(A成分)
A成分は、ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(A-1成分)またはA-1成分と下記一般式[1]で表される繰り返し単位よりなるA-1成分以外のポリカーボネート樹脂(A-2成分)との混合物である。
(A-1成分:ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂)
本発明において、ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(以下、PC-POS共重合体と略することがある)は、式[3]で表される繰り返し単位を含有するポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂であることが好ましく、式[1]で表されるポリカーボネートブロックおよび式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロックからなるポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂であることがより好ましい。
<式[1]で表されるポリカーボネートブロック>
本発明において、ポリカーボネートブロックは、下記式[1]で表される。
[式[1]において、R1及びR2は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数1~18のアルコキシ基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数6~14のアリールオキシ基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる基を表し、それぞれ複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、e及びfは夫々1~4の整数であ
り、Wは単結合もしくは下記式[2]で表される基からなる群より選ばれる少なくとも一つの基である。]
[式[2]において、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は夫々独立して水素原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数6~14のアリール基及び炭素原子数7~20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表し、R19及びR20は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数6~10のアリールオキシ基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、gは1~10の整数、hは4~7の整数である。]
ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。炭素原子数1~18のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基である。炭素原子数1~18のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキトキシ基、オクトキシ基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1~6のアルコキシ基である。炭素原子数6~20のシクロアルキル基として、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数6~12のシクロアルキル基である。炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基として、シクロヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数6~12のシクロアルキル基である。炭素原子数2~10のアルケニル基として、メテニル基、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数2~6のアルケニル基である。炭素原子数6~14のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等挙げられる。炭素原子数6~14のアリールオキシ基として、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基等が挙げられる。炭素原子数7~20のアラルキル基として、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基として、ベンジルオキシ基、フェニルエチルオキシ基等が挙げられる。
炭素原子数1~18のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基である。炭素原子数6~14のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらは置換されていてもよい。置換基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭素原子数1~6のアルキル基が挙げられる。炭素原子数7~20のアラルキル基として、ベンジル基、フェニルエチル基等が挙げられる。
gは好ましくは1~6の整数である。hは好ましくは4~5の整数である。
式[1]で表されるポリカーボネートブロックは、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンより誘導されたものが好ましい。
ポリカーボネートブロックの長さは、式[1]の繰り返し単位の平均数であり、10~100が好ましく、30~100がより好ましく、50~70がさらに好ましい。
式[1]で表されるポリカーボネートブロックの含有量は、PC-POS共重合体の全重量を基準にして、50~99.9重量%が好ましく、80~99.5重量%がより好ましく、さらに好ましくは90~99.0重量%である。
<式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロック>
本発明において、ポリジオルガノシロキサンブロックは、下記式[3]で表される。
[式[3]において、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、夫々独立に水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数6~12の置換若しくは無置換のアリール基であり、R9及びR10は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基であり、pは自然数であり、qは0又は自然数であり、p+qは30~50の自然数である。Xは炭素数2~8の二価脂肪族基である。]
炭素数1~12のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基である。炭素数6~12の置換若しくは無置換のアリール基として、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。置換基としてメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの炭素数1~12のアルキル基が挙げられる。R3、R4、R5、R6、R7およびR8がメチル基であることが好ましい。
ハロゲン原子として、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。炭素原子数1~10のアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1~6のアルキル基である。炭素原子数1~10のアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基、ヘキソキシ基、ヘプトキシ基、オクトキシ基、等が挙げられる。好ましくは炭素原子数1~6のアルコキシ基である。
二価脂肪族基として、炭素数2~8のアルキレン基が挙げられる。アルキレン基としてエチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
上記式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロックは(2-アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサンまたは(2-メトキシ-4-アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサンより誘導されたポリジオルガノシロキサンブロックであることが好ましい。即ち、上記式[3]において、Xがトリメチレン基でR9およびR10が水素原子であるか、もしくはXがトリメチレン基でR9およびR10がメトキシ基であることが好ましい。
上記式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロックの含有量は、PC-POS共重合体の全重量を基準にして、0.5~20.0重量%が好ましく、1.0~18.0重量%がより好ましく、2.0~15.0重量%がさらに好ましく、3.0~10.0重量%が特に好ましい。かかる好適な範囲の下限未満であると、本発明にて樹脂組成物の透明性を発現するために重要となるPC-POS共重合体として所望の屈折率が得られないばかりか、後述のドメイン形成が不十分となり耐衝撃性(特に、-30℃などの低温環境における)の向上効果が十分に発現しない場合があり、一方でかかる好適な範囲の上限を超えると、乳化状態悪化による重合反応不良やガラス転移温度が低すぎるため造粒が困難などの製造面での大きな課題が発生したりPC-POS共重合体として透明性はじめ耐熱性が低下したりする場合がある。
A-1成分の粘度平均分子量は、11,000~30,000が好ましく、15,000~27,000がより好ましく、18,000~25,000がさらに好ましい。かかる好適な範囲の下限未満では、多くの分野において実用上の機械的強度が得られにくい場合があり、また混合するA-1成分以外のポリカーボネート樹脂(A-2成分)などとの溶融粘度差が大きくなり溶融混練性が悪化する場合があり、一方でかかる好適な範囲の上限を超えると溶融粘度が高く、概して高い成形加工温度を必要とするため樹脂の熱劣化などの不具合や製造時の水洗工程における分離不良による生産性低下を招く場合がある。
p+qは、30~50であり、30~45がより好ましい。かかる好適な範囲の下限未満の場合は十分な耐衝撃性向上効果は得られず、一方でかかる好適な範囲の上限を超える場合は優れた透明性が発現しない。
(A-2成分:A-1成分以外のポリカーボネート樹脂)
本発明におけるA-1成分以外のポリカーボネート樹脂(A-2成分)は、下記一般式[4]で表される二価フェノールから誘導される。
(上記一般式[4]において、R1、R2、e、fおよびWは、式[1]と同じである。)
[式[2]において、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17及びR18は夫々独立して水素原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数6~14のアリール基及び炭素原子数7~20のアラルキル基からなる群から選ばれる基を表わし、R19及びR20は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~18のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルコキシ基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数6~14のアリール基、炭素原子数6~10のアリールオキシ基、炭素原子数7~20のアラルキル基、炭素原子数7~20のアラルキルオキシ基、ニトロ基、アルデヒド基、シアノ基及びカルボキシ基からなる群から選ばれる基を表し、複数ある場合はそれらは同一でも異なっていても良く、gは1~10の整数、hは4~7の整数である。]
