JP7748964B2 - 雄型成形面ファスナー - Google Patents

雄型成形面ファスナー

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Description

本発明は、自動車用内装材を車体に取り付けるのに適した雄型成形面ファスナーに関する。詳しくは、自動車用内装材の裏面に雄型成形面ファスナーを接着剤により貼り付ける際に、使用した接着剤が雄型成形面ファスナーの端部からはみ出し、はみ出した接着剤が雄型成形面ファスナーの表面側の係合素子面に侵入して係合素子面を覆い、その結果、係合素子の係合能力を低下させるという問題点を殆ど生じない雄型成形面ファスナー、雄型成形面ファスナーが接着剤により貼り付けられた自動車用内装材、及び該内装材が固定された車体に関する。
従来から、物体の表面に対象物を取り付ける手段の一つとして、物体と対象物のいずれか一方の表面にフック型で代用される雄型の係合素子を有する雄型面ファスナーを固定するとともに、もう一方の表面にループ型係合素子を有する雌型面ファスナーを固定し、そして両方の面ファスナーの係合素子面を重ね合わせて両方の係合素子を係合させることにより、物体の表面に対象物を取り付ける方法が用いられている。
自動車の分野においても、天井用や床材用の内装材を車体本体に取り付けて固定する手段として、雄型面ファスナーと雌型面ファスナーの組み合わせが用いられている。具体的には、天井材や床材等の内装材の裏面に雄型面ファスナーを取り付け、そして車体側に雌型面ファスナーを取り付け、両方の面ファスナーを係合させることにより内装材を車体に固定する方法が広く用いられている。
この面ファスナーの組み合わせを構成する一方の雄型面ファスナーとして、織物からなる基布の表面にフック状のモノフィラメントを固定した雄型織物面ファスナーが知られている。雄型織物面ファスナーは、係合/剥離を繰り返しても係合力が殆ど低下しないというメリットを有しているが、その反面、係合力自体が低く、高い係合力が必要とされる自動車用内装材の固定用の雄型面ファスナーとしては適していない。したがって、自動車用内装材の固定には高い係合力が得られる雄型成形面ファスナーの方が好ましい。
このようなことから、自動車用内装材を車体に固定する手段として雄型成形面ファスナーを用いる方法が提案されている。例えば、特許文献1には、雄型成形面ファスナーを粘着剤により自動車用天井材の裏面に取り付けることが記載されている。しかしながら、粘着剤を用いて貼り付けると、粘着剤が車体の温度上昇に伴い粘着力が低下するという問題点を有している。特に自動車の場合には、夏の強力な太陽により車体の温度が高温となることから、粘着力は大きく低下し、場合によってはそれが原因で天井材の剥離等の大きな問題を生じる可能性を有している。
このような粘着剤を使用する方法に代えて、特許文献2には、予め金型の所定位置に裏面にホットメルト接着剤を塗布した雄型成形面ファスナーを係合素子面が金型面側となるようにセットし、次いで、自動車用内装材用シートを金型に挿入し、加熱加圧して所定の形状に成形し、冷却後に金型から取り出すことにより所定位置に雄型成形面ファスナーが固定された自動車用内装材を製造する方法が記載されている。
このホットメルト接着剤により取り付ける方法を用いると、裏面の所定位置に雄型成形面ファスナーが固定された自動車用内装材が一挙に得られる。その反面、加熱成形温度とホットメルト接着剤のホットメルト温度を一致させる必要があるため成形条件が限定され、さらに自動車用内装材を成形する工場でしか実施できないという問題点を有している。
このような粘着剤やホットメルト系接着剤に代えて、溶剤系、エマルジョン系、又は硬化型の接着剤を用いると、上記した高温での粘着力の低下という問題、また成形条件や実施場所の限定という問題は解決される。
本発明者等は、自動車用内装材の裏面に雄型成形面ファスナーを上記したような接着剤により貼り付ける技術に関して研究を行ったところ、自動車用内装材の裏面は不織布や発泡樹脂等により覆われているので、使用した接着剤液の量が少ない場合には、不織布内や発泡樹脂内に接着剤液が吸収されて肝心の接着面に留まらず、十分な接着力が得られないという現象が生じることを見出した。このような内装材の裏面に接着剤により面ファスナーを強固に貼り付けるためには、接着剤液を多めに使用する必要がある。しかし、使用した接着剤液が接着時に面ファスナーの端部からはみ出し、はみ出した接着剤液が面ファスナーの表面側に侵入して係合素子面を覆ったり、あるいは係合素子面上に盛り上がった大きな塊状で存在したりして、係合素子の係合を妨げ、係合能力を低下させるという問題が新たに生じることを見出した。
係合素子面に接着剤液が流れ込まないようにした雄型成形面ファスナーとして、特許文献3に記載された雄型成形面ファスナーが知られている。この特許文献3に記載されている雄型成形面ファスナーは、座席用クッション体等の発泡成形体の表面を覆う表皮材を座席形状の発泡成形体の表面に固定するために用いられる雄型成形面ファスナーである。具体的には、発泡成形体を発泡成形する金型内に該雄型成形面ファスナーを予めセットしておき、この状態で金型内に発泡樹脂液を注入して表面に雄型成形面ファスナーが固定された発泡成形体を製造する、いわゆるモールドイン成形に用いられる雄型成形面ファスナーである。
特許文献3には、係合素子領域の両端部に樹脂侵入阻止壁を設けた雄型成形面ファスナーが記載されている。モールドイン成形の際に、係合素子領域まで発泡樹脂液が侵入して係合素子の係合能を喪失することを防ぐために、特許文献3の0045段落に記載されているように、係合素子領域の両端部に係合素子と同一の高さあるいは係合素子よりも高い高さを有する樹脂侵入阻止壁を設けて、該壁と金型との間の隙間をなくして、成形中に隙間から発泡樹脂液が係合素子領域へ侵入することを阻止している。さらに特許文献3には、金型形状に沿って容易に湾曲できて金型に密着できるようにするため壁には切目を入れることも記載されている。この切目は、付け根に行くほど幅が狭くなる、いわゆる楔形形状を有する隙間の狭いものである。
本発明者等は、この特許文献3に記載されている雄型成形面ファスナーを用いて、自動車用内装材の裏面に接着剤により貼り付けるテストを行ったところ、裏面からはみ出した接着剤液が雄型成形面ファスナーの樹脂侵入阻止壁を乗り越えて係合素子領域まで到達して係合素子面を覆い、さらに壁を乗り越えた箇所で接着剤が高く盛り上がった塊状で固化して、係合力を低下させることが分かった。結局、自動車用内装材の裏面に接着剤により雄型成形面ファスナーを取り付ける際に、はみ出した接着剤液が係合素子領域へ侵入することを阻止する技術としては、この特許文献3に記載された雄型成形面ファスナーは使用することができないことを見出した。
特開平11-179813号公報 特開2017-1555号公報 特開2010-162339号公報
本発明は、上記した問題点、すなわち自動車用内装材の裏面に接着剤により雄型成形面ファスナーを貼り付ける際に、使用した接着剤液が雄型成形面ファスナーの端部からはみ出し、はみ出した接着剤液が雄型成形面ファスナーの表面側の係合素子面に侵入して係合素子面を覆い、あるいは接着剤が塊状に盛り上がって固まり、その結果、係合素子の係合能力を低下させるという問題点が殆ど生じない雄型成形面ファスナーおよびこのような雄型成形面ファスナーを接着剤により裏面に固定した自動車用内装材を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、
樹脂製のシート状基板、
該シート状基板の表面から立ち上がる同一樹脂製の雄型係合素子が複数存在している係合素子領域、および
該シート状基板の表面から立ち上がり、かつ該係合素子領域に沿って平行に伸びる同一樹脂製の壁が一定間隔を空けて複数列平行に存在している壁領域が該係合素子領域の両側に存在している雄型成形面ファスナーにおいて、以下の条件(1)~(3)を満足していることを特徴とする雄型成形面ファスナーである。
(1)各壁には、壁を厚さ方向に貫通し、かつ、壁の下部から頂部に至る複数の切目部が等間隔(誤差が5%以下)で配置されていて、この切目部により壁が複数の壁分割体(A)に分断されて、壁が壁分割体(A)の列を形成していること、
(2)壁分割体(A)の高さが、雄型係合素子の高さの0.25~0.7倍であること、
(3)一つの壁の切目部が存在している位置に対応する箇所が、隣の壁では壁分割体(A)の壁面となっていること。
本発明の好ましい態様において、壁分割体(A)の両端に存在している各切目部(4)の壁長さ方向の長さは、該切目部に挟まれている壁分割体(A)の壁長さ方向の長さの、0.3~0.7倍である。
本発明の他の好ましい態様において、各壁領域には、5列以上の壁が係合素子領域に沿って平行に存在している。
本発明の他の好ましい態様において、切目部の壁長さ方向の長さが、付け根から頂部に至るまで同一の長さ(誤差が5%以下)であり、かつ、切目部の壁面に直交する方向から見た切目部の形状が四辺形である。
