JP7543738B2 - ライナー付き紙製トレー - Google Patents

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Description

本発明は、ライナー付き紙製トレーに関するものである。特に紙基材にプラスチックからなるライナー層が積層されて構成されているライナー付き紙製トレーであり、ライナーと紙基材とは容易に剥離することが可能な、ライナー付き紙製トレーに関するものである。
紙製トレーは、例えばスーパーマーケットや、コンビニエンスストアなどの小売りの場面で、食品等の包装材料として使用されている。その形態はさまざまであるが、紙を基材としていることから、価格面でのメリットのほか、安全性にも優れており、廃棄する際にも環境適合型の包装材料として、広く使われている。
紙製トレーの種類としては、例えば紙を基材としてプラスチックからなるライナーを積層した、平面のブランクスから組み立てて作るライナー付き紙製トレーも広く使われている。また、ライナー付き紙製トレーは、圧空成型、プレス成型などを用いて形成することも可能であり、その形状も用途に応じて様々である。
このライナー付き紙製トレーは、プラスチック材料であるライナーによって、耐水性や、耐油性を有しており、したがって液体やペースト状の内容物の収納が可能である。また機械的強度が優れておりトレーとしての使い勝手が良い一方、使用後の廃棄に際してはライナーと紙とを分離、分別することが可能であることが、環境適合性の点からは好ましい。
これまでに紙基材とライナー層を分離可能とした紙製トレーは、一般にフランジを形成する板紙構造が分割、分離されて非連続であるために部分的な段差を生じたり、それによって完全にシールすることが困難であった。
また紙基材とライナー層の完全な分離のために、紙層とライナー層の層間強度を低くすることも試みられているが、層間強度を低くした場合には取り扱いや輸送時の外力によって予期しない層間剥離が生じる恐れがあった。さらにこのような組み立てによる側面、底面の形成は、ライナー層のシールによる仮止めであって、トレー全体の強度が弱いという欠点があった。
例えば特許文献1には、紙と樹脂層を積層したトレーのブランクを用いて、トレーを組み立てる提案がされているが、例えば廃棄に際しての紙層と樹脂層の容易な分離、分別への考慮がなされたものではなかった。
特開2000-255546号公報
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであり、ライナー付き紙製トレーを構成する紙基材とライナー層の分離、分別が容易に可能であって、かつ取り扱いや輸送による落下、振動等の外力に耐えうる十分な強度を備える、ライナー付き紙製トレーの提供を課題とする。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、
紙を基材とするトレーであって、トレーは底面と側面と、トレー本体の周縁を囲んで平坦に連続するフランジを有して形成されており、
トレーの構成要素のうち、少なくともフランジは、紙基材にプラスチックからなるライナー層が積層されて構成されており、
ライナー層のプラスチックはメチレン基を有して、ヒートシール可能であり、
ライナー層と紙基材は、紙基材の紙剥けを伴って剥離可能であって、
剥離したライナー層の、ライナー層側からのFTIRスペクトルにおいて、
1000cm-1~1100cm-1間にある紙基材由来のC-O伸縮振動によるピークトップA(%T)と、
2500cm-1~3000cm-1間にあるライナー層由来のC-H伸縮振動によるピークトップB(%T)との比が
0.50≦A/B≦2.5
の範囲であることを特徴とする、ライナー付き紙製トレーである。
また、請求項2に記載の発明は、
前記剥離したライナー層の、ライナー層側からのFTIRスペクトルにおいて、
1000cm-1~1100cm-1間にある紙基材由来のC-O伸縮振動によるピークトップA(%T)と、
2500cm-1~3000cm-1間にあるライナー層由来のC-H伸縮振動によるピークトップB(%T)との比が
0.80≦A/B≦2.0
の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のライナー付き紙製トレーである。
また、請求項3に記載の発明は、
前記紙基材は、坪量40g/m~400g/mの板紙からなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のライナー付き紙製トレーである。
本発明によれば、ライナー付き紙製トレーを構成する紙基材とライナー層の分離、分別が容易に可能であって、かつ取り扱いや輸送による落下、振動等の外力に耐えうる十分な強度を備える、ライナー付き紙製トレーの提供が可能である。
ライナー層のプラスチックはメチレン基を有して、ヒートシール可能であり、熱可塑性のプラスチックであって、例えばトレーを覆って蓋材をヒートシールして密封することが可能である。すなわち蓋材を用いる場合には、内容物の保護を目的としてトレーを包装材料とすることができる。
また、本発明においては、ライナー層と紙基材は、紙基材の紙剥けを伴って容易に剥離可能であって、紙剥けのレベルによって、分離性、輸送適性を両立させることが可能である。
具体的には、剥離したライナー層の、ライナー層側からのFTIRスペクトルにおいて、
