JP7736633B2 - 全固体電池用のスラリー組成物の製造方法、および全固体電池の製造方法 - Google Patents

全固体電池用のスラリー組成物の製造方法、および全固体電池の製造方法

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Description

本開示は、スラリー組成物の製造方法、および全固体電池の製造方法に関する。
特開2021-193645号公報(特許文献1)は、電極活物質と硫化物固体電解質とバインダと有機溶媒とを混合することにより、電極スラリーを製造することを開示する。
特開2021-193645号公報
バルク型の全固体電池が検討されている。全固体電池は発電要素を含む。発電要素は、電極層とセパレータ層とが交互に積層されることにより形成され得る。発電要素に含まれる各層は、スラリー組成物の塗工により形成され得る。スラリー組成物は、固体電解質と分散媒とを含む。
固体電解質は、発電要素内にイオン伝導パスを形成し得る。固体電解質のイオン伝導率が改善されることにより、直流抵抗の低減が期待される。例えば、硫化物固体電解質等の高いイオン伝導率を有する材料も開発されている。しかし、全固体電池の直流抵抗には、改善の余地がある。
本開示の目的は、直流抵抗の低減にある。
以下、本開示の技術的構成および作用効果が説明される。ただし本明細書の作用メカニズムは推定を含む。作用メカニズムは本開示の技術的範囲を限定しない。
1.スラリー組成物の製造方法は、下記(a)~(c)を含む。
(a)アブソープトメータによって、固体電解質に分散媒を混合しながら、トルク曲線の最大トルクを測定する。
(b)固体電解質が良品であるか、または不良品であるかを判定する。
(c)良品と分散媒とを含むスラリー組成物を製造する。
上記(b)は、最大トルクが0.3N・m以上である時、固体電解質を良品と判定することを含む。
固体電解質の分散状態が、全固体電池の直流抵抗に影響する可能性がある。例えば、スラリー組成物の製造時、固体電解質がほぐれ難い場合がある。固体電解質がほぐれ難い場合、固体電解質がスラリー組成物中に均一に分散し難いと考えられる。その結果、発電要素において、固体電解質の分布が不均一になり、直流抵抗が増加する可能性がある。
上記「1.」のスラリー組成物の製造方法は、ほぐれやすさ、分散しやすさの観点から、固体電解質の良否判定基準を提供する。すなわち、最大トルクが0.3N・m以上である時、固体電解質が良品と判定される。同基準による良品は、スラリー組成物中に均一に分散することが期待される。すなわち直流抵抗の低減が期待される。
固体電解質は粉体である。回転翼によって、かき混ぜられている固体電解質(粉体)に、分散媒(液体)が混合されることにより、混合物は、自由に流動する粉体から、粘性物に変化し得る。粘性特性の変化はトルクを変化させる。横軸が分散媒の供給量(液体量)であり、縦軸がトルクである二次元座標に、トルクがプロットされることにより、トルク曲線が描かれる。本開示の新知見によると、トルク曲線の最大トルクが0.3N・m以上である時、固体電解質がほぐれやすく、均一に分散しやすい傾向がある。
2.上記「1.」に記載のスラリー組成物の製造方法において、上記(b)は、最大トルク時の分散媒の吸収量が70ml/100g以上である時、固体電解質を良品と判定することを含んでいてもよい。
最大トルク時の分散媒の吸収量(以下「液体吸収量」とも記される。)が、70ml/100g以上である時、直流抵抗の低減が期待される。
3.上記「1.」または「2.」に記載のスラリー組成物の製造方法において、上記(c)は、正極活物質を含むスラリー組成物を製造することを含んでいてもよい。
スラリー組成物が正極活物質を含むことにより、正極層が形成され得る。正極層において、固体電解質の分散状態が良好であることにより、直流抵抗の低減が期待される。
4.上記「1.」または「2.」に記載のスラリー組成物の製造方法において、上記(c)は、負極活物質を含むスラリー組成物を製造することを含んでいてもよい。
スラリー組成物が負極活物質を含むことにより、負極層が形成され得る。負極層において、固体電解質の分散状態が良好であることにより、直流抵抗の低減が期待される。
全固体電池の製造方法は、下記(d)~(f)を含む。
(d)上記「1.」~「4.」のいずれか1項に記載のスラリー組成物の製造方法により製造されたスラリー組成物を基材の表面に塗工することにより、塗工層を形成する。
(e)塗工層を含む発電要素を形成する。
(f)発電要素を含む全固体電池を製造する。
