以下、添付図面を参照して本発明の第1の実施形態による通信ケーブル用のガスダムについて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態によるガスダムの側面部分切除図であり、後述するガスダム1のハウジング10の一部を切除して内部の構造を示した図である。図1に示したガスダム1の上下方向は、実際に地下ケーブルと架空ケーブルとの間の接続箇所(き線点)の電柱に設置された場合の上下方向と同じである。なお、本明細書において、「上下」はガスダム1の設置状態における「上下」を意味するものとする。
図1に示すガスダム1は、ハウジング10を備えている。このハウジング10は通信ケーブル3を収容する容器であり、複数部材を組み立てることにより形成される。ガス保守の際、ハウジング10には内部空間に外気より高い圧力の気体が封じられるため、通信ケーブル3におけるガス保守の気圧(63kPa程度)に耐えられる強度を備えている。ハウジング10の形状は耐圧性に優れた円筒状が好ましいが、他の形状を適用することも可能である。ハウジング10はプラスチック製が好ましいが、金属やその他の材料を使用することも可能である。また、ケーブル接続用に一般的に使用されるクロージャーを流用してもよい。後述する充填剤20がハウジング10の内壁と接着しないように、ハウジング10の内面に予め離型剤等を塗布する、といった前処理を行ってもよい。ハウジング10の複数部材の組み立てはガスダム1の設置現場でも行うことが可能である。
ハウジング10の上下には通信ケーブル3が通過するためのケーブル孔12、14がそれぞれ設けられている。ケーブル孔12、14の部分には、通信ケーブル3のシース301とハウジング10との間の気密性を保つためにパッキン等が備えられている。
このハウジング10には、ハウジング10の内部空間に未硬化状態の充填剤20を充填するための充填口16と、ハウジング10の内部空間と外部とを連通させてハウジング10の内部空間に加圧空気を導入するためのエアバルブ部18が設けられている。これら充填口16及びエアバルブ部18は、ハウジング10の組立前の部材に予め設けられることが好ましい。図1に示す実施形態において、充填口16は、ハウジング10の下方部分に設けられている。ハウジング10の下方から充填剤20を充填することで、充填剤20に空気を巻き込みにくくなり、また充填剤20をハウジング10の上方部分から充填する場合と比べて充填剤20がハウジング10内で飛び散ることを抑制することができる。その一方で、充填口16をハウジング10の下方部分に設けてハウジング10の下方から充填剤20を充填する際、ハウジング10の内部で充填剤20を押し上げるように圧力をかけて充填することになる。多量の充填剤20を複数回に分けて充填するような場合は、充填剤20の補充作業中、充填口16を弁などで塞いで充填剤20が逆流することを防ぐ必要がある。このような充填剤20への加圧や充填口16への弁の設置などが好ましくない場合は、充填口16をハウジング10の上方部分や中間部分に設けることも可能である。この場合、後述する通信ケーブル3の第3の区分33の端部330に充填剤20がかからないように配慮することが好ましい。一方、エアバルブ部18は、ハウジング10の上方部分に設けられている。なお充填口16とエアバルブ部18とを同じ位置に設けることも可能である。エアバルブ部18はハウジング10の内部空間のうち充填剤20が充填されていない空間50に面したハウジング壁面に設けられることが好ましい。地下ケーブル保守のため、このエアバルブ部18を用いて、空間50内、すなわち地下ケーブル内の気体の圧力を計測することも可能である。
このハウジング10の内部空間の一部には充填剤20が充填されている。充填剤20はハウジング10の設置状態において下方部分(ハウジング10の下端側)に充填される。充填剤20の界面201は、後述する第1の区分の端部310より上方に位置し、後述する第3の区分の端部330より下方に位置するように設定する。この充填剤20は、通信ケーブル3のシース301や、心線30の被覆に接着して、ガス(空気)の漏れを防ぐものである。本実施形態で使用する充填剤20は硬化性の混和物であり、充填剤として2液硬化型のエポキシやウレタンを使用することが可能である。主剤と硬化剤の組み合わせにより様々な樹脂を使用することが可能である。製造・組立の観点から、加熱硬化型樹脂よりも常温硬化型樹脂を用いることが好ましい。図1に示す実施形態においては、充填口16からハウジング10内に液状の充填剤20が充填され、充填後に硬化している。取扱いの容易性から、充填剤20は充填の際は液状であるものが好ましい。充填の際、エアバルブ部18を開放して、ハウジング10内の空気の通気孔とすることができる。
通信ケーブル3は、複数の心線30とこの複数の心線30を被覆するシース301を備えている。通信ケーブル3はガスダム1の上下にそれぞれ延在しており、ガスダム1の設置時には、上方へ延在した通信ケーブル3はガス保守が行われていない架空ケーブルへとつながり、下方へ延在した通信ケーブル3はガス保守が行われている地下ケーブルへとつながっている。通信ケーブル3は、ハウジング10の内部空間で第1の区分31、第2の区分32、第3の区分33、の3つの区分に分けられる。
第1の区分31は、複数の心線30とこの複数の心線30を被覆するシース301を備えており、通信ケーブル3のうち架空ケーブルへとつながる側にあってハウジング10の上方の端部側から下方の端部側へと延び、ハウジング10の内部空間のうち充填剤20が充填されていない空間50を通過して、充填剤20の中にまで延びている。図1に示される実施形態において、ハウジング10の第1の端部(上端)側から、この第1の端部に対向する第2の端部(下端)側に向かって延在し、ハウジング10内で左側の側壁に近づけられている部分が第1の区分31にあたる。第1の区分31と後述する第2の区分32は隣接しており、第1の区分31の第2の区分32側の端部310は充填剤20の中に位置しており、少なくとも第1の区分31の第2の区分32側の端部310は充填剤20によって封止されている。充填剤20の中に位置する第1の区分31のシース301の外面と充填剤20とが接着し、気密性を有している。充填剤20は端部310から第1の区分31のシース301の内部に入り、更に上方まで充填されていてもよい。