1000cm-1~1100cm-1間にある紙基材由来のC-O伸縮振動によるピークトップA(%T)と、
2500cm-1~3000cm-1間にあるライナー層由来のC-H伸縮振動によるピークトップB(%T)との比が
0.50≦A/B≦2.5
の範囲であることがライナー付き紙製トレーの分離性、輸送適性を両立させることに効果的である。
特に請求項2に記載の発明によれば、前述した剥離したライナー層の、ライナー層側からのFTIRスペクトルにおいて、
1000cm-1~1100cm-1間にある紙基材由来のC-O伸縮振動によるピークトップA(%T)と、
2500cm-1~3000cm-1間にあるライナー層由来のC-H伸縮振動によるピークトップB(%T)との比が
0.80≦A/B≦2.0
の範囲であることが、ライナー付き紙製トレーの分離性、輸送適性を両立させることにより一層効果的である。
特に請求項3に記載の発明によれば、ライナー付き紙製トレーを構成する紙基材は、坪量40g/m~400g/mの板紙からなることによって、トレーの強度と加工性を兼ね備えることに効果的である。
図1は、本発明に係るライナー付き紙製トレーの一実施態様を説明するための斜視模式図である。 図2は、本発明に係るライナー付き紙製トレーの他の実施態様を説明するための平面展開模式図である。 図3は、本発明に係るライナー付き紙製トレーを構成する紙基材とライナー層を説明するための、部分断面模式図である。
以下、本発明を図1及び図2を参照しながら、更に詳しい説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
図1は、本発明に係るライナー付き紙製トレーの一実施態様を説明するための斜視模式図である。
本発明は、紙を基材とするライナー付き紙製トレー(10)に関するものであって、トレーは底面(2)と側面(3)と、トレー本体の周縁を囲んで平坦に連続するフランジ(1)を有して形成されている。
ライナー付き紙製トレー(10)は、底面(2)と側面(3)に囲まれて凹んだ部分に内容物を収納可能であって、フランジ(3)は例えば紙製トレーを覆う蓋材をシールして、包装容器として密封することができる。このとき蓋材は、周縁を囲んで平坦に連続フランジ(1)にシールすることができ、例えばヒートシールによって融着、密封することができる。
また、ライナー付き紙製トレー(10)の形状は、フランジ(1)がトレー本体とその周縁を囲んで平坦に連続していれば、内容物の収納に支障がない範囲において任意であって、その成型の方法も圧空成型、プレス成型など任意である。
図2は、本発明に係るライナー付き紙製トレーの他の実施態様を説明するための平面展開模式図である。
図2に示す例において、フランジ(1)は矩形の形状の例であって、フランジ(1)は斜線を施した連続した部分である。この例においては紙製トレー(10)は、平面のブランク(11)から底面(2)と側面(3)形成して組み立てられる。
なお、図中ブランク(11)の実線は切り込み(12)であり、破線は折り線(13)を表している。
このように、本発明においてフランジ(1)は、図1に示すような楕円形状、あるいは図2に示すような矩形の形状など、その形状は任意であるが、つなぎ目や切れ目のない連続した形状である。
図3は、本発明に係るライナー付き紙製トレーを構成する紙基材とライナー層を説明するための、部分断面模式図である。
ライナー付き紙製トレー(10)は積層体(5)から構成されており、その構成要素のうち、少なくともフランジ(1)は、紙基材(6)にプラスチックからなるライナー層(7)が積層されて、積層体(5)が構成されている。
本発明において、ライナー層(7)のプラスチックはメチレン基を有して、ヒートシール可能であり、ライナー層(7)と紙基材(6)は、紙基材の紙剥け(8)を伴って、矢印(9)方向に剥離可能である。
したがって、剥離したライナー層(7)は、もともとのプラスチックからなる層と、付着した紙剥け(8)とからなり、ライナー層(7)側からのFTIRスペクトルにおいて、それらの両方のスペクトルが検出される。
両方のスペクトルはすなわち、波数1000cm-1~1100cm-1間にある紙基材由来のC-O伸縮振動によるピークトップA(%T)と、波数2500cm-1~3000cm-1間にあるライナー層由来のC-H伸縮振動によるピークトップB(%T)とである。
我々は、本発明を鋭意検討する過程において、これらの紙基材由来のC-O伸縮振動によるピークトップA(%T)と、ライナー層由来のC-H伸縮振動によるピークトップB(%T)との比が、
0.50≦A/B≦2.5
の範囲である場合に、本発明が課題とするところの、ライナー付き紙製トレー(10)を構成する紙基材(6)とライナー層(7)の分離、分別が容易に可能であって、かつ取り扱いや輸送による落下、振動等の外力に耐えうる十分な強度を備える、ライナー付き紙製トレー(10)の提供に、効果的であることを見出した。
我々はさらに、剥離したライナー層の、ライナー層側からのFTIRスペクトルにおいて、
波数1000cm-1~1100cm-1間にある紙基材由来のC-O伸縮振動によるピークトップA(%T)と、
波数2500cm-1~3000cm-1間にあるライナー層由来のC-H伸縮振動によるピークトップB(%T)との比が、
0.80≦A/B≦2.0
