JP7799208B2 - チタン板 - Google Patents

チタン板

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Description

本発明は、チタン板に関するものである。
チタン板を構成するチタンは、その成分組成により、純チタンとチタン合金に分類される。純チタンは、チタン合金に比較して合金成分含有量が少なく、結晶組織において、常温では稠密六方構造(hcp)と呼ばれる結晶構造を持っている。稠密六方構造は、六方晶、α相とも呼ばれる。
純チタンを構成するhcp結晶は結晶構造として対称性が悪い。そのため、純チタンは結晶方位の配向、すなわち集合組織によって特性が大きく変化する。チタン板の一般的な製造方法である、熱間圧延、(任意の熱延板焼鈍)、冷間圧延、及び最終焼鈍を経てチタン薄板を製造すると、hcpのc軸([0001]軸)がND(板面法線方向)からTD(板幅方向)に向かって約35°傾いた結晶方位(Split-TD)を主とした集合組織を形成する。Split-TD方位を主とする集合組織は、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性に優れている。このことから、純チタン薄板に厳しい成形を施す際には、最もひずみが集中する部分の変形モードが板幅方向の平面ひずみとなるように設計することがある。
特許文献1には、所定の成分を含有する純チタンであって、RD(圧延方向)とc軸とのなす角度が0~50°または70~90°となる結晶粒の割合が90.0%以上95%以下とするチタン板が開示されている。
日本国特開2017-226858号公報
しかしながら、近年はチタン板の加工性に対する要求がますます高まっている。具体的には、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性が一層改善されたチタン板が求められている。
本発明は、従来よりもTDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性に優れたチタン板を提供することを目的とする。
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)本発明の一態様に係るチタン板は、質量%で、O:0.02%~0.15%、Fe:0.02%~0.20%、N:0~0.0800%、C:0~0.1000%、及びH:0~0.0130%、を含み、残部がTiおよび不純物からなる化学組成を有するチタン板であって、α相の平均結晶粒径が、2.0μm以上、70.0μm以下、前記α相の結晶方位をオイラー角g=(φ,Φ,φ)で示し、(0°,90°,0°)に対する方位差の絶対値が30°以内の結晶方位である前記α相の面積率をX1と定義し、(0°,90°,30°)に対する方位差の絶対値が30°以内の結晶方位である前記α相の面積率をX2と定義し、(0°,90°,0°)及び(0°,90°,30°)の両方に対する方位差の絶対値が共に30°以内の結晶方位である前記α相の面積率をX1&2と定義した時、X1+X2-X1&2が0.075以下である。
(2)上記(1)に記載のチタン板では、(0°,35°,0°)に対する方位差の絶対値が15°以内の結晶方位である前記α相の面積率をX3と定義し、(0°,35°,30°)に対する方位差の絶対値が15°以内の結晶方位である前記α相の面積率をX4とし、(0°,35°,0°)及び(0°,35°,30°)の両方に対する方位差の絶対値が15°以内の結晶方位である前記α相の面積率をX3&4と定義したとき、(X3+X4-X3&4)/(X1+X2-X1&2)が5.0以上であってもよい。
)上記(1)又は上記(2)に記載のチタン板では、前記α相の平均結晶粒径が、20.0μm以下であってもよい。
)上記(1)から上記()までのいずれか1項に記載のチタン板では、前記α相の結晶粒径の標準偏差を前記α相の平均結晶粒径で除した値である、前記α相の結晶粒径の変動係数が0.75以下であってもよい。
本発明によって、従来よりもTDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性に優れたチタン板を提供することができる。
結晶方位を三次元で表現する、オイラー角による表記方法を説明する図である。 結晶方位を三次元で表現する、オイラー角による表記方法を説明する図である。 結晶方位を三次元で表現する、オイラー角による表記方法を説明する図である。 結晶方位を三次元で表現する、オイラー角による表記方法を説明する図である。 本実施形態に係るチタン板について、結晶方位分布関数ODFをオイラー角の空間内で等高線表示した図である。 従来例のチタン板について、結晶方位分布関数ODFをオイラー角の空間内で等高線表示した図である。
本発明者らは、従来の製造方法で製造した純チタンでは、上記Split-TDに加えて、c軸が板幅方向(TD)と平行に配向した結晶方位(T-texture)もわずかに存在していることを知見した。本発明者らの検討の結果、このT-textureの存在が、チタン板のTDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性を悪化させていることが判明した。そこで本発明者らは、T-textureの発生を抑制する方法についてさらなる検討を重ねた結果、純チタンを熱間圧延する際にひずみを導入し、これを維持するようにチタン板の巻取及び冷却をすることにより、T-textureの発生を抑制し、チタン板のTDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性を飛躍的に向上させられる旨を知見した。以下に、本実施形態に係るチタン板について詳細に説明する。
