ここで本発明をより詳細に記載する:
故に、本発明は、炭酸水素カルシウム溶液の調製のための装置を提供し、この装置は、
a)少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの投与ユニットと、
b)マルチプルバッチシステムであって、
xii)少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えたマスターバッチラインであって、
iv)少なくとも1つのガス投与入口、
v)少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの混合ユニット、および
vi)少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの槽
を、循環連通した状態で含むマスターバッチライン、ならびに
xiii)少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つのスレーブバッチラインであって、
iv)少なくとも1つのガス投与入口、
v)少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの混合ユニット、および
vi)少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの槽
を循環連通した状態で含むスレーブバッチライン
を含むマルチプルバッチシステムと、
c)少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの膜濾過ユニットと
を、循環連通の状態で含む。
本発明の装置は、炭酸水素カルシウムのいずの溶液の調製に適用可能である。特に、本発明の装置は、炭酸水素カルシウムのいずれの溶液の連続調製に適用可能である。好ましくは本発明の装置は、水の再ミネラル化のために好適な炭酸水素カルシウムのいずれの溶液の調製に適用可能である。
例えば、本発明の装置において調製できる炭酸水素カルシウム溶液は、脱塩または天然軟水の再ミネラル化に好適である。
本発明の装置において調製された炭酸水素カルシウム溶液を用いることによって再ミネラル化できる水は、種々の供給源から誘導できる。例えば、再ミネラル化されるべき水は、飲料水、レクリエーション水、例えばスイミングプールの水、処理用途のための産業水、灌漑用水、または帯水層もしくは井戸涵養のための水から選択される。加えてまたは代わりに、再ミネラル化されるべき水は、蒸留水、脱塩水、例えば脱塩海水、汽水または塩水、処理廃水または天然水、例えば地下水、表層水または降雨から選択できる。
本発明の装置において調製された炭酸水素カルシウム溶液を用いることによって再ミネラル化されるべき水は予備処理できる。予備処理は、例えば水が表層水、地下水または雨水から誘導される場合には必要であり得る。例えば、飲料水のガイドラインを達成するために、汚染物質、例えば有機物および所望でないミネラルを除去するために、化学的または物理的技術の使用を通して水は処理される必要がある。例えば、オゾン処理が第1の予備処理工程として使用でき、続いて第2の処理工程として凝固、凝集、またはデカンテーションを使用できる。例えば、鉄(III)塩、例えばFeClSO4またはFeCl3、またはアルミニウム塩、例えばAlCl3、Al2(SO4)3またはポリアルミニウムが凝集剤として使用できる。凝集した材料は、サンドフィルタまたは多層フィルタによって水から除去できる。さらに、水を予備処理するために使用できる水精製方法は、例えばEP1975310、EP1982759、EP1974807、またはEP1974806に記載される。
海水または汽水が、本発明の装置において調製された炭酸水素カルシウム溶液を用いることによって再ミネラル化されるべきである場合、海水または汽水は、外洋の取り込みまたは地下水の取り込み、例えば井戸によって、まず海からポンプ輸送され、次いで物理的予備処理、例えばスクリーニング、沈降または砂除去工程が行われる。必要とされる水質に応じて、追加の処理工程、例えば凝固および凝集は、膜上の潜在的な汚染を低減するために必要であり得る。予備処理された海水または汽水は、次いで、例えば多段階フラッシュ、多重効用蒸留または膜濾過、例えば限外濾過または逆浸透を用いて蒸留でき、残留粒子および溶解した物質を除去できる。
再ミネラル化されるべき水は、少なくとも部分的に微粉化炭酸カルシウムと接触させ、例えば炭酸カルシウムの水性懸濁液を得て、これを続いて本発明の装置を用いることによって炭酸水素カルシウム溶液に転化させる。炭酸水素カルシウムの得られた溶液はさらに、再ミネラル化されるべき水の主要なストリームの再ミネラル化のために使用される。これは、本発明の装置において調製された炭酸水素カルシウムの濃縮溶液を再ミネラル化されるべき水で希釈することによって行われる。
好ましくは、本発明の装置において調製された炭酸水素カルシウム溶液を用いることによって得られた再ミネラル化された水は、15から200mg/l、好ましくは30から150mg/l、最も好ましくは100から125mg/l、または15から100mg/l、好ましくは20から80mg/l、最も好ましくは40から60mg/lの炭酸カルシウムとしてのカルシウム濃度を有する。
本発明の趣旨上、「懸濁液」または「スラリー」は、溶媒、即ち水性溶媒と炭酸カルシウムおよび/または炭酸水素カルシウムシムの粒子とを含む系を指し、ここで炭酸カルシウムおよび/または炭酸水素カルシウムの粒子の少なくとも一部は、水性溶媒中で不溶性の固体として存在する。この用語は、炭酸カルシウムおよび/または炭酸水素カルシウム粒子の一部が水性溶媒に溶解することを排除しない。本発明の意味において用語「溶液」は、水性溶媒と、炭酸カルシウムおよび/または炭酸水素カルシウムの粒子とを含む系を指し、ここで、炭酸カルシウムおよび/または炭酸水素カルシウムの粒子は、水性溶媒に溶解される。本発明の意味において用語「溶解した」は、区別可能な固体粒子が水性溶媒中で観察されない系を指す。
しかし、用語「水性溶媒」は、水性溶媒が微量の少なくとも1つの水混和性溶媒を含むことを排除しない。
例えば少なくとも1つの水混和性溶媒は、好ましくはメタノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフランおよびこれらの混合物から選択される。
本発明の1つの実施形態において、水性溶媒は、水性溶媒の総重量に基づいて、少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%、さらにより好ましくは少なくとも99重量%の量で水を含む。
本発明の1つの実施形態によれば、本発明の装置において調製された炭酸水素カルシウム溶液を用いることによって得られる再ミネラル化水はさらに、再ミネラル化水の最終pHを調節するために、少量の水酸化ナトリウムで処理できる。
本発明の1つの実施形態によれば、本発明の装置において調製された炭酸水素カルシウム溶液を用いることによって得られた再ミネラル化水は、−1から2、好ましくは−0.5から0.5、最も好ましくは−0.2から0.2のランゲリア飽和指数を有する。本発明の別の実施形態によれば、本発明の装置において調製された炭酸水素カルシウム溶液を用いることによって得られた再ミネラル化水は、5未満、好ましくは4未満、最も好ましくは3未満のシルト密度指数SDI15を有する。本発明のさらに別の実施形態によれば、本発明の装置において調製された炭酸水素カルシウム溶液を用いることによって得られた再ミネラル化水は、4未満、好ましくは2.5未満、最も好ましくは2未満の膜ファウリング指数MFI0.45を有する。
本発明に使用される場合、用語「ランゲリア飽和指数(LSI)」は、水性液体のスケール形成性または腐食性である傾向を記載し、正のLSIは、スケール形成傾向を示し、負のLSIは、腐食性特徴を示す。故に、平衡化ランゲリア飽和指数、即ちLSI=0は、水性液体が化学的な平衡状態にあることを意味する。LSIは以下:
LSI=pH−pHs
のように計算され、
式中、pHは、水性液体の実際のpH値であり、pHsは、CaCO3飽和での水性液体のpH値である。pHsは、以下:
pHs=(9.3+A+B)−(C+D) のように見積もることができ、
式中、Aは、水性液体中に存在する総溶解固体(TDS)の数値指標であり、Bは、K単位の水性液体の温度の数値指標であり、Cは、CaCO3のmg/lの水性液体のカルシウム濃度の数値指標であり、Dは、CaCO3のmg/l単位の水性液体のアルカリ度の数値指標である。パラメータAからDは、以下:
A=(log10(TDS)−1)/10、
B=−13.12×log10(T+273)+34.55、
C=log10[Ca2+]−0.4、
D=log10(TAC)、
の方程式を用いて決定され、
式中TDSは、mg/l単位の総溶解固体であり、Tは℃単位の温度であり、[Ca2+]はCaCO3のmg/l単位の水性液体のカルシウム濃度であり、TACはCaCO3のmg/l単位の水性液体のアルカリ度である。
本発明で使用される場合、用語「シルト密度指数(SDI)」は、水中の粒子状物質の量を指し、逆浸透またはナノ濾過システムのファウリング傾向と相関する。SDIは、例えば水が208.6kPaの一定適用水圧にて通過する場合に、0.45μmの膜フィルタのプラッギング割合から計算できる。SDI15値は、15分の間に水が208.6kPaの一定適用水圧にて通過する場合に、0.45μmの膜フィルタのプラッギング割合から計算される。通常、渦巻き構造の逆浸透システムは、5未満のSDIを必要とし、中空繊維逆浸透システムは3未満のSDIを必要とする。
本発明に使用される場合、用語「修正ファウリング指数(MFI)」は、懸濁物質の濃度を指し、逆浸透またはナノ濾過膜を汚染する水の傾向を予測するためにSDIよりも正確な指数である。MFIを決定するために使用できる方法は、体積が15分の濾過期間にわたって30秒ごとに記録されることを除いてSDIの場合と同じであることができる。MFIは、t/VがVに対してプロットされる場合(tはリットル単位のVの体積を収集するための秒単位の時間である。)、曲線の直線部分の傾きとしてグラフから得ることができる。<1のMFI値は約<3のSDI値に対応し、コロイド状および粒子状ファウリングを制御するのに十分低いと考えることができる。
本発明の装置において調製された炭酸水素カルシウム溶液を用いることによって得られた再ミネラル化された水は、15から200mg/l、好ましくは30から150mg/l、最も好ましくは100から125mg/l、または15から100mg/l、好ましくは20から80mg/l、最も好ましくは40から60mg/lの炭酸カルシウムとしてのカルシウム濃度を有することがさらに理解される。
本発明の装置を用いることによって炭酸水素カルシウム溶液に転化される炭酸カルシウムの水性懸濁液は、好ましくは50から2,000mg/l、好ましくは100から1,750mg/l、最も好ましくは500から1,500mg/lの懸濁液中の炭酸カルシウムの初期濃度を有する。
炭酸カルシウムの水性懸濁液の調製のために使用される炭酸カルシウムは、好ましくは微粉化炭酸カルシウムである。
本発明の趣旨上、用語「微粉化」は、マイクロメートル範囲の粒径、例えば0.1から100μmの粒径を指す。微粉化粒子は、湿式または乾式条件下で、摩擦に基づく技術によって、例えばミル加工または粉砕によって得られることができる。しかし、いずれかの他の好適な方法、例えば沈澱、超臨界溶液の迅速な膨張、スプレー乾燥、天然砂または泥の分類または細分、水の濾過、ゾル−ゲル方法、噴霧反応合成、火炎合成または液泡合成によって微粉化粒子を製造することもできる。
例えば、微粉化炭酸カルシウムは、0.1から100μm、0.5から50μm、1から30μm、好ましくは2から25μm、最も好ましくは5から25μmの重量メディアン粒径d50を有し、または炭酸カルシウムは、1から50μm、2から40μm、好ましくは3から30μm、最も好ましくは10から25μmの重量メディアン粒径d50を有する。
本文書全体を通して、炭酸カルシウム生成物の「粒径」は、この粒径分布によって記載される。値dxは、粒子のx重量%がdx未満の粒径を有する直径を表す。これは、d20値は、すべての粒子の20重量%がこの粒径よりも小さい粒径であり、d75値は、すべての粒子の75重量%がこの粒径よりも小さい粒径であることを意味する。故にd50値は、重量メディアン粒径であり、即ちすべてのグレインの50重量%が、この粒径よりも大きいまたは小さい。本発明の趣旨上、粒径は、特に断らない限り、重量メディアン粒径d50として特定される。0.5μmを超えるd50を有する粒子の重量メディアン粒径d50を決定するために、Micromeritics,USA社からのSedigraph5100デバイスが使用できる。
好適な炭酸カルシウムの例は、重質炭酸カルシウム、改質炭酸カルシウムまたは軽質炭酸カルシウム、またはこれらの混合物である。
本発明の意味において「重質炭酸カルシウム(GCC)」は、大理石、チョークまたは石灰石またはドロマイトを含む天然源から得られる炭酸カルシウムである。カルサイトは、炭酸塩材料であり、炭酸カルシウムの最も安定な多形体である。炭酸カルシウムの他の多形体は、ミネラルアラゴナイトおよびバテライトである。アラゴナイトは、380から470℃にてカルサイトに変化し、バテライトはさらに安定性が劣る。重質炭酸カルシウムは、粉砕、スクリーニングおよび/または湿式および/または乾式による細分、例えばサイクロンによる細分のような処理を通して加工処理される。重質炭酸カルシウムは、ドロマイト石灰石の場合と同様に、固有に規定濃度のマグネシウムを含有し得ることが当業者に知られている。
本発明の意味において「軽質酸カルシウム(PCC)」は、一般に、水性環境での二酸化炭素および石灰の反応の後の沈澱、または水中のカルシウムおよび炭酸塩供給源の沈澱によって、またはカルシウムおよび炭酸イオン、例えばCaCl2およびNa2CO3の溶液からの沈澱によって得られる合成された材料である。軽質炭酸カルシウムは、3つの主要な結晶形態:カルサイト、アラゴナイトおよびバテライトで存在し、これらの結晶形態のそれぞれについて多くの異なる多形体(晶癖)がある。カルサイトは、偏三角面体形(scalenohedral)(S−PCC)、りょう面体形(R−PCC)、六方晶系角柱、卓面体、コロイド状(C−PCC)、立方体、および角柱状(P−PCC)のような典型的な晶癖を有する三方晶構造を有する。アラゴナイトは、双晶六方晶系角柱結晶の典型的な晶癖を有する斜方晶系構造であり、ならびに薄く細長い角柱、湾曲ブレード状、急勾配のピラミッド状、チゼル形結晶、分岐樹木状、およびサンゴまたは虫様形態の多用な分類を有する。
本発明の意味において「改質炭酸カルシウム」は、表面反応天然炭酸カルシウムであり、天然炭酸カルシウムを、場合により、少なくとも1つのケイ酸アルミニウムおよび/または少なくとも1つの合成シリカおよび/または少なくとも1つのケイ酸カルシウムおよび/または少なくとも1つの一価の塩のケイ酸塩、例えばケイ酸ナトリウムおよび/またはケイ酸カリウムおよび/またはケイ酸リチウム、および/または少なくとも1つの水酸化アルミニウムおよび/または少なくとも1つのケイ酸ナトリウムおよび/またはケイ酸カリウムの存在下、2.5以下の25℃でのpKaを有する1つ以上の酸およびインサイチュで形成されたおよび/または外部供給源からのガス状CO2と反応させる方法によって得られる。表面反応天然炭酸カルシウムの調製についてのさらなる詳細は、WO00/39222およびUS2004/0020410A1に開示され、これら参照文献の内容は、本特許出願に含まれる。
炭酸カルシウムは、好ましくは重質炭酸カルシウム(GCC)である。炭酸カルシウムは、3.0から25.0μmの粒径を有する重質炭酸カルシウムであることがさらに好ましい。
加えて、炭酸カルシウムは、炭酸カルシウムの総重量に基づいて、0.02から2.5重量%、0.05から1.5重量%、または0.1から0.6重量%のHCl不溶分を含むことができる。好ましくは、炭酸カルシウムのHCl不溶分は、炭酸カルシウムの総重量に基づいて、0.6重量%を超えない。HCl不溶分は、例えば石英、ケイ酸塩または雲母のようなミネラルであることができる。
炭酸カルシウムに加えて、炭酸カルシウム水性懸濁液は、微粉化ミネラルをさらに含むことができる。1つの実施形態によれば、炭酸カルシウムの水性懸濁液は、微粉化炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、例えばドロマイト質石灰石、カルシウム質ドロマイトまたは半焼成ドロマイト、酸化マグネシウム、例えば焼成ドロマイト、硫酸マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは必須微量成分を含有する他のミネラルを含むことができる。
