JP2004345915A - 消石灰スラリーの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】生石灰を消化させて消石灰スラリーを製造する方法において、消石灰スラリー中の粒径20μm以上の粒子を含む粗粒スラリーを分離する分離工程、および該分離工程にて分離した粗粒スラリーを分散させる工程を経た後、該得られた分散スラリーを再び前記分離工程に戻すことを特徴とする消石灰スラリーの製造方法。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高収率で粒度の安定した消石灰スラリーを得ることが可能な消石灰スラリーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
消石灰スラリーは、中和剤、排水処理剤、排ガス処理剤、石膏や炭酸カルシウムなどのカルシウム塩の原料として幅広く利用されている。これら用途では、高効率で消石灰スラリーを反応させたり、高純度で安定した品質の製品を得ることが望まれている。そのため、原料となる消石灰スラリーの製造としては、高純度で、均一かつ微細な粒度の品質で、高収率で生石灰から消石灰スラリーを工業的に製造する方法が望まれている。
【0003】
一般に、生石灰を水和して消石灰スラリーを得る方法において、消石灰スラリーの品質に及ぼす因子としては、(1)生石灰の組成、純度、活性度、サイズなどの生石灰の品質、(2)消化水の水量(水/生石灰の比率)、消化温度、攪拌、消化時間などの消化条件、消化方法である。これら所定の条件および方法で消化した消石灰スラリーを篩などの分級・粉砕などの後処理を行い、消石灰スラリーを工業的に製造している。
【0004】
高品質の消石灰スラリーを得るためには、これら消化条件や消化方法を選定し、高性能な後処理工程が必要となる。高品質の消石灰スラリーを得る技術としては生石灰の消化率を不完全な状態で消石灰スラリーを取り出し、固形分等の粗大粒子に多く含まれる不純物を分級して高品位の消石灰スラリーの製造する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、生石灰のロスが消石灰換算で20〜70%と大きく、低収率である。かつ連続的に消石灰スラリーを製造する場合、消化率をコントロールすることは非常に困難であり、そのため消石灰スラリーの粒度、濃度は安定しない。
【0005】
微粒子の消石灰スラリーを製造する方法としては、高純度、高活性度の生石灰を使用し、高濃度の消石灰ペーストを圧力下で消化、混練させた後、水を加えて完全に消化させてから、粗粒を除き粒径1μm以下の消石灰粒子を得る方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法では、高活性度の生石灰により微粒な粒径の消石灰を得て、高速攪拌下で分散してスラリーを得ているが、粒径数μm以下の粒子では凝集して粗大化し、分級ロスが生じる可能性がある。また、粗粒子除去には、粉砕・摩擦、篩分級を提案しているが、粉砕ではスラリー中に含まれる不純物までも微細化され、消石灰スラリーの純度低下を招く。篩分離では、粗大固形物を取り除くには有効であるが、数十μmの消石灰粒子を分離することは難しい。
【0006】
また、軽質炭酸カルシウムの製造方法において、高反応性の消石灰スラリーを調整する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この方法は、高活性度によりの生石灰にて消化させ、残さを1.0wt%以下に除去しているが、粗粒子の分離操作については明記はなく、消石灰スラリー中に残さが混入することになり、消石灰スラリーの品質を低下させるという問題を有している。
【0007】
【特許文献1】
特開昭59−21521号公報(第1−2頁)
【0008】
【特許文献2】
特開2001−220185号公報(第1−2頁)
【0009】
【特許文献3】
特開平9−309723号公報(第1−2頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
これら消石灰スラリーの製造方法では、高純度、微粒、高反応性の消石灰スラリーを製造するための消化条件や消化方法についての提案が多いが、消化して得られた消石灰スラリーを効率よく、分離分級する技術についての提案はない。
【0011】
つまり、分離分級方法については、固形物や粗大粒子を除去しているのみであり、分離した粗粒スラリーに含まれる微粒子を効率良く回収しておらず、消石灰の反応性が低下する粒径20μm以上の消石灰粒子を十分に分級出来ていない。
【0012】
