JP7509595B2 - フィルム用グラビア印刷インキ組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、主に包装資材等用のフィルムに印刷するための印刷インキ組成物に関する。
食品、菓子、生活雑貨、ペットフード等には意匠性、経済性、内容物保護性、輸送性等の観点から、各種プラスチックフィルムを使用した包装材料が使用されている。また、多くの包装材料には消費者へアピールする意匠、メッセージ等の付与を意図してグラビア印刷やフレキソ印刷が施されている。
そして所望の包装材料を得るために、包装材料の基材フィルムの表面に印刷する表刷り印刷、あるいは包装材料の基材フィルムの裏面の印刷面に必要に応じて接着剤やアンカー剤を塗布し、フィルムにラミネート加工を施す裏刷り印刷が行われる。
裏刷り印刷では、各種汎用フィルム(ポリエステル、ナイロン)、アルミニウム箔、各種高機能フィルム(無機や有機のバリア材が塗布されたフィルム)等の各種フィルム上に色インキ、白インキを順次印刷後、該白インキの印刷層上に、接着剤を用いたドライラミネート加工や、アンカーコート剤を用いたエクストルージョンラミネート加工等によりヒートシールを目的にポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等が積層されている。
特に白インキを印刷したフィルム上に二軸延伸ポリエチレンフィルム(OPP)をラミネートした場合には、場合により十分なラミネート強度を得ることが困難であった。
このため、インキ組成物中に塩素化ポリオレフィンを含有させることができるが、含有量を増やしても十分に高いラミネート強度にならないときがある。
また特許文献1のようにウレタン樹脂に金属アルコキシドとヒドロキシ酸を含有させることによりラミネート強度を向上させることが行われている。この場合、経時安定性に優れるとされているが、金属アルコキシド自体の性質は保存安定性に劣るため、これらを添加しないほうが好ましい。
特許文献2には、オレフィンと不飽和二塩基酸との共重合体の、炭素数6以上10以下の分岐鎖アルキル基を有するアミンによるアミド化物のイミダゾリン塩を含有する印刷インキ組成物が記載されているが、このイミダゾリン塩は顔料の分散性を向上させるものとして含有される。
特許文献3には、使用しても良い多種の界面活性剤の一つとしてアルキルイミダゾリンが例示された顔料分散液が記載されている。
特開2017-061683号公報 特開2018-168285号公報 特開2019-116568号公報
本発明は、印刷面にしたラミネートフィルムのラミネート強度に優れるフィルム用グラビア印刷インキ組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の通りである。
1.顔料、ポリウレタン樹脂及び有機溶剤を含有するフィルム用グラビア印刷インキ組成物であり、
フィルム用グラビア印刷インキ組成物の固形分中に、数平均分子量が500以上の酸基含有化合物を0.04~7.0質量%含有し、かつ、アルキルイミダゾリン化合物及び/又はアルケニルイミダゾリン化合物を含有するフィルム用グラビア印刷インキ組成物。
2.該酸基含有化合物は、ポリエーテル構造及び/又はポリエステル構造を有する1に記載のフィルム用グラビア印刷インキ組成物。
3.該酸基含有化合物は、ポリオキシエチレン構造を有する2に記載のフィルム用グラビア印刷インキ組成物。
4.酸基含有化合物の酸基がカルボン酸、リン酸、スルホン酸から選ばれた1種以上である1~3のいずれかに記載のフィルム用グラビア印刷インキ組成物。
5.該アルキルイミダゾリン化合物及び/又はアルケニルイミダゾリン化合物が、以下の式(1)及び/又は式(2)で示される化合物である1~4のいずれかに記載のフィルム用グラビア印刷インキ組成物。
式(1)及び式(2)中、Rは炭素数6~35のアルキル基及び/又はアルケニル基、Pは炭素数2~6のヒドロキシアルキル基、Aはハロゲンである。
6.該アルキルイミダゾリン化合物及び/又はアルケニルイミダゾリン化合物を、フィルム用グラビア印刷インキ組成物の固形分中に、0.04~7.0質量%含有する1~5のいずれかに記載のフィルム用グラビア印刷インキ組成物。
本発明によれば、界面活性剤や顔料分散剤の中から特にアルキルイミダゾリン化合物及び/又はアルケニルイミダゾリン化合物を選択することにより、界面活性剤や顔料分散剤の本来の効果とは異なる、押出ラミネート強度を向上させる効果を発揮できる。
そして、白色インキ組成物による印刷面上にOPP等のフィルムをラミネートしても、十分に高いラミネート強度とすることができる。
本発明は、顔料、ポリウレタン樹脂及び有機溶剤を含有するフィルム用グラビア印刷インキ組成物であり、フィルム用グラビア印刷インキ組成物の固形分中に、数平均分子量が500以上の酸基含有化合物を0.04~7.0質量%含有し、かつ、アルキルイミダゾリン化合物及び/又はアルケニルイミダゾリン化合物を含有する、フィルム用グラビア印刷インキ組成物である。以下、本発明のフィルム用グラビア印刷インキ組成物について、具体的に説明する。
(顔料)
本発明のインキ組成物が含有する顔料としては、裏刷りラミネート用インキ組成物が含有できる無機及び有機顔料のうちの1種以上を使用できる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料、体質顔料としては、シリカ粒子、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等を挙げることができる。なかでも白色顔料として酸化チタンを使用することが好ましい。
有機顔料としては、例えば、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環系顔料等を挙げることができる。
これら顔料のインキ組成物中での含有量は、通常1~50質量%程度である。
(数平均分子量が500以上の酸基含有化合物)
本発明において使用する数平均分子量が500以上の酸基含有化合物は、ポリエーテル構造及び/又はポリエステル構造を有し、かつリン酸基やカルボン酸基等の酸基を有する化合物であれば良い。なお、酸変性ポリウレタン樹脂とは異なる化合物である。
本発明のフィルム用グラビア印刷インキ組成物においては、その固形分中にこのような酸基含有化合物を0.04~7.0質量%含有し、好ましくは、0.06~4.0質量%、更に好ましくは0.08~3.0質量%である。
酸基含有化合物は、例えば、ポリアルキレンエーテル構造を有するリン酸、酸変性ポリエチレングリコール、酸変性ポリプロピレングリコール、酸変性ポリカプロラクトン、ポリ(3-メチル-1,5-ペンタンジオール)アジピン酸等のポリエステル構造を有するカルボン酸、ジイソシアネート化合物により多量体化されたポリエチレングリコール化合物等のポリアルキレングリコール化合物のカルボン酸変性物等である。
このような酸基含有化合物は、分子の末端に酸基を有するものだけではなく、分子の末端以外の箇所に酸基を有する化合物でもよい。
中でもポリエーテル構造を有するリン酸エステル化合物が好ましく、さらに下記式(3)で示されるリン酸エステル化合物が好ましい。
Figure 0007509595000003
(式中、Rは炭素数1~24のアルキル基、炭素数2~24のアルケニル基又は置換基を有していてもよいアリール基であり、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、nは0~30の整数であり、mは1~3の整数であり、Mは水素原子、アルカリ金属、第2族金属、アンモニウム基、または有機アンモニウム基である。)
炭素数1~24のアルキル基としては、具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、n-オクチル基、n-デシル基、1-アダマンチル基、ドデシル基(ラウリル基)、トリデシル基、テトラデシル基(ミリスチル基)、ヘキサデシル基(パルミチル基)、オクタデシル基(ステアリル基)、イコシル基、ドコシル基(ベヘニル基)、テトラコシル基等が挙げられる。
炭素数2~24のアルケニル基としては、具体的には、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基、テトラコセニル基等が挙げられ、これらは分岐構造、環状構造を有していてもよい。
置換基を有していてもよいアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、ナフチル基等の無置換のアリール基、炭素原子数1~24の炭化水素基、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数2~10のアルケニル基、炭素原子数2~10のアルコキシ基等の置換基を有する前記アリール基が挙げられる。
前記一般式(1)中、AOは炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、具体的にはオキシエチレン基、1,2-または1,3-オキシプロピレン基、1,2-、1,3-または1,4-オキシブチレン基が挙げられる。これらの内、好ましいのはオキシエチレン基と1,2-オキシプロピレン基であり、特に好ましいのはオキシエチレン基である。nはアルキレンオキサイドの付加モル数であり、0~30の整数であるが、押出性の改善効果の点で好ましくは1~10の整数である。nが2以上の場合、n個のAOは同一でも異なっていてもよく、異なる場合は-(AO)n-はランダム付加、ブロック付加または交互付加のいずれの付加形式でもよい。mは1~3の整数であり、好ましくは1または2である。
