JP7531290B2 - 光学装置 - Google Patents

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Description

本発明は、入射光に対し所定の波長域の光のみを選択的にセンシングする機能を有した光学装置に関する。
医療用や農業用などの特殊カメラや、近赤外線カメラなどでは、所定の波長帯域の光のみを透過させるエッジフィルタやバンドパスフィルタなどが用いられている。このような中で、所定の一方向に沿ったフィルタ面上の入射位置に応じて透過波長域が変化するバリアブルタイプの光学フィルタが知られている。
特開平2-132405号公報
特許文献1では、バリアブルタイプのバンドパス特性を、所定の一方向に沿った入射位置に応じて透過波長域が変化するバリアブルタイプのショートパスフィルタと、所定の一方向に沿った入射位置に応じて透過波長域が変化するバリアブルタイプのロングパスフィルタの2枚のフィルタにより形成する光学フィルタモジュールが提案されている。しかしながら、特許文献1で記載されている構成の場合、経時的な変化や、温度や湿度などの周囲環境の変化に応じてショートパスフィルタとロングパスフィルタの分光透過特性が変わってしまい、それに伴い光学フィルタモジュールとしてのバリアブルなバンドパス特性が変化してしまうことがある。これに伴い、このような光学フィルタや光学フィルタモジュールを搭載した光学装置でも、同様に出力結果が変化してしまう問題がある。
以上より、本発明の目的は上述の課題を解消し、入射した光を所望の波長帯の光に変換するバリアブルタイプの光学性能を有する、安定性に優れた光学装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の光学装置は、所定の一方向に沿った入射光の通過位置に応じて分光透過特性が連続的に変化する光学フィルタの配置位置を制御することで所定の値を得る光学装置であり、前記光学フィルタが、同一基板上の一方の面に所定の一方向に沿った入射光の通過位置に応じて分光透過特性が連続的に変化する所定の波長域の光のみ選択的に透過させるバンドパスフィルタであり、前記光学フィルタ上の位置と分光透過特性の関係を測定し、前記測定結果に応じて特定された波長遷移領域と、事前に同様な方法で測定された測定結果に応じて特定されていた初期の波長遷移領域と、から前記特定された波長遷移領域の前記初期の波長遷移領域からのシフト量に基づいて、前記配置位置を補正する機能を有することを特徴とする。
本発明の光学装置であれば、経時的な変化や、温度や湿度などの周囲環境の影響を受けて、バリアブルタイプの光学フィルタの光学特性が変化した場合であっても、その変化量を把握し補正することが可能であり、光学装置としての光学性能の安定化を図ることができる。
本発明を実施するための形態に記載のバリアブルタイプのバンドパス特性の説明図。 本発明を実施するための形態に記載の連続型のバリアブルフィルタの断面図。 本発明を実施するための形態に記載の光学フィルタを回転させて場合のシミュレーション例図。 本発明を実施するための形態に記載のステップ型のバリアブルフィルタの断面図。 本実施例1に記載の光学装置の構成図。 本実施例1に記載のイニシャライズ測定の説明図。 本実施例2に記載の光学装置の構成図。 本実施例2に記載のショートパスフィルタ、及びロングパスフィルタの分光透過特性。 本実施例3に記載のバンドパスフィルタの構成図。
本発明の光学装置は、バリアブルタイプの光学特性を有した、入射光に対して特定の波長帯の光を透過させるエッジフィルタやバンドパスフィルタなどの光学フィルタで構成される。
ここで、バリアブルタイプの光学特性について、バンドパスフィルタを例に以下に説明する。バリアブルタイプのバンドパス特性とは、例えば、図1、図2に示したように、基板上のある一方向に沿った位置に応じてバンドパス特性の透過帯が波長方向に連続的にシフトするように変化する特性を指している。このような特性を得る方法として、フィルタを回転させ光の入射角を変化させる方法などもあるが、図3で示したシミュレーション例のように、入射角度が大きくなるにつれ、全体的な分散形状が崩れ、透過帯にも大きなリップルを発生させてしまう原理的な欠点がある。従って、光学特性の観点からは入射角を変化させる以外の手法が望ましい。例えば、基板上のある一方向に沿って、連続的に屈折率や物理的な膜厚を変化させることで、基板位置に応じて透過帯の中心波長を連続的に変化させることが可能である。本実施例では再現性や生産性の観点から、後者の物理膜厚を変化させる方法を選択した。また、連続変化ではなく、図4に示すようなステップ型のバンドパス特性を得ることも可能であるが、連続的に変化させた場合と比較して、著しく生産性に劣る欠点がある。これは、図2で示したような連続型であればマスク蒸着などの手法を選択することで1度の多層膜成膜プロセスで膜厚分布が得られるのに対し、ステップ型では各バンドパス領域で異なる膜構成を取る必要がある為に、複数回の成膜作業が必要になってしまう理由からである。以上から、本発明におけるバリアブルタイプの光学フィルタは基板の一方向に沿って物理膜厚が連続的に変化する連続型とした。
