本発明の有利な実施形態は、相当する従属請求項で定義されている。
一実施形態により、溶液中の炭酸カルシウムの濃度は、溶液の総重量に基づいて、0.1から1g/L、好ましくは0.3から0.8g/L、より好ましくは0.5から0.7g/Lである。
別の実施形態により、ステップb)の炭酸カルシウムの水溶液の調製に使用する炭酸カルシウムは、0.1から100μmの、0.5から50μmの、1から15μmの、好ましくは2から10μmの、最も好ましくは3から5μmの重量中央粒径d50を有し、または炭酸カルシウムは1から50μmの、2から20μmの、好ましくは5から15μmの、最も好ましくは8から12μmの重量中央粒径d50を有する。炭酸カルシウム粒子は、摩擦に基づく技法、たとえば湿式または乾式条件下のどちらかでの製粉または粉砕によって得ることができる。しかし、他のいずれかの好適な方式、たとえば沈降、超臨界溶液の急速膨張、スプレードライ、天然起源の砂または泥の分級または分画、水の濾過、ゾル−ゲル方法、スプレー反応合成、火炎合成または液体泡合成によって、炭酸カルシウム粒子を生産することも可能である。
本発明の好ましい実施形態により、ステップb)の炭酸カルシウムの水溶液は、以下の:
A)第1のステップで炭酸カルシウムの水性懸濁物を調製して、第2のステップで:(i)二酸化炭素発生化合物、(ii)二酸化炭素発生化合物および酸、もしくは(iii)酸のいずれかを炭酸カルシウムに導入するステップ、または
B)第1のステップで:(i)二酸化炭素発生化合物、(ii)二酸化炭素発生化合物および酸もしくは(iii)酸のいずれかを炭酸カルシウムの溶液の調製に使用される水に導入して、次に第2のステップで、乾燥形のもしくは懸濁物のどちらかの炭酸カルシウムを水に導入するステップ、または
C)炭酸カルシウムの懸濁物および(i)二酸化炭素発生化合物、(ii)二酸化炭素発生化合物および酸もしくは(iii)酸のいずれかを導入するステップ
の1つによって調製される。
本発明の目的のために、「二酸化炭素発生化合物」という用語は、気体状二酸化炭素、液体二酸化炭素、固体二酸化炭素、二酸化炭素を含有する気体、すなわち少なくとも1つの気体および二酸化炭素の混合物、ならびに熱処理または化学処理時に二酸化炭素を放出する化合物を包含する。好ましくは、二酸化炭素発生化合物は、二酸化炭素および他の気体との気体状混合物、たとえば燃焼工程もしくは焼成工程などの工業工程から排出された二酸化炭素含有排煙であり、または二酸化炭素発生化合物は気体状二酸化炭素である。二酸化炭素および他の気体の気体状混合物を使用する場合、ここで二酸化炭素は8から約99体積%の範囲で、好ましくは10から25体積%の範囲で、たとえば20体積%存在する。
本発明で使用する酸は、好ましくは硫酸、塩酸、亜硫酸、リン酸から成る群より選択される酸であり、好ましくは硫酸またはリン酸である。
また別の実施形態により、炭酸カルシウムは、炭酸カルシウムの総重量に基づいて、0.02から2.5重量%の、0.05から1.5重量%のまたは0.1から0.6重量%のHCl不溶分含有率を有する。また別の実施形態により、炭酸カルシウムは、粉砕炭酸カルシウム、修飾炭酸カルシウムもしくは沈降炭酸カルシウムまたはこれの混合物である。
一実施形態により、ステップb)の溶液は、マグネシウム、カリウムまたはナトリウムを含有する無機物、好ましくは炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、たとえばドロマイト質石灰石、石灰質ドロマイト、ドロマイトまたは半焼成ドロマイト、焼成ドロマイトなどの酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素カリウムまたは炭酸水素ナトリウムをさらに含む。
別の実施形態により、ステップb)の溶液は、ステップb)での使用前に新たに調製される。また別の実施形態により、ステップb)の溶液の調製からステップc)におけるステップa)の供給水およびステップb)の溶液を合せるまでの期間は、48時間未満、24時間未満、12時間未満、5時間未満、2時間未満または1時間未満である。また別の実施形態により、ステップb)の溶液は、飲用水の国内ガイドラインによって規定された微生物学的品質要求事項を満足する。
一実施形態により、得られた再ミネラル化水は、15から200mg/Lの、好ましくは30から150mg/Lの、最も好ましくは100から125mg/Lの、または15から100mg/Lの、好ましくは20から80mg/Lの、最も好ましくは40から60mg/Lの炭酸カルシウムとしてのカルシウム濃度を有する。
別の実施形態により、得られた再ミネラル化水は、5から25mg/Lの、好ましくは5から15mg/Lの、最も好ましくは8から12mg/Lのマグネシウム濃度を有する。また別の実施形態により、再ミネラル化水は、5.0NTUより低い、1.0NTUより低い、0.5NTUより低いまたは0.3NTUより低い濁度値を有する。また別の実施形態により、再ミネラル化水は、−1から2の、好ましくは−0.5から0.5の、最も好ましくは−0.2から0.2のランゲリア飽和指数を有する。また別の実施形態により、再ミネラル化水は5未満の、好ましくは4未満の、最も好ましくは3未満のシルト密度指数SDI15を有する。また別の実施形態により、再ミネラル化水は、4未満の、好ましくは2.5未満の、最も好ましくは2未満―の膜ファウリング指数MFI0.45を有する。
一実施形態により、供給水は、脱塩された海水、汽水もしくは塩水、処理済み廃水または地下水、地表水もしくは降雨などの天然水である。
一実施形態により、再ミネラル化水は、供給水とブレンドされる。別の実施形態により、方法は粒子除去ステップをさらに含む。
一実施形態により、方法は、(d)再ミネラル化水のアルカリ度、総硬度、導電率、カルシウム濃度、pH、CO2濃度、総溶解固形分および濁度を含む群より選択される、再ミネラル化水のパラメータ値を測定するステップ、(e)測定したパラメータ値を所定のパラメータ値と比較するステップならびに(f)測定したパラメータ値と所定のパラメータ値との間の差に基づいた量の炭酸カルシウムを提供するステップをさらに含む。別の実施形態により、所定のパラメータ値はpH値であって、pH値は5.5から9、好ましくは7から8.5である。
一実施形態により、微粒子化炭酸カルシウムは水の再ミネラル化に使用され、再ミネラル化水は、飲用水、水泳用プールの水などのレクリエーション用水、加工用途のための工業用水、灌漑水または帯水層もしくは井戸灌養用の水から選択される。
「溶解炭酸カルシウムおよび反応種」は、本発明の意味では、平衡条件にて溶解したCO2の量に応じて、以下の物質およびイオン:炭酸カルシウム(CaCO3)、カルシウムイオン(Ca2+)、重炭酸イオン(HCO3 −)、炭酸イオン(CO3 2−)、炭酸(H2CO3)ならびに溶解CO2を含むことが理解される。
「アルカリ度(TAC)」という用語は、本発明で使用する場合、溶液が酸を炭酸塩または重炭酸塩の当量点まで中和する能力の尺度である。アルカリ度は、溶解した塩基の化学量論的和に等しく、CaCO3としてmg/Lで規定される。アルカリ度は滴定装置によって測定され得る。
本発明の目的のために、「カルシウム濃度」という用語は、溶液中の総カルシウム含有量を指し、Ca2+またはCaCO3としてmg/lで規定される。カルシウム濃度は滴定装置によって測定され得る。
「導電率」は、本発明の意味では、測定した水が塩、イオンまたは不純物をどれだけ含まないかという指標として使用される;水が純粋であるほど、導電率はより低くなる。導電率は、導電率計によって測定することができ、S/mで規定される。