好ましくは炭酸カルシウムの水性懸濁液は新しく調製される。炭酸カルシウムの水性懸濁液のオンサイト調製が好ましい場合がある。この理由は、炭酸カルシウムの水性懸濁液は、オンサイトおよび/または新たに調製されない場合に、さらなる試剤、例えば安定剤または殺生物剤を、炭酸カルシウムの水性懸濁液に添加することが安定性の理由から必要となり得るからである。しかし、こうした試剤は、最終的な再ミネラル化水に、例えば健康問題に関して所望でない化合物であり得る。
本発明の1つの実施形態によれば、炭酸カルシウムの水性懸濁液の調製と、炭酸カルシウムの水性懸濁液のマルチプルバッチシステムへのさらなる投与との間の期間は、炭酸カルシウムの水性懸濁液中での細菌増殖を回避するのに十分短い。
例えば、炭酸カルシウムの水性懸濁液の調製と、炭酸カルシウムの水性懸濁液のマルチプルバッチシステムへのさらなる投与との間の期間は、48時間未満、24時間未満、12時間未満、5時間未満、2時間未満または1時間未満である。好ましくは、炭酸カルシウムの注入された懸濁液は、飲料水のための国のガイドラインによって特定される微生物学的品質要件に適合する。
炭酸カルシウムの水性懸濁液は、好ましくは本発明の装置を構成する部分である少なくとも1つの投与ユニットにおいて調製される。好ましくは、本発明の装置は、炭酸カルシウムの水性懸濁液のマルチプルバッチシステム、即ちマスターバッチラインおよび/または少なくとも1つのスレーブバッチラインへのさらなる投与に好適な1つの投与ユニットを含む。
本発明の装置の少なくとも1つの投与ユニットは、多様な機能を組み合わせる。特に、投与ユニットは、例えば所望の初期含有量の未溶解炭酸カルシウムを、微量の既に溶解した炭酸カルシウム、例えば炭酸水素カルシウムと共に、水性懸濁液の水相中に含む水性懸濁液を得るために、適切な比で水と炭酸カルシウムとを混合できる。さらに、本発明の装置の少なくとも1つの投与ユニットは、流体中の微粒子の均質な分布が得られるように、水と炭酸カルシウムとを最適に混合できる。混合は、好ましくはインラインミキサで行われる。インラインミキサは回転速度が制御できる。
故に本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つの投与ユニットは、給水部および固体材料、即ち炭酸カルシウムのための貯蔵容器に接続されている。
水は、当業者に既知のいずれかの従来のポンプ輸送手段によって少なくとも1つの投与ユニットに供給されるのが好ましい。本発明の1つの実施形態において、水は、当業者に既知のいずれかの従来のポンプ輸送手段によって少なくとも1つの投与ユニットに供給され、液体、即ち水のより正確な投与を可能にする。例えば、水は、好ましくは水フローの制御下、当業者に既知のフローメーターまたは計量手段のような計測手段によって少なくとも1つの投与ユニットにポンプ輸送される。
加えてまたは代わりに、炭酸カルシウムは、当業者に既知のいずれかの従来の供給手段によって、少なくとも1つの投与ユニットの液体、即ち水に貯蔵容器から供給される。本発明の1つの実施形態において、炭酸カルシウムは、当業者に既知の従来の供給手段によって水に供給され、固体材料、即ち炭酸カルシウムのより正確な投与を可能にする。例えば、炭酸カルシウムは、当業者に既知のスクリュー手段または計量手段のような供給手段によって水に供給される。
少なくとも1つの投与ユニットは、少なくとも1つの膜濾過ユニットに接続されていることがさらに理解される。好ましくは、少なくとも1つの投与ユニットは、少なくとも1つの膜濾過ユニットにて得られる残渣が、本発明の装置の少なくとも1つの投与ユニットに戻されて循環されるように少なくとも1つの膜濾過ユニットに接続されている。
本願の意味において用語「残渣」は、少なくとも1つの膜濾過ユニットに保持され、従って少なくとも1つの膜濾過ユニットのフィルタシステムを通過しなかった炭酸水素カルシウム溶液中に存在する未溶解部分を指す。
好ましくは、少なくとも1つの投与ユニットの体積は、1lから1,000kl、好ましくは10lから500kl、より好ましくは10lから250kl、最も好ましくは10lから100klの範囲である。少なくとも1つの投与ユニットの体積は、マスターバッチラインに提供された少なくとも1つの槽およびマルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインに提供された少なくとも1つの槽の総体積に比例することがさらに理解される。即ち、マスターバッチラインに加えてさらにスレーブバッチラインが、装置のマルチプルバッチシステムに提供されるにつれて、装置を構成する部分である少なくとも1つの投与ユニットの体積がさらに大きくなる。少なくとも1つの投与ユニットの体積が、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインまたは少なくとも1つのスレーブバッチラインに提供される少なくとも1つの槽の体積に対応することが好ましい。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの投与ユニットの体積は、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインに提供される少なくとも1つの槽の体積の合計に少なくとも対応する。
この点に関して、少なくとも1つの投与ユニットが、炭酸カルシウムを含む懸濁液を組み合わせおよび/または混合しおよび/または撹拌しおよび/または供給するための、当業者に周知のいずれかの種類の投与ユニットであることができることが理解される。
例えば、少なくとも1つの投与ユニットは、J.F.Knauer GmbH,GermanyからKnauer投与ステーション、IKA混合システムMHD 2000またはSodimateとして入手可能な投与ユニットである。
少なくとも1つの投与ユニットの1つの特定要件は、本発明のマルチプルバッチシステム、即ちマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインに炭酸カルシウムの水性懸濁液を供給できることである。故にマルチプルバッチシステムが少なくとも1つの投与ユニットに接続されていることが必要とされる。故にマルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは少なくとも1つの投与ユニットに接続されていることが理解される。さらに、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインは、少なくとも1つの投与ユニットに接続されていることが理解される。
従って、少なくとも1つの投与ユニットの少なくとも1つの出口は、マスターバッチラインの少なくとも1つの入口に接続されており、および少なくとも1つの投与ユニットの少なくとも1つの出口は、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの入口に接続されているのが好ましい。少なくとも1つの投与ユニットの少なくとも1つの出口が、個々のスレーブバッチラインの少なくとも1つの入口に独立して接続されていることが理解される。
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの投与ユニットは、炭酸カルシウムの水性懸濁液を、同時に本発明のマルチプルバッチシステムのマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインに供給できる。代わりに、少なくとも1つの投与ユニットは、炭酸カルシウムの水性懸濁液を、互いに独立に、本発明のマルチプルバッチシステムのマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインに供給できる。
好ましくは、少なくとも1つの投与ユニットおよびマルチプルバッチシステム、即ちマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインはそれぞれ、バルブによって分離される。特に、少なくとも1つの投与ユニットならびにマルチプルバッチシステムのマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインのそれぞれは、マスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインのユニットがそれぞれ、循環連通、即ちループ様システムにおいて接続されているようにバルブによって分離されることが理解される。好ましくは、装置は、好ましくは少なくとも1つの投与ユニットと、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインとの間に位置する少なくとも1つのバルブを含む。装置は、好ましくは少なくとも1つの投与ユニットと、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインとの間に位置する少なくとも1つのバルブを含むことがさらに理解される。マルチプルバッチシステムが2つ以上のスレーブバッチラインを含む場合、システムは、好ましくは少なくとも1つの投与ユニットと、マルチプルバッチシステムの各スレーブバッチラインとの間に位置する少なくとも1つのバルブを含む。
本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つの投与ユニットおよびマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインはそれぞれ、少なくとも1つの背圧バルブによって分離される。好ましくは少なくとも1つの背圧バルブは、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つの投与ユニットとマスターバッチラインとの間に位置する。加えてまたは代わりに、少なくとも1つの背圧バルブは、少なくとも1つの投与ユニットと、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインとの間に位置する。装置が2つ以上のスレーブバッチラインを含む場合、装置は、好ましくは少なくとも1つの投与ユニットと、マルチプルバッチシステムを構成する部分である各スレーブバッチラインとの間に位置する少なくとも1つの背圧バルブを含む。
好ましくは、マルチプルバッチシステム、即ちマスターバッチラインおよび/または少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの投与ユニットからの供給は、少なくとも1つの流量計、好ましくは1つの流量計によって制御される。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの流量計は、少なくとも1つの投与ユニットとマルチプルバッチシステム、即ちマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインとの間に位置する。好ましくは1つの流量計は、マルチプルバッチシステムの、即ちマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインの供給が流量計によって制御されるように、少なくとも1つの投与ユニットと、マルチプルバッチシステム、即ちマスターバッチラインの少なくとも1つのスレーブバッチラインとの間に位置する。
本発明の装置の1つの特定要件は、マルチプルバッチシステムが、循環連通で、少なくとも1つのガス投与入口、例えばBronkhorstデバイス、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの混合ユニット、ならびに少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの槽を含むマスターバッチラインを含むことである。
マスターバッチラインにおいて、二酸化炭素は、少なくとも1つのガス投与入口によって炭酸カルシウムの水性懸濁液に注入される。次いでこの炭酸カルシウム懸濁液は、二酸化炭素と反応し、マスターバッチラインにおいて水溶液として存在する炭酸水素カルシウムに転化される。炭酸カルシウムの懸濁液を炭酸水素カルシウム溶液に転化することは、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインにおいて特定の滞留時間内で生じることが理解される。例えば、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインにおける炭酸カルシウムの懸濁液の炭酸水素カルシウム溶液への転化のための滞留時間は、好ましくは240分未満、より好ましくは120分未満、なおより好ましくは90分未満、さらにより好ましくは60分未満、最も好ましくは45分未満である。例えば、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインにおける炭酸カルシウムの懸濁液の炭酸水素カルシウム溶液への転化のための滞留時間は、1から240分、より好ましくは1から120分、さらにより好ましくは1から90分、さらにより好ましくは2から60分、最も好ましくは2から45分であることができる。
本発明の意味において「溶解炭酸カルシウム」は、平衡条件において溶解したCO2の量に依存して、炭酸カルシウム(CaCO3)、カルシウムイオン(Ca2+)、炭酸水素イオン(HCO3 −)、炭酸イオン(CO3 2−)、炭酸(H2CO3)ならびに溶解したCO2を包含することが理解される。
好ましくはマルチプルバッチシステムのマスターバッチラインにで得られた炭酸水素カルシウム溶液は、CaCO3として50から1,000mg/l、好ましくはCaCO3として100から800mg/l、最も好ましくはCaCO3として500から700mg/lの炭酸水素カルシウムとしてのカルシウム濃度を有する。故に、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインにて得られた炭酸水素カルシウム溶液は、炭酸水素カルシウムの濃縮溶液であることが理解される。
本発明の趣旨上、用語「カルシウム濃度」は、溶液中の総カルシウム含有量を指し、Ca2+またはCaCO3としてmg/l単位で特定される。濃度は、滴定装置を用いて測定できる。
加えてまたは代わりに、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインにて得られた炭酸水素カルシウム溶液は、MgCO3として1から150mg/l、好ましくはMgCO3として2から100mg/l、最も好ましくはMgCO3として5から50mg/lのマグネシウム濃度を有する。
本発明のさらに別の実施形態によれば、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインにて得られた炭酸水素カルシウム溶液は、250NTU未満、好ましくは200NTU未満、より好ましくは150NTU未満、最も好ましくは100NTU未満の濁度値を有する。例えば、マスターバッチラインにて得られた炭酸水素カルシウム溶液は、50NTU未満または20NTU未満の濁度値を有する。
本発明の意味において「濁度」は、一般に裸眼で視覚不可能な個々の粒子(懸濁した固体)によって生じる流体の曇りまたは濁り(haziness)を記載する。濁度の測定は、水の品質の重要な試験であり、比濁計を用いて行われることができる。本発明に使用される場合に較正された比濁計からの濁度の単位は、比濁分析濁度単位(NTU)として特定される。
本発明のさらに別の実施形態によれば、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインにて得られた炭酸水素カルシウム溶液は、200μS/cmを超える、好ましくは500μS/cmを超える、より好ましくは700μS/cmを超えるまたは900μS/cmを超える伝導度値を有する。
本発明の意味において「伝導度」は、測定された水がどの程度塩を含まない、イオンを含まないまたは不純物を含まないかの指標として使用される;水が純粋であるほど、伝導度は低くなる。伝導度は、伝導度メーターを用いて測定でき、μS/cmで特定される。
炭酸水素カルシウム溶液は、好ましくは:(i)二酸化炭素発生化合物または(ii)二酸化炭素発生化合物および酸のいずれかを導入することによって調製される。
本発明の趣旨上、用語「二酸化炭素発生化合物」は、ガス状二酸化炭素、液体二酸化炭素、固体二酸化炭素、二酸化炭素含有ガス、即ち少なくとも1つのガスおよび二酸化炭素の混合物ならびに熱または化学処理の際に二酸化炭素を放出する化合物を包含する。好ましくは、二酸化炭素発生化合物は、二酸化炭素および他のガス、例えば産業工程、例えば燃焼工程または焼成工程などから排気される二酸化炭素含有煙道ガスのガス状混合物であり、二酸化炭素発生化合物は、ガス状二酸化炭素である。二酸化炭素および他のガスのガス状混合物が使用される場合、二酸化炭素は、ガス状混合物の総体積に基づいて、90から約99体積%の範囲、好ましくは95から99体積%の範囲で存在する。例えば、二酸化炭素は、ガス状混合物の総体積に基づいて少なくとも97体積%の量で存在する。
