JP7513931B2 - 樹脂被覆導体、コイルおよび樹脂被覆導体の製造方法 - Google Patents

樹脂被覆導体、コイルおよび樹脂被覆導体の製造方法 Download PDF

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本開示は、樹脂被覆導体、コイルおよび樹脂被覆導体の製造方法に関する。
特許文献1には、断面矩形の導体上に、少なくとも2層の絶縁層が積層された絶縁皮膜を有する絶縁電線であって、前記積層された絶縁皮膜が、前記導体の外周上に熱硬化性樹脂からなるエナメル絶縁層および該層の外側に熱可塑性樹脂からなる押出絶縁層から構成され、前記エナメル絶縁層の厚さが、50μm以上であり、前記積層された絶縁皮膜の全体の厚さ(T)および100℃における比誘電率(ε)、前記積層された絶縁層中、1層の最大厚さ(Tmax)および100℃における比誘電率の最大値(εmax)と最小値(εmin)が、下記の関係を全て満たすことを特徴とする絶縁電線が記載されている。
T≧100μm (1.1)
Tmax≦100μm (1.2)
1.5≦ε≦3.5 (2.1)
1.0≦εmax/εmin≦1.2 (2.2)
特許文献2には、芯線と、前記芯線上に被覆された被覆材と、を備える耐熱電線であって、前記被覆材は、共重合体に250kGy以下の照射線量の放射線を前記共重合体の融点以下の温度で照射することにより得られる改質含フッ素共重合体から形成されており、前記共重合体は、テトラフルオロエチレン単位とパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位とからなる共重合体、及び、テトラフルオロエチレン単位とヘキサフルオロプロピレン単位とからなる共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体であることを特徴とする耐熱電線が記載されている。
特許文献3には、導体と、前記導体の外周に形成された絶縁被覆とを備えるマグネット線であって、前記絶縁被覆が、テトラフルオロエチレン単位およびフルオロアルキルビニルエーテル単位を含有する共重合体を含有し、前記共重合体のメルトフローレートが10~60g/10分であり、前記共重合体におけるフルオロアルキルビニルエーテル単位の含有量が、全モノマー単位に対して、6.2~8.0質量%であるマグネット線が記載されている。
国際公開第2017/175516号 特開2015-149274号公報 特開2020-183516号公報
本開示では、導体と隙間なく強く密着しており、しかも、傷がつきにくい被覆物により被覆された樹脂被覆導体を提供することを目的とする。
本開示の第1の観点によれば、導体と、樹脂を含有しており、前記導体を被覆する被覆物と、を備える樹脂被覆導体であって、前記被覆物が、前記被覆物の表面に対して電子線が照射された被覆物であって、電子線照射の温度が、前記被覆物を形成する前記樹脂の融点未満であり、電子線照射の電子線加速電圧が、500kV以下である樹脂被覆導体が提供される。
本開示によれば、導体と隙間なく強く密着しており、しかも、傷がつきにくい被覆物により被覆された樹脂被覆導体を提供することができる。
図1は、一実施形態に係る樹脂被覆導体の正面図および上面図である。 図2は、一実施形態に係る樹脂被覆導体の断面図である。 図3は、一実施形態に係る熱収縮チューブの断面図である。
以下、本開示の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。
特許文献1では、モーターなどの回転機の性能向上のため、より多い本数の巻線をステータのスロット中に収容することが求められていることが記載されている。また、特許文献1には、このような巻線に用いる絶縁電線として、断面矩形の導体上に、少なくとも2層の絶縁層が積層された絶縁皮膜を有する絶縁電線が記載されており、積層された絶縁皮膜を、導体の外周上の熱硬化性樹脂からなるエナメル絶縁層および該層の外側の熱可塑性樹脂からなる押出絶縁層から構成することが記載されている。
特許文献2および3には、耐熱電線の被覆材またはマグネット線の絶縁被覆として、放射線を照射したものを用いることが記載されている。
しかしながら、従来の樹脂被覆導体の被覆物の構成では、被覆物の誘電率を低下させると同時に、耐傷性を向上させることが困難である。電気自動車に用いられるモーターでは、小型化、高性能化を目的として、使用電圧が高くなる傾向がある。高電圧化に伴って、モーターに用いられる樹脂被覆導体には、従来のよりも高い部分放電開始電圧が要求される上、小型化を可能にするために、樹脂被覆導体の被覆物は薄い方が好ましい。したがって、被覆物の形成には、誘電率が低い材料を用いることが好ましい。しかしながら、低い誘電率を有する材料を用いて、比較的薄い被覆物を形成すると、回転電機のコアのスロットに樹脂被覆導体を挿入する際などに被覆物に傷がつきやすく、絶縁特性が損なわれる問題がある。さらに、樹脂被覆導体が平角導体を備える場合において、樹脂被覆導体をエッジワイズ方向に曲げる場合には、金属製の治具を用いて、大きな荷重をかけて曲げる必要があるが、この際に被覆物に傷がつきやすく、絶縁特性が損なわれる問題がある。
これに対し、本開示の樹脂被覆導体は、導体を被覆する被覆物として、被覆物の表面に対して電子線を照射した被覆物を用いることから、誘電率が低い樹脂により被覆物を形成した場合であっても、金属製の治具を用いて、回転電機のコアのスロットに挿入する際やエッジワイズ方向に曲げる際などに被覆物に傷がつきにくい。したがって、本開示の樹脂被覆導体は、良好な絶縁特性を損なうことなく、スロットに収容しやすい形状に容易に変形させることができ、さらには、容易にコアのスロット中に収容することができるので、モーターなどの回転電機の小型化および高性能化を実現できるものである。
本開示の樹脂被覆導体は、導体と、導体を被覆する被覆物とを備えており、被覆物は、樹脂を含有している。次に、導体および被覆物の構成について、より詳細に説明する。
(導体)
導体は、単線、集合線、撚線などであってよいが、単線であることが好ましい。導体の断面の形状は、円形状、楕円状、長方形状、真四角形状および多角形状のいずれかであってよい。
導体としては、導電材料から構成されるものであれば特に限定されないが、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、銀、ニッケルなどの材料により構成することができ、銅、銅合金、アルミニウムおよびアルミニウム合金からなる群より選択される少なくとも1種により構成されたものが好ましい。また、銀めっき、ニッケルめっきなどのめっきを施した導体を用いることもできる。銅としては、無酸素銅、低酸素銅、銅合金などを用いることができる。
導体の断面が略矩形である場合、すなわち、導体が平角導体である場合、導体の断面の幅は1~75mmであってよく、導体の断面の厚さは0.1~10mmであってよい。導体の断面の形状は、長方形状であってよい。導体の外周径は、6.5mm以上であってよく、200mm以下であってよい。また、幅の厚さに対する比は、1超30以下であってよい。
導体の断面が略円形である場合、すなわち、導体が丸導体である場合、導体の直径は、好ましくは0.1~10mmであり、より好ましくは0.3~3mmである。
