従来、VCSELの閾値利得が大きくなりやすい原因の一つとして共振器長が長いことによる閉じ込め係数の低下は一般に知られている。これによりスペーサ層が厚いと閾値利得が高くなることが知られている。しかしながら、例えばイントラキャビティ構造のVCSEL、特にGaN系のVCSELにおいては、VCSELの2電極間の抵抗(素子抵抗)の低減のために、スペーサ層が厚く形成されている。これは、通常のイントラキャビティ構造においてはスペーサ層に電極が接触しており、素子中央近傍の活性層から横方向にスペーサ層を通電するために、スペーサ層の厚さが素子全体の抵抗において無視できない抵抗成分を有するためである。図1に、本願発明者らによるGaN系VCSELにおけるシミュレーションの結果を示す。図1は、スペーサ層の厚さと素子抵抗との関係を示す図である。図1には、活性層の基板側のスペーサ層としてn-GaN層が用いられたときのシミュレーションの結果を示してある。図1に示すように、スペーサ層の厚さが1000nm以上であれば、素子抵抗は120Ω以下であるのに対し、スペーサ層の厚さが400nm以下であると、素子抵抗は150Ω以上である。このため、従来のVCSELでは、スペーサ層の厚さが1000nm以上とされている。
その一方で、スペーサ層が薄いほど閾値利得を小さくしやすい。VCSELの閾値利得Gthは下記の式1で表される。式1において、αactは活性層の吸収損失、αcidはスペーサ層の吸収損失、αdiffは回折損失、ξは閉じ込め係数、Lは共振器長、Rはミラーの反射率である。ここで、閾値利得Gthはレーザの発振に必要な利得を表しており、この値が低いほどレーザが発振しやすく、好ましい。
式1からわかるように、閉じ込め係数ξを大きくできれば、閾値利得Gthを小さくできる。また、実効的共振器中の電界強度の強い部分のうちで活性層が占める割合を高めることで、閉じ込め係数ξを小さくすることができる。つまり、活性層のサイズが一定であれば、スペーサ層を薄くして共振器の長さを短くすることが好ましい。
ところが、上記のように、スペーサ層を薄くすると、素子抵抗が大きくなってしまう。
そこで、本願発明者らは、素子抵抗の上昇を抑制しながらスペーサ層の薄くすることができる構成について鋭意検討を行った。この結果、反射鏡に低抵抗の部分を設けることに想到した。この低抵抗の部分にVCSELの電極を接触させることで、素子抵抗の上昇を抑制しながらスペーサ層の薄くすることができる。
以下、本開示の実施形態について添付の図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省くことがある。
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は反射鏡に関する。図2は、第1実施形態に係る反射鏡を示す断面図である。
第1実施形態に係る反射鏡10は、中心波長がλの反射帯域を有する。中心波長λは、例えば400nmである。図2に示すように、第1実施形態に係る反射鏡10は、第1多層膜11と、第1多層膜11上の第2多層膜12とを有する。
第1多層膜11では、AlGaInN層111aとGaN層111bとが交互に積層された積層構造を有する低屈折率層111と、InGaN層を有する高屈折率層112とが交互に積層されている。高屈折率層112にAl組成が低いAlGaN層が含まれていてもよい。第1多層膜11は、例えば、低屈折率層111と高屈折率層112とのペアを複数含む。第1多層膜11が低屈折率層111と高屈折率層112とのペアに加えて、一つの低屈折率層111又は高屈折率層112を更に含んでもよい。例えば、第1多層膜11では、低屈折率層111が高屈折率層112より1つ多い。AlGaInN層111aの組成は、AlxGayIn(1-x-y)Nで表され、xは0.9以上1以下であり、yは0以上0.1以下である。AlxGayIn(1-x-y)Nの屈折率はGaNの屈折率よりも低い。低屈折率層111は第1低屈折率層の一例であり、高屈折率層112は第1高屈折率層の一例である。AlGaInN層111aとGaN層111bとが交互に積層された積層構造を有する層の平均屈折率とInGaN層を有する層2の平均屈折率とは相違し、低屈折率層111の平均屈折率は、高屈折率層112の平均屈折率よりも小さい。低屈折率層111の平均屈折率とは、当該低屈折率層111に含まれる層毎の光学膜厚と屈折率との積の総和を当該低屈折率層111の総光学膜厚で除して得られる値である。高屈折率層112の平均屈折率とは、当該高屈折率層112に含まれる層毎の光学膜厚と屈折率との積の総和を当該高屈折率層112の総光学膜厚で除して得られる値である。高屈折率層112はInGaN層のみから構成されていてもよく、その場合の高屈折率層112の平均屈折率は当該InGaN層の屈折率そのものである。低屈折率層111の平均屈折率は第1平均屈折率の一例であり、高屈折率層112の平均屈折率は第2平均屈折率の一例である。
低屈折率層111及び高屈折率層112はアンドープの半導体層であってもよく、低屈折率層111及び高屈折率層112に不純物がドーピングされていてもよい。ここでいうアンドープとは不純物を意図的なドーピングをせず、結晶中の残留不純物濃度が1×1017cm-3以下であることをいう。
第2多層膜12は、AlGaInN層121aとGaN層121bとが交互に積層された積層構造を有する低屈折率層121と、InGaN層を有する高屈折率層122とのペアを1以上含む。AlGaInN層121aの組成は、AlxGayIn(1-x-y)Nで表され、xは0.9以上1以下であり、yは0以上0.1以下である。AlGaInN層121aの組成がAlGaInN層111aの組成と一致していてもよく、高屈折率層122の組成が高屈折率層112の組成と一致していてもよい。高屈折率層122は、In組成が0のGaN層であってもよい。低屈折率層121は第2低屈折率層の一例であり、高屈折率層122は第2高屈折率層の一例である。AlGaInN層121aとGaN層121bとが交互に積層された積層構造を有する層の平均屈折率とInGaN層を有する層の平均屈折率とは相違し、低屈折率層121の平均屈折率は、高屈折率層122の平均屈折率よりも小さい。低屈折率層121の平均屈折率とは、当該低屈折率層121に含まれる層毎の光学膜厚と屈折率との積の総和を当該低屈折率層121の総光学膜厚で除して得られる値である。高屈折率層122の平均屈折率とは、当該高屈折率層122に含まれる層毎の光学膜厚と屈折率との積の総和を当該高屈折率層122の総光学膜厚で除して得られる値である。高屈折率層122はInGaN層のみから構成されていてもよく、その場合の高屈折率層122の平均屈折率は当該InGaN層の屈折率そのものである。低屈折率層121の平均屈折率は第3平均屈折率の一例であり、高屈折率層122の平均屈折率は第4平均屈折率の一例である。
反射鏡10は、例えばGaNを含む基板101上に設けられて使用される。例えば、基板101の材料はGaNの格子定数を有し、基板101としてGaN基板又はGaN層を異種基板上に成長したGaNテンプレートを用いることができる。異種基板としては、例えば、サファイア基板、Si基板、GaAs基板、SiC基板等を用いることができる。
第2多層膜12は導電性を備える。例えば、低屈折率層121及び高屈折率層122は、1×1018cm-3以上の濃度で、好ましくは2×1018cm-3以上の濃度でSi等の不純物を含有する。