該二価フェノールとして、例えば、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,3’-ビフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2-ビス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエ-テル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエ-テル、4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、2,2’-ジメチル-4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド、2,2’-ジフェニル-4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルジフェニルスルホキシド、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルジフェニルスルフィド、1,3-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,8-ビス(4-ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,4’-(1,3-アダマンタンジイル)ジフェノール、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン等が挙げられる。
なかでも、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、4,4’-スルホニルジフェノール、2,2’-ジメチル-4,4’-スルホニルジフェノール、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,3-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼン、1,4-ビス{2-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル}ベンゼンが好ましく、殊に2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZ)、4,4’-スルホニルジフェノール、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレンが好ましい。中でも透明性はじめ強度に優れ、良好な耐久性を有するポリカーボネート樹脂が誘導される2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンが最も好適である。また、これらは単独または二種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明におけるA成分は、ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(A-1成分)またはA-1成分と上記一般式[1]で表される繰り返し単位よりなるA-1成分以外のポリカーボネート樹脂(A-2成分)との混合物である。かかるA成分100重量部中、A-1成分の含有量は5~100重量部であることが好ましく、20~100重量部であることがより好ましく、50~100重量部であることがさらに好ましい。A-1成分がかかる好適な範囲未満では、耐衝撃性が十分に発現しない場合がある。
本発明における上記一般式[3]で表されるポリジオルガノシロキサンブロックの含有量は、A成分の全重量を基準として、0.5~20.0重量%が好ましく、0.8~15.0重量%がより好ましく、1.0~9.0重量%がさらに好ましい。かかる好適な範囲の下限未満では透明性および耐衝撃性が十分に発現しない場合があり、かかる好適な範囲の上限を超えると耐衝撃性や機械特性、耐熱性が低下する場合がある。
A成分の粘度平均分子量は、11,000~30,000が好ましく、13,000~25,000がより好ましい。かかる好適な範囲の下限未満では、多くの分野において実用上の機械的強度が得られにくい場合があり、かかる好適な範囲の上限を超えると溶融粘度が増加し高い成形加工温度を必要とするため熱劣化による変色や機械的特性の低下を招く場合がある。
(ポリジオルガノシロキサンのドメインサイズ)
本発明におけるPC-POS共重合体は、ポリカーボネートポリマーのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンドメインが分散した凝集構造を有する。
なお、本発明におけるポリジオルガノシロキサンドメインとは、ポリカーボネートのマトリックス中に分散したポリジオルガノシロキサンを主成分とするドメインをいい、他の成分を含んでもよい。上述の如く、ポリジオルガノシロキサンドメインは、マトリックスたるポリカーボネートとの相分離により構造が形成されることから、必ずしも単一の成分から構成されない。
ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(A-1成分)において、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズは、5~15nmが好ましく、7~12nmがより好ましい。かかる好適な範囲の下限未満では透明性や耐衝撃性、難燃性が十分に発揮されず、かかる好適な範囲の上限を超えると所望する透明性が発現しない場合がある。
さらに、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズが好適な範囲であっても、その規格化分散が25%を超えると良好かつ安定した透明性が発揮されない場合がある。かかるポリジオルガノシロキサンドメインサイズの規格化分散は23%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。かかる規格化分散の下限は実用上7%以上が好ましく、10%以上がより好ましい。かかる好適なドメインの平均サイズと、その規格化分散を有することにより、透明性と耐衝撃性、ならびに難燃性の両立に優れたポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂およびその成形品が提供される場合がある。
本発明におけるポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂成形品のポリ
ジオルガノシロキサンドメインの平均ドメインサイズ、規格化分散は、小角エックス線散乱法(Small Angle X-ray Scattering:SAXS)により評価される。小角エックス線散乱法とは、散乱角(2θ)が10°未満の範囲の小角領域で生じる散漫な散乱・回折を測定する方法である。この小角エックス線散乱法では、物質中に1~100nm程度の大きさの電子密度の異なる領域があると、その電子密度差によりエックス線の散漫散乱が計測される。この散乱角と散乱強度に基づいて測定対象物の粒子径を求める。ポリカーボネートポリマーのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンドメインが分散した凝集構造となるポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の場合、ポリカーボネートマトリックスとポリジオルガノシロキサンドメインの電子密度差により、エックス線の散漫散乱が生じる。散乱角(2θ)が10°未満の範囲の各散乱角(2θ)における散乱強度Iを測定して、小角エックス線散乱プロファイルを測定し、ポリジオルガノシロキサンドメインが球状ドメインであり、粒径分布のばらつきが存在すると仮定して、仮の粒径と仮の粒径分布モデルから、市販の解析ソフトウェアを用いてシミュレーションを行い、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズと粒径分布(規格化分散)を求める。小角エックス線散乱法によれば、透過型電子顕微鏡による観察では正確に測定できない、ポリカーボネートポリマーのマトリックス中に分散したポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズと粒径分布を、精度よく、簡便に、再現性良く測定することができる。
平均ドメインサイズとは個々のドメインサイズの数平均を意味する。規格化分散とは、粒径分布の広がりを平均サイズで規格化したパラメータを意味する。具体的には、ポリジオルガノシロキサンドメインサイズの分散を平均ドメインサイズで規格化した値であり、下記式(1)で表される。
上記式(1)において、δはポリジオルガノシロキサンドメインサイズの標準偏差、Davは平均ドメインサイズである。
本発明に関連して用いる用語「平均ドメインサイズ」および「規格化分散」は、射出成形により形成される厚み1.0mmの成形品を用いて、前述の小角エックス線散乱法により測定することにより得られる測定値を示す。なお、粒子間相互作用(粒子間干渉)を考慮しない孤立粒子モデルにて解析を行った。
(ポリジオルガノシロキサン)
本発明においては、特定の平均鎖長の下記一般式[5]で表されるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)で表されるポリジオルガノシロキサンを原料として用いる。
[式[5]において、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、各々独立に水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数6~12の置換若しくは無置換のアリール基であ
り、R9及びR10は夫々独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基であり、pは自然数であり、qは0又は自然数であり、p+qは30~50の自然数である。Xは炭素数2~8の二価脂肪族基である。)
平均鎖長p+qは、30~50であり、30~45が好ましい。かかる好適な範囲の下限未満では十分な耐衝撃性向上効果は得られず、かかる好適な範囲の上限を超える場合は優れた透明性が発現しない場合がある。
一般式[5]で表されるヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)としては、例えば次に示すような化合物が好適に用いられる。
ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)は、オレフィン性の不飽和炭素-炭素結合を有するフェノール類であり、好適にはビニルフェノール、2-アリルフェノール、イソプロペニルフェノール、2-メトキシ-4-アリルフェノールを所定の重合度を有するポリシロキサン鎖の末端に、ハイドロシリレーション反応させることにより容易に製造される。なかでも、(2-アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサン、(2-メトキシ-4-アリルフェノール)末端ポリジオルガノシロキサンが好ましく、殊に(2-アリルフェノール)末端ポリジメチルシロキサン、(2-メトキシ-4-アリルフェノール)末端ポリジメチルシロキサンが好ましい。
本発明において、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)は1種のみを用いてもよく、また、2種以上を用いてもよい。
また、本発明の製造方法の妨げにならない範囲で、上記二価フェノール(I)、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)以外の他のコモノマーを共重合体の全重量に対して10重量%以下の範囲で併用することもできる。
<ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の製造方法>
本発明におけるPC-POS共重合体においては、あらかじめ水に不溶性の有機溶媒と
アルカリ水溶液との混合液中における二価フェノール(I)と炭酸エステル形成性化合物の反応により末端クロロホルメート基を有するオリゴマーを含む混合溶液を調製する。
二価フェノール(I)のオリゴマーを生成するにあたり、本発明の方法に用いられる二価フェノール(I)の全量を一度にオリゴマーにしてもよく、又は、その一部を後添加モノマーとして後段の界面重縮合反応に反応原料として添加してもよい。後添加モノマーとは、後段の重縮合反応を速やかに進行させるために加えるものであり、必要のない場合には敢えて加える必要はない。
