JP7496754B2 - 軽金属複合材及びこれを用いた使用方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軽金属材と制振材を積層した軽金属複合材及びこれを用いた使用方法に関する。
ガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維で強化した繊維強化樹脂材料は、軽量で剛性が高く、また強度も優れていることから、スポーツ用品、自動車産業、航空機産業、建材など様々な分野において幅広く使用されている。近年、用途展開が拡がるにつれ、剛性・強度といった特性だけでなく、軽量かつ耐衝撃性、更には制振性を高めた材料が求められている。特許文献1には、ドアホールカバーにポリプロピレン樹脂層と、ゴム組成物からなる粘弾性層を積層することが提案されている。特許文献2には、ガラスクロスの表面に、エチレン系共重合体からなる制振層と、アクリル樹脂系ゴムを含む感圧接着層を積層した制振材が提案されている。特許文献3には、有機繊維からなる繊維構造体と、無機繊維からなる繊維構造体とを積層した制振材が提案されている。
特開2014-073837号公報 特開2013-019515号公報 特開2012-139841号公報
しかし、前記従来技術は、軽金属材の制振手段としてはいまだ問題があり、軽金属材をロボットなどに適用するには、さらなる改善が求められていた。
本発明は、前記従来の問題を解決するため、軽金属材を繊維強化樹脂で補強し、軽金属材の振動減衰性を向上することができる制振材を有する軽金属複合材及びこれを用いた使用方法を提供する。
本発明の軽金属複合材は、軽金属材の両面に制振材が積層された軽金属複合材であって、
前記制振材は、一方向連続繊維と交錯する方向の架橋繊維を含み、かつ熱可塑性粉体樹脂が前記一方向連続繊維と前記架橋繊維とを一体化した樹脂一体化繊維シートであり、
前記制振材は前記繊維シートが少なくとも2層積層されており、
前記制振材を構成する前記繊維シートの1層の厚みは0.05~0.2mmであり、
前記軽金属材の厚みは0.03~5.0mmであることを特徴とする。
本発明の軽金属複合材の使用方法は、前記の軽金属複合材を振動部に使用することを特徴とする。
本発明の軽金属複合材は、軽金属材の少なくとも1表面に制振材が積層された軽金属複合材であって、前記制振材は、繊維表面にマトリックスとなる熱可塑性粉体樹脂を融着させたセミプレグシートから成形される樹脂一体化繊維シートであり、前記制振材は前記繊維シートが少なくとも2層積層されており、前記制振材を構成する前記繊維シートの1層の厚みは0.05~0.2mmであり、前記軽金属材の厚みは0.03~5.0mmであることにより、軽金属材を繊維強化樹脂で補強し、軽金属材の振動減衰性を向上することができる。この軽金属複合材は、とくにロボットなどに有用である。
図1は本発明の一実施形態の軽金属複合材の模式的断面図である。 図2は本発明の一実施形態で使用するセミプレグシートの模式的斜視図である。 図3は同、セミプレグシートの幅方向の模式的断面図である。 図4は同、セミプレグシートの製造方法を示す模式的工程図である。 図5Aは同、軽金属複合材の振動試験方法を示す模式的斜視図、図5Bは同模式的断面説明図である。 図6は損失係数の計算をするのに使用する対数減衰率の説明図である。 図7は本発明の実施例1で得られた軽金属複合材の減衰曲線を示すグラフである。 図8は本発明の実施例2で得られた軽金属複合材の減衰曲線を示すグラフである。 図9は比較例1の材料の減衰曲線を示すグラフである。 図10は比較例2の材料の減衰曲線を示すグラフである。 図11は比較例3の材料の減衰曲線を示すグラフである。 図12は比較例4の材料の減衰曲線を示すグラフである。
