JP7807828B1 - 球体回転保持装置及び球体駆動式移動装置 - Google Patents

球体回転保持装置及び球体駆動式移動装置

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Abstract

【課題】コンパクトでありながら騒音を低減する球体回転保持装置及び球体駆動式移動装置を提供すること。【解決手段】一の仮想平面に平行な第1回転軸を有する複数のローラと、複数のローラを保持する保持部材と、第1回転軸と直交する第2回転軸を中心に、保持部材及びローラを回転させる回転機構と、から構成され、複数のローラのうち少なくとも1つが球体に接触しており、回転機構による回転により、球体と接触するローラが変化する、ことを特徴とする球体回転保持装置及び、それを用いた球体駆動式移動装置。【選択図】図1

Description

本発明は、回転する球体を保持する球体回転保持装置及びそれを用いた球体駆動式移動装置に関する。
球体を回転駆動させて全方向に移動可能な球体駆動式移動装置がある。球体駆動式移動装置は、全方向に移動できることから、例えば、ロボット、電動車いす、自走式台車、搬送用台車等に使用することができる。
特許文献1では、3つの球体とそれら球体を3つのモータがロータを介して移動させる台車を提供する球体駆動式全方向移動装置が開示されている。特許文献1の球体駆動式全方向移動装置では、3つの駆動用球体を3つの支持用ボール型キャスタと3つの車輪型キャスタ(アイドラ)が支持している。各支持用ボール型キャスタは、それぞれ駆動用球体の頂点位置に接触している。車輪型キャスタは、駆動用球体の回転中心と同一高さ位置で駆動用球体の側面に接触し、駆動用球体をロータに対して押し付けるように設けられている。
特許文献2では、3つの球体とそれら球体を3つのモータが回転体を介して移動させる台車を提供する球体駆動式全方向移動装置が開示されている。具体的には平面視して三角形の頂点位置に配置される同一形状の3つの駆動用球体に対し、それぞれ2点で接触する3つの回転体を駆動手段であるモータが駆動することにより、全方向に移動できる。この球体駆動式全方向移動装置は、3つの駆動用球体の中心よりも外側に形成される三角形の頂点に位置するボールキャスタが駆動用球体に接触して支持している。また、特許文献2には、ボールキャスタの代わりにオムニホイールを採用してもよいと記載されている。
特開2010-30360号公報 国際公開2020-110651号公報
特許文献1の発明では、車輪型キャスタとロータは、駆動用球体の回転中心と同一高さ位置で対面配置しなければならないという制約がある。このため、駆動球体の頂点位置に各支持用ボール型キャスタを配置し、球体の車輪型キャスタとロータを配置するためのスペースの確保が必要となる。
また、特許文献1及び特許文献2に開示された球体駆動式移動装置に使われているボールキャスタの構造は1つの大きな球であるメインボールとそれを支える小さい複数の球であるサブボールとそれらを囲み固定する治具で構成されている。これにより、大きい球が回転した際に小さい球が逆回転し治具内を移動することで大きい球の回転力を逃がしている。しかしながら、回転時に複数の小さい球同士が接触することにより、音が同時または連続的に発生し合成されることで騒音が発生するおそれがある。
また、ボールキャスタの代わりに使われうるオムニホイールは、ボールキャスタのように小さい球同士が接触する騒音は発生しないが、駆動用球体の上方向に大きなスペースを確保する必要があるため、球体駆動式移動装置全体が大きくなってしまう。
本発明の目的は、コンパクトでありながら騒音を低減する駆動用球体の保持機構を提供することにある。
(1)上記課題を解決するための本発明は、一の仮想平面に平行な第1回転軸を有する複数のローラと、複数の前記ローラを保持する保持部材と、前記第1回転軸と直交する第2回転軸を中心に、前記保持部材及び前記ローラが回転する回転機構と、から構成され、複数の前記ローラのうち少なくとも1つが球体に接触しており、前記球体の回転力を受けて前記回転機構回転することにより、前記球体と接触するローラが変化する、ことを特徴とする球体回転保持装置である。
(2)上記課題を解決するための他の発明は、前記球体から受ける力として少なくとも前記第2回転軸と並行の成分を有する、ことを特徴とする、請求項1に記載の球体回転保持装置である。
(3)上記課題を解決するための他の発明は、複数の前記ローラはラジアルベアリングであり、前記回転機構はスラストベアリングである、請求項1に記載の球体回転保持装置である。