なお、低屈折率層111及び121には、AlGaInN層111a及び121aのAlGaInNと基板101に含まれるGaNとの間の格子不整合による引張歪が生じる。その一方で、高屈折率層112及び122には、高屈折率層112及び122のInGaNと基板101に含まれるGaNとの間の格子不整合による圧縮歪が生じる。従って、低屈折率層111及び121に生じる変形量と高屈折率層112及び122に生じる変形量との差が大きい場合、これらの界面にクラックやピットが発生して反射率が低下することがある。このようなクラックやピットを抑制するために、AlGaInN層111a及び121aに生じる歪とAlGaInN層111a及び121aの総膜厚との積PAlGaInNと、InGaN層に生じる歪とInGaN層の総膜厚との積PInGaNとの差が小さいことが好ましい。例えば、積PAlGaInNが積PInGaNの0.8~1.2倍であることが好ましく、0.9~1.1倍であることがより好ましく、1.0倍であることが更に好ましい。なお、歪εの定義は次の式で表される。分母は、基板のa軸格子定数(aS)、ここではGaNのa軸格子定数であり、分子は変形量(Δa)、ここではInGaNやAlGaInNのa軸格子定数(ae)からGaNのa軸格子定数(aS)を引いた値である。
ε=Δa/aS=(ae-aS)/aS
第1多層膜11に関し、低屈折率層111の光学膜厚及び高屈折率層112の光学膜厚は、例えばλ/4である。低屈折率層111の光学膜厚と高屈折率層112の光学膜厚との和は、例えばλ/2である。低屈折率層111の光学膜厚は第1光学膜厚の一例であり、高屈折率層112の光学膜厚は第2光学膜厚の一例である。低屈折率層111の光学膜厚と高屈折率層112の光学膜厚との和がλ/2であれば、低屈折率層111の光学膜厚と高屈折率層112の光学膜厚とが互いに相違していてもよい。例えば、高屈折率層112の光学膜厚がλ/4より大きく、低屈折率層111の光学膜厚がλ/4より小さくてもよい。低屈折率層111の光学膜厚が小さいほど、低屈折率層111中のAlGaInN層111aの総膜厚が大きく、GaN層111bの総膜厚が小さく、低屈折率層111の屈折率が低く、低屈折率層111と高屈折率層112との間の実効的な屈折率差が大きい。このため、高屈折率層112の光学膜厚をλ/4より大きく、低屈折率層111の光学膜厚をλ/4より小さくすることで、積PAlGaInNとの積PInGaNとの差を小さくしながら、実効的な屈折率差を大きくすることができる。例えば、低屈折率層111の光学膜厚がλ/4の0.8倍、高屈折率層112の光学膜厚がλ/4の1.2倍であってもよい。この場合、低屈折率層111の光学膜厚と高屈折率層112の光学膜厚との和はλ/2となる。
例えば、低屈折率層111は、3つのGaN層111bと2つのAlGaInN層111aを有する。例えば、AlGaInN層111aは、厚さが5nmのAlN層であり、3つのGaN層111bのうち中央のGaN層111bの厚さは6nmであり、両端のGaN層111bの厚さは8.5nmである。例えば、高屈折率層112は、屈折率が2.59で厚さが47nmのInGaN層である。
第2多層膜12に関し、低屈折率層121の光学膜厚は、例えばλ/4であり、高屈折率層122の光学膜厚は、例えば(2n+1)λ/4である。低屈折率層121の光学膜厚と高屈折率層122の光学膜厚との和は、例えば(n+1)λ/2である。低屈折率層121の光学膜厚は第3光学膜厚の一例であり、高屈折率層122の光学膜厚は第4光学膜厚の一例である。例えば、高屈折率層122の光学膜厚が(2n+1)λ/4より大きく、低屈折率層121の光学膜厚がλ/4より小さくてもよい。低屈折率層121の光学膜厚が小さいほど、低屈折率層121中のAlGaInN層121aの総膜厚が大きく、GaN層121bの総膜厚が小さく、低屈折率層121の屈折率が低く、低屈折率層121と高屈折率層122との間の実効的な屈折率差が大きい。このため、高屈折率層122の光学膜厚を(2n+1)λ/4より大きく、低屈折率層121の光学膜厚をλ/4より小さくすることで、積PAlGaInNとの積PInGaNとの差を小さくしながら、実効的な屈折率差を大きくすることができる。例えば、低屈折率層121の光学膜厚がλ/4の0.8倍、高屈折率層122の光学膜厚が5λ/4の1.16倍であってもよい。この場合、低屈折率層121の光学膜厚と高屈折率層122の光学膜厚との和は1.5λとなる。
例えば、低屈折率層121は、3つのGaN層121bと2つのAlGaInN層121aとを有する。例えば、AlGaInN層121aは、厚さが5nmのAlN層であり、3つのGaN層121bのうち中央のGaN層121bの厚さは6nmであり、両端のGaN層121bの厚さは8.5nmである。例えば、高屈折率層122は、厚さが240nmのGaN層である。低屈折率層121及び高屈折率層122には、例えばSiが2×1018cm-3の濃度でドーピングされている。
反射鏡10によれば、第2多層膜12上にVCSELの共振器を設けることができる。この場合、低屈折率層121をエッチングして高屈折率層122を露出させ、高屈折率層122に接触するように電極を設けることができる。このため、共振器に含まれ、反射鏡10側に配置されるスペーサ層を薄くしても、反射鏡10の導電可能部分、すなわち低屈折率層121及び高屈折率層122が通電を担うため、素子抵抗を低く抑えることができる。従って、反射鏡10を用いることで、素子抵抗を抑えながら閾値利得を低減することができる。
なお、低屈折率層121をエッチングして高屈折率層122を露出させる場合には、次のようにして低屈折率層121のエッチングの終了タイミングを特定することができる。例えば、低屈折率層121のエッチングをドライエッチングとし、プラズマモニタを用いてAl、In等の高屈折率層122には含まれない元素のプラズマ強度を観察する。そして、終了タイミングに近い時間において、Al、In等のプラズマ強度が低下し、Gaのプラズマ強度が上昇したタイミングを低屈折率層121のエッチングの終了タイミングを特定することができる。従って、高屈折率層122の過剰なエッチングを避けながら、低屈折率層121を適切に除去することができる。
なお、高屈折率層122の光学膜厚は、5λ/4を基準とした光学膜厚である必要はなく、3λ/4を基準とした光学膜厚であってもよく、7λ/4、9λ/4・・・を基準とした光学膜厚であってもよい。素子抵抗の低減のために、高屈折率層122の光学膜厚はλ/2以上であることが好ましく、高屈折率層122の厚さは200nm以上であることが好ましい。
反射鏡10では、低屈折率層121の光学膜厚と高屈折率層122の光学膜厚との和が、例えば(n+1)λ/2であり、λ/2より大きいが、良好な反射率を得ることができる。ここで、反射率の計算結果について説明する。この計算では、まず、第1例、第2例、第3例の3例について反射率を計算する。
第1例では、上から順に低屈折率層と高屈折率層とが交互に配置され、一番下に低屈折率層が配置される。低屈折率層と高屈折率層とのペアの数は45である。各低屈折率層は、3つのGaN層と2つのAlN層とを有する。AlN層はGaN層に挟まれる。AlN層の厚さは5nmであり、3つのGaN層のうち中央のGaN層の厚さは6nmであり、両端のGaN層の厚さは8.5nmである。高屈折率層122は、屈折率が2.59で厚さが47nmのInGaN層である。中心波長λは400nmとする。低屈折率層と高屈折率層との各ペアの光学膜厚はλ/2である。第2例では、第1例における一番上に配置される高屈折率層の厚さを変更し、一番上に配置される低屈折率層と高屈折率層とのペアの光学膜厚を2λ/2とする。また、一番上に配置される高屈折率層をGaN層とする。第3例では、第1例における一番上に配置される高屈折率層の厚さを変更し、一番上に配置される低屈折率層と高屈折率層とのペアの光学膜厚を3λ/2とする。また、一番上に配置される高屈折率層をGaN層とする。つまり、第2例、第3例は、第1実施形態における第2多層膜12と同様のペアを含む。第1例、第2例、第3例における反射率の計算結果を表1に示す。
表1に示すように、第2例、第3例のいずれにおいても、第1例からの反射率の低下は極わずかであり、良好な反射率が得られる。また、より高い反射率が要求される場合には、第2多層膜12と同様のペアの数を2以上としてもよい。
なお、反射鏡の上に導電性のスペーサ層を介して活性層があるVCSELにおいて、スペーサ層が厚ければ、素子抵抗を低減することは可能である。しかしながら、この場合には、上述のように、共振器長が長くなるため、閉じ込め係数が低下し、閾値利得が高くなる。これに対し、反射鏡10の上に導電性のスペーサ層を介して活性層があるVCSELでは、素子抵抗を低減しながら、閉じ込め係数の低下を抑制できる。
