定義
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、1つ以上を意味し得る。特許請求の範囲において使用される場合、「含む」という語と組み合わせて使用されるとき、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という語は、1つ以上を意味し得る。
「含む」が使用される場合、これは、任意選択的に「から基本的になる」により、より任意選択的に「からなる」によって置き換えられ得る。
本明細書で使用される場合、「パラフィン包埋された試料」(又はパラフィン包埋された「細胞」、「細胞ペレット」、「スライド」又は「組織」)は、固定され、パラフィン中に包埋され、薄切され、脱パラフィン処理され、且つスライドに移された、生物から又はインビトロの細胞培養物から採取された細胞又は組織を指す。固定及びパラフィン包埋が、例えば使用される固定及び包埋方法に関して、従ったプロトコルに関してなど、多くの態様において変動し得る一般的な実施であること及び本発明の目的のために、組織の固定(ホルマリン処理によるものなど)、パラフィン又は同等の物質中での包埋、薄切及びスライドへの移動を含む限り、あらゆるこのような改変方法が包含されることが認識されるであろう。
「生体試料」又は「試料」という用語は、本明細書で使用される場合、体液(例えば血清、リンパ、血液)、細胞試料又は組織試料(例えば骨髄又は組織生検、例えば皮膚、乳房、肺、結腸、卵巣、胃など、粘膜組織、例えば腸、腸の粘膜固有層など)を含むが、限定されない。
「抗体」という用語は、本明細書で最も広い意味で使用され、具体的に、全長モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二特異性抗体)及び所望の生物学的活性を示す限り、抗体断片及び誘導体を含む。抗体の産生に関連する様々な技術は、例えば、Harlow,et al.,ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1988)で提供される。「抗体断片」は、全長抗体の一部、例えばその抗原-結合又は可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab)2、F(ab’)2、F(ab)3、Fv(一般的には抗体のシングルアームのVL及びVHドメイン)、単鎖Fv(scFv)、dsFv、Fd断片(一般的にはVH及びCH1ドメイン)及びdAb(一般的にはVHドメイン)断片;VH、VL、VhH及びV-NARドメイン;ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ及びカッパボディ(例えば、Ill et al.,Protein Eng 1997;10:949-57を参照されたい);ラクダIgG;IgNAR;及び抗体断片から形成される多特異性抗体断片及び1つ以上の単離CDR又は機能的パラトープが挙げられ、ここで単離CDR又は抗原結合残基又はポリペプチドは、一緒に会合又は連結されて機能的抗体断片を形成する。例えば、Holliger and Hudson,Nat Biotechnol 2005;23,1126-1136;国際公開第2005040219号パンフレット及び米国特許出願公開第20050238646号明細書及び同第20020161201号明細書において、様々なタイプの抗体断片が記載されるか又は概説されている。
「超可変領域」という用語は、本明細書で使用される場合、抗原結合に寄与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、一般に、「相補性決定領域」又は「CDR」(例えば、軽鎖可変ドメインにおける残基24~34(L1)、50~56(L2)及び89~97(L3)及び重鎖可変ドメインにおける31~35(H1)、50~65(H2)及び95~102(H3);Kabat et al.,1991)からのアミノ酸残基及び/又は「超可変ループ」(例えば、軽鎖可変ドメインにおける残基26~32(L1)、50~52(L2)及び91~96(L3)及び重鎖可変ドメインにおける26-32(H1)、53-55(H2)及び96-101(H3);Chothia and Lesk,J.Mol.Biol 1987;196:901-917)からの残基を含む。一般的には、この領域におけるアミノ酸残基の番号付与は、前出のKabat et al.に記載の方法により行われる。本明細書の「Kabat位置」、「Kabatにおけるものとしての可変ドメイン残基番号付与」及び「Kabatに従い」などの句は、重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに対するこの番号付与系を指す。Kabat番号付与系を使用して、ペプチドの実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR又はCDRの短縮又はそこへの挿入に対応するより少ない又はさらなるアミノ酸を含有し得る。例えば、重鎖可変ドメインは、CDR H2の残基52の後に単一アミノ酸挿入(Kabatに従う残基52a)及び重鎖FR残基82の後の挿入された残基(例えばKabatに従う残基82a、82b及び82cなど)を含み得る。残基のKabat番号付与は、「標準的な」Kabat番号付与された配列との抗体の配列の相同性の領域でのアライメントにより、特定の抗体に対して決定され得る。抗体又はそれらの変異体のCDRを指すための何れかの定義の適用は、本明細書で定義及び使用されるような用語の範囲内であるものである。一般に使用される番号付与スキームにより定められるようなCDRを包含する適切なアミノ酸残基は、比較として下の表1で示す。特定のCDRを包含する正確な残基番号は、CDRの配列及びサイズに依存して変動する。当業者は、抗体の可変領域アミノ酸配列を考慮して特定のCDRを何れの残基が含むかを日常的に決定し得る。
「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書で使用される場合、CDRとして定義される領域を除外した抗体可変ドメインの領域を意味する。各抗体可変ドメインフレームワークは、CDRにより分離される連続領域(FR1、FR2、FR3及びFR4)にさらに細かく分けられ得る。
本明細書で定義される場合、「定常領域」は、軽鎖又は重鎖免疫グロブリン定常領域遺伝子の1つによりコードされる抗体由来の定常領域を意味する。「定常軽鎖」又は「軽鎖定常領域」は、本明細書で使用される場合、カッパ(Cカッパ)又はラムダ(Cラムダ)軽鎖によりコードされる抗体の領域を意味する。定常軽鎖は、一般に、単一ドメインを含み、本明細書で定義される場合、Cカッパ又はCラムダの位置108~214を指し、番号付与はEUインデックスに従う(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,United States Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda)。「定常重鎖」又は「重鎖定常領域」は、本明細書で使用される場合、抗体のアイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA又はIgEとして定義するための、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ又はイプシロン遺伝子によりコードされる抗体の領域を意味する。全長IgG抗体に対して、定常重鎖は、本明細書で定義される場合、CH1ドメインのN末端からCH3ドメインのC末端を指し、従って、118~447の位置を含み、番号付与はEUインデックスに従う。
「Fab」又は「Fab領域」は、本明細書で使用される場合、VH、CH1、VL及びCL免疫グロブリンドメインを含むポリペプチドを意味する。Fabは、孤立したこの領域又はポリペプチド、多特異性ポリペプチド又はABD若しくは本明細書で概説されるような何らかの他の実施形態との関連でのこの領域を指し得る。
「単鎖Fv」又は「scFv」は、本明細書で使用される場合、抗体のVH及びVLドメインを含む抗体断片を意味し、これらのドメインは、単一ポリペプチド鎖中に存在する。一般に、Fvポリペプチドは、抗原結合のための所望の構造をscFvが形成できるようにする、VHドメインとVLドメインとの間のポリペプチドリンカーをさらに含む。scFvを作製する方法は、当技術分野で周知である。scFvを作製する方法の総括については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。
「Fv」又は「Fv断片」又は「Fv領域」は、本明細書で使用される場合、単一抗体のVL及びVHドメインを含むポリペプチドを意味する。
「Fc」又は「Fc領域」は、本明細書で使用される場合、第1の定常領域免疫グロブリンドメインを排除する抗体の定常領域を含むポリペプチドを意味する。従って、Fcは、IgA、IgD及びIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン及びIgE及びIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン及びこれらのドメインに対するフレキシブルヒンジN末端を指す。IgA及びIgMの場合、FcはJ鎖を含み得る。IgGの場合、Fcは、免疫グロブリンドメインCγ2(CH2)及びCγ3(CH3)及びCγ1とCγ2との間のヒンジを含む。Fc領域の境界が変動し得るものの、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、そのカルボキシル末端に対して残基C226、P230又はA231を含むものと定義され、番号付与はEUインデックスに従う。Fcは、下記のように、孤立したこの領域又はFcポリペプチドの関連でのこの領域を指し得る。「Fcポリペプチド」又は「Fc由来ポリペプチド」は、本明細書で使用される場合、Fc領域の全て又は一部を含むポリペプチドを意味する。Fcポリペプチドは、抗体、Fc融合物及びFc断片を含むが、限定されない。
「可変領域」は、本明細書で使用される場合、それぞれ軽鎖(カッパ及びラムダを含む)及び重鎖免疫グロブリン遺伝子座を構築するVL(Vカッパ(VK)及びVラムダを含む)及び/又はVH遺伝子の何れかにより実質的にコードされる1つ以上のIgドメインを含む抗体の領域を意味する。軽鎖又は重鎖可変領域(VL又はVH)は、「相補性決定領域」又は「CDR」と呼ばれる3つの超可変領域で中断される「フレームワーク」又は「FR」領域からなる。フレームワーク領域及びCDRの範囲は、例えば、Kabatによって(“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”E.Kabat et al.,U.S.Department of Health and Human Services,(1983)を参照されたい)及びChothiaなどにおいて、正確に定められている。構成物軽鎖及び重鎖の合わせたフレームワーク領域である抗体のフレームワーク領域は、CDRを配置し、アラインする役割を果たし、これらは、主に抗原への結合に関与する。
MICA及び/又はMICB発現細胞に関して「枯渇させる」という用語は、試料において又は対象において存在するMICA及び/又はMICB発現細胞の数に負の影響を与えるように、死滅させ得るか、除去し得るか、溶解させ得るか又はこのような死滅、除去若しくは溶解を誘導し得る、工程、方法又は薬剤を意味する。薬剤は、例えば、MICA及び/又はMICBに結合し、MICA及び/又はMICB発現細胞に対してADCC(抗体依存性細胞傷害)を指示する抗体を含み得るか、又は薬剤は、MICAに結合し、且つ細胞へのその細胞傷害剤の送達によるMICA及び/又はMICB発現細胞の死を直接引き起こす抗体薬物複合物であり得る。
「免疫複合物」及び「抗体複合物」という用語は、交換可能に使用され、抗原結合剤、例えば抗体結合タンパク質又は別の部分(例えば、細胞傷害剤)にコンジュゲートされる抗体を指す。細胞傷害剤にコンジュゲートされる抗原結合剤を含む免疫複合物は、「抗体薬物複合物」又は「ADC」とも呼ばれ得る。
「薬剤」という用語は、化学的化合物、化学的化合物の混合物、生物学的巨大分子又は生体物質から生じる抽出物を示すために本明細書で使用される。「治療剤」という用語は、生物学的活性を有する薬剤を指す。
「特異的に結合する」という用語は、タンパク質の組み換え形態、その中のエピトープ又は単離標的細胞の表面に存在するネイティブタンパク質の何れかを使用して評価した場合、抗体又はポリペプチドが、好ましくは結合パートナー、例えばMICA及びMICBへの競合的結合アッセイにおいて結合し得ることを意味する。特異的な結合を決定するための競合的結合アッセイ及び他の方法は、さらに以下に記載され、当技術分野で周知である。
抗体又はポリペプチドが特定のモノクローナル抗体「と競合する」と言われる場合、これは、抗体又はポリペプチドが、パラフィン包埋された細胞ペレットにおいて、適切な標的分子又は表面発現標的分子、例えば細胞によって発現されるMICAを使用した結合アッセイにおいてモノクローナル抗体と競合することを意味する。例えば、結合アッセイにおいて試験抗体がMICAポリペプチド又はMICA発現細胞への12C9の結合を減少させる場合、この抗体は12C9と競合すると言われる。
「機能保存的変異体」は、アミノ酸を同様の特性(例えば、極性、水素結合能、酸性、塩基性、疎水性、芳香族など)を有するアミノ酸で置き換えることを含むが、限定されない、タンパク質又は酵素中のある種のアミノ酸残基がポリペプチドの全体的な立体構造及び機能を変化させることなく改変されている変異体である。保存されるように示されるこれら以外のアミノ酸は、同様の機能の何れか2つのタンパク質間のパーセントタンパク質又はアミノ酸配列類似性が変動し得るようにタンパク質において異なり得、例えばCluster法などによりアライメントスキームに従って決定した場合に70%~99%であり得、類似性はMEGALIGNアルゴリズムに基づく。「機能保存的変異体」は、BLAST又はFASTAアルゴリズムにより決定した場合、少なくとも60%のアミノ酸同一性、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも90%及びさらにより好ましくは少なくとも95%のアミノ酸同一性を有するポリペプチドも含み、比較されるネイティブ又は親タンパク質(例えば重鎖若しくは軽鎖又はその可変領域)と同じ又は実質的に類似の特性又は機能を有する。
「親和性」という用語は、本明細書で使用される場合、エピトープへの抗体又はポリペプチドの結合の強度を意味する。抗体の親和性は、[Ab]x[Ag]/[Ab-Ag]として定められる解離定数KD(式中、[Ab-Ag]は、抗体-抗原複合体のモル濃度であり、[Ab]は、未結合抗体のモル濃度であり、[Ag]は、未結合抗原のモル濃度である)により与えられる。親和性定数KAは、1/KDにより定められる。mAbの親和性を決定するための好ましい方法は、Harlow,et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,1988),Coligan et al.,eds.,Current Protocols in Immunology,Greene Publishing Assoc.and Wiley Interscience,N.Y.,(1992,1993)及びMuller,Meth.Enzymol.92:589-601(1983)において見られ得、参考文献は、参照により本明細書に全体的に組み込まれる。mAbの親和性を決定するための当技術分野で周知のある好ましい標準的な方法は、表面プラズモン共鳴(SPR)スクリーニングの使用である(BIAcore(商標)SPR分析装置での分析によるなど)。
「エピトープ」という用語は、抗原決定基を指し、抗体又はポリペプチドが結合する抗原上のエリア又は領域である。タンパク質エピトープは、結合に直接関与するアミノ酸残基並びに特異的な抗原結合抗体又はペプチドにより効果的に遮断されるアミノ酸残基、すなわち抗体の「フットプリント」内のアミノ酸残基を含み得る。これは、例えば抗体又は受容体と合わせ得る複合抗原分子上の最も単純な形態又は最小構造領域である。エピトープは、直鎖状又は立体構造/構造であり得る。「直鎖状エピトープ」という用語は、アミノ酸の直鎖状配列(一次構造)上で近接するアミノ酸残基から構成されるエピトープとして定められる。「立体構造又は構造エピトープ」という用語は、分子の折り畳みによって互いに対して近接するようにされる、全てが近接せず、従ってアミノ酸の直鎖状配列の個々の部分に相当する、アミノ酸残基から構成されるエピトープとして定められる(二次、三次及び/又は四次構造)。立体構造エピトープは、三次元構造に依存する。従って「立体構造」という用語は、「構造」と交換可能に使用されることが多い。