(4)上記課題を解決するための他の発明は、前記回転機構は、複数の前記ローラの配置の内側または直下に、前記スラストベアリングが構成されている、請求項3に記載の球体回転保持装置である。
(5)上記課題を解決するための他の発明は、前記ローラと前記球体との接点と前記球体の中心とを結ぶ仮想線と、前記第2回転軸とがなす角度は90°未満である、
請求項1に記載の球体回転保持装置である。
(6)上記課題を解決するための他の発明は、複数のローラは、第2回転軸を中心として放射状に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の球体回転保持装置である。(7)上記課題を解決するための他の発明は、請求項1乃至6何れか1項に記載の球体回転保持装置と、前記球体を駆動する駆動装置と、を備えることを特徴とする球体駆動式移動装置。
本発明によれば、コンパクトでありながら騒音を低減する駆動用球体の保持機構を提供することができる。
本実施の形態が適用される球体駆動式移動装置を示す底面図である。 駆動用球体、静音キャスタ、ロータの位置関係を説明するための図である。 本実施の形態が適用される球体駆動式移動装置を示す側面図である。 (A)は球体回転保持装置の斜視図であり、(B)は球体回転保持装置の断面斜視図である。 (A)は球体回転保持装置と駆動用球体の動きを説明する図であり、(B)は球体回転保持装置と駆動用球体の平面図である。 (A)から(C)は、球体回転保持装置と駆動用球体との位置の違いにより応力の伝達が変化することを説明する図である。 (A)は球体回転保持装置のラジアルベアリングの配置例を示す図であり、(B)は、球体回転保持装置のラジアルベアリングの別の配置例を示す図である。 (A)は、ラジアルベアリングの別の配置例を有する静音キャスタの斜視図であり、(B)は、ラジアルベアリングの別の配置例を有する静音キャスタの断面斜視図である。 (A)は従来の球体駆動式移動装置の裏面を示す図であり、(B)は従来の球体駆動式移動装置の球体とボールキャスタとの位置関係を示す側面図であり、(C)はボールキャスタの断面図である。
球体駆動式移動装置においては、モータの動力をロータが駆動用球体に伝えることにより駆動用球体を回転させて球体駆動式移動装置を移動させている。
図9(A)は従来の球体駆動式移動装置の裏面を示す図である。駆動用球体110はロータ140a、160bに接触しており、モータ180、220が駆動するロータ140a、160bの回転により、駆動用球体110は回転する。駆動用球体110は、ベース部材270に取り付けられたボールキャスタ240に支持されている。なお、駆動用球体110は、補助支持機構300、310とは常時接触しておらず、駆動用球体110の位置がずれた場合に、補助支持機構300、310が駆動用球体110を支持する。補助支持機構300、310も、ボールキャスタ240よりもサイズの小さいボールキャスタである。
図9(B)は従来の球体駆動式移動装置の球体とボールキャスタとの位置関係を示す側面図である。図9(B)においては、駆動用球体110は、ロータ160bと、図9(B)には見えないロータ140a、ボールキャスタ240と、走行面Gと、4点で接している。
図9(C)は従来の球体駆動式移動装置に使われているボールキャスタ240の断面図である。ボールキャスタ240は、メインボール210、複数のサブボール211、防塵シール212、受座213、ケース214、およびキャップ215を含んで構成される。複数のサブボール211は、メインボール210と受座213との隙間空間に敷き詰められている。外部からのメインボール210に対する応力は、内部の複数のサブボール211が支持し、メインボール210の回転とともに、複数のサブボール211も回転し、移動する。このとき複数のサブボール211同士が接触することにより、音が同時または連続的に発生し合成されることで騒音が発生する。
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される球体駆動式移動装置1を示す底面図である。球体駆動式移動装置1は、駆動用球体11、12、13、ロータ14a、14b、15a、15b、16a、16b、モータ18、20、22、静音キャスタ24、25、26、ベース部材27、補助支持機構30、31、32、33、34、35などを組み合わせて構成されている。球体駆動式移動装置1は、走行面G(図3参照)に接している駆動用球体11、12、13が回転することにより走行面G(図3参照)上を移動する装置である。例えば、球体駆動式移動装置1は、ベース部材27の上に荷物が積載され、荷物を搬送する台車として利用されうる。