本発明に使用される酸は、好ましくは硫酸、塩酸、亜硫酸、リン酸からなる群から選択される酸、好ましくは硫酸またはリン酸である。
ガス状二酸化炭素は、貯蔵槽から得ることができ、ここでは液相で保持される。二酸化炭素の消費速度および環境に依存して、低温でまたは従来通り断熱された槽のいずれかで使用できる。液体二酸化炭素のガス状二酸化炭素への転化は、空気加熱気化器または電気もしくは蒸気系気化システムを用いて行われることができる。必要に応じて、ガス状二酸化炭素の圧力は、少なくとも1つのガス投与入口を介して、例えば減圧バルブを用いることによって注入工程の前に低下できる。
ガス状二酸化炭素は、少なくとも1つのガス投与入口によって制御された速度で炭酸カルシウムの水性懸濁液のストリームに注入でき、ストリーム中の二酸化炭素バブルの分散液を形成し、バブルをこの中に溶解できる。例えば、液体、即ち水中の炭酸カルシウムの溶解は、炭酸カルシウムの水性懸濁液中に存在するCaCO3の総量に対して化学量論比または過剰の二酸化炭素を必要とする。過剰の二酸化炭素が注入される場合、過剰の二酸化炭素は、水性懸濁液中の初期CO2濃度に従って、CaCO3に関する化学量論比の1から20倍、好ましくはCaCO3に関する化学量論比の2から10倍、最も好ましくはCaCO3に関する化学量論比の1から6倍で変動する。濃縮された炭酸水素カルシウム溶液の再ミネラル化されるべき水での希釈比は、母液(炭酸水素カルシウム溶液)の実際濃度に依存して、最終ターゲットpH値(過剰のCO2)および最終ターゲットカルシウム濃度(添加CaCO3)に影響する。
炭酸水素カルシウム溶液を得るために炭酸カルシウムの懸濁液の液相、即ち水中の炭酸カルシウムの溶解速度は、投与されたCO2の量に依存するだけなく、温度、pH、圧力、懸濁液中の初期CaCO3濃度、ならびにCO2が炭酸カルシウムの懸濁液に導入される際の投与速度に依存することが理解される。
例示的な実施形態によれば、二酸化炭素は、少なくとも1つのガス投与入口によって水の乱流領域にて炭酸水素カルシウム溶液の調製のために使用される炭酸カルシウムの水性懸濁液に導入され、ここで乱流は、例えばパイプラインの制限によって創出され得る。例えば二酸化炭素は、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインの個々のユニットと接続するパイプラインに配設されたベンチュリーインジェクタのスロートに導入できる。ベンチュリーインジェクタのスロートにてパイプラインの断面積の狭窄により、二酸化炭素を相対的に小さいバブルに破壊し、これによってこの溶解を促進するのに十分なエネルギーの乱流フローを創出する。1つの実施形態によれば、二酸化炭素は、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインの水性炭酸カルシウム懸濁液のストリームに圧力下で導入される。
加えてまたは代わりに、マスターバッチラインにおいて、二酸化炭素は、5から60℃、好ましくは10から50℃、最も好ましくは10から40℃、例えば10から30℃の温度を有する炭酸カルシウムの水性懸濁液に注入されることが理解される。本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインにおける炭酸カルシウムの水性懸濁液は、おおよそ室温付近、即ち15から25℃の温度を有する。
本発明の1つの実施形態において、二酸化炭素は、おおよそ室温、即ち15から25℃の温度にて1から3Barの圧力にてマスターバッチライン中の炭酸カルシウムの水性懸濁液に注入される。例えば、二酸化炭素は、約2barの圧力にて、おおよそ室温、即ち15から25℃の温度にて、マスターバッチライン中の炭酸カルシウムの水性懸濁液中に注入される。
故に、マスターバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口は好ましくはCO2入口であることが理解される。本発明の1つの実施形態において、マスターバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口は、ベンチュリーインジェクタである。代わりに、マスターバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口は、背圧バルブを用いたマスフローコントローラである。例えばマスフローコントローラはBronkhurstデバイスである。
本特許出願の意味において、ベンチュリーインジェクタは、駆動流体の圧力エネルギーを速度エネルギーに転換するために収縮−膨張ノズルのベンチュリー効果を使用するポンプ様デバイスであり、これが吸引により流体を吸い込むおよび取り込む低圧力ゾーンを創出する。インジェクタのスロートを通過した後、混合流体が膨張し、速度が低下し、結果として速度エネルギーを圧力エネルギーに転換させて戻すことによって混合流体を再圧縮する。駆動流体は、液体、蒸気またはいずれかの他のガスであることができる。吸引による捕捉された流体は、ガス、液体、スラリー、または含塵ガスストリームであることができる。
フローコントロールバルブまたは他の手段は、濃縮炭酸水素カルシウム溶液の調製に使用するための炭酸カルシウムの水性懸濁液への二酸化炭素の流量を制御するために使用できる。例えば、CO2投与ブロックおよび/または濁度、pH、または伝導度インライン測定デバイスおよび/またはタイマーを使用して、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインにおいて炭酸カルシウムの懸濁液に投与されるCO2の速度を制御できる。
二酸化炭素は、水性炭酸水素カルシウム溶液を形成することによって、炭酸カルシウムの水性懸濁液を酸性にする。炭酸カルシウムの水性懸濁液に注入される二酸化炭素の量は、水性炭酸カルシウム懸濁液中に既に存在している二酸化炭素の量に依存する。従ってこの懸濁液中に既に存在する二酸化炭素の量は、例えば炭酸カルシウムの水性懸濁液を調製するために使用される脱塩水を得るための上流での処理に依存する。例えばフラッシュエバポレーションによって脱塩されている水から調製された炭酸カルシウムの水性懸濁液は、逆浸透により脱塩されている水とは別の量の二酸化炭素を含有し、故に別のpHを含有する。例えば逆浸透によって脱塩されている水は、約5.2から6.6のpH、および0.8から15.9mg/lのCO2の量を有することができる。しかし、脱塩水を得るための上流処理によれば、CO2濃度は、45mg/lまたはこれ以上に到達し得る。高CO2濃度を含む最終的な再ミネラル化水は、こうした水相の攻撃性を緩和するために脱炭酸化を行うことができることがさらに理解される。
好ましくは、炭酸水素カルシウム溶液を調製するために使用される炭酸カルシウムの水性懸濁液中への二酸化炭素の溶解は、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの混合ユニットによって促進される。
本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは、1つの混合ユニット、好ましくは少なくとも2つの混合ユニット、より好ましくは2つの混合ユニットを含む。例えば、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは、直列に接続された少なくとも2つの混合ユニット、好ましくは直列に接続された2つの混合ユニットを含む。
この点に関して、少なくとも1つの混合ユニットは、炭酸カルシウムを含む懸濁液を組み合わせおよび/または混合しおよび/または撹拌するための当業者に周知のいずれかの種類の槽および/または容器であることができることが理解される。例えば少なくとも1つの混合ユニットは、垂直および/または水平混合ユニットまたは管状混合ユニットである。代わりに、少なくとも1つの混合ユニットは、キャビテーションのために使用されるいずれかのデバイスであることができる。例えば少なくとも1つの混合ユニットは、Applied Cavitation Technologies,USAから入手可能なキャビテーションデバイスである。
本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、垂直および/または水平混合ユニットである。好ましくはマスターバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、垂直混合ユニットである。
例えば少なくとも1つの混合ユニットは、1lから1,000kl、好ましくは10lから500kl、より好ましくは10lから250kl、最も好ましくは10lから100klの範囲の槽および/または容器である。
好ましくはマスターバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、撹拌手段および/またはキャビテーション手段を含む。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの混合ユニットは、撹拌手段またはキャビテーション手段を含む。好ましくは少なくとも1つの混合ユニットは、撹拌手段を含む。例えば撹拌手段は、機械的撹拌手段、例えば槽および/または容器中の炭酸カルシウムを含む懸濁液を撹拌および混合するために通常使用される撹拌ブレードから選択される。代わりに、撹拌手段は、槽および/または容器において炭酸カルシウムを含むさらに濃縮された懸濁液を撹拌および混合するために通常使用される粉末−液体混合手段から選択される。代わりに、少なくとも1つの混合ユニットが管形状の混合ユニットである場合、混合ユニットは、炭酸カルシウムの懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液の十分な混合を可能にする混合ビーズを含むことができる。
本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、少なくとも1つの静的ミキサである。好ましくは少なくとも1つの静的ミキサは、このミキサが、縦に並べられ、管軸に沿って互いに隣接して配置された複数の混合チャンバを含むことで特徴付けられる。
この点に関して、少なくとも1つの静的ミキサは、炭酸カルシウムを含む懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液を完全に混合するために当業者に周知のいずれかの種類の静的ミキサであることができる。
例えば、少なくとも1つの静的ミキサは、Sulzer Chemtech AG,SwitzerlandからSulzer Mischer SMV(商標)として入手可能な静的ミキサである。
代わりに、マルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、少なくとも1つの動的ミキサである、好ましくは、動的ミキサは、このミキサが、撹拌ブレードまたは混合ビーズまたはプロペラのような混合手段を含むことで特徴付けられる。
この点に関して、マルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインの少なくとも1つの動的ミキサは、炭酸カルシウムを含む懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液を完全に混合するために当業者に周知のいずれかの種類の動的ミキサであることができることが理解される。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの動的ミキサは、複数の混合ビーズを含む管形状ミキサである。
例えば少なくとも1つの動的ミキサは、炭酸カルシウムを含む懸濁液を組み合わせおよび/または混合しおよび/または撹拌するために当業者に周知のいずれかの種類の動的ミキサであることができる。
得られた炭酸水素カルシウムの水溶液の濃度に依存して、マスターバッチライン中の滞留時間は、1から240分、1から120分、1から90分、2から60分、または2から45分であることができる。マルチプルバッチシステムのマスターバッチライン中の滞留時間は、広範囲に変動でき、マスターバッチライン中の炭酸カルシウムの懸濁液に投与されたCO2の量だけでなく、他の処理パラメータ、例えば温度、pH、圧力および初期の水質に依存し得ることが理解される。
溶解した炭酸カルシウムの溶液、即ち濃縮された炭酸水素カルシウム溶液を形成するために、二酸化炭素の存在下、炭酸カルシウムの水性懸濁液から炭酸カルシウムのさらなる溶解のために、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの槽を含む。
好ましくはマルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは、1つの槽を含む。
この点に関して、少なくとも1つの槽は、炭酸カルシウムを含む懸濁液を撹拌しおよび/または炭酸カルシウムを含む懸濁液の炭酸水素カルシウム溶液への転化を完了させるための当業者に周知のいずれかの種類の槽および/または容器であることができることが理解される。
例えば、少なくとも1つの槽は、1lから1,000kl、好ましくは10lから500kl、より好ましくは10lから250kl、最も好ましくは10lから100klの範囲の槽および/または容器であることができる。
マスターバッチラインの少なくとも1つの槽は、当業者に周知の開放槽または閉鎖槽であることがさらに理解される。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの槽は閉鎖槽である。例えば、マスターバッチラインの少なくとも1つの槽が閉鎖槽の形態で提供される場合、閉鎖槽は、好ましくは圧力下で操作される、即ち炭酸カルシウムを含む懸濁液の撹拌および/または炭酸水素カルシウムを含む懸濁液の炭酸水素カルシウム溶液への転化の完了は、圧力下で行われる。マスターバッチラインの少なくとも1つの閉鎖槽内で調節できる好適な圧力は、好ましくは0.1barから10bar、より好ましくは0.2から5kPa、最も好ましくは0.5から2kPaの範囲である。
本発明の1つの実施形態において、マスターバッチラインの少なくとも1つの槽は撹拌デバイスを含む。例えば撹拌デバイスは、機械的撹拌デバイス、例えば槽および/または容器中の炭酸カルシウムを含む懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液を撹拌するために通常使用される撹拌ブレードから選択される。
本発明の1つの実施形態によれば、マスターバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、マルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインの少なくとも1つの槽に一体化される。例えば、少なくとも1つの混合ユニットがマスターバッチラインの少なくとも1つの槽に一体化される場合、組み合わせた混合ユニット/槽は、好ましくは少なくとも1つの動的ミキサである。従って、少なくとも1つの混合ユニットがマスターバッチラインの少なくとも1つの槽、即ち動的ミキサに一体化される場合、組み合わせた混合ユニット/槽は、少なくとも1つのガス投与入口の前または後に位置する。
代わりに、少なくとも混合ユニットが少なくとも1つの静的ミキサまたは管形状の少なくとも1つの動的ミキサである場合、少なくとも1つの混合ユニットおよび少なくとも1つの槽は、好ましくは互いに分離され、即ち組み合わせられない。従って、少なくとも1つの混合ユニットが少なくとも1つの静的ミキサまたは管形状である少なくとも1つの動的ミキサである場合、少なくとも1つの混合ユニットは、少なくとも1つのガス投与入口とマスターバッチラインの少なくとも1つの槽との間に位置する。
本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインの少なくとも1つの槽は、少なくとも1つの槽の充填レベルを調節する少なくとも1つの制御ユニットを含む。この点に関して、少なくとも1つの制御ユニットは、好ましくは炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液が槽からオーバーフローしない点において槽の充填レベルを調節することが理解される。
例えば、少なくとも1つの制御ユニットは、槽が炭酸水素カルシウム溶液を含む場合に、炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液が、システムに放出される点において槽の充填レベルを調節する。炭酸水素カルシウム溶液は、好適なパラメータ、例えば設定滞留時間、温度、pH、濁度、伝導度、カルシウムイオン濃度などが炭酸水素カルシウムの調製された溶液によって適合される場合にのみシステムに放出されることが好ましい。