導体の面粗さSzは、導体と被覆物とが一層強固に密着することから、好ましくは0.2~12μmであり、より好ましくは1μm以上であり、さらに好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以下である。
導体の面粗さは、エッチング処理、ブラスト処理、レーザー処理などの表面処理方法により、導体を表面処理することにより調整することができる。また、表面処理により、導体の表面に凹凸を設けてもよい。凸部から凸部の凹凸間距離は小さいほど好ましく、たとえば、0.5μm以下である。また、凹凸の大きさは、たとえば、未加工面に対する凸部を切断したときの1つあたりの凹部面積が0.5μm以下である。凹凸形状は、クレーター型の単一な凹凸形状でもよく、アリの巣状に枝分かれしているものでもよい。
(被覆物)
被覆物は、導体を被覆しており、導体と直接接触している。さらに、被覆物には、比較的低い温度および比較的低い電子線加速電圧で、表面に対して電子線が照射されており、これによって、被覆物の厚みの均一性を維持したまま、導体と隙間なく強く密着する被覆物を形成させることができ、しかも、傷がつきにくい被覆物が得られる。
電子線照射の温度は、被覆物を形成する樹脂の融点未満であり、好ましくは樹脂の融点より20℃低い温度以下であり、より好ましくは40℃低い温度以下であり、さらに好ましくは60℃低い温度以下である。また、電子線照射の温度の下限は、好ましくは150℃低い温度以上であり、より好ましくは130℃低い温度以上である。
照射温度の調整は、特に限定されず、公知の方法で行うことができる。具体的には、樹脂被覆導体を所定の温度に維持した加熱炉内で保持する方法や、樹脂被覆導体をホットプレート上に載せて、ホットプレートに内蔵した加熱ヒータに通電することによって、あるいは、外部の加熱手段によって、ホットプレートを加熱する等の方法が挙げられる。
電子線照射の電子線加速電圧は、500kV以下であり、好ましくは400kVであり、より好ましくは300kV以下であり、さらに好ましくは200kV以下であり、尚さらに好ましくは150kV以下であり、特に好ましくは100kV以下であり、最も好ましくは70kV以下であり、好ましくは30kV以上であり、より好ましくは50kV以上である。
電子線照射量は、好ましくは40~200kGyであり、より好ましくは50kGy以上であり、より好ましくは150kGy以下である。
被覆物の厚みは、絶縁特性および導体と被覆物との密着性の観点から、好ましくは40~300μmであり、より好ましくは50μm以上であり、さらに好ましくは60μm以上であり、より好ましくは250μm以下であり、さらに好ましくは200μm以下である。
被覆物の厚みを上記した範囲内とし、なおかつ、被覆物の表面に対して、比較的低い温度および比較的低い電子線加速電圧で、電子線を照射することによって、被覆物の全体を電子線により改質することなく、被覆物の表面(一定の深さの領域)のみが改質される。これによって、被覆物を形成する樹脂が本来有する特性(たとえば、樹脂の伸び率など)を維持し、さらには、導体と被覆物との密着性を維持したまま、被覆物の表面の耐傷性を向上させることができる。
樹脂被覆導体の一実施形態においては、被覆物が、導体に密着する結晶性の内層と、被覆物の表面を形成する非晶性の表層とから構成される。非晶性の表層は、被覆物の表面に対して、比較的低い温度および比較的低い電子線加速電圧で、電子線を照射することによって、形成される。
被覆物の表面(一定の深さの領域)のみが改質されていることは、たとえば、次の方法により確認することができる。樹脂被覆導体をホットステージに置き、ホットステージの温度を上昇させながら、樹脂被覆導体の断面を偏光顕微鏡により観察する。被覆物が溶融状態になると偏光顕微鏡クロスニコル下で暗視野になる。融点以下まで50℃/分の速度で冷却すると、溶融部の樹脂は再結晶化により結晶層が偏光により明るくなるが、電子線により改質された表層部は、再結晶化しにくい架橋構造であることから、暗視野となる。改質部と非改質部とは、光の明暗や色の変化の差として区別される。この方法で、被覆導体の改質の有無が確認される。
電子線を照射する方法としては、特に限定されず、従来公知の電子照射装置を用いて行う方法等が挙げられる。電子を照射する回数は、特に限定されず、1回であってもよいし、複数回であってもよい。樹脂被覆導体の一方から電子線を照射した後、反対の方向から電子線をさらに照射してもよい。
電子線の照射環境としては、特に制限されないが、酸素濃度が1000ppm以下であることが好ましく、酸素不存在下であることがより好ましく、真空中、または、窒素、ヘリウム若しくはアルゴン等の不活性ガス雰囲気中であることが更に好ましい。
被覆物は、樹脂から形成されている。樹脂の比誘電率は、電気特性の観点から、好ましくは4.0以下であり、より好ましくは3.4以下であり、さらに好ましくは2.9以下であり、尚さらに好ましくは2.4以下であり、特に好ましくは2.2以下であり、好ましくは1.80以上である。
樹脂の比誘電率は、電子線を照射する前の樹脂について、ネットワークアナライザーHP8510C(ヒューレットパッカード社製)および空洞共振器を用いて、共振周波数および電界強度の変化を20~25℃の温度下で測定して得られる値である。
被覆物を形成する樹脂としては、熱可塑性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、フッ素樹脂、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、変性ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリエステル、エチレン/ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂(ABS)、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂(PES)、ポリエーテルイミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂などが挙げられる。
樹脂としては、電気特性の観点から、フッ素樹脂が好ましい。
フッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)/フルオロアルキルビニルエーテル(FAVE)共重合体、テトラフルオロエチレン(TFE)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体、TFE/エチレン共重合体〔ETFE〕、TFE/エチレン/HFP共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン(CTFE)共重合体〔ECTFE〕、ポリクロロトリフルオロエチレン〔PCTFE〕、CTFE/TFE共重合体、ポリビニリデンフルオライド〔PVdF〕、TFE/ビニリデンフルオライド(VdF)共重合体〔VT〕、ポリビニルフルオライド〔PVF〕、TFE/VdF/CTFE共重合体〔VTC〕、TFE/HFP/VdF共重合体などが挙げられる。
