特許文献1の車両用シートでは、乗員に加わる横加速度が大きくなり、支持抵抗が乗員に加わる慣性力に対抗することができなくなると、乗員の上半身が慣性力に従って移動し、乗員の上半身が横揺れを十分に抑制できなくなる虞がある。
本発明は、以上の背景を鑑み、車両用シートにおいて、乗員の上半身の横揺れを抑制することを課題とする。
上記課題を解決するために、シートクッション(5)及びシートバック(6、52)を有し、車両(S)に搭載される車両用シート(1、51、81、101、201、301、401、501)であって、着座した乗員の上半身の少なくとも一部を左右側方から選択的に拘束するべく前記シートバックを変形させる駆動部(21、53、83)を備えることを特徴とする。
この構成によれば、乗員の上半身が左右側方から拘束されるため、乗員の上半身の横揺れがより確実に抑制できる。
また、上記の態様において前記乗員に加わる横加速度を取得する横加速度取得部(32、102、203)と、前記横加速度取得部により取得された前記横加速度に基づいて、前記駆動部に前記乗員の前記上半身に加わる慣性力に抗するように前記シートバックを変形させる制御部(22)とを有するとよい。
この構成によれば、車両に加わる横加速度によって、横揺れの原因となる慣性力が乗員に加わることを検知することができる。これにより、乗員の上半身が横揺れするタイミングに合わせて乗員の上半身を支持することができ、乗員の上半身の横揺れをより効果的に防止することができる。
また、上記の態様において、前記駆動部は前記シートバックの内部に設けられ、給気によって前記シートバックの前面を前記乗員の肩の左右外方又は腰の左右外方において前方に突出させる左右一対のエアセル(25)と、左右の前記エアセルそれぞれへの給気、及び排気を行う給排装置(26)とを有し、前記制御部は前記横加速度が右方向であるときには、前記給排装置によって左側の前記エアセルに給気し、前記横加速度が左方向であるときには、前記給排装置によって右側の前記エアセルに給気するとよい。
この構成によれば、エアセル、及びエアセルへの給気及び排気を行うための配管をシートバックに設けることによってシートバックを変形させることができ、駆動部の構成が簡素である。
また、上記の態様において、前記シートバックは前記乗員の背中を支持するシートバック本体(55)と、前記シートバック本体の左右側面それぞれに結合された左右一対の規制部材(56)とを有し、前記駆動部は給気によって左右の前記規制部材のシート内方の側面をそれぞれシート内方に突出させる左右一対のエアセル(61)と、左右の前記エアセルそれぞれへの給気、及び排気を行う給排装置(62)とを有し、前記制御部は前記横加速度が右方向であるときには、前記給排装置によって左側の前記エアセルに給気し、前記横加速度が左方向であるときには、前記給排装置によって右側の前記エアセルに給気するとよい。
この構成によれば、乗員の左右側方にそれぞれ規制部材が設けられることで、乗員の上半身の左右方向への移動が規制される。更に、横加速度が加わると、乗員の移動方向の側に位置する規制部材がシート内方に突出し、乗員に慣性力に対抗する荷重を加える。これにより、規制部材によって乗員の上半身が支持されるため、乗員の上半身の横揺れを防止することができる。
また、上記の態様において、前記規制部材のシート内方の側面にはそれぞれ前記乗員への接触を検知するタッチセンサ(70)が設けられ、前記制御部は前記横加速度が右方向であるときには、左側の前記タッチセンサによって前記接触が検知されるまで前記給排装置によって左側の前記エアセルに給気し、前記横加速度が左方向であるときには、右側の前記タッチセンサによって前記接触が検知されるまで前記給排装置によって右側の前記エアセルに給気するとよい。
この構成によれば、タッチセンサからの信号に基づいて、乗員の体格に合わせて、規制部材のシート内方への突出量を調節することができる。
また、上記の態様において、前記駆動部は前記シートバックの内部に設けられ、排気されることによって前記シートバックの前面を凹ませる袋体(84)と、前記袋体に給気可能、且つ前記袋体を排気可能な給排装置(85)とを含み、前記制御部は、前記横加速度取得部によって取得された前記横加速度が所定の閾値以上であるときに、前記給排装置を駆動させるとよい。
この構成によれば、横加速度が閾値以上であるときに、給排装置によって袋体が排気されてシートバックの前面が後方に凹む。これにより、シートバックに凹部が形成され、乗員の上半身がその凹部に受容される。これにより、乗員の上半身の左右方向への移動が規制されて、乗員の上半身の横揺れが防止される。
また、上記の態様において、前記横加速度取得部(32)は、前記シートバック又は前記シートクッションに設けられた加速度センサ(33)、前記車両の操舵角を取得する舵角センサ(105)、又は前記車両に搭載され、地図情報、前記車両の位置、及び前記車両の走行スケジュールを保持するカーナビゲーションシステム(202)のいずれか1つを含むとよい。
この構成によれば、着座した乗員に加わる横加速度の向きを取得することができ、乗員の上半身が慣性力によって移動する方向、及び慣性力が加わるタイミングに合わせて、乗員の上半身を支持することができる。
また、上記の態様において、前記シートクッション又は前記シートバックに設けられ、前記乗員の着座を検知する着座センサと、前記着座センサにより前記乗員の着座が検知されたときに、前記駆動部に前記乗員の前記上半身を左右両側方から拘束すべく前記シートバックを変形させる制御部とを有するとよい。
この構成によれば、乗員が着座したときに乗員の上半身が左右両側方から拘束されるため、車両走行時に乗員の上半身の横揺れを防止することができる。
また、上記の態様において、前記駆動部は前記シートバックの内部に設けられ、排気されることによって前記シートバックの前面を凹ませる袋体と、前記袋体に給気可能、且つ前記袋体を排気可能な給排装置とを含み、前記乗員の着座が検知されているときには、前記制御部は前記給排装置に前記袋体を排気させるとよい。
この構成によれば、乗員が着座すると給排装置によって袋体が排気されてシートバックの前面が後方に凹む。これにより、シートバックに凹部が形成され、乗員の上半身がその凹部に受容される。これにより、乗員の上半身の左右方向の移動が規制されて、乗員の上半身の横揺れを防止することができる。
また、上記の態様において、前記駆動部は、前記シートバックの内部に設けられ、内部に複数の球状体を収容する袋体と、前記袋体の内部に給気可能且つ前記袋体の内部を排気可能な給排装置とを含み、前記乗員の着座が検知されたときに、前記制御部は前記駆動部に前記袋体を排気させるとよい。
この構成によれば、乗員が着座するとシートバックは乗員からの荷重によって変形し、その前面に乗員の上半身の形状に適合する凹部が形成される。袋体が排気されると、球状体は互いに密着し、袋体は変形し難くなる。これにより、乗員の上半身に横加速度による慣性力が加わると、凹部を画定する壁面から慣性力に抗する荷重が加えられる。これにより、乗員の上半身の横揺れを防止することができる。
また、上記の態様において、前記シートバックは前記乗員の背中を支持するシートバック本体と、前記シートバック本体の左右側面それぞれに結合された左右一対の規制部材とを有し、前記駆動部は給気によって左右の前記規制部材のシート内方の側面をそれぞれシート内方に突出させる左右一対のエアセルと、左右の前記エアセルそれぞれへの給気、及び排気を行う給排装置とを有し、前記規制部材のシート内方の側面にはそれぞれ前記乗員への接触を検知するタッチセンサが設けられ、前記制御部は前記着座センサによって前記乗員の着座が検知されたときに、左右両側の前記タッチセンサによって前記接触が検知されるまで前記給排装置によって左右両側の前記エアセルにそれぞれ給気させた後、所定時間に渡って前記給排装置によって左右の前記エアセルをそれぞれ排気させるとよい。