「粉砕炭酸カルシウム(GCC)」は、本発明の意味では、大理石、チョークまたは石灰石もしくはドロマイトを含む天然源から得られた炭酸カルシウムである。カルサイトは、無機炭酸塩であり、炭酸カルシウムの最も安定な多形である。炭酸カルシウムの他の多形は、無機物のアラゴナイトおよびバテライトである。アラゴナイトは380から470℃にてカルサイトに変化し、バテライトはなおさらに安定性が低い。粉砕炭酸カルシウムは、たとえばサイクロンによって、湿式および/または乾式で粉砕、ふるい分けおよび/または分画などの処理によって処理される。粉砕炭酸カルシウムがカルサイト石灰石の場合にように、定義されたマグネシウム濃度を本来含有できることは、当業者に公知である。
「ランゲリア飽和指数(LSI)」という用語は、本発明で使用する場合、水性液体がスケール形成性である傾向、または腐食性である傾向を表し、正のLSIはスケール形成性傾向を示し、負のLSIは腐食性の特性を示す。したがって平衡したランゲリア飽和指数、すなわちLSI=0は、水性液体が化学的平衡にあることを意味する。LSIは以下のように計算する:
LSI=pH−pHs
式中、pHは、水性液体の実際のpH値であり、pHsは、CaCO3飽和の水性液体のpH値である。pHsは、以下のように概算できる:
pHs=(9.3+A+B)−(C+D)
式中、Aは水性液体中に存在する総溶解固形分(TDS)の数値指標であり、Bは水性液体の温度の数値指標(K)であり、Cは水性液体のカルシウム濃度の数値指標(CaCO3のmg/l)およびDは水性液体中のアルカリ度の数値指標(CaCO3のmg/l)である。パラメータAからDは、以下の等式を使用して決定される:
A=(log10(TDS)−1)/10
B=−13.12×log10(T+273)+34.55
C=log10[Ca2+]−0.4
D=log10(TAC)
式中、TDSは総溶解固形分(mg/l)であり、Tは温度(℃)であり、[Ca2+]は水性液体のカルシウム濃度(CaCO3のmg/l)およびTACは水性液体のアルカリ度(CaCO3のmg/l)である。
「シルト密度指数(SDI)」という用語は、本発明で使用する場合、水中の微粒子状物質の量を指し、逆浸透またはナノ濾過システムのファウリング傾向と相関している。SDIはたとえば、水を208.6kPaの一定の印加水圧にて通過させるときの、0.45μm膜フィルタの目詰まり率から計算できる。SDI15値は、水を208.6kPaの一定の印加水圧にて15分間通過させるときの、膜フィルタの目詰まり率から計算される。通例、スパイラル型逆浸透は5未満のSDIを必要とし、中空繊維逆浸透システムは3未満のSDIを必要とする。
「修正ファウリング指数」という用語は、本発明で使用する場合、懸濁物質の濃度を指し、水の逆浸透またはナノ濾過膜を目詰まりさせる傾向を予測するための、SDIよりも正確な指数である。MFIを決定するために使用できる方式は、15分の濾過期間にわたって30秒ごとに体積を記録することを除いて、SDIの場合と同じであり得る。MFIは、t/VをVに対してプロットするときに(tは、体積V(リットル)を収集するための時間(秒)である。)、曲線の直線部の傾きとして、グラフを使って得ることができる。1未満のMFI値は約3未満のSDI値に相当し、コロイド状および微粒子状ファウリングを制御するのに十分な低さであると見なすことができる。
限外濾過(UF)膜をMFI測定に使用する場合、指数は、0.45μm膜フィルタを使用する場合のMFI0.45と対比して、MFI−UFと呼ばれる。
本発明の目的では、「微粒子化された」という用語は、マイクロメートル範囲の粒径、たとえば0.1から100μmの粒径を指す。微粒子化粒子は、摩擦に基づく技法、たとえば湿式または乾式条件下のどちらかでの製粉または粉砕であり得る。しかし、他のいずれかの好適な方式、たとえば沈降、超臨界溶液の急速膨張、スプレードライ、天然起源の砂または泥の分級または分画、水の濾過、ゾル−ゲル方法、スプレー反応合成、火炎合成または液体泡合成によって、微粒子化粒子を生産することも可能である。
本明細書を通して、炭酸カルシウム生成物の「粒径」は、粒径の分布によって示される。値dxは、粒子のx重量%の直径がdx未満である直径を表す。このことは、d20という値はすべての粒子の20重量%がこの値より小さい粒径であること、およびd75という値はすべての粒子の75重量%がこの値より小さい粒径であることを意味する。このためd50という値は、重量中央粒径であり、すなわちすべての粒の50重量%がこの粒径よりも大きいまたは小さい。本発明の目的では、粒径は別途指摘しない限り、重量中央粒径d50として規定される。0.5μmを超えるd50を有する粒子の重量中央粒径d50値を決定するためには、マイクロメリティックス社、米国によるセディグラフ5100装置を使用できる。
「沈降炭酸カルシウム(PCC)」は、本発明の意味では、水性環境における二酸化炭素と石灰との反応後の沈降によって、または水中でのカルシウムおよび炭酸塩源の沈降によって、または溶液からのカルシウムおよび炭酸イオン、たとえばCaCl2およびNa2CO3の沈降によって一般に得られる、合成物質である。沈降炭酸カルシウムは、3つの主な結晶形:カルサイト、アラゴナイトおよびバテライトで存在し、各結晶形には多くの異なる多形(晶癖)がある。カルサイトは、偏三角面(S−PCC)、斜方六面形(R−PCC)、六方柱状晶、卓面体晶、コロイド状(C−PCC)、立方晶および柱状方晶(P−PCC)などの代表的な晶癖を有する三方晶構造を有する。アラゴナイトは、双晶六方柱状結晶の晶癖、ならびに細長柱状、湾曲ブレード状、鋭錐状、チゼル形状結晶、分枝樹およびサンゴまたは蠕虫様形状の多様な組合せを有する、斜方晶構造である。
「修飾炭酸カルシウム」は、本発明の意味では、天然炭酸カルシウムを25℃にて2.5以下のpKaを有する1つ以上の酸およびインサイチューで生成されるおよび/または外部源から供給される気体状CO2と、場合により、少なくとも1つのケイ酸アルミニウムならびに/または少なくとも1つの合成シリカならびに/または少なくとも1つのケイ酸カルシウムならびに/または少なくとも1つの1価塩のケイ酸塩、たとえばケイ酸ナトリウムおよび/もしくはケイ酸カリウムおよび/もしくはケイ酸リチウムならびに/または少なくとも1つの水酸化アルミニウムならびに/または少なくとも1つのケイ酸ナトリウムおよび/もしくはカリウムの存在下で反応させる方法によって得られる、表面反応天然炭酸カルシウムである。表面反応天然炭酸カルシウムの調製に関するさらなる詳細事項は、WO00/39222およびUS2004/0020410A1に開示され、これらの参考文献の内容はこれにより、本特許出願に含まれる。
本発明の目的のために、「スラリ」は、不溶性固形分および水ならびに場合によりさらなる添加剤を含み、通常、大量の固形分を含有し、このためスラリが形成された液体よりも粘性であり、一般に高密度である。
「再ミネラル化」という用語は、本発明で使用する場合、口当たりの良い水を得るために、無機物を全くまたは十分な量で含有していない水へ無機物を回復させることを指す。再ミネラル化は、少なくとも炭酸カルシウムを処理される水に添加することによって達成できる。場合により、たとえば健康に関連した利益のために、または一部の必須無機物および微量元素を適切に摂取できるようにするために、さらなる物質を炭酸カルシウムに混入または混合して、次に再ミネラル化方法の間に水に添加してもよい。ヒトの健康および飲用水の品質に関する国内ガイドラインに従って、再ミネラル化生成物は、マグネシウム、カリウムまたはナトリウムを含有する追加の無機物、たとえば炭酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは必須微量元素を含有する他の無機物を含み得る。