本発明は、軽金属材と制振材を積層した軽金属複合材であり、前記制振材は樹脂一体化繊維シートであり、前記繊維シートは、少なくとも繊維表面にマトリックスとなる熱可塑性粉体樹脂を融着させたセミプレグシートから成形される。このセミプレグシートは、取り扱い性が良好で、カット及び加熱プレス成形する際の操作性が良い。繊維表面に融着している熱可塑性粉体樹脂は、加熱プレスにより溶融し、繊維間に浸みこみマトリックスとなる。前記セミプレグシートは、一方向連続繊維シート、多方向繊維シート、織物、編物等を使用できる。本発明の軽金属複合材における前記繊維シート層の1層の厚みは0.05~0.20mmであり、好ましくは0.05~0.15mmである。また、前記軽金属材層の厚みは0.03~5.0mmであり、好ましくは0.1~3.0mm、より好ましくは0.2~2.0mmである。本発明の軽金属複合材は、前記軽金属材層の少なくとも1表面に前記繊維シート層が少なくとも2層積層されている。これにより、軽金属材層を繊維強化樹脂層で補強し、軽金属材層の振動減衰性を向上する。本明細書において、積層前の繊維シートはセミプレグシートといい、積層成形後の繊維シートは樹脂一体化繊維シートという。
前記軽金属複合材は、長さ200mm、幅15mm、厚さ1mmとし、一端部から50mmの部分を固定して水平に保ち、残りの部分をフリー状態とし、フリー状態の先端部を下に25mm下げて放し、振動させたときの前記先端部から50mmの位置の振動幅が1mmになるまでの損失係数ηが1.5×10-2以上であることが好ましい。損失係数ηが1.5×10-2以上であれば、制振効果を発するために有用である。
前記軽金属材層は、マグネシウム、アルミニウム及びこれらを含む合金などが好ましい。これらの軽金属材はロボット、機械、建材、内装材、自動車、車両等に有用であり、制振性を向上すればさらに有用性が向上する。
前記軽金属複合材は、軽金属材層の一面に樹脂一体化繊維シートを積層させてもよいし、両表面に積層してもよい。前記繊維シートは、少なくとも繊維表面にマトリックスとなる熱可塑性粉体樹脂を融着させたセミプレグシートから成形されてできる。軽金属材の一面又は両表面にセミプレグシートを積層させた後、さらに軽金属材を積層してもよいし、他の層を積層することもできる。軽金属材とセミプレグシートの積層は、熱可塑性樹脂接着フィルムを介して積層するのが好ましい。このようにすると、乾式で積層でき操作性が良好となる。熱可塑性樹脂接着フィルムとしては、ポリオレフィン系フィルムが好ましい。
前記繊維シートは、連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維を含むことが好ましい。一方向連続繊維シートであると、軽金属材の長さ方向に前記繊維シートの長さ方向を合わせて積層すると、さらに軽金属材の振動減衰性に加えて剛性が向上する。前記繊維シートは2枚以上積層するが、少なくとも2枚は軽金属材の長さ方向に前記繊維シートの長さ方向を合わせて積層するのが好ましい。
本発明で使用する樹脂一体化繊維シートの繊維体積の割合(Vf)は、25~70体積%、熱可塑性樹脂の割合30~75体積%が好ましく、より好ましくは繊維(Vf)30~60体積%、樹脂40~70体積%である。これにより、樹脂一体化繊維シートの樹脂成分を、そのまま成形体のマトリックス樹脂成分にすることができる。
本発明で使用するセミプレグシートは、一方向連続繊維と交錯する方向の架橋繊維を含み、かつ前記熱可塑性粉体樹脂は前記一方向連続繊維と前記架橋繊維とを一体化しているのが好ましい。セミプレグシートを構成する繊維の主成分は、開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維である。繊維の副成分は、一方向連続繊維と交錯する方向に配列された架橋繊維であることが好ましい。熱可塑性樹脂は、粉体で一方向連続繊維及び架橋繊維の上から付着させ、一方向連続繊維の少なくとも表面で熱融着させ、かつ一方向連続繊維と架橋繊維とを一体化していることが好ましい。このシートは、一方向連続繊維と架橋繊維が、熱融着した熱可塑性粉体樹脂により一体化しているため、取り扱い性が良好で、カット及び加熱成形する際の操作性が良い。
前記セミプレグシートは、一方向連続繊維の表面にマトリックスとなる熱可塑性粉体樹脂を付着させ熱融着させたものが好ましい。このセミプレグシートは、加熱プレス成形により、表面の熱可塑性粉体樹脂がセミプレグシート内及びセミプレグシート間に一様に浸透かつ拡散する。これにより、賦形性(成形性)に優れ、ボイドを起こさない積層体が得られる。