「アミノ酸修飾」という用語は、本明細書では、ポリペプチド配列におけるアミノ酸置換、挿入及び/又は欠失を意味する。本明細書のアミノ酸修飾の例は、置換である。本明細書の「アミノ酸修飾」は、ポリペプチド配列における、アミノ酸置換、挿入及び/又は欠失を意味する。本明細書の「アミノ酸置換」又は「置換」は、タンパク質配列におけるある位置でのアミノ酸の別のアミノ酸での置き換えを意味する。例えば、置換Y50Wは、位置50のチロシンがトリプトファンで置き換えられる親ポリペプチドの変異体を指す。ポリペプチドの「変異体」は、参照ポリペプチド、一般的にはネイティブ又は「親」ポリペプチド、と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。ポリペプチド変異体は、ネイティブアミノ酸配列内のある位置で1つ以上のアミノ酸置換、欠失及び/又は挿入を保持し得る。
「保存的」アミノ酸置換は、あるアミノ酸残基が、同様の物理化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられるものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは当技術分野で公知であり、塩基性側鎖(例えばリジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えばアスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えばアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ-分岐状側鎖(例えばスレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えばチロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。
「同一性」又は「同一である」という用語は、2つ以上のポリペプチドの配列間の関係において使用されるとき、2つ以上のアミノ酸残基列の間の一致数により決定される場合の、ポリペプチド間の配列の関係性の程度を指す。「同一性」は、特定の数学的モデル又はコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)により対処されるギャップアライメント(必要に応じて)を伴う2つ以上の配列のより小さいものの間の、同一である一致のパーセントを評価する。関連ポリペプチドの同一性は、既知の方法により容易に計算され得る。このような方法としては、Computational Molecular Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University Press,New York,1988;Biocomputing:Informatics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.,Academic Press,New York,1993;Computer Analysis of Sequence Data,Part 1,Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,New Jersey,1994;Sequence Analysis in Molecular Biology,von Heinje,G.,Academic Press,1987;Sequence Analysis Primer,Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.,M.Stockton Press,New York,1991;及びCarillo et al.,SIAM J.Applied Math.48,1073(1988)に記載のものが挙げられるが、限定されない。
同一性を決定するための好ましい方法は、試験される配列間の最大の一致を与えるように設計される。同一性を決定する方法は、公開されているコンピュータプログラムに記載されている。2つの配列間の同一性を決定するための好ましいコンピュータプログラム法は、GAP(Devereux et al.,Nucl.Acid.Res.12,387(1984);Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis.)、BLASTP、BLASTN及びFASTA(Altschul et al.,J.Mol.Biol.215,403-410(1990))を含め、GCGプログラムパッケージを含む。BLASTXプログラムは、National Center for Biotechnology Information(NCBI)及び他のソース(BLAST Manual,Altschul et al.NCB/NLM/NIH Bethesda,Md.20894;Altschul et al.、前出)から公開されている。同一性を決定するために、周知のSmith Watermanアルゴリズムも使用し得る。
「単離された」分子は、それが属する分子のクラスに関してそれが見出される組成物中の主な種である分子である(すなわち、これは、組成物中の分子タイプの少なくとも約50%を構成し、一般的には、組成物中の、分子の種、例えばペプチドの少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又はそれを超えるものを構成する)。一般に、ポリペプチドの組成物は、組成物中の全ての本ペプチド種又は提案される使用との関連で少なくとも実質的に活性のあるペプチド種に関して、ポリペプチドに対して98%、98%又は99%の均一性を示す。
本明細書に関連して、「処置」又は「処置すること」は、文脈により矛盾がない限り、疾患若しくは障害の1つ以上の症状又は臨床的に関連する所見を予防するか、緩和するか、管理するか、治癒させるか又は軽減することを指す。例えば、疾患又は障害の症状又は臨床的に関連する所見が同定されていない患者の「処置」は、予防的又は予防治療であり、一方で疾患若しくは障害の症状又は臨床的に関連する所見が同定されている患者の「処置」は、一般に、予防的又は予防治療を構成しない。
この明細書全体内で、抗MICA結合剤(例えば、抗MICA/MICB抗体)に関して「癌の処置」などに言及する場合には常に、以下の意味がある:(a)好ましくは本明細書で特定されるような用量(量)で、癌の処置を可能にする用量(治療有効量)で、このような処置を必要とする、個体、哺乳動物、特にヒトに、(好ましくは薬学的に許容可能な担体物質中の)抗MICA結合剤を(少なくとも1つの処置に対して)投与するステップを含む、癌の処置の方法;(b)癌の処置のための抗MICA結合剤又は(特にヒトにおける)前記処置での使用のための抗MICA結合剤の使用;(c)癌の処置のための医薬調製物の製造のための抗MICA結合剤の使用、抗MICA結合剤を薬学的に許容可能な担体又は癌の処置に適切である抗MICA結合剤の有効用量を含む医薬調製物を混合することを含む、癌の処置のための医薬調製物の製造のために抗MICA結合剤を使用する方法;又は(d)本出願が提出される国において特許権を取得するために許容される主題に従う、a)、b)及びc)の何れかの組み合わせ。
MICA及びMICBを検出するための抗体
MICA(PERB11.1)は、MHCクラスIポリペプチド関連配列A(例えば、UniProtKB/Swiss-Prot Q29983を参照されたい)、その遺伝子及びcDNA並びにその遺伝子産物又はその天然バリアントを指す。MICA遺伝子及びタンパク質の命名は、異なるアレルについての配列のアクセッション番号への参照と一緒に、Frigoul A.and Lefranc,M-P.Recent Res.Devel.Human Genet.,3(2005):95-145 ISBN:81-7736-244-5に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。MICA遺伝子及びタンパク質配列は、タンパク質及びDNAレベルにおける多型を含み、Cancer Research UK及びEuropean Bioinformatics Institute(EBI)により維持されるhttp:www.ebi.ac.uk/ipd/imgt/hla/align.htmlからも利用可能である。
MICAのアミノ酸配列は、Bahram et al(1994)Proc.Nat.Acad.Sci.91:6259-6263及びBahram et al.(1996)Immunogenetics 44:80-81に最初に記載され、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。MICA遺伝子は多型性であり、細胞外α1、α2及びα3ドメイン中の多数のバリアントアミノ酸の特有の分布を示す。MICAの多型をさらに定義するため、Petersdorf et al.(1999)は、共通の及び希少なHLA遺伝子型を有する275個体の中でそのアレルを試験した。ヒトMICAの細胞外α1、α2及びα3ドメインのアミノ酸配列を配列番号1~5に示す。完全MICA配列は、23アミノ酸のリーダー配列並びに膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインをさらに含む。MICA*001のアミノ酸配列を配列番号1に示し、それはGenbankアクセッション番号AAB41060に対応する。ヒトMICAアレルMICA*004のアミノ酸配列を配列番号2に示し、それはGenbankアクセッション番号AAB41063に対応する。ヒトMICAアレルMICA*007のアミノ酸配列を配列番号3に示し、それはGenbankアクセッション番号AAB41066に対応する。ヒトMICAアレルMICA*008のアミノ酸配列を配列番号4に示し、それはGenbankアクセッション番号AAB41067に対応する。ヒトMICAアレルMICA*019のアミノ酸配列を配列番号5に示し、それはGenbankアクセッション番号AAD27008に対応する。
MICB(PERB11.2としても知られる。)は、MHCクラスIポリペプチド関連配列Bを指す(例えば、UniProtKB/Swiss-Prot Q29980を参照されたい)。代表的なヒトMICBポリペプチドのアミノ酸配列はGenbank受入番号CAI18747(配列番号6)で示される。
MICAは、ある細胞中で構成的に発現される一方、低レベルのMICA発現は、通常、宿主免疫細胞の攻撃を生じさせない。しかしながら、MICAは、急速に増殖する細胞、例えば、腫瘍細胞上で上方調節される。全てのNKG2DリガンドのMICAは最も高度に発現され、それは広範な腫瘍タイプ(例えば、一般の癌種、膀胱癌、黒色腫、肺癌、肝細胞癌、膠芽細胞腫、前立腺癌、一般の血液悪性腫瘍、急性骨髄性白血病、急性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病及び慢性リンパ球性白血病にわたり見出されている。近年、Tsuboi et al.(2011)(EMBO J:1-13)は、O-グリカン分枝酵素、コア2β-1,6-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ(C2GnT)がMICA発現腫瘍細胞中で活性であること及び腫瘍細胞からのMICAがコア2O-グリカン(N-アセチルガラクトサミンに連結しているN-アセチルグルコサミン分枝を含むO-グリカン)を含有することを報告した。
Bauer et al Science 285:727-729,1999は、NKG2Dについてのストレス誘導性リガンドとしてのMICAについての役割を提供した。本明細書において使用される「MICA」は、MICA遺伝子の任意のバリアント、誘導体若しくはアイソフォーム又はそれらが指すコードされるタンパク質を含む任意のMICAポリペプチドを指す。MICA遺伝子は多型性であり、細胞外アルファ-1、アルファ-2及びアルファ-3ドメイン中の多数のバリアントアミノ酸の特有の分布を示す。種々のアレルバリアントは、MICAポリペプチド(例えば、MICA)について報告されており、それらのそれぞれは、それぞれの用語、例として、例えば、ヒトMICAポリペプチドMICA*001、MICA*002、MICA*004、MICA*005、MICA*006、MICA*007、MICA*008、MICA*009、MICA*010、MICA*011、MICA*012、MICA*013、MICA*014、MICA*015、MICA*016、MICA*017、MICA*018、MICA*019、MICA*020、MICA*022、MICA*023、MICA*024、MICA*025、MICA*026、MICA*027、MICA*028、MICA*029、MICA*030、MICA*031、MICA*032、MICA*033、MICA*034、MICA*035、MICA*036、MICA*037、MICA*038、MICA*039、MICA*040、MICA*041、MICA*042、MICA*043、MICA*044、MICA*045、MICA*046、MICA*047、MICA*048、MICA*049、MICA*050、MICA*051、MICA*052、MICA*053、MICA*054、MICA*055、MICA*056及びさらにアレルMICA*057~MICA*087により包含される。
本明細書において使用される「NKG2D」及び特に記載のない限り又は文脈により矛盾がない限り、用語「hNKG2D」、「NKG2-D」、「CD314」、「D12S2489E」、「KLRK1」、「キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーK、メンバー1」又は「KLRK1」は、ヒトキラー細胞活性化受容体遺伝子、そのcDNA(例えば、GenBankアクセッション番号NM_007360)及びその遺伝子産物(GenBankアクセッション番号NP_031386)又はその天然バリアントを指す。NK及びT細胞中で、hNKG2Dは、タンパク質、例えば、DAP10(GenBankアクセッション番号AAG29425、AAD50293)とヘテロダイマー又はより高次の複合体を形成し得る。本明細書においてhNKG2Dに起因する任意の活性、例えば、細胞活性化、抗体認識などは、ヘテロダイマーの形態のhNKG2D、例えば、hNKG2D-DAP10又はそれらの2つの(及び/又は他の)成分とのより高次の複合体にも起因し得る。
NKG2Dとの複合体中のMICAの三次元構造は、決定されている(例えば、Li et al.,Nat.Immunol.2001;2:443-451;コード1hyr及びIMGT/3Dstructure-DB(Kaas et al.Nucl.Acids Res.2004;32:D208-D210)を参照されたい)。MICAがNKG2Dホモダイマーとの複合体中に存在する場合、MICAα2の残基63~73(IGMT番号付与)が配列され、ほぼ2つのへリックスのターンを付与する。NKG2Dの2つのモノマーは、MICAとの相互作用に等しく寄与し、それぞれのNKG2Dモノマー中の7つの位置がMICAα1又はα2へリックスドメインの1つと相互作用する。
本開示の抗体(例えば診断抗体)は、ヒトMICA(MICA*001及びMICA*008、任意選択的にさらにMICA*004、MICA*007及び/又はMICA*019を含む)及びMICBに、特にパラフィン包埋された組織切片などの固定試料において、特異的に結合する。本抗体は、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA及びMICB発現細胞を含む生体試料(例えばFFPE切片)におけるそれらの標的抗原に特異的に結合し得る。
本抗体は、任意選択的に、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*001発現細胞の試料においてヒトMICA*001ポリペプチドに結合する、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*008発現細胞の試料においてヒトMICA*008ポリペプチドに結合し、且つパラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICB発現細胞の試料においてヒトMICBポリペプチドに結合するが、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICB陰性細胞(例えばRaji細胞)に結合しない、抗体又は抗体断片として特徴づけられ得る。何れかの実施形態では、本抗体又は抗体断片は、任意選択的に、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*002発現細胞の試料においてヒトMICA*002ポリペプチドに結合する抗体又は抗体断片としてさらに特徴づけられ得る。何れかの実施形態では、本抗体又は抗体断片は、任意選択的に、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*007発現細胞の試料においてヒトMICA*007ポリペプチドに結合する抗体又は抗体断片としてさらに特徴づけられ得る。何れかの実施形態では、本抗体又は抗体断片は、任意選択的に、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*004発現細胞の試料においてヒトMICA*004ポリペプチドに結合する抗体又は抗体断片としてさらに特徴づけられ得る。
