JP7778552B2 - 接合部評価方法 - Google Patents

接合部評価方法

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特許法第30条第2項適用 令和3年3月25日 一般社団法人日本鋼構造協会発行 JSSC鋼構造論文集 第28巻 第109号 117頁~129頁にて公開
本発明は、接合部評価方法に関する。
下記特許文献1には、鋼管壁面外曲げの全塑性耐力を、降伏線理論から導出される式によって評価することが記載されている。
一方、下記特許文献2には、鋼管に梁接合用ブラケット(鉄骨梁)を接合した柱梁の接合構造が示されている。この接合構造では、鉄骨梁の幅が、鋼管の幅に対して大きい。
特開2018-115541号公報 特開2000-257159号公報
上記特許文献1に記載された降伏線理論では、鋼管において鉄骨梁が接合された辺が、亀甲状の降伏線を描いてはらみ出す場合の全塑性耐力を評価することができる。
一方、上記特許文献2のように、鉄骨梁の梁幅が大きい場合は、鋼管において鉄骨梁が接合された辺と交わる辺による拘束効果が生じるため、鋼管の変形が抑制され、降伏線が亀甲状に形成されないことがある。また、鉄骨梁が接合される鋼管の長さが短い場合は、鉄骨梁が接合された辺に降伏線が納まらず、亀甲状の降伏線を描かないことがある。
これらの場合、亀甲状の降伏線を描いてはらみ出すことを前提とした特許文献1に示されたような評価方法では、鋼管と鉄骨梁との接合部の構造特性を適切に評価することは難しい。
本発明は、上記事実を考慮して、鋼管と鉄骨梁との接合部の構造特性を適切に評価できる接合部評価方法を提供することを目的とする。
請求項1の接合部評価方法は、仕口板及び前記仕口板と直交する側面板で構成された角型鋼管と、前記仕口板に接合された鉄骨梁と、の接合部の構造特性を、前記鉄骨梁のフランジと側面板との重なり幅又は距離に応じた前記側面板の拘束効果及び前記角型鋼管の長さを用いて評価する。
請求項1の接合部評価方法では、角型鋼管における鉄骨梁が接合された仕口板と直交する側面板による拘束効果を用いて、角型鋼管と鉄骨梁との接合部の構造特性を評価する。これにより、角型鋼管の幅に対して鉄骨梁の幅が大きい場合でも、構造特性を適切に評価できる。
また、この接合部評価方法では、角型鋼管の長さを用いて、角型鋼管と鉄骨梁との接合部の構造特性を評価する。これにより、角型鋼管の長さが短い場合でも、構造特性を適切に評価できる。
請求項2の接合部評価方法は、仕口板及び前記仕口板と直交する側面板で構成された角型鋼管と、前記仕口板に接合された鉄骨梁と、の接合部の構造特性を、前記側面板による拘束効果及び前記角型鋼管の長さを用いて評価すると共に、前記鉄骨梁に引張力が作用した際の、下記3つの降伏モードにおけるそれぞれの塑性耐力から、前記構造特性としての塑性耐力を評価する。
降伏モード1:前記仕口板が面外に盛り上り形成される降伏線における上端部及び下端部の双方が前記仕口板内に形成される降伏モード。
降伏モード2:前記仕口板が面外に盛り上り形成される降伏線における上端部及び下端部の双方が前記仕口板内に形成されない降伏モード。
降伏モード3:前記仕口板が面外に盛り上り形成される降伏線における上端部及び下端部の一方が前記仕口板内に形成され、他方が前記仕口板内に形成されない降伏モード。
請求項2の接合部評価方法では、角型鋼管の幅に対して鉄骨梁の幅が大きい場合や角型鋼管の長さが短い場合でも、塑性耐力を適切に評価できる。
請求項3の接合部評価方法は、仕口板及び前記仕口板と直交する側面板で構成された角型鋼管と、前記仕口板に接合された鉄骨梁と、の接合部の構造特性を、前記側面板による拘束効果及び前記角型鋼管の長さを用いて評価すると共に、前記鉄骨梁に引張力が作用した際の、下記3つの終局破壊モードにおけるそれぞれの最大耐力から、前記構造特性としての最大耐力を評価する。
終局破壊モード1:前記仕口板と前記側面板とのへき開破壊による終局破壊モード。
終局破壊モード2:前記仕口板の前記側面板に沿うせん断破壊による終局破壊モード。
終局破壊モード3:前記仕口板の前記鉄骨梁に沿うせん断破壊による終局破壊モード。