《チタン板の化学組成》
本発明に係るチタン板は、例えば、JIS H4600(2012)で規定される第1種~第2種、およびそれに対応するASTM B265で規定されるGrade1~2、DIN 17850で規格される3・7025、3・7035、3・7055で規定されるチタン(工業用純チタンとも称す)が挙げられる。本実施形態に係るチタン板の化学組成を具体的に説明すると以下の通りである。なお、元素の含有量の単位「%」は、質量%を意味する。
O:0.02%以上、0.15%以下
Oはチタン中に必ず含まれる元素であり、0.2%耐力を向上させる。しかし、O量が多くなりすぎると延性が低下し、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性が悪くなる。O添加による0.2%耐力向上効果を得るためには、O含有量の下限は、0.02%であり、好ましくは0.03%である。また、成形性の観点から、O含有量の上限は、0.15%、好ましくは0.10%であり、より好ましくは0.08%である。
Fe:0.02%以上0.20%以下
Feはチタン中に必ず含まれる元素であり、0.2%耐力を向上させる効果を持つ。しかし、Fe量が多くなりすぎると、最終焼鈍時にβ相が析出し、成形性に悪影響を及ぼす。0.2%耐力向上効果が得られるためには、Fe含有量の下限は0.02%であり、好ましくは0.03%である。一方、成形性の観点から、Fe含有量の上限は、0.20%、好ましくは0.10%であり、より好ましくは0.08%である。
N:0~0.0800%
Nはチタン板に含まれなくてもよい。また、Nはチタン板の加工性を低下させる。従ってN含有量の下限値は0%である。また、N含有量の上限値は0.080%とする。ただし、N含有量を低減させるためのコストを考慮して、N含有量を0.0001%以上、0.0003%以上、又は0.0005%以上としてもよい。また、N含有量を0.0700%以下、0.0600%以下、又は0.0500%以下としてもよい。
C:0~0.1000%
Cはチタン板に含まれなくてもよい。従ってC含有量の下限値は0%である。また、C含有量の上限値は0.1000%とする。ただし、C含有量を低減させるためのコストを考慮して、C含有量を0.0001%以上、0.0003%以上、又は0.0005%以上としてもよい。また、C含有量を0.0800%以下、0.0500%以下、又は0.0300%以下としてもよい。
H:0~0.0130%
Hはチタン板に含まれなくてもよい。また、Hはチタン板の脆化を引き起こす。従ってH含有量の下限値は0%である。また、H含有量の上限値は0.0130%とする。ただし、H含有量を低減させるためのコストを考慮して、H含有量を0.0001%以上、0.0002%以上、又は0.0003%以上としてもよい。また、H含有量を0.0100%以下、0.0080%以下、0.0060%以下、0.0040%以下、又は0.0030%以下としてもよい。
本実施形態に係るチタン板の化学組成の残部は、Ti及び不純物であってよい。不純物とは、具体的に例示すれば、精錬工程で混入するCl、Na、Mg、Si、Caおよびスクラップから混入するAl、Zr、Sn、Mo、Nb、Ta、Vなどである。これらの不純物が含有される場合、その含有量は、例えば、それぞれ0.1%以下であり、総量で0.5%以下であれば問題ないレベルである。
《チタン板の結晶組織》
本実施形態に係るチタン板は、上述する成分組成を有することから、工業的には純チタンと称される。純チタンでは、その成分組成に起因して、α相(hcp)が主たる結晶組織となっている。α相が主たる結晶組織とは、評価面全体に占めるα相分率が面積率で95%以上を意味する。この分率は好ましくは97%以上、より好ましくは99%以上である。また、α相以外の結晶組織はβ相である。
《オイラー角による集合組織の記述》
本実施形態に係るチタン板では、集合組織における結晶方位を三次元で表現するため、オイラー角による表記方法を用いる。以下、オイラー角による表記方法(Bungeの表記方法)について説明する。
オイラー角によって結晶方位を表現する際の前提として、まず、試料座標系(板材の座標系)として、互いに直交する関係にある、RD、TDおよびNDの3本の座標軸を想定する。RDはチタン板の圧延方向であり、TDはチタン板の板幅方向であり、NDはチタン板の板面法線方向である。RD及びTDは、例えばチタン板の表面に形成されたロール跡の延伸方向、チタン板の寸法、又はチタン板における結晶の延伸方向等に基づいて特定することができる。
次に、結晶座標系(チタンα相の場合は、hcp組織の方向に基づく座標系)として、互いに直交する関係にあるX軸、Y軸およびZ軸の3本の座標軸を想定する。結晶座標系におけるZ軸は、ミラー指数で表現すると[0001]方向である。結晶座標系におけるX軸は、[10-10]方向(柱面の法線方向)にとる場合と[1-210]方向にとる場合がある。本実施形態に係るチタン板では、X軸を[1-210]方向とする。この場合、Y軸は[10-10]方向(柱面の法線方向)となる。