本明細書に記載のように、パラフィン包埋された組織切片中でMICA及びMICBに特異的に結合するための抗体の能力により、多くの適用に対して、特に、診断又は治療目的のためにMICA及び/又はMICB発現細胞(例えば、腫瘍細胞、腫瘍進行に寄与する細胞、宿主免疫系による制御又は溶解からの腫瘍の回避に寄与する細胞)及びMICA及び/又はMICB発現細胞のレベル又は分布を検出するために、抗体が有用になる。特定の実施形態では、本抗体は、個体、例えば癌若しくは腫瘍を有する個体から採取された試料(例えば、生検)における腫瘍組織中又は腫瘍組織付近で、MICA及び/又はMICB発現細胞の存在又はレベルを決定するために使用される。任意選択的に、さらに、一実施形態では、細胞(例えば、腫瘍細胞)膜でのMICA及び/又はMICBの存在が評価され、且つ/又は組織試料において検出される。任意選択的に、さらに、一実施形態では、MICA及び/又はMICBが組織試料において検出される場合、MICA及び/又はMICB発現細胞が存在すると判断される。任意選択的に、別の実施形態では、組織試料においてMICA及び/又はMICBが検出される場合(任意選択的に、MICA及び/又はMICB染色の所定レベルが検出される場合)、その個体は、MICA及び/又はMICBに結合する治療用抗体、例えば枯渇性の抗MICA及び/又はMICB抗体、での処置に適切であると判断される。任意選択的に、一実施形態では、個体は、(例えば進行中又は以前の治療コースで)標的抗原に結合する治療用抗体で処置されたことがある。
MICA及び/又はMICBに対する抗体の結合の検出は、多くの方法の何れかで行われ得る。例えば、本抗体は、検出可能部分、例えば発光化合物、例えば蛍光部分若しくは放射性化合物、金、ビオチン(アビジンへの続く増幅された結合を可能にする、例えばアビジン-AP)又はアルカリホスファターゼ(AP)若しくはホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)などの酵素で直接標識され得る。代わりに、試料中での標的抗原への抗体の結合は、例えば一次抗標的抗原抗体に結合し、且つそれ自体が好ましくはホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)又はアルカリホスファターゼ(AP)などの酵素で標識された二次抗体を使用することにより、間接的に評価され得るが、しかし、何れかの適切な方法を使用して二次抗体が標識され得るか又は検出され得ることが認識されるであろう。好ましい実施形態では、二次抗体により提供されるシグナルを増強させるために、増幅系が使用され、例えば二次抗体が、HRP又はAPなどの検出可能な化合物又は酵素の多くのコピーに結合されるポリマー(例えばデキストラン)に結合されるEnVision系がある(例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、Wiedorn et al.,(2001)The Journal of Histochemistry&Cytochemistry,Volume 49(9):1067-1071;Kaemmerer et al.,(2001)Journal of Histochemistry and Cytochemistry,Vol.49,623-630を参照されたい)。
一態様では、本開示は、FFPE試料においてMICA及び/又はMICBを検出し得る抗体を作製する方法を提供する。抗体を生じさせるための免疫原としてMICA及び/又はMICB又は1つ以上のその免疫原性断片を使用し得、この抗体は、本明細書に記載のようなパラフィン包埋された試料において標的抗原ポリペプチド内でエピトープを認識し得る。好ましくは、認識されるエピトープは細胞表面上に存在し、すなわち、これらは、細胞の外側に存在する抗体にとって接近可能である。一態様では、このエピトープは、抗体12C9により、パラフィン包埋された細胞ペレット試料において特異的に認識されるエピトープである。一態様では、抗体は、パラフィン包埋された細胞ペレット試料において、抗体12C9により特異的に認識されるエピトープに対する結合について抗体12C9と競合する。さらに、異なる以前の治療を受けていたか又は受けていたものであり得る、特に標的抗原ポリペプチド(例えば、MICA及び/又はMICB、MICA*001及びMICA*008及びさらにMICB)に対する治療用抗体で処置されていたか又は受けていたものであり得るヒト個体の集団において最大の効力及び幅でMICA及び/又はMICBに結合させるために、MICA内で抗体12C9により認識されるエピトープに対して、同じエピトープを認識するか又は12C9と結合について競合する抗体が使用され得る。
本抗体は、当技術分野で公知であり、例えば本明細書の実施例2で示されるような様々な技術により作製され得る。一般的には、これらは、MICA及び/又はMICBポリペプチド(例えば、MICA*001、MICA*008及びMICBポリペプチド)、好ましくはヒトポリペプチドを含む免疫原での非ヒト動物、好ましくはマウスの免疫付与により作製される。ポリペプチドは、ヒトポリペプチドの全長配列又はその断片若しくは誘導体、典型的には、免疫原性断片、すなわちMICAポリペプチドを発現する細胞の表面上で露出されるエピトープ、好ましくは12C9抗体により認識されるエピトープを含むポリペプチドの一部を含み得る。そのような断片は、典型的には、成熟ポリペプチド配列の少なくとも約7つの連続アミノ酸、いっそうより好ましくは、その少なくとも約10の連続アミノ酸を含有する。断片は、典型的には、本質的に、受容体の細胞外ドメインに由来する。一実施形態において、免疫原は、野生型ヒトMICAポリペプチド又はその断片を含む。具体的な実施形態において、免疫原は、任意選択的に、治療又は溶解されるインタクトな細胞、特にインタクトなヒト細胞を含む。
非ヒト哺乳動物を抗原により免疫化するステップは、マウス中での抗体の産生を刺激する当技術分野において周知の任意の様式で実施することができる(例えば、E.Harlow and D.Lane,Antibodies:A Laboratory Manual.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY(1988)を参照されたい)。免疫原は、任意選択的に、アジュバント、例えば完全又は不完全フロイントアジュバントを有する緩衝液中で懸濁又は溶解される。免疫原の量、緩衝液のタイプ及びアジュバントの量を測定する方法は、当業者に周知であり、本発明を決して限定するものではない。これらのパラメーターは、異なる免疫原について異なり得るが、容易に解明される。
同様に、抗体の産生を刺激するために十分な免疫化の局在及び頻度も、当技術分野において周知である。典型的な免疫プロトコルにおいて、非ヒト動物に1日目及び約1週間後に再度、抗原を腹腔内注射する。この後、約20日目に、任意選択的にアジュバント、例えば不完全フロイントアジュバントによる抗原のリコール注射を行う。リコール注射は静脈内で実施し、数日間連続して繰り返すことができる。この後、40日目、典型的にはアジュバントを用いずに静脈内又は腹腔内の何れかでブースター注射を行う。このプロトコルは、約40日後、抗原特異的抗体を産生するB細胞の産生をもたらす。免疫化において使用される抗原に指向される抗体を発現するB細胞の産生をもたらす限り、他のプロトコルを使用することもできる。
代替的実施形態において、非免疫化非ヒト哺乳動物からのリンパ球を単離し、インビトロで成長させ、次いで細胞培養物中で免疫原に曝露させる。次いで、リンパ球を回収し、下記の融合ステップを実施する。
脾細胞は、免疫化非ヒト哺乳動物から単離され得、続いてそれらの脾細胞を不死化細胞と融合させて抗体産生ハイブリドーマを形成する。非ヒト哺乳動物からの脾細胞の単離は、当技術分野において周知であり、典型的には、麻酔された非ヒト哺乳動物から脾臓を摘出し、それを小片に切断し、脾細胞を脾膜から細胞濾過器のナイロンメッシュを介して適切な緩衝液中に搾出して単一の細胞懸濁液を産生することを含む。細胞を洗浄し、遠心分離し、いかなる赤血球も溶解する緩衝液中で再懸濁させる。溶液を再び遠心分離し、最終的にペレット中の残留リンパ球を新たな緩衝液中で再懸濁させる。
リンパ球は、単離され、単一の細胞懸濁液中で存在する場合、不死細胞系と融合させることができる。これは、典型的には、マウス骨髄腫細胞系であるが、ハイブリドーマの作出に有用な多数の他の不死細胞系は当技術分野において公知である。好ましいネズミ骨髄腫系としては、限定されるものではないが、Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,U.S.A.から入手可能なMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍、American Type Culture Collection,Rockville,Maryland,U.S.A.から入手可能なX63 Ag8653及びSP-2細胞に由来するものが挙げられる。融合は、ポリエチレングリコールなどを使用して行う。次いで、得られたハイブリドーマを、未融合の親骨髄腫細胞の成長又は生存を阻害する1つ以上の物質を含有する選択培地中で成長させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用の培養培地は、典型的にはヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジンを含み(HAT培地)、それらの物質はHGPRT欠損細胞の成長を妨害する。
ハイブリドーマは、典型的には、マクロファージのフィーダー層上で成長させる。マクロファージは、好ましくは、脾細胞を単離するために使用される非ヒト哺乳動物のリッターメイトからのものであり、典型的には、ハイブリドーマをプレーティングする数日前に不完全フロイントアジュバントなどによりプライミングする。融合方法は、Goding,“Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,”pp.59-103(Academic Press,1986)に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
細胞は、コロニー形成及び抗体産生に十分な時間、選択培地中で成長させておく。これは通常、約7~約14日間である。
固定及びパラフィン包埋されたMICA及び/又はMICB発現細胞ペレット上でMICA及び/又はMICBに特異的に結合する抗体の作製のために、ハイブリドーマコロニーをアッセイし得、任意選択的にハイブリドーマは、固定されたパラフィン包埋MICA及び/又はMICB発現細胞ペレットへの結合において抗体12C9と競合することについてアッセイされる。1つ以上の別個のコロニーが存在するか否かを決定するために、所望の抗体産生について陽性のウェルを試験する。複数のコロニーが存在する場合、所望の抗体を産生するコロニーを単一の細胞のみが生じさせたことを確認するために細胞を再クローン化し、増殖させ得る。標的抗原(例えば、MICA)を天然には発現しない細胞を、標的抗原を発現するようにし(例えば、標的抗原を発現する核酸での遺伝子移入による)、細胞ペレットとして調製し、ホルマリン固定し、パラフィン中で包埋し、薄切し、脱パラフィン処理し、且つスライドに移し得る。標的抗原を発現しない対照細胞(例えば標的抗原で遺伝子移入されていない上記と同じ細胞)を陰性対照として使用し得る。
所望のモノクローナル抗体を産生することが確認されているハイブリドーマは、適切な培地、例えばDMEM又はRPMI-1640中でより大量に成長させることができる。代わりに、ハイブリドーマ細胞は、動物中で腹水腫瘍としてインビボで成長させることができる。モノクローナル抗体(又は腹水)を含有する成長培地は、所望のモノクローナル抗体を産生するために十分に成長させた後、細胞から分離し、その中に存在するモノクローナル抗体を精製する。精製は、典型的には、ゲル電気泳動、透析、プロテインA若しくはプロテインG-セファロース又は固体支持体、例えば、アガロース若しくはセファロースビーズに結合している抗マウスIgを使用するクロマトグラフィーにより達成する(全ては、例えば、Antibody Purification Handbook,Biosciences,publication No.18-1037-46,Edition ACに記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる)。結合抗体は、典型的には、抗体含有画分の即時中和を伴う低pH緩衝液(pH3.0以下のグリシン又は酢酸緩衝液)の使用により、プロテインA/プロテインGカラムから溶出させる。これらの画分は、必要に応じてプール、透析及び濃縮する。
外見上単一のコロニーを有する陽性のウェルを、典型的には、再クローニング及び再アッセイして1つのモノクローナル抗体のみが検出及び産生されていることを確保する。
抗体は、例えば、(Ward et al.Nature,341(1989)p.544、その全開示は、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるとおり、免疫グロブリンのコンビナトリアルライブラリーの選択により産生することもできる。例えば、ファージディスプレイ技術を使用して、ライブラリを作製し得る。
代替的な実施形態によれば、ハイブリドーマを最初に、標的抗原ポリペプチド(例えば、MICA及び/又はMICB)に特異的に結合する抗体の産生についてアッセイし得、抗体をコードするDNAをハイブリドーマから単離し、適切な宿主細胞への遺伝子移入のための適切な発現ベクターに配置する。次に、抗体又はそれらの変異体、例えば抗体の機能的断片、その抗体の抗原認識部分を含むキメラ抗体又は検出可能部分を含むバージョンなどの組み換え産生のために宿主細胞を使用する。次に、固定及びパラフィン包埋されたMICA及び/又はMICB発現細胞ペレット上でMICA及び/又はMICBに特異的に結合する抗体の産生について組み換え産生された抗体をアッセイし得、任意選択的に、固定されパラフィン包埋されたMICA及び/又はMICB発現細胞ペレットへの結合における抗体12C9との競合についてハイブリドーマをアッセイする。
MICA及び/又はMICBに結合する、特にMICA及び/又はMICB(又は12C9が結合するその上のエピトープ)への結合についてモノクローナル抗体12C9と競合する1つ以上の抗体の同定は、本明細書に記載の方法又は何れかの他の適切な方法に従い、抗体競合が評価され得る様々な免疫学的スクリーニングアッセイの何れか1つを使用して、容易に決定され得る。
特定の実施形態では、MICA及び/又はMICB抗原試料(例えば、パラフィン包埋されたMICA及び/又はMICB発現細胞ペレット試料)への適用前にある時間にわたり、様々な量の試験抗体と対照抗体(例えば、12C9)を予め混合する(例えば、約1:10又は約1:100)。他の実施形態では、対照及び様々な量の試験抗体は、MICA及び/又はMICB抗原試料への曝露中に単純に混合され得る。遊離抗体から結合抗体を(例えば未結合の抗体を除去するための分離又は洗浄技術を使用することにより)、且つ試験抗体から12C9を(例えば、種特異的な又はアイソタイプ特異的な二次抗体を使用するか、又は検出可能な標識で12C9を特異的に標識することにより)区別し得る限り、試験抗体が抗原への12C9の結合を減少させるか否かを決定し得、これにより試験抗体が抗原への結合について12C9と競合することが示される。完全に無関連な抗体の不存在下での(標識)対照抗体の結合は、高値の対照として機能し得る。低値の対照は、標識(12C9)抗体を全く同一のタイプ(12C9)の未標識抗体と温置することにより得ることができ、この場合、競合が生じ、標識抗体の結合を低減させる。試験アッセイにおいて、試験抗体の存在下での標識抗体の反応性における有意な低減は、標識(12C9)抗体と「交差反応する」試験抗体を示す。12C9のMICA及び/又はMICBへの結合を、少なくとも約50%、例えば少なくとも約60%又はより好ましくは少なくとも約70%(例えば、約65~100%)だけ低減させる任意の試験抗体を、約1:10~約1:100の12C9:試験抗体の任意の比において、12C9と競合する抗体であるとみなす。好ましくは、そのような試験抗体は、12C9のMICA及び/又はMICB抗原への結合を、少なくとも約90%(例えば、約95%)だけ低減させる。
脊椎動物又は細胞(又は例えば、候補抗体のライブラリの作製、任意選択的に抗体に対する核酸若しくはアミノ酸配列のライブラリ)における免疫付与及び抗体の作製時、主張されるような抗体を単離するために、特定の選択ステップを実施し得る。この点で、特定の実施形態では、本発明は、(a)抗体のライブラリを提供し及び/又はMICA及び/又はMICBポリペプチドを含む免疫原で非ヒト哺乳動物に免疫付与し、前記免疫付与された動物から抗体を調製することと;(b)パラフィン包埋された細胞ペレット、例えばFFPE細胞ペレットにおいて前記MICA及び/又はMICBポリペプチドに特異的に結合可能なステップ(a)からの抗体を選択することとを含む、このような抗体を作製する方法にも関する。