このオリゴマー生成反応の方式は特に限定はされないが、通常、酸結合剤の存在下、溶媒中で行う方式が好適である。
炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。また、ホスゲン等のガス状の炭酸エステル形成性化合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方法が好適に採用できる。
前記酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、ピリジン等の有機塩基あるいはこれらの混合物などが用いられる。酸結合剤の使用割合も、上記同様に、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜定めればよい。具体的には、オリゴマーの形成に使用する二価フェノール(I)のモル数(通常1モルは2当量に相当)に対して2当量若しくはこれより若干過剰量の酸結合剤を用いることが好ましい。
前記溶媒としては、公知のポリカーボネートの製造に使用されるものなど各種の反応に不活性な溶媒を1種単独であるいは混合溶媒として使用すればよい。代表的な例としては、例えば、キシレン等の炭化水素溶媒、塩化メチレン、クロロベンゼンをはじめとするハロゲン化炭化水素溶媒などが挙げられる。特に塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒が好適に用いられる。
オリゴマー生成の反応圧力は特に制限はなく、常圧、加圧、減圧のいずれでもよいが、通常常圧下で反応を行うことが有利である。反応温度は-20~50℃の範囲から選ばれ、多くの場合、重合に伴い発熱するので、水冷又は氷冷することが望ましい。反応時間は他の条件に左右され一概に規定できないが、通常、0.2~10時間で行われる。
オリゴマー生成反応のpH範囲は、公知の界面反応条件と同様であり、pHは常に10以上に調製される。
本発明はこのようにして、末端クロロホルメート基を有する二価フェノール(I)のオリゴマーを含む混合溶液を得た後、該混合溶液を攪拌しながら前記ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)を二価フェノール(I)に加え、該ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)と該オリゴマーを界面重縮合させることによりポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を得る。
界面重縮合反応を行うにあたり、酸結合剤を反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜追加してもよい。酸結合剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、ピリジン等の有機塩基あるいはこれらの混合物などが用いられる。具体的には、使用するヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)、又は上記の如く二価フェノール(I)の一部を後添加モノマーとしてこの反応段階に添加する場合には、後添加分の二価フェノール(I)とヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)との合計モル数(通常1モルは2当量に相当)に対して2当量若しくはこれより過剰量のアルカリを用いることが好ましい。
二価フェノール(I)のオリゴマーとヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)との界面重縮合反応による重縮合は、上記混合液を激しく攪拌することにより行われる。
かかる重合反応においては、末端停止剤或いは分子量調節剤が通常使用される。末端停止剤としては一価のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられ、通常のフェノール、p-tert-ブチルフェノール、p-クミルフェノール、トリブロモフェノールなどの他に、長鎖アルキルフェノール、脂肪族カルボン酸クロライド、脂肪族カルボン酸、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル、ヒドロキシフェニルアルキル酸エステル、アルキルエーテルフェノールなどが例示される。かかる使用量は、用いる全ての二価フェノール系化合物100モルに対して、100~0.5モルが好ましく、50~2モルがより好ましい。上記末端停止剤は二種以上の化合物を併用することも当然に可能である。
重縮合反応を促進するために、トリエチルアミンのような第三級アミン又は第四級アンモニウム塩などの触媒を添加してもよい。
かかる重合反応の反応時間は、未反応ポリジオルガノシロキサン成分を低減するためには比較的長くする必要があり、30分以上が好ましく、50分以上がより好ましい。一方、長時間の反応溶液の撹拌によってポリマーの析出が発生し得るため、かかる重合反応の反応時間は180分以下が好ましく、90分以下がより好ましい。
所望に応じ、亜硫酸ナトリウム、ハイドロサルファイドなどの酸化防止剤を少量添加してもよい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、分岐化剤を上記の二価フェノール系化合物と併用して分岐化ポリカーボネートとすることができる。かかる分岐ポリカーボネート樹脂に使用される三官能以上の多官能性芳香族化合物としては、フロログルシン、フロログルシド、または4,6-ジメチル-2,4,6-トリス(4-ヒドロキジフェニル)ヘプテン-2、2,4,6-トリメチル-2,4,6-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェノール、4-{4-[1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン}-α,α-ジメチルベンジルフェノール等のトリスフェノール、テトラ(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4-ジヒドロキシフェニル)ケトン、1,4-ビス(4,4-ジヒドロキシトリフェニルメチル)ベンゼン、またはトリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸およびこれらの酸クロライド等が挙げられ、中でも1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,1,1-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタンが好ましい。
反応圧力は、減圧、常圧、加圧のいずれでも可能であるが、通常は、常圧若しくは反応系の自圧程度で好適に行い得る。反応温度は-20~50℃の範囲から選ばれ、多くの場合、重合に伴い発熱するので、水冷又は氷冷することが望ましい。反応時間は反応温度等の他の条件によって異なるので一概に規定はできないが、通常、0.5~10時間で行われる。
場合により、得られたポリカーボネート共重合樹脂に適宜物理的処理(混合、分画など)及び/又は化学的処理(ポリマー反応、架橋処理、部分分解処理など)を施して所望の還元粘度[ηSP/c]のポリカーボネート共重合樹脂として取得することもできる。
得られた反応生成物(粗生成物)は公知の分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂として回収することができる。
(B成分:銀イオンが溶出されるようにガラスに担持された銀系ガラス抗菌剤)
本発明の樹脂組成物はB成分として、銀イオンが溶出されるようにガラスに担持された銀系ガラス抗菌剤を含有する。特に、その組成として銀酸化物、リン酸化物、亜鉛酸化物を含み、組成物として透明性に優れ、形状が多面体であるものが好ましい。透明性に優れることは透明な樹脂中に混合分散させた際の樹脂組成物の透明性保持に肝要であり、また形状が多面体の場合、樹脂中に均一分散しやすく、さらに成形加工時に一定の方向に配向しやすくなるため光の散乱が抑えられることから樹脂組成物の良好な透明性発現に好適である。
かかる銀系ガラス抗菌剤は、Ag2Oが0.2~5重量%、P2O5が50~55重量%、ZnOが40~50重量%およびB2O3が0.1~15重量%の範囲で含まれることが好ましく、これら全体量に対してCaOが0.1~15重量%かつZnOに対するCaOの重量比率(ZnO/CaO)が1.1~15の範囲内となるように含まれることがさらに好ましい。これらの成分の含有量が上記記載の範囲である場合、本発明の透明抗菌性樹脂組成物を構成する成分として好適な、透明性や機械的特性に優れた安定して銀イオンが溶出される銀系ガラス抗菌剤が得られる。
その他、樹脂組成物の透明性への銀系ガラス抗菌剤が含まれることによる影響因子として、平均粒子サイズ(D50)や屈折率(樹脂マトリクスとの屈折率差)が挙げられる。かかる銀系ガラス抗菌剤のレーザー回折・散乱法により測定される平均粒子サイズ(D50)は、1~30μmが好ましく、3~20μmがより好ましく、7~15μmがさらに好ましい。平均粒子サイズ(D50)が1μm未満であると、成形品表面における表出効率が低下し抗菌性が発現しにくくなり含有量の増加が必要となったり、光散乱が生じやすくなり透明性の低下に繋がったりする場合がある。一方で、平均粒子サイズ(D50)が30μmを超えると成形品の表面荒れが発生し外観が悪化したり、耐衝撃性が低下したりする場合がある。また、かかる銀系ガラス抗菌剤は樹脂マトリクスとの屈折率の差が小さいほど樹脂組成物としての透明性は向上するため、その屈折率の差は0が最も好ましいが、アッベ数や異方性などに代表される物質固有の屈折率の特徴もあり、実質的に達成は困難である。したがって、かかる屈折率差は、0.1以下が好ましく、0.05以下がより好ましく、0.03以下がさらに好ましい。本発明における銀系ガラス抗菌剤の例としては、シナネンゼオミック(株)製ゼオミックKM10D(製品名)などが挙げられ、市販品として容易に入手可能である。
B成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.3~5重量部であり、好ましくは0.3~3重量部、より好ましくは0.3~1重量部である。B成分の含有量が0.3重量部未満の場合は、抗菌性が発現せず、5重量部を超えると透明性を損ない、耐衝撃性の低下が顕著になる。
(C成分:リン系安定剤)
本発明の樹脂組成物はC成分として、加水分解性を促進させない程度において、リン系安定剤が含有することができる。かかるリン系安定剤は製造時または成形加工時の熱安定性を向上させ、機械的特性、色相、および成形安定性を向上させる。リン系安定剤として
は、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。
具体的にはホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(ジエチルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-iso-プロピルフェニル)ホスファイト、トリス(ジ-n-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジシクロヘキシルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
さらに他のホスファイト化合物としては二価フェノール類と反応し環状構造を有するものも使用できる。例えば、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイト、2,2’-エチリデンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェニル)(2-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ホスファイトなどを挙げることができる。
