以下、ここで開示される技術の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、ここで説明される実施形態は、本願の特許請求の範囲に記載された発明を限定することを意図したものではない。各図面は模式的に描かれており、必ずしも実際の実施品が忠実に反映されたものではない。また、同一の作用を奏する部材・部位には、適宜に同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略される。
図1は、本実施形態に係る圧縮ロール装置10を模式的に示す正面図である。図1に示すように、本実施形態に係る圧縮ロール装置10は、電極シート5を圧縮させる装置である。電極シート5の種類は特に限定されない。例えば電極シート5は、いわゆる二次電池において使用されるものである。ここでいう二次電池とは、電解液を介して一対の電極(例えば正極および負極)の間で電荷担体が移動することによって繰り返し充放電が可能な電池のことである。電極シート5は、捲回または積層された状態で、電解液が注入されたケースに収容される。
図2は、電極シート5の一例を模式的に示す断面図である。図2に示すように、電極シート5は、シート状の集電体6と、集電体6の表面に形成され、電極活物質を含む電極活物質層7とを有している。図2の一例では、電極活物質層7は、集電体6の両面に形成されているが、集電体6の片面に形成されていてもよい。ここで、電極シート5が正極用のシートの場合には、集電体6は、良好な導電性を有する金属製のものであり、例えばアルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼などの金属材料によって形成され得る。正極用の電極活物質層7では、電極活物質として、いわゆる正極活物質、例えば層状構造やスピネル構造などのリチウム複合金属酸化物が使用され得る。電極シート5が負極用のシートの場合には、集電体6は、良好な導電性を有する金属製のものであり、例えば銅(銅箔)、または、銅を主体とする合金によって形成され得る。負極用の電極活物質層7では、電極活物質として、いわゆる負極活物質、例えば少なくとも一部にグラファイト構造(例えば層状構造)を含む粒子状(あるいは球状、鱗片状)の炭素材料、リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム遷移金属複合窒化物などが使用され得る。
図1に示す圧縮ロール装置10は、上記のような電極シート5を圧縮させて、電極シート5の集電体6と電極活物質層7とを圧縮成形させる装置である。本実施形態では、図1に示すように、圧縮ロール装置10は、一対の圧縮ロール20を備えている。一対の圧縮ロール20は、電極シート5を挟んで圧縮させるものである。ここでは、一対の圧縮ロール20のうちの一方の圧縮ロール20を第1圧縮ロール21ともいい、他方の圧縮ロール20を第2圧縮ロール22ともいう。本実施形態では、一対の圧縮ロール20は、上下に並んで配置されている。ここでは、第1圧縮ロール21は、第2圧縮ロール22の上方に配置されている。本実施形態では、電極シート5は、第1圧縮ロール21と第2圧縮ロール22との間に配置された状態で、第1圧縮ロール21および第2圧縮ロール22が回転することで圧縮される。
本実施形態では、第1圧縮ロール21と第2圧縮ロール22とは同じ構成である。以下では、第1圧縮ロール21および第2圧縮ロール22に対して共通する説明の場合には、圧縮ロール20という文言を用いることとする。
本実施形態では、圧縮ロール20は、軸方向D1に延びている。ここでは、軸方向D1は左右方向である。ただし、この方向は、説明の便宜上定めたものであり、本実施形態および本発明の態様を特に限定するものではない。
図1に示すように、圧縮ロール20は、回転軸25と、ロール本体26とを有している。回転軸25は、軸方向D1に延びた棒状のものである。ロール本体26は、回転軸25を周方向に覆うように、回転軸25の周方向に沿って設けられている。ロール本体26は、軸方向D1に延びた筒状のものである。ここでは、筒状のロール本体26に回転軸25が挿入されている。回転軸25は、ロール本体26から軸方向D1の一端側に突出しており、かつ、ロール本体26から軸方向D1の他端側に突出している。すなわち、回転軸25は、ロール本体26から左方および右方に延びている。