本発明のモノクローナル抗体、例えば抗体12C9をコードするDNAは、慣用の手順を使用して(例えば、ネズミ抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチドプローブを使用することにより)容易に単離及び配列決定することができる。DNAは、単離したら、発現ベクター中に配置することができ、次いでそれを他で免疫グロブリンタンパク質を産生しない宿主細胞、例えば、大腸菌(E.coli)細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又は骨髄腫細胞中に形質移入して組み換え宿主細胞中でのモノクローナル抗体の合成を得る。本明細書の他箇所において記載されるとおり、そのようなDNA配列は、多数の目的の何れかのため、例えば、抗体をヒト化するため、断片若しくは誘導体を産生するか、又は例えば抗原結合部位中の抗体の配列を改変するために改変して抗体の結合特異性を最適化することができる。
本開示は、さらに固定前に他の抗MICA抗体(例えば中和抗体)とともに細胞を温置するときを含め、ホルマリン処理後に存在するMICA及び/又はMICBエピトープを明らかにする、ホルムアルデヒド処理し、パラフィン中に包埋した細胞ペレット(FFPE細胞ペレット)に基づくスクリーニング法を提供する。従って、一態様では、本開示は、パラフィン包埋された細胞ペレット(及び分析前に脱パラフィン処理)として保存された試料において、MICA及び/又はMICBポリペプチド発現細胞(例えば、MICA及び/又はMICBを発現するようにされた細胞)に特異的に結合するモノクローナル抗体を提供する。任意選択的に、本抗体は、パラフィン包埋された細胞ペレットにおいてMICA及びMICB陰性細胞(MICA又はMICBの何れも発現しない細胞)に結合しないことをさらに特徴とする。任意選択的に、本抗体は、パラフィン包埋された組織切片においてMICA及び/又はMICBポリペプチド発現細胞への結合をさらに特徴とする。
一態様では、本開示は、ヒトMICA及びMICBポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体(例えば第1の抗体)を提供し、前記抗体(例えば、第1の抗体)は、ホルムアルデヒド(例えば、ホルマリン、パラホルムアルデヒド)を使用して処理されている(又は固定されている)生体試料において前記MICA及びMICBポリペプチドに特異的に結合する。ホルムアルデヒド固定は、特に、その後、脱パラフィン処理され、関心対象のマーカー、例えばMICAの存在について分析され得る、パラフィン包埋組織切片の調製において使用され得る。
一態様では、パラフィン中で保存されている細胞、例えばパラフィン包埋された細胞ペレットとして保存されている細胞によって発現されるヒトMICAポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体が提供される。任意選択的に、この細胞をペレット化し、ホルムアルデヒド処理し(例えば、ホルムアルデヒド、ホルマリン、パラホルムアルデヒド)、次いでパラフィン包埋する。任意選択的に、ヒトMICAポリペプチドを発現する細胞は、抗体結合及び分析前に脱パラフィン処理された生体試料中にある。
一態様では、本抗体は、FFPE細胞ペレット試料において、MICA及びMICB上、任意選択的にMICA*001、MICA*008及びMICB上に存在する抗原決定基に結合する。一態様では、本抗体は、実質的に抗体12C9と同じエピトープ又は決定基と結合するか、又はFFPE細胞ペレット試料においてMICA及び/又はMICB上のこのようなエピトープへの結合について12C9と競合する。一実施形態では、本抗体は、抗体12C9が結合するエピトープ中の少なくとも1つの残基と少なくとも部分的に重複するか又はそれを含むMICA及び/又はMICBのエピトープに結合する。本抗体が結合する残基は、MICA及びMICBポリペプチドの表面上、任意選択的にさらに細胞の表面上で発現されるMICA及びMICBポリペプチドの表面上、任意選択的にさらにパラフィン包埋された細胞ペレットとして保存されている細胞の表面上で発現されたMICA及びMICBポリペプチドの表面上に存在するものとして特定され得る。
抗体12C9の重鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号7として挙げられ、軽鎖可変領域のアミノ酸配列は配列番号8として挙げられる。特定の実施形態では、抗体は、モノクローナル抗体12C9と同じエピトープ又は決定基と基本的に結合し;任意選択的に、本抗体は、抗体12C9の超可変領域を含む。本明細書の実施形態の何れかでは、抗体12C9は、アミノ酸配列及び/又はそれをコードする核酸配列を特徴とし得る。一実施形態では、本モノクローナル抗体は、12C9のFab又はF(ab’)2部分を含む。また、12C9の重鎖可変領域又はそれらの機能保存的変異体を含むモノクローナル抗体も提供される。一実施形態によれば、本モノクローナル抗体は、12C9の重鎖可変領域の3つのCDRを含む。12C9の可変軽鎖可変領域又はその機能保存的変異体をさらに含むモノクローナル抗体も提供される。一実施形態によれば、本モノクローナル抗体は、12C9の軽鎖可変領域の3つのCDRを含む。任意選択的に、前記軽鎖又は重鎖CDRの何れか1つ以上は、1、2、3、4又は5つ又はそれを超えるアミノ酸修飾(例えば置換、挿入又は欠失)を含有し得る。任意選択的に、抗体12C9の抗原結合領域の一部又は全てを含む軽鎖及び/又は重鎖可変領域の何れかが、例えばエフェクター機能(ヒトFcγ受容体への結合)を調整する(例えば低下させる)ために又は関心対象の部分(例えば、検出可能部分)のコンジュゲーションをもたらすためのアミノ酸置換を任意選択的にさらに含む、IgGタイプの免疫グロブリン定常領域、任意選択的にヒト定常領域、任意選択的にヒトIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4アイソタイプに融合される抗体が提供される。
一態様では、抗MICA抗体は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域に対して少なくとも約80%の配列同一性(例えば少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%又はそれを超える同一性)を有する重鎖可変領域を含む。
一態様では、抗MICA抗体は、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域に対して少なくとも約80%の配列同一性(例えば少なくとも約85%、90%、95%、97%、98%、99%又はそれを超える同一性)を有する軽鎖可変領域を含む。
一態様では、本抗体は、アミノ酸配列:GYYMN(配列番号9)又はその少なくとも4個の連続アミノ酸の配列(任意選択的にこれらのアミノ酸の1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得る)を含むHCDR1;アミノ酸配列:TINPYYGSSTYNQKFKG(配列番号10)又はその少なくとも4、5、6、7、8、9又は10個の連続アミノ酸の配列(任意選択的にこれらのアミノ酸の1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得る)を含むHCDR2;アミノ酸配列:VDGDHGYFDY(配列番号11)又はその少なくとも4、5又は6個の連続アミノ酸の配列(任意選択的にこれらのアミノ酸の1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得る)を含むHCDR3;アミノ酸配列:RSSQSLVHSNGNTYLH(配列番号12)又はその少なくとも4、5、6、7、8、9又は10個の連続アミノ酸の配列(任意選択的にこれらのアミノ酸の1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得る)を含むLCDR1;アミノ酸配列:KVSTRFS(配列番号13)又はその少なくとも4、5又は6個の連続アミノ酸の配列(任意選択的にこれらのアミノ酸の1つ以上が異なるアミノ酸により置換され得る)を含むLCDR2領域;及び/又はアミノ酸配列:SQSTHVPFT(配列番号14)又はその少なくとも4、5、6、7又は8個の連続アミノ酸の配列(任意選択的にこれらのアミノ酸の1つ以上が異なるアミノ酸により欠失させられ得るか又は置換され得る)を含むLCDR3領域を含む。
特定の重鎖、軽鎖、可変領域、フレームワーク及び/又はCDR配列は、配列修飾、例えば置換(1、2、3、4、5、6、7、8個又はそれを超える配列修飾)を含み得る。一実施形態では、アミノ酸配列は、1、2、3個又はそれを超えるアミノ酸置換を含み、置換される残基は、ヒト起源の配列において存在する残基である。一実施形態では、置換は保存的修飾である。保存的配列改変は、アミノ酸配列を含有する抗体の結合特徴に有意に影響せず、変化もさせないアミノ酸改変を指す。そのような保存的改変としては、アミノ酸置換、付加及び欠失が挙げられる。改変は、当技術分野において公知の標準的技術、例えば、部位特異的突然変異導入及びPCR媒介突然変異導入により本発明の抗体中に導入することができる。保存的アミノ酸置換は、典型的には、アミノ酸残基を、類似の物理化学的特性を有する側鎖を有するアミノ酸残基により置き換えるものである。規定のアミノ酸配列は、1、2、3、4つ以上のアミノ酸挿入、欠失又は置換を含み得る。置換を行う場合、好ましい置換は、保存的改変である。類似の側鎖を有するアミノ酸残基のファミリーは、当技術分野において定義されている。これらのファミリーとしては、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えばグリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、トレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分枝側鎖(例えばトレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸が挙げられる。従って、本発明の抗体のCDR領域内の1つ以上のアミノ酸残基は、同一側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基により置き換えることができるか、又は変化された抗体は、保持された機能(すなわち本明細書に記載の特性)について本明細書に記載のアッセイを使用して試験することができる。
一実施形態では、本発明の抗体は、それらの結合及び/又は機能特性を保持する抗体断片である。本発明の抗体の断片及び誘導体(特に記載がなく又は文脈と明らかに矛盾しない限り、本出願において使用される用語「抗体(antibody)」又は「抗体(antibodies)」により包含される)、好ましくは12C9様抗体は、当技術分野において公知の技術により産生することができる。「断片」は、インタクト抗体の一部、一般に抗原結合部位又は可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2及びFv断片;ダイアボディ;連続アミノ酸残基の1つの不断配列からなる一次構造を有するポリペプチドである任意の抗体断片(本明細書において「単鎖抗体断片」又は「単鎖ポリペプチド」と称される)、例として、限定されるものではないが、(1)単鎖Fv分子、(2)会合重鎖部分を有さない、1つの軽鎖可変ドメインのみを含有する単鎖ポリペプチド又は軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含有するその断片、及び(3)会合軽鎖部分を有さない、1つの重鎖可変領域のみを含有する単鎖ポリペプチド又は重鎖可変ドメインの3つのCDRを有するその断片;並びに抗体断片から形成される多重特異的抗体が挙げられる。一実施形態では、抗体又は抗体断片は、検出可能部分に抗体又は抗体断片をコンジュゲート又は共有結合させることによって誘導体化される。
FFPE試料の調製及び染色
本抗体は、固定された組織又は細胞試料中に存在するポリペプチド(例えば、MICA及びMICBポリペプチド)に効率的に及び特異的に結合可能である特定の特性を有する。このような組織調製物を調製する及び使用する様々な方法が当技術分野で周知であり、調製の何れかの適切な方法又はタイプを使用し得る。本抗体は、治療用(例えば機能中和)抗体が固定時又は固定前に存在した試料においてそれらの標的抗原にさらに結合可能である。
個体からの生体試料中のFFPE材料は、一般的に、組織である。FFPE組織は、切開又は生検により検体動物(例えばヒト個体)から最初に分離される組織片である。次いで、この組織は、その崩壊又は分解を防ぎ、且つ組織学的、病理学的又は細胞学的研究用の顕微鏡下でそれを明白に調べることができるようにするために固定される。固定は、染色し、顕微鏡下でそれを調べる目的で、組織を固定化し、死滅させ、保存する工程である。固定後の処理により、組織に染色試薬が透過するようになり、それらがある位置で安定化され、ロックされるようにその巨大分子を架橋する。次に、この固定された組織をワックス中に包埋して、薄切し、ヘマトキシリン及びエオシン染色で染色できるようにする。その後、顕微鏡下で抗体による染色を調べるために薄切することにより、ミクロトーム処理を行う。
例えば、異なる適切な固定した細胞又は組織標本とともに本抗体を使用し得、異なる特定の固定又は包埋方法が使用されることが認識されるであろう。例えば、最も一般的なホルムアルデヒドに基づく固定手順は、ホルマリン(例えば10%)を伴う一方で、パラホルムアルデヒド(PFA)、ブアン溶液(ホルマリン/ピクリン酸)、アルコール、亜鉛ベースの溶液(一例について、例えば、その全体において開示全体が本明細書に組み込まれるLykidis et al.,(2007)Nucleic Acids Research,2007,1-10を参照されたい)及び他(例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、HOPE法、Pathology Research and Practice,Volume197,Number 12,December 2001,pp.823-826(4)を参照されたい)などの代替的な方法がある。同様に、パラフィンが好ましい一方で、例えば、ポリエステルワックス、ポリエチレングリコールに基づく処方、グリコールメタクリラート、JB-4プラスチックなど、他の材料も包埋のために使用し得る。組織調製物を調製する及び使用する方法の概説としては、例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、Gillespie et al.,(2002)Am J Pathol.2002 February;160(2):449-457;Fischer et al.CSH Protocols;2008;Renshaw(2007),Immunohistochemistry:Methods Express Series;Bancroft(2007)Theory and Practice of Histological Techniques;及び国際公開第06074392号パンフレットを参照されたい)。
本発明の一実施形態では、FFPE組織は、腫瘍組織又は腫瘍隣接組織、例えばヒト腫瘍組織である。腫瘍は、例えば頭頸部扁平上皮癌、肺癌(例えば、NSCLC)、中皮腫、乳癌、エストロゲン陽性乳癌、エストロゲン陰性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌又はメラノーマの腫瘍であり得る。
本抗体(例えば、抗MICA及び/又はMICB抗体)は、MICA及び/又はMICBポリペプチドの検出のためにFFPE材料とともに温置される。温置ステップという用語は、材料、抗体及び/又は抗原の種類に依存する別個の期間、FFPE材料と本発明の抗体との接触を伴う。温置の工程は、様々な他のパラメーター、例えば検出感度にも依存し、最適化は当業者にとって公知の通常の手順に従う。化学溶液の添加及び/又は物理的手順の適用、例えば熱の影響により、試料中の標的構造の到達性を改善し得る。特異的な温置生成物が温置の結果として形成される。
形成される抗体/抗原複合体の検出のための適切な試験は、当業者にとって公知であるか、又は通常のこととして容易に設計され得る。多くの異なるタイプのアッセイが知られており、その例を下で示す。
例えば、調べようとする試料(組織又は細胞)は、体液、腫瘍組織からの又は健康な組織からの生検及び切片(例えば、厚さ3mm以下)により得て、ホルマリン又は同等の固定方法(上記を参照されたい)を使用して固定し得る。固定の時間は、適用に依存するが、数時間~24時間又はそれを超える範囲であり得る。固定後、パラフィン(又は同等の材料)中に組織を包埋し、非常に薄い切片(例えば5ミクロン)になるようにミクロトームで切り、次いで好ましくはコーティングされたスライド上に載せる。次に、スライドを乾燥、例えば風乾させる。
スライド上で固定され、包埋された組織切片を乾燥させ、無期限に保管し得る。免疫組織化学のために、スライドを脱パラフィン処理し、次いで再水和する。例えば、これらは、最初にキシレン、次にエタノール入りのキシレンで、次に水中のエタノールのパーセンテージを漸減させる、一連の洗浄に供される。
