JP7745859B1 - 防錆塗料組成物、塗装物品ならびに塗装物品の製造方法 - Google Patents
防錆塗料組成物、塗装物品ならびに塗装物品の製造方法Info
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Abstract
【解決手段】エポキシ樹脂(a)と、ポリアミン(b)と、粉体(c)と、増粘剤(d)と、を含む、防錆塗料組成物であって、前記粉体(c)は、5℃の水100gに対する溶解量が0.1g以上の金属硫酸塩(c-1)と、pH7.0で20℃の水100gに対する溶解量が0.03g未満であり、かつ、pH4.0で20℃の水100gに対する溶解量が0.03g以上である亜鉛化合物(c-2)と、を含み、前記金属硫酸塩(c-1)の含有量は、前記防錆塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、0.2質量%以上70質量%以下であり、前記亜鉛化合物(c-2)の含有量は、前記防錆塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、10質量%以上200質量%以下である、防錆塗料組成物。
Description
[1]
エポキシ樹脂(a)と、
ポリアミン(b)と、
粉体(c)と、
増粘剤(d)と、を含む、防錆塗料組成物であって、
前記粉体(c)は、
5℃の水100gに対する溶解量が0.1g以上の金属硫酸塩(c-1)と、
pH7.0で20℃の水100gに対する溶解量が0.03g未満であり、かつ、pH4.0で20℃の水100gに対する溶解量が0.03g以上である亜鉛化合物(c-2)と、を含み、
前記金属硫酸塩(c-1)の含有量は、前記防錆塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、0.2質量%以上70質量%以下であり、
前記亜鉛化合物(c-2)の含有量は、前記防錆塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、10質量%以上200質量%以下である、防錆塗料組成物。
[2]
前記金属硫酸塩(c-1)の含有量と前記亜鉛化合物(c-2)の含有量との質量基準の比(c-1/c-2)が、0.08/99.92~90.00/10.00である、上記[1]の防錆塗料組成物。
[3]
表面に錆を有する鋼材用である、上記[1]の防錆塗料組成物。
[4]
表面に塩分を有する鋼材用である、上記[1]の防錆塗料組成物。
[5]
前記金属硫酸塩(c-1)は、多価の金属カチオンと硫酸イオンとの塩である、上記[1]の防錆塗料組成物。
[6]
前記金属硫酸塩(c-1)は、硫酸ニッケル、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、硫酸クロム、硫酸銅、硫酸チタン、硫酸スズ、硫酸ジルコニウム、硫酸バナジウム、硫酸マンガンよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[1]の防錆塗料組成物。
[7]
前記亜鉛化合物(c-2)は、酸化亜鉛、水酸化亜鉛および炭酸亜鉛よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[1]の防錆塗料組成物。
[8]
前記粉体(c)は、さらに、アルカリ土類金属酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物の少なくとも一方であるアルカリ土類金属化合物(c-3)を含む、上記[1]の防錆塗料組成物。
[9]
前記アルカリ土類金属化合物(c-3)の含有量は、前記防錆塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、0.15質量%以上40質量%以下である、上記[8]の防錆塗料組成物。
[10]
前記アルカリ土類金属化合物(c-3)は、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化バリウム、水酸化バリウムよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[8]の防錆塗料組成物。
[11]
固形分濃度69質量%および温度25℃の条件で、粘度測定装置レオメーターを用いて、せん断速度1000(1/s)でせん断応力を加え始めてから1分後の粘度が、0.1Pa・s以上1.2Pa・s以下であり、せん断速度0.1(1/s)でせん断応力を加え始めてから1分後の粘度が40Pa・s以上500Pa・s以下である、上記[1]の防錆塗料組成物。