ロータ14a、14bは、モータ18の回転力が軸や動力伝達ベルトを介して伝達されることにより回転駆動する。ロータ15a、15bは、モータ20の回転力が軸や動力伝達ベルトを介して伝達されることにより回転駆動する。ロータ16a、16bは、モータ22の回転力が軸や動力伝達ベルトを介して伝達されることにより回転駆動する。ロータ14a及びロータ16bは接触している駆動用球体11を回転駆動させる。ロータ14b及びロータ15aは接触している駆動用球体12を回転駆動させる。ロータ15b及びロータ16aは接触している駆動用球体13を回転駆動させる。
本実施の形態では、駆動用球体11、12、13は、全て同じ大きさ(径)の球体であり、正三角形の頂点の位置に配置されている。ただし、駆動用球体11、12、13は、大きさ(径)がそれぞれ異なり、駆動用球体11、12、13それぞれの中心を頂点とする三角形の3つの辺がそれぞれ異なる長さであってもよい。駆動用球体11は、ロータ14a、16bと接触した状態で回転駆動力を受けて回転することにより球体駆動式移動装置1を移動させる。駆動用球体12は、ロータ14b、15aと接触した状態で回転駆動力を受けて回転することにより球体駆動式移動装置1を移動させる。駆動用球体13は、ロータ15b、16aと接触した状態で回転駆動力を受けて回転することにより球体駆動式移動装置1を移動させる。
駆動用球体11、12、13は、それぞれ静音キャスタ24、25、26と接触している。つまり、駆動用球体11は、ロータ14a、16b、静音キャスタ24、および走行面G(図3参照)と接触している。駆動用球体12は、ロータ14b、15a、静音キャスタ25、および走行面G(図3参照)と接触している。駆動用球体13は、ロータ15b、16a、静音キャスタ26、および走行面G(図3参照)と接触している。
なお、本実施の形態のように、駆動用球体が3つある球体駆動式移動装置の場合、駆動用球体とロータとの空回りを抑制できる条件が、国際公開2020-110651号に記載されている。
静音キャスタ24、25、26は、平面視において、3つの駆動用球体11、12、13が形成する三角形の頂点の外側周辺に配置されることが好ましい。さらに、駆動用球体11と、ロータ14a、16b、静音キャスタ24との3つの接点は、駆動用球体11の中心P1よりも上部にあることが望ましい。同様に、駆動用球体12と、ロータ14b、15a、静音キャスタ25との3つの接点は駆動用球体12の中心P2よりも上部にあることが望ましい。同様に、駆動用球体13と、ロータ15b、16a、静音キャスタ26との3つの接点は駆動用球体13の中心P3よりも上部にあることが望ましい。
上述の構成をとることにより、ベース部材27やベース部材27に載せられた重量物等の自重を利用して、ロータ14a、16b、静音キャスタ24の3つの接点で、駆動用球体11を上から押し付けることができる。同様に、ロータ14b、15a、静音キャスタ25の3つの接点で、駆動用球体12を上から押し付けることができる。同様に、ロータ15b、16a、静音キャスタ26の3つの接点で、駆動用球体13を上から押し付けることができる。
上部からの荷重が大きいほど、駆動用球体11、12、13は、それぞれロータ14a及び16b、14b及び15a、15b及び16aとの空回りが抑制される。すなわち、駆動用球体11、12、13に強力なトルクを発生させることができる。つまり、駆動用球体11、12、13は、それぞれ上部からの3つの接点により押し付けられることで、強力なトルクをもった推進力を発生させることができる。
補助支持機構30、31は、通常、駆動用球体11とは接触していないが、駆動用球体11の位置がずれた場合にのみ、駆動用球体11が外れないように駆動用球体11に接触し位置ずれを修正する機構を有する。同様に、補助支持機構32、33は、駆動用球体12に対し、補助支持機構34、35は、駆動用球体13に対し、位置ずれを修正する機構を有する。補助支持機構30、31、32、33、34、35は、ボールベアリングであってもよく、アイドラであってもよい。
静音キャスタ24、25、26は、回転する球体を保持する球体回転保持装置であり、本実施の形態においては、従来のボールキャスタ240(図9参照)に代わる静音性の高い球体回転保持装置である。本実施の形態においては、静音キャスタ24、25、26は、全て同じ構造、大きさを有し、ベース部材27において、駆動用球体11、12、13をそれぞれ支持するように固定される。静音キャスタ24の構造の詳細については後述するので、ここでは、静音キャスタ24の主な特徴について図2を用いて簡潔に説明する。
