JP7700518B2 - ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
近年、コンデンサーのさらなる小型化及び高容量化が必要な状況になってきている。例えば、電気自動車及びハイブリッド自動車等の駆動モーターを制御するインバーター電源機器用コンデンサーに樹脂フィルムを使用する場合には、小型、軽量及び高容量が必要になる(特許文献1)。コンデンサーの高容量化に伴い、例えば、120℃を超える温度領域下で、長期間にわたる高い耐電圧特性(静電容量の安定性)が必要とされる傾向にある。
そこで、本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであり、コンデンサー用ポリエステルフィルムとして、従来並みの電気特性を維持しつつ、それでいて耐熱性が良好であり、且つ薄膜化可能なコンデンサー用ポリエステルフィルムを新規に提案するものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[14]を提供するものである。
[1]ポリエステル樹脂(X)とポリプロピレン樹脂(Y)とを含み、パルスNMR法にて得られるポリプロピレン樹脂(Y)成分の緩和時間Tについて、150℃で1分熱処理した後の緩和時間(T2)(μs)と、熱処理する前の緩和時間(T1)(μs)の関係が、下記式(1)を満たすポリエステルフィルム。
(T2)/(T1)≧1.20・・・(1)
[2]ポリエステル樹脂(X)100質量部に対して、ポリプロピレン樹脂(Y)を1~30質量部含む、上記[1]に記載のポリエステルフィルム。
[3]ポリエステル樹脂(X)100質量部に対して、相溶化剤(Z)を0.01~40質量部含む、上記[1]又は[2]に記載のポリエステルフィルム。
[4]前記相溶化剤(Z)が酸無水物構造[-C(=O)-O-C(=O)-]を有する樹脂またはアイオノマーである、上記[3]に記載のポリエステルフィルム。
[5]前記ポリエステル樹脂(X)の重縮合触媒がTi系又はSb系である、上記[1]~[4]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[6]ポリエステル樹脂(X)がポリエチレンテレフタレート及びポリエチレン-2,6-ナフタレートから選ばれる少なくとも1種である、上記[1]~[5]の何れかに記載のポリエステルフィルム。
[7]前記ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に硬化樹脂層が設けられた、上記[1]~[6]の何れかに記載のポリエステルフィルム。
[8]フィルム厚みが0.5~12.0μmである、上記[1]~[7]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[9]1kHzにおける誘電正接(tanδ)が0.55以下である、上記[1]~[8]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[10]上記[1]~[9]のいずれかに記載のポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属層が設けられた、金属積層フィルム。
[11]コンデンサー用である、上記[1]~[9]のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
[12]コンデンサー用である、上記[10]に記載の金属積層フィルム。
[13]自動車に搭載するコンデンサー用である、上記[11]に記載のポリエステルフィルム。
[14]自動車に搭載するコンデンサー用である、上記[12]に記載の金属積層フィルム。
本発明のポリエステルフィルム(以下、「本ポリエステルフィルム」と記載することがある。)は、ポリエステル樹脂(X)と、ポリプロピレン樹脂(Y)を含む。
本ポリエステルフィルムは、耐熱性、平面性、光学特性、強度などの物性が優れる。上記ポリエステルフィルムは単層でも、性質の異なる2以上の層を有する多層フィルム(すなわち、積層フィルム)でもよい。
なお、多層フィルムの場合には、各層のいずれかが、ポリプロピレン樹脂(Y)を有すればよいが、全層がポリプロピレン樹脂(Y)を有することが好ましい。例えば表層/中層/表層の3層構成の多層フィルムの場合に、いずれかの層がポリプロピレン樹脂(Y)を含有すればよいが、中層がポリプロピレン樹脂(Y)を含有することが好ましく、全層がポリプロピレン樹脂(Y)を含有することがさらに好ましい。したがって、多層の場合には、いずれかの層が、後述するポリプロピレン樹脂(Y)を含有すればよく、また、ポリプロピレン樹脂(Y)を含有する層が適宜後述する相溶化剤(Z)を含有することが好ましい。
また、ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであるのが好ましい。その中でも、力学特性のバランスや平面性の観点で、二軸延伸フィルムであるのがより好ましい。したがって、二軸延伸ポリエステルフィルムがよりさらに好ましい。
本ポリエステルフィルムの主成分樹脂であるポリエステル樹脂(X)は、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。なお、主成分樹脂とは、ポリエステルフィルムを構成する樹脂の中で最も質量割合の大きい樹脂の意味であり、ポリエステルフィルムを構成する樹脂の50質量%以上、或いは75質量%以上、或いは90質量%以上、或いは100質量%を占めればよい。
代表的なホモポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン-2,6-ナフタレート(PEN)等を例示することができる。