請求項3の接合部評価方法では、角型鋼管の幅に対して鉄骨梁の幅が大きい場合や角型鋼管の長さが短い場合でも、最大耐力を適切に評価できる。
請求項4の接合部評価方法は、仕口板及び前記仕口板と直交する側面板で構成された角型鋼管と、前記仕口板に接合された鉄骨梁と、の接合部の構造特性を、前記側面板による拘束効果及び前記角型鋼管の長さを用いて評価すると共に、前記構造特性は、前記鉄骨梁に引張力を作用させたときにおける前記接合部の初期剛性であり、前記鉄骨梁の幅をBb、前記鉄骨梁が接合された部分の前記仕口板の幅をBc、前記角型鋼管の長さをLcとして、Bb/Bc及びLc/Bcを用いて、前記初期剛性の推定式を導出する。
請求項4の接合部評価方法では、角型鋼管の幅に対して鉄骨梁の幅が大きい場合や角型鋼管の長さが短い場合でも、初期剛性を適切に評価できる。
本発明によると、鋼管と鉄骨梁との接合部の構造特性を適切に評価できる。
本発明の接合部評価方法が適用される角型鋼管が埋設された柱と鉄骨梁との接合部を示す斜視図である。 本発明の接合部評価方法が適用される角型鋼管と鉄骨梁との接合部を示す斜視図である。 本発明の接合部評価方法において、塑性耐力を評価する降伏モード1を示す仕口板の立面図及び側面板の半立面図である。 本発明の接合部評価方法において、塑性耐力を評価する降伏モード2を示す仕口板の立面図及び側面板の半立面図である。 本発明の接合部評価方法において、塑性耐力を評価する降伏モード3を示す仕口板の立面図及び側面板の半立面図である。 本発明の接合部評価方法において、最大耐力を評価する終局破壊モード1を示す仕口板の立面図及び側面板の半立面図である。 本発明の接合部評価方法において、最大耐力を評価する終局破壊モード2を示す仕口板の立面図及び側面板の半立面図である。 本発明の接合部評価方法において、最大耐力を評価する終局破壊モード3を示す仕口板の立面図及び側面板の半立面図である。 本発明の接合部評価方法において、初期剛性を評価する解析モデルを示す斜視図である。
以下、本開示の実施形態に係る接合部評価方法について、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。但し、明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本開示は以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において構成を省略する又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
<接合部>
図1Aには、鉄筋コンクリート製(仕口部においては鉄骨鉄筋コンクリート製)の柱30と鉄骨梁24との接合部10が示されている。接合部10において、鉄骨梁24は4本設けられている。それぞれの鉄骨梁24は、平面視で矩形状の柱30における、それぞれの側面に接合されている。鉄骨梁24のうちの1本(鉄骨梁24A)は、他の鉄骨梁24と異なる高さに配置されている。
図1Bに示すように、それぞれの鉄骨梁24は、角型鋼管22に接合されている。この角型鋼管22は、柱30の「仕口部」に埋設された、鉄骨梁24の接合用部材であり、柱30の長手方向の全長に亘って埋設されたものではない。角型鋼管22の内部には、柱30に埋設された状態で、コンクリートが充填されている。角型鋼管22は、ロール成形品でもよく、4枚の板材を溶接で組付けたものでもよい。
本明細書においては、この角型鋼管22と鉄骨梁24とで形成される部材を、仕口部材20と称す。本発明の「接合部」とは、仕口部材20における、角型鋼管22と各鉄骨梁24との接合部Jを示している。
接合部20においては、他の鉄骨梁24と高さが異なる鉄骨梁24Aと、鉄骨梁24Aと同軸上に配置された鉄骨梁24Bとの間で軸力を伝達するために、鉄骨梁24A及び24Bの梁幅が大きく形成されている。
具体的には、鉄骨梁24A及び24B(以下、鉄骨梁24と称す)は、図2Aに示すように、鉄骨梁24の軸方向から見て、角型鋼管22における側面板22Bと重なっている。側面板22Bとは、角型鋼管22において、鉄骨梁24が接合された仕口板22Aと直交する板である。