第2の区分32は、心線30が露出している部分であり、一般に通信ケーブル3のシース301を除去することによって形成される。第2の区分32は、第1の区分31の端部310から、後述する第3の区分33の第2の区分32側の端部330まで延びており、結果として第1の区分31と第3の区分33の間に設けられている。図1に示される実施形態において、充填剤20の中に位置する第1の区分31の端部310から、S字状に延びて、第3の区分33の端部330まで延びている部分が第2の区分32にあたる。第2の区分32のうち、第1の区分31に近い側は充填剤20の中を通過し、途中で充填剤20を出て、第3の区分33の端部330へと延びている。換言すると、第2の区分32の複数の心線30のうち、第1の区分に隣接する部分は充填剤20の内部に配置され、第2の区分32の複数の心線30のうち、第1の区分に隣接する部分はハウジング10の内部空間の充填剤20のない空間50に位置している。第2の区分32の複数の心線30のうち、第1の区分に隣接する部分が充填剤20の内部に配置されることで、複数の心線30と充填剤20とが接着し、気密性を有している。上述した第1の区分31のシース301と充填剤20との間の気密性、そして第2の区分32の心線30と充填剤20との間の気密性により、ガスダム1を設置してハウジング10の空間50に加圧空気を導入して地下ケーブルのガス保守を行うときも、加圧空気が架空ケーブル側に漏出することを防ぐことができる。
第3の区分33は、複数の心線30とこの複数の心線30を被覆するシース301を備えており、通信ケーブル3のうち地下ケーブルへとつながる側にあってハウジング10の下方の端部側から上方の端部側へと延び、充填剤20を通過して、空間50にまで延びている。図1に示される第1の実施形態において、ハウジング10の下方の端部側から上方の端部側へと延び、ハウジング10内で右側の側壁に近づけられている部分が第3の区分33にあたる。第3の区分33と第2の区分32は隣接しており、第3の区分33の第2の区分32側の端部330は空間50に位置している。このように、第3の区分33の第2の区分32側の端部330は充填剤20の界面201の上にあり、第1の区分31の第2の区分32側の端部310は充填剤20の界面201の下にあるため、第3の区分33の第2の区分32に隣接する部分と、第1の区分31の第2の区分32に隣接する部分とは、少なくともそれぞれの端部において水平方向に関してオーバーラップしている。第3の区分33の第2の区分32側の端部330は充填剤20で封じられておらず、ハウジング10の空間50と、通信ケーブル3の第3の区分33のシース301の内部とが流体連通している。このため、ガスダム1を設置して空間50に加圧空気を導入して地下ケーブルのガス保守を行うとき、加圧空気が通信ケーブル3の第3の区分33を通って、地下ケーブルへと流入することができる。新たなチューブ等を用いずに、通常の通信ケーブル3の構造に基づいてガスダム1を構成することが可能となる。
上述したように、第1の実施形態において、少なくとも第1の区分31の第2の区分32側の端部310は充填剤20によって封止され、第3の区分33の第2の区分32側の端部330は空間50に位置している。換言すると、図1に示すハウジング10内で、充填剤20の液面(表面)の高さ(すなわち、界面201の高さ)が第1の区分31の第2の区分32側の端部310の高さと、第3の区分33の第2の区分32側の端部330の高さとの間にあるように、充填剤20が充填口16からハウジング10内に充填され、硬化している。この条件を満たす範囲で充填剤20の分量を調節することが可能である。充填剤20の分量が多くなると、充填剤20の液面(表面)の高さが高くなり、シース301との気密度を高めるには有利であるが、充填剤20のコストが増大する。なお、心線30やケーブルシース301と接触しないように充填剤20以外の材料、例えばパテ等、をハウジング10内に詰め、充填剤20の使用量を減らしてコストの削減や重量減少を図っても良い。
通信ケーブル3のシース301にはポリエチレン系の素材が通常用いられるが、このポリエチレン系の素材は上述した充填剤20と接着しづらい性質を有している。通信ケーブル3の第1の区分31の端部310が充填剤20によって封止されるが、第1の区分31は複数の心線30を被覆するシース301を有しているため、シース301と充填剤20との接着がうまくいかず、その結果、特に端部310の封止が不完全なものになる恐れがある。また、通信ケーブル3の第1の区分31及び第3の区分33のシース301と、ハウジング10の内壁及び第2の区分32の心線30との間に充填剤20が適切に充填されないことにより、特に端部310の封止が不完全なものになる恐れもある。図1に示す第1の実施形態において、端部310の封止をより完全なものにするために、ケーブルスペーサー42、カラー44が設けられている。
ケーブルスペーサー42は2次元または3次元のメッシュ状のシートである。具体的には目の粗い包帯状のシートや、メルトブロー製法で作製された目の粗い不織布のようなシートを使用することが可能である。このようなケーブルスペーサー42を、通信ケーブル3の第1の区分31のうち、充填剤20の中に入る部分のシース301の周囲に巻き付けられるのが好ましい。また、通信ケーブル3の第3の区分33のうち、充填剤20の中にあって空間50に近い部分のシース301の周囲に巻き付けられていてもよい。図1においてケーブルスペーサー42は断面図として示されている。このケーブルスペーサー42を構成するメッシュ状のシートによって、通信ケーブル3のシース301とハウジング10の内壁または第2の区分32の心線30との間に所定の間隔が確保され、硬化前の充填剤20がこの空間にも充填される。これにより、通信ケーブル3の第1の区分31や第3の区分33のシース301とハウジングの内壁との接触を防ぐことができる。また、通信ケーブル3の第1の区分31や第3の区分33のシース301と第2の区分32の心線30との接触を防ぐことができる。その結果、通信ケーブル3の第1の区分31や第3の区分33のシース301とハウジングの内壁との間、そして通信ケーブル3の第1の区分31や第3の区分33のシース301と第2の区分32の心線30との間に、適切に充填剤20を充填することができる、という利点がある。このことは特に空間50から充填剤20の中へと延在している通信ケーブル3の第1の区分31において重要である。仮に第1の区分31のシース301周囲に充填剤20が適切に充填されないことによる隙間が生じると、加圧空気がハウジング10の内部空間からこの隙間に沿って端部310へと流れ、端部310の気密性を破ってガス保守がされていない架空ケーブルへと漏出してしまう恐れがあるからである。ケーブルスペーサー42により、このような問題を防ぐことが可能となる。