の範囲である場合には、本発明が課題とするところの、ライナー付き紙製トレー(10)を構成する紙基材(6)とライナー層(7)の分離、分別が容易に可能であって、かつ取り扱いや輸送による落下、振動等の外力に耐えうる十分な強度を備える、ライナー付き紙
製トレー(10)の提供に、より一層効果的であることを見出した。
すなわち本発明において、ライナー層(7)と紙基材(6)を剥離したときに、その剥離面の状態が一定の紙剥け(8)の範囲であることが、本発明の課題とするところの、ライナー付き紙製トレー(10)を構成する紙基材(6)とライナー層(7)の分離、分別が容易に可能であって、かつ取り扱いや輸送による落下振動等の外力に耐えうる十分な強度を備える、ライナー付き紙製トレー(10)の実現に効果的であることを見出したものである。
ライナー層(7)は、ライナー層(7)同士が対向するように重ねて、シールすることができる。例えば、重ねた部分を加熱、加圧してヒートシールすることによって互いを接着させることができる。例えば蓋材でライナー付き紙製トレー(10)を覆い、フランジ(1)でヒートシールして密封することを可能にする。
また、ライナー層(7)によって、フランジ(1)部分にシール性が与えられることに加えて、トレーの底面(2)および側面(3)の内側全体にライナー層(7)を設けることによって、ライナー付き紙製トレー(10)に、例えば耐油性、耐水性を付与することが可能であり、適用できる内容物の範囲を広げることが可能である。例えば液体や、ペースト状の内容物の収納が可能である。
ライナー層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
ライナー層(7)は、上記のポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、のほか、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂も使用することができ、これらのうちのいずれか、または複数から、ライナー付き紙製トレー(10)の用途や要求される品質などを考慮して選択することができる。特にポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂を用いる場合には、例えば電子レンジによる加熱などに対しての耐熱性において優れる。
ライナー層(7)の形成には、押出機などを用いて溶融した樹脂を製膜して、台紙の表面または表裏両面に層形成することができる。あるいは、あらかじめフィルムの状態に製膜してある材料を、ラミネートによって積層することによって、紙基材(6)の表面、または表裏両面にライナー層(7)を形成することも可能である。この紙基材(6)とライナー層(7)の積層には、例えばエクストルーダーを用いて、溶融した接着ポリエチレンを介して積層することが可能である。
また、ライナー層(7)にガスバリア層を有する、ポリエチレン系バリア多層フィルム、あるいはポリプロピレン系バリア多層フィルムを用いてガスバリア性を向上させ、内容物が環境からの影響を受けて変質や劣化を起こすことを回避することも可能で、保存性能の向上を図ることができる。
また、積層体(5)を構成する紙基材(6)は、坪量40g/m~400g/mの板紙とすることができる。この範囲の板紙を用いることにより、ライナー付き紙製トレー(10)は、包装容器としての強度と加工性を兼ね備えたものとすることが可能である。
さらに坪量190g/m~350g/mの範囲の板紙を用いる場合には、強度と加工性の点においてより好ましい。また、必要に応じて、紙基材(6)にガスバリア層をコーティングしたものを用いることもできる。
このようにして本発明によれば、ライナー付き紙製トレー(10)を構成する紙基材(6)とライナー層(7)の分離、分別が容易に可能であって、かつ取り扱いや輸送による落下、振動等の外力に耐えうる十分な強度を備える、ライナー付き紙製トレー(10)の提供が可能である。
以下本発明を、実施例、および比較例によって更に具体的な説明を加える。ただし本発明は、ここに示す例にのみ限定されるものではない。本発明は、請求項によって特定されるものである。
ライナー付き紙製トレー(10)を試作し評価を行った。
用いた材料は下記のとおりである。
・紙基材:フレッシュパルプ100%の食品グレードを用いた。
・ライナー層:ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいは生分解性プラスチックであるポリブチレンサクシネート(PBS)を用いることができ、いずれも分子中にメチレン基を有するものであり、かつヒートシールできるものを選択した。
また、ライナー層にポリエチレン系バリア多層フィルムを用いる場合には、下記の構成とした。
ポリエチレン(厚さ20μm)/接着剤/エチレン-ビニルアルコール共重合体/接着剤/ポリエチレン(厚さ20μm) :三菱ケミカル株式会社製。
また、ライナー層にポリプロピレン系バリア多層フィルムを用いる場合には、下記の構成とした。
無延伸ポリプロピレン(厚さ20μm)/接着剤/エチレン-ビニルアルコール共重合体/接着剤/無延伸ポリプロピレン(厚さ20μm)。
剥離ニス:紙剥けレベル調整する場合には、PE64剥離ワニスC(東洋インキ製)を紙基材に塗布しライナー層の接着の度合いを調整した。
測定方法:FTIRによる測定は下記のとおりである。