なお、図2Aは、鉄骨梁24から角型鋼管22に作用する引張力による角型鋼管22の変形を模式的に示した図である。この図においては、鉄骨梁24において、引張力を受けるフランジ板のみが図示されている。一方、鉄骨梁24において、圧縮力を受けるフランジ板及びウェブは図示が省略されている。図2B、図2C、図3A~図3Cについても同様である。
また、鉄骨梁24の梁幅をBb、角型鋼管22の幅をBc、側面板22Bの厚みをtcとすると、不等式(Bc-2tc<Bb≦Bc)が成立する。
つまり、鉄骨梁24A及び24Bは、少なくとも、角型鋼管22における側面板22Bと「重ならない」梁より、梁幅が大きい。また、鉄骨梁24A及び24Bは、梁幅が(Bc-2tc)以下の梁より、梁幅が大きい。
このように、本発明の「接合部評価方法」が適用される接合部Jにおいては、角型鋼管22の幅に対して鉄骨梁24A及び24Bの梁幅が大きい。このような接合部Jにおいては、構造特性を評価する際に、角型鋼管22において鉄骨梁24A及び24Bが接合された辺(仕口板22A)と交わる辺(側面板22B)による拘束効果を考慮することが好ましい。
また、接合部Jにおいては、鉄骨梁24A及び24Bが接合される角型鋼管22の長さが短い(柱30の長さと比較して短い)。このような接合部Jにおいては、構造特性を評価する際に、角型鋼管22の長さを考慮することが好ましい。
なお、角型鋼管22は、必ずしも柱30に埋設しなくてもよい。例えば、角型鋼管22自体が柱(CFT柱)を形成していてもよい。また、後述する本発明の「接合部評価方法」は、角型鋼管22の長さに関わらず適用できる。
さらに、鉄骨梁24A及び24Bは、角型鋼管22における側面板22Bと重なっていなくてもよいし、梁幅を(Bc-2tc)以下としてもよい。つまり、後述する本発明の「接合部評価方法」は、角型鋼管22に対する鉄骨梁24の梁幅に関わらず適用できる。
<接合部評価方法>
本発明の「接合部評価方法」とは、一例として、角型鋼管22と鉄骨梁24との接合部Jの構造特性の評価方法である。「構造特性」とは、具体的に、鉄骨梁24に引張力が作用した際の、接合部Jの「塑性耐力」、「最大耐力」及び「初期剛性」の何れかである。
本発明の「接合部評価方法」によると、角型鋼管22の幅に対して鉄骨梁24の幅が大きい場合でも、接合部Jの構造特性を適切に評価できる。また、角型鋼管22の長さが短い場合でも、接合部Jの構造特性を適切に評価できる。
<接合部評価方法-塑性耐力>
接合部Jの塑性耐力を評価するためには、以下に示す降伏モード1、2、3のそれぞれの降伏モードにおいて、塑性耐力を評価する。
降伏モード1:図2Aに示すように、仕口板22Aが面外に盛り上り形成される降伏線K1における上端部及び下端部の双方が、仕口板22A内に形成される降伏モード。降伏線K1は、亀甲状に形成される。
降伏モード2:図2Bに示すように、仕口板22Aが面外に盛り上り形成される降伏線K2における上端部及び下端部の双方が、仕口板22A内に形成されない降伏モード。角型鋼管22が短い(鉄骨梁24のフランジから角型鋼管22の上下端までの距離が短い)ために、降伏線K2は亀甲状に形成されない。
降伏モード3:図2Cに示すように、仕口板22Aが面外に盛り上り形成される降伏線K3における上端部及び下端部の一方(本例では下端部)が仕口板22A内に形成され、他方(本例では上端部)が仕口板22A内に形成されない降伏モード。角型鋼管22が短い(鉄骨梁24のフランジから角型鋼管22の上端までの距離が短い)ために、降伏線K3の上側は亀甲状に形成されない。
(凡例)
本明細書の各式において示される値が示すものは次の通りである。
M0=tc 2σcy/4 仕口板22Aの単位長さ当たりの面外曲げ全塑性モーメント
σcy 角型鋼管22の降伏強度
σby 鉄骨梁24において引張力を受けるフランジ板の降伏強度
σu 角型鋼管22の引張強度
tc 仕口板22A及び側面板22Bの厚さ
tf 鉄骨梁24において引張力を受けるフランジ板の厚さ
tr 溶接部を含めたフランジ板の厚さ
Bc 角型鋼管22の幅
Bb フランジ板の幅
lc フランジ板から角型鋼管22の上端面及び下端面までの長さ
l'c フランジ板から角型鋼管22の下端面までの長さ(図2C参照)
m フランジ板の縁端と角型鋼管22の端部までの距離
bc Bc-2tc
x1 降伏線K1における最大突出部と非突出部との上下方向に沿う距離
