JP7504708B2 - 杭頭部材の製造方法、杭頭免震構造及び杭頭免震構造の施工方法 - Google Patents
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Description
例えば特許文献1においては、現場で既製杭における杭頭の上にRC躯体を構築し、当該RC躯体の上面に免震装置を固定している。
また、特許文献2においては、現場で拡頭杭の杭頭の上に打設された鋼管杭内部にRC躯体を構築し、当該RC躯体の上面に免震装置を固定している。
前記杭頭部材は、
前記杭と同一軸線上に配置されるとともに前記杭と同径に設定された鋼管部と、
前記鋼管部よりも大径又は前記鋼管部と同径に設定されて、前記鋼管部の上端面に接合固定されており、前記免震装置が載置され、かつ当該免震装置の下端部が連結される上端プレート部と、
前記鋼管部の内部に形成された充填コンクリート部と、を有しており、
前記上端プレート部の前記免震装置が載置される上面が下向きとなり、前記鋼管部の下端部の開口部が上方を向くように配置した状態で、前記鋼管部の前記開口部からコンクリートを充填して硬化させることで、前記充填コンクリート部を形成することを特徴とする。
前記上端プレート部には、当該上端プレート部の下面のうち前記鋼管部の内部側に位置する箇所に下方に突出する複数のスタッドボルトが設けられていることを特徴とする。
前記杭頭を有する前記杭と、
請求項1又は2に記載の杭頭部材の製造方法によって製造されて、前記杭の前記杭頭の上面に設けられた杭頭部材と、
前記杭頭部材の上面に固定された前記免震装置と、を備えており、
前記杭頭部材は、前記杭と同一軸線上に配置されて前記杭頭に接合されていることを特徴とする。
前記杭頭部材と前記杭頭は機械式継手によって接合されており、
前記機械式継手は、
前記杭頭と同径に設定されるとともに前記杭頭の上端面に固定された環形状の第一固定部と、
前記杭頭部材の前記杭頭本体部と同径に設定されるとともに前記杭頭本体部の下端面に固定され、前記第一固定部の上面に載置された環形状の第二固定部と、
前記第一固定部と前記第二固定部に亘って配置されて当該第一固定部と第二固定部とを連結する連結部と、を有することを特徴とする。
前記杭頭部材は、前記杭頭側に位置し、溶接可能な材料からなる第一被溶接部を有しており、
前記杭頭は、前記杭頭部材側に位置し、溶接可能な材料からなる第二被溶接部を有しており、
前記第一被溶接部と前記第二被溶接部とが溶接によって接合されていることを特徴とする。
地盤に打設された前記杭の前記杭頭の上面に、前記杭頭部材を、前記杭と同一軸線上に配置して前記杭頭に接合する工程と、
前記杭頭部材の前記上端プレート部の上面に、前記免震装置を載置し、かつ当該免震装置の下端部を連結する工程と、を有することを特徴とする。
そして、杭頭免震構造は、例えばビルやマンション等の建物(上部構造体3)の免震構造として採用することができる。また、杭頭免震構造は、建物の新築時に採用してもよいし、既設の建物の耐震補強時に採用してもよい。さらに、杭頭免震構造は、建物に対して複数採用されている(例えば杭1の本数分)。
このような杭1は地盤に打ち込まれており、上端部である杭頭1aが地面に露出した状態となっている。
積層ゴム支承部2aは、高減衰ゴムや天然ゴム等の免震機能を発揮する免震用ゴムと鋼板が交互に重ねられて構成されている。
下フランジ2b及び上フランジ2cは、積層ゴム支承部2aを上下から挟み込むようにして設けられており、上下のフランジ2b,2cは互いに平行に設けられている。これら上下のフランジ2b,2cの直径は、積層ゴム支承部2aの直径よりも大きく設定されている。また、上下のフランジ2b,2cのうち積層ゴム支承部2aよりも水平方向に突出する部位には、上下のフランジ部2b,2cを厚さ方向に貫通し、ボルト(固定ボルト3b、連結ボルト12a)が通される複数のボルト通し孔が、上下のフランジ部2b,2cの周方向に間隔(例えば等間隔)を空けて設けられている。
また、免震装置2として、積層ゴム支承部2aを備えた所謂ゴム支承タイプの免震装置を採用したが、これに限られるものではない。すなわち、杭頭部材10と上部構造体3との間に設けられて免震機能を発揮するものであれば、例えば転がり支承タイプや滑り支承タイプ等、その他のタイプの免震装置に適宜変更可能である。