生石灰は、天然の石灰石を原料としているので、純度、サイズ、活性度が同じでも、シリカ分、鉄分、炭化物などの不純物や産地による特性から消化反応に変動が生じ、消石灰スラリーの品質を不安定にさせる。また、消石灰粒子は、消化条件、凝集作用、滞留作用により短期間で六角板状の粗大結晶に成長し易い。これらの問題を防止するためには、消石灰スラリーに含まれる粒径20μm以上の粗大粒子を安定的に高効率で分離、分級し高収率で高品質の消石灰スラリーを製造する必要があった。
【0013】
本発明では、これら問題点を解決する方法として、生石灰を水和させて得られる消石灰スラリーの製造方法において、粗粒子と微粒子を効率良く分離、分級し、微細で均一な粒子径、均一な濃度の消石灰スラリーを高収率で製造することが可能な消石灰スラリーの製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
(1)生石灰を消化させて消石灰スラリーを製造する方法において、消石灰スラリー中の粒径20μm以上の粒子を含む粗粒スラリーを分離する分離工程、および該分離工程にて分離した粗粒スラリーを分散させる工程を経た後、該得られた分散スラリーを再び前記分離工程に戻すことを特徴とする消石灰スラリーの製造方法。
(2)前記分離工程において、遠心分離装置を使用することを特徴とする前記(1)に記載の消石灰スラリーの製造方法。
(3)前記遠心分離装置が、デカンタであることを特徴とする前記(2)に記載の消石灰スラリーの製造方法。
(4)前記粗粒スラリーを分散させる工程において、スラリー濃度を60wt%以下に低下させることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の消石灰スラリー製造方法。
(5)前記粗粒スラリーを分散させる工程において、沈降した粗大粒子を取り除くことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の消石灰スラリーの製造方法。
(6)前記粗粒スラリーを分散させる工程において、生石灰を消化させた消石灰スラリーと粗粒スラリーとを混合して攪拌することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の消石灰スラリーの製造方法。
(7)活性度が生石灰25gと水1Lで消化させ4N塩酸で中和滴定した時の10分値の塩酸消費量として130〜190mlである生石灰を消化温度65〜85℃で消化させた消石灰スラリーを使用することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれか一項に記載の消石灰スラリーの製造方法である。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、生石灰を水和させて消石灰スラリーを製造する方法において、生石灰を消化させて得られた消石灰スラリー中の20μm以上の粒子を含む粗粒スラリーを分離し、分離した粗粒スラリーを分散して再び分離させ、高収率で微粒スラリーを得る方法を提案している。
【0016】
ここで、粒径を測定する方法は特に限定されないが、例えば、レーザー粒度測定装置などが好ましく使用される。
【0017】
生石灰を水和させる消化条件は特に制限はないが、例えば、生石灰のサイズは3〜50mm、生石灰のCaO含有率が90wt%以上、水1Lに対して生石灰25gで消化させ4N塩酸で連続滴定したときの10分値の滴定量を活性度とした場合、該活性度が100〜250ml、水/生石灰の重量比1〜30、消化水温度または消化温度10〜95℃、消化時間10〜120分で十分に攪拌混合する消化条件とすることが望ましい。
【0018】
本発明の消石灰スラリーを分離および分散させる方法の詳細を図面にて説明する。
【0019】
図1は本発明の原理を示す図であり、本発明の消石灰スラリーの製造工程の一例を示す概略図である。消石灰スラリー1を分離工程2において微粒スラリー3と粗粒スラリー4とに分離する。粗粒スラリー4には、微粒子と微粒子が凝集した粗大粒子が含まれており、粒径20μm以上の粒子を主体とするスラリーとなっている。分散工程5では粗粒スラリー4に含まれる微粒子や凝集粒子を分散させ、微粒子が分散した分散スラリー6を得る。得られた分散スラリー6を分離工程2に戻し、再び分離することで、微粒スラリー3を高収率で得ることができる。
【0020】
本発明の消石灰スラリー中の粗粒スラリーを分離方法は、粒子サイズにより分離可能であれば、篩分離、重力分離、遠心分離などのいずれの分離、分級方式でも良い。消石灰スラリー中の未消化生石灰、生石灰由来の原石やガラなどの比較的大きなサイズで、スラリー中に分散し難いような固形分を分離するには、篩分離が好ましく。消石灰スラリーに分散している粗大粒子と微粒子を分離し、微細な消石灰スラリーを得るには遠心分離させる遠心分離装置を用いることが好ましい。また、これら分離方法を併用させても良い。
【0021】
