JP7504267B1 - 炭酸カルシウム粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒度分布がシャープであり、かつ粒子径の小さい炭酸カルシウム粒子の製造方法を提供すること。【解決手段】上記炭酸カルシウム粒子の製造方法は、管状部材の内部を一方向に流動する、カルシウムを含むカルシウム含有溶液に、バブル状の二酸化炭素を導入して炭酸カルシウム粒子を晶出させる工程を含み、前記管状部材内での前記カルシウム含有溶液のレイノルズ数を2000以上30000以下に制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、炭酸カルシウム粒子の製造方法に関する。
炭酸カルシウム粒子は、プラスチック、紙および塗料等への充填材や、農薬および肥料等の土壌改良剤、接着剤、シーラントとして使用されたり、研磨作用を利用して消しゴムや歯磨剤として使用されたり、食品添加物や化粧品原料等として、幅広い分野で使用される。また最近では、炭酸カルシウム粒子を主原料としたシート・フィルム状の紙代替製品や、プラスチック代替製品が開発され、広く使用されている。紙代替製品としては、クリアファイル、名刺、冊子(パンフレット・写真集等)、販促POP、メニュー表、パッケージ、ポスター、電飾シート、シール・ラベル、マップ、マスクケース、タグの用途に使用されている。プラスチック代替製品としては、従来、プラスチックが用いられていた用途(各種成形品、例えばレジ袋・買い物袋、食品容器、飲料カップ、ハンガー、文房具、うちわ、化粧品容器、ボトル、建築資材等)に使用されている。
近年、温室効果ガスである二酸化炭素の排出量を低減するため、二酸化炭素をカルシウムと反応させ、炭酸カルシウムとして固定化することが検討されている。特許文献1および特許文献2には、コンクリートスラッジや鉄鋼スラグ等の廃棄物から水中に抽出されたカルシウムと二酸化炭素とを反応させる方法が記載されている。当該方法によれば、カルシウムを含有する廃棄物の廃棄量も減らすことができ、廃棄物による環境悪化も抑制できると期待される。また、特許文献3には、カルシウムを含むカルシウム含有溶液に二酸化炭素をファインバブルとして導入し、より効率よく炭酸カルシウムを合成することが記載されている。
一方、特許文献4には、各種成分への分散性に優れた炭酸カルシウムを合成するため、二酸化炭素(炭酸イオン)とカルシウムイオンとを反応させる際のレイノルズ数を調整することが記載されている。特許文献5には、バテライト結晶相を有する炭酸カルシウムを製造するため、二酸化炭素(炭酸イオン)とカルシウムイオンとを反応させる際のレイノルズ数を調整することが記載されている。さらに、特許文献6には、均一な粒子径の炭酸カルシウム粒子を製造するために、二酸化炭素(炭酸イオン)とカルシウムイオンとを反応させる際のレイノルズ数を調整することが記載されている。ただし、特許文献4~6のいずれの方法においても、炭酸イオンとカルシウムイオンとの反応は撹拌槽内、すなわちバッチ式で行っており、上記レイノルズ数は、撹拌翼の直径等に基づいて決定されるレイノルズ数(以下、「撹拌レイノルズ数」とも称する)であった。
特開2014-148432号公報 特開2023-035105号公報 特開2023-028788号公報 特開昭56-160322号公報 特表平5-509282号公報 特開平9-165217号公報
ここで、炭酸カルシウムを様々な用途に使用するためには、その粒度分布をシャープにしたり、小粒子径にしたりすることが求められる。しかしながら、上述のいずれの方法においても、得られる炭酸カルシウム粒子を小粒径にすることは難しく、さらにその粒度分布をシャープにすることは難しかった。例えば、上記特許文献6には、粒子径を均一にできると記載されているものの、本発明者らの検証によれば、炭酸カルシウム粒子の粒子径が比較的大きく、さらなる改良が必要であった。
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みなされたものである。具体的には、粒度分布がシャープであり、かつ粒子径の小さい炭酸カルシウム粒子を製造可能な方法の提供を目的とする。