(A)オイラー角による表記方法では、図1Aのように、試料座標系と結晶座標系とが一致した状態(X軸はRDと一致し、Y軸はTDと一致し、Z軸はNDと一致)を基準とする。
(B)この基準結晶を、図1Bに示したように、結晶座標系をZ軸回りにφ°回転させることを想定する。回転後の結晶の結晶座標系は、図1Bにおいて(X’、Y’、Z)と表記される。
(C)次いで図1Cに示すように、この結晶を、φ°回転後のX(X’)軸回りにΦ°回転させることを想定する。回転後の結晶の結晶座標系の軸は、図1Cにおいて(X’、Y”、Z’)と表記される。
(D)最後に図1Dに示すように、この結晶を、φ°回転及びΦ°回転の後のZ(Z’)軸回りにφ°回転させることを想定する。回転後の結晶の結晶座標系の軸は、図1Dにおいて(X”、Y’’’、Z’)と表記される。
オイラー角による表記方法では、これらのφ°、Φ°、φ°の3つの角度を用いて、任意の結晶粒の結晶方位(c軸の方向など)を表現する。即ち、図1Aに示される結晶の結晶方位をオイラー角で表記すると(0,0,0)であり、図1Bに示される結晶の結晶方位をオイラー角で表記すると(φ,0,0)であり、図1Cに示される結晶の結晶方位をオイラー角で表記すると(φ,Φ,0)であり、図1Dに示される結晶の結晶方位をオイラー角で表記すると(φ,Φ,φ)である。チタン板の主相の組織であるα相の結晶組織については、六方晶であることから、φ(0~90°)、Φ(0~90°)、φ(0~60°)により表記できる。
なお、図1A~図1Dに記載されたミラー指数において、オーバーラインが付された値は負の値である。一方、明細書中では、ミラー指数における負の値を表記するために、オーバーラインに代えてマイナス符号を用いている。従って、図面における一部の結晶方位の表記は、明細書において以下の通り書き換えられている。
多結晶体の結晶方位分布は、前述のオイラー角(φ、Φ、φ)を用いた関数f(φ、Φ、φ)で表され、この関数のことを結晶方位分布関数(Orientation Distribution Function、ODF)と呼んでいる。結晶方位(φ、Φ、φ)をgとすると、ODFはf(g)と表現できる。f(g)の値が高くなるほど、当該結晶方位gに配向する結晶が多いことを意味している。
従来の通常方法で製造されたチタン板の一般的な集合組織である、c軸がTDに約35°程度傾斜した方位を優先方位とする集合組織(Split-TD)を、以下、オイラー角(φ、Φ、φ)を用いて表現する。3次元の結晶方位分布関数を2次元の紙面に表記するため、特定のφにおけるf(g)を、横軸:φ(0~90°)、縦軸:Φ(0~90°)空間において等高線で表現する。チタンでは代表的な方位は、φ=0°および30°で表される(図2、図3)。図2、図3から明らかなように、いずれのφにおいても、Φ=35°、φ=0°の付近にf(g)の値が高いピークが存在するのが明らかである。これらの結晶方位はいずれも、hcp構造のc軸がNDからTDに向かって35°傾いた方位を示しており、φ=0°の場合はRDに[1-210]が、φ=30°の場合は[0-110]が向いている。これらの方位において、主方位である(0°,35°,0°)や、(0°,35°,30°)で示される結晶方位は、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性に極めて優れているため、この特徴を生かしたプレス加工が実施されている。
図3は、従来の製造方法で製造した純チタン板についての図である。図3において、φ=0°で、Φが35~90°にかけて結晶方位の配向が確認される。このうちΦ=90°はhcpのc軸がTDと平行になっている結晶方位を示している。これら、(0°,90°,0°)や(0°,90°,30°)で示される結晶方位(T-texture)はTDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性を悪化させる。通常の製造方法では、(0°,90°,0°)や(0°,90°,30°)で示される結晶方位を減らすことが困難であり、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性が不十分な場合もあった。
《T-textureの存在比率》
本実施形態に係るチタン板では、チタン板におけるT-textureの存在比率を以下のように定義する。即ち、α相の結晶方位をオイラー角g=(φ,Φ,φ)で示した場合、(0°,90°,0°)に対する方位差の絶対値が30°以内の結晶方位であるα相の面積率をX1と定義し、(0°,90°,30°)に対する方位差の絶対値が30°以内の結晶方位であるα相の面積率をX2と定義する。さらに、(0°,90°,0°)及び(0°,90°,30°)の両方に対する方位差の絶対値が共に30°以内の結晶方位であるα相の面積率をX1&2と定義する。X1&2は、X1及びX2の両方に算入されるα相の面積率である。そして、X1+X2-X1&2をもってT-textureの存在比率とする。