本発明においては、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレン-2,6-ナフタレート(PEN)が特に好ましく、これらを併用することもできる。
共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等の一種又は二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上を挙げることができる。
中でも、本ポリエステルフィルムとしては、60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレンテレフタレート単位であるポリエチレンテレフタレート又は60モル%以上、好ましくは80モル%以上がエチレン-2,6-ナフタレート単位であるポリエチレン-2,6-ナフタレートが好ましい。
上記ポリエステルを重縮合して得る際の重縮合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、アルミニウム化合物、チタン化合物等が挙げられる。これらの中では、アンチモン化合物及びチタン化合物の少なくともいずれかが好ましく、とりわけ、チタン化合物を用いて得られるポリエステルを使用することが好ましい。
したがって、ポリエステルフィルムは、アンチモン化合物(Sb系)及びチタン化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましく、チタン化合物(Ti系)を含むことがより好ましい。
前記チタン化合物を使用することで、フィルム中に当該チタン化合物に由来する金属含有凝集体、いわゆる粗大異物の個数を低減化することができる。
なお、最外層とは、積層フィルムである場合には、複数ある層のうち、最も外側にある層であり、単層である場合には当該層の表面層である。
当該最外層中に当該チタン化合物に由来するチタン元素含有量は3質量ppm以上40質量ppm以下であることが好ましく、4質量ppm以上35質量ppm以下であることがより好ましい。
上記範囲内であれば、ポリエステルの製造効率を低下することなく、触媒起因の異物を低減化することができる。
また、同様の観点から、本フィルムの最外層中のアンチモン化合物の含有量は100質量ppm以下であることが好ましい。
ポリエステル樹脂(X)中には、易滑性の付与および各工程での傷発生防止を主たる目的として、粒子を配合することも可能である。粒子を配合する場合、配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム、酸化チタン等の無機粒子、アクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等の有機粒子等が挙げられる。さらに、ポリエステルの製造工程中、触媒等の金属化合物の一部を沈殿、微分散させた析出粒子を用いることもできる。
また、用いる粒子の平均粒径は、好ましくは3μm以下、より好ましくは0.1~2μm、その中でも特に0.1~1μmの範囲であることが好ましい。平均粒径が上記範囲である粒子を用いることにより、ポリエステルフィルムに適度な表面粗度を与え、良好な滑り性と平滑性が確保できる。
粒子を配合する場合、例えば、表層と、中間層を設けて、表層に粒子を含有させることができる。この場合、粒子を含有する表層、中間層、及び粒子を含有する表層をこの順に有する多層構造とすることもできる。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルを構成するポリエステル樹脂(X)に対して、非相溶なポリプロピレン樹脂(Y)を含有するため、ポリプロピレン樹脂(Y)により、フィルム表面に微細な凹凸を形成できる。そのため、フィルム中の粒子量を上記範囲内とすることにより、フィルムの透明性を確保しつつ、フィルムに滑り性を付与しやすくなる。
なお、ポリエステルフィルムに粒子が含有されない場合、あるいは含有量が少ない場合は、基材フィルムの透明性が高くなり外観の良好なポリエステルフィルムが得られるが、滑り性が不十分となる場合がある。そのような場合には、後述する硬化樹脂層中に粒子を配合するなどにより、滑り性を向上させるとよい。
ポリプロピレン樹脂(Y)は、プロピレンの単独重合体であってもよいし、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4~20のα-オレフィンとの共重合体であってもよい。
本発明においては、共重合成分は1種類でもよいし、必要に応じて、2種類以上を併用してもよい。
本発明において、MFRは、0.1~10g/10分の範囲であることが好ましく、より好ましくは0.5~8g/10分、さらに好ましくは1~8g/10分である。上記範囲を満足することで、フィルム成形加工時に良好な流動性が確保できる。
なお、MFRは、ISO 1133:1997に準拠して測定したものである。
ポリプロピレン樹脂(Y)の融点は、好ましくは150℃以上、より好ましくは160℃以上である。融点が前記範囲を満足する場合、所望する耐熱性が確保できる。融点の上限については、特に限定されるわけではないが、通常、170℃である。なお、本発明における融点は、示差走査熱量測定(DSC)によって求めることができる。具体的には、一旦、室温から200℃まで昇温して、熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再度、昇温速度10℃/分にて測定した際の吸熱ピークトップの温度と定義する。
ポリエステル樹脂(X)100質量部に対するポリプロピレン樹脂(Y)の配合量は1~30質量部であることが好ましい。さらに好ましくは、5~20質量部、その中でも特に5~15質量部がよい。
上記範囲を満足することにより、コンデンサー用ポリエステルフィルムとして、良好な電気特性を有することができる。