一実施形態において、光学フィルタモジュールは、入射光のうち、特定の波長帯(選択波長領域)の光を透過させるバンドパス機能を有している。この場合、第1の光学フィルタ部材は、バリアブルタイプのバンドパス特性を有する。本実施形態に係る光学フィルタモジュールは、所定方向に沿って膜厚が変化することにより透過帯も変化するように構成された機能膜を有している。一実施形態において、この機能膜は、膜厚及び透過帯が連続的に変化するように構成されている。図2はバンドパス特性を有するフィルタ3の模式図を示しており、ここでは基板1の上にバンドパス特性を有する機能膜2が設けられている。それぞれの光の入射位置1~6における分光透過率は、図1に示されている。
バンドパスフィルタは基準波長よりも短い波長帯の光を透過させ、基準波長よりも長い波長帯の光の透過を阻止するショートパスフィルタと、基準波長よりも長い波長帯の光を透過させ、基準波長よりも短い波長帯の光の透過を阻止するロングパスフィルタの、少なくても2枚の光学フィルタから構成されたバンドパスフィルタユニットとすることも可能である。この場合、これら2枚の光学フィルタは、フィルタへの光の入射位置に応じて透過波長が変化するバリアブルタイプの光学特性を有しており、これら2枚のフィルタから構成されるバンドパスフィルタユニットも、バリアブルタイプの光学特性を有する。このようなバンドパスフィルタユニットの透過帯の短波長側の遷移領域はバリアブルタイプのロングパスフィルタで形成し、長波長側の遷移領域はバリアブルタイプのショートパスフィルタで形成することで、その透過帯の波長領域を調整することが可能となり、透過帯幅の調整などにも対応することができる。
以上のような各種の光学フィルタは高屈折率薄膜層と低屈折率薄膜層の交互積層構造を基本構造とした多層薄膜で形成されている。例えば、ショートパスフィルタは透明基板の一方の面にショートパス特性を有する多層薄膜で構成された機能膜を形成し、もう一方の面に反射防止機能を有する反射防止膜を形成することなどで作製することが可能である。同様にロングパスフィルタは透明基板の一方の面にロングパス特性を有する多層薄膜で構成された機能膜を形成し、もう一方の面に反射防止機能を有する反射防止膜を形成することなどで作製することが可能である。バンドパスフィルタも同様に、透明基板の一方の面にバンドパス特性を有する多層薄膜で構成された機能膜を形成し、もう一方の面に反射防止機能を有する反射防止膜を形成することなどで作製することが可能である。この他として、ショートパスフィルタやロングパスフィルタの透過阻止帯の波長領域が長い場合などは、基板両面にそれぞれ透過を阻止する波長領域の異なる機能膜を分割配置することも可能である。
ショートパスフィルタやロングパスフィルタ、バンドパスフィルタなどを構成するこれらの多層薄膜は物理的、若しくは化学的成膜方法で形成しても良いし、スピンコートなどの湿式法で形成しても良い。これらの成膜方法の中で、再現性や膜の耐環境性などの観点からは、スパッタ法や、何らかのアシストを付加した蒸着方法など、比較的高エネルギーで膜を形成できるプロセスが好ましい。より具体的にはスパッタ法、IAD法、イオンプレーティング法、IBS法、クラスター蒸着法などが適用可能であり、各層の膜厚を比較的正確に制御でき、再現性の高い膜を得ることができる成膜方法であればよく、各フィルタに求められる特性や生産性等を考慮し、最適な方法を選択すれば良い。
また、光学フィルタの基板としては、少なくても光学フィルタが対象とする透過帯全域において光透過性を有する基板を用いる。このような基板はガラスタイプや樹脂タイプ、さらには有機無機のハイブリッドタイプでも良く、光学フィルタの基板として必要とされる強度や光学特性を有する、基体として機能可能であるものが利用される。
前述した各種の光学フィルタは、経時的な変化や、温度や湿度などの周囲環境によって光学特性が変化してしまう場合がある。特に透過帯から透過阻止帯へ遷移する遷移波長領域では波長に対する透過特性や、位置に対する透過特性の変化が大きい。特定の波長帯の光を取り出す役割を有するバリアブルタイプの光学フィルタの場合、その用途を考慮すると、変化による影響は更に大きくなる。従って、本発明の光学装置は、電源投入時などの決められたタイミングにおいて、フィルタ位置と光学特性の関係を再確認し、必要に応じてフィルタの制御位置を調整する補正機能を備えさせた。例えばバリアブルタイプのショートパスフィルタの場合、フィルタを標準位置に固定し、周囲環境による変化や経時変化の影響が少ない、透過帯から透過阻止帯へ遷移する遷移波長領域から十分に離れた透過帯における平均的な透過強度と、遷移波長領域から十分に離れた透過阻止帯における平均的な透過強度を測定し、その半分となる透過強度を有する半値波長や遷移波長領域などをスキャニングにより特定する。これにより得られた情報を基に、フィルタの他の位置でも同程度の影響を受けたものと仮定してシフト量を換算し、フィルタの制御位置に補正を掛ける。スキャニングは光学フィルタが対象とする全ての波長領域で実施する必要はなく、基本的には遷移波長領域を把握すれば良いことから、周囲環境や経時変化の影響を受けたと仮定しても透過帯や阻止帯から外れることが無いと予想される透過帯から阻止帯までの波長領域を対象とすれば良い。光学フィルタの種類や対象波長によっても異なるが、可視領域から近赤外領域を対象としたフィルタの場合、概ね±20nm程度までの変化を想定しておけば十分である。また別の方法として、先の標準位置での測定に加えて、フィルタ上の複数箇所で同様の測定を行うことで、より正確な補正を行うことも可能である。ここで、透過強度は撮像素子の感度特性の影響も受けることから、これらを加味して補正値を決定する必要がある場合もある。
