ここまでに説明した光学部品は、前述の分析筐体70に収容される。分析筐体70の下面には、貫通孔70aが設けられている。反射型対物レンズ74は、この貫通孔70aを介して載置面51aと対峙する。
分析筐体70内には、図7に示す遮蔽部材83が配置されていてもよい。この遮蔽部材83は、貫通孔70aと反射型対物レンズ74の間に配置されており、コントローラ本体2から入力される電気信号に基づいて、レーザ光の光路上に挿入することができる(図7の点線部を参照)。遮蔽部材83は、少なくともレーザ光を透過不能に構成されている。
光路上に遮蔽部材83を挿入することで、分析筐体70からのレーザ光の出射を制限することができる。遮蔽部材83は、出射部71と出力調整手段72との間に配置してもよい。
図8に示すように、分析筐体70は、分析光学系7の収容スペースに加え、スライド機構65の収容スペースも区画している。その意味では、分析筐体70をスライド機構65の一要素とみなすこともできる。
具体的に、本実施形態に係る分析筐体70は、左右方向の寸法に比して前後方向の寸法が短い箱状に形成されている。そして、分析筐体70の前面70bの左側部分は、前後方向におけるガイドレール65aの移動代を確保するべく、前方に向かって突出している。以下、この突出した部分を「突出部」と呼称し、これに符号70cを付す。この突出部70cは、上下方向においては、前記前面70bの下半部に配置される(言い換えると、前面70bの左側部分の下半部のみが突出するようになっている)。
-分析光学系7による分析の基本原理-
制御部21は、検出器としての第1検出器77Aおよび第2検出器77Bから入力された強度分布スペクトルに基づいて、サンプルSPの成分分析を実行する。具体的な分析手法としては、前述のようにLIBS法を用いることができる。LIBS法は、サンプルSPに含まれる成分を元素レベルで分析する手法(いわゆる元素分析法)である。
一般に、物質に高いエネルギーを付与すると、原子核から電子が分離することで、その物質はプラズマ状態となる。原子核から分離した電子は、一時的に高エネルギーかつ不安定な状態となるものの、その状態からエネルギーを失うことで、再び原子核によって捕捉されて低エネルギーかつ安定な状態に遷移する(換言すれば、プラズマ状態から非プラズマ状態に戻る)ことになる。
ここで、電子から失われるエネルギーは、電磁波として電子から放出されるものの、その電磁波のエネルギーの大きさは、各元素に固有の殻構造に基づいたエネルギー準位によって規定されることになる。つまり、プラズマから非プラズマ状態に電子が戻る際に放出される電磁波のエネルギーは、元素(より正確には、原子核に束縛された電子の軌道)毎に固有の値を持つ。電磁波のエネルギーの大きさは、その電磁波の波長によって規定される。ゆえに、電子から放出される電磁波の波長分布、すなわちプラズマ化に際して物質から放出される光の波長分布を解析することで、その物質に含まれる成分を元素レベルで解析することができるようになる。このような手法は、一般に原子発光分光(Atomic Emission Spectroscopy:AES)法と呼称される。
LIBS法は、このAES法に属する分析手法である。具体的に、LIBS法では、物質(サンプルSP)に対してレーザ(1次電磁波)を照射することで、その物質にエネルギーを付与することになる。ここで、レーザの照射部位が局所的にプラズマ化されるため、そのプラズマ化に伴い発せられるプラズマ光(2次電磁波)の強度分布スペクトルを解析することで、物質の成分分析を行うことができるようになっている。
すなわち、上記のように、各プラズマ光(2次電磁波)の波長は、元素毎に固有の値を持つため、強度分布スペクトルが特定の波長においてピークを形成する場合、そのピークに対応した元素がサンプルSPの成分となる。そして、強度分布スペクトルに複数のピークが含まれる場合、各ピークの強度(受光量)を比較することで、各元素の成分比を算出することができる。
LIBS法によれば、真空引きが不要であり、大気開放状態で成分分析を行うことができる。また、サンプルSPの破壊試験ではあるものの、サンプルSP全体を溶解させるなどの処理は不要であり、サンプルSPの位置情報が残存する(局所的な破壊試験にすぎない)。
-観察ユニット63-
観察ユニット63は、観察光学系9と、観察光学系9が収容された観察筐体90と、を有する。観察光学系9は、観察対象物としてのサンプルSPの観察を行うための部品の集合であり、各部品が観察筐体90に収容されるようになっている。また、サンプルSPの観察を行うための要素には、コントローラ本体2の制御部21も含まれる。
観察光学系9は、対物レンズ92を有するレンズユニット9aを備える。このレンズユニット9aは、図3等に示すように、観察筐体90の下端側に配置された筒状のレンズ鏡筒に相当する。レンズユニット9aは、観察筐体90によって保持される。レンズユニット9aは、観察筐体90から単体で取り外すことができる。
観察筐体90には、コントローラ本体2との間で電気信号を送受するための通信ケーブルC2と、外部から照明光を導光するための光ファイバーケーブルC3と、が接続される。なお、通信ケーブルC2は必須ではなく、観察光学系9とコントローラ本体2とを無線通信によって接続してもよい。
具体的に、観察光学系9は、図6に示すように、ミラー群91と、対物レンズ92と、第2の撮像部としての第2カメラ93と、第2の同軸照明94と、第2の側射照明95と、を含んでなる。
対物レンズ92は、略上下方向に沿って延びる観察光軸Aoを有し、照明光を集光して載置台本体51に載置されたサンプルSPに照射するとともに、そのサンプルSPからの光(反射光)を集光する。観察光軸Aoは、分析光学系7の反射型対物レンズ74が有する分析光軸Aaと平行になるように設けられる。対物レンズ92によって収集された反射光は、第2カメラ93によって受光される。
ミラー群91は、対物レンズ92によって収集された反射光を透過させ、これを第2カメラ93に導く。本実施形態に係るミラー群91は、図6に例示されるように全反射ミラーとビームスプリッター等を用いて構成することができる。ミラー群91はまた、第2の同軸照明94から照射された照明光を反射して、これを対物レンズ92に導く。
第2カメラ93は、対物レンズ92によって集光された反射光を収集するとともに、収集された反射光の受光量を検出することでサンプルSPを撮像する。具体的に、本実施形態に係る第2カメラ93は、その受光面に配置された複数の画素によってサンプルSPから対物レンズ92を通じて入射した光を光電変換し、被写体(サンプルSP)の光学像に対応した電気信号に変換する。
第2カメラ93は、受光面に沿って複数の受光素子を並べたものとすればよい。この場合、各受光素子が画素に対応することになり、各受光素子での受光量に基づいた電気信号を生成することができるようになる。本実施形態に係る第2カメラ93は、第1カメラ81と同様にCMOSからなるイメージセンサによって構成されているが、CCDからなるイメージセンサを使用することもできる。
そして、第2カメラ93は、各受光素子での受光量を検出することで生成される電気信号をコントローラ本体2の制御部21に入力する。制御部21は、入力された電気信号に基づいて、被写体の光学像に対応した画像データを生成する。
第2の同軸照明94は、光ファイバーケーブルC3から導光された照明光を出射する。第2の同軸照明94は、対物レンズ92を介して集光される反射光と共通の光路を介して照明光を照射する。つまり、第2の同軸照明94は、対物レンズ92の観察光軸Aoと同軸化された「同軸落射照明」として機能することになる。なお、光ファイバーケーブルC3を介して外部から照明光を導光する代わりに、レンズユニット9aの内部に光源を内蔵してもよい。その場合、光ファイバーケーブルC3は不要となる。
第2の側射照明95は、図6に模式的に例示したように、対物レンズ92を取り囲むように配置されたリング照明によって構成される。第2の側射照明95は、分析光学系7における側射照明84と同様に、サンプルSPの斜め上方から照明光を照射する。