フッ素樹脂としては、押出成形法により被覆物または熱収縮チューブを容易に製造することができ、導体に一層密着する被覆物を形成できることから、溶融加工性のフッ素樹脂が好ましい。本開示において、溶融加工性とは、押出機および射出成形機などの従来の加工機器を用いて、ポリマーを溶融して加工することが可能であることを意味する。従って、溶融加工性のフッ素樹脂は、後述する測定方法により測定されるメルトフローレートが0.01~500g/10分であることが通常である。
フッ素樹脂のメルトフローレートは、好ましくは0.1~100g/10分であり、より好ましくは70g/10分以下であり、さらに好ましくは60g/10分以下であり、尚さらにこのましくは50g/10分以下であり、特に好ましくは40g/10分以下であり、最も好ましくは30g/10分以下である。フッ素樹脂のメルトフローレートが上記範囲内にあることにより、厚さが均一で、機械的強度に優れる被覆物を容易に得ることができる。
本開示において、フッ素樹脂のメルトフローレートは、ASTM D1238に従って、メルトインデクサー(安田精機製作所社製)を用いて、372℃、5kg荷重下で内径2.1mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)として得られる値である。
フッ素樹脂の比誘電率は、電気特性の観点から、好ましくは2.4以下であり、より好ましくは2.2以下であり、さらに好ましくは2.1以下であり、下限は特に限定されないが、好ましくは1.8以上である。
フッ素樹脂の比誘電率は、電子線を照射する前のフッ素樹脂について、ネットワークアナライザーHP8510C(ヒューレットパッカード社製)および空洞共振器を用いて、共振周波数および電界強度の変化を20~25℃の温度下で測定して得られる値である。
フッ素樹脂の融点は、好ましくは200~322℃であり、より好ましくは220℃以上であり、さらに好ましくは240℃以上であり、尚さらに好ましくは260℃以上であり、特に好ましくは280℃以上であり、より好ましくは320℃以下である。
融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて測定できる。
フッ素樹脂としては、耐熱性、成形性および電気特性の観点から、TFE/FAVE共重合体、および、TFE/HFP共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、TFE/FAVE共重合体がより好ましい。
TFE/FAVE共重合体は、テトラフルオロエチレン(TFE)単位およびフルオロアルキルビニルエーテル(FAVE)単位を含有する共重合体である。
FAVE単位を構成するFAVEとしては、一般式(1):
CF=CFO(CFCFYO)-(CFCFCFO)-Rf (1)
(式中、YはFまたはCFを表し、Rfは炭素数1~5のパーフルオロアルキル基を表す。pは0~5の整数を表し、qは0~5の整数を表す。)で表される単量体、および、一般式(2):
CFX=CXOCFOR (2)
(式中、Xは、同一または異なり、H、FまたはCFを表し、Rは、直鎖または分岐した、H、Cl、BrおよびIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1~2個含んでいてもよい炭素数が1~6のフルオロアルキル基、若しくは、H、Cl、BrおよびIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1~2個含んでいてもよい炭素数が5または6の環状フルオロアルキル基を表す。)で表される単量体からなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができる。
FAVEとしては、なかでも、一般式(1)で表される単量体が好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)およびパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、PEVEおよびPPVEからなる群より選択される少なくとも1種がさらに好ましく、PPVEが特に好ましい。
TFE/FAVE共重合体のFAVE単位の含有量は、電子線照射によるフッ素樹脂の改質が一層円滑に進行し、それによって、導体と一層強く密着しており、一層傷がつきにくい被覆物を形成できることから、全モノマー単位に対して、好ましくは0.4~4.0モル%であり、より好ましくは1.1モル%以上であり、さらに好ましくは1.3モル%以上であり、尚さらに好ましくは1.4モル%以上であり、特に好ましくは1.5モル%以上であり、最も好ましくは1.8モル%以上であり、より好ましくは3.2モル%以下であり、さらに好ましくは2.8モル%以下であり、特に好ましくは2.5モル%以下であり、特に好ましくは2.4モル%以下である。
TFE/FAVE共重合体のTFE単位の含有量は、導体と一層強く密着しており、一層傷がつきにくい被覆物できることから、全モノマー単位に対して、好ましくは96.0~99.6モル%であり、より好ましくは96.8モル%以上であり、さらに好ましくは97.2モル%以上であり、尚さらに好ましくは97.5モル%以上であり、特に好ましくは97.6モル%以上であり、より好ましくは98.9モル%以下であり、さらに好ましくは98.7モル%以下であり、尚さらに好ましくは98.6モル%以下であり、特に好ましくは98.5モル%以下であり、最も好ましくは98.2モル%以下である。
本開示において、共重合体中の各モノマー単位の含有量は、19F-NMR法により測定する。
TFE/FAVE共重合体は、TFEおよびFAVEと共重合可能な単量体に由来する単量体単位を含有することもできる。この場合、TFEおよびFAVEと共重合可能な単量体の含有量は、TFE/FAVE共重合体の全モノマー単位に対して、好ましくは0~3.6モル%であり、より好ましくは0.1~2.2モル%であり、さらに好ましくは0.2~1.0モル%である。
TFEおよびFAVEと共重合可能な単量体としては、HFP、CZ=CZ(CF(式中、Z、ZおよびZは、同一または異なって、HまたはFを表し、Zは、H、FまたはClを表し、nは2~10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、および、CF=CF-OCH-Rf(式中、Rfは炭素数1~5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体、官能基を有する単量体等が挙げられる。なかでも、HFPが好ましい。
TFE/FAVE共重合体としては、TFE単位およびFAVE単位のみからなる共重合体、および、上記TFE/HFP/FAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、TFE単位およびFAVE単位のみからなる共重合体がより好ましい。
TFE/FAVE共重合体の融点は、耐熱性および耐ストレスクラック性の観点から、好ましくは280~322℃であり、より好ましくは285℃以上であり、より好ましくは315℃以下であり、さらに好ましくは310℃以下である。融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて測定できる。
