JP2021111543A - 電極スラリー - Google Patents

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Abstract

【課題】電極スラリーの分散安定性を高めること。【解決手段】電極スラリーは、全固体電池の電極を製造するために使用される。電極スラリーは、第1粒子群、第2粒子群、バインダ、および分散媒を含む。分散媒は、液体である。分散媒は、低極性有機化合物を含む。第1粒子群は、電極活物質からなる。第2粒子群は、固体電解質からなる。第1粒子群および第2粒子群の各々は、分散媒中に分散している。条件(1)「ζa≦−25mV、かつ、ζs≦25mV」または条件(2)「25mV≦ζa、かつ、−25mV≦ζs」が満たされている。「ζa」は、分散媒中における第1粒子群のゼータ電位を示す。「ζs」は、分散媒中における第2粒子群のゼータ電位を示す。【選択図】なし

Description

本開示は、電極スラリーに関する。
特開2018−060815号公報(特許文献1)は、媒体中で測定されたとき、絶対値で25mVよりも小さいゼータ電位を有する、電気化学的活物質を開示している。
特開2018−060815号公報
バルク型全固体電池が検討されている。バルク型全固体電池の電極は、ウエットプロセスにより製造されている。すなわち、電極スラリーが基材の表面に塗布され、乾燥されることにより、電極が形成される。電極スラリーは、分散媒中に電極活物質および固体電解質等が分散されることにより調製される。
電極活物質および固体電解質は、粒子群である。固体電解質は、水と反応しやすい傾向がある。そのため、低極性有機化合物が分散媒として使用される。低極性の非水分散媒中においては、電極活物質および固体電解質が凝集しやすい傾向がある。
分散剤の添加により、電極スラリーの分散安定性を高めることも考えられる。ただし、分散剤は電極に残留し、抵抗成分となる。すなわち、分散剤の添加により、電池抵抗が増加する可能性もある。
本開示の目的は、電極スラリーの分散安定性を高めることである。
以下、本開示の技術的構成および作用効果が説明される。ただし、本開示の作用メカニズムは、推定を含んでいる。作用メカニズムの正否は、特許請求の範囲を限定しない。
電極スラリーは、全固体電池の電極を製造するために使用される。
電極スラリーは、第1粒子群、第2粒子群、バインダ、および分散媒を含む。
分散媒は、液体である。分散媒は、低極性有機化合物を含む。
第1粒子群は、電極活物質からなる。
第2粒子群は、固体電解質からなる。
第1粒子群および第2粒子群の各々は、分散媒中に分散している。
下記条件(1)または条件(2):
ζa≦−25mV、かつ、ζs≦25mV (1)
25mV≦ζa、かつ、−25mV≦ζs (2)
が満たされている。
「ζa」は、分散媒中における第1粒子群のゼータ電位を示す。
「ζs」は、分散媒中における第2粒子群のゼータ電位を示す。
「ゼータ電位」は、粒子群(分散質)の帯電状態の指標である。ゼータ電位は、測定対象の粒子群(電極活物質または固体電解質)が、分散媒に分散した分散系において測定される。ゼータ電位は、ゼータ電位測定装置により測定される。例えば、Dispersion Technology社製のゼータ電位測定装置「型式 DT−1202」(またはこれと同等品)が使用されてもよい。測定温度は、25±2℃である。分散系における測定対象の濃度は、37±25質量%である。
例えば、ゼータ電位が正の値である時、粒子群は、相対的に正に帯電していると考えられる。例えば、ゼータ電位が負の値である時、粒子群は、相対的に負に帯電していると考えられる。例えば、ゼータ電位がゼロである時、粒子群は、実質的に帯電していないと考えられる。
電極スラリーにおいて、主要な分散質は、電極活物質(第1粒子群)および固体電解質(第2粒子群)である。電極スラリーに含まれる不揮発成分のうち、電極活物質と固体電解質との合計は、例えば80質量%以上を占める。本開示においては、主要な分散質の帯電状態が制御される。すなわち、上記条件(1)または条件(2)が満たされる。
上記条件(1)または条件(2)が満たされる時、「ζa」および「ζs」は、ゼロではない。ゼータ電位がゼロである時、粒子群はストークス則に従って沈降すると考えられる。ゼータ電位がゼロである時、所期の分散安定性は得られないと考えられる。
上記条件(1)または条件(2)が満たされる時、第1粒子群(電極活物質)内において、粒子同士の間に静電斥力が生じると考えられる。第2粒子群(固体電解質)内においても、粒子同士の間に静電斥力が生じると考えられる。さらに、第1粒子群(電極活物質)と、第2粒子群(固体電解質)との間に生じる静電引力が十分小さくなり得る。あるいは、第1粒子群(電極活物質)と、第2粒子群(固体電解質)との間に静電斥力が生じる場合もある。これらの作用の相乗により、電極スラリーの分散安定性が高まることが期待される。
ゼータ電位がゼロではなく、かつ上記条件(1)または条件(2)が満たされない時、粒子同士の間に生じる静電引力により、粒子が凝集し、沈降し得る。その結果、所期の分散安定性は得られないと考えられる。