遠心分離させる装置は、デカンタや液体サイクロンのいずれでも良い。消石灰スラリーの結晶成長を防ぐため短時間で分級可能であり、微細で均一な粒子径で、安定濃度の消石灰スラリーを得るには、デカンタであることがさらに好ましい。特に、デカンタでの遠心分離では、供給する消石灰スラリーの流量、濃度変動に対しても安定した粒子サイズの分離、例えば粒径20μm以下の消石灰粒子の分離が可能となる。
【0022】
本発明における粗粒スラリーを分散させる方法は、攪拌、希釈操作、またそれら併用のいずれであっても良い。分離された粗粒スラリーは、高濃度スラリーもしくはペースト状になり得るので、短時間で効率良く、粗大粒子群中の凝集粒子を分散させるためには、攪拌と希釈操作を併用することが好ましい。
【0023】
本発明での分散工程において、消石灰スラリー濃度を60wt%以下に低下させて分散させることができる希釈液は、水、温水、消石灰スラリーいずれであっても良く、併用しても良い。分離工程において、得られる微粒消石灰スラリーの濃度を低下させず、工程内の温度低下による消石灰スラリーの固結、詰まり防止するためには、生石灰を水和させた後の消石灰スラリーを利用することがさらに好ましい。また、分離工程における微粒スラリーの濃度を低下させないためには、分散工程において、分散スラリーの濃度を10wt%以上とすることが好ましい。また、この分散方法によって、未消化であった生石灰粒子を完全に消化することもできる。
【0024】
本発明での分散工程において、消石灰スラリー中に分散し難い粗大な消石灰粒子やその他の固形分が沈降するため、沈降した粗大粒子を取り除くこともできる。
【0025】
本発明における生石灰を水和させて消石灰スラリーを製造する方法において、消石灰スラリー中の固形分を篩除去操作にて取り除く操作を事前、または工程内いずれにおいても設けることができる。これにより、消石灰スラリーの分離操作や分散操作がさらに容易にできる。
【0026】
本発明における消石灰スラリーの製造方法の具体例をさらに図面にて説明する。
【0027】
例えば、図2に示すように、分散スラリー6を消石灰スラリー1と共に分離機10に供給することも可能であり、分散槽11にて攪拌機7や希釈液8を用いて効率的に分散させることも可能である。分散槽11からは沈降物9を取り除くこともできる。
【0028】
また例えば、図3に示すように、分散槽11に希釈液として消石灰スラリー1を使用しており、分散スラリー6のみを分離機10に供給することもできる。
【0029】
また例えば、図4に示すように、篩12を用いて消石灰スラリー1中の固形分を取り除くことも可能である。同様に、粗粒スラリー4および分散スラリー6の固形分をそれぞれ篩(13、および篩14)にて取り除くことも可能である。
【0030】
さらに、本発明では、分離および分散工程を直列、並列にして複数使用することも可能である。例えば、図5に示すように、消石灰スラリー1を篩12で分離し、固形分を含む粗粒を分散槽16にて希釈液として温水を添加し、未消化生石灰を消化させ、かつ粗粒スラリーを分散させてから篩13に供給している。篩12から得られたスラリーは分散槽11に供給し分散させ、その分散スラリー6を一部篩13に供給し、残りを分離機としてデカンタ10を使用して遠心分離を行っている。篩13で固形分を除去したスラリーを分散槽17で再び分散させる。デカンタ10から得られた粗粒スラリー4は分散槽11,17で分散させている。分散槽17で分散したスラリーを分散槽11に供給し再分散させている。さらに、分散槽11,16,17で沈降した沈降物9を滞留させないように引き抜いている。このように分離、分散工程を複数組み合わせることで、粒径20μm以上の粒子を含む消石灰スラリー中の凝集体や粗粒子を回収および分散させ、微粒の消石灰スラリーを効率良く得ることができるようになっている。篩分離を複数使用する場合、後工程で使用する程篩の目開きを小さくする方が効率良く分離できるので好ましい。
【0031】
本発明で使用する消石灰スラリーは、いずれの生石灰の品質、消化条件、消化方法についても適用できるが、さらに消石灰スラリー中の粗大粒子を減少させ、微細な粒子を効率的に得るためには、以下の生石灰の品質、消化条件で消化させることがより好ましい。
【0032】
本発明における生石灰の活性度は、水1Lに対して生石灰25gで消化させ、4N塩酸で連続滴定したときの10分値の滴定量を活性度とした場合、平均粒子径20μm以下の微粒で均一な粒子径の消石灰スラリーを得るには、その活性度が130〜190mlが好ましく、より好ましくは145〜175mlである。例えば、この活性度が130ml未満である場合、消化速度が遅く固形分が残存し、粒度20μm以上が十数%以上となる。逆に、活性度が190mlを超えると消石灰スラリーは微粒となり、粘性が急激に上昇し、一部粒子が凝集体とり、20μm以上の粗粒子が数十%を越える。また、高活性度では消石灰スラリーがペースト状あるいはホイップ状になり、粘性が急激に上昇し操作性が急激に低下する恐れがある。