本発明の他の好ましい態様において、壁分割体(A)の壁長さ方向の長さが壁分割体(A)の高さの2~6倍である。
本発明の他の好ましい態様において、壁分割体(A)の厚さが0.1~0.3mmであり、かつ、壁分割体(A)の高さが0.3~0.8mmである。
本発明の他の好ましい態様において、係合素子領域には、複数の雄型係合素子が壁領域に平行に列をなして並んでいる係合素子列が複数列存在し、隣り合う係合素子列の間に壁分割体(B)が存在する。なお、壁領域に存在している壁分割体(A)と区別するために、係合素子領域に存在している壁分割体を壁分割体(B)と称する。
本発明の他の好ましい態様において、複数の雄型係合素子が係合素子列方向に対して直角方向に列をなして並んでいる係合素子列(B)が複数平行に存在し、2~5列の係合素子列(B)の1列は、該列中の隣り合う2個の雄型係合素子の間に壁分割体(B)が存在する列であり、他の1~4列は、該列中の隣り合う2個の雄型係合素子の間には壁分割体(B)が存在しない列であり、かつ、複数の壁分割体(B)が係合素子列方向に列をなして並んでいる。
本発明の他の好ましい態様において、基板裏面から立ち上がり、高さが基板厚さの0.5~5倍である突起が基板裏面側に存在している。
本発明の他の好ましい態様において、雄型成形面ファスナーを構成する樹脂は半芳香族ポリアミドである。
本発明の他の好ましい態様において、前記半芳香族ポリアミドは、1,9-ノナンジアミンと2メチル―1,8-オクタンジアミンを含むジアミン成分及びテレフタル酸を含むジカルボン酸成分から得られる半芳香族ポリアミドである。
本発明はさらに、自動車用内装材の裏面に前記雄型成形面ファスナーの裏面が接着剤により貼り付けられている自動車用内装材を提供する。
本発明の他の好ましい態様において、前記接着剤はエチルシアノアクリレート系の瞬間接着剤である。
本発明はさらに、自動車用内装材の裏面に取り付けられた前記雄型成形面ファスナーの雄型係合素子と、車体に取り付けたループ面ファスナーのループ状係合素子が係合している自動車用内装材が固定された車体を提供する。
上記したように、本発明の雄型成形面ファスナーは樹脂製の雄型係合素子が複数存在している係合素子領域及び該係合素子領域を挟むように存在する2つの壁領域を含む。各壁領域には該係合素子領域に沿って平行に伸びる複数列の同一樹脂製の壁が一定間隔を空けて存在している。各壁の高さは雄型係合素子の高さより低く、かつ、各壁は切目部により複数の壁分割体(A)に分断されて壁分割体(A)の列を形成している。一つの壁の切目部と隣の壁の切目部は長さ方向に位置がずれるように形成されている。
このような壁領域を有していることにより、自動車用内装材の裏面に雄型成形面ファスナーを接着剤により貼り付ける際に、使用した接着剤液が重ね合わせた自動車用内装材と雄型成形面ファスナーの幅方向端部からはみ出しても、はみ出した接着剤液は壁領域の幅方向一番外側の壁分割体(A)に沿って流れる。該流れの一部は壁分割体(A)の両端部に存在している切目部から壁の内側に侵入し、侵入方向の正面に存在する内側の列の壁分割体(A)の壁面に衝突する。そのため、流れの勢いをそがれると共に両側に分けられて壁分割体(A)に沿って流れる。分けられた流れの一部は同じ壁分割体(A)の端部の切目部からさらに内側の列の壁との隙間内に侵入し、侵入方向の正面に存在するさらに内側の列の壁分割体(A)の壁面に衝突して、さらに勢いをそがれるとともに壁分割体(A)に沿って流れる。
このような流れを繰り返すうちに、接着剤液は、壁に沿って壁方向に広く拡散することを余儀なくされ、その結果、接着剤液は係合素子領域に殆ど到達しない。したがって接着剤液が雄型成形面ファスナーの表面側の係合素子まで侵入して係合素子を覆い、あるいは侵入した接着剤液が塊状で盛り上がった状態で固まり、その結果、係合素子の係合を妨げて、係合能力を低下させるという問題点が殆ど生じない。
本発明の雄型成形面ファスナーでは、前記したように、壁分割体(A)の高さが、雄型係合素子の高さの0.25~0.7倍、すなわち壁分割体(A)の高さが雄型係合素子の高さよりかなり低い。接着剤液が一番外側の壁分割体(A)を乗り越えても、壁に沿って壁長さ方向に広げられるので、硬化した接着剤の塊は低くなり、したがって接着剤硬化物が雄型係合素子の係合を妨げることも殆どない。さらに接着剤液の一部が壁分割体(A)の上で塊状に盛り上がった状態で固化しても、壁分割体(A)の高さが雄型係合素子の高さよりかなり低いことから、壁分割体上で盛り上がった固化物が雄型係合素子の係合を妨げることは殆どない。
本発明の雄型成形面ファスナーの係合素子領域と壁領域の配置の一例を模式的に示した斜視図である。 本発明の雄型成形面ファスナーの一例であって、図1に示す点線で囲った部分を拡大して模式的に示した斜視図である。 図2に示す雄型成形面ファスナーを図2に示すX方向から見た側面図である。 図2に示す雄型成形面ファスナーを図2に示すY方向から見た側面図である。 本発明の雄型成形面ファスナーの他の一例であって、図4と同様の方向から見た側面図である。 本発明の雄型成形面ファスナーの他の一例の、係合素子領域を上から見た場合の模式図である。
以下、本発明を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の雄型成形面ファスナーの係合素子領域(1)と壁領域(2)との配置関係を模式的に示す図である。係合素子領域(1)に存在している雄型係合素子(1f)および壁領域(2)に存在している壁分割体(A)(2w)は省略した。図1に示すように、本発明の雄型成形面ファスナーでは、その長さ方向に沿って係合素子領域(1)と2つの壁領域(2)が並んで存在しており、係合素子領域(1)を挟んでその両側に壁領域(2)がそれぞれ存在している。
図2は、図1に示す点線で囲った部分、すなわち本発明の雄型成形面ファスナーの係合素子領域(1)と壁領域(2)の境目付近の一例を模式的に示す斜視図である。この図において、手前が壁領域(2)、そして壁領域(2)の向こうが係合素子領域(1)となっている。この図から明らかなように、本発明の雄型成形面ファスナーでは、壁領域(2)を構成する複数の壁分割体(A)(2w)の列が壁の長さ方向(単に“長さ方向”ということもある)に沿って複数列平行に並んでいる。壁分割体(A)(2w)の長さ方向に直交する方向(単に“幅方向”ということもある)で、壁領域(2)の内側に係合素子領域(1)が存在している。
図3は、図2に示すX方向からみた側面図、図4は、図2に示すY方向から見た側面図である。なお、図3では、壁分割体(A)(2w)と雄型係合素子(1f)の関係が分かり易いように、一番手前の壁分割体(A)(2w)の列と一番手前の雄型係合素子(1f)の列のみを記載した。
図2~4に示すように、壁領域(2)には、樹脂からなる基板(3)の表面から垂直に立ち上がる同一の樹脂からなる一定高さの複数列の壁(壁分割体(A)(2w)の列)が一定間隔を空けて互いに平行に存在する。各壁は係合素子領域(1)に平行に基板(3)の表面に並んでいる。各壁には、壁を厚さ方向に貫通し、かつ壁の下部から頂部に至る複数の切目部(4)が等間隔(誤差が5%以下)で存在している。この切目部(4)により壁が複数の壁分割体(A)(2w)に分断されて、壁が壁分割体(A)(2w)の列を形成している。壁分割体(A)(2w)は、付け根から頂部に至るまで同一の厚み(誤差が5%以下)を有しているのが製造上かつ強度上好ましい。さらに壁長さ方向に接着剤を雄型係合素子よりも低く拡散するために、切目部(4)は、高さよりも壁長さ方向の長さの方がかなり長い形状を有している。
さらに一つの壁の切目部(4)が存在している位置に対応する箇所が、図2に示すように、隣の壁では、壁分割体(A)(2w)の壁面となっている。すなわち一つの列の切目部(4)が存在している位置に対応する箇所が、壁面に直角方向(幅方向)に存在している隣の列では壁分割体(A)(2w)の壁面となっている。つまり一つの列の切目部(4)が存在する壁長さ方向の位置と隣の列の切目部(4)が存在する壁長さ方向の位置は異なっている。図2に示すように、一つの列の切目部(4)が存在している位置に対応する箇所が、壁面に直角方向に存在している隣の列では壁分割体(A)(2w)の長さ方向の中央部となっていることが好ましい。この場合には、前記したように切目部(4)から壁分割体(A)(2w)の内側に侵入した接着剤液がその侵入方向正面に存在している壁分割体(A)(2w)の壁面に当たり、流れの勢いが削がれるとともに壁分割体(A)(2w)に沿って壁間に流れるため本発明の効果が最も得られ易い。
なお、切目部(4)に関して、本発明では「壁の下部から頂部に至る」と記載しているが、ここで言う「壁の下部」とは壁の付根部を意味し、付根部は基板表面の場合や基板表面から若干上の盛り上がった部分が存在している場合は盛り上がった部分の場合であっても良い。また、本発明で言う「壁分割体(A)(2w)の列」とは、壁分割体(A)(2w)が横にずれることなく、隣の壁との間隔を一定に保ちながら一直線に並んで列となっている状態を意味している。また図3と図4には、基板(3)裏面から立ち上がる突起(5)が記載されている。