カラー44は充填剤20との接着性の良い材料(ポリ塩化ビニル等)で形成された薄い帯状の部材であり、通信ケーブル3の第1の区分31のうち、充填剤20の中に入る部分のシース301の一部に巻き付けられるのが好ましい。この際、接着剤を更に用いてもよい。また、ゴムのような伸縮性のあるテープであって表面に易接着性処理を施したものを、シース301に複数回巻き付けてカラー44を形成してもよい。図1においてカラー44は側面図として示されている。カラー44が第1の区分31のシース301に巻き付けられることにより、第1の区分31のシース301を外側から締め付け、さらにカラー44とその周囲に充填された充填剤20とが接着して、単にシース301と充填剤20とが接着した場合よりも強固な接着が得られる。その結果、単に通信ケーブル3のシース301の周囲に充填剤20を充填する場合と比較して、通信ケーブル3と充填剤20との間により隙間が生じにくくなるという利点がある。さらに、カラー44が物理的に第1の区分31のシース301を外側から締め付けることにより、気密性を更に高めることができる。このことは特に空間50から充填剤20の中へと延在している通信ケーブル3の第1の区分31において重要である。仮に第1の区分31のシース301と周囲の充填剤20との間に隙間が生じると、加圧空気がハウジング10の内部空間から端部310へと流れて端部310の密封を破り、ガス保守がされていない架空ケーブルへと漏出してしまう恐れがあるからである。カラー44により、このような問題を防ぐことが可能となる。
また、カラー44の別の形態として、シース301の周囲に粘度の高いパテ状の材料を配置し、これの上に更にゴムのような伸縮性のあるテープであって表面に易接着性処理を施したものを、シース301に複数回巻き付けることも可能である。シース301と充填剤20との間の隙間を抑制することに加えて、カラー44の内側のシース301を圧迫して締め付けることにより第1の区分31の気密性を高めることが可能となる。
このような第1の実施形態によると、通信ケーブル3をガスダム1のハウジング10内に適切に引き回し、ハウジング10内に充填剤20を充填することにより、通信ケーブル3の固定と、架空ケーブル側の密封及び地下ケーブル側への流体連通を同時に達成することが可能となる。つまり、第1の実施形態のガスダムは単純な構造で加圧した空気をケーブル内に供給可能とする。また、第1の実施形態のガスダムは、後述する方法によりガスダムの設置現場(通信ケーブルの敷設現場)でも製造・組立を行うことができる。
本発明に係るガスダムは、様々な改変が可能であり、特に通信ケーブルの引き回し方について改変を行うことができる。以下、図面を参照して通信ケーブルの引き回し方を変えた実施形態について説明する。
図2を参照して、本発明に係るガスダムの第2の実施形態について説明する。第2の実施形態はハウジング10の通信ケーブル3の引き回しや、充填剤20の充填位置等を改変したものである。説明の簡略化のため、図2は、第2の実施形態に係るガスダム1の主要構造のみを概略的に描いた概略図である。第1の実施形態と第2の実施形態において共通する構成要素については説明を省略する。
第2の実施形態に係るガスダム1は、ガスダム1の設置状態において横方向に通信ケーブル3が延在して敷設されている場合に使用されるものである。ハウジング10の左右には通信ケーブル3が通過するためのケーブル孔(図示せず)がそれぞれ設けられている。また、ハウジング10には、ハウジング10の内部空間に充填剤20を充填するための充填口(図示せず)が設けられ、ハウジング10の内部空間と外部とを連通させてハウジング10の内部空間に加圧空気を導入するためのエアバルブ部(図示せず)がハウジング10の内部空間のうち充填剤20が充填されていない空間50に面したハウジング壁面に設けられる。
このハウジング10の内部空間の一部には充填剤20が充填されている。充填剤20はハウジング10の設置状態において下方部分に充填される。通信ケーブル3はガスダム1の左右にそれぞれ延在しており、ガスダム1の設置時には、一方へ延在した通信ケーブル3はガス保守が行われていない架空ケーブルへとつながり、もう一方へ延在した通信ケーブル3はガス保守が行われている地下ケーブルへとつながっている。通信ケーブル3は、ハウジング10の内部空間で第1の区分31、第2の区分32、第3の区分33、の3つの区分に分けられる。
図2に示される第2の実施形態において、通信ケーブル3のうちハウジング10の第1の端部(左端)側から第1の端部に対向する第2の端部(右端)側へと延び、ハウジング10内で充填剤20の中に位置する部分が第1の区分31にあたる。ハウジング10の内部空間において第1の区分31は、その全体が、ハウジング10の内部空間の充填剤20の中を通過している。そして、第1の区分31の第2の区分32側の端部310は充填剤20の中に位置しており充填剤20によって封止されている。つまり、第1の区分31は充填剤20の界面201よりも下方に位置している。充填剤20は端部310から第1の区分31のシース301の内部に入り、更に左方まで充填されていてもよい。このため、ガスダム1を設置してハウジング10の空間50に加圧空気を導入して地下ケーブルのガス保守を行うときも、加圧空気が架空ケーブル側に漏出することはない。
第2の区分32は、心線30が露出している部分であり、第1の区分31の端部310から、第3の区分33の端部330まで延びており、結果として第1の区分31と第3の区分33の間に設けられている。図2に示される実施形態において、充填剤20の中に位置する第1の区分31の端部310から、略直線状に延びて、第3の区分33の端部330まで延びている部分が第2の区分32にあたる。第2の区分32のうち、第1の区分31に近い側は充填剤20の中を通過し、途中で充填剤20を出て、第3の区分33の端部330へと延びている。ハウジング10内に第1の区分31及び第3の区分33をより長く配置して、第1の実施形態と同様に第2の区分をS字状に引き回してもよい。
第3の区分33は、通信ケーブル3のうち地下ケーブルへとつながる側にあってハウジング10の右方の端部側から空間50内を左方の端部側へと延びている。ハウジング10の内部空間において第3の区分33は、その全体が、ハウジング10の内部空間のうち充填剤のない空間50に位置している。つまり、第3の区分33は充填剤20の界面201よりも上方に位置している。第3の区分33の第2の区分32側の端部330は空間50に位置しているため、端部330は充填剤20で封じられておらず、ハウジング10の空間50と、通信ケーブル3の第3の区分33のシース301の内部とが流体連通している。このため、ガスダム1を設置して空間50に加圧空気を導入して地下ケーブルのガス保守を行うとき、加圧空気が通信ケーブル3の第3の区分33を通って、地下ケーブルへと流入することができる。新たなチューブ等を用いずに、通常の通信ケーブル3の構造に基づいてガスダム1を構成することが可能となる。