本発明者らの鋭意検討によれば、管状部材内で、カルシウム化合物を含むカルシウム含有溶液中にバブル状の二酸化炭素を導入する工程を含む炭酸カルシウム粒子の製造方法において、管状部材を流動するカルシウム含有溶液のレイノルズ数を特定の範囲に制御することで、上記課題を解決出来る知見が得られ、本発明を完成させた。
本発明の一態様は、下記[1]~[4]の炭酸カルシウム粒子の製造方法を提供する。
[1]管状部材の内部を一方向に流動する、カルシウムを含むカルシウム含有溶液に、バブル状の二酸化炭素を導入して炭酸カルシウム粒子を晶出させる工程を含み、前記管状部材内での前記カルシウム含有溶液のレイノルズ数を2000以上30000以下に制御する、炭酸カルシウム粒子の製造方法。
[2]前記管状部材が、セラミックス製であり、前記管状部材の外部から二酸化炭素を圧入することで、前記管状部材の内部に前記バブル状の二酸化炭素を生成する、[1]に記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
[3]前記バブル状の二酸化炭素の平均粒子径が100μm以下である、[1]または[2]に記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
[4]前記炭酸カルシウム粒子を晶出させる工程における、前記カルシウム含有溶液のpHが7.0以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
本発明によれば、粒度分布がシャープであり、かつ粒子径の小さい炭酸カルシウム粒子を製造可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る炭酸カルシウム粒子の製造方法のフローチャートである。 図2は、図1に示す炭酸カルシウム粒子の製造方法を実施可能な製造装置の概略構成図である。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は当該実施形態に限定されない。また、本明細書において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
図1は、本発明の一実施形態に関する炭酸カルシウム粒子の製造方法のフローチャートである。図1に示すように、本実施形態ではカルシウムを含有するカルシウム含有溶液を準備する(準備工程S110)。そして、当該カルシウム含有溶液に、バブル状の二酸化炭素を導入し、炭酸カルシウム粒子を晶出させる(晶出工程S120)。その後、炭酸カルシウム粒子晶出後のカルシウム含有溶液をろ過して、炭酸カルシウム粒子を回収する(回収工程S130)。
本実施形態では、上記晶出工程S120において、カルシウム含有溶液を、管状部材の内部を一方向に流動させながら、バブル状の二酸化炭素を導入する。また当該管状部材内でのカルシウム含有溶液のレイノルズ数を2000以上30000以下に制御する。当該レイノルズ数は、2500以上29000以下が好ましく、3000以上28000以下がより好ましい。レイノルズ数が、2000以上であると、後述するが、二酸化炭素をカルシウム含有溶液中に均一に分散させて、炭酸カルシウムの核を多数生じさせることができる。したがって、粒度分布がシャープであり、かつ粒子径の小さい炭酸カルシウム粒子を製造できる。一方で、レイノルズ数が過度に大きくなると、特別な装置等が必要になるものの、さらなる効果が見込めない。これに対し、レイノルズ数が30000以下であれば、特別な装置が不要であり、また十分な効果が得られる。
上述のように、先行技術文献(例えば特許文献4~6)に記載されている撹拌レイノルズ数は、撹拌翼の直径やおよび撹拌翼先端部の周速、および撹拌される液体の動粘度に基づいて算出される値であり、バッチ式における流体の流動状態を表す値である。ただし、当該撹拌レイノルズ数は、撹拌翼の幅や段数等、槽内全体の循環流に影響を与える因子を無視している。つまり、レイノルズ数が同等であっても、撹拌翼の形状や、槽の形状等によって必ずしも流体が同様の状態になるとは言い難い。そのため、特許文献4~6等の技術では、得られる炭酸カルシウム粒子の粒度分布をシャープにしたり、その粒子径を小さくしたりすることが難しかった。