本発明の雄型成形面ファスナーでは、図2に示すように、樹脂製の基板(3)の表面に、同一の樹脂からなる雄型係合素子(1f)および壁分割体(A)(2w)がそれぞれ列をなして並んでいる。基板(3)の厚さとしては、0.1~0.3mmの範囲が曲げの容易さと雄型成形面ファスナーの強度等の点で好ましい。
また本発明の雄型成形面ファスナーは内装材の裏面に接着剤により貼り付ける用途に用いられるので、基板(3)の裏面側には、内装材裏面との接着力を考えて凹凸、畝状突起、溝状の窪みなどが存在していても良い。特に好ましくは、畝状突起やスポット状突起である。
図3と図4には、基板(3)の裏面に突起(5)が存在している場合が記載されている。このような突起(5)が基板裏面に存在していると、雄型成形面ファスナーの裏面と内装材裏面との接着力を高める他に、過剰に使用された接着剤液を基板裏面側に留めて接着剤液が基板の表面側に多量に流れ込むことを防ぐことができ、しかも基板の易曲性を大きく損なうことがないことから好ましい。
このような突起としては、雄型係合素子列に平行に基板裏面に均一に存在している畝状のものであっても、あるいは、図3と図4に示すように基板裏面にスポット状に独立して均一に点在しているものであってもよい。突起(5)の高さは、基板の厚さの0.5~5倍程度が好ましく、より好ましくは基板厚さの0.5~4倍程度、さらに好ましくは0.5~3倍程度である。畝状の突起の場合には、基板幅0.3~1.5cmに1本の密度で、またスポット状に点在している場合には基板裏面0.1~1cmに1個の密度で存在しているのが好ましい。スポット状の突起の場合には、突起は、基板裏面から立ち上がり、先端部に行くにしたがって一方向に曲がっている形状が、接着力および雄型成形面ファスナーの裏面側に留めた接着剤液を表面側に流れ込むことを効率よく防ぐことができることから好ましい。
本発明の雄型成形面ファスナーは、上記したように、基板(3)の表面から立ち上がる雄型係合素子(1f)が複数存在している係合素子領域(1)および係合素子領域(1)を幅方向両側から挟むように存在する2つの壁領域(2)を有する。壁領域(2)には、基板(3)の表面から立ち上がり、かつ係合素子領域(1)に沿って平行に伸びる複数列の壁(壁分割体(A)(2w)の列)が一定間隔を空けて平行に存在している。このような壁領域(2)が存在していることにより係合素子領域(1)へ接着剤液が流れ込むことを高度に阻止している。
次に壁分割体(A)(2w)の列が複数列平行に存在している壁領域(2)について説明する。重ね合わせた自動車用内装材と雄型成形面ファスナーの幅方向端部からはみ出した接着剤液を係合力を損なわずに壁分割体(A)(2w)に沿って広く拡げるためには、図3に示すように、壁分割体(A)(2w)の高さ(h)が、雄型係合素子(1f)の高さ(h)の0.25~0.7倍であることが必要である。すなわち壁分割体(A)(2w)の高さ(h)が雄型係合素子(1f)の高さ(h)の0.25~0.7倍であることにより、基板表面側に流れ込んだ接着剤液を壁分割体(A)(2W)に沿って広く拡散することができる。さらに一部の接着剤液が壁分割体(A)(2w)に沿って充分に拡散されずに壁分割体(A)(2w)を乗り越えて塊状固化物を形成しても、形成される塊状固化物の高さも雄型係合素子の係合を妨げるほど高くないことから、雄型係合素子の係合を低下させることが殆どない。
壁分割体(A)の高さ(h)が雄型係合素子(1)の高さ(h)の0.25倍未満である場合には、接着剤液の阻止効果が少ない。逆に0.7倍を超える場合には、壁分割体(A)(2w)を乗り越える接着剤液の量が少ないものの、一部乗り越えた接着剤液は乗り越えた箇所で壁分割体上に塊状の接着剤固化物を形成する。この塊状固化物が雄型係合素子の係合を妨げることとなるため、雄型係合素子の係合力を低下させることとなる。さらにこのような盛り上がった接着剤の塊は見栄えを悪くする。好ましくは壁分割体(A)(2w)の高さ(h)が雄型係合素子(1f)の高さ(h)の0.3~0.6倍の範囲、より好ましくは0.35~0.55倍の範囲である。
壁分割体(A)(2w)の高さ(h)は、0.3~0.8mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.35~0.7mmの範囲、さらに好ましくは0.4~0.6mmの範囲である。なお、図3や図4に示すように、本発明でいう壁分割体(A)の高さ(h)は、壁分割体(A)(2w)の付根部から頂部までの高さを、また雄型係合素子の高さ(h)は、雄型係合素子(1f)の付根部から最高部までの高さをそれぞれ意味する。
本発明の雄型成形面ファスナーでは、図2に示すように、一つの列の壁の切目部(4)が存在している位置に対応する箇所が、隣の列の壁では壁分割体(A)の壁面となっていること、すなわち切目部(4)が存在している位置に対応する箇所が、壁面に直角方向に存在している隣の列の壁では壁分割体(A)(2w)の壁面となっていることが必要である。このように切目部(4)の位置が隣り合う列の壁間で壁長さ方向にずれていることにより、前記したように接着剤液が壁に沿って壁方向に広く拡がることとなり、係合素子領域(1)に接着剤が侵入することを高度に阻止している。
更に、本発明の雄型成形面ファスナーでは、壁分割体(A)(2w)の両端に存在している各切目部(4)の壁長さ方向の長さ(L)が、同切目部(4)に挟まれている壁分割体(A)(2w)の壁長さ方向の長さ(L)の、0.3~0.7倍であることが好ましく、より好ましくは、0.32~0.65倍の範囲、さらに好ましくは0.35~0.6倍の範囲である。上記範囲内であると、接着剤液を壁の間に導き、壁に沿って広く拡げることができる。
切目部(4)の壁長さ方向の長さ(L)が、付け根から頂部に至るまで同一の長さ(誤差が5%以下)であり、かつ切目部(4)を壁面に直交する方向(図2のX方向)から見た切目部(4)の形状が四辺形である場合が好ましい。図2と図3では、切目部(4)の形状は平行四辺形である。平行四辺形の他に、長方形又は正方形であってもよい。すなわち、付け根が広い形状であることが、接着剤液を壁領域に雄型係合素子(1f)の高さよりも低く、広く拡げる上で好ましい。もちろん、切目部(4)の底辺が広ければ、台形の形状でも良い。切目部(4)の側片、すなわち壁分割体(A)(2w)の切目部側の形状は直線であっても、曲線であっても良い。
さらに本発明の雄型成形面ファスナーにおいて、壁分割体(A)(2w)の壁長さ方向の長さ(L)が壁分割体(A)(2w)の高さ(h)の2~6倍であることが好ましく、より好ましくは2.5~5倍の範囲であり、さらに好ましくは2.8~4.5倍の範囲である。このような横長形状を有していることにより、接着剤液が切目部(4)から壁内に侵入し易く、かつ、壁分割体(A)(2w)に沿って、壁間の隙間に広く広がり易くなる。
壁分割体(A)(2w)の壁長さ方向の長さ(L)としては、0.8~4mmの範囲が好ましく、より好ましくは1~2.5mmの範囲である。なお、本発明で切目部(4)の壁長さ方向の長さ(L)および壁分割体(A)(2w)の壁長さ方向の長さ(L)は、共に、図3に示すように、雄型係合素子(1f)の高さ(h)の3分の1の高さで測定した長さを意味する。
本発明の雄型成形面ファスナーにおいて、壁分割体(A)(2w)の厚さ、すなわち図4に示すように、壁分割体(A)(2w)の壁長さ方向に直交する方向の幅(w)は0.1~0.3mmの範囲が壁分割体(A)が接着剤液の押圧により倒れ難いので好ましい。より好ましくは、0.15~0.25mmの範囲である。
本発明の雄型成形面ファスナーにおいて、隣の壁との間隔(b)が壁分割体(A)(2w)の厚さ(w)の0.5~4倍であるのが、接着剤液を壁間に広く拡げることが可能であることから好ましく、特に1~3倍の範囲が好ましい。壁分割体(A)(2w)は基板の付け根から先端部まで厚さ(w)が前記したように変化することなく一定の厚さを保ちながら基板(3)から直立しているのが好ましい。
本発明の雄型成形面ファスナーにおいて、各壁領域(2)には5列以上の壁が長さ方向に沿って平行に存在しているのが好ましく(図2では5列)、このように複数列の壁が存在することにより、接着剤液は壁領域(2)に広く拡がることができ、係合素子領域(1)へ接着剤液が到達することを阻止できる。より好ましくは6~15列、さらに好ましくは8~12列である。
本発明の雄型成形面ファスナーにおいて、壁領域(2)の壁の長さ方向直交する方向の幅としては2~10mmの範囲が好ましく、3~8mmの範囲がより好ましく、さらに好ましくは3.5~6mmの範囲である。上記範囲内であると、係合素子領域(1)の幅が相対的に狭くなることが避けられ、係合力の低下を防止することが出来る。また、接着剤液の壁領域(2)への広がりが妨げられることもない。壁領域(2)における壁分割体(A)(2w)の密度は60~160個/cmが好ましく、80~140個/cmがより好ましい。さらに係合素子領域(1)における雄型係合素子密度の0.7~1.5倍であるのが好ましい。