第2の実施形態において、通信ケーブル3の第1の区分31と第3の区分33はいずれも直線状に延在し、第1の区分31の延在方向の中心線と、第3の区分33の延在方向の中心線とが、この延在方向に交差する方向に関してオフセットして配置されている。通信ケーブル3の第1の区分31の端部310が充填剤20によって封止され、第3の区分33の第2の区分32側の端部330は空間50に位置している。充填剤20の界面201は第1の区分31より上方に位置し、第3の区分33より下方に位置している。第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、通信ケーブル3の固定と、架空ケーブル側の密封及び地下ケーブル側への流体連通を同時に達成することが可能となる。第2の実施形態において、第1の区分31の全体が充填剤20に取り囲まれているため、気密性の観点で有利である。また、第2の区分をS字状に引き回す必要がないため、製造・組立も更に容易となる。更に、ガスダム1の設置位置に関する柔軟性が増す。
図3を参照して、本発明に係るガスダムの第3の実施形態について説明する。第3の実施形態はハウジング10の通信ケーブル3の引き回しや、充填剤20の充填位置等を改変したものである。説明の簡略化のため、図3は、第3の実施形態に係るガスダム1の主要構造のみを概略的に描いた概略図である。第1の実施形態と第3の実施形態において共通する構成要素については説明を省略する。
第3の実施形態に係るガスダム1は、ガスダム1の設置状態において横方向に敷設されている通信ケーブル3が折り返すように設けられるものである。ハウジング10の一方の側壁(図3では右側の壁)には通信ケーブル3が通過するためのケーブル孔(図示せず)が2つ設けられている。また、ハウジング10には、ハウジング10の内部空間に充填剤20を充填するための充填口(図示せず)が設けられ、ハウジング10の内部空間と外部とを連通させてハウジング10の内部空間に加圧空気を導入するためのエアバルブ部(図示せず)がハウジング10の内部空間のうち充填剤20が充填されていない空間50に面したハウジング壁面に設けられる。
このハウジング10の内部空間の一部には充填剤20が充填されている。充填剤20はハウジング10の設置状態において下方部分に充填される。通信ケーブル3はガスダム1の右側からガスダム1に入り、またガスダム1の右側へと出ていく。ガスダム1の設置時には、一方がガス保守が行われていない架空ケーブルへとつながり、もう一方がガス保守が行われている地下ケーブルへとつながっている。通信ケーブル3は、ハウジング10の内部空間で第1の区分31、第2の区分32、第3の区分33、の3つの区分に分けられる。
図3に示される第3の実施形態において、通信ケーブル3のうちハウジング10の第1の端部(右端)側から第1の端部に対向する第2の端部(左端)側へと延び、ハウジング10内で充填剤20の中に位置する部分が第1の区分31にあたる。ハウジング10の内部空間において第1の区分31は、その全体が、ハウジング10の内部空間の充填剤20の中を通過している。第1の区分31の第2の区分32側の端部310は充填剤20の中に位置しており充填剤20によって封止されている。つまり、第1の区分31は充填剤20の界面201よりも下方に位置している。充填剤20は端部310から第1の区分31のシース301の内部に入り、更に右方まで充填されていてもよい。このため、ガスダム1を設置してハウジング10の空間50に加圧空気を導入して地下ケーブルのガス保守を行うときも、加圧空気が架空ケーブル側に漏出することはない。
第2の区分32は、心線30が露出している部分であり、第1の区分31の端部310から、第3の区分33の端部330まで延びており、結果として第1の区分31と第3の区分33の間に設けられている。図3に示される実施形態において、充填剤20の中に位置する第1の区分31の端部310から、左側に延びてから略U字を描くように右側へと延びて、第3の区分33の端部330まで延びている部分が第2の区分32にあたる。第2の区分32のうち、第1の区分31に近い側は充填剤20の中を通過し、途中で充填剤20を出て、第3の区分33の端部330へと延びている。
第3の区分33は、通信ケーブル3のうち地下ケーブルへとつながる側にあって、第1の区分31と同様に、ハウジング10の第1の端部(右端)側から第1の端部に対向する第2の端部(左端)側へと延びている。ハウジング10の内部空間において第3の区分33は、その全体が、ハウジング10の内部空間のうち充填剤のない空間50に位置している。つまり、第3の区分33は充填剤20の界面201よりも上方に位置している。第3の区分33の第2の区分32側の端部330は空間50に位置しているため、端部330は充填剤20で封じられておらず、ハウジング10の空間50と、通信ケーブル3の第3の区分33のシース301の内部とが流体連通している。このため、ガスダム1を設置して空間50に加圧空気を導入して地下ケーブルのガス保守を行うとき、加圧空気が通信ケーブル3の第3の区分33を通って、地下ケーブルへと流入することができる。新たなチューブ等を用いずに、通常の通信ケーブル3の構造に基づいてガスダム1を構成することが可能となる。
第3の実施形態において通信ケーブル3の第1の区分31と第3の区分33はいずれも直線状に延在し、第1の区分31の延在方向の中心線と、第3の区分33の延在方向の中心線とが、この延在方向に交差する方向に関してオフセットして配置されている。通信ケーブル3の第1の区分31の端部310が充填剤20によって封止され、第3の区分33の第2の区分32側の端部330は空間50に位置している。充填剤20の界面201は第1の区分31より上方に位置し、第3の区分33より下方に位置している。第3の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、通信ケーブル3の固定と、架空ケーブル側の密封及び地下ケーブル側への流体連通を同時に達成することが可能となる。第3の実施形態において、第1の区分31の全体が充填剤20に取り囲まれているため、気密性の観点で有利である。また、ガスダム1の設置位置に関する柔軟性が増す。
図4を参照して、本発明に係るガスダムの第4の実施形態について説明する。第4の実施形態はハウジング10の通信ケーブル3の引き回しや、充填剤20の充填位置等を改変したものである。説明の簡略化のため、図4は、第4の実施形態に係るガスダム1の主要構造のみを概略的に描いた概略図である。第1の実施形態と第4の実施形態において共通する構成要素については説明を省略する。