本発明の目的では、炭酸カルシウムの溶液は、視覚的に透明な溶液を生成するように、すべてまたはほとんどすべてのCaCO3が溶解されている、溶媒中の炭酸カルシウムの透明溶液を意味する。溶媒は、好ましくは水である。
「総溶解固形分(TDS)」という用語は、本発明で使用する場合、液体中の、分子、イオン化または微粒子状(コロイド状ゾル)懸濁形の無機および有機物質すべてを合せた含有量の尺度である。一般に、操作上の定義は、固形分は開口サイズが2マイクロメートルのふるいによる濾過の後に十分に残存するほど小さくなければならないということである。総溶解固形分は、導電率計によって評価することができ、mg/Lで規定される。
「濁度」は、本発明の意味では、一般に裸眼では見えない個々の粒子(懸濁固形分)によって引き起こされる、流体の曇りまたは濁りを示す。濁度の測定は、水質の主要な試験であり、比濁計を用いて行うことができる。本発明で使用するような較正済み比濁計による濁度の単位は、比濁計濁度単位(NTU)として規定される。
水を再ミネラル化するための本発明の方法は、(a)供給水を提供するステップ、(b)溶解炭酸カルシウムおよびこれの反応種を含む、炭酸カルシウムの水溶液を提供するステップ、ならびに(c)ステップa)の供給水とステップb)の炭酸カルシウム水溶液を合せるステップを含む。
本発明の方法で使用される供給水は、各種の供給源から得られる。本発明の方法によって処理される供給水は好ましくは、脱塩された海水、汽水もしくは塩水、処理済み廃水または地下水、地表水もしくは降雨などの天然水である。
本発明の一実施形態により、供給水を前処理することができる。前処理は、たとえば供給水が地表水、地下水または雨水から得られる場合に必要であり得る。たとえば飲用水ガイドラインを達成するには、たとえば有機物または好ましくない無機物などの汚染物質を除去するために、化学的または物理的技法を使用して水を処理する必要がある。たとえばオゾン処理を第1の前処理ステップとして使用して、第2の処理ステップとしての凝固、凝集またはデカンテーションを続けることができる。たとえばFeClSO4もしくはFeCl3などの鉄(III)塩、またはAlCl3、Al2(SO4)3もしくはポリアルミニウムなどのアルミニウム塩は、凝集剤として使用され得る。凝集した物質は、たとえばサンドフィルタまたは多層フィルタによって供給水から除去することができる。供給水を前処理するために使用され得るさらなる水精製方法は、たとえばEP1975310、EP1982759、EP1974807またはEP1974806に記載されている。
本発明の別の例示的な実施形態により、海水または汽水は、最初に外洋採取または井戸などの地下採取によって海からポンプでくみ上げられ、次にふるい、沈降分離または砂除去処理などの物理的前処理を受ける。必要とされる水質に応じて膜上の潜在的なファウリングを減少させるために、凝固および凝集などの追加の処理ステップが必要であり得る。前処理済みの海水または汽水は次に、たとえば多段フラッシュ、多重効用蒸留または限外濾過もしくは逆浸透などの膜濾過を用いて蒸留されて、微粒子および溶解物質が除去され得る。
ステップb)の炭酸カルシウムの水溶液は、好ましくは以下のステップ:
A)第1のステップで炭酸カルシウムの水性懸濁物を調製して、第2のステップにおいて:(i)二酸化炭素発生化合物、(ii)二酸化炭素発生化合物および酸、もしくは(iii)酸のいずれかを炭酸カルシウムに導入するステップ、または
B)第1のステップで:(i)二酸化炭素発生化合物、(ii)二酸化炭素発生化合物および酸もしくは(iii)酸のいずれかを炭酸カルシウムの溶液の調製に使用される水に導入して、次に第2のステップで、乾燥形の、もしくは懸濁物としてのどちらかで炭酸カルシウムを水に導入するステップ、または
C)炭酸カルシウムの懸濁物および(i)二酸化炭素発生化合物、(ii)二酸化炭素発生化合物および酸もしくは(iii)酸のいずれかを導入するステップ
の1つによって調製された。
使用する二酸化炭素発生化合物は、気体状二酸化炭素、液体二酸化炭素、固体二酸化炭素および二酸化炭素を含有する気体の中から選択され、好ましくは、二酸化炭素発生化合物は、二酸化炭素および他の気体の気体状混合物、たとえば燃焼工程もしくは焼成工程などの工業工程から排出された二酸化炭素含有排煙であり、または二酸化炭素発生化合物は気体状二酸化炭素である。二酸化炭素および他の気体の気体状混合物を使用する場合、ここで二酸化炭素は8から約99体積%の範囲で、好ましくは10から25体積%の範囲で、たとえば20体積%存在する。
気体状二酸化炭素は貯蔵タンクから取得することができ、貯蔵タンク内で気体状二酸化炭素は液相中に保持されている。二酸化炭素の消費速度および環境に応じて、極低温タンクまたは従来の断熱タンクのどちらかが使用され得る。液体二酸化炭素は、空気加熱気化器または電気もしくは蒸気ベース気化システムを用いて気体状二酸化炭素に変換することができる。必要ならば、たとえば圧力降下弁を使用することによって、注入前に気体状二酸化炭素の圧力を低下させることができる。
気体状二酸化炭素を制御速度にて供給水流中に注入し、水流中で二酸化炭素気泡の分散体を形成して、水流中に気泡を溶解させることができる。たとえば二酸化炭素の供給水への溶解は、透過物/蒸留物における開始CO2濃度、最終目標pH値(過剰のCO2)および最終目標カルシウム濃度(添加されたCaCO3)によって、40から60mg/lの流量にて供給水流を提供することによって促進することができる。
例示的な実施形態により、二酸化炭素は、炭酸カルシウム溶液の調製に使用される水中の乱流領域に導入され、乱流領域では、たとえばパイプラインにおける制限によって乱流を生成することができる。たとえば二酸化炭素は、パイプライン内に配置されたベンチュリの喉部に導入され得る。ベンチュリの喉部におけるパイプラインの断面積の狭窄によって、乱流エネルギーが発生して、二酸化炭素を比較的小さい気泡に分裂させて、このことによって二酸化炭素の溶解が促進される。一実施形態により、二酸化炭素は圧力下で水流中に導入される。本発明の別の実施形態により、炭酸カルシウム溶液の調製に使用される水への二酸化炭素の溶解は、スタティックミキサによって促進される。
流量制御弁または他の手段を用いて、炭酸カルシウム溶液の調製に使用する水中への二酸化炭素の流量を制御することができる。たとえばCO2分注ブロックおよびCO2ライン内測定装置を使用して、CO2の流量を制御することができる。本発明の1つの例示的な実施形態により、CO2は、CO2分注ユニット、スタティックミキサおよびライン内CO2測定装置を備えた複合ユニットを使用して注入される。
二酸化炭素は、炭酸を形成することによって供給水を酸性化する。供給水中に注入される二酸化炭素の量は、供給水中にすでに存在している二酸化炭素の量によって変わる。供給水中にすでに存在している二酸化炭素の量は次に、供給水の上流の処理によって変わる。たとえばフラッシュ蒸発によって脱塩された供給水は、逆浸透によって脱塩された供給水とは含有する二酸化炭素の量が異なり、このためpHが異なる。たとえば逆浸透によって脱塩された供給水は、約5.3のpHおよび約1.5mg/lのCO2量を有し得る。
供給水の再ミネラル化は、炭酸カルシウムおよびこれの反応種を含む炭酸カルシウムの溶液を供給水中に注入することによって誘起される。
供給水中に注入される炭酸カルシウムの溶液は、溶解炭酸カルシウムを含む。一実施形態により、溶液中の炭酸カルシウムの濃度は、15から200mg/L、好ましくは30から150mg/L、最も好ましくは100から125mg/L、または15から100mg/L、好ましくは20から80mg/L、最も好ましくは40から60mg/Lである。