次に、上記した壁領域(2)に挟まれている係合素子領域(1)について説明する。
係合素子領域(1)に存在する係合素子列は15~40列であることが高い係合力を得る点で好ましく、係合素子列の間隔(b)は0.2~1.0mmであることが係合素子へ接着剤が到達することを阻止する点で好ましい。
係合素子領域(1)を形成する雄型係合素子(1f)としては、図2~3に示すように、上記した壁分割体(A)(2w)と同様に、基板(3)の表面から立ち上がり、根元から先端に至るまで分岐することなく、先端部に近づくほど壁長さ方向の太さ(幅)が徐々に細くなり、途中から壁長さ方向に曲がり、先端部は基板に近づくように曲がっているフック状の係合素子が好ましい。雄型成形面ファスナーでは、T字型、鏃型、キノコ型等の軸部より大きい膨頭部を頂部に有する雄型係合素子がフック状雄型係合素子と同様に一般的に使用されている。このような大きい膨頭部を有する係合素子と比べて、フック状係合素子は、製造し易すく、係合剥離の際に係合素子の頭部が折れたり引きちぎられたりすることがなく、優れた係合力が得られることから好ましい。図4に示すフック状係合素子の幅(w)、すなわち、係合素子列方向および係合素子の高さ方向の両方向に直交する方向の雄型係合素子(1f)の幅(w)は付け根部から先端部まで同一であるのが係合力の点で、また製造し易さの点で好ましい。
このようなフック状係合素子は、壁の長さ方向に平行な方向にフック状に曲がり、フック状に曲がっている方向に列をなして並んでいる。同一列に存在するフック状係合素子は同一方向に曲がっていることが好ましい。また、全ての列のフック状係合素子が同一方向に曲がっていてもよい。あるいは、半数の列のフック状係合素子が逆方向に曲がっていてもよい。この場合には、一列毎に曲がる方向が逆方向となっていても、複数列毎に曲がる方向が逆になっていても良い。
優れた係合力が得られるので、雄型係合素子の基板(3)表面から最頂部までの高さ(h)は、好ましくは0.6~1.5mmであり、より好ましくは0.8~1.3mmの範囲である。上記したように、壁分割体(A)(2w)の高さ(h)が、雄型係合素子の高さ(h)の0.25~0.7倍である必要がある。
雄型係合素子(1f)の幅(w)、すなわち係合素子列方向および係合素子の高さ方向の両方向に直交する方向の雄型係合素子(1f)の幅(w)は、0.15~0.5mmの範囲が好ましい。雄型係合素子(1f)の幅(w)は、壁分割体(A)の幅(w)の1.0~3.0倍であるのが壁領域の存在が目立たず、高い係合力が得られることから好ましい。
雄型係合素子(1f)の付け根部の係合素子列方向の長さは0.7~1.5mmが好ましく、より好ましくは0.8~1.3mmである。雄型係合素子(1f)の付け根部の係合素子列方向長さは、雄型係合素子の高さ(h)の0.6~1.2倍が好ましく、より好ましくは、0.65~1.0倍の範囲である。雄型係合素子(1f)の壁長さ方向の太さは、前記したように、付け根が太くて先端が細いのが雄型係合素子の倒れ難さの点で、さらに係合力の点で好ましい。
また、雄型係合素子(1f)がフック状係合素子である場合、付け根から係合素子高さ(h)の1/2~3/4の付近から徐々に係合素子列方向に曲がり始めているのが好ましい。係合素子領域(1)における雄型係合素子の密度としては、60~160個/cm,特に80~140個/cmの範囲が好ましい。
係合素子領域(1)の壁分割体(A)(2w)の列方向に直交する方向の幅5~50mmが自動車用内装材を強固に固定し易い点で、取り扱い性の点、さらに係合力の点で好ましく、より好ましくは10~40mm、さらに好ましくは15~35mmの範囲である。
したがって、本発明において、幅5~50mmの係合素子領域(1)の長さ方向両側に幅2~10mmの壁領域(2)が存在していることが好ましく、幅10~40mmの係合素子領域(1)の長さ方向両側に幅3~8mmの壁領域(2)が存在していることがより好ましく、幅15~35mmの係合素子領域(1)の長さ方向両側に幅3.5~6mmの壁領域(2)が存在していることがさらに好ましい。本発明の雄型成形面ファスナーにおいて、係合素子領域(1)の面積と両側に存在している壁領域(2)の合計面積の比は1.5:1~4:1の範囲が好ましく、より好ましくは1.7:1~3:1の範囲である。
以上のように、係合素子領域の両側に壁領域を設けることにより、接着剤液が両側から係合素子領域に侵入することを阻止できるが、それと直交する係合素子領域の長さ方向端部から接着剤液が侵入することを阻止することは出来ない。係合素子領域の長さ方向端部からの接着剤液の侵入を阻止するためには、図5および図6に示すように、係合素子列の長さ方向端部の係合素子列間にも壁分割体(A)と同様の壁分割体(B)(3w)が存在しているのが好ましい。このような壁分割体(B)が存在していることにより、雄型成形面ファスナーの長さ方向端部から係合素子領域に接着剤液が侵入することを阻止できる。壁分割体(B)の高さ、長さ及び幅は、上記した壁領域の壁分割体(A)の場合と同様である。
壁分割体(B)は、係合素子列に平行に、係合素子列の全長に亘って存在していてもよいし、また雄型成形面ファスナーの長さ方向両端部のみに存在していてもよい。雄型成形面ファスナーの長さが予め決められている場合には、その長さ方向の両端部の係合素子列間にのみ壁分割体(B)を存在させることができるが、そうでない場合には、係合素子列の全長に亘って壁分割体(B)を係合素子列間に点在させるのが好ましい。
壁分割体(B)が、雄型成形面ファスナーの長さ方向両端部のみに存在している場合には問題とならないが、係合素子列の全長に亘って存在している場合には、係合素子列間に設けた壁分割体(B)が、係合相手のループ状係合素子が雄型係合素子のフック内に侵入することを妨害し、雄型成形面ファスナーの係合能力が低下することがある。このような事態が生じることを防ぐためには、雄型係合素子のフック内にループ状係合素子のフィラメントが侵入できるように雄型係合素子の先端部と壁分割体(B)との間あるいは列方向に並ぶ壁分割体(B)の間には十分な空間を設けることが好ましい。
例えば、図5に示すように、係合素子列間に設ける壁分割体(B)の高さを、雄型係合素子の先端部の基板面からの高さ(h)より低くすることが好ましく、壁分割体(B)の高さが、雄型係合素子の高さ(h)より0.1mm以上低くすることが好ましい。これにより、雄型係合素子のフック内にループ状係合素子のフィラメントが自由に侵入できる。なお、図5において、雄型係合素子(1f)の基板面から高さ(h)の2/3付近の線は雄型係合素子の先端部の位置を示す。
また、雄型係合素子の先端部の両側面には壁分割体(B)が存在せずに空隙部が存在するように、壁分割体(B)の長さ、空隙部の長さ、空隙部の形状を雄型係合素子の配列状態に応じて調整してもよい。あるいは壁分割体(B)と雄型係合素子の隙間にループ状係合素子のフィラメントが自由に侵入できる空間を設ける方法を用いてもよい。これらのひとつ、あるいは2つ以上を用いて雄型係合素子のフック内にループ状係合素子が侵入できるように雄型係合素子の先端部と壁分割体(B)との間に十分な空間を設けることが好ましい。
係合力を大きく損なうことなく係合素子領域への接着剤液の侵入を効率的に阻止するためには、図6に示すように、
多数の雄型係合素子(1f)が方向(P)に列をなして並んでいる係合素子列が複数平行に存在しており、
方向(Q)に沿って複数の雄型係合素子が並んでいる係合素子列(B)が複数平行に存在し、
2~5列の係合素子列(B)の1列は、該列中の隣り合う2個の雄型係合素子の間に壁分割体(B)が存在する列であり、
他の1~4列は、該列中の隣り合う2個の雄型係合素子の間には壁分割体(B)が存在しない列であり、かつ
複数の壁分割体(B)が方向(P)に列をなして並んでいる
係合素子領域が好ましい。
すなわち、図6に示すように、1列の雄型係合素子(1f)と壁分割体(B:3w)が交互に存在している係合素子列(B)が、壁分割体(B:3w)を含まない係合素子列(B)1~4列ごとに配置することが好ましい(図6では、壁分割体(B:3w)を含まない係合素子列(B)2列ごとに雄型係合素子(1f)と壁分割体(B:3w)が交互に存在している係合素子列(B)が1列配置されている)。このような配置では、方向(P)に隣り合う2つの壁分割体(B)の間隔は壁領域(2)の切目部(4)の長さ(L)より長くなる。