前記一般式(1)中、Mは水素原子、アルカリ金属、第2族金属、アンモニウム基、または有機アンモニウム基である。アルカリ金属としては、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)等が挙げられ、第2族金属としては、例えば、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)等が挙げられる。有機アンモニウム基とは、有機アミン由来のアンモニウム基であり、前記有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等が挙げられる。これらのMの中でも、水素原子が好ましい。
(アルキルイミダゾリン化合物及びアルケニルイミダゾリン化合物)
アルキルイミダゾリン化合物及びアルケニルイミダゾリン化合物としては、イミダゾリン環の1つの炭素原子に結合する水素原子が、アルキル基又はアルケニル基で置換された化合物であり、顔料分散剤や界面活性剤としても使用できる化合物である。中でも、下記の式(1)及び/又は式(2)で示される化合物が好ましい。なお、式(1)は4級塩であり、式(2)はそのノニオン型である。
式(1)及び式(2)中、Rは炭素数6~35の直鎖又は分岐鎖の、アルキル基又はアルケニル基、Pは炭素数2~6の、ヒドロキシアルキル基、Aはハロゲンである。
Rがアルキル基である場合としては、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基、トリコシル基、テトラコシル基、ペンタコシル基、ヘキサコシル基、ヘプタコシル基、オクタコシル基、ノナコシル基、トリアコンチル基、ヘントリアコンチル基、ドトリアコンチル基、トリトリアコンチル基、テトラトリアコンチル基、ペンタトリアコンチル基、ミリストレイル基、パルミトレイル基、オレイル基、リノイル基、リノレイル基、リシノレイル基、イソステアリル基等である。
Rがアルケニル基である場合としては、例えば、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、イコセニル基、ヘンイコセニル基、ドコセニル基、トリコセニル基、テトラコセニル基、ペンタコセニル基、ヘキサコセニル基、ヘプタコセニル基、オクタコセニル基、ノナコセニル基、トリアコンテニル基、ヘントリアコンテニル基、ドトリアコンテニル基、トリトリアコンテニル基、テトラトリアコンテニル基、ペンタトリアコンテニル基、ミニストレニル基、パルニトレニル基、オレニル基、ニノリル基、リノレニル基、イソステアニル基等である。
この式(1)で示されるアルキルイミダゾリン化合物及び/又はアルケニルイミダゾリン化合物の中でも、Rが炭素数7~21の直鎖アルキル基及び炭素数7~21のアルケニル基であるものが好ましく、さらに炭素数13~19の直鎖アルキル基及び炭素数13~19のアルケニル基が好ましい。
また、Pが炭素数2~6のヒドロキシアルキル基であるものが好ましく、さらに炭素数2~3のヒドロキシアルキル基が好ましく、2-ヒドロキシエチル基が最も好ましい。
Aはハロゲンであることが好ましく、塩素であることがより好ましい。
本発明のフィルム用グラビア印刷インキ組成物においては、その固形分中にアルキルイミダゾリン化合物及び/又はアルケニルイミダゾリン化合物を好ましくは0.04~7.0質量%含有し、より好ましくは、0.06~4.0質量%、更に好ましくは0.08~3.0質量%含有する。
なお、これらの化合物を1種含有させてもよく、2種以上を含有させても良い。
そして、上記数平均分子量が500以上の酸基含有化合物とアルキルイミダゾリン化合物及びアルケニルイミダゾリン化合物の合計量は、本発明のフィルム用グラビア印刷インキ組成物の固形分中、好ましくは0.08~9.0質量%であり、より好ましくは0.08~3.0質量%であり、より好ましくは0.20~1.0質量%である。本発明では、これらの化合物の合計量が少なくても、十分なラミネート強度を得ることができる。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、ポリウレタン樹脂、好ましくは、インキの安定性、接着性及びラミネート適性の点からアミン価を有するポリウレタン樹脂を含む。
<ポリウレタン樹脂>
本発明におけるポリウレタン樹脂としては、酸変性されていないポリウレタン樹脂を含有する。この酸変性されていないポリウレタン樹脂とは、分子末端及び/又は分子内のその他の箇所にカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等の酸性基を有しないポリウレタン樹脂である。そのような酸変性されていないポリウレタン樹脂として、印刷インキで一般的に用いられているポリウレタン樹脂が使用できる。
中でも、インキの経時安定性、接着性及びラミネート適性の点からみて、アミノ基を有する(アミン価を有する)ポリウレタン樹脂が好ましい。アミノ基を有するポリウレタン樹脂の中でも、分子の末端に第1級アミノ基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基から選ばれる1種以上を有するポリウレタン樹脂がより好ましい。
更に好ましくは、水酸基を有し、及び分子の末端に第1級アミノ基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基から選ばれる1種以上を有するポリウレタン樹脂である。
上記の酸変性されていないポリウレタン樹脂は、上記アミノ基のような特定の官能基を有することで、本発明のフィルム用グラビア印刷インキ組成物が、フィルムに対する優れた印刷適性及び接着性を有することになる。
特に裏刷り用フィルム用グラビア印刷インキ組成物であるときには、ポリウレタン樹脂は、分子の末端に第1級アミノ基、第2級アミノ基及び第3級アミノ基から選ばれる1種以上、特に分子の末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる1種以上を有することが望ましく、更に水酸基を有することが好ましい。
また、上記ポリウレタン樹脂のアミン価は、1.0~15.0mgKOH/gであることが好ましく、2.0~8.0mgKOH/gであることがより好ましい。上記アミン価が1.0mgKOH/g未満であると、本発明のフィルム用印刷インキ組成物のフィルムに対する接着性が低下し、更に、ラミネート適性が低下する可能性があり、上記アミン価が15.0mgKOH/gを超えると、耐ブロッキング性が低下する可能性がある。
なお、本発明において、上記アミン価は固形分1gあたりのアミン価を意味し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法(例えば、COMTITE(AUTO TITRATOR COM-900、BURET B-900、TITSTATION K-900)、平沼産業社製)によって測定した後、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
このような酸変性されていないポリウレタン樹脂としては、有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物との反応によりウレタンプレポリマーを合成し、これに必要に応じて鎖伸長剤、反応停止剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂を好適に使用できる。
本発明にて使用される酸変性されていないポリウレタン樹脂はバインダーとして使用される。
また、酸変性されていないポリウレタン樹脂としては、ポリウレタンポリウレア樹脂、及び/又はポリウレタンポリウレア樹脂をケチミン化した樹脂が好ましい。
ポリウレタンポリウレア樹脂は、有機ジイソシアネート成分と高分子ジオール成分から得たウレタンプレポリマーを、鎖伸長及び/又は末端停止させてポリウレタンポリウレア樹脂としたものである。
そして、鎖伸長剤及び/又は反応停止剤として、特定のケチミン化合物を採用し、特定の溶媒中でウレタンプレポリマーと反応させて得られたポリウレタンポリウレア樹脂は、樹脂自体がケチミンの臭気を発生させず、さらにインキや塗料等の溶液状態にして保存したときの経時安定性に優れる。
(酸変性されていないポリウレタンポリウレア樹脂)
上記酸変性されていないポリウレタンポリウレア樹脂は、分子の末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる1種以上を有する。
さらに好ましくは、水酸基を有し、及び分子の末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選ばれる1種以上を有する酸変性されていないポリウレタンポリウレア樹脂である。
これらのポリウレタンポリウレア樹脂としては、有機ジイソシアネート化合物と、高分子ジオール化合物との反応によりウレタンプレポリマーを合成し、これに下記の鎖伸長剤、反応停止剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂を好適に使用できる。
<ウレタンプレポリマーの合成>
上記の各ウレタンプレポリマーは、以下の有機ジイソシアネート化合物と、高分子ジオール化合物を反応して得る。
(有機ジイソシアネート化合物)