ホスフェート化合物としては、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどを挙げることができる。好ましくはトリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートである。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-n-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-フェニル-フェニルホスホナイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェニル)-3-フェニル-フェニルホスホナイト等が挙げられる。なかでもテトラキス(ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェ
ニルホスホナイトが好ましく、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-フェニル-フェニルホスホナイトがより好ましい。かかるホスホナイト化合物は上記アルキル基が2以上置換したアリール基を有するホスファイト化合物との併用可能であり好ましい。
ホスホネイト化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、およびベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。
第3級ホスフィンとしては、トリエチルホスフィン、トリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリアミルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ジブチルフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン、ジフェニルオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリ-p-トリルホスフィン、トリナフチルホスフィン、およびジフェニルベンジルホスフィンなどが例示される。特に好ましい第3級ホスフィンは、トリフェニルホスフィンである。
上記リン系安定剤は、1種のみならず2種以上の混合物を用いても良い。上記リン系安定剤の中でも、ホスファイト化合物およびホスホナイト化合物との併用が好ましい。
C成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.001~0.5重量部が好ましく、0.005~0.3重量部がより好ましく、0.01~0.1重量部がさらに好ましい。
(D成分:離型剤)
本発明の樹脂組成物はD成分として、成形加工時の金型離型性向上や成形品の歪み低減などのために、本発明の目的を損なわない範囲で離型剤を含有することができる。
かかる離型剤としては、公知のものが使用できる。例えば、飽和脂肪酸エステル、不飽和脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス(ポリエチレンワックス、1-アルケン重合体など。酸変性などの官能基含有化合物で変性されているものも使用できる)、シリコーン化合物(シリコーンオイルやオルガノシロキサンなど)、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などを挙げることができる。中でも好ましい離型剤として脂肪酸エステルが挙げられる。
かかる脂肪酸エステルは、脂肪族アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルである。かかる脂肪族アルコールは、1価アルコールであっても2価以上の多価アルコールであってもよく、炭素数としては3~32の範囲が好ましく、5~30の範囲がより好ましい。かかる一価アルコールとしては、例えばドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、テトラコサノール、セリルアルコール、およびトリアコンタノールなどが例示される。かかる多価アルコールとしては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリグリセロール(トリグリセロール~ヘキサグリセロール)、ジトリメチロールプロパン、キシリトール、ソルビトール、およびマンニトールなどが例示される。本発明の脂肪酸エステルにおいては多価アルコールがより好ましい。
一方、脂肪族カルボン酸は炭素数3~32であることが好ましく、特に炭素数10~22の脂肪族カルボン酸が好ましい。該脂肪族カルボン酸としては、例えばデカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸、ベヘン酸、イコサン酸、およびドコサン酸などの飽和脂肪族カルボン酸、並びにパルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エイコセン酸、エイコサペンタエン酸、およびセトレイン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸を挙げることができる。上記の中でも脂肪族カルボン酸は、炭素原子数14~20であるものが好ましい。なかでも飽和脂肪族カルボン酸がより好ましい。特にステアリン酸およびパルミチン酸がさらに好ましい。
ステアリン酸やパルミチン酸など上記の脂肪族カルボン酸は通常、牛脂や豚脂などに代表される動物性油脂およびパーム油やサンフラワー油に代表される植物性油脂などの天然油脂類から製造されるため、これらの脂肪族カルボン酸は、通常炭素原子数の異なる他のカルボン酸成分を含む混合物である。したがって、本発明の脂肪酸エステルの製造においてもかかる天然油脂類から製造され、他のカルボン酸成分を含む混合物の形態からなる脂肪族カルボン酸、殊にステアリン酸やパルミチン酸が好ましく使用される。
上記脂肪酸エステルは、部分エステルおよび全エステル(フルエステル)のいずれであってもよい。しかしながら部分エステルでは通常水酸基価が高くなり高温時の樹脂の分解などを誘発しやすいことから、より好適にはフルエステルである。かかる脂肪酸エステルにおける酸価は、熱安定性の観点から20以下が好ましく、4~20がより好ましく、4~12がさらに好ましい。なお、酸価は実質的に0を取り得る。加えて、かかる脂肪酸エステルの水酸基価は、0.1~30が好ましく、かかる脂肪酸エステルのヨウ素価は10以下が好ましい。なお、ヨウ素価は実質的に0を取り得る。これらの特性はJIS K 0070に規定された方法により求めることができる。
上記離型剤は、1種のみならず2種以上の混合物を用いても良い。
D成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.01~2重量部が好ましく、0.05~1.5重量部がより好ましく、0.1~1重量部がさらに好ましい。
(E成分:紫外線吸収剤)
本発明の樹脂組成物はE成分として、耐光性を付与することを目的に紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系紫外線吸収剤、環状イミノエステル系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、等が挙げられる。それらの中でもベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤並びにトリアジン系紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジクミルフェニル)フェニルベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3-tert-ブチル-5-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-アミルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2-(2-ヒドロキシ-4-オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾ-ル、2,2’-メチレンビス(4-クミル-6-ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’-p-フェニレンビス(1,3-ベンゾオキサジン-4-オン)、および2-[2-ヒドロキシ-3-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミドメチル)-5-メチルフェニル]ベンゾトリアゾ-ルなどが例示される。また2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリロキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体や、2-(2’―ヒドロキシ-5-アクリロキシエチルフェニル)―2H―ベンゾトリアゾールと該モノマーと共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体などの2-ヒドロキシフェニル-2H-ベンゾトリアゾール骨格を有する重合体などが例示される。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-メチルオキシフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-エチルオキシフェノール、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-プロピルオキシフェノール、および2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ブチルオキシフェノールなどのヒドロキシフェニルトリアジン系化合物が好適な例として挙げられる。さらに、2-(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5-ヘキシルオキシフェノールなど、上記例示したヒドロキシフェニルトリアジン系化合物のフェニル基が2,4-ジメチルフェニル基となった化合物も例示される。
上記紫外線吸収剤は単独を用いても良く、2種以上の混合物で用いてもよい。
E成分の含有量は、耐光性を必要としない場合および/または樹脂組成物の機械的特性(特に耐衝撃性など)の低下抑制を考慮する場合、実質的に0重量部が望ましい。しかしながら多くの用途では耐光性が求められるため、耐光性を付与する場合、E成分の含有量は、A成分100重量部に対し、1重量部以下が好ましく、0.5重量部以下がより好ましく、0.3重量部以下がさらに好ましい。E成分の含有量が1重量部を超える場合、上記の如く樹脂組成物の機械的特性低下が顕著となるだけでなく紫外線吸収剤による光吸収により着色し、透明性が損なわれる場合がある。
(その他の添加剤)
本発明の樹脂組成物は、用途や必要に応じて公知の各種添加剤を加えても良い。かかる各種添加剤としては、難燃剤、含フッ素滴下防止剤、可塑剤、衝撃改質剤、帯電防止剤、光拡散剤、充填剤(酸化チタンやタルク、マイカ、ガラス繊維、炭素繊維など)、蛍光増白剤、染顔料などが挙げられる。
とりわけ、ポリカーボネート樹脂は自己消火性を有し難燃性に優れる樹脂としても知られており、その特徴から難燃性の向上を求められる場合が多いため、かかる難燃性の向上に関連する添加剤として、(i)難燃剤、(ii)含フッ素滴下防止剤について以下説明する。
(i)難燃剤
難燃剤としては従来、熱可塑性樹脂、特に芳香族ポリカーボネート樹脂の難燃剤として知られる各種の化合物が適用できるが、より好適には、(i)有機金属塩系難燃剤(例えば有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、ホウ酸金属塩系難燃剤、および錫酸金属塩系難燃剤など、(ii)有機リン系難燃剤(例えば、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、およびホスホン酸アミド化合物など)、(iii)シリコーン化合物からなるシリコーン系難燃剤である。なお、難燃剤として使用される化合物の配合は難燃性の向上のみならず、各化合物の性質に基づき、例えば帯電防止性、流動性、剛性、および熱安定性の向上などがもたらされる。
(有機金属塩系難燃剤)
有機金属塩系難燃剤は、耐熱性がほぼ維持される点で有利である。本発明において最も