このように、係合素子領域(1)にも壁分割体(B)を上記したように配置させると、雄型成形面ファスナーを通常用いられている任意の長さに切断して使用した場合に、係合素子領域の長さ方向端部(すなわち係合素子領域と壁領域の境界に直交している端部)からの接着剤液の侵入も阻止でき、係合素子領域の全周囲からの接着剤液の係合素子領域への侵入を高度に防ぐことができる。係合素子領域両端部からの接着剤液の侵入を阻止できるので、壁分割体(B)を配置しない場合よりも係合能低下をより効果的に防ぐことができる。
本発明の雄型成形面ファスナーは、通常の熱可塑性樹脂からなり、このような熱可塑性樹脂の例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン―ビニルアルコール共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等のポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、半芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂等の熱可塑性非エラストマー系樹脂の他に、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、軟質ポリ塩化ビニル等の熱可塑性エラストマー樹脂が挙げられ、これらは単独または混合して用いられる。
なかでも半芳香族ポリアミドが、自動車用内装材のように高温条件で長時間晒される過酷な条件下にあっても、高い係合力を長期間にわたり保持できることから本発明の雄型成形面ファスナーの素材として好ましい。半芳香族ポリアミドは、通常、脂肪族ジアミンと芳香族ジカルボン酸またはその誘導体から得られる。
半芳香族ポリアミドを形成する脂肪族ジアミンの例としては、1,6-ヘキサンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等を挙げることができる。なかでも高温での係合力保持性と優れた成形性の点で1,9-ノナンジアミン、あるいは1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンとの併用が好ましい。
脂肪族ジアミンとして1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンとを併用する場合、1,9-ノナンジアミン:2-メチル-1,8-オクタンジアミンのモル比は40:60~95:5であることが高温での係合力保持性および成形性の点で好ましい。
半芳香族ポリアミドを形成するもう一方の成分である芳香族ジカルボン酸としては、圧着時の耐倒れ性と成形性、さらに係合力の点で、テレフタル酸を主体とする芳香族ジカルボン酸が好ましく、なかでも、芳香族ジカルボン酸の全量がテレフタル酸である場合が最も好ましい。
半芳香族ポリアミドは極めて剛直な樹脂である。このような剛直な樹脂から、後述するような射出成形方法で本発明の雄型成形面ファスナーを成形すると、成形時のキャビティからの引き抜きの際に雄型係合素子が切断されたり、係合素子の特に曲がっている箇所に亀裂が入ることがある。それを防ぐためには、このような半芳香族ポリアミドにエラストマーを少量添加するのが好ましい。
添加されるエラストマーとしては、特に常温付近でゴムのような弾性や屈曲性を持つものであって、かつ成形温度下では軟化して容易に成形できる材料であって、具体的にはスチレン系、塩ビ系、オレフィン系、ウレタン系、エステル系、アミド系のエラストマーが挙げられる。
エラストマーが、ポリオレフィン系のエラストマー、特に無水マレイン酸変性のポリオレフィン系エラストマーであり、かつ半芳香族ポリアミドが、ジアミン成分(1,9-ノナンジアミンと2メチル―1,8-オクタンジアミン)とジカルボン酸成分(テレフタル酸)から得られる末端アミノ基含有ポリアミドである場合には、末端アミノ基と無水マレイン酸に基づく官能基が反応して、半芳香族ポリアミドとエラストマーとの一体性が向上し、雄型成形面ファスナーの成形時に、相分離が生じてキャビティからの引き抜きの際に雄型係合素子が切断されたり、雄型係合素子に亀裂が入ることを高度に阻止できる。
半芳香族ポリアミドに添加するエラストマーの量は、半芳香族ポリアミドの重量に対して2~20重量%が好ましい。上記範囲内であると添加する効果が十分に得られ、ブレンドした溶融樹脂の粘度が高くなり過ぎず、キャビティ内に圧入することが容易となり、さらに半芳香族ポリアミドを用いる効果が十分に得られる。より好ましくは、4~16重量%の範囲であり、さらに好ましくは7~13重量%の範囲である。さらに、半芳香族ポリアミドには、性能を大きく損なわない範囲内で、他の樹脂や安定剤や着色剤等を添加することができる。
表面側への接着剤液の流れ込み量を減らすために、基板を厚くして接着剤液塗布面(雄型成形面ファスナーの裏面)から係合素子面を遠ざける方法が考えられるが、面ファスナーが固くなってしまう。特に半芳香族ポリアミドからなる場合には、この方法を用いると面ファスナーを構成する基板が剛直となり、易曲性が失なわれ、接着し易さが低下するという問題が生じ易い。しかしながら、基板裏面側に前記した突起を設けることにより、基板の易曲性を大きく損なうことなく接着剤液を裏面側に保持できるため、前記突起は表面側への接着剤液の流れ込みを少なくする上で好ましい。また、突起を設けることで、面ファスナーの裏面が滑りにくくなることで、自動車用内装材の裏面へ位置決めがし易くなる。
次に本発明の雄型成形面ファスナーの製造方法について説明する。例えば、雄型係合素子形状のキャビティ群を挟んでその両サイドに壁分割体(A)形状のキャビティ群を表面に設けた金属ロールを使用し、該表面に樹脂の溶融物をシート状に流すとともに該キャビティ内に該溶融物を圧入し、固化後に金属ロール面から剥がすと同時にキャビティからも引き抜いて、中央に係合素子領域(1)、その両側に壁領域(2)を有する樹脂シートを製造する方法が用いられる。
このキャビティから引き抜く方法の一例をより詳細に説明する。壁分割体(A)の形状をしたキャビティを等間隔で多数外円周上に彫った厚さ0.1~0.3mmのリング状金型、そのようなキャビティを彫っていない同直径で厚さ0.15~0.5mmの金属製リングを、壁分割体(A)の位置が隣の壁と異なるように交互に重ね合せて壁分割体(A)用キャビティを外周表面に多数有する壁用リング群を作製する。
逆J字型形状を外円周上に彫った厚さ0.15~0.5mmのリング状金型、そのような形状を彫っていない同直径の金属製リング、上記逆J字型形状と逆の方向に曲がっている逆J字型形状を外円周上に彫った厚さ0.15~0.5mmで同直径のリング状金型、そのような形状を彫っていない同直径の金属製リングを順々に重ね合わせることにより、その外周表面に逆J字型の係合素子形状のキャビティおよびその逆方向に曲がっている逆J字型係合素子のキャビティを多数有する係合素子用リング群を作製し、これを前記壁用リング群に重ね合わす。
次いで、前記壁用リング群と同じ方法で作成した壁用リング群を係合素子用リング群に重ね合せて、中央部に逆J字型の係合素子形状のキャビティを外周上に多数有する領域、その両側に壁分割体(A)形状のキャビティを外周上に多数有する領域を有する金型ロールを用意する。
なお、上記説明では、逆J字型形状のキャビティを有するリング状金型と逆の方向を向いている逆J字型形状のキャビティを有するリング状金型をキャビティを彫っていない金属製リング1枚を挟んで交互に重ね合せる場合について説明したが、2枚以上のキャビティを彫っていない金属製リングを挟んで交互に重ね合わせてもよい。
このような金属ロールの表面には、壁分割体(A)用のキャビティが円周方向に列をなして並んでおり、かつ、そのような列が壁領域を形成するように金属ロール幅方向に複数列存在している。
さらに、ロール円周方向に曲がっている複数の逆J字型キャビティが円周方向に列をなして並んでおり、かつ、そのような列が係合素子領域を形成するように金属ロール幅方向に複数列存在している。逆J字型キャビティの曲がっている方向は1列単位であるいは複数列単位で逆となっている。
逆J字型キャビティは、引き抜く際の切断等を防ぐために金属ロール面から先端部に行くに従って細くなっており、かつ途中から徐々に金属ロール円周方向に曲がり、先端部は金属ロール面に近づく方向を向いている。
このような金属ロール表面に溶融した樹脂を流して雄型成形面ファスナーを成形する具体的な方法としては、
金属ロールと相対する位置に存在する別のドラムロールとの隙間に樹脂溶融物を押し出し、圧迫することによりキャビティ内に同溶融物を充填させると共にロール表面に均一な厚さを有するシートを形成し、
金型ロールが回転している間にロール内を常時循環させている冷媒によりキャビティ内の同溶融物を冷却固化させるとともに、得られる雄型成形面ファスナーの基板が均一厚さとなるように隙間調整したニップローラーにより引き延ばし、
冷却固化したシートを金型ロール表面から引き剥がすとともに、キャビティから雄型係合素子および壁分割体(A)を引き抜く。
これにより、表面に多数の雄型係合素子が存在している係合素子領域(1)を有し、その両側に多数の壁分割体(A)を有する壁領域(2)が存在している本発明の雄型成形面ファスナーシートが得られる。