TFE/FAVE共重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは70~110℃であり、より好ましくは80℃以上であり、より好ましくは100℃以下である。ガラス転移温度は、動的粘弾性測定により測定できる。
TFE/FAVE共重合体の比誘電率は、電気特性の観点から、好ましくは2.4以下であり、より好ましくは2.2以下であり、さらに好ましくは2.1以下であり、下限は特に限定されないが、好ましくは1.8以上である。
TFE/FAVE共重合体の比誘電率は、電子線を照射する前のTFE/FAVE共重合体について、ネットワークアナライザーHP8510C(ヒューレットパッカード社製)および空洞共振器を用いて、共振周波数および電界強度の変化を20~25℃の温度下で測定して得られる値である。
TFE/HFP共重合体は、テトラフルオロエチレン(TFE)単位およびヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位を含有する共重合体である。
TFE/HFP共重合体のHFP単位の含有量は、導体に一層強固に密着する被覆物を形成できることから、全モノマー単位に対して、好ましくは0.1モル%以上であり、より好ましくは0.7モル%以上であり、さらに好ましくは1.3モル%以上であり、好ましくは22モル%以下であり、より好ましくは11モル%以下である。
TFE/HFP共重合体のTFE単位の含有量は、導体に一層強固に密着する被覆物を形成できることから、全モノマー単位に対して、好ましくは78モル%以上であり、より好ましくは89モル%以上であり、好ましくは99.9モル%以下であり、より好ましくは99.3モル%以下であり、さらに好ましくは98.7モル%以下である。
TFE/HFP共重合体は、TFEおよびHFPと共重合可能な単量体に由来する単量体単位を含有することもできる。この場合、TFEおよびHFPと共重合可能な単量体の含有量は、TFE/HFP共重合体の全モノマー単位に対して、好ましくは0~21.9モル%であり、より好ましくは0.1~5.0モル%であり、さらに好ましくは0.1~1.0モル%である。
TFEおよびHFPと共重合可能な単量体としては、FAVE、CZ=CZ(CF(式中、Z、ZおよびZは、同一または異なって、HまたはFを表し、Zは、H、FまたはClを表し、nは2~10の整数を表す。)で表されるビニル単量体、および、CF=CF-OCH-Rf(式中、Rfは炭素数1~5のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体、官能基を有する単量体等が挙げられる。なかでも、FAVEが好ましい。
TFE/HFP共重合体の融点は、好ましくは200~322℃であり、より好ましくは210℃以上であり、さらに好ましくは220℃以上であり、より好ましくは300℃未満であり、さらに好ましくは280℃以下である。
TFE/HFP共重合体のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは60~110℃であり、より好ましくは65℃以上であり、より好ましくは100℃以下である。
フッ素樹脂は、官能基を有することが好ましい。フッ素樹脂が官能基を有することにより、導体に一層強固に密着する被覆物を形成できるとともに、電子線照射によって被覆物の改質が円滑に進行し、一層傷がつきにくい被覆物を容易に形成することができる。
官能基としては、カルボニル基含有基、アミノ基、ヒドロキシ基、-CFH基、オレフィン基、エポキシ基およびイソシアネート基からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
カルボニル基含有基は、構造中にカルボニル基(-C(=O)-)を含有する基である。カルボニル基含有基としては、たとえば、
カーボネート基[-O-C(=O)-OR(式中、Rは炭素原子数1~20のアルキル基またはエーテル結合性酸素原子を含む炭素原子数2~20のアルキル基である)]、
アシル基[-C(=O)-R(式中、Rは炭素原子数1~20のアルキル基またはエーテル結合性酸素原子を含む炭素原子数2~20のアルキル基である)]
ハロホルミル基[-C(=O)X、Xはハロゲン原子]、
ホルミル基[-C(=O)H]、
式:-R-C(=O)-R(式中、Rは、炭素原子数1~20の2価の有機基であり、Rは、炭素原子数1~20の1価の有機基である)で示される基、
式:-O-C(=O)-R(式中、Rは、炭素原子数1~20のアルキル基またはエーテル結合性酸素原子を含む炭素原子数2~20のアルキル基である)で示される基、
カルボキシル基[-C(=O)OH]、
アルコキシカルボニル基[-C(=O)OR(式中、Rは、炭素原子数1~20の1価の有機基である)]、
カルバモイル基[-C(=O)NR(式中、RおよびRは、同じであっても異なっていてもよく、水素原子または炭素原子数1~20の1価の有機基である)]、
酸無水物結合[-C(=O)-O-C(=O)-]、
などをあげることができる。
の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などがあげられる。上記Rの具体例としては、メチレン基、-CF-基、-C-基などがあげられ、Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などがあげられる。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などがあげられる。また、RおよびRの具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基などがあげられる。
ヒドロキシ基は、-OHで示される基または-OHで示される基を含む基である。本開示において、カルボキシル基を構成する-OHは、ヒドロキシ基に含まない。ヒドロキシ基としては、-OH、メチロール基、エチロール基などが挙げられる。
オレフィン基(Olefinic group)とは、炭素-炭素二重結合を有する基である。オレフィン基としては、下記式:
-CR10=CR1112
(式中、R10、R11およびR12は、同じであっても異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子または炭素原子数1~20の1価の有機基である。)で表される官能基が挙げられ、-CF=CF、-CH=CF、-CF=CHF、-CF=CHおよび-CH=CHからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
イソシアネート基は、-N=C=Oで示される基である。
フッ素樹脂の官能基数は、炭素原子10個あたり100~1300個が好ましい。官能基の個数は、炭素原子10個あたり、より好ましくは50個以上であり、さらに好ましくは100個以上であり、特に好ましくは200個以上であり、より好ましくは1000個以下であり、さらに好ましくは800個以下であり、特に好ましくは700個以下である。フッ素樹脂の官能基数が上記の範囲内にあることにより、導体に一層強固に密着する被覆物を形成できるとともに、電子線照射によって被覆物の改質が円滑に進行し、一層傷がつきにくい被覆物を容易に形成することができる。