上記有機ジイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネート(水添MDI)等の脂環族ジイソシアネート化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、及び、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が挙げられる。これらの有機ジイソシアネート化合物は、1種又は2種以上を混合して使用できる。中でも脂環族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物及び芳香脂肪族ジイソシアネート化合物がより好ましい。
また、使用する有機ジイソシアネート化合物の全てをイソホロンジイソシアネートにしても良いが、その他の有機ジイソシアネート化合物を併用できる。
その他の有機ジイソシアネート化合物としては、1,3-及び/又は1,4-フェニレンジイソシアネート、4,4-ジイソシアナトビフェニル、3,3-ジメチル-4,4-ジイソシアナトビフェニル、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネート(水添MDI)、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI)等の脂環族ジイソシアネート化合物、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物、及び、m-及び/又はp-キシリレンジイソシアネート(XDI)、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート化合物が挙げられ、これらの有機ジイソシアネート化合物を、単独又は2種以上混合して使用できる。中でも脂環族ジイソシアネート化合物、脂肪族ジイソシアネート化合物及び芳香脂肪族ジイソシアネート化合物がより好ましい。
その他の有機ジイソシアネート化合物を併用する場合には、全有機ジイソシアネート化合物のイソシアネート基数の合計に対して、その他の有機ジイソシアネート化合物のイソシアネート基の数が50%以下となるように併用できるが、より好ましくは30%以下、更に好ましくは10%以下である。
又は全有機ジイソシアネート化合物100質量部中、その他の有機ジイソシアネート化合物を50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
(高分子ジオール化合物)
上記高分子ジオール化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸等の二塩基酸の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のグリコール類の1種又は2種以上を縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物等が挙げられる。これらの高分子ジオール化合物は、1種又は2種以上を混合して使用できる。
更に上記高分子ジオール化合物に加えて、1,4-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のアルカンジオールや、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール等の低分子ジオール化合物を1種又は2種以上混合して併用することもできる。
また、上記高分子ジオール化合物として、3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールを含有するものを選択できる。中でも数平均分子量が1,000~8,000のものが好ましく、1,000~5,500のものがより好ましく、1,000~4,000のものが更に好ましい。
このとき、その他の高分子ジオール化合物として、下記のものを併用することができる。
3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール以外の高分子ジオール化合物としては、アジピン酸、セバシン酸、無水フタル酸等の二塩基酸の1種又は2種以上と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のグリコール類の1種又は2種以上とを縮合反応させて得られるポリエステルジオール類、ポリカプロラクトンジオール類等のポリエステルジオール化合物、さらに、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、ビスフェノールAのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイド付加物等のポリエーテルジオール化合物等が挙げられる。これらの高分子ジオール化合物を、単独又は2種以上を混合して使用できる。
上記の中でも、アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールを縮合反応させて得られた数平均分子量が1,000~8,000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールが好ましく、さらに数平均分子量1,000~4,000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオールが好ましい。
その他の高分子ジオール化合物を併用する場合には、全高分子ジオール化合物の水酸基数の合計に対する、その他の高分子ジオール化合物の水酸基の数が70%以下となるように併用できるが、より好ましくは55%以下、更に好ましくは40%以下である。
又は全高分子ジオール化合物100質量部中、その他の高分子ジオール化合物を50質量部以下、より好ましくは35質量部以下、更に好ましくは20質量部以下である。
なお、フィルム用グラビア印刷インキ組成物の有機溶剤に、後述するエステル系溶剤とアルコール系溶剤との混合溶剤系(以下場合により「混合液」という。)を用いる場合には、高分子ジオール化合物としてポリエーテルジオール化合物、好ましくはポリプロピレングリコールを使用すると、得られるポリウレタン樹脂の溶解性が高くなる傾向があり、また、階調再現性、かぶり防止性等の印刷適性が良好となる傾向があり、必要とする性能に合わせて幅広くインキの設計が可能となる点で好ましい。
<酸変性されていないバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂>
また、ポリウレタン樹脂としては、環境面を考慮すると酸変性されていないバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂を含有していてもよい。酸変性されていないバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂について以下に説明する。なお、酸変性されていないバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂の説明のうち、上記した酸変性されていないポリウレタンポリウレア樹脂と共通する説明は適宜省略する。
酸変性されていないバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂は、バイオマス由来(植物由来)の成分を含むポリウレタン樹脂である。酸変性されていないバイオマスポリウレタン樹脂は、他の枯渇性資源を用いる場合と比較して地球温暖化防止や環境負荷低減の点で貢献できる。そして、バイオポリエステルポリオール化合物と有機ジイソシアネート化合物との反応によりウレタンプレポリマーを合成し、これに必要に応じて鎖伸長剤、反応停止剤を反応させて得られる酸変性されていないバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂であることが好ましく、イソシアネート化合物が植物由来のバイオイソシアネートであることがより好ましい。
(イソシアネート化合物)
上記酸変性されていないポリウレタンポリウレア樹脂で説明した有機ジイソシアネート以外に植物由来のジイソシアネートを使用できる。植物由来の有機ジイソシアネート化合物としては、植物由来の二価カルボン酸を酸アミド化、還元することで末端アミノ基に変換し、さらに、ホスゲンと反応させ、該アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。植物由来のバイオポリイソシアネートとしては、ダイマー酸ジイソシアネート(DDI)、オクタメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネートなどが挙げられる。また、植物由来のアミノ酸を原料として、そのアミノ基をイソシアネート基に変換することによっても植物由来のイソシアネート化合物を得ることができる。例えば、リジンジイソシアネート(LDI)は、リシンのカルボキシル基をメチルエステル化した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。また、1,5-ペンタメチレンジイソシアネートはリシンのカルボキシル基を脱炭酸した後、アミノ基をイソシアネート基に変換することにより得られる。
(バイオポリエステルポリオール化合物)
以下、バイオポリエステルポリオール化合物について説明する。
環境面を考慮して、バイオポリエステルポリオール化合物の中でも、上記のその他の高分子ジオール化合物として、植物由来の成分を含む材料から合成して得たバイオポリエステルポリオール化合物を併用しても良い。
また、バイオポリエステルポリオール化合物を含むポリエステルポリオール化合物と、上記の特定のイソシアネート化合物との反応により得た酸変性されていないポリウレタンポリウレア樹脂を、本発明中の酸変性していないポリウレタンポリウレア樹脂に混合して使用することもできる。