この構成によれば、乗員が着座すると乗員に当接するまで左右のエアセルがそれぞれ膨張する。左右のエアセルは膨張した後に所定時間排気されるため、規制部材のシート内方の側面と乗員との間に隙間が形成される。このように規制部材がシート内方に突出して、乗員の左右近傍に配置されることで、乗員の上半身の左右方向の移動が規制されるため、乗員の上半身の横揺れが防止できる。更に、左右のエアセルが所定時間排気されて、規制部材のシート内方の側面が乗員から若干離間するため、乗員に規制部材が常に接触することがなく、乗員に与える圧迫感が低減される。
また、上記の態様において、前記駆動部は前記シートバックの内部に設けられ、給気によって前記シートバックの前面を前記乗員の肩の左右外方又は腰の左右外方において前方に突出させる左右一対のエアセルと、左右の前記エアセルそれぞれへの給気、及び排気を行う給排装置とを有し、前記エアセルの前方の前記シートバックの前面にはそれぞれ前記乗員への接触を検知するタッチセンサ(503)が設けられ、前記制御部は前記着座センサによって前記乗員の着座が検知されたときに、左右両側の前記タッチセンサによって前記接触が検知されるまで前記給排装置によって左右両側の前記エアセルにそれぞれ給気させた後、所定時間に渡って前記給排装置によって左右の前記エアセルをそれぞれ排気させるとよい。
この構成によれば、乗員の肩又は腰の左右側方においてシートバックの前面が突出する。これにより、乗員の左右方向の移動が規制される。タッチセンサによって接触が検知された後に所定時間に渡ってエアセルが排気されることによって、シートバックの前面が突出することによって形成された壁体と乗員との間には隙間が形成されるため、乗員に与える圧迫感が低減される。
また、上記の態様において、前記シートクッション及び前記シートバックはそれぞれ骨格を形成するフレーム(12、13)と、前記フレームに支持されたパッド部材(14、15)と、前記パッド部材の表面の少なくとも一部を覆う表皮材(16、17)とを含むとよい。
この構成によれば、フレームを設けることで、車両用シートに乗員を支持するのに十分な剛性を持たせることができ、パッド部材及び表皮材を設けることで、乗員が着座し易くなる。
上記課題を解決するために、シートクッション及びシートバックを有し、車両に搭載される車両用シートであって、着座した乗員の上半身の少なくとも一部を左右側方から選択的に拘束するべくシートバックを変形させる駆動部を備える。この構成によれば、乗員の上半身が左右側方から拘束されるため、乗員の上半身の横揺れがより確実に抑制できる。
また、上記の態様において乗員に加わる横加速度を取得する横加速度取得部と、横加速度取得部により取得された横加速度に基づいて、駆動部に乗員の上半身に加わる慣性力に抗するようにシートバックを変形させる制御部とを有する。この構成によれば、車両に加わる横加速度によって、横揺れの原因となる慣性力が乗員に加わることを検知することができる。これにより、乗員の上半身が横揺れするタイミングに合わせて乗員の上半身を支持することができ、乗員の上半身の横揺れをより効果的に防止することができる。
また、上記の態様において、駆動部はシートバックの内部に設けられ、給気によってシートバックの前面を乗員の肩の左右外方又は腰の左右外方において前方に突出させる左右一対のエアセルと、左右のエアセルそれぞれへの給気、及び排気を行う給排装置とを有し、制御部は横加速度が右方向であるときには、給排装置によって左側のエアセルに給気し、横加速度が左方向であるときには、給排装置によって右側のエアセルに給気する。この構成によれば、エアセル、及びエアセルへの給気及び排気を行うための配管をシートバックに設けることによってシートバックを変形させることができ、駆動部の構成が簡素である。
また、上記の態様において、シートバックは乗員の背中を支持するシートバック本体と、シートバック本体の左右側面それぞれに結合された左右一対の規制部材とを有し、駆動部は給気によって左右の規制部材のシート内方の側面をそれぞれシート内方に突出させる左右一対のエアセルと、左右のエアセルそれぞれへの給気、及び排気を行う給排装置とを有し、制御部は横加速度が右方向であるときには、給排装置によって左側のエアセルに給気し、横加速度が左方向であるときには、給排装置によって右側のエアセルに給気する。この構成によれば、乗員の左右側方にそれぞれ規制部材が設けられることで、乗員の上半身の左右方向への移動が規制される。更に、横加速度が加わると、乗員の移動方向の側に位置する規制部材がシート内方に突出し、乗員に慣性力に対抗する荷重を加える。これにより、規制部材によって乗員の上半身が支持されるため、乗員の上半身の横揺れを防止することができる。
また、上記の態様において、規制部材のシート内方の側面にはそれぞれ乗員への接触を検知するタッチセンサが設けられ、制御部は横加速度が右方向であるときには、左側のタッチセンサによって接触が検知されるまで給排装置によって左側のエアセルに給気し、横加速度が左方向であるときには、右側のタッチセンサによって接触が検知されるまで給排装置によって右側のエアセルに給気する。この構成によれば、タッチセンサからの信号に基づいて、乗員の体格に合わせて、規制部材のシート内方への突出量を調節することができる。
また、上記の態様において、駆動部はシートバックの内部に設けられ、排気されることによってシートバックの前面を凹ませる袋体と、袋体に給気可能、且つ袋体を排気可能な給排装置とを含み、制御部は、横加速度取得部によって取得された横加速度が所定の閾値以上であるときに、給排装置を駆動させる。この構成によれば、横加速度が閾値以上であるときに、給排装置によって袋体が排気されてシートバックの前面が後方に凹む。これにより、シートバックに凹部が形成され、乗員の上半身がその凹部に受容される。これにより、乗員の上半身の左右方向への移動が規制されて、乗員の上半身の横揺れが防止される。
また、上記の態様において、横加速度取得部は、シートバック又はシートクッションに設けられた加速度センサ、車両の操舵角を取得する舵角センサ、又は車両に搭載され、地図情報、車両の位置、及び車両の走行スケジュールを保持するカーナビゲーションシステムのいずれか1つを含む。この構成によれば、着座した乗員に加わる横加速度の向きを取得することができ、乗員の上半身が慣性力によって移動する方向、及び慣性力が加わるタイミングに合わせて、乗員の上半身を支持することができる。
また、上記の態様において、シートクッション又はシートバックに設けられ、乗員の着座を検知する着座センサと、着座センサにより乗員の着座が検知されたときに、駆動部に乗員の上半身を左右両側方から拘束すべくシートバックを変形させる制御部とを有する。この構成によれば、乗員が着座したときに乗員の上半身が左右両側方から拘束されるため、車両走行時に乗員の上半身の横揺れを防止することができる。
また、上記の態様において、駆動部はシートバックの内部に設けられ、排気されることによってシートバックの前面を凹ませる袋体と、袋体に給気可能、且つ袋体を排気可能な給排装置とを含み、乗員の着座が検知されているときには、制御部は給排装置に袋体を排気させる。この構成によれば、乗員が着座すると給排装置によって袋体が排気されてシートバックの前面が後方に凹む。これにより、シートバックに凹部が形成され、乗員の上半身がその凹部に受容される。これにより、乗員の上半身の左右方向の移動が規制されて、乗員の上半身の横揺れを防止することができる。