上記の官能基数は、電子線照射前の被覆物に含有されるフッ素樹脂の官能基数である。官能基数が上記範囲内にあるフッ素樹脂を含有する絶縁被覆に対して、電子線を照射することにより、フッ素樹脂の各ポリマー分子が有する官能基同士が架橋する反応が進行し、フッ素樹脂が改質されるものと推測される。また、フッ素樹脂の官能基数が上記範囲内にある場合、比較的低い温度および比較的低い電子線加速電圧で、表面に対して電子線を照射した場合でも、表面のフッ素樹脂の改質が円滑に進行し、一層傷がつきにくい被覆物を容易に形成することができる。
上記官能基は、共重合体(フッ素樹脂)の主鎖末端または側鎖末端に存在する官能基、および、主鎖中または側鎖中に存在する官能基であり、好適には主鎖末端に存在する。上記官能基としては、-CF=CF、-CFH、-COF、-COOH、-COOCH、-CONH、-CHOHなどが挙げられ、-CFH、-COF、-COOH、-COOCHおよび-CHOHからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。-COOHには、2つの-COOHが結合することにより形成されるジカルボン酸無水物基(-CO-O-CO-)が含まれる。
上記官能基の種類の同定および官能基数の測定には、赤外分光分析法を用いることができる。
官能基数については、具体的には、以下の方法で測定する。まず、共重合体を330~340℃にて30分間溶融し、圧縮成形して、厚さ0.20~0.25mmのフィルムを作製する。このフィルムをフーリエ変換赤外分光分析により分析して、共重合体の赤外吸収スペクトルを得、完全にフッ素化されて官能基が存在しないベーススペクトルとの差スペクトルを得る。この差スペクトルに現れる特定の官能基の吸収ピークから、下記式(A)に従って、共重合体における炭素原子1×10個あたりの官能基数Nを算出する。
N=I×K/t (A)
I:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚さ(mm)
参考までに、本開示における官能基について、吸収周波数、モル吸光係数および補正係数を表1に示す。また、モル吸光係数は低分子モデル化合物のFT-IR測定データから決定したものである。
Figure 0007513931000001
なお、-CHCFH、-CHCOF、-CHCOOH、-CHCOOCH、-CHCONHの吸収周波数は、それぞれ表中に示す、-CFH、-COF、-COOH freeと-COOH bonded、-COOCH、-CONHの吸収周波数から数十カイザー(cm-1)低くなる。
従って、たとえば、-COFの官能基数とは、-CFCOFに起因する吸収周波数1883cm-1の吸収ピークから求めた官能基数と、-CHCOFに起因する吸収周波数1840cm-1の吸収ピークから求めた官能基数との合計である。
上記官能基数は、-CF=CF、-CFH、-COF、-COOH、-COOCH、-CONHおよび-CHOHの合計数であってよく、-CFH、-COF、-COOH、-COOCHおよび-CHOHの合計数であってよい。
上記官能基は、たとえば、フッ素樹脂を製造する際に用いた連鎖移動剤や重合開始剤によって、フッ素樹脂(共重合体)に導入される。たとえば、連鎖移動剤としてアルコールを使用したり、重合開始剤として-CHOHの構造を有する過酸化物を使用したりした場合、共重合体の主鎖末端に-CHOHが導入される。また、官能基を有する単量体を重合することによって、上記官能基が共重合体の側鎖末端に導入される。フッ素樹脂は、官能基を有する単量体に由来する単位を含有してもよい。
官能基を有する単量体としては、特開2006-152234号に記載のジカルボン酸無水物基(-CO-O-CO-)を有しかつ環内に重合性不飽和基を有する環状炭化水素モノマー、国際公開第2017/122743号に記載の官能基(f)を有する単量体などが挙げられる。官能基を有する単量体としては、なかでも、カルボキシ基を有する単量体(マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、ウンデシレン酸等);酸無水物基を有する単量体(無水イタコン酸、無水シトラコン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水マレイン酸等)、水酸基またはエポキシ基を有する単量体(ヒドロキシブチルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル等)等が挙げられる。
フッ素樹脂は、例えば、その構成単位となるモノマーや、重合開始剤等の添加剤を適宜混合して、乳化重合、懸濁重合を行う等の従来公知の方法により製造することができる。
被覆物は、必要に応じて他の成分を含んでもよい。他の成分としては、架橋剤、帯電防止剤、耐熱安定剤、発泡剤、発泡核剤、酸化防止剤、界面活性剤、光重合開始剤、摩耗防止剤、表面改質剤、顔料等の添加剤等を挙げることができる。被覆物中の他の成分の含有量としては、被覆物中の樹脂の質量に対して、好ましくは1質量%未満であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.1質量%以下であり、下限は特に限定されないが、0質量%以上であってもよい。すなわち、被覆物は、他の成分を含有しなくてもよい。
(樹脂被覆導体の製造方法)
本開示の樹脂被覆導体は、たとえば、
(1)押出機を用いて、樹脂を加熱して樹脂を溶融させ、溶融した状態の樹脂を導体上に押し出すことにより被覆物を形成し、得られた被覆物の表面に対して電子線を照射する製造方法、
(2)導体に、樹脂を含有する熱収縮チューブを被せ、熱収縮チューブを収縮させることにより、被覆物(収縮物)を形成し、得られた被覆物(収縮物)の表面に対して電子線を照射する製造方法、
などの製造方法により製造することができる。
被覆物を形成した後、得られた被覆物に対して、熱処理をしてもよい。被覆物の熱処理によって、導体と被覆物との密着性を一層高めることができる。熱処理は、被覆物の厚みの均一性が良好に保たれることから、被覆物に電子線を照射した後に行うことが好ましい。
熱処理は、熱風循環炉や高周波誘導加熱を利用した加熱炉を用いて、樹脂被覆導体をバッチ式又は連続式に加熱することにより、行うことができる。また、ソルトバス法により行うこともできる。ソルトバス法では、溶融塩中に樹脂被覆導体を通して加熱する。溶融塩としては、硝酸カリウムおよび硝酸ナトリウムの混合物などが挙げられる。
熱処理の温度は、通常、樹脂の融点以上であり、好ましくは樹脂の融点から15℃高い温度以上であり、好ましくは樹脂の融点から100℃高い温度以下である。
熱処理の時間は、導体と被覆物との密着性を一層高めることができるとともに、導体の酸化を抑制できることから、好ましくは0.1~15分であり、より好ましくは0.5分以上であり、より好ましくは10分以下である。高温で長く加熱すると、銅製の芯線の場合は酸化されて変色する場合がある。
樹脂被覆導体の製造方法における被覆物の表面に対する電子線を照射する条件は、上述したとおりである。次に、電子線を照射する対象となる被覆物の形成方法について詳述する。
(製造方法(1)における被覆物の形成方法)
製造方法(1)においては、導体上に、溶融状態の樹脂を押し出すことにより、導体と被覆物とを備える樹脂被覆導体を得ることができる。
