この発明に係る眼科装置の実施形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態において、この明細書において引用されている文献に記載された技術を任意に援用することが可能である。
実施形態に係る眼科装置は、被検眼の眼底(後眼部)又は前眼部を照明光で照明し、互いに波長範囲が異なり散乱光及び回折光の少なくとも一方を含む被検眼からの照明光の戻り光を順次に受光する。眼科装置は、戻り光の受光結果に基づいて、被検眼の2次元の分光分布の照明光に対する反射光の角度依存性(すなわち、被検眼に対する照明光の入射角度依存性)を表す情報を取得する。順次に受光される戻り光のうち波長範囲が隣接する第1戻り光及び第2戻り光について、第1戻り光の波長範囲の一部は、第2戻り光の波長範囲に重複してよい。2次元の分光分布の例として、分光眼底画像、分光前眼部画像などの分光画像がある。分光画像として、ハイパースペクトル画像、マルチスペクトル画像、RGBのカラー画像などがある。分光分布の照明光に対する反射光の角度依存性を表す情報の例として、正反射方向に対する反射光の2以上の角度のそれぞれに対応して分光分布を表す情報などがある。
これにより、被検眼の眼底又は前眼部における照明光に対する反射光の角度(照明光の入射角度)に依存してコントラストが強調される部位(反射光の角度又は照明光の入射角度に依存した材質)を新たな情報として分光画像から抽出して観察することが可能になる。このような反射光の角度に依存してコントラストが強調される部位の例として、網膜色素上皮(Retinal Pigment Epithelium:RPE)、脈絡膜、網膜神経節細胞(Retinal Ganglion Cell)などがある。
また、実施形態に係る眼科装置は、被検眼の眼底(後眼部)又は前眼部を照明光で照明し、互いに波長範囲(中心波長)が異なる被検眼からの照明光の戻り光を順次に受光する。眼科装置は、所定の偏光成分を有する戻り光を順次に受光した結果に基づいて、被検眼の2次元の分光分布の偏光角度依存性を表す情報を取得する。順次に受光される戻り光のうち波長範囲が隣接する第1戻り光及び第2戻り光について、第1戻り光の波長範囲の一部は、第2戻り光の波長範囲に重複してよい。2次元の分光分布の例として、分光眼底画像、分光前眼部画像などの分光画像がある。分光画像として、ハイパースペクトル画像、マルチスペクトル画像、RGBのカラー画像などがある。分光分布の偏光角度依存性を表す情報の例として、2以上の偏光角度のそれぞれに対応して分光分布を表す情報などがある。偏光成分として、直線偏光の偏光方向(偏光軸)、円偏光(又は楕円偏光)の回転方向などがある。
これにより、偏光方向に依存してコントラストが強調される部位(偏光方向に依存した材質)を新たな情報として分光画像から抽出して観察することが可能になる。このような偏光方向に依存してコントラストが強調される部位の例として、メラニン色素、篩状板、神経線維層、錐体細胞(L錐体、M錐体、S錐体)などがある。
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、互いに波長範囲が異なる2以上の波長成分を有する照明光で被検眼を順次に照明し、被検眼からの戻り光から所定の波長範囲の波長成分を有する戻り光を順次に選択するように構成される。
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、互いに波長範囲が異なる2以上の波長成分を有する照明光から所定の波長範囲の波長成分を有する照明光を順次に選択し、選択された照明光で被検眼を順次に照明し、被検眼からの戻り光を順次に受光するように構成される。
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、波長範囲を任意に変更可能な光源を用いて互いに波長範囲が異なる2以上の波長成分を有する照明光を順次に出射させ、出射された照明光で被検眼を順次に照明し、被検眼からの戻り光を順次に受光するように構成される。
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、互いに波長範囲が異なる2以上の波長成分を有する照明光(例えば、白色光)で被検眼を照明し、被検眼からの戻り光を分光器で分光して受光するように構成される。
いくつかの実施形態に係る眼科装置は、受光感度が高い(低い)波長範囲を変更可能な受光デバイスを含む。この場合、眼科装置は、互いに波長範囲が異なる2以上の波長成分を有する照明光で被検眼を順次に照明し、受光デバイスの受光感度が高い波長範囲を順次に変更して被検眼からの戻り光を順次に選択するように構成される。
実施形態に係る眼科装置の制御方法は、上記の眼科装置を制御する1以上のステップを含む。実施形態に係るプログラムは、実施形態に係る眼科装置の制御方法の各ステップをコンピュータ(プロセッサ)に実行させる。実施形態に係る記録媒体は、実施形態に係るプログラムが記録された非一時的な記録媒体(記憶媒体)である。
本明細書において、プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を含む。プロセッサは、例えば、記憶回路又は記憶装置に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現する。記憶回路又は記憶装置がプロセッサに含まれていてよい。また、記憶回路又は記憶装置がプロセッサの外部に設けられていてよい。
以下、眼科装置が、被検眼の眼底の分光画像(分光眼底画像)を取得することが可能な眼底撮影装置である場合について説明するが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。実施形態に係る眼科装置は、眼底以外の被検眼の前眼部の分光画像(分光前眼部画像)を取得することが可能な前眼部撮影装置にも適用可能である。
以下、被検眼の眼底と光学的に略共役な位置を眼底共役位置と表記し、被検眼の瞳孔(虹彩)と光学的に略共役な位置を瞳孔共役位置(虹彩共役位置)と表記する。また、以下、特に明記しない限り、被検者から見て左右方向をX方向とし、上下方向をY方向とし、前後方向(奥行き方向)をZ方向とする。X方向、Y方向及びZ方向は、3次元直交座標系を定義する。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る眼科装置は、互いに異なる複数の波長範囲(例えば、10種類の波長範囲)のそれぞれにおいて、被検眼の眼底に対して暗視野撮影を行い、複数の分光眼底画像(眼底のハイパースペクトル画像、又は眼底のマルチスペクトル画像)を取得する。
[構成]
図1に、第1実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。
第1実施形態に係る眼科装置1は、照明光学系10と、受光光学系20と、アライメント光学系40と、固視光学系(光刺激系)50と、ファインダー光学系60とを含む。
照明光学系10は、被検眼Eの眼底Efを照明する。受光光学系20は、照明光学系10により照明されている眼底Efからの反射光を受光して撮像部(イメージセンサ)の受光面に眼底画像を形成する。アライメント光学系40は、被検眼Eと眼科装置1の光学系との位置合わせを行うためのアライメント光を被検眼Eに投射し、被検眼Eからのアライメント光の反射光を受光する。固視光学系50は、被検眼Eに固視標を提示するための固視光を投射する。ファインダー光学系60は、図示しない接眼レンズに、照明光学系10により照明されている眼底Efからの反射光を導く。
(照明光学系10)
照明光学系10は、光源11と、コンデンサレンズ12と、分光特性補正フィルタ13と、開口絞り14と、反射ミラー15と、リレーレンズ16と、ビームスプリッタ17とを含む。
光源11は、画像取得が行われる広範な解析波長範囲の光束を出射することが可能な照明光源である。光源11が出射可能な光束の波長範囲は、例えば、可視領域(例えば、400nm~730nm)と近赤外領域(例えば、730nm~2500nm)とを含む。このような光源11は、例えば、ハロゲンランプであってよい。光源11は、コンデンサレンズ12の前側焦点位置又はその近傍に配置されている。
分光特性補正フィルタ13は、分光眼底画像を取得する解析波長範囲にわたって受光光学系20における反射光の受光面での受光光度を均一化する。具体的には、分光特性補正フィルタ13は、光源11から出射された照明光に対して受光強度の波長依存性をキャンセルするように分光特性を補正する。いくつかの実施形態では、分光特性補正フィルタ13は、730nm以上の波長領域の波長成分を有する光を透過させる。分光特性補正フィルタ13の構成は、例えば、特開2006-158546号公報に開示された分光特性補正フィルタの構成と同様である。
開口絞り14は、瞳孔共役位置Qに配置される。開口絞り14には、1以上の開口が形成されている。いくつかの実施形態では、1以上の開口は、開口絞り14の光軸(照明光学系10の光軸)に対して偏心した位置に形成される。いくつかの実施形態では、1以上の開口の少なくとも1つには、照明光を透過する透過部材(透過部)が設けられている。
いくつかの実施形態では、開口絞り14は、光軸に対する1以上の開口の相対位置を変更可能に構成される。例えば、開口絞り14は、光軸に直交する方向(広義には、光軸に交差する方向)に移動可能である。この場合、開口絞り14は、移動機構により光軸に直交する方向に移動される。
いくつかの実施形態では、開口絞り14は、1以上の開口の少なくとも1つの形状、サイズ、位置が変更可能に構成される。例えば、開口絞り14は、形状、サイズ、及び位置の少なくとも1つが互いに異なる2以上の開口絞りを含み、2以上の開口絞りを選択的に照明光の光路に配置可能に構成されてよい。
ビームスプリッタ17は、照明光学系10を経由した照明光の光路と、被検眼Eの眼底Efからの照明光の反射光の光路とを結合する光路結合部材である。ビームスプリッタ17により結合された光路には、対物レンズ18が配置される。ビームスプリッタ17は、例えば、ハーフミラーである。ビームスプリッタ17は、開口絞り14と光学的に略共役になるように配置されている。
照明光学系10では、光源11から出射された照明光は、コンデンサレンズ12により略平行光に変換され、分光特性補正フィルタ13により分光特性が補正され、開口絞り14に形成された開口を通過する。開口を通過した照明光は、反射ミラー15により反射され、リレーレンズ16を通過し、ビームスプリッタ17により反射され、対物レンズ18を通して被検眼Eの眼底Efを照明する。
(受光光学系20)
受光光学系20は、暗視野撮影絞り21と、合焦レンズ22と、レンズ23と、反射ミラー24と、切り換えミラー25と、リレーレンズ26と、ダイクロイックミラー27と、波長可変フィルタ28と、結像レンズ29と、イメージセンサ30とを含む。
暗視野撮影絞り21は、瞳孔共役位置Qに配置される。暗視野絞り21には、1以上の開口が形成されている。