本実施形態では、圧縮ロール装置10は、装置フレーム30と、一対の第1メイン支持部31と、一対の第2メイン支持部32と、一対の第1サブ支持部33と、一対の第2サブ支持部34とを備えている。ここでは、第1圧縮ロール21は、一対の第1メイン支持部31と、一対の第1サブ支持部33に対して回転可能に支持されている。一方の第1メイン支持部31aは、第1圧縮ロール21の回転軸25の一端部(ここでは左端部)を回転可能に支持し、他方の第1メイン支持部31bは、第1圧縮ロール21の回転軸25の他端部(ここでは右端部)を回転可能に支持している。ここでは、一方の第1メイン支持部31aには、第1左メイン軸受31cが設けられており、第1左メイン軸受31cに第1圧縮ロール21の回転軸25が回転可能に挿入されている。他方の第1メイン支持部31bには、第1右メイン軸受31dが設けられており、第1右メイン軸受31dに第1圧縮ロール21の回転軸25が回転可能に挿入されている。
一対の第1サブ支持部33は、一対の第1メイン支持部31よりも第1圧縮ロール21の外方において、一対の第1メイン支持部31と軸方向D1に並んで配置されている。一対の第1サブ支持部33は、一対の第1メイン支持部31に支持された第1圧縮ロール21の回転軸25の部分よりも端の部分を回転可能に支持する。ここでは、一方の第1サブ支持部33aは、第1圧縮ロール21の回転軸25の一端部を回転可能に支持し、他方の第1サブ支持部33bは、第1圧縮ロール21の回転軸25の他端部を回転可能に支持する。詳しくは、一方の第1サブ支持部33aには、第1左サブ軸受33cが設けられており、第1左サブ軸受33cに第1圧縮ロール21の回転軸25が回転可能に挿入されている。他方の第1サブ支持部33bには、第1右サブ軸受33dが設けられており、第1右サブ軸受33dに第1圧縮ロール21の回転軸25が回転可能に挿入されている。
第2圧縮ロール22は、一対の第2メイン支持部32と、一対の第2サブ支持部34に対して回転可能に支持されている。一対の第2メイン支持部32は、一対の第1メイン支持部31の下方に配置されている。一方の第2メイン支持部32aは、第2圧縮ロール22の回転軸25の一端部(ここでは左端部)を回転可能に支持し、他方の第2メイン支持部32bは、第2圧縮ロール22の回転軸25の他端部(ここでは右端部)を回転可能に支持している。詳しくは、一方の第2メイン支持部32aには、第2左メイン軸受32cが設けられ、第2左メイン軸受32cに第2圧縮ロール22の回転軸25が回転可能に挿入されている。他方の第2メイン支持部32bには、第2右メイン軸受32dが設けられており、第2右メイン軸受32dに第2圧縮ロール22の回転軸25が回転可能に挿入されている。
一対の第2サブ支持部34は、一対の第1サブ支持部33の下方に配置されている。一対の第2サブ支持部34は、一対の第2メイン支持部32よりも第2圧縮ロール22の外方において、一対の第2メイン支持部32と軸方向D1に並んで配置されている。一対の第2サブ支持部34は、一対の第2メイン支持部32に支持された第2圧縮ロール22の回転軸25の部分よりも端の部分を回転可能に支持する。ここでは、一方の第2サブ支持部34aは、第2圧縮ロール22の回転軸25の一端部を回転可能に支持し、他方の第2サブ支持部34bは、第2圧縮ロール22の回転軸25の他端部を回転可能に支持する。詳しくは、一方の第2サブ支持部34aには、第2左サブ軸受34cが設けられており、第2左サブ軸受34cに第2圧縮ロール22の回転軸25が回転可能に挿入されている。他方の第2サブ支持部34bには、第2右サブ軸受34dが設けられており、第2右サブ軸受34dに第2圧縮ロール22の回転軸25が回転可能に挿入されている。
本実施形態では、第1メイン支持部31と、第2メイン支持部32と、第1サブ支持部33と、第2サブ支持部34は、装置フレーム30に支持されている。ここでは、一対の第2メイン支持部32は、装置フレーム30に対して固定の位置に配置される。第1メイン支持部31、第1サブ支持部33、および第2サブ支持部34は、装置フレーム30に対して上下方向に移動可能に構成されている。ここでは、一対の第1メイン支持部31は、メインシリンダ40を介して装置フレーム30に設けられている。そのため、一対の第1メイン支持部31および第1圧縮ロール21が、メインシリンダ40を介して装置フレーム30に対して上下方向に移動することで、第1圧縮ロール21と第2圧縮ロール22との間隔を調整することができる。このことによって、電極シート5の厚みに応じて、第1圧縮ロール21と第2圧縮ロール22との間隔を調整することができる。第1圧縮ロール21と第2圧縮ロール22との間隔を調整することによって、第1圧縮ロール21と第2圧縮ロール22とによって挟まれた電極シート5に掛かる圧力を調整することができる。