一方向連続繊維と架橋繊維の合計を100質量%としたとき、一方向連続繊維は75~99質量%が好ましく、より好ましくは80~97質量%、さらに好ましくは85~97質量%である。また、架橋繊維は25~1質量%が好ましく、より好ましくは20~3質量%、さらに好ましくは15~3質量%である。前記の範囲であれば、一体性が高く、幅方向の引張強度の高いセミプレグシートとなる。架橋繊維の平均長さは、1mm以上が好ましく、さらに好ましくは5mm以上である。架橋繊維の平均長さの上限は1000mm以下が好ましく、より好ましくは500mm以下である。架橋繊維の平均長さが前記の範囲であれば、幅方向の強度が高く、取り扱い性に優れた炭素繊維シートとなる。
セミプレグシートの単位面積あたりの質量は10~500g/mが好ましく、より好ましくは20~400g/mであり、さらに好ましくは30~300g/mである。前記の範囲であると、セミプレグシートを軽金属材と加熱プレス成形するのに取り扱いやすい。 本発明で使用するセミプレグシートは、一方向連続繊維に対して他方向に配置されている補助糸を含んでもよい。補助糸は、繊維シートの配向性を一定に保つものである。補助糸としては、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維等が挙げられる。
前記セミプレグシートは、炭素繊維、アラミド繊維及び弾性率が380cN/dtex以上の高弾性率繊維から選ばれる少なくとも一つが好ましい。前記高弾性率繊維としては、例えばアラミド繊維、とくにパラ系アラミド繊維(弾性率:380~980cN/dtex)、ポリアリレート繊維(弾性率:600~741cN/dtex)、ヘテロ環ポリマー(PBO,弾性率:1060~2200cN/dtex)繊維、高分子量ポリエチレン繊維(弾性率:883~1413cN/dtex)、ポリビニルアルコール繊維(PVA,強度:14~18cN/dtex)などがある(繊維の百科事典,522頁,2002年3月25日,丸善)。これらの繊維は樹脂強化繊維として有用である。とくに炭素繊維は有用である。
セミプレグシートの1枚の厚みは0.01~5.0mmが好ましく、より好ましくは0.02~3.0mmであり、さらに好ましくは0.05~1.0mmである。前記の範囲であると、セミプレグシートを軽金属材と加熱プレス成形するのに取り扱いやすい。
前記熱可塑性粉体樹脂は、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂及びポリエーテルエーテルケトン系樹脂などが使用可能であるが、これらに限定されない。
本発明の軽金属複合材の製造方法は、少なくとも繊維表面にマトリックスとなる熱可塑性粉体樹脂を融着させたセミプレグシートを使用し、次の工程を含む。
(1)前記セミプレグシートを軽金属材の大きさに合わせてカットする。
(2)前記セミプレグシートを2枚重ね、前記セミプレグシート表面に融着している熱可塑性粉体樹脂の融点以上の温度に加熱してプレス成形し、樹脂一体化繊維シートを得る。
(3)軽金属材の表面にホットメルトタイプの樹脂接着フィルムを重ね、その外側に前記2枚積層した樹脂一体化繊維シートを重ねる。
(4)前記前記重ねたものを前記樹脂接着フィルムの融点以上の温度に加熱してプレス成形する。
(5)前記加熱プレス成形したものを冷却する。
本発明の制振材の別の製造方法としては、次の工程を含む。
(1)前記セミプレグシートを軽金属材の大きさに合わせてカットする。
(2)軽金属材の表面にホットメルトタイプの樹脂接着フィルムを重ね、その外側に前記セミプレグシートを2枚重ねる。
(3)前記セミプレグシート表面に融着している熱可塑性粉体樹脂の融点以上の温度に加熱してプレス成形する。
(4)前記加熱プレス成形したものを冷却する。
本発明の軽金属複合材の使用方法は、軽金属材を振動部として使用する。振動部としては、ロボットのアーム、自動車、電車、船舶、航空機などの輸送機械における天井、床、側壁、ボンネット、その他建材、スポーツ用品、日用品等がある。
以下図面を用いて説明する。以下の図面において、同一符号は同一物を示す。図1は本発明の一実施形態の軽金属複合材の模式的断面図である。この軽金属複合材30は加熱プレス成形して一体化されており、軽金属材31の両表面にホットメルトタイプの樹脂接着フィルム32が搭載されており、その外側に樹脂一体化繊維シート33a,33bを2枚積層した制振材33が搭載されている。