基板裏面に突起を設けるためには、金属ロールと相対する位置に存在する上記ドラムロールの表面に突起用窪みを設け、前記キャビティに樹脂溶融物を充填すると同時にこの窪みにも前記樹脂溶融物を充填させ、固化後にドラムロール表面から剥離して、基板裏面に突起を形成する方法を用いるのが好ましい。
係合素子領域にも壁分割体(B)が存在しているようにするためには、逆J字型形状を外円周上に彫ったリング状金型間に挿入されている逆J字型形状を彫っていない同直径の金属製リングを、壁分割体(B)形状を外円周上に彫ったリング状金型に置き換えるか、あるいは壁分割体(B)形状を外円周上に彫ったリング状金型とそのような形状を外円周上に彫っていない薄い金属製リングの組み合わせに置き換える方法を用いるのが好ましい。
壁分割体(B)形状を外円周上に彫ったリング状金型を、逆J字型形状を外円周上に彫ったリング状金型間に挿入する場合には、リング状金型の全外円周上に壁分割体(B)形状が間隔を空けて彫られていても、あるいは雄型成形面ファスナーの長さ方向端部に相当する部分のみに壁分割体(B)形状が彫られていてもよい。リング状金型の全外円周上に壁分割体(B)形状が彫られている場合には、前記したように、雄型係合素子のフック内にループ状係合素子のフィラメントが自由に侵入できるように工夫するのが好ましい。
例えば、前記したように、
壁分割体(B)の高さが、雄型係合素子の先端部の基板面からの高さより低くなるようにする、
雄型係合素子の先端部の両側面には壁分割体(B)が存在せずに切目部が存在しているように、壁分割体(B)の長さ、切目部の長さ、および切目部の形状を雄型係合素子の配列状態に合わせ、そしてリング状金型の形状や重ね合せ状態を調整する、
逆J字型形状を外円周上に彫ったリング状金型と壁分割体(B)形状を外円周上に彫ったリング状金型の間にキャビティを外円周上に彫っていない薄い金属製リングを挿入する、あるいは
外周上に彫る壁分割体(B)形状の間隔を逆J字型形状の間隔の1/2~1/5とする
等の方法が用いられる。
このようにして得られた雄型成形面ファスナーテープを適当な長さに切断して、自動車用内装材の裏面に接着剤により貼り付ける。このような内装材としては、自動車用の天井材や床材として一般的に用いられているものが使用できる。例えば、不織布、ガラス繊維マット、および発泡樹脂層、パイル布帛、織編物、天然または人工皮革等を積層したシートで、裏面側には不織布層が存在しているシートが挙げられる。
このような自動車用内装材の裏面に本発明の雄型成形面ファスナーを接着剤により貼り付ける。用いられる接着剤としては、溶剤型接着剤、エマルジョン系接着剤、ホットメルト系接着剤、あるいは硬化型接着剤などが挙げられるが、特に湿気硬化型の瞬間接着剤が高温条件下でも接着力が低下せず、さらに短期間で硬化接着が可能であることから取り扱い性や作業性の点で、さらに接着強度の点で好ましい。
なかでも、シアノアクリレート系の瞬間接着剤が高い接着力と高温条件下でも優れた接着力が低下しないこと、さらに硬化時間が短く、作業性に優れていることから好ましく、とりわけエチルシアノアクリレート系瞬間接着剤が特に優れた接着力が得られることから特に好ましい。
その反面、このような瞬間接着剤は、接着強度を高めるために厚く塗布すると雄型成形面ファスナーの端部から接着剤液がはみ出して、それが面ファスナー表面に侵入して面ファスナーの係合力を低下させるという問題を生じ易い。それを防ぐ上で本発明の雄型成形面ファスナーは極めて有効である。使用する際の接着剤液の粘度は、25℃で80~220mPa・sの範囲が接着力の点で、さらに本発明の雄型成形面ファスナーの両側に存在している壁領域(2)の働きを十分に発現できることから好ましい。さらに接着剤の塗布量は、貼り付ける面積1cm当たり0.0125~0.0375gが好ましい。
以上、本発明の雄型成形面ファスナーを自動車用内装材の裏面に貼り付ける場合について説明したが、本発明の雄型成形面ファスナーは、自動車用内装材以外にも、接着剤液が面ファスナー端部からはみ出して、はみ出した接着剤液が面ファスナーの係合素子面に流れ込み、その結果、係合力が低下する恐れのある被着体に接着剤を用いて面ファスナーを取り付ける場合にも使用できる。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。実施例において、雄型成形面ファスナー表面の係合素子面への接着剤液の流れ込みは、自動車用天井材の裏面に接着した雄型成形面ファスナーの表面をルーペで観察して、係合素子領域まで接着剤が流れ込んでいるか否か、さらに壁領域に流れ込んだ接着剤がどのような状態で固化しているかを観察した。
また、接着剤で取り付けた雄型成形面ファスナーについて、JIS L3416の方法に従い、常温と110℃での係合力を測定した。係合相手となるループ状係合素子としてポリフェニレンサルファイド製織面ファスナー(クラレファスニング社製マジックテープB48000.00)を用いた。
実施例1
[成形に使用する樹脂の準備]
半芳香族ポリアミドとして、ジアミン成分の50モル%が1,9-ノナンジアミンで、50モル%が2メチル―1,8-オクタンジアミンである混合ジアミンを用い、芳香族ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を用いて得られる末端アミノ基含有半芳香族ポリアミド(株式会社クラレ製半芳香族ポリアミドジェネスタ、[η]=1.20dl/g)を用い、エラストマーとして、無水マレイン酸変性ポリオレフィン系エラストマー(三井化学製タフマー)を上記半芳香族ポリアミドに対して10重量%の割合で、さらにカーボンブラック粉末を上記半芳香族ポリアミドと上記エラストマーの合計量に対して0.2重量%添加し、混ぜ合わせてペレット化した。
[成形に使用する金型の準備]
次に、金型として、
壁分割体(A)の形状を外円周上に彫った厚さ0.2mmで直径212mmのリング状金型および
そのような形状を彫っていない外周面がフラットな厚さ0.25mmで直径212mmの金属製リングを
壁分割体(A)の中央が隣の壁では壁分割体(A)の両端の切目部となるように壁分割体(A)の位置を隣のリング状金型とずらして交互に合計21枚重ね合せた金型ロール(1)を作製した。
それとは別に、
フック型係合素子の形状を外円周上に彫った厚さ0.30mmで直径212mmのリング状金型、
そのような形状を彫っていない外円周面がフラットな厚さ0.30mmで直径212mmの金属製リング、
上記フック型係合素子形状と同一形状であるがフックの曲がっている方向が逆であるフック型係合素子形状を外円周上に彫った厚さ0.30mmで直径212mmのリング状金型、および
そのような形状を彫っていない外周面がフラットな厚さ0.30mmで直径212mmの金属製リング
をこの順で計70枚重ね合せた金型ロール(2)を作製した。
さらに、金型ロール(1)と同様にして金型ロール(3)を作製した。
金型ロール(1)、金型ロール(2)および金型ロール(3)をこの順で重ね合わせて一体化して、その外周表面にフック型係合素子形状のキャビティおよび逆方向を向いているフック型係合素子形状のキャビティを多数有する幅20mmの係合素子領域、およびその両側に壁分割体(A)形状のキャビティを表面に多数有する幅4mmの壁領域を有する金型ロールを作製した。
[雄型成形面ファスナーの製造]
上記の金型ロールと相対する位置に存在するドラムロールとの隙間に上記の半芳香族ポリアミドに上記エラストマーを添加した樹脂ペレットの溶融物(温度:300℃)を押し出し、圧迫することにより金属ロールのキャビティ内に該樹脂溶融物を充填させると共にロール表面に均一な厚さを有するシートを形成した。金型ロールが回転している間にロール内に常時循環されている水によりキャビティ内の樹脂を冷却固化させたのち、基板厚さが0.20mmとなるように隙間調整したニップロールにより引き延ばした。冷却固化されたシートを金型ロール表面から引き剥がして、黒色の雄型成形面ファスナーテープを製造した。
[得られた雄型成形面ファスナーの形状]
得られた雄型成形面ファスナーテープは、図1に示すような形状、すなわち、多数の雄型係合素子が存在している幅20mmの係合素子領域(1)の両側に幅4mmの壁領域(2)が係合素子領域(1)に平行に存在しているテープであった。
係合素子領域(1)に存在している雄型係合素子(1f)は壁長さ方向に列をなして並んで係合素子列を形成しており、複数の係合素子列が係合素子列の方向に対して直角方向に平行に並んでいた。図4に示すように、壁長さ方向および高さ方向の両方向に直交する方向では雄型係合素子は均一の幅を有していた。図2に示すように、雄型係合素子は、途中または先端部には分岐を有さずに根元から先端へ徐々に細くなっており、かつ途中から徐々に壁長さ方向に曲がり、先端部は基板に僅かに近づく方向を向いている形状を有していた。更に雄型係合素子の曲がっている方向と同一の方向に複数の雄型係合素子が列をなして並んでおり、さらに雄型係合素子は1列単位で曲がっている方向が逆となっている逆J字形状を有していた。