本実施形態では、一対の第1サブ支持部33は、第1ベンドシリンダ41を介して装置フレーム30に設けられている。ここでは、第1ベンドシリンダ41を介して一対の第1サブ支持部33を上下方向に移動させることで、第1圧縮ロール21の回転軸25の両端部を上下に移動させて、第1圧縮ロール21を上下に撓ませることができる。同様に、一対の第2サブ支持部34は、第2ベンドシリンダ42を介して装置フレーム30に設けられている。ここでは、第2ベンドシリンダ42を介して一対の第2サブ支持部34を上下方向に移動させることで、第2圧縮ロール22の回転軸25の両端部を上下に移動させて、第2圧縮ロール22を上下に撓ませることができる。このように、第1圧縮ロール21および第2圧縮ロール22を上下に撓ませることで、電極シート5に対して均等に圧力が掛かるように調整することができる。
本実施形態では、圧縮ロール20は、いわゆるクラウン形状である。後述の電磁誘導発生装置60によって圧縮ロール20の両端部が誘導加熱される前において、圧縮ロール20(ここでは、第1圧縮ロール21および第2圧縮ロール22)の両端部の直径D11は、圧縮ロール20の軸方向D1の中央部分(典型的には、中心)の直径D12よりも小さい。ここで、圧縮ロール20の両端部とは、電極シート5を圧縮させるときに、電極シート5が接触可能な圧縮ロール20の部分における軸方向D1の両端部のことをいう。ここでは、圧縮ロール20のうち、ロール本体26(例えばロール本体26の表面)は、電極シート5と接触するが、回転軸25は電極シート5と接触しない。そのため、圧縮ロール20の両端部とは、ロール本体26における軸方向D1の両端部と言い換えられる。ここでは、圧縮ロール20のロール本体26の両端部の直径D11は、圧縮ロール20の中央部分の直径D12よりも小さい。本実施形態では、平面視において、圧縮ロール20の両端部の端から軸方向D1の中心に向かう外郭を示す線(言い換えると、圧縮ロール20の両端部を結ぶ外郭を示す線)は、斜めに延びた直線状であるが、曲線状であってもよい。また、本実施形態では、圧縮ロール20の両端部は、平坦であるが、曲面であってもよい。
図1に示すように、一対の圧縮ロール20には、駆動源50が接続されている。駆動源50は、第1圧縮ロール21および第2圧縮ロール22を、回転軸25を中心に回転させるためのものである。駆動源50は、例えば駆動モータおよびギアによって構成されているが、その構成は特に限定されない。駆動源50は、第1圧縮ロール21と、第2圧縮ロール22に対して別々に設けられてもよいし、共通のものであってもよい。また、駆動源50は、第1圧縮ロール21および第2圧縮ロール22のうち一方のロールにのみ接続されてもよい。すなわち、一対の圧縮ロール20のうち一方が駆動用のロールであり、他方が従動用のロールであってもよい。
本実施形態では、図1に示すように、圧縮ロール装置10は、電磁誘導発生装置60を備えている。電磁誘導発生装置60は、電磁誘導を発生させて、一対の圧縮ロール20(ここでは、第1圧縮ロール21および第2圧縮ロール22)の両端部を誘導加熱する装置である。電磁誘導発生装置60は、一対の圧縮ロール20の両端部(ここでは、ロール本体26の軸方向D1の両端部)に離間して設けられている。
なお、電磁誘導発生装置60の構成は、特に限定されない。図3は、圧縮ロール装置10を示す正面図であり、圧縮ロール20および電磁誘導発生装置60のコイル65を模式的に示す図である。図4は、圧縮ロール装置10を軸方向D1から見たときの側面図であり、圧縮ロール20および電磁誘導発生装置60のコイル65を模式的に示す図である。本実施形態では、図4に示すように、電磁誘導発生装置60は、コイル65と、電流発生器70とを有している。図3に示すように、コイル65は、圧縮ロール20の両端部に離間するように設けられている。ここでは、図1に示すように、コイル65は、圧縮ロール20のロール本体26の両端部よりも外方であって、回転軸25の周りに配置されている。