いくつかの実施形態では、暗視野撮影絞り21には、暗視野撮影絞り21と光学的に略共役な位置に配置された開口絞り14に形成されている開口の位置に対応した位置に、1以上の開口が形成されている。例えば、光学倍率を等倍率に換算して互いに光軸を一致させて重ねたときに、暗視野撮影絞り21の開口が開口絞り14の遮蔽部により遮蔽され、且つ、開口絞り14の開口が暗視野撮影絞り21の遮蔽部により遮蔽されるように、暗視野撮影絞り21には、1以上の開口が形成される。これにより、開口絞り14の開口を通過した照明光の戻り光(散乱光、回折光)が暗視野撮影絞り14の開口を通過するように光学系を構成することができる。
図2A、図2B、図2Cに、実施形態に係る開口絞り14及び暗視野撮影絞り21の構成例を示す。図2Aは、光軸方向から見たときの開口絞り14の構成例を表す。図2Bは、光軸方向から見たときの暗視野撮影絞り21の構成例を表す。図2Cは、光軸方向から見たときの暗視野撮影絞り21の他の構成例を表す。
この実施形態では、開口絞り14には、光軸に対して偏心した位置に開口が形成され、暗視野撮影絞り21には、光軸の位置に開口が形成される。すなわち、図2A示すように、開口絞り14は、光軸O1を含む中心領域の周辺にリング状の開口14aが形成されているリング絞りである。また、図2Bに示すように、暗視野撮影絞り14は、光軸O2を含む中心領域に開口21aが形成されている中心絞りである。
いくつかの実施形態では、図2Cに示すように、暗視野撮影絞り21には、光軸O3から偏心した位置に長方形状の開口21bが形成されている。図2Cでは、長辺の方向が光軸O3を通る半径方向に直交する(交差する)方向となり、短辺の方向が光軸O3を通る半径方向となるように開口21bが形成されている。この場合、暗視野撮影絞り21は、光軸O3を中心に回動可能に構成される。すなわち、開口21bの長辺の方向が光軸O3を中心に回転する。これにより、観察部位における組織の走行状態、又はコントラストが強くなる方向に開口21bの長辺方向を合わせることができ、観察部位の状態に応じた最適なコントラストで暗視野撮影を行うことができる。
いくつかの実施形態では、暗視野撮影絞り21に形成された1以上の開口の少なくとも1つには、照明光の反射光を透過する透過部材(透過部)が設けられている。
いくつかの実施形態では、暗視野撮影絞り21は、光軸に対する1以上の開口の相対位置を変更可能に構成される。例えば、暗視野撮影絞り21は、光軸に直交する方向(広義には、光軸に交差する方向)に移動可能である。この場合、暗視野撮影絞り21は、移動機構により光軸に直交する方向に移動する。
いくつかの実施形態では、暗視野撮影絞り21は、1以上の開口の少なくとも1つの形状、サイズ、位置が変更可能に構成される。例えば、暗視野撮影絞り21は、形状、サイズ、及び位置の少なくとも1つが互いに異なる2以上の暗視野撮影絞りを含み、2以上の暗視野撮影絞りを選択的に照明光の反射光の光路に配置可能に構成されてよい。
以上のように、照明光の光軸(照明光軸)に対して偏心した位置に形成された開口絞り14の開口を通過した照明光で眼底Efを照明することで、眼底Efに入射する照明光の光軸に対して入射角度を設けて眼底Efを照明することができる。また、暗視野撮影絞り21に形成された開口を通過した反射光を受光するようにしたので、被検眼からの散乱光及び回折光の少なくとも一方を受光することが可能になる。
合焦レンズ22は、光軸方向に移動可能である。合焦レンズ22は、移動機構により光軸方向に移動する。これにより、眼底Efからの照明光の戻り光の焦点位置が光軸方向に変更される。合焦レンズ22は、アルバレツレンズ、又は可変焦点レンズであってよい。
切り換えミラー25は、暗視野撮影絞り21の開口を通過した眼底Efからの戻り光の光路を切り換える。切り換えミラー25は、手動又は図示しない駆動機構により戻り光の光路に対して挿脱可能に構成される。切り換えミラー25が戻り光の光路に挿入されたとき、反射ミラー24により反射された戻り光をファインダー光学系60に導く。切り換えミラー25が戻り光の光路から退避されたとき、反射ミラー24により反射された戻り光をリレーレンズ26に導く。ファインダー光学系60により肉眼で観察部位を観察するとき又は肉眼でアライメント状態を確認するとき、切り換えミラー25が戻り光の光路に挿入される。分光画像を取得するとき、切り換えミラー25が戻り光の光路から退避される。
ダイクロイックミラー27は、暗視野撮影絞り21の開口を通過した眼底Efからの戻り光の光路と、アライメント光学系40及び固視光学系50の光路とを結合する光路結合部材である。ダイクロイックミラー27は、近赤外領域の波長成分(例えば、730nm~920nm)を有する光を透過させ、可視領域の波長成分を有する光を反射する。いくつかの実施形態では、ダイクロイックミラー27に代えてビームスプリッタ(ハーフミラー)が配置される。
波長可変フィルタ28は、所定の解析波長領域において透過光の波長範囲を選択可能なフィルタである。波長可変フィルタ28を透過する光の波長範囲は、任意に選択可能である。
いくつかの実施形態では、波長可変フィルタ28は、例えば、特開2006-158546号公報に開示された液晶波長可変フィルタと同様である。この場合、波長可変フィルタ28は、液晶への印可電圧を変化させることにより透過光の波長選択範囲を任意に選択することができる。
いくつかの実施形態では、波長可変フィルタ28は、互いに透過光の波長選択範囲が異なる2以上の波長選択フィルタを含み、2以上の波長選択フィルタを選択的に照明光の戻り光の光路に配置可能に構成されてよい。
いくつかの実施形態では、波長可変フィルタ28は、所定の解析波長領域において反射光の波長範囲を選択可能なフィルタである。
イメージセンサ30は、受光面において撮像素子(受光素子)が1次元又は2次元に配列されたエリアイメージセンサである。イメージセンサは、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ又はCMOS(Complementary Metal Oxcide Semiconductor)イメージセンサであってよい。イメージセンサ30の受光面は、眼底共役位置Pに配置される。イメージセンサ30の撮像素子により得られた照明光の戻り光の受光結果を読み出すことにより、被検眼Eの画像を取得することができる。
受光光学系20では、眼底Efからの照明光の反射光は、対物レンズ18、及びビームスプリッタ17を透過し、暗視野撮影絞り21に形成された開口を通過し、合焦レンズ22及びレンズ23を透過し、反射ミラー24により反射される。切り換えミラー25が光路に挿入されているとき、反射ミラー24により反射された反射光は、切り換えミラー25により反射され、ファインダー光学系60に導かれる。光路から切り換えミラー25が退避されているとき、反射ミラー24により反射された反射光は、リレーレンズ26を透過し、ダイクロイックミラー27により反射されて波長可変フィルタ28に導かれる。波長可変フィルタ28に導かれた反射光のうち、波長可変フィルタ28により選択された所定の波長範囲の波長成分を有する戻り光が波長可変フィルタ28を透過し、結像レンズ29によりイメージセンサ30の受光面に結像する。また、ダイクロイックミラー27を透過した反射光は、ダイクロイックミラー41に導かれる。
(アライメント光学系40)
アライメント光学系40は、ダイクロイックミラー41と、アライメント光源42と、結像レンズ43と、イメージセンサ44とを含む。
ダイクロイックミラー41は、アライメント光学系40の光路と固視光学系50の光路結合し、可視領域の波長成分を有する光を透過させ、近赤外領域の波長成分(アライメント光の波長成分)を有する光を反射する。
アライメント光源42は、例えば、ビームスプリッタ17と暗視野撮影絞り21との間において、光軸から外れた位置に配置される。アライメント光源42は、例えば、940nmの波長成分を有するアライメント光を出射するLEDであってよい。
イメージセンサ44は、イメージセンサ30と同様に、受光面において撮像素子(受光素子)が1次元又は2次元に配列されたエリアイメージセンサである。イメージセンサ44の受光面は、眼底共役位置Pに配置される。イメージセンサ44の撮像素子により得られたアライメント光の反射光の受光結果を読み出すことにより、アライメント光の反射光により形成される像を取得することができる。
アライメント光学系40では、アライメント光源42から出射されたアライメント光は、ビームスプリッタ17及び対物レンズ18を透過し、被検眼Eに投射される。被検眼Eからのアライメント光の反射光は、対物レンズ18、及びビームスプリッタ17を透過し、暗視野撮影絞り21に形成された開口を通過し、合焦レンズ22及びレンズ23を透過し、反射ミラー24により反射される。光路から切り換えミラー25が退避されているとき、反射ミラー24により反射されたアライメント光の反射光は、リレーレンズ26及びダイクロイックミラー27を透過し、ダイクロイックミラー41により反射される。ダイクロイックミラー41により反射された反射光は、結像レンズ43によりイメージセンサ44の受光面に結像する。
(固視光学系50)
固視光学系50は、固視標提示部51と、リレーレンズ52と、反射ミラー53とを含む。
固視標提示部51は、固視標を表すパターンを投影する。固視標提示部51は、眼底共役位置Pに配置される。このような固視標提示部51は、液晶パネル又は有機ELパネルを含む。例えば、液晶パネル又は有機ELパネルの画面上におけるパターンの表示位置を変更することにより、被検眼Eの固視位置を変更できる。被検眼Eの固視位置としては、眼底Efの黄斑部を中心とする画像を取得するための位置や、視神経乳頭を中心とする画像を取得するための位置や、黄斑部と視神経乳頭との間の眼底中心を中心とする画像を取得するための位置などがある。固視標を表すパターンの表示位置を任意に変更することが可能である。固視標提示部51又はリレーレンズ52は、光軸方向に移動可能であってよい。
いくつかの実施形態では、固視標提示部51は、光源と金物絞りとを含み、固視標の提示又は光刺激を行うように構成される。
固視光学系50では、固視標提示部51からの光は、リレーレンズ52を透過し、反射ミラー53により反射され、ダイクロイックミラー41及びダイクロイックミラー27を透過し、リレーレンズ26を透過する。リレーレンズ26を透過した光は、反射ミラー24により反射され、レンズ23及び合焦レンズ22を透過し、暗視野撮影絞り21に形成された開口を通過し、ビームスプリッタ17を透過し、対物レンズ18により被検眼Eの眼底Efに投射される。
(ファインダー光学系60)
ファインダー光学系60は、例えば、接眼レンズ(図示せず)と、結像レンズ(図示せず)とを含む。光路に切り換えミラー25が挿入されたとき、切り換えミラー25により反射された光は、結像レンズを透過し、接眼レンズに導かれる。
図3に、第1実施形態に係る眼科装置1の制御系の構成例のブロック図を示す。図3において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図3において、眼科装置1に含まれる構成要素の一部が省略されている。