(0°,90°,0°)および(0°,90°,30°)で示される結晶方位(T-texture)はTDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性を悪化させる。そのため、これらの結晶方位である結晶の面積率は小さいほうが良い。十分な成形性を得るため、本実施形態に係るチタン板において、両者の合計(X1+X2-X1&2)の上限は0.075であり、好ましくは0.070である。
図2は本実施形態に係るチタン板について、図3は従来のチタン板について、φ=0°および30°におけるf(g)を、横軸:φ(0~90°)、縦軸:Φ(0~90°)空間において等高線で表現した図である。(0°,90°,0°)および(0°,90°,30°)を中心に方位差の絶対値が30°以内で示される結晶方位(T-texture)を有する結晶の存在比率(面積率)を示す(X1+X2-X1&2)が、従来例の図3の場合では0.082であったのに対し、本実施形態に係るチタン板の図2では0.062に低減している。
《Split-TDの存在比率》
また、チタン板におけるSplit-TDの存在比率を以下のように定義する。即ち、(0°,35°,0°)に対する方位差の絶対値が15°以内の結晶方位であるα相の面積率をX3と定義し、(0°,35°,30°)に対する方位差の絶対値が15°以内の結晶方位であるα相の面積率をX4と定義する。さらに、(0°,35°,0°)及び(0°,35°,30°)の両方に対する方位差の絶対値が共に15°以内の結晶方位であるα相の面積率をX3&4と定義する。X3&4は、X3及びX4の両方に算入されるα相の面積率である。そして、X3+X4-X3&4をもってSplit-TDの存在比率とする。
(0°,35°,0°)や(0°,35°,30°)で示される結晶方位(Split-TD)はTDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性に極めて優れているため、これらの結晶方位である結晶の面積率は大きいほうが良い。そのため、前述の(0°,90°,0°)および(0°,90°,30°)の面積率(X1+X2-X1&2)も考慮して、(X3+X4-X3&4)/(X1+X2-X1&2)が大きいほうが良い。本実施形態に係るチタン板において、十分な成形性を得るため、(X3+X4-X3&4)/(X1+X2-X1&2)の下限は好ましくは5.0であり、より好ましくは5.5である。
《所定の結晶方位を有するα相の結晶の面積率X1~X4、X1&2、及びX3&4の評価方法》
上記結晶方位である結晶の面積率X1~X4は、以下のように測定することができる。チタン板の板幅方向に垂直な面(以下「L断面」ともいう。)を研磨して測定面とし、この面の全板厚×15mmの視野に走査電子顕微鏡(SEM)で電子線を走査しながら電子線後方散乱回折(EBSD)法にてEBSDパターンをステップサイズ10μmで測定した。そのデータについて、TSLソリューションズ製のOIM Analysis ver 7.31ソフトウェアを用いて、それぞれの面積率を算出した。例えば、結晶構造として稠密六方晶を指定し、「(0°,90°,0°)を中心に方位差の絶対値が30°以内の結晶方位である結晶の面積率と、(0°,90°,30°)を中心に方位差の絶対値が30°以内の結晶方位である結晶の面積率とを同時に評価」と指定することにより、X1+X2-X1&2を評価結果として得ることができる。X3+X4-X3&4も同様の手順で得ることができる。解析にはCI値(Confidence of Index値)が0.1以上の解析データのみを用いた。また、圧延変形の対称性を考慮し、板厚方向、圧延方向、板幅方向それぞれに対して線対称となる結晶方位については、同一方位として計算を行った。なお、測定条件は以下の通りとした。
・加熱電圧:15kV
・電流量:約35nA
・倍率:200倍
《α相の平均結晶粒径》
α相の平均結晶粒径が大きすぎる場合、プレス成形時に、シワが生じる可能性がある。また、α相の平均結晶粒径が小さいほど強度は増加する。そのため、α相の平均結晶粒径は好ましくは70.0μm以下、50.0μm以下、25.0μm以下、さらに好ましくは20.0μm以下である。一方、α相の平均結晶粒径が2μm未満の場合、未再結晶粒が残存し、成形性に悪影響を及ぼす可能性がある。そのためα相の平均結晶粒径は、好ましくは2.0μm以上である。
《α相の結晶粒径の変動》
α相の結晶粒径(円相当径)の標準偏差をα相の結晶粒径の平均値で除した値を、α相の結晶粒径の変動係数と定義する。α相の結晶粒径の変動係数が大きすぎる場合、結晶粒径の分布が不均一となり、特定の結晶粒に変形が集中することで成形性が悪化する可能性がある。そのため、α相の結晶粒径の変動係数は0.75以下であると好ましく、0.70以下であるとより好ましい。
《α相の平均結晶粒径および変動係数の評価方法》
α相の平均結晶粒径は、チタン板の任意の断面におけるものであり、チタン板の板幅方向に垂直な面(L断面)を観察することにより測定することができる。チタン板の板幅方向に垂直な面(L断面)を研磨して測定面とし、この面の全板厚×1000μmの視野に走査電子顕微鏡(SEM)で電子線を走査しながら電子線後方散乱回折(EBSD)法にてEBSDパターンをステップサイズ0.5μmで測定した。そのデータについて、TSLソリューションズ製のOIM Analysis ver 7.31ソフトウェアを用いて、α相の平均結晶粒径を算出した。方位差15°以上の境界を結晶粒界と認識し、この結晶粒界で囲まれた領域を結晶粒とする。なお、この視野では結晶粒は約1000個以上存在する。平均結晶粒径は、円相当径の平均値を算術平均で評価した。また、変動係数はα相の結晶粒径(円相当径)の標準偏差を平均結晶粒径で除して求めた。測定視野及びステップサイズ以外のEBSDパターンの測定条件は、X1~X4等を測定するための条件と同一である。