有利に使用される有機金属塩系難燃剤は、スルホン酸アルカリ(土類)金属塩である。その中でもフッ素置換有機スルホン酸のアルカリ(土類)金属塩が好ましく、パーフルオロアルキル基を有するスルホン酸のアルカリ(土類)金属塩がより好ましい。ここでパーフルオロアルキル基の炭素数は、1~18が好ましく、1~10がより好ましく、1~8がさらに好ましい。
フッ素置換有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の金属イオンを構成する金属は、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属であり、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムおよびセシウムが挙げられ、アルカリ土類金属としては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムおよびバリウムが挙げられる。より好適にはアルカリ金属である。したがって好適な有機金属塩系難燃剤は、パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩である。かかるアルカリ金属の中でも、透明性の要求がより高い場合にはルビジウムおよびセシウムが好適である一方、これらは汎用的でなくまた精製もし難いことから、結果的にコストの点で不利となる場合がある。一方、コストや難燃性の点で有利であるがリチウムおよびナトリウムは逆に透明性の点で不利な場合がある。これらを勘案してパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩中のアルカリ金属を使い分けることができるが、いずれの点においても特性のバランスに優れたパーフルオロアルキルスルホン酸カリウム塩が最も好適である。かかるカリウム塩と他のアルカリ金属からなるパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩とを併用することもできる。
かかるパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩としては、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸カリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、ペンタフルオロエタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロオクタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、パーフルオロヘプタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸セシウム、パーフルオロオクタンスルホン酸セシウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸セシウム、パーフルオロブタンスルホン酸ルビジウム、およびパーフルオロヘキサンスルホン酸ルビジウム等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。これらの中で特にパーフルオロブタンスルホン酸カリウムが好ましい。
上記の有機金属塩系難燃剤はイオンクロマトグラフィー法により測定した弗化物イオンの含有量が好ましくは50ppm以下、より好ましくは20ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。弗化物イオンの含有量が低いほど、難燃性や耐光性が良好となる。弗化物イオンの含有量の下限は実質的に0とすることも可能であるが、精製工数と効果との兼ね合いから実用的には0.2ppm程度が好ましい。かかる弗化物イオンの含有量のパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩は例えば次のように精製される。パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩を、該金属塩の2~10重量倍のイオン交換水に、40~90℃(より好適には60~85℃)の範囲において溶解させる。該パーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩は、パーフルオロアルキルスルホン酸をアルカリ金属の炭酸塩または水酸化物で中和する方法、もしくはパーフルオロアルキルスルホニルフルオライドをアルカリ金属の炭酸塩または水酸化物で中和する方法により(より好適には後者の方法により)生成される。また該イオン交換水は、特に好適には電気抵抗値が18MΩ・cm以上である水である。金属塩を溶解した液を上記温度下で0.1~3時間、より好適には0.5~2.5時間撹拌する。その後該液を0~40℃、より好適に10~35℃の範囲に冷却する。冷却により結晶が析出する。析出した結晶をろ過によって取り出す。これにより好適な精製されたパーフルオロアルキルスルホン酸アルカリ金属塩が製造される。
難燃剤としてフッ素置換有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩を含有させる場合、かかる含有量は、A成分100重量部に対し、0.01~1.0重量部が好ましく、0.05~0.8重量部がより好ましく、0.08~0.6重量部がさらに好ましい。かかる好適な範囲内であれば、フッ素置換有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の含有により期待される効果(例えば難燃性や帯電防止性など)が発揮される場合がある。
フッ素置換有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩以外の有機金属塩系難燃剤としては、フッ素原子を含有しない有機スルホン酸の金属塩が好適である。該金属塩としては、例えば脂肪族スルホン酸のアルカリ金属塩、脂肪族スルホン酸のアルカリ土類金属塩、芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩、および芳香族スルホン酸のアルカリ土類金属塩等(いずれもフッ素原子を含有しない)が挙げられる。
脂肪族スルホン酸金属塩の好ましい例としては、アルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩を挙げることができ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる(ここで、アルカリ(土類)金属塩の表記は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のいずれも含む意味で使用する)。かかるアルキルスルホン酸アルカリ(土類)金属塩に使用するアルカンスルホン酸の好ましい例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、メチルブタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、へプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸等が挙げられ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩に使用する芳香族スルホン酸としては、モノマー状またはポリマー状の芳香族サルファイドのスルホン酸、芳香族カルボン酸およびエステルのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族エーテルのスルホン酸、芳香族スルホネートのスルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホン酸、モノマー状またはポリマー状の芳香族スルホンスルホン酸、芳香族ケトンのスルホン酸、複素環式スルホン酸、芳香族スルホキサイドのスルホン酸、芳香族スルホン酸のメチレン型結合による縮合体からなる群から選ばれた少なくとも1種の酸を挙げることができ、これらは1種もしくは2種以上を併用して使用することができる。
芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩の具体例としては、例えばジフェニルサルファイド-4,4’-ジスルホン酸ジナトリウム、ジフェニルサルファイド-4,4’-ジスルホン酸ジカリウム、5-スルホイソフタル酸カリウム、5-スルホイソフタル酸ナトリウム、ポリエチレンテレフタル酸ポリスルホン酸ポリナトリウム、1-メトキシナフタレン-4-スルホン酸カルシウム、4-ドデシルフェニルエーテルジスルホン酸ジナトリウム、ポリ(2,6-ジメチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,3-フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(1,4-フェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリナトリウム、ポリ(2,6-ジフェニルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸ポリカリウム、ポリ(2-フルオロ-6-ブチルフェニレンオキシド)ポリスルホン酸リチウム、ベンゼンスルホネートのスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン酸ストロンチウム、ベンゼンスルホン酸マグネシウム、p-ベンゼンジスルホン酸ジカリウム、ナフタレン-2,6-ジスルホン酸ジカリウム、ビフェニル-3,3’-ジスルホン酸カルシウム、ジフェニルスルホン-3-スルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホン-3-スルホン酸カリウム、ジフェニルスルホン-3,3’-ジスルホン酸ジカリウム、ジフェニルスルホン-3,4’-ジスルホン酸ジカリウムな、α,α,α-トリフルオロアセトフェノン-4-スルホン酸ナトリウム、ベンゾフェノン-3,3’-ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン-2,5-ジスルホン酸ジナトリウム、チオフェン-2,5-ジスルホン酸ジカリウム、チオフェン-2,5-ジスルホン酸カルシウム、ベンゾチオフェンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルスルホキサイド-4-スルホン酸カリウム、ナフタレンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物、およびアントラセンスルホン酸ナトリウムのホルマリン縮合物などを挙げることができる。
フッ素原子を含有しない有機スルホン酸の金属塩の中でも、芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩が好ましく、特にカリウム塩が好適である。難燃剤としてかかる芳香族スルホン酸アルカリ(土類)金属塩を含有させる場合、かかる含有量は、A成分100重量部に対し、0.01~1重量部が好ましく、0.05~0.8重量部がより好ましく、0.08~0.6重量部がさらに好ましい。
(有機リン系難燃剤)
本発明における有機リン系難燃剤としては、ホスフェート化合物、特にアリールホスフェート化合物が好ましい。かかるホスフェート化合物は難燃性の向上に効果的であり、かつホスフェート化合物は可塑化効果があるため、耐熱性の低下はあるものの、本発明の樹脂組成物の成形加工性を高められる点でも有利である。かかるホスフェート化合物は、従来難燃剤として公知の各種ホスフェート化合物が使用できるが、より好適には特に下記一般式[6]で表される1種または2種以上のホスフェート化合物を挙げることができる。