抗体染色前に、固定中に形成し、エピトープを遮蔽し得るメタン架橋を破壊するために、例えば酵素性又は加熱に基づく、抗原賦活化ステップに組織を供し得る。好ましい実施形態では、10mMクエン酸緩衝液、pH6の沸騰中での処置が使用される。
スライドを再水和し、抗原賦活化を理想的に行ったら、これらを一次抗体とともに温置し得る。最初に、スライドを例えばTBSで洗浄し、次いで例えば血清/BSAでのブロッキングステップ後、本抗体を適用し得る。本抗体の濃度は、その形態(例えば精製)、その親和性、使用される組織試料に依存するが、適切な濃度は、例えば1~10μg/mlである。一実施形態では、使用される濃度は10μg/mlである。温置時間は、同様に変動し得るが、一晩温置が一般的に適切である。例えばTBS中でのポスト抗体洗浄ステップ後、次に抗体結合の検出のためにスライドを処理する。
使用される検出方法は、使用される抗体、組織などに依存し、例えば一次抗体にコンジュゲートされるか又は検出可能な二次抗体の使用を通した発光又はそうでなければ可視的若しくは検出可能部分の検出を伴い得る。抗体検出の方法は当技術分野で周知であり、例えばHarlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1st edition(December 1,1988);Fischer et al.CSH Protocols;2008;Renshaw(2007),Immunohistochemistry:Methods Express Series;Bancroft(2007)Theory and Practice of Histological Techniques;国際公開第06074392号パンフレットで教示され;これらのそれぞれの開示全体がその全体において本明細書に組み込まれる。
多くの直接的又は間接的検出方法が既知であり、使用に適合させ得る。直接的な標識は、抗体に連結された、蛍光又は発光タグ、金属、色素、放射性核種などを含む。ヨウ素-125(125I)で標識される抗体が使用され得る。タンパク質に特異的な化学発光抗体を使用した化学発光アッセイは、タンパク質レベルの高感度の非放射活性検出に適切である。蛍光色素で標識される抗体も適切である。蛍光色素の例としては、DAPI、フルオレセイン、Hoechst33258、R-フィコシアニン、B-フィコエリスリン、R-フィコエリスリン、ローダミン、テキサスレッド及びリサミンが挙げられるが、限定されない。
間接的な標識としては、当技術分野で周知である様々な酵素、例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼ(AP)、β-ガラクトシダーゼ、ウレアーゼなどが挙げられる。抗MICA抗体と酵素との共有結合は、グルタルアルデヒドとのカップリングなど、異なる方法により行われ得る。酵素及び抗体の両方とも、遊離アミノ基を介してグルタルアルデヒドと連結され、ネットワーク化された酵素の副産物及び抗体が除去される。別の方法では、酵素は、ペルオキシダーゼなどの糖タンパク質である場合、糖残基を介して抗体にカップリングされる。酵素は、過ヨウ素酸ナトリウムにより酸化され、抗体のアミノ基で直接連結される。炭水化物を含有する他の酵素もこのように抗体にカップリングされ得る。酵素カップリングは、サクシニミジル6-(N-マレイミド)ヘキサノアートなどのヘテロ二官能性リンカーを使用して、β-ガラクトシダーゼなどの酵素の遊離チオール基と抗体のアミノ基を連結することによっても行われ得る。例えば、450nmで検出可能である過酸化水素の存在において可溶性の生成物を生じさせる発色性基質テトラメチルベンジジン(TMB)とともに、ホースラディッシュ-ペルオキシダーゼ検出系を使用し得る。例えば405nmで容易に検出可能である可溶性の生成物を生じさせる発色性の基質p-ニトロフェニルホスファートとともに、アルカリホスファターゼ検出系を使用し得る。同様に、410nmで検出可能な可溶性の生成物を生じさせる発色性の基質o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノキシド(ONPG)とともに、β-ガラクトシダーゼ検出系を使用し得る。尿素-ブロモクレゾールパープルなどの基質とともに、ウレアーゼ検出系を使用し得る。
一実施形態では、一次抗体の結合は、標識された二次抗体、好ましくはHRP又はAPなどの酵素に共有結合された二次抗体への結合により検出される。特に好ましい実施形態では、抗体検出の増幅のための多くの方法の何れかを使用して、二次抗体の結合により生成されるシグナルを増幅させる。例えば、EnVision法を使用し得(例えば、米国特許第5,543,332号明細書及び欧州特許第594,772号明細書;Kaemmerer et al.,(2001)Journal of Histochemistry and Cytochemistry,Vol.49,623-630;Wiedorn et al.(2001)The Journal of Histochemistry&Cytochemistry,Volume 49(9):1067-1071を参照されたく;その全体の開示が参照により本明細書に組み込まれる)、ここで、二次抗体は、AP又はHRPの多数のコピーにそれ自体連結されるポリマー(例えばデキストラン)に連結される。
一例において、ホルマリン固定されパラフィン包埋されたブロックを5μmの厚さの切片にスライスし、Discovery Ultra又はBenchmark Ultra automaton(Ventana)上で免疫染色を行う。細胞コンディショニング1での前処理後、2μg/mL(Discovery Ultr上での染色のために)又は6.6μg/mL(Benchmark Ultra上での染色のために)の抗MICA/B一次抗体又はマウスIgG1アイソタイプ対照とともに、37℃で1時間、切片を温置する。次に、discovery Amp HQ(商標)キット又はUltraView(商標)キットを使用したシグナル増幅を行う。3,3-ジアミノベンジジンでの顕色後、ヘマトキシリン及び青味剤で対比染色し、切片を洗浄し、脱水し、透明化し、カバースリップを載せる。最後に、スライドスキャナー(S60 Nanozoomer(商標)Hamamatsu又はPannoramic scan II,3DHistech(商標))上で、染色した切片をスキャンする。腫瘍細胞上のMICA/B発現を決定する訓練された病理学者が、染色を解釈し、スコア化する。MICA/B陽性腫瘍細胞の指定パーセンテージ(例えば1%、5%、10%など)を超える試料をMICA/B陽性とみなす。
組成物及び診断、予後診断及び治療での使用
本開示の抗体は、MICA又はMICBポリペプチドを発現しない組織又は細胞上で非特異的な染色なく、FFPEとして調製された生体試料内で、MICA及び/又はMICB(例えばヒト集団におけるMICAの複数の最も優勢なアレルを含み、少なくともMICA*001及びMICA*008アレルを含む)の検出で特に有効である。従って、本抗体は、疾患における試験、評価、診断、予後及び/又は監視での使用に対する長所を有し、ここでMICA及び/又はMICBポリペプチド及び/又はMICA及び/又はMICB発現細胞の検出及び/又は局在確認は興味深い。例えば、腫瘍又は腫瘍隣接組織がMICA及び/又はMICB発現細胞(例えば、MICA及び/又はMICB発現腫瘍細胞)を特徴とする患者は、腫瘍進行に対する好ましくない予後を有し得る。このような患者は、例えば免疫療法、化学療法及び特定の組み合わせ処置を含め、例えば、それらの予後及び/又はMICA及び/又はMICB発現プロファイルに適している治療剤及びレジメンでの処置から恩恵を受け得る。
従って、対象において癌を検出する、診断する又は監視する方法が提供され、この方法は、(例えばインビトロで)腫瘍細胞を本開示の抗MICA/MICB抗体又は抗体断片と接触させるステップと、腫瘍関連MICA及び/又はMICBポリペプチドを検出するステップとを含む。関連する実施形態では、診断方法は、免疫組織化学(IHC)を含む。特定の実施形態では、腫瘍試料が化学的に固定され、且つ/又はパラフィン包埋される。当業者は、このようなMICA/MICB検出剤が、エフェクター、マーカー又はレポーターで標識され得るか又は会合させられ得、多くの標準的なイメージング技術の何れか1つを使用して検出され得ることをさらに認識する。他の実施形態では、抗MICA/MICB抗体は、直接標識されず、検出可能である二次薬剤(例えば、標識された抗マウス抗体)を使用して検出される。特定の実施形態では、本開示は、抗MICA/MICB組成物の何れか及び本発明の検出方法を使用して個体を診断し、アウトカムに基づいて治療コースを個別化することを含む、治療剤(例えば、化学療法、免疫療法)の投与のために個体を同定するか又は選択する方法を提供する。
一実施形態では、本開示は、頭頸部扁平上皮癌、肺癌(例えば、NSCLC)、中皮腫、乳癌、エストロゲン陽性乳癌、エストロゲン陰性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌又はメラノーマを有する個体からの試料においてMICA/MICB発現細胞を検出する方法を提供し、この方法は、個体からのパラフィン包埋された腫瘍組織試料を、パラフィン包埋された腫瘍組織試料においてヒトMICA及びMICBポリペプチドに特異的に結合可能な抗体と接触させることと;切片内における結合された抗体の存在を検出し、任意選択的に抗体による細胞膜(細胞表面)染色をさらに検出することとを含む。切片内での結合された抗体の検出時、任意選択的に、切片内の抗体による細胞膜(細胞表面)染色の検出時、個体は、MICA及び/又はMICB陽性である腫瘍を有すると判断され得るか又はみなされ得る。
一実施形態では、本開示は、尿路上皮癌、膵臓癌、肝細胞癌(HCC)又は子宮内膜癌を有する個体からの試料においてMICA/B発現細胞を検出する方法を提供し、この方法は、個体からのパラフィン包埋された腫瘍組織試料を、パラフィン包埋された腫瘍組織試料においてヒトMICA及びMICBポリペプチドに特異的に結合可能な抗体と接触させることと;切片内における結合された抗体の存在を検出し、任意選択的に抗体による細胞膜(細胞表面)染色をさらに検出することとを含む。切片内での結合された抗体の検出時、任意選択的に、切片内の抗体による細胞膜(細胞表面)染色の検出時、個体は、MICA及び/又はMICB陽性である腫瘍を有すると判断され得るか又はそのようにみなされ得る。
一実施形態では、本開示は、ヒト腫瘍からの試料においてMICA/B発現細胞(例えば、その表面又は細胞膜でMICA及び/又はMICBを発現する細胞)を検出する方法を提供し、この方法は、個体からのパラフィン包埋された腫瘍組織試料を、パラフィン包埋された腫瘍組織試料においてヒトMICA及びMICBポリペプチドに特異的に結合可能な抗体と接触させることと;切片内における結合された抗体の存在を検出し、任意選択的に抗体による細胞膜(細胞表面)染色をさらに検出することとを含む。
一実施形態では、本開示は、頭頸部扁平上皮癌、肺癌(例えば、NSCLC)、中皮腫、乳癌、エストロゲン陽性乳癌、エストロゲン陰性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌又はメラノーマを有する個体からの試料においてMICA/B発現細胞を検出する方法を提供し、この方法は、個体からのパラフィン包埋された腫瘍組織試料を、パラフィン包埋された腫瘍組織試料においてヒトMICA及びMICBポリペプチドに特異的に結合可能な抗体と接触させることと;切片内における結合された抗体の存在を検出し、任意選択的に抗体による細胞膜(細胞表面)染色をさらに検出することとを含む。
一実施形態では、本開示は、ヒト腫瘍からの試料においてMICA/B発現細胞を検出する方法を提供し、この方法は、個体からのパラフィン包埋された腫瘍組織試料を、パラフィン包埋されたペレットとして調製されている細胞の表面上でヒトMICA及びMICBポリペプチドに特異的に結合可能な抗体と接触させることと;切片内における結合された抗体の存在を検出し、任意選択的に抗体による細胞膜(細胞表面)染色をさらに検出することとを含む。
一実施形態では、本開示は、ヒト腫瘍からの試料においてMICA/B発現細胞を検出する方法を提供し、この方法は、個体からのパラフィン包埋された腫瘍組織試料を、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されている細胞の表面上でヒトMICA及びMICBポリペプチドに特異的に結合するその能力について評価された(又は特異的に結合すると判定された)抗体と接触させることと;切片内における結合された抗体の存在を検出し、任意選択的に抗体による細胞膜(細胞表面)染色をさらに検出することとを含む。
一実施形態では、本開示は、腫瘍を有する個体からの腫瘍組織試料においてMICA/B発現細胞を検出する方法を提供し、この方法は、
(a)個体からのパラフィン包埋された腫瘍組織試料を提供し、この試料を、パラフィン包埋された細胞ペレットでのMICA/MICB陰性細胞に結合せず、インビトロで、パラフィン包埋された細胞ペレットにおいてMICA及び/又はMICB発現細胞に結合可能なモノクローナル抗体と接触させることと、
(b)この抗体が腫瘍細胞の表面に結合するか否かを評価することと
を含み、その抗体が腫瘍細胞の表面に結合するという判定は、腫瘍がMICA/B発現細胞に対して陽性であり、且つ/又は枯渇抗MICA剤での処理に適切であることを示す。
何れかの実施形態では、FFPE組織は、抗癌処置(例えば、化学療法剤)、任意選択的にMICA及び/又はMICB発現癌細胞を上方制御可能であることが知られる抗癌処置で前処置を受けた個体から得られる腫瘍又は腫瘍隣接組織であり得る。特定の化学療法剤又は他の処置は、腫瘍細胞上でMICA及び/又はMICB発現(及び任意選択的にさらなるNKG2Dリガンド)を誘導し得る及び/又は増加させ得ることが示されている。これは、イオン化及びUV放射線、DNA複製の阻害剤、DNAポリメラーゼの阻害剤、クロマチン調整処置、抗代謝剤(例えば、3-ブロモピルベートなどのピルベートのハロゲン化類似体)並びにHDAC阻害剤トリコスタチンA及びバルプロ酸などのアポトーシス誘導剤を含む周知の化学療法を含む。例示的な薬剤は、DNA損傷応答経路を活性化させるもの、例えばATM(毛細血管拡張性運動失調症変異)若しくはATR(ATM-及びRad3関連)タンパク質キナーゼ若しくはCHK1又はさらにCHK2若しくはp53を活性化させるものである。後者の例としては、イオン化放射、DNA複製の阻害剤、DNAポリメラーゼ阻害剤及びクロマチン改変剤又は処理、例として、HDAC阻害剤が挙げられる。NKG2Dリガンドを上方調節する組成物は、Gasser et al(2005)Nature 436(7054):1186-90にさらに記載されている。さらなる化学療法剤としては、アルキル化剤、細胞毒性抗生物質、例えば、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、植物誘導体、RNA/DNA代謝拮抗剤及び抗有糸分裂剤が挙げられる。好ましい例としては、例えば、シスプラチン(CDDP)、カルボプラチン、プロカルバジン、メクロレタミン、シクロホスファミド、カンプトテシン、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、ニトロソウレア、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、エトポシド(VP16)、タモキシフェン、ラロキシフェン、タキソール、ゲムシタビン、ナベルビン、トランスプラチン、5-フルオロウラシル、ビンクリスチン、ビンブラスチン及びメトトレキサート又は上記の任意のアナログ若しくは誘導体バリアントを挙げることができる。抗癌処置での前処置を受けた及び腫瘍細胞上でMICA及び/又はMICB発現がある個体は、抗MICA及び/又はMICB抗体での処置に適切であると判断され得る。
一実施形態では、MICA及び/又はMICBが検出される場合、FFPE組織は、抗MICA及び/又はMICB抗体での処置に対する候補である個体で得られた腫瘍又は腫瘍隣接組織であり得る。
一実施形態では、MICA及び/又はMICBが検出される場合、FFPE組織は、抗MICA及び/又はMICB抗体での処置を受けた、例えばこのような抗体での治療コースを受けたか又は受けている、個体から得られた腫瘍又は腫瘍隣接組織であり得る。
本開示は、治療介入を施すためにMICA及び/又はMICB発現腫瘍を有する個体を選択する方法をさらに提供する。治療介入の例は、MICA及び/又はMICBに結合する抗体、任意選択的にMICA及び/又はMICB発現細胞の枯渇を引き起こす抗体を含む。一例において、治療介入は、MICA及び/又はMICBの免疫抑制効果を緩和するか又は軽減する薬剤(例えば、MICAに結合する抗体)、例えば可溶性MICAポリペプチドにより誘発されるNK及び/又はCD8 T細胞の表面でのNKG2Dの下方調整を緩和するか又は軽減する薬剤である。個体がMICA及び/又はMICB陽性である腫瘍を有すると判断されるか又はみなされる場合、本開示の方法は、任意選択的に、FFPE試料においてヒトMICA及び/又はMICBに特異的に結合可能な抗体を使用して、FFPE試料での染色、任意選択的に細胞膜(細胞表面)染色により判断されるとき、例えば個体がMICA及び/又はMICB発現腫瘍を有すると判定される場合、治療介入で個体を処置するステップを含むものとしてさらに特定され得る。