図2は本発明の一実施形態のセミプレグシート1の模式的斜視図、図3は同、セミプレグシート1の幅方向の模式的断面図である。開繊された一方向炭素繊維2の表面には架橋繊維3が様々な方向に配置している。また一方向炭素繊維2の表面付近に樹脂4が溶融固化して付着しており、樹脂4は一方向炭素繊維2の内部には含浸していないか又は一部含浸している程度である。樹脂4は架橋繊維3を一方向炭素繊維2の表面に接着固定している。図3に示すように、一方向炭素繊維2の表面には架橋繊維3a,3bが存在する。架橋繊維3aは全部が一方向炭素繊維2の表面にある。架橋繊維3bは一部が一方向炭素繊維2の表面にあり、一部は内部に入って炭素繊維と交錯した状態である。樹脂4は架橋繊維3を一方向炭素繊維2の表面に接着固定している。また、樹脂4が付着している部分と、樹脂が付着していない部分5がある。樹脂が付着していない部分5は、セミプレグシート1を加熱し、積層成形する際に、繊維シート内部の空気がこの部分から抜ける通路となり、表面の樹脂が繊維シート内全体に含浸しやすくなる。これにより樹脂4は繊維強化樹脂成形体のマトリックス樹脂となる。
図4は本発明の一実施形態のセミプレグシートの製造方法を示す模式的工程図である。多数個の供給ボビン7から炭素繊維フィラメント群(トウ)8を引き出し、開繊ロール21a-21jの間を通過させることで、開繊させる(ロール開繊工程23)。ロール開繊に代えて、エアー開繊としてもよい。開繊ロールは固定又は回転してもよく、幅方向に振動してもよい。 開繊工程の後、開繊されたトウをニップロール9a,9b間でニップし、この間に設置した複数のブリッジロール12a-12bの間を通過させ、トウの張力を例えば15,000本あたり(1個の供給ボビンから供給される炭素繊維フィラメント群に相当)2.5~30Nの範囲でかけることで、架橋繊維を発生させる(架橋繊維発生工程24)。ブリッジロールは回転してもよく、幅方向に振動してもよい。ブリッジロールは、例えば表面が梨地、凹凸、鏡面、複数ロールで炭素繊維フィラメント群を屈曲、固定、回転、振動又はこれらの組み合わせにより架橋繊維を発生させる。13a-13gはガイドロールである。
その後、粉体供給ホッパー14からドライパウダー樹脂15を開繊シートの表面に振りかけ、圧力フリー状態で加熱装置16内に供給し加熱し、ドライパウダー樹脂15を溶融し、ガイドロール13e-13g間で冷却する。その後、開繊シートの裏面にも粉体供給ホッパー17からドライパウダー樹脂18を振りかけ、圧力フリー状態で加熱装置19内に供給し加熱し、ドライパウダー樹脂18を溶融し、冷却し、巻き上げロール20に巻き上げられる(粉体樹脂付与工程25)。ドライパウダー樹脂15、18は、例えばポリプロピレン樹脂(融点:150~165℃)とし、加熱装置16,19内の各温度は例えば樹脂の融点、軟化点又は流動化点の+5~60℃、滞留時間は例えば各4秒とする。これにより、炭素繊維開繊シートは幅方向の強度が高くなり、構成炭素繊維がバラバラになることはなく、シートとして扱えるようになる。
粉体樹脂の付与は、粉体塗布法、静電塗装法、吹付法、流動浸漬法などが採用できる。炭素繊維シート表面に粉体樹脂を落下させる粉体塗布法が好ましい。例えばドライパウダー状の粉体樹脂を開繊された炭素繊維シートに振りかける。
本発明におけるセミプレグシートを用いる利点をまとめると次のようになる。
(1)プリプレグと異なり、セミプレグシートであるためダイレクト成形が可能である。
(2)プリプレグと異なり、セミプレグシートであるため高サイクル成形ができ、賦形性、成形性が優れている。
(3)熱可塑性樹脂がパウダー状で熱融着しているため繊維間への含浸性が良い。すなわち、フィルムと異なり、成形時に空気抜けが優れていて、ボイドが発生しにくい。
(4)繊維一体化樹脂シートの繊維が、例えば炭素繊維のように連続繊維である(短繊維ではない)。このため、薄くて強度の高い成形体が得られる。
(5)樹脂に対する熱履歴を減らすことができる。これにより、樹脂の劣化を防ぐことができる。
・プリプレグシート:シート作製時長時間+予備加熱時+成形時+熱硬化時
・セミプレグシート:シート作製時短時間+成形時のみ加熱
以上のとおり、セミプレグシートは成形時間を高速にできる。
(6)プリプレグシートでは軟化後、成形金型へ移動させるときに冷えるため、成形品表面の平滑性(金型の転写性)が悪い。本発明はダイレクト成形であるため成形品表面の平滑性が良い。