制御部100は、眼科装置1の各部の制御を実行する。制御部100は、主制御部110と記憶部120とを含む。
(主制御部110)
主制御部110は、プロセッサを含み、眼科装置1の各部を制御する。例えば、主制御部110は、図1に示す光学系2の各部、光学系2の全体及び光学系2を構成する光学素子を移動する移動機構5、操作部150、表示部160、通信部170、及びデータ処理部200を制御する。
光学系2に対する制御には、照明光学系10に対する制御、受光光学系20に対する制御、アライメント光学系40に対する制御、固視光学系50に対する制御などがある。
照明光学系10に対する制御には、光源11に対する制御、開口絞り14に対する制御などが含まれる。光源11に対する制御には、光源のオン及びオフの制御、光源11から出射される照明光の光量の制御、照明光の中心波長の波長制御などがある。開口絞り14に対する制御には、照明光学系10の光軸に直交する方向の移動制御、光軸に対する開口の位置の移動制御、開口のサイズ又は形状の制御などがある。
受光光学系20に対する制御には、暗視野撮影絞り21に対する制御、合焦レンズ22に対する制御、波長可変フィルタ28に対する制御、イメージセンサ30に対する制御などが含まれる。暗視野撮影絞り21に対する制御には、受光光学系20の光軸に直交する方向の移動制御、光軸に対する開口の位置の移動制御、開口のサイズ又は形状の制御などがある。合焦レンズ22に対する制御には、合焦レンズ22の移動制御などがある。波長可変フィルタ28に対する制御には、透過光の波長範囲の選択制御(例えば、液晶に対する印可電圧の制御)などがある。イメージセンサ30に対する制御には、撮像素子に対する受光感度の制御、フレームレート(受光タイミング)の制御、受光領域(位置、大きさ、サイズ)の制御、撮像素子に対する受光結果の読み出し制御などがある。
アライメント光学系40に対する制御には、アライメント光源42に対する制御、イメージセンサ44に対する制御などがある。アライメント光源42に対する制御には、光源のオン及びオフの制御、光源から出射される照明光の光量の制御などがある。イメージセンサ44に対する制御には、撮像素子に対する受光感度の制御、フレームレート(受光タイミング)の制御、受光領域(位置、大きさ、サイズ)の制御、撮像素子に対する受光結果の読み出し制御などがある。
固視光学系50に対する制御には、固視標提示部51に対する制御などが含まれる。固視標提示部51に対する制御には、固視標を表すパターンの提示(発光)のオン及びオフの制御、パターンの表示位置の制御、光軸方向光の移動制御などがある。例えば、主制御部110は、手動又は自動で設定された固視位置に対応する液晶パネルの画面上の位置に固視標を表すパターンを表示したり、液晶パネルに表示されている固視標を表すパターンの表示位置を(連続的に又は段階的に)変更したりすることができる。固視標を表すパターンの表示位置や移動態様は、手動又は自動的に設定される。手動での設定は、例えば、操作部150を用いて行われる。自動的な設定は、例えば、データ処理部200により行われる。
移動機構5は、光学系2の全体、及び、光学系2を構成する光学素子(例えば、開口絞り14、暗視野撮影絞り21、合焦レンズ22)を移動する。
いくつかの実施形態では、移動機構5は、少なくとも光学系2を3次元的に移動する。典型的な例において、移動機構5は、少なくとも光学系2をX方向(左右方向)に移動するための機構と、Y方向(上下方向)に移動するための機構と、Z方向(奥行き方向、前後方向)に移動するための機構とを含む。X方向に移動するための機構は、例えば、X方向に移動可能なXステージと、Xステージを移動するX移動機構とを含む。Y方向に移動するための機構は、例えば、Y方向に移動可能なYステージと、Yステージを移動するY移動機構とを含む。Z方向に移動するための機構は、例えば、Z方向に移動可能なZステージと、Zステージを移動するZ移動機構とを含む。各移動機構は、パルスモータ等のアクチュエータを含み、主制御部110からの制御を受けて動作する。
移動機構5に対する制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。トラッキングとは、被検眼Eの眼球運動に合わせて光学系を移動させるものである。トラッキングを行う場合には、事前にアライメントとフォーカス調整が実行される。トラッキングは、光学系の位置を眼球運動に追従させることにより、アライメントとピントが合った好適な位置関係を維持する機能である。
マニュアルアライメントの場合、アライメント光の反射光に基づく像を眼底画像(分光眼底画像)に重ね合わせて表示部160に表示させ、ユーザは、表示部160に表示された画像を参照しながら操作部150に対して操作を行う。ユーザは、光学系2に対する被検眼Eの変位がキャンセルされるように操作部150に対して操作することにより光学系2と被検眼Eとを相対移動させる。例えば、主制御部110は、操作部150に対する操作内容に対応した制御信号を移動機構5に出力することにより移動機構5を制御して光学系2と被検眼Eとを相対移動させる。
オートアライメントの場合、光学系2に対する被検眼Eの変位がキャンセルされるように主制御部110が移動機構5を制御することにより光学系2と被検眼Eとを相対移動させる。いくつかの実施形態では、主制御部110は、光学系2の光軸が被検眼Eの軸に略一致し、かつ、被検眼Eに対する光学系の距離が所定の作動距離になるように制御信号を移動機構5に出力することにより移動機構5を制御して光学系2と被検眼Eとを相対移動させる。ここで、作動距離とは、対物レンズ18のワーキングディスタンスとも呼ばれる既定値であり、光学系2を用いた測定時(撮影時)における被検眼Eと光学系との間の距離に相当する。
また、移動機構5は、合焦レンズ22を光軸方向に移動する移動機構、開口絞り14を光軸に直交する方向に移動する移動機構、暗視野撮影絞り21を光軸に直交する方向に移動する移動機構、及び固視標提示部51を光軸方向移動する移動機構を含むことができる。各移動機構もまた、パルスモータ等のアクチュエータを含み、主制御部110からの制御を受けて動作する。
いくつかの実施形態では、光軸に対する開口絞り14の開口位置と光軸に対する暗視野絞り21の開口位置とを相対的に移動可能に構成される。この場合、開口絞り14及び暗視野撮影絞り21の一方を固定し、他方を光軸に直交する方向に移動するように構成することができる。この実施形態では、開口絞り14を固定し、暗視野撮影絞り21を光軸に直交する方向に移動可能に構成されるものとする。
図4に、実施形態に係る開口絞り14の開口位置と暗視野撮影絞り21の開口位置との説明図を示す。図4は、光学倍率を等倍率に換算したときの光軸方向から見た開口絞り14の開口位置と暗視野撮影絞り21の開口位置とを模式的に表したものである。
図4に示すように、主制御部110は、移動機構を制御して暗視野撮影絞り21を光軸に直交する方向に移動することにより、開口絞り14の開口14aの位置に対して、暗視野撮影絞り21の開口21aの位置を、光軸に直交する方向(X方向、Y方向)にシフトすることができる。すなわち、開口絞り14に形成された開口14aが、暗視野撮影絞り21に形成された開口21aに対して光軸の垂直方向に相対的に移動可能に構成される。それにより、被検眼E(眼底Ef)に対する照明光の入射角度を任意に設定して暗視野撮影を行うことが可能になる。
いくつかの実施形態では、観察対象部位に応じて、開口絞り14の開口14aの位置に対する暗視野撮影絞り21の開口21aの相対位置が決められている。例えば、操作部150を用いて観察対象部位が指定されたとき、主制御部110は、指定された観察対象部位に応じて移動機構を制御して、指定された観察対象部位に応じてあらかじめ決められた相対位置になるように暗視野撮影絞り21を光軸に直交する方向に移動することができる。
(記憶部120)
記憶部120は、各種のデータを記憶する。記憶部120の機能は、メモリ又は記憶装置等の記憶デバイスにより実現される。記憶部120に記憶されるデータとしては、例えば、制御パラメータ、眼底画像の分光画像データ、前眼部像の分光画像データ、被検眼情報などがある。制御パラメータとしては、ハイパースペクトル撮影制御データ、暗視野撮影制御データなどがある。ハイパースペクトル撮影制御データは、所定の解析波長範囲内で互いに異なる中心波長の戻り光に基づいて複数の眼底画像を取得するための制御データである。ハイパースペクトル撮影制御データの例として、複数の分光眼底画像が取得される解析波長範囲、各分光眼底画像が取得される波長範囲、中心波長、中心波長ステップ、中心波長に対応した波長可変フィルタ28の制御データなどがある。暗視野撮影制御データは、所定の入射角度範囲内で眼底Efに対して互いに異なる入射角度で暗視野照明を行うための制御データである。暗視野撮影制御データの例として入射角度範囲、撮影を実行する入射角度、次の撮影を実行するための入射角度ステップ、入射角度に対応した暗視野撮影絞り21(及び/又は、開口絞り14)の制御データなどがある。被検眼情報は、患者IDや氏名などの被検者に関する情報や、左眼/右眼の識別情報などの被検眼に関する情報を含む。
また、記憶部120には、眼科装置1を動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
(操作部150)
操作部150は、眼科装置1に対してユーザが指示を入力するために用いられる。操作部150は、コンピュータに用いられる公知の操作デバイスを含んでよい。例えば、操作部150は、マウスやタッチパッドやトラックボール等のポインティングデバイスを含んでよい。また、操作部150は、キーボードやペンタブレット、専用の操作パネルなどを含んでよい。
(表示部160)
表示部160は、液晶ディスプレイなどの表示部(表示デバイス)を備え、制御部100からの制御を受け、画像などの各種情報を表示する。表示部160と操作部150は、それぞれ個別のユニットとして構成される必要はない。例えばタッチパネルのように、表示機能と操作機能とが一体化されたデバイスを用いることも可能である。
(通信部170)
通信部170は、図示しない外部装置と通信するための機能を有する。通信部170は、外部装置との接続形態に応じた通信インターフェイスを備える。外部装置の例として、サーバ装置、OCT装置、走査型光検眼鏡、スリットランプ検眼鏡、眼科測定装置、眼科治療装置などがある。眼科測定装置の例として、眼屈折検査装置、眼圧計、スペキュラーマイクロスコープ、ウェーブフロントアナライザ、視野計、マイクロペリメータなどがある。眼科治療装置の例として、レーザー治療装置、手術装置、手術用顕微鏡などがある。また、外部装置は、記録媒体から情報を読み取る装置(リーダ)や、記録媒体に情報を書き込む装置(ライタ)などでもよい。更に、外部装置は、病院情報システム(HIS)サーバ、DICOM(Digital Imaging and COmmunication in Medicine)サーバ、医師端末、モバイル端末、個人端末、クラウドサーバなどでもよい。
(データ処理部200)