塗工層は、正極層、負極層およびセパレータ層からなる群より選択される少なくとも1種を含む。正極層、負極層およびセパレータ層からなる群より選択される少なくとも1種において、固体電解質の分散状態が良好であることにより、直流抵抗の低減が期待される。
以下、本開示の実施形態(以下「本実施形態」と略記され得る。)、および本開示の実施例(以下「本実施例」と略記され得る。)が説明される。ただし、本実施形態および本実施例は、本開示の技術的範囲を限定しない。
図1は、本実施形態における製造方法の概略フローチャートである。 図2は、トルク曲線の測定例である。 図3は、本実施形態における発電要素を示す概念図である。 図4は、直流抵抗の測定結果を示すグラフである。
<用語およびその定義等>
「備える」、「含む」、「有する」、および、これらの変形(例えば「から構成される」等)の記載は、オープンエンド形式である。オープンエンド形式は必須要素に加えて、追加要素をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。「からなる」との記載はクローズド形式である。ただしクローズド形式であっても、通常において付随する不純物であったり、本開示技術に無関係であったりする付加的な要素は排除されない。「実質的に…からなる」との記載はセミクローズド形式である。セミクローズド形式においては、本開示技術の基本的かつ新規な特性に実質的に影響しない要素の付加が許容される。
「してもよい」、「し得る」等の表現は、義務的な意味「しなければならないという意味」ではなく、許容的な意味「する可能性を有するという意味」で使用されている。
各種方法に含まれる複数のステップ、動作および操作等は、特に断りのない限り、その実行順序が記載順序に限定されない。例えば、複数のステップが同時進行してもよい。例えば複数のステップが相前後してもよい。
単数形で表現される要素は、特に断りの無い限り、複数形も含む。例えば「粒子」は「1つの粒子」のみならず、「粒子の集合体(粉体、粉末、粒子群)」も意味し得る。
例えば「m~n%」等の数値範囲は、上限値および下限値を含む。すなわち「m~n%」は、「m%以上n%以下」の数値範囲を示す。また「m%以上n%以下」は「m%超n%未満」を含む。さらに数値範囲内から任意に選択された数値が、新たな上限値または下限値とされてもよい。例えば、数値範囲内の数値と、本明細書中の別の部分、表中、図中等に記載された数値とが任意に組み合わされることにより、新たな数値範囲が設定されてもよい。
全ての数値は用語「約」によって修飾されている。用語「約」は、例えば±5%、±3%、±1%等を意味し得る。全ての数値は、本開示技術の利用形態によって変化し得る近似値であり得る。全ての数値は有効数字で表示され得る。測定値は、複数回の測定における平均値であり得る。測定回数は、3回以上であってもよいし、5回以上であってもよいし、10回以上であってもよい。一般に測定回数が多い程、平均値の信頼性が向上することが期待される。測定値は有効数字の桁数に基づいて、四捨五入により端数処理され得る。測定値は、例えば測定装置の検出限界等に伴う誤差等を含み得る。
化合物が化学量論的組成式(例えば「LiCoO2」等)によって表現されている場合、該化学量論的組成式は該化合物の代表例に過ぎない。化合物は、非化学量論的組成を有していてもよい。例えば、コバルト酸リチウムが「LiCoO2」と表現されている時、特に断りのない限り、コバルト酸リチウムは「Li/Co/O=1/1/2」の組成比に限定されず、任意の組成比でLi、CoおよびOを含み得る。さらに、微量元素によるドープ、置換等も許容され得る。
「D50」は、体積基準の粒度分布において、粒子径が小さい方からの頻度の累積が50%に達する粒子径を示す。
「固形分率」は、分散媒および溶媒以外の成分の合計質量分率を示す。
「電極」は、正極または負極の総称である。例えば、電極層は、正極層または負極層の総称である。電極層は、正極層であってもよいし、負極層であってもよい。
「中空粒子」は、粒子の断面画像(例えば電子顕微鏡画像)において、中心部の空洞の面積が、粒子全体の断面積の30%以上である粒子を示す。「中実粒子」は、粒子の断面画像において、中心部の空洞の面積が、粒子全体の断面積の30%未満である粒子を示す。
<製造方法>
図1は、本実施形態における製造方法の概略フローチャートである。以下「本実施形態における製造方法」が「本製造方法」と略記され得る。本製造方法は、「スラリー組成物の製造方法」、「電極層の製造方法」、「セパレータ層の製造方法」、および「全固体電池の製造方法」を含む。
スラリー組成物の製造方法は、「(a)最大トルクの測定」、「(b)判定」および「(c)スラリー組成物の製造」を含む。
電極層の製造方法、またはセパレータ層の製造方法は、(a)~(c)に加えて、「(d)塗工層の形成」を含む。