このため、上記のバイオポリエステルポリオール化合物として、炭素数が2~4の短鎖ジオール化合物と、カルボン酸化合物とを反応させたバイオポリエステルポリオール(バイオマスポリエステルポリオール)を採用できる。バイオポリオール成分は、短鎖ジオール化合物及びカルボン酸化合物のうち、少なくともいずれか一方が植物由来であることがより好ましく、両方が植物由来であることがさらに好ましい。
植物由来の炭素数が2~4の短鎖ジオール化合物は特に限定されない。一例を挙げると、短鎖ジオール化合物は、以下の方法により植物原料から得られる、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、エチレングリコール等であってもよい。これらは併用されてもよい。
1,3-プロパンジオールは、植物資源(たとえばトウモロコシ等)を分解してグルコースが得られる発酵法により、グリセロールから3-ヒドロキシプロピルアルデヒド(HPA)を経て、製造され得る。上記発酵法のようなバイオ法で製造された1,3-プロパンジオール成分は、EO製造法の1,3-プロパンジオール成分と比較して、安全性の面で優れており、乳酸など有用な副生成物が得られ、しかも製造コストも低く抑えることが可能である。1,4-ブタンジオールは、植物資源からグリコールを製造し発酵することによってコハク酸を得て、これを水添することにより製造され得る。また、エチレングリコールは、常法によって得られるバイオエタノールからエチレンを経て製造され得る。
植物由来のカルボン酸化合物は特に限定されない。一例を挙げると、カルボン酸化合物は、セバシン酸、コハク酸、乳酸、グルタル酸、ダイマー酸等である。これらは併用されてもよい。これらの中でも、カルボン酸化合物は、セバシン酸、コハク酸及びダイマー酸からなる群から選択される少なくともいずれか1種を含むことが好ましい。またセバシン酸100質量部に対して、リンゴ酸を0.05~0.5質量部含有しても良い。
バイオポリエステルポリオール化合物は、植物由来の短鎖ジオール化合物と植物由来のカルボン酸とを、適宜縮合反応させて、100%植物由来のバイオポリエステルポリオールとして生成される。具体的には、植物由来のセバシン酸と、植物由来の1,3-プロパンジオールとを直接脱水縮合させて、ポリトリメチレンセバケートポリオールが得られる。また、植物由来のコハク酸と、植物由来の1,4-ブタンジオールとを直接脱水縮合して、ポリブチレンサクシネートポリオールが得られる。
これらの各バイオポリエステルポリオール化合物を1種以上使用してもよい。
これらの植物由来の成分から得られたウレタンプレポリマーは、全ウレタンプレポリマー中、固形分換算で、10質量%以上含まれても良く、40質量%以上含まれても良い。
(鎖伸長剤及び反応停止剤)
次に、上記酸変性されていないポリウレタンポリウレア樹脂、上記酸変性されていないバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂で使用する鎖伸長剤及び反応停止剤について説明する。
上記鎖伸長剤としては、インキ用バインダーとしてのポリウレタンポリウレア樹脂で利用される既知の鎖伸長剤が利用可能であり、例えば、ポリアミン化合物の中でも、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(アミノエチルエタノールアミン)、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’-ジ(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のジオール化合物が挙げられる。
更に、ポリウレタンポリウレア樹脂がゲル化しない範囲で、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン化合物を併用することができる。
ポリウレタンポリウレア樹脂の末端に第1級アミノ基及び第2級アミノ基を導入する反応停止剤としては、ポリアミン化合物として、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環族ジアミン類、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等のポリアミン類、トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類、キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン(アミノエチルエタノールアミン)、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類等を例示できる。この中でも、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラトリアミン等の第1級アミノ基を有するポリアミンが好ましい。
ポリウレタンポリウレア樹脂に水酸基を導入する反応停止剤としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン等の水酸基を有するジアミン類が例示できる。また、既知の反応停止剤であるモノアミン化合物、モノアルコール化合物が利用可能であり、具体的には、n-プロピルアミン、n-ブチルアミン等のモノアルキルアミン類、ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン類、エタノール等のモノアルコール類を例示することができる。
上記酸変性されていないポリウレタンポリウレア樹脂、酸変性されていないバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂の製造方法としては、上記材料を用いて、公知のポリウレタン樹脂の製造方法がそのまま使用できる。また、それぞれの成分の分子量や化学構造、また当量比が異なると、得られるポリウレタン樹脂の硬さも異なることから、これら成分を適宜組み合わせることによって、印刷適性やラミネート適性を調節することが可能である。
上記酸変性されていないポリウレタンポリウレア樹脂、酸変性されていないバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂の重量平均分子量としては、10,000~70,000であることが好ましく、更に20,000~60,000であることがより好ましい。
更に、適度な柔軟性とラミネート強度を高めるため、上記ポリウレタン樹脂として、ウレア結合を有しない重量平均分子量1,000~70,000のポリウレタン樹脂を配合することもできる。
(有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物との反応)
また、上記有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物を反応させる際の、それぞれの使用比率は、イソシアネート基:水酸基の当量比(イソシアネートインデックス)が、通常、1.2:1~3.0:1、より好ましくは1.3:1~2.0:1となる範囲である。上記のイソシアネートインデックスが1.2より小さくなると、柔軟な酸変性されていないポリウレタンポリウレア樹脂、柔軟な酸変性されていないバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂になる傾向があり、インキ組成物を印刷した時に耐ブロッキング性等が低い可能性があり、この場合、他の硬質の樹脂と併用することが必要となる場合がある。
本発明にて使用される酸変性されていないポリウレタンポリウレア樹脂、酸変性されていないバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂を得るための有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物との反応時において、触媒を使用することができる。
中でも有機金属系化合物を使用することが好ましく、このような有機金属系化合物として、ジブチルチタニウムジクロライド、テトラブチルチタネート、及びブトキシチタニウムトリクロライド等のチタン化合物、ジブチル錫スルファイド、トリブチル錫スルファイド、トリブチル錫オキシド、ジブチル錫ジクロライド、ジブチル錫オキシド、ジブチル錫ジブロマイド、ジブチル錫ジマレエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジラウレート、トリブチル錫アセテート、トリブチル錫クロライド、トリエチル錫エトキサイド、トリブチル錫エトキサイド、ジオクチル錫オキシド、トリブチル錫トリクロロアセテート、及び2-エチルヘキサン酸錫等の錫化合物、オレイン酸鉛、2-エチルヘキサン酸鉛、安息香酸鉛、及びナフテン酸鉛等の鉛化合物、さらに、2-エチルヘキサン酸鉄、鉄アセチルアセトネート、安息香酸コバルト、2-エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸ジルコニウム等がある。そして、これらの中でもテトラブチルチタネート等のチタン化合物が好ましい。
また3級アミン化合物を使用でき、例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、及び1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン-7(DBU)を使用することができる。