従って、炭酸水素カルシウム溶液の調製は、好ましくはパラメータ制御される。
故に、本発明の装置を構成する部分であるマルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは、水性炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液のパラメータ値、例えばループ様マスターバッチラインにおける滞留時間、伝導度、温度、pH、総溶解固体、濁度、アルカリ度、総硬度、溶解した炭酸カルシウムの溶液のカルシウム濃度および/またはCO2濃度を制御、即ち測定およびモニタリングするための手段を含む。
本発明の1つの実施形態によれば、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは、pH、濁度、伝導度、温度および/またはカルシウムイオン濃度をモニタリングする少なくとも1つの制御ユニット(例えばイオン感受性電極)を含む。
加えてまたは代わりに、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは、CO2の投与量、CO2の投与速度、滞留時間を、設定pH値、濁度および/または伝導度に従って調節する少なくとも1つの制御ユニットを含む。
本発明の装置を構成する部分であるマルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは、循環連通が達成されるように、少なくとも1つのガス投与入口、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの混合ユニット、ならびに少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの槽を含む。
故に、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは、少なくとも1つの混合ユニットが少なくとも1つのガス投与入口と少なくとも1つの槽との間に位置する点において必要とされるユニットを含むことが理解される。例えば、少なくとも1つの混合ユニットは、少なくとも1つの混合ユニットが静的ミキサまたは管形状の動的ミキサである場合に、少なくとも1つのガス投与入口と少なくとも1つの槽との間に位置する。代わりにまたは加えて、少なくとも1つの槽は、少なくとも1つの混合ユニットと少なくとも1つのガス投与入口との間に位置することが理解される。代わりにまたは加えて、少なくとも1つのガス投与入口は、少なくとも1つの槽と少なくとも1つの混合ユニットとの間に位置することが理解される。
本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つの混合ユニットは、マスターバッチラインの少なくとも1つの槽に一体化される。例えば、少なくとも1つの混合ユニットは、少なくとも1つの混合ユニットが動的ミキサである場合に、少なくとも1つの槽に一体化される。従って、少なくとも1つの混合ユニットがマスターバッチラインの少なくとも1つの槽、即ち動的ミキサに一体化される場合、組み合わせた混合ユニット/槽は、マスターバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口の前または後に位置する。
故に、少なくとも1つの動的ミキサであるマスターバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、少なくとも1つのガス投与入口と少なくとも1つの槽との間に位置するか、または代わりに少なくとも1つの槽に一体化されることが理解される。
換言すれば、マスターバッチラインの個々のユニットは、流体接続管(またはパイプライン)が1つのユニットの出口から延び、別のユニットの入口と接続されるように、ユニット内、ユニットを通しておよび/またはユニット間に提供される1つ以上の管またはパイプによって直接的または間接的に接続されている。
故に、本発明の1つの実施形態によれば、本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口は、マスターバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットの少なくとも1つの入口に接続されている。加えてまたは代わりに、本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットの少なくとも1つの出口は、マスターバッチラインの少なくとも1つの槽の少なくとも1つの入口に接続されている。加えてまたは代わりに、本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインの少なくとも1つの槽の少なくとも1つの出口は、マスターバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口に接続されている。
代わりに少なくとも1つの混合ユニットが少なくとも1つの槽に一体化される場合、本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口は、マスターバッチラインの組み合わせた混合ユニット/槽の少なくとも1つの入口に接続されている。加えてまたは代わりに、本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインの組み合わせた混合ユニット/槽の少なくとも1つの出口は、マスターバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口の少なくとも1つの入口に接続されている。
濃縮された炭酸水素カルシウム溶液を炭酸カルシウムの水性懸濁液から得るために、マスターバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口は少なくとも1つの投与ユニットの後に位置するのが好ましい。
本発明の意味において用語「後」は、システムの別のユニット、例えばマスターバッチラインおよび/または少なくとも1つのスレーブバッチラインの、少なくとも1つの投与ユニットおよび少なくとも1つのガス投与入口、少なくとも1つの混合ユニットまたは少なくとも1つの槽、の後ろにある後続位置を指す。この用語は、別段の断りがない限り、バルブ、制御ユニット、管、パイプ、ポンプなどの、システムのこれらのユニット間における存在を排除しない。例えば少なくとも1つのガス投与入口が少なくとも1つの投与ユニットの後に位置すると記述される場合、少なくとも1つのガス投与入口は、少なくとも1つの投与ユニットの後ろにある後続ユニットであるが;用語「後」は、例えば背圧バルブが、少なくとも1つのガス投与入口と少なくとも1つの投与ユニットとの間に位置することを排除しない。
マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインを構成する部分である1つのユニットから同じラインを構成する部分である別のユニットへの流体フローは、好ましくは、1つ以上の中間(特に記述も記載もされない)デバイス、ポンプまたは器具によって達成される。さらに、こうしたフローは、例えばバルブ、スイッチ、制御ユニットおよび/または他の好適なコンポーネントによって選択的に中断可能であることができるまたは中断不可能であることができる。
本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは、水性炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液をマスターバッチラインの1つのユニットからこのラインを構成する部分である別のユニットに向かわせるための少なくとも1つのポンプ、好ましくは少なくとも2つのポンプ、最も好ましくは少なくとも3つのポンプを含む。例えば、マスターバッチラインは、マスターバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットの前に位置する少なくとも1つのポンプを含む。加えてまたは代わりに、少なくとも1つのポンプは、マスターバッチラインの少なくとも1つの槽の後に位置する。
本発明の意味において用語「前」は、システムの別のユニット、例えばマスターバッチラインおよび/または少なくとも1つのスレーブバッチラインの、少なくとも1つの投与ユニットおよび少なくとも1つのガス投与入口、少なくとも1つの混合ユニットまたは少なくとも1つの槽の、前方にある先行位置を指す。この用語は、別段の断りがない限り、バルブ、コントロールユニット、管、パイプ、ポンプなどの、システムのこれらのユニット間における存在を排除しない。例えばポンプが少なくとも1つの混合ユニットの前に位置することが記述される場合、少なくとも1つのポンプは、少なくとも1つの混合ユニットの前方に先行するユニットである。
本発明の1つの実施形態において、マスターバッチラインは、少なくとも1つの混合ユニットの前且つマスターバッチラインの少なくとも1つの槽の後に位置する1つのポンプを含む。
加えてまたは代わりに少なくとも1つのポンプ、好ましくは1つのポンプは、マスターバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口、例えばベンチュリーインジェクタの前または後に位置する。
少なくとも1つのポンプは、好ましくは水性炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液が、再循環様式において、少なくとも1つのガス投与入口から少なくとも1つの混合ユニット、少なくとも1つの槽に向かい、さらに少なくとも1つのガス投与入口に戻るように設計される。
ガス投与入口、好ましくはベンチュリーインジェクタは、マスターバッチライン内に位置する少なくとも1つのポンプの前に(即ち少なくとも1つの混合ユニットに近くに)または後に(即ち少なくとも1つの投与ユニットに近くに)位置できる。ベンチュリーインジェクタを使用することによる1つの利点は、発電によって生じるガス、例えばCO2を、本発明のマルチプルバッチシステムを用いて実行できる工程に導入できることである。
マスターバッチライン内の少なくとも1つのポンプのポンプ輸送能(m3/合計のh)は、マスターバッチラインの少なくとも1つの槽の体積の0.01から100倍であることがさらに理解される。
加えてまたは代わりに、少なくとも1つの混合ユニットに供給するマスターバッチラインの少なくとも1つのポンプによって誘導されるフローの速度は、0.2から10m/s、好ましくは0.5から5m/s、より好ましくは1から2m/s、最も好ましくは1から1.5m/sである。
本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインが少なくとも1つの混合ユニットとして少なくとも1つの静的ミキサを含む場合、少なくとも1つの混合ユニットに供給するマスターバッチラインの少なくとも1つのポンプによって誘導されるフローの速度は、好ましくは1から1.5m/sである。
加えてまたは代わりに、マスターバッチラインの少なくとも1つのポンプは、1から10bar、好ましくは2から8bar、最も好ましくは2から6barの圧力で操作される。
炭酸水素カルシウム溶液の調製は、パラメータ、例えばマスターバッチラインのバッチ工程の間にインライン測定される滞留時間、伝導度、pH、温度、カルシウムイオン濃度、ポンプ速度、フロー圧力、CO2投与または濁度を検出することによってモニタリングできる。例えば本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインは、滞留時間、ポンプ速度、フロー、圧力および/またはCO2投与をモニタリングする少なくとも1つの制御ユニットを含む。加えてまたは代わりに、マスターバッチラインは、炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液のpH、濁度、伝導度、温度および/またはカルシウムイオン濃度をモニタリングする少なくとも1つの制御ユニット(例えばイオン感受性電極)を含む。
故に、本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインは、好ましくは、CO2の投与量および/またはCO2の投与速度および/または滞留時間を設定pH値、濁度および/または伝導度に従って調節する少なくとも1つの制御ユニットを含むことが理解される。CO2の投与量および/またはCO2の投与速度および/または滞留時間を調節する少なくとも1つの制御ユニット、滞留時間、ポンプ速度、フロー、圧力および/またはCO2投与をモニタリングする少なくとも1つの制御ユニットおよびpH、濁度、伝導度、温度および/またはカルシウムイオン濃度をモニタリングする1つの制御ユニットは、集合的にまたは別個に操作できる。
例えば、マスターバッチラインは、少なくとも1つの混合ユニットの前および/または少なくとも1つのガス投与入口の後に好ましくは位置するフローをモニタリングする制御ユニットを含む。好ましくは本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインは、pH、濁度および伝導度をそれぞれモニタリングする制御ユニットを含み、このユニットは、好ましくは少なくとも1つの混合ユニットの後および/または少なくとも1つの槽の前に位置する。
本発明の1つの実施形態において、本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインは、少なくとも1つの混合ユニットの前および少なくとも1つのガス投与入口の後に位置する、フローをモニタリングする制御ユニット、および少なくとも1つの混合ユニットの後およびマスターバッチラインの少なくとも1つの槽の前に位置する、pH、濁度および伝導度をそれぞれ測定する制御ユニットを含む。
水性炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液の少なくとも一部が、本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインから放出できることが本発明の1つの要件である。放出された炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液は、好ましくは本発明の装置を構成する部分である少なくとも1つの膜濾過ユニットによる濾過に供される。
従って、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインの少なくとも1つの出口は、少なくとも1つの膜濾過ユニットの少なくとも1つの入口に接続されていることが好ましい。
故に本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは、少なくとも1つの混合ユニットの前および/または後に位置する少なくとも1つの出口を含む。本発明の装置の少なくとも1つの膜濾過ユニットを通過する炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液は、好ましくはマスターバッチラインから、少なくとも1つの混合ユニットの後に位置する少なくとも1つの出口を通って放出される。故にマスターバッチラインは、好ましくは少なくとも1つの混合ユニットの後に位置する少なくとも1つの出口を含む。例えばマスターバッチラインは、少なくとも1つの混合ユニットの前および後に位置する少なくとも1つの出口を含む。
炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液の放出は、好ましくは、炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液のフローを選択的に妨害することができるバルブ、スイッチ、制御ユニットおよび/または他の好適なコンポーネントによって制御される。
本発明の装置の別の特定要件は、マルチプルバッチシステムが、循環連通にて、少なくとも1つのガス投与入口、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの混合ユニット、ならびに少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの槽を含む少なくとも1つのスレーブバッチラインを含むことである。
好ましくはマルチプルバッチシステムは、少なくとも1つのスレーブバッチライン、好ましくは少なくとも2つのスレーブバッチライン、最も好ましくは少なくとも3つのスレーブバッチラインを含む。例えばマルチプルバッチシステムは1つのスレーブバッチラインを含む。