これに対し、本明細書で特定するレイノルズ数は、管状部材の内部を一方向に移動する流体のレイノルズ数である。本実施形態では、内部(流路)の断面が円形状であり、かつその内径が一定である管状部材を使用している。このような管状部材を流動する流体のレイノルズ数Reは、管状部材を流動する流体(本実施形態ではカルシウム含有溶液)の平均流速u(m/s)、管状部材の内径d(m)、および上記流体(カルシウム含有溶液)の動粘度v(m/s)に基づき、以下の式で求められる。なお、流体の動粘度は、JIS Z8803:2011に準拠した振動式粘度計(株式会社エー・アンド・デイ製)により測定される値である。
Re=u*d/v
本実施形態で特定する上記レイノルズ数によれば、管状部材を移動する流体の流動状態をより正確に表すことができる。そして本実施形態では、上記レイノルズ数を2000以上30000以下としていることから、管状部材内を流動するカルシウム含有溶液が乱流となる。このようなカルシウム含有溶液にバブル状の二酸化炭素を導入すると、バブル状の二酸化炭素がより細かく分断されて表面積が大きくなったり、バブル状の二酸化炭素がカルシウム含有溶液と接触しやすくなったりする。その結果、カルシウム含有溶液で炭酸イオンおよびカルシウムイオンの反応が生じやすく、炭酸カルシウムの核が多数生成される。そのため、最終的に得られる炭酸カルシウム粒子の粒子径が小さくなると考えられる。一方で、カルシウム含有溶液が乱流になることによって、バブル状の二酸化炭素がカルシウム含有溶液中に均一に分散されやすくなり、粒度分布がシャープになると考えられる。
ここで、本実施形態の炭酸カルシウム粒子の製造方法を行うことが可能な製造装置200の一例を図2に示す。ただし、本実施形態の炭酸カルシウム粒子の製造方法は、当該製造装置200を用いる方法に限定されない。
当該製造装置200は、上記晶出工程S120を行うための循環部230と、上記回収工程S130を行うための分離部250と、これらを制御するための制御部260と、を有する。
循環部230は、炭酸カルシウム粒子を晶出させるための晶出槽210と、カルシウム含有溶液310にバブル状の二酸化炭素を導入するためのバブル導入部220と、を有する。当該バブル導入部220が、上述の管状部材224を含む。また、循環部230は、晶出槽210およびバブル導入部220をつなぐ流路や、当該流路の開閉を制御する弁、流路でのカルシウム含有溶液310の流速や、その流動を制御するためのポンプ(不図示)等もさらに有する。循環部230は、バブル導入部220に接続された、二酸化炭素を供給するためのガスタンク222も有する。なお、循環部230は、その内部を循環するカルシウム含有溶液310の温度や流速を測定するための測定部242、カルシウム含有溶液310の温度や流速を調整するための調整部244等をさらに有していてもよい。
一方、分離部250は、循環部230で晶出した炭酸カルシウム粒子を分取するためのろ過部252や、当該ろ過部252と循環部230とを接続する流路等を有する。
また、制御部260は、上記循環部230および分離部250とデータの送受信が可能に構成されていればよい。制御部260は通常、CPU等の計算機と、ROMおよびRAM等の記憶部と、を有する。そして、制御部260が循環部230や分離部250各構成の動作や弁の開閉、ポンプの動作を制御することで、上記管状部材224内におけるレイノルズ数の調整を行ったり、製造装置200を作動させたりする。なお、制御部は必ずしも製造装置200の内部に備えられている必要はなく、製造装置200の外部に配置されていてもよい。
ここで、図2に示す製造装置200は、上記準備工程S110を行うための構成を含んでいないが、必要に応じて、カルシウム含有溶液を調製するための構成を含んでいてもよい。
以下、当該製造装置200を利用して、炭酸カルシウム粒子を製造する方法を詳しく説明する。
(準備工程S110)
準備工程S110では、カルシウム化合物を含むカルシウム含有溶液310を準備する。カルシウム含有溶液310はカルシウム化合物を溶解させるための溶媒も含む。なお、カルシウム含有溶液310は、本実施形態の目的を損なわない範囲で、カルシウム化合物および溶媒以外の成分(例えば夾雑物等)を含んでいてもよい。