以上のような、光学特性の安定性に優れる本発明の光学装置を監視カメラや医療用や農業用の特殊カメラなどの撮像装置や、その他の様々な光学装置に応用することで、高精度化が図られた光学装置を得ることができる。
以下、本発明の光学フィルタについて実施例に基づき具体的に説明する。
(実施例1)
バリアブルタイプのバンドパスフィルタで構成された光学装置に関する実施例について以下に詳しく記載する。
本実施例1の光学装置10は400~700nmの波長領域を対象波長域としたバンドパス機能を有する光学装置であり、図5に示すように、バンドパスフィルタ11により構成されている。
バンドパスフィルタ11は光が通過するフィルタの位置に応じて透過帯が変化するバリアブルタイプのバンドパスフィルタであり、図1、図2で示したように、フィルタ上を特定の一方向に移動するのに応じて、連続的に透過波長帯が変化する特性を有している。
バンドパスフィルタ11は基板の一方の面上に設けた高屈折率薄膜であるTiOと低屈折率薄膜であるSiOをこの順に交互に積層した30層膜と、基板のもう一方の面上に設けたTiOとSiOをこの順に交互に積層した10層膜により構成されている。30層膜は特定波長の光のみを透過させるバンドパス機能を有する機能膜とした。さらに、30層膜はバリアブル特性を有しており、基板上のある一方向に沿って連続的に膜厚が変化する構造となっている。また、10層膜は、成膜誤差などにより多少特性がシフトした場合であっても、対象波長である400~700nmの波長領域において十分に反射防止機能を有する機能膜とした。これらを基板の両面に分割配置することで、バンドパスフィルタ11として、特定の波長成分のみを選択的に透過させる特性を得ている。これらの機能膜は、基板の一方の面上にIAD法により30層膜を形成した後、基板の表裏を変え、基板のもう一方の面上に同様にIAD法により10層膜を形成し作製した。機能膜の作製の順番については特に制限はなく、先に10層膜を成膜し、その後に30層膜を成膜しても良い。また、バンドパスフィルタ11の30層膜の物理膜厚を連続変化させる為に、蒸着ドーム上にある成膜冶具の通常の固定位置に対して、成膜基板を大きく傾けて固定配置し成膜した。物理膜厚を連続変化させるこの他の作製方法としては、成膜面に対して蒸発源側にあたる所定の位置に、成膜基板に対してマスクを浮かせるように固定配置させた状態で成膜する方法などがある。
このようなバンドパスフィルタ11の基板には光学フィルタモジュールで対象とした400~700nmの波長領域において、基板裏面側での反射成分を除いた入射光の殆どを透過する分光特性を有した、厚さ0.4mmのD263Tecoガラスを使用した。
以上のように構成された本実施例1の光学装置10は、バンドパスフィルタ11を所定の位置に移動させることで、入射光に対してバンドパスフィルタ11上の通過位置を制御し、所定の波長帯の光のみを透過させる。
また、カメラなどでの使用が想定される本実施例1で作製したような光学フィルタは、画質に大きな影響を与える為に、透過波長領域や透過阻止波長領域での光量には大変敏感である。従って、本実施例1で作製したバンドパスフィルタ11のように、透過阻止帯では透過を平均で1%以下、より好ましくは平均で0.1%以下に抑えつつ、透過帯では平均で80%以上、より好ましくは平均で90%以上の透過特性を有することが望ましい。
さらに、本実施例1におけるバンドパスフィルタ11を形成している高屈折率の薄膜材料としたTiOの他に、高屈折率材料としてはNbやZrO、Taなどが使用でき、低屈折率の薄膜材料としたSiOの他にはMgFなどが使用可能である。また、これらの材料に限らず、NiやW、Mo、Cu、Cr、Fe、Al、Mg、Ti、Si、Nb、Zr、Ta、In、Ag、Auなどの金属化合物でも良く、その時々で最適な材料の組合せを選択すれば良い。
以上のように作製されたバンドパスフィルタ11を図5で示したような光学装置10に配置した。図5は監視カメラなどの撮像装置である光学装置10の概略図であり、レンズや絞り羽根などで構成された撮像光学系12を透過した光線を、撮像素子13前に配置されたバリアブルタイプ特性を有するバンドパスフィルタ11により所望の光学特性に調整して、適正な画像を得る構成となっている。さらに、バンドパスフィルタ11を動かすことで、入射光が通過するバンドパスフィルタ11上の位置を変え、所定の波長帯域における情報を得ている。この光学装置10内に、ARフィルタや、NDフィルタ、IRカットフィルタ、IRパスフィルタ、UVカットフィルタ、UVパスフィルタ他のロングパスフィルタやショートパスフィルタなど、他の光学フィルタを配置し、それらを併用することも可能である。