雄型係合素子の形状は図2~4に示すような形状(但し、裏面側突起は存在していない)であり、その高さ(h)は基板表面から1.15mm、雄型係合素子の先端部の下端部は雄型係合素子の頂部の下端部の高さに対して、雄型係合素子の高さ(h)の5%相当の距離だけ基板に近づいていた。雄型係合素子の幅(w)は0.30mmで、係合素子付け根部の広がりは1.0mm、雄型係合素子は付け根から係合素子高さの2/3の高さの付近から徐々に曲がり始めていた。雄型係合素子は列をなして並んでおり、雄型係合素子の曲がっている方向は列方向であり、雄型係合素子の密度は110個/cm、基板の厚さは0.20mm、隣り合う雄型係合素子の間隔(b)は0.3mmであった。
また係合素子領域(1)を挟むように両側に存在している壁領域(2)には、係合素子領域に沿って平行に伸びる壁が0.3mmの間隔を空けて10列平行に存在していた。各壁には、壁を厚さ方向に貫通し、かつ、基板表面から頂部に至る切目部(4)が等間隔(誤差が5%以下)で配置されていた。この切目部(4)により壁が多数の壁分割体(A)(2w)に分断されて、壁分割体(A)(2w)の列を形成していた。壁分割体(A)の高さ(h)は0.5mm、壁の切目部(4)が存在している箇所が、図2のように、隣の壁では壁分割体(A)(2w)の壁面となっていた。また壁分割体(A)(2w)の両端に存在している各切目部(4)の壁長さ方向の長さ(L)が0.65mm、同切目部(4)に挟まれている壁分割体(A)(2w)の壁長さ方向の長さ(L)が1.35mmであった。切目部(4)の壁長さ方向の長さが、付け根から頂部に至るまで同一(誤差が5%以下)であり、かつ切目部(4)を壁面に直交する方向から見た形状が図2に示すように平行四辺形であった。さらに壁分割体(A)(4)の厚さ(W)は0.2mmで、壁領域での壁分割体(A)(4)の密度は97個/cmであった。係合素子領域(1)の幅は20mm、壁領域(2)の幅はそれぞれ4mmであった。
[得られた雄型成形面ファスナーを自動車用内装材の裏面に貼り付け]
このような雄型成形面ファスナーを40mmに切断し、その裏面にエチルシアノアクリレートからなる20℃の粘度が150mPa・sの瞬間接着剤を0.03g/cmの塗布量で塗布して、直ちに自動車用天井材の裏面に接着剤塗布面を重ね合せ、両者を強く押さえ付けて接着させた。その結果、両者は強固に接着された。なお、使用した接着剤の存在を目視できるように、接着剤には酸化チタン系の白色顔料を10重量%添加した。
使用した自動車用天井材は、
発泡ポリウレタンからなる厚さ8mmの発泡樹脂層の両面を、熱硬化性イソシアネート化合物を含浸させたガラス繊維マット(目付け:100mm/m)で覆い、
さらにその片面(表面)を人工皮革、もう一方の面(裏面)を軟質発泡ポリウレタン層、次いでポリエステル繊維からなる絡合不織布で覆い、さらに、
裏面側に、厚さ1mmのポリプロピレン層の両面に、ホットメルトポリオレフィン層からなるフィルムとポリエステル繊維からなる厚さ1mmの絡合不織布からなる積層体を絡合不織布側が外側となるように重ね合わせて一体化したものである。
[貼り付け後の雄型成形面ファスナーの貼り付け状態および係合力]
接着された雄型成形面ファスナーの表面をルーペにより観察したところ、端部からはみ出した接着剤が雄型成形面ファスナーの両端部の壁領域(2)の壁間に広く低く流れ込んでいるが、係合素子領域(1)には全く流れ込んでいないことが確認できた。一部の接着剤が塊状となって、壁分割体の上に存在していたが、殆どの接着剤液は広く壁領域(2)の壁の隙間に薄く流れ込み、壁間に広がっていることが確認できた。この雄型成形面ファスナーの常温での初期係合力を測定した結果、引張剪断強さが42.0N/cm2、剥離強さが2.8N/cmであった。
比較例1
実施例1において、両側の壁領域が存在せず、両側の端まで実施例1と同形状の雄型係合素子に覆われた幅28mmの雄型成形面ファスナーを使用した以外は実施例1と同様の方法により、自動車用天井材の裏面に雄型成形面ファスナーを貼り付けた。
接着された雄型成形面ファスナーの表面を実施例1と同様にルーペにより観察したところ、端部からはみ出した接着剤液が雄型成形面ファスナーの両端部から雄型係合素子の間や表面に流れ込んでいた。特に、端部に近い雄型係合素子は接着剤により覆われており、さらに端部近くには、接着剤が雄型係合素子上に盛り上がった塊状で存在している箇所も見られた。この雄型成形面ファスナーの常温での初期係合力を測定した結果、引張剪断強さは27.0N/cm2、剥離強さは1.8N/cmであり、実施例1のものより係合力の点で劣ることが分かった。さらに接着剤が雄型係合素子表面に汚く付着しており、見栄えの点でも商品価値を大きく低下させるものであった。
実施例2~3、比較例2~4
上記実施例1において、壁領域(2)の壁分割体(A)(2w)の高さ(h)を雄型係合素子の高さ(h)の0.32倍(実施例2)、0.62倍(実施例3)、0.21倍(比較例2)、0.80倍(比較例3)、1.0倍(比較例4)とした以外は実施例1と同様にして雄型成形面ファスナーを製造した。そして得られた5種の雄型成形面ファスナーをそれぞれ実施例1と同様の方法により、自動車用天井材の裏面に貼り付けた。
接着された雄型成形面ファスナーの表面を実施例1と同様にルーペにより観察したところ、実施例2では、接着剤の壁分割体に沿っての広がりが実施例1のものより劣るものの、接着剤は係合素子領域に殆ど侵入していなかった。実施例3では、接着剤が壁分割体の上で塊状で存在する箇所が所々観察されたが、該塊の高さは雄型係合素子の高さ(h)より低かった。また、接着剤は壁分割体に沿って広がっており、接着剤は係合素子領域には殆ど侵入していなかった。
一方、比較例2では、接着剤は壁分割体に沿って広がらずに奥の壁分割体を越えて係合素子領域まで到達しており、端部近辺の雄型係合素子は接着剤により覆われていることが観察された。このことから本発明の要件を満たさない壁分割体が存在するだけでは接着剤の流れ込みを阻止することが出来ないことが確認された。
比較例3では、ごく一部の接着剤が塊状となって壁分割体の上に盛り上がっており、その結果、係合力の点で実施例1のものより劣ることが確認できた。また比較例4でも、比較例3と同様に、ごく一部の接着剤は塊状となって壁分割体の上に比較例3のものより高く盛り上がっており、その結果、係合力の点で比較例3のものよりも劣ることが確認できた。
これらの雄型成形面ファスナーの常温での初期係合力を測定した結果、
実施例2では引張剪断強さが37.0N/cm2、剥離強さが2.5N/cm、
実施例3では引張剪断強さが36.0N/cm2、剥離強さが2.3N/cm
であり、ともに実施例1のものより係合力の点ではわずかながら劣ることが分かった。一方、
比較例2では引張剪断強さが23.0N/cm2、剥離強さが1.5N/cm、
比較例3では引張剪断強さが30.0N/cm2、剥離強さが2.0N/cm、
比較例4では引張剪断強さが28.0N/cm2、剥離強さが1.8N/cm
であり、実施例1と比べると著しく劣ることが分かった。
比較例5
上記実施例1において、壁領域(2)に存在している壁に切目部を入れることなく、切目のない連続した壁とした以外は実施例1と同様にして壁領域を有する雄型成形面ファスナーを製造し、それを実施例1と同様に自動車用天井材の裏面に貼り付けた。
接着された雄型成形面ファスナーの表面を実施例1と同様にルーペにより観察したところ、壁が存在しているものの接着剤は壁に沿って殆ど広がらずに多くの箇所で壁の上面を乗り越えて係合素子領域まで到達しており、端部近辺の雄型係合素子は接着剤により覆われていることが観察された。この雄型成形面ファスナーの常温での初期係合力を測定した結果、引張剪断強さは30.0N/cm2、剥離強さは2.0N/cmであり、実施例1のものと比べると著しく劣っていた。
実施例4~5
上記実施例1において、雄型係合素子の高さ(h)を1.5mmに変更し、これに伴い壁分割体(A)の高さ(h)も0.7mmに変更した以外は実施例1と同様にして雄型成形面ファスナーを製造し、それを実施例1と同様に自動車用天井材の裏面に貼り付けた(実施例4)。
また、壁領域(2)の存在する壁分割体の列数を7列に減らし、かつ壁分割体(A)の高さ(h)を係合素子領域(1)に近づくにしたがって高くした。すなわち、4列目の壁分割体(A)の高さ(h)が実施例1のものと同一で、最外部の列の壁分割体(A)の高さ(h)を4列目より10%低くし、係合素子領域に最も近い列の壁分割体(A)の高さ(h)を4列目より10%高くした以外は実施例1と同様にして雄型成形面ファスナーを製造し、それを実施例1と同様に自動車用天井材の裏面に貼り付けた(実施例5)。