カルシウム含有溶液310が含むカルシウム化合物は、溶媒に溶解して、カルシウムイオンを生成可能な化合物であれば特に制限されず、その例には、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム等が含まれる。
一方、カルシウム含有溶液310が含む溶媒は、カルシウム化合物を溶解させることが可能であれば特に制限されず、一例として水が挙げられる。水は、イオン交換水、水道水、工業用水等、いずれであってもよい。なお、カルシウム化合物が良好に溶解する限りにおいて、水以外の他の溶媒を使用してもよいし、水と他の溶媒との混合液を用いてもよい。
カルシウム含有溶液310中のカルシウムイオンの濃度は、800mg/L以上1900mg/L以下が好ましく、1000mg/L以上1700mg/L以下がより好ましい。カルシウム含有溶液310中のカルシウムイオン濃度が当該範囲であると、後述の晶出工程によって、さらに効率よく炭酸カルシウム粒子が晶出する。当該カルシウムイオンの濃度の測定方法は特に限定されず、公知の方法を適用できる。例えば誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)または誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)により濃度を測定することができる。
カルシウム含有溶液310の動粘度は、例えばカルシウム化合物の濃度等によって適宜調整可能である。
ここで、カルシウム含有溶液310の準備方法は特に制限されず、カルシウム化合物を含む原料(以下、「カルシウム原料」とも称する)と溶媒とを混合して調製してもよい。また、カルシウム原料が、カルシウム化合物とともに溶媒を含む場合には、これをそのままカルシウム含有溶液として使用してもよい。
カルシウム原料は、固体状であってもよいし、液体状(溶液状)であってもよく、スラリー状であってもよい。カルシウム原料の種類は特に限定されず、石灰石や大理石等の精製品であってもよいし、廃棄物等の回収品であってもよい。上記回収品の例には、コンクリートスラッジ、鉄鋼スラグ、廃コンクリート、石炭灰、バイオマス灰、焼却灰、廃石膏、アルカリ排水等が含まれる。これらのカルシウム原料は、中和処理や破砕処理または磨砕処理等の前処理を施されていてもよいし、前処理を施されていなくてもよい。
また、カルシウム含有溶液310を準備する際には、固液分離操作を行ってもよい。固液分離操作を行うと、夾雑物(微粒子等)の少ないカルシウム含有溶液とすることができ、後述の晶出工程において、より効率よく形状の炭酸カルシウム粒子を晶出させやすい。固液分離方法は特に限定されず、フィルタープレス、真空ベルトフィルター、真空回転ろ過機、スクリューデカンタ、および遠心脱水機等の公知の固液分離装置を用いた分離とすることができる。また、固液分離後、さらにナトリウム、カリウムおよびマグネシウム等を含む凝集剤を添加し、コロイド粒子等の微粒子を凝集し、さらに取り除いてもよい。
(晶出工程S120)
晶出工程S120では、上記準備工程S110で準備したカルシウム含有溶液310にバブル導入部220の管状部材224内でバブル状の二酸化炭素を導入し、晶出槽210内で炭酸カルシウム粒子を晶出させる。本実施形態の製造装置200では、カルシウム含有溶液310を晶出槽210およびバブル導入部220の間を循環させることで、炭酸カルシウム粒子を効率よく生成させる。
ここで、上記晶出槽210は、所望の量のカルシウム含有溶液310を収容可能であれば、その大きさ等は適宜選択される。また、本実施形態では、晶出槽210内にモーター212により駆動される撹拌器214が配置されているが、当該構成に限定されない。