[12]
表面に錆を有する鋼材と、
前記鋼材上に、上記[1]~[11]のいずれかの防錆塗料組成物により形成された防錆塗膜と、を備える、塗装物品。
[13]
前記鋼材の表面の前記錆の厚さが、10μm以上200μm以下である、上記[12]の塗装物品。
[14]
前記防錆塗膜が、前記鋼材の表面の前記錆を覆っている、上記[13]の塗装物品。
[15]
表面に塩分を有する鋼材と、
前記鋼材上に、上記[1]~[11]のいずれかの防錆塗料組成物により形成された防錆塗膜と、を備える、塗装物品。
[16]
表面に錆を有する鋼材上に、上記[1]~[11]のいずれかの防錆塗料組成物を塗装することを備える、塗装物品の製造方法。
[17]
表面に塩分を有する鋼材上に、上記[1]~[11]のいずれかの防錆塗料組成物を塗装することを備える、塗装物品の製造方法。
防錆塗料組成物は、エポキシ樹脂(a)を含む主剤と、ポリアミン(b)を含む硬化剤とからなる2液形であってよい。粉体(c)は、主剤に含まれていてよく、硬化剤に含まれていてよく、両方に含まれていてよい。粉体(c)は、主剤に含まれていてよい。
エポキシ樹脂(a)は、塗膜形成成分である。エポキシ樹脂(a)は、ポリアミン(b)と架橋反応して、硬化塗膜を形成する。
ポリアミン(b)は、硬化成分である。ポリアミン(b)は、エポキシ樹脂(a)と架橋反応して、硬化塗膜を形成する。
硬化剤は、さらに、アルキルフェノールを含み得る。アルキルフェノールは、硬化性(特に低温硬化性)をさらに向上させる。
粉体(c)は、防錆剤を含む。防錆剤として特定の金属硫酸塩(c-1)と亜鉛化合物(c-2)とを組み合わせて使用することにより、上記の通り、優れた防錆性が得られる。
金属硫酸塩(c-1)は、5℃の水100gに対する溶解量が0.1g以上である。金属硫酸塩(c-1)は、低温環境下であっても水に溶解し易いため、防錆層の形成を促進することができる。金属硫酸塩(c-1)の上記溶解量は、5.0g以上であってよく、10.0g以上であってよい。
亜鉛化合物(c-2)は、塗膜に亜鉛イオンを供与する。亜鉛化合物(c-2)は、pH7.0で20℃の水100gに対する溶解量が0.03g未満であり、かつ、pH4.0で20℃の水100gに対する溶解量が0.03g以上である。
粉体(c)は、アルカリ土類金属化合物(c-3)を含み得る。アルカリ土類金属化合物(c-3)は、アルカリ土類金属の酸化物および水酸化物の少なくとも一方である。アルカリ土類金属化合物(c-3)は水に溶解し、アルカリ土類金属イオンおよびそのカウンターイオンを溶出する。アルカリ土類金属イオンは硫酸イオンと反応して、水に難溶性の塩を形成する。
粉体(c)は、上記以外の防錆剤(c-4)を含み得る。他の防錆剤(c-4)は、本開示の効果を妨げない限り、特に限定されない。他の防錆剤(c-4)としては、防錆剤として一般に使用されるものが挙げられる。他の防錆剤(c-4)としては、例えば、亜鉛、亜鉛合金、亜リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、アルミ粉が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
増粘剤(d)は、防錆塗料組成物の粘度(後述の高せん断粘度および低せん断粘度を含む)を調整する。増粘剤(d)には、チクソトロピック剤、揺変剤、レオロジーコントロール剤、粘度調整剤が含まれる。
防錆塗料組成物は、顔料を含み得る。顔料としては、塗料組成物に通常配合されるものが制限なく挙げられる。顔料としては、例えば、体質顔料、着色顔料が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
体質顔料としては、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、ケイ酸、ケイ酸塩、酸化アルミニウム水和物、硫酸カルシウム、石膏、雲母状酸化鉄(MIO)、ガラスフレーク、スゾライト・マイカ、クラライト・マイカが挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。体質顔料の含有量は特に限定されない。
着色顔料としては、カーボンブラック、黒鉛、硫化亜鉛、酸化クロム、黄色ニッケルチタン、黄色クロムチタン、黄色酸化鉄、赤色酸化鉄、黒色酸化鉄、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ウルトラマリンブルー、キナクリドン類、アゾ系赤・黄色顔料が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。着色顔料の含有量は特に限定されない。