なお、本ポリエステルフィルムが多層フィルムである場合には、上記配合量は、本ポリエステルフィルム全体における配合量である。したがって、例えば、ポリプロピレン樹脂の配合量の異なる層を有する多層ポリエステルフィルムであっても、積層フィルム全体としてのポリプロピレン樹脂の配合量を指す。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂(X)とポリプロピレン樹脂(Y)を相溶させるための相溶化剤(Z)を含有することが好ましい。相溶化剤(Z)としては、酸無水物構造を有する樹脂またはアイオノマーであることが好ましい。
酸無水物構造[-C(=O)-O-C(=O)-]を有する樹脂としては、酸無水物構造[-C(=O)-O-C(=O)-]を有するポリエチレンまたはポリプロピレンのいずれかのポリオレフィン樹脂、酸無水物構造を有するポリスチレン樹脂を用いることができる。
特に、酸無水物構造を有する変性ポリプロピレン樹脂(無水カルボン酸変性されたポリプロピレン樹脂)が好ましい。前記酸無水物構造を有する変性ポリプロピレン樹脂とは、原料としてのプロピレンに加え、酸無水物構造を有するモノマーを用いて合成される樹脂のことを言う。また、酸無水物構造を有する変性ポリプロピレン樹脂と共に、又は当該変性ポリプロピレン樹脂に代えて、酸無水物構造を有する変性ポリエチレン樹脂を用いることもできる。
なお、酸価は、JIS K 0070に準拠して測定した値を採用する。
また、無水マレイン酸で変性されたスチレン系熱可塑性樹脂を用いる場合、例えば、旭化成(株)製の「タフプレン912」、クレイトンポリマージャパン(株)の「FG1901」、「FG1924」、旭化成(株)の「タフテックM1911」、「タフテックM1913」、「タフテックM1943」などが例示される。
アイオノマーとは、エチレンと不飽和カルボン酸等の酸性ビニルモノマーとのランダム、ブロック、グラフト共重合体を部分中和金属塩とすることにより、これらの高分子鎖を金属イオンの凝集力を利用して凝集体としたものであり、例えば、エチレン・不飽和カルボン酸共重合樹脂のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和してなるアイオノマー樹脂などが挙げられる。
ポリエステル樹脂(X)100質量部に対する、相溶化剤(Z)の配合量は0.01~40質量部であることが好ましい。さらに好ましくは、0.1~20質量部であり、その中でも特に1~20質量部が好ましい。
上記範囲を満足することにより、ポリエステル樹脂(X)とポリプロピレン樹脂(Y)との相溶性が良好となり、コンデンサー用ポリエステルフィルムとして、電気特性が良好なポリエステルフィルムを得ることができる。
なお、本ポリエステルフィルムが多層フィルムである場合には、上記配合量は、本ポリエステルフィルム全体における配合量である。したがって、例えば、相溶化剤の配合量の異なる層を有する多層ポリエステルフィルムであっても、積層フィルム全体としての相溶化剤の配合量を指す。
本発明のポリエステルフィルムは、少なくとも一方の表面に硬化樹脂層を設けることが好ましい。硬化樹脂層は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に備えられていればよく、両面側に備えられてもよい。
硬化樹脂層としては、フッ素含有化合物を含有するのが好ましい。フッ素含有化合物を含有する硬化樹脂層を備えることで、ポリエステルフィルム単独よりも、厚み当たりの帯電電位が向上し、帯電電位の減衰をより抑制させることが可能となり、かつポリエステルフィルム表面に付着した塵や油分を容易に除去することが可能となる。
特に、硬化樹脂層は、フッ素含有化合物(A)、架橋剤(B)、及びバインダー樹脂(C)を含む硬化樹脂層組成物を硬化してなることが好ましい。硬化樹脂層は、これら(A)~(C)成分を含有する硬化樹脂層組成物を使用することで、厚み当たりの帯電電位を向上させ、帯電電位の減衰をより抑制させることが可能となり、硬化樹脂層の傷つきの防止、耐溶剤性が良好となり、かつ硬化樹脂層の成膜性、透明性などが向上する。
フッ素含有化合物は、樹脂層の強度を高めるという観点からフッ素含有樹脂であることが好ましい。フッ素含有樹脂の具体例としては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン等を単量体とするフルオロオレフィン系共重合樹脂;フルオロメチレンエーテル、ジフルオロメチレンエーテル、フルオロエチレンエーテル、ジフルオロエチレンエーテル、テトラフルオロエチレンエーテル、ヘキサフルオロプロピレンエーテル等の、水素原子の一部又は全てがフッ素原子に置換されたポリアルキレンエーテルとその他の単量体とを重合してなるフッ素系共重合樹脂;ヒドロキシ基含有のフッ素樹脂共重合体と(メタ)アクリル酸エステル系化合物又は他の単量体とをグラフト重合してなるフッ素系共重合樹脂;パーフルオロアルキル基を有するビニル重合体等が挙げられる。中でも帯電電位の向上に優れる点や、塵や油分の拭き取り性に優れるという観点から、フルオロオレフィン系共重合樹脂や、水素原子の一部又は全てがフッ素化されたポリアルキレンエーテル基を含むフッ素樹脂共重合体が好ましい。
ポリフルオロアルキレンエーテル基を有するウレタン樹脂を構成するその他の単量体としては、イソシアネート化合物が挙げられる。イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート等が例示される。
硬化樹脂層形成組成物におけるフッ素含有化合物の含有量は、硬化樹脂層組成物における不揮発成分に対して、好ましくは5~100質量%、より好ましくは20~98質量%、更に好ましくは45~95質量%の範囲である。5質量%以上とすることで、厚み当たりの帯電電位を向上させ、帯電電位の減衰をより抑制させることが可能となり、かつポリエステルフィルム表面に付着した塵や油分を容易に除去することが可能となる。