より詳細に説明すると、上部構造体3の下面には、免震装置2の上フランジ2cと同径に設定された下地プレート3aが一体的に設けられており、免震装置2の上フランジ2cは、この下地プレート3aに接している。また、下地プレート3aには、免震装置2の上フランジ2cに形成された複数のボルト通し孔に対応する複数のボルト通し孔が形成されている。免震装置2の固定は、上フランジ2cにおける複数のボルト通し孔と、下地プレート3aにおける複数のボルト通し孔のそれぞれに通される固定ボルト3bによって行われる。
そして、本実施形態の杭頭部材10は、鋼管部11及び充填コンクリート部13を有する杭頭本体部と、上端プレート部12と、複数のリブプレート14と、つなぎ梁用スタッドボルト15と、を有する。
また、鋼管部11の直径は、杭1の杭頭1aの直径と同一に設定されており、使用時には、杭1と同一軸線上に配置される。換言すれば、鋼管部11は、杭1の長さを延長するような形で杭1の長さ方向に沿って配置されている。
そして、このような上端プレート部12には、免震装置2が載置され、かつ当該免震装置2の下端部(下フランジ2b)が連結される。
各スタッドボルト12cは、上端プレート部12の下面に接合された本体軸部と、この本体軸部の下端部に設けられた頭部と、からなる。これにより、スタッドボルト12cの頭部は、充填コンクリート部13に食い込んだ状態となる。
なお、本実施形態における上端プレート部12には、複数のスタッドボルト12cが設けられるものとしたが、充填コンクリート部13の一体性が確保できる場合は設けられなくてもよい。
より詳細に説明すると、各リブプレート14は、鋼管部11側の端部が鋼管部11の外周面に溶接され、上端部が上端プレート部12の外周部下面に溶接されて、鋼管部11と上端プレート部12とを連結している。さらに、各リブプレート14は、直角台形状に形成されており、下方に向かうにつれて先細りしている。
また、隣り合うリブプレート14間に、上端プレート部12と免震装置2の下フランジ2bとを連結する連結ボルト12aが配置されている。
なお、本実施形態においては、鋼管部11と上端プレート部12との間に複数のリブプレート14が設けられるものとしたが、上端プレート部12の強度が確保できる場合は設けられなくてもよい。
なお、つなぎ梁4は、例えば鉄筋コンクリート構造で形成されている。また、つなぎ梁4は必要に応じて設ければよく、杭頭免震構造は、つなぎ梁4を有していなくてもよい。
本実施形態における第一固定部21は、図3に示すように、外周面に溝21aが形成されている。また、この溝21aには、後述するボルト23cが取り付けられるボルト孔21bが、複数形成されている。
さらに、本実施形態における第一固定部21の上面には、ピン24の下端部が差し込まれるピン穴21cが複数形成されている。
複数のボルト孔は、第一固定部21における複数のボルト孔と、上下に隣り合う位置関係となるように配置されている。
複数のピン穴は、第二固定部22の下面に形成されており、第一固定部21の上面に形成された複数のピン穴と位置が合致するように配置されている。
このように構成された第二固定部22は、鋼管部11の下端面に固定されており、第一固定部21の上面に載置される。
より詳細に説明すると、本実施形態における連結部23は、複数に分割されている。複数に分割された連結部23は、全てを連続させて並べると環状になるように構成されている。換言すれば、環状の連結部23を円周方向に複数に分割した状態となっている。なお、本実施形態においては、三つに分割されている。
また、複数の連結部23には、第一固定部21の溝21aに形成された複数のボルト孔21b及び第二固定部22の溝に形成された複数のボルト孔に対応する複数のボルト通し孔23bが形成されている。複数のボルト通し孔23bにはボルト23cが通され、ボルト23cは、第一固定部21の溝21aに形成された複数のボルト孔21b及び第二固定部22の溝に形成された複数のボルト孔に、ねじ込まれて設けられる。
例えば、連結部23と第一固定部21及び第二固定部22とが強固に噛み合う構造(溝21aと上下の突条部23a)は省略してもよい。また、一方を凸型継手(外周面に雄ネジを形成してもよい)とし、他方を凹型継手(内周面に雌ネジを形成してもよい)として凹凸嵌合させて側面からボルト固定するタイプの機械式継手を採用してもよい。
杭頭部材10の製造は、工場(非現場)にて行われるものとするが、これに限られるものではなく、現場で製造されてもよい。また、途中までを工場で製造し、残りを現場で製造するといった形で、製造工程を工場と現場で分けてもよい。