データ処理部200は、被検眼Eの分光眼底画像に対してデータ処理を行う。いくつかの実施形態では、データ処理部200の機能は、プロセッサにより実現される。なお、この明細書では、「画像データ」と、それに基づく「画像」とを同一視することがある。
データ処理部200は、解析部210を含む。
解析部210は、例えば、イメージセンサ30又はイメージセンサ44により得られた画像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。また、解析部210は、画像の輝度補正等の各種補正処理を実行する。
いくつかの実施形態では、解析部210は、イメージセンサ44により得られた画像を解析して、被検眼Eからのアライメント光の反射光に基づく像を特定し、特定された像の位置と所定のアライメント基準位置との変位を特定する。オートアライメントを行う場合、例えば、主制御部110は、特定された変位をキャンセルするように移動機構5を制御することで、被検眼Eと光学系2とのXY方向の位置合わせを行うことができる。
いくつかの実施形態では、解析部210は、イメージセンサ30により得られた画像を解析して、画像の画質の評価値を算出することができる。オートアライメントを行う場合、例えば、主制御部110は、算出された評価値に基づいて移動機構5を制御することで、被検眼Eと光学系2とのZ方向の位置合わせを行うことができる。例えば、評価値が所定の基準値に近付くように、イメージセンサ30を用いた画像取得と、取得された画像の評価値の算出と、移動機構5に対する制御と繰り返すことで、被検眼Eと光学系2とのZ方向の位置合わせを行うことができる。
マニュアルアライメント及びオートアライメントでは、分光眼底画像を評価する場合、イメージセンサ30により得られた所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像のうち、解析波長範囲の中間の波長範囲に対応する単一の分光眼底画像が用いられることが望ましい。単一の分光眼底画像は、解析波長範囲の最長波長と最短波長との中央値(平均値)を含む波長範囲に対応した分光眼底画像であってよい。これにより、当該単一の分光眼底画像を用いたアライメントで、画質が良好な複数の分光眼底画像を取得し易くなる。
いくつかの実施形態では、解析部210は、イメージセンサ30により得られた所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像のそれぞれを解析する。例えば、解析部210は、複数の分光眼底画像のそれぞれを解析して、眼底Efにおける変化部位を特定する。例えば、解析部210は、取得された複数の分光眼底画像のうち2以上の分光眼底画像を比較することで、当該変化部位を特定する。例えば、解析部210は、既知の解析対象部位に対応した波長範囲の分光眼底画像を解析することで、当該解析対象部位の変化の有無、変化の程度などを特定する。いくつかの実施形態では、主制御部110は、表示制御部として、解析処理が施された分光眼底画像に、当該特定された変化部位を識別するための画像を重ね合わせて表示部160に表示させる。このとき、主制御部110は、特定された変化の程度に対応した情報も表示部160に表示させることが可能である。
いくつかの実施形態では、解析部210は、例えば特開2007-330558号公報に開示されているように、分光眼底画像における所定部位の波長特性を求め、求められた波長特性を標準波長特性と比較することにより当該所定部位を特徴部位として特定する。
解析部210は、取得された複数の分光眼底画像の照明光に対する反射光の角度依存性を表す情報を生成する。例えば、主制御部110は、光学系2等を制御して眼底Efに対する照明光の入射角度が異なる複数回の暗視野撮影を行い、各暗視野撮影において所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得させる。例えば、解析部210は、所定の解析波長範囲の複数の波長範囲に対応した複数の分光眼底画像を照明光の入射角度に関連付けた情報を、分光眼底画像の照明光に対する反射光の角度依存性を表す情報として生成する。いくつかの実施形態では、解析部210は、複数の分光眼底画像における解析対象部位を照明光の入射角度に関連付けた情報を、分光眼底画像の照明光に対する反射光の角度依存性を表す情報として生成する。これにより、解析対象部位における照明光に対する反射光の角度依存性の確認が容易になる。主制御部110は、表示制御部として、分光眼底画像の照明光に対する反射光の角度依存性を表す情報を表示部160に表示させることが可能である。
いくつかの実施形態では、解析部210は、分光眼底画像の部位ごとに、照明光に対する反射光の角度依存性を表す情報を生成する。
また、解析部210は、複数の分光眼底画像の中から選択された2以上の分光眼底画像を合成し、合成画像を生成することができる。この場合、解析部210は、選択された2以上の分光眼底画像のそれぞれに対して互いに異なる色情報(又は濃度情報)及び透過度情報を割り当て、選択された2以上の分光眼底画像の画素毎に透過度情報に応じた割合で混色することで合成画像を生成する。
分光眼底画像(分光画像)は、実施形態に係る「2次元の分光分布」の一例である。暗視野撮影絞り21は、実施形態に係る「撮影絞り」の一例である。データ処理部200(解析部210)は、実施形態に係る「分光情報取得部」の一例である。波長可変フィルタ28は、実施形態に係る「第1波長範囲選択部材」又は「第2波長範囲選択部材」の一例である。
[動作例]
第1実施形態に係る眼科装置1の動作の例を説明する。
図5及び図6に、第1実施形態に係る眼科装置1の動作例の概要を示す。図5は、眼底Efに対して所定の入射角度で入射する照明光で所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得するときの眼科装置1の動作例のフロー図を表す。図6は、眼底Efに対して複数の入射角度で入射する照明光で所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得するときの眼科装置1の動作例のフロー図を表す。
制御部100の記憶部120には、図5及び図6に示す処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御部100の主制御部110は、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、図5及び図6に示す処理を実行する。
なお、図5に示すフローでは、あらかじめ決められた入射角度で眼底Efを照明するように、暗視野撮影絞り21(及び開口絞り14)の光軸に直交する方向の位置が設定されているものとする。
(S1:アライメント)
まず、主制御部110は、アライメントを実行する。
具体的には、主制御部110は、アライメント光学系40制御してアライメント光源42より被検眼Eのアライメント光を出射させ、被検眼Eからのアライメント光の反射光をイメージセンサ44により受光させる。
マニュアルアライメントを行う場合、主制御部110は、イメージセンサ44により得られた反射光の受光結果に基づいて反射光により形成される像を表示部160に表示させる。いくつかの実施形態では、主制御部110は、当該像を分光眼底画像に重ね合わせて表示部160に表示させる。ユーザは、表示部160に表示された像の位置が所定のアライメント基準位置と一致するように操作部150に対して操作を行う。主制御部110は、操作部150に対するユーザの操作内容に基づいて移動機構5を制御することにより、被検眼Eに対する光学系2の相対位置を移動させる。
オートアライメントを行う場合、主制御部110は、解析部210を制御して、イメージセンサ44により得られた反射光の受光結果に基づいて反射光により形成される像の位置を特定させ、特定された位置に基づいて光学系2に対する被検眼Eの変位がキャンセルされるように移動機構5を制御することにより光学系2と被検眼Eとを相対移動させる。
(S2:固視標を提示)
続いて、主制御部110は、固視光学系50(固視標提示部51)を制御して、被検眼Eの眼底Efに固視標を提示させる。
(S3:照明光で照明)
次に、主制御部110は、照明光学系10(光源11)を制御して、照明光で被検眼Eの眼底Efを照明させる。
(S4:波長可変フィルタを設定)
次に、主制御部110は、受光光学系20(波長可変フィルタ28)を制御して、透過光の波長選択範囲を所定の波長範囲に設定する。所定の波長範囲の例として、解析波長範囲を網羅するように波長範囲の選択を順次に繰り返すときの初期波長範囲がある。
(S5:暗視野撮影)
次に、主制御部110は、暗視野撮影を行う。主制御部110は、イメージセンサ30により得られた照明光の戻り光(散乱光、回折光)の受光結果を取り込み、分光眼底画像を取得する。
(S6:次?)
続いて、主制御部110は、次の波長範囲で暗視野撮影を行うか否かを判定する。例えば、解析波長範囲内を所定の波長範囲ステップで波長選択を順次に変更する場合に、主制御部110は、波長範囲の変更回数に基づいて次の暗視野撮影を行うか否かを判定することができる。例えば、主制御部110は、あらかじめ決められた複数の波長範囲のすべてが選択されたか否かを判別することで次の暗視野撮影を行うか否かを判定することができる。
ステップS6において、次の暗視野撮影を行うと判定されたとき(ステップS6:Y)、眼科装置1の動作はステップS7に移行する。ステップS6において、次の暗視野撮影を行わないと判定されたとき(ステップS6:N)、眼科装置1の動作は終了である(エンド)。
(S7:波長範囲を変更)
ステップS6において次の暗視野撮影を行うと判定されたとき(ステップS6:Y)、主制御部110は、波長可変フィルタ28を制御して、次に選択すべき透過光の選択範囲を変更する。続いて、眼科装置1の動作は、ステップS5に移行する。
以上のように、図5に示すフローによれば、眼底Efに対して所定の入射角度で入射する照明光で所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得するができる。
複数の照明光の入射角度のそれぞれについて、複数の分光眼底画像を取得する場合、図6に示すフローに従って眼科装置1が動作する。
(S11:アライメント)
まず、主制御部110は、ステップS1と同様に、アライメントを実行する。
(S12:固視標を提示)
続いて、主制御部110は、ステップS2と同様に、固視光学系50(固視標提示部51)を制御して、被検眼Eの眼底Efに固視標を提示させる。
(S13:絞りの相対位置を設定)
続いて、主制御部110は、光軸に対する開口絞り14の開口位置と光軸に対する暗視野撮影絞り21の開口位置との相対位置を設定する。この実施形態では、光軸に対する開口絞り14の開口位置が固定され、主制御部110は、移動機構を制御することにより光軸に対する暗視野絞り21の開口位置を変更することで、上記の相対位置を所望の相対位置に設定する。
(S14:眼底撮影)
次に、主制御部110は、眼底撮影を行う。ステップS14の処理は、図5のステップS3~ステップS7の処理と同様である。
(S15:次?)