全固体電池の製造方法は、(a)~(d)に加えて、「(e)発電要素の形成」および「(f)全固体電池の製造」を含む。
《(a)最大トルクの測定》
本製造方法は、アブソープトメータによって、固体電解質に分散媒を混合しながら、トルク曲線の最大トルクを測定することを含む。
「JIS K 6217-4:2017 ゴム用カーボンブラック 基本特性 第4部:オイル吸収量の求め方(圧縮試料を含む)」に準拠したアブソープトメータが準備される。例えば、あさひ総研社製の吸収量測定器「S-500」が使用され得る。吸収量測定器は、同等品で代用されてもよい。スラリー組成物に使用される固体電解質、および分散媒が準備される。測定器の混合室に、試料(固体電解質)が入れられる。給液装置により、一定速度で分散媒が混合室に供給される。ロードセルによりトルクが測定される。測定は、最大トルクが検出されるまで継続される。
測定条件は下記のとおりである。
測定温度:23±5℃
回転翼の回転数:100rpm
試料(固体電解質)の質量:15g
分散媒の供給速度:1.0ml/min
図2は、トルク曲線の測定例である。横軸は、分散媒の供給量[単位 ml]である。縦軸は、トルク[単位 N・m]である。トルク曲線のピーク値が最大トルクである。
「液体吸収量」は、トルク曲線において、最大トルク時の分散媒の吸収量を示す。液体吸収量は、下記式により求まる。
N=(V/m)×100
Nは、液体吸収量(単位 ml/100g)を示す。
mは、試料(固体電解質)の質量を示す。上記のとおりmは15gである。
Vは、最大トルク時の分散媒の供給量である。
(固体電解質)
固体電解質は、電極層およびセパレータ層内にイオン伝導パスを形成し得る。固体電解質は、粉末状である。固体電解質は、例えば、0.1~5μmのD50を有していてもよい。本製造方法は、例えば、最大トルクが0.3N・m以上になるように、固体電解質の粉体物性を調整することを含んでいてもよい。
固体電解質の配合量は、100体積部の電極活物質に対して、例えば、1~200体積部であってもよい。固体電解質は、例えば、硫化物固体電解質、酸化物固体電解質、および水素化物固体電解質からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
硫化物固体電解質は、Sを含む。硫化物固体電解質は、例えば、Li、P、およびSを含んでいてもよい。硫化物固体電解質は、例えば、O、Ge、Si等をさらに含んでいてもよい。硫化物固体電解質は、例えばハロゲン等をさらに含んでいてもよい。硫化物固体電解質は、例えばI、Br等をさらに含んでいてもよい。硫化物固体電解質は、例えばガラスセラミックス型であってもよいし、アルジロダイト型であってもよい。硫化物固体電解質は、例えば、LiI-LiBr-Li3PS4、Li2S-SiS2、LiI-Li2S-SiS2、LiI-Li2S-P25、LiI-Li2O-Li2S-P25、LiI-Li2S-P25、LiI-Li3PO4-P25、Li2S-GeS2-P25、Li2S-P25、およびLi3PS4からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
例えば、「LiI-LiBr-Li3PS4」は、LiIとLiBrとLi3PS4とが任意のモル比で混合されることにより生成された硫化物固体電解質を示す。例えば、メカノケミカル法により硫化物固体電解質が生成されてもよい。「Li2S-P25」はLi3PS4を含む。Li3PS4は、例えばLi2SとP25とが「Li2S/P25=75/25(モル比)」で混合されることにより生成され得る。
(分散媒)
分散媒は液体である。一部の成分が分散媒に溶解してもよい。例えば、バインダ、分散安定剤等が分散媒に溶解してもよい。分散媒は、例えば、テトラリン、酪酸ブチル、およびN-メチル-2-ピロリドンからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
《(b)判定》
本製造方法は、固体電解質が良品であるか、または不良品であるかを判定することを含む。すなわち本製造方法は、最大トルクが0.3N・m以上である時、固体電解質を良品と判定することを含む。
最大トルクが0.3N・m以上である固体電解質(良品)は、ほぐれ易く、分散媒中によく分散することが期待される。固体電解質の分散状態が良好であることにより、直流抵抗の低減が期待される。最大トルクは、例えば、0.3~0.8N・mであってもよいし、0.4~0.8N・mであってもよいし、0.5~0.8N・mであってもよいし、0.6~0.8N・mであってもよい。
最大トルクに影響する因子は、複数考えられる。例えば、固体電解質の合成方法、結晶性、粉体特性等が、最大トルクに影響し得ると考えられる。