パーキンエルマー社製のFTIR測定器(Spoylight200-FrontierMIR)を用いてATR法にて紙剥けサンプルのライナー面からのスペクトル分析を行った。
1000cm-1~1100cm-1間にある紙基材由来のC-O伸縮振動によるピークトップA(%T)と、2500cm-1~3000cm-1間にあるライナー層由来のC-H伸縮振動によるピークトップB(%T)との比A/Bを、算出した。
評価項目は下記のとおりである。
・分離性:ライナーと紙基材の剥離性を評価した。
パネラー30人にライナーと紙基材の剥離を実施してもらい評価した。
評価基準は下記とおりとした。
◎:27人以上が分離しやすいと判断した場合。
〇:24人以上が分離しやすいと判断した場合。
・液漏れ:紙製トレーに浸透液を入れて、経時保存(40℃、75%)を実施した。
評価基準は下記のとおりとした。
〇:一か月間で漏れのなかったもの。
×:一か月以内で液漏れが発生したもの。
・輸送適性:JIS Z 0200に基づき、200gの内容物を入れ、落下、振動試験を実施した。
評価基準は下記のとおりとした。
〇:ライナーと紙基材との分離がない。
×:ライナーと紙基材との分離が発生した。
<実施例1>
実施例1のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成:ポリブチレンサクシネート(厚さ25μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は0.5であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内である。
<実施例2>
実施例2のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成:ポリエチレン(厚さ30μm)/接着ポリエチレン(厚さ15μm)/剥離ニス紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は0.5であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内である。
<実施例3>
実施例3のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成:ポリエチレン(厚さ30μm)/接着ポリエチレン(厚さ15μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は0.6であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内である。
<実施例4>
実施例4のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成:ポリエチレン(厚さ30μm)/接着ポリエチレン(厚さ18μm)/紙(260g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は0.7であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内である。
<実施例5>
実施例5のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成: ポリエチレン(厚さ30μm)/接着ポリエチレン(厚さ15μm)/バリアコート紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は0.8であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内であって、かつ請求項2に規定する範囲内でもある。
<実施例6>
実施例6のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成: ポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)/接着ポリエチレン(厚さ18μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は0.8であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内であって、かつ請求項2に規定する範囲内でもある。
<実施例7>
実施例7のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成:無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ30μm)/接着ポリプロピレン(厚さ18μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は0.8であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内であって、かつ請求項2に規定する範囲内でもある。
<実施例8>
実施例8のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成:ポリエチレン(厚さ30μm)/接着ポリエチレン(厚さ15μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は0.8であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内であって、かつ請求項2に規定する範囲内でもある。