続いて、主制御部110は、次の照明光の入射角度で眼底撮影(解析波長範囲内で複数回の暗視野撮影)を行うか否かを判定する。例えば、入射角度範囲内を所定の入射角度ステップで入射角度を順次に変更する場合に、主制御部110は、入射角度の変更回数に基づいて次の眼底撮影を行うか否かを判定することができる。例えば、主制御部110は、あらかじめ決められた複数の入射角度のすべてが選択されたか否かを判別することで次の眼底撮影を行うか否かを判定することができる。
ステップS15において、次の眼底撮影を行うと判定されたとき(ステップS15:Y)、眼科装置1の動作はステップS16に移行する。ステップS15において、次の眼底撮影を行わないと判定されたとき(ステップS15:N)、眼科装置1の動作は終了である(エンド)。
(S16:絞りの相対位置を変更)
ステップS15において次の眼底撮影を行うと判定されたとき(ステップS15:Y)、主制御部110は、移動機構を制御して、次の入射角度で眼底Efを照明するように受光光学系20の光軸に対する暗視野撮影絞り21の開口位置を変更する。続いて、眼科装置1の動作は、ステップS14に移行する。
以上のように、図6に示すフローによれば、眼底Efに対して複数の入射角度で入射する照明光で所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得することができる。
<第1実施形態の第1変形例>
第1実施形態では、受光光学系20において、ダイクロイックミラー27と結像レンズ29との間に波長可変フィルタ28を配置し、照明光の反射光から所望の波長範囲の光を選択するように構成される場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。
第1実施形態の第1変形例では、照明光から所望の波長範囲の光を選択し、眼底Efからの照明光の戻り光が当該所望の波長範囲の波長成分を有するように構成される。
以下、第1実施形態の第1変形例について、主として、第1実施形態との相違点について説明する。
図7に、第1実施形態の第1変形例に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図7において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第1実施形態の第1変形例に係る眼科装置1Aの構成が第1実施形態に係る眼科装置1の構成と異なる点は、照明光学系10に代えて照明光学系10Aが設けられた点と、受光光学系20に代えて受光光学系20Aが設けられた点である。
照明光学系10Aの構成が照明光学系10の構成と異なる点は、開口絞り14と反射ミラー15との間に波長可変フィルタ28が配置されている点である。いくつかの実施形態では、波長可変フィルタ28は、コンデンサレンズ12と分光特性補正フィルタ13との間に配置される。
受光光学系20Aの構成が受光光学系20の構成と異なる点は、波長可変フィルタ28が省略されている点である。
眼科装置1Aの制御系の構成は、眼科装置1と同様である。眼科装置1Aの動作は、眼科装置1の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
このような眼科装置1Aによれば、第1実施形態と同様に、眼底Efに対して所定の入射角度で入射する照明光で所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得するができる。また、眼科装置1Aによれば、第1実施形態と同様に、眼底Efに対して複数の入射角度で入射する照明光で所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得することができる。
<第1実施形態の第2変形例>
第1実施形態又はその第1変形例では、波長可変フィルタを用いて照明光の反射光から所望の波長範囲の光を選択するように構成される場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。
第1実施形態の第2変形例では、出射光の波長範囲を変更可能な光源から出射された照明光で眼底Efが照明される。
以下、第1実施形態の第2変形例について、主として、第1実施形態との相違点について説明する。
図8に、第1実施形態の第2変形例に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図8において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第1実施形態の第2変形例に係る眼科装置1Bの構成が第1実施形態に係る眼科装置1の構成と異なる点は、照明光学系10に代えて照明光学系10Bが設けられた点と、受光光学系20に代えて受光光学系20Bが設けられた点である。
照明光学系10Bの構成が照明光学系10の構成と異なる点は、光源11に代えて出射光の波長範囲を変更可能な光源11Bが設けられている点である。このような光源11Bとして、波長掃引光源がある。光源11Bは、所定の解析波長範囲内で出射光の中心波長を走査し、互いに中心波長(波長範囲)が異なる出射光を順次に出力することができる。いくつかの実施形態では、光源11Bは、主制御部110からの制御をトリガーとして、所定の出射タイミングで互いに中心波長(波長範囲)が異なる出射光を順次に出力する。いくつかの実施形態では、光源11Bは、主制御部110からの制御を受けるごとに互いに中心波長(波長範囲)が異なる出射光を順次に出力する。
受光光学系20Bの構成が受光光学系20の構成と異なる点は、波長可変フィルタ28が省略されている点である。
眼科装置1Bの制御系の構成は、眼科装置1と同様である。眼科装置1Bの動作は、波長可変フィルタ28に対する制御が光源11Bに対する制御に変更される点を除いて、眼科装置1の動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
このような眼科装置1Bによれば、第1実施形態と同様に、眼底Efに対して所定の入射角度で入射する照明光で所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得するができる。また、眼科装置1Bによれば、第1実施形態と同様に、眼底Efに対して複数の入射角度で入射する照明光で所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得することができる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る眼科装置は、互いに異なる複数の波長範囲(例えば、10種類の波長範囲)のそれぞれにおいて、被検眼の眼底に対して偏光撮影を行い、複数の分光眼底画像(眼底のハイパースペクトル画像、又は眼底のマルチスペクトル画像)を取得する。
以下、実施形態では、直線偏光を行うことで偏光撮影を行う場合について説明するが、円偏光又は楕円偏光を行う場合にも適用することができる。
以下、第2実施形態について、主として、第1実施形態との相違点について説明する。
図9に、第2実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図9において、図1と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第2実施形態に係る眼科装置1Cの構成が第1実施形態に係る眼科装置1の構成と異なる点は、照明光学系10に代えて照明光学系10Cが設けられている点と、受光光学系20に代えて受光光学系20Cが設けられている点である。
照明光学系10Cの構成が照明光学系10の構成と異なる点は、開口絞り14に代えて第1偏光板(偏光素子、偏光フィルタ)19が設けられた点である。受光光学系20Cの構成が受光光学系20の構成と異なる点は、暗視野撮影絞り21が省略された点と、ダイクロイックミラー27と波長可変フィルタ28との間に第2偏光板(偏光素子、偏光フィルタ)31が設けられた点である。
第1偏光板19は、入射光から所定の偏光状態(偏光成分)の光を透過させる。いくつかの実施形態では、第1偏光板19は、主制御部からの制御信号を受けて入射光の偏光状態を変更する。偏光状態の例として、直線偏光の偏光方向(偏光軸)、円偏光(又は楕円偏光)の回転方向がある。このような第1偏光板19の機能は、反射型偏光子、吸収型偏光子、波長板などにより実現される。いくつかの実施形態では、第1偏光板19は、入射光の偏光状態を所定の偏光状態に変更する。例えば、第1偏光板19は、ランダムな偏光状態の入射光を所定の偏向状態に揃える。なお、光源11が偏光特性を有する出射光を出射可能である場合、照明光学系10Cは、図9に示す構成から第1偏光板19を省いた構成を有する。
この実施形態では、第1偏光板19は、入射光から第1偏光方向の光を透過させて出射光として出射させる。これにより、分光特性補正フィルタ13からの照明光は、第1偏光板19を透過して第1偏光方向の偏光成分を有する照明光となる。
第2偏光板31は、入射光から所定の偏光状態(偏光成分)の光を透過させる。いくつかの実施形態では、第2偏光板31は、主制御部からの制御信号を受けて入射光の偏光状態を変更する。偏光状態の例として、直線偏光の偏光方向(偏光軸)、円偏光(又は楕円偏光)の回転方向がある。このような第2偏光板31の機能は、反射型偏光子、吸収型偏光子、波長板などにより実現される。なお、イメージセンサ30が偏光イメージセンサである場合、受光光学系20Cは、図9に示す構成から第2偏光板31を省いた構成を有する。
この実施形態では、第2偏光板31は、入射光から第2偏光方向の光を透過させて出射光として出射させる。これにより、ダイクロイックミラー27により反射された反射光は、第2偏光板31を透過して第2偏光方向の偏光成分を有する戻り光となる。
図10に、第2実施形態に係る眼科装置1Cの制御系の構成例のブロック図を示す。図10において、図3又は図9と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図10において、図3と同様に、眼科装置1Cに含まれる構成要素の一部が省略されている。
制御部100Cは、制御部100と同様に、眼科装置1Cの各部の制御を実行する。制御部100Cは、主制御部110Cと記憶部120Cとを含む。
(主制御部110C)
主制御部110Cは、プロセッサを含み、眼科装置1Cの各部を制御する。例えば、主制御部110Cは、図9に示す光学系2Cの各部、光学系2Cの全体及び光学系2Cを構成する光学素子を移動する移動機構5C、操作部150、表示部160、通信部170、及びデータ処理部200Cを制御する。
光学系2Cに対する制御には、照明光学系10Cに対する制御、受光光学系20Cに対する制御、アライメント光学系40に対する制御、固視光学系50に対する制御などがある。
照明光学系10Cに対する制御には、光源11に対する制御、第1偏光板19に対する制御などが含まれる。第1偏光板19に対する制御には、入射光の偏光状態(偏光方向)の変更制御などがある。
受光光学系20Cに対する制御には、合焦レンズ22に対する制御、波長可変フィルタ28に対する制御、イメージセンサ30に対する制御、第2偏光板31に対する制御などが含まれる。第2偏光板31に対する制御には、入射光の偏光状態(偏光方向)の変更制御などがある。この実施形態では、第1偏光板19の偏光状態を固定しつつ、第2偏光板31により入射光の偏光状態を変更するものとする。
移動機構5Cは、光学系2Cの全体、及び、光学系2Cを構成する光学素子(例えば、合焦レンズ22)を移動する。移動機構5Cは、移動機構5と同様の機構により、主制御部110Cからの制御を受けて光学系2Cなどを移動する。また、移動機構5Cに対する制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。
(記憶部120C)
記憶部120Cは、記憶部120と同様に、各種のデータを記憶する。記憶部120Cに記憶されるデータとしては、例えば、制御パラメータ、眼底画像の分光画像データ、前眼部像の分光画像データ、被検眼情報などがある。制御パラメータとしては、ハイパースペクトル撮影制御データ、偏光撮影制御データなどがある。偏光撮影制御データは、所定の偏光角度範囲内で眼底Efに対して互いに異なる偏光角度を有する戻り光の受光結果を得る偏光撮影を行うための制御データである。偏光撮影制御データの例として偏光角度範囲、撮影を実行する偏光角度、次の撮影を実行するための偏光角度ステップ、偏光角度に対応した第2偏光板31(及び/又は、第1偏光板19)の制御データなどがある。
また、記憶部120Cには、眼科装置1Cを動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
(データ処理部200C)
データ処理部200Cは、データ処理部200と同様に、被検眼Eの分光眼底画像に対してデータ処理を行う。いくつかの実施形態では、データ処理部200Cの機能は、プロセッサにより実現される。データ処理部200Cは、解析部210Cを含む。
解析部210Cは、解析部210と同様に、イメージセンサ30又はイメージセンサ44により得られた画像に対して各種の画像処理や解析処理を施す。
また、解析部210Cは、取得された複数の分光眼底画像の偏光角度依存性を表す情報を生成する。例えば、主制御部110Cは、光学系2C等を制御して眼底Efに対して互いに偏光角度が異なる戻り光を受光する複数の偏光撮影を行い、各偏光撮影において所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得させる。例えば、解析部210Cは、所定の解析波長範囲の複数の波長範囲に対応した複数の分光眼底画像を偏光角度に関連付けた情報を、分光眼底画像の偏光角度依存性を表す情報として生成する。いくつかの実施形態では、解析部210Cは、複数の分光眼底画像における解析対象部位を偏光角度に関連付けた情報を、分光眼底画像の偏光角度依存性を表す情報として生成する。これにより、解析対象部位における偏光角度依存性の確認が容易になる。主制御部110Cは、表示制御部として、分光眼底画像の偏光角度依存性を表す情報を表示部160に表示させることが可能である。
いくつかの実施形態では、解析部210Cは、分光眼底画像の部位ごとに、偏光角度依存性を表す情報を生成する。
第1偏光板19は、実施形態に係る「第1偏光素子」の一例である。第2偏光板31は、実施形態に係る「第2偏光素子」の一例である。データ処理部200C(解析部210C)は、実施形態に係る「分光情報取得部」の一例である。
[動作例]
第2実施形態に係る眼科装置1Cの動作の例を説明する。
図11及び図12に、第2実施形態に係る眼科装置1Cの動作例の概要を示す。図11は、眼底Efからの所定の偏光角度を有する戻り光を受光して所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得するときの眼科装置1Cの動作例のフロー図を表す。図12は、眼底Efに対して複数の偏光角度を有する戻り光を受光して所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得するときの眼科装置1Cの動作例のフロー図を表す。
制御部100Cの記憶部120Cには、図11及び図12に示す処理を実現するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御部100Cの主制御部110Cは、このコンピュータプログラムに従って動作することにより、図11及び図12に示す処理を実行する。
なお、図11に示すフローでは、あらかじめ決められた偏光角度の戻り光を受光するように、第2偏光板31(及び第1偏光板19)の偏光角度が設定されているものとする。
(S21:アライメント)
まず、主制御部110Cは、ステップS1と同様に、アライメントを実行する。
(S22:固視標を提示)
続いて、主制御部110Cは、ステップS2と同様に、固視光学系50(固視標提示部51)を制御して、被検眼Eの眼底Efに固視標を提示させる。
(S23:所定の偏光角度を設定)
続いて、主制御部110Cは、第2偏光板31(及び第1偏光板19)を制御して、第1偏光板19の偏光角度を基準とした第2偏光板31の相対的な偏光角度を設定する。これにより、眼底Efからの戻り光のうち所定の偏光角度の戻り光を受光することができる。
(S24:照明光で照明)
次に、主制御部110Cは、ステップS3と同様に、照明光学系10(光源11)を制御して、照明光で被検眼Eの眼底Efを照明させる。
(S25:波長可変フィルタを設定)
次に、主制御部110Cは、ステップS4と同様に、受光光学系20(波長可変フィルタ28)を制御して、透過光の波長選択範囲を所定の波長範囲に設定する。所定の波長範囲の例として、解析波長範囲を網羅するように波長範囲の選択を順次に繰り返すときの初期波長範囲がある。
(S26:偏光撮影)
次に、主制御部110Cは、偏光撮影を行う。主制御部110Cは、イメージセンサ30により得られた照明光の戻り光のうち所定の偏光角度の戻り光の受光結果を取り込み、分光眼底画像を取得する。
(S27:次?)