-筐体連結具64-
筐体連結具64は、分析筐体70に観察筐体90を連結するための部材である。筐体連結具64が両筐体70,90を連結することで、分析光学系7と、観察光学系9とが一体的に移動するようになる。
筐体連結具64は、分析筐体70の内部もしくは外部、または、スタンド42に取り付けることができる。特に本実施形態では、筐体連結具64は、分析筐体70の外面に取り付けられるようになっている。
具体的に、本実施形態に係る筐体連結具64は、分析筐体70における前述の突出部70cに取付可能に構成されており、突出部70cよりも右側にレンズユニット9aを保持するようになっている。
また、図3に示すように、筐体連結具64によって分析筐体70に観察筐体90が連結された状態では、突出部70cの前面が、筐体連結具64および観察筐体90の前側部分よりも前方に突出するようになっている。このように、本実施形態では、筐体連結具64が観察筐体90を保持した状態では、側方視したとき(スライド機構65による観察光学系9および分析光学系7の移動方向に対して直交する方向から見たとき)に、観察筐体90と、分析筐体70のうちの少なくとも一部(本実施形態では突出部70c)と、が重なり合うようにレイアウトされている。
本実施形態に係る筐体連結具64は、分析筐体70に対して観察筐体90を固定することで、観察光軸Aoに対する分析光軸Aaの相対位置を固定することができる。
具体的には、図8に示すように、筐体連結具64が観察筐体90を保持することで、観察光軸Aoと分析光軸Aaは、スライド機構65によって載置台5に対して観察光学系9および分析光学系7が相対的に移動する方向(本実施形態では前後方向)に沿って並ぶように配置される。特に本実施形態では、観察光軸Aoは、分析光軸Aaに比して前側に配置されるようになっている。
また、図8に示すように、筐体連結具64が観察筐体90を保持することで、観察光軸Aoと分析光軸Aaは、水平方向に沿った方向でありかつ前述の移動方向(本実施形態では前後方向)に直交する非移動方向(本実施形態では左右方向)における位置が一致するように配置される。
-スライド機構65-
図8は、スライド機構65の構成について説明する模式図である。また、図9Aおよび図9Bは、ヘッド部6の水平移動について説明するための図である。
スライド機構65は、観察光学系9によるサンプルSPの撮像と、分析光学系7によって強度分布スペクトルを生成する場合における電磁波(レーザ光)の照射(換言すれば、分析光学系7の出射部71による電磁波の照射)と、を観察対象物としてのサンプルSPにおける同一箇所に対して実行可能となるように、載置台本体51に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置を水平方向に沿って移動させるよう構成されている。
スライド機構65による相対位置の移動方向は、観察光軸Aoおよび分析光軸Aaの並び方向とすることができる。図8に示すように、本実施形態に係るスライド機構65は、載置台本体51に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置を前後方向に沿って移動させる。
本実施形態に係るスライド機構65は、スタンド42およびヘッド取付部材61に対し、分析筐体70を相対的に変位させるものである。分析筐体70とレンズユニット9aとは筐体連結具64によって連結されているため、分析筐体70を変位させることで、レンズユニット9aも一体的に変位することになる。
具体的に、本実施形態に係るスライド機構65は、ガイドレール65aと、アクチュエータ65bと、を有する、このうち、ガイドレール65aは、ヘッド取付部材61の前面から前方に突出するように構成されている。
詳しくは、ガイドレール65aの基端部は、ヘッド取付部材61に固定されている。一方、ガイドレール65aの先端側部分は、分析筐体70内に区画された収容スペースに挿入されており、分析筐体70に対して挿抜可能な状態で取り付けられている。ガイドレール65aに対する分析筐体70の挿抜方向は、ヘッド取付部材61と分析筐体70とを離間または接近させる方向(本実施形態では前後方向)に等しい。
アクチュエータ65bは、例えば制御部21からの電気信号に基づいて作動するリニアモータまたはステッピングモータとすることができる。このアクチュエータ65bを駆動させることで、スタンド42およびヘッド取付部材61に対し、分析筐体70ひいては観察光学系9および分析光学系7を相対的に変位させることができる。アクチュエータ65bとしてステッピングモータを用いる場合、そのステッピングモータにおける出力軸の回転運動を、前後方向の直線運動に変換する運動変換機構がさらに設けられることになる。
スライド機構65はさらに、観察光学系9および分析光学系7の移動量を検出するための移動量センサSw2を有する。移動量センサSw2は、例えばリニアスケール(リニアエンコーダ)やフォトインタラプタ等で構成することができる。
移動量センサSw2は、分析筐体70とヘッド取付部材61との間の相対距離を検出し、その相対距離に対応した電気信号をコントローラ本体2に入力する。コントローラ本体2は、移動量センサSw2から入力された相対距離の変化量を算出することで、観察光学系9および分析光学系7の変位量を決定するようになっている。
図9Aおよび図9Bに示すように、スライド機構65が作動することで、ヘッド部6が水平方向に沿ってスライドし、載置台5に対する観察光学系9および分析光学系7の相対位置が移動(水平移動)することになる。この水平移動によって、ヘッド部6は、反射型対物レンズ74をサンプルSPに対峙させた第1モードと、対物レンズ92をサンプルSPに対峙させた第2モードと、の間で切り替わるようになっている。スライド機構65は、第1モードと第2モードとの間で、分析筐体70および観察筐体90をスライドさせることができる。
図9Aおよび図9Bに示すように、第1モードにおいては、ヘッド部6は相対的に前進した状態にあり、第2モードにおいては、ヘッド部6は相対的に後退した状態にある。第1モードは、分析光学系7によってサンプルSPの成分分析を行うための動作モードであり、第2モードは、観察光学系9によってサンプルSPの拡大観察を行うための動作モードである。
特に、本実施形態に係る分析観察装置Aは、第1モードにおいて反射型対物レンズ74が指向する箇所と、第2モードにおいて対物レンズ92が指向する箇所と、が同一箇所となるように構成されている。具体的に、分析観察装置Aは、第1モードにおいて分析光軸AaとサンプルSPとが交わる箇所と、第2モードにおいて観察光軸AoとサンプルSPとが交わる箇所と、が同一になるように構成されている(図9Bを参照)。
そうした構成を実現するために、スライド機構65が作動したときのヘッド部6の移動量D2は、観察光軸Aoと分析光軸Aaとの間の距離D1と同一となるように設定されている(図8参照)。加えて、観察光軸Aoと分析光軸Aaとの並び方向は、図8に示すように、ヘッド部6の移動方向と平行になるように設定されている。
また、本実施形態では、略上下方向における筐体連結具64の寸法を調整することで、第1モードにおけるサンプルSPと反射型対物レンズ74の中央部(より詳細には、分析光軸Aaと反射型対物レンズ74とが交わる部位)との距離は、第2モード(第2の状態)におけるサンプルSPと対物レンズ92の中央部(より詳細には、観察光軸Aoと対物レンズ92とが交わる部位)との距離と一致するように設定されている。この設定は、オートフォーカスにより合焦位置を求めることで行うこともできる。
また、反射型対物レンズ74および対物レンズ92は、各々のワーキングディスタンス(Working Distance:WD)が互いに一致するように設計してもよい。これにより、モードの切替前にピントが合った状態であればモードの切替後にもピントが合った状態を維持し、モードの切替前にサンプルSPとレンズが極端に接近した状態であったとしても、モードの切替時にレンズとサンプルSPとが衝突することがなくなる。