最大トルクが0.3N・m未満である時、固体電解質は不良品と判定される。不良品は、例えば、再生原料として使用されてもよい。不良品に対して、粉砕処理、分級処理等が施された後、再度、最大トルクが測定されてもよい。
本製造方法は、液体吸収量が70ml/100g以上である時、固体電解質を良品と判定することを含んでいてもよい。液体吸収量が70ml/100g以上である固体電解質が使用されることにより、直流抵抗が低減しやすい傾向がある。液体吸収量は、例えば、75ml/100g以上であってもよい。液体吸収量は、例えば、100ml/100g以下であってもよいし、80ml/100g以下であってもよい。
《(c)スラリー組成物の製造》
本製造方法は、良品(固体電解質)と分散媒とを含むスラリー組成物を製造することを含む。スラリー組成物は、各種固体材料が分散媒(液体中)に分散されることにより、製造され得る。本製造方法においては、任意の分散装置が使用され得る。例えば、超音波ホモジナイザ、振とう器等が使用されてもよい。
例えば、セパレータ層用のスラリー組成物が製造されてもよい。すなわち、固体電解質と、バインダと、分散媒とが混合されることにより、スラリー組成物が製造されてもよい。スラリー組成物の固形分率は、例えば、30~50%であってもよいし、35~45%であってもよい。
例えば、正極層用のスラリー組成物が製造されてもよい。すなわち、正極活物質を含むスラリー組成物が製造されてもよい。例えば、正極活物質と、導電材と、固体電解質と、バインダと、分散媒とが混合されることにより、スラリー組成物が製造されてもよい。
例えば、負極層用のスラリー組成物が製造されてもよい。すなわち、負極活物質を含むスラリー組成物が製造されてもよい。例えば、負極活物質と、導電材と、固体電解質と、バインダと、分散媒とが混合されることにより、スラリー組成物が製造されてもよい。
スラリー組成物の各原料は、一括して混合されてもよい。各原料は、混合中に段階的に追加されてもよい。
(正極活物質)
正極活物質は、粉末状であってもよい。正極活物質は、例えば、1~30μmのD50を有していてもよい。正極活物質は、例えば、中空粒子を含んでいてもよい。正極活物質は、例えば、中実粒子を含んでいてもよい。
正極活物質は、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn24、Li(NiCoMn)O2、Li(NiCoAl)O2、Li(NiCoMnAl)O2、およびLiFePO4からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。例えば「Li(NiCoMn)O2」における「(NiCoMn)」は、括弧内の組成比の合計が1であることを示す。合計が1である限り、個々の成分量は任意である。Li(NiCoMn)O2は、例えばLiNi1/3Co1/3Mn1/32、LiNi0.4Co0.3Mn0.32、LiNi0.5Co0.2Mn0.32、LiNi0.5Co0.3Mn0.22、LiNi0.5Co0.4Mn0.12、LiNi0.5Co0.1Mn0.42、LiNi0.6Co0.2Mn0.22、LiNi0.6Co0.3Mn0.12、LiNi0.6Co0.1Mn0.32、LiNi0.7Co0.1Mn0.22、LiNi0.7Co0.2Mn0.12、LiNi0.8Co0.1Mn0.12、およびLiNi0.9Co0.05Mn0.052からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。Li(NiCoAl)O2は、例えばLiNi0.8Co0.15Al0.052等を含んでいてもよい。
正極活物質は、例えば下記式により表されてもよい。
Li1-yNixMe1-x2
0.5≦x≦1
-0.5≦y≦0.5
Meは、例えば、Co、MnおよびAlからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。xは、例えば、0.6以上であってもよいし、0.7以上であってもよいし、0.8以上であってもよいし、0.9以上であってもよい。
正極活物質の表面に、金属の単体、酸化物、炭化物、ハロゲン化物等が付着していてもよい。例えば、Zr、W等の酸化物等が付着していてもよい。付着物は、例えば、正極活物質の表面に島状に分布していてもよい。
正極活物質は、例えば、酸化物層によって被覆されていてもよい。酸化物層はバッファ層とも称される。酸化物層は、正極活物質と硫化物固体電解質との直接接触を阻害し得る。酸化物層は、例えば、5~50nmの厚さを有していてもよい。酸化物層は、例えば、Li、Nb、Ti、P、O、F等を含んでいてもよい。