一方、バブル導入部220は、カルシウム含有溶液310を流動させるための管状部材224と当該管状部材224内部にバブル状の二酸化炭素を供給するための構成とを有する。当該構成は、二酸化炭素を含むガスを貯留するガスタンク222と接続されている。バブル導入部220は、カルシウム含有溶液310にバブル状の二酸化炭素を導入することが可能であり、かつ管状部材224内部のカルシウム含有溶液310のレイノルズ数を上述の範囲に制御することが可能であれば、その構成は特に制限されない。本実施形態のバブル導入部220は、管状の多孔質セラミックス(管状部材224)と、当該管状の多孔質セラミックスの外側に配置されたガス圧入部(図示せず)と、を有する。当該バブル導入部220では、管状の多孔質セラミックスの内部が、カルシウム含有溶液310を流動させるための流路となる。一方、ガス圧入部は、ガスタンク222と接続されており、ガスタンク222から供給された二酸化炭素を含むガスを一時的に貯留するためのガス溜まりを有する。当該ガス圧入部のガス溜まりにガスを圧入すると、圧力によってガスが多孔質セラミックス内に侵入し、これを通過する。その結果、ガスが気泡となって、多孔質セラミックス内を流動するカルシウム含有溶液310に導入される。当該バブル導入部220によれば、バブル状の二酸化炭素の平均粒子径を小さくしやすく、さらにカルシウム含有溶液310のレイノルズ数を制御しやすい。さらに、当該バブル導入部220によれば、異物の混入も生じにくく、高粘度の材料溶液にもバブル状の二酸化炭素を導入できるという利点がある。
ここで、上記多孔質セラミックス(管状部材224)の内径は、レイノルズ数が上記範囲に収まるように適宜選択される。
また、当該バブル導入部220における管状の多孔質セラミックスの長さ、すなわちバブル状の二酸化炭素を導入する領域の長さは、所望のガス導入量に応じて適宜選択される。なお、ガスの導入条件は特に限定されない。例えば、バブル(ガス)の導入速度は、0.01L/min以上10L/min以下とすることができる。
カルシウム含有溶液310中に導入するガス中の二酸化炭素の濃度は特に限定されず、例えば導入するガスのうち10体積%以上100体積%以下とすることができる。二酸化炭素濃度を10体積%以上とすることで、より短時間で炭酸カルシウム粒子を晶出させることができる。当該ガスは、工場排ガスや、石油および天然ガスの燃焼排ガス、および廃棄物の焼却排ガス等であってもよい。これらの排ガスを使用することで、大気中への二酸化炭素の排出量を低減して、環境負荷の低減に寄与することができる。
また、カルシウム含有溶液310に導入するバブル状の二酸化炭素(もしくはこれを含むガス)の平均粒子径は特に制限されず、管状の多孔質セラミックスを管状部材224として使用する場合には、その孔径によって決定される。本実施形態では、バブル状の二酸化炭素(もしくはこれを含むガス)の平均粒子径が数mm~数百mm程度であってもよい。ただし、バブルの表面積をさらに大きくし、カルシウム含有溶液に二酸化炭素を溶解しやすくするとの観点で、平均粒子径は小さいことが好ましい。具体的には、100μm以下が好ましく、1μm以上100μm以下がより好ましく、5μm以上50μm以下がさらに好ましい。本明細書では、平均粒子径が100μm以下の気泡をファインバブルとも称する。
また、本実施形態では、管状の多孔質セラミックス内でのカルシウム含有溶液310の流速を調整し、カルシウム含有溶液310のレイノルズ数を調整する。当該流速は、カルシウム含有溶液310の動粘度や、管状部材224の内径に応じて適宜選択される。
一方、バブル状の二酸化炭素を導入するときの材料溶液のpHは、7.0以上であることが好ましい。pHを7.0以上とすることで、晶出した炭酸カルシウムとして晶出したカルシウムの再溶解を抑止することができる。材料溶液のpHは、7.0以上13.0以下であることが好ましく、8.0以上13.0以下であることがより好ましい。
また、バブルの導入時間(循環部230におけるカルシウム含有溶液310の循環時間)は特に制限されないが、例えば60分以上240分以下とすることができる。
なお、本工程では、上記カルシウム含有溶液310に種結晶を投入し、炭酸カルシウム粒子の晶出を促進させてもよい。ただし、種結晶の表面で結晶が成長することや、新たな結晶核の生成を促進することによる、形状のばらつきを抑制する観点からは、種結晶を投入しないことが好ましい。
また、上述のバブル導入部220の管状部材224や、管状部材224内部にバブル状の二酸化炭素を供給するための構成は、上述したものに限定されない。例えば、バブル導入部220が、気液混合せん断式、スタティックミキサー式、ベンチュリ式、キャビテーション式、蒸気凝縮式、超音波式、旋回噴流式、加圧溶解式等を利用したバブルを発生させるための構成を有していてもよい。