第4の実施形態に係るガスダム1は、ガスダム1の設置状態において上下方向に敷設されている通信ケーブル3が折り返すように設けられるものである。ハウジング10の第1の端部(図4では上端)の壁には通信ケーブル3が通過するためのケーブル孔(図示せず)が2つ設けられている。また、ハウジング10には、ハウジング10の内部空間に充填剤20を充填するための充填口(図示せず)が設けられ、ハウジング10の内部空間と外部とを連通させてハウジング10の内部空間に加圧空気を導入するためのエアバルブ部(図示せず)がハウジング10の内部空間のうち充填剤20が充填されていない空間50に面したハウジング壁面に設けられる。
このハウジング10の内部空間の一部には充填剤20が充填されている。充填剤20はハウジング10の設置状態において下方部分に充填される。通信ケーブル3はガスダム1の上方からガスダム1に入り、またガスダム1の上方へと出ていく。ガスダム1の設置時には、一方がガス保守が行われていない架空ケーブルへとつながり、もう一方がガス保守が行われている地下ケーブルへとつながっている。通信ケーブル3は、ハウジング10の内部空間で第1の区分31、第2の区分32、第3の区分33、の3つの区分に分けられる。
図4に示される実施形態において、第1の区分31は、ハウジング10の第1の端部(上端)の側から第1の端部に対向する第2の端部(下端)の側へと延び、ハウジング10の内部空間のうち充填剤20が充填されていない空間50を通過して、充填剤20の中にまで延びている。第1の区分31の第2の区分32側の端部310は充填剤20の中に位置しており、少なくとも第1の区分31の第2の区分32側の端部310は充填剤20によって封止されている。充填剤20の界面201は第1の区分の端部310より上方に位置し、第3の区分の端部330より下方に位置するように設定する。充填剤20は端部310から第1の区分31のシース301の内部に入り、更に上方まで充填されていてもよい。このため、ガスダム1を設置してハウジング10の空間50に加圧空気を導入して地下ケーブルのガス保守を行うときも、加圧空気が架空ケーブル側に漏出することはない。
第2の区分32は、心線30が露出している部分であり、第1の区分31の端部310から、後述する第3の区分33の第2の区分32側の端部330まで延びており、結果として第1の区分31と第3の区分33の間に設けられている。図4に示される実施形態において、充填剤20の中に位置する第1の区分31の端部310から、下方に延びてから略U字を描くように上方へと延びて、第3の区分33の端部330まで延びている部分が第2の区分32にあたる。第2の区分32のうち、第1の区分31に近い側は充填剤20の中を通過し、途中で充填剤20を出て、第3の区分33の端部330へと延びている。
第3の区分33は、通信ケーブル3のうち地下ケーブルへとつながる側にあって、第1の区分と同様に、第1の端部(上端)の側から第1の端部に対向する第2の端部(下端)の側へと延びている。第3の区分33の第2の区分32側の端部330は空間50に位置しているため、端部330は充填剤20で封じられておらず、ハウジング10の空間50と、通信ケーブル3の第3の区分33のシース301の内部とが流体連通している。このため、ガスダム1を設置して空間50に加圧空気を導入して地下ケーブルのガス保守を行うとき、加圧空気が通信ケーブル3の第3の区分33を通って、地下ケーブルへと流入することができる。新たなチューブ等を用いずに、通常の通信ケーブル3の構造に基づいてガスダム1を構成することが可能となる。
第4の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、ケーブルスペーサー42やカラー44を第1の区分31のうち、充填剤20の中に入る部分のシース301の一部に設けることが好ましい。これは第4の実施形態においても、第1の区分31が空間50から充填剤20の中へと延在しているため、第1の区分31のシース301と周囲の充填剤20との間の気密性が重要となるからである。
第4の実施形態において通信ケーブル3の第1の区分31の端部310が充填剤20によって封止され、第3の区分33の第2の区分32側の端部330は空間50に位置している。第4の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、通信ケーブル3の固定と、架空ケーブル側の密封及び地下ケーブル側への流体連通を同時に達成することが可能となる。また、ガスダム1の設置位置に関する柔軟性が増す。
図5を参照して、本発明に係るガスダムの第5の実施形態について説明する。第1の実施形態と第5の実施形態において共通する構成要素については説明を省略する。本発明の第5の実施形態は、1本の通信ケーブル3を引き回していた第1の実施形態とは異なり、2本の通信ケーブル3について、第2の区分32のところで心線30同士をコネクタ46により接続したものである。第5の実施形態において、第1の区分31側から延びて露出している複数の心線30と、第3の区分33側から延びて露出している複数の心線30について、それぞれ対応する心線30同士をコネクタ46により接続したものである。このコネクタ46により、ハウジング10内で2本の通信ケーブル3を接続することが可能となる。さらにコネクタ46によって、心線30同士の間隔を広げることができ、この間隔に充填剤20が充填され、心線30同士の間の隙間を埋めることが可能となる。これにより、充填剤20による封止をより完全なものにすることが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態において第1の区分31側の封止をより完全なものとするためケーブルスペーサー42やカラー44を用いることについて述べた。これらケーブルスペーサー42やカラー44の他にも、充填剤20による封止をより完全なものにすることが可能な構成がある。このような構成について以下の通り説明する。
図6を参照して、充填剤20による封止をより完全なものにするための別の構成について説明する。図6は、通信ケーブル3の第2の区分32における複数の心線30と、これらの心線30同士の間隔を広げる心線間スペーサー48を示す概略図である。通信ケーブル3は複数本の心線30が撚り合わせられてシース301内に収納されている構造を備えている。通信ケーブル3の第2の区分32においては、シース301が除去されることにより、心線30が露出されている。複数本の心線30が撚り合わせられた状態では、撚り合わせの中心部付近に充填剤20を隙間なく充填することが困難であり、この部分が気密性に影響を及ぼすおそれがある。このため、第2の区分32の撚り合わせられていた心線30をほぐしてその間隔を広げ、更にこの状態を維持するように、心線間スペーサー48を心線30の各々の間に配置することが好ましい。具体的には、ケーブル接続時等に切り捨てられた心線(心線屑)を再利用して、図6に示すように心線間に交差するように這わせることで、心線間スペーサー48とすることが可能である。心線間スペーサー48によって広げられた空間に充填剤20が充填されるため、心線間スペーサー48自身の材質は充填剤20と接着性の高いもの(例えばポリ塩化ビニル)が好ましい。これにより、空間50から第2の区分32を経て第1の区分31の端部310に至る部分の気密性を保つことができる。