ここで、共振器長が3λであり、反射鏡がアンドープの高屈折率層とアンドープの低屈折率層とを50ペア含む第4例を比較対象として、反射鏡10を用いることで閉じ込め係数の低下が抑制される効果について説明する。表2に、第4例と、第4例と共振器長が4λ、4.5λ、5λである点で相違する3つの例(第5例、第7例、第9例)と、第5例、第7例、第9例とは、反射鏡10が用いられた点で相違する3つの例(第6例、第8例、第10例)とにおける閉じ込め係数を示す。第4例では、共振器長が3λであり、反射鏡の構造が50ペアである。第5例、第7例、第9例では、それぞれ、共振器長が4λ、4.5λ、5λであり、反射鏡の構造が50ペアである。第6例、第8例、第10例では、それぞれ、共振器長が3λであり、反射鏡の構造が50ペア+1λDBR、50ペア+1.5λDBR、50ペア+2λDBRである。第6例、第8例、第10例では、反射鏡が、第4例と同様のアンドープの高屈折率層とアンドープの低屈折率層とを50ペアを含み、更に、導電性を備えた1ペアの高屈折率層と低屈折率層とを含む。+1λDBR、+1.5λDBR、+2λDBRは、それぞれ、導電性を備えた高屈折率層と低屈折率層との1ペアの光学厚さが1λ、1.5λ、2λ相当であることを示す。
表2に示すように、共振器長が3λの第4例に対して共振器長を4λ、4.5λ、5λに単純に伸ばした第5例、第7例、第9例と比較して、反射鏡の多層膜として導電性の高屈折率層及び低屈折率層を含む第6例、第8例、第10例において、閉じ込め係数が大きい。このことは、反射鏡10によれば、共振器のスペーサ層を単純に厚くするよりも、閉じ込め係数を大きくして、閾値利得を抑制できることを示す。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は反射鏡に関する。図3は、第2実施形態に係る反射鏡を示す断面図である。
図3に示すように、第2実施形態に係る反射鏡20は、第1多層膜21と、第1多層膜21上の第2多層膜22とを有する。
第1多層膜21では、低屈折率層111と高屈折率層112とが交互に積層されている。第1多層膜21では、低屈折率層111の数と高屈折率層112の数とが等しい。
第2多層膜22は、GaN層を有する低屈折率層221と、InGaN層を有する高屈折率層222とのペアを1以上含む。GaN層を有する層の平均屈折率は、InGaN層を有する層の平均屈折率と相違し、低屈折率層221の平均屈折率は、高屈折率層222の平均屈折率よりも小さい。例えば、低屈折率層221は、厚さが217nmのGaN層である。例えば、高屈折率層222は、屈折率が2.59で厚さが47nmのInGaN層である。例えば、低屈折率層221の光学膜厚と高屈折率層222の光学膜厚との和は2λである。InGaNの屈折率はGaNの屈折率よりも低い。低屈折率層221は第2低屈折率層の一例であり、低屈折率層221の平均屈折率は第3平均屈折率の一例である。
第2多層膜22は導電性を備える。例えば、低屈折率層221及び高屈折率層222は、1×1018cm-3以上の濃度で、好ましくは2×1018cm-3以上の濃度でSi等の不純物を含有する。
他の構成は第1実施形態と同様である。
反射鏡20によれば、第2多層膜22上にVCSELの共振器を設けることができる。この場合、高屈折率層222をエッチングして低屈折率層221を露出させ、低屈折率層221に接触するように電極を設けることができる。このため、共振器に含まれ、反射鏡20側に配置されるスペーサ層を薄くしても素子抵抗を低く抑えることができる。従って、反射鏡20を用いることで、素子抵抗を抑えながら閾値利得を低減することができる。
また、GaN層を含む低屈折率層221とInGaN層を含む高屈折率層222とを有する第2多層膜22の抵抗は、AlGaInN層121a及びGaN層121bを含む低屈折率層121とInGaN層を含む高屈折率層122とを有する第2多層膜12の抵抗よりも低くすることができる。このため、素子抵抗をより低く抑えることができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は反射鏡に関する。図4は、第3実施形態に係る反射鏡を示す断面図である。
図4に示すように、第3実施形態に係る反射鏡30は、第1多層膜11と、第1多層膜11上の第2多層膜12と、第2多層膜12上の第3多層膜13とを有する。
第3多層膜13は、AlGaInN層131aとGaN層131bとが交互に積層された積層構造を有する低屈折率層131と、InGaN層を有する高屈折率層132とのペアを含む。AlGaInN層131aの組成は、AlxGayIn(1-x-y)Nで表され、xは0.9以上1以下であり、yは0以上0.1以下である。AlGaInN層131aとGaN層131bとが交互に積層された積層構造を有する層の平均屈折率は、InGaN層を有する層の平均屈折率と相違し、低屈折率層131の平均屈折率は、高屈折率層132の平均屈折率よりも小さい。低屈折率層131の平均屈折率とは、当該低屈折率層131に含まれる層毎の光学膜厚と屈折率との積の総和を当該低屈折率層131の総光学膜厚で除して得られる値である。高屈折率層132の平均屈折率とは、当該高屈折率層132に含まれる層毎の光学膜厚と屈折率との積の総和を当該高屈折率層132の総光学膜厚で除して得られる値である。高屈折率層132はInGaN層のみから構成されていてもよく、その場合の高屈折率層132の平均屈折率は当該InGaN層の屈折率そのものである。
第3多層膜13は導電性を備える。例えば、低屈折率層131及び高屈折率層132は、1×1018cm-3以上の濃度で、好ましくは2×1018cm-3以上の濃度でSi等の不純物を含有する。
このように、第3多層膜13は、低屈折率層131及び高屈折率層132が導電性を有している点を除き、第1多層膜11に含まれる低屈折率層111と高屈折率層112との1ペアと同様の構成を有する。
他の構成は第1実施形態と同様である。
反射鏡30によれば、第3多層膜13上にVCSELの共振器を設けることができる。この場合、低屈折率層131、高屈折率層132及び低屈折率層121をエッチングして高屈折率層122を露出させ、高屈折率層122に接触するように電極を設けることができる。このため、共振器に含まれ、反射鏡30側に配置されるスペーサ層を薄くしても素子抵抗を低く抑えることができる。従って、反射鏡30を用いることで、素子抵抗を抑えながら閾値利得を低減することができる。
第2実施形態において、低屈折率層131及び高屈折率層132の積層順が第3実施形態とは反対の第3多層膜が第2多層膜22上に設けられていてもよい。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。第4実施形態は反射鏡に関する。図5は、第4実施形態に係る反射鏡を示す断面図である。
図5に示すように、第4実施形態に係る反射鏡40では、第2多層膜22が低屈折率層221と高屈折率層222とのペアを2つ含む。例えば、低屈折率層221は、厚さが217nmのGaN層であり、高屈折率層222は、屈折率が2.59で厚さが47nmのInGaN層である。この場合、第2多層膜22の厚さは500nm以上である。
他の構成は第2実施形態と同様である。
反射鏡40によれば、第2多層膜22上にVCSELの共振器を設けることができる。この場合、共振器側の1つの高屈折率層222をエッチングして、共振器側の1つの低屈折率層221を露出させ、この低屈折率層221に接触するように電極を設けることができる。これにより、もう1ペアの高屈折率層222及び低屈折率層221が電極との間の電流経路として機能し得る。このため、反射鏡20と比較して素子抵抗を更に低減することができる。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。第5実施形態は、面発光レーザに関する。図6は、第5実施形態に係る面発光レーザを示す断面図である。図7は、図6の部分拡大図である。図7には、図6中の領域202を示す。