(ケチミン化されたポリウレタンポリウレア樹脂、ケチミン化されたバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂)
ケチミン化されたポリウレタンポリウレア樹脂、ケチミン化されたバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂は、上記の鎖伸長剤及び/又は反応停止剤のうち、ポリアミン化合物を予め過剰量のケトン化合物によりケチミン化してなるケチミン化合物を使用し、その鎖伸長剤及び/又は反応停止剤を用いて酸変性されていないポリウレタンポリウレア樹脂及び酸変性されていないバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂を製造して得る。特に、上記の鎖伸長剤及び反応停止剤のなかから、イソホロンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン及びエチレンジアミンから選ばれる1種以上を採用することが好ましい。
ケトン化合物によりケチミン化されたポリアミン化合物は、ケトン化合物の酸素原子が、ポリアミン化合物のアミノ基の窒素原子によって置換された構造を有する。
また、使用するケトン化合物としては、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール、メチルイソブチルケトンが好ましい。
このケチミン化反応においてはケトン化合物以外の溶媒を使用しないことが好ましい。
但し、ケトン化合物以外の溶媒として、アルコール化合物を使用できる。なかでもイソプロピルアルコールを使用できる。
この、ケトン化合物以外の溶媒を使用しないことは、無溶剤条件下でケチミン化すると定義する。なお、その後の鎖伸長反応や、ポリウレタンポリウレア樹脂及びバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂が臭気を有しないという点を阻害しない範囲で、無溶剤条件下ではなく、極性有機溶媒を配合しても良い。
本発明は、ケチミン化された、鎖伸長剤及び/又は反応停止剤を使用して鎖伸長や反応停止をさせる工程を経て得たポリウレタンポリウレア樹脂及び/又はバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂を含有するインキ組成物であってもよく、そのインキ組成物及び印刷された印刷物はケチミン臭を発生させない。また、印刷面に対して、押出ラミネート等の手段によりラミネートしたときの剥離強度を高くする効果を奏する。
なお、ケチミン化されたアミン等は鎖伸長剤として使用してもよく、反応停止剤として使用してもよく、鎖伸長剤と反応停止剤の双方として使用してもよい。
<ウレタンプレポリマーからのケチミン化されたポリウレタンポリウレア樹脂、ケチミン化されたバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂の合成>
上記の方法により得られたウレタンプレポリマーに対して、ケチミン化合物で鎖伸長及び/又は反応停止の反応を行うことにより、本発明中のケチミン化されたポリウレタンポリウレア樹脂、ケチミン化されたバイオマスポリウレタンポリウレア樹脂を得ることができる。
すなわち、上記の有機ジイソシアネート化合物と高分子ジオール化合物の反応生成物に、必要に応じて溶媒を加え、さらに、上記のケチミン化された鎖伸長剤及び/又は反応停止剤を添加して反応を行う。
溶媒を使用するときには、エステル系溶媒及び/又はアルコール系溶媒が好ましく、エステル系溶媒とアルコール系溶媒の混合物がより好ましく、酢酸プロピルとイソプロピルアルコールが更に好ましく、質量比で、酢酸プロピル:イソプロピルアルコール=1~5:1の範囲が最も好ましい。
また、得られたポリウレタンポリウレア樹脂がアミノ基を有するときには、アミン価が1~15mgKOH/gであることが好ましく、1~10mgKOH/gであることがより好ましい。上記アミン価が1mgKOH/g未満であると、インキ組成物を印刷したときの印刷基材との接着性が低下する可能性あり、かつラミネート用グラビアインキ組成物としたときにも、フィルムに対する接着性が低下する。更に、ラミネート適性が低下する可能性がある。上記アミン価が15mgKOH/gを超えると、耐ブロッキング性が低下する可能性がある。
そしてこのアミノ基がケチミン化されていても良い。
なお、本発明において、上記アミン価は固形分1gあたりのアミン価を意味し、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法(例えば、COMTITE AUTO TITRATOR COM-900、BURET B-900、TITSTATION K-900)、平沼産業社製)によって測定した後、水酸化カリウムの当量に換算した値をいう。
[酸変性されたポリウレタン樹脂、酸変性されたバイオマスポリウレタン樹脂]
本発明におけるポリウレタン樹脂として、酸変性されたポリウレタン樹脂及び/又は酸変性されたバイオポリウレタン樹脂も採用できる。上記の酸変性されていないポリウレタン樹脂及び/又は酸変性されていないバイオマスポリウレタン樹脂と共に使用してもよく、酸変性されたポリウレタン樹脂及び/又は酸変性された酸変性バイオマスポリウレタン樹脂のみ、又は酸変性されていないポリウレタン樹脂及び/又は酸変性されていないバイオマスポリウレタン樹脂のみを使用しても良い。
酸変性されたポリウレタン樹脂、酸変性されたバイオマスポリウレタン樹脂は、上記の製造方法と同様の方法により得られたウレタンプレポリマー又はポリウレタンポリウレアに対して、その末端の水酸基、アミノ基に対して、無水ジカルボン酸を反応させて末端にカルボン酸基を導入することにより、酸変性されたポリウレタン樹脂、酸変性されたバイオマスポリウレタン樹脂を得る。
使用される無水ジカルボン酸としては、無水カルボン酸、無水シュウ酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等である。
使用する無水ジカルボン酸の量としては、末端に十分にカルボン酸基を導入できる量であれば良い。
上記カルボン酸基に代えて、又はカルボン酸基と共に、既知の方法によりスルホン酸基やリン酸基を導入して酸変性しても良い。
さらに、これらの酸基の導入をウレタンポリマーやポリウレタンポリウレアの分子末端ではない箇所に導入しても良い。
フィルム用グラビア印刷インキ組成物中に、このような酸変性されたポリウレタン樹脂及び/又は酸変性されたバイオマスポリウレタン樹脂を0.01~1.00質量%含有させることが必要であり、インキ組成物の固形分中に、0.02~2.00質量%含有させることが必要である。
<塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体>
フィルム用グラビア印刷インキ組成物に配合できる塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体としては、従来、グラビア印刷インキ組成物に使用されている塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーを必須成分とし、必要に応じて、プロピオン酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等の脂肪酸ビニルモノマー、水酸基等の官能基を有するモノマーを共重合成分として、公知の方法で製造したものが使用できる。
水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は、酢酸エステル部分の一部をケン化すること、水酸基を有する(メタ)アクリルモノマーを導入することにより得られる。
酢酸エステル部分の一部をケン化することにより得られた水酸基を有する塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体の場合では、分子中の塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式1)、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位(下記式2)、及び酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位(下記式3)の比率により樹脂の皮膜物性や溶解挙動が決定される。すなわち、塩化ビニルの反応部位に基づく構成単位は樹脂皮膜の強靭さや硬さを付与し、酢酸ビニルの反応部位に基づく構成単位は接着性や柔軟性を付与し、酢酸ビニルの反応部位のケン化に基づく構成単位は環境に配慮したインキの有機溶剤系への良好な溶解性を付与する。
式1 -CH-CHCl-
式2 -CH-CH(OCOCH)-
式3 -CH-CH(OH)-
なお、本発明のフィルム用グラビア印刷インキ組成物で使用する、後記の有機溶剤に対する溶解性や印刷適性の点から、上記塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は、分子内に各種官能基を有していても良い。
また、上記有機溶剤として環境に配慮した溶剤が使用されるときは、上記塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体は、50~200mgKOH/gの水酸基を有していることが好ましい。このような塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体の市販品としては、例えば、ソルバインA、AL、TA5R、TA2、TA3、TAO、TAOL等を使用することが好ましい。