押出成形機としては、特に限定されないが、シリンダー、ダイおよび導体を送り出す通過口を有するニップルを備える押出成形機を用いることができる。
溶融状態の樹脂の温度は、通常、樹脂の融点以上であり、好ましくは樹脂の融点から15℃高い温度以上であり、より好ましくは樹脂の融点から20℃高い温度以上であり、さらに好ましくは樹脂の融点から25℃以上高い温度である。溶融状態の樹脂の温度の上限には限定はないが、たとえば、樹脂の熱分解温度未満である。
押出成形の際のライン速度は、0.1~50m/分であってよく、好ましくは20m/分以下である。
被覆物を形成した後、樹脂被覆導体を冷却することができる。冷却方法は、特に限定されず、水冷、空冷などの方法であってよい。空冷により樹脂被覆導体を冷却すると、適度な速度で冷却することができるので、被覆物の厚みが均一になる傾向がある。
(製造方法(2)における被覆物の形成方法)
製造方法(2)においては、熱収縮チューブを被せる前に、導体を所望の形状に変形させておいてもよい。たとえば、導体が平角導体である場合、平角導体をエッジワイズ方向に曲げることにより、曲げ部を有する平角導体を形成し、曲げ部を有する平角導体に、熱収縮チューブを被せ、熱収縮チューブを収縮させることにより、被覆物を形成する製造方法により、好適に製造することができる。
このような製造方法においては、熱収縮チューブがエッジワイズ方向に曲げられた曲げ部の形状に沿って収縮し、これによって、形成される被覆物が平角導体の曲げ部に隙間なく密着することになる。したがって、このような製造方法により得られる樹脂被覆導体は、エッジワイズ方向に曲げられた1以上の曲げ部を有するにもかかわらず、平角導体と被覆物との間に空隙が存在しない。
熱収縮チューブは、加熱することにより、熱収縮させることができる。熱収縮させるための加熱温度は、好ましくは150~290℃であり、より好ましくは180℃以上であり、さらに好ましくは200℃以上であり、より好ましくは250℃以下である。また、熱収縮させるための加熱時間は、好ましくは2~20分であり、より好ましくは5分以上であり、より好ましくは15分以下である。
平角導体が、略U字形状を有している場合には、略U字形状の前記平角導体に、熱収縮チューブを被せ、熱収縮チューブを被せた平角導体を、平角導体の頂部から吊り下げた状態で、平角導体の頂部側から端部側に向かう方向に熱風を吹き付け、熱収縮チューブを収縮させることにより、平角導体と熱収縮チューブとの間に存在する気体を円滑に外部に排出しながら、熱収縮チューブを収縮させることができるので、平角導体と熱収縮チューブとを一層円滑に隙間なく密着させることができる。
一実施形態に係る樹脂被覆導体は、エッジワイズ方向に曲げられた1以上の曲げ部を有する平角導体と、平角導体を被覆する被覆物とを備えており、被覆物が、曲げ部を有する平角導体に、熱収縮チューブを被せ、熱収縮チューブを収縮させることにより形成される。
一実施形態に係る樹脂被覆導体について、図を用いて、詳細に説明する。
図1は、一実施形態に係る樹脂被覆導体の正面図および上面図である。図2は、一実施形態に係る樹脂被覆導体の断面図である。図1に示す樹脂被覆導体100は、回転電機のコアの各スロットに挿入することによりコイルを形成するための樹脂被覆導体(セグメントコイル)である。樹脂被覆導体100は、所定の長さの樹脂被覆導体を、フラットワイズ方向にU字状に曲げることにより構成される。図2に示すように、樹脂被覆導体100は、平角導体21と、平角導体21の外周に形成された被覆物22とを備えている。
図1に示すように、樹脂被覆導体100は、略U字形状を有しており、湾曲部11と、湾曲部11の両端から伸びるスロット挿入部12とから構成されている。湾曲部11とスロット挿入部12とを繋ぐ部分には、平角導体をエッジワイズ方向に曲げることにより形成される肩部13aおよび13bが形成されている。また、湾曲部11には、平角導体をエッジワイズ方向に曲げることにより形成される凸形状部14、および、平角導体をフラットワイズ方向に曲げることにより形成されるクランク形状部15が形成されている。樹脂被覆導体100は、肩部13aおよび肩部13bのいずれにおいても、また、凸形状部14においても、平角導体21と被覆物22とが隙間なく完全に密着している。
図3は、一実施形態に係る熱収縮チューブの断面図である。図3に示すように、熱収縮チューブ30は、中空部31を備えている。中空部31の内径を、平角導体の外径よりも大きくすることにより、中空部31に曲げ部を有する平角導体(図示せず)を円滑に挿入することができ、熱収縮チューブ30を平角導体に被せることができる。平角導体に被せた熱収縮チューブ30を熱収縮させることにより、平角導体21と被覆物22とが隙間なく完全に密着した樹脂被覆導体100を製造することができる。
熱収縮チューブは、樹脂を押出成形することにより、製造することができる。また、熱収縮チューブは、樹脂を押出成形してチューブを得て、チューブを膨張させることによっても、製造することができる。押出成形には、押出機を用いることができる。上記押出機は、単軸押出機であっても、二軸押出機であってもよい。押出成形の際の成形条件としては、従来公知の条件を採用することができる。たとえば、樹脂を融点以上に加熱して溶融させ、押出成形する方法が使用できる。
熱収縮チューブは、たとえば、下記の文献に記載されている方法を参考にして製造することができる。
(a)特開平11-080387号公報に記載の、径方向の延伸倍率を規制する延伸管中で未延伸チューブに内圧をかけて膨張させる方法。
(b)特開2011-183800号公報に記載の、2つのピンチローラ、エア供給部および2つのピンチローラの距離を変更することでチューブの膨張を制御する制御部を備える熱収縮チューブの製造装置を用いて、製造する方法。
(c)国際公開第2003/012555号に記載の、環状ダイスを吐出口に有する押し出し機にてフッ素樹脂を溶融押出し、これをダイス先端に設置した冷却用ダイスに挿通して、引き取る方法。
(d)特開2010-125634号公報に記載の、溶融した材料を金型からチューブ状に押し出し後、チューブ状の材料の内周面を金型近傍にて円筒形状の冷却部材の外周面に接触させて、170℃以下に冷却する方法。
樹脂としてTFE/FAVE共重合体を用いる場合、熱収縮チューブを製造するための簡便な方法としては、たとえば、次の方法が挙げられる。まず、樹脂温度380℃にて押出成形によりチューブ成形した後、得られたチューブを所定の内径を有する金属管の中に挿入する。これを、電気炉中で170℃に加熱後、空気にて内圧をかけて膨張させる。この時、外径は金属管で径を規制しているので一定にすることができる。取り出して、冷却すると熱収縮チューブが得られる。金属管の形状は円筒形状であっても、四角柱の形状であってもよい。
チューブを膨張させることによって、熱収縮チューブを製造する場合の、膨張倍率(拡径倍率)としては、好ましくは1.0倍超であり、より好ましくは1.1倍以上であり、さらに好ましくは1.2倍以上であり、好ましくは50倍以下であり、より好ましくは10倍以下であり、さらに好ましくは5倍以下である。膨張倍率は、膨張後のチューブの内径を、膨張前のチューブの内径で除することにより、算出できる。