図6に示すように、第5実施形態に係る面発光レーザ200は、導電性を備え、GaNを含む基板201と、基板201上の第1反射鏡204と、第1反射鏡204上の第1導電型の第1スペーサ層(第1半導体層)205と、を有する。面発光レーザ200は、更に、第1スペーサ層205上の活性層206と、活性層206上の第2導電型の第2スペーサ層(第2半導体層)207と、第2スペーサ層207上の第2反射鏡208と、を有する。第1反射鏡204は、第1実施形態に係る反射鏡10を有する。第1スペーサ層205、活性層206及び第2スペーサ層207の積層体はメサ構造211を有する。図7に示すように、メサ構造211は、反射鏡10の低屈折率層121を含む。第1反射鏡204に開口部209が形成され、開口部209内に導電部210が設けられている。すなわち、面発光レーザ200は、開口部209内に基板201と第1反射鏡204(反射鏡10)の最表面に位置する高屈折率層122とを電気的に接続する導電部210を有する。面発光レーザ200は、更に、第2スペーサ層207の表面上の上部電極212と、基板201の裏面上の下部電極213と、を有する。
基板201は、例えばGaN基板である。第1スペーサ層205は第1導電型の半導体層、例えばGaN層、AlGaN層又はInGaN層である。第1導電型はn型又はp型のいずれでもよいが、抵抗率の観点から、n型であることが好ましい。例えば、n型半導体層は不純物としてSi、Geなどを含み、p型半導体層はMgなどを含む。
活性層206は、例えば、InGaN/GaNやInGaN/InGaNなどの多重量子井戸構造を有する。このような多重量子井戸構造は、第1スペーサ層205や第2スペーサ層207から注入されたキャリアを効率よく閉じ込め、優れた発光効率を得るのに好適である。
第2スペーサ層207は第2導電型の半導体層、例えばGaN層、AlGaN層又はInGaN層である。第1導電型がn型であれば、第2導電型はp型であり、第1導電型がp型であれば、第2導電型はn型である。例えば、p型半導体層はMgなどを含み、n型半導体層は不純物としてSi、Geなどを含む。
第1スペーサ層205と、活性層206と、第2スペーサ層207とから共振器が構成される。共振器の長さ、すなわち第1スペーサ層205、活性層206及び第2スペーサ層207の総厚は、1λ以上2λ以下であり、活性層206が電界強度分布の腹の位置に一致していることが好ましい。シングルモード発振しやすくなるためである。
低屈折率層121、第1スペーサ層205、活性層206及び第2スペーサ層207の積層体はメサ構造211を有する。素子分離のためである。
導電部210の材料は、例えば、導電性の半導体又は金属である。導電性の半導体が用いられる場合、導電部210の導電型は高屈折率層122の導電型と同一であり、その材料は、例えばGaN、AlGaN又はInGaNである。金属が用いられる場合、基板201や高屈折率層122とオーミック接触が形成できる材料が用いられ、例えば、Ti/Al、Cr/Auなどが挙げられる。基板201と導電部210とが物理的に直接接している必要はなく、これらの間に不純物を1×1018cm-3以上ドーピングしたバッファ層が設けられていてもよい。このようなバッファ層は、基板201と導電部210との間の接触抵抗の低減に寄与する。バッファ層が形成された基板201を、導電層を備えた一つの基板とみなすことができる。
第2反射鏡208は、例えば、半導体若しくは誘電体又はこれらの組み合わせを用いた多層膜反射鏡である。第2反射鏡208に反射鏡10が用いられてもよい。反射鏡10が用いられる場合、活性層206で発生した熱を第2反射鏡208からも高効率で放出することができる。第2反射鏡208が、AlInN層とGaN層とが交互に積層された積層構造を有していてもよい。第2反射鏡208が、他の半導体材料を用いた多層膜反射鏡であってもよい。誘電体としては、SiN、SiO2、Ta2O5、Nb2O5などが挙げられる。
第2反射鏡208の反射率は、次のようにして調整することができる。例えば、第2反射鏡208を構成する低屈折率層及び高屈折率層の膜厚を適切に決定することで反射率を調整することができる。例えば、Ta2O5層及びSiO2層の膜厚を適切に決定することで反射率を調整することができる。また、屈折率差が異なる複数組の積層体を適切に組み合わせることで反射率を調整することができる。例えば、SiN層とSiO2層とが交互に積層された第1積層体、及び/又はTa2O5層とSiO2層とが交互に積層された第2積層体を適切な周期数で組み合わせることで反射率を調整することができる。低屈折率層及び高屈折率層とは平均屈折率が異なる層を加えることで反射率を調整してもよい。
第2反射鏡208の反射率を第1反射鏡204の反射率よりも低くすることで第2反射鏡208側から光を取り出すことができる。
上部電極212及び下部電極213には半導体とオーミック接触が形成できる材料が用いられる。p-GaNと接触させる場合はNi/Auが好適であり、n-GaNと接触させる場合はTi/Alが好適であるが、これらに限定されない。
面発光レーザ200では、導電部210を介して基板201と高屈折率層122とが電気的に接続されている。このため、第1スペーサ層205が薄くても、基板201側から高屈折率層122を通じて活性層206にキャリアを注入することができる。従って、面発光レーザ200の素子抵抗は低く、面発光レーザ200は低閾値利得で発振することができる。
なお、図6では、開口部209の全体が導電部210により埋め込まれているが、高屈折率層122と基板201とが十分に電気的に接続されていれば、開口部209の全体が導電部210により埋め込まれている必要はない。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。第6実施形態は、面発光レーザに関する。図8は、第6実施形態に係る面発光レーザを示す断面図である。図9は、図8の部分拡大図である。図9には、図8中の領域302を示す。
図8に示すように、第6実施形態に係る面発光レーザ300は、いくつかの相違点を除き、第5実施形態に係る面発光レーザ200と同様の構成を有する。例えば、面発光レーザ300では、第1反射鏡204に開口部209が形成されておらず、下部電極213が設けられていない。その一方で、第1反射鏡204(反射鏡10)の高屈折率層122上に下部電極313が設けられている。
下部電極313には半導体とオーミック接触が形成できる材料が用いられる。p-GaNと接触させる場合はNi/Auが好適であり、n-GaNと接触させる場合はTi/Alが好適であるが、これらに限定されない。
他の構成は第5実施形態と同様である。
面発光レーザ300では、下部電極313が高屈折率層122に直接接触している。このため、第1スペーサ層205が薄くても、高屈折率層122を通じて活性層206にキャリアを注入することができる。従って、面発光レーザ300の素子抵抗は低く、面発光レーザ300は低閾値利得で発振することができる。
なお、第6の実施形態では、基板201が導電性を有していなくてもよい。
第5及び第6の実施形態では、第1反射鏡204に反射鏡10が用いられているが、第1反射鏡204に反射鏡20、30、40が用いられてもよい。
(参考例)
次に、参考例について説明する。参考例は、GaAs系イントラキャビティ構造の面発光レーザに関する。図10は、参考例に係る面発光レーザを示す断面図である。
図10に示すように、参考例に係る面発光レーザ790は、GaAsからなる基板701と、基板701上の第1反射鏡704と、第1反射鏡704上の第1導電型の第1スペーサ層(第1半導体層)705と、を有する。面発光レーザ790は、更に、第1スペーサ層705上の活性層706と、活性層706上の第2導電型の第2スペーサ層(第2半導体層)707と、第2スペーサ層707上の第2反射鏡708と、を有する。