以上のように構成することで、第1モードと第2モードとの切替を行う前後のタイミングにおいて、観察光学系9によるサンプルSPの画像生成と、分析光学系7による強度分布スペクトルの生成(具体的には、分析光学系7によって強度分布スペクトルが生成される場合における、分析光学系7による1次電磁波の照射)と、をサンプルSP中の同一箇所に対して同一方向から実行することができるようになる。
また、ヘッド取付部材61における前述のカバー部材61bは、図9Bに示すように、ヘッド部6を相対的に後退させた状態である第2モードにおいては、分析光学系7をなす反射型対物レンズ74を覆う(遮蔽状態)ように配置され、ヘッド部6を相対的に前進させた状態である第1モードにおいては、反射型対物レンズ74から離間する(非遮蔽状態)ように配置される。
前者の遮蔽状態では、レーザ光が意図せずして出射されたとしても、該レーザ光をカバー部材61bによって遮蔽することが可能となる。そのことで、装置の安全性を向上させることができる。さらに、レーザ光の非出射時に、分析筐体70内部への異物の侵入を抑制することができる。
(傾斜機構45の詳細)
図10Aおよび図10Bは、傾斜機構45の動作について説明するための図である。以下、図10Aおよび図10Bを参照しつつ、筐体連結具64との関係等、傾斜機構45について詳細に説明する。
傾斜機構45は、前述の軸部材44等によって構成される機構であり、載置面51aに垂直な基準軸Asに対し、分析光学系7および観察光学系9のうち少なくとも観察光学系9を傾斜させることができる。
前述のように、本実施形態では、筐体連結具64が分析筐体70と観察筐体90とを一体的に連結することで、分析光軸Aaに対する観察光軸Aoの相対位置が保持されるようになっている。したがって、観察光軸Aoを有する観察光学系9を傾斜させると、分析光軸Aaを有する分析光学系7は、図10Aおよび図10Bに示すように、観察光学系9と一体的に傾斜することになる。
このように、本実施形態に係る傾斜機構45は、分析光軸Aaに対する観察光軸Aoの相対位置を保持した状態で、分析光学系7および観察光学系9を一体的に傾斜させるようになっている。
また、スライド機構65の動作と、傾斜機構45の動作と、は互いに独立しており、両動作の組み合わせが許容されている。したがって、スライド機構65は、傾斜機構45によって少なくとも観察光学系9を傾斜させた姿勢を保持した状態で、観察光学系9および分析光学系7の相対位置を移動させることができる。すなわち、本実施形態に係る分析観察装置Aは、図10Bの両矢印A1に示すように、観察光学系9を傾斜させたままの状態で、ヘッド部6を前後にスライド可能とされている。
特に本実施形態では、分析光学系7と観察光学系9とが一体的に傾斜するように構成さされているため、スライド機構65は、傾斜機構45によって観察光学系9および分析光学系7を双方とも傾斜させた状態を保持しつつ、観察光学系9および分析光学系7の相対位置を移動させるようになっている。
また、分析観察装置Aは、ユーセントリック観察が行えるように構成されている。すなわち、分析観察装置Aにおいては、X方向、Y方向およびZ方向にそれぞれ平行な3つの軸で形成される装置固有の三次元座標系が定義されている。制御部21の2次記憶装置21cには、分析観察装置Aの三次元座標系における後述する交差位置の座標がさらに記憶されている。交差位置の座標情報は、分析観察装置Aの工場出荷時に予め2次記憶装置21cに記憶されていてもよい。また、2次記憶装置21cに記憶される交差位置の座標情報は、分析観察装置Aの使用者により更新可能としてもよい。
図10Aおよび図10Bに示すように、基準軸Asに対する分析光軸Aaの角度を「傾きθ」と呼称すると、分析観察装置Aは、傾きθが例えば所定の第1閾値θmaxを下回る場合に、レーザ光の出射を許容するように構成されている。傾きθを第1閾値θmax未満に収めるために、傾斜機構45にハード的な制約を課すことができる。例えば傾斜機構45に不図示のブレーキ機構を設けることで、傾斜機構45の動作範囲を物理的に制限してもよい。
対物レンズ92の光軸である観察光軸Aoは、中心軸Acに交差している。対物レンズ92が中心軸Acを中心として揺動する場合、観察光軸Aoと中心軸Acとの交差位置が一定に維持されつつ、基準軸Asに対する観察光軸Aoの角度(傾きθ)が変化する。このように、ユーザは、対物レンズ92を傾斜機構45によって中心軸Acを中心として揺動させた際、例えば、サンプルSPの観察対象部分が上記の交差位置にある場合には、対物レンズ92が傾斜した状態になったとしても、第2カメラ93の視野中心が同じ観察対象部分から移動しないユーセントリック関係が維持される。したがって、サンプルSPの観察対象部分が第2カメラ93の視野(対物レンズ92の視野)から外れることを防止することができる。
特に本実施形態では、分析光学系7と観察光学系9とが一体的に傾斜するように構成さされているため、反射型対物レンズ74の光軸である分析光軸Aaは、観察光軸Aoと同様に中心軸Acに交差している。反射型対物レンズ74が中心軸Acを中心として揺動する場合、分析光軸Aaと中心軸Acとの交差位置が一定に維持されつつ、基準軸Asに対する分析光軸Aaの角度(傾きθ)が変化する。
また前述のように、傾斜機構45は、スタンド42を基準軸Asに対して右側に90°程度傾斜させたり、基準軸Asに対して左側に60°程度傾斜させたりすることができるようになっている。ところが、分析光学系7と観察光学系9とが一体的に傾斜するように構成した場合、スタンド42を過度に傾けてしまっては、分析光学系7から出射されるレーザ光が、ユーザに向かって照射されてしまう可能性がある。
そこで、基準軸Asに対する観察光軸Aoおよび分析光軸Aaの傾きをθとすると、傾きθは、少なくともレーザ光が出射され得る状況下においては、所定の安全基準を満足する範囲内に収めることが望ましい。具体的に、本実施形態に係る傾きθは、前述のように、所定の第1閾値θmaxを下回る範囲内で調整可能とされている。
<コントローラ本体2の詳細>
図11は、コントローラ本体2の構成を例示するブロック図である。また、図12は、制御部21の構成を例示するブロック図である。また、図13Aおよび図13Bは、本開示に係る分析方法の基本概念について説明するための図である。本実施形態では、コントローラ本体2と光学系アセンブリ1とが別体に構成されているが、本開示は、そうした構成には限定されない。コントローラ本体2の少なくとも一部を光学系アセンブリ1に設けてもよい。例えば、制御部21を構成する処理部21aの少なくとも一部を光学系アセンブリ1に内蔵させることができる。
前述のように、本実施形態に係るコントローラ本体2は、種々の処理を行う制御部21と、制御部21が行う処理に係る情報を表示する表示部22と、を備える。制御部21には、少なくとも、マウス31、コンソール32、キーボード33、ヘッド駆動部47、載置台駆動部53、アクチュエータ65b、出射部71、出力調整手段72、LED光源79a、第1カメラ81、遮蔽部材83、側射照明84、第2カメラ93、第2の同軸照明(第2同軸照明)94、第2の側射照明(第2側射照明)95、レンズセンサSw1、移動量センサSw2、第1傾斜センサSw3および第2傾斜センサSw4が電気的に接続されている。
制御部21によって、ヘッド駆動部47、載置台駆動部53、アクチュエータ65b、出射部71、出力調整手段72、LED光源79a、第1カメラ81、遮蔽部材83、側射照明84、第2カメラ93、第2同軸照明94および第2側射照明95が電気的に制御される。
また、第1カメラ81、第2カメラ93、レンズセンサSw1、移動量センサSw2、第1傾斜センサSw3および第2傾斜センサSw4の出力信号は、制御部21に入力される。制御部21は、入力された出力信号に基づいた演算等を実行し、その演算結果に基づいた処理を実行する。そうした処理を行うためのハードウェアとして、本実施形態に係る制御部21は、種々の処理を実行する処理部21aと、処理部21aが行う処理に関連したデータを記憶する1次記憶装置21bおよび2次記憶装置21cと、入出力バス21dと、を有する。