図2は、駆動用球体、静音キャスタ、ロータの位置関係を説明するための図である。図2において、駆動用球体11は、ロータ14a、16b、静音キャスタ24と接触している。補助支持機構30、31とは、駆動用球体11が位置ずれをして外れることを防止するものであり、通常、駆動用球体11とは接触していない。
静音キャスタ24は、複数のローラを含み、1つまたは2つのローラが駆動用球体11と接触している。ローラは、ローラの回転軸(第1回転軸)を中心として、R1の矢印が示す方向に回転する。そして、複数のローラを支持する保持部材44は、R2の矢印が示すように、保持部材44の中心を通り保持部材44に直交する回転軸(第2回転軸)を中心として回転動作をすることができる。第2回転軸を中心とする保持部材44の回転とともに、駆動用球体11と接触していたローラは駆動用球体11から離れ、これまで非接触であった他のローラの1つが接触するという動作を繰り返す。つまり、保持部材44の回転により、球体と接触するローラが変化する。
静音キャスタ24は、従来のボールキャスタ240(図9参照)と異なり、複数のサブボールが接触して騒音を発生するおそれがない。このため、静音キャスタ24は、騒音を低減することができる球体回転保持装置として利用される。
図3は、本実施の形態が適用される球体駆動式移動装置1を示す側面図である。駆動用球体11は、ロータ14a、ロータ16b(図1参照)、静音キャスタ24、及び走行面Gと接触している。駆動用球体12は、ロータ14b、ロータ15a(図1参照)、静音キャスタ25、及び走行面Gと接触している。
ロータ14a、ロータ14bは、駆動用球体11の中心P1及び駆動用球体12の中心P2より高い位置でそれぞれ駆動用球体11、12に接触している。同様に、図示されていないが、ロータ15a、ロータ15b、は、駆動用球体12の中心P2及び駆動用球体13の中心P3より高い位置でそれぞれ駆動用球体12、13に接触している。同様に、図示されていないが、ロータ16a、ロータ16bは、駆動用球体13の中心P3及び駆動用球体11の中心P1より高い位置でそれぞれ駆動用球体13、11に接触している。本実施の形態では、さらに静音キャスタ24、25、26が、駆動用球体11、12、13の中心P1、P2、P3よりも高い位置でそれぞれ駆動用球体11、12、13に接触している。
このため、駆動用球体11にはロータ14a、16b、静音キャスタ24を通じて鉛直成分の力が作用し、駆動用球体12にはロータ14b、15a、静音キャスタ25を通じて鉛直成分の力が作用し、駆動用球体13にはロータ15b、16a、静音キャスタ26を通じて鉛直成分の力が作用する。従って、ベース部材27やベース部材27に載せられた重量物等の自重を利用して、ロータ14a、14b、15a、15b、16a、16b、静音キャスタ24、25、26が駆動用球体11、12、13を押し付けることができ、上記ロータの空回りを抑制することができる。
図4(A)は球体回転保持装置の斜視図であり、(B)は球体回転保持装置の断面斜視図である。球体回転保持装置としての静音キャスタ24は、ローラ41、支持部材42、締付け部材43、保持部材44、スラストベアリング46a、46b、キャスタ固定台51から構成される。
静音キャスタ24は、複数のローラ41で構成され、例えば、図4(A)においては、静音キャスタ24は、13個のドーナッツ状のローラ41から構成されている。複数のローラ41の中心には、リング状の支持部材42が貫通している。ローラ41は、支持部材42を回転の中心として回転R1する。複数のローラ41のそれぞれの回転軸(第1回転軸)の方向は異なるものの、それぞれの回転軸は支持部材42の中心を貫く線L5に直交する仮想平面に平行である。つまり、複数の第1回転軸は、一の仮想平面に平行である。
ローラ41は、駆動用球体との接点において径方向から力に対する耐性のあるラジアルベアリングであってもよい。「ラジアルベアリング」とは、回転軸に対して垂直にかかる力に耐性のあるベアリングである。
ローラ41は、回転軸である支持部材42の周囲に複数の転動体としてボール(玉)が組み込まれたボールベアリングであってもよい。さらに、ローラ41は、回転軸である支持部材42の周囲に複数の転動体として「ころ」が組み込まれたローラーベアリングであってもよい。さらに、ローラ41は、無給油で使用できる自己潤滑性を保持したすべり軸受、すなわち無給油ベアリングであってもよい。