さらに、充填剤20による封止をより完全なものにするための構成について説明する。上述したように通信ケーブル3のシース301にはポリエチレン系の素材が通常用いられるが、ポリエチレン系の素材は一般的な充填剤との間の高い接着が得にくいことが知られている。このようなシース301の接着力を改善するため、シース301の滑らかな外側表面を研磨布などで擦り、表面を荒くする加工を施すことも可能である。
また、液体のポリエチレン用プライマーを第2の区分32の心線30の表面や、第1の区分31、第3の区分33のシース301の表面に塗布することで、接着力を高めることも可能である。また、上述した各種スペーサーやコネクタに塗布してもよい。
上述した充填剤20による封止をより完全なものにするための構成は、少なくとも、特に封止が重要となる、架空ケーブルにつながる第1の区分31の側と、第2の区分の第1の区分に隣接する部分に適用することが好ましい。
図7、図8を参照して、本発明に係るガスダムの第6の実施形態、第7の実施形態について説明する。第1の実施形態と第6の実施形態、第7の実施形態において共通する構成要素については説明を省略する。本発明の第6の実施形態、第7の実施形態は、第1の実施形態で使用した充填剤20に関して改変を加えたものである。
図7に示した本発明の第6の実施形態は、第1の実施形態で使用した硬化性の充填剤20の代わりに、非硬化性の充填剤22を使用したものである。非硬化性の充填剤22として、非硬化性で不揮発性の液体を充填口16から充填して使用する。ここで不揮発性とは全く揮発しないものに限られるのではなく、実用上十分に長い寿命が得られる程度に低い揮発性を有するものも含む。充填の際、エアバルブ部18を開放して、ハウジング10内の空気の通気孔とすることができる。グリース状の高粘度の液体を使用することが比較的好ましいが、第1の区分31の端部310から通信ケーブル3の内部に非硬化性の充填剤22が流入しないように、これらの端部310を接着剤やパテ等の封止剤で密封することにより、比較的低粘度の液体を利用することも可能である。
第1の実施形態等で使用されていた硬化性の充填剤20は、その硬化に伴い、通信ケーブル3のシース301や心線30との間に隙間が生じるおそれがあったが、第6の実施形態では、非硬化性の充填剤22を使用するため、そのような隙間が生じるおそれがない。
図8に示した本発明の第7の実施形態は、第1の実施形態で使用した硬化性の充填剤20の代わりに、硬化性の充填剤20と非硬化性の充填剤22とを併用したものである。第6の実施形態と同様に非硬化性の充填剤22として、非硬化性で不揮発性の液体を使用する。グリース状の高粘度の液体を使用することが比較的好ましいが、充填剤20が適切に充填され、大きな隙間がない場合には、比較的低粘度の液体を利用することも可能である。
第7の実施形態において、充填口16からハウジング10内に液状の充填剤20(硬化性)が充填され、充填剤20の硬化後にエアバルブ部18を使用して非硬化性の充填剤22をハウジング10内の充填剤20の上に充填することができる。これにより、先に充填されて硬化した充填剤20とシース301や心線30との間に何らかの隙間ができていたとしても、後から充填された非硬化性の充填剤22がその隙間を埋めることができるため、気密性を高めることが可能となる。また、硬化性の充填剤20と非硬化性の充填剤22とが相溶性を有さず、そして硬化前の硬化性の充填剤20よりも非硬化性の充填剤22の比重が小さい場合は、硬化性の充填剤20と非硬化性の充填剤22とを混合して一度に充填口16からハウジング10内に充填するようにしてもよい。この場合、充填後に非硬化性の充填剤22が硬化性の充填剤20から分離して上方に集まり、硬化性の充填剤20が下方で硬化することになる。
また、図1に示した第1の実施形態のように当初は硬化性の充填剤20のみを使用したガスダム1を設置し、後に架空ケーブル側への空気漏れが発生した時点で、硬化した充填剤20の上に非硬化性の充填剤22をエアバルブ部18から硬化した充填剤20の上へと充填するようにしてもよい。(最終的に図8に示したような構成となる)このようにすると、非硬化性の充填剤22によって、空気漏れの補修を行うこともできる。
これまで説明した本発明に係るガスダムは、従来のようにガスダムの設置場所(地下ケーブルと架空ケーブルとの間の接続箇所(き線点))から離れた工場で予め製造することも可能であるが、ガスダムを設置するその場で製造・組立を行うことも可能である。具体的なガスダムの製造方法(組立方法)について、図9~図13を参照して以下の通り説明する。
図9~図13は本発明に係るガスダムの製造方法である。図9に通信ケーブル3の概略図を示す。ガスダムの製造に当たり、まず複数の心線30とこの複数の心線30を被覆するシース301を有する所定の長さの通信ケーブル3を用意する(通信ケーブルを用意するステップ)。図11を参照して後述するように、通信ケーブル3は後にガスダム1のハウジング10内でS字状に引き回されるため、長さにある程度の余裕を持たせることが好ましい。また、ここで、通信ケーブル3のうち、架空ケーブル側に接続される側の端部を、既設の通信ケーブル(ガス保守されないもの)に接続しておくことも可能である。また、後にガス保守されるケーブル(地下ケーブル)に接続される側の端部を、既設の通信ケーブル(ガス保守されるもの)に接続しておくことも可能である。この場合、後述するハウジング10の取り付けまでは、既設の通信ケーブル側から加圧空気が流入してこないように、既設の通信ケーブル側の地下クロージャーを制御するか、ガス保守を一時的に停止することが好ましい。
図10は中間部分のシース301が除去された通信ケーブル3を示す概略図である。図10に示すように通信ケーブル3の中間部分のシース301を所定長除去し、複数の心線30を露出させる(シース除去ステップ)。図10において、上側に位置する部分は複数の心線30と複数の心線30を被覆するシース301とを備えており、後に第1の区分31となる部分である。シース301を有さず、複数の心線30が露出されている部分は、後に第2の区分32となる部分である。この第2の区分32となる部分を挟んで第1の区分となる部分と反対側(図10では下側)に位置する部分も複数の心線30と複数の心線30を被覆するシース301とを備えており、後に第3の区分33となる部分である。この通信ケーブル3の一部のシース301の除去は、ガスダムの設置現場でも実施可能である。