処理部21aは、CPU、システムLSI、DSP等からなる。処理部21aは種々のプログラムを実行することで、サンプルSPの分析を実行したり、表示部22等、分析観察装置Aの各部を制御したりする。特に、本実施形態に係る処理部21aは、物質ライブラリLiに基づいた処理を実行することができる。この物質ライブラリLiは、後述のように、サンプルSPを構成する物質の種類と、該物質を構成する特徴とが対応付けて記憶されたデータの集合を指す。
また、本実施形態に係る処理部21aは、機能的な要素として、モード切替部211と、スペクトル取得部212と、特徴抽出部213と、物質推定部214と、ユーザインターフェース制御部(以下、単に「UI制御部」という)215と、ライブラリ生成部216と、有する。これらの要素は、論理回路によって実現されてもよいし、ソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。また、これらの要素のうちの少なくとも一部を、ヘッド部6等、光学系アセンブリ1に設けることもできる。
1次記憶装置21bは、揮発性メモリによって構成される。本実施形態に係る1次記憶装置21bは、2次記憶装置21c等から物質ライブラリLiを読み出して、これを1次的に格納することができる。1次記憶装置21bは、本実施形態における「記憶部」の例示である。
ここで、物質ライブラリLiは、図13Aに示すように、サンプルSPに含有されると考えられる物質の総称を表す上位分類C1と、この上位分類C1に属する物質の種類を表す下位分類C3と、の階層情報が記憶されることで構成されている。上位分類C1は、少なくとも、下位分類C3の1つ以上が属するように構成すればよい。
例えば、サンプルSPが鉄鋼材料だった場合、上位分類C1は、合金鋼、炭素鋼、鋳鉄等の分類としてもよいし、それらの分類を細分化することで得られるステンレス鋼、超硬合金、ハイテン鋼等の分類としてもよい。また、鋼製品以外の分類として、合金鋼等に加えてアルミ合金を加えてもよい。
また、サンプルSPが鉄鋼材料だった場合、下位分類C3は、オーステナイト系、析出硬化系、フェライト系等の分類としてもよいし、それらの分類を、例えば日本産業規格(Japanese Industrial Standards:JIS)に基づいて細分化してなるSUS301、SUS302等の分類としてもよい。下位分類C3は、少なくとも上位分類C1を細分化した分類であればよい。また、上位分類C1をアルミ合金に設定した場合の下位分類C3としては、例えば、ジュラルミンを用いることができる。言い換えると、上位分類C1は、下位分類C3の少なくとも一部が属する分類であればよい。
一方、サンプルSPが有機化合物だった場合、上位分類C1は、芳香族化合物、脂肪族化合物など、芳香性の有無に基づいた分類としてもよいし、鎖式化合物、環式化合物等、骨格構造に基づいた分類としてもよいし、官能基別の分類としてもよいし、これらの分類を組み合わせてもよい。また、油脂化合物、核酸化合物など、特定の研究分野に特有の分類を用いてもよい。
この場合、下位分類C3としては、ベンゼン系芳香族化合物、複素芳香族化合物、非ベンゼン系芳香族化合物等、芳香性に係る分類を細分化してなる分類としてもよいし、C-H結合、C=C結合の有無等、骨格構造をさらに細分化した分類してもよいし、これらの分類を組合わせたものとしてもよい。
また、上位分類C1と下位分類C3の間に1つ以上の中位分類C2を設けてもよい。この場合、中位分類C2の階層情報が上位分類C1および下位分類C3の階層情報とともに記憶されることで、物質ライブラリLiが構成されることになる。この中位分類C2は、上位分類C1に属する複数の系統を表す。
例えば、サンプルSPが鉄鋼材料だった場合において、上位分類C1としてステンレス鋼、超硬合金、ハイテン鋼等の分類を用いるとともに、下位分類C3としてSUS301、SUS302、A2017等の分類を用いた場合、中位分類C2は、オーステナイト系、析出硬化系等の分類としてもよいし、「SUS300番台」等、下位分類C3の一部を総称した分類としてもよい。
また、図13Aに示す物質ライブラリLiは、例えば、第1の規格(規格1)にしたがって生成された第1の物質ライブラリとLi1と、第2の規格(規格2)にしたがって生成された第2の物質ライブラリLi2と、を有する。第1または第2の規格としては、例えば、前述のJISに加え、国際標準化機構(International Organization for Standardization:ISO)に基づいた規格(以下、単に「ISO」と呼称する)、欧州標準化委員会が定めたEN規格(以下、単に「EN」と呼称する)、および、米国国家規格協会(American National Standards Institute:ANSI)が定めた規格(以下、単に「ANSI」と呼称する)等を用いることができる。その他、商用規格、または、それに類するデータベースを用いることもできる。さらに、物質ライブラリLiとして、ユーザの操作入力に従って生成されたユーザ定義物質ライブラリLiuを用いることもできる。なお、ここでは、JISなどの規格に従ったライブラリを説明したが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、特定の業界または分野で一般的に用いられている固有のライブラリを用いてもよい。さらに、複数の物質がユーザ独自の観点でグループ化されたライブラリを用いてもよい。
本実施形態に係る1次記憶装置21bは、物質ライブラリLiとして、第1の物質ライブラリとLi1と、第2の物質ライブラリとLi2と、ユーザ定義物質ライブラリの1つ以上を読み出して、これを1次的に格納することができる。
また、物質ライブラリLiを構成する下位分類C3は、サンプルSPに含まれると考えられる物質の特徴Chと対応づけられるように構成されている。例えば、分析方法としてLIBS法を用いたり、SEMまたはEDX法を用いたりした場合、物質の特徴Chには、サンプルSPの構成元素と、その構成元素の含有量(または含有率)と、を1セットにまとめた情報が含まれる。
この場合、下位分類C3を構成する物質毎に、構成元素の組み合わせと、各構成元素の含有量(または含有率)の上限値および下限値とを、物質ライブラリLiに組み込んでおくことで、後述のように、物質の特徴Chから下位分類C3を推定することができるようになる。
なお、物質の特徴Chには、ユーザが直感的に把握可能な情報に加えて、分析観察装置Aの内部データも含む。例えば、モデル式のフィッティング等を通じて強度分布スペクトルを分析する場合、物質の特徴Chとして、強度分布スペクトルのフィッティングに用いられるパラメータを用いることができる。
また、IR法等、有機化合物の分析に適した手法を用いた場合、物質の特徴Chには、共有結合の詳細に係る情報、その構成物質における特定の官能基の有無を示す情報等を用いることができる。
また、本実施形態に係る物質ライブラリLiは、上位分類C1と、該上位分類C1によって表される物質の総称に関する補足説明D1と、が対応付けて記憶されることで構成される。この補足説明D1は、各上位分類C1の性質等を記述したテキストデータによって構成される。また、図13Bに示すように、物質ライブラリLiは、上位分類C1に加えてさらに、中位分類C2と、該中位分類C2によって表される物質の系統に関する補足説明D2と、が対応づけて記憶されるように構成されている。この補足説明D2は、各中位分類C2の性質等を記述したテキストデータによって構成される。下位分類C3については、図13Bに示すように補足説明D3をブランク(補足説明なし)にしてもよいし、上位分類C1および中位分類C2と同様に、なんらかの性質等を記述したテキストデータを格納(補足説明あり)してもよい。下位分類C3の各々について、補足説明D3の有無を個別に設定することもできる。
2次記憶装置21cは、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ等の不揮発性メモリによって構成される。2次記憶装置21cは、物質ライブラリLiを継続的に記憶することができる。なお、2次記憶装置21cに物質ライブラリLiを記憶させる代わりに、記憶媒体1000等の外部から物質ライブラリLiを読み込んでもよい。