熱収縮チューブの市販品を用いることもできる。サイズが平角導体より大きく挿入が容易で、加熱後に収縮して平角導体と密着するだけの収縮率を有するものが好ましい。
(樹脂被覆導体の用途)
樹脂被覆導体は、コイルとして使用することができる。コイルとしては、ステータコイル、ロータコイルなどが挙げられる。たとえば、樹脂被覆導体を、ステータコアやロータコアに巻回してコイルを形成してもよいし、樹脂被覆導体を巻回してから、ステータコアやロータコアに装着してもよい。樹脂被覆導体がエッジワイズ方向に曲げられた1以上の曲げ部を有するものである場合は、ステータコアまたはロータコアに形成されたスロットに挿入するセグメントコイルとして好適に使用することができる。たとえば、セグメントコイルとして、樹脂被覆導体をスロットに挿入し、各樹脂被覆導体の端部を接合することによりコイルを形成することができる。
樹脂被覆導体およびコイルは、モータ、発電機、インダクターなどの電気機器または電子機器に好適に用いることができる。また、樹脂被覆導体およびコイルは、車載用モータ、車載用発電機、車載用インダクターなどの車載用電気機器または車載用電子機器に好適に用いることができる。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
<1> 本開示の第1の観点によれば、
導体と、樹脂を含有しており、前記導体を被覆する被覆物と、を備える樹脂被覆導体であって、前記被覆物が、前記被覆物の表面に対して電子線が照射された被覆物であって、電子線照射の温度が、前記被覆物を形成する前記樹脂の融点未満であり、電子線照射の電子線加速電圧が、500kV以下である樹脂被覆導体が提供される。
<2> 本開示の第2の観点によれば、
電子線加速電圧が、200kV以下であり、電子線照射量が、40~200kGyである第1の観点による樹脂被覆導体が提供される。
<3> 本開示の第3の観点によれば、
電子線加速電圧が、70kV以下であり、電子線照射量が、40~150kGy以下である第1または第2の観点による樹脂被覆導体が提供される。
<4> 本開示の第4の観点によれば、
前記樹脂の比誘電率が、2.2以下である第1~第3のいずれかの観点による樹脂被覆導体が提供される。
<5> 本開示の第5の観点によれば、
前記導体が、平角導体である第1~第4のいずれかの観点による樹脂被覆導体が提供される。
<6> 本開示の第6の観点によれば、
前記被覆物が、押出成形法により前記樹脂を前記導体上に押し出すことにより形成された被覆物、または、前記樹脂を含有する熱収縮チューブを収縮させることにより形成された被覆物である第1~第5のいずれかの観点による樹脂被覆導体が提供される。
<7> 本開示の第7の観点によれば、
前記導体が、エッジワイズ方向に曲げられた1以上の曲げ部を有する平角導体である第1~第6のいずれかの観点による樹脂被覆導体が提供される。
<8> 本開示の第8の観点によれば、
前記被覆物が、前記曲げ部を有する前記平角導体に、熱収縮チューブを被せ、前記熱収縮チューブを収縮させ、得られる収縮物の表面に対して電子線が照射された被覆物である第7の観点による樹脂被覆導体が提供される。
<9> 本開示の第9の観点によれば、
前記樹脂が、熱可塑性樹脂である第1~第8のいずれかの観点による樹脂被覆導体が提供される。
<10> 本開示の第10の観点によれば、
前記樹脂が、フッ素樹脂である第1~第9のいずれかの観点による樹脂被覆導体が提供される。
<11> 本開示の第11の観点によれば、
前記フッ素樹脂の比誘電率が、2.2以下である第10の観点による樹脂被覆導体が提供される。
<12> 本開示の第12の観点によれば、
前記フッ素樹脂のメルトフローレートが、0.1~100g/10分である第10または第11の観点による樹脂被覆導体が提供される。
<13> 本開示の第13の観点によれば、
前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン単位およびフルオロアルキルビニルエーテル単位を含有する共重合体であり、前記共重合体のフルオロアルキルビニルエーテル単位の含有量が、全モノマー単位に対して、1.1~3.2モル%である第10~第12のいずれかの観点による樹脂被覆導体が提供される。
<14> 本開示の第14の観点によれば、
前記フッ素樹脂が、官能基を有しており、前記フッ素樹脂の官能基数が、炭素原子10個あたり100~1300個である第10~第13のいずれかに記載の樹脂被覆導体。
<15> 本開示の第15の観点によれば、
前記被覆物が、電子線を照射された後に、さらに、前記被覆物を形成する前記樹脂の融点以上の温度で熱処理をされた被覆物である第1~第14のいずれかの観点による記載の樹脂被覆導体が提供される。
<16> 本開示の第16の観点によれば、
第1~第15のいずれかの観点による樹脂被覆導体を備えるコイルが提供される。
<17> 本開示の第17の観点によれば、
第1~第15のいずれかの観点による樹脂被覆導体を製造する樹脂被覆導体の製造方法であって、
前記導体に前記樹脂を被覆することにより、前記導体を被覆する被覆物を形成し、
前記被覆物の表面に対して、前記被覆物を形成する樹脂の融点未満の温度で、かつ、500kV以下の電子線加速電圧で、電子線を照射する
製造方法が提供される。
<18> 本開示の第18の観点によれば、
電子線を照射した後、前記被覆物を形成する前記樹脂の融点以上の温度で熱処理をする第17の観点による製造方法が提供される。
つぎに本開示の実施形態について実施例をあげて説明するが、本開示はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
(メルトフローレート(MFR))
ASTM D1238に従って、メルトインデクサー(安田精機製作所社製)を用いて、372℃、5kg荷重下で、内径2.1mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出する共重合体の質量(g/10分)を求めた。
(フッ素樹脂の組成)
19F-NMR法により測定した。
(融点)
示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度として求めた。
(官能基数)
フッ素樹脂を330~340℃にて30分間溶融し、圧縮成形して、厚さ0.20~0.25mmのフィルムを作製した。このフィルムをフーリエ変換赤外分光分析装置〔FT-IR(商品名:1760X型、パーキンエルマー社製)により40回スキャンし、分析して赤外吸収スペクトルを得、完全にフッ素化されて官能基が存在しないベーススペクトルとの差スペクトルを得た。この差スペクトルに現れる特定の官能基の吸収ピークから、下記式(A)に従って、フッ素樹脂における炭素原子10個あたりの官能基数Nを算出した。
N=I×K/t (A)
I:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚さ(mm)
参考までに、本開示における官能基について、吸収周波数、モル吸光係数および補正係数を表2に示す。また、モル吸光係数は低分子モデル化合物のFT-IR測定データから決定したものである。
Figure 0007513931000002
(被覆物の厚み)
キーエンス社製ピデオマイクロスコープを用いて測定した。