複数のローラ41と支持部材42は、締付け部材43により、保持部材44に固定されている。締付け部材43は、複数のローラ41や支持部材42を保持部材44に固定できるものであればよく、公知のボルト、ネジなどを用いることができる。また、保持部材44は、ローラ41の配置位置に溝が形成されている。ローラ41の溝は、円形の保持部材44の外周に達している構造であるため、ローラ41の回転により、ローラ41の周囲にゴミがたまらずに、静音キャスタ24の外部にゴミが排出される。このように、ローラ41を配置するための溝が保持部材44の外周に達していることにより、ゴミや粉塵を容易に排出することができる。
保持部材44は、板状で中心付近に穴を有する。保持部材44の中心には、軸部材45が貫通し、保持部材44は軸部材45を第2回転軸として回転R2する。軸部材45は、キャスタ固定台に保持部材44を回転可能に固定している。また、軸部材45を中心として回転するスラストベアリング46aが保持部材44の表面に、スラストベアリング46bが保持部材44の裏面に配置されている。そして、スラストベアリング46a及び46bは、複数のローラ41及び支持部材42のリングの内側の空間に設けられている。つまり、スラストベアリング46a及び46bが、複数のローラ41及び支持部材42のリングの内側の空間に、第2回転軸である仮想線L5の方向に2段に積層されるように配置されている。このように複数のローラ41の配列の内側の空間を有効に活用して、スラストベアリング46a及び46bを配置することにより、静音キャスタ24を仮想線L5の方向に関してコンパクト化することができる。
スラストベアリング46a及び46bは、複数の転動体としてボール(玉)が組み込まれたボールベアリングであってもよく、複数の転動体として「ころ」が組み込まれたローラーベアリングであってもよい。さらに、スラストベアリング46a及び46bは、無給油で使用できる自己潤滑性を保持したすべり軸受、すなわち無給油ベアリングであってもよい。
上述のように、球体回転保持装置としての静音キャスタ24は、一の仮想平面上に平行な第1回転軸を有する複数のローラ41と、複数のローラ41を保持する保持部材44と、第1回転軸と直交する軸部材45の第2回転軸を中心に、保持部材44及びローラ41を回転させる回転機構と、から構成されている。そして、静音キャスタ24が球体駆動式移動装置の走行に使われる際には、複数のローラ41のうち少なくとも1つが駆動用球体に接触しており、第2回転軸を中心とする回転により、駆動用球体と接触するローラが変化する。
上述のように、図4(A)の球体回転保持装置は、複数のラジアルベアリングと、複数のラジアルベアリングを保持する保持部材と、複数のラジアルベアリングの第1回転軸に直交する第2回転軸を有するスラストベアリングと、第2回転軸を中心としたスラストベアリングの回転とともに、複数の前記ラジアルベアリング及び前記保持部材が回転する、軸受であると言える。本軸受は、回転や往復運動する相手部品に接して荷重を受け、軸などを支持することに適した部品である。
図5(A)は球体回転保持装置と駆動用球体11の動きを説明する断面図であり、(B)は球体回転保持装置と駆動用球体11の平面図である。
図5(A)では、静音キャスタ24を構成する複数のローラは全部が駆動用球体11に接触しているのではなく、ローラ41aが接触しており、ローラ41eは接触していない。そして、駆動用球体11の回転r1に応じて、接触しているローラ41aは回転R1する。この際、駆動用球体11とローラ41aとは、ローラ41aが駆動用球体11の回転r1に合わせて回転R1するため摩擦力はほぼゼロに近い。
また、駆動用球体11の回転r2に応じて、複数のローラを保持している保持部材44が回転R2する。図5(B)の示す図では、駆動用球体11に接触している1つのローラ41aと、駆動用球体11に接触していないローラ41b~41hが記載されている。そして、回転R2に応じて、駆動用球体11と接触していたローラ41aは、非接触状態となり、ローラ41aの隣のそれまで非接触であったローラ41bが接触するという工程を繰り返す。この際、接触していた1つのローラ41aのR1回転方向とは直角の方向に駆動用球体11と擦れることはなく、駆動用球体11からローラ41aが離れて次のローラ41bに接触する工程を繰り返す。したがって、回転R2の場合であっても、駆動用球体11とローラ41との間の摩擦力は非常に小さい。