何れかの実施形態では、本抗体は、MICAの何れのアレルが個体によって発現されるかを判断又は評価するさらなるステップ又は前ステップなしに使用され得る。何れかの実施形態では、本抗体は、ヒト集団にわたり使用され得る。
本明細書に記載の抗体は、好ましくはインビトロで、MICA及び/又はMICB発現細胞、例えば腫瘍細胞の存在を検出するために使用され得る。このような方法は、一般的に、本開示による抗体と個体からの生体試料(例えばFFPE試料、脱パラフィン処理)を接触させ、本抗体と生体試料との間の免疫学的反応から生じる免疫学的複合体の形成を検出することを伴う。複合体は、本開示による抗体を標識することによって直接的に、又は本発明による抗体の存在を明らかにする分子(二次抗体、ストレプトアビジン/ビオチンタグなど)を付加することにより間接的に、検出され得る。例えば、標識付加は、本抗体を放射性又は蛍光タグとカップリングすることによって遂行され得る。これらの方法は当業者にとって周知である。従って、本発明は、MICA及び/又はMICB発現細胞(例えば、腫瘍細胞)の存在を検出するため、任意選択的に、MICA及び/又はMICB発現細胞が存在する病態の存在を検出するため、任意選択的にインビボ又はインビトロで癌又は他の病態の特徴評価をするために使用され得る診断組成物を調製するための、本開示による抗体の使用にも関する。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体は、癌進行を予測するために有用である。癌予後、癌又は癌進行に対する予後診断は、以下の何れか1つ以上の予報又は予測(それに対する予後)を提供することを含む:癌に罹患し易いか又は癌と診断された対象の生存期間、無再発生存期間、癌に罹患し易いか又は癌と診断された対象の無進行生存期間、癌に罹患し易いか又は癌と診断された対象又は対象群における処置に対する奏効率及び/又は奏効期間、奏効の程度又は対象での処置後の生存率。代表的な生存エンドポイントとしては、例えばTTP(無増悪期間)、PFS(無増悪生存期間)、DOR(奏効期間)及びOS(全生存期間)が挙げられる。一般に、疾患進行及び応答は、標準的な腫瘍応答基準の慣習に従い、例えばEisenhauer,EA,et al,New response evaluation criteria in solid tumours:Revised RECIST guideline(version 1.1),Eur J Cancer 2009:45:228-247により詳述されるような“Response Evaluation Criteria in Solid Tumors”(RECIST)v1.1に従い、判定され得、この開示は、本明細書に参照により組み込まれる。
MICA/MICB陽性腫瘍を診断し、癌進行を予測し、且つ/又は癌を有する個体に対して治療レジメンを個別化することは、例えば、腫瘍又は腫瘍隣接組織試料での陽性染色MICA細胞のパーセントの測定に基づき得る。これに関して、抗MICA/MICB抗体で調べた場合に固定されたIHC試料における陽性染色細胞の特定のパーセンテージを示す患者は、MICA/MICB+とみなされ、本明細書での教示に従う処置のために選択される。このような実施形態では、パーセント陽性細胞として測定される場合、1%を超える、5%を超える、10%を超える、20%を超える、30%を超える、40%を超える又は50%を超える陽性細胞染色を示す腫瘍試料は、MICA/MICB+として分類され得る。特定の態様では、MICA/MICB+腫瘍は、パーセント陽性として測定される場合、構成物である細胞の>50%でMICA及び/MICBを発現する。
他の実施形態では、患者診断及び/又は選択は、特定の強度でのMICA及び/又はMICB陽性細胞染色のパーセントで予測され得る。例として、2+強度以上を示す細胞が、>10%、任意選択的に>20%の腫瘍は、化学療法又は免疫治療剤での処置に適切であるとみなされ得る。他の実施形態では、例えば本明細書で開示されるように、抗MICA/MICB抗体で染色し、標準的IHCプロトコルに従って調べたとき、腫瘍細胞の>10%、>20%、>30%、>40%又は>50%が1+強度以上を示す場合、患者は、化学療法剤又は免疫治療剤での処置に対する候補である。他の特定の実施形態では、例えば本明細書で開示されるように、抗MICA/MICB抗体で染色し、標準的IHCプロトコルに従って調べたとき、腫瘍細胞の>10%、>20%、>30%、>40%又は>50%が2+強度以上を示す場合、個体は、化学療法剤又は免疫治療剤での処置に適切である。
いくつかの態様では、腫瘍における又は腫瘍周辺でのMICA及び/又はMICBポリペプチド及び/又はMICA及び/又はMICB発現細胞を評価するために、癌を有する個体からの組織試料(例えば、腫瘍又は腫瘍隣接組織試料)を、本明細書で開示される抗体を使用して特徴評価又は評価し得る。
一実施形態では、MICA及び/又はMICB発現細胞を特徴とする癌又は腫瘍(又はこのような癌又は腫瘍を有する個体)は、化学療法剤又は免疫治療剤(例えば枯渇抗MICA及び/又は-MICB抗体)での処置に適切である(例えば、そのような処置から利益を得る)ものとして同定され得る。
一実施形態では、本開示は、癌の、診断、予後診断、監視及び/又は特徴評価を必要とする個体における、癌の、診断、予後診断、監視及び/又は特徴評価のためのインビトロ方法を提供し、この方法は、個体からのパラフィン包埋された腫瘍又は腫瘍隣接試料を提供することと、固定された組織試料においてヒトMICA及びMICBポリペプチドに特異的に結合するモノクローナル抗体を使用して試料、任意選択的にパラフィン包埋された組織試料においてMICA及び/又はMICBポリペプチド(例えば、MICA及び/又はMICB発現細胞)を検出することとを含み、MICA及び/又はMICBポリペプチドの検出は、個体が化学療法剤又は抗MICA及び/又はMICB治療剤での処置に適している(例えば、そのような処置から利益を得る)ことを示す。抗MICA及び/又はMICB治療剤は、例えばヒトMICA及びMICBポリペプチドに結合する薬剤であり得、任意選択的に、この薬剤は、枯渇剤、例えば、国際公開第2013/117647号パンフレット、同第2013/049527号パンフレット、同第2014/040903号パンフレット、同第2015/085210号パンフレット、同第2018/217688号パンフレット(例えば7C6抗体)、同第2018/081648号パンフレット及び同第2019/183551号パンフレット(例えば1D5抗体)において開示される既知の抗体の何れかの重鎖及び軽鎖CDR又は可変領域を有する、抗MICA抗体(又はその機能保存的変異体)であり、この開示は、参照により本明細書に組み込まれる。このような薬剤は、検出可能な及び/又は高レベルのMICA及び/又はMICB発現を特徴とする腫瘍又は腫瘍組織を有する個体を処置するために有用であり得る。
一実施形態では、本開示は、頭頸部扁平上皮癌、肺癌(例えば、NSCLC)、中皮腫、乳癌、エストロゲン陽性乳癌、エストロゲン陰性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、メラノーマ、尿路上皮癌、膵臓癌、肝細胞癌(HCC)又は子宮内膜癌の処置又は予防を、それを必要とする個体において行う方法を提供し、この方法は、
a)個体からのホルマリン処理及び/又はパラフィン包埋された腫瘍組織試料(又は腫瘍細胞試料)において、任意選択的に細胞の表面(例えば、膜MICA及び/又はMICB染色)でMICA及び/又はMICBポリペプチドを検出することと、
b)腫瘍試料(又は腫瘍細胞)が、任意選択的に参照レベルと比較して上昇しているレベルで、MICAポリペプチド(例えば、MICA発現細胞)を含むという判定時、抗癌剤、任意選択的にヒトMICA及び/又はMICBポリペプチドに結合する抗体又は化学療法剤を個体に投与することと
を含む。一実施形態では、個体は、化学療法剤での前処置(ステップ(a)前)を受けている。MICA及び/又はMICBポリペプチドの検出は、本開示の抗体を使用して行われ得る。
何れかの態様では、抗体を使用して試料においてMICA及び/又はMICBポリペプチドを検出することは、個体からの生体試料(例えば、脱パラフィン処理された、FFPE試料)を本抗体と接触させるステップと、本抗体と生体試料との間での免疫学的反応から生じる免疫学的複合体の形成を検出するステップとを含み得る。
MICA及び/又はMICBの検出のための、本開示による抗体を含む、例えば癌に対する、診断又は予後診断キットも提供される。任意選択的に、本キットは、診断又は予後診断としての使用のための、本発明の抗体及び非MICA/MICBポリペプチドに結合する抗体(例えば1、2、3、4、5、10又はそれを超える抗体)を含む。前記キットは、生物学的(例えば、腫瘍組織)試料と、抗体、特に前記抗体の検出を可能にする試薬との間の免疫学的反応から生じる免疫学的複合体を検出する手段をさらに含み得る。
本方法は、一連の癌、例えば頭頸部扁平上皮癌、肺癌(例えば、NSCLC)、中皮腫、乳癌、エストロゲン陽性乳癌、エストロゲン陰性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、メラノーマ、尿路上皮癌、膵臓癌、肝細胞癌(HCC)又は子宮内膜癌の、試験、評価、診断、予後診断及び/又は監視において有用であり得る。
実施形態:
1.ヒトMICAポリペプチド及びヒトMICBポリペプチドに特異的に結合可能な抗体又は抗体断片であって、配列番号7の重鎖可変領域配列の3つのCDRと、配列番号8の軽鎖可変領域配列の3つのCDRとを含み、CDRは、Kabat番号付与に従って決定される、抗体又は抗体断片。
2.ヒトMICA及びMICBポリペプチドに特異的に結合可能な抗体又は抗体断片であって、このような結合は、このようなMICA及び/又はMICBポリペプチドを発現し、且つパラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されている細胞の試料中におけるものであり、抗体又は抗体断片は、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも80%、任意選択的に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%、任意選択的に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗体又は抗体断片。
3.検出可能部分にコンジュゲート又は共有結合されている、実施形態1又は2に記載の抗体又は抗体断片。
4.パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA発現細胞の試料においてMICAポリペプチドに結合するが、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA及びMICB陰性細胞、任意選択的にRaji細胞に結合しない、上記実施形態の何れか1つに記載の抗体又は抗体断片。
5.パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*001発現細胞の試料においてMICA*001ポリペプチドに結合し、且つパラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*008発現細胞の試料においてMICA*008ポリペプチドにさらに結合する、上記実施形態の何れか1つに記載の抗体又は抗体断片。
6.パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICB発現細胞の試料においてMICBポリペプチドに結合するが、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA及びMICB陰性細胞、任意選択的にRaji細胞に結合しない、上記実施形態の何れか1つに記載の抗体又は抗体断片。
7.パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているBxPC-3細胞に結合し;任意選択的に、前記抗体が低濃度(1μg/mL)で提供される場合、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているBxPC-3細胞を染色可能であり、任意選択的に、さらに、前記抗体が低濃度(1μg/mL)、中程度の濃度(5μg/mL)及び高濃度(10μg/mL)で提供される場合、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているBxPC-3細胞を染色可能である、上記実施形態の何れか1つに記載の抗体又は抗体断片。
8.配列番号7の重鎖可変領域配列の3つのCDRと、配列番号8の軽鎖可変領域配列の3つのCDRとを含み、CDRは、Kabat番号付与に従って決定される、実施形態2~7の何れか1つに記載の抗体又は抗体断片。
9.パラフィン包埋された細胞試料として調製された細胞(例えば、MICA発現細胞)によって発現されるヒトMICAポリペプチドへの結合について、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む抗体と競合する、上記実施形態の何れか1つに記載の抗体又は抗体断片。
10.ヒト個体からの試料内でMICA及び/又はMICBポリペプチドを検出するインビトロ方法であって、前記個体からのパラフィン包埋された試料を提供することと、実施形態1~9の抗体又は抗体断片を使用して、前記試料においてMICAポリペプチドを検出することとを含むインビトロ方法。
11.ヒト個体からの試料内でMICA及び/又はMICBポリペプチドを検出するインビトロ方法であって、前記個体からのパラフィン包埋された試料を提供することと、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*001発現細胞の試料においてヒトMICA*001ポリペプチドに結合し、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*008発現細胞の試料においてヒトMICA*008ポリペプチドに結合し、且つパラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICB発現細胞の試料においてヒトMICBポリペプチドに結合するが、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA及びMICB陰性細胞、任意選択的にRaji細胞に結合しない抗体又は抗体断片を使用して、前記試料においてMICAポリペプチドを検出することとを含むインビトロ方法。
12.抗体又は抗体断片は、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているBxPC-3細胞に結合し;任意選択的に、前記抗体又は抗体断片は、前記抗体が低濃度(1μg/mL)で提供される場合、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているBxPC-3細胞を染色可能であり、任意選択的に、さらに、前記抗体又は抗体断片は、前記抗体が低濃度(1μg/mL)、中程度の濃度(5μg/mL)及び高濃度(10μg/mL)で提供される場合、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているBxPC-3細胞を染色可能である、実施形態11に記載の方法。
13.抗体又は抗体断片は、実施形態1~9に記載の抗体又は抗体断片である、実施形態11又は12に記載の方法。
14.前記抗体又は抗体断片は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む抗体;パラフィン包埋された細胞試料として調製された細胞によって発現されるヒトMICAポリペプチドへの結合について、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む抗体と競合する抗体又は抗体断片;又は配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む前記抗体又は抗体断片の機能保存的変異体である、実施形態11又は12に記載の方法。
15.MICA及び/又はMICBポリペプチドを検出するステップは、前記試料を前記抗体又は抗体断片と接触させることと、前記抗体又は抗体断片と前記試料との間の免疫反応から生じる免疫複合体の形成を検出することとを含む、実施形態10~14の何れか1つに記載の方法。
16.MICA及び/又はMICBポリペプチドを検出するステップは、前記試料を前記抗体又は抗体断片と接触させることと、前記抗体又は抗体断片と前記試料との間の免疫反応から生じる細胞膜での免疫複合体の形成を検出することとを含む、実施形態10~14の何れか1つに記載の方法。
17.前記試料は、腫瘍組織である、実施形態10~16の何れか1つに記載の方法。