(7)プリプレグシートでは軟化後、成形金型へ移動させるときに冷えるため、成形品にある程度の厚みが必要(薄い成形品はできない)。本発明はダイレクト成形であるため、基材の成形型への移し替えが不要である。このため、細い径の成形品もできる。
以下実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。<振動試験>
下記の実施例、比較例で測定する振動試験について説明する。
(1)図5A,図5Bの振動試験測定装置34に示すように、軽金属複合材30のサンプル(長さ200mm,幅15mm)の長手方向50mmを高さ38mmの位置に固定具35で固定する。
(2)もう一方の固定していない方の先端部(4mm)を治具38により固定位置(38mm)から下側に約25mmたわませる
(3)治具38をサンプルから引いて外し、制振材サンプルの先端部36から50mm位置の振幅(D)を上からレーザ変位計にて測定する。37は振動測定部である。
(4)レーザ変位計は、キーエンス社製、CMOSレーザアプリセンサ IL-S100 を使用した。
(実施例1)
(1)炭素繊維未開繊トウ
炭素繊維未開繊トウは三菱ケミカル社製、品番:PYROFILE TR 50S15L、形状:レギュラートウ フィラメント15K(15,000本)、単繊維直径7μmを使用した。この炭素繊維未開繊トウの炭素繊維にはエポキシ系化合物がサイジング剤として付着されている。
(2)未開繊トウの開繊手段
図4の開繊手段を使用して開繊した。開繊工程において、炭素繊維フィラメント群(トウ)の張力は15,000本あたり15Nとした。このようにして炭素繊維フィラメント構成本数13本、開繊幅260mm、厚み0.08mmの開繊シートとした。架橋繊維は3.3質量%であった。
(3)セミプレグシート
ドライパウダー樹脂としてフェノキシ樹脂(流動開始温度180℃)粉体は、炭素繊維1m2に対して平均片面16.2g、両面で32.4g付与した。加熱装置16,19内の温度は各180℃、滞留時間は2秒とした。得られたセミプレグシートの質量は82.4g/m2であった。
(4)ホットメルトタイプの樹脂接着フィルム
ホットメルトタイプの樹脂接着フィルムとして、倉敷紡績社製、商品名"クランベター"、タイプP-6700、オレフィン系接着フィルム、厚み60μmを使用した。
(5)軽金属材
軽金属材として、マグネシウム合金:日本金属株式会社製、商品名”AZ31B”(長さ250mm,幅250mm,厚み0.5mm)を使用した。
(6)成形加工
・熱プレス機、プレス用板(SUS5mm金型 離型加工済み)を使用した。
・セミプレグを構成する一方向性炭素繊維シートの長さ方向を合わせてセミプレグ2枚を積層した。
・SUS板を事前にプレス機にて230℃に加熱し、そのSUS板にセミプレグ2枚を挟み、加熱プレス温度230℃、加熱プレス時間5分、圧力2MPa、冷却10分で積層した。
・マグネシウム合金をアセトンで拭き脱脂した。
・マグネシウム合金の両面に樹脂接着フィルム及びセミプレグを2枚積層成形した樹脂一体化繊維シートを設置した(図1)。SUS板を事前にプレス機にて180℃に加熱した。そのSUS板にサンプルを挟み、加熱プレス温度180℃、加熱プレス時間1分、圧力1MPa、冷却10分で積層した。
・積層体サンプルを長さ200mm、幅15mmに複合メタルシャーベンダーにてカットし、サイズ調整した。積層体サンプルの厚みは1mmであった。
(7)振動試験
このようにして得られた軽金属複合材サンプルの振動試験を図5に示す測定装置で測定した結果を図7に示す。
(8)損失係数の計算
損失係数は下記の計算式を用いて算出した。
1周期だけでは精度が不十分な場合は、m周期をとって下記(数1)により計算する。図6におけるTは1周期、mTはm周期を示す。
Figure 0007496754000001
前記数1から下記数2が得られる。
Figure 0007496754000002
δより下記数3及び数4から減衰比(ダンピングファクタ)ζ及び損失係数ηを求めることができる。
Figure 0007496754000003
Figure 0007496754000004
このようにして算出した損失係数は表1にまとめて示す。