このような本実施例1の光学装置10は、バンドパスフィルタ11上の位置における光学特性を再確認する為のイニシャライズ機能を有しており、電源投入時にイニシャライズ測定を行い、必要に応じてフィルタの制御位置に補正を掛ける。本実施例1の光学装置10では、特にバンドパスフィルタ11のIR側の半値波長を基準とし、初期の半値波長からのシフト量を算出することで、そのシフト分を補正するように制御位置を調整した。UV側の半値波長を基準とすることも可能であるが、波長の大きいIR側の方が半値波長の変化量が大きくなる為、より高精度に調整することが可能である。イニシャライズ測定では、バンドパスフィルタ11を初期に設定した基準位置に固定し、測定時間の短縮を図る目的で、対象波長とした400~700nmの内、初期の分光透過特性を考慮し十分であると判断された500~650nmの間の透過強度をスキャニングすることで、IR側の半値波長と遷移波長領域、透過帯と透過阻止帯を把握した。この際、周囲環境による変化や経時変化の影響が少ない、透過帯から透過阻止帯へ遷移する遷移波長領域から十分に離れた透過帯と透過阻止帯におけるそれぞれの平均値をそれぞれの透過強度とし、これを初期の透過帯の平均的な透過率と、透過阻止帯の平均的な透過率に置き換えて、透過率50%相当となる透過強度を有する波長を半値波長とした。このようなイニシャライズ測定では、事前に同様の方法で測定された、撮像素子13における測定値を基準とし、イニシャライズ測定における測定値との比較から、光強度を計算している。これにより得られた情報を基に、フィルタの他の位置でも同程度の影響を受けたものと仮定してシフト量を換算し、フィルタの制御位置に補正を掛けた。ここで、本実施例1ではIR半値波長を把握する為にIR側の遷移領域と透過帯、透過阻止帯を測定したが、対象波長領域全体を測定して補正を掛けることも可能である。イニシャライズ測定では入射光用の投光器として通常測定時には使用しない専用の波長スキャン機構14を撮像光学系12のレンズ前に配置し、前述した500~650nmの光をフィルタに入射させることでスキャニングを実施した。この際、透過強度を透過率として換算する為の基準を決定する為に、最初にバンドパスフィルタ11を抜いた状態でベースライン測定を行った。その後、バンドパスフィルタ11を所定の位置に戻して本測定を行い、バンドパスフィルタ11のIR半値波長のシフト量を解析した。このシフト量に応じて、予め用意された計算式からフィルタ位置の補正値を算出し、フィルタの制御位置を調整した。または、シフト量に対する補正値データを用意しておき、これに従い調整しても良い。
以上のような、本実施例1におけるイニシャライズ測定の一連のプロセスをまとめたのが図6である。繰り返しになるが、本実施例1では、電源がONになったタイミングで光路上の撮像光学系12の前に専用光源となる波長スキャン機構14を配置する。その後、バンドパスフィルタ11を光路から退避させた状態でのベースライン測定を経て、再びバンドパスフィルタ11を光路に戻し、バンドパスフィルタ11の光学特性の変化を確認する為のイニシャライズ測定が実施される。その測定結果を基に、フィルタの制御位置の補正値を計算し、波長スキャン機構14を光路から離脱させて、通常の測定モードに切り替える。
イニシャライズ測定の具体的な動作例について、図6を用いて説明する。まず、ステップS1で装置の電源をONすると、次いでステップS2において、波長スキャン機構14が撮像光学系の前に移動される。次に、例えば、図1、図2で示した特性を有するフィルタ3に対し、ベースライン測定するために、ステップS3において光路上からフィルタ3を完全に退避させてベースライン測定が実行される。なお、フィルタ3の移動は不図示の駆動モータなどによって行えばよく、図2における左右のいずれの方向に移動させて退避しても良い 。このときの、ベースライン測定に用いられる光源の点灯制御の例として、のように制御してベースラインを測定する。その後、ステップS4においてフィルタ3を光路に進入させながらイニシャライズ測定を行う。イニシャライズ測定における光源の点灯制御の例としては、フィルタ3の1-6の入射位置に対応する位置で、波長を変化させながら光源を点灯して受光素子に光を照射することなどで行えばよい。 この時、フィルタ3における1-6の入射位置に対応する位置で受光素子が出力する信号から、受光した波長に対応する受光光量をプロットし、図1と同様の特性図を作成する。ステップS4で作成した特性図と図1の特性図を比較し、フィルタ3の移動位置の補正量を算出する。算出が完了すると、ステップS6において波長スキャン機構を撮像降格系の前から退避し、ステップS7において通常モードに遷移して終了する。なお、ベースライン測定、イニシャライズ測定のいずれにおいても、光源として白色光源を利用し、フィルタ3を移動させながら受光素子における出力から対応する波長をプロットすることによってフィルタ3の光学特性の変化を算出し、イニシャライズ測定を実行しても良い。