第1反射鏡704及び第2反射鏡708は、例えば中心波長λが780nmの反射帯域を有する。
第1反射鏡704では、AlAsからなる低屈折率層711と、Al0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層712とが交互に積層されている。例えば、低屈折率層711の光学膜厚と高屈折率層712の光学膜厚との和はλ/2であり、低屈折率層711の光学膜厚及び高屈折率層712の光学膜厚はλ/4である。中心波長λが780nmの場合、例えば、低屈折率層711の厚さは65nmであり、高屈折率層の厚さは56nmである。第1反射鏡704は、例えば、低屈折率層711と高屈折率層712とのペアを複数、例えば40含む。
第1スペーサ層705は第1導電型の半導体層、例えばn型のGaInP層である。例えば、第1スペーサ層705は不純物としてSi、Seなどを含む。
活性層706は、例えば、GaInAsP/GaInPなどの多重量子井戸構造を有し、780nmで発光する。
第2スペーサ層707は第2導電型の半導体層、例えばp型のGaInP層である。例えば、第2スペーサ層707は不純物としてZnなどを含む。
第1スペーサ層705と、活性層706と、第2スペーサ層707とから共振器が構成される。例えば、共振器は2λ相当の厚さで形成されている。例えば、第1スペーサ層705の下端から活性層706の中心までの部分は1.5λ相当の厚さを有し、活性層706の中心から第2スペーサ層707の上端までの部分は0.5λ相当の厚さを有する。
第2反射鏡708では、p型のAl0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層731と、p型のAl0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層732とが交互に積層されている。例えば、低屈折率層731の光学膜厚と高屈折率層732の光学膜厚との和はλ/2であり、低屈折率層731の光学膜厚及び高屈折率層732の光学膜厚はλ/4である。第2反射鏡708は、例えば、低屈折率層731と高屈折率層732とのペアを複数、例えば30ペア含む。第2反射鏡708は酸化狭窄層741を含む。酸化狭窄層741は、平面視で、環状の酸化領域と、酸化領域の内側の非酸化領域とを含む。酸化狭窄層741のAl組成は周辺の層と比べて高く、例えば、酸化狭窄層741はAlAs層である。酸化狭窄層741は電流狭窄層として機能する。
第1スペーサ層705、活性層706、第2スペーサ層707及び第2反射鏡708の積層体はメサ構造742を有する。メサ構造742は、第1スペーサ層705の一部を底面とする。面発光レーザ790は、更に、第2反射鏡708の表面上の上部電極751と、メサ構造742から露出する第1スペーサ層705の表面上の下部電極752と、を有する。上部電極751及び下部電極752には半導体とオーミック接触が形成できる材料が用いられる。上部電極751は、平面視で環状に形成されており、上部電極751の内側から発振光が取り出される。
例えば、第1反射鏡704、第1スペーサ層705、活性層706、第2スペーサ層707及び第2反射鏡708は有機金属化学気相成長(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:MOCVD)法により形成される。例えば、メサ構造742は、フォトリソグラフィによるマスクの形成及び誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)エッチング等により形成される。エッチングは、例えばエッチング時間の管理に基づいて停止される。
面発光レーザ790では、電流は上部電極751から、酸化狭窄層741により狭窄されながら、p型の第2反射鏡708及び第2スペーサ層707を通じて活性層706に注入される。また、電流は活性層706からn型の第1スペーサ層705を通じて下部電極752に流れる。面発光レーザ790では、第1反射鏡704がアンドープであるため、第1反射鏡704による光吸収を抑制することができる。
しかしながら、面発光レーザ790では、第1スペーサ層705が薄ければ素子抵抗が高くなりやすく、第1スペーサ層705が厚ければ、共振器長が長くなり、閉じ込め係数が低下して閾値利得が高くなりやすい。
(第7実施形態)
次に、第7実施形態について説明する。第7実施形態は、面発光レーザに関する。図11は、第7実施形態に係る面発光レーザを示す断面図である。
図11に示すように、第7実施形態に係る面発光レーザ791は、GaAsからなる基板701と、基板701上の第1反射鏡704と、第1反射鏡704上の第1導電型の第1スペーサ層(第1半導体層)705と、を有する。面発光レーザ790は、更に、第1スペーサ層705上の活性層706と、活性層706上の第2導電型の第2スペーサ層(第2半導体層)707と、第2スペーサ層707上の第2反射鏡708と、を有する。
第1反射鏡704及び第2反射鏡708は、例えば中心波長λが780nmの反射帯域を有する。
第1反射鏡704は、第1多層膜71と、第1多層膜71上の第2多層膜72と、を有する。
第1多層膜71では、アンドープのAlAsからなる低屈折率層711と、アンドープのAl0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層712とが交互に積層されている。例えば、低屈折率層711の光学膜厚と高屈折率層712の光学膜厚との和はλ/2であり、低屈折率層711の光学膜厚及び高屈折率層712の光学膜厚はλ/4である。中心波長λが780nmの場合、例えば、低屈折率層711の厚さは65nmであり、高屈折率層の厚さは56nmである。第1多層膜71は、例えば、低屈折率層711と高屈折率層712とのペアを複数、例えば40含む。低屈折率層711は第1低屈折率層の一例であり、高屈折率層712は第1高屈折率層の一例である。
第2多層膜72は、第1導電型の半導体層、例えばn型のAl0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層721と、第1導電型の半導体層、例えばn型のAl0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層722とのペアを1含む。例えば、高屈折率層722が低屈折率層721よりも第1多層膜71側にある。例えば、高屈折率層722が低屈折率層711に接し、低屈折率層721が第1スペーサ層705に接する。例えば、低屈折率層721の光学膜厚と高屈折率層722の光学膜厚との和は1λである。低屈折率層721は第2低屈折率層の一例であり、高屈折率層722は第2高屈折率層の一例である。
第1スペーサ層705と、活性層706と、第2スペーサ層707とから共振器が構成される。例えば、共振器は1λ相当の厚さで形成されている。例えば、第1スペーサ層705の下端から活性層706の中心までの部分は0.5λ相当の厚さを有し、活性層706の中心から第2スペーサ層707の上端までの部分は0.5λ相当の厚さを有する。
その他の構成は参考例と同様である。
第7実施形態に係る面発光レーザ791では、電流は上部電極751から、酸化狭窄層741により狭窄されながら、p型の第2反射鏡708及び第2スペーサ層707を通じて活性層706に注入される。また、電流は活性層706からn型の第1スペーサ層705だけでなく、n型の低屈折率層721及び高屈折率層722を通じて下部電極752に流れる。従って、参考例と比較して、素子抵抗を低減することができる。
また、低屈折率層721のAl組成が低屈折率層711のAl組成よりも低いため、低屈折率層721のバンドギャップは低屈折率層711のバンドギャップよりも小さい。そして、高屈折率層712と低屈折率層711との間のバンドギャップの差よりも高屈折率層722と低屈折率層721との間のバンドギャップの差が小さい。従って、参考例と比較して、第1スペーサ層705と第1反射鏡704との間のヘテロ障壁が低く、素子抵抗を低減することができる。