防錆塗料組成物は、エポキシ樹脂(a)以外の樹脂を含み得る。他の樹脂としては、例えば、キシレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
防錆塗料組成物は、溶剤を含み得る。溶剤の含有量は、例えば、防錆塗料組成物の総質量の5質量%以上50質量%以下である。
防錆塗料組成物は、その他の成分を含み得る。他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、各種添加剤が挙げられる。
2液形の防錆塗料組成物は、主剤および硬化剤と、必要に応じて希釈成分等とを、上記の方法で混合することにより、調製される。主剤と硬化剤との混合は、通常、使用の直前に行われる(例えば、各剤を混合した後、60分以内に使用される)。希釈成分としては、上記溶剤を同じく例示できる。
本開示の防錆塗料組成物は、固形分濃度69質量%および温度25℃の条件で、粘度測定装置レオメーターを用いて、せん断速度1000(1/s)でせん断応力を加え始めてから1分後の粘度が0.1Pa・s以上1.2Pa・s以下であってよく、せん断速度0.1(1/s)でせん断応力を加え始めてから1分後の粘度が40Pa・s以上500Pa・s以下であってよい。
防錆塗料組成物は、通常、下塗り(防錆)として用いられる。近年、用途、嗜好の多様化およびオリジナリティの追求により、仕上げ塗装に要求される意匠は多岐にわたる。仕上げ塗装の意匠を、防錆の色に制限されることなく、選択できることは、消費者に対する重要な訴求ポイントの一つである。
L*≧70、
0≦a*≦5.0、かつ
0≦b*≦5.0
を満たしてよい。
本開示の一実施形態の塗装物品は、表面に錆を有する鋼材と、鋼材上に、本開示の防錆塗料組成物により形成された防錆塗膜と、を備える。
鋼材は、鋼を圧延(圧延鋼材)、鍛造(鍛鋼品)、鋳造(鋳鋼品)などにより成形および/または加工した鉄鋼一次製品であってよい。鋼材として、代表的には、板状の鋼材(鋼板)が挙げられる。鋼板として、具体的には、冷延鋼板、熱延鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛-アルミニウム合金系めっき鋼板、亜鉛-鉄合金系めっき鋼板、亜鉛-マグネシウム合金系めっき鋼板、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金系めっき鋼板、アルミニウム系めっき鋼板、アルミニウム-シリコン合金系めっき鋼板、錫系めっき鋼板が挙げられる。鋼材は、塗装されたカラー鋼板、樹脂層を有する被覆鋼板などの鉄鋼二次製品であってよい。
防錆塗料組成物により、優れた防錆性を有する防錆塗膜が形成される。防錆塗膜の厚さは特に限定されず、被塗物の種類、用途等に応じて適宜設定できる。防錆塗膜の乾燥膜厚は、例えば、30μm以上300μm以下である。防錆塗料組成物を複数回塗装して、積層構造の防錆塗膜が形成されてもよい。
x:塗付量[g/m2]
y:乾燥膜厚の厚さ[μm]
z:ウェット膜厚[μm]
dt:塗料の比重[g/cm3]
NV:塗料の加熱残分[wt%]
ds:揮発分(塗料内の溶剤分)の比重[g/cm3]
防錆塗膜上に、他の塗膜が形成されていてよい。他の塗膜は、例えば、いわゆる上塗り塗料および/または機能性塗料により形成される。
本開示の塗装物品は、表面に錆または塩分を有する鋼材上に、本開示の防錆塗料組成物を塗装することを備える方法により製造される。
塗装方法は特に限定されない。防錆塗料組成物は、刷毛、ローラー、スプレー等の一般的な方法により、鋼材上に塗装される。
温度計、撹拌装置および冷却管が取り付けられた水分離装置を備えた2L反応器に、p-tert-ブチルフェノールノボラック樹脂(商品名:ヒタノール#1133、日立化成工業社製)250g、オクチルフェノールノボラック樹脂(商品名:ヒタノール#1501、日立化成工業社製)250gおよびエピクロルヒドリン1440gを仕込み、撹拌して均一溶液にした。次いで、48質量%水酸化ナトリウム268gを60~110℃で2時間かけて滴下した。この間、系内で生成した水分はエピクロルヒドリンと共沸させて水分離装置で系外へ除去しながら、エピクロルヒドリンを系内で還流させた。滴下終了後、100~120℃で2時間熟成し、理論水量が流出した時点で反応を終了させた。