図1は、本実施形態の製造方法の概略フローチャートである。 図2は、本実施形態の蓄電要素の概略断面図である。
以下、本開示の実施形態(以下「本実施形態」とも記される。)が説明される。ただし、以下の説明は、特許請求の範囲を限定しない。
本実施形態において、例えば「0.1質量部から10質量部」等の記載は、特に断りのない限り、境界値を含む範囲を示す。すなわち「0.1質量部から10質量部」は、「0.1質量部以上10質量部以下」の範囲を示す。
<電極スラリー>
本実施形態の電極スラリーは、全固体電池の電極を製造するために使用される。例えば、電極スラリーが電極集電体の表面に塗布され、乾燥されることにより、電極が形成され得る。本実施形態における電極は、「正極」であってもよいし、「負極」であってもよい。電極スラリーは、第1粒子群、第2粒子群、バインダ、および分散媒を含む。
電極スラリーの不揮発成分濃度(「NV値」とも称される。)は、例えば、40質量%から80質量%であってもよい。不揮発成分は、分散媒以外の成分を示す。
本実施形態の電極スラリーにおいては、
下記条件(1)または条件(2):
ζa≦−25mV、かつ、ζs≦25mV (1)
25mV≦ζa、かつ、−25mV≦ζs (2)
が満たされている。これにより、分散安定性が高まることが期待される。
本実施形態の電極スラリーにおいては、
下記条件(3)または条件(4):
ζa≦−25mV、かつ、ζs≦−25mV (3)
25mV≦ζa、かつ、25mV≦ζs (4)
が満たされていてもよい。これにより、分散安定性が高まることが期待される。上記条件(3)または条件(4)が満たされる時、第1粒子群および第2粒子群の両方が同符号に帯電している。したがって、「第1粒子群内」、「第2粒子群内」および「第1粒子群と第2粒子群との間」の全てに静電斥力が生じ、粒子の凝集が起こり難くなると考えられる。
《第1粒子群》
第1粒子群は、電極活物質からなる。本実施形態の「粒子群」は、粒子の集合体(粉体)を示す。第1粒子群は、例えば、1μmから30μmのメジアン径を有していてもよい。第1粒子群は、例えば、5μmから20μmのメジアン径を有していてもよい。「メジアン径」は、体積基準の粒度分布において、微粒側からの累積粒子体積が全粒子体積の50%になる粒子径を示す。メジアン径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定され得る。
第1粒子群は、例えば「正極活物質」からなっていてもよい。第1粒子群は、例えば、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケルコバルトアルミン酸リチウム、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、および、リン酸鉄リチウムからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。第1粒子群は、例えば、ニッケルコバルトマンガン酸リチウム、および、リン酸鉄リチウムからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
ニッケルコバルトマンガン酸リチウムは、リチウム(Li)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)およびマンガン(Mn)を含む複合酸化物である。ニッケルコバルトマンガン酸リチウムは、Li、Ni、Co、Mnおよび酸素(O)に加えて、その他の元素をさらに含んでいてもよい。ニッケルコバルトマンガン酸リチウムの化学組成は、例えば、一般式「Li(NiaCobMnc)O2」により表されてもよい。該一般式中、例えば「0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1」の関係が満たされていてもよい。該一般式中、例えば「0.2<a<0.5、0.2<b<0.5、0.2<c<0.5、a+b+c=1」の関係が満たされていてもよい。
リン酸鉄リチウムは、Liおよび鉄(Fe)を含む複合リン酸塩である。リン酸鉄リチウムは、例えば、「LiFePO4」等の化学組成を有していてもよい。リン酸鉄リチウムは、Li、Fe、リン(P)およびOに加えて、その他の元素をさらに含んでいてもよい。
第1粒子群は、例えば「負極活物質」からなっていてもよい。第1粒子群は、例えば、黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、珪素(Si)、酸化珪素(SiO)、珪素基合金、錫(Sn)、酸化錫、錫基合金、インジウム基合金、アンチモン基合金、および、チタン酸リチウムからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。第1粒子群は、例えば、黒鉛、および、チタン酸リチウムからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
チタン酸リチウムは、Liおよびチタン(Ti)を含む複合酸化物である。チタン酸リチウムは、任意の化学組成を有し得る。チタン酸リチウムは、例えば「Li4Ti512」等の化学組成を有していてもよい。