このようなイニシャライズ測定には様々な方法が考えられ、例えば撮像素子13とは別に用意されたイニシャライズ測定専用のフォトマルセンサなどによりバンドパスフィルタ11の分光特性やIR半値波長を測定することも可能である。このように、スキャンする波長範囲や、必要な測定精度、測定時間、光学装置10としての大きさなど様々な要素から、最適な手法を選択することができる。
以上のように作製された、バリアブルタイプのバンドパス機能を有する本実施例1の光学装置10は、経時的な変化や、温度や湿度などの周囲環境の変化の影響を受けて、光学フィルタの光学特性が変化した場合であっても、その変化量を把握し補正することが可能であり、光学性能の安定化を図ることができる。
(実施例2)
バリアブルタイプのショートパスフィルタと、バリアブルタイプのロングパスフィルタで構成された光学装置に関する実施例について以下に詳しく記載する。
本実施例2の光学装置20は400~700nmの波長領域を対象波長域としたバンドパス機能を有する光学装置であり、図7に示すように、バリアブルタイプのショートパスフィルタ25とバリアブルタイプのロングパスフィルタ26により構成されたバンドパスフィルタユニット21により構成されている。
ショートパスフィルタ25は図8(a)に示したような光学特性を有しており、基板の一方の面上に設けた高屈折率薄膜であるTiOと低屈折率薄膜であるSiOをこの順に交互に積層した36層膜と、基板のもう一方の面上に設けたTiOとSiOをこの順に交互に積層した4層膜により構成されている。36層膜は基準波長よりも短い波長帯の光のみを透過させるショートパス機能を有する機能膜とした。さらに、36層膜はバリアブル特性を有しており、基板上のある一方向に沿って連続的に膜厚が変化する構造となっている。また、4層膜は反射防止機能を有する機能膜とした。
また、ロングパスフィルタ26は図8(b)に示したような光学特性を有しており、基板の一方の面上に設けた高屈折率薄膜であるTiOと低屈折率薄膜であるSiOをこの順に交互に積層した34層膜と、基板のもう一方の面上に設けたTiOとSiOをこの順に交互に積層した4層膜により構成されている。34層膜は基準波長よりも長い波長帯の光のみを透過させるロングパス機能を有する機能膜とした。さらに、34層膜はバリアブル特性を有しており、基板上のある一方向に沿って連続的に膜厚が変化する構造となっている。また、4層膜は反射防止機能を有する機能膜とした。
このようなショートパスフィルタ25とロングパスフィルタ26の2つの光学フィルタの特性を組合せることで、バンドパスフィルタユニット21として、特定の波長帯の光のみを選択的に透過させるバンドパス特性を得る。
これらショートパスフィルタ25とロングパスフィルタ26を構成するそれぞれの機能膜はIAD法により作製されており、特にバリアブル特性を有する機能膜は物理膜厚を連続変化させる為に、蒸着ドーム上にある成膜冶具の通常の固定位置に対して、成膜基板を大きく傾けて固定配置し成膜した。
このようなバンドパスフィルタユニット21の基板には光学フィルタモジュールで対象とした400~700nmの波長領域において、基板裏面側での反射成分を除いた入射光の殆どを透過する分光特性を有した、厚さ0.4mmのB270iガラスを使用した。
以上のように構成された本実施例2の光学装置20は、入射光に対し、ショートパスフィルタ25とロングパスフィルタ26のそれぞれを所定の位置に移動させることで、バンドパスフィルタユニット21として所定の波長帯の光のみを透過させる。
また、本実施例2で作製したショートパスフィルタ25、ロングパスフィルタ26のように、透過阻止帯では透過を平均で1%以下、より好ましくは平均で0.1%以下に抑えつつ、透過帯では平均で80%以上、より好ましくは平均で90%以上の透過特性を有することが望ましい。
以上のように作製されたバンドパスフィルタユニット21を図7で示したような光学装置20に配置した。図7は監視カメラなどの撮像装置である光学装置20の概略図であり、レンズや絞り羽根などで構成された撮像光学系22を透過した光線を、撮像素子23前に配置されたバリアブルタイプ特性を有するバンドパスフィルタユニット21により所望の光学特性に調整して、適正な画像を得る構成となっている。さらに、バンドパスフィルタユニット21を構成しているショートパスフィルタ25とロングパスフィルタ26を動かすことで、2枚のフィルタ上を通過する入射光の位置を変え、所定の波長帯域における情報を得る。この光学装置20内に、ARフィルタや、NDフィルタ、IRカットフィルタ、IRパスフィルタ、UVカットフィルタ、UVパスフィルタ他のロングパスフィルタやショートパスフィルタなど、他の光学フィルタを配置し、それらを併用することも可能である。