<塩化ビニル・アクリル系共重合体>
フィルム用グラビア印刷インキ組成物に配合できる塩化ビニル・アクリル系共重合体は、塩化ビニルとアクリルモノマーの共重合体を主成分とするものであり、共重合体の形態は特に限定されない。例えば、アクリルモノマーはポリ塩化ビニルの主鎖にブロックないしランダムに組み込まれていても良いし、ポリ塩化ビニルの側鎖にグラフト共重合されていても良い。
アクリルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有するアクリルモノマー等を用いることができる。(メタ)アクリル酸エステルの例としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられ、アルキル基は直鎖、分岐、環状のいずれであってもよいが、直鎖アルキル基であることが好ましい。
例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシルなどが挙げられる。
水酸基を有するアクリルモノマーの例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8-ヒドロキシオクチルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルや、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのグリコールモノ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチルアクリルアミドなどが挙げられる。
また、アクリルモノマーとして、水酸基以外の官能基を有するアクリルモノマーを用いることもできる。水酸基以外の官能基の例としてはカルボキシル基、アミド結合基、アミノ基、アルキレンオキサイド基等が挙げられる。
上記塩化ビニル・アクリル系共重合体は、重量平均分子量が1万~7万であることが好ましい。
また、上記有機溶剤として環境に配慮した溶剤への溶解性、基材に対する接着性の点から、上記塩化ビニル・アクリル系共重合体は、50~200mgKOH/gとなるように水酸基を有していることが好ましい。
本発明のフィルム用グラビア印刷インキ組成物は、ポリウレタン樹脂と(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)とを、ポリウレタン樹脂/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)=95/5~45/55(質量比)で含有することができ、好ましくは92/8~70/30である。
なお、ポリウレタン樹脂/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体)では90/10~75/25の範囲としても良く、ポリウレタン樹脂/(塩化ビニル・アクリル系共重合体)では95/5~85/15の範囲としても良い。
そして、95/5~45/55の割合で、ポリウレタン樹脂と塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体とを含有することで、本発明のフィルム用グラビア印刷インキ組成物は、フィルムに対する更に優れた印刷適性及び接着性を有することとなる。更に、ラミネート加工が行われる場合、より優れたラミネート適性を有することとなる。
上記ポリウレタン樹脂/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)が95/5を超える場合、(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)の割合が少なくなる可能性があり、また、上記フィルムに対する接着性が不十分となる。
一方、上記ポリウレタン樹脂/(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)が45/55を下回る場合、(塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体)の割合が多くなり、本発明のインキ組成物を用いて形成する印刷物が硬くなり、やはり上記フィルムに対する接着性が不十分となる可能性がある。
また、本発明のインキ組成物中の、上記ポリウレタン樹脂及び塩化ビニル・酢酸ビニル系共重合体及び/又は塩化ビニル・アクリル系共重合体を合わせた含有量は、5~30質量%が好適である。
また、本発明には、本発明の目的とする性能を低下させない範囲で、密着性向上剤及びブロッキング防止剤から選ばれる1種以上を含有でき、好ましくは、密着性向上剤とブロッキング防止剤を併用することが好ましい。
(密着性向上剤)
密着性向上剤としては、ロジン及びその誘導体、塩素化ポリプロピレン、ダンマル樹脂等が例示でき、ロジン及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種以上、より好ましくは2種以上を含有させることが望ましい。
<ロジン及びその誘導体>
ロジンとしては、ガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等が挙げられる。一般的にロジンは松から得られる琥珀色、無定形の樹脂であり、天然から得られるため混合物であるが、アビエチン酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマール酸、イソピマール酸、サンダラコピマール酸、デヒドロアビエチン酸という構成成分ごとに単離して用いても良く、本発明ではこれらもロジンと定義する。
ロジン誘導体は、上記のロジンを変性してなる化合物であり、具体的に以下に列挙する。
(1)水素化ロジン:共役二重結合に水素を付加(水素添加)させて、耐候性を向上させたロジンである。
(2)不均化ロジン:不均化とは、二分子のロジンが反応し、共役二重結合を持った二分子のアビエチン酸が、一方は芳香族へ、もう一方は単独二重結合の分子へとなる変性である。一般に水添ロジンよりは耐候性が劣るが、未処理のものよりは耐候性が向上する。
(3)ロジン変性フェノール樹脂:メインバインダーとしてロジン変性フェノール樹脂が使われることがある。ロジン変性フェノール樹脂は公知の製造法で得ることができる。
(4)ロジンエステル:ロジンから誘導されるエステル樹脂であり、古くから粘着・接着剤の粘着付与剤(タッキファイヤー)として用いられる。
(5)ロジン変性マレイン酸樹脂:ロジンに無水マレイン酸を付加反応させたもので、必要に応じてグリセリンなどの水酸基含有化合物を、無水酸基とエステル化させグラフトさせたものも含まれる。
(6)重合ロジン:天然樹脂のロジンから誘導される二量化された樹脂酸を含む誘導体である。
その他、公知のロジン、ロジン誘導体も用いることが可能であり、これらは単独だけでなく併用することができる。
更に、ロジン及びそのロジン誘導体の酸価は120mgKOH/g以上であることが好ましい。酸価が120mgKOH/g以上であると、ラミネート強度が向上する。更に好ましくは酸価が160mgKOH/g以上である。また、ロジン及びその誘導体を配合する際の合計使用量は、フィルム用グラビア印刷インキ組成物の固形分質量%で、0.1~3.0質量%が好ましい。
<塩素化ポリプロピレン>
塩素化ポリプロピレンとしては、塩素化度が20~50のものが使用できる。塩素化度が20未満の塩素化ポリプロピレンは、有機溶剤との相溶性が低下する傾向がある。一方、塩素化度が50を超える場合、塩素化ポリプロピレンは、フィルムに対する接着性が低下する傾向がある。なお、本発明において、塩素化度は、塩素化ポリプロピレン樹脂中の塩素原子の質量%で定義される。また、塩素化ポリプロピレンは、重量平均分子量が5,000~200,000の変性された又は未変性の塩素化ポリプロピレンであることが好ましい。重量平均分子量が5,000未満の場合、塩素化ポリプロピレンは、接着性が低下する傾向がある。一方、重量平均分子量が200,000を超える場合、塩素化ポリプロピレンは、有機溶剤への溶解性が低下する傾向がある。また、塩素化ポリプロピレンを配合する際の使用量は、フィルム用グラビア印刷インキ組成物の固形分質量%で、0.1~3.0質量%が好ましい。
<ダンマル樹脂>
ダンマル樹脂は、ダマール、ダンマーとも表記され、植物由来の天然樹脂の一種である。詳細には、マレーシア、インドネシアなど東南アジアに生育するフタバガキ科又はカンラン科植物から得られる天然樹脂の一種である。使用する際には適当な有機溶剤に溶解させてワニスとする。ダンマル樹脂は塩素を含有しないため、印刷インキ組成物に塩素化ポリプロピレンを使用する場合に比べ、塩素を排除・低減することができる。また、ダンマル樹脂を配合する際の使用量は、フィルム用グラビア印刷インキ組成物の固形分質量%で、3.0質量%以下が好ましい。
(ブロッキング防止剤)
ブロッキング防止剤としては、シリカ粒子、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミド、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、硝化綿等が例示でき、シリカ粒子、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミドの1種以上、好ましくは2種以上を含有させることが好ましく、顔料の種類によって、セルロースアセテートブチレート樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、硝化綿を更に含有させることが好ましい。