1つ以上のスレーブバッチラインのそれぞれにおいて、少なくとも1つの投与ユニットによってマルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインのそれぞれに注入された炭酸カルシウムの水性懸濁液は、炭酸水素カルシウム溶液を形成するために、水性懸濁液中に炭酸カルシウムを溶解させるように、二酸化炭素と接触させる。この炭酸カルシウムの懸濁液は、少なくとも1つのスレーブバッチラインのそれぞれにおいて炭酸水素カルシウム溶液に転化される。炭酸カルシウムの懸濁液の炭酸水素カルシウム溶液への転化は、1つ以上のスレーブバッチラインのそれぞれにおいて特定の滞留時間内で生じることが理解される。例えば、1つ以上のスレーブバッチラインそれぞれにおける炭酸カルシウムの懸濁液の炭酸水素カルシウム溶液への転化のための滞留時間は、好ましくは240分未満、より好ましくは120分未満、なおより好ましくは90分未満、さらにより好ましくは60分未満、最も好ましくは45分未満である。例えば、1つ以上のスレーブバッチラインそれぞれにおける炭酸カルシウムの懸濁液の炭酸水素カルシウム溶液への転化のための滞留時間は、1から240分、より好ましくは1から120分、さらにより好ましくは1から90分、さらにより好ましくは2から60分、最も好ましくは2から45分であることができる。
好ましくはマルチプルバッチシステムの1つ以上のスレーブバッチラインそれぞれにて得られる炭酸水素カルシウム溶液は、CaCO3として50から1,000mg/l、好ましくはCaCO3として100から800mg/l、最も好ましくはCaCO3として500から700mg/lの炭酸水素カルシウムとしてのカルシウム濃度を有する。故に、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインにて得られた炭酸水素カルシウム溶液は、炭酸水素カルシウムの濃縮溶液であることが理解される。
加えてまたは代わりに、1つ以上のスレーブバッチラインそれぞれにて得られた炭酸水素カルシウム溶液は、MgCO3として1から150mg/l、好ましくはMgCO3として2から100mg/l、最も好ましくはMgCO3として5から50mg/lのマグネシウム濃度を有する。本発明のさらに別の実施形態によれば、1つ以上のスレーブバッチラインそれぞれにて得られる炭酸水素カルシウム溶液は、250NTU未満、好ましくは200NTU未満、より好ましくは150未満、最も好ましくは100NTU未満の濁度値を有する。例えば、1つ以上のスレーブバッチラインそれぞれにて得られた炭酸水素カルシウム溶液は、50NTU未満または20NTU未満の濁度値を有する。
本発明のさらに別の実施形態によれば、マルチプルバッチシステムの1つ以上のスレーブバッチラインそれぞれにて得られた炭酸水素カルシウム溶液は、200μS/cmを超える、好ましくは500μS/cmを超える、より好ましくは700μS/cmを超えるまたは900μS/cmを超える伝導度値を有する。
炭酸水素カルシウム溶液は、好ましくは:(i)二酸化炭素発生化合物または(ii)二酸化炭素発生化合物および酸のいずれかを導入することによって、少なくとも1つのスレーブバッチラインにて調製される。
本発明の1つの実施形態において、二酸化炭素発生化合物は、二酸化炭素および他のガス、例えば産業工程、例えば燃焼工程または焼成工程などから排気される二酸化炭素含有煙道ガスのガス状混合物であるか、または、二酸化炭素発生化合物は、ガス状二酸化炭素である。二酸化炭素および他のガスのガス状混合物が使用される場合、二酸化炭素は、ガス状混合物の総体積に基づいて、90から約99体積%の範囲、好ましくは95から99体積%の範囲で存在する。例えば、二酸化炭素は、ガス状混合物の総体積に基づいて少なくとも97体積%の量で存在する。
本発明に使用される酸は、好ましくは硫酸、塩酸、亜硫酸、リン酸からなる群から選択される酸、好ましくは硫酸またはリン酸である。
マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインに使用されるガス状二酸化炭素は、液相で保持される貯蔵槽から得ることができる。二酸化炭素の消費速度および環境に依存して、低温でまたは従来通り断熱された槽のいずれかで使用できる。液体二酸化炭素のガス状二酸化炭素への転化は、空気加熱気化器または電気もしくは蒸気系気化システムを用いて行われることができる。必要に応じて、ガス状二酸化炭素の圧力は、少なくとも1つのガス投与入口を介して、例えば減圧バルブを用いることによって注入工程の前に低下できる。
ガス状二酸化炭素は、少なくとも1つのスレーブバッチラインに位置する少なくとも1つのガス投与入口によって制御された速度で、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインにおける炭酸カルシウムの水性懸濁液のストリームに注入でき、ストリーム中の二酸化炭素バブルの分散液を形成し、バブルをこの中に溶解できる。例えば、液体、即ち水中の炭酸カルシウムの溶解は、炭酸カルシウムの水性懸濁液中に存在するCaCO3の総量に対して化学量論比または過剰の二酸化炭素を必要とする。過剰の二酸化炭素が使用される場合、過剰の二酸化炭素は、水性懸濁液中の初期CO2濃度に従って、CaCO3に関する化学量論比の1から20倍、好ましくはCaCO3に関する化学量論比の2から10倍、最も好ましくはCaCO3に関する化学量論比の1から6倍で変動する。濃縮された炭酸水素カルシウム溶液の再ミネラル化されるべき水での希釈比は、母液(炭酸水素カルシウム溶液)の実際濃度に依存して、最終ターゲットpH値(過剰のCO2)および最終ターゲットカルシウム濃度(添加CaCO3)に影響する。
炭酸水素カルシウム溶液を得るために、少なくとも1つのスレーブバッチラインにおける炭酸カルシウムの懸濁液の液相、即ち水中の炭酸カルシウムの溶解速度は、投与されたCO2の量に依存するだけなく、温度、pH、圧力、懸濁液中の初期CaCO3濃度、ならびにCO2が、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインにおける炭酸カルシウムの懸濁液に導入される際の投与速度に依存することが理解される。
例示的な実施形態によれば、二酸化炭素は、1つ以上のスレーブバッチラインそれぞれに位置する少なくとも1つのガス投与入口による水の乱流領域にて、即ちマルチプルバッチシステムの1つ以上のスレーブバッチラインそれぞれにおける炭酸水素カルシウム溶液の調製のために使用される炭酸カルシウムの水性懸濁液に導入され、ここで乱流は、例えばパイプラインの制限によって創出され得る。例えば二酸化炭素は、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインの個々のユニットと接続するパイプラインに配設されたベンチュリーインジェクタのスロートに導入できる。ベンチュリーインジェクタのスロートにてパイプラインの断面積の狭窄により、二酸化炭素を相対的に小さいバブルに破壊し、これによって少なくとも1つのスレーブバッチラインにおけるこの溶解を促進するのに十分なエネルギーの乱流フローを創出する。1つの実施形態によれば、二酸化炭素は、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインの水性炭酸カルシウム懸濁液のストリームに圧力下で導入される。
加えてまたは代わりに、少なくとも1つのスレーブバッチラインにおいて、二酸化炭素は、5から60℃、好ましくは10から50℃、最も好ましくは10から40℃、例えば10から30℃の温度を有する炭酸カルシウムの水性懸濁液に注入されることが理解される。本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインの炭酸カルシウムの水性懸濁液は、おおよそ室温付近、即ち15から25℃の温度を有する。
本発明の1つの実施形態において、二酸化炭素は、おおよそ室温、即ち15から25℃の温度にて1から3Barの圧力にて少なくとも1つのスレーブバッチライン中の炭酸カルシウムの水性懸濁液に注入される。例えば、二酸化炭素は、約2barの圧力にて、おおよそ室温、即ち15から25℃の温度にて、少なくとも1つのスレーブバッチライン中の炭酸カルシウムの水性懸濁液中に注入される。
故に、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口は好ましくはCO2入口であることが理解される。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口は、ベンチュリーインジェクタである。代わりに、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口は、背圧バルブを有するマスフローコントローラである。例えば背圧バルブを有するマスフローコントローラはBronkhurstデバイスである。
フローコントロールバルブまたは他の手段は、少なくとも1つのスレーブバッチラインにおける濃縮炭酸水素カルシウム溶液の調製に使用されるための炭酸カルシウムの水性懸濁液への二酸化炭素の流量を制御するために使用できる。例えば、CO2投与ブロックおよび/または濁度、pH、または伝導度インライン測定デバイスおよび/またはタイマーを使用して、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインにおいて炭酸カルシウムの懸濁液に投与されるCO2の速度を制御できる。
好ましくは、マルチプルバッチシステムの1つ以上のスレーブバッチラインのそれぞれにおいて炭酸水素カルシウム溶液を調製するために使用される炭酸カルシウムの水性懸濁液中への二酸化炭素の溶解は、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの混合ユニットによって促進される。
本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムの1つ以上のスレーブバッチラインのそれぞれは、1つの混合ユニット、好ましくは少なくとも2つの混合ユニット、より好ましくは2つの混合ユニットを含む。例えば、1つ以上のスレーブバッチラインのそれぞれは、直列に接続された少なくとも2つの混合ユニット、好ましくは直列に接続された2つの混合ユニットを含む。
この点に関して、本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、炭酸カルシウムを含む懸濁液を組み合わせおよび/または混合しおよび/または撹拌するための当業者に周知のいずれかの種類の槽および/または容器であることができることが理解される。例えば少なくとも1つの混合ユニットは、垂直および/または水平混合ユニットまたは管状混合ユニットである。代わりに、少なくとも1つの混合ユニットは、キャビテーションのために使用されるいずれかのデバイスである。例えば少なくとも1つの混合ユニットは、Applied Cavitation Technologies,USAから入手可能なキャビテーションデバイスである。
本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、垂直および/または水平混合ユニットである。好ましくはマルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、垂直混合ユニットである。
例えばマルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、1lから1,000kl、好ましくは10lから500kl、より好ましくは10lから250kl、最も好ましくは10lから100klの範囲の槽および/または容器である。
好ましくはマルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、撹拌手段および/またはキャビテーション手段を含む。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの混合ユニットは、撹拌手段またはキャビテーション手段を含む。好ましくは少なくとも1つの混合ユニットは、撹拌手段を含む。例えば撹拌手段は、機械的撹拌手段、例えば槽および/または容器中の炭酸カルシウムを含む懸濁液を撹拌および混合するために通常使用される撹拌ブレードから選択される。代わりに、撹拌手段は、槽および/または容器において炭酸カルシウムを含むさらに濃縮された懸濁液を撹拌および混合するために通常使用される粉末−液体混合手段から選択される。代わりに、少なくとも1つの混合ユニットが管形状の混合ユニットである場合、混合ユニットは、炭酸カルシウムの懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液の十分な混合を可能にする混合ビーズを含むことができる。
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは少なくとも1つの静的ミキサである。好ましくは少なくとも1つの静的ミキサは、このミキサが、縦に並べられ、管軸に沿って互いに隣接して配置された複数の混合チャンバを含むことで特徴付けられる。
この点に関して、本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの静的ミキサは、炭酸カルシウムを含む懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液を完全に混合するために当業者に周知のいずれかの種類の動的ミキサであることができることが理解される。
例えば、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの静的ミキサは、Sulzer Chemtech AG,SwitzerlandからSulzer Mischer SMV(商標)として入手可能な静的ミキサである。
代わりに、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、少なくとも1つの動的ミキサである、好ましくは、動的ミキサは、このミキサが、撹拌ブレードまたは混合ビーズまたはプロペラのような混合手段を含むことで特徴付けられる。
この点に関して、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの動的ミキサは、炭酸カルシウムを含む懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液を完全に混合するために当業者に周知のいずれかの種類の動的ミキサであることができることが理解される。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの動的ミキサは、複数の混合ビーズを含む管形状ミキサである。
例えば、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの動的ミキサは、炭酸カルシウムを含む懸濁液を組み合わせおよび/または混合しおよび/または撹拌するために当業者に周知のいずれかの種類の動的ミキサであることができる。
マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインにおいて得られた炭酸水素カルシウムの水溶液の濃度に依存して、少なくとも1つのスレーブバッチライン中の滞留時間は、1から240分、1から120分、1から90分、2から60分、または2から45分であることができる。マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチライン中の滞留時間は、広範囲に変動でき、例えば、少なくとも1つのスレーブバッチライン中の炭酸カルシウムの懸濁液に投与されたCO2の量に依存し得ることが理解される。
炭酸水素カルシウム溶液を形成するために、二酸化炭素の存在下、炭酸カルシウムの水性懸濁液から炭酸カルシウムのさらなる溶解のために、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインは、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの槽を含む。
好ましくはマルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインは、1つの槽を含む。
この点に関して、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽は、炭酸カルシウムを含む懸濁液を撹拌しおよび/または炭酸カルシウムを含む懸濁液の炭酸水素カルシウム溶液への転化を完了させるための当業者に周知のいずれかの種類の槽および/または容器であることができることが理解される。
例えばマルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽は、1lから1,000kl、好ましくは10lから500kl、より好ましくは10lから250kl、最も好ましくは10lから100klの範囲の槽および/または容器であることができる。
マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽は、当業者に周知の開放槽または閉鎖槽であることがさらに理解される。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽は、閉鎖槽である。例えば、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽が閉鎖槽の形態で提供される場合、閉鎖槽は、好ましくは圧力下で操作される、即ち炭酸カルシウムを含む懸濁液の撹拌および/または炭酸カルシウムを含む懸濁液の炭酸水素カルシウム溶液への転化の完了は、圧力下で行われる。少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの閉鎖槽で調節できる好適な圧力は、0.1から10kPa、好ましくは0.2から5kPa、最も好ましくは0.5から2kPaの範囲である。
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽は撹拌デバイスを含む。例えば撹拌デバイスは、機械的撹拌デバイス、例えば槽および/または容器中の炭酸カルシウムを含む懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液を撹拌するために通常使用される撹拌ブレードから選択される。
本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽に一体化される。例えば、少なくとも1つの混合ユニットが少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽に一体化される場合、組み合わせた混合ユニット/槽は、好ましくは少なくとも1つの動的ミキサである。従って、少なくとも1つの混合ユニットが少なくとも1つの槽、即ち動的ミキサに一体化される場合、組み合わせた混合ユニット/槽は、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口の前または後に位置する。
代わりに、本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも混合ユニットが少なくとも1つの静的ミキサまたは管形状の少なくとも1つの動的ミキサである場合、少なくとも1つの混合ユニットおよび少なくとも1つの槽は、好ましくは互いに分離され、即ち組み合わせられない。従って、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットが少なくとも1つの静的ミキサまたは管形状である少なくとも1つの動的ミキサである場合、少なくとも1つの混合ユニットは、少なくとも1つのガス投与入口と少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽との間に位置する。
本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽は、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽の充填レベルを調節する少なくとも1つの制御ユニットを含む。この点に関して、少なくとも1つの制御ユニットは、炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液が少なくとも1つの槽からオーバーフローしない点において、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽の充填レベルを調節することが理解される。
例えば、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの制御ユニットは、槽が炭酸水素カルシウム溶液を含む場合に、炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液がシステムに放出される点において対応する少なくとも1つの槽の充填レベルを調節する。
本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分である1つ以上のスレーブバッチラインそれぞれは、循環連通が達成されるように、少なくとも1つのガス投与入口、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの混合ユニット、ならびに少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの槽を含む。
故に、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインは、少なくとも1つの混合ユニットが少なくとも1つのガス投与入口と少なくとも1つの槽との間に位置する点において必要とされるユニットを含むことが理解される。例えば、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、少なくとも1つの混合ユニットが静的ミキサまたは管形状の動的ミキサである場合に、少なくとも1つのガス投与入口と少なくとも1つの槽との間に位置する。代わりにまたは加えて、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽は、少なくとも1つの混合ユニットと少なくとも1つのガス投与入口との間に位置することが理解される。代わりにまたは加えて、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口は、少なくとも1つの槽と少なくとも1つの混合ユニットとの間に位置することが理解される。
本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つの混合ユニットは、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽に一体化される。例えば、少なくとも1つの混合ユニットは、少なくとも1つの混合ユニットが動的ミキサである場合に、少なくとも1つの槽に一体化される。従って、少なくとも1つの混合ユニットが少なくとも1つの槽、即ち動的ミキサに一体化される場合、組み合わせた混合ユニット/槽は、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口の前または後に位置する。
故に、少なくとも1つの動的ミキサである少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットは、少なくとも1つのガス投与入口と少なくとも1つの槽との間に位置するか、または代わりに少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽に一体化されることが理解される。
換言すれば、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの個々のユニットは、流体接続管(またはパイプライン)が1つのユニットの出口から延び、別のユニットの入口と接続されるように、ユニット内、ユニットを通しておよび/またはユニット間に提供される1つ以上の管またはパイプによって直接的または間接的に接続されている。
故に、本発明の1つの実施形態によれば、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口は、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットの少なくとも1つの入口に接続されている。加えてまたは代わりに、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットの少なくとも1つの出口は、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽の少なくとも1つの入口に接続されている。加えてまたは代わりに、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽の少なくとも1つの出口は、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口に接続されている。
代わりに、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットが少なくとも1つの槽に一体化される場合、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口は、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの組み合わせた混合ユニット/槽の少なくとも1つの入口に接続されている。加えてまたは代わりに、マスターバッチラインの組み合わせた混合ユニット/槽の少なくとも1つの出口は、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口の少なくとも1つの入口に接続されている。
濃縮された炭酸水素カルシウム溶液を炭酸カルシウムの水性懸濁液から得るために、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口は少なくとも1つの投与ユニットの後に位置するのが好ましい。
マルチプルバッチシステムのスレーブバッチラインを構成する部分である1つのユニットから同じスレーブバッチラインを構成する部分である別のユニットへの流体フローは、1つ以上の中間(特に記述も記載もされない)デバイス、ポンプまたは器具によって達成され得る。さらに、こうしたフローは、例えばバルブ、スイッチ、制御ユニットおよび/または他の好適なコンポーネントによって選択的に中断可能であることができるまたは中断不可能であることができる。
本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインは、水性炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液を少なくとも1つのスレーブバッチラインの1つのユニットから同じスレーブバッチラインを構成する部分である別のユニットに向かわせるための少なくとも1つのポンプ、好ましくは少なくとも2つのポンプ、最も好ましくは少なくとも3つのポンプを含む。例えば、少なくとも1つのスレーブバッチラインは、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットの前に位置する少なくとも1つのポンプを含む。加えてまたは代わりに、少なくとも1つのポンプは、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの槽の後に位置する。
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのスレーブバッチラインは、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの混合ユニットの前且つなくとも1つの槽の後に位置する1つのポンプを含む。
加えてまたは代わりに少なくとも1つのポンプ、好ましくは1つのポンプは、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口、例えばベンチュリーインジェクタの前または後に位置する。
少なくとも1つのポンプは、好ましくは水性炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液が、再循環様式において、少なくとも1つのガス投与入口から少なくとも1つの混合ユニットと、少なくとも1つの槽とに向かい、さらに少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのガス投与入口に戻るように設計される。
少なくとも1つのガス投与入口、好ましくはベンチュリーインジェクタは、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチライン内に位置する少なくとも1つのポンプの前に(即ち少なくとも1つの混合ユニットに近くに)または後に(即ち少なくとも1つの投与ユニットに近くに)位置できる。
少なくとも1つのスレーブバッチライン内の少なくとも1つのポンプのポンプ輸送能(m3/合計のh)は、マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインを構成する部分である少なくとも1つの槽の体積の0.01から100倍であることがさらに理解される。
加えてまたは代わりに、少なくとも1つの混合ユニットに供給する少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのポンプによって誘導されるフローの速度は、0.2から10m/s、好ましくは0.5から5m/s、より好ましくは1から2m/s、最も好ましくは1から1.5m/sである。
マルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインが少なくとも1つの混合ユニットとして少なくとも1つの静的ミキサを含む場合、少なくとも1つの混合ユニットに供給する少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのポンプによって誘導されるフローの速度は1から1.5m/sである。
加えてまたは代わりに、少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つのポンプは、1から10bar、好ましくは2から8bar、最も好ましくは2から6barで操作される。
炭酸水素カルシウム溶液の調製は、滞留時間、ポンプ速度、フロー、圧力および/またはCO2投与のようなパラメータを検出することによってモニタリングできる。
故に、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインは、好ましくは、集合的または別個に操作できる滞留時間、ポンプ速度、フロー、圧力および/またはCO2投与をモニタリングする少なくとも1つの制御ユニットを含む。
水性炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液の少なくとも一部が、本発明の装置のマルチプルバッチシステムを構成する部分である少なくとも1つのスレーブバッチラインから放出できることが本発明の1つの要件である。放出された炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液は、好ましくは本発明の装置を構成する部分である少なくとも1つの膜濾過ユニットによる濾過に供される。
従って、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの出口は、少なくとも1つの膜濾過ユニットの少なくとも1つの入口に接続されていることが好ましい。
故に本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインは、少なくとも1つの混合ユニットの前および/または後に位置する少なくとも1つの出口を含む。本発明の装置の少なくとも1つの膜濾過ユニットを通過する炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液は、好ましくは少なくとも1つのスレーブバッチラインから、少なくとも1つの混合ユニットの後に位置する少なくとも1つの出口を通って放出される。故に少なくとも1つのスレーブバッチラインは、好ましくは少なくとも1つの混合ユニットの後に位置する少なくとも1つの出口を含む。例えば少なくとも1つのスレーブバッチラインは、少なくとも1つの混合ユニットの前および後に位置する少なくとも1つの出口を含む。
少なくとも1つのスレーブバッチラインからの炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液の放出は、好ましくは、炭酸カルシウム懸濁液または炭酸水素カルシウム溶液のフローを選択的に妨害することができるバルブ、スイッチ、制御ユニットおよび/または他の好適なコンポーネントによって制御される。
水性炭酸水素カルシウム溶液は、マスターバッチラインおよび/または少なくとも1つのスレーブバッチラインから放出され、装置のマルチプルバッチシステム、即ちマスターバッチラインおよび/または少なくとも1つのスレーブバッチラインのそれぞれにおいて製造された炭酸水素カルシウム溶液の濁度レベルをさらに低減するために膜濾過ユニットによって濾過されることが理解される。