α相の結晶粒径が比較的粗粒の場合、再結晶完了後の粒成長過程で、Split-TDを有する結晶粒が優先的に成長し、T-textureを有する結晶粒の集積度は減少する傾向がある。しかしながら、α相の結晶粒径が粗大な場合、上述のように成形加工時にシワが生じてしまう。一方、従来の製造方法では、α相の結晶粒径が細粒となると、T-textureが増大する問題を有していた。それに対して本実施形態に係るチタン板は、α相の結晶粒径が比較的細粒であっても、T-textureがほとんど存在しない。そのため本発明者らは、α相が細粒でありシワが生じにくいという特性と、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性に優れた特性との両方を兼備する、従来技術にないチタン板をはじめて実現することができた。α相の平均結晶粒径が70.0μm以下の場合、従来であればT-textureが存在していたのに対し、本実施形態に係るチタン板はT-textureがほとんど存在せず、その効果を十分に発揮することができる。
《チタン板の製造方法》
本実施形態に係るチタン板は、T-textureがほとんどない集合組織を特徴とし、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性に優れる。その製造方法は特に限定されないのであるが、例えば前記集合組織は、以下にポイントを示す製造方法により、熱間圧延を制御して特定の転位を残留させ、T-texture形成を抑制した上で、冷延率を大きくすることにより優先方位であるSplit-TDの集積度を増加するとともに、T-textureの集積度を減少させることで達成される。
以上のように、純チタンの熱延終了温度およびその後の冷却速度を制御し、かつ大きな圧下率での冷間圧延を行うことで、最終焼鈍後に細粒であっても、異方性の主因と考えられるT-textureがほとんど存在しない集合組織が発達し、成形時にシワが生じずTDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性に優れたチタン薄板を製造できる。
以下、本実施形態に係るチタン板の製造方法の一例について説明する。工程の流れとしては、溶解工程、分塊工程、熱間圧延工程、冷間圧延工程、最終焼鈍工程を順に行うものである。
「溶解工程」
所定の純度に製造したチタン原料を、従来公知の方法で溶解し、所定の鋳塊とする。具体的には、真空アーク溶解法(VAR法)や、電子ビーム溶解法(EB法)が適用できる。
「分塊工程」
従来公知の分塊圧延や鍛造でスラブ形状に加工する。上記の分塊工程を経て得られたチタンスラブは、必要に応じて、公知の方法による切削や洗浄処理等が施されてもよい。なお、本工程は必要に応じて省略してもよい。
「熱間圧延(加熱および圧延工程)」
本実施形態に係るチタン板では、熱延時の圧下率、熱延時の終了温度、熱延後の巻取温度、および終了温度から300℃までの平均冷却速度の制御が重要である。
熱延前の加熱については従来公知の方法でよく、例えばスラブを700~1000℃に加熱すればよい。ただし、熱延終了温度を正確に調整する観点から加熱温度はβ変態点温度以下が好ましい。なお、「β変態点温度」は、純チタンやチタン合金をβ相単相域から冷却した際にα相が生成し始める境界温度を意味する。β変態点温度は、状態図から取得することができる。状態図は、例えばCALPHAD(Computer Coupling of Phase Diagrams and Thermochemistry)法により取得することができ、例えば、そのためにThermo-Calc Software AB社の統合型熱力学計算システムであるThermo-Calcおよび所定のデータベース(TI3)を用いることができる。
[熱間圧延]
「仕上げ圧延における1パスあたりの平均圧下率」10%以上
「仕上げ圧延におけるパス間時間」2.0秒以下
熱延の仕上げ圧延においては、1パス当たりの平均圧下率を10%以上とし、且つ、パス間の時間を2.0秒以下とすることが好ましい。これにより、回復による転位の消滅を抑制でき、チタン板に多量の転位を導入することができる。後述するように、転位は、熱延後のチタン板の冷却の際にT-texture形成を抑制する働きを有する。そのため、これらの条件で仕上げ圧延を行うことでよりT-textureが少ない集合組織が発達できる。
「熱延終了温度」600℃以上750℃以下
チタンでは塑性変形機構として5種類ものすべり系が存在し、温度によって活動する種類が異なる。600℃以上で活動するすべり系の活動により生じた転位が残留している場合、冷延後の最終焼鈍時にT-textureの形成を抑制することができることが分かった。この転位が残留するように熱延終了温度を制御する。