[式[6]においてYは、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビス(4-ヒドロキシジフェニル)メタン、ビスフェノールA、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルシクロヘキサン、ジヒドロキシジフェニル、ジヒドロキシナフタレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、およびビス(4-ヒドロキシフェニル)サルファイドからなる群より選ばれるジヒドロキシ化合物より誘導される二価フェノール残基であり、g、h、i及びjはそれぞれ独立して0または1であり、nは0~5の整数、またはn数の異なるリン酸エステルの混合物の場合はそれらの平均値であり、R21、R22、R23、およびR24はそれぞれ独立したフェノール、クレゾール、キシレノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、およびp-クミルフェノールからなる群より選ばれるアリール基より誘導される一価フェノール残基である。]
上記式[6]のホスフェート化合物は、異なるn数を有する化合物の混合物であってもよく、かかる混合物の場合、平均のn数は0.5~1.5が好ましく、0.8~1.2がより好ましく、0.95~1.15がさらに好ましく、1~1.14が特に好ましい。
上記式[6]のYを誘導する二価フェノールの好適な具体例としては、レゾルシノール、ビスフェノールA、およびジヒドロキシジフェニルで、中でも好ましくはレゾルシノール、ビスフェノールAである。
上記式[6]のR21、R22、R23、およびR24を誘導する一価フェノールの好適な具体例としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、2,6-ジメチルフェノールで、中でも好ましくはフェノール、および2,6-ジメチルフェノールである。
上記式[6]のホスフェート化合物の具体例としては、トリフェニルホスフェートおよびトリ(2,6-キシリル)ホスフェートなどのモノホスフェート化合物、並びにレゾルシノールビスジ(2,6-キシリル)ホスフェート)を主体とするホスフェートオリゴマー、4,4-ジヒドロキシジフェニルビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするホスフェートオリゴマー、およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするリン酸エステルオリゴマーが好適で、中でもレゾルシノールビスジ(2,6-キシリル)ホスフェート)を主体とするホスフェートオリゴマー、4,4-ジヒドロキシジフェニルビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするホスフェートオリゴマー、およびビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を主体とするリン酸エステルオリゴマーが好ましい。
他の有機リン系難燃剤としてはホスファゼンがあげられる。ホスファゼンは分子中にリン原子と窒素原子とを含有することにより、樹脂組成物に難燃性を付与することができる。ホスファゼンは、ハロゲン原子を含まず、分子中にホスファゼン構造を持つ化合物であれば特に限定されない。ここでいうホスファゼン構造とは、式:-P(R)=N-[式中、Rは有機基]で表される構造を表す。ホスファゼン化合物は一般式[7]、[8]で表される。
(上記一般式[7]および[8]において、R25、R26、R27およびR28は、水素、水酸基、アミノ基、またはハロゲン原子を含まない有機基を表す。また、nは3~10の整数を表す。)
上記式[7]、[8]中、R25、R26、R27、およびR28で表されるハロゲン原子を含まない有機基としては、例えば、アルコキシ基、フェニル基、アミノ基、アリル基等が挙げられる。
その中でも、下記一般式[9]で表される環状フェノキシホスファゼンが好ましい。
[上記一般式[9]において、nは3~10の整数を表す。]
難燃剤として有機リン系難燃剤を含有させる場合、かかる含有量は、A成分100重量部に対し、1~20重量部が好ましく、2~15重量部がより好ましく、3~10重量部がさらに好ましい。かかる好適な範囲内であれば、透明性を損なわずに有機リン系難燃剤の含有により期待される効果(例えば難燃性など)が発揮される場合がある。
(シリコーン化合物)
本発明におけるシリコーン化合物は本発明の目的である透明性を得ることができれば特に限定されないが、芳香族基を有するシリコーン化合物が好ましく、さらに25℃における粘度が300cSt以下であることが好ましい。粘度が高くなると成形品の透明性が低下する場合がある。さらにシリコーン化合物が効率的に難燃効果を発揮するためには、燃焼過程における分散状態が重要である。かかる分散状態を決定する重要な因子として粘度が挙げられる。これは、燃焼過程においてシリコーン化合物があまりにも揮発しやすい場合、すなわち、粘度が低すぎるシリコーン化合物の場合には、燃焼時に系内に残っているシリコーンが希薄であるため、燃焼時に均一なシリコーンのストラクチャーを形成することが困難となるためと考えられるかかる観点より、かかる25℃における粘度は10~300cStがより好ましく、15~200cStがさらに好ましく、20~170cStが特に好ましい。
シリコーン化合物が有する芳香族基はシリコーン原子に結合しているものであり、ポリカーボネート樹脂との相溶性向上や透明性維持に寄与しており、燃焼時の炭化皮膜形成にも有利であることから難燃効果の発現にも寄与している。芳香族基を有しない場合は成形品の透明性が得られにくく、高度な難燃性を得ることも困難となる傾向がある。
本発明のシリコーン化合物は好ましくはSi-H基を含有するシリコーン化合物であることが好ましい。特に、分子中にSi-H基および芳香族基を含有するシリコーン化合物であって、
(1)Si-H基が含まれる量(Si-H量)が0.1~1.2mol/100g、(2)下記一般式[10]で示される芳香族基が含まれる割合(芳香族基量)が10~70重量%、かつ、(3)平均重合度が3~150であるシリコーン化合物の中から選択される少なくとも一種以上のシリコーン化合物であることがより好ましい。
(式[10]中、Xはそれぞれ独立にOH基、ヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。m1は0~5の整数を表わす。さらに式[10]中においてm1が2以上の場合はそれぞれ互いに異なる種類のXを取ることができる。)
さらに好ましくは、Si-H基含有単位として、下記一般式[11]および[12]で示される構成単位のうち、少なくとも一種以上の式で示される構成単位を含むシリコーン化合物の中から選択される少なくとも一種以上のシリコーン化合物である。
(式[11]および式[12]中、Z1~Z3はそれぞれ独立に水素原子、ヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1~20の炭化水素基、または下記一般式[13]で示される化合物を示す。α1~α3はそれぞれ独立に0または1を表わす。m2は0もしくは1以上の整数を表わす。さらに式[11]中においてm2が2以上の場合の繰返し単位はそれぞれ互いに異なる複数の繰返し単位を取ることができる。)
(式[13]中、Z4~Z8はそれぞれ独立に水素原子、ヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1~20の炭化水素基を示す。α4~α8はそれぞれ独立に0または1を表わす。m3は0もしくは1以上の整数を表わす。さらに式[14]中においてm3が2以上の場合の繰返し単位はそれぞれ互いに異なる複数の繰返し単位を取ることができる。)
より好ましくは、Mを1官能性シロキサン単位、Dを2官能性シロキサン単位、Tを3官能性シロキサン単位とするとき、MD単位またはMDT単位からなるシリコーン化合物である。
上記式[11]、[12]および[13]で示される構成単位のZ1~Z8、および上記式[10]のXにおけるヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1~20の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基およびアラルキル基を挙げることができ、さ
らにこれらの基はエポキシ基、カルボキシル基、無水カルボン酸基、アミノ基、およびメルカプト基などの各種官能基を含むものであってもよい。さらに好ましくは炭素数1~8のアルキル基、アルケニル基またはアリール基であり、特にはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~4のアルキル基、ビニル基、またはフェニル基が好ましい。
上記式[11]および[12]で示される構成単位のうち、少なくとも一種以上の式で示される構成単位を含むシリコーン化合物において、複数のシロキサン結合の繰返し単位を有する場合は、それらはランダム共重合、ブロック共重合、テーパード共重合のいずれの形態を取ることも可能である。
本発明においては、Si-H基を含有するシリコーン化合物については、シリコーン化合物中のSi-H量を0.1~1.2mol/100gの範囲とすることが好ましい。Si-H量が0.1~1.2mol/100gの範囲にあることで、燃焼時にシリコーンのストラクチャーの形成が容易となる。またかかるSi-H量は0.1~1.0mol/100gがより好ましく、0.2~0.6mol/100gがさらに好ましい。かかる好適な範囲未満の場合はシリコーンのストラクチャー形成が困難となり、かかる好適な範囲を超える場合は組成物の熱安定性が低下する。なお、ここでシリコーンのストラクチャーとは、シリコーン化合物相互の反応、または樹脂とシリコーンとの反応により生成する網状構造をさす。
また、ここで言うSi-H基量とは、シリコーン化合物100gあたりに含まれるSi-H構造のモル数を言うが、これはアルカリ分解法により、シリコーン化合物の単位重量当たり発生した水素ガスの体積を測定することにより求めることができる。例えば、25℃においてシリコーン化合物1g当たり122mlの水素ガスが発生した場合、下記計算式により、Si-H量は0.5mol/100gとなる。
122×273/(273+25)÷22400×100≒0.5
本発明のシリコーン化合物としては、かかるシリコーン化合物中の芳香族基量は10~70重量%が好ましく、15~60重量%がより好ましく、25~55重量%がさらに好ましい。かかる好適な範囲未満ではシリコーン化合物が偏在して分散不良となり、外観不良となる場合がある。一方でかかる好適な範囲を超えるとシリコーン化合物自体の分子の剛直性が高くなるためやはり偏在して分散不良となり、外観不良となる場合がある。
なお、ここで芳香族基量とは、シリコーン化合物において、前述した式[10]で示される芳香族基が含まれる割合のことを言い、下記計算式によって求めることができる。
芳香族基量=〔A/M〕×100(重量%)
ここで、上記式におけるA、Mはそれぞれ以下の数値を表す。
A=シリコーン化合物1分子中に含まれる、全ての一般式[10]で示される芳香族基部分の合計分子量
M=シリコーン化合物の分子量
さらに本発明に使用されるシリコーン化合物においては、25℃における屈折率は1.40~1.60が好ましく、1.42~1.59がより好ましく、1.44~1.59がさらに好ましい。かかる好適な範囲内の場合、芳香族ポリカーボネート中にシリコーン化合物が微分散することで、より白濁の少ない染色性の良好な樹脂組成物が提供される。
さらに本発明に使用されるシリコーン化合物は、105℃/3時間における加熱減量法による揮発量が18%以下であることが好適である。さらに好ましくは揮発量が10%以下であるシリコーン化合物である。揮発量が18%より大きいと本発明の樹脂組成物を押出してペレット化を行う際に、樹脂からの揮発物の量が多くなる問題が生じ、さらに、成
形品中に生じる気泡が多くなりやすいという問題がある。
使用されるシリコーン化合物としては、上記の条件を満たすものであれば直鎖状であっても分岐構造を持つものであっても良く、Si-H基を分子構造中の側鎖、末端、分岐点の何れか、または複数の部位に有する各種の化合物を用いることが可能である。
一般的に分子中にSi-H基を含有するシリコーン化合物の構造は、以下に示す4種類のシロキサン単位を任意に組み合わせることによって構成される。
M単位:(CH3)3SiO1/2、H(CH3)2SiO1/2、H2(CH3)SiO1/2、(CH3)2(CH2=CH)SiO1/2、(CH3)2(C6H5)SiO1/2、(CH3)(C6H5)(CH2=CH)SiO1/2等の1官能性シロキサン単位