杭頭部材10における鋼管部11は、上記のように円筒状に形成された鋼管であり、上端部の開口部は、上端プレート部12によって閉塞されている。一方で、下端部の開口部は閉塞されておらず、開放された状態となっている。鋼管部11の下端面には、上記のように第二固定部22は固定されているものの、当該第二固定部22は環形状であるため、鋼管部11の下端部における開口部は閉塞されない。したがって、開口部が上方を向くように配置することで、鋼管部11を、上方が開口し、かつ底のある容器として使用することができる。
なお、鋼管部11へのコンクリートの充填は、例えば鋼管部11内周面と第二固定部22との間の隅部を始めとする隅々まで充填される。
また、つなぎ梁用スタッドボルト15が設けられるタイミングも特に限定されるものではない。つなぎ梁4は、必要に応じて設けられるものであるため、つなぎ梁用スタッドボルト15は、つなぎ梁4が必要になった場合に鋼管部11に設けられるものとする。
杭頭部材10は、品質管理を行いながら製造されるので、コンクリートの充填性が保証されるようになる。また、杭1の規格に合わせて製造すれば、製品としていつでも準備しておくことができるので好ましい。
杭1は、予め地盤Gに打設されている。さらに、杭1の杭頭1a上端面には、第一固定部21が予め固定されている。
また、上部構造体3は、免震装置2の設置よりも後に構築される場合と、免震装置2の設置よりも前に構築される場合がある。
すなわち、予め地盤Gに打設された杭1の杭頭1a上面に、製品として製造された杭頭部材10を、上端プレート部12を上に向けた状態で載置する。このとき、ピン24を、第一固定部21のピン穴21cに差し込むとともに第二固定部22のピン穴に差し込み、杭頭部材10の軸線と杭1の軸線とが揃うように配置する。
すなわち、複数の連結部23によって、杭頭1aの上端面に固定された第一固定部21と、杭頭部材10の下端面に固定された第二固定部22と、を連結する。
すなわち、杭頭部材10の上端プレート部12に形成された複数のボルト通し孔と、免震装置2の下フランジ2bに形成された複数のボルト通し孔の位置を合致させ、連結ボルト12a及びナット12bによって連結する。
なお、免震装置2の上方に上部構造体3がない場合は、免震装置2の上方に、下地プレート3aを含む上部構造体3を構築する。
免震装置2の上方に上部構造体3がある場合は、免震装置2の上フランジ2cに形成された複数のボルト通し孔と、上部構造体3における下地プレート3aに形成された複数のボルト通し孔の位置を合致させ、固定ボルト3bによって免震装置2の上フランジ2cを上部構造体3に固定する。なお、杭頭部材10と上部構造体3との間の間隔が狭い場合は、ジャッキ装置によって建物をジャッキアップして間隔を広げてもよい。
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
上記の実施形態においては、杭頭部材10と杭頭1aは機械式継手20によって接合されているものとしたが、本変形例においては、図示はしないが、杭頭部材10と杭頭1aは溶接によって接合されている。
上記の実施形態においては、杭1と、免震装置2の装置本体である積層ゴム支承部2aとが同径となっているが、本変形例においては、図4及び図5に示すように、積層ゴム支承部2aの径よりも、杭1Aの方が小径となっている。
そして、このような場合であっても、鋼管部11Aの径は、杭1Aと同径に設定されている。
上記の実施形態においては、杭1と、免震装置2の装置本体である積層ゴム支承部2aとが同径となっているが、本変形例においては、図6及び図7に示すように、積層ゴム支承部2aの径よりも、杭1Bの方が大径となっている。
そして、このような場合であっても、鋼管部11Bの径は、杭1Bと同径に設定されている。さらに、本変形例においては、上端プレート部12も、杭1B及び鋼管部11Bと同径に設定されている。
なお、袋ナット121は、多角形状に形成されているため、硬化した充填コンクリート部13に食い込んだ状態となり、連結ボルト120をねじ込んでも共回りしにくくなっている。
また、袋ナット121が外部に露出せず、連結ボルト120を強固に締めにくいため、連結ボルト120の本体軸部の長さを、上記の実施形態における連結ボルト12aの本体軸部の長さよりも長く設定し、連結ボルト120と袋ナット121の一体性を高めるようにしている。
より詳細に説明すると、各リブプレート14Bは、鋼管部11B側の端部が鋼管部11の内周面に溶接され、上端部が上端プレート部12の外周部下面に溶接されて、鋼管部11Bと上端プレート部12とを連結している。さらに、各リブプレート14Bは、四角形状に形成されており、充填コンクリート部13に接触する面積を広く確保している。