熱延終了温度が600℃未満の場合、T-texture形成を抑制する転位の密度が小さく、最終焼鈍時にT-textureが多く形成し、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性が悪くなる。そのため、熱延終了温度の下限は600℃であり、好ましくは625℃、より好ましくは650℃である。一方、熱延終了温度が750℃を超えると、加工中に回復や再結晶が生じ、上記転位が消滅し、最終焼鈍時にT-textureが多く形成し、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性が悪くなる。そのため、上限温度は750℃であり、好ましくは730℃、より好ましくは720℃である。なお、熱延終了温度は放射温度計で測定される。以下に説明される巻取温度等も、放射温度計で測定される値である。
「巻取温度」450℃以下
「熱延終了温度から300℃になるまでの平均冷却速度」5.0℃/s以上
熱延後の冷却速度を速くすることで、冷却中の回復や再結晶を抑制し、上記転位を残留させて、最終焼鈍時にT-textureの形成を抑制する。
熱延後のチタン板を巻き取ると、チタン板の冷却速度が低下する。上記巻取温度が450℃を上回ると、巻き取られたチタン板において回復や再結晶が生じ、上記転位が消滅してしまい、最終焼鈍時にT-textureが多く形成し、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性が悪くなる。そのため、巻取温度は450℃以下である。
また、上記冷却速度が5℃/sを下回ると、冷却中に回復や再結晶が生じ、上記転位が消滅してしまい、最終焼鈍時にT-textureが多く形成し、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性が悪くなる。そのため、冷却速度の下限は5.0℃/sであり、好ましくは10.0℃/s、より好ましくは20.0℃/sである。上限については特に制限はないが、設備能力などから100℃/sとしてもよい。
「熱延板焼鈍および冷延中間焼鈍」行ってはいけない
熱延板焼鈍および冷延中間焼鈍を実施すると、上記転位が消滅してしまい、最終焼鈍時にT-textureが多く形成し、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性が悪くなる。そのため、熱延以降、最終焼鈍まで熱延板焼鈍および冷延中間焼鈍を行ってはいけない。なお、熱延板焼鈍とは巻き取りの後かつ冷間圧延の開始前のチタン板に行われる焼鈍のことであり、冷延中間焼鈍とは、冷間圧延を複数パスで行う場合に、パス間でチタン板に行われる焼鈍のことである。
得られた熱延板は公知の方法による酸洗や切削による酸化物スケール等の除去、または洗浄処理等が施されてもよい。
[冷間圧延]
「総冷延率」78%以上
冷間圧延の総冷延率が78%を下回ると、Split-TDへの集積度が小さくなり、T-textureへの集積が大きくなる。そのため、総冷延率は78%以上とする。より好ましくは総冷延率は81%以上である。総冷延率の上限については、耳割れなどの観点から95%が好ましい。上述の条件の熱延及び冷延を経たチタン板の板厚は、例えば0.3mm~1.0mmの範囲内となる。
「最終焼鈍」焼鈍温度が500℃以上、750℃以下であり、式(1)を満たす温度・時間の組み合わせ
18500≦P=(T+273.15)×(Log(t)+20) 式(1)
上記式(1)のPはラーソンミラーパラメータと呼ばれる関数であり、Tは焼鈍温度(℃)、tは焼鈍時間(s)である。
焼鈍温度が500℃未満の場合、再結晶が完了せず、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性が悪くなる可能性がある。そのため、焼鈍温度の下限は500℃であり、好ましくは550℃である。一方、焼鈍温度が750℃より高い場合、少しの時間変化で結晶粒径が大きく変化し、結晶粒径が粗大になりすぎ、成形時にシワが発生する可能性がある。そのため、焼鈍温度の上限は750℃であり、より好ましくは700℃である。また、ラーソンミラーパラメータPが18500未満の場合、再結晶が完了せず、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性が悪くなる可能性がある。そのため、Pの下限は18500であり、好ましくは19000である。
一方、ラーソンミラーパラメータPの値が小さくなるほど、チタン板の平均結晶粒径を小さくすることができる。ラーソンミラーパラメータPが23000以下であれば、平均結晶粒径が70.0μ以下となり、成形時におけるシワの発生を抑制できる。ラーソンミラーパラメータPが21500以下であれば、平均結晶粒径が25.0μm以下となり、成形時におけるシワの発生を確実に防止することが可能である。そのため、Pの上限を21500とすると好ましい。
(α相の結晶粒径の変動係数を0.75以下とする製造方法)
冷延率が小さい場合、冷延板中の各結晶粒におけるひずみの蓄積具合が不均一になり、焼鈍後の結晶粒径の分布が不均一になる可能性がある。そのため、冷延率は高い方がよく、好ましくは80%以上である。
まず、真空アーク溶解(VAR:Vacuum Arc Remelting)にて表2に示すチタン薄板の素材となるチタンインゴットを製造した。その後、分塊圧延または鍛造により、厚さ150mm×幅800mm×長さ5000mmのスラブを製造した。なお、表2中、「Bal.」は残部を表す。また、表2において、不純物元素の含有量の記載は省略した。