<実施例9>
実施例9のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成:ポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)/接着ポリエチレン(厚さ18μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は1.0であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内であって、かつ請求項2に規定する範囲内でもある。
<実施例10>
実施例10のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成:ポリブチレンサクシネート(厚さ25μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。A/Bの値は1.1であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内であって、かつ請求項2に規定する範囲内でもある。
<実施例11>
実施例11のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成: ポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)/接着ポリエチレン(厚さ18μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は1.5であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内であって、かつ請求項2に規定する範囲内でもある。
<実施例12>
実施例12のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成:ポリエチレン(厚さ30μm)/接着ポリエチレン(厚さ15μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は2.0であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内であって、かつ請求項2に規定する範囲内でもある。
<実施例13>
実施例13のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成: ポリエチレン(厚さ30μm)/接着ポリエチレン(厚さ15μm)/バリアコート紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は2.2であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内である。
<実施例14>
実施例14のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成: ポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)/接着ポリエチレン(厚さ18μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は2.3であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内である。
<実施例15>
実施例15のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成:ポリエチレン(厚さ30μm)/接着ポリエチレン(厚さ18μm)/紙(260g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は2.5であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲内である。
<比較例1>
比較例1のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成:ポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)/接着ポリエチレン(厚さ18μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は3.0であった。
この値は本発明の請求項1に規定する範囲から外れており実施例とは異なる。
<比較例2>
比較例2のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:環状(つなぎ目や切れ目のない連続した形状)
層構成:ポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)/接着ポリエチレン(厚さ18μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:ほぼ紙剥けなし。またFTIRによる、A/Bの値は、0.4であった。この値は本発明の請求項1に規定する範囲をはずれており実施例とは異なる。
<比較例3>
比較例3のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:分離。すなわちフランジは連続しておらず、本発明に規定する範囲を逸脱している。