また、第1多層膜71がアンドープであるため、低屈折率層721及び高屈折率層722が不純物を含有していても、第1反射鏡704による光吸収を抑制することができる。
更に、参考例と比較して、共振器が薄い。このため、大きな閉じ込め係数が得られ、閾値利得を低く抑えることができる。
すなわち、第7実施形態によれば、素子抵抗の抑制と閾値利得の低減とを両立することができる。閾値利得の低減により、エネルギー変換効率を向上し、高出力化することができる。このため、複数の面発光レーザを含む高出力の面発光レーザアレイを実現することができる。
(第8実施形態)
次に、第8実施形態について説明する。第8実施形態は、面発光レーザに関する。図12は、第8実施形態に係る面発光レーザを示す断面図である。
図12に示すように、第8実施形態に係る面発光レーザ792は、GaAsからなる基板701と、基板701上の第1反射鏡704と、第1反射鏡704上の第1導電型の第1スペーサ層(第1半導体層)705と、を有する。面発光レーザ790は、更に、第1スペーサ層705上の活性層706と、活性層706上の第2導電型の第2スペーサ層(第2半導体層)707と、第2スペーサ層707上の第2反射鏡708と、を有する。
第2多層膜72は、第1導電型の半導体層、例えばn型のAl0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層721と、第1導電型の半導体層、例えばn型のGaInPからなる高屈折率層722Aとのペアを1含む。例えば、低屈折率層721の光学膜厚と高屈折率層722Aの光学膜厚との和は1λであり、低屈折率層721の光学膜厚はλ/4よりもλ1/16だけ小さく、高屈折率層722Aの光学膜厚は3λ/4よりもλ/16だけ大きい。
第8実施形態では、第2多層膜72、第1スペーサ層705、活性層706、第2スペーサ層707及び第2反射鏡708の積層体がメサ構造742Aを有する。メサ構造742Aは、第2多層膜72の一部、例えば高屈折率層722Aの一部を底面とする。下部電極752は、メサ構造742Aから露出する高屈折率層722Aの表面上にある。
他の構成は第7実施形態と同様である。
第8実施形態に係る面発光レーザ792では、電流は上部電極751から、酸化狭窄層741により狭窄されながら、p型の第2反射鏡708及び第2スペーサ層707を通じて活性層706に注入される。また、電流は活性層706からn型の第1スペーサ層705、低屈折率層721及び高屈折率層722Aを通じて下部電極752に流れる。従って、参考例と比較して、素子抵抗を低減することができる。
また、高屈折率層722Aの光学膜厚が3/4λ相当より大きいため、素子抵抗をより低減することができる。
更に、低屈折率層721にはAlが含まれ、高屈折率層722AにはAlが含まれない。このため、メサ構造742Aを形成する際に、プラズマモニタ等によりAlの信号の変化を監視することで、低屈折率層721のエッチングが終了したことを高精度で検出することができる。従って、より優れた制御性でメサ構造742Aを形成することができる。更に、GaInPなどのエッチング速度の比較的遅い材料が高屈折率層722Aに用いられることで、エッチングの制御性を更に向上することができる。
(第9実施形態)
次に、第9実施形態について説明する。第9実施形態は、面発光レーザに関する。図13は、第9実施形態に係る面発光レーザを示す断面図である。
図13に示すように、第7実施形態に係る面発光レーザ793は、GaAsからなる基板701と、基板701上の第1反射鏡704と、第1反射鏡704上の第1導電型の第1スペーサ層(第1半導体層)705と、を有する。面発光レーザ790は、更に、第1スペーサ層705上の活性層706と、活性層706上の第2導電型の第2スペーサ層(第2半導体層)707と、第2スペーサ層707上の第2反射鏡708と、を有する。
第2多層膜72は、第1導電型の半導体層、例えばp型のGaInPからなる低屈折率層721Bと、第1導電型の半導体層、例えばp型のAl0.8Ga0.2Asからなる高屈折率層722Bとのペアを1含む。例えば、低屈折率層721Bの光学膜厚と高屈折率層722Bの光学膜厚との和は1λであり、低屈折率層721Bの光学膜厚はλ/4よりもλ1/16だけ小さく、高屈折率層722Bの光学膜厚は3λ/4よりもλ/16だけ大きい。
第2多層膜72は酸化狭窄層741を含む。酸化狭窄層741は、平面視で、環状の酸化領域と、酸化領域の内側の非酸化領域とを含む。酸化狭窄層741のAl組成は周辺の層と比べて高く、例えば、酸化狭窄層741はAlAs層である。酸化狭窄層741は電流狭窄層として機能する。
第2反射鏡708では、n型のAl0.9Ga0.1Asからなる低屈折率層731Bと、n型のAl0.3Ga0.7Asからなる高屈折率層732Bとが交互に積層されている。例えば、低屈折率層731Bの光学膜厚と高屈折率層732Bの光学膜厚との和はλ/2であり、低屈折率層731Bの光学膜厚及び高屈折率層732Bの光学膜厚はλ/4である。
下部電極752は、メサ構造742Aから露出する高屈折率層722Bの表面上にある。
他の構成は第8実施形態と同様である。
第9実施形態によっても第8実施形態と同様の効果が得られる。また、第9実施形態では、第8実施形態と比較して、レーザ光の共振方向に対してp型の領域が少ない。一般に、p型半導体はn型半導体よりも光を吸収しやすい。従って、第9実施形態によれば、第8実施形態よりも面発光レーザ内での光吸収を低減することができる。光吸収の低減により、より高い光出力が得られ、閾値利得がより低減される。
また、一般に、p型半導体はn型半導体よりも抵抗が高くなりやすいが、第9実施形態では、第2多層膜72が厚い高屈折率層722Bを含むため、素子抵抗の上昇を抑えることができる。
(第10実施形態)
次に、第10実施形態について説明する。第10実施形態は、面発光レーザに関する。図14は、第10実施形態に係る面発光レーザを示す断面図である。
図14に示すように、第10実施形態に係る面発光レーザ794では、第2多層膜72が、低屈折率層721と、高屈折率層722Aとのペアを2含む。メサ構造742Aは、上側の高屈折率層722Aの一部を底面とする。
他の構成は第8実施形態と同様である。
第10実施形態によっても第8実施形態と同様の効果が得られる。また、第10実施形態では、第2多層膜72が、低屈折率層721と、高屈折率層722Aとのペアを2含むため、素子抵抗をより低減することができる。更に、第10実施形態によれば、第1反射鏡704の反射率をより高くすることができる。例えば、第8実施形態において素子抵抗の低減のために高屈折率層722Aを厚くした第1反射鏡704の反射率よりも、第10実施形態における第1反射鏡704の反射率を高くすることができる。
(第11実施形態)
次に、第11実施形態について説明する。第11実施形態は、面発光レーザに関する。図15は、第11実施形態に係る面発光レーザを示す断面図である。
図15に示すように、第11実施形態に係る面発光レーザ800は、GaNからなる基板801と、基板801上の第1反射鏡804と、第1反射鏡804上の第1導電型の第1スペーサ層(第1半導体層)805と、を有する。面発光レーザ800は、更に、第1スペーサ層805上の活性層806と、活性層806上の第2導電型の第2スペーサ層(第2半導体層)807と、第2スペーサ層807上の透明導電膜809と、を有する。
第1反射鏡804は、例えば中心波長λが410nmの反射帯域を有する。
第1反射鏡804は、第1多層膜81と、第1多層膜81上の第2多層膜82と、を有する。