スラブの化学成分の測定方法は以下の通りとした。Feの含有量は、シーケンシャルICP発光分析装置を用い、IPC発光分光分析により測定した。OとNの含有量は、酸素・窒素同時分析装置を用い、熱伝導度・赤外線吸収法により測定した。Cの含有量は炭素・硫黄分析装置を用い、赤外線吸収法により測定した。Hは水素分析装置を用い、熱伝導度法により測定した。製造された熱延板それぞれの化学成分は、表2に示したチタンスラブの化学成分と等しいものであった。また、表2に示したチタン素材A~Kについて、Thermo-Calc Software AB社の統合型熱力学計算システムであるThermo-Calcおよび所定のデータベース(TI3)を用いてCALPHAD法により、チタン合金の状態図を取得し、β変態点Tβを算出した。
次に、その後、これらのスラブに対して表3又は表5に示す条件で熱間圧延を行った。熱間圧延後のチタン板(熱延板)に、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、ショットブラストおよび酸洗を施した。なお、全ての発明例及び比較例の製造にあたり、熱延の仕上げ圧延においては、1パス当たりの平均圧下率を10%以上とし、且つ、パス間の時間を2.0秒以下とした。なお、表3及び表5に記載された用語「熱延圧下率」とは、熱間圧延における総圧下率である。また、表3及び表5に記載された「熱延板厚」とは、熱間圧延の完了後の熱延板の板厚である。
続いて、得られた熱延板に表4又は表6に示す条件で冷間圧延および焼鈍を行い、厚さ0.8mmの冷延板を製造した。なお、表中、「Tβ」は、β変態点であり、「ラーソンミラーパラメータ」は、P=(T+273.15)×(Log10(t)+20)の値である。Tは焼鈍温度(℃)、tは焼鈍時間(s)である。
チタン板における結晶方位である結晶の面積率X1+X2-X1&2とX3+X4-X3&4の評価方法は、以下のとおりとした。まず、面積率X1+X2-X1&2とX3+X4-X3&4を測定するために、チタン板の板幅方向に垂直な面(以下「L断面」ともいう。)を研磨して測定面とした。この測定面において、板厚方向全域を含み、且つ板表面に沿って15mm幅の観察視野を設定した。この観察視野において、走査電子顕微鏡(SEM)で電子線を走査しながら、電子線後方散乱回折(EBSD)法にて、ステップサイズ10μmでEBSDパターンを測定した。そのデータについて、TSLソリューションズ製のOIM Analysis ver 7.31ソフトウェアを用いて、それぞれの面積率を算出した。このとき、解析にはCI値(Confidence of Index値)が0.1以上の解析データのみを用いた。また、圧延変形の対称性を考慮し、板厚方向、圧延方向、板幅方向それぞれに対して線対称となる結晶方位については同一方位とみなして、計算を行った。EBSDパターンの測定条件は以下の通りとした。
・加熱電圧:15kV
・電流量:約35nA
・倍率:200倍
また、α相の平均結晶粒径および変動係数の評価方法は、以下のとおりとした。まず、α相の結晶粒径を測定するために、チタン板の板幅方向に垂直な面(L断面)を研磨して測定面とした。この測定面において、板厚方向全域を含み、且つ板表面に沿って1000μm幅の観察視野を設定した。この観察視野において、走査電子顕微鏡(SEM)で電子線を走査しながら、電子線後方散乱回折(EBSD)法にて、ステップサイズ0.5μmでEBSDパターンを測定した。そのデータについて、TSLソリューションズ製のOIM Analysis ver 7.31ソフトウェアを用いて、方位差15°以上の境界を結晶粒界と認識し、この結晶粒界で囲まれた領域を結晶粒とし、α相の結晶粒径を円相当径として算出した。平均結晶粒径は、円相当径の算術平均値とした。また、変動係数は、α相の結晶粒径(円相当径)の標準偏差を平均結晶粒径で除して求めた。
チタン板の成形性の評価は、板幅方向の平面ひずみ張出高さによって評価した。孔径φ44mm、肩部R6mm、φ70mmビード付のダイスと、φ40mmの球頭ポンチとを用いて、しわ押さえ力7ton、ポンチ上昇速度20mm/minで、成形性評価を実施した。冷延板から、圧延方向に平行な辺の長さが60mmであり、且つ板幅方向に平行な辺の長さが90mmのブランクを切り出した。潤滑のために、ポリシート(ニチアス(株) ナフロンテープ9001(0.05t))及び高粘性油(日本工作油(株) 工作油#660)を用いた。試験で得られた荷重-変位曲線から読み取れる、最大荷重を示したときの変位を、張出高さとみなした。張出高さが24.0mm以上であるチタン板を、成形性が良好なチタン板、即ち従来よりもTDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性に優れたチタン板と評価した。