【0033】
さらに、活性度は、水2Lに対して生石灰50gで消化させた同様の活性度試験法における4N塩酸の消費量の10分値が200〜400mlである生石灰に対しても適用できる。
【0034】
消化温度については、消化反応を行う消化槽の温度を65〜85℃の範囲が好ましく、より好ましくは70〜80℃とする。65℃未満の場合、消化速度が遅くなり、未消化物が多くなる。85℃を超える場合には、消化速度が速くなり、粘性が上がり、凝集物が増加するので、安定した分散性が得られない。
【0035】
【実施例】
実施例1
CaO含有率97.6%、活性度160mlの生石灰(矢橋工業社製)を使用し、水/生石灰の重量比7、消化温度78℃、平均滞留時間1.0h、消化槽体積10m3 で攪拌下(回転数60rpm)にて消化し、目開き20meshの振動篩で固形分(ガラ分)を取り除いた消石灰スラリーを用いて、図3に示すフローと同様に、分散槽10m3 にその消石灰スラリーを供給した。分散スラリーをデカンタ(巴工業PTM−300型、遠心力1300G)で遠心分離し、微粒消石灰スラリーを連続的に得た。デカンタから得られた粗粒スラリーは分散槽に戻して循環させた。分散槽では回転数100rpmで攪拌を行った。結果を表1に示す。
生石灰のCaO含有率は、JIS−R9011石灰の化学分析法で求めた。また、生石灰の活性度は次のように求めた。水温30℃の温水1Lを攪拌下にて生石灰25gを投入し消化させた。BTB指示薬を加えて、4N塩酸(関東化学)で消化スラリーを中和させた。生石灰の投入から10分時の4N塩酸消費量(ml)を活性度とした。
【0036】
ガラ率は次のように求めた。
ガラ率(%)={篩で除去された固形分量(重量)/投入生石灰量(重量)}×100
消石灰スラリー濃度は、消石灰スラリーを5%の塩酸溶液(関東化学)で溶解し、1NNaOH(シグマアルドリッチジャパン)で中和する逆滴定法にて、Ca(OH)2 濃度を算出した。
消石灰スラリー濃度(%)={Ca(OH)2 量(重量)/消石灰スラリー量(重量)}×100
消石灰スラリーの粒度分布の測定には、消石灰スラリーを採取し、粒子が分散、凝集または溶解しないようにイソプロパノール(シグマアルドリッチジャパン)に入れた状態の液を調整し、レーザー粒度測定装置(堀場製作所社製LA−920型)にて粒度を測定した。粒度測定には、工程内の消石灰粒子の状態を維持させるために、粒子を分散させるような超音波操作は使用しないこととした。なぜなら、超音波を使用すると見かけ上粒度は小さくなるが、実際のスラリーは凝集体となっている粗粒をも微粒子としてカウントしてしまうからである。平均粒子径には、レーザー粒度測定で得られた粒度分布おける積算基準の50%での粒子径(メジアン径)を用いた。粒度測定は、2回実施しその平均値を用いた。粒度の均一性には、粒径20μm以下の積算量(wt%)で示した。
【0037】
また、消石灰スラリーの収率は、以下のように求めた。
収率(%)={消石灰スラリー中のCa(OH)2 量(重量)/投入生石灰中のCaO含有量から推算したCa(OH)2(重量)}×100
消石灰スラリーの反応性は次のように評価した。消石灰スラリーと硫安溶液を複分解反応させα型半水石膏を製造し、残存する消石灰で評価することとした。200mlビーカーに蒸留水15mlを採取し、α型半水石膏を10gを均一に添加した。2分後にフェノールフタレイン指示薬を1ml添加して呈色反応の個数を読みとった。消石灰が残存していれば、ピンク色の斑点ができる。
【0038】
実施例2
CaO含有率97.6%、活性度189mlの生石灰(矢橋工業社製)を用いて、消化温度70℃下で、実施例1と同様の消化条件、分離操作で消石灰スラリーを得た。結果を表1に示す。
【0039】
実施例3
CaO含有率97.5%、活性度134mlの生石灰(河合石灰工業社製)を用いて、消化温度83℃下で、実施例1と同様の消化条件、分離操作で消石灰スラリーを得た。結果を表1に示す。
【0040】
実施例4
CaO含有率97.0%、活性度150mlの生石灰(河合石灰工業社製)を用いて、消化温度78℃下で実施例1と同様の消化条件で得られた消石灰スラリーを目開き20meshの振動篩にて分離し、その粗粒を篩への供給消石灰スラリー液量に対して0.5wt%の割合で70℃温水を希釈液として用いて分散させ、再び篩に戻した。さらに、篩分離にて得られた消石灰スラリーを実施例1と同様の分離操作で分散槽に供給して分散した後、デカンタにて分離を行い、粗粒は分散槽に戻した。このように二段階の分離操作を行い、微粒の消石灰スラリーを得た。結果を表1に示す。
【0041】
比較例1