このような本実施例2の光学装置20は、バンドパスフィルタユニット21を構成しているショートパスフィルタ25とロングパスフィルタ26上のそれぞれの位置における光学特性を再確認する為のイニシャライズ機能を有しており、電源投入時にイニシャライズ測定を行い、必要に応じてフィルタの制御位置に補正を掛ける。本実施例2の光学装置20では、ロングパスフィルタ26のUV側の半値波長とショートパスフィルタ25のIR側の半値波長を基準とし、初期の半値波長からのそれぞれのシフト量を算出することで、そのシフト分を補正するように2枚のフィルタの制御位置を調整した。イニシャライズ測定では、バンドパスフィルタユニット21内のショートパスフィルタ25とロングパスフィルタ26を初期に設定した基準位置に固定し、測定時間の短縮を図る目的で、対象波長とした400~700nmの内、初期の分光透過特性を考慮し十分であると判断された500~650nmの間の透過強度を1枚ずつスキャニングすることで、2枚のフィルタそれぞれの半値波長と遷移波長領域、透過帯と透過阻止帯を把握した。この際、周囲環境による変化や経時変化の影響が少ない、透過帯から透過阻止帯へ遷移する遷移波長領域から十分に離れた透過帯と透過阻止帯におけるそれぞれの平均値をそれぞれの透過強度とし、これを初期の透過帯の平均的な透過率と、透過阻止帯の平均的な透過率に置き換えて、透過率50%相当となる透過強度を有する波長を半値波長とした。このようなイニシャライズ測定では、事前に同様の方法で測定された、撮像素子13における測定値を基準とし、イニシャライズ測定における測定値との比較から、光強度を計算している。これにより得られた情報を基に、フィルタの他の位置でも同程度の影響を受けたものと仮定してシフト量を換算し、フィルタの制御位置に補正を掛けた。イニシャライズ測定では入射光用の投光器として通常測定時には使用しない専用の波長スキャン機構24を撮像光学系22のレンズ前に配置し、前述した500~650nmの光をフィルタに入射させることでスキャニングを実施した。この際、透過強度を透過率として換算する為の基準を決定する為に、最初にバンドパスフィルタユニット21を抜いた状態、つまりはショートパスフィルタ25とロングパスフィルタ26を光路から退避させた状態でベースライン測定を行った。その後、バンドパスフィルタユニット21を所定の位置に戻して本測定を行い、バンドパスフィルタ21のIR半値波長のシフト量とUV側の半値波長のシフト量を解析した。このようなイニシャライズ測定には様々な方法が考えられ、スキャンする波長範囲や、必要な測定精度、測定時間、光学装置20としての大きさなど様々な要素から、最適な手法を選択すれば良い。このシフト量に応じて、予め用意された計算式からそれぞれのフィルタ位置の補正値を算出し、それぞれのフィルタの制御位置を調整した。または、シフト量に対する補正値データを用意しておき、これに従いそれぞれのフィルタを調整しても良い。ここで、フィルタの光学特性の変化は主に湿度や温度などの周囲環境が支配的である為、本実施例のようにショートパスフィルタ25とロングパスフィルタ26を使った場合には、両フィルタが同じ波長方向、つまりは両フィルタとも長波長側へシフト、または短波長側へシフトする場合が多い。そこで、イニシャライズ測定の簡易化を図る必要がある場合などは、変化が大きいIR側の遷移領域を形成するショートパスフィルタ25のみについてイニシャライズ測定を行い、その測定値から、ショートパスフィルタ25とロングパスフィルタ26のそれぞれの補正値を算出して、それぞれのフィルタの位置を調整しても良い。
以上のように作製された、バリアブルタイプのバンドパス機能を有する本実施例2の光学装置20は、経時的な変化や、温度や湿度などの周囲環境の変化の影響を受けて、光学フィルタの光学特性が変化した場合であっても、その変化量を把握し補正することが可能であり、光学性能の安定化を図ることができる。
(実施例3)
本実施例1で示したバンドパスフィルタ11を、透明基板の一方の面にバリアブルタイプのバンドパス機能膜を形成し、基板のもう一方の面の特定位置に、所定波長よりも短い波長域の透過を制限するショートカット機能膜と、所定波長よりも長い波長域の透過を制限するロングカット機能膜を形成したバンドパスフィルタに変更した光学装置に関する実施例について、以下に詳細を記載する。
本実施例3の光学フィルタ30は400~700nmの波長領域を対象波長域としたバンドパス機能を有する光学フィルタであり、図9に示すように、バンドパス機能膜32に加え、ショートパス機能膜33とロングパス機能膜34、反射防止機能膜35の4つの機能膜により構成されている。
バンドパス機能膜32は光が通過するフィルタの位置に応じて透過帯が変化するバリアブルタイプの機能膜であり、フィルタ上を特定の一方向に移動するのに応じて、連続的に透過波長帯が変化する特性を有している。
基板上に形成されたショートパス機能膜33の透過特性は基板の裏面反射成分の分だけ透過帯の透過率が若干低いものの、図8(a)と略同じ特性を有しており、約400~570nmの波長領域が透過帯、約600~700nmの波長領域が透過阻止帯となっている。そして、この透過帯から透過阻止帯へ遷移する約570~600nmに遷移波長領域があり、透過率が50%となる半値波長は約575nmとした。
基板上に形成されたロングパス機能膜34の透過特性は基板の裏面反射成分の分だけ透過帯の透過率が若干低いものの、図8(b)と略同じ透過特性を有しており、約530~700nmの波長領域が透過帯、約400~500nmの波長領域が透過阻止帯となっている。そして、この透過帯から透過阻止帯へ遷移する約500~530nmに遷移波長領域があり、透過率が50%となる半値波長は約520nmとした。