18.前記個体は、頭頸部扁平上皮癌、肺癌(例えば、NSCLC)、中皮腫、乳癌、エストロゲン陽性乳癌、エストロゲン陰性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、メラノーマ、尿路上皮癌、膵臓癌、肝細胞癌(HCC)又は子宮内膜癌を有する、実施形態10~17の何れか1つに記載の方法。
19.前記個体は、抗MICA抗体又は抗体断片での処置を受けたことがあるか、受けているか又はその処置に対する候補である個体である、実施形態10~18の何れか1つに記載の方法。
20.前記個体は、化学療法剤での前処置を受けたことがある個体である、実施形態10~19の何れか1つに記載の方法。
21.前記パラフィン包埋された組織試料は、固定され、パラフィン中に包埋され、薄切され、脱パラフィン処理され、且つスライドに移されている、上記実施形態の何れか1つに記載の方法又は組成物。
22.MICA及び/又はMICBポリペプチドは、MICA及び/又はMICBポリペプチドに結合する抗体に特異的に結合する二次抗体を使用して検出される、上記実施形態の何れか1つに記載の方法又は組成物。
23.化学療法剤での前処置を受けたことがある個体においてMICA及びMICB発現を評価するインビトロ方法であって、前記個体からのパラフィン包埋された腫瘍又は腫瘍隣接組織試料を提供することと、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*001発現細胞の試料においてヒトMICA*001ポリペプチドに結合し、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*008発現細胞の試料においてヒトMICA*008ポリペプチドに結合し、且つパラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICB発現細胞の試料においてヒトMICBポリペプチドに結合するが、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA及びMICB陰性細胞に結合しない抗体又は抗体断片を使用して、前記試料においてMICA及び/又はMICBポリペプチドを検出することとを含み、MICA及び/又はMICBポリペプチドの検出は、前記個体が治療剤での処置に適切であることを示し、任意選択的に、前記治療剤は、ヒトMICA及び/又はMICBポリペプチドに結合する抗体である、インビトロ方法。
24.治療剤での処置に対する腫瘍を有する個体の適切性を評価するインビトロ方法であって、前記個体からのパラフィン包埋された腫瘍又は腫瘍隣接組織試料を提供することと、実施形態1~9に記載の抗体若しくは抗体断片又は実施形態10~22の何れか1つに記載の方法を使用して、前記試料においてMICA及び/又はMICBポリペプチドを検出することとを含み、MICA及び/又はMICBポリペプチドの検出は、前記個体が治療剤での処置に対して適切であることを示し、任意選択的に、前記治療剤は、ヒトMICA及び/又はMICBポリペプチドに結合する抗体である、インビトロ方法。
25.ヒトMICA及び/又はMICBポリペプチドに結合する抗体を前記個体に投与するステップをさらに含む、実施形態23~24に記載の方法。
26.前記個体は、腫瘍細胞によるMICA及び/又はMICB発現の上方制御を引き起こすことが可能であることが知られる放射性又は化学療法剤で前処置を受けたことがある、実施形態10~25に記載の方法。
27.癌を有する個体における癌の進行を予測する方法であって、前記個体からのパラフィン包埋された腫瘍組織試料を提供することと、実施形態9~21の何れか1つに記載の方法に従って又は実施形態1~9の何れか1つに記載の抗体若しくは抗体断片を使用して、前記試料においてMICAポリペプチドを検出することとを含む方法。
28.前記試料においてのMICAポリペプチドの検出(又は参照値と比較したこのようなMICA発現細胞のより多数の検出)は、前記対象が癌進行に対する好ましくない予後を有することを示す、実施形態27に記載の方法。
29.抗体を使用して前記試料において細胞を検出することは、
・細胞を含む生体試料を(例えば、生検として)得ることと;
・前記試料を固定し、パラフィン中で包埋し、薄切し、且つ脱パラフィン処理し、及び任意選択的に前記試料をスライドに移すことと;
・前記切片を前記抗体と接触させることと;
・前記切片内における結合された抗体の存在を検出することと
を含む、実施形態10~28の何れか1つに記載の方法。
30.実施形態1~9の何れか1つに記載の抗体又は抗体断片を含むキットであって、任意選択的に、実施形態1~9の何れか1つに記載の抗体を特異的に認識する標識された二次抗体をさらに含むキット。
31.実施形態1~9の何れか1つに記載の抗体又は抗体断片と、治療剤、任意選択的に枯渇及び/又は中和させる抗MICA抗体とを含むキット。
32.実施形態1~9に記載の抗体又は抗体断片をコードする核酸又は核酸のセット。
33.実施形態1~9に記載の抗体を産生するか、又は実施形態32に記載の核酸を含むハイブリドーマ又は組み換え宿主細胞。
34.パラフィン包埋された組織においてヒトMICA及びMICBポリペプチドに特異的に結合する抗体を作製する方法であって、
a)細胞であって、その表面でMICAポリペプチドを発現する細胞を提供し、細胞であって、その表面でMICBポリペプチドを発現する細胞を提供し、且つ細胞であって、その表面でMICAポリペプチドもMICBポリペプチドも発現しない細胞を提供し、及び前記細胞のそれぞれについて、個別のパラフィン包埋された細胞試料を調製するステップと;
b)複数の候補抗体を提供するステップと;
c)その表面でMICAもMICBも発現しない、ステップa)のパラフィン包埋された細胞に結合することなく、MICAを発現する、ステップa)のパラフィン包埋された細胞及びMICBを発現する、ステップa)のパラフィン包埋された細胞に結合する、前記複数からの抗体を調製又は選択するステップと
を含む方法。
35.選択された抗体の誘導体を作製するステップをさらに含む、実施形態34に記載の方法。
36.誘導体の作製は、前記抗体を検出可能部分にコンジュゲート又は共有結合させることを含む、実施形態35に記載の方法。
37.前記MICAポリペプチドは、MICA*001ポリペプチドである、実施形態34~36に記載の方法。
38.a)細胞であって、その表面でMICA*001ポリペプチドを発現する細胞を提供し、細胞であって、その表面でMICA*008ポリペプチドを発現する細胞を提供し、細胞であって、その表面でMICBポリペプチドを発現する細胞を提供し、且つ細胞であって、その表面でMICAポリペプチドもMICBポリペプチドも発現しない細胞を提供し、及び前記細胞のそれぞれについて、個別のパラフィン包埋された細胞試料を調製することと;
b)候補抗体又は複数の候補抗体を提供することと;
c)その表面でMICAもMICBも発現しない、ステップa)のパラフィン包埋された細胞に結合することなく、MICA*001を発現する、ステップa)のパラフィン包埋された細胞、MICA*008を発現する、ステップa)のパラフィン包埋された細胞及びMICBを発現する、ステップa)のパラフィン包埋された細胞への結合について、候補抗体を試験するか、又はそれに結合する、前記複数の候補抗体からの抗体を調製若しくは選択することと
を含む、実施形態34~37に記載の方法。
39.実施形態34~38に記載の方法に従って得られるか又は作製される抗体。
40.ヒト個体からの試料内でMICA及び/又はMICBポリペプチドを検出する方法での使用、任意選択的に実施形態10~29の何れか1つに記載の方法での使用のための、実施形態34~39に記載の方法に従って得られるか又は作製される抗体。
本発明のさらなる態様及び長所は、実験セクション後に開示し、これは、例示としてみなされるべきものであり、本出願の範囲を限定しない。
本開示は例えば以下を提供する。
[項1]
ヒトMICAポリペプチド及びヒトMICBポリペプチドに特異的に結合可能な抗体又は抗体断片であって、配列番号7の重鎖可変領域配列の3つのCDRと、配列番号8の軽鎖可変領域配列の3つのCDRとを含み、CDRは、Kabat番号付与に従って決定される、抗体又は抗体断片。
[項2]
ヒトMICA及びMICBポリペプチドに特異的に結合可能な抗体又は抗体断片であって、前記結合は、前記MICA及び/又はMICBポリペプチドを発現し、且つパラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されている細胞の試料中におけるものであり、前記抗体又は抗体断片は、配列番号7のアミノ酸配列と少なくとも80%、任意選択的に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインと、配列番号8のアミノ酸配列と少なくとも80%、任意選択的に少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインとを含む、抗体又は抗体断片。
[項3]
検出可能部分にコンジュゲート又は共有結合されている、項1又は2に記載の抗体又は抗体断片。
[項4]
パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA発現細胞の試料においてMICAポリペプチドに結合するが、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA及びMICB陰性細胞、任意選択的にRaji細胞に結合しない、項1~3の何れか一項に記載の抗体又は抗体断片。
[項5]
パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*001発現細胞の試料においてMICA*001ポリペプチドに結合し、且つパラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*008発現細胞の試料においてMICA*008ポリペプチドにさらに結合する、項1~4の何れか一項に記載の抗体又は抗体断片。
[項6]
パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICB発現細胞の試料においてMICBポリペプチドに結合するが、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA及びMICB陰性細胞、任意選択的にRaji細胞に結合しない、項1~5の何れか一項に記載の抗体又は抗体断片。
[項7]
パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているBxPC-3細胞に結合し;任意選択的に、前記抗体が低濃度(1μg/mL)で提供される場合、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているBxPC-3細胞を染色可能であり、任意選択的に、さらに、前記抗体が低濃度(1μg/mL)、中程度の濃度(5μg/mL)及び高濃度(10μg/mL)で提供される場合、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているBxPC-3細胞を染色可能である、項1~6の何れか一項に記載の抗体又は抗体断片。
[項8]
配列番号7の重鎖可変領域配列の3つのCDRと、配列番号8の軽鎖可変領域配列の3つのCDRとを含み、CDRは、Kabat番号付与に従って決定される、項2~7の何れか一項に記載の抗体又は抗体断片。
[項9]
パラフィン包埋された細胞試料として調製された細胞(例えば、MICA発現細胞)によって発現されるヒトMICAポリペプチドへの結合について、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む抗体と競合する、項1~8の何れか一項に記載の抗体又は抗体断片。
[項10]
ヒト個体からの試料内でMICA及び/又はMICBポリペプチドを検出するインビトロ方法であって、前記個体からのパラフィン包埋された試料を提供することと、項1~9の何れか一項に記載の抗体又は抗体断片を使用して、前記試料においてMICAポリペプチドを検出することとを含むインビトロ方法。
[項11]
ヒト個体からの試料内でMICA及び/又はMICBポリペプチドを検出するインビトロ方法であって、前記個体からのパラフィン包埋された試料を提供することと、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*001発現細胞の試料においてヒトMICA*001ポリペプチドに結合し、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA*008発現細胞の試料においてヒトMICA*008ポリペプチドに結合し、且つパラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICB発現細胞の試料においてヒトMICBポリペプチドに結合するが、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているMICA及びMICB陰性細胞、任意選択的にRaji細胞に結合しない抗体又は抗体断片を使用して、前記試料においてMICAポリペプチドを検出することとを含むインビトロ方法。
[項12]
抗体又は抗体断片は、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているBxPC-3細胞に結合し;任意選択的に、前記抗体又は抗体断片は、前記抗体が低濃度(1μg/mL)で提供される場合、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているBxPC-3細胞を染色可能であり、任意選択的に、さらに、前記抗体又は抗体断片は、前記抗体が低濃度(1μg/mL)、中程度の濃度(5μg/mL)及び高濃度(10μg/mL)で提供される場合、パラフィン包埋された細胞ペレットとして調製されているBxPC-3細胞を染色可能である、項11に記載の方法。
[項13]
抗体又は抗体断片は、項1~9の何れか一項に記載の抗体又は抗体断片である、項11又は12に記載の方法。
[項14]
前記抗体又は抗体断片は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む抗体;パラフィン包埋された細胞試料として調製された細胞によって発現されるヒトMICAポリペプチドへの結合について、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む抗体と競合する抗体若しくは抗体断片;又は配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号8のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む抗体若しくは抗体断片の機能保存的変異体である、項11又は12に記載の方法。
[項15]
MICA及び/又はMICBポリペプチドを検出する前記ステップは、前記試料を前記抗体又は抗体断片と接触させることと、前記抗体又は抗体断片と前記試料との間の免疫学的反応から生じる免疫学的複合体の形成を検出することとを含む、項10~14の何れか一項に記載の方法。
[項16]
前記試料は、腫瘍組織である、項10~15の何れか一項に記載の方法。
[項17]
前記個体は、頭頸部扁平上皮癌、肺癌(例えば、NSCLC)、中皮腫、乳癌、エストロゲン陽性乳癌、エストロゲン陰性乳癌、トリプルネガティブ乳癌、卵巣癌、子宮内膜癌、前立腺癌、メラノーマ、尿路上皮癌、膵臓癌、肝細胞癌(HCC)又は子宮内膜癌を有する、項10~16の何れか一項に記載の方法。
[項18]
前記個体は、抗MICA抗体又は抗体断片での処置を受けたことがあるか、受けているか又はその処置に対する候補である個体である、項10~17の何れか一項に記載の方法。
[項19]
前記個体は、化学療法剤での前処置を受けたことがある個体である、項10~18の何れか一項に記載の方法。
[項20]
前記パラフィン包埋された組織試料は、固定され、パラフィン中に包埋され、薄切され、脱パラフィン処理され、且つスライドに移されている、項1~19の何れか一項に記載の方法又は組成物。
[項21]
MICA及び/又はMICBポリペプチドは、MICA及び/又はMICBポリペプチドに結合する抗体に特異的に結合する二次抗体を使用して検出される、項1~20の何れか一項に記載の方法又は組成物。
[項22]
癌を有する個体における癌の進行を予測する方法であって、前記個体からのパラフィン包埋された腫瘍組織試料を提供することと、項9~21の何れか一項に記載の方法に従って又は項1~9の何れか一項に記載の抗体若しくは抗体断片を使用して、前記試料においてMICAポリペプチドを検出することとを含む方法。
[項23]
抗体を使用して前記試料において細胞を検出することは、
・細胞を含む生体試料を(例えば、生検として)得ることと;
・前記試料を固定し、パラフィン中に包埋し、薄切し、且つ脱パラフィン処理し、及び任意選択的に前記試料をスライドに移すことと;
・前記切片を前記抗体と接触させることと;
・前記切片内における結合された抗体の存在を検出することと
を含む、項10~22の何れか一項に記載の方法。