第1多層膜81では、アンドープのAlInNからなる低屈折率層811と、アンドープのGaNからなる高屈折率層812とが交互に積層されている。低屈折率層811と高屈折率層812とは互いに格子整合している。例えば、低屈折率層811の光学膜厚と高屈折率層812の光学膜厚との和はλ/2であり、低屈折率層811の光学膜厚及び高屈折率層812の光学膜厚はλ/4である。中心波長λが410nmの場合、例えば、低屈折率層811の厚さは46nmであり、高屈折率層の厚さは41nmである。第1多層膜81は、例えば、低屈折率層811と高屈折率層812とのペアを複数、例えば45含む。低屈折率層811は第1低屈折率層の一例であり、高屈折率層812は第1高屈折率層の一例である。
第2多層膜82は、第1導電型の半導体層、例えばn型のAl0.2Ga0.8Nからなる低屈折率層821と、第1導電型の半導体層、例えばn型のGaNからなる高屈折率層822とのペアを1含む。例えば、高屈折率層822が低屈折率層821よりも第1多層膜81側にある。例えば、高屈折率層822が低屈折率層811に接し、低屈折率層821が第1スペーサ層805に接する。例えば、低屈折率層821の光学膜厚と高屈折率層822の光学膜厚との和は1.5λであり、低屈折率層821の光学膜厚はλ/4よりもλ1/16だけ小さく、高屈折率層822の光学膜厚は5λ/4よりもλ/16だけ大きい。低屈折率層821は第2低屈折率層の一例であり、高屈折率層822は第2高屈折率層の一例である。
第1スペーサ層805は第1導電型の半導体層、例えばn型のGaN層である。活性層806は、例えば、InGaN/GaNなどの多重量子井戸構造を有し、410nmで発光する。第2スペーサ層807は第2導電型の半導体層、例えばp型のGaN層である。
第1スペーサ層805と、活性層806と、第2スペーサ層807とから共振器が構成される。例えば、共振器は2λ相当の厚さで形成されている。例えば、第1スペーサ層805の下端から活性層806の中心までの部分は0.5λ相当の厚さを有し、活性層806の中心から第2スペーサ層807の上端までの部分は1.5λ相当の厚さを有する。
第2多層膜82、第1スペーサ層805、活性層806及び第2スペーサ層807の積層体がメサ構造842を有する。メサ構造842は、第2多層膜82の一部、例えば高屈折率層822の一部を底面とする。
面発光レーザ800は、メサ構造842の上に平面視で環状の絶縁層841を有する。絶縁層841は、例えばSiO2層である。透明導電膜809は絶縁層841の上にあり、絶縁層841の開口を通じて第2スペーサ層807に接する。透明導電膜809は、例えば酸化インジウムスズ(ITO)膜である。
面発光レーザ800は、透明導電膜709の表面上の上部電極851と、メサ構造842から露出する高屈折率層822の表面上の下部電極852と、を有する。上部電極851及び下部電極852には半導体とオーミック接触が形成できる材料が用いられる。上部電極851は、平面視で環状に形成されている。
面発光レーザ800は、上部電極851の内側に透明導電膜709上の第2反射鏡808を有する。第2反射鏡808は、例えば中心波長λが410nmの反射帯域を有する。第2反射鏡808は、例えば誘電体分布ブラッグ反射器(Distributed Bragg Reflector:DBR)である。第2反射鏡808では、SiO2からなる低屈折率層831と、Ta2O5からなる高屈折率層832とが交互に積層されている。第2反射鏡808は、例えば、低屈折率層831と高屈折率層832とのペアを複数、例えば10含む。
例えば、第1反射鏡804、第1スペーサ層805、活性層806及び第2スペーサ層807はMOCVD法により形成される。例えば、メサ構造842は、フォトリソグラフィによるマスクの形成及びICPエッチング等により形成される。例えば、絶縁層841は、フォトリソグラフィによるマスクの形成及びエッチング等により形成される。
面発光レーザ800では、電流は上部電極851から、絶縁層841により狭窄されながら、第2スペーサ層807を通じて活性層806に注入される。また、電流は活性層806からn型の第1スペーサ層805、低屈折率層821及び高屈折率層822を通じて下部電極852に流れる。従って、素子抵抗を低減することができる。
また、第11実施形態では、低屈折率層821のAl組成が低屈折率層811のAl組成よりも低く、低屈折率層821のバンドギャップが低屈折率層811のバンドギャップよりも小さい。そして、高屈折率層812と低屈折率層811との間のバンドギャップの差よりも高屈折率層822と低屈折率層821との間のバンドギャップの差が小さい。従って、第1スペーサ層805と第1反射鏡804との間のヘテロ障壁が低く、素子抵抗を低減することができる。
(第12実施形態)
次に、第12実施形態について説明する。第12実施形態は、面発光レーザに関する。図16は、第12実施形態に係る面発光レーザを示す断面図である。
図16に示すように、第12実施形態に係る面発光レーザ796は、基板701に代えて導電性の基板701Aを含む。第1反射鏡704に開口部759が形成され、開口部759内に導電部753が設けられている。すなわち、面発光レーザ796は、開口部759内に基板701Aと第1反射鏡704の最表面に位置する高屈折率層722とを電気的に接続する導電部753を有する。面発光レーザ796は、更に、基板701Aの裏面上の下部電極754を有する。ここで高屈折率層722は導電部753を通じて基板701Aと電気的に接続しているため第1多層膜71をアンドープにすることができる。
面発光レーザ796では、導電部753を介して基板701Aと高屈折率層722とが電気的に接続されている。このため、第1スペーサ層705が薄くても、基板701A側から高屈折率層722を通じて活性層706にキャリアを注入することができる。従って、面発光レーザ796の素子抵抗は低く、面発光レーザ796は低閾値利得で発振することができる。さらに第1多層膜71をアンドープにすることができるため光吸収を低減できるためさらに低閾利得で発振することが可能になる。
(第13実施形態)
次に、第13実施形態について説明する。第13実施形態は、投影装置の一例であるヘッドアップディスプレイ(head-up display:HUD)に関する。図17は、第13実施形態に係る投影装置の一例であるHUDを示す模式図である。図18は、第13実施形態に係るHUDを搭載した自動車を示す模式図である。
投影装置は、光走査により画像を投影する装置であり、例えばHUDである。
第13実施形態に係るHUD500は、図18に示すように、例えば、自動車400のウインドシールド(フロントガラス401等)の付近に設置される。HUD500から発せられる投射光Lがフロントガラス401で反射され、ユーザーである観察者(運転者402)に向かう。これにより、運転者402は、HUD500によって投影された画像等を虚像として視認することができる。なお、ウインドシールドの内壁面にコンバイナを設置し、コンバイナによって反射する投射光によってユーザーに虚像を視認させる構成にしてもよい。自動車400は移動体の一例である。
図17に示すように、HUD500は、赤色、緑色、青色のレーザ光源501R,501G,501Bからレーザ光が出射される。出射されたレーザ光は、各レーザ光源に対して設けられるコリメートレンズ502,503,504と、2つのダイクロイックミラー505,506と、光量調整部507と、から構成される入射光学系を経た後、反射面514を有する可動装置513にて偏向される。そして、偏向されたレーザ光は、自由曲面ミラー509と、中間スクリーン510と、投射ミラー511とから構成される投射光学系を経て、スクリーンに投影される。なお、上記HUD500では、レーザ光源501R,501G,501B、コリメートレンズ502,503,504、ダイクロイックミラー505,506は、光源ユニット530として光学ハウジングによってユニット化されている。レーザ光源501R,501G,501Bは、第5~第12実施形態のいずれかに係る面発光レーザを含む。レーザ光源501R,501G,501Bが、第5~第12実施形態のいずれかに係る面発光レーザを複数備えた面発光レーザアレイを含んでもよい。