詳しくは、コイル65は、第1圧縮ロール21のロール本体26と一方の第1メイン支持部31aとの間に配置されたコイル65aと、第1圧縮ロール21のロール本体26と他方の第1メイン支持部31bとの間に配置されたコイル65bと、第2圧縮ロール22のロール本体26と一方の第2メイン支持部32aとの間に配置されたコイル65cと、第2圧縮ロール22のロール本体26と他方の第2メイン支持部32bとの間に配置されたコイル65dと、を有している。なお、コイル65a、65b、65c、65dは、それぞれ回転軸25を周方向に囲むように複数設けられている。なお、図1において、図面を見易くするために、コイル65a、65b、65c、65dは四角の図形に略している。本実施形態では、コイル65a、65b、65c、65dのそれぞれの構成は同じである。そのため、以下では、コイル65a、65b、65c、65dに対する共通の説明では、コイル65の文言を用いることとする。
本実施形態では、図3に示すように、1つのコイル65は、中心軸66を有している。中心軸66は、軸方向D1に延びている。コイル65は、中心軸66周りに巻かれている。また、図4に示すように、中心軸66周りに巻かれたコイル65は、圧縮ロール20の回転軸25周りにおける周方向に沿って複数配置されている。なお、回転軸25の周方向に並ぶコイル65の数は特に限定されず、圧縮ロール20の大きさや、必要とする誘導加熱の程度に応じて適宜に決定されるものである。ここでは、周方向に配置されるコイル65の数は、8個である。本実施形態では、回転軸25の周方向に並ぶ複数のコイル65は、等間隔で配置されているが、周方向に隣り合うコイル65の間隔は異なっていてもよい。
本実施形態では、図3に示すように、圧縮ロール20の両端部と、コイル65との間には、金属部材68が配置されている。金属部材68は、例えば板状のものであり、かつ、回転軸25に挿入された円盤状のものである。金属部材68を形成される金属の種類は特に限定されないが、熱が伝わり易いものであることが好ましい。例えば金属部材68は、ステンレス(例えばフェライト系ステンレス)などの誘導加熱し易い金属であって、柔らか過ぎない(所定の硬度を有する)金属によって形成されていてもよい。具体的には、金属部材68は、ステンレス鋼(例えばSUS430)によって形成されていてもよい。
回転軸25の周方向に沿って配置された複数のコイル65は、金属部材68に取り付けられて、かつ、支持されてもよい。なお、これらのコイル65は、金属部材68とは別の部材に支持されていてもよい。本実施形態では、複数のコイル65、および、金属部材68は、圧縮ロール20の回転に伴って回転しないように構成されているが、圧縮ロール20の回転と共に回転するように構成されてもよい。
本実施形態では、図4に示すように、コイル65(詳しくは、各圧縮ロール20の両端部に配置されたコイル65a、65b、65c、65d(図1参照))には、電流発生器70が接続されている。電流発生器70は、コイル65に電流を流すものである。ここでは、電流発生器70からコイル65に流れる電流は、交流電流である。電流発生器70からコイル65に流された電流は、例えば図3に示すように、矢印A11の向きに流れる。このとき、コイル65には、矢印A12の向きの磁力(例えば磁界)が発生する。このことによって、圧縮ロール20において、矢印A13の向きに磁力(例えば磁界)が生じ、誘導電流が発生する。この誘導電流が発生したときに生じる抵抗によって、圧縮ロール20(ここでは第1圧縮ロール21および第2圧縮ロール22のそれぞれのロール本体26)の両端部が誘導加熱されることになる。なお、コイル65を流れる電流が交流電流の場合には、例えば矢印A11の向きの電流と、矢印A11と反対向きの電流とが交互に流れる。矢印A11と反対向きの電流がコイル65に流れる場合には、矢印A12、矢印A13とは反対向きの磁力が生じ、誘導電流の向きも反対になる。このように、誘導電流の向きを定期的に変化させながら、圧縮ロール20の両端部を加熱することができる。
図1に示すように、圧縮ロール装置10は、センサ75を備えている。センサ75は、圧縮ロール20の両端部の温度を測定するものである。なお、センサ75は、圧縮ロール20の両端部の温度を測定できれば、その配置位置は特に限定されない。センサ75は、圧縮ロール20に対して非接触式のセンサであるが、圧縮ロール20に対して接触式のセンサであってもよい。