ステップb)の炭酸カルシウムの水溶液の調製に使用する炭酸カルシウムは、マイクロメートル範囲の重量中央粒径d50を有する。一実施形態により、微粒子化カルシウムは、0.1から100μmの、0.5から50μmの、1から15μmの、好ましくは2から10μmの、最も好ましくは3から5μmの重量中央粒径d50を有するか、または炭酸カルシウムは、1から50μmの、2から20μmの、好ましくは5から15μmの、最も好ましくは8から12μmの重量中央粒径d50を有する。
好適な炭酸カルシウムの例は、粉砕炭酸カルシウム、修飾炭酸カルシウムもしくは沈降炭酸カルシウムまたはこれの混合物である。天然粉砕炭酸カルシウム(GCC)は、たとえば大理石、石灰石、チョークおよび/またはドロマイトの1つ以上から得ることができる。沈降炭酸カルシウム(PCC)は、たとえばアラゴナイト、バテライトおよび/またはカルサイト鉱物結晶形の1つ以上を特徴とし得る。アラゴナイトは普通、針状形であるのに対して、バテライトは六方晶系に属する。カルサイトは、偏三角面、角柱状、球状および斜方六面形を形成することができる。修飾炭酸カルシウムは、表面および/または内部構造修飾を持つ天然粉砕または沈降炭酸カルシウムを特徴とし得て、たとえば炭酸カルシウムは、たとえば脂肪族カルボン酸またはシロキサンなどの疎水性化表面処理剤によって処理またはコーティングされ得る。炭酸カルシウムは、たとえばポリアクリレートまたはポリダドマックによって、カチオン性またはアニオン性となるように処理またはコーティングされ得る。
本発明の一実施形態により、炭酸カルシウムは粉砕炭酸カルシウム(GCC)である。好ましい実施形態により、炭酸カルシウムは、3から5μmの粒径を有する粉砕炭酸カルシウムである。
本発明の別の実施形態により、炭酸カルシウムは、炭酸カルシウムの総重量に基づいて、0.02から2.5重量%の、0.05から1.5重量%の、または0.1から0.6重量%のHCl不溶分含有率を有する。好ましくは、炭酸カルシウムのHCl不溶分含有率は、微粒子化炭酸カルシウムの総重量に基づいて0.6重量%を超えない。HCl不溶分含有率は、たとえば石英、シリケートまたは雲母などの無機物であり得る。
炭酸カルシウムに加えて、炭酸カルシウムの溶液は、微粒子化無機物をさらに含むことができる。一実施形態により、炭酸カルシウムの溶液は、微粒子化炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムマグネシウム、たとえばドロマイト質石灰石、石灰質ドロマイト、ドロマイトまたは半焼成ドロマイト;焼成ドロマイトなどの酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウムまたは必須微量元素を含有する他の無機物を含むことができる。
本発明の一実施形態により、炭酸カルシウムの溶液は、これを供給水と合せる前に新たに調製される。炭酸カルシウムの溶液のオンサイト調製が好ましいことがある。理由は、炭酸カルシウムの溶液がオンサイトでおよび/または新たに調製されない場合、安定化する理由で安定剤または殺生物などのさらなる薬剤を炭酸カルシウムの溶液に添加することが必要となり得るからである。しかし、このような薬剤は、たとえば毒性上の理由で再ミネラル化水においては望ましくない化合物であり得るか、または自由に利用できるCa2+イオンの形成を阻害し得る。本発明の好ましい一実施形態により、炭酸カルシウムの溶液の調製と炭酸カルシウムの溶液の注入との間の期間は、炭酸カルシウムの溶液中での細菌増殖を回避するのに十分な短さである。例示的な一実施形態により、炭酸カルシウムの溶液の調製と炭酸カルシウムの溶液の注入との間の期間は、48時間未満、24時間未満、12時間未満、5時間未満、2時間未満または1時間未満である。本発明の別の実施形態により、注入された溶液は、飲用水の国内ガイドラインによって規定された微生物学的品質要求事項を満足する。
炭酸カルシウムの溶液はたとえば、溶液の場合は機械式スターラーなどのミキサを、または炭酸カルシウムのより高濃度の溶液の場合には特定の粉末−液体混合装置を、またはループリアクタを使用して調製できる。本発明の一実施形態により、炭酸カルシウムの溶液は混合機を使用して調製され、混合機によって炭酸カルシウムの溶液の同時混合および分注が可能となる。
溶液を調製するために使用する水は、たとえば蒸留水、供給水または工業用水であることが可能である。本発明の好ましい一実施形態により、溶液を調製するために使用する水は、供給水、たとえば脱塩処理から得た透過物または蒸留物である。本発明の例示的な一実施形態により、炭酸カルシウムの溶液を調製するために使用する水は、二酸化炭素によって酸性化される。いずれの理論にも縛られるものではないが、炭酸カルシウムの溶液を調製するために使用する水のこのようなCO2前処理によって、水への炭酸カルシウムの溶解が増加し、このため反応時間が短縮すると考えられる。
一実施形態により、溶解炭酸カルシウムを含む炭酸カルシウムの溶液は、供給水流中に直接注入される。たとえば、炭酸カルシウムの溶液は、溶液用の貯蔵容器と連通したポンプによって、供給水流中に制御速度にて注入することができる。好ましくは、炭酸カルシウムの溶液は、溶液濃度および再ミネラル水中の最終濃度に応じて、供給水流中に1から200l/m3供給水の割合にて注入され得る。別の実施形態により、溶解炭酸カルシウムを含む炭酸カルシウムの溶液は、機械式ミキサなどミキサを使用して、反応チャンバ内で供給水と混合される。また別の実施形態により、炭酸カルシウムの溶液は、供給水流全体を収容するタンクに注入される。
本発明の一実施形態により、供給水の一部のみが炭酸カルシウムの溶液の注入によって再ミネラル化され、続いて再ミネラル化水が未処理供給水とブレンドされる。場合により、供給水の一部のみが最終目標値と比較して高い炭酸カルシウム濃度まで再ミネラル化され、続いて再ミネラル化水が未処理供給水とブレンドされる。
別の実施形態により、炭酸カルシウムの高濃度溶液または炭酸カルシウムの高濃度溶液の一部は、再ミネラル化水の濁度レベルをさらに低下させるために、たとえば限外濾過によって濾過される。
本発明の目的では、「炭酸カルシウムの高濃度溶液」という用語は、それぞれの溶媒に溶解した最大限可能な量の炭酸カルシウムを含有する炭酸カルシウムの溶液として理解されるものである。溶解炭酸カルシウムの最大限可能な量は、当業者に公知の方法、たとえば導電率の測定または滴定による硬度の測定によって決定することができる。
再ミネラル化水の品質は、たとえばランゲリア飽和指数(LSI)によって評価することができる。一実施形態により、再ミネラル化水は、−1から2の、好ましくは−0.5から0.5の、最も好ましくは−0.2から0.2のランゲリア飽和指数を有する。別の実施形態により、再ミネラル化水は5未満の、好ましくは4未満の、最も好ましくは3未満のシルト密度指数SDI15を有する。また別の実施形態により、再ミネラル化水は、4未満の、好ましくは2.5未満の、最も好ましくは2未満の膜ファウリング指数MFI0.45を有する。評価は、たとえば処理供給水を継続的に測定することによって行うことができる。再ミネラル化システムに応じて、処理pHのpHは、たとえば処理水流中で、炭酸カルシウムの溶液および供給水が混合される反応チャンバ内で、または再ミネラル化水の貯蔵タンク内で測定することができる。本発明の一実施形態により、pHは、再ミネラル化ステップの30分後、20分後、10分後、5分後または2分後に測定される。pH値の測定は、室温、すなわち約20℃にて行われ得る。