続いて、主制御部110Cは、次の波長範囲で偏光撮影を行うか否かを判定する。例えば、解析波長範囲内を所定の波長範囲ステップで波長選択を順次に変更する場合に、主制御部110Cは、波長範囲の変更回数に基づいて次の偏光撮影を行うか否かを判定することができる。例えば、主制御部110Cは、あらかじめ決められた複数の波長範囲のすべてが選択されたか否かを判別することで次の偏光撮影を行うか否かを判定することができる。
ステップS27において、次の偏光撮影を行うと判定されたとき(ステップS27:Y)、眼科装置1Cの動作はステップS28に移行する。ステップS27において、次の偏光撮影を行わないと判定されたとき(ステップS27:N)、眼科装置1Cの動作は終了である(エンド)。
(S28:波長範囲を変更)
ステップS27において次の偏光撮影を行うと判定されたとき(ステップS27:Y)、主制御部110Cは、波長可変フィルタ28を制御して、次に選択すべき透過光の選択範囲を変更する。続いて、眼科装置1Cの動作は、ステップS26に移行する。
以上のように、図11に示すフローによれば、眼底Efに対して所定の偏光角度を有する戻り光を順次に受光して所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得するができる。
複数の偏光角度のそれぞれについて、複数の分光眼底画像を取得する場合、図12に示すフローに従って眼科装置1Cが動作する。
(S31:アライメント)
まず、主制御部110Cは、ステップS11と同様に、アライメントを実行する。
(S32:固視標を提示)
続いて、主制御部110Cは、ステップS12と同様に、固視光学系50(固視標提示部51)を制御して、被検眼Eの眼底Efに固視標を提示させる。
(S33:所定の偏光角度を設定)
続いて、主制御部110Cは、第2偏光板31(及び第1偏光板19)を制御して、第1偏光板19の偏光角度を基準とした第2偏光板31の相対的な偏光角度を設定する。この実施形態では、第1偏光板19の偏光角度が固定され、主制御部110Cは、第2偏光板31を制御することにより第2偏光板31の偏光角度を設定する。
(S34:眼底撮影)
次に、主制御部110Cは、眼底撮影を行う。ステップS34の処理は、図10のステップS24~ステップS28の処理と同様である。
(S35:次?)
続いて、主制御部110Cは、次の偏光角度で眼底撮影(解析波長範囲内で複数回の偏光撮影)を行うか否かを判定する。例えば、偏光角度範囲内を所定の偏光角度ステップで偏光角度を順次に変更する場合に、主制御部110Cは、偏光角度の変更回数に基づいて次の眼底撮影を行うか否かを判定することができる。例えば、主制御部110Cは、あらかじめ決められた複数の偏光角度のすべてが選択されたか否かを判別することで次の眼底撮影を行うか否かを判定することができる。
ステップS35において、次の眼底撮影を行うと判定されたとき(ステップS35:Y)、眼科装置1Cの動作はステップS36に移行する。ステップS35において、次の眼底撮影を行わないと判定されたとき(ステップS35:N)、眼科装置1Cの動作は終了である(エンド)。
(S36:偏光角度を変更)
ステップS35において次の眼底撮影を行うと判定されたとき(ステップS35:Y)、主制御部110Cは、第2偏光板31を制御して、次の偏光角度を有する戻り光を受光するように第2偏光板31の偏光方向を変更する。続いて、眼科装置1Cの動作は、ステップS34に移行する。
以上のように、図12に示すフローによれば、眼底Efからの複数の偏光角度の戻り光の受光結果を取得して所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得することができる。
解析部210Cは、図12に示すフローに従って取得された複数の分光眼底画像を用いて、分光眼底画像の偏光角度依存性を表す情報を生成することができる。
図13に、実施形態に係る分光眼底画像の偏光角度依存性を表す情報の一例を示す。図13は、偏光角度に対応して、波長範囲に対応して配列された複数の分光眼底画像(波長範囲に対応した複数の分光分布を表す情報)を表す。いくつかの実施形態では、偏光角度は、第1偏光板19の偏光方向と第2偏光板31の偏光方向とにより定まる角度である。いくつかの実施形態では、偏光角度は、所定の基準偏光方向に対する第2偏光板31の偏光方向の角度である。具体的には、図13では、水平方向に解析波長範囲内の複数の波長範囲に対応した複数の分光眼底画像が配列され、垂直方向に偏光角度範囲内の複数の偏光角度に対応した複数の分光眼底画像が配列されている。
解析部210Cは、分光眼底画像の取得時の複数の偏光角度のそれぞれに、取得された複数の分光眼底画像を関連付けることで、分光眼底画像の偏光角度依存性を表す情報を生成する。制御部110Cは、生成された情報を表示部160に表示させることが可能である。
例えば、図13では、偏光角度が0度のとき(第1偏光板19の偏光方向と第2偏光板31の偏光方向が略平行であるとき)の波長範囲400nm~700nmの間の複数の波長範囲のそれぞれに対応するように分光眼底画像が表示される。
また、偏光角度が90度のとき(第1偏光板19の偏光方向と第2偏光板31の偏光方向が略直交であるとき)の波長範囲400nm~700nmの間の複数の波長範囲のそれぞれに対応するように分光眼底画像が表示される。
更に、ランダム偏光(第1偏光板19及び第2偏光板31の偏光を無効化したとき)の波長範囲400nm~700nmの間の複数の波長範囲のそれぞれに対応するように分光眼底画像が表示される。
図13に示すように、偏光角度及び波長範囲に応じて、分光眼底画像において描出される部位のコントラストが異なり、従来の分光眼底画像では把握できない眼底の形態を観察することが可能になる。
<第2実施形態の第1変形例>
第2実施形態では、受光光学系20Cにおいて、ダイクロイックミラー27と結像レンズ29との間に波長可変フィルタ28を配置し、照明光の反射光から所望の波長範囲の光を選択するように構成される場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。
第2実施形態の第1変形例では、照明光から所望の波長範囲の光を選択し、眼底Efからの照明光の戻り光が当該所望の波長範囲の波長成分を有するように構成される。
以下、第2実施形態の第1変形例について、主として、第2実施形態との相違点について説明する。
図14に、第2実施形態の第1変形例に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図14において、図9と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第2実施形態の第1変形例に係る眼科装置1Dの構成が第2実施形態に係る眼科装置1Cの構成と異なる点は、照明光学系10Cに代えて照明光学系10Dが設けられた点と、受光光学系20Cに代えて受光光学系20Dが設けられた点である。
照明光学系10Dの構成が照明光学系10Cの構成と異なる点は、第1偏光板19と反射ミラー15との間に波長可変フィルタ28が配置されている点である。いくつかの実施形態では、波長可変フィルタ28は、コンデンサレンズ12と分光特性補正フィルタ13との間に配置される。
受光光学系20Dの構成が受光光学系20Cの構成と異なる点は、波長可変フィルタ28が省略されている点である。
眼科装置1Dの制御系の構成は、眼科装置1Cと同様である。眼科装置1Dの動作は、眼科装置1Cの動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
このような眼科装置1Dによれば、第2実施形態と同様に、眼底Efに対して所定の偏光角度を有する戻り光を順次に受光して所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得するができる。また、眼科装置1Dによれば、眼底Efからの複数の偏光角度の戻り光の受光結果を取得して所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得することができる。
<第2実施形態の第2変形例>
第2実施形態又はその第1変形例では、波長可変フィルタを用いて照明光の反射光から所望の波長範囲の光を選択するように構成される場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。
第2実施形態の第2変形例では、出射光の波長範囲を変更可能な光源から出射された照明光で眼底Efが照明される。
以下、第2実施形態の第2変形例について、主として、第2実施形態との相違点について説明する。
図15に、第2実施形態の第2変形例に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図15において、図9と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第2実施形態の第2変形例に係る眼科装置1Eの構成が第2実施形態に係る眼科装置1Cの構成と異なる点は、照明光学系10Cに代えて照明光学系10Eが設けられた点と、受光光学系20Cに代えて受光光学系20Eが設けられた点である。
照明光学系10Eの構成が照明光学系10Cの構成と異なる点は、光源11に代えて出射光の波長範囲を変更可能な光源11Eが設けられている点である。このような光源11Eとして、波長掃引光源がある。光源11Eは、所定の解析波長範囲内で出射光の中心波長を走査し、互いに中心波長(波長範囲)が異なる出射光を順次に出力することができる。光源11Eは、図8に示す光源11Bと同様であってよい。
受光光学系20Eの構成が受光光学系20Cの構成と異なる点は、波長可変フィルタ28が省略されている点である。
眼科装置1Eの制御系の構成は、眼科装置1Cと同様である。眼科装置1Eの動作は、波長可変フィルタ28に対する制御が光源11Eに対する制御に変更される点を除いて、眼科装置1Cの動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
このような眼科装置1Eによれば、第2実施形態と同様に、眼底Efに対して所定の偏光角度を有する戻り光を順次に受光して所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得するができる。また、眼科装置1Eによれば、眼底Efからの複数の偏光角度の戻り光の受光結果を取得して所定の解析波長範囲内の複数の分光眼底画像を取得することができる。
<第3実施形態>
第3実施形態に係る眼科装置は、第1実施形態又はその変形例に係る眼科装置と同様の暗視野撮影と、第2実施形態又はその変形例に係る眼科装置と同様の偏光撮影とを行うことができる。それにより、第1実施形態又はその変形例と同様の分光眼底画像の照明光に対する反射光の角度依存性を表す情報と、第2実施形態又はその変形例と同様の分光眼底画像の偏光角度依存性を表す情報とを取得することが可能である。
以下、第3実施形態について、第1実施形態及び第2実施形態との相違点について説明する。
図16に、第3実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図16において、図1及び図9と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第3実施形態に係る眼科装置1Fの構成は、第1実施形態に係る眼科装置1及び第2実施形態に係る眼科装置1Cの一方の構成に他方の構成を適用したものである。なお、第1偏光板19は、開口絞り14と反射ミラー15との間に配置されている。
図17に、第3実施形態に係る眼科装置1Fの制御系の構成例のブロック図を示す。図17において、図3及び図10と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図17において、図3及び図10と同様に、眼科装置1Fに含まれる構成要素の一部が省略されている。
制御部100Fは、制御部100及び制御部100Cと同様に、眼科装置1Fの各部の制御を実行する。制御部100Fは、主制御部110Fと記憶部120Fとを含む。