ここでは、センサ75は、第1圧縮ロール21の軸方向D1の一端部(ここではロール本体26の左端部)の温度を測定する第1センサ75aと、第1圧縮ロール21の軸方向D1の他端部(ここではロール本体26の右端部)の温度を測定する第2センサ75bと、第2圧縮ロール22の軸方向D1の一端部の温度を測定する第3センサ75cと、第2圧縮ロール22の軸方向D1の他端部の温度を測定する第4センサ75dとを有している。第1センサ75a、第2センサ75bは、それぞれ第1圧縮ロール21の左端部の上方、右端部の上方に配置されている。第3センサ75c、第4センサ75dは、それぞれ第2圧縮ロール22の左端部の下方、右端部の下方に配置されている。
図5は、本実施形態に係る圧縮ロール装置10のブロック図である。本実施形態では、図5に示すように、圧縮ロール装置10は、制御装置80を備えている。制御装置80は、圧縮ロール20への加熱を制御しつつ、一対の圧縮ロール20に挟まれた電極シート5への圧縮の程度などを制御する装置である。制御装置80は、例えばマイクロコントローラによって構成されている。制御装置80は、通信インターフェースと、制御プログラムの命令を実行する中央演算処理装置(CPU:central processing unit)と、CPUが実行するプログラムを格納したROM(read only memory)と、プログラムを展開するワーキングエリアとして使用されるRAM(random access memory)と、上記プログラムや各種データを格納するメモリなどの記憶装置と、を備えている。
本実施形態では、制御装置80は、メインシリンダ40、第1ベンドシリンダ41、第2ベンドシリンダ42、駆動源50、電磁誘導発生装置60(詳しくは電流発生器70)、およびセンサ75(例えば第1センサ75a~第4センサ75d)と電気的に、かつ、通信可能に接続されている。制御装置80は、メインシリンダ40、第1ベンドシリンダ41、第2ベンドシリンダ42、駆動源50、電磁誘導発生装置60、およびセンサ75を制御する。ここでは、制御装置80は、メインシリンダ40を制御することで、第1圧縮ロール21の上下方向への移動を制御し、第1圧縮ロール21と第2圧縮ロール22との間隔を調整する。制御装置80は、第1ベンドシリンダ41を制御することで、第1圧縮ロール21の両端部の上下方向への移動を制御し、第1圧縮ロール21の撓みを調整する。また、制御装置80は、第2ベンドシリンダ42を制御することで、第2圧縮ロール22の両端部の上下方向への移動を制御し、第2圧縮ロール22の撓みを調整する。
制御装置80は、駆動源50を制御することで、第1圧縮ロール21および第2圧縮ロール22の回転(例えば回転速度)を制御する。制御装置80は、電磁誘導発生装置60の電流発生器70を制御することで、コイル65に流れる電流の量を制御する。このことで、一対の圧縮ロール20の誘導加熱の程度を制御する。制御装置80は、センサ75によって測定された、圧縮ロール20の両端部の温度を取得する。
本実施形態では、図5に示すように、制御装置80は、記憶部81と、プレ加熱部83と、圧縮制御部85とを備えている。記憶部81と、プレ加熱部83と、圧縮制御部85とは、1つまたは複数のプロセッサによって実現されてもよいし、回路によって実現されてもよい。
以上、本実施形態に係る圧縮ロール装置10の構成について説明した。次に、本実施形態に係る圧縮ロール装置10を使用して、電極シート5を作製する電極シート作製方法について、図6のフローチャートに沿って説明する。電極シート作製方法では、圧縮ロール装置10を使用し、電磁誘導発生装置60によって電磁誘導を発生させて圧縮ロール20の両端部を誘導加熱させた状態で、一対の圧縮ロール20に電極シート5を挟んで圧縮させて、電極シート5を作製する。ここでは、電極シート5を挟んだ一対の圧縮ロール20の両端部を加熱しつつ、電極シート5を幅方向(例えば上下方向)に圧縮させることで、電極シート5を作製する。
まず図6の用意工程S101では、図2に示すような電極シート5を用意する。ここでは、シート状の集電体6を用意する。次に、電極活物質と、必要に応じて用いられる材料(例えばバインダ、導電材など)とを適当な溶媒に分散させて、スラリー状の組成物を調製する。この組成物の適当量を集電体6の表面に付与して乾燥させる。このことによって、集電体6の表面に電極活物質層7が形成されて、電極シート5が用意される。なお、用意工程S101において、用意された電極シート5は、図1に示すように、一対の圧縮ロール20(ここでは第1圧縮ロール21と第2圧縮ロール22との間)に挟まれる。