反射防止機能膜35はバンドパスフィルタ30の対象波長域である400~700nmの波長領域に加え、成膜誤差などにより多少特性がシフトした場合であっても十分な反射防止機能を実現できるように、少なくても380~720nmの波長領域において反射防止機能を有する光学特性とした。
バンドパス機能膜32は基板の一方の面上に設けた高屈折率薄膜であるTiOと低屈折率薄膜であるSiOをこの順に交互に積層した30層膜により構成されおり、IAD法により作製した。さらに、30層膜はバリアブル機能を有しており、基板上のある一方向に沿って連続的に膜厚が変化する構造となっている。また、バンドパスフィルタ31の30層膜の物理膜厚を連続変化させる為に、蒸着ドーム上にある成膜冶具の通常の固定位置に対して、成膜基板を大きく傾けて固定配置し成膜した。
ショートパス機能膜33は基板の一方の特定面上に設けたTiOとSiOをこの順に交互に積層した36層膜により構成されており、IAD法により作製した。
ロングパス機能膜34は基板の一方の面上に設けたTiOとSiOをこの順に交互に積層した34層膜により構成されており、IAD法により作製した。
反射防止機能膜35は基板の一方の面上に設けたTiOとSiOをこの順に交互に積層した4層膜により構成されており、IAD法により作製した。
このようなバンドパス機能膜32、ショートパス機能膜33、ロングパス機能膜34、反射防止機能膜35を形成した基板にはバンドパスフィルタ30で対象とした400~700nmの波長領域において、基板裏面側での反射成分を除いた入射光の殆どを透過する分光特性を有した、厚さ0.4mmのD263Tecoガラスを使用した。
以上のように構成された本実施例3のバンドパスフィルタ30は、入射光に対し、バンドパスフィルタ30を所定の位置に移動させることで、バンドパス機能膜32上の通過位置を制御し、所定の波長帯の光のみを透過させることが可能である。
図9において、ショートパス機能膜33に対峙する基板31の反対面に配置されたバンドパス機能膜32は、対象波長の長波長付近の波長帯での透過が十分に抑制できていない分光特性を有している。また、ロングパス機能膜34に対峙する基板31の反対面に配置されたバンドパス機能膜32は、対象波長の短波長付近の波長帯での透過が十分に抑制できていない分光特性を有している。そこで、本実施例3では、バンドパス機能膜32の所定位置におけるこれらの余分な透過成分を、基板31の反対面に設けたショートパス機能膜33とロングパス機能膜34で低減する構成とした。さらに、このどちらにも属さない、ショートパス機能膜33とロングパス機能膜34に挟まれた領域に対峙した基板31の反対面に配置されたバンドパス機能膜32は、対象波長領域の短波長付近、及び長波長付近における透過が十分に低減されていることから、ショートパス機能膜33とロングパス機能膜34に挟まれた位置には反射防止機能膜35を配置する構成とした。このように、本実施例3では反射防止機能膜35を設ける構成としたが、反射防止機能膜35は配置しなくても良い場合もある。さらには、反射防止機能膜35を設けず、ショートパス機能膜33とロングパス機能膜34の領域を拡大して、バンドパス機能膜32に対峙している基板31の反対面側全体を2つの機能膜で覆うように構成することも可能である。
カメラなどでの使用が想定される本実施例3で作製したような各種の光学フィルタは、画質に大きな影響を与える為に、透過波長領域や透過阻止波長領域での光量には大変敏感である。従って、本実施例3で作製した、バンドパス機能膜32、ショートパス機能膜33、ロングパス機能膜34それぞれの透過阻止帯では透過を平均で1%以下、より好ましくは平均で0.5%以下に抑えつつ、透過帯では平均で80%以上、より好ましくは平均で90%以上の透過特性を有することが望ましい。また、反射防止機能膜35は対象波長域における反射を平均で1%以下、より好ましくは平均で0.5%以下に抑えることが望ましい。
以上のように作製された本実施例3のバンドパスフィルタ30を図5中に示したバンドパスフィルタ11と入れ替えて使用することで、本実施例1で示した光学装置10と同等の性能を有する光学装置を作製できる。
以上のように作製された、バリアブルタイプのバンドパス機能を有する本実施例3の光学装置は、経時的な変化や、温度や湿度などの周囲環境の変化の影響を受けて、光学フィルタの光学特性が変化した場合であっても、その変化量を把握し補正することが可能であり、光学性能の安定化を図ることができる。
(実施例4)
図5、7で示したような実施例1、2の構成において、バンドパスフィルタ11、及びバンドパスフィルタユニット21で対象とした波長領域の最短波長付近と最長波長付近における透過のノイズ成分を低減する為、ショートパスフィルタやロングパスフィルタを別途で配置することも可能であるし、これらを光学特性の異なる2枚以上のショートパスフィルタやロングパスフィルタで構成することも可能である。