y1 降伏線K1における最大突出部と非突出部との横方向に沿う距離
y2 降伏線K2における最大突出部と非突出部との横方向に沿う距離
x3 降伏線K3における最大突出部と非突出部との上下方向に沿う距離
y3 降伏線K3における最大突出部と非突出部との横方向に沿う距離
(降伏モード1)
図2Aに示す降伏モード1の塑性耐力Pは、次の(1)式に示すように、外力Pと変位δによる仕事量と、仕口板22Aにおける降伏線Kの部分の面外曲げによる塑性変形と、鉄骨梁24のフランジ板縁端部の軸方向引張による塑性変形から推定される内部エネルギーとのつり合いから求めることができる。
ここで、(1)式を展開してδを消すことで(2)式が導出される。また、(2)式の右辺の内部エネルギーを最小とするx1の値は(3)式により得られる。この(3)式で得られるx1を(2)式に代入することで、降伏モード1における塑性耐力Pが算出される。
(降伏モード2)
図2Bに示す降伏モード2の塑性耐力Pは、(4)式で示される。(2)式の右辺の内部エネルギーを最小とするy2の値は(5)式により得られる。この(5)式で得られるy2を(4)式に代入することで、降伏モード2における塑性耐力Pが算出される。
(降伏モード3)
図2Cに示す降伏モード3の塑性耐力Pは、(6)式で示される。(6)式の右辺の内部エネルギーを最小とするx3の値は(7)式により得られる。この(7)式で得られるx3を(6)式に代入することで、降伏モード3における塑性耐力Pが算出される。
(接合部の塑性耐力)
接合部Jの塑性耐力Ppclは、上記の各モードにおける評価で算出した塑性耐力P、P、及びPを用いて、次の(8)式で示される。
なお、(8)式におけるPsは、側面板22Bの拘束効果による塑性耐力の増分であり、以下の(9)式で示される。(9)式におけるysは、角型鋼管22の幅と鉄骨梁24のフランジ板の幅との関係を示す値であり、(10)式で示される。これらの(9)式及び(10)式で得られる値を(8)式に代入することで、接合部Jの塑性耐力Ppclが算出される。
以上説明したように、接合部Jの塑性耐力Ppclは、(8)式に示すように、側面板22Bによる拘束効果を用いて評価され、(4)式及び(6)式に示すように、角型鋼管22の長さを用いて評価されている。
具体的には、(8)式では、側面板22Bの拘束効果による塑性耐力の増分である値Psを用いているため、接合部Jの塑性耐力Ppclは、側面板22Bによる拘束効果を用いて評価されていると言える。
また、(4)式及び(6)式では、鉄骨梁24におけるフランジ板から角型鋼管22の上端面及び下端面までの長さlcを用いているため、接合部Jの最大耐力Pmctは、角型鋼管22の長さを用いて評価されていると言える。
このように、本発明の接合部評価方法によると、角型鋼管22の幅に対して鉄骨梁24の幅が大きい場合や角型鋼管22の長さが短い場合でも、塑性耐力を適切に評価できる。
<接合部評価方法-最大耐力>
接合部Jの最大耐力を評価するためには、以下に示す終局破壊モード1、2、3のそれぞれの終局破壊モードにおいて、最大耐力を評価する。
終局破壊モード1:図3Aに示すように、仕口板22Aと側面板22Bとのへき開(分離)破壊による終局破壊モード。破断線L1は、仕口板22Aの両側の側面板22Bに形成される引張破断線である。また、破断線L1は、側面板22Bに、仕口板22Aに沿って上下方向に形成される。
終局破壊モード2:図3Bに示すように、仕口板22Aの側面板22Bに沿うせん断破壊による終局破壊モード。破断線L2は、仕口板22Aに、鉄骨梁24のフランジ板の両側に形成されるせん断破断線である。また、破断線L2は、仕口板22Aに、側面板22Bに沿って上下方向に形成される。
終局破壊モード3:図3Cに示すように、仕口板22Aの鉄骨梁24に沿うせん断破壊による終局破壊モード。破断線L3は、鉄骨梁24のフランジ板の両側に形成されるせん断破断線である。また、破断線L3は、フランジ板両端部の縁に沿って形成される。
(終局破壊モード1)
図3Aに示す終局破壊モード1の最大耐力Pは、次の(11)式に示すように、側面板22Bの引張破断耐力から算出する。この式における(2tc+tr)は、図3Aに示すように、引張応力の広がりを考慮した破断線L1の長さであり、tcは側面板22Bの板厚である。つまり、この式における(2tc+tr)tcは、側面板22Bの引張破断される断面積である。