硬化樹脂層を形成するための硬化樹脂層組成物は、上記のとおり架橋剤(B)を含有することが好ましい。硬化樹脂層組成物に架橋剤を含有させることで、架橋密度が高い緻密な硬化樹脂層を形成することができる。また、硬化樹脂層の傷つきなども防止でき、耐溶剤性なども良好にしやすくなる。架橋剤は、特に制限はなく、従来公知の架橋剤を使用することができる。
架橋剤としては、例えば、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物等が挙げられる。架橋剤は、これらの中でも、メラミン化合物、オキサゾリン化合物及びイソシアネート系化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましく、剥離性の観点からメラミン化合物であることが好ましい。また、これらの架橋剤は1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、これら架橋剤とともに硬化する成分として、任意の重合性モノマーを硬化樹脂層組成物に含有させてもよい。
架橋剤に使用するメラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、及びこれらの混合物を用いることができる。アルキロール化としては、メチロール化、エチロール化、イソプロピロール化、n-ブチロール化、イソブチロール化などが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、メチロール化が好ましい。また、エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブタノール等が好適に用いられる。硬化樹脂層の塗膜強度を向上させ、硬化樹脂層とポリエステルフィルムの密着性を向上させるという観点から、部分的又は完全にエーテル化したアルキロール化メラミン誘導体であることが好ましく、メチルアルコールでエーテル化したアルキロールであることがより好ましい。部分的にエーテル化したアルキロール基はエーテル化していないアルキロール基に対して、0.5~5当量であることが好ましく、0.7~5当量であることがより好ましい。また、メラミン化合物としては、単量体であってもよいし、2量体以上の多量体のいずれであってもよいし、これらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものを使用してもよい。
オキサゾリン化合物は、分子内にオキサゾリン基を有する化合物であり、特にオキサゾリン基を含有する重合体が好ましく、該重合体は、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって作製できる。中でも、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと(メタ)アクリロイル基を有するモノマーであるアクリルモノマーとの共重合体であるアクリル系ポリマーが好ましく、アクリル系ポリマーはポリアルキレンオキシド鎖を有してもよい。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基という表現を用いた場合、「アクリロイル基」と「メタクリロイル基」の一方又は両方を意味するものとし、他の類似する用語も同様である。
付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-4-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中でも2-イソプロペニル-2-オキサゾリンが工業的にも入手しやすく好適である。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上のモノマーを使用してもよい。
オキサゾリン化合物に使用される他のモノマーは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
エポキシ化合物とは、分子内にエポキシ基を有する化合物であり、例えば、エピクロロヒドリンとエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ビスフェノールA等の水酸基又はアミノ基含有化合物との縮合物が挙げられる。エポキシ化合物としては、ポリエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、モノエポキシ化合物、グリシジルアミン化合物等が挙げられる。
ポリエポキシ化合物としては、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネート、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテルが挙げられる。
ジエポキシ化合物としては、例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。
モノエポキシ化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルが挙げられる。
グリシジルアミン化合物としてはN,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノ)シクロヘキサン等が挙げられる。エポキシ化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