CaO含有率97.6%、活性度130mlの生石灰(河合石灰工業社製)を用いて、消化温度85℃下で実施例1と同様の消化条件下で消化したスラリーを20meshの篩で除去した消石灰スラリーを得た。結果を表1に示す。
【0042】
比較例2
CaO含有率97.6%、活性度161mlの生石灰(矢橋工業社製)を用いて、消化温度90℃下で実施例1と同様の消化条件下で消化した消化したスラリーを20meshの篩で除去したスラリーをデカンタで遠心分離して消石灰スラリーを得た。結果を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
以上の結果より、実施例1〜4では、得られた消石灰スラリーの濃度は15.0〜15.5wt%の範囲で安定しており、かつ粒度はすべて20μm以下であり、平均粒子径(メジアン径)も5μm程度と均一であり、比較例1および2に比べに反応性も高い。収率も95%以上と高い。生石灰の活性度が高すぎたり、低すぎると収率が低下し、分散槽の引き抜き量が多くなるが、消石灰スラリーの品質は安定している。
【0045】
比較例1では、分離循環操作を行わず篩除去のみを行った結果であるが、固形分を除いただけなので収率は高いが、分級効果に乏しいため粒度20μm以上の粒子が多く、反応性も非常に悪い。目視においても、サンプル底部にはスラリー中に分散しないような粗大粒子や黒色の不純物が存在した。また、比較例2では、篩除去した後、デカンタにて粗粒除去を行ったが、得られたスラリーは粒度に関しては良好であるが、濃度が低く、収率が悪いものであった。
【0046】
【発明の効果】
本発明により、高収率で、粒度が均一な消石灰スラリーを工業的に製造することができる。特に、原料生石灰の品質の変動に影響せず、安定した品質の消石灰スラリーを製造することができる。例えば、粒度20μm以下の均一な粒度の消石灰スラリーを製造でき、この消石灰スラリーを原料とする石膏の製造、炭酸カルシウムの製造、排水・排ガス処理などを高効率で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の消石灰スラリーの製造工程の一例を示す概略図である。
【図2】本発明の消石灰スラリーの製造工程の他の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の実施例で行った製造工程を示す図である。
【図4】本発明の消石灰スラリーの製造工程のさらに他の一例を示す概略図である。
【図5】本発明の消石灰スラリーの製造工程のさらに他の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1:消石灰スラリー
2:分離工程
3:微粒スラリー
4:粗粒スラリー
5:分散工程
6:分散スラリー
7:攪拌機
8:希釈液
9:沈降物
10:分離機あるいはデカンタ
11,16,17:分散槽
12,13,14:篩
15:温水
Claims (7)
- 生石灰を消化させて消石灰スラリーを製造する方法において、消石灰スラリー中の粒径20μm以上の粒子を含む粗粒スラリーを分離する分離工程、および該分離工程にて分離した粗粒スラリーを分散させる工程を経た後、該得られた分散スラリーを再び前記分離工程に戻すことを特徴とする消石灰スラリーの製造方法。
- 前記分離工程において、遠心分離装置を使用することを特徴とする請求項1に記載の消石灰スラリーの製造方法。
- 前記遠心分離装置が、デカンタであることを特徴とする請求項2に記載の消石灰スラリーの製造方法。
- 前記粗粒スラリーを分散させる工程において、スラリー濃度を60wt%以下に低下させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の消石灰スラリーの製造方法。
- 前記粗粒スラリーを分散させる工程において、沈降した粗大粒子を取り除くことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の消石灰スラリーの製造方法。
- 前記粗粒スラリーを分散させる工程において、生石灰を消化させた消石灰スラリーと粗粒スラリーとを混合して攪拌することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の消石灰スラリーの製造方法。
- 活性度が生石灰25gと水1Lで消化させ4N塩酸で中和滴定した時の10分値の塩酸消費量として130〜190mlである生石灰を消化温度65〜85℃で消化させた消石灰スラリーを使用することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の消石灰スラリーの製造方法。
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