故に、装置は、少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を備えた少なくとも1つの膜濾過ユニットを含むことが本発明の1つの要件である。従って、マスターバッチラインの少なくとも1つの出口および少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの出口は、独立に、少なくとも1つの膜濾過ユニットの少なくとも1つの入口に接続されていることが理解される。
本発明の1つの実施形態において、マスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインのそれぞれは、同じ膜濾過ユニットに接続されている、即ち装置は1つの膜濾過ユニットを含む。本発明の1つの実施形態において、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインのそれぞれは、本発明の装置の1つの膜濾過ユニットに炭酸水素カルシウム溶液を同時に供給できる。代わりに、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインのそれぞれは、本発明の装置の1つの膜濾過ユニットに炭酸水素カルシウム溶液を互いに独立して供給できる。
従って、マスターバッチラインの少なくとも1つの出口および各スレーブバッチラインの少なくとも1つの出口は、独立に、1つの膜濾過ユニットの少なくとも1つの入口に接続されていることが理解される。好ましくは、マスターバッチラインの少なくとも1つの出口および各スレーブバッチラインの少なくとも1つの出口は、膜濾過ユニットの同じ入口に独立して接続されている、即ち膜濾過ユニットは1つの入口を含む。
本発明の装置が1つの膜濾過ユニットを含む場合、貯蔵槽、好ましくは1つの貯蔵槽は、マスターバッチラインと膜濾過ユニットとの間および/または少なくとも1つのスレーブバッチラインと膜濾過ユニットとの間に位置できる。例えば1つの貯蔵槽は、マスターバッチラインと膜濾過ユニットとの間または少なくとも1つのスレーブバッチラインと膜濾過ユニットとの間に位置する。代わりに1つの貯蔵槽は、マスターバッチラインと膜濾過ユニットとの間および少なくとも1つのスレーブバッチラインと膜濾過ユニットとの間に位置する。故に、マスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインのそれぞれは、独立に同じ貯蔵槽に接続されていることが理解される。
従って、マスターバッチラインの少なくとも1つの出口および少なくとも1つのスレーブバッチラインの少なくとも1つの出口は、貯蔵槽の少なくとも1つの入口に独立に接続されている。加えて、貯蔵槽の少なくとも1つの出口は、膜濾過ユニットの少なくとも1つの入口に接続されている。
この点に関して、貯蔵槽は、炭酸水素カルシウム溶液を貯蔵および回収するために当業者に周知のいずれかの種類の槽および/または容器であることができることが理解される。例えば、貯蔵槽は、1lから1,000kl、好ましくは10lから500kl、より好ましくは10lから250kl、最も好ましくは10lから100klの範囲の槽および/または容器であることができる。
貯蔵槽は、当業者に周知の開放貯蔵槽または閉鎖貯蔵槽であり得ることがさらに理解される。本発明の1つの実施形態において、貯蔵槽は閉鎖貯蔵槽である。例えば貯蔵槽が閉鎖貯蔵槽の形態で提供される場合、閉鎖貯蔵槽は、周囲圧力下または周囲圧力を超えて操作できる。本発明の1つの実施形態において、閉鎖貯蔵槽は、好ましくは圧力下で操作される、即ち炭酸水素カルシウム溶液の貯蔵および回収は周囲圧力を超えて行われる。少なくとも1つの閉鎖貯蔵槽内で調節できる好適な圧力は、好ましくは0.1barから10bar、より好ましくは0.2から5kPa、最も好ましくは0.5から2kPaの範囲である。
本発明の1つの実施形態において、貯蔵槽は、貯蔵槽内の充填レベルを調節する少なくとも1つの制御ユニットを含む。この点に関して、少なくとも1つの制御ユニットは、炭酸水素カルシウム溶液が貯蔵槽からオーバーフローしない点で、貯蔵槽内の充填レベルを調節することが理解される。
代わりに、装置は少なくとも2つの膜濾過ユニットを含む。例えば、装置は、2つの膜濾過ユニット、即ちマスターバッチラインに接続される1つの膜濾過ユニットおよび1つ以上のスレーブバッチラインに接続される1つの膜濾過ユニットを含む。
本発明の1つの実施形態において、本発明の装置を構成する部分である膜濾過ユニットの総数は、マルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインおよびスレーブバッチラインの総数に対応する。従って、マスターバッチラインおよび1つ以上のスレーブバッチラインのそれぞれは、独立に、異なる膜濾過ユニットに接続されていることが理解される。
上記で既に記述されたように、マスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインそれぞれからの炭酸水素カルシウム溶液の放出は、好ましくはバルブによって制御される。
故に好ましくは、装置は、少なくとも1つの膜濾過ユニットとマルチプルバッチシステム、即ちマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインとの間に位置する少なくとも1つのバルブを含む。例えば、装置が1つの膜濾過ユニットを含む場合、装置は、1つまたは2つのバルブ、好ましくは1つの膜濾過ユニットとマルチプルバッチシステムとの間に位置する1つのバルブを含む。貯蔵槽がマルチプルバッチシステム、即ちマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインと、1つの膜濾過ユニットとの間に位置する場合、装置は、好ましくは2つのバルブ、即ち貯蔵槽の前に位置する1つのバルブおよび貯蔵槽の後に位置する1つのバルブを含む。
代わりに、装置が2つ以上の膜濾過ユニットを含む場合に、少なくとも1つのバルブは、マスターバッチラインおよび各少なくとも1つのスレーブバッチラインそれぞれと各膜濾過ユニットとの間に位置する。
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの膜濾過ユニットとマルチプルバッチシステム、即ちマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインとの間に位置する少なくとも1つのバルブは、少なくとも1つの背圧バルブである。
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つのポンプは、マスターバッチラインと少なくとも1つの膜濾過ユニットとの間に位置し、および/または少なくとも1つのポンプは、少なくとも1つのスレーブバッチライン、好ましくは各スレーブバッチラインと、少なくとも1つの膜濾過ユニットとの間に位置する。例えば、本発明の装置が1つの膜濾過ユニットおよび貯蔵槽を含む場合、少なくとも1つのポンプ、好ましくは1つのポンプは、炭酸水素カルシウム溶液を膜濾過ユニットに向かわせるために、貯蔵槽と1つの膜濾過ユニットとの間に位置する。
装置を構成する部分である少なくとも1つの膜濾過ユニットは、炭酸カルシウムを含む水性懸濁液/溶液を濾過するために通常使用され、当業者に既知のいずれかの種類の膜フィルタであることができる。例えばクロスフロー膜精密濾過デバイスおよび/またはクロスフロー膜限外濾過デバイスが使用できる。
膜濾過ユニットの内側と周囲環境との圧力差が存在するので、懸濁粒子は懸濁液/溶液から分離され、クリアな溶液が得られることが理解される。好ましくは膜濾過ユニット内側の圧力は、周囲環境の圧力よりも高い。
精密濾過膜は、0.1から10μmの孔サイズを有する膜であり、懸濁液からの懸濁粒子を分離するために通常使用される。精密濾過膜は、セラミック、ポリマーまたは他の合成材料であることができる。好ましくはこの膜はバックパルス能を有する、即ち圧力による膜を通した水性懸濁液の濃縮側への濾液の逆フローが、膜の流量を低減する傾向にある汚染物質のビルドアップを除去する。対照的に、限外濾過膜は、0.001から0.1μmの孔サイズを有する膜であり、懸濁液からエマルション、タンパク質および巨大分子を分離するために使用される。構築材料は、通常、精密濾過膜の場合と同じである。限外濾過膜は、上記で記載されるようにバックパルスされるか、またはある期間濾液バルブを閉じることによって逆洗される。
例えば少なくとも1つの膜濾過ユニットはクロスフロー膜濾過デバイスである。本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの膜濾過ユニットはクロスフロー膜精密濾過デバイスである。加えてまたは代わりに、少なくとも1つの膜濾過ユニットはクロスフロー膜限外濾過デバイスである。例えば少なくとも1つの膜濾過ユニットはクロスフロー膜限外濾過デバイスである。
クロスフロー膜濾過デバイスは、当業者に既知である。本発明の装置に好適な1つのクロスフロー膜濾過デバイスとしては、Microdyn−Nadir GMBH,GermanyからMycrodyn Modul CMB 150として入手可能なクロスフロー膜濾過デバイス、またはIngeからの限外濾過膜2.5’’dizzerモジュール(UF Module dizzer 2514P 0.5)が挙げられる。
少なくとも1つの膜濾過ユニットは、少なくとも1つの板状フィルタおよび/または管フィルタおよび/またはキャピラリフィルタ膜を含むことが理解される。好ましくは少なくとも1つの膜濾過ユニットは、少なくとも1つの管フィルタ膜を含む。少なくとも1つの膜濾過ユニットが少なくとも1つの管フィルタ膜を含む場合、管フィルタ膜は、好ましくは0.01mmから25mm、より好ましくは0.1mmから10mm、最も好ましくは0.1から7.5mmの内側直径を有する。例えば管フィルタ膜は、1mmから7.5mm、好ましくは2.5mmから7.5mmの管の内側直径を有する。
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの膜濾過ユニットは、複数のキャピラリを有するキャピラリフィルタ膜を含む。少なくとも1つの膜濾過ユニットが複数のキャピラリを有するキャピラリフィルタ膜である場合に、キャピラリは、好ましくは0.01mmから25mm、より好ましくは0.1mmから10mm、最も好ましくは0.1から7.5mmの内側直径を有する。例えば、少なくとも1つの膜濾過ユニットのキャピラリは、0.5mmから5mm、好ましくは0.5mmから2.5mmの内側直径を有する。
少なくとも1つの膜濾過ユニットが複数のキャピラリを有するキャピラリフィルタ膜である場合、膜濾過ユニットは、好ましくは2から15キャピラリ、好ましくは4から12、最も好ましくは5から10キャピラリを含む。例えば少なくとも1つの膜濾過ユニットは7つのキャピラリを含む。
キャピラリフィルタ膜は、乱流フローが膜表面に生じる場合に、相対的に低い操作圧力および高い再循環流量での固体の分離のために優れたフロー条件を提供するので、好ましい。
本発明の1つの実施形態において、キャピラリフィルタ膜は、0.01μmから10μm、好ましくは0.05から5μm、より好ましくは0.1から2μm、最も好ましくは0.5から2μmの孔サイズを有する少なくとも1つの膜を含む。
膜濾過ユニットは当業者に既知である。本発明のマルチプルバッチシステムに好適であることができる1つの膜濾過ユニットとしては、Inge watertechnologies,Germanyから入手可能なdizzer(R)モジュールが挙げられる。
クロスフロー膜濾過デバイスの少なくとも1つの膜を横切るフローの速度は、0.1m/sから10m/s、好ましくは0.5m/sから5m/s、最も好ましくは1m/sから4m/sであることがさらに理解される。加えてまたは代わりに、クロスフロー膜濾過デバイスの入口での圧力は、0barから30bar、好ましくは0.2barから10bar、最も好ましくは0.5から5barである。
本発明の1つの実施形態において、少なくとも1つの膜は、焼結材料、多孔質磁器、合成ポリマー、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、Teflon(R)、または変成ポリエーテルスルホンおよびこれらの混合物を含む群から選択される材料で構成される。
少なくとも1つの膜濾過ユニットの後に得られた炭酸水素カルシウム溶液、即ち濾液は、好ましくは5.5から9、好ましくは5.5から8の範囲、最も好ましくは5.5から7.5の範囲のpHを有する。
加えてまたは代わりに、少なくとも1つの膜濾過ユニットの後に得られた炭酸水素カルシウム溶液、即ち濾液は、50から1,000mg/l、好ましくは100から800mg/l、最も好ましくは500から700mg/lのCaCO3としてのカルシウム濃度を有する。故に、少なくとも1つの膜濾過ユニットの後に得られた炭酸水素カルシウム溶液、即ち濾液は、炭酸水素カルシウムの濃縮溶液であることが理解される。別の実施形態によれば、少なくとも1つの膜濾過ユニットの後に得られた炭酸水素カルシウム溶液、即ち濾液は、MgCO3として1から150mg/l、好ましくはMgCO3として2から100mg/l、最も好ましくはMgCO3として5から50mg/lのマグネシウム濃度を有する。
本発明のさらに別の実施形態によれば、少なくとも1つの膜濾過ユニットの後に得られた炭酸水素カルシウム溶液、即ち濾液は、5.0NTU未満、好ましくは2.0NTU未満、最も好ましくは1.0NTU未満の濁度値を有する。例えば、少なくとも1つの膜濾過ユニットの後に得られた炭酸水素カルシウム溶液、即ち濾液は、0.5NTU未満の濁度値を有する。
本発明のさらに別の実施形態によれば、少なくとも1つの膜濾過ユニットの後に得られた炭酸水素カルシウム溶液、即ち濾液は、200μS/cmを超える、好ましくは300μS/cmを超える、より好ましくは400μS/cmを超える、または500μS/cmを超える伝導度値を有する。
装置のユニット、即ち少なくとも1つの投与ユニット、マルチプルバッチシステムおよび少なくとも1つの膜濾過ユニットは、循環連通にて、即ちループ様システムにおいて接続されて、少なくとも1つの膜濾過ユニットで得られた残渣は、本発明の装置の少なくとも1つの投与ユニットに戻されて循環されることが本発明の1つの要件である。故に、少なくとも1つの膜濾過ユニットの少なくとも1つの出口は、少なくとも1つの投与ユニットの少なくとも1つの入口に接続されていることが理解される。例えば装置が1つの膜濾過ユニットを含む場合、膜濾過ユニットの1つの出口は、少なくとも1つの投与ユニットの1つの入口に接続されている。代わりに、装置が2つ以上の膜濾過ユニットを含む場合、各膜濾過ユニットの1つの出口は、独立に、少なくとも1つの投与ユニットの少なくとも1つの入口、好ましくは1つの入口に接続されている。
マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインおよび少なくとも1つのスレーブバッチラインは、互いに独立に操作できることが理解される。例えばマルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは、炭酸水素カルシウム溶液を調製するために使用され、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインは、調製された炭酸水素カルシウム溶液を既に含有する。代わりに、マルチプルバッチシステムのマスターバッチラインは、調製された炭酸水素カルシウム溶液を既に含有し、マルチプルバッチシステムの少なくとも1つのスレーブバッチラインは、炭酸水素カルシウム溶液を調製するために使用される。
本発明の装置の利点は、炭酸水素カルシウム溶液の連続調製が達成されることであり、水の再ミネラル化のためにさらに使用できる。特に、本発明の装置により、低減した濁度、即ち<0.5NTUを有する濃縮された炭酸水素カルシウム溶液の連続調製が可能になる。
本発明の装置における炭酸水素カルシウム溶液の有利な調製の観点から、本発明のさらなる態様は、炭酸水素カルシウム溶液の調製のための装置の使用について言及する。特に本発明は、炭酸水素カルシウム溶液の連続調製のための装置の使用について言及する。溶液は、50から1,000mg/l、好ましくは100から800mg/l、最も好ましくは500から700mg/lの炭酸水素カルシウムの濃度を有することが好ましい。
炭酸水素カルシウムの調製された溶液は水の再ミネラル化のために使用されるのが好ましい。