イソシアネート系化合物は、イソシアネート、あるいはブロックイソシアネートに代表されるイソシアネート誘導体構造を有する化合物である。イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族イソシアネート、メチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、イソプロピリデンジシクロヘキシルジイソシアネート等の脂環族イソシアネート等が例示される。また、これらイソシアネートのビュレット化物、イソシアヌレート化物、ウレトジオン化物等の重合体や誘導体も挙げられる。イソシアネートは、これらを単独で用いても、複数種併用してもよい。上記イソシアネートの中でも、紫外線による黄変を避けるために、脂肪族イソシアネートまたは脂環族イソシアネートがより好ましい。
カルボジイミド系化合物は、カルボジイミド構造を有する化合物のことである。カルボジイミド系化合物を使用すると、硬化樹脂層の耐湿熱性を向上することができる。カルボジイミド系化合物は従来公知の技術で合成することができ、一般的には、ジイソシアネート化合物の縮合反応が用いられる。ジイソシアネート化合物としては、特に限定されるものではなく、芳香族系、脂肪族系いずれも使用することができ、具体的には、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。カルボジイミド系化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を使用してもよい。
シランカップリング化合物は、1つの分子中に有機官能基とアルコキシ基などの加水分解基を有する有機ケイ素化合物である。例えば、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有化合物、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのビニル基含有化合物、p-スチリルトリメトキシシラン、p-スチリルトリエトキシシランなどのスチリル基含有化合物、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシランなどの(メタ)アクリル基含有化合物、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノ基含有化合物、トリス(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス(トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどのイソシアヌレート基含有化合物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシランなどのメルカプト基含有化合物などが挙げられる。
上記化合物の中でも硬化樹脂層の強度の保持の観点から、エポキシ基含有シランカップリング化合物、ビニル基や(メタ)アクリル基などの二重結合含有シランカップリング化合物、アミノ基含有シランカップリング化合物がより好ましい。
シランカップリング化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
バインダー樹脂は、上記架橋剤(B)が架橋してなるポリマー以外に硬化樹脂層組成物に含有されるポリマー成分である。硬化樹脂層組成物がバインダー樹脂を含有することで、硬化樹脂層の成膜性、透明性などが向上する。
アクリル樹脂は、アクリル系、メタアクリル系のモノマーを含む重合性モノマーからなる重合体である。これらは、単独重合体あるいは共重合体、さらにはアクリル系、メタクリル系のモノマー以外の重合性モノマーとの共重合体のいずれでもよい。
また、それら重合体と他のポリマー(例えばポリエステル、ポリウレタン等)との共重合体も含まれる。例えば、ブロック共重合体、グラフト共重合体である。すなわち、アクリル樹脂は、アクリル変性ポリエステル樹脂や、アクリル変性ポリウレタン樹脂であってもよい。
さらには、ポリエステル溶液、またはポリエステル分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にポリウレタン溶液、ポリウレタン分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマーの混合物)も含まれる。同様にして他のポリマー溶液、または分散液中で重合性モノマーを重合して得られたポリマー(場合によってはポリマー混合物)も含まれ、これらも本明細書では、アクリル変性ポリエステル樹脂や、アクリル変性ポリウレタン樹脂とする。なお、アクリル樹脂において使用される上記したポリエステル、ポリウレタンは、後述するバインダー樹脂に使用されるポリエステル、ポリウレタンとして例示されたものから適宜選択して使用できる。
また、アクリル樹脂は、ポリエステルフィルムとの密着性をより向上させるために、ヒドロキシル基、アミノ基を含有してもよい。
ポリエステル樹脂とは、主な構成成分として例えば、下記のような多価カルボン酸及び多価ヒドロキシ化合物からなるものが挙げられる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、2-カリウムスルホテレフタル酸、5-ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p-ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩及びそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができる。多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオ-ル、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオ-ル、2-メチル-1,5-ペンタンジオ-ル、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノ-ル、p-キシリレングリコ-ル、ビスフェノ-ルA-エチレングリコ-ル付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ-ル、ポリプロピレングリコ-ル、ポリテトラメチレングリコ-ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ-ル、ジメチロ-ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ-ルプロパン、ジメチロ-ルエチルスルホン酸ナトリウム、ジメチロ-ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。また、ポリエステル樹脂は、水分散体としてもよく、その場合、ポリエステル樹脂には適宜親水性官能基などを導入してもよい。
ポリビニルアルコールとは、ポリビニルアルコール部位を有する化合物であり、例えば、ポリビニルアルコールに対し、部分的にアセタール化やブチラール化等された変性化合物も含め、従来公知のポリビニルアルコールを使用することができる。ポリビニルアルコールの重合度は特に限定されるものではないが、通常100以上、好ましくは300~40000の範囲である。重合度を100以上とすることで、硬化樹脂層の耐水性が低下することを防止できる。また、ポリビニルアルコールのケン化度は特に限定されるものではないが、通常70モル%以上、好ましくは70~99.9モル%の範囲、より好ましくは80~97モル%、特に好ましくは86~95モル%であるポリ酢酸ビニルケン化物が実用的に用いられる。
ウレタン樹脂とは、ウレタン結合を分子内に有する高分子化合物のことである。通常ウレタン樹脂はポリオールとイソシアネートの反応により作製される。ポリオールとしては、ポリカーボネートポリオール類、ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリオレフィンポリオール類、アクリルポリオール類が挙げられ、これらの化合物は単独で用いても、複数種用いてもよい。ウレタン樹脂は、水分散体であってもよく、その場合、例えばポリオールに適宜親水性官能基を導入してもよい。
硬化樹脂層組成物には、上記した各成分以外にも、反応調整剤、密着強化剤、界面活性剤、帯電防止剤、粒子などの添加剤を適宜配合してもよい。
硬化樹脂層組成物に用いる溶媒には制限はなく、水及び有機溶剤のいずれかを使用すればよいが、環境保護の観点から、水を溶媒とする水性塗布液とすることが好ましい。水性塗布液には、少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤の具体的な量は、質量基準で水より少なくするとよいが、例えば、溶媒中の30質量%未満、好ましくは20質量%未満、より好ましくは10質量%未満とする。
水と併用する有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、エチルセロソルブ、t-ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、ジメチルエタノールアミン等のアミン類等を例示することができる。これらは単独、もしくは複数を組み合わせて用いることができる。水性塗布液に、必要に応じてこれらの有機溶剤を適宜選択し、含有させることで、塗布液の安定性、塗布性を良好にできる場合がある。
以下、硬化樹脂層の形成方法について詳細に説明する。硬化樹脂層の形成は、インラインコーティングにより行ってもよいし、オフラインコーティングにより行ってもよい。インラインコーティングは、ポリエステルフィルムを製造する製造ライン上で、ポリエステルフィルム表面に硬化樹脂層組成物の塗布液を塗布する方法である。オフラインコーティングは、一旦製造したポリエステルフィルム上に系外(上記製造ライン外)で塗布液を塗布する方法である。硬化樹脂層は、加工の容易性の点からインラインコーティングにより形成することが好ましい。
また、二軸延伸フィルムの製造においては、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、ポリエステルフィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温に加熱できる。そのため、硬化樹脂層組成物を塗布した後に施される熱処理が他の方法では達成できない高温とすることができるため、硬化樹脂層とポリエステルフィルムをより強固に密着させることができる。
また、硬化樹脂層を形成するための塗布液のポリエステルフィルムへの塗布性、硬化樹脂層のポリエステルフィルムに対する接着性を改良するため、塗布液の塗布前に、ポリエステルフィルムの硬化樹脂層が形成される面に化学処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理、溶剤処理等の表面処理を施してもよい。
これらの観点から0.01μm以上がより好ましく、0.02μm以上がさらに好ましく、また、0.2μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましく、その中でも特に0.06μm以下がよい。
本発明のポリエステルフィルムは、その少なくとも片面に金属層が設けられた金属積層フィルムとすることができる。金属層は、ポリエステルフィルムの片面に設けられていても、両面に設けられていてもよい。また、上述の硬化樹脂層上に設けられてもよい。
金属としては、銅、銀、クロム、アルミニウム、ニッケル、亜鉛等が挙げられ、これらのうち、コスト、環境対応の点から、アルミニウム、亜鉛が好ましい。金属層の厚みとしては、10~5000Åの範囲であることが好ましく、100~4000Åの範囲であることがより好ましく、100~2000Åの範囲であることがさらに好ましい。上記範囲内であると電気特性の点で有利である。