上記実施例4および実施例5で接着された雄型成形面ファスナーの表面を実施例1と同様にルーペにより観察したところ、共に、接着剤が雄型成形面ファスナーの両端部の壁領域(2)の壁間に広く薄く流れ込んでおり、係合素子領域(1)には全く流れ込んでいなかった。さらに壁領域(2)に流れ込んだ接着剤も一箇所に固まって盛り上がった塊状になっておらず、広く壁領域(2)の壁の隙間に薄く流れ込み、壁間に広がっていることが確認できた。
この雄型成形面ファスナーの常温での初期係合力を測定した結果、
実施例4では引張剪断強さが39.0N/cm2、剥離強さが2.6N/cm、
実施例5では引張剪断強さが40.0N/cm2、剥離強さが2.7N/cm
であり、共に、実施例1のものと殆ど遜色のない優れたものであった。
実施例6
上記実施例1において、雄型係合素子の形状を外円周上に彫った厚さ0.30mmのリング状金型の間に挿入した、外円周面がフラットな厚さ0.30mmの金属製リングを、次のリング状金型と金属製リングの組み合わせに交換した。すなわち、実施例1で用いた、壁分割体(A)の形状を外円周上に彫った厚さ0.2mmで直径212mmのリング状金型と同様のリング状金型であるが、雄型係合素子3個に対して1個の壁分割体(B)の形状を彫ったリング状金型と、その両面をそのような形状を彫っていない外周面がフラットな厚さ0.05mmで直径212mmの金属製リングで挟んだ組み合わせに置き換えた以外は実施例1と同様にして雄型成形面ファスナーを製造した。
得られた雄型成形面ファスナーには、係合素子領域の係合素子列間に壁分割体(B)の列が存在していた。この係合素子間に存在している壁分割体(B)の高さは雄型係合素子の先端部の基板面からの高さ(h)より0.18mm低く、さらに雄型係合素子の両側面は切目部と一致していた。さらに雄型係合素子列と壁分割体列の間は隙間が存在しており、これらによりループ状係合素子が雄型係合素子のフック内に容易に入ることができる構造となっていた。
図6に示すように、実施例1と同様、方向(Q)に複数の雄型係合素子が並び、複数の平行な係合素子列を形成していた。この方向(Q)に沿って伸び該係合素子列3列に対して1つの列には雄型係合素子(1f)と壁分割体(3w)が交互に存在し、他の2列には壁分割体(3w)が存在していなかった。すなわち、該係合素子列3列に対して1つの列の割合で壁分割体(3w)を含む係合素子列が存在する以外は実施例1のものと同様であった。それを実施例1と同様に長さ40mmに切断して自動車用天井材の裏面に貼り付けた。
接着された雄型成形面ファスナーの表面をルーペにより観察したところ、実施例1と同様に、面ファスナーの幅方向の両端部からはみ出した接着剤が雄型成形面ファスナーの両端部の壁領域の壁間に広く薄く流れ込み壁間に広がっていたが、係合素子領域には全く流れ込んでいなかった。さらに壁領域に流れ込んだ接着剤も広く壁の隙間に薄く、広がっていた。また、雄型成形面ファスナーの長さ方向端部からはみ出した接着剤は長さ方向の最も外側の壁分割体(B)および切目部に遮られてそれより内部には殆ど侵入していなかった。この点では、実施例1のものより完全に接着剤液の侵入を阻止していた。
この雄型成形面ファスナーの常温での初期係合力を測定した結果、引張剪断強さが42.4N/cm2、剥離強さが3.0N/cmであり、実施例1のものより僅かであるが優れた係合力を有していた。
実施例7
上記実施例1において、金属ロールと相対する位置に取り付けるドラムロールの表面に突起用窪み(高さ1.0mm、幅0.5mmで、ロール表面から窪み底に行くにしたがって一方向に曲がっている)をロール表面0.25cmに1個の密度で存在させ、金属ロールのキャビティ内に樹脂溶融物を充填させる際にドラムロールの突起用窪みにも充填させた以外は実施例1と同様にして、雄型成形面ファスナーを製造した。得られた雄型成形面ファスナーと実施例1の雄型成形面ファスナーとを同じように幅方向、長さ方向に曲げてみたところ何れも曲げ易さに差はなかった。得られた雄型成形面ファスナーを実施例1と同様の方法により、自動車用天井材の裏面に貼り付けた。但し、接着剤液の塗布量を実施例1の場合よりも20%増した。
接着された雄型成形面ファスナーの表面を実施例1と同様にルーペにより観察したところ、接着剤液の塗布量が実施例1のものよりも多いにも拘らず接着剤が係合素子領域まで侵入している量は実施例1の場合より少なかった。このことから、裏面側突起が存在すると、使用された接着剤液の量が多い場合であっても、実施例1の場合よりもより一層係合素子領域への接着剤液の流れ込みを阻止できていることが確認でき、見栄えの点で優れていることが確認できた。この雄型成形面ファスナーの常温での初期係合力を測定した結果、引張剪断強さが43.5N/cm2、剥離強さが2.8N/cmであった。
1:係合素子領域
2:壁領域
1f:雄型係合素子
2w:壁分割体(A)
3w:係合素子列の間に設ける壁分割体(B)
3:基板
4:切目部
5:裏面側突起
6:係合素子列(B)
:雄型係合素子高さ
:壁分割体(A)高さ
:雄型係合素子の先端部の基板面からの高さ
:壁分割体(A)の壁方向長さ
:切れ目部の壁方向長さ

Claims (14)

  1. 樹脂製のシート状基板、
    該シート状基板の表面から立ち上がる同一樹脂製の雄型係合素子が複数存在している係合素子領域、および
    該シート状基板の表面から立ち上がり、かつ該係合素子領域に沿って平行に伸びる同一樹脂製の壁が一定間隔を空けて複数列平行に存在している壁領域が該係合素子領域の両側に存在している雄型成形面ファスナーにおいて、以下の条件(1)~(3)を満足していることを特徴とする雄型成形面ファスナー。
    (1)各壁には、壁を厚さ方向に貫通し、かつ、壁の下部から頂部に至る複数の切目部が等間隔で配置されていて、この切目部により壁が複数の壁分割体(A)に分断されて、壁が壁分割体(A)の列を形成していること、
    (2)壁分割体(A)の高さが、雄型係合素子の高さの0.25~0.7倍であること、
    (3)一つの壁の切目部が存在している位置に対応する箇所が、隣の壁では壁分割体(A)の壁面となっていること。
  2. 壁分割体(A)の両端に存在している各切目部の壁長さ方向の長さが、該切目部に挟まれている壁分割体(A)の壁長さ方向の長さの0.3~0.7倍である請求項1に記載の雄型成形面ファスナー。
  3. 各壁領域には、5~15列の壁が係合素子領域に沿って平行に存在している請求項1または2に記載の雄型成形面ファスナー。
  4. 切目部の壁長さ方向の長さが、付け根から頂部に至るまで同一の長さであり、かつ切目部を壁面に直交する方向から見た形状が四辺形である請求項1~3のいずれか1項に記載の雄型成形面ファスナー。
  5. 壁分割体(A)の壁長さ方向の長さが壁分割体(A)の高さの2~6倍である請求項1~4のいずれか1項に記載の雄型成形面ファスナー。
  6. 壁分割体(A)の厚さが0.1~0.3mmであり、壁分割体(A)の高さが0.3~0.8mmである請求項1~5のいずれか1項に記載の雄型成形面ファスナー。
  7. 係合素子領域には、複数の雄型係合素子が壁領域に平行に列をなして並んでいる係合素子列が複数列存在しており、隣り合う係合素子列の間に壁分割体(B)が存在している請求項1~6のいずれか1項に記載の雄型成形面ファスナー。
  8. 係合素子列方向に対して直角方向に複数の雄型係合素子が並んでいる係合素子列(B)が平行に複数列存在し、2~5列の係合素子列(B)の1列は、該列中の隣り合う2個の雄型係合素子の間に壁分割体(B)が存在する列であり、他の1~4列は、該列中の隣り合う2個の雄型係合素子の間には壁分割体(B)が存在しない列であり、かつ、複数の壁分割体(B)が係合素子列方向に列をなして並んでいる請求項7に記載の雄型成形面ファスナー。
  9. 基板裏面側に、基板裏面から立ち上がり、高さが基板厚さの0.5~5倍である突起が存在している請求項1~8のいずれか1項に記載の雄型成形面ファスナー。
  10. 雄型成形面ファスナーを構成する樹脂が半芳香族ポリアミドである請求項1~9のいずれか1項に記載の雄型成形面ファスナー。
  11. 半芳香族ポリアミドが、1,9-ノナンジアミンと2メチル-1,8-オクタンジアミンをジアミン成分とし、テレフタル酸をジカルボン酸成分として得られる半芳香族ポリアミドである請求項10に記載の雄型成形面ファスナー。
  12. 自動車用内装材の裏面に、接着剤により請求項1~11のいずれか1項に記載の雄型成形面ファスナーの裏面が貼り付けられている自動車用内装材。
  13. 接着剤がエチルシアノアクリレート系の瞬間接着剤である請求項12に記載の自動車用内装材。
  14. 請求項12または13に記載の自動車用内装材の裏面に取り付けられた雄型成形面ファスナーの雄型係合素子と、車体に取り付けたループ面ファスナーのループ状係合素子を係合させることにより、自動車用内装材が固定された車体。
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