(実施例2) 軽金属材をマグネシウム合金に替え、アルミニウム合金(厚み0.5mm,A5052)とした以外は実施例1と同様に実施した。得られた軽金属複合材サンプルの振動試験の測定結果を図8に示し、損失係数は表1にまとめて示す。
(比較例1) 実施例1で使用したマグネシウム合金単体の振動試験の測定結果を図9に示し、損失係数は表1にまとめて示す。
(比較例2) 実施例3で使用したアルミニウム合金単体の振動試験の測定結果を図10に示し、損失係数は表1にまとめて示す。
(比較例3) 厚み1mmの鉄板(SPCC)単体の振動試験の測定結果を図11に示す。測定時に鉄板が曲がってしまい、損失係数は算出できなかった。
(比較例4) 実施例1で使用したセミプレグ積層体(厚さ1mm)単体の振動試験の測定結果を図13に示し、損失係数は表1にまとめて示す。
表1から明らかなとおり、実施例1~2の成形体は良好な損失係数を示し、本発明の軽金属複合材は好ましい制振性を有していることが確認できた。
本発明の軽金属複合材は、ロボットのアーム、自動車、電車、船舶、航空機などの輸送機械における天井、床、側壁、ボンネット、その他建材、スポーツ用品、日用品等において広く応用できる。
1 セミプレグシート
2 一方向炭素繊維
3,3a,3b 架橋繊維
4 樹脂
5 樹脂が付着していない部分
6 開繊装置
7 供給ボビン
8 炭素繊維フィラメント群(炭素繊維未開繊トウ)
9a,9b ニップロール
12a-12b ブリッジロール
13a-13g ガイドロール
14,17 粉体供給ホッパー
15,18 ドライパウダー樹脂
16,19 加熱装置
20 巻き上げロール
21a-21j 開繊ロール
23 ロール開繊工程
24 架橋繊維発生工程
25 粉体樹脂付与工程
30 軽金属複合材
31 軽金属材層
32 樹脂接着フィルム
33 制振
3a,33b 樹脂一体化繊維シート
34 振動試験測定装置
35 固定具
36 軽金属複合材サンプルの先端部
37 振動測定部
38 治具

Claims (8)

  1. 軽金属材の両面に制振材が積層された軽金属複合材であって、
    前記制振材は、一方向連続繊維と交錯する方向の架橋繊維を含み、かつ熱可塑性粉体樹脂が前記一方向連続繊維と前記架橋繊維とを一体化した樹脂一体化繊維シートであり、
    前記制振材は前記繊維シートが少なくとも2層積層されており、
    前記制振材を構成する前記繊維シートの1層の厚みは0.05~0.2mmであり、
    前記軽金属材の厚みは0.03~5.0mmであることを特徴とする軽金属複合材。
  2. 前記軽金属複合材は、長さ200mm、幅15mm、厚さ1mmとし、一端部から50mmの部分を固定して水平に保ち、残りの部分をフリー状態とし、フリー状態の先端部を下に25mm下げて放し、振動させたときの前記先端部から50mmの位置の振動幅が1mmになるまでの損失係数ηが1.5×10-2以上である請求項1に記載の軽金属複合材。
  3. 前記軽金属材は、マグネシウム、アルミニウム及びこれらを含む合金から選ばれる少なくとも一つの層である請求項1又は2に記載の軽金属複合材。
  4. 前記軽金属複合材は、軽金属材の両表面に、熱可塑性樹脂接着フィルムを介して樹脂一体化繊維シートを積層したものである請求項1~のいずれか1項に記載の軽金属複合材。
  5. 前記繊維シートは、連続繊維群が開繊され一方向に並列状に配列された一方向連続繊維を含む請求項1~のいずれか1項に記載の軽金属複合材。
  6. 前記繊維シートは、繊維の割合が25~70体積%、樹脂の割合30~75体積%である請求項1~5のいずれかに記載の軽金属複合材。
  7. 前記樹脂一体化繊維シートを構成する繊維は、炭素繊維、アラミド繊維及び弾性率が380cN/dtex以上の高弾性率繊維から選ばれる少なくとも一つである請求項1~のいずれか1項に記載の軽金属複合材。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載の軽金属複合材を振動部に使用することを特徴とする軽金属複合材の使用方法。
JP2020168760A 2020-10-05 2020-10-05 軽金属複合材及びこれを用いた使用方法 Active JP7496754B2 (ja)

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