なお、1本の通信ケーブル3を用意する代わりに、2本の通信ケーブルをガスダム1のところで接続するような場合(図示せず)は、各通信ケーブルの端部のシースを除去して複数の心線を露出させ、各通信ケーブルの間で対応する心線同士をコネクタにより接続することで、1本の通信ケーブルから製造した場合と同様の構成とすることができる。この場合も、以下の工程は同様である。
ここで、通信ケーブル3に対して、後に第1の区分31となる部分(及び追加的に後に第3の区分33となる部分)に任意的に上述した気密性を向上するための各処理、すなわちケーブルスペーサーやカラーを設けたり、プライマーを塗布したり、表面加工を施したりする(いずれも図示せず)ことにより、後述する充填剤20による第1の区分31の第2の区分32側の端部310の封止をより完全なものにすることができる。ケーブルスペーサーを例に挙げると、後述するハウジング10を通信ケーブル3に取り付けて、充填剤20を充填する前に、第1の区分31となる部分のシース301の一部にメッシュ状のシートを巻き付け、ハウジング10の内壁または第2の区分32の心線との間隔を維持するためのケーブルスペーサーを設ける(ケーブルスペーサー設置ステップ)ことができる。また、後に第2の区分32となる部分に任意的に上述した心線間スペーサーを設けたり(図示せず)、プライマーを塗布することにより、充填剤20による封止をより完全なものにすることができる。
図11はガスダム1の製造途中におけるハウジング10の一部を切除して内部の構造を示した側面部分切除図である。図11に示すように、通信ケーブル3にハウジング10を取り付ける(ハウジング取り付けステップ)。ハウジング10の内部に第1の区分31の第2の区分32側の端部310と、第2の区分32と、第3の区分33の第2の区分32側の端部330を包含するようにする。ちょうど第2の区分32のところが曲がることにより、通信ケーブル3としては略S字状に引き回される。ハウジング10のケーブル孔12、14を通信ケーブル3が通過するようにハウジング10は取り付けられ、このケーブル孔12、14の部分のパッキン等により、通信ケーブル3のシース301とハウジング10との間の気密性が保たれる。図11に示すハウジング10の上下関係は、ガスダム1の設置現場における上下関係と同じである。図11に示されるように、第1の区分31がハウジング10の第1の端部(上端)の側から、第1の端部に対向する第2の端部(下端)の側に向かって延在するように配置され、第3の区分33がハウジング10の第2の端部(下端)の側から、第1の端部(上端)の側に向かって延在するように配置される。
第1の区分31は図11中ではハウジング10の内部空間の左側を下方に延び、第3の区分33は図11中ではハウジング10の内部空間の右側を上方に延びている。第1の区分31の第2の区分32側の端部310が、第3の区分33の第2の区分32側の端部330よりも下方に位置するように、第1の区分31及び第3の区分33を配置する。その結果、第1の区分31及び第3の区分33の間に位置する第2の区分32は、第1の区分31の端部310から第3の区分33の端部330へと略S字状に延在する。このようにハウジング10内に通信ケーブル3を配置し、通信ケーブル3のシース301の内部を介したハウジング10外との流体連通を除いて、気密性が保たれるようにハウジング10を取り付ける。これにより、最終的にガスダム1が完成した後にガスダム1の気密性が発揮できるようになる。このハウジング10の取り付けもガスダム1の設置現場で行うことが可能である。
図12はガスダム1の製造途中におけるハウジング10の一部を切除して内部の構造を示した側面部分切除図である。図12に示すように、ハウジング10の取り付けの後に、ハウジング10内に充填口16から充填剤20を充填する(充填ステップ)。充填剤20として、上述した様々な種類の充填剤を使用することが可能である。また、この充填剤20の充填の際にエアバルブ部18を開放して、ハウジング10内の空気の通気孔とし、充填剤20の充填を促進することも可能である。充填剤20は、第1の区分31の第2の区分32側の端部310が充填剤20の中に位置するように、かつ第3の区分33の第2の区分32側の端部330が充填剤20の中に位置しないように、充填される。その結果、第1の区分31の第2の区分32側の端部310以外の少なくとも一部と、第3の区分33の第2の区分32側の端部330が、ハウジングの内部空間の充填剤20が充填されていない空間50に位置する。充填剤20の充填が終わると、充填口16を閉じる。
第3の区分33は下方で、上述したように既設の通信ケーブル(ガス保守されるもの)と接続されている(図示せず)。図11に示したハウジング10の取り付けの際は、既設の通信ケーブル側から加圧空気が流入してこないようにすることが好ましいが、充填口16から充填剤20をハウジング10内に充填する際は、加圧空気の流入を引き続き止めておいてもよく、また、既設の通信ケーブル側から加圧空気が流入するようにしても良い。加圧空気が既設の通信ケーブル側から流入するようにすると、充填剤20が第3の区分33の第2の区分32側の端部330にかかってこの端部330の口を塞ぎ、後の流体連通を阻害することを抑制することができる。
図13はガスダム1の製造途中におけるハウジング10の一部を切除して内部の構造を示した側面部分切除図である。充填剤20が硬化性の充填剤である場合、充填剤20の充填が終わった後、図13に示すように、エアバルブ部18からハウジング10の内部空間のうち充填剤20が充填されていない空間50に加圧空気(63kPa程度)を導入する(加圧空気導入ステップ)ことが好ましい。エアバルブ部18から加圧空気を導入する代わりに、エアバルブ部18を閉じて、既設の通信ケーブル側から第3の区分33の端部330を通って加圧空気がハウジング10内に流入するようにしても良い。空間50内の加圧空気により、充填剤20を加圧して、充填部分の隅々まで充填剤を充填することができる。硬化に要する時間は硬化剤の種類に依存するが、数時間程度である。
なお、通信ケーブル3の第1の区分31側と架空ケーブルとの接続や、通信ケーブル3の第3の区分33側と地下ケーブルの接続は、ガスダム1のハウジング10に充填剤20が充填された後に行う(接続ステップ)ことも可能である。特に、図12に示したように充填剤20が充填された後に、通信ケーブル3の第3の区分33側と地下ケーブルとを接続し、エアバルブ部18を閉じて、ガス保守されている地下ケーブル側から流入する空気により、ハウジング10の内部の空間50中の気圧が上がり、充填剤20を加圧して、充填部分の隅々にまで充填剤を充填することができる。