[項24]
項1~9の何れか一項に記載の抗体又は抗体断片を含むキットであって、任意選択的に、項1~9の何れか一項に記載の抗体を特異的に認識する標識された二次抗体をさらに含むキット。
[項25]
項1~9の何れか一項に記載の抗体又は抗体断片をコードする核酸又は核酸のセット。
[項26]
項1~9の何れか一項に記載の抗体を産生するか、又は項25に記載の核酸を含むハイブリドーマ又は組み換え宿主細胞。
[項27]
パラフィン包埋された組織においてヒトMICA及びMICBポリペプチドに特異的に結合する抗体を作製する方法であって、
a)細胞であって、その表面でMICAポリペプチドを発現する細胞を提供し、細胞であって、その表面でMICBポリペプチドを発現する細胞を提供し、且つ細胞であって、その表面でMICAポリペプチドもMICBポリペプチドも発現しない細胞を提供し、及び前記細胞のそれぞれについて、個別のパラフィン包埋された細胞試料を調製するステップと;
b)複数の候補抗体を提供するステップと;
c)その表面でMICAもMICBも発現しない、ステップa)の前記パラフィン包埋された細胞に結合することなく、MICAを発現する、ステップa)の前記パラフィン包埋された細胞及びMICBを発現する、ステップa)の前記パラフィン包埋された細胞に結合する、前記複数からの抗体を調製又は選択するステップと
を含む方法。
実施例1:FFPE試料におけるBAMO1抗体の性能
MICA及びその近縁MICBは、NK細胞活性化受容体NKG2Dの非常に多型性のリガンドである。MICA及びMICBは、感染及び腫瘍形質転換などの細胞性ストレスによって細胞表面で誘導される。実際に、MICAは、乳房、結直腸及び肺を含む、いくつかの高度に蔓延している固形腫瘍上で特異的に発現される。抗MICA/B治療用抗体に対する治療指標を特定するために、免疫組織化学(IHC)により異なるFFPE腫瘍試料においてMICA/Bの発現を評価する必要があった。腫瘍における陽性細胞のパーセンテージ並びに細胞質又は膜発現のレベルは、抗MICA/B治療用抗体に対する適切な指標を同定するのに役立つ。
この試験の目的は、利用可能な抗体を使用してMICA/B手動免疫染色の感度の改善を試みるために、異なるアプローチを試験することであった。抗体BAMO1(R&D Systems Inc.)は、ヒト膵臓のホルマリン固定及びパラフィン包埋された組織切片においてMICAを検出可能であるものとして記載されており、試験のために選択した。
MICA/B染色感度の改善を評価するために、MICA/Bの発現が低レベルである細胞株を選択した。実際に、IHCによって低い発現でも検出することは、課題であった。FFPE切片でのMICA/B検出のための抗体を評価するために、MICA/B陽性及び陰性細胞を凍結融解し、培養し、次いでIHC染色のために、固定し、パラフィン中に包埋した。表3は使用した細胞をまとめる。
以前のフローサイトメトリー表現型決定試験により、本発明者らは、MICA/Bの発現が低レベルである異なる細胞株を予め選択することが可能になった。選択を確認するために、これらの細胞上でのMICA/B発現レベルをフローサイトメトリーにより再び評価した。BxPC-3、Hs 700T、HT-29及びMIA PaCa-2細胞は全て、比較的低レベルでMICA/Bを発現した。
フローサイトメトリーによって細胞表現型(MICA/B陽性)を確認した後、細胞を固定し、IHC染色のためにパラフィン中に包埋した。
結果から、BAMO1抗体を使用してMIA PaCa-2細胞においてMICA/B発現が明らかに検出されたことが示された。Hs700T及びHT-29細胞において、染色は陽性であったが、全ての細胞ではなかった。MICA/B発現は、BAMO1抗体を用いてBxPC-3細胞では検出されなかった。フローサイトメトリーによりMICA/B発現が検出されたものの、いくつかの細胞株は、IHCによってMICA/B染色を全く示さなかった。これは、最初のプロトコルが、MICA/Bの低発現レベルを検出するために十分に感度が高くなかったことを示唆した。従って、MICA/B染色感度の改善を試験するために、これらの細胞を選択した。
MICA/B IHC染色を最適化するためにいくつかの条件を試験し、以下の条件を試験した。
・洗浄ステップ:流動対浴槽
・初回温置の前対後での内因性ペルオキシダーゼの遮断
・ジアミノベンジジン(DAB)温置:5分対20分
・チラミド系増幅(TSA)
・Envision FLEXキット(一次と二次HRP抗体との間のリンカー)
TSAを使用して、MIA PaCa-2細胞上、BxPC-3細胞上及び比較的程度は低いが、HT-29細胞上でMICA/B発現が検出された。残念ながら、これらの結果は、再現性がなく(特に反復される実験にわたり染色が不一致であったBxPC3細胞に対して)、染色強度は依然として低かった。
MICA/B細胞表面発現の定量的な決定を得るために、QIFIKITを使用した。選択された細胞株上でQifikitを用いて4回の実験を行った。異なる細胞株の細胞表面上で見出された抗原数は、異なる実験で同等であった。表2で示されるデータは、4回の実験の代表である。細胞表面抗原性部位に基づいて、選択された細胞を分類し得る:Mia PaCa-2>BxPC3>Hs700T>HT-29。注目すべきことに、QIFIKITは、細胞表面抗原のみを評価し、細胞質抗原は評価しない。BAMO1はIHCによりBxPC3を一貫して検出可能ではなかったため、本発明者らは、Hs700T細胞が恐らくBxPC-3よりも細胞質MICA/Bを発現するため、抗体BAMO1を使用したIHCにより、Hs700T細胞が検出されたという仮説を立て得る。
ホルマリン固定及びパラフィン包埋された試料上でBAMO1を使用したMICA/B IHC染色は最適化され得ない。さらに、この抗体は、細胞表面MICA/Bタンパク質が少数である細胞を一貫して染色することを可能にしないため、これは、FFPE試料でのIHCによるMICA/B発現の検出に対して問題があるものとみなした。
実施例2:FFPE試料における細胞表面MICA/Bが少ない細胞を染色する抗体の同定
FFPE試料でのIHCに対する利用可能な満足できる抗体がなかったため、マウスに免疫付与し、MICA/B発現が低い細胞を一貫して及び特異的に染色し得る抗体を同定するためにスクリーニングを行った。
簡潔に述べると、3種類のタンパク質(MICA*001、MICA*008及びMICB)で免疫付与した5匹のBalb/cマウスを使用して免疫付与を行った。C1Rneo、C1R MICA*008及びC1R MICB FFPE細胞ペレットを使用することにより、IHCによって5匹の異なる動物からの血清を試験した。融合のために3匹の動物を選択したが、それは、これらの動物由来の血清が、強い染色強度で多数のMICA/B細胞を染色することを可能にしたからであった。ハイブリドーマ培養及び選択後、FFPE細胞ペレット(C1R MICA*008+C1R MICB細胞の混合物)上で、2種類の抗原賦活化条件(pH6及び8)を伴うマニュアルプロトコール及びRaji、BxPC-3、C1R MICA*001、C1R MICA*008及びC1R MICB FFPE細胞ペレット上で、Ventana Discovery Ultra automaton及びCC1又はCC2前処理を用いた自動化プロトコルを使用して、IHCによって508検体の上清(非希釈)を試験した。以下で実験をさらに詳述する。
異なる細胞株を凍結融解し、継代培養した。10%非働化ウシ胎児血清(FBS)、1%L-グルタミン、1%非必須アミノ酸及び1%ピルビン酸ナトリウムを補充したRoswell Park Memorial Institute培地(RPMI)(Gibco)中でRaji、C1R-neo、BxPC-3、C1R MICA*001、C1R MICA*008及びC1R MICBを培養した。懸濁液中でRaji、C1R-neo、C1R MICA*001、C1R MICA*008及びC1R MICBを増殖させた。BxPC-3は、接着細胞であり、PBS-EDTA 2mMを使用して剥離した。ジェネテシン1.8mg/mlを用いてC1R MICA*001、C1R MICA*008及びC1R MICBを選択した。培養終了時及びRaji細胞の場合には6回の継代後、BXPC3の場合には7又は8回の継代後、C1R-neoの場合には2回の継代後、C1R MICA*001の場合には2回の継代後、C1R MICA*008の場合には3又は継代後及びC1R MICBの場合には3又は4回の継代後、細胞をホルマリン中で固定し、パラフィン中に包埋した。
包埋前に、抗MICA/BモノクローナルAb(mAb;クローン19E9、国際公開第2013/117647号パンフレットを参照されたい)(PEコンジュゲート)、抗MICAモノクローナルAb(mAb;クローン20C6、国際公開第2013/117647号パンフレットを参照されたい)(PEコンジュゲート)及び市販の抗MICBモノクローナル(mAb;236511 R&D)(PEコンジュゲート)で細胞を染色し、MICA/B、MICA及びMICB発現を評価するためにフローサイトメトリーによって分析した。Raji細胞上でMICA/B発現は観察されず、C1R-neoでは内因性MICA/B発現は非常に低かった。BxPC-3細胞上で低MICA発現が観察された。最終的に、C1R MICA*001及びC1R MICA*008細胞は、MICA陽性及びC1R MICB細胞はMICB陽性が強く見られた。
この試験で使用された細胞株の特徴を以下のようにまとめる。
-Raji細胞(生物:ホモサピエンス(Homo sapiens)、ヒト/細胞タイプ:Bリンパ球/組織:リンパ芽球/疾患:バーキットリンパ腫/起源:ATCC)、MICA/B発現なし
-C1R-neo細胞(生物:ホモサピエンス(Homo sapiens)、ヒト/細胞タイプ:Bリンパ芽球;エプスタインーバーウイルス形質転換/組織:末梢血リンパ腫/ATCC ref.CRL-2369)、MICA/Bの非常に低い内因性発現
-BxPC-3細胞(生物:ホモサピエンス(Homo sapiens)ヒト/組織:膵臓/疾患:腺癌リンパ腫/ATCC ref.CRL-1687)、低い内因性MICA発現
-C1R MICA*001細胞:ヒトMICA*001を遺伝子移入したC1R-neo細胞(高いMICA*001発現レベル)
-C1R MICA*008細胞:ヒトMICA*008を遺伝子移入したC1R-neo細胞(高いMICA*008発現レベル)
-C1R MICB:ヒトMICB*002を遺伝子移入したC1R-neo細胞(高いMICB発現レベル)
フローサイトメトリーによる表現型決定と並行して、細胞株をホルマリン中で固定し、パラフィン中に包埋した。簡潔に述べると、20x106~40x106個の細胞をホルマリン4%で1時間固定した。細胞をPBS中で2回洗浄し、Histogel中で再懸濁した。細胞ペレットを脱水し、パラフィン中に包埋した。各細胞株に対して、いくつかのFFPE細胞ペレットを作製した。細胞(C1R MICA*008(15.106個の細胞)及びC1R MICB(15.106個の細胞))の混合物もパラフィン中に包埋した。FFPE細胞ペレットを薄切し、IHCによりMICA/B染色を行った。簡潔に述べると、5μmの厚さの切片を温置して脱パラフィン処理し、抗原再生ステップに供し、免疫又は非免疫血清、ハイブリドーマ上清、鎖組み合わせAb又は精製及び市販Abとともに温置し、続いてシグナル増幅ステップを行った。最終的に、3、3’-ジアミノベンジジン(DAB)を使用して酵素性顕色を行った。マウス血清を用いたIHC染色について、以下の基準を使用してペレット切片での染色された細胞のパーセンテージ並びに強度スコアに起因すると考えることにより、染色の解釈を行った:「-」:陰性染色;「+」:弱い陽性染色;「++」:中程度の強度のIHCシグナル及び「+++」:強い陽性染色。
MICA/B組み換えタンパク質(MICA*001、MICA*008及びMICB)の混合物(2回の腹腔内注射)を使用して、5匹のBalb/cマウスに対して最初に免疫付与し、IHCによって血清を試験した。3種類の異なる希釈率(1/1000、1/5000及び1/10000)及び3種類の異なる抗原賦活化条件(pH6、pH8及びpH9)で、C1R neo細胞及びC1R MICA*008+C1R MICB FFPE細胞ペレットの混合物においてIHCにより、免疫前血清及び免疫血清を試験した。
免疫前血清を使用した場合に染色は見られなかった。血清を1/5000又は1/10000に希釈した場合、C1R MICA*008+C1R MICBの混合物では得られた染色が弱く、不均一であったため、免疫反応を増強するために3回目の腹腔内注射を行うことを決定した。この3回目の注射後にIHCによって5匹のマウスからの血清を再び試験し、本発明者らは、3回目の注射後に全体的なより強い反応性を観察した。3匹のマウスからの血清により、最良の結果が得られた(染色強度が強いC1R MICA*008及びC1R MICB染色細胞数がより多い)。比較において、別のマウスからの血清は、C1R MICA*008及びC1R MICB細胞の染色強度がより低く;別のマウスでは、1/5000及び1/10000で使用した場合、染色されたC1R MICA*008細胞の数がより少なく、1/5000及び1/10000を使用した場合、C1R MICB細胞の染色が得られなかった。最終追加免疫のために、最良の結果を与えた3匹のマウスを選択した(ミックスMICA/B組み換えタンパク質の静脈内注射)。動物を安楽死させ、それらの脾臓を摘出し、骨髄腫細胞との融合のための細胞の供給源として使用した。メチルセルロース半固体培地での培養後、ハイブリドーマコロニーを採取し、27枚の異なる96ウェルプレートで培養した。次に、マウスIgG分泌ハイブリドーマのみを選択するために、ELISAを行った。この試験に続いて、別のELISAを行い、抗tagハイブリドーマを排除するために前に同定された陽性ハイブリドーマ(IgG分泌)を試験した。終了時、508個のハイブリドーマを維持し、増幅させ、1.5mLの上清/ハイブリドーマを生成させた。
異なる抗原アンマスキング条件(pH6、pH8)を使用して、C1R MICA*008+C1R MICB FFPE細胞ペレット切片の混合物においてIHCによって最初に上清を試験した。508検体の上清の中で、C1R MICA*008+C1R MICB細胞の混合物において最良の結果を与えるものとして(強い陽性及び均一な染色)46検体(それらの中で11検体がpH6及びpH8の両方に対して陽性)を選択した。
CC1又はCC2前処理を用いて、Ventana上でC1R-neo、BxPC-3、CR1 MICA*001、C1R MICA*008及びC1R MICB FFPE細胞ペレット切片においてIHCにより、C1R MICA*008+C1R MICB細胞の混合物上で染色を与えた46検体の上清を再び試験した。それらは、試験した全ての陽性細胞上で最強の染色を与え、C1R-neo細胞では染色がないか又は弱かったため、マウスγ1(gamma1)鎖(mIgG1アイソタイプ)を伴うマウス抗体として、上清の6つの検体の上清(12C9を含む)を選択し、作製した。
並行した66検体の上清において、C1R MICA*008+C1R MICB細胞の混合物における部分的に陽性のものをVentana上でRaji、BxPC-3、CR1 MICA*001、C1R MICA*008、C1R MICB FFPE細胞ペレット切片において再び試験した。これらが最強の染色を与え、MICA又はMICBに特異的であったため、3検体の上清を選択し、作製した(1検体はMICA特異的であり、2検体はMICB特異的であった)。
一過性の遺伝子移入後、CC1 Discovery Cell Conditioning 1(CC1)又はRiboCC(CC2)前処置条件を使用して、Ventana Discovery Ultra automaton上で、Raji、BxPC-3、C1R MICA*001、C1R MICA*008、C1R MICB FFPE細胞ペレット切片においてIHCにより選択され、試験された各抗体に対して、異なる再編成を得た。6つの抗体が試験した細胞全てにおいて陽性染色を与え、Raji細胞では染色はなかった。これらの抗体をマウスγ1(ガンマ1)鎖(mIgG1アイソタイプ)を伴うマウス抗体として選択し、作製した。
CC1又はCC2前処理条件を使用して、Ventana automaton上で、3つの異なる濃度(1、5及び10μg/mL)で、Raji、BxPC-3、C1R MICA*001、C1R MICA*008、C1R MICB FFPE細胞ペレット切片においてIHCにより、作製及び精製した抗体を試験した。
試験した3つの抗体(12C9を含む)は、MICA及びMICB遺伝子移入細胞において強い膜染色を与え、Raji細胞では染色はなかった。試験した染色条件を用いて、抗体のうちの2つは、低濃度(1μg/mL)においてBxPC-3上で染色を示さないか又は染色が非常に弱く、中程度の濃度(5μg/mL)及び高濃度(10μg/mL)では染色が不均一であった。12C9のみが、試験した3つの濃度でBxPC-3 FFPE細胞ペレット選択を染色する能力を示した。
12C9の重鎖及び軽鎖可変領域のアミノ酸配列を以下に示す(Kabat CDR下線)。
12C9の重鎖可変領域(VH):
12C9の軽鎖可変領域(VL):