第1粒子群は、分散媒中において所定のゼータ電位(ζa)を示す。第1粒子群のゼータ電位(ζa)は、例えば、第1粒子群の乾燥条件等により調整され得る。第1粒子群のゼータ電位(ζa)は、例えば、−25mV以下であってもよい。第1粒子群のゼータ電位(ζa)は、例えば、−36mV以下であってもよい。第1粒子群のゼータ電位(ζa)は、例えば、−36mVから−25mVであってもよい。
第1粒子群のゼータ電位(ζa)は、例えば、25mV以上であってもよい。第1粒子群のゼータ電位(ζa)は、例えば、33mV以上であってもよい。第1粒子群のゼータ電位(ζa)は、例えば、34mV以上であってもよい。第1粒子群のゼータ電位(ζa)は、例えば、35mV以上であってもよい。第1粒子群のゼータ電位(ζa)は、例えば、25mVから35mVであってもよい。
《第2粒子群》
第2粒子群は、固体電解質からなる。第2粒子群は、例えば、0.05μmから5μmのメジアン径を有していてもよい。第2粒子群は、例えば、0.1μmから1μmのメジアン径を有していてもよい。
第2粒子群は、例えば「硫化物固体電解質」からなっていてもよい。硫化物固体電解質は、例えば、ガラスであってもよい。硫化物固体電解質は、例えば、ガラスセラミックス(「結晶化ガラス」とも称される。)であってもよい。
硫化物固体電解質は、硫黄(S)およびLiを含む。硫化物固体電解質は、例えば、Pをさらに含んでいてもよい。すなわち、硫化物固体電解質は、硫化リンリチウム等を含んでいてもよい。硫化物固体電解質は、例えば、ハロゲン元素をさらに含んでいてもよい。硫化物固体電解質は、例えば、ヨウ素(I)、臭素(Br)等をさらに含んでいてもよい。硫化物固体電解質は、例えば、O、Si、ゲルマニウム(Ge)、Sn等をさらに含んでいてもよい。
硫化物固体電解質は、例えば、Li2S−P25、Li2S−SiS2、LiI−Li2S−SiS2、LiI−Si2S−P25、LiI−LiBr−Li2S−P25、LiI−Li2S−P25、LiI−Li2O−Li2S−P25、LiI−Li2S−P25、LiI−Li3PO4−P25、およびLi2S−P25−GeS2からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
ここで、例えば「Li2S−P25」は、硫化物固体電解質が、「Li2S」に由来する成分と、「P25」に由来する成分とからなることを示す。Li2S−P25は、例えば、Li2SとP25とのメカノケミカル反応により生成され得る。Li2SとP25との混合比は、任意である。Li2SとP25とは、例えば、モル比で「Li2S/P25=50/50」から「Li2S/P25=90/10」の関係を満たしていてもよい。Li2SとP25とは、例えば、モル比で「Li2S/P25=60/40」から「Li2S/P25=80/20」の関係を満たしていてもよい。
さらに、例えば、「10LiI−10LiBr−80[0.75Li2S−0.25P25]」は、「LiI」に由来する成分が10mоl%であり、「LiBr」に由来する成分が10mоl%であり、「0.75Li2S−0.25P25」に由来する成分が80mоl%であることを示している。「0.75Li2S−0.25P25」は、「0.75Li2S−0.25P25」のうち、Li2Sに由来する成分が75mоl%であり、P25に由来する成分が25mоl%であることを示している。
第2粒子群は、例えば「酸化物固体電解質」からなっていてもよい。第2粒子群は、例えば、LiNbO3、Li3PO4、LiPON、Li3BO3−Li2SO4、LISICON、およびLi7La3Zr212からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
第2粒子群の配合量は、100質量部の第1粒子群(電極活物質)に対して、例えば、10質量部から60質量部であってもよい。第2粒子群の配合量は、100質量部の第1粒子群に対して、例えば、20質量部から40質量部であってもよい。
第2粒子群は、分散媒中において所定のゼータ電位(ζs)を示す。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、第2粒子群の乾燥条件等により調整され得る。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、25mV以下であってもよい。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、−25mV以下であってもよい。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、−37mV以下であってもよい。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、−39mV以下であってもよい。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、−40mV以下であってもよい。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、−40mVから25mVであってもよい。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、−40mVから−25mVであってもよい。