(主制御部110F)
主制御部110Fは、プロセッサを含み、眼科装置1Fの各部を制御する。例えば、主制御部110Fは、図16に示す光学系2Fの各部、光学系2Fの全体及び光学系2Fを構成する光学素子を移動する移動機構5F、操作部150、表示部160、通信部170、及びデータ処理部200Fを制御する。
光学系2Fに対する制御には、照明光学系10Fに対する制御、受光光学系20Fに対する制御、アライメント光学系40に対する制御、固視光学系50に対する制御などがある。
照明光学系10Fに対する制御には、光源11に対する制御、開口絞り14に対する制御、第1偏光板19に対する制御などが含まれる。
受光光学系20Fに対する制御には、暗視野撮影絞り21に対する制御、合焦レンズ22に対する制御、波長可変フィルタ28に対する制御、イメージセンサ30に対する制御、第2偏光板31に対する制御などが含まれる。
移動機構5Fは、光学系2Fの全体、及び、光学系2Fを構成する光学素子(例えば、開口絞り14、暗視野撮影絞り21、合焦レンズ22)を移動する。移動機構5Fは、移動機構5又は移動機構5Cと同様の機構により、主制御部110Fからの制御を受けて光学系2Fなどを移動する。また、移動機構5Fに対する制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。
(記憶部120F)
記憶部120Fは、記憶部120及び記憶部120Cと同様に、各種のデータを記憶する。記憶部120Fに記憶されるデータとしては、例えば、制御パラメータ、眼底画像の分光画像データ、前眼部像の分光画像データ、被検眼情報などがある。制御パラメータとしては、ハイパースペクトル撮影制御データ、暗視野撮影制御データ、偏光撮影制御データなどがある。
また、記憶部120Fには、眼科装置1Fを動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
(データ処理部200F)
データ処理部200Fは、データ処理部200及びデータ処理部200Cと同様に、被検眼Eの分光眼底画像に対してデータ処理を行う。いくつかの実施形態では、データ処理部200Fの機能は、プロセッサにより実現される。データ処理部200Fは、解析部210Fを含む。
解析部210Fは、解析部210の機能と、解析部210Cの機能とを有し、所定の解析波長範囲の複数の波長範囲に対応した複数の分光眼底画像を照明光の入射角度に関連付けた情報を、分光眼底画像の照明光に対する反射光の角度依存性を表す情報として生成すると共に、所定の解析波長範囲の複数の波長範囲に対応した複数の分光眼底画像を偏光角度に関連付けた情報を、分光眼底画像の偏光角度依存性を表す情報として生成する。主制御部110Fは、表示制御部として、分光眼底画像の照明光に対する反射光の角度依存性を表す情報、及び分光眼底画像の偏光角度依存性を表す情報を表示部160に表示させることが可能である。
このような第3実施形態に係る眼科装置1Fは、第1実施形態及び第2実施形態と同様に動作するため、詳細な説明を省略する。
<第3実施形態の第1変形例>
第3実施形態では、受光光学系20Fにおいて、ダイクロイックミラー27と結像レンズ29との間に波長可変フィルタ28を配置し、照明光の反射光から所望の波長範囲の光を選択するように構成される場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。
第3実施形態の第1変形例では、照明光から所望の波長範囲の光を選択し、眼底Efからの照明光の戻り光が当該所望の波長範囲の波長成分を有するように構成される。
以下、第3実施形態の第1変形例について、主として、第3実施形態との相違点について説明する。
図18に、第3実施形態の第1変形例に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図18において、図16と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第3実施形態の第1変形例に係る眼科装置1Gの構成が第3実施形態に係る眼科装置1Fの構成と異なる点は、照明光学系10Fに代えて照明光学系10Gが設けられた点と、受光光学系20Fに代えて受光光学系20Gが設けられた点である。
照明光学系10Gの構成が照明光学系10Fの構成と異なる点は、第1偏光板19と反射ミラー15との間に波長可変フィルタ28が配置されている点である。いくつかの実施形態では、波長可変フィルタ28は、コンデンサレンズ12と分光特性補正フィルタ13との間に配置される。
受光光学系20Gの構成が受光光学系20Fの構成と異なる点は、波長可変フィルタ28が省略されている点である。
眼科装置1Gの制御系の構成は、眼科装置1Fと同様である。眼科装置1Gの動作は、眼科装置1Fの動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
<第3実施形態の第2変形例>
第3実施形態又はその第1変形例では、波長可変フィルタを用いて照明光の反射光から所望の波長範囲の光を選択するように構成される場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。
第3実施形態の第2変形例では、出射光の波長範囲を変更可能な光源から出射された照明光で眼底Efが照明される。
以下、第3実施形態の第2変形例について、主として、第3実施形態との相違点について説明する。
図19に、第3実施形態の第2変形例に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図19において、図16と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第3実施形態の第2変形例に係る眼科装置1Hの構成が第3実施形態に係る眼科装置1Fの構成と異なる点は、照明光学系10Fに代えて照明光学系10Hが設けられた点と、受光光学系20Fに代えて受光光学系20Hが設けられた点である。
照明光学系10Hの構成が照明光学系10Fの構成と異なる点は、光源11に代えて出射光の波長範囲を変更可能な光源11Hが設けられている点である。このような光源11Hとして、波長掃引光源がある。光源11Hは、所定の解析波長範囲内で出射光の中心波長を走査し、互いに中心波長(波長範囲)が異なる出射光を順次に出力することができる。いくつかの実施形態では、光源11Hは、主制御部からの制御をトリガーとして、所定の出射タイミングで互いに中心波長(波長範囲)が異なる出射光を順次に出力する。いくつかの実施形態では、光源11Hは、主制御部からの制御を受けるごとに互いに中心波長(波長範囲)が異なる出射光を順次に出力する。
受光光学系20Hの構成が受光光学系20Fの構成と異なる点は、波長可変フィルタ28が省略されている点である。
眼科装置1Hの制御系の構成は、眼科装置1Fと同様である。眼科装置1Hの動作は、波長可変フィルタ28に対する制御が光源11Hに対する制御に変更される点を除いて、眼科装置1Fの動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
<第4実施形態>
第1実施形態~第3実施形態又はその変形例では、眼底Efを照明光で照明し、眼底Efからの戻り光を一度に受光することで1つの分光眼底画像を取得する場合について説明したが、実施形態に係る眼科装置の構成はこれに限定されるものではない。
第4実施形態に係る眼科装置は、スリット状の照明光で眼底Efを走査して眼底Efの撮影を行うスリットスキャン方式の眼底撮影装置である。すなわち、第4実施形態に係る眼科装置は、光スキャナによりスリット状の照明光で眼底Efを走査しつつ、走査により順次に移動される眼底Efにおける照明領域からの照明光の戻り光を順次に取得することで1つの分光眼底画像を取得するように構成される。
第4実施形態に係る眼科装置によれば、上記の実施形態と同様の暗視野撮影、及び上記の実施形態と同様の偏光撮影の少なくとも一方をスリットスキャン方式で実行することができる。それにより、上記の実施形態と同様の分光眼底画像の照明光に対する反射光の角度依存性を表す情報、及び上記の実施形態と同様の分光眼底画像の偏光角度依存性を表す情報の少なくとも一方を取得することが可能である。
以下、第4実施形態に係る眼科装置の構成について、スリットスキャン方式が第3実施形態又はその変形例に係る眼科装置に適用された場合について説明する。しかしながら、実施形態に係る眼科装置は、スリットスキャン方式が第1実施形態~第2実施形態又はその変形例に適用されたものであってよい。
図20に、第4実施形態に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図20において、図16と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第4実施形態に係る眼科装置1Jの構成が第3実施形態に係る眼科装置1Fの構成と異なる点は、照明光学系10Fに代えて照明光学系10Jが設けられた点と、受光光学系20Fに代えて受光光学系20Jが設けられた点である。
照明光学系10Jの構成が照明光学系10Fの構成と異なる点は、反射ミラー15に代えて、視野絞りとしてスリッット70と、光スキャナ71と、リレーレンズ72、73が配置された点である。スリッット70には、スリット状の開口が形成されている。スリッット70に形成された開口は、眼底共役位置Pに配置されている。光スキャナ71の偏向面は、瞳孔共役位置Qに配置されている。
例えば、光スキャナ71は、反射ミラー15に代えて配置される。スリッット70は、第1偏光板19と光スキャナ71との間に配置される。リレーレンズ72は、開口絞り14と第1偏光板19との間に配置される。リレーレンズ73は、スリッット70と光スキャナ71との間に配置される。
受光光学系20Jの構成が受光光学系20Fの構成と異なる点は、イメージセンサ30に代えてイメージセンサ32が設けられる点である。イメージセンサ32は、スリットスキャン方式で戻り光の受光結果を取り込むためのラインセンサ又はエリアセンサである。イメージセンサ32では、眼底Efにおける照明光の照射領域の移動タイミングに同期して、照明光の照射領域に対応した戻り光の受光領域における受光素子から受光結果が読み出される。いくつかの実施形態では、イメージセンサ32は、ローリングシャッター方式で受光結果が読み出される。
図21に、第4実施形態に係る眼科装置1Jの制御系の構成例のブロック図を示す。図21において、図17と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図21において、図17と同様に、眼科装置1Jに含まれる構成要素の一部が省略されている。
制御部100Jは、制御部100Fと同様に、眼科装置1Jの各部の制御を実行する。制御部100Jは、主制御部110Jと記憶部120Jとを含む。
(主制御部110J)
主制御部110Jは、プロセッサを含み、眼科装置1Jの各部を制御する。例えば、主制御部110Jは、図20に示す光学系2Jの各部、光学系2Jの全体及び光学系2Jを構成する光学素子を移動する移動機構5J、操作部150、表示部160、通信部170、及びデータ処理部200Jを制御する。
光学系2Jに対する制御には、照明光学系10Jに対する制御、受光光学系20Jに対する制御、アライメント光学系40に対する制御、固視光学系50に対する制御などがある。
照明光学系10Jに対する制御には、光源11に対する制御、開口絞り14に対する制御、第1偏光板19に対する制御、スリッット70に対する制御、光スキャナ71に対する制御などが含まれる。
スリッット70に対する制御には、スリッット70に形成されている開口の形状、位置、サイズ、スリットの向きの少なくとも1つの変更制御などが含まれる。光スキャナ71に対する制御には、偏向面の偏向開始位置、偏向面の偏向終了位置、偏向角度範囲、偏向速度、偏向面の偏向同期制御などがある。
受光光学系20Jに対する制御には、暗視野撮影絞り21に対する制御、合焦レンズ22に対する制御、波長可変フィルタ28に対する制御、イメージセンサ32に対する制御、第2偏光板31に対する制御などが含まれる。