また、コントローラ本体2は、プログラムを記憶する記憶媒体1000を読み込むことができる(図13Bを参照)。特に、本実施形態に係る記憶媒体1000は、本実施形態に係る分析方法をプログラム化してなる分析プログラムを記憶する。この分析プログラムは、コントローラ本体2によって読み込まれて実行される。コントローラ本体2が分析プログラムを実行することで、分析観察装置Aは、本実施形態に係る分析方法を実行する分析装置として機能することになる。
-モード切替部211-
モード切替部211は、水平方向(本実施形態では前後方向)に沿って分析光学系7および観察光学系9を進退させることで、第1モードから第2モードへと切り替えたり、第2モードから第1モードに切り替えたりする。
具体的に、本実施形態に係るモード切替部211は、予め2次記憶装置21cに記憶されている観察光軸Aoと分析光軸Aaとの間の距離を事前に読み込む。次いで、モード切替部211は、スライド機構65のアクチュエータ65bを作動させることで、分析光学系7および観察光学系9を進退させる。
ここで、モード切替部211は、移動量センサSw2によって検出された観察光学系9および分析光学系7の変位量と、事前に読み込んだ距離とを比較して、前者の変位量が後者の距離に達したか否かを判定する。そして、変位量が所定距離に達したタイミングで、分析光学系7および観察光学系9の進退を停止する。なお、所定距離は予め定められていてもよく、また所定距離とアクチュエータ65bによる最大可動範囲とが一致するように構成されていてもよい。
なお、モード切替部211によって第1モードへと切り替えた後に、ヘッド部6を傾斜させることもできる。
-スペクトル取得部212-
スペクトル取得部212は、第1モードにおいて分析光学系7から1次電磁波または1次線を出射させることで、第1および第2検出器77A、77Bを介して強度分布スペクトルを取得する。
具体的に、本実施形態に係るスペクトル取得部212は、出射部71から1次電磁波または1次線(例えばレーザ光または電子線)を出射させる。1次電磁波または1次線を出射させることによって生じた2次電磁波(例えばプラズマ光)は、第1検出器77Aおよび第2検出器77Bに到達する。
検出器としての第1および第2検出器77A,77Bは、各々に到達した2次電磁波に基づいて強度分布スペクトルを生成する。そうして生成された強度分布スペクトルは、スペクトル取得部212によって取得される。
-特徴抽出部213-
特徴抽出部213は、スペクトル取得部212によって取得された強度分布スペクトルに基づいて、サンプルSPに構成成分として含まれる物質の特徴Chを抽出する。例えば、分析方法としてLIBS法を用いたり、SEMまたはEDX法を用いたりした場合、特徴抽出部213は、取得された強度分布スペクトル中のピーク位置と、そのピークの高さと、を算出する。特徴抽出部213は、そうして算出されたピーク位置およびピークの高さに基づいて、物質の特徴Chとして、サンプルSPの構成元素と、その構成元素の含有量と、を抽出する。
ここで、特徴抽出部213は、所定のモデル式によって強度分布スペクトルをフィッティングすることで、物質の特徴Chを抽出することができる。その場合、物質の特徴Chは、ユーザが直感的に把握可能な情報に加えて、または、そうした情報に代えて、モデル式中の各種パラメータを含めることができる。さらに、ニューラルネットワークなどの機械学習を用いた場合には、強度分布スペクトルそのものを特徴Chとして使用してもよい。
また、NMR法、IR法等、有機物の分析に適した手法を用いた場合、特徴抽出部213は、強度分布スペクトルから1つ以上のピーク位置を抽出し、そのピーク位置に対応した結合構造を、物質の特徴Chとして取得することになる。この場合、特徴抽出部213は、サンプルSPの構成物質中の共有結合の詳細を取得したり、その構成物質における特定の官能基の有無を取得したりすることができる。
-物質推定部214-
物質推定部214は、特徴抽出部213によって抽出された物質の特徴Chと、2次記憶装置21bによって読み出された物質ライブラリLiと、に基づいて、その物質の種類を下位分類C3の中から推定する。
前述のように、物質ライブラリLiを構成する下位分類C3は、サンプルSPに含まれると考えられる物質の特徴Chと対応づけられるように構成されている。そこで、物質推定部214は、特徴抽出部213によって抽出された物質の特徴Chを、2次記憶装置21bによって読み出された物質ライブラリLiと照合することで、特徴Chが抽出された物質を下位分類C3から推定する。ここでの照合とは、物質ライブラリLiに登録された代表データとの類似度を計算することだけでなく、物質ライブラリLiに登録されたパラメータ群を用いて物質の確度を示す指標を獲得する行為全般を指す。
ここで、図13Aに示した、「物質a」と「特徴α」のように、下位分類C3と特徴Chとが一意に紐付いているケースに加えて、「特徴α」に対応した下位分類C3の候補が複数存在する場合も考えられる。その場合、特徴抽出部213は、サンプルSPに含まれ得る物質のうち相対的に確度が高い物質を下位分類C3の中から複数にわたり推定し、確度が高い順番に、推定された下位分類C3を出力する。ここで、確度としては、強度分布スペクトルの分析に際して得られたパラメータに基づいた指標を用いることができる。例えば、モデル式をフィッティングすることによって強度分布スペクトルを分析した場合、フィッティングによって得られたモデル式と、スペクトル取得部212によって取得された強度分布スペクトルとの残差平方和等、フィッティングの確からしさを示す指標を用いることができる。あるいは、機械学習によって訓練された各種パラメータ群または識別空間が物質ライブラリLiに登録されている場合、そのパラメータ群または識別空間からそれぞれの下位分類C3に対する確度を得ることができる。
また、図13Aを用いて説明したように、第1の物質ライブラリLi1と第2の物質ライブラリLi2が2次記憶装置21bに読み出された場合、物質推定部214は、第1の物質ライブラリLi1および第2の物質ライブラリLi2の一方を物質の特徴Chと照合してもよいし、第1の物質ライブラリLi1および第2の物質ライブラリLi2の両方を物質の特徴Chと照合してもよい。特に本実施形態に係る物質推定部214は、ユーザの操作入力に基づいて、第1および第2の物質ライブラリLi1,Li2の一方を物質の特徴Chと照合する制御モードと、第1および第2の物質ライブラリLi1,Li2の両方を物質の特徴Chと照合する制御モードと、を切り替えることができる。
後者の制御モードの場合、物質推定部214は、サンプルSPに含まれ得る物質のうち相対的に確度が高い物質を、第1の物質ライブラリLi1に属する下位分類C3、および、第2の物質ライブラリLi2に属する下位分類C3から複数にわたり推定することができる。例えば、第1の物質ライブラリLi1に属する下位分類C3には、全部でN1個の物質が含まれていて、第2の物質ライブラリLi2に属する下位分類C3には、全部でN2個の物質が含まれていた場合、物質推定部214は、N1+N2個の下位分類C3の中から、物質の特徴Chに対応した下位分類C3を推定することになる。
また、物質ライブラリLiにユーザ定義物質ライブラリLiuが含まれる場合も同様である。この場合、物質推定部214は、サンプルSPに含まれ得る物質のうち相対的に確度が高い物質を、第1の物質ライブラリLi1に属する下位分類C3、および、ユーザ定義物質ライブラリに属する下位分類C3から複数にわたり推定することができる。なお、サンプルSPに含まれ得る物質として相対的に確度が同等の下位分類C3が複数存在し、下位分類C3では優劣をつけることが難しい場合などは、当該下位分類C3に代えて、当該下位分類C3が属する上位分類C1または中位分類C2からサンプルSPに含まれ得る物質を推定してもよい。