<シリカ粒子>
シリカ粒子は天然産、合成品、あるいは結晶性、非結晶性、あるいは疎水性、親水性のものなどが挙げられる。シリカ粒子は、平均粒子径が1.0~5.0μmのものが好ましい(なおシリカ粒子の平均粒子径は、粒度分布における積算値50%(D50)での粒径を意味し、コールターカウンター法によって求めることができる)。シリカ粒子は、表面に親水性官能基を有する親水性シリカでも良いし、親水性官能基をアルキルシラン等で変性して疎水化した疎水性シリカでも良いが、親水性のものが好ましく、親水性シリカ粒子を含むインキは重ね印刷時のインキの濡れ・広がりを促し、重ね印刷効果(以下「トラッピング性」と記載する場合がある)を向上させる効果も有する。シリカ粒子使用量は、フィルム用グラビア印刷インキ組成物中に0.0~3.0質量%が好ましく、更に好ましくは0.1~1.0質量%である。
<ポリエチレンワックス>
ポリエチレンワックスとしては平均粒子径が1.0~3.0μmの範囲のもの(なお、平均粒子径は、#1:Honeywell社製 Microtrac UPAにて測定した粒径を意味する)を使用する。ポリエチレンワックスの粒子径が1.0μmより小さいと、すべり性、ブロッキング性が低下し、粒子径が3.0μmより大きいとトラッピング性が低下する。また、ポリエチレンワックスのフィルム用グラビア印刷インキ組成物中の含有量は、0.1~1.5質量%の範囲が好ましい。含有量が0.1質量%より少ないと目的とする効果が得られず、含有量が1.5質量%より多いと、光沢が低下する傾向にある。
<硝化綿>
硝化綿としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている硝化綿が使用できる。硝化綿としては、天然セルロースと硝酸を反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものである。本発明に使用される硝化綿としては、窒素量10~13%、平均重合度35~90のものが好ましく用いられる。具体例としては、SS1/2、SS1/4、SS1/8、TR1/16、NCRS-2(KOREA CNC LTD社製)等を挙げることができる。硝化綿の使用量は、顔料の種類により、フィルム用グラビア印刷インキ組成物中に、0.1~2.0質量%の範囲で使用することが好ましい。
<セルロースアセテートプロピオネート樹脂>
セルロースアセテートプロピオネート樹脂としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている樹脂が使用できる。
セルロースアセテートプロピオネート樹脂は、セルロースを酢酸及びプロピオン酸でトリエステル化した後に加水分解して得られる。一般的にはアセチル化が0.6~2.5重量%、プロピオニル化が42~46重量%、水酸基が1.8~5重量%である樹脂が市販されている。セルロースアセテートプロピオネート樹脂は、顔料の種類により、フィルム用グラビア印刷インキ組成物中に、0.1~3.0質量%の範囲で使用することが好ましい。
<セルロースアセテートブチレート樹脂>
セルロースアセテートブチレート樹脂としては、従来からグラビア印刷インキ組成物に使用されている樹脂が使用できる。
セルロースアセテートブチレート樹脂は、セルロースを酢酸及び酪酸でトリエステル化した後、加水分解して得られる。一般的にはアセチル化が2~30質量%、ブチリル化が17~53質量%、水酸基が1~5質量%の樹脂が市販されている。セルロースアセテートブチレート樹脂の使用量は、顔料の種類により、フィルム用グラビア印刷インキ組成物中に、0.1~3.0質量%の範囲で使用することが好ましい。
<脂肪酸アミド>
脂肪酸アミドとしては、脂肪酸から酸基を除いた残基とアミド基を有するものであれば特に限定されない。脂肪酸アミドとしては、例えば、モノアミド、置換アミド、ビスアミド、メチロールアミド、及びエステルアミド等が挙げられ、耐ブロッキング性が向上するため、モノアミド、置換アミド、及びビスアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。脂肪酸アミドの使用量は、フィルム用グラビア印刷インキ組成物中に、0.01~1.0質量%の範囲であることが好ましい。
・モノアミド:モノアミドは下記一般式(1)で表される。
一般式(1) R-CONH
(式中、Rは脂肪酸からCOOHを除いた残基を表す。)
モノアミドの具体例としては、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。
・置換アミド:置換アミドは下記一般式(2)で表される。
一般式(2) R-CONH-R
(式中、R及びRは脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良い。)
置換アミドの具体例としては、N-オレイルパルミチン酸アミド、N-ステアリルステアリン酸アミド、N-ステアリルオレイン酸アミド、N-オレイルステアリン酸アミド、N-ステアリルエルカ酸アミド等が挙げられる。
・ビスアミド:ビスアミドは下記一般式(3)あるいは一般式(4)で表される。
一般式(3) R-CONH-R-HNCO-R
一般式(4) R-NHCO-R-CONH-R
(式中、R、R、R、及びRは脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良く、R及びRは炭素数1~10のアルキレン基又はアリーレン基を表す。)
ビスアミドの具体例としては、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド等が挙げられる。
・メチロールアミド:メチロールアミドは下記一般式(5)で表される。
一般式(5) R10-CONHCHOH
(式中、R10は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表す。)
メチロールアミドの具体例としては、メチロールパルミチン酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘン酸アミド、メチロールヒドロキシステアリン酸アミド、メチロールオレイン酸アミド、メチロールエルカ酸アミド等が挙げられる。
・エステルアミド:エステルアミドは、下記一般式(6)で表される。
一般式(6) R11-CONH-R12-OCO-R13
(式中、R11及びR13は脂肪酸からCOOHを除いた残基を表し、同一でも異なっていても良く、R12は炭素数1~10のアルキレン基又はアリーレン基を表す。)
エステルアミドの具体例としては、ステアリルアミドエチルステアレート、オレイルアミドエチルステアレート等が挙げられる。
脂肪酸アミドの融点は、50~150℃であることが好ましい。
また、脂肪酸アミドを構成する脂肪酸としては、炭素数12~22の飽和脂肪酸及び/又は炭素数16~25の不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数16~18の飽和脂肪酸及び/又は炭素数18~22の不飽和脂肪酸がより好ましい。飽和脂肪酸として特に好ましくはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、不飽和脂肪酸として特に好ましくはオレイン酸、エルカ酸である。
(有機溶剤)
本発明のフィルム用グラビア印刷インキ組成物は油性である。使用する有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系有機溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系有機溶剤、トルエン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素系溶剤が利用できる。
環境問題の面からは、エステル系有機溶剤、アルコール系有機溶剤及びケトン系有機溶剤の混合溶剤、又は、より環境問題への対応を進めたエステル系有機溶剤、及びアルコール系有機溶剤の混合溶剤を使用することが好ましい。
更に、本発明のフィルム用グラビア印刷インキ組成物には、濡れ広がり性を向上させるために有機溶剤100質量%中、グリコールエーテル系有機溶剤を0.1~20質量%含有させることが好ましい。グリコールエーテル系有機溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノn-プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が例示できる。
本発明のフィルム用グラビア印刷インキ組成物には、静電気による印刷不良の緩和、及び、版かぶりの防止やセル再現性の点より水を含有させることが好ましい。水の使用量は、フィルム用グラビア印刷インキ組成物中に10質量%以下が好ましく、更に好ましくは、0.1~5.0質量%の範囲である。
<その他の材料>
本発明のフィルム用グラビア印刷インキ組成物には、更に顔料分散剤、帯電防止剤、可塑剤等の各種添加剤を添加することができる。
以上の構成材料を用いてインキ組成物を製造する方法としては、公知の方法が使用できる。具体的には、例えば、顔料、バインダー樹脂、有機溶剤及び必要に応じて顔料分散剤等の混合物を、高速ミキサー、ボールミル、サンドミル、アトライター等を用いて練肉し、更にチオシアン酸塩、所定の添加剤等の材料の残りを添加、混合することにより得ることができる。
また、金属のテトラアルコキシド及び/又はヒドロキシ酸を含有させても良く、含有させなくても良い。