移動機構5Jは、光学系2Jの全体、及び、光学系2Jを構成する光学素子(例えば、開口絞り14、暗視野撮影絞り21、合焦レンズ22)を移動する。移動機構5Jは、移動機構5Fと同様の機構により、主制御部110Jからの制御を受けて光学系2Jなどを移動する。また、移動機構5Jに対する制御は、アライメントやトラッキングにおいて用いられる。
(記憶部120J)
記憶部120Jは、記憶部120Fと同様に、各種のデータを記憶する。記憶部120Jに記憶されるデータとしては、例えば、制御パラメータ、眼底画像の分光画像データ、前眼部像の分光画像データ、被検眼情報などがある。制御パラメータとしては、ハイパースペクトル撮影制御データ、暗視野撮影制御データ、偏光撮影制御データ、スリット撮影制御データなどがある。
また、記憶部120Jには、眼科装置1Jを動作させるための各種プログラムやデータが記憶されている。
(データ処理部200J)
データ処理部200Jは、データ処理部200Fと同様に、被検眼Eの分光眼底画像に対してデータ処理を行う。いくつかの実施形態では、データ処理部200Jの機能は、プロセッサにより実現される。データ処理部200Jは、解析部210Jを含む。
解析部210Jは、解析部210Fの機能と、スリットスキャン方式で順次に取得された複数の画像から1つの分光眼底画像を形成する機能とを有し、所定の解析波長範囲の複数の波長範囲に対応した複数の分光眼底画像を照明光の入射角度に関連付けた情報を、分光眼底画像の照明光に対する反射光の角度依存性を表す情報として生成すると共に、所定の解析波長範囲の複数の波長範囲に対応した複数の分光眼底画像を偏光角度に関連付けた情報を、分光眼底画像の偏光角度依存性を表す情報として生成する。主制御部110Jは、表示制御部として、分光眼底画像の照明光に対する反射光の角度依存性を表す情報、及び分光眼底画像の偏光角度依存性を表す情報を表示部160に表示させることが可能である。
このような第4実施形態に係る眼科装置1Jにおいて画像を取得する手法は公知であるため、詳細な説明を省略する。
<第4実施形態の第1変形例>
第4実施形態では、受光光学系20Jにおいて、ダイクロイックミラー27と結像レンズ29との間に波長可変フィルタ28を配置し、照明光の反射光から所望の波長範囲の光を選択するように構成される場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。
第4実施形態の第1変形例では、照明光から所望の波長範囲の光を選択し、眼底Efからの照明光の戻り光が当該所望の波長範囲の波長成分を有するように構成される。
以下、第4実施形態の第1変形例について、主として、第4実施形態との相違点について説明する。
図22に、第4実施形態の第1変形例に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図22において、図18と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第4実施形態の第1変形例に係る眼科装置1Kの構成が第4実施形態に係る眼科装置1Jの構成と異なる点は、照明光学系10Jに代えて照明光学系10Kが設けられた点と、受光光学系20Jに代えて受光光学系20Kが設けられた点である。
照明光学系10Kの構成が照明光学系10Jの構成と異なる点は、リレーレンズ73と光スキャナ71との間に波長可変フィルタ28が配置されている点である。いくつかの実施形態では、波長可変フィルタ28は、コンデンサレンズ12と分光特性補正フィルタ13との間に配置される。
受光光学系20Kの構成が受光光学系20Jの構成と異なる点は、波長可変フィルタ28が省略されている点である。
眼科装置1Kの制御系の構成は、眼科装置1Jと同様である。眼科装置1Kの動作は、眼科装置1Jの動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
<第4実施形態の第2変形例>
第4実施形態又はその第1変形例では、波長可変フィルタを用いて照明光の反射光から所望の波長範囲の光を選択するように構成される場合について説明したが、実施形態に係る構成はこれに限定されるものではない。
第4実施形態の第2変形例では、出射光の波長範囲を変更可能な光源から出射された照明光で眼底Efが照明される。
以下、第4実施形態の第2変形例について、主として、第4実施形態との相違点について説明する。
図23に、第4実施形態の第2変形例に係る眼科装置の光学系の構成例を示す。図23において、図20と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
第4実施形態の第2変形例に係る眼科装置1Lの構成が第4実施形態に係る眼科装置1Jの構成と異なる点は、照明光学系10Jに代えて照明光学系10Lが設けられた点と、受光光学系20Jに代えて受光光学系20Lが設けられた点である。
照明光学系10Lの構成が照明光学系10Jの構成と異なる点は、光源11に代えて出射光の波長範囲を変更可能な光源11Lが設けられている点である。このような光源11Lとして、波長掃引光源がある。光源11Lは、所定の解析波長範囲内で出射光の中心波長を走査し、互いに中心波長(波長範囲)が異なる出射光を順次に出力することができる。いくつかの実施形態では、光源11Lは、主制御部からの制御をトリガーとして、所定の出射タイミングで互いに中心波長(波長範囲)が異なる出射光を順次に出力する。いくつかの実施形態では、光源11Lは、主制御部からの制御を受けるごとに互いに中心波長(波長範囲)が異なる出射光を順次に出力する。
受光光学系20Lの構成が受光光学系20Jの構成と異なる点は、波長可変フィルタ28が省略されている点である。
眼科装置1Lの制御系の構成は、眼科装置1Jと同様である。眼科装置1Lの動作は、波長可変フィルタ28に対する制御が光源11Lに対する制御に変更される点を除いて、眼科装置1Jの動作と同様であるため、詳細な説明を省略する。
<作用>
実施形態に係る眼科装置について説明する。
いくつかの実施形態に係る眼科装置(1、1A~1B、1F~1H、1J~1L)は、照明光学系(10、10A~10B、10F~10H、10J~10L)と、受光光学系(20、20A~20B、20F~20H、20J~20L)と、分光情報取得部(解析部210、210F、210J)とを含む。照明光学系は、被検眼(E)を照明光で照明する。受光光学系は、互いに波長範囲が異なり散乱光及び回折光の少なくとも一方を含む被検眼からの照明光の戻り光を順次に受光する。分光情報取得部は、受光光学系により得られた戻り光の受光結果に基づいて、被検眼の2次元の分光分布(分光眼底画像、分光前眼部画像)の照明光に対する反射光の角度依存性を表す情報を取得する。
このような構成によれば、被検眼における分光分布の照明光に対する反射光の角度依存性を把握することができる。それにより、例えば、観察部位に応じて照明光に対する反射光の角度を設定することにより、観察部位をより詳細に観察することが可能になる。
いくつかの実施形態では、受光光学系は、所定の偏光成分を有し互いに波長範囲が異なる被検眼からの戻り光を順次に受光し、分光情報取得部は、受光光学系により得られた戻り光の受光結果に基づいて、被検眼の2次元の分光分布の偏光角度依存性を表す情報を取得する。
このような構成によれば、被検眼における分光分布の照明光に対する反射光の角度依存性に加えて、被検眼における分光分布の偏光角度依存性を把握することができる。それにより、例えば、観察部位に応じて照明光に対する反射光の角度及び偏光角度を設定することにより、観察部位をより詳細に観察することが可能になる。
いくつかの実施形態に係る眼科装置(1C~1L)は、照明光学系(10C~10L)と、受光光学系(20C~20L0L)と、分光情報取得部(解析部210、210F、210J)とを含む。照明光学系は、被検眼(E)を照明光で照明する。受光光学系は、所定の偏光成分を有し互いに波長範囲が異なる被検眼からの照明光の戻り光を順次に受光する。分光情報取得部は、受光光学系により得られた戻り光の受光結果に基づいて、被検眼の2次元の分光分布の偏光角度依存性を表す情報を取得する。
このような構成によれば、被検眼における分光分布の偏光角度依存性を把握することができる。それにより、例えば、観察部位に応じて偏光角度を設定することにより、観察部位をより詳細に観察することが可能になる。
いくつかの実施形態では、照明光学系は、照明光の光路に配置され、第1偏光状態の照明光を透過させる第1偏光素子(第1偏光板19)を含み、受光光学系は、戻り光の光路に配置され、第2偏光状態の戻り光を透過させる第2偏光素子(第2偏光板31)を含む。
このような構成によれば、簡素な構成で、偏光角度を設定することが可能になる。
いくつかの実施形態では、第1偏光状態及び第2偏光状態の少なくとも一方が変更可能である。
このような構成によれば、簡素な構成で、被検眼における分光分布の偏光角度依存性を表す情報を取得することが可能になる。
いくつかの実施形態は、波長範囲に対応した複数の分光分布を表す情報を偏光状態に対応して表示手段(表示部160)に表示させる制御部(100、100C、100F、100J)を含む。
このような構成によれば、偏光状態に対応して、波長範囲に対応した複数の分光分布を表す情報を表示手段に表示させることで、分光特定の変更依存性を容易に把握することが可能になる。
いくつかの実施形態では、照明光学系は、照明光の光路に配置された開口絞り(14)を含み、受光光学系は、戻り光の光路に配置された撮影絞り(暗視野撮影絞り21)を含む。
このような構成によれば、簡素な構成で、散乱光及び回折光の少なくとも一方を含む照明光の戻り光を受光する暗視野撮影を行うことができるようになる。
いくつかの実施形態では、開口絞りには、光軸(O1)に対して偏心した位置に開口(14a)が形成され、撮影絞りには、光軸(O2)の位置に開口(21a)が形成されている。
このような構成によれば、簡素な構成で、散乱光及び回折光の少なくとも一方を含む照明光の戻り光を受光する暗視野撮影を行うことができるようになる。
いくつかの実施形態では、開口絞りは、リング絞りであり、撮影絞りは、中心絞りである。
このような構成によれば、公知のリング絞り及び中心絞りを用いて、散乱光及び回折光の少なくとも一方を含む照明光の戻り光を受光する暗視野撮影を行うことができるようになる。
いくつかの実施形態では、撮影絞りは、光軸(O3)に対して偏心した位置に開口(21b)が形成され、光軸に対して回転可能である。
このような構成によれば、観察部位における組織の走行状態、又はコントラストが強くなる方向に開口の向きを合わせることで、観察部位をより詳細に観察することが可能になる。
いくつかの実施形態では、開口絞りに形成された開口が、撮影絞りに形成された開口に対して光軸の垂直方向に相対的に移動可能に構成される。
このような構成によれば、簡素な構成で、照明光に対する反射光の角度を変更しつつ暗視野撮影を行うことができるようになる。
いくつかの実施形態では、受光光学系は、戻り光の波長範囲を選択する第1波長範囲選択部材(波長可変フィルタ28)を含む。
このような構成によれば、受光側で所望の波長範囲の戻り光を受光して複数の分光分布を取得することが可能な眼科装置の構成を簡素化することができる。
いくつかの実施形態では、照明光学系は、照明光の波長範囲を選択する第2波長範囲選択部材(波長可変フィルタ28)を含む。
このような構成によれば、照明側で所望の波長範囲の戻り光を受光して複数の分光分布を取得することが可能な眼科装置の構成を簡素化することができる。
いくつかの実施形態では、照明光学系は、出射光の波長範囲を変更可能な光源(11B、11E、11H、11L)を含む。
このような構成によれば、照明側及び受光側のそれぞれに波長範囲選択部材を設けることなく、簡素な構成で複数の分光分布を取得することが可能眼科装置を提供することができるようになる。
以上に示された実施形態は、この発明を実施するための一例に過ぎない。この発明を実施しようとする者は、この発明の要旨の範囲内において任意の変形、省略、追加等を施すことが可能である。