(空気層の残留)
樹脂被覆導体の外観を目視で観察し、以下の基準により評価した。
あり:導体と被覆物との間に空気層が残留している
無し:導体と被覆物との間に空気層が残留していない
(被覆物の厚みの変化率)
樹脂被覆導体をニッパーでカット後、断面をサンドペーパーで平滑に整えた後、キーエンス社製ピデオマイクロスコープで、被覆物の厚さを測定した。3箇所のカット面の上下と両側面をそれぞれ測定した。一面につき3箇所、計36点の厚さの平均値を平均厚さとして、3箇所のカット面の最大厚さと最小厚さの差を、平均厚さで割り、バラツキとして比較した。
被覆物の厚みの変化率(%)=[(厚みの最大値-厚みの最小値)/平均厚さ]×100
(導体と被覆物との密着性)
樹脂被覆導体の導体と被覆物の密着性を以下の基準により評価した。
×:導体から被覆物が剥がれる
○:導体から被覆物を剥がそうとすると被覆物が破壊される
(摩耗試験)
東洋精機社製電線被覆摩耗試験機を用いて、おもり600g、10サイクルの条件で、樹脂被覆導体の摩耗試験を行った。摩耗試験後の樹脂被覆導体の外観を目視により観察し、以下の基準により評価した。
×:多数の傷が観られる
△:少数の傷が観られる
○:ほとんど傷が観られない
(総合評価)
空気層の残留、被覆物の厚みの変化率、導体と被覆物との密着性、摩耗試験の結果から、樹脂被覆導体の特性を以下の基準により総合的に評価した。
○:各特性が総合的に改善されている
×:各特性のうち、改善されていない特性がある
比較例1~2
表3に記載の特性を有するテトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)共重合体を、押出成形機により、平角銅線(厚さ:1.95mm、幅:3.36mm)上に、ダイ温度390℃、引き取り速度2m/分で押出して、被覆層を備える平角線を作製した。被覆層の厚さは60μmであった。比較例1はそのまま、表3に記載の平角線の評価を行った。
また、比較例2は比較例1で得られた、平角線を30cmにカットして、温度330℃に設定された、熱風循環炉中に10分間放置して、加熱処理した後、表3に記載の平角線の評価を、前記評価方法に従って実施した。
比較例3
比較例1と同様に表3に記載の特性を有するテトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)共重合体を、表3に記載の被覆厚さで平角線に被覆した。更に、比較例2と同様に、表3に記載の加熱処理条件で加熱処理した。その後、表3に記載の平角線の評価を、前記評価方法に従って実施した。
実施例1~9、比較例4
比較例1と同様に表3に記載の特性を有するテトラフルオロエチレン(TFE)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)共重合体を、表3に記載の被覆厚さで平角線に被覆した。その平角線を長さ30cmにカットした。これを、電子線照射装置のチャンバー内の熱盤上に、平角線の幅広面が、チャンバー上部の電子銃に向くようにセットした。熱盤はあらかじめ、設定温度に昇温しておき、平角線サンプルを熱盤上にセットした後、30分間放置した。チャンバー内に窒素を流しながら、表3に記載の、所定の照射条件(電子線加速電圧50~3000kV,照射温度200~220℃、照射量40~200kGy)で電子線を照射した。尚、電子線照射は平角線の幅の広い面に所定量を照射したあと、平角線を裏返して未照射の裏面に同量照射した。この照射量を電子線照射量とした。更に、比較例2と同様に、表3に記載の加熱処理条件で加熱処理した。その後、表3に記載の平角線の評価を、前記評価方法に従って実施した。
以上の結果を表3に示す。
Figure 0007513931000003
100 樹脂被覆導体
11 湾曲部
12 スロット挿入部
13a 13b 肩部
14 凸形状部
15 クランク形状部
21 平角導体
22 被覆物
30 熱収縮チューブ
31 中空部

Claims (18)

  1. 導体と、樹脂を含有しており、前記導体を被覆する被覆物と、を備える樹脂被覆導体であって、前記被覆物が、前記被覆物の表面に対して電子線が照射された被覆物であって、電子線照射の温度が、前記被覆物を形成する前記樹脂の融点未満であり、電子線照射の電子線加速電圧が、500kV以下であり、被覆物の厚みが、40~300μmである樹脂被覆導体。
  2. 電子線加速電圧が、200kV以下であり、電子線照射量が、40~200kGyである請求項1に記載の樹脂被覆導体。
  3. 電子線加速電圧が、70kV以下であり、電子線照射量が、40~150kGy以下である請求項1または2に記載の樹脂被覆導体。
  4. 前記樹脂の比誘電率が、2.2以下である請求項1または2に記載の樹脂被覆導体。
  5. 前記導体が、平角導体である請求項1または2に記載の樹脂被覆導体。
  6. 前記被覆物が、押出成形法により前記樹脂を前記導体上に押し出すことにより形成された被覆物、または、前記樹脂を含有する熱収縮チューブを収縮させることにより形成された被覆物である請求項1または2に記載の樹脂被覆導体。
  7. 前記導体が、エッジワイズ方向に曲げられた1以上の曲げ部を有する平角導体である請求項1または2に記載の樹脂被覆導体。
  8. 前記被覆物が、前記曲げ部を有する前記平角導体に、熱収縮チューブを被せ、前記熱収縮チューブを収縮させ、得られる収縮物の表面に対して電子線が照射された被覆物である請求項7に記載の樹脂被覆導体。
  9. 前記樹脂が、熱可塑性樹脂である請求項1または2に記載の樹脂被覆導体。
  10. 前記樹脂が、フッ素樹脂である請求項1または2に記載の樹脂被覆導体。
  11. 前記フッ素樹脂の比誘電率が、2.2以下である請求項10に記載の樹脂被覆導体。
  12. 前記フッ素樹脂のメルトフローレートが、0.1~100g/10分である請求項10に記載の樹脂被覆導体。
  13. 前記フッ素樹脂が、テトラフルオロエチレン単位およびフルオロアルキルビニルエーテル単位を含有する共重合体であり、前記共重合体のフルオロアルキルビニルエーテル単位の含有量が、全モノマー単位に対して、1.1~3.2モル%である請求項10に記載の樹脂被覆導体。
  14. 前記フッ素樹脂が、官能基を有しており、前記フッ素樹脂の官能基数が、炭素原子10個あたり100~1300個である請求項10に記載の樹脂被覆導体。
  15. 前記被覆物が、電子線を照射された後に、さらに、前記被覆物を形成する前記樹脂の融点以上の温度で熱処理をされた被覆物である請求項1または2に記載の樹脂被覆導体。
  16. 請求項1または2に記載の樹脂被覆導体を備えるコイル。
  17. 請求項1または2に記載の樹脂被覆導体を製造する樹脂被覆導体の製造方法であって、
    前記導体に前記樹脂を被覆することにより、前記導体を被覆する被覆物を形成し、
    前記被覆物の表面に対して、前記被覆物を形成する樹脂の融点未満の温度で、かつ、500kV以下の電子線加速電圧で、電子線を照射する
    製造方法。
  18. 電子線を照射した後、前記被覆物を形成する前記樹脂の融点以上の温度で熱処理をする請求項17に記載の製造方法。
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