また、上記の態様において、駆動部は、シートバックの内部に設けられ、内部に複数の球状体を収容する袋体と、袋体の内部に給気可能且つ袋体の内部を排気可能な給排装置とを含み、乗員の着座が検知されたときに、制御部は駆動部に袋体を排気させる。この構成によれば、乗員が着座するとシートバックは乗員からの荷重によって変形し、その前面に乗員の上半身の形状に適合する凹部が形成される。袋体が排気されると、球状体は互いに密着し、袋体は変形し難くなる。これにより、乗員の上半身に横加速度による慣性力が加わると、凹部を画定する壁面から慣性力に抗する荷重が加えられる。これにより、乗員の上半身の横揺れを防止することができる。
また、上記の態様において、シートバックは乗員の背中を支持するシートバック本体と、シートバック本体の左右側面それぞれに結合された左右一対の規制部材とを有し、駆動部は給気によって左右の規制部材のシート内方の側面をそれぞれシート内方に突出させる左右一対のエアセルと、左右のエアセルそれぞれへの給気、及び排気を行う給排装置とを有し、規制部材のシート内方の側面にはそれぞれ乗員への接触を検知するタッチセンサが設けられ、制御部は着座センサによって乗員の着座が検知されたときに、左右両側のタッチセンサによって接触が検知されるまで給排装置によって左右両側のエアセルにそれぞれ給気させた後、所定時間に渡って給排装置によって左右のエアセルをそれぞれ排気させる。この構成によれば、乗員が着座すると乗員に当接するまで左右のエアセルがそれぞれ膨張する。左右のエアセルは膨張した後に所定時間排気されるため、規制部材のシート内方の側面と乗員との間に隙間が形成される。このように規制部材がシート内方に突出して、乗員の左右近傍に配置されることで、乗員の上半身の左右方向の移動が規制されるため、乗員の上半身の横揺れが防止できる。更に、左右のエアセルが所定時間排気されて、規制部材のシート内方の側面が乗員から若干離間するため、乗員に規制部材が常に接触することがなく、乗員に与える圧迫感が低減される。
また、上記の態様において、駆動部はシートバックの内部に設けられ、給気によってシートバックの前面を乗員の肩の左右外方又は腰の左右外方において前方に突出させる左右一対のエアセルと、左右のエアセルそれぞれへの給気、及び排気を行う給排装置とを有し、エアセルの前方のシートバックの前面にはそれぞれ乗員への接触を検知するタッチセンサが設けられ、制御部は着座センサによって乗員の着座が検知されたときに、左右両側のタッチセンサによって接触が検知されるまで給排装置によって左右両側のエアセルにそれぞれ給気させた後、所定時間に渡って給排装置によって左右のエアセルをそれぞれ排気させる。この構成によれば、乗員の肩又は腰の左右側方においてシートバックの前面が突出する。これにより、乗員の左右方向の移動が規制される。タッチセンサによって接触が検知された後に所定時間に渡ってエアセルが排気されることによって、シートバックの前面が突出することによって形成された壁体と乗員との間には隙間が形成されるため、乗員に与える圧迫感が低減される。
また、上記の態様において、シートクッション及びシートバックはそれぞれ骨格を形成するフレームと、フレームに支持されたパッド部材と、パッド部材の表面の少なくとも一部を覆う表皮材とを含む。この構成によれば、フレームを設けることで、車両用シートに乗員を支持するのに十分な剛性を持たせることができ、パッド部材及び表皮材を設けることで、乗員が着座し易くなる。
以下、図面を参照して、本発明に係る車両用シートを自動車等の車両のシートに配置した実施形態を説明する。
<<第1実施形態>>
車両用シート1は自動車等の車両S(図11参照)において、運転席の側方に配置され、助手席を構成している。図1に示すように、車両用シート1は車室2の底部を画定するフロア3上に、車両Sの前方を向く(より詳細には着座した乗員が車両Sの前方に向く)ように載置されている。車両用シート1はフロア3に前後にスライド移動可能に支持されている。以下では、車両用シート1に着座した乗員から見た方向を基準として、前後、左右、及び上下方向をそれぞれ定めて、説明を行う。
車両用シート1は着座者の臀部を支持するシートクッション5と、シートクッション5の後部に設けられ、背凭れとして機能するシートバック6と、各シートバック6の上部に設けられたヘッドレスト7とを備えている。
シートクッション5は略上下方向を向く面を有する略直方体状をなしている。シートクッション5の上面は乗員1人分の着座面9を構成している。着座面9は左右方向略中央において下方に凹み、後方に向かってやや下方に傾斜している。これにより、着座面9は乗員の臀部及び大腿部に対応する形状をなしている。乗員が着座するときには、着座面9には乗員の臀部及び大腿部が配置される。
シートバック6は上下に延び、略前後方向を向く面を有する略直方体状をなしている。シートバック6の前面は乗員の背中を支持する支持面10を構成している。支持面10は左右方向略中央において後方に凹み、上方に向かってやや後方に傾斜している。これにより、支持面10は乗員の背中に対応する形状をなし、支持面10によって着座した乗員の背中が支持される。
シートバック6はその下端において、公知のリクライニング機構を介して、シートクッション5の後端に回動可能に枢支されている。すなわち、シートバック6はそれぞれ下端において、シートクッション5の後端に前倒可能且つ後倒可能に結合されている。
ヘッドレスト7は、シートバック6の上端に2つのピラー11を介して接続されている。ヘッドレスト7は着座した乗員の頭部の後方に配置されている。
図2に示すように、シートクッション5及びシートバック6はそれぞれ骨格を形成するフレーム12、13と、フレーム12、13にそれぞれ支持されたパッド部材14、15と、パッド部材14、15それぞれの表面の少なくとも一部を覆う表皮材16、17とを含む。シートクッション5及びシートバック6のフレーム12、13はそれぞれ金属製であり、略四角枠型に形成されている。シートクッション5のパッド部材15は対応するフレーム12の上側に配置され、その上面が表皮材16によって覆われている。シートバック6のパッド部材15は対応するフレーム13の前面に配置され、その前面が表皮材17によって覆われている。このように、シートクッション5及びシートバック6にフレーム12、13を設けることで、車両用シート1に乗員を支持するのに十分な剛性を持たせることができる。また、パッド部材14、15及び表皮材16、17を設けることで、着座面9や支持面10に好適な弾性や質感を持たせることができるため、乗員が着座し易くなり、車両用シート1の快適性が向上する。
シートバック6にはシートバック6の形状を変形させる駆動部21と、駆動部21の駆動を制御する制御部22とが設けられている。駆動部21は左右一対のエアセル25と、左右のエアセル25にそれぞれ給排気を行う給排装置26とを含む。
エアセル25はそれぞれ非通気性の袋状の部材であり、好ましくはゴム等の伸縮性を有する素材によって形成されているとよい。エアセル25はそれぞれ正面視で着座した乗員の肩の左右外方(図1の破線参照)に位置し、図3(A)に示すように、パッド部材15及び表皮材17の間に配置されている。シートバック6の内部には一端側においてそれぞれエアセル25に接続し、パッド部材15を貫通して、シートバック6の背面下部においてそれぞれ独立に開口する給排気管27が左右一対設けられている。以下では、必要に応じて、左側に設けられたエアセル25を左エアセル25Lと記載し、右側に設けられたエアセル25を右エアセル25Rと記載する。