D単位:(CH3)2SiO、H(CH3)SiO、H2SiO、H(C6H5)SiO、(CH3)(CH2=CH)SiO、(C6H5)2SiO等の2官能性シロキサン単位
T単位:(CH3)SiO3/2、(C3H7)SiO3/2、HSiO3/2、(CH2=CH)SiO3/2、(C6H5)SiO3/2等の3官能性シロキサン単位
Q単位:SiO2で示される4官能性シロキサン単位
本発明において使用されるSi-H基を含有するシリコーン化合物の構造は、具体的には、示性式としてDn、Tp、MmDn、MmTp、MmQq、MmDnTp、MmDnQq、MmTpQq、MmDnTpQq、DnTp、DnQq、DnTpQqが挙げられる。この中で好ましいシリコーン化合物の構造は、MmDn、MmTp、MmDnTp、MmDnQqであり、さらに好ましい構造は、MmDnまたはMmDnTpである。
(上記示性式中の係数m、n、p、qは各シロキサン単位の重合度を表す整数である。またm、n、p、qのいずれかが2以上の数値である場合、その係数の付いたシロキサン単位は、結合する水素原子やヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1~20の炭化水素基が異なる2種以上のシロキサン単位とすることができる。)
ここで、各示性式における係数の合計がシリコーン化合物の平均重合度となる。本発明においては、かかる平均重合度は3~150が好ましく、4~80がより好ましく、5~60がさらに好ましい。かかる好適な範囲未満の場合、該シリコーン化合物自体の揮発性が高くなるため、該シリコーン化合物を配合した樹脂組成物の加工時において樹脂からの揮発分が多くなりやすいという問題がある。かかる好適な範囲を超える場合、該シリコーン化合物を配合した樹脂組成物における難燃性や透明性が不十分となりやすい。なお、上記のシリコーン化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を組合せて用いてもよい。
このようなSi-H結合を有するシリコーン化合物は、それ自体従来公知の方法によって製造することができる。例えば、目的とするシリコーン化合物の構造に従い、相当するオルガノクロロシラン類を共加水分解し、副生する塩酸や低沸分を除去することによって目的物を得ることができる。また、分子中にSi-H結合や一般式[10]で示される芳香族基、その他のヘテロ原子含有官能基を有しても良い炭素数1~20の炭化水素基を有するシリコーンオイル、環状シロキサンやアルコキシシラン類を出発原料とする場合には、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸等の酸触媒を使用し、場合によって加水分解のための水を添加して、重合反応を進行させた後、使用した酸触媒や低沸分を同様に除去することによって、目的とするシリコーン化合物を得ることができる。
さらに、Si-H基を含有するシリコーン化合物が下記の構造式で示されるシロキサン単位 M、MH、D、DH、Dφ2、T、Tφ(ただし M:(CH3)3SiO1/2
MH:H(CH3)2SiO1/2D:(CH3)2SiODH:H(CH3)SiODφ2:(C6H5)2SiT:(CH3)SiO3/2Tφ:(C6H5)SiO3/2)を有しており、1分子あたりに有する各シロキサン単位の平均数をそれぞれm、mh、d、dh、dp2、t、tpとした場合、下記関係式のすべてを満足することが好ましい。
2 ≦ m+mh ≦ 40
0.35 ≦ d+dh+dp2 ≦ 148
0 ≦ t+tp ≦ 38
0.35 ≦ mh+dh ≦ 110
上記範囲を満たさないと本発明の樹脂組成物において良好な難燃性と優れた透明性を同時に達成することが困難となり、場合によってはSi-H基を含有するシリコーン化合物の製造が困難となる。
難燃剤としてシリコーン化合物を含有させる場合、かかる含有量は、A成分100重量部に対し、0.1~7重量部が好ましく、0.1~4重量部がより好ましく、0.1~2重量部がさらに好ましく、0.1~1重量部が特に好ましい。かかる好適な範囲を超えると樹脂の耐熱性が低下し、加工時にガスが発生しやすくなる場合があり、かかる好適な範囲未満では難燃性が発揮されない場合がある。
(ii)含フッ素滴下防止剤
本発明の樹脂組成物は、含フッ素滴下防止剤を含有することができる。この含フッ素滴下防止剤の含有により、成形品の物性を損なうことなく、良好な難燃性を達成することができる。
含フッ素滴下防止剤としては、フィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーを挙げることができ、かかるポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、など)、米国特許第4379910号公報に示されるような部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート樹脂などを挙げることができる。中でも好ましくはポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)である。
フィブリル形成能を有するPTFEの分子量は極めて高い分子量を有し、せん断力などの外的作用によりPTFE同士を結合して繊維状になる傾向を示すものである。その分子量は、標準比重から求められる数平均分子量において、100万~1000万が好ましく、200万~900万がより好ましい。かかるPTFEは、固体形状の他、水性分散液形態のものも使用可能である。またかかるフィブリル形成能を有するPTFEは樹脂中での分散性を向上させ、さらに良好な難燃性および機械的特性を得るために他の樹脂との混合形態のPTFE混合物を使用することも可能である。
混合形態のPTFEとしては、(1)PTFEの水性分散液と有機重合体の水性分散液または溶液とを混合し共沈殿を行い共凝集混合物を得る方法(特開昭60-258263号公報、特開昭63-154744号公報などに記載された方法)、(2)PTFEの水性分散液と乾燥した有機重合体粒子とを混合する方法(特開平4-272957号公報に記載された方法)、(3)PTFEの水性分散液と有機重合体粒子溶液を均一に混合し、かかる混合物からそれぞれの媒体を同時に除去する方法(特開平06-220210号公報、特開平08-188653号公報などに記載された方法)、(4)PTFEの水性分散液中で有機重合体を形成する単量体を重合する方法(特開平9-95583号公報に記載された方法)、および(5)PTFEの水性分散液と有機重合体分散液を均一に混合後、さらに該混合分散液中でビニル系単量体を重合し、その後混合物を得る方法(特開平11-29679号などに記載された方法)により得られたものが使用できる。
混合形態におけるPTFEの割合は、PTFE混合物100重量%中、1~60重量%が好ましく、5~55重量%がより好ましい。かかる好適な範囲内の場合は、PTFEの良好な分散性を達成することができる。
難燃剤として含フッ素滴下防止剤を含有させる場合、かかる含有量は、A成分100重量部に対し、0.01~5重量部が好ましく、0.05~1.5重量部がより好ましく、0.1~1重量部がさらに好ましい。含フッ素滴下防止剤の含有料が、0.01重量部未満の場合、難燃性が不十分となる場合があり、5重量部を超える場合にはPTFEが成形品表面に析出し外観不良となる場合があるばかりでなく、樹脂組成物のコストアップに繋がる場合がある。
(透明抗菌性ポリカーボネート樹脂組成物の製造)
本発明における透明抗菌性ポリカーボネート樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば、A成分およびB成分、任意にC~E成分およびその他の添加剤を、それぞれV型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練した後にペレタイザー等の機器によりペレット化する方法が挙げられる。
(透明抗菌性ポリカーボネート樹脂組成物からなる成形品の製造)
本発明における透明抗菌性ポリカーボネート樹脂組成物は、通常上述の方法で得られたペレットを射出成形して各種成形品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常のコールドランナー方式の成形方法だけでなく、ランナーレスを可能とするホットランナーによって製造することも可能である。また射出成形においても、通常の成形方法だけでなく、ガスアシスト射出成形、射出圧縮成形、超高速射出成形、射出プレス成形、二色成形、サンドイッチ成形、インモールドコーティング成形、インサート成形、発泡成形(超臨界流体を利用するものを含む)、急速加熱冷却金型成形、断熱金型成形および金型内再溶融成形、並びにこれらの組合せからなる成形方法等を使用することができる。
また本発明における樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で使用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。さらに特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより成形品とすることも可能である。
さらに樹脂組成物から形成された成形品には、各種の表面処理を行うことが可能である。表面処理としては、加飾塗装、ハードコート、撥水・撥油コート、親水コート、紫外線吸収コート、赤外線吸収コート、電磁波吸収コート、発熱コート、帯電防止コート、制電コート、導電コート、並びにメタライジング(メッキ、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、溶射など)などの各種の表面処理を行うことができる。
(透明性)
本発明の透明抗菌性ポリカーボネート樹脂において、JIS K 7136に準拠して該樹脂組成物からなる厚さが2mmの成形体における測定したヘーズの値は50%未満であり、30%未満が好ましく、10%未満がより好ましい。
(耐衝撃性)
本発明の透明抗菌性ポリカーボネート樹脂組成物において、ISO179に準拠して23℃および-30℃に状態調節したかかる樹脂組成物からなる試験片のノッチ付シャルピー衝撃強度を測定したそれぞれの値は、15kJ/m2以上が好ましく、20kJ/m2以上がより好ましく、30kJ/m2以上がさらに好ましい。かかる好適な範囲未満であると、寒冷地向けの屋外構造部材や各種筐体部材、自動車関連部品においては適用が難しい。
(抗菌性)
本発明の透明抗菌性ポリカーボネート樹脂組成物において、かかる樹脂組成物からなる試験片についてJIS Z 2801に準拠した黄色ぶどう球菌および大腸菌に対する抗菌活性値は、それぞれ2.0以上であることが好ましく、3.0以上がより好ましく、4.0以上がさらに好ましく、5.0以上が特に好ましい。かかる抗菌活性値が2.0未満であると抗菌効果は十分ではないといえる。
以下に本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。特記しない限り、実施例中の部は重量部であり、%は重量%である。なお、評価は下記の方法に従った。
1.ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(A-1成分)の評価
(1)粘度平均分子量(Mv)
次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlにポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t-t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出した。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2 c (但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-4Mv0.83
c=0.7
(2)ポリジオルガノシロキサンの成分含有量および平均鎖長p+q
日本電子株式会社製NMR JNM-AL400を用い、ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂の1H-NMRスペクトルを測定し、二価フェノール(I)由来のピークの積分比とヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)由来のピークの積分比を比較することにより算出した。同様に、ヒドロキシアリール末端由来のピークの積分比とポリジオルガノシロキサン由来のピークの積分比を比較することにより平均鎖長p+qを算出した。