(終局破壊モード2)
図3Bに示す終局破壊モード2の最大耐力Pは、次の(12)式に示すように、仕口板22Aのせん断破断耐力から算出する。この式における(2xp+tr)は、図3Aに示すように、せん断応力の広がりを考慮した破断線L2の長さであり、tcは仕口板22Aの板厚である。つまり、この式における(2xp+tr)tcは、仕口板22Aのせん断破断される断面積である。
(終局破壊モード3)
図3Cに示す終局破壊モード3の最大耐力Pは、次の(13)式に示すように、仕口板22Aのせん断破断耐力から算出する。この式における{Bb+2(tc+yp+tr)-Bc}は、図3Cに示す、せん断破断が考慮される鉄骨梁24のフランジ板の幅方向端部の縁に沿う破断線L3の長さであり、tcは仕口板22Aの板厚である。つまり、この式における{Bb+2(tc+yp+tr)-Bc}tcは、仕口板22Aのせん断破断される断面積である。
なお、(12)式におけるxpは、(8)~(10)式において塑性耐力Ppclを決定した降伏モード(降伏モード1~3の何れか)におけるxの値(x1、x3の何れか)とする。ただし降伏モード2によって塑性耐力が決定される場合、xpはx1とする。
また、(13)式におけるypは、(8)~(10)式において塑性耐力Ppclを決定した降伏モード(降伏モード1~3の何れか)におけるyの値(y1、y2、y3の何れか)とする。なお、y1=2x1 2/Bc、y3=2x3 2/Bcである。
なお、xpは、xの値(x1、x2、x3)を用いて、以下の(14)式によって算出される。但し、x1=x2とする。また、ypは、yの値(y1、y2、y3)を用いて、以下の(15)式によって算出される。
接合部Jの最大耐力Pmctは、上記の各モードにおける評価で算出した最大耐力P、P、及びPを用いて、次の(16)式で示される。
以上説明したように、接合部Jの最大耐力Pmctは、終局破壊モード1及び2に示すように、側面板22Bによる拘束効果を用いて評価され、終局破壊モード2及び3に示すように、角型鋼管22の長さを用いて評価されている。
具体的には、終局破壊モード1及び2は、側面板22Bがあることにより生じる破壊モードであるため、接合部Jの最大耐力Pmctは、側面板22Bによる拘束効果を用いて評価されていると言える。
また、終局破壊モード2及び3で用いられるxp及びypは、角型鋼管22の長さ以上とならない数値であるx1及びx3を用いて計算されているため、接合部Jの最大耐力Pmctは、角型鋼管22の長さを用いて評価されていると言える。
このように、本発明の接合部評価方法では、角型鋼管22の幅に対して鉄骨梁24の幅が大きい場合や角型鋼管22の長さが短い場合でも、最大耐力を適切に評価できる。
<接合部評価方法-初期剛性>
接合部Jの初期剛性を評価するためには、接合部Jの初期剛性の推定式を、有限要素法解析(FEM解析)を用いて導出する。解析モデルとしては、図4に示す1/4対象モデルを用いる。つまり、角型鋼管22を、仕口板22Aの幅方向中心線CL1及び側面板22Bの幅方向中心線CL2で4つに分割したうちの1つを、有限要素法解析の解析対象とする。
解析パラメータとしては、角型鋼管22の幅Bc、角型鋼管22の幅厚比Bc/tc、角型鋼管22の幅に対する角型鋼管22の長さLc/Bc、角型鋼管22の幅に対する鉄骨梁24のフランジ幅Bb/Bc,フランジ幅厚比Bb/tbの5種類を用いる。
これらのパラメータの設定手順としては、まずBcを設定し、Bcを元に、Bc/tc、Lc/Bc、Bb/Bcからtc、Lc、Bbを設定する。さらに、設定したBbを元に、Bb/tbからtbを設定する。
それぞれのパラメータは、Bc=100~900mmとして100mm刻みで9タイプ、(Bc/tc)-1=0.04~0.2として0.04刻みで5タイプ、Lc/Bc=1.0~3.0として1.0刻みで3タイプ、Bb/Bc=0.2~1.0として0.2刻みで5タイプ、(Bb/tb)-1=0.04~0.2として0.04刻みで5タイプ設定し、合計9×5×3×5×5=3375ケースのFEM解析を実施する。これにより、仕口部の初期剛性が解析値(Kfem)として得られる。