表1~13に示される配合処方に従って、主剤および硬化剤をそれぞれ調製した。主剤および硬化剤を混合して、防錆塗料組成物を調製した。表1~13の配合量は、特に断りのない限り、防錆塗料組成物の固形分に対する質量割合である。
ポリアミン(b)
・脂環式ポリアミン(b-1):1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、東京化成社製、活性水素当量34.2g/eq、重量平均分子量142.24
・非脂環式ポリアミン(b-2):m-キシリレンジアミン、東京化成社製、活性水素当量35.5g/eq、重量平均分子量136.19
・o-tert-ブチルフェノール
増粘剤
・商品名「F―9050」、楠本化成社製、脂肪族アマイドワックスと酸化ポリオレフィンワックスとの混合物
消泡剤
・商品名「ディスパロン1958」、楠本化成社製
弱溶剤
・商品名「ソルベッソ100」、Exxon Mobil社製
カッコ内に5℃の水100gに対する溶解量を示す。
硫酸アルミニウム(32.2g)
硫酸ニッケル・6水和物(39.1g)
硫酸マグネシウム(25.4g)
カッコ内に、pH4.0、pH7.0で20℃の水100gに対する溶解量を示す。
炭酸亜鉛(pH4.0:>8.13g、pH7.0:0.000470g)
酸化亜鉛(pH4.0:>12.5g、pH7.0:0.000394g)
水酸化亜鉛(pH4.0:>13.1g、pH7.0:0.000425g)
カッコ内に、20℃の水100gに対する溶解量を示す。
酸化カルシウム(0.112g)
酸化バリウム(3.48g)
水酸化カルシウム(0.173g)
水酸化バリウム(3.89g)
(i)高せん断粘度および低せん断粘度
商品名「ソルベッソ100」を用いて、防錆塗料組成物の固形分濃度(NV)を69.0質量%になるように調整(希釈)して、せん断粘度測定用の試料を得た。
温度25℃の環境下で、粘度測定装置レオメーター(Anton Paar社製、製品名「MCR-302」)を用いて、せん断速度1000(1/s)で試料にせん断応力を加え始めてから1分経過後の粘度(Pa・s)と、せん断速度0.1(1/s)で試料にせん断応力を加え始めてから1分経過後の粘度(Pa・s)とを、それぞれ測定した。
電磁誘導式の膜厚計(Kett社製、商品名「LZ-370」)を用いて、錆が発生する前のTP技研製SS400グリッドブラスト鋼板の任意の地点においてゼロ点校正を行い、次いで、錆のある任意の5カ所の地点における厚さを測定し、その平均値を錆の厚さとした。
電磁誘導式の膜厚計(Kett社製、商品名「LZ-370」)を用いて、錆が発生する前のTP技研製SS400グリッドブラスト鋼板の任意の地点においてゼロ点校正を行った。塗装を行った後、防錆塗膜ある任意の5カ所の地点における厚さを測定し、その平均値から、上記の方法で取得された錆の厚さを引いた値を、防錆塗膜の乾燥膜厚とした。
防錆塗料組成物を、以下の方法により評価した。評価結果を表1~13に示す。
岡山県玉野市の沿岸部に、TP技研製SS400グリッドブラスト鋼板を3か月間暴露して、錆を有する鋼板を得た。錆板に4種ケレン処理を施して、厚さ30μmの錆板を得た。次いで、イオン交換水による水洗、または塩化ナトリウム水溶液にて、鋼板表面の塩分濃度を調整した。これにより、表面塩分濃度が異なる7種(塩分濃度5±5mg/m2、30±5mg/m2、50±5mg/m2、100±30mg/m2、200±30mg/m2、500±100mg/m2、1000±200mg/m2)の試験板を得た。表面塩分濃度として、サンコウ電子研究所製の表面塩分計SNA―3000を用いて、測定開始から1分後の塩分濃度(mg/m2)の値を採用した。
10:0個
9:10個未満
8:10個以上20個未満
7:20個以上50個未満
6:50個以上100個未満
5:100個以上200個未満
4:200個以上400個未満
3:400個以上600個未満
2:600個以上800個未満
1:800個以上
岡山県玉野市の沿岸部に、TP技研製SS400グリッドブラスト鋼板を12か月間暴露して、鋼板に錆を発生させた。適宜、不織布研磨材(商品名「マジックロン」、三共理化学株式会社製)にて錆の一部を除去して、それぞれ30±2μm、40±5μm、60±5μm、80±5μm、100±10μmの厚さの錆を有する5種の鋼板を準備した。次いで、塩化ナトリウム水溶液にて、鋼板表面の塩分濃度を50±5mg/m2に調整した。
防錆塗料組成物を、脱脂処理を行ったSPCC-SB(JIS G 3141:2017に規定された冷間圧延鋼板 ブライト仕上げ)にスプレーで塗装した後、23℃で1週間、乾燥させて、厚さ60μmの防錆塗膜を有する塗装板を作製した。