物質推定部214はまた、推定された下位分類C3と物質ライブラリLiとを照合することで、その下位分類C3が属する中位分類C2、ひいては上位分類C1を推定する。その推定結果を示す電気信号は、UI制御部215に入力される。
-UI制御部215-
UI制御部215は、物質推定部214により推定された下位分類C3と、下位分類C3が属する上位分類C1と、を階層化して表示部22に表示させる。表示部22に表示される内容としては、図13Aおよび図13Bに示すように、下位分類C3と上位分類C1との階層関係を示す木構造を表示してもよいし、後述の図16A~図16Hを用いて例示するように、階層構造のうち、特定の下位分類C3に関係した構造のみを表示してもよい。
また、上位分類C1と下位分類C3との間に中位分類C2が設定されている場合、UI制御部215は、物質推定部214から入力された電気信号に基づいて、下位分類C3が属する中位分類C2を表示することもできる。図13Bの下段に示したアウトプットD4のように、UI制御部215は、分析結果として、物質推定部214により推定された下位分類C3と、その下位分類C3が属する中位分類C2と、その中位分類C2が属する上位分類C1と、を各分類の包含関係を示した状態で表示部22に表示させることができる。
物質ライブラリLiの説明に際して述べたように、上位分類C1には補足説明D1が対応付けて記憶される。そこで、本実施形態に係るUI制御部215は、表示部22に表示された上位分類C1の中から一の選択を受け付けるとともに、該選択された上位分類C1に対応付いた補足説明D1を、表示部22に表示させることができる。UI制御部215はまた、表示部22に表示された下位分類C3の中から一の選択を受け付けるとともに、該選択された下位分類C3が属する上位分類C1に対応付いた補足説明D1を、表示部22に表示させることができる。
つまり、本実施形態に係るUI制御部215は、所定の上位分類C1が選択された場合は、該上位分類C1に対応した補足説明D1を表示部22に表示させるとともに、その上位分類C1に属する下位分類C3が選択された場合にも、同じ補足説明D1を表示部22に表示させることができる。ここで、下位分類C3にも補足説明D3が記憶されていた場合、図13Bに示すように、UI制御部215は、上位分類C1に係る補足説明D1と、下位分類C3に係る補足説明D3と、を双方とも表示させることができる。
中位分類C2が設定されている場合も同様である。図13Bの下段に示したアウトプットD4のように、UI制御部215は、補足説明として、上位分類C1に係る補足説明D1と、中位分類C2に係る補足説明D2と、を結合したデキストデータを表示部22に表示させることができる。
また、UI制御部215は、物質推定部214によって推定された下位分類C3を、該下位分類C3が第1の物質ライブラリLi1、第2の物質ライブラリLi2およびユーザ定義物質ライブラリLiuのいずれに属するかを示す識別情報D5とともに表示部22に表示させることができる。この識別情報D5は、図13Bに例示するように、分析結果、補足説明等の情報と1セットで表示部22に表示させてもよい。
-ライブラリ生成部216-
ライブラリ生成部216は、ユーザの操作入力に基づいて、ユーザ定義物質ライブラリを生成する。ライブラリ生成部216は、上位分類C1、中位分類C2および下位分類C3の各名称および階層情報の設定と、上位分類C1に関連付いた補足説明D1、中位分類C2に関連付いた補足説明D2、および下位分類C3に関連付いた補足説明D3の設定と、を行うことができる。ライブラリ生成部216によって生成されたユーザ定義物質ライブラリLiuは、2次記憶装置21cに記憶され、物質推定部214等によって必要に応じて読み出されて使用される。ここで、上位分類C1、中位分類C2および下位分類C3は、ユーザが独自に定めた定義を登録したり、その一部を既存の規格から引用したりすることができる。分類同士の階層構造、および、各分類に関連付いた補足説明はユーザが任意で追加および編集することができる。また、特徴抽出部213が抽出した特徴Ch、例えば物質の組成を示す情報を、そのまま上位分類C1、中位分類C2および下位分類C3のいずれかに登録したり、初期値として自動的に設定したりすることができる。また、機械学習による物質の推定をする場合には、ユーザが登録した特徴Chを用いて訓練を実施することもできる。これにより、既存の規格に存在しないユーザ独自の物質についても適切な推定を行うことができるようになる。
<制御フローの具体例>
図14は、分析観察装置Aの基本動作を例示するフローチャートである。また、図15は、制御部21によるサンプルSPの分析手順を例示するフローチャートである。
まず、図14のステップS1では、第2モードにおいて、観察光学系9による分析対象の探索が実行される。このステップS1では、ユーザによる操作入力に基づいて、制御部21が、第2カメラ93の露光時間、光ファイバーケーブルC3によって導光される照明光など、第2カメラ93によって生成される画像データの明るさ等の条件を調整しながら、サンプルSPの各部のうち、分析光学系7によって分析されるべき部分(分析対象)を探索する。このとき、制御部21は、必要に応じて、第2カメラ93によって生成される画像データを保存する。
続くステップS2では、制御部21は、ユーザによる操作入力に基づいて、第2モードから第1モードへの切替指示を受け付ける。そして、モード切替部211がスライド機構65を作動させて観察光学系9と分析光学系7とを一体的にスライド移動させることで、第2モードから第1モードへの切替が実行される。
続くステップS3では、記憶部としての1次記憶装置21bが、物質ライブラリLiを2次記憶装置21c等から読み出す。このステップS3は、本実施形態における「読出ステップ」の例示である。また、読出ステップとしてのステップS3は、処理ステップS4の最中に実行してもよい。読出ステップS3は、後述のステップS41~S46のうち、少なくともステップS43よりも早いタイミングで行えばよい。
続くステップS4では、モード切替が完了した後に、スペクトル取得部212、特徴抽出部213および物質推定部214によるサンプルSPの成分分析が行われる。また、このステップS4では、UI制御部215による表示部22の制御も実行される。ステップS4は、本実施形態における「処理ステップ」の例示である。具体的に、処理ステップとしてのステップS4で行われる処理は、図15のステップS41~ステップS46によって構成されている。
まず、ステップS41において、スペクトル取得部212は、出射部71からレーザ光を出射させ、その出射に起因したプラズマ光を第1および第2検出器77A、77Bに受光させる。第1および第2検出器77A,77Bは、該プラズマ光の波長毎の強度分布である強度分布スペクトルを生成する。第1および第2検出器77A,77Bが生成した強度分布スペクトルは、スペクトル取得部212が取得する。ステップS41は、本実施形態における「取得工程」の例示である。
続くステップS42において、特徴抽出部213は、スペクトル取得部212によって取得された強度分布スペクトルに基づいて、サンプルSPに含有される物質の特徴Chを抽出する。この例では、特徴抽出部213は、物質の特徴Chとして、サンプルSPの構成元素と、その構成元素の含有率と、を抽出する。この抽出は、種々の物理モデルに基づいて行ってもよいし、検量線グラフを通じて行ってもよいし、重回帰分析等、統計的な手法を用いて行ってもよい。ステップS42は、本実施形態における「抽出工程」の例示である。
続くステップS43において、物質推定部214は、特徴抽出部213によって抽出された物質の特徴Chに基づいて、サンプルSPに含まれる物質の種類(特に、レーザ光が照射された物質の種類)を推定する。この推定は、物質推定部214が物質の特徴Chと物質ライブラリLiとを照合することで行うことができる。その際、物質ライブラリLiにおいて下位分類C3と区分された物質の種類と、特徴抽出部213によって抽出された構成元素の含有率と、の確度(類似度)に基づいて、確度が高い順に、下位分類C3のうちの2つ以上が推定される。ステップS43は、本実施形態における「推定特定工程」の例示である。