故に本発明の別の態様は、水の再ミネラル化のための装置において調製される炭酸水素カルシウム溶液の使用について言及する。再ミネラル化されるべき水は、飲料水、レクリエーション水、例えばスイミングプールの水、処理用途のための産業水、灌漑用水、または帯水層もしくは井戸涵養のための水から選択されることが好ましい。
本発明を、マルチプルバッチシステムの1つの実施形態を参照して図と組み合わせて、以下により詳細に説明する。
図1は、少なくとも1つの投与ユニット、マルチプルバッチシステムおよび1つの膜濾過ユニットを含む装置の例示的な配置を示す。この装置は、給水部(2)および固体材料のための貯蔵容器の形態の固体供給部(4)に接続されている少なくとも1つの投与ユニット(6)を含む。装置はさらに、少なくとも1つの投与ユニット(6)、マルチプルバッチシステムのそれぞれ、即ちマスターバッチライン(10)、第1のスレーブバッチライン(12)および個々の任意のさらなるスレーブバッチライン(14)と接続するスラリー供給部(8)を含み、炭酸カルシウムの水性懸濁液をマルチプルバッチシステムに注入するために使用される。マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインのそれぞれは、循環連通で、ガス投与入口(16)、少なくとも1つの混合ユニット(26)および少なくとも1つの槽(28)を含む。二酸化炭素を炭酸カルシウムの水性懸濁液に導入するために、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインのそれぞれは、ガス投与入口、例えばCO2入口(16)を備える。さらに、炭酸カルシウムの水性懸濁液中への二酸化炭素の溶解は、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインのそれぞれに提供された少なくとも1つの混合ユニット(26)によって促進される。濃縮炭酸水素カルシウム溶液を形成するために二酸化炭素の存在下、炭酸カルシウムの水性懸濁液からの炭酸カルシウムのさらなる溶解のために、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインはそれぞれさらに、少なくとも1つの槽(28)を含む。故に、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインそれぞれは、ガス投与入口(16)が少なくとも1つの混合ユニット(26)の少なくとも1つの入口に接続され、よび少なくとも1つの混合ユニット(26)の少なくとも1つの出口が少なくとも1つの槽(28)の少なくとも1つの入口に接続されるように配置されることが好ましい。さらに、少なくとも1つの槽(28)の少なくとも1つの出口は、ガス投与入口(16)に接続されている。
水性炭酸水素カルシウム溶液の少なくとも一部は、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインのそれぞれから放出できることが1つの要件である。従って、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインはそれぞれ、炭酸カルシウムの溶液の少なくとも一部を放出し、炭酸カルシウムの溶液が供給部(20、22、24)を通って少なくとも1つの膜濾過ユニット(34)に進むようにするための出口を備えている。この出口は、好ましくは、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインの個々の少なくとも1つの混合ユニット(26)の後に位置する。
さらに、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインのそれぞれから放出された炭酸水素カルシウム溶液は、場合により、組み合わせた生成物(32)が次いでさらに膜濾過ユニット(34)に向けられるように、貯蔵槽(30)において貯蔵および回収できる。従って、貯蔵槽(30)は、マルチプルバッチシステムと膜濾過ユニット(34)との間に位置する。
装置の個々のユニット、即ち少なくとも1つの投与ユニット(6)、マルチプルバッチシステム(10、12、14)および1つの膜濾過ユニット(34)は循環連通にて提供されることが理解される。故に、少なくとも1つの投与ユニット(6)の少なくとも1つの出口は、マスターバッチライン(10)の少なくとも1つの入口に接続され、および少なくとも1つの投与ユニット(6)の少なくとも1つの出口は、1つ以上のスレーブバッチライン(12、14)の少なくとも1つの入口に接続されるように装置が配置されることが好ましい。さらに、マスターバッチライン(10)の少なくとも1つの出口は、膜濾過ユニット(34)の少なくとも1つの入口に接続されており、および1つ以上のスレーブバッチライン(12、14)の少なくとも1つの出口は膜濾過ユニット(34)の同じ入口に接続されている。循環連通を提供するために、膜濾過ユニット(34)の少なくとも1つの出口は、少なくとも1つの膜濾過ユニット(34)に保持される残渣を少なくとも1つの投与ユニット(6)に戻して再循環するために少なくとも1つの投与ユニット(6)の少なくとも1つの入口に接続されていることがさらに必要とされる。
場合により、貯蔵槽(30)が装置に提供される場合、マスターバッチライン(10)の少なくとも1つの出口は、貯蔵槽(30)の少なくとも1つの入口に接続されており、および1つ以上のスレーブバッチライン(12、14)の少なくとも1つの出口は、貯蔵槽(30)の同じ入口に接続されている。これに加えて、貯蔵槽(30)の少なくとも1つの入口は、膜濾過ユニット(34)の少なくとも1つの入口に接続されている。
膜濾過ユニット(34)に保持される残渣が本発明の装置の少なくとも1つの投与ユニット(6)に供給部(38)を通って戻されて循環できるように、膜濾過ユニット(34)は、少なくとも1つの投与ユニット(6)に接続されていることが理解される。
濾液、即ち膜濾過ユニット(34)を通過した炭酸水素カルシウム溶液の一部は膜濾過ユニット(34)から放出できる。従って、膜濾過ユニット(34)は、炭酸カルシウムの溶液の放出のために出口(36)を備えている。
図2は、少なくとも1つの投与ユニット、マルチプルバッチシステムおよび少なくとも1つの膜濾過ユニットを含む装置の例示的な配置を示し、ここで膜濾過ユニットの総数が、マルチプルバッチシステムを構成する部分であるマスターバッチラインおよびスレーブバッチラインの総数に対応する。
装置は、給水部(42)および固体材料のための貯蔵容器の形態の固体供給部(44)に接続されている少なくとも1つの投与ユニット(46)を含む。装置はさらに、少なくとも1つの投与ユニット(46)とマルチプルバッチシステムの個々のライン、即ちマスターバッチライン(50)、第1のスレーブバッチライン(52)および個々の任意のさらなるスレーブバッチライン(54)とを接続するスラリー供給部(48)を含み、炭酸カルシウムの水性懸濁液をマルチプルバッチシステムに注入するために使用される。マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインのそれぞれは、循環連通で、ガス投与入口(16)、少なくとも1つの混合ユニット(26)および少なくとも1つの槽(28)を含む。二酸化炭素を炭酸カルシウムの水性懸濁液に導入するために、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインのそれぞれは、ガス投与入口、例えばCO2入口(16)を備える。さらに、炭酸カルシウムの水性懸濁液中への二酸化炭素の溶解は、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインのそれぞれに提供された少なくとも1つの混合ユニット(26)によって促進される。濃縮炭酸水素カルシウム溶液を形成するために二酸化炭素の存在下、炭酸カルシウムの水性懸濁液からの炭酸カルシウムのさらなる溶解のために、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインはそれぞれさらに、少なくとも1つの槽(28)を含む。故に、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインそれぞれは、ガス投与入口(16)が少なくとも1つの混合ユニット(26)の少なくとも1つの入口に接続され、および少なくとも1つの混合ユニット(26)の少なくとも1つの出口が少なくとも1つの槽(28)の少なくとも1つの入口に接続されるように配置されることが好ましい。さらに、少なくとも1つの槽(28)の少なくとも1つの出口は、ガス投与入口(16)に接続されている。
水性炭酸水素カルシウム溶液の少なくとも一部は、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインのそれぞれから放出できることが1つの要件である。従って、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインそれぞれは、炭酸カルシウムの溶液の少なくとも一部を放出し、炭酸カルシウムの各溶液が供給部を通って異なる膜濾過ユニット(60、62、64)に進むようにするための出口を備えている。この出口は、好ましくは、マスターバッチラインおよび各スレーブバッチラインの個々の少なくとも1つの混合ユニット(26)の後に位置する。
装置の個々のユニット、即ち少なくとも1つの投与ユニット(46)、マルチプルバッチシステム(50、52、54)および膜濾過ユニット(60、62、64)は循環連通にて提供されることが理解される。故に、少なくとも1つの投与ユニット(46)の少なくとも1つの出口は、マスターバッチライン(50)の少なくとも1つの入口に接続され、および少なくとも1つの投与ユニット(46)の少なくとも1つの出口は、1つ以上のスレーブバッチライン(52、54)の少なくとも1つの入口に接続されるように装置が配置されることが好ましい。さらに、マスターバッチライン(50)の少なくとも1つの出口は、膜濾過ユニット(60)の少なくとも1つの入口に接続されており、1つ以上のスレーブバッチライン(52、54)の少なくとも1つの出口は異なる膜濾過ユニット(62、64)に接続されている。循環連通を提供するために、各膜濾過ユニット(60、62、64)の少なくとも1つの出口が、少なくとも1つの投与ユニット(46)の少なくとも1つの入口に接続されていることがさらに必要とされる。
各膜濾過ユニット(60、62、64)に保持される残渣が本発明の装置の少なくとも1つの投与ユニット(46)に供給部(80)を通って戻されて循環できるように、各膜濾過ユニット(60、62、64)は、少なくとも1つの投与ユニット(46)に接続されていることが理解される。
濾液、即ち膜濾過ユニット(60、62、64)を通過した炭酸水素カルシウム溶液の一部は、互いに独立に、各膜濾過ユニット(60、62、64)から放出できる。従って、各膜濾過ユニット(60、62、64)は、炭酸カルシウムの溶液の放出のために出口(70、72、74)を備えている。
以下の実施例は、本発明の装置を用いて、重炭酸カルシウムとして既知の炭酸水素カルシウム水溶液を調製する異なる方法を示す。次いで得られた炭酸水素カルシウム溶液は、例えば地下水または表層水源からの天然軟水、逆浸透または蒸留からの脱塩水、雨水であることができる軟水の再ミネラル化のために使用される。本発明の装置を用いるトライアルは、炭酸水素カルシウム溶液の調製のための原料として炭酸カルシウムの2つの異なる等級を用いて行われた。両方のCaCO3等級は、99.5重量%を超える炭酸塩含有量を有する非常に高純度の大理石生産物を生産する同じ採石場由来であった。初期スラリー水性濃度は、CaCO3として500mg/lまたは1,000mg/lのいずれかであった。
すべてのトライアルは、室温、即ち15から25℃の温度で行った。各トライアルの初期に提供されたRO(逆浸透)水はおおよそ室温、即ち15から25℃の温度を有していたことに留意すべきである。
以下の表1は、異なる等級の炭酸カルシウム、および上記で記載される本発明の装置を用いることによって行われた再ミネラル化パイロットトライアルの間に使用された初期スラリー濃度を要約する。
個々の微粉化炭酸カルシウムは、投与ユニットの頂部に置かれたファンネルに注がれ、投与ユニットの頂部にファンネルの底部部分を接続する投与スクリューによって投与ユニットへの粉末の正確な投与が可能になる。炭酸カルシウム懸濁液は、微粉化炭酸カルシウム粉末をRO水に混合することによって投与ユニットにて調製される。RO水は、Christ,BWT PERMAQ Picoによって提供される逆浸透ユニットを用いてオンサイトで製造され、以下の表2に概要されるような平均品質を有していた。
RO水および対応する量の微粉化炭酸カルシウムでの投与ユニットの充填は、投与ユニットの槽の内側に配置されたレベルスイッチに従ってプログラミングされ、設定される。投与ユニット中の炭酸カルシウム懸濁液の初期固体含有量は、表1に記載されるようにCaCO3として500または1,000mg/lであった。RO水は、ポンプによって添加され、投与ユニットの頂部に接続されたパイプによって導入されるが、炭酸カルシウム粉末は、投与ユニットの頂部において配置された投与スクリューから投与ユニットに添加される。RO水および微粉化炭酸カルシウムの両方は、予めプレプログラミングされた比に従って比例的に投与され、投与ユニット中の炭酸カルシウムの水性懸濁液の一定の固体含有量が可能になる。
スタートアップ手順において、投与ユニットは、規定の出発固体含有量にて、炭酸カルシウム懸濁液で完全に充填される。次いで炭酸カルシウム懸濁液は、投与ユニットからポンプ輸送されて、マルチプルバッチシステムの1つ以上の混合ユニットに供給され、このユニットそれぞれが100lの体積を有する。初期炭酸カルシウム固体含有量に比べて異なるCO2化学量論比が、本発明の装置において試験された。CO2化学量論比は、水性出発スラリーのCaCO3モル濃度のx倍比であり、1.7倍から5倍まで変動する(CO2は2barの圧力にて注入された。)。これらの試験は、30分の時間制御設定にてバッチモードに基づいて行われた。次いで、幾つかのバッチから得られた溶液は、溶解した炭酸水素カルシウムおよび一部の残留未溶解CaCO3を含有しているが、これらを次いで、限外濾過ユニットにさらに移行する前に、貯蔵槽にポンプ輸送した。最終生成物、即ち炭酸水素カルシウム溶液からなる限外濾過ユニットによって放出された濾液、および非濾液ストリーム、即ち限外濾過ユニットに保持された残渣は、本発明の装置を構成する部分としての投与ユニットに戻されて再循環された。
参照トライアル
参照トライアルは、表1に記載されるようなスラリー1(サンプルA、d50=20μm)をCaCO3として500mg/lの初期スラリー濃度にて用いて、30分の時間制御設定を伴うが、濾過ユニットはないバッチモードにて行った。CO2は2barの圧力にて注入した。
工程設定は、上記で記載された通りであり、以下の表3に要約した。
以下の表4は、濾過ユニットを用いることなく本発明の装置を用いて幾つかのバッチにて得られた水性炭酸水素カルシウム溶液について測定された平均パラメータを示す。
少なくとも1つの濾過ユニットを含む本発明の装置の影響
本発明の装置は、循環連通のためにより高い初期スラリー濃度での作業が可能であり、膜濾過ユニットに保持された残渣は、投与ユニットに戻して循環される。
両方ともCaCO3として1,000mg/lの初期スラリー濃度であるスラリー2(サンプルA、d50=20μm)およびスラリー3(サンプルB、d50=3.5μm)は、濾過ユニットと組み合わせて30分の時間制御設定を有する本発明の装置のバッチモードオプションを用いて以下のトライアルのために使用された。工程設定は、以下の表5に要約され、上記の参照トライアルに関して使用したものと同様であった。しかし、初期スラリー濃度およびCaCO3濃度に対する関連CO2化学量論比は異なる。CO2は2barの圧力にて注入した。
以下の表6は、本発明の装置を用いて幾つかのバッチにて得られた水性炭酸水素カルシウム溶液について測定された平均パラメータを示す。
表6に概要される結果は、本発明の装置が、参照トライアルに比べて低CO2化学量論比を用いることによってより高い伝導度およびアルカリ度に到達可能であることを示す。これに加えて、本発明の装置内での少なくとも1つの膜濾過ユニットの組み込みにより、得られた炭酸水素カルシウム溶液は、非常に低い濁度レベルを有する。さらに、本発明の装置において微細な炭酸カルシウム生成物、即ちスラリー3(サンプルB、d50=3.5μm)の使用により、両方のCO2化学量論比に関して、より粗い炭酸カルシウム生成物、例えばスラリー2(サンプルA、d50=20μm)と比べて、より高い伝導度およびアルカリ度レベルが得られる。CO2の化学量論比の増大が、得られた炭酸水素カルシウム溶液に関して測定された伝導度およびアルカリ度の増大を誘導することが、試験されたスラリーの両方についてさらにわかる。