本発明の例示的な一実施形態により、注入された炭酸カルシウムの溶液の量は、処理供給水のpH値を検知することによって制御される。またはもしくは加えて、注入された炭酸カルシウムの量は、アルカリ度、総硬度、導電率、カルシウム濃度、CO2濃度、pH、総溶解固形分または濁度などのパラメータを検知することによって制御される。一実施形態により、本発明の方法は、(d)再ミネラル化水のアルカリ度、総硬度、導電率、カルシウム濃度、pH、CO2濃度、総溶解固形分および濁度を含む群より選択される、再ミネラル化水のパラメータ値を測定するステップ、(e)測定したパラメータ値を所定のパラメータ値と比較するステップならびに(f)測定したパラメータ値と所定のパラメータ値との間の差に基づいた量の炭酸カルシウムを提供するステップをさらに含む。
一実施形態により、所定のパラメータ値はpH値であって、pH値は5.5から9、好ましくは7から8.5である。
図1は、本発明の方法を行うために使用できる装置のスキームを示す。本実施形態において、供給水は、リザーバ(1)からパイプライン(2)に流入する。さらなるパイプ(12)がリザーバ(1)と貯蔵タンク(9)との間に配置されている。パイプ(12)は気体入口(5)を有し、これを通じて二酸化炭素源(4)から二酸化炭素を供給水中に注入して、第1のステップでCO2酸性化水を調製することができる。ミキサ(8)は、リザーバ(1)の下流でパイプ(12)に連結されている。ミキサ(8)において、炭酸カルシウムの溶液は、パイプ(12)を介してリザーバ(1)から得られる水および貯蔵コンテナ(7)から得られる炭酸カルシウムを混合することによって、オンサイトで調製される。貯蔵タンク(9)は、パイプ(12)と連結することができる。炭酸カルシウムの溶液を供給水流に導入する前に貯蔵するために、貯蔵タンク(9)が存在する場合には、ミキサ(8)の後に設けられる。入口(10)は、パイプライン(2)のリザーバ(1)の下流に位置し、ミキサ(8)から出た溶解炭酸カルシウムを含む炭酸カルシウムの溶液が入口(10)を通じて供給水流中に、存在する場合には貯蔵タンク(9)に注入される。再ミネラル化水のpHは、スラリ入口(10)下流の試料ポイント(11)で測定することができる。一実施形態により、供給水の流量は、20000から500000m3/日である。
図2は、本発明の別の実施形態を示す。本実施形態において、炭酸カルシウムの水性懸濁物は、第1のステップにおいて、貯蔵コンテナ(7)から得た炭酸カルシウムを、リザーバ(1)から得られ、パイプ(12)内を流れる供給水中に導入することによって調製される。第2のステップにおいて、二酸化炭素源(4)からの二酸化炭素を、ミキサ(8)内の炭酸カルシウムの懸濁物をすでに含有するパイプ(12)の水と合せる。次に、溶解炭酸カルシウムを含む炭酸カルシウムの溶液を得るために、炭酸カルシウムの懸濁物を含有する水と二酸化炭素を混合する。リザーバ(1)下流のパイプライン(2)に位置する入口(10)を通じて、ミキサ(8)から出た溶解炭酸カルシウムを含む炭酸カルシウムの溶液を、次に供給水流中に注入する。再ミネラル化水のpHは、スラリ入口(10)下流の試料ポイント(11)で測定することができる。一実施形態により、供給水の流量は、20000から500000m3/日である。
貯蔵タンク(9)は、本発明の方法を実施するための必須ではない装備であることに留意されたい。言い換えれば、貯蔵タンク(9)は、本発明の実施形態において存在する必要はない。この場合、炭酸カルシウムの溶液は、ミキサ(8)からパイプライン(2)の供給水流中に入口(10)を通じて直接注入される。
本発明の方法は、飲用水、水泳用プールの水などのレクリエーション用水、加工用途のための工業用水、灌漑水または帯水層もしくは井戸灌養用の水を生産するために使用され得る。
一実施形態により、再ミネラル化水中の二酸化炭素および炭酸カルシウムの濃度は、国内ガイドラインによって規定された飲用水質に必要とされる値を満足している。一実施形態により、本発明の方法によって得た再ミネラル化水は、CaCO3として15から200mg/Lの、好ましくは30から150mg/Lの、最も好ましくは40から60mg/Lの、または好ましくはCaCO3として50から150mg/Lの、最も好ましくはCaCO3として100から125mg/Lのカルシウム濃度を有する。溶液が炭酸マグネシウムまたは硫酸マグネシウムなどのさらなるマグネシウム塩を含む場合、本発明の方法によって得られる再ミネラル化水は、5から25mg/lの、好ましくは5から15mg/lのおよび最も好ましくは8から12mg/lのマグネシウム濃度を有し得る。
本発明の一実施形態により、再ミネラル化水は、5.0NTUより低い、1.0NTUより低い、0.5NTUより低いまたは0.3NTUより低い濁度を有する。
本発明の例示的な実施形態により、再ミネラル化水は、−0.2から+0.2のLSI、15から200mg/lのカルシウム濃度、5から25mg/lのマグネシウム濃度、CaCO3として100と200mg/lの間のアルカリ度、7と8.5の間のpHおよび0.5NTUより低い濁度を有する。
本発明の一実施形態により、粒子除去のステップは、たとえば再ミネラル化水の濁度レベルを低下させるために、再ミネラル化の後に行われる。一実施形態により、沈降分離ステップが行われる。たとえば供給水および/または再ミネラル化水は、水の濁度レベルをさらに低下させるために、浄化器または貯蔵タンク内にパイプで給送され得る。別の実施形態により、粒子はデカンテーションによって除去され得る。または、供給水および/または再ミネラル化水の少なくとも一部は、水の濁度レベルをさらに低下させるために、たとえば限外濾過によって濾過され得る。
測定方法:
BET比表面積
BET比表面積(SSAとも呼ばれる。)は、ISO 9277に従って、マイクロメトリックス(商標)社によって販売されているトライスターII 3020を使用して測定した。
粒子状材料の粒径分布(直径がXμm未満の粒子の質量%)および重量中央粒径(d 50 )(d 50 (μm))
セディグラフ(商標)5100
粒子状材料の重量中央粒径および粒径分布は、沈降法、すなわち重力場における沈降挙動の分析によって決定した。測定は、マイクロメトリックス(商標)社によって販売されているセディグラフ(商標)5100によって行う。
方法および装置は、当業者に公知であり、充填剤および色素の粒径の決定に一般に使用されている。試料は、無水PCC 4gに相当する生成物の量をNa4P2O7の1重量%水溶液60mlに添加することによって調製した。試料を高速スターラーで3分間分散させた(15,000rpmにてポリトロンPT3000/3100)。次に、超音波浴を使用して試料に超音波を15分間受けさせて、その後、セディグラフの混合チャンバに添加した。
懸濁した材料の固体重量(重量%)
固体重量(材料の固体含有率とも呼ばれる。)は、固体物質の重量を水性懸濁物の総重量で割ることによって決定した。
固体材料の重量は、懸濁物の水相を蒸発させることによって得た固体材料を秤量して、得られた材料を恒量まで乾燥させることによって決定した。
以下の実施例は、多様な濃度における異なる炭酸カルシウム溶液の調製を示し、炭酸カルシウム溶液は、これの物理的および化学的特性、たとえば炭酸塩岩石(carbonate rock)、平均粒径、不溶分含有率などに従って、一連の炭酸カルシウム生成物から調製した。
以下の表1に、再ミネラル化試験中に使用した異なる炭酸カルシウム生成物をまとめる。
A.実験室での実施例:
本試験には3種類の試料を使用し、試料Aはフランス産の石灰石炭酸カルシウムであり、試料BおよびCはオーストラリアの同じ工場から供給されたが、重量中央粒径が異なる大理石炭酸カルシウムである。