図3(B)に示すように、エアセル25はそれぞれ、その内部に空気が供給される、すなわち給気されることによって前方に膨張し、シートバック6の前面を前方に突出するように変形させる。エアセル25はそれぞれシートバック6の前面が乗員の肩の左右側方において突出して乗員の左右方向の移動を防止する壁体28を形成するまで膨張可能である。
本実施形態では、エアセル25は排気されると、正面視で略方形をなし、前後方向に圧縮される。エアセル25は給気されたときに、図3(B)の矢印に示すように、上面視でシート内方の縁部を要とする扇状に展開する。本実施形態では、図1に示すように、エアセル25の膨張が阻害されないように、シートバック6の表皮材17にはエアセル25の左右外縁、及び上下縁に沿ってスリット29が左右一対設けられている。図3(A)及び(B)に示すように、エアセル25の前面と表皮材17の裏面とは互いに接着され、エアセル25の後面はパッド部材15の前面に接着されている。
給排装置26は、図1に示すように、シートバック6の背面上部に固定されている。図3に示すように、給排装置26は2つの給排気口30を備え、各給排気口30から個別に給気可能であり、各給排気口30から個別に排気可能な空気ポンプである。給排気口30はそれぞれ異なる給排気管27に接続され、給排装置26は給排気管27を介して、左右のエアセル25に個別に給気し、左右のエアセル25を個別に排気することができる。給排装置26がエアセル25に給気するときには、給排装置26はエアセル25の内圧が所定の圧力となるように上昇させる。エアセル25の内圧が所定の圧力となっているときには、図3(B)に示すように、乗員の肩のシート外方にそれぞれ壁体28が形成される。その後、給排装置26は排気の指示を受信するまで、エアセル25の内圧を維持する。
図1に示すように、シートクッション5の下面にはシートクッション5の左右方向の加速度(以下、横加速度)、すなわち車両用シート1に着座した乗員に加わる横加速度を大きさ及び向きを含めて取得する横加速度取得部32が設けられている。横加速度取得部32は、例えば、横加速度を例えば右向きを正、左向きを負として出力するように構成されている。横加速度取得部32はMEMS技術を用いた半導体式の加速度センサ33を含んでいる。本実施形態では加速度センサ33は梁によって支持された可動部の変位を静電容量の変化として読み取ることで加速度を検出する、いわゆる静電容量型のセンサである。但し、加速度センサ33はこの態様には限定されず、例えば、ピエゾ抵抗の変化を用いて加速度を検出する圧電素子型のセンサであってもよい。
このように、横加速度取得部32はシートクッション5に設けられているため、横加速度取得部32が着座した乗員の近傍に位置し、乗員に加わる慣性力の大きさ及び向きを正確且つ簡便に取得することができる。
制御部22は中央演算処理装置(CPU)や記憶装置(メモリ)等を備えたコンピュータであり、シートクッション5の下面に結合されている。制御部22は横加速度取得部32及び給排装置26に信号線を介して接続され、制御部22は横加速度取得部32から横加速度の向き及び大きさの情報を受信し、給排装置26に左右のエアセル25のいずれか一方、又は両方を指定して、指定したエアセル25への給気又は排気を実行させる。
但し、指定されたエアセル25に給気しているときに、制御部22によって当該エアセル25への給気を指示されたときには、給排装置26は当該エアセル25への給気を継続し、エアセル25の内圧を所定の圧力に維持する。また、指定されたエアセル25に排気しているときに、制御部22によって当該エアセル25への排気を指示されたときには、給排装置26は当該エアセル25への排気を継続する。
車両Sが駆動しているときには、制御部22は横加速度取得部32によって取得された横加速度に基づいて、給排装置26の動作を制御する第1エアセル制御処理を実行する。以下に、図4を参照して第1エアセル制御処理の詳細を説明する。
第1エアセル制御処理の最初のステップST1において、制御部22は横加速度取得部32からの信号を受信して、車両用シート1に加わる横加速度の大きさ(絶対値)が所定の閾値(以下、横加速度閾値)以上であるかを判定する。横加速度の大きさが横加速度閾値以上であるときにはステップST2を実行し、横加速度の大きさが横加速度閾値未満であるときにはステップST3を実行する。横加速度閾値は一般的に乗員の乗物酔いが発生し易くなる横加速度の閾値として設定されている。
ステップST2において、制御部22は取得した横加速度の向きを判定し、横加速度の向きが右向きである場合にはステップST4を実行し、横加速度の向きが左向きである場合にはステップST5を実行する。横加速度取得部32が横加速度を例えば右向きを正、左向きを負として出力するときには、制御部22は横加速度の正負によって横加速度の向きを判定するとよい。
ステップST4において、制御部22は給排装置26に左エアセル25Lに給気させ、右エアセル25Rを排気させる。その後、制御部22はステップST4を完了し、第1エアセル制御処理を終了する。
ステップST5において、制御部22は給排装置26に右エアセル25Rに給気させ、左エアセル25Lを排気させる。その後、制御部22はステップST5を完了し、第1エアセル制御処理を終了する。
ステップST3において、制御部22は給排装置26に右エアセル25R及び左エアセル25Lを排気させる。その後、制御部22はステップST4を完了し、第1エアセル制御処理を終了する。
次に、このように構成した車両用シート1の動作及び効果について説明する。車両Sの旋回等によって、車両用シート1には左右方向の加速度が加わることがある。
車両用シート1に右方向に横加速度閾値以上の加速度が加わっているときには、制御部22はステップST1、ステップST2、及びステップST4を順次実行する。制御部22はステップST4において、制御部22は給排装置26に左エアセル25Lに給気させ、右エアセル25Rを排気させる。これにより、シートバック6の前面が乗員の左肩の左方において前方に突出し、乗員の左肩の左外方に壁体28が設けられる(図3(B)参照)。
このとき、乗員の上半身には加速度とは逆向き、すなわち左方向の慣性力が加わる。これにより、乗員の上半身は左方向に移動し、壁体28に当接する。乗員には壁体から慣性力に抗するように荷重が加えられて、乗員の上半身は壁体28によって支持される。
また、車両Sの旋回等によって、車両用シート1に左方向に横加速度閾値以上の加速度が加わっているときには、制御部22はステップST1、ステップST2、及びステップST5を実行し、給排装置26に右エアセル25Rに給気させ、左エアセル25Lを排気させる。これにより、シートバック6の前面が乗員の右肩の右方において前方に突出し、乗員の右肩の右外方に壁体28が設けられる。
乗員の上半身には右方向の慣性力が加わる。これにより、乗員の上半身は右方向に移動し、壁体28に当接する。乗員には壁体28から慣性力に抗するように荷重が加えられて、乗員の上半身は壁体28によって支持される。
このように、横加速度閾値以上の横加速度が加わると、シートバック6には乗員の慣性力に従って移動する側の肩の外方において壁体28が形成される。これにより、壁体28から慣性力に抗する荷重が乗員に加えられて乗員が支持される。このように、横加速度に基づいて乗員の慣性力に従って移動する側が選択され、乗員の上半身を選択された側から(すなわち、選択的に)拘束するように壁体28が形成される。形成された壁体28によって乗員の上半身が支持されることで乗員の上半身の横揺れが防止され、乗員の姿勢が安定する。これにより、乗物酔いを防止することができる。