以上の説明のように、ローラ41aが駆動用球体11の回転r1に合わせて回転R1する場合も、回転R2による駆動用球体11とローラ41aとの接触・非接触の繰り返し動作の場合であっても、駆動用球体11とローラ41との間の摩擦力は非常に小さい。このため、静音キャスタ24は、従来のボールキャスタに比べ、耐摩耗性能も向上している。
図6(A)から(C)は、球体回転保持装置と駆動用球体との位置の違いにより応力の伝達が変化することを説明する図である。
静音キャスタ24は、図4(B)で説明したように、スラストベアリング46を備える。
図6(A)では、駆動用球体11の中心P1、静音キャスタ24と駆動用球体11との接点とを結ぶ仮想線L6と、スラストベアリング46の回転軸S1とが平行である。この場合、駆動用球体11からの応力をすべてスラストベアリング46が受け止めることができる。つまり、スラストベアリング46の応力吸収の効果が最大限に発揮されている状態といえる。静音キャスタ24は、駆動用球体11から(あるいはローラ41aを介して)回転軸S1と並行の成分の力を受けている。
図6(B)では、駆動用球体11の中心P1と、静音キャスタ24と駆動用球体11との接点とを結ぶ仮想線L6と、スラストベアリング46の回転軸S1とのなす角度αは、0°以上90°未満である。この場合、駆動用球体11からの応力は、スラストベアリング46の回転軸方向の成分f1とそれに直交する方向の成分f2とに分解され、スラストベアリング46の回転軸方向の成分f1をスラストベアリング46が受け止めることができる。静音キャスタ24は、駆動用球体11から(あるいはローラ41aを介して)少なくとも回転軸S1と並行の成分の力を受けている。
図6(C)では、駆動用球体11の中心P1と、静音キャスタ24と駆動用球体11との接点とを結ぶ仮想線L6と、スラストベアリング46の回転軸S1とは直交している。この状態では、駆動用球体11からの応力は、スラストベアリング46の回転軸方向成分がゼロであるので、スラストベアリング46が受け止める力成分はない。つまり、スラストベアリング46の応力吸収の効果が発揮されていない状態といえる。静音キャスタ24は、駆動用球体11から(あるいはローラ41aを介して)回転軸S1と並行の成分の力は受けていない。
図6(D)では、駆動用球体11の中心P1と、静音キャスタ24と駆動用球体11との接点とを結ぶ仮想線L6と、スラストベアリング46の回転軸S1とのなす角度αは0°以下(マイナス)となっている。この場合、駆動用球体11からの応力は、スラストベアリング46の回転軸方向の成分f1とそれに直交する方向f2とに分解され、スラストベアリング46の回転軸方向の成分f1をスラストベアリング46が受け止めることができる。静音キャスタ24は、駆動用球体11から(あるいはローラ41aを介して)少なくとも回転軸S1と並行の成分の力を受けている。
なお、図6(D)の状態よりもさらに角度αをマイナス側に広げすぎると、ローラ41eが駆動用球体11に触れてしまうのを避けるため、スラストベアリングの直径が大きくなってしまう。スラストベアリングの直径が大きくなると静音キャスタ24がコンパクトにならないおそれがある。また、ローラ41eが駆動用球体11に触れた状態とは、静音キャスタ24の全てのローラが駆動用球体11に接触している状態である。本発明の球体回転保持装置は、静音キャスタ24と駆動用球体11との接触はローラ41aのみでローラ41eは非接触であることで、静音キャスタ24と駆動用球体11との摩擦を小さくすることができる。このため、ローラ41aのみが駆動用球体11に触れ、ローラ41eは非接触であることが、静音キャスタ24の使用状態として好ましい。
以上より、スラストベアリング46の応力吸収の効果及び静音キャスタ24と駆動用球体11との接触点の観点を考慮すると、ローラ41aと駆動用球体11との接点と駆動用球体11の中心P1とを結ぶ仮想線L6と、スラストベアリング46の回転軸S1とがなす角度は、90°未満であり、かつ、静音キャスタ24の全てのローラと駆動用球体11とが接触しない範囲であることが望ましい。
図7(A)は球体回転保持装置のラジアルベアリングの配置例を示す底面図であり、(B)は、球体回転保持装置のラジアルベアリングの別の配置例を示す底面図である。
図7(A)は静音キャスタ24のラジアルベアリングが8個配置されていることを示す底面図である。ローラ41a~41hまで8個が円形の保持部材44の中心C1を中心に放射状に等間隔に配置されている。ローラ41a~41hのそれぞれの移動方向を示す矢印は、円形の保持部材44の中心C1に集まるように配置されている。そして、ローラ41a~41hのそれぞれの回転軸は、1つの仮想平面(紙面)上に存在している。