本ポリエステルフィルムの製造方法の一例として、本ポリエステルフィルムが二軸延伸フィルムの場合の製造方法について説明する。但し、ここで説明する製造方法に限定するものではない。
次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に延伸する。この際、延伸温度は通常50~140℃であり、延伸倍率は通常3.0~7倍、好ましくは3.5~6倍である。
なお、上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。
また、本発明においては、横方向への延伸倍率を高くすることが好ましく、したがって、一段目及び二段目のいずれかにおいて延伸倍率を4.5倍以上とすることが好ましい。
本ポリエステルフィルムは、熱固定処理を行うことで、耐熱性などを向上させることができる。
なお、上記は単層フィルムを前提に製造方法を説明したが、多層の場合には、例えば共押出などにより未配向シートを作製して、その後、同様に行うとよい。
フィルム厚みは0.5~12.0μmが好ましい。厚みがこの範囲であると、コンデンサー用途として使用するのに適する。以上の観点から、本ポリエステルフィルムの厚みは、さらに好ましくは0.5~10.0μm、その中でも特に1.0~8.0μmがよい。
本発明のポリエステルフィルムは、パルスNMR法にて得られるポリプロピレン樹脂(Y)成分の緩和時間Tについて、フィルムを150℃で1分熱処理した後の緩和時間(T2)(μs)と熱処理する前の緩和時間(T1)(μs)の関係が、下記式(1)を満たすことが必要である。
(T2)/(T1)≧1.20・・・(1)
(T2)/(T1)の値を増大させる手法としては、後に詳述する、特定構造の相溶化剤(Z)を使用することが好ましいが、相溶化剤(Z)を使用する構成に限定されない。例えば、混練条件を適宜調整して、ポリプロピレン樹脂をポリエステル樹脂に十分に分散させることで、(T2)/(T1)を高くすることができる。
また、フィルム延伸工程において、横延伸倍率を4.5倍以上、好ましくは4.8倍以上とすることで、より広範囲にポリプロピレン樹脂を分散させることができ、(T2)/(T1)を高くすることに寄与できる。
ポリプロピレン樹脂を用いる理由はコンデンサー用フィルムとして、特に低周波領域における電気特性改良を意図して用いている。かかる観点より、フィルム成形加工後、フィルム中のポリプロピレン樹脂由来の空隙(ボイド)を極力形成しない方が電気特性を良好とするとの設計思想より、前述の通り、フィルム構造をミクロな視点から注目し、ポリプロピレン樹脂の分散性を物理的特性、具体的にはパルスNMRによる緩和時間に置き換え、電気特性(誘電正接)との関係性に着目した結果、両者が良好な相関を示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のポリエステルフィルムは、1kHzにおけるtanδが0.55以下であることが好ましく、より好ましくは0.50以下、さらに好ましくは0.45以下、その中でも特に0.40以下がよい。
tanδが前記範囲を満足することによりフィルムの電気特性が良好となり、コンデンサー用に好適となる。
本発明のポリエステルフィルム、及び金属積層フィルムは、低い誘電正接(tanδ)など優れた電気特性を有することから、コンデンサー用として有用である。特に薄いフィルム状であることから、ハイブリッド自動車、電気自動車など、小型化・軽量化・高容量化が必要とされる自動車に搭載するコンデンサー用として有用である。
本発明においては、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
本発明において、「X~Y」(X,Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
また、「X以上」(Xは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と記載した場合、特に断らない限り「好ましくはYより小さい」の意も包含するものである。
種々の物性及び特性の測定及び評価方法は、以下の通りである。
ポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
フィルム小片をエポキシ樹脂にて固定成形した後、ミクロトームで切断し、フィルムの断面を透過型電子顕微鏡写真にて観察した。その断面のうちフィルム表面とほぼ平行に2本、明暗によって界面が観察される。その2本の界面とフィルム表面までの距離を10枚の写真から測定し、平均値を積層厚みとした。
示差走査熱量測定(DSC)によって、室温から200℃まで昇温して、熱履歴を消去した後、10℃/分の降温速度で40℃まで温度を降下させ、再度、昇温速度10℃/分にて測定した際の吸熱ピークトップの温度と定義する。
フィルムを150℃で1分熱処理する方法は、厚み2mm、外寸300mm×300mm、内寸280mm×280mmに中抜きされた幅20mmの四角い金属製フレームを用い、そのフレーム面の4辺には両面テープ(ニチバン社製“ナイスタック”NW-H15接着力02)を貼り、金属製フレームの全面にフィルムが被さるようにフィルムを貼り付け、さらに同寸法の金属製フレームでフィルムを挟み込む。このとき、フィルムに皺が入らないように貼り付ける。次いで、金属フレーム/両面テープ/フィルム/金属フレームの状態で、フレームの4辺をクリップで挟み固定したサンプルを作成し、150℃に加熱されたオーブン中へ1分間放置した。1分後にサンプルを取り出し、常温で5分間放置したあと、金属フレームの内枠に沿ってフィルムを切り出し、150℃1分熱処理後のフィルムとした。フィルムが300mm×300mmの寸法で得られない場合は、貼り付け可能な寸法の金属枠を用いた。