充填剤20が硬化し、第1の区分31の端部310が充填剤20によって封止されると、ガスダム1が完成する。
地下ケーブルと架空ケーブルとの間に設置されたガスダム1のエアバルブ部18からハウジング10の空間50に加圧空気を導入することで、加圧空気は、空間50と流体連通している通信ケーブル3の第3の区分33のシース301内部へと流入して、地下ケーブル側に流れ、ガス保守の維持を行うことができる。また、エアバルブ部18から空間50の気圧を測定することで、空間50と、通信ケーブル3の第3の区分33のシース301内部を介して流体連通している地下ケーブル内の異常等を検出することが可能となる。一方で、通信ケーブル3の架空ケーブル側へと延びる側の第1の区分31の端部310はガスダム1の充填剤20により封止されている。このため、ハウジング10内に導入された加圧空気が第1の区分31を通って、ガス保守がされていない架空ケーブル側に漏出することはない。
また、上述したガスダムの製造方法(組立方法)は、ガスダムの設置現場(通信ケーブルの敷設現場)でも容易に実施することが可能である。これにより、地下ケーブルと架空ケーブルとの間の接続箇所(き線点)の電柱に設けられることが多いガスダムが、仮に交通事故等により破損して交換を要する状態になったとしても、その場でガスダム付きケーブルの製造(組立)を行い、迅速に交換を行うことが可能となる。
上述したガスダムの製造方法の他に、予め工場でガスダムを製造して、交換用に備えることも可能である。以下、図14~図18を参照して他の製造方法について説明する。上述したガスダムの製造方法と共通する点については適宜説明を省略する。
図14に通信ケーブル3の概略図を示す。上述した製造方法と同様に、まず複数の心線30とこの複数の心線30を被覆するシース301を有する所定の長さの通信ケーブル3を用意する(通信ケーブルを用意するステップ)。通信ケーブル3は後にガスダム1のハウジング10内でS字状に引き回されるため、長さにある程度の余裕を持たせることが好ましい。この製造方法は、工場においてガスダムを製造する方法であるため、この段階で架空ケーブルや地下ケーブルとの接続を行うことはない。通信ケーブル3のうち、後に地下ケーブルに接続される側の端部を予め封止しておくのが好ましい。この封止は、通信ケーブル3の一方の端部に接着剤入りの熱収縮チューブをかぶせてから加熱することで、実施することができる。図14には封止部36として示されている。
ここで、通信ケーブル3のうち、後に架空ケーブルに接続される、もう一方の端部は封止しないことが好ましい。架空ケーブルに接続される側の端部を封止しないと、後に図17に示すようにハウジング10内に充填剤20を充填するときに第1の区分31のシース301の内部に充填剤20が入りやすくなり、第1の区分31のケーブル内部でも気密性が発現しやすいからである。
図15は中間部分のシース301が除去された通信ケーブル3を示す概略図である。上述した製造方法と同様に、通信ケーブル3の中間部分のシース301を所定長除去し、複数の心線30を露出させる(シース除去ステップ)。
ここで、上述した製造方法と同様に、通信ケーブル3に対して、後に第1の区分31となる部分等にケーブルスペーサーやカラーを設けたり(ケーブルスペーサー設置ステップ)、プライマーを塗布したり、表面加工を施したりする(いずれも図示せず)ことが好ましい。後に第2の区分32となる部分に任意的に上述した心線間スペーサーを設けたり、プライマーを塗布してもよい(図示せず)。
図16はガスダム1の製造途中におけるハウジング10の一部を切除して内部の構造を示した側面部分切除図である。上述した製造方法と同様に、図16に示すように、通信ケーブル3にハウジング10を取り付ける(ハウジング取り付けステップ)。
図17はガスダム1の製造途中におけるハウジング10の一部を切除して内部の構造を示した側面部分切除図である。ハウジング10を取り付けた後、図17に示すように、ハウジング10の取り付けの後に、ハウジング10内に充填口16から充填剤20を充填する(充填ステップ)。
図18はガスダム1の製造途中におけるハウジング10の一部を切除して内部の構造を示した側面部分切除図である。充填剤20が硬化性の充填剤である場合、充填剤20の充填が終わった後、図18に示すように、エアバルブ部18からハウジング10の内部空間のうち充填剤20が充填されていない空間50に加圧空気(63kPa程度)を導入する(加圧空気導入ステップ)ことが好ましい。この加圧空気により、充填剤20を加圧して、その硬化を促進することができる。封止部36により、第3の区分33の側から加圧空気が漏出しないようになっており、空間50の気密性が保たれている。
充填剤20が硬化し、第1の区分31の端部310が充填剤20によって封止されると、ガスダム1が完成する。
このように完成したガスダム1を必要時に設置現場へと搬送して、第1の区分31側の通信ケーブル3の端部を架空ケーブルへと接続し、通信ケーブル3の他方の端部について、封止部36を除去して地下ケーブルへと接続する(接続ステップ)ことでガスダム1を設置することができる。予め工場で製造するため比較的高い精度での製造が可能となる。また、充填剤が硬化するのを現場で待つ必要が無く、設置現場へ適時に搬送することができれば、設置に要する時間を節約することができる。
本発明のガスダムについて、架空ケーブルと地下ケーブルとの間の接続箇所に設けることを中心に説明をしたが、本発明のガスダムは、架空ケーブルと地下ケーブルとの間の接続箇所に限らず、2つのケーブル区間の間での流体連通を阻止する目的で幅広く使用可能である。例えば、長距離にわたって通信ケーブルを地下に敷設する場合、地下部分の通信ケーブルを複数のガス保守区間に分けることが行われる。本発明のガスダムは、そのような複数のガス保守区間の接続箇所に設けることが可能である。例えば第1の区分側を、ガスダムで区切られる一方の(第1の)ガス保守区間の端部とし、第3の区分側を、このガスダムにより画定される他方の(第2の)ガス保守区間の端部とすることができる。この場合、ガスダムにおいて気体の圧力をモニタしたり加圧空気を供給することができるのは第2のガス保守区間に関してであり、第1のガス保守区間に関してはこのガスダムが第1のガス保守区間の端部を封止する役割を果たす。
以上説明したように、本発明によると、容易に製造・組立が可能であり、単純な構造で加圧した空気をケーブル内に供給可能とするガスダム及びガスダムの製造方法を提供することが可能となる。