さらに、図7(A)では図示しないが、図4(B)で説明したスラストベアリングが複数のラジアルベアリングの配置の内側に形成されている。「内側」とは、平面において、保持部材44の中心C1からローラ41a~41hのいずれかに最も近い点までの半径で形成される領域A1であり、図4(A)では、円形の領域A1の内側を意味する。
本発明の静音キャスタ24は、ラジアルベアリングのローラ41は複数であればよく、ローラの数は特に限定されない。また、複数のローラ41は、中心に向かって放射状に配置されている必要はない。
本発明の別の実施の形態として、図7(B)のような複数のローラ41の配列を有する静音キャスタであってもよい。図7(B)では、ローラ41a~41hのそれぞれの移動方向を示す矢印は、円形の保持部材44の中心C1には集まらず、すこしずつ傾きをもって配列されている。ただし、ローラ41a~41hのそれぞれの回転軸は、1つの仮想平面(紙面)上に存在している。
さらに、図7(B)では図示しないが、図4(B)で説明したスラストベアリングが複数のラジアルベアリングの配置の内側に形成されている。「内側」とは、平面において、保持部材44の中心C1からローラ41a~41hのいずれかに最も近い点までの半径で形成される領域であり、図4(B)では、円形の領域A2の内側を意味する。
図8(A)は、ラジアルベアリングの別の配置例を有する静音キャスタ24の斜視図であり、図8(B)は、その断面斜視図である。
図8(A)の静音キャスタ24は、ラジアルベアリングとして、保持部材44の円形の縁まで達しているローラ411と、保持部材44の円形の内側に配置されているローラ412と、を有する。本発明の別の実施の形態として、図8(A)のように、ローラ411とローラ412とが交互に配置される千鳥状に複数のローラが配置されていてもよい。図8(A)の例では、ローラ411が5つとローラ412が5つの合計10個のローラが設けられているが、もっと多くのローラを配置しても構わない。特に、ローラを密に配置することにより、複数のローラの隣り合う距離の間隔を短くすることで、駆動用球体がよりスムーズにベアリング間を移動することが可能になる。
図4(A)の例では、複数のローラ41は、リング状の支持部材42で支持されていたが、図8(A)の例では、ローラ411、412のそれぞれのローラにそれぞれの軸を設けて保持する機構となっている。また、図8(A)の例では、ローラ411とローラ412の径は、同じであり、ローラ411とローラ412の回転軸は、同一平面上にある。しかし、ローラ411とローラ412の径は、同じでなくてもよく、ローラ411とローラ412の回転軸は、同一平面なく、上下に配置されてもよい。例えば、ローラ411がローラ412よりも径が大きい場合、ローラ411の回転軸421の中心からスラストベアリングの回転軸の中心である仮想線L9への垂線と、ローラ412の回転軸422の中心から仮想線L9への垂線とは、同一点で交わらず、仮想線L9の方向にずれを生じる。ただし、ローラ411の回転軸もローラ412の回転軸も、1つの仮想平面(仮想線L9に垂直な仮想平面)に平行になるように配置されている。つまり、複数の第1回転軸は、一の仮想平面に平行である。
保持部材44は、ローラ411、412の配置位置に溝が形成されている。ローラ411、412の溝は保持部材44の外周まで達している構造であるため、ローラ411、412の回転により、ローラ411、412の周囲にゴミがたまらずに、静音キャスタ24の外部にゴミが排出される。このように、複数のローラ411,412を配置するための溝が保持部材44の外周に達していることにより、ゴミや粉塵を容易に排出することができる。
図8(B)は、ラジアルベアリングの別の配置例を有する静音キャスタ24の断面斜視図である。図8(B)に示されるように、本実施の形態の静音キャスタ24は、スラストベアリング46c及び46dを備えている。静音キャスタ24は、軸部材45の周囲を囲むようにボールが配置されたスラストベアリング46cを備える。さらに、静音キャスタ24は、スラストベアリング46cの外周に複数のボールが配置されたスラストベアリング46dを備える。
図4(B)の例では、スラストベアリング46a及び46bが、軸部材45の軸方向に対して2段に積層されるように配置されていた。図8(B)の例では、軸部材45の軸に直交する方向に径の異なるスラストベアリング46c及び46dが配置されている。