装置:Bruker Biospin社製mq20
温度:40℃
観測周波数:20MHz
90°パルス幅:2.74μs
パルス繰り返し時間:2.0s
パルスモード:Solido Echo法
測定は、熱処理前のフィルムと熱処理後のフィルムのそれぞれのフィルムについて、フィルムを裁断して、外径10mmのガラス管の管内に高さ1cmとなるまで断裁したフィルムを詰め込み、ポリエステルフィルム中のポリプロピレン樹脂(Y)成分について1H核のスピン-スピン緩和時間T2を求めた。測定はフィルムを装置に投入して15分間保温した後に開始し、得られた減衰曲線を最小二乗法により、T2の短いガウス関数成分と、T2の長い指数関数成分に分離した。
予め、試料フィルムの両面に円形にAl蒸着したサンプルを装置(HP(HEWLETT PACKARD)社製 型式:4284A)に載せ、上下から電極を接触させる。電流の周波数を1kHZに設定した時のtanδを計測する。
具体的には、コンデンサーに交流電圧を印可した時に電力損失が発生するが、この時の損失角をδとし、tanδを誘電正接とする。tanδの値が小さいほど、優良なコンデンサーであることを示している。
(ポリエステルフィルム)
(a)ポリエステル樹脂(X1):極限粘度が0.63であるポリエチレンテレフタレートホモポリマー(重縮合触媒;アンチモン)。
(b)ポリエステル樹脂(X2):平均粒子径0.8μmのシリカ粒子を0.5質量%含有する、極限粘度が0.65であるポリエチレンテレフタレートホモポリマー(重縮合触媒;アンチモン)。
(c)ポリプロピレン樹脂(Y):融点163℃、MFR=7.5(住友化学社製:FLX80E4)
(d)酸無水物構造を有する樹脂(Z1):無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂(アドマーQE800、メルトフローレート:9.1g/10分、酸価4.3、三井化学社製)
(e)酸無水物構造を有する樹脂(Z2):無水マレイン酸変性ポリスチレン樹脂(タフテックM1943、メルトフローレート;8.0g/10分、旭化成社製)
ポリエステル樹脂X1、ポリプロピレン樹脂Y、相溶化剤としてZ1を、それぞれ87.5質量%、10質量%、2.5質量%の割合で混合した混合原料を押出機に供給し、285℃で溶融した後、25℃に設定した冷却ロール上に押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向(MD)に3.2倍延伸した。この縦延伸フィルムをテンターに導き、横方向(TD)に100℃で4.9倍延伸した。220℃で熱処理を行った後、横方向に0.5%弛緩し、厚みが6.9μmのポリエステルフィルムを得た。
表1に示すように条件を変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。
また、本願発明のように極薄領域(0.5~12μm)の厚みを有するフィルムを延伸する際にはフィルムの厚み方向に上下から力が加わると推察される。フィルムの厚み方向に上下から加わる力により、相溶化剤との相乗効果も加わり、ポリエステル樹脂層(X)とポリプロピレン樹脂層(Y)との密着性を向上させた結果、例えば、両者の界面に存在する空気を押し出すことで、結果的に空隙(ボイド)を形成しにくい構造をとるものと推察される。
さらに酸無水物構造を有する樹脂からなる相溶化剤を用いれば、特に相溶性が良好であり、電気特性の更なる改良効果が期待できることもわかった。
Claims (12)
- ポリエステル樹脂(X)と、ポリプロピレン樹脂(Y)とを含み、前記ポリエステル樹脂(X)100質量部に対して、相溶化剤(Z)を0.01~40質量部含み、前記相溶化剤(Z)が酸無水物構造[-C(=O)-O-C(=O)-]を有する樹脂またはアイオノマーであり、パルスNMR法にて得られるポリプロピレン樹脂(Y)成分の緩和時間Tについて、150℃で1分熱処理した後の緩和時間(T2)(μs)と、熱処理する前の緩和時間(T1)(μs)の関係が、下記式(1)を満たすポリエステルフィルム。
(T2)/(T1)≧1.20・・・(1) - ポリエステル樹脂(X)100質量部に対して、ポリプロピレン樹脂(Y)を1~30質量部含む、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステル樹脂(X)の重縮合触媒がTi系又はSb系である、請求項1又は2に記載のポリエステルフィルム。
- ポリエステル樹脂(X)がポリエチレンテレフタレート及びポリエチレン-2,6-ナフタレートから選ばれる少なくとも1種である、請求項1~3の何れか1項に記載のポリエステルフィルム。
- 前記ポリエステルフィルムの少なくとも一方の表面に硬化樹脂層が設けられた、請求項1~4の何れか1項に記載のポリエステルフィルム。
- フィルム厚みが0.5~12.0μmである、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
- 1kHzにおける誘電正接(tanδ)が0.55以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
- 前記請求項1~7のいずれか1項に記載のポリエステルフィルムの少なくとも片面に金属層が設けられた、金属積層フィルム。
- コンデンサー用である、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリエステルフィルム。
- コンデンサー用である、請求項8に記載の金属積層フィルム。
- 自動車に搭載するコンデンサー用である、請求項9に記載のポリエステルフィルム。
- 自動車に搭載するコンデンサー用である、請求項10に記載の金属積層フィルム。
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