続くステップS44において、物質推定部214は、ステップS43で特定された下位分類C3の各々について、対応する中位分類C2と上位分類C1を探索する。物質推定部214は、探索対象とされた各下位分類C3と、探索された中位分類C2および上位分類C1を1セットにまとめることで、物質ライブラリLiに記憶された階層構造のうち、表示部22に表示させるべきデータを設定する。
続くステップS45において、UI制御部215は、ステップS44で1セットにまとめられた下位分類C3、中位分類C2および上位分類C1の各々について、各分類に関連付いた補足説明D1,D2,D3を読み出す。UI制御部215は、読み出した補足説明D1~D3を結合することで、表示部22に表示されるべきテキストデータを作成する。なお、下位分類C3に関連付いた補足説明D3がブランクだった場合(補足説明D3が未設定だった場合)、UI制御部215は、中位分類C2に関連付いた補足説明D2と、上位分類C1に関連付いた補足説明D1と、のみを結合することでテキストデータを作成することになる。また仮に、中位分類C2に関連付いた補足説明D2もブランクだった場合、UI制御部215は、上位分類C1に関連付いた補足説明D1のみを用いてテキストデータを生成することになる。
続くステップS46において、UI制御部215が、表示部22に各種データを表示する。ステップS46は、本実施形態における「表示工程」の例示である。このステップS46では、ステップS44で設定された階層構造に加え、ユーザの操作入力を受け付けるアイコン等、各種ユーザインターフェースが表示部22に表示される。以下、表示部22に表示されるユーザインターフェースについて、図16A~図16Hを参照して説明する。
-ユーザインターフェースの具体例-
図16A~図16Hは、表示部22の表示画面を例示する図である。ステップS45からステップS46への直後のタイミングにおいて、UI制御部215は、図16Aに示すように、特徴抽出部213によって抽出された特徴Chを示す第1情報Vd1と、物質推定部214によって推定された物質の種類を示す第2情報Vd2と、推定された物質の階層構造を示す第3情報Vd3と、を表示部22に表示させる。
図16Aに示す例では、第1情報Vd1として、サンプルSPに含まれる鉄とクロムとニッケルとが含有されていることと、鉄の含有率が74%であり、クロムの含有率が17%であり、ニッケルの含有率が9%であることを示す数値データと、が表示される。ここで、第1情報Vd1の下方には、マウス31によるクリック操作等を受け付ける第1アイコンIc1が表示されている。詳細は省略するが、「検出設定…」と表記された第1アイコンIc1がクリック操作されることで、特徴抽出部213が行う処理に係る設定を変更することができる。
また、第1アイコンIc1のさらに下方には、マウス31によるクリック操作等を受け付ける第2アイコンIc2が表示されている。「スペクトル」と表記された第2アイコンIc2を操作することで、図16Bに例示するように、スペクトル取得部212が取得した強度分布スペクトルと、その強度分布スペクトルから抽出された特徴Chと、を示す第4情報Vd4を表示部22に表示させることができる。図例では、鉄に対応した波長λ1と、クロムに対応した波長λ2と、ニッケルに対応した波長λ3と、の各々において、強度分布スペクトルがピークをなしていることが見て取れる。
図16Aに戻ると、第1情報Vd1の左方には、第2情報Vd2として、物質の上位分類C1が「ステンレス鋼」であることが表示されている。また、第2情報Vd2の下方には、第3情報Vd3として、上位分類C1に属する中位分類C2が、「オーステナイト系」、「析出硬化系」および「オーステナイト系」の順番で表示されている。この順番は、各中位分類C2に対応する下位分類C3の確度の順番に等しい。この例では、中位分類C2としてのオーステナイト系に、析出硬化系に属する下位分類C3よりも確度が高い下位分類C3と、析出硬化系に属する下位分類C3よりも確度が低い下位分類C3と、が両方とも含まれていることを示唆している。図例では、相対的に確度が高い下位分類C3にはSUS302等が含まれ、確度が中程度の下位分類C3にはSUS631等が含まれ、相対的に確度が低い下位分類C3にはSUS304、SUS321、SUS305等が含まれることになる(図示省略)。
ここで、下位分類C3の詳細を知るためには、まず、「オーステナイト系」等の中位分類C2の左方に表示された第5アイコンIc5をクリックすればよい。この第5アイコンIc5は、中位分類C2に属し、かつ、下位分類C3が属する“第2の中位分類”の表示および非表示を切り替えるためのアイコンであり、UI制御部215によって表示部22、特に第3情報Vd3の表示欄に表示される。第5アイコンIc5は、本実施形態における「第2のアイコン」の例示である。
第2の中位分類は、中位分類C2を細分化してなる分類である。この第2の中位分類をさらに細分化することで、この例における下位分類C3を得ることができる。なお、第2の中位分類は必須ではない。また、第2の中位分類に属する第3の中位分類を設定してもよいし、その第3の中位分類に属するさらなる中位分類を設定してもよい。そうして設定される中位分類の最下層に下位分類C3を対応づければよい。なお、中位分類、第2の中位分類、第3の中位分類、さらなる中位分類は、一部の下位分類C3に対してのみ設定されてもよく、下位分類C3に応じて、当該下位分類C3が属する中位分類の有無や細分化される中位分類の数は異なっていてもよい。すなわち、SUS300、SUS301、SUS303Seが下位分類C3として設定されていた場合、SUS300、SUS301という下位分類C3に対しては、「オーステナイト系」という中位分類C2が設定され、SUS303Seに対しては、「オーステナイト系」という中位分類C2に加えて、「SUS303番台」という第2の中位分類が設定されてもよい。このように下位分類C3の性質等に応じて、当該下位分類C3が属する中位分類の有無や細分化される中位分類の数を異ならせることで、ユーザに対して、分析対象物としてのサンプルSPが属する分類の系統や総称をより適切に報知することができる。
ここで、図16Aにおいて一番上に配置された「オーステナイト系」の左方に位置する第5アイコンIc5を操作すると、図16Cに例示するように、その「オーステナイト系」に属する第2の中位分類を表示部22、特に第3情報Vd3の表示欄に表示させることができる。この例では、第2の中位分類として、「SUS300番台」と表示されている。また、上位分類C1から中位分類C2、ひいては第2の中位分類を展開すると、図16Cに例示するように、第2情報Vd2の表示も変化する。図例では、上位分類C1としての「ステンレス鋼」に中位分類C2としての「オーステナイト系」が属することと、中位分類C2としての「オーステナイト系」に第2の中位分類としての「SUS300番台」が属すること、が第2情報Vdとして表示部22に表示されている。なお、上述の識別情報は、図16Cに示すように、上位分類C1よりもさらに上位の分類として、各種表示欄に表示してもよい。図例では、「使用ライブラリ」として、第2情報Vd2の上方に識別情報が図示されているが、第3情報Vd3の表示欄に識別情報を組み込んでもよい。識別情報は、上位分類C1よりもさらに上位の最上位分類として用いることができる。
そして、「SUS300番台」と表示された第2の中位分類の左方には、さらに第6アイコンIc6が表示される。この第6アイコンIc6は、第2の中位分類に属する下位分類C3の表示および非表示を切り替えるためのアイコンであり、UI制御部215によって表示部22に表示される。