さらに、図4(B)の例では、スラストベアリング46a及び46bが、ラジアルベアリングの配置の内側にコンパクトに配置されていた。一方、図8(B)の例では、ラジアルベアリングであるローラ411、412が千鳥状に密に配置され、スラストベアリング46c及び46dはラジアルベアリングの直下に配置されている。このように、ラジアルベアリングの直下にスラストベアリングを配置にすることで、静音キャスタの剛性及び耐荷重性を向上させることができる。ここで、「直下」とは、スラストベアリングの回転軸の中心である仮想線L9において、ラジアルベアリングであるローラ411及び412が接する駆動用球体とは反対方向を指す。
また、スラストベアリング46dに使われている転動体であるボールが、内側のスラストベアリング46cに使われている転動体であるボールよりも大きい。このように、外側のベアリングを大きくすることで、ラジアルベアリングからの荷重負荷の直下面で力を受けるので、剛性が高くなる。
上述のラジアルベアリングであるローラ411、412、スラストベアリング46c、46dは、いずれも、ボールベアリングで構成されてもよく、ローラーベアリングで構成されてもよく、無給油ベアリングで構成されてもよい。
上述のように、球体回転保持装置の発明を適用する実施の形態として、球体駆動式移動装置における静音キャスタについて説明をしたが、本発明の球体回転保持装置は、移動装置だけでなく、ロボット、マニュプレータなどの球体のある関節にも適用できる。また、球体駆動式移動装置としては、例えば、球体を回転駆動させて全方向に移動可能な、移動ロボット、電動車いす、自走式台車、搬送用台車などの用途に使用することができる。
さらに、図8(A)の球体回転保持装置は、複数のラジアルベアリングと、複数のラジアルベアリングを保持する保持部材と、複数のラジアルベアリングの第1回転軸に直交する第2回転軸を有するスラストベアリングと、第2回転軸を中心としたスラストベアリングの回転とともに、複数の前記ラジアルベアリング及び前記保持部材が回転する、軸受であると言える。本軸受は、回転や往復運動する相手部品に接して荷重を受け、軸などを支持することに適した部品である。
1…球体駆動式移動装置、11、12、13、110…駆動用球体、14a、14b、15a、15b、16a、16b、140a、160b…ロータ、18、20、22、180、220…モータ、24、25、26…静音キャスタ、27、270…ベース部材、30、31、32、33、34、35、300、310…補助支持機構、41、41a、41b、411、412…ローラ、42、421、422…支持部材、43…締付け部材、44…保持部材、45…軸部材、46、46a、46b、46c、46d…スラストベアリング、51…キャスタ固定台、210…メインボール、211…サブボール、212…防塵シール部材、213…受座、214…ケース、215…キャップ、240…ボールキャスタ、C1…保持部材の中心、P1、P2、P3…駆動用球体の中心、G…走行面、L5、L6、L9…仮想線

Claims (7)

  1. 一の仮想平面に平行な第1回転軸を有する複数のローラと、
    複数の前記ローラを保持する保持部材と、
    前記第1回転軸と直交する第2回転軸を中心に、前記保持部材及び前記ローラが回転する回転機構と、から構成され、
    複数の前記ローラのうち少なくとも1つが球体に接触しており、前記球体の回転力を受けて前記回転機構回転することにより、前記球体と接触するローラが変化する、
    ことを特徴とする球体回転保持装置。
  2. 前記球体から受ける力として少なくとも前記第2回転軸と並行の成分を有する、
    ことを特徴とする、請求項1に記載の球体回転保持装置。
  3. 複数の前記ローラはラジアルベアリングであり、前記回転機構はスラストベアリングである、
    請求項1に記載の球体回転保持装置。
  4. 前記回転機構は、複数の前記ローラの配置の内側または直下に、前記スラストベアリングが構成されている、
    請求項3に記載の球体回転保持装置。
  5. 前記ローラと前記球体との接点と前記球体の中心とを結ぶ仮想線と、前記第2回転軸とがなす角度は90°未満である、
    請求項1に記載の球体回転保持装置。
  6. 複数のローラは、第2回転軸を中心として放射状に配置されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の球体回転保持装置。
  7. 請求項1乃至6何れか1項に記載の球体回転保持装置と、
    前記球体を駆動する駆動装置と、
    を備えることを特徴とする球体駆動式移動装置。
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