また、横加速度が横加速度閾値未満であるときにはエアセル25は排気され、横加速度が横加速度閾値以上であるときには左右のエアセル25の一方が膨張し、乗員の肩の左右外方の一方側に壁体28が形成される。このように、壁体28は乗員の上半身を支持する必要があるときに形成されるため、乗員の左右外方にそれぞれに常に壁体28が形成される場合に比べて、乗員が受ける圧迫感を低減することができる。
シートバック6を変形させるためにはシートバック6にエアセル25と、エアセル25への給気及び排気を行うための給排気管27を設ければよく、例えば複数のリンクを用いてシートバック6を変形させる構成に比べて、駆動部21の構成が簡素である。
<<第2実施形態>>
第2実施形態に係る車両用シート51はシートバック52の構成、駆動部53の構成、及び制御部22が行う処理が第1実施形態とは異なり、他の構成については第1実施形態と同様であるため、他の構成については説明を省略する。
図5に示すように、シートバック52は、上下に延び、略前後方向を向く面を有する略直方体状のシートバック本体55と、シートバック本体55の左右側面にそれぞれ結合された左右一対の規制部材56とを含む。
シートバック本体55は第1実施形態のシートバック6と同形をなし、骨格を形成する略四角枠型の金属製のフレーム13と、フレーム13に支持されたパッド部材15と、パッド部材15の表面の少なくとも一部を覆う表皮材17とを含む(図2参照)。シートバック本体55の前面は乗員の背中を支持する支持面10を構成している。
規制部材56はそれぞれ車幅方向を向く主面を有して、前後に延在する板状をなしている。規制部材56は後端においてシートバック本体55の左右側面に固定されている。規制部材56はシートバック本体55の前面よりも前方に延びている。
駆動部53は左右の規制部材56の内部それぞれに設けられた一対のエアセル61と、エアセル61にそれぞれ給排気を行う左右一対の給排装置62とを含む。エアセル61は第1実施形態と同様にそれぞれ非通気性の袋状の部材であり、シートバック本体55の前面よりも前方において規制部材56の内部に収容されている。以下では、必要に応じて、左側の規制部材56を左規制部材56Lと記載し、右側の規制部材56を右規制部材56Rと記載する。また、左規制部材56Lに設けられたエアセル61を左エアセル61Lと記載し、右規制部材56Rに設けられたエアセル61を右エアセル61Rと記載する。また、左規制部材56Lに設けられた給排装置62を左給排装置62Lと記載し、右側の規制部材56に設けられた給排装置62を右給排装置62Rと記載する。
本実施形態では、規制部材56はそれぞれ図6(A)に示すように、前後に延在し、その前部に内部にエアセル61を収容する収容凹部64を備えた規制部材本体65と、エアセル61をシート内方から覆うキャップ部材66とを含む。規制部材本体65は樹脂製の部材であり、車幅方向を向く主面を有する板状をなしている。規制部材本体65はそれぞれ後端においてシートバック本体55の左右側面に固定されている。収容凹部64は規制部材本体65のシート内方の側面においてシート外方に凹むように形成された凹部であり、それぞれシートバック本体55の前面よりも前側に位置している。
規制部材本体65にはそれぞれ収容凹部64から後端に延びる貫通孔67が設けられ、その貫通孔67には給排気管68が収容されている。給排気管68は一端側においてエアセル61に接続され、貫通孔67を通過して、規制部材本体65の後端において開口している。給排装置62は規制部材56の後端に結合され、給排気管68は他端側において給排装置62に接続されている。図6(B)に示すように、エアセル61はそれぞれ給排装置62によって給気されることによってシート内方に膨張し、規制部材56のシート内方の側面をそれぞれシート内方に突出するように変形させる。
キャップ部材66はそれぞれ左右方向を向く主面を有する板状をなし、対応する収容凹部64に嵌め込まれている。キャップ部材66のシート外方の側面はエアセル61に接着され、エアセル61は収容凹部64の底面に接着されている。
キャップ部材66のシート内側の側面にはそれぞれタッチセンサ70が設けられている。タッチセンサ70はシート内側からの乗員の接触を検知するセンサである。本実施形態では、タッチセンサ70はシート内側の側面に電極を備え、その電極と接地との間の静電容量の変化を読み取ることで、電極への乗員の接触(タッチ)を検知する静電容量方式のセンサである。但し、タッチセンサ70はこの態様には限定されず、例えば抵抗膜方式のセンサであってもよい。以下では、左規制部材56Lのキャップ部材66に設けられたタッチセンサ70を左タッチセンサ70L、右規制部材56Rのキャップ部材66に設けられたタッチセンサ70を右タッチセンサ70Rと記載する。
制御部22は横加速度取得部32及び左右のタッチセンサ70からの信号に基づいて、給排装置62を制御する第2エアセル制御処理を行う。以下では、図7を参照して第2エアセル制御処理の詳細について説明する。
図7に示すように、制御部22は第2エアセル制御処理の最初のステップST11において、制御部22は横加速度取得部32から車両用シート51に加わる横加速度を取得し、大きさが横加速度閾値以上であるかを判定する。横加速度閾値以上であるときにはステップST12を実行し、横加速度閾値未満であるときにはステップST13を実行する。
制御部22はステップST12において横加速度の向きが右方向であるかを判定する。右方向であるときにはステップST14を実行し、左方向であるときにはステップST17を実行する。
制御部22はステップST14において左給排装置62Lに指示して、左エアセル61Lに給気する。その後、制御部22はステップST15を実行する。
制御部22はステップST15において左タッチセンサ70Lによって接触が検知されたかを判定する。接触が検知されたときにはステップST16を実行し、検知されていないときにはステップST14に戻る。
制御部22はステップST16において右給排装置62Rに指示して、右エアセル61Rを排気する。排気が完了すると、制御部22は第2エアセル制御処理を終了する。
制御部22はステップST17において右給排装置62Rに指示して、右エアセル61Rに給気する。その後、制御部22はステップST18を実行する。
制御部22はステップST18において右タッチセンサ70Rによって接触が検知されたかを判定する。接触が検知されたときにはステップST19を実行し、検知されていないときにはステップST14に戻る。
制御部22はステップST19において左給排装置62Lに指示して、左エアセル61Lを排気する。排気が完了すると、制御部22は第2エアセル制御処理を終了する。
制御部22はステップST13において左排気装置及び右排気装置に指示し、左エアセル61L及び右エアセル61Rを排気する。左エアセル61L及び右エアセル61Rの排気が完了すると、制御部22は第2エアセル制御処理を終了する。
次に第2実施形態に係る車両用シート51の動作及び効果について説明する。乗員の左右側方には規制部材56が設けられているため、乗員の上半身の左右方向への移動を規制することができる。
車両用シート51に右方向に横加速度閾値以上の加速度が加わっているときには、乗員の上半身には左方向の慣性力が加わる。このとき、制御部22はステップST11、ステップST12を経た後、ステップST14及び15を繰り返し行うことで、制御部22は左タッチセンサ70Lによって接触が検知されるまで左給排装置62Lに左エアセル61Lへ給気させる。これにより、左タッチセンサ70Lが乗員に触れるまで、すなわち左規制部材56Lの左側面が乗員に触れるまで左エアセル61Lが膨張する。左規制部材56Lの膨張によって乗員の上半身が支持されて、慣性力に抗する荷重が乗員に加えられる(図6(B)参照)。