HUD500は、中間スクリーン510に表示される中間像を自動車400のフロントガラス401に投射することで、その中間像を運転者402に虚像として視認させる。
レーザ光源501R,501G,501Bから発せられる各色レーザ光は、それぞれ、コリメートレンズ502,503,504で略平行光とされ、合成部となる2つのダイクロイックミラー505,506により合成される。合成されたレーザ光は、光量調整部507で光量が調整された後、反射面514を有する可動装置513によって二次元走査される。可動装置513で二次元走査された投射光Lは、自由曲面ミラー509で反射されて歪みを補正された後、中間スクリーン510に集光され、中間像を表示する。中間スクリーン510は、マイクロレンズが二次元配置されたマイクロレンズアレイで構成されており、中間スクリーン510に入射してくる投射光Lをマイクロレンズ単位で拡大する。
可動装置513は、反射面514を2軸方向に往復可動させ、反射面514に入射する投射光Lを二次元走査する。この可動装置513の駆動制御は、レーザ光源501R,501G,501Bの発光タイミングに同期して行われる。
光源ユニット530及び可動装置513は制御装置515により制御される。
以上、投影装置の一例としてのHUD500の説明をしたが、投影装置は、反射面514を有した可動装置513により光走査を行うことで画像を投影する装置であればよい。例えば、机等に置かれ、表示スクリーン上に画像を投影するプロジェクタや、観測者の頭部等に装着される装着部材に搭載され、装着部材が有する反射透過スクリーンに投影、または眼球をスクリーンとして画像を投影するヘッドマウントディスプレイ等にも、同様に適用することができる。
また、投影装置は、車両や装着部材だけでなく、例えば、航空機、船舶、移動式ロボット等の移動体、あるいは、その場から移動せずにマニピュレータ等の駆動対象を操作する作業ロボットなどの非移動体に搭載されてもよい。
(第14実施形態)
次に、第14実施形態について説明する。第14実施形態は、ヘッドマウントディスプレイ(head mount display:HMD)に関する。図19は、第14実施形態に係るHMDの外観を例示する斜視図である。
HMDは、人間の頭部に装着可能な頭部装着型ディスプレイで、例えば、眼鏡に類する形状とすることができる。
第14実施形態に係るHMD600は、図19に示すように、左右に1組ずつ略対称に設けられたフロント600a、及びテンプル600bにより構成されている。フロント600aは、例えば、導光板610により構成することができ、光学系や制御装置等は、テンプル600bに内蔵することができる。
図20は、HMD600の構成を部分的に例示する図である。なお、図20では、左眼用の構成を例示しているが、HMD600は右眼用としても同様の構成を有している。
HMD600は、制御装置515と、光源ユニット530と、光量調整部507と、反射面514を有する可動装置513と、導光板610と、ハーフミラー620とを有している。
光源ユニット530は、上述したように、レーザ光源501R、501G、及び501Bと、コリメートレンズ502、503、及び504と、ダイクロイックミラー505、及び506とを、光学ハウジングによってユニット化したものである。光源ユニット530において、レーザ光源501R、501G、及び501Bからの三色のレーザ光は、合成部となるダイクロイックミラー505及び506で合成される。光源ユニット530からは、合成された平行光が発せられる。
光源ユニット530からの光は、光量調整部507により光量調整された後、可動装置513に入射する。可動装置513は、制御装置515からの信号に基づき、反射面514をXY方向に可動し、光源ユニット530からの光を二次元走査する。この可動装置513の駆動制御は、レーザ光源501R、501G、501Bの発光タイミングに同期して行われ、走査光によりカラー画像が形成される。
可動装置513による走査光は、導光板610に入射する。導光板610は、走査光を内壁面で反射させながらハーフミラー620に導光する。導光板610は、走査光の波長に対して透過性を有する樹脂等により形成されている。
ハーフミラー620は、導光板610からの光をHMD600の背面側に反射し、HMD600の装着者630の眼の方向に出射する。ハーフミラー620は、例えば、自由曲面形状を有している。走査光による画像は、ハーフミラー620での反射により、装着者630の網膜に結像する。或いは、ハーフミラー620での反射と眼球における水晶体のレンズ効果とにより、装着者630の網膜に結像する。またハーフミラー620での反射により、画像は空間歪が補正される。装着者630は、XY方向に走査される光で形成される画像を、観察することができる。
フロント600aにハーフミラー620が設けられているため、装着者630には、外界からの光による像と走査光による画像が重畳して観察される。ハーフミラー620に代えてミラーを設けることで、外界からの光をなくし、走査光による画像のみを観察できる構成としてもよい。
(第15実施形態)
次に、第15実施形態について説明する。第15実施形態は、検眼装置に関する。
第15実施形態に係る検眼装置は、視力検査、眼屈折力検査、眼圧検査、眼軸長検査など種々の検査を行うことができる装置である。検眼装置は、眼球に非接触で検査可能な装置であって、被験者の顔を支持する支持部と、検眼窓と、検眼に際し被検者の眼球に検査用情報を投影する表示部と、制御部と、測定部とを有している。被検者は支持部に顔を固定し、検眼窓から表示部により投影される検査用情報を凝視する。検査用情報の投影のための光源に、第5~第12実施形態のいずれかに係る面発光レーザを用いることができる。検査用情報の投影のための光源に、第5~第12実施形態のいずれかに係る面発光レーザを複数備えた面発光レーザアレイを用いてもよい。また、検眼装置がグラス形態の検眼装置であってもよい。グラス形態の検眼装置により、検査に必要な空間や大型の検眼装置が不要となり、簡便な構成で場所に左右されることなく検査が可能となる。
(第16実施形態)
次に、第16実施形態について説明する。第16実施形態は、照明装置に関する。図21は、第15実施形態に係る照明装置の構成を例示する図である。
第16実施形態に係る照明装置900は、建築物の建屋内照明、移動体の夜間照明など、様々な照明に用いることができる。照明装置900は、面発光レーザモジュール901と、蛍光板902と、受光素子903と、反射板904と、レンズ905と、を有する。面発光レーザモジュール901は、第5~第12実施形態のいずれかに係る面発光レーザを含む。面発光レーザモジュール901が、第5~第12実施形態のいずれかに係る面発光レーザを複数備えた面発光レーザアレイを含んでもよい。蛍光板902は面発光レーザモジュール901の出射側にあり、面発光レーザモジュール901から出射された光を拡散させる。反射板904は、蛍光板902により拡散された光を反射する。レンズ905は、反射板904により反射された光を成型して外部に放射する。
反射板904により反射された光の一部が受光素子903に入射してもよい。受光素子903は入射した光を検出する。制御部(図示せず)が受光素子903による検出結果に基づいて照明装置900を制御してもよい。
反射板904の面発光レーザモジュール901からの直射部分に、蛍光板902の破損時の安全のために開口部906があってもよい。開口部906があることで、面発光レーザモジュール901からのコヒーレント光が直接外部に取り出されないようにできる。
第5~第12実施形態のいずれかに係る面発光レーザ、又は、この面発光レーザを複数備えた面発光レーザアレイを含む面発光レーザモジュール901を用いることで、よりエネルギー効率の高い照明装置を得ることができる。
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。