(負極活物質)
負極活物質は、粉末状であってもよい。負極活物質は、例えば、1~30μmのD50を有していてもよい。負極活物質は、任意の成分を含み得る。負極活物質は、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、Si、SiOx(0<x<2、例えばMg等がドープされていてもよい。)、Si基合金、Sn、SnOx(0<x<2)、Li、Li基合金、およびLi4Ti512からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。合金系活物質(例えばSi等)が、炭素系活物質(例えば黒鉛等)に担持されることにより、複合材料が形成されてもよい。
(導電材)
導電材は、電極層内に電子伝導パスを形成し得る。導電材の配合量は、100質量部の電極活物質に対して、例えば0.1~10質量部であってもよい。導電材は、任意の成分を含み得る。導電材は、例えば、カーボンブラック(CB)、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNT)およびグラフェンフレーク(GF)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。CBは、例えば、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック(登録商標)、ファーネスブラック、チャンネルブラック、およびサーマルブラックからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
(バインダ)
バインダは、電極層またはセパレータ層において固体材料を結合し得る。バインダは、粉末状であってもよい。例えば、バインダ溶液が使用されてもよい。バインダ溶液は、溶媒にバインダが溶解することにより形成され得る。バインダの配合量は、100質量部の電極活物質に対して、例えば0.1~10質量部であってもよい。バインダは、任意の成分を含み得る。バインダは、例えば、ゴム系バインダ、およびフッ素系バインダからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。ゴム系バインダは、例えば、ブタジエンゴム(BR)、水素化ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、水素化スチレンブタジエンゴム、ニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化ニトリルブタジエンゴム、およびエチレンプロピレンゴム(EPM)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。フッ素系バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF-HFP)、およびポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。バインダは、ここに例示される各材料のポリマーブレンド、ポリマーアロイ、共重合体等を含んでいてもよい。
《(d)塗工層の形成》
本製造方法は、スラリー組成物を基材の表面に塗工することにより、塗工層を形成することを含んでいてもよい。本製造方法においては、任意の塗工装置が使用され得る。例えば、ダイコータ、ロールコータ等が使用されてもよい。
図3は、本実施形態における発電要素を示す概念図である。基材11は、導電性を有していてもよい。基材11は、集電体として機能してもよい。基材11は、例えば、シート状であってもよいし、網状であってもよい。基材11は、例えば、5~50μmの厚さを有していてもよい。基材11は、例えば、金属箔、金属メッシュ、多孔質金属体等を含んでいてもよい。基材11は、例えば、Al、Cu、Ni、Cr、Ti、およびFeからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。基材11は、例えば、Al箔、Al合金箔、Ni箔、Cu箔、Cu合金箔、Ti箔、SUS箔等を含んでいてもよい。金属箔の表面を炭素層が被覆していてもよい。炭素層は、例えば、導電性炭素材料(例えばCB等)を含んでいてもよい。
塗工層は、例えば電極層であってもよい。例えば、電極層用のスラリー組成物が、基材11の表面に塗工されてもよい。スラリー組成物が乾燥することにより、第1電極層10が形成され得る。本製造方法においては、任意の乾燥装置が使用され得る。例えば、ホットプレート、熱風乾燥機、赤外線乾燥機等が使用されてもよい。