(回収工程S130)
回収工程S130では、上述の晶出工程S120後のカルシウム含有溶液310を回収し、炭酸カルシウム粒子と、それ以外の成分とを分離する。本実施形態では、炭酸カルシウム粒子を晶出させたカルシウム含有溶液310を、分離部250が有するろ過部252によってろ過し、炭酸カルシウム粒子を回収する。ろ過部252では、吸引ろ過等、公知の方法でろ過を行う。回収した炭酸カルシウム粒子は、必要に応じて乾燥や粉砕してもよい。また、用途に応じて、脂肪酸等による表面処理を施してもよい。
一方、ろ過によりろ別された液体成分(処理液)は、廃液処理後、廃棄してもよい。また、他の用途に使用してもよく、カルシウム含有溶液として再利用してもよい。
(その他)
本実施形態の炭酸カルシウム粒子の製造方法は、上述の準備工程S110、晶出工程S120、および回収工程S130以外の工程を有していてもよい。例えば、循環部230を循環するカルシウム含有溶液の温度や流速等を測定部242で測定する工程や、測定された値が所定の範囲内にあるかを制御部260で判定する工程、判定された結果に基づいて、温度や流速等を調整部244で調整する工程等をさらに有していてもよい。
[炭酸カルシウム粒子、およびその用途]
上述の方法で得られる炭酸カルシウム粒子は、平均粒子径(D50)が0.5μm以上5μm以下であることが好ましく、1.0μm以上4.8μm以下であることがより好ましい。炭酸カルシウム粒子の平均粒子径が5μm以下であると、炭酸カルシウム粒子を各種プラスチックや紙、ゴム等、様々な材料に分散させやすくなり、多種多様な用途に使用しやすくなる。一方、平均粒子径(D50)が0.5μm以上であると、取扱性が良好になりやすい。
一方、炭酸カルシウム粒子の粒度分布を表す、平均粒子径(D90)/平均粒子径(D50)は2.5未満が好ましく、2.4以下がより好ましい。粒度分布が2.5未満であると、炭酸カルシウム粒子の物性が安定しやすく、さらに用途に使用しやすくなる。なお、本明細書において、炭酸カルシウム粒子の粒子径(平均粒子径、D50、D90等)は、レーザ回折式粒度分布測定装置によって測定された値とする。
上記炭酸カルシウム粒子の結晶相は特に制限されないが、主にカルサイトであることが好ましい。ただし、炭酸カルシウム粒子の一部に異なる結晶相が含まれていてもよい。なお、カルサイトは炭酸カルシウムの安定相として知られており、他の結晶相(アラゴナイトやバテライト等)と比較して結晶形態が安定している。したがって、炭酸カルシウム粒子が主にカルサイトであると、炭酸カルシウム粒子を様々な用途に使用しやくなる。炭酸カルシウム粒子の結晶相はX線回折法(XRD)により特定される。
上述の炭酸カルシウム粒子は特に制限されず、そのまま使用してもよく、他の成分と混合して使用してもよい。用途の例には、プラスチック、紙および塗料等への充填材、農薬および肥料等の土壌改良剤、接着剤、シーラント、研磨作用を利用した消しゴムや歯磨剤、炭酸カルシウムを主原料としたシート・フィルム状の紙代替製品や、プラスチック代替製品ならびに、食品添加物および化粧品原料等が含まれる。
本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[実施例1]
市販のポルトランドセメントを用意し、カルシウム原料とした。800gのカルシウム原料と、3200mLのイオン交換水とを混合し、撹拌してカルシウム原料を懸濁させた懸濁液を得た。その後、固液分離装置により上記懸濁液をろ過し、カルシウム含有溶液を得た。当該カルシウム含有溶液中のカルシウム量を、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-OES)により測定した。カルシウム含有溶液の動粘度は、0.939mm/sであった。上記動粘度はJIS Z8803:2011に準拠した振動式粘度計(株式会社エー・アンド・デイ製 FEM-1000V-ST)により測定した。