次に、図6のプレ加熱工程S103では、電極シート5を一対の圧縮ロール20で圧縮する前において、一対の圧縮ロール20(ここでは第1圧縮ロール21および第2圧縮ロール22)の両端部を加熱する。プレ加熱工程S103は、図5の制御装置80のプレ加熱部83によって具現化される。プレ加熱部83は、一対の圧縮ロール20の両端部の温度が、予め定められた基準温度T1(図5参照)になるように、電磁誘導発生装置60によって、一対の圧縮ロール20の両端部を加熱する。ここで、図5に示すように、基準温度T1は、記憶部81に予め記憶されている。
本実施形態では、プレ加熱部83は、圧縮ロール20の両端部の温度を、予め定められた基準時間毎にセンサ75から取得する。そして、プレ加熱部83は、センサ75から取得した温度が基準温度T1以上であるか否かを判定し、当該温度が基準温度T1未満のときには、圧縮ロール20の両端部への加熱を継続する。ここでは、加熱時、プレ加熱部83は、電流発生器70からコイル65に電流を流すように、電流発生器70を制御する。例えば図3に示すように、コイル65に矢印A11の向きに電流が流れると、コイル65において矢印A12の向きに磁力が発生する。その結果、圧縮ロール20の両端部において、矢印A13の向きに磁力が生じ、誘導電流が発生する。誘導電流が発生したときに生じる抵抗によって、圧縮ロール20の両端部が誘導加熱されることになる。なお、プレ加熱部83は、センサ75から取得した、圧縮ロール20の両端部の温度が、基準温度T1以上であると判定されたとき、例えば電流発生器70を停止させて、圧縮ロール20の両端部への加熱を停止する。ただし、プレ加熱部83は、圧縮ロール20の両端部の温度が、基準温度T1以上のとき、圧縮ロール20の両端部の温度が下がらない程度に、コイル65に電流を流すように電流発生器70を制御してもよい。
本実施形態では、圧縮ロール20の両端部が加熱されると、当該両端部は膨張されるため、図1に示す直径D11が大きくなる。そして、圧縮ロール20の両端部の温度が、基準温度T1以上になるまで圧縮ロール20の両端部が加熱されると、当該両端部の直径D11は、圧縮ロール20の軸方向D1の中央部分の直径D12(図1参照)と略同じになる。言い換えると、圧縮ロール20の両端部の温度が基準温度T1以上になるまで圧縮ロール20の両端部が加熱されると、当該両端部が膨張し、圧縮ロール20の外郭を示す軸方向D1に延びた線が、軸方向D1と平行な直線状の線になり得る。
なお、本実施形態では、コイル65a、65b、65c、65dに対して流れる電流の量を個々に制御することができる。第1圧縮ロール21の左端部、右端部、および、第2圧縮ロール22の左端部、右端部において、何れかの温度が基準温度T1以上になったとき、対応する圧縮ロール20の端部への加熱が停止される。なお、第1圧縮ロール21の左端部、右端部、および、第2圧縮ロール22の左端部、右端部のそれぞれの温度が、基準温度T1以上になったときに、図6のプレ加熱工程S103を終了する。
このように、各圧縮ロール20の両端部の温度を基準温度T1以上にした後、図6の圧縮工程S105を行う。圧縮工程S105は、図5の制御装置80の圧縮制御部85によって具現化される。圧縮制御部85は、プレ加熱部83による制御の後、一対の圧縮ロール20に挟まれた電極シート5を圧縮させつつ、圧縮ロール20の両端部の温度が、所定の範囲R1(図5参照)内になるように電磁誘導発生装置60を制御する。ここで、所定の範囲R1とは、基準温度T1を基準とした範囲であり、予め定められた範囲である。例えば所定の範囲R1の上限値と下限値との間に基準温度T1が位置する(一例として、所定の範囲R1の上限値と下限値との中間値が基準温度T1になる)ように、所定の範囲R1が設定される。なお、図5に示すように、所定の範囲R1は、記憶部81に予め記憶される。
本実施形態では、圧縮制御部85は、図1に示すように、駆動源50を制御して、第1圧縮ロール21および第2圧縮ロール22を、回転軸25を中心に回転させる。このことで、一対の圧縮ロール20に挟まれた電極シート5は、圧縮ロール20によって加熱されながら圧縮されて、一対の圧縮ロール20の間から排出される。