第1電極層10の乾燥後、第1電極層10にプレス加工が施されてもよい。本製造方法においては、任意のプレス加工装置が使用され得る。例えば、ロールプレス機等が使用されてもよい。プレス加工後の第1電極層10は、例えば、10~200μmの厚さを有していてもよい。
塗工層は、例えばセパレータ層であってもよい。例えば、セパレータ層用のスラリー組成物が、第1電極層10の表面に塗工されることにより、セパレータ層30が形成されてもよい。セパレータ層30の乾燥後、セパレータ層30にプレス加工が施されてもよい。
例えば、セパレータ層用のスラリー組成物が、仮支持体(例えば金属箔等)の表面に塗工されることにより、セパレータ層30が形成されてもよい。セパレータ層30の形成後、セパレータ層30が第1電極層10の表面に転写されてもよい。
《(e)発電要素の形成》
本製造方法は、塗工層を含む発電要素を形成することを含んでいてもよい。例えば、セパレータ層30の表面に、第2電極層20が形成されることにより発電要素50が形成され得る。第2電極層20も、スラリー組成物の塗工により形成され得る。第2電極層20は、第1電極層10と異なる極性を有する。例えば、第1電極層10が負極層である時、第2電極層20は正極層である。例えば、第1電極層10が正極層である時、第2電極層20は負極層である。セパレータ層30は、第1電極層10と第2電極層20との間に介在する。セパレータ層30は、第1電極層10を第2電極層20から分離し得る。
第2電極層20の表面に集電体21が接続されてもよい。例えば、接着剤等により、集電体21が第2電極層20の表面に貼り付けられてもよい。集電体21は、前述の基材11と同様の構成を有し得る。
発電要素50は、第1電極層10、セパレータ層30および第2電極層20を、それぞれ単独で含んでいてもよい。発電要素50は、第1電極層10、セパレータ層30および第2電極層20を、それぞれ複数含んでいてもよい。例えば、電極層とセパレータ層とが交互に積層されることにより、発電要素50が形成されてもよい。発電要素50に含まれる塗工層の層数は任意である。発電要素50は、例えば、3~100層の塗工層を含んでいてもよい。
発電要素50にプレス加工が施されてもよい。発電要素50に、例えばホットプレス加工が施されてもよい。
《(f)全固体電池の製造》
本製造方法は、発電要素50を含む全固体電池を製造することを含んでいてもよい。例えば、発電要素50にリードタブ、外部端子等が接続されてもよい。発電要素50が外装体(不図示)に収納されてもよい。外装体は密封されてもよい。外装体は、任意の形態を有し得る。外装体は、例えば、金属箔ラミネートフィルム製のパウチ等であってもよい。外装体は、例えば、金属製のケース等であってもよい。外装体は、例えば、Al等を含んでいてもよい。外装体は、1個の発電要素50を単独で収納していてもよいし、複数個の発電要素50を収納していてもよい。複数個の発電要素50は、直列回路を形成していてもよいし、並列回路を形成していてもよい。
<スラリー組成物および全固体電池の製造>
下記手順により、各種のスラリー組成物および全固体電池が製造された。
《(a)最大トルクの測定》
複数種の固体電解質が準備された。各固体電解質は、実質的に同一の化学組成を有していた。各固体電解質は、合成条件、粉砕条件、合成ロット等が異なっていた。各固体電解質の最大トルクおよび液体吸収量が測定された。測定時、分散媒としてテトラリンが使用された。
《(b)判定》
最大トルクの測定結果に基づいて、各固体電解質が良品と不良品とに分類された。良品のトルク曲線は、0.3N・m以上の最大トルクを有していた。不良品のトルク曲線は、0.3N・m未満の最大トルクを有していた。
《(c)スラリー組成物の製造》
(負極層用のスラリー組成物)
下記材料が準備された。
負極活物質:Li4Ti512(密度 3.5g/cm3
導電材:VGCF(密度 2g/cm3
バインダ:SBR系バインダ(密度 0.9g/cm3
固体電解質:硫化物固体電解質(密度 2g/cm3
分散媒:テトラリン
超音波ホモジナイザ(型式 UH-50、SMT社製、以下同じ)により、負極活物質と導電材と分散媒とが混合されることにより、第1分散液が形成された。超音波ホモジナイザにより、第1分散液とバインダとが混合されることにより、第2分散液が形成された。超音波ホモジナイザにより、第2分散液と固体電解質とが混合されることにより、第1スラリー組成物が形成された。
(正極層用のスラリー組成物)
下記材料が準備された。
正極活物質:LiNi1/3Co1/3Mn1/32
導電材:VGCF
バインダ:SBR系バインダ
固体電解質:硫化物固体電解質
分散媒:テトラリン