第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、−25mV以上であってもよい。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、25mV以上であってもよい。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、39mV以上であってもよい。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、41mV以上であってもよい。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、42mV以上であってもよい。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、−25mVから42mVであってもよい。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、例えば、25mVから42mVであってもよい。
《バインダ》
バインダは、電極において固体成分同士を結合し得る。バインダは、分散媒に溶解していてもよい。バインダは、分散媒中に分散していてもよい。バインダは、任意の成分を含み得る。バインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVdF−HFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、およびアクリル樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。例えば、PVdFは、耐電圧性に優れる傾向がある。例えば、PVdFは、硫化物固体電解質との反応性が低い傾向がある。
バインダの配合量は、100質量部の第1粒子群(電極活物質)に対して、例えば、0.1質量部から10質量部であってもよい。バインダは、分散媒に溶解する場合がある。この場合、ゼータ電位が測定できないと考えられる。よって、バインダはゼータ電位の概念に馴染まないとも考えられる。また、一般にバインダの配合量は少量である。仮に、バインダが帯電したとしても、電極スラリーの分散安定性に与える影響は小さいと考えられる。
《分散媒》
分散媒は、液体である。分散媒は、低極性有機化合物を含む。分散媒は、実質的に低極性有機化合物からなっていてもよい。低極性有機化合物は、例えば、カルボン酸エステル等を含んでいてもよい。低極性有機化合物は、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸ブチル、酪酸ペンチル、酪酸ヘキシル、ペンタン酸ブチル、ペンタン酸ペンチル、ペンタン酸ヘキシル、ヘキサン酸ブチル、ヘキサン酸ペンチル、および、ヘキサン酸ヘキシルからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。例えば、酪酸ブチルは、硫化物固体電解質との反応性が低い傾向がある。
《その他の成分》
電極スラリーは、上記成分を含む限り、その他の成分をさらに含んでいてもよい。電極スラリーは、例えば、導電材等をさらに含んでいてもよい。導電材は、電極において電子伝導パスを形成し得る。導電材は、任意の成分を含み得る。導電材は、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック(登録商標)、気相成長炭素繊維(VGCF)、カーボンナノチューブ(CNT)、およびグラフェンフレークからなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。導電材の配合量は、100質量部の第1粒子群(電極活物質)に対して、例えば、0.1質量部から10質量部であってもよい。
導電材は、任意のゼータ電位を有し得る。導電材は、正に帯電しやすい傾向がある。例えば、導電材に乾燥処理等が施されても、導電材のゼータ電位は大きく変化しない傾向がある。さらに、導電材は配合量が少なく、比重が小さい傾向がある。したがって、導電材のゼータ電位が、電極スラリーの分散安定性に与える影響は小さいと考えられる。
電極スラリーは、分散剤を含んでいてもよい。ただし、分散剤の添加により、電池抵抗が増加する可能性もある。電極スラリーは、分散剤を実質的に含んでいなくてもよい。電極スラリーが分散剤を実質的に含まないことにより、電池抵抗の低減が期待される。
<製造方法>
図1は、本実施形態の製造方法の概略フローチャートである。
本実施形態においては、「電極スラリーの製造方法」、「電極の製造方法」および「全固体電池の製造方法」が提供される。
本開示における製造方法は、下記(A)から(D)を含む。
(A) 第1粒子群および第2粒子群の少なくとも一方に対して、前処理を施す。