得られた塗装板のL*a*b*表色系におけるL*値、a*値およびb*値を、分光測色計(コニカミノルタ社製、CR-400)を用いて測定した。評価Aは、防錆塗料組成物が白色から淡色であることを意味し、色設計の自由度が高いことを示す。評価Bは、防錆塗料組成物が有色であることを意味している。
A:L*≧70、-5.0≦a*,b*≦5.0
B:L*<70、-5.0>a*,b*、a*,b*>5.0
[1]
エポキシ樹脂(a)と、
ポリアミン(b)と、
粉体(c)と、
増粘剤(d)と、を含む、防錆塗料組成物であって、
前記粉体(c)は、
5℃の水100gに対する溶解量が0.1g以上の金属硫酸塩(c-1)と、
pH7.0で20℃の水100gに対する溶解量が0.03g未満であり、かつ、pH4.0で20℃の水100gに対する溶解量が0.03g以上である亜鉛化合物(c-2)と、を含み、
前記金属硫酸塩(c-1)の含有量は、前記防錆塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、0.2質量%以上70質量%以下であり、
前記亜鉛化合物(c-2)の含有量は、前記防錆塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、10質量%以上200質量%以下である、防錆塗料組成物。
[2]
前記金属硫酸塩(c-1)の含有量と前記亜鉛化合物(c-2)の含有量との質量基準の比(c-1/c-2)が、0.08/99.92~90.00/10.00である、上記[1]の防錆塗料組成物。
[3]
表面に錆を有する鋼材用である、上記[1]または[2]の防錆塗料組成物。
[4]
表面に塩分を有する鋼材用である、上記[1]~[3]いずれかの防錆塗料組成物。
[5]
前記金属硫酸塩(c-1)は、多価の金属カチオンと硫酸イオンとの塩である、上記[1]~[4]いずれかの防錆塗料組成物。
[6]
前記金属硫酸塩(c-1)は、硫酸ニッケル、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、硫酸クロム、硫酸銅、硫酸チタン、硫酸スズ、硫酸ジルコニウム、硫酸バナジウム、硫酸マンガンよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[1]~[5]いずれかの防錆塗料組成物。
[7]
前記亜鉛化合物(c-2)は、酸化亜鉛、水酸化亜鉛および炭酸亜鉛よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[1]~[6]いずれかの防錆塗料組成物。
[8]
前記粉体(c)は、さらに、アルカリ土類金属酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物の少なくとも一方であるアルカリ土類金属化合物(c-3)を含む、上記[1]~[7]いずれかの防錆塗料組成物。
[9]
前記アルカリ土類金属化合物(c-3)の含有量は、前記防錆塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、0.15質量%以上40質量%以下である、上記[8]の防錆塗料組成物。
[10]
前記アルカリ土類金属化合物(c-3)は、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化バリウム、水酸化バリウムよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、上記[8]または[9]の防錆塗料組成物。
[11]
固形分濃度69質量%および温度25℃の条件で、粘度測定装置レオメーターを用いて、せん断速度1000(1/s)でせん断応力を加え始めてから1分後の粘度が、0.1Pa・s以上1.2Pa・s以下であり、せん断速度0.1(1/s)でせん断応力を加え始めてから1分後の粘度が40Pa・s以上500Pa・s以下である、上記[1]~[10]いずれかの防錆塗料組成物。
[12]
表面に錆を有する鋼材と、
前記鋼材上に、上記[1]~[11]のいずれかの防錆塗料組成物により形成された防錆塗膜と、を備える、塗装物品。
[13]
前記鋼材の表面の前記錆の厚さが、10μm以上200μm以下である、上記[12]の塗装物品。
[14]
前記防錆塗膜が、前記鋼材の表面の前記錆を覆っている、上記[12]または[13]の塗装物品。
[15]
表面に塩分を有する鋼材と、
前記鋼材上に、上記[1]~[11]のいずれかの防錆塗料組成物により形成された防錆塗膜と、を備える、塗装物品。
[16]