また、隣り合うリブプレート14B間に、上端プレート部12と免震装置2の下フランジ2bとを連結する連結ボルト120が配置されている。
上記の実施形態及び各変形例においては、杭頭本体部が、鋼管部11及び充填コンクリート部13を有する構成となっているが、本変形例においては、図示はしないが、杭頭本体部が、鋼管部11を有さず、硬化したコンクリートを含んで構成されている。
本変形例における杭頭部材を製造する場合は、上端プレート部12を、免震装置2が載置される面(載置面)が下向きとなるように配置した状態で、上端プレート部12の上に杭頭本体部を形成する。より具体的には、上端プレート部12のうち上記の載置面とは反対側の面(製造時においては上面)に型枠を形成し、型枠内にコンクリートを充填して硬化させる。なお、PC鋼材は、上端プレート部12に対して例えば溶接によって接合されている(溶接以外の接合方法を採用してもよい)。
1a 杭頭
2 免震装置
2a 積層ゴム支承部
2b 下フランジ
2c 上フランジ
3 上部構造体
3a 下地プレート
3b 固定ボルト
4 つなぎ梁
10 杭頭部材
11 鋼管部
12 上端プレート部
12a 連結ボルト
12b ナット
12c スタッドボルト
13 充填コンクリート部
14 リブプレート
15 つなぎ梁用スタッドボルト
20 機械式継手
21 第一固定部
21a 溝
21b ボルト孔
21c ピン穴
22 第二固定部
23 連結部
23a 突条部
23b ボルト通し孔
23c ボルト
24 ピン
120 連結ボルト
121 袋ナット
G 地盤
Claims (6)
- 杭の杭頭の上面に設けられるとともに、上面に、上部構造体を支持する免震装置が固定される杭頭部材の製造方法であって、
前記杭頭部材は、
前記杭と同一軸線上に配置されるとともに前記杭と同径に設定された鋼管部と、
前記鋼管部よりも大径又は前記鋼管部と同径に設定されて、前記鋼管部の上端面に接合固定されており、前記免震装置が載置され、かつ当該免震装置の下端部が連結される上端プレート部と、
前記鋼管部の内部に形成された充填コンクリート部と、を有しており、
前記上端プレート部の前記免震装置が載置される上面が下向きとなり、前記鋼管部の下端部の開口部が上方を向くように配置した状態で、前記鋼管部の前記開口部からコンクリートを充填して硬化させることで、前記充填コンクリート部を形成することを特徴とする杭頭部材の製造方法。 - 前記上端プレート部には、当該上端プレート部の下面のうち前記鋼管部の内部側に位置する箇所に下方に突出する複数のスタッドボルトが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の杭頭部材の製造方法。
- 前記杭頭を有する前記杭と、
請求項1又は2に記載の杭頭部材の製造方法によって製造されて、前記杭の前記杭頭の上面に設けられた杭頭部材と、
前記杭頭部材の上面に固定された免震装置と、を備えており、
前記杭頭部材は、前記杭と同一軸線上に配置されて前記杭頭に接合されていることを特徴とする杭頭免震構造。 - 前記杭頭部材と前記杭頭は機械式継手によって接合されており、
前記機械式継手は、
前記杭頭と同径に設定されるとともに前記杭頭の上端面に固定された環形状の第一固定部と、
前記杭頭部材の前記杭頭本体部と同径に設定されるとともに前記杭頭本体部の下端面に固定され、前記第一固定部の上面に載置された環形状の第二固定部と、
前記第一固定部と前記第二固定部に亘って配置されて当該第一固定部と第二固定部とを連結する連結部と、を有することを特徴とする請求項3に記載の杭頭免震構造。 - 前記杭頭部材は、前記杭頭側に位置し、溶接可能な材料からなる第一被溶接部を有しており、
前記杭頭は、前記杭頭部材側に位置し、溶接可能な材料からなる第二被溶接部を有しており、
前記第一被溶接部と前記第二被溶接部とが溶接によって接合されていることを特徴とする請求項3に記載の杭頭免震構造。 - 請求項3~5のいずれか一項に記載の杭頭免震構造の施工方法であって、
地盤に打設された前記杭の前記杭頭の上面に、前記杭頭部材を、前記杭と同一軸線上に配置して前記杭頭に接合する工程と、
前記杭頭部材の前記上端プレート部の上面に、前記免震装置を載置し、かつ当該免震装置の下端部を連結する工程と、を有することを特徴とする杭頭免震構造の施工方法。
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