(B) 第1粒子群、第2粒子群およびバインダを、分散媒中に分散させることにより、電極スラリーを調製する。
(C) 電極スラリーを基材の表面に塗布し、乾燥することにより、電極を製造する。
(D) 電極を含む、全固体電池を製造する。
前処理は、上記条件(1)または条件(2)が満たされるように施される。前処理は、例えば、第1粒子群および第2粒子群の少なくとも一方を、低露点環境で乾燥することを含んでいてもよい。低露点環境は、例えば、−65℃から−30℃の露点を有していてもよい。乾燥温度は、例えば、40℃から70℃であってもよい。
任意の分散装置により、第1粒子群等が分散媒中に分散される。例えば、超音波ホモジナイザ等が使用されてもよい。
任意のアプリケータにより、電極スラリーが基材の表面に塗布され、乾燥されることにより、電極が形成される。基材は、例えば、電極集電体であってもよい。電極が正極である時、電極集電体は、例えば、アルミニウム(Al)箔等を含んでいてもよい。電極が負極である時、電極集電体は、例えば、Ni箔、銅(Cu)箔等を含んでいてもよい。
基材は、例えば、仮支持体であってもよい。仮支持体の表面に、電極スラリーが塗布され、乾燥されることにより、電極が形成されてもよい。電極の形成後、電極が仮支持体から別の部材に転写されてもよい。
図2は、本実施形態の蓄電要素の概略断面図である。
正極10、セパレータ層30および負極20が積み重ねられることにより、蓄電要素50が形成される。蓄電要素50が筐体(不図示)に封入されることにより、バルク型全固体電池が製造される。筐体は、例えば、アルミラミネートフィルム製のパウチ等であってもよい。
全固体電池は、1個の蓄電要素50を単独で含んでいてもよい。全固体電池は、複数個の蓄電要素50を含んでいてもよい。複数個の蓄電要素50は、例えば、図2のz軸方向に積み重ねられていてもよい。複数個の蓄電要素50は、電気的に直列接続されていてもよい。複数個の蓄電要素50は、電気的に並列接続されていてもよい。
セパレータ層30は、正極10と負極20との間に配置される。セパレータ層30は、正極10と負極20とを物理的に分離する。セパレータ層30は、Liイオンを伝導する。セパレータ層30は、実質的に、電子を伝導しない。セパレータ層30は、例えば、固体電解質およびバインダを含んでいてもよい。
本実施形態の全固体電池は、低い電池抵抗を示すことが期待される。本実施形態の電極は、分散安定性が高い電極スラリーによって形成されている。したがって、本実施形態の電極においては、イオン伝導が円滑であると考えられる。電極内のイオン伝導が円滑であることにより、電池抵抗が低減すると考えられる。
以下、本開示の実施例(以下「本実施例」とも記される。)が説明される。ただし、以下の説明は、特許請求の範囲を限定しない。
<電極スラリーの調製>
《No.1》
下記材料が準備された。
第1粒子群:Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O2
第2粒子群:10LiI−10LiBr−80[0.75Li2S−0.25P25
導電材 :VGCF
バインダ :PVdF
分散媒 :酪酸ブチル
普通空調環境(露点 3℃、温度 25℃)の下で、第1粒子群(正極活物質)が10時間放置された。放置後、第1粒子群が酪酸ブチル中に分散された。分散後、ゼータ電位が測定された。第1粒子群のゼータ電位(ζa)は、−19mVであった。本実施例においては、Dispersion Technology社製のゼータ電位測定装置「DT−1202」が使用された。
グローブボックス(露点 −30℃、温度 25℃)内において、第2粒子群(硫化物固体電解質)が10時間放置された。放置後、第2粒子群が酪酸ブチル中に分散された。分散後、ゼータ電位が測定された。第2粒子群のゼータ電位(ζs)は、41mVであった。
導電材が酪酸ブチル中に分散された。導電材のゼータ電位が測定された。導電材のゼータ電位(ζc)は、45mVであった。
超音波ホモジナイザにより、不揮発成分が分散媒中に分散された。不揮発成分の配合は、「第1粒子群(正極活物質)/第2粒子群(硫化物固体電解質)/導電材/バインダ=60/30/5/5(質量比)」であった。以上より、No.1の電極スラリーが調製された。
《No.2からNo.12》
下記表1に示されるように、第1粒子群および第2粒子群の乾燥条件が変更されることを除いては、比較例1と同様に、電極スラリーが調製された。
《No.13からNo.24》
下記表2に示されるように、Li(Ni1/3Co1/3Mn1/3)O2に代えてLiFePO4が第1粒子群として使用されることを除いては、比較例1等と同様に、電極スラリーが調製された。
《No.25からNo.36》
下記表3に示されるように、正極活物質に代えて、負極活物質(Li4Ti512)が第1粒子群として使用された。不揮発成分の配合は、「第1粒子群(負極活物質)/第2粒子群(硫化物固体電解質)/導電材/バインダ=63/26/5/6(質量比)」であった。これらを除いては、比較例1等と同様に、電極スラリーが調製された。
《No.37からNo.48》