チタン板の成形時のシワの評価は、引張試験後の粗さに基づいて評価した。チタン板から、圧延方向が引張方向となるようにJIS13B引張試験片を採取した。この試験片に対して、ひずみ速度30%/minで、公称ひずみ20%まで引張試験をした。引張試験後の試験片の平行部表面に対して、レーザー顕微鏡を用いて粗さ測定を行った。株式会社キーエンス製のレーザー顕微鏡を用いて、倍率500倍で、213μm×284μmの視野を、測定モード:表面形状、測定エリア:面、測定品質:高精細、Z測定ピッチ0.01μmで3視野測定した。そのデータをVK Analyzerソフトウェアver.2.5.0.1を用いて、試料の面傾き補正(自動)後、JISB0601:2001に準拠し、カットオフ値:λc=0.8mm、λs=2.5μmで、板幅方向を12等分するように圧延方向と平行に11本の線を引く条件で各視野における圧延方向の算術平均粗さRaの平均値を算出し、3視野の平均値で評価した。平均Raが0.25μm以下で極めて良好、0.65μm以下で良好とした。ただし、しわが0.65μm超であっても、張出高さ評価結果が良好な例は、従来よりもTDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性に優れたチタン板であるとみなした。なお、表面粗さは試験片の平行部であれば同じ結果が得られる。本試験は平行部の中央部で測定を行った。
表3及び表4の例1~36が本発明例である。また、表5及び表6の例1~25が、本発明の要件のうち1以上を満たさない比較例である。なお、表2~表6において、本発明範囲から外れる数値、または製造方法の好適範囲から外れる数値・項目に下線を付している。
発明例1~36では、化学成分及びX1+X2-X1&2が発明範囲内であった。これら発明例は、従来よりもTDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性に優れたチタン板であると評価された。
表5及び表6の比較例1~18、24、及び25は、X1+X2-X1&2が発明範囲外であった。これは、比較例1~18、24、及び25の製造方法が本発明の好適範囲を外れていたからであると推定される。比較例1~18、及び25は、TDを主ひずみとする平面ひずみ張出成形性が発明と比較して劣位であった。なお比較例24に関しては、冷間圧延がされておらず板厚が極めて大きかったので、張り出し高さの評価は実施しなかった。しかし、比較例24のX1+X2-X1&2が発明範囲外であったので、他の比較例と同様に、比較例24は平面ひずみ成形性が劣位であったと推定される。
具体的には、比較例1、比較例9、比較例14の製造においては、熱延終了温度が過剰であった。
比較例2、比較例10、比較例15の製造においては、熱延終了温度が不足していた。
比較例3、比較例11、比較例16の製造においては、熱延終了温度から300℃になるまでの平均冷却速度が不足していた。
比較例4、比較例12、比較例14、比較例18の製造においては、熱延板焼鈍がなされた。
比較例5、比較例13、比較例17の製造においては、最終冷延率が不足した。
比較例6の製造においては、中間焼鈍がなされた。
比較例7の製造においては、最終焼鈍における焼鈍温度が不足していた。
比較例8の製造においては、ラーソンミラーパラメータPが不足していた。
比較例24の製造においては、冷間圧延が省略された。
比較例25の製造においては、巻取温度が過剰であった。
表5及び表6の比較例19~23は、化学成分が発明範囲外であった。比較例19~23もまた、しわ評価結果、及び張り出し高さの一方又は両方が不合格であった。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    O:0.02%~0.15%、
    Fe:0.02%~0.20%、
    N:0~0.0800%、
    C:0~0.1000%、及び
    H:0~0.0130%、
    を含み、残部がTiおよび不純物からなる化学組成を有するチタン板であって、
    α相の平均結晶粒径が、2.0μm以上、70.0μm以下、
    前記α相の結晶方位をオイラー角g=(φ,Φ,φ)で示し、(0°,90°,0°)に対する方位差の絶対値が30°以内の結晶方位である前記α相の面積率をX1と定義し、(0°,90°,30°)に対する方位差の絶対値が30°以内の結晶方位である前記α相の面積率をX2と定義し、(0°,90°,0°)及び(0°,90°,30°)の両方に対する方位差の絶対値が共に30°以内の結晶方位である前記α相の面積率をX1&2と定義した時、
    X1+X2-X1&2が0.075以下であるチタン板。
  2. (0°,35°,0°)に対する方位差の絶対値が15°以内の結晶方位である前記α相の面積率をX3と定義し、
    (0°,35°,30°)に対する方位差の絶対値が15°以内の結晶方位である前記α相の面積率をX4とし、
    (0°,35°,0°)及び(0°,35°,30°)の両方に対する方位差の絶対値が15°以内の結晶方位である前記α相の面積率をX3&4と定義したとき、
    (X3+X4-X3&4)/(X1+X2-X1&2)が5.0以上である請求項1に記載のチタン板。
  3. 前記α相の平均結晶粒径が、20.0μm以下である請求項1又は請求項2に記載のチタン板。
  4. 前記α相の結晶粒径の標準偏差を前記α相の平均結晶粒径で除した値である、前記α相の結晶粒径の変動係数が0.75以下である請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のチタン板。
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