層構成:ポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)/接着ポリエチレン(厚さ18μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は、1.3であった。
<比較例4>
比較例4のフランジの形状、ライナー層と紙基材の層構成、紙剥けの状態は下記のとおりである。
フランジ:しわを有する。 本発明において、フランジは平坦としており、この部分はそれを逸脱している。
層構成:ポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)/接着ポリエチレン(厚さ18μm)/紙(310g/m
紙剥けの状態:紙剥けあり。またFTIRによる、A/Bの値は、1.8であった。
評価結果を表1に示す。
Figure 0007543738000001
表1に示す結果から見て取れるように、本発明によるライナー付き紙製トレーである実施例1~実施例15は、分離性、液漏れ、輸送適性の3項目すべてにおいて〇または◎評価となっている。
これに対して、本発明に規定する範囲を逸脱するところのある比較例1~比較例4にお
いては、分離性、液漏れ、輸送適性の3項目のうちいずれかが×評価となっており、本発明によるライナー付き紙製トレーの優位性は明らかである。
以下、個々の実施例、比較例について考察を加える。
実施例1は、A/Bの値が0.5であって、本発明に規定する値の範囲内の下限値である。分離性、液漏れ、輸送適性の3項目すべてにおいて〇評価となっている。
紙剥けの可否は〇評価であって、紙リッチな状態が観察された。またライナー層はポリブチレンサクシネートであって、これは生分解性プラスチックであるために、分別されて廃棄された後はライナー層も分解されるため、より環境適合性に優れたライナー付き紙製トレーである。
実施例2は、A/Bの値が0.5であって、本発明に規定する値の範囲内の下限値である。分離性、液漏れ、輸送適性の3項目すべてにおいて〇評価となっている。
実施例3は、A/Bの値が0.6であって、本発明に規定する値の範囲内である。分離性、液漏れ、輸送適性の3項目すべてにおいて〇評価となっている。
実施例4は、A/Bの値が0.7であって、本発明に規定する値の範囲内である。分離性、液漏れ、輸送適性の3項目すべてにおいて〇評価となっている。
実施例5は、A/Bの値が0.8であって、本発明の請求項1に規定する値、特に請求項2に規定する値の範囲内である。特に分離性については◎評価であり、液漏れ、輸送適性については〇評価となっている。紙基材はバリアコート紙を用いており、ガスバリア性の向上が図られ、内容物の保存性の向上に効果的である。
実施例6は、A/Bの値が0.8であって、本発明の請求項1に規定する値、特に請求項2に規定する値の範囲内である。特に分離性については◎評価であり、液漏れ、輸送適性については〇評価となっている。またライナー層にはポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)が用いられており、ガスバリア性を具備することによって、内容物の保存性の向上に効果的である。
実施例7は、A/Bの値が0.8であって、本発明の請求項1に規定する値、特に請求項2に規定する値の範囲内である。特に分離性については◎評価であり、液漏れ、輸送適性については〇評価となっている。またライナー層にはポリプロピレンが用いられており、ポリエチレンに比べて耐熱性に優れている。
実施例8は、A/Bの値が0.8であって、本発明の請求項1に規定する値、特に請求項2に規定する値の範囲内である。特に分離性については◎評価であり、液漏れ、輸送適性については〇評価となっている。
実施例9は、A/Bの値が1.0であって、本発明の請求項1に規定する値、特に請求項2に規定する値の範囲内である。特に分離性については◎評価であり、液漏れ、輸送適性については〇評価となっている。またライナー層にはポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)が用いられており、ガスバリア性を具備することによって、内容物の保存性の向上に効果的である。
実施例10は、A/Bの値が1.1であって、本発明に規定する値の下限値である。特に分離性については◎評価であり、液漏れ、輸送適性については〇評価となっている。またライナー層はポリブチレンサクシネートであって、これは生分解性プラスチックである
ために、分別されて廃棄された後はライナー層も分解されるため、より環境適合性に優れたライナー付き紙製トレーである。
実施例11は、A/Bの値が1.5であって、本発明の請求項1に規定する値、特に請求項2に規定する値の範囲内である。特に分離性については◎評価であり、液漏れ、輸送適性については〇評価となっている。またライナー層にはポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)が用いられており、ガスバリア性を具備することによって、内容物の保存性の向上に効果的である。
実施例12は、A/Bの値が2.0であって、本発明の請求項1に規定する値の範囲内、特に請求項2に規定する値の範囲内上限である。特に分離性については◎評価であり、液漏れ、輸送適性については〇評価となっている。