車両用シート51に左方向に横加速度閾値以上の加速度が加わっているときには、乗員の上半身には右方向の慣性力が加わる。このとき、制御部22はステップST11、ステップST12を経た後、ステップST17及び18を繰り返し行うことで、制御部22は右タッチセンサ70Rによって接触が検知されるまで右給排装置62Rに右エアセル61Rへ給気させる。これにより、右タッチセンサ70Rが乗員に触れるまで、すなわち右規制部材56Rの右側面が乗員に触れるまで右エアセル61Rが膨張する。右規制部材56Rの膨張によって乗員の上半身が支持されて、乗員に慣性力に抗する荷重が乗員に加えられる。
このように、慣性力に抗する荷重を乗員に加えるべく、乗員の移動方向の側に位置する規制部材56がシート内方に突出し、乗員に慣性力に対抗する荷重を加える。これにより、乗員の上半身が支持されて、乗員の上半身の横揺れが防止される。
本実施形態では、タッチセンサ70によって乗員への接触が検知されるまで、規制部材56がシート内方に膨張する。これにより、着座した乗員の体格が小さい場合であっても乗員を確実に支持することができるため、乗員の体格に依らず、乗員の上半身の横揺れを防止することができる。
<<第3実施形態>>
第3実施形態に係る車両用シート81は、駆動部83の構成、及び制御部22が実行する制御処理が第1実施形態とは異なり、他の部分については第1実施形態と同様であるため、他の部分については説明を省略する。
図8に示すように、駆動部83は1つの袋体84と、1つの給排装置85とを備える。袋体84はシートバック6の前面に設けられた表皮材17の裏面とパッド部材15の前面との間に配置されている。袋体84は正面視でシートバック6の左右方向略中央部、且つ上下方向略中央部に位置し、且つ着座した乗員の背中の後方に配置されている。袋体84は非通気性であり、ゴム等の伸縮性のある樹脂製の素材によって形成されているとよい。
図9(A)に示すように、袋体84の内部には、樹脂製の球状体86が多数充填されている。袋体84には内部を排気又は内部に給気するための連結管87が接続されている。パッド部材15の内部には前後に貫通する貫通孔88が設けられ、連結管87は貫通孔88及びシートバック6の背面に設けられた孔を通過して、シートバック6の外部に導出されている。連結管87には球状体86が袋体84の外部に排出されることを防止するため、所定のフィルタが設けられているとよい。
給排装置85は、図8に示すように、シートバック6の背面上部に固定されている。本実施形態の給排装置85は一つの給排気口89を備え、連結管87は給排装置85の給排気口89に接続されている。給排装置85は、シートクッション5の下面に固定された制御部22に接続されている。給排装置85は、制御部22からの信号に基づいて、連結管87を介して、袋体84の内部に空気を供給可能(給気可能)、且つ袋体84の内部の空気を排出可能(排気可能)である。本実施形態では、車両Sの速度が零となり、車両Sの駆動が停止されて、給排装置85の電源がオフとなるときには、給排装置85は袋体84を封じる。これにより、車両Sの駆動が停止されている間、袋体84は給気され、その内部が所定の圧力となった状態で維持される。
図8に示すように、シートクッション5の下面には第1実施形態と同様の横加速度取得部32が固定されている。制御部22は車両Sが駆動している間、横加速度取得部32によって取得された横加速度に基づいて、給排装置85を制御する第1袋体制御処理を実行する。以下に、図10を参照して第1袋体制御処理の詳細を説明する。
第1袋体制御処理の最初のステップST21において、制御部22は横加速度取得部32からの信号を受信して、車両用シート81に加わる横加速度を取得し、その大きさ(絶対値)が横加速度閾値以上であるかを判定する。横加速度の大きさが横加速度閾値以上であるときには、ステップST22を実行し、横加速度の大きさが横加速度閾値未満であるときにはステップST23を実行する。
ステップST22において、制御部22は給排装置85に袋体84の内部を排気させる。但し、給排装置85が排気しているときには、制御部22は継続して、給排装置85を排気させる。排気が完了すると、制御部22は第1袋体制御処理を終了する。
ステップST23において、制御部22は給排装置85に袋体84の内部が所要の圧力となるように袋体84の内部に給気させる。但し、給排装置85が給気を行っているときには、制御部22は給排装置85に継続して、袋体84の内部が所定の圧力となるように袋体84の内部に給気させる。給気が完了すると、制御部22は第1袋体制御処理を終了する。
次に、このように構成した車両用シート81の動作、及び効果について説明する。車両Sが駆動する前には、袋体84は給気された状態で維持されている。このとき、図9(A)に示すように、袋体84の中の球状体86は密着せず、袋体84の中の球状体86は移動し易い。すなわち、袋体84の中の球状体86の移動によって、袋体84は容易に変形し、軟らかい状態にある。よって、着座した乗員からの荷重によって、シートバック6の前面は図9(A)の二点鎖線で示す状態から実線で示す状態に容易に変形する。このとき、シートバック6の前面には乗員からの荷重によって後方に凹み、乗員の上半身の形状に適合した凹部90が形成されている。
車両Sの走行が開始され、車両Sの横加速度が横加速度未満である間は、給排装置85によって袋体84に給気され、袋体84の内部は所定の圧力となっている。よって、袋体84は軟らかい状態にあり、車両Sが駆動する前と同様に、乗員からの荷重によって凹部90が形成されている。
車両Sの旋回等によって、横加速度が横加速度閾値以上となると、袋体84が排気される。これにより、図9(B)に示すように、袋体84の体積は給気されているときに比べて減少する。このとき、シートバック6は左右方向略中央部において後方に凹み、凹部90がより深くなる。凹部90が深くなることにより乗員の上半身は後方に移動し、シートバック6の左右両側部6A(ボルスター部)の一部が乗員の上半身に対して相対的により前方に突出する。よって、乗員の左右方向の移動がシートバック6の左右両側部6Aによってより規制されて、乗員の上半身が凹部90によって受容された状態に維持されて、乗員の横揺れが防止される。
また、袋体84が排気されることで、袋体84の中の球状体86同士が密着する。これにより、袋体84は給気されているときに比べて硬く、シートバック6が変形し難くなる。すなわち、横加速度が横加速度閾値未満の状態から横加速度閾値以上の状態に変化するとシートバック6はその剛性が高くなるように変質する。よって、シートバック6に形成された凹部90が変形し難くなり、乗員の上半身には凹部90を画定する壁面から慣性力に抗する荷重が加えられる。これにより、乗員の上半身が凹部90に受容された状態により確実に維持され、乗員の横揺れが防止できる。
その後、横加速度が横加速度閾値未満となると袋体84に空気が供給され、再度横加速度が横加速度閾値以上となると、袋体84が排気される。車両Sが停止し、車両Sの駆動が停止されて、給排装置85の電源がオフとなるときには、袋体84は封じられ、その内圧が所定の圧力である状態に維持される。
このように、乗物酔いが発生し易くなる横加速度が横加速度閾値以上の範囲では、凹部90が深くなり、乗員の上半身の左右方向の移動が規制される。また、乗物酔いが発生し難い横加速度の範囲では、乗物酔いが発生し易い範囲に比べて、乗員は上半身を左右方向に容易に移動させることができる。これにより、車両用シート81の快適性が高められる。