本実施形態では、圧縮制御部85は、圧縮ロール20の両端部の温度が所定の範囲R1内のとき、電流発生器70からコイル65に電流を流してもよいし、流さなくてもよい。圧縮制御部85は、コイル65に流す電流量を調整することで、圧縮ロール20の両端部の温度が所定の範囲R1内になるように制御する。例えば圧縮制御部85は、センサ75から取得した、圧縮ロール20の両端部の温度が、所定の範囲R1内であるか否を判定する。ここで、圧縮ロール20の両端部の温度が、所定の範囲R1の下限値よりも低い場合には、圧縮制御部85は、該当する圧縮ロール20の端部に配置されたコイル65に流れる電流量を多くするように電流発生器70を制御する。一方、圧縮ロール20の両端部の温度が、所定の範囲R1の上限値よりも高い場合には、圧縮制御部85は、該当する圧縮ロール20の端部に配置されたコイル65に流れる電流量を少なくする(例えば0にする)ように電流発生器70を制御する。このようにして、一対の圧縮ロール20に挟まれた電極シート5を加熱しつつ、圧縮することができる。
以上、本実施形態では、図1に示すように、圧縮ロール装置10は、電極シート5を挟んで圧縮させる一対の圧縮ロール20と、圧縮ロール20の軸方向D1の両端部に離間して設けられ、電磁誘導を発生させて圧縮ロール20の両端部を誘導加熱する電磁誘導発生装置60とを備えている。このように、電磁誘導発生装置60によって発生された誘導加熱によって、一対の圧縮ロール20の両端部を加熱することができる。このように誘導加熱によって圧縮ロール20の両端部を加熱することで、従来と比較して、簡易的な構成で圧縮ロール20の両端部を加熱することができる。本実施形態に係る電極シート作製方法では、圧縮ロール装置10を使用することで、十分に加熱され、かつ、圧縮された状態で電極シート5を作製することができる。
本実施形態では、電磁誘導発生装置60によって圧縮ロール20の両端部が誘導加熱される前において、圧縮ロール20の両端部の直径D11は、圧縮ロール20の軸方向D1の中央部分の直径D12よりも小さい。ここでは、電磁誘導発生装置60によって、圧縮ロール20の両端部が加熱されると、当該両端部は膨張して、圧縮ロール20の両端部の直径D11が大きくなる。よって、圧縮ロール20の両端部を加熱することで、当該両端部の直径D11と、圧縮ロール20の軸方向D1の中央部分の直径D12とを略同じにすることができる。したがって、加熱した状態の一対の圧縮ロール20に電極シート5を挟んで圧縮するときに、電極シート5を均等に圧縮し易くすることができる。
本実施形態では、図1に示すように、圧縮ロール20は、軸方向D1に延びた回転軸25を備えている。図3に示すように、電磁誘導発生装置60は、軸方向D1に延びた中心軸66周りに巻かれたコイル65を備えている。図4に示すように、コイル65は、圧縮ロール20の回転軸25周りにおける周方向に沿って複数配置されている。このように、中心軸66周りに巻かれたコイル65を、回転軸25の周方向に沿って複数配置することで、コイル65に流れる電流によって発生した磁力に基づいて、誘導電流を発生し易くすることができる。よって、誘導加熱がし易くなるため、圧縮ロール20の両端部を加熱し易くすることができる。
本実施形態では、図3に示すように、圧縮ロール20の両端部と、コイル65との間には、金属部材68が配置されている。このことによって、コイル65から、金属部材68を通じて圧縮ロール20の両端部に熱が伝わり易くすることができる。よって、圧縮ロール20の両端部を効率よく加熱することができる。
本実施形態では、図5に示すように、圧縮ロール装置10は、圧縮ロール20の両端部の温度を測定するセンサ75と、電磁誘導発生装置60に接続された制御装置80とを備えている。制御装置80は、プレ加熱部83と、圧縮制御部85とを備えている。プレ加熱部83は、図6のプレ加熱工程S103において、圧縮ロール20の両端部の温度が、予め定められた基準温度T1(図5参照)になるように、電磁誘導発生装置60によって圧縮ロール20の両端部を加熱する。圧縮制御部85は、プレ加熱部83による制御の後、図6の圧縮工程S105において、一対の圧縮ロール20に挟まれた電極シート5を圧縮させつつ、圧縮ロール20の両端部の温度が、基準温度T1を基準とした所定の範囲R1(図5参照)内になるように電磁誘導発生装置60を制御する。このことによって、一対の圧縮ロール20によって電極シート5を圧縮する前において、圧縮ロール20の両端部の温度を基準温度T1以上にすることができる。よって、圧縮ロール20の両端部の温度が基準温度T1以上の状態で、電極シート5が圧縮されるため、電極シート5は、十分に加熱されながら圧縮されることができる。