上記カルシウム含有溶液のpHを7.0以上に調整した。そして、当該カルシウム含有溶液を図2に示す循環部230の晶出槽210に投入し、循環部230内を循環させた。バブル導入部220には、二酸化炭素(CO)と窒素(N)との混合ガスを導入し、ファインバブルを発生させた。混合ガス中のCO濃度は、10体積%とした。さらに、バブル導入部220を流れるカルシウム含有溶液の速度(流速)は2.2m/sとした。なお、バブル導入部220としては、管状の多孔質セラミックス(管状部材224)と、その外部に配置されたガス圧入部とを有する、株式会社ノリタケカンパニーリミテド社製のインライン型FB試験装置(管状部材224の内径100mm)を使用した。導入するファインバブルの平均粒子径は、50μmに調整した。導入時の混合ガスの流量は、50mL/minとした。
ファインバブルを導入開始から60分経過した時点でファインバブルの導入を停止して、カルシウム含有溶液に対して吸引ろ過を行って、炭酸カルシウム粒子を得た。得られた平均粒子径(D50)および(D90)を、レーザ回折式粒度分布測定装置により求めた。
[実施例2~4]
上記カルシウム含有溶液を得る際の撹拌条件を変更してカルシウム含有溶液中のカルシウム量や動粘度が異なるカルシウム含有溶液をそれぞれ準備した。また、バブル導入部220内でのカルシウム含有溶液の流速を表1に示すように変更した。さらに、実施例4では、二酸化炭素のバブルサイズを変更した。これらの変更以外は、実施例1と同様に炭酸カルシウム粒子を得た。
[比較例1および2]
上記カルシウム含有溶液を得る際の撹拌条件を変更してカルシウム含有溶液中のカルシウム量や動粘度が異なるようにカルシウム含有溶液をそれぞれ準備した。また、バブル導入部220内でのカルシウム含有溶液の流速を表1に示すようにした。さらに、比較例2では、バッチ式に変更し、二酸化炭素のバブルサイズを変更した。これらの変更以外は、実施例1と同様に炭酸カルシウム粒子を得た。
Figure 0007504267000002
[考察]
上記表1に示すように、バブル導入部の管状部材224内でのカルシウム含有溶液のレイノルズ数が2000以上30000以下であると、平均粒子径(D50)が4.5μm以下となり、さらにその粒度分布((D90)/(D50))が2.4以下になった(実施例1~3)。つまり、小粒子径かつ粒度分布がシャープな炭酸カルシウム粒子が得られた。
一方、レイノルズ数が2000未満であると、平均粒子径(D50)は5.0μmであったが、粒度分布が16.4と非常に大きかった(比較例1)。管状部材内での二酸化炭素の分布にばらつきが生じたことが考えられる。一方、バッチ式で炭酸カルシウム粒子を作製した場合には、平均粒子径(D50)を十分に小さくすることができなかった(比較例2)。
本発明の製造方法によれば、粒度分布がシャープであり、かつ粒子径の小さい炭酸カルシウム粒子を得ることが可能である。したがって、各種用途への炭酸カルシウムの普及をさらに促進すると期待される。
200 製造装置
210 晶出槽
212 モーター
214 撹拌器
220 バブル導入部
222 ガスタンク
224 管状部材
230 循環部
242 測定部
244 調整部
250 分離部
260 制御部
252 ろ過部
310 カルシウム含有溶液

Claims (4)

  1. 管状部材の内部を一方向に流動する、カルシウムを含むカルシウム含有溶液に、バブル状の二酸化炭素を導入して炭酸カルシウム粒子を晶出させる工程を含み、
    前記管状部材内での前記カルシウム含有溶液のレイノルズ数を2000以上30000以下に制御する、
    炭酸カルシウム粒子の製造方法。
  2. 前記管状部材が、セラミックス製であり、
    前記管状部材の外部から二酸化炭素を圧入することで、前記管状部材の内部に前記バブル状の二酸化炭素を生成する、
    請求項1に記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
  3. 前記バブル状の二酸化炭素の平均粒子径が100μm以下である、
    請求項1に記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
  4. 前記炭酸カルシウム粒子を晶出させる工程における、前記カルシウム含有溶液のpHが7.0以上である、
    請求項1に記載の炭酸カルシウム粒子の製造方法。
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