<<第4実施形態>>
第4実施形態に係る車両用シート101は第1実施形態に係る車両用シート1に比べて、横加速度取得部102の構成が異なり、他の構成については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図11に示すように、第4実施形態に係る車両用シート101の横加速度取得部102は、車両Sのステアリングシャフト103に設けられ、車両Sのステアリングハンドル104の操舵角を検出する舵角センサ105と、車体106に設けられ、車軸の回転数に基づいて車速を検出する車速センサ107と、舵角センサ105、車速センサ107、及び制御部22に信号線によって接続された算出部108とを含む。
算出部108は中央演算処理装置(CPU)及びメモリを備えたコンピュータである。算出部108は舵角センサ105及び車速センサ107から操舵角及び車速を取得し、操舵角に基づいて車両用シート1に加わる横加速度の向きを算出するとともに、操舵角及び車速に基づいて横加速度の大きさを算出して制御部22に出力する。より具体的には、算出部108は舵角センサ105によって取得された操舵角に基づいて車両Sの旋回方向を導出し、旋回方向を加速度の向きとして決定する。更に、算出部108は操舵角から車両Sの回転半径を算出し、算出された回転半径と、車速センサ107によって取得された車速とを用いて、例えば車両Sの運動が等速円運動であると仮定して、車両Sに加わる横加速度の大きさを算出する。これにより、算出部108は車両Sに加わる横加速度、すなわち車両用シート101に加わる横加速度を算出する。
次に、このように構成した車両用シート101の効果について説明する。舵角センサ105から入力される操舵角を検出することによって、操舵が行われて車両Sが旋回し始める前、すなわち乗員に左右方向の慣性力が作用する前に車両Sに旋回することを検知することができる。これにより、乗員に左右方向の慣性力が作用することを前もって検知することができ、周方向の慣性力が作用するタイミングに合わせて、給排装置26を駆動させてシートバック6を変形させることができる。よって、乗員の上半身の移動をより確実に防止し、乗物酔いを低減することができる。
<<第5実施形態>>
第5実施形態に係る車両用シート201は、図12に示すようにカーナビゲーションシステム202を備えた車両Sに搭載される。第5実施形態に係る車両用シート201は、第4実施形態に係る車両用シート101に比べて、横加速度取得部203が舵角センサ105及び車速センサ107の代わりに、カーナビゲーションシステム202を含む点が異なり、他の構成については第4実施形態と同様である。従って、他の構成については説明を省略する。
カーナビゲーションシステム202はGPS及び記憶装置を備え、地図情報、現在の車両Sの位置、及び車両Sの走行スケジュールを含むデータを保持する。また、カーナビゲーションシステム202は算出部108に保持する地図情報、車両Sの位置、及び車両Sの走行スケジュールを送信する。算出部108は受信した地図情報、車両Sの位置、及び走行スケジュールに基づいて、車両Sの旋回の予測時刻、車両Sの旋回時の走行速度、及びそのときに車両用シート201に加わる横加速度の方向及び大きさを算出して、制御部22に出力する。このように構成することで、乗員に加わる加速度の向き及び大きさを予測することができ、予測された横加速度の向き及び大きさに基づいて、シートバック6を変形させることができる。よって、乗員に旋回による慣性力が加わる瞬間(タイミング)に合わせてシートバック6を変形させることができるため、乗員の上半身の横揺れを防止することができる。
<<第6実施形態>>
第6実施形態に係る車両用シート301は、第3実施形態の車両用シート81に比べて、横加速度取得部32の代わりに着座センサ302を含む点と、制御部22で実行される処理(以下、第2袋体制御処理)とが異なり、他の構成については第3実施形態の車両用シート81と同様であるため、他の構成については説明を省略する。
図13に示すように、着座センサ302はシートクッション5の表皮材16とパッド部材14との間に配置され、乗員のシートクッション5への着座によってオンとなるセンサである。着座センサ302としては、上方からの荷重によってオンとなる公知のメンブレンスイッチを複数含むものであってもよく、乗員のシートクッションへの近接を検知する公知の静電容量センサを含んでいてもよい。
着座センサ302は制御部22に接続され、制御部22は着座センサ302がオンであるかオフであるかを検知することで、車両用シート201に乗員が着座しているか否かの情報を取得することができる。
次に、制御部22において実行される第2袋体制御処理について説明する。図14に示すように、第2袋体制御処理は第1袋体制御処理(図10参照)の最初のステップST21の代わりにステップST31を含む点のみが異なり、他の部分については第1袋体制御処理と同様であるため、他の部分については説明を省略する。
制御部22はステップST31において、制御部22は着座センサ302がオンであるかを判定し、オンであるときにはステップST22を実行し、オフであるときにはステップST23を実行する。
次に、このように構成した車両用シート301の効果について説明する。乗員が車両用シート301に着座すると、制御部22はステップST31において着座していると判定し、ステップST22を実行する。これにより、給排装置85によって袋体84が排気される。このとき、シートバック6の前面は乗員からの荷重によって乗員の上半身が沈みこむように変形し、シートバック6の前面には後方に凹む凹部90が形成される。このとき、乗員の上半身は凹部90に受容され、乗員の上半身の移動が左右両側方から拘束されるため、乗員の上半身の横揺れを防止することができる。
また、排気によって球状体86は互いに密着して袋体84が変形し難くなり、シートバック6の剛性が高まる。これにより、乗員の上半身には凹部90を画定する壁面から横加速度による慣性力に抗する荷重が加えられる。よって、乗員の上半身が凹部90の内部により確実に保持され、乗員の上半身の横揺れがより確実に防止される。
<<第7実施形態>>
第7実施形態に係る車両用シート401は、図15に示すように、第2実施形態に係る車両用シート51に比べて、横加速度取得部32の代わりに、第5実施形態と同様の着座センサ302を含み、制御部22で実行される処理(以下、第3エアセル制御処理)が異なるが、他の構成については同様であるため、説明を省略する。
図16に示すように、制御部22は最初のステップST41において着座センサ302から乗員がシートクッション5に着座しているか否かの情報を受信する。乗員が着座しているときにはステップST42を実行し、着座していない、すなわち退座しているときにはステップST43を実行する。
制御部22はステップST42において右給排装置62Rに右エアセル61Rへ給気させる。その後、ステップST44を実行し、右タッチセンサ70Rによって乗員の接触が検知されたかを判定する。接触が検知されたときにはステップST45を実行し、検知されていないときにはステップST42に戻る。
制御部22はステップST45において所定時間に渡って右給排装置62Rに右エアセル61Rを排気させる。その後、制御部22はステップST46を実行する。