本実施形態では、図5に示すように、電磁誘導発生装置60は、コイル65に電流を流す電流発生器70を備えている。圧縮制御部85は、コイル65に流す電流量を調整することで、圧縮ロール20の両端部の温度が所定の範囲R1になるように制御する。このように、コイル65に流す電流量を調整することで、圧縮ロール20で発生する誘導加熱の程度を調整することができるため、圧縮ロール20の両端部の温度が所定の範囲R1になるように制御し易い。
なお、本実施形態では、図3および図4に示すように、中心軸66周りに巻かれたコイル65を、圧縮ロール20の回転軸25の周方向に沿って複数配置していた。しかしながら、ここで開示されるコイルの構成は、中心軸66周りに巻かれたコイル65に限定されない。図7、図8は、それぞれ変形例に係る圧縮ロール装置10Aを示す図3相当図、図4相当図である。例えば図7および図8に示すように、ここで開示されるコイルは、圧縮ロール20の回転軸25周りに巻かれたコイル65Aであってもよい。すなわち、コイル65Aは、回転軸25の周方向に螺旋状に巻かれたものであってもよい。このようなコイル65Aであっても、上記の実施形態と同様の効果が得られる。
以上、ここで開示される発明について、種々説明した。特に言及されない限りにおいて、ここで挙げられた実施形態などは本発明を限定しない。また、ここで開示される発明の実施形態は、種々変更でき、特段の問題が生じない限りにおいて、各構成要素やここで言及された各処理は適宜に省略され、または、適宜に組み合わされ得る。
以上の通り、本明細書には、以下の各項に記載の開示が含まれている。
項1:
電極シートを挟んで圧縮させる一対の圧縮ロールと、
前記圧縮ロールの軸方向の両端部に離間して設けられ、電磁誘導を発生させて前記圧縮ロールの前記両端部を誘導加熱する電磁誘導発生装置と、
を備えた、圧縮ロール装置。
項2:
電磁誘導発生装置によって圧縮ロールの両端部が誘導加熱される前において、前記圧縮ロールの前記両端部の直径は、前記圧縮ロールの前記軸方向の中央部分の直径よりも小さい、項1に記載された圧縮ロール装置。
項3:
前記圧縮ロールは、前記軸方向に延びた回転軸を備え、
前記電磁誘導発生装置は、前記軸方向に延びた中心軸周りに巻かれたコイルを備え、
前記コイルは、前記圧縮ロールの前記回転軸周りにおける周方向に沿って複数配置されている、項1または2に記載された圧縮ロール装置。
項4:
前記圧縮ロールの前記両端部と、前記コイルとの間に金属部材が配置された、項3に記載された圧縮ロール装置。
項5:
前記圧縮ロールの前記両端部の温度を測定するセンサと、
前記電磁誘導発生装置に接続された制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記圧縮ロールの前記両端部の温度が、予め定められた基準温度になるように、前記電磁誘導発生装置によって前記両端部を加熱するプレ加熱部と、
前記プレ加熱部による制御の後、一対の前記圧縮ロールに挟まれた前記電極シートを圧縮させつつ、前記圧縮ロールの前記両端部の温度が、前記基準温度を基準とした所定の範囲内になるように前記電磁誘導発生装置を制御する圧縮制御部と、
を備えた、項1から4までの何れか1つに記載された圧縮ロール装置。
項6:
前記圧縮ロールは、前記軸方向に延びた回転軸を備え、
前記電磁誘導発生装置は、
前記軸方向に延びた中心軸周りに巻かれたコイルと、
前記コイルに電流を流す電流発生器と、
を備え、
前記圧縮制御部は、前記コイルに流す電流量を調整することで、前記圧縮ロールの前記両端部の温度が前記所定の範囲になるように制御する、項5に記載された圧縮ロール装置。
項7:
項1から6までの何れか1つに記載された圧縮ロール装置を使用し、前記電磁誘導発生装置によって電磁誘導を発生させて前記圧縮ロールの前記両端部を誘導加熱させた状態で、一対の前記圧縮ロールに前記電極シートを挟んで圧縮させて、前記電極シートを作製する、電極シート作製方法。