表2に、実験室規模で行った再ミネラル化試験中に使用した異なる生成物をまとめる。
これらの再ミネラル化に使用した水は、逆浸透(RO)によって得られ、以下の平均品質を有する水であった:
使用した二酸化炭素は、スイス、ダグマーレセンのパンガスAGによる「Kohlendioxid 3.0」として市販されている。純度は≧99.9体積%である。
A.1 溶液中の溶解炭酸カルシウムの最大濃度:
炭酸カルシウム溶液の調製
RO(逆浸透)水中の溶解炭酸カルシウムの最大濃度を、CaCO3と二酸化炭素(CO2)を事前に添加したRO水と混合することによって調べた。CO2酸性化条件において、CaCO3が最大1gまで溶解することが予測される。すべての実験室試験は、RO水試料中に入れたガラスノズルを通じてCO2を1.5L/分にて30秒間事前に添加した、RO水1Lのバッチによって行った。
石灰石炭酸カルシウム(試料A)を初期試験に使用した。CO2酸性化RO水中で0.6、0.8、1.0および1.2g/LのCaCO3の初期濃度を調製し、異なるCaCO3濃度を有する前記各水試料を、クローズドボトル中で5分間撹拌して、次に24時間沈降させた。異なる初期CaCO3濃度を有する各水試料の上清を取り、分析した。
表3に、RO(逆浸透)水中、異なるCaCO3濃度にて試料Aを使用した、CO2酸性化水による高濃度CaCO3溶液の調製で得た、異なる結果を示す。
4種類の上清による最大アルカリ度は、CaCO3として466.8mg/Lであった。この最大アルカリ度は、CO2酸性化RO水に1.0g/L CaCO3を添加して調製した上清中で得た。しかし、フラスコの底には多少の沈殿をなお観察できた。
大理石炭酸カルシウム試料BおよびCは、単一の生産場所から生産されたが、重量中央粒径は異なる。どちらの生成物も、CO2酸性化RO水での溶解CaCO3の最大濃度を決定するために試験を行った。
本試験は、前の試験と同じ条件下で行った。試料BおよびCの両方について、使用した初期CaCO3の濃度は、0.5および0.7g/Lであった。沈降の24時間後に得た上清を採取・分析した。
表4は、RO中、2つの異なるCaCO3濃度にて試料BおよびCを使用した、CO2酸性化水中の異なる高濃度CaCO3溶液の調製で得た、異なる結果を示す。
表4から得られるように、CO2酸性化RO水への0.7g/L CaCO3の添加によって4種類の上清の最大アルカリ度が得られ、試料Bおよび試料Cから調製した上清では、CaCO3としてそれぞれ529.0および516.4mg/Lに達した。初期濃度が0.5g/Lの試料Cから調製した上清のアルカリ度は、予測より低かった。この理由は明らかではないが、おそらく添加量が不正確なためである。これにもかかわらず、このことは、導電率および濁度でもより低い値が観察されたことと一致している。しかし、フラスコの底には多少の沈殿も観察することができる。
A.2 炭酸カルシウムによる再ミネラル化の間のpH変化:
数回の再ミネラル化試験は、大理石CaCO3の高濃度CaCO3溶液(試料BおよびC)をRO水中に添加することによって行った。高濃度CaCO3溶液をRO水で希釈することによって、処理水の適切な特性を実現することができる。
CaCO3として45mg/Lのアルカリ度の上昇を目的として、RO水に添加した高濃度CaCO3溶液の体積を、これのアルカリ度に従って計算した。この添加は、CaCO3溶液の初期アルカリ度に対する8から12の希釈係数に一致している。これらの再ミネラル化試験に使用したRO水は5.32のpH値を有し、アルカリ度はCaCO3として6.32mg/Lであった。
2分間の撹拌後に試料採取を行い、導電率および濁度を測定して、107から118μS/cmおよび0.4から0.6NTUの値をそれぞれ得た。10分後、最終pHおよびアルカリ度も測定して、6.3から6.4のpH値と、CaCO3として50から53mg/Lの最終アルカリ度をそれぞれ得た。
表5は、試料BおよびCの高濃度CaCO3溶液をRO水に添加することによって(45mg/L CaCO3の添加)、RO水の再ミネラル化について得た異なる結果を示す。
RO水のpH5.32から開始して、CaCO3溶液の添加によって、6.3から6.4までの急速なpH変化が引き起こされ、2、3分以内にpHは定常状態に達した。最終pHは、7.0から8.5の目標値よりも低かった。この試験の間にCO2が過剰に添加されたと考えられる。
CO2飽和RO水による高濃度CaCO3溶液の結論として、アルカリ度の最大値は、石灰石試料AではCaCO3として、端数処理値の470mg/Lであり、大理石試料BおよびCではCaCO3として、520から530mg/Lの間であった。高濃度CaCO3溶液による再ミネラル化によって、pHが急速に上昇して、2、3分以内に安定したpHが得られた。pH5.5およびCaCO3として6mg/Lのアルカリ度のRO水で開始して、最終pHはCaCO3として50mg/Lのアルカリ度までのRO水の再ミネラル化では、6.3から6.4の値を示している。
B.パイロット規模の実施例:
B.1 パイロット再ミネラル化ユニット1:
最初の実験室規模の再ミネラル化試験に続いて、パイロット試験は、より大規模の方法の実施について試験を行うことを目的とした。このパイロットユニットでは、異なる種類の炭酸カルシウムの試験も行った。使用した水は、逆浸透水に代えて脱イオン水であった。使用した二酸化炭素は、スイス、ダグマーレセンのパンガスAGによる「Kohlendioxid 3.0」として市販されている。純度は≧99.9体積%である。
パイロットユニットは、100L混合容器から成り、この中で粉末形のCaCO3および脱イオン水を各試験の開始時に混合した。生じたCaCO3溶液を次に、管型反応装置を2バールまでの圧力にて圧送した。管型反応装置の始動時にCO2を定義された流量で添加し、次に再ミネラル化水を管型反応装置に貫流させて、CaCO3を水に完全に溶解させた。高濃度CaCO3溶液の試料をパイプ終点にて採取し、pH、導電率、濁度を測定した。
これらの試験に使用した脱イオン水は、以下の平均品質を有していた:
B.1.1 溶液中の溶解炭酸カルシウムの最大濃度(試料A):
脱イオン水中の炭酸カルシウムの最大濃度についても、パイロットユニットで連続モードにて試験を行った。パイロット試験は、酸性条件下で二酸化炭素(CO2)を炭酸カルシウムの水懸濁物に添加することによって行った。前の実験室試験に従って、CO2酸性化条件下にて、脱イオン水中の炭酸カルシウムの500から700mg/Lの間の初期濃度に対する最大アルカリ度を得た。すべてのパイロット試験で、炭酸カルシウムの初期濃度を有する溶液を脱イオン水と混合し、およそ2バールの圧力下にて、管型反応装置を通じて15L/時の平均流量にて圧送した。
初期パイロット試験では、石灰石炭酸カルシウム(試料A)をCO2酸性化水中CaCO3の0.5、0.6、0.7g/Lの初期濃度にて使用した。管型反応装置内での滞留時間はおよそ45分間であり、定常状態に達したときに、生じた高濃度炭酸カルシウム溶液を管型反応装置の出口で収集して、pH、濁度、導電率およびアルカリ度について分析した。
表6に、脱イオン水中で異なる初期CaCO3濃度にて試料Aを使用した、CO2酸性化水による高濃度CaCO3溶液の調製で得た、異なる結果を示す。
表6からわかるように、試料Aを使用した場合の最大アルカリ度(使用した添加範囲内)は、CO2酸性化供給水に0.7g/L CaCO3を添加すると得られ、CaCO3として458mg/Lに達し、ここで濁度3.03NTUであった。
B.1.2 異なる種類の炭酸カルシウム:
炭酸カルシウム高濃度溶液を調製するために、フランス産の石灰石炭酸カルシウム(試料A)を他の炭酸カルシウム製品と比較した。2つの異なる生産工場から、異なる重量中央粒径を有する2種類の大理石炭酸カルシウム、すなわちオーストリアの同じ工場で生産されたが、それぞれ3.3および8.0μmの重量中央粒径を有する試料Dおよび試料Eについて試験を行った。同様に、試料Fおよび試料Gは、フランスの同じ工場で生産されたが、それぞれ4.4および10.8μmの重量中央粒径を有していた。2つの生産地の間の主な相違は、開始材料の品質であり、第1の工場では2.0%の非常に高い不溶分含有率を有し(試料DおよびE)、第2の工場では0.2%の低い不溶分含有率を有していた(試料FおよびG)。試験を行った最後の製品である試料Hは、非常に純粋で微細なオーストリア産の沈降炭酸カルシウム(PCC)製品であった。
表7に、パイロット規模で行った再ミネラル化試験中に使用した異なる炭酸カルシウム製品をまとめる。
パイロット試験は、CO2酸性化水中で、各炭酸カルシウム製品について、0.5g/LのCaCO3の開始濃度で行った。管型反応装置内での滞留時間は、先のパイロット試験と同じであり、すなわち流量15L/時にておよそ45分であった。定常状態に達したときに、生じた高濃度炭酸カルシウム溶液を管型反応装置の出口で収集して、pH、濁度、導電率およびアルカリ度について分析した。
表8に、脱イオン水中での定義されたCaCO3濃度について、異なる炭酸カルシウムを含むCO2酸性化水中の高濃度CaCO3溶液の調製で得た、異なる結果を示す。
表8からわかるように、管型反応装置の出口にて試料採取した場合、沈降炭酸カルシウム(PCC)製品(試料H)を使用したときに、最大アルカリ度を有する高濃度炭酸カルシウム溶液が得られた。しかし、この高濃度炭酸カルシウム溶液で測定された濁度は、この一連の試験で得られた最小値ではない。すべての大理石製品(試料D、E、F、G)と比較して、石灰石炭酸カルシウム(試料A)は、低い濁度値を示した。粒径の異なる2つの製品、たとえば試料DおよびEまたは試料FおよびGを比較した場合、驚くべきことに、平均粒径が大きくなればなるほど、より低い濁度が得られることが見出された。しかし予想通りに、平均粒径が小さくなればなるほど、最終アルカリ度および導電率は高くなる。
B.1.3 目標再ミネラル化濃度までの希釈:
目標の水品質を満足するために、高濃度炭酸カルシウム溶液を脱イオン水によって溶解させる。アルカリ度をCaCO3として45mg/Lまで低下させる目的で、希釈係数を高濃度炭酸カルシウムの初期アルカリ度に従って定義した。最終pHを5重量%NaOH溶液によって7.8まで調整し、最終濁度を測定した。
表9は、試料Aの高濃度CaCO3溶液を脱イオン水に添加することによって(45mg/L CaCO3の添加)得た、再ミネラル化水の異なる結果を示す。
表9からわかるように、高濃度炭酸カルシウムを使用するこの再ミネラル化試験の最低濁度レベルは、0.39NTU(端数処理して0.4NTU)であった。残りの試験によって、0.8から1.0(0.97および1.03の端数処理した値)NTUのより高い濁度を得た。
それぞれのWHOガイドラインに従って、おそらく今後、最終飲用水中の可溶性マグネシウム化合物の含有量を約10mg/L Mgまで調整する必要性もある。
溶液を管型反応装置に導入する前に、マグネシウム塩を炭酸カルシウムの試料Aと混合して、溶液中のMg含有量の調整を試みた。MgSO4を可溶性Mg塩として選択したが、とりわけ農業用途に処理水を使用する場合は、水中の硫酸塩の最終レベルが許容範囲(200ppm未満)内になおとどまるべきことが述べられている。アルカリ度をCaCO3として45mg/Lまで低下させる目的で、希釈係数も高濃度炭酸カルシウムの初期アルカリ度に従って定義した。最終pHを5重量%NaOH溶液によって7.8まで調整し、最終濁度を測定した。
表10は、試料Aの高濃度CaCO3溶液および硫酸マグネシウムを脱イオン水に添加することによって(45mg/L CaCO3の添加)得た、再ミネラル化水の異なる結果を示す。
すべての飲用水の特性を評価するために、再ミネラル化水の一部の試料を水品質制御実験室に送付した。たとえば炭酸カルシウムのみを使用して得られ、最低濁度レベルを示した再ミネラル化水は、試験番号12および番号15から得た。炭酸カルシウムおよび硫酸マグネシウムの混合物を使用して得られ、最低濁度レベルを示した再ミネラル化水は、試験番号17から得た。これらの3種類の試料が、分析のためにオーストリアのCarinthian Institut for Food Analysis and Quality Controlに送付され、水試料は該機関によって飲用水品質に関する厳しいオーストリアのガイドラインおよび可溶性マグネシウムに関するWHOのガイドラインに適合していることが認められた。
表11は、試料Aの高濃度CaCO3溶液を脱イオン水に添加することによって(45mg/L CaCO3の添加)得た、再ミネラル化水の飲用水品質を示す。
B.2 パイロット再ミネラル化ユニット2:
初期パイロット再ミネラル化試験後に、パイロット規模での新たな一連の試験を、2から7バールの圧力範囲、300から400L/時の間のRO水流量および1.1から5.5L/分の間のCO2添加にて動作可能である別の再ミネラル化ユニットで行った。使用した二酸化炭素は、スイス、ダグマーレセンのパンガスAGによる「Kohlendioxid 3.0」として市販されている。純度は≧99.9体積%である。
パイロットユニットは60L混合容器から成り、この中に粉末形のCaCO3およびRO水を定義された回数(すなわち1回を超えて)導入した。生じたCaCO3溶液を次にミキサを通じて圧送し、ミキサではCO2を定義された流量にて添加し、高濃度CaCO3溶液をパイプに通過させて、CaCO3を水に完全に溶解させた。管型反応装置内での滞留時間はおよそ45分間であり、定常状態に達したときに、生じた高濃度炭酸カルシウム溶液を管型反応装置の出口で収集して、pH、濁度、導電率およびアルカリ度について分析した。
B.2.1 異なる使用圧:
二酸化炭素(CO2)による酸性条件下で炭酸カルシウムのRO水への溶解に対する圧力の効果について試験するために、上記の再ミネラル化パイロットユニットで異なる使用圧を試験した。先のパイロット試験からの結果に従って、RO水中で炭酸カルシウムの500mg/Lの初期濃度を調製し、生じた溶液をやや過剰のCO2と共に添加した。異なる使用圧で行ったパイロット試験は、300L/時の流量を有し、圧力は2から7バールの間で変化させた。これらのパイロット試験に使用した炭酸カルシウムは、フランス産の石灰石(試料A)であった。
表12は、異なる圧力における、3.3L/分の流量での、RO水中でCaCO3の0.5g/Lの濃度を有する試料Aを使用したCO2酸性化水での高濃度CaCO3溶液の調製で得た異なる結果を示す。
これらのパイロット試験により、これらの試験条件下でより高い圧力によってCaCO3の溶解が改善せず、試験を行ったより高い圧力に対してより高い濁度が生じることが示された。より高い圧力を使用した結果の1つは、CaCO3溶液の温度上昇であり、これはポンプによるものである。したがって、パイロットユニットから出た再ミネラル化水はより高温であり、このことは水へのCO2の溶解度に対して影響を有し得る。言い換えれば、水温が高ければ高いほど、水へのCO2への溶解度は低くなる。下の反応スキームの結果として:
CaCO3+CO2+H2O→Ca2++2HCO3 −
溶液への溶解CaCO3はより少なく、次に未溶解CaCO3の量のためにより高い濁度レベルがもたらされる。
B.2.2 異なるCO 2 流量:
CO2の添加がRO水へのCaCO3の溶解速度に対して大きな影響を有することが、大いに考えられる。したがって、CaCO3の高濃度溶液の調製に関して、CO2の異なる流量を試験した。すべての試験は、定義された圧力での先の試験で記載したのと同じプロトコルを使用して、しかし異なるCO2流量を用いて行った。
表13は、異なるCO2流量を使用した5.5バールの圧力における、RO水中でCaCO3の0.5g/Lの濃度を有する試料Aを使用したCO2酸性化水での高濃度CaCO3溶液の調製で得た異なる結果を示す。
表13に示した結果から、CO2流量の上昇時に、試験条件下でのRO水へのCaCO3の溶解度を改善できることがわかる。このことは、CO2流量上昇時の、反応パイプ出口での導電率の上昇と濁度の低下から導くことができる。
B.2.3 滞留時間:
CaCO3の溶解が起きるように割り当てられた滞留時間についても試験を行った。この点に関して、1本のまたは順に連結された2本のパイプのどちらかを使用してパイロット試験を行った。この設定により、パイプ1本のおよそ45分から2本の連結されたパイプのおよそ90分へと滞留時間が2倍となり、したがって生じた濁度および導電率に対する滞留時間の影響を調べることができた。
表14は、異なる滞留時間に対して定義されたCO2流量および圧力における、RO水中でCaCO3の0.5g/Lの濃度を有する試料Aを使用したCO2酸性化水での高濃度CaCO3溶液の調製で得た異なる結果を示す。
表14に示す2セットの試験により、両方の試験条件、すなわち試験番号28および29ならびに試験番号30および31で、滞留時間がRO水へのCaCO3の溶解に対して直接の効果を有することが明らかに示されている。滞留時間が長ければ長いほど、濁度が低くなり、それぞれ導電率が高くなることが明らかにわかる。
C. 追加の実施例:大理石/石灰石
以下の実施例は、炭酸カルシウムの懸濁物へのCO2の添加および残存する不溶分を除去するための生じた懸濁物の限外濾過膜での濾過による、逆浸透(RO)水での炭酸水素カルシウムの高濃度溶液の調製を示す。
2種類の炭酸カルシウム製品をこれらの物理的および化学的特性、すなわち炭酸塩岩石、平均粒径、不溶分含有率および比表面積に従って選択して、濾過した高濃度炭酸水素カルシウム溶液の最終濁度および導電率と相互に比較した。
以下の表15に、炭酸水素カルシウム溶液の調製のためにパイロット試験中に使用した異なる炭酸カルシウム製品についてまとめる。
これらの試験に使用したRO水は、以下の平均品質を有している:
C.1 パイロット規模の実施例:
以下の使用条件下の反応装置(rector)システムにおいて、パイロット規模の一連の試験を行った:
圧力:約2.5バール、流量:約300L/時、CO2添加:3.3L/分
使用した二酸化炭素は、スイス、ダグマーレセンのパンガスAGによる「Kohlendioxid 3.0」として市販されている。純度は≧99.9体積%である。
反応器システムは60L混合タンクから成り、500から1000mg/L(0.05から0.1重量%)の炭酸カルシウム初期濃度を有するために、この中に粉末形のCaCO3およびRO水を定義された回数(すなわち1回を超えて)導入した。出発CaCO3懸濁物を次にミキサを通じて圧送し、ミキサでは、以下の反応に従って炭酸カルシウムをRO水中へ溶解させるために、CO2を定義された流量で添加した:
CaCO3(s)+CO2(aq)+H2O→Ca(HCO3)2(aq)
生じた懸濁物にパイプを通過させて、CaCO3を水に完全に溶解させた。パイプ内での滞留時間はおよそ40分間であり、定常状態に達したときに、生じた懸濁物をパイプの出口で収集して、導電率および濁度を分析した。
生じた懸濁物を次に、可溶性物質を除去するために、インゲのdizzer P2514−0.5型の限外濾過膜を通じて圧送した。2種類の濾過方式、クロスフローおよびデッドエンドで試験を行った:前者の方式は、流量の2/3が再循環して、流量の1/3が膜を通過することに存し、後者は流量全体に限外濾過膜を通過させることに存する。
濾過した炭酸水素カルシウム溶液の導電率および濁度も分析し、初期供給炭酸カルシウム溶液およびタンクに再循環して戻った、未濾過の生じた懸濁物と比較した。
C.1.1 非常に純粋な炭酸カルシウムによる試験
供給(または出発)CaCO3溶液を、逆浸透水中で、炭酸カルシウムの初期濃度が異なるが、CO2の化学量論的過剰量および滞留時間も異なる試料Aを用いて調製した。
表16に、RO水中での炭酸水素カルシウム溶液(試料A)の調製のためのクロスフロー方式における使用条件を示す。
表17に、供給CaCO3懸濁物(試料A)および生じた未濾過懸濁物および未濾過炭酸水素カルシウム溶液で得られた異なる結果を示す。
供給CaCO3懸濁物の調製に使用した滞留時間は、濾過済み炭酸水素カルシウム溶液(試験1および2)の導電率および濁度に影響を及ぼさなかった。このことは、限外濾過を可溶性部分の最終除去に使用する場合に、炭酸水素カルシウム溶液の調製に、より短い滞留時間も使用できることを意味している。タンクに再循環させた、生じた未濾過懸濁物は、供給CaCO3懸濁物より著しく低い濁度レベルを示し、再循環が続く間、低下を続けた。
供給CaCO3懸濁物の初期濃度を上昇させることによって、CO2過剰量がより少なくても(試験3)、濾過済み炭酸水素カルシウム溶液の導電率レベルがより高くなることが示された。この試験での供給CaCO3懸濁物の200から240NTUというきわめて高い濁度レベルは、限外濾過後に生じた最終濁度に影響を及ぼさず、たとえば0.8NTU未満であった。
C.1.2 高い不溶分含有率を含有する炭酸カルシウムによる試験
供給CaCO3懸濁物は、40分の滞留時間、6および3倍のCO2の化学量論的過剰量ならびにクロスフローまたはデッドエンドモードのどちらかで、逆浸透水中で炭酸カルシウムの初期濃度が異なる試料Bを用いて調製した。
表18に、試料Bを使用したRO水での炭酸水素カルシウム溶液の調製のための使用条件を示す。
表19に、試料Bを用いて調製した供給CaCO3懸濁物および生じた懸濁物ならびに濾過済み炭酸水素カルシウム溶液で得られた異なる結果を示す。
試験2および4を比較すると、試料Bの高い不溶分含有率は供給CaCO3懸濁物の濁度に対する影響のみを明らかに有し、すなわち試料Aを用いて調製した供給CaCO3懸濁物では濁度が27から32NTUであり、試料Bを用いて調製した供給CaCO3懸濁物では濁度が52から61NTUであった。しかし濾過済みの炭酸水素カルシウム溶液の最終導電率および濁度は同様であり、どちらの濾過炭酸水素カルシウム溶液でも最大濁度レベルが0.7から0.8NTUであり、導電率が695から705μS/cmであった。
試験3および5を比較した場合、試料Bの高い不溶分含有率は、両方の供給CaCO3懸濁物の濁度および導電率のどちらか一方に影響を有さないことが明らかであり、すなわち濁度レベルは200から240NTU、導電率レベルは870から890μS/cmであった。これは、両方の供給懸濁物中に存在する溶解していないCaCO3があまりに多いので、これがおそらくほぼすべての濁度を生じさせ、原料に由来する可溶性部分は、これらの条件下では濁度に対する影響を有さないためである。
濾過済みの炭酸水素カルシウム溶液も同様の最終導電率および濁度レベルを示し、最大濁度レベルは0.7から0.8NTU、導電率は870から880μS/cmであった。これらの結果により、限外濾過を使用する場合に、原料の不溶分含有率が炭酸水素カルシウム溶液の最終品質に影響を及ぼさないことが確認される。
最後に、デッドエンド濾過モードによって、試験5の試験期間中にいずれの著しい変化も見られず、クロスフロー濾過モードを使用した試験と比べて同様の結果が得られた。