さらに、本実施例1~3に記載したバンドパスフィルタ、及びバンドパスフィルタユニットでは400~700nmの可視波長領域を対象波長としたが、これに限らず、例えば700~1200nmなど近赤外波長領域とすることも可能であるし、400~1200nmなど可視波長領域から近赤外波長領域までを対象波長とすることも可能である。更には1200nm以上の波長領域や400nm以下の紫外波長領域を対象とすることもできる。
また、本実施例1~3で述べたようなバンドパスフィルタやバンドパスフィルタユニットだけでなく、リニアバリアタイプのショートパスフィルタやロングパスフィルタなどのエッジフィルタであっても、イニシャライズ機能を利用することで同様に光学装置として光学性能の安定化を図ることができる。
1、4、31.基板
2、5.光学膜
3、6.光学フィルタ
10、20.光学装置
11.30.バンドパスフィルタ
21.バンドパスフィルタユニット
12、22.撮像光学系
13、23.撮像素子
14、24.波長スキャン機構
25.ショートパスフィルタ
26.ロングパスフィルタ
32.バンドパス機能膜
33.ロングパス機能膜
34.ショートパス機能膜
35.反射防止機能膜

Claims (8)

  1. 所定の一方向に沿った入射光の通過位置に応じて分光透過特性が連続的に変化する光学フィルタの配置位置を制御することで所定の値を得る光学装置であり、
    前記光学フィルタが、同一基板上の一方の面に所定の一方向に沿った入射光の通過位置に応じて分光透過特性が連続的に変化する所定の波長域の光のみ選択的に透過させるバンドパスフィルタであり、
    前記光学フィルタ上の位置と分光透過特性の関係を測定し、前記測定結果に応じて特定された遷移波長領域と、事前に同様な方法で測定された測定結果に応じて特定されていた初期の遷移波長領域と、から前記特定された遷移波長領域の前記初期の遷移波長領域からのシフト量に基づいて、前記配置位置を補正する機能を有することを特徴とする、光学装置。
  2. 所定の一方向に沿った入射光の通過位置に応じて分光透過特性が連続的に変化する光学フィルタの配置位置を制御することで所定の値を得る光学装置であり、
    前記光学フィルタが、同一基板上の一方の面に所定の一方向に沿った入射光の通過位置に応じて分光透過特性が連続的に変化する所定の波長域の光のみ選択的に透過させるバンドパスフィルタであり、
    前記光学フィルタ上の位置と分光透過特性の関係を測定し、前記測定結果に応じて特定された半値波長と、事前に同様な方法で測定された測定結果に応じて特定されていた初期の半値波長と、から前記特定された半値波長の前記初期の半値波長からのシフト量に基づいて、前記配置位置を補正する機能を有することを特徴とする、光学装置。
  3. 前記半値波長は、透過率50%相当となる透過強度を有する波長、又は透過帯と阻止帯との間の半分となる透過強度を有する波長であることを特徴とする、請求項2に記載の光学装置。
  4. 前記光学フィルタが、
    所定の一方向に沿った入射光の通過位置に応じて分光透過特性が連続的に変化する所定の波長よりも短波長側の光を透過させるショートパスフィルタと、
    所定の一方向に沿った入射光の通過位置に応じて透過特性が連続的に変化する所定の波長よりも長波長側の光を透過させるロングパスフィルタの少なくてもどちらか一方であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学装置。
  5. 前記ショートパスフィルタと、前記ロングパスフィルタのそれぞれの配置位置を個別に制御することで所定の透過特性を得ることを特徴とする、請求項4に記載の光学装置。
  6. 所定の一方向に沿った入射光の通過位置に応じて分光透過特性が連続的に変化する光学フィルタの配置位置を制御することで所定の値を得る光学装置であり、
    前記光学フィルタ上の位置と分光透過特性の関係を測定し、前記測定結果に応じて、前記配置位置を補正する機能を有し、
    前記光学フィルタが、基板上の一方の面に所定の一方向に沿った入射光の通過位置に応じて分光透過特性が連続的に変化する、所定の波長域のみを選択的に透過させる第1の機能膜を有し、
    前記基板のもう一方の面上の異なる領域に、所定の波長よりも短波長側の光を透過させる第2の機能膜と、所定の波長よりも長波長側の光を透過させる第3の機能膜と、所定の波長域の光の反射を低減する第4の機能膜とを有することを特徴とする、光学装置。
  7. 入射光の通過位置に応じて透過帯が連続的に変化する他の光学フィルタを備えた、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学装置。
  8. 前記他の光学フィルタが、所定の一方向に沿った入射光の通過位置に応じて分光透過特性が連続的に変化する所定の波長よりも短波長側の光を透過させる他のショートパスフィルタ、または所定の一方向に沿った入射光の通過位置に応じて分光透過特性が連続的に変化する所定の波長よりも長波長側の光を透過させる他のロングパスフィルタであることを特徴とする、請求項7に記載の光学装置。
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