表面に錆を有する鋼材上に、上記[1]~[11]のいずれかの防錆塗料組成物を塗装することを備える、塗装物品の製造方法。
[17]
表面に塩分を有する鋼材上に、上記[1]~[11]のいずれかの防錆塗料組成物を塗装することを備える、塗装物品の製造方法。
Claims (17)
- エポキシ樹脂(a)と、
ポリアミン(b)と、
粉体(c)と、
増粘剤(d)と、を含む、防錆塗料組成物であって、
前記粉体(c)は、
5℃の水100gに対する溶解量が0.1g以上の金属硫酸塩(c-1)と、
pH7.0で20℃の水100gに対する溶解量が0.03g未満であり、かつ、pH4.0で20℃の水100gに対する溶解量が0.03g以上である亜鉛化合物(c-2)と、を含み、
前記金属硫酸塩(c-1)の含有量は、前記防錆塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、0.2質量%以上70質量%以下であり、
前記亜鉛化合物(c-2)の含有量は、前記防錆塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、10質量%以上200質量%以下である、防錆塗料組成物。 - 前記金属硫酸塩(c-1)の含有量と前記亜鉛化合物(c-2)の含有量との質量基準の比(c-1/c-2)が、0.08/99.92~90.00/10.00である、請求項1に記載の防錆塗料組成物。
- 表面に錆を有する鋼材用である、請求項1に記載の防錆塗料組成物。
- 表面に塩分を有する鋼材用である、請求項1に記載の防錆塗料組成物。
- 前記金属硫酸塩(c-1)は、多価の金属カチオンと硫酸イオンとの塩である、請求項1に記載の防錆塗料組成物。
- 前記金属硫酸塩(c-1)は、硫酸ニッケル、硫酸アルミニウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸コバルト、硫酸クロム、硫酸銅、硫酸チタン、硫酸スズ、硫酸ジルコニウム、硫酸バナジウム、硫酸マンガンよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の防錆塗料組成物。
- 前記亜鉛化合物(c-2)は、酸化亜鉛、水酸化亜鉛および炭酸亜鉛よりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の防錆塗料組成物。
- 前記粉体(c)は、さらに、アルカリ土類金属酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物の少なくとも一方であるアルカリ土類金属化合物(c-3)を含む、請求項1に記載の防錆塗料組成物。
- 前記アルカリ土類金属化合物(c-3)の含有量は、前記防錆塗料組成物の樹脂固形分100質量部に対して、0.15質量%以上40質量%以下である、請求項8に記載の防錆塗料組成物。
- 前記アルカリ土類金属化合物(c-3)は、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化バリウム、水酸化バリウムよりなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項8に記載の防錆塗料組成物。
- 固形分濃度69質量%および温度25℃の条件で、粘度測定装置レオメーターを用いて、せん断速度1000(1/s)でせん断応力を加え始めてから1分後の粘度が、0.1Pa・s以上1.2Pa・s以下であり、せん断速度0.1(1/s)でせん断応力を加え始めてから1分後の粘度が40Pa・s以上500Pa・s以下である、請求項1に記載の防錆塗料組成物。
- 表面に錆を有する鋼材と、
前記鋼材上に、請求項1~11のいずれか一項に記載の防錆塗料組成物により形成された防錆塗膜と、を備える、塗装物品。 - 前記鋼材の表面の前記錆の厚さが、10μm以上200μm以下である、請求項12に記載の塗装物品。
- 前記防錆塗膜が、前記鋼材の表面の前記錆を覆っている、請求項13に記載の塗装物品。
- 表面に塩分を有する鋼材と、
前記鋼材上に、請求項1~11のいずれか一項に記載の防錆塗料組成物により形成された防錆塗膜と、を備える、塗装物品。 - 表面に錆を有する鋼材上に、請求項1~11のいずれか一項に記載の防錆塗料組成物を塗装することを備える、塗装物品の製造方法。
- 表面に塩分を有する鋼材上に、請求項1~11のいずれか一項に記載の防錆塗料組成物を塗装することを備える、塗装物品の製造方法。
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