また、これらのパラメータと、初期剛性の解析値(Kfem)と、を用いて、初期剛性の推定値(Kcal)が以下の(17)式のように導出される。(17)式は、各パラメータを用いて、解析値(Kfem)にできるだけ近い推定値(Kcal)を算出するための式である。
(17)式を導出するためには、まず、Kfemと、パラメータやパラメータ比との間に一定の相関関係があるか否かを確認し、相関があるパラメータを用いた近似式でKfemを表す。その後、その近似式に使用する係数に対して、パラメータと相関関係を有するか否かを確認し、近似式を立てる。同様のことを繰り返すことで(17)式が導出される。
以上説明したように、接合部Jの初期剛性Kcalは、(17)式に示すように、側面板22Bによる拘束効果を用いて評価され、FEM解析のパラメータに示すように、角型鋼管22の長さを用いて評価されている。
具体的には、(17)式にはBb/Bc(鉄骨梁24の幅/角型鋼管22の幅)が用いられているため、接合部Jの初期剛性Kcalは、側面板22Bによる拘束効果を用いて評価されていると言える。
また、FEM解析のパラメータとして、角型鋼管22の長さLcが用いられているため、接合部Jの初期剛性Kcalは、角型鋼管22の長さを用いて評価されていると言える。
このように、本発明の接合部評価方法では、角型鋼管22の幅に対して鉄骨梁24の幅が大きい場合や角型鋼管22の長さが短い場合でも、初期剛性を適切に評価できる。
22 角型鋼管
22A 仕口板
22B 側面板
24 鉄骨梁
J 接合部

Claims (4)

  1. 仕口板及び前記仕口板と直交する側面板で構成された角型鋼管と、前記仕口板に接合された鉄骨梁と、の接合部の構造特性を、前記鉄骨梁のフランジと側面板との重なり幅又は距離に応じた前記側面板の拘束効果及び前記角型鋼管の長さを用いて評価する、接合部評価方法。
  2. 仕口板及び前記仕口板と直交する側面板で構成された角型鋼管と、前記仕口板に接合された鉄骨梁と、の接合部の構造特性を、前記側面板による拘束効果及び前記角型鋼管の長さを用いて評価すると共に、
    前記鉄骨梁に引張力が作用した際の、下記3つの降伏モードにおけるそれぞれの塑性耐力から、前記構造特性としての塑性耐力を評価する、接合部評価方法。
    降伏モード1:前記仕口板が面外に盛り上り形成される降伏線における上端部及び下端部の双方が前記仕口板内に形成される降伏モード。
    降伏モード2:前記仕口板が面外に盛り上り形成される降伏線における上端部及び下端部の双方が前記仕口板内に形成されない降伏モード。
    降伏モード3:前記仕口板が面外に盛り上り形成される降伏線における上端部及び下端部の一方が前記仕口板内に形成され、他方が前記仕口板内に形成されない降伏モード。
  3. 仕口板及び前記仕口板と直交する側面板で構成された角型鋼管と、前記仕口板に接合された鉄骨梁と、の接合部の構造特性を、前記側面板による拘束効果及び前記角型鋼管の長さを用いて評価すると共に、
    前記鉄骨梁に引張力が作用した際の、下記3つの終局破壊モードにおけるそれぞれの最大耐力から、前記構造特性としての最大耐力を評価する、接合部評価方法。
    終局破壊モード1:前記仕口板と前記側面板とのへき開破壊による終局破壊モード。
    終局破壊モード2:前記仕口板の前記側面板に沿うせん断破壊による終局破壊モード。
    終局破壊モード3:前記仕口板の前記鉄骨梁に沿うせん断破壊による終局破壊モード。
  4. 仕口板及び前記仕口板と直交する側面板で構成された角型鋼管と、前記仕口板に接合された鉄骨梁と、の接合部の構造特性を、前記側面板による拘束効果及び前記角型鋼管の長さを用いて評価すると共に、
    前記構造特性は、前記鉄骨梁に引張力を作用させたときにおける前記接合部の初期剛性であり、
    前記鉄骨梁の幅をBb、前記鉄骨梁が接合された部分の前記仕口板の幅をBc、前記角型鋼管の長さをLcとして、Bb/Bc及びLc/Bcを用いて、前記初期剛性の推定式を導出する、接合部評価方法。
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