実施例13は、A/Bの値が2.2であって、本発明の請求項1に規定する値の範囲内である。分離性、液漏れ、輸送適性の3項目すべてにおいて〇評価となっている。
紙基材はバリアコート紙を用いており、ガスバリア性の向上が図られ、内容物の保存性の向上に効果的である。
実施例14は、A/Bの値が2.3であって、本発明の請求項1に規定する値の範囲内である。分離性、液漏れ、輸送適性の3項目すべてにおいて〇評価となっている。またライナー層にはポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)が用いられており、ガスバリア性を具備することによって、内容物の保存性の向上に効果的である。
実施例15は、A/Bの値が2.5であって、本発明に規定する値の上限値である。分離性、液漏れ、輸送適性の3項目すべてにおいて〇評価となっている。
紙剥けの可否は〇評価であって、紙剥けは比較的少なく、ライナー層の樹脂リッチな状態が観察された。
比較例1は、A/Bの値が3.0であって、本発明に規定する値を上方に逸脱している。これによって分離性、液漏れは〇評価であるもの、輸送適性において×評価となっている。外力に対して、ライナー層と紙基材が剥離しやすい結果となった。
紙剥けの可否は〇評価であって、紙剥けは比較的少なく、ほぼライナー層の樹脂のみの状態が観察された。
比較例2は、A/Bの値が0.4であって、本発明に規定する値を下方に逸脱している。これによって分離性は×評価、液漏れ、輸送適性において〇評価となっている。紙剥けは×評価であり、ほぼ紙のみの状態が観察された。
比較例3は、A/Bの値が1.3であって、本発明の請求項1に規定する値、特に請求項2に規定する値の範囲内である。分離性については〇評価である。しかしながら液漏れ、輸送適性については×評価となっている。これは、本発明において規定する、フランジが平坦に連続している状態を逸脱するものであって、この部分が密封性を損ね、輸送などによる外力に対して脆弱となっていることを示している。
またライナー層にはポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)が用いられており、ガスバリア性を具備することによって、内容物の保存性の向上に効果的であるが、上記の理由から容器としての実用性には疑問が残る。
比較例4は、A/Bの値が1.8であって、本発明の請求項1に規定する値、特に請求項2に規定する値の範囲内である。分離性については〇評価である。しかしながら液漏れ
、輸送適性については×評価となっている。これは、本発明において規定する、フランジが平坦に連続している状態を逸脱するものであって、この部分が密封性を損ね、輸送などによる外力に対して脆弱となっていることを示している。
またライナー層にはポリエチレン系バリア多層フィルム(厚さ50μm)が用いられており、ガスバリア性を具備することによって、内容物の保存性の向上に効果的であるが、上記の理由から容器としての実用性には疑問が残る。
このようにして、本発明によればライナー付き紙製トレーを構成する紙基材とライナー層の分離、分別が容易に可能であって、かつ取り扱いや輸送による落下、振動等の外力に耐えうる十分な強度を備える、ライナー付き紙製トレーの提供が可能であることを検証することができた。
1・・・フランジ
2・・・底面
3・・・側面
5・・・積層体
6・・・紙基材
7・・・ライナー
8・・・紙剥け
9・・・矢印
10・・・ライナー付き紙製トレー
11・・・ブランク
12・・・切り込み
13・・・折り線

Claims (3)

  1. 紙を基材とするライナー付き紙製トレーであって、トレーは底面と側面と、トレー本体の周縁を囲んで平坦に連続するフランジを有して形成されており、
    トレーの構成要素のうち、少なくともフランジは、紙基材にプラスチックからなるライナー層が積層されて構成されており、
    ライナー層のプラスチックはメチレン基を有して、ヒートシール可能であり、
    ライナー層と紙基材は、紙基材の紙剥けを伴って剥離可能であって、
    剥離したライナー層の、ライナー層側からのFTIRスペクトルにおいて、
    1000cm-1~1100cm-1間にある紙基材由来のC-O伸縮振動によるピークトップA(%T)と、
    2500cm-1~3000cm-1間にあるライナー層由来のC-H伸縮振動によるピークトップB(%T)との比が
    0.50≦A/B≦2.5
    の範囲であることを特徴とする、ライナー付き紙製トレー。
  2. 前記剥離したライナー層の、ライナー層側からのFTIRスペクトルにおいて、
    1000cm-1~1100cm-1間にある紙基材由来のC-O伸縮振動によるピークトップA(%T)と、
    2500cm-1~3000cm-1間にあるライナー層由来のC-H伸縮振動によるピークトップB(%T)との比が
    0.80≦A/B≦2.0
    の範囲であることを特徴とする、請求項1に記載のライナー付き紙製トレー。
  3. 前記紙基材は、坪量40g/m~400g/mの板紙からなることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のライナー付き紙製トレー。
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