正極活物質に表面処理が施されることにより、正極活物質の表面に酸化物層が形成された。酸化物層は、LiNbO3を含んでいた。正極活物質の表面処理後、超音波ホモジナイザにより、正極活物質と導電材と固体電解質とバインダと分散媒とが混合されることにより、第2スラリー組成物が形成された。
(セパレータ層用のスラリー組成物)
下記材料が準備された。
固体電解質:LiI-LiBr-Li2S-P25(ガラスセラミックス型、D50:2.5μm)
バインダ溶液:溶質 SBR系バインダ(質量分率 5%)、溶媒 テトラリン
分散媒:テトラリン
ポリプロピレン製の容器内において、超音波ホモジナイザにより、固体電解質とバインダ溶液と分散媒とが、30秒間混合された。混合後、容器が振とう器にセットされた。容器が振とう器により3分間振とうされることにより、第3スラリー組成物が形成された。
《(d)塗工層の形成》
(正極層の形成)
ブレード式アプリケータにより、第2スラリー組成物が基材(Al箔)の表面に塗工された。塗工後、ホットプレート(設定温度:100℃)上において、第2スラリー組成物が30分間乾燥されることにより、正極層が形成された。
(負極層の形成)
ブレード式アプリケータにより、第1スラリー組成物が基材(Cu箔)の表面に塗工された。塗工後、ホットプレート(設定温度:100℃)上において、第1スラリー組成物が30分間乾燥されることにより、負極層が形成された。負極層の目付量は、正極の充電比容量に対する、負極の充電比容量の比が、1.15となるように調整された。正極の充電比容量は、185mAh/gであった。
(セパレータ層の形成)
正極層にプレス加工が施された。プレス加工後、ダイコータにより、第3スラリー組成物が正極層の表面に塗工された。塗工後、ホットプレート(設定温度:100℃)上において、第3スラリー組成物が30分間乾燥されることにより、セパレータ層が形成された。以上より第1ユニットが準備された。ロールプレスにより、第1ユニットにプレス加工が施された。プレス圧は、2tоn/cm2であった。
負極層にプレス加工が施された。プレス加工後、ダイコータにより、第3スラリー組成物が負極層の表面に塗工された。塗工後、ホットプレート(設定温度:100℃)上において、第3スラリー組成物が30分間乾燥されることにより、セパレータ層が形成された。以上より第2ユニットが準備された。ロールプレスにより、第2ユニットにプレス加工が施された。プレス圧は、2tоn/cm2であった。
第3スラリー組成物が仮支持体(金属箔)の表面に塗工された。塗工後、ホットプレート(設定温度:100℃)上において、第3スラリー組成物が30分間乾燥されることにより、セパレータ層が形成された。
《(e)発電要素の形成》
仮支持体上のセパレータ層が、第1ユニットの表面に転写された。打ち抜き加工により、第1ユニットおよび第2ユニットの平面形状が調整された。第1ユニットのセパレータ層と、第2ユニットのセパレータ層とが対面するように、第1ユニットと第2ユニットとが積層された。これにより発電要素が形成された。発電要素にホットプレス加工が施された。プレス温度は130℃であった。プレス圧は2tоn/cm2であった。
《(f)全固体電池の製造》
外装体(Alラミネートフィルム製のパウチ)が準備された。発電要素が外装体に封入された。拘束部材が準備された。5MPaの拘束圧が発生するように、外装体の外側に拘束部材が取り付けられた。以上より、全固体電池が製造された。
<製造例1>
正極層用、負極層用、およびセパレータ層用の全てのスラリー組成物において、良品の固体電解質が使用された。
<製造例2>
負極層用およびセパレータ層用のスラリー組成物において、良品の固体電解質が使用された。正極層用のスラリー組成物において、不良品の固体電解質が使用された。
<製造例3>
正極層用およびセパレータ層用のスラリー組成物において、良品の固体電解質が使用された。負極層用のスラリー組成物において、不良品の固体電解質が使用された。
<製造例4>
正極層用および負極層用のスラリー組成物において、良品の固体電解質が使用された。セパレータ層用のスラリー組成物において、不良品の固体電解質が使用された。
<製造例5>
正極層用、負極層用、およびセパレータ層用の全てのスラリー組成物において、不良品の固体電解質が使用された。
<評価>
1Cの定電流方式充電により、全固体電池が2.95Vまで充電された。2.95Vに到達後、2.95Vの定電圧方式充電により、電流が0.01Cに減衰するまで、全固体電池が充電された。充電後、1Cの定電流方式放電により、全固体電池が1.5Vまで放電された。