制御部22はステップST46において左給排装置62Lに左エアセル61Lへ給気させる。その後、ステップST47を実行し、左タッチセンサ70Lによって乗員の接触が検知されたかを判定する。接触が検知されたときには、制御部22はステップST48を実行し、されていないときにはステップST45に戻る。
制御部22はステップST48において所定時間に渡って左給排装置62Lに左エアセル61Lを排気させる。その後、第2袋体制御処理を終了する。
制御部22はステップST43において右給排装置62R及び左給排装置62Lにそれぞれエアセル61を排気させる。排気が完了すると、制御部22は第2袋体制御処理を終了する。
次に、このように構成した車両用シート401の効果について説明する。乗員の着座が着座センサ302によって検知され、乗員が着座したと制御部22が判定する(ST41)と、乗員に当接するまで右エアセル61Rが膨張する(ST42、ST43)。その後、右エアセル61Rの内部の空気は所定時間に渡って排気されて、右規制部材56Rのシート内方の側面が乗員から若干離間する(ST44)。同様に、乗員に当接するまで左エアセル61Lが膨張し(ST45、46)、その後、左エアセル61Lの内部の空気が所定時間に渡って排気されて(ST47)、左規制部材56Lのシート内方の側面が乗員から若干離間する。
このように、左右の規制部材56のシート内方の側面がシート内方に突出して、乗員の左右近傍に配置される。これにより、乗員の上半身が左右両側方から拘束されて、乗員の上半身の左右方向の移動が規制される。これにより、乗員の上半身の横揺れが防止できる。更に、左右のエアセル61は規制部材56のシート内方の側面が乗員に当接した後、所定時間に渡って排気される。これにより、各規制部材56のシート内方の側面が乗員から若干離間し、規制部材56のシート内方の側面と乗員との間には隙間が形成される。これにより、乗員に規制部材56が接触し続けることがなく、乗員に与える圧迫感を低減する。よって、乗員の緊張が和げることができるため、乗員の乗物酔いを低減することができる。
<<第8実施形態>>
第8実施形態に係る車両用シート501は、第1実施形態に係る車両用シート1において、図17に示すように、第7実施形態と同様の着座センサ302を備えている点と、各エアセル25の前面を覆う表皮材17にそれぞれ第7実施形態と同様のタッチセンサ503を設けられている点と、制御部22が第7実施形態と同様の第2エアセル制御処理を行う点とが異なり、他の部分については第1実施形態と同様であるため、他の部分については説明を省略する。
制御部22は第2エアセル制御処理において、着座センサ302によって乗員の着座が検知される(ST41)と、制御部22は左右の給排装置26それぞれに順次、タッチセンサ503によって乗員への接触が検知されるまで、対応するエアセル25に給気させた(ST42、43、45、46)後に所定時間に渡って、対応するエアセル25を排気させる(ST44、47)。これにより、乗員の肩の左右外方にはそれぞれ、隙間を介して乗員の肩に対峙する壁体28が形成される。これにより、第7実施形態と同様に、乗員に与える圧迫感を低減しつつ、乗員の上半身の左右方向の移動を規制することができる。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。上記第1実施形態では、横加速度取得部32はシートクッション5の下面に設けられていたが、この態様には限定されない。例えば、横加速度取得部32はシートクッション5の内部や上面、左右側面、又は前後側面に設けられていてもよく、シートバック6の外面、又は内部に設けられていてもよい。このように構成することで、横加速度取得部32が乗員の近傍に設けられるため、乗員に加わる加速度をより正確に且つ簡素に取得することができる。
上記第4実施形態、及び第5実施形態において、算出部108は制御部22と別体に構成されていたが、算出部108は制御部22によって実行されるソフトウエアとして構成されていてもよい。
また、上記第4実施形態及び第5実施形態に係る車両用シート101、201の横加速度取得部102、203は、第2実施形態に係る車両用シート51の横加速度取得部32、又は第3実施形態に係る車両用シート81の横加速度取得部32に置き換えることができる。これにより、乗員に慣性力が作用する瞬間に合わせて、給排装置62、85を駆動させてシートバック6、52を変形させることが可能となる。これにより、乗員の上半身の移動をより確実に防止し、乗物酔いを低減することができる。
上記第4実施形態に係る車両用シート101において、横加速度取得部102は車速センサ107を有していたが必須ではなく、例えば、制御部22は、第1エアセル制御処理のST1において舵角センサ105によって取得された操舵角が所定閾値未満であるときにはST3を実行し、操舵角が所定閾値以上であるときにはST2を実行するように構成してもよい。
上記実施形態では、車両用シート1はフロア3に前後にスライド移動可能に支持されていたが、この態様には限定されない。上記実施形態では例えば、車両用シート1は車室2の底部を画定するフロア3上において上下方向を軸線とする回転可能に設けられていてもよい。このように構成することで、例えば、車両用シート1が自動運転可能な車両Sに搭載されたときに、車両用シート1の向きを自由に変えることができるため、車両用シート1の快適性が向上する。このとき、制御部22が車両Sに固定されたセンサ、より具体的には舵角センサ105及びカーナビゲーションシステム202からの情報に基づいて車両Sの横加速度を取得する場合には、車両Sに車両用シート1のフロア3に対する回転角を取得する回転角センサを設け、制御部22は車両Sに加わる横加速度を回転角センサによって取得した回転角に基づいて換算し、乗員に加わる横加速度を算出するとよい。
上記第2実施形態では左右の規制部材56は対応するシートバック本体55の左右側面にそれぞれ固定されていたが、シートバック本体55の左右側面にそれぞれ着脱可能であってもよい。
上記第2実施形態では左右の規制部材56はそのシート内方の側面がシート内方に突出するように構成されていたが、この態様には限定されない。例えば、左右の規制部材56はシートバック本体55の左右側面にそれぞれ左右方向を軸線とする回転可能に結合され、横加速度が横加速度閾値以上となったときに、乗員の上半身が移動する側に位置する規制部材56が前方に回転し、横加速度未満となると、規制部材56がシートバック本体55に沿って上下に延在する位置に回転するように構成してもよい。
上記第1実施形態においてエアセル25を膨張させることによってシートバック6の前面が前方に突出するように構成されていたが、これには限定されず、シートバック6の前面が前方に突出させて乗員の上半身を支持することのできる態様であれば、いかなる態様であってもよい。上記第1実施形態においても同様に、左右の規制部材56のシート内方の側面をシート内方に突出させる態様はエアセル61に限定されず、左右の規制部材56のシート内方の側面をシート内方に突出させ乗員の上半身を支持することのできる態様であれば、いかなる態様であってもよい。
上記第1実施形態においてエアセル25は乗員の肩の左右外方に設けられていたが、この態様には限定されず、エアセル25は乗員の肩から二の腕の左右外方に設けられていてもよく、図18に示すようにエアセル25は乗員の腰の左右外方に設けられる態様であってもよい。また、エアセル25は乗員の肩の左右外方と、乗員の腰の左右外方とにそれぞれ設けられていてもよい。
また、第8実施形態において、エアセル25の前面を覆う表皮材17にそれぞれ乗員からの圧力を検知する圧力センサを設けて表皮材17から乗員に加わる圧力を計測し、エアセル25の内部の圧力を調節するように構成してもよい。