前記第6アイコンIc6を操作すると、図16Dに例示するように、「SUS300番台」に属する下位分類C3を、表示部22、特に第3情報Vd3の表示欄に表示させることができる。具体的に、本実施形態に係るUI制御部215は、図16Dに例示するように、第6アイコンIc6が操作されることで表示される下位分類C3に加え、その下位分類C3が属する上位分類C1、中位分類C2および第2の中位分類を、表示部22、特に第3情報Vd3の表示欄に表示させることができる。また、同図に例示するように、下位分類C3が属する上位分類C1等の詳細は、第2情報Vd2の表示内容にも反映される。図例では、下位分類C3として、相対的に確度が高い「SUS302」と、相対的に確度が低い「SUS303Se」と、が表示されている。
また、第3情報Vd3の下方には、マウス31によるクリック操作等を受け付ける第3アイコンIc3が表示されている。「説明文表示」と表記された第3アイコンIc3を操作することで、前述のステップS45で作成されたテキストデータを表示部22に表示させることができる。
ここで、図16Eは、図16Cに例示した状態(下位分類C3を非表示とした状態)から第3アイコンIc3を操作した場合の表示画面を例示している。図16Fは、図16Dに例示した状態(下位分類C3を表示した状態)から第3アイコンIc3を操作した場合の表示画面を例示している。各表示画面には、各分類の補足説明D1~D3を結合してなるテキストデータを示す第5情報Vd5が示されている。
ここで、例えば図13Bを用いて説明したように、下位分類C3に対応する補足説明D3がブランクだった場合、図16Eおよび図16Fに例示するように、下位分類C3を非表示とした状態から第3アイコンIc3の操作を受け付けた場合の表示画面と、下位分類C3を表示した状態から第3アイコンIc3の操作を受け付けた場合の表示画面と、は第2情報Vdを除き同一になる。この場合、表示部22には、上位分類C1に関連した補足説明D1と、中位分類C2に関連した補足説明D2と、第2の中位分類に関連した関連した補足説明と、を結合してなるテキストデータが第5情報Vd5として表示されることになる。一方、下位分類C3に関連した補足説明D3が設定されていた場合、下位分類C3を表示した状態から第5情報Vd5を表示させた場合の表示画面には、下位分類C3に関連した補足説明も表示されることになる。
また、第3アイコンIc3の右方には、マウス31によるクリック操作等を受け付ける第4アイコンIc4が表示されている。第4アイコンIc4の操作を受け付けると、UI制御部215は、図16Aまたは図16B~図16Fに例示した表示画面から図16Gに例示した表示画面へと表示部22の表示内容を切り替える。
具体的に、UI制御部215は、第4アイコンIc4の操作を受け付けると、上位分類C1~下位分類C3の分類規格を選択するためのインターフェースを示す第6情報Vd6を表示部22に表示させる。この第6情報Vd6には、第1または第2の規格を例示する「JIS」、「ISO」、「EN」、「ANSI」および「ユーザ定義」を選択するための複数の第7アイコンIc7が表示されている。
例えば、「JIS」という表記の左方に配置された第7アイコンIc7をクリック操作すると、第1の規格として「JIS」が選択され、「JIS」にしたがって生成された第1の物質ライブラリLi1を用いた処理が行われることになる。この場合、図16A等に示したように、第4アイコンIc4に、「JIS」が選択されていることを示す識別情報を重畳表示することができる。
また、「ユーザ定義」という表記の左方に配置された第7アイコンIc7がクリック操作された場合、ユーザが独自に定義した規格が選択され、ユーザ自身が設定したユーザ定義ライブラリを用いた処理が行われることになる。ユーザ定義ライブラリの設定は、例えば、「編集」と表記された第8アイコンIc8が操作されることで行うことができる(詳細は省略)。また、第7アイコンIc7の操作状況、およびユーザ定義ライブラリの設定は、「保存」と表記された第9アイコンIc9を操作することで保存される。「戻る」と表記された第10アイコンIc10がクリック操作されると、UI制御部215は、図16Gに例示した表示画面から図16Aまたは図16B~図16Fに例示した表示画面へと表示部22の表示内容を切り替える。
なお、第6情報Vd6において、複数の第7アイコンIc7の2つ以上を操作することで、2つ以上の規格を選択することもできる。例えば、第1の規格としての「JIS」に加え、第2の規格として「ISO」も選択された場合、「JIS」にしたがって生成された第1の物質ライブラリLi1と、「ISO」にしたがって生成された第2の物質ライブラリLi2を両方とも用いた処理が行われることになる。この場合、図16Hに例示するように、第4アイコンIc4には、「JIS」と「ISO」が双方とも選択されていることを示す「JIS+ISO」なる識別情報D5を重畳表示することができる。また、この場合、第3情報Vd3には、「JIS」に基づいた上位分類C1である「ステンレス鋼」に加え、「ISO」に基づいた上位分類C1である「ISO/TS 15510」なる分類も同時に表示されることになる。これらの上位分類C1の順番は、確度の高い順とすればよい。また、ユーザ定義ライブラリが選択されている場合、UI制御部215は、「ユーザ定義」等、ユーザが独自に定義した規格が選択されていることを示す情報を、識別情報D5として第4アイコンIc4に重畳表示させることができる。なお、第7アイコンIc7の選択が切り替えられたことに応じて、物質推定部214は、選択された規格に属する下位分類C3の中から、物質の特徴Chに対応した下位分類C3を再推定し、第3情報Vd3に表示する情報を、当該再推定した内容で更新してもよい。
<物質の直感的な把握について>
以上説明したように、本実施形態によれば、図13BのアウトプットD4および図16Dの第3情報Vd3等に例示したように、下位分類C3を上位分類C1とまとめて表示部22に表示させることで、物質の具体的な種類を下位分類C3によって把握させることができるばかりでなく、その物質の概略的な種類、性質、特徴等を、上位分類C1を通じて把握させることができるようになる。これにより、サンプルSPがどのような物質なのかをユーザに直感的に把握させることができるようになる。
また、図16Dに例示したように、下位分類C3の表示および非表示を切り替えるための第6アイコンIc6を用いることで、より直感的に操作可能なインターフェースを提供することができる。また、「SUS302」と「SUS303Se」に例示したように、確度順に下位分類C3を並べることで、物質の種類が如何なる下位分類C3に属するかをユーザに直感的に把握させることができるようになる。
また、図13A、図13Bおよび図16A等に例示したように、上位分類C1および下位分類C3に加えて中位分類C2を用意することで、より細かく物質を分類することができるようになる。また、そうした細かな分類を望まないユーザについては、第5アイコンIc5の操作を通じて中位分類C2を非表示とさせることで、より直感的に操作可能なインターフェースを提供するとともに、ユーザビリティを向上させることができる。
また、図13A、図13B、図16Gおよび図16Hに例示したように、複数の物質ライブラリLi1,Li2を用意することで、より柔軟な分類体系を提供し、ひいては業界または文化圏の違いにより、慣習として使用される規格が異なる場合においても、ユーザに適したライブラリを使用することができ、多岐にわたるニーズに応えることが可能になる。また、第4アイコンIc4の重畳表示等、表示部22に識別情報D5を表示させることで、いずれの物質ライブラリLiに基づいた分類体系なのかをユーザに容易に把握させることができる。これにより、ユーザの直感的な理解の助けとすることが可能になる。
また、所定の物質ライブラリLi1,Li2に加えてユーザ定義物質ライブラリを用意することで、より柔軟な分類体系を提供し、ひいては多岐にわたるニーズに応えることが可能になる。
また、図13B、図16Eおよび図16Fに例示したように、選択された上位分類C1、または、選択された下位分類C3が属する上位分類C1に対応付いた補足説明D1を表示部22に表示させることで、物質の概略的な種類、性質、特徴等、その上位分類C1に関連した情報をユーザに把握させることができる。これにより、サンプルSPがどのような物質なのかをユーザに把握させる上で有利になる。