(3)ポリジオルガノシロキサンドメインの平均ドメインサイズおよび規格化分散
下記の方法にて作成した3段型プレート(幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm))を用いて、厚み1.0mm部の端部より5mm、側部より5mmの交点におけるポリジオルガノシロキサンドメインの平均サイズと粒径分布(規格化分散)を、X線回折装置((株)リガク社製 RINT-TTRII)を用いて測定した。X線源として、CuKα特性エックス線(波長0.1541841nm)、管電圧50kV、管電流300mAで行った。小角散乱光学系は、Slit:1st 0.03mm、HS 10mm、SS 0.2mm、RS 0.1mmとした。測定は、非対称走査法(2θスキャン)により、FT 0.01°ステップ、4sec/step、走査範囲 0.06-3°として実施した。カーブフィッティングの解析には、(株)リガク社製 小角散乱解析ソフト
ウェア NANO-Solver(Ver.3.3)を使用した。解析はポリカーボネートポリマーのマトリックス中にポリジオルガノシロキサンの球状ドメインが分散した凝集構造であり、粒径分布のばらつきが存在すると仮定して、ポリカーボネートマトリックスの密度を1.2g/cm3、ポリジオルガノシロキサンドメインの密度を1.1g/cm3とし、粒子間相互作用(粒子間干渉)を考慮しない孤立粒子モデルにて実施した。
2.ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(A-1成分)の製造
実施例および比較例では、ポリジオルガノシロキサン構造を有する二価フェノール(II)として、下記(II)-1で示したポリジオルガノシロキサン化合物を使用した。
(II)-1:p+q=40(信越化学工業(株)製;KF-2201)
PC-POS-1およびPC-POS-2を以下の方法で製造した。
(PC-POS-1の製造法)
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水21592部、48.5%水酸化ナトリウム水溶液3675部を入れ、一般式[4]で表される二価フェノール(I)として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)3880部(17.00モル)、およびハイドロサルファイト7.6部を溶解した後、塩化メチレン14565部(二価フェノール総量に対して10モル当量)を加え、撹拌下22~30℃でホスゲン1900部を60分要して吹き込んだ。塩化メチレン7283部(二価フェノール総量に対して5モル当量)を加え48.5%水酸化ナトリウム水溶液1131部、p-tert-ブチルフェノール108部を塩化メチレン800部(二価フェノール総量に対して0.55モル当量)に溶解した溶液を加え、攪拌しながら一般式[5]で表される二価フェノール(II)として上記KF-2201 430部(0.137モル)を塩化メチレン800部(二価フェノール総量に対して0.55モル当量)に溶解した溶液を二価フェノール(II)が二価フェノール(I)に対して0.0008モル当量/minとなる速度で加えて乳化状態とした後、再度激しく撹拌した。かかる攪拌下、反応液が26℃の状態でトリエチルアミン4.3部を加えて温度26~31℃において1時間撹拌を続けて反応を終了した。反応終了後有機相を分離し、塩化メチレンで希釈して水洗した後塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで温水を張ったニーダーに投入して、攪拌しながら塩化メチレンを蒸発し、ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂のパウダーを得た。脱水後、熱風循環式乾燥機により120℃で12時間乾燥した。得られたポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂においては、ポリジオルガノシロキサンの平均鎖長p+qは37、粘度平均分子量は20,100、ポリジオルガノシロキサン成分含有量は8.4重量%、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均ドメインサイズおよび規格化分散は、それぞれ11nm、21.1%であった。
(PC-POS-2の製造法)
p-tert-ブチルフェノールの量を86部に変更した以外は、PC-POS-1の製造法と同様にした。得られたポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂においては、ポリジオルガノシロキサンの平均鎖長p+qは37、粘度平均分子量は24,100、ポリジオルガノシロキサン成分含有量は8.3重量%、ポリジオルガノシロキサンドメインの平均ドメインサイズおよび規格化分散はそれぞれ11nm、20.8%であった。
3.透明抗菌性ポリカーボネート樹脂組成物の評価
(1)透明性(ヘーズ)
下記の方法にて作成した3段型プレート(幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0mm(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm))を試験片として用い、JIS K 7136に準拠してかかる試験片の厚み2.
0mm部分のヘーズを測定した。
なお、透明性は以下の基準にて評価した。
◎:ヘーズが10%未満
○:ヘーズが10%以上、30%未満
△:ヘーズが30%以上、50%未満
×:ヘーズが50%以上
(2)耐衝撃性(ノッチ付きシャルピー衝撃強さ)
下記の方法にて作成した成形品(幅10mm、長さ80mm、厚み4.0mm)を試験片として用い、ISO179に準拠して23℃および-30℃に状態調節したかかる試験片のノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定した。
なお、耐衝撃性は以下の基準にて評価した。
◎:ノッチ付きシャルピー衝撃強さが30kJ/m2以上
○:ノッチ付きシャルピー衝撃強さが20kJ/m2以上、30kJ/m2未満
△:ノッチ付きシャルピー衝撃強さが15kJ/m2以上、20kJ/m2未満
×:ノッチ付きシャルピー衝撃強さが15kJ/m2未満
(3)抗菌性(抗菌活性値)
下記の方法にて作成した角板成形品(幅150mm、長さ150mm、厚さ2mm)を切削して得られた試験片(幅50mm、長さ50mm、厚さ2mm)を用い、JIS Z
2801に準拠して以下の条件にて試験を実施した。
*菌液濃度:1/500普通ブイヨン培地(1/500NB)
*菌液滴下量:0.4mL(被覆フィルム:表面積16cm2のポリエチレンフィルム)*培養温湿度:35℃、90%RH
*培養時間:24時間
*使用細菌:黄色ぶどう球菌(NBRC12732)、大腸菌(NBRC3972)
*清浄化方法:エタノールを含侵させた脱脂綿による拭き取り
抗菌性は以下の基準にて抗菌活性値をもって評価した。
抗菌活性値=log10(無加工試験片の24時間後の生菌数)-log10(抗菌加工試験片の24時間後の生菌数)
○:抗菌活性値が、上記使用細菌2種のいずれに対しても、2.0以上
×:抗菌活性値が、上記使用細菌2種のうち少なくとも1種に対し、2.0未満
なお、抗菌加工試験片は銀系ガラス抗菌剤を含有する樹脂組成物からなる試験片を指す。一方で、無加工試験片はかかる銀系ガラス抗菌剤を含有する樹脂組成物から銀系ガラス抗菌剤のみを除いた樹脂組成物からなる試験片を指す。
[実施例1~17、比較例1~4]
表1および表2に示したA~E成分の組成にて、ブレンダーを用いて均一に混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。かかる配合成分は、それぞれ配合量の10~100倍の濃度を目安に予め主たるA成分のパウダーとの予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)神戸製鋼所KTX-30(径30mmφ)を使用した。かかる押出条件は、シリンダー温度およびダイス温度280℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量20kg/h、ベント吸引度が3kPaとして、ストランドを押出し水浴において冷却した後ペレタイザーでストランドカットを行い、ペレット化した。
得られたペレットは、120℃で5時間熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業(株)製;SE130EV-A)を用いて、シリンダー温度280℃、金型温度70℃にて各種評価用の成形品を作成した。具体的には、下記(a)~(c)である。(a)3段型プレート:幅50mm、長さ90mm、厚みがゲート側から3.0m
m(長さ20mm)、2.0mm(長さ45mm)、1.0mm(長さ25mm)
(b)ISO179に準拠したシャルピー衝撃試験用の成形品:幅10mm、長さ80mm、厚み4.0mm
(c)角板成形品:幅150mm、長さ150mm、厚さ2mm
各種評価結果を表1および表2に示した。
なお、表1および表2中の記号表記の各成分は下記の通りである。
(A成分)
A-1-1:PC-POS-1、屈折率1.57
A-1-2:PC-POS-2、屈折率1.57
A-2-1:芳香族ポリカーボネート樹脂(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンを繰返し骨格とする粘度平均分子量19,700、屈折率1.59の直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー)(帝人(株)製;パンライトL-1225WX(製品名))、
A-2-2:芳香族ポリカーボネート樹脂(2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンを繰返し骨格とする粘度平均分子量23,900、屈折率1.59の直鎖状芳香族ポリカーボネート樹脂パウダー)(帝人(株)製;パンライトL-1250WP(製品名))、
(B成分)
B-1:銀系ガラス抗菌剤(シナネンゼオミック(株)製;ゼオミックKM10D(製品名))、平均粒子サイズ(D50):10μm
B-2(比較例用):亜鉛系ガラスおよび銀系リン酸ジルコニウムを含む抗菌剤(東亞合成(株)製;ノバロンVFA701(製品名))、平均粒子サイズ(D50):1.2μm
なお、B-2の抗菌剤は銀イオンが担持されているのがリン酸ジルコニウムであり、請求項1の規定範囲外である。
(C成分)
C-1:リン系安定剤(トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト)((株)ADEKA製;アデカスタブ2112(製品名))
(D成分)
D-1:グリセリンモノステアレート(理研ビタミン(株)製;リケマールS-100A(製品名))
D-2:ペンタエリスリトールテトラステアレート(日油(株)製;ユニスターH-476-S(製品名))
(E成分)
E-1:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤((株)ADEKA製;アデカスタブLA-31(製品名))
E-2:トリアジン系紫外線吸収剤(BASFジャパン(株)製;Tinuvin1577ED(製品名))
実施例1~17より、ポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂またはポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂とそれ以外のポリカーボネート樹脂との混合物に、本発明の請求項1に記載された銀系ガラス抗菌剤を添加することで透明性、耐衝撃性が改善され、抗菌性も発現することがわかる。実施例2と比較例4との比較からは、本発明の請求項1に記載された銀系ガラス抗菌剤をポリカーボネート-ポリジオルガノシロキサン共重合体樹脂以外のポリカーボネート樹脂に添加した場合、耐衝撃性に劣ることがわかる。また実施例2と比較例4の比較から、透明性を維持するには、本発明の請求項1に記載された銀系ガラス抗菌剤を用いる必要があることがわかる。