放電後、電池のSOC(State Of Charge)が50%に調整された。SOCの調整後、3Cの電流により、全固体電池が5秒間充電された。充電開始時から0.1秒経過時までの電圧変化量が、電流の大きさで除されることにより、0.1秒経過時の直流抵抗(0.1s DC-IR)が求められた。充電開始時から1秒経過時までの電圧変化量が、電流の大きさで除されることにより、1秒経過時の直流抵抗(1s DC-IR)が求められた。充電開始時から5秒経過時までの電圧変化量が、電流の大きさで除されることにより、5秒経過時の直流抵抗(5s DC-IR)が求められた。
<結果>
図4は、直流抵抗の測定結果を示すグラフである。図4中、例えば、正極層の行における「Y」は、正極層用のスラリー組成物に使用された固体電解質が良品「最大トルク≧0.3N・m」であったことを示す。「N」は、固体電解質が不良品「最大トルク<0.3N・m」であったことを示す。
正極層用、負極層用、およびセパレータ層用のうち少なくとも1種のスラリー組成物において、固体電解質が良品であることにより、全固体電池の直流抵抗が低減する傾向がみられる。
セパレータ層に良品が適用される場合に比して、電極層に良品が適用される場合に、直流抵抗が低減しやすい傾向がみられる。
負極層に良品が適用される場合に比して、正極層に良品が適用される場合に、直流抵抗が低減しやすい傾向がみられる。
発電要素において、良品が適用された層が多い程、直流抵抗が低減する傾向がみられる。
本実施形態および本実施例は、全ての点で例示である。本実施形態および本実施例は、制限的ではない。本開示の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内における全ての変更を包含する。例えば、本実施形態および本実施例から、任意の構成が抽出され、それらが任意に組み合わされることも当初から予定されている。
10 第1電極層、11 基材、20 第2電極層、21 集電体、30 セパレータ層、50 発電要素。

Claims (6)

  1. (a)アブソープトメータによって、固体電解質に分散媒を混合しながら、トルク曲線の最大トルクを測定すること、
    (b)前記固体電解質が良品であるか、または不良品であるかを判定すること、および
    (c)前記良品と前記分散媒とを含むスラリー組成物を製造すること、
    を含み、
    前記(b)は、前記最大トルクが0.3N・m以上である時、前記固体電解質を前記良品と判定することを含
    前記(b)は、前記最大トルク時の前記分散媒の吸収量が70ml/100g以上である時、前記固体電解質を前記良品と判定することを含む、
    全固体電池用のスラリー組成物の製造方法。
  2. 前記(c)は、正極活物質を含む前記スラリー組成物を製造することを含む、
    請求項に記載の全固体電池用のスラリー組成物の製造方法。
  3. 前記(c)は、負極活物質を含む前記スラリー組成物を製造することを含む、
    請求項に記載の全固体電池用のスラリー組成物の製造方法。
  4. (a)アブソープトメータによって、固体電解質に分散媒を混合しながら、トルク曲線の最大トルクを測定すること、
    (b)前記固体電解質が良品であるか、または不良品であるかを判定すること、および
    (c)前記良品と前記分散媒とを含むスラリー組成物を製造すること、
    を含み、
    前記(b)は、前記最大トルクが0.3N・m以上である時、前記固体電解質を前記良品と判定することを含み、
    前記(c)は、正極活物質を含む前記スラリー組成物を製造することを含む、
    全固体電池用のスラリー組成物の製造方法。
  5. (a)アブソープトメータによって、固体電解質に分散媒を混合しながら、トルク曲線の最大トルクを測定すること、
    (b)前記固体電解質が良品であるか、または不良品であるかを判定すること、および
    (c)前記良品と前記分散媒とを含むスラリー組成物を製造すること、
    を含み、
    前記(b)は、前記最大トルクが0.3N・m以上である時、前記固体電解質を前記良品と判定することを含み、
    前記(c)は、負極活物質を含む前記スラリー組成物を製造することを含む、
    全固体電池用のスラリー組成物の製造方法。
  6. (d)請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のスラリー組成物の製造方法により製造された前記スラリー組成物を基材の表面に塗工することにより、塗工層を形成すること、
    (e)前記塗工層を含む発電要素を形成すること、および
    (f)前記発電要素を含む全固体電池を製造すること、
    を含む、
    全固体電池の製造方法。
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