下記表4に示されるように、正極活物質に代えて、負極活物質(黒鉛)が第1粒子群として使用された。不揮発成分の配合は、「第1粒子群(負極活物質)/第2粒子群(硫化物固体電解質)/バインダ=81/16/3(質量比)」であった。これらを除いては、比較例1等と同様に、電極スラリーが調製された。
<評価>
《分散安定性》
電極スラリーの調製後、電極スラリーが2時間静置された。2時間静置後、グラインドゲージにより電極スラリーの粒度が測定された。本実施例においては、大きい側から3番目の粒のサイズが、電極スラリーの粒度と定義された。電極スラリーの粒度は、下記表1から表4に示される。電極スラリーの粒度が小さい程、電極スラリーの分散安定性が高いと考えられる。
《電池性能》
(正極の形成)
アプリケータにより、No.1からNo.24の電極スラリーがAl箔の表面に塗布された。塗膜の厚さは、118μm(狙い値)であった。塗膜が乾燥されることにより、正極が形成された。例えば、電極スラリーの粒度が、塗膜の厚さの80%以下(すなわち94μm以下)であれば、塗布欠陥(例えば「スジ」等)が生じ難いと考えられる。
(セパレータ層の形成)
超音波ホモジナイザにより、不揮発成分が分散媒中に分散された。これによりセパレータスラリーが調製された。不揮発成分の配合は、「硫化物固体電解質/バインダ=96/4(質量比)」であった。セパレータスラリーが仮支持体(Al箔)の表面に塗布され、乾燥されることにより、セパレータ層が形成された。
(負極の形成)
アプリケータにより、No.25からNo.48の電極スラリーがNi箔の表面に塗布された。塗膜の厚さは、110μm(狙い値)であった。塗膜が乾燥されることにより、負極が形成された。例えば、電極スラリーの粒度が、塗膜の厚さの80%以下(すなわち88μm以下)であれば、塗布欠陥が生じ難いと考えられる。
(組み立て)
正極、セパレータ層および負極が積み重ねられることにより、蓄電要素が形成された。筐体として、アルミラミネートフィルム製のパウチが準備された。蓄電要素が筐体に封入された。以上より、全固体電池が製造された。
本実施例においては、No.1からNo.24の電極スラリーによって形成された正極と、No.30の電極スラリーによって形成された負極とが組み合わされることにより、No.1からNo.24の全固体電池がそれぞれ製造された。
本実施例においては、No.6の電極スラリーによって形成された正極と、No.25からNo.48の電極スラリーによって形成された負極とが組み合わされることにより、No.25からNo.48の全固体電池がそれぞれ製造された。
(直流抵抗の測定)
全固体電池に対して、初回充放電が施された。初回充放電後、全固体電池のSOC(State Of Charge)が50%に調整された。SOCの調整後、25℃の温度環境の下で、3Cの放電電流により、全固体電池が10秒間放電された。放電開始から10秒後の電圧降下量が測定された。電圧降下量が放電電流で除されることにより、電池抵抗が算出された。結果は、下記表1から表4に示される。なお「3C」は、満充電容量が20分で放電される電流を示す。
Figure 2021111543
Figure 2021111543
Figure 2021111543
Figure 2021111543
<結果>
上記表1から表4に示されるように、電極スラリーにおいて、条件(1)または条件(2)が満たされる時、電極スラリーの分散安定性が向上する傾向がみられる。さらに、条件(1)または条件(2)が満たされる時、電池抵抗が低減する傾向もみられる。
本実施形態および本実施例は、全ての点で例示である。本実施形態および本実施例は、制限的ではない。特許請求の範囲の記載によって確定される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載と均等の意味における全ての変更を包含する。特許請求の範囲の記載によって確定される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載と均等の範囲内における全ての変更も包含する。
10 正極、20 負極、30 セパレータ層、50 蓄電要素。

Claims (1)

  1. 全固体電池の電極を製造するために使用される、電極スラリーであって、
    第1粒子群、第2粒子群、バインダ、および分散媒を含み、
    前記分散媒は、液体であり、
    前記分散媒は、低極性有機化合物を含み、
    前記第1粒子群は、電極活物質からなり、
    前記第2粒子群は、固体電解質からなり、
    前記第1粒子群および前記第2粒子群の各々は、前記分散媒中に分散しており、
    下記条件(1)または条件(2):
    ζa≦−25mV、かつ、ζs≦25mV (1)
    25mV≦ζa、かつ、−25mV≦ζs (2)
    が満たされており、
    ζaは、前記分散媒中における前記第1粒子群のゼータ電位を示し、
    ζsは、前記分散媒中における前記第2粒子群のゼータ電位を示す、
    電極スラリー。
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