(フィルム用グラビア印刷インキ組成物を用いた印刷方法、及びそれにより得た積層体)
次に、本発明のインキ組成物を用いてラミネート印刷物を得る方法について説明する。
なお、本発明のフィルム用グラビア印刷インキ組成物は、ラミネート以外の用途にも使用できる。
ラミネート印刷物を得る方法には、少なくとも下記印刷方法を含む。例えば、公知のラミネート用の基材となる樹脂フィルムに、少なくとも、ラミネート用グラビア印刷インキ組成物をグラビア印刷方式で1回以上印刷を行う。次いで、これらの印刷により形成したグラビアラミネート用印刷インキ層の表面側(最終ラミネート後において、表層からみて下層側)の任意の個所に、他のグラビアラミネート印刷用インキ組成物をグラビア印刷方式で印刷を行い、ドライヤーにより乾燥させる。
上記の方法で得られた印刷物のグラビアラミネート印刷用インキ組成物による層の側に、樹脂フィルム等を各種方法によるラミネート加工を施して、包装袋等用のラミネート印刷物を得ることができる。このラミネート加工法としては、印刷物の表面にアンカーコート剤を塗工した後、又は塗工せずに、溶融ポリマーを積層させる押出ラミネート法、印刷物の表面に接着剤を塗工した後、フィルム状ポリマーを貼合させるドライラミネート法が利用できる。
上記押出ラミネート法は、インキ組成物による層を含む印刷物の表面に、必要に応じて、チタン系、ウレタン系、イミン系、ポリブタジエン系等のアンカーコート剤を塗工した後、又は塗工せずに、既知の押出ラミネート機によって、溶融ポリマーを積層させる方法であり、更に溶融樹脂を中間層として、他の材料とサンドイッチ状に積層することもできる。
上記押出ラミネート法で使用する溶融ポリマーとしては、低密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン等、従来使用されていた樹脂が使用できる。その中でも溶融の際に酸化によってカルボニル基が発生し易い低密度ポリエチレンとの構成において本発明の効果が高くなる。
また、上記ドライラミネート法は、グラビアラミネート印刷用インキ組成物による層の表面にウレタン系、イソシアネート系等の接着剤を塗工した後、既知のドライラミネート機によって樹脂フィルムを貼合する方法である。特にレトルト用途で使用される包装材料を得るために、基材と貼合される樹脂フィルムの間にアルミ箔をはさんでラミネートすることもできる。このようなラミネート加工物は、製袋して内容物を詰めた後、ボイル・レトルト用途に利用することもできる。
このとき使用される上記樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの延伸及び無延伸ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、セロファン、ビニロン等を挙げることができる。さらにこれら樹脂フィルムについては、予め防曇剤の塗工、練り込み、マット剤の表面塗工、練り込みなどの加工をして得られるフィルムも使用することが可能である。
また、それら樹脂フィルムとして、各種印刷用プラスチックフィルムに金属蒸着、バリア性樹脂をコーティングしたバリア層を積層したフィルム等を使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
[インキ作成]
(ポリウレタン樹脂ワニス)
撹拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2,000の3-メチル-1,5-ペンチレンアジペートジオール200部およびイソホロンジイソシアネート44.4部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100~105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチル486部、イソプロパノール122部を加えた後、イソホロンジアミン13.6部を加えて鎖伸長反応させ、さらにエチレンジアミン2.4部を加えて反応停止させて、ポリウレタン樹脂ワニス(固形分30%、ポリウレタン樹脂の重量平均分子量16,000、分子内に含まれるイソシアネート基と反応可能な官能基=1級アミノ基)を得た。
(白インキ)
このポリウレタン樹脂ワニス30.0質量部と、酸化チタン(R-960、デュポン(株)製)40質量部と、混合溶媒(酢酸エチル/酢酸プロピル/イソプロピルアルコール=50/25/25、質量比)30.0質量部と、リン酸エステル化合物1及び/又はアルキルイミダゾリン化合物Aを混合して、白ンキ組成物を得た。表1はリン酸エステル化合物1およびアルキルイミダゾリン化合物Aをインキ100質量部に対してそれぞれ添加した質量部と、そのときのインキ固形分中質量%を示す。
(リン酸エステル化合物1)
上記式(3)で示されるリン酸エステルにおいて、RがC13の分岐アルキル基、(AO)nが(EO)10(EO:エチレンオキシド)を、特開2019-31433の記載の方法(0038段落の製造例1)により合成してリン酸エステル化合物1として得た。
(アルキルイミダソリン化合物A)
2-アルキル(C=8~18)-1-ヒドロキシエチルイミダゾリンと、2-アルケニル(C=8~18)-1-ヒドロキシエチルイミダゾリンの混合物(式(2)の構造(ノニオン型)、どちらの化合物も、Pは2-ヒドロキシエチル基)(ホモゲノールL-95)
Figure 0007509595000006
<印刷>
実施例及び比較例の各インキ組成物の各々100質量部を、さらに、混合溶剤(酢酸エチル/酢酸プロピル/イソプロピルアルコール=50/25/25、質量比)で希釈して、粘度が離合社製ザーンカップ3号で15秒になるように調整した。各種フィルムの処理面にグラビア印刷機を利用して、上記各希釈インキ組成物を下記条件で印刷、乾燥して、印刷物を得た。
なお、白重ね無の評価には、OPPフィルム1及び2上に上記各白インキを印刷した。白重ねの評価には、OPPフィルム上に「ベルカラーR藍800」(サカタインクス社製)を使用して印刷し、その上に上記各白インキを重ね刷りした。
具体的な評価方法を以下に示す。
(印刷方法・印刷条件)
印刷時の部屋の環境:温度25℃、湿度50%
塗工機 :グラビア印刷機
塗工速度 :150m/min
刷版 :ダイレクト175線 28μm ベタ版
乾燥温度 :55℃
(各種フィルム)
OPP1:コロナ放電処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルム
東洋紡社製 P-2161、厚さ25μm
OPP2:コロナ放電処理した二軸延伸ポリプロピレンフィルム
フタムラ化学社製FOR、厚さ25μm
(押出ラミネート強度)
実施例及び比較例の各印刷物に対し、ポリエチレンイミン系アンカーコート剤(東洋モートン社、EL-420)を用いて処理した後、押出ラミネート機にて溶融ポリエチレンを積層してラミネート加工物を得た。これらのラミネート加工物を40℃で1日経時後15mm幅に切断し、剥離試験機(安田精機製作所社製)を用いて、押出ラミネート強度としてT型剥離強度(g/15mm)を測定した。その結果を表1に示す。
○:100g/15mm以上
△:50g/15mm以上100g/15mm未満
×:50g/15mm未満
各実施例に記載のように、ポリウレタン樹脂に対し、数平均分子量が500以上の酸基含有化合物と、アルキルイミダゾリン化合物及び/又はアルケニルイミダゾリン化合物を含有させたインキ組成物を使用すると、たとえそれらの化合物の含有量が比較的少量でも、十分に高いラミネート強度を得ることができた。
これに対して、数平均分子量が500以上の酸基含有化合物及びアルキルイミダゾリン化合物を含有しない比較例1、特にラミネート強度が低く、アルキルイミダゾリン化合物を含有しない比較例1及び4、数平均分子量が500以上の酸基含有化合物を含有しない比較例3及び5においても、ラミネート強度が低かった。

Claims (5)

  1. 顔料、ポリウレタン樹脂及び有機溶剤を含有するフィルム用グラビア印刷インキ組成物であり、
    フィルム用グラビア印刷インキ組成物の固形分中に、数平均分子量が500以上の酸基含有化合物を0.04~7.0質量%含有し、かつ、アルキルイミダゾリン化合物及び/又はアルケニルイミダゾリン化合物を含有し、
    前記酸基含有化合物は、ポリエーテル構造及び/又はポリエステル構造を有し、かつリン酸基及び/又はカルボン酸基を有する、フィルム用グラビア印刷インキ組成物。
  2. 該酸基含有化合物は、前記ポリエーテル構造としてポリオキシエチレン構造を有する請求項に記載のフィルム用グラビア印刷インキ組成物。
  3. 酸基含有化合物の酸基がリン酸基である請求項1又は2に記載のフィルム用グラビア印刷インキ組成物。
  4. 該アルキルイミダゾリン化合物及び/又はアルケニルイミダゾリン化合物が、以下の式(1)及び/又は式(2)で示される化合物である請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルム用グラビア印刷インキ組成物。
    式(1)及び式(2)中、Rは炭素数6~35のアルキル基及び/又はアルケニル基、Pは炭素数2~6のヒドロキシアルキル基、Aはハロゲンである。
  5. 該アルキルイミダゾリン化合物及び/又はアルケニルイミダゾリン化合物を、フィルム用グラビア印刷インキ組成物の固形分中に、0.04~7.0質量%含有する請求項1~のいずれか一項に記載のフィルム用グラビア印刷インキ組成物。
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