JP7496603B2 - 構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、水密構造とした建物等全体を、洪水など水害時に合理的に浮上させる構造物に関する。
昨今の気候変動と温暖化の影響により、河川氾濫、内水氾濫などによる水害が増加している。戸建て住宅の浸水被害は、床下浸水、床上浸水で異なるが、床上浸水に対しては、窓などの開口部の水密性を確保し、排気口や排水管に特殊な構造を適用することで、床下空間および屋内への浸水を防止することは可能となっている。
近年、浸水被害予測、いわゆるハザードマップが各機関から公表されており、これらによれば、浸水深は3m以上に及ぶ地域も珍しくない。建物を水密構造としたとしても、一般的には、特殊な建材を採用することによるコストとの兼ね合いで、建物内への浸水を防ぐことができる水の深さは地盤面からせいぜい1.5m程度が限界であり、浸水深が3m以上と予測されるような地域では、当該建物内への床上浸水を免れることができない可能性がある。
そこで、建物自体を氾濫した水に浮かせることで、建物内の浸水を免れるようにした構造が種々提案されている。
例えば、特許文献1(実用新案登録第3178947号公報)には、一般家庭の庭に設置可能な係留浮上式水害救難室であって、天井に開閉式の緊急脱出用ハッチを有し、救難室の側壁面には複数の覗き窓と密閉可能な出入り用扉を設け、救難室の床下には底部を鉄板で構成した浮力室を構成する空間部を有し、さらに救難室にはリールに巻き取られたワイヤーロープの先端部を水密的に外部に引出可能にした開口部を通してワイヤーロープの先を救難室の係留杭に接続し、更に救難室外壁には、複数本のロッドアンカーに接続した鉄鎖を設けたことを特徴とする係留浮上式水害救難室が記載されている。
また、特許文献2(特許第6065276号公報)には、地盤に構築した基礎構造体の上部に、周囲を鋼板で囲い床部を面格子状に鋼板で塞ぎ、内部に発泡ポリスチレンフォームを嵌め込んだ浮力室を載せ、その浮力室の上部に浮力室と一体となるように平屋住宅を構築し、大津波が押し寄せて来る方向の、地盤に構築した基礎構造体の左右に、平行四辺形の形状をして四隅を回動自在に固定したリフト装置の下部支鋼材の両端を固定し、リフト装置を配置した平屋住宅の外壁面に、リフト装置の上部受鋼材を受け止めるための逆L字型をした受金物を取付け、平行四辺形の形状をした前記リフト装置の上部受鋼材に、外壁面の逆L字型をした受金物を載せ、大津波が押し寄せた際、浮力室と一体となるように構築した平屋住宅を、概ね水平状態を保った状態で水面に浮上させ、船外機用外開きドアを開けてドアを固定し、船外機用外開きドアの室内側に横向きに設置した船外機を下げて稼動させ、平屋住宅を自走させた事を特徴とするリフト装置を有する津波対応浮上式小部屋が記載されている。
実用新案登録第3178947号公報 特許第6065276号公報
特許文献1記載の従来技術に係る、鉄鎖で接続された係留浮上式水害救難室においては、浮上の際や着地の際に重量バランスにより、水平に昇降せず、室内の備品が散乱してしまう、という問題があった。
特許文献2記載の従来技術においては、浮力室と一体に構築した平屋住宅の建物が、平行四辺形の形状をした、一対のリフト装置により昇降するので、水平状態を保った状態で水面に浮上する可能性はある。しかしながら、実際上は、住宅内の備品の配置・間取りなどによっては、住宅床面の重量分布が均等でなく、特許文献2記載の従来技術でも、住宅が浮上する時や、水が引いて住宅が着地する時において、すなわち住宅が昇降する際、水平を保つことができず、住宅内の備品が散乱してしまう、という問題があった。
一方、特許文献2記載の従来技術においては、平屋住宅が、一対のリフト装置により昇降するので、流されてしまうことがなく、当初位置に留まることができれば、平屋住宅が当初設置されていた位置に着座する可能性はある。しかしながら、特許文献1記載の従来技術では、氾濫や津波による水が引いた後、救難室が当初設置されていた場所に着座する確率はほぼない、という問題があった。
また、特許文献1、或いは、特許文献2のいずれにおいても、救難室や住宅などは、直上に浮上し、直下にする着地することはまずないので、一般的に救難室や住宅の周囲に配されている、囲いや樹木、車両などといった周辺物に衝突する可能性が高く、水平移動に伴う危険を回避することができない、という問題があった。
この発明は、上記のような課題を解決するものであり、本発明に係る構造物は、地盤に埋設される基礎スラブと、前記基礎スラブの鉛直上方に配され、建物を支持する床スラブと、前記基礎スラブと前記床スラブとの間の空間に配され、前記床スラブが移動する際、前記基礎スラブに対して前記床スラブが直上下方向にのみ移動するように規制を行うリンク機構と、を含み、前記基礎スラブと前記床スラブとの間の空間の外周を覆うスカート部材を有し、前記スカート部材が前記基礎スラブと前記床スラブのそれぞれに固定されることを特徴とする。
また、本発明に係る構造物は、前記リンク機構が、前記基礎スラブに固定される一対の基礎スラブ固定金具と、
前記一対の基礎スラブ固定金具それぞれに対して一対の第1支軸部を中心として回動可能に配される一対の第1棹部材と、前記一対の第1棹部材それぞれに対して一対の第2支軸部を中心として回動可能に配される一対の第2棹部材と、前記一対の第2棹部材それぞれに対して一対の第3支軸部を中心として回動可能に配され、前記床スラブに固定される一対の床スラブ側固定金具と、前記一対の第2支軸部との間に配される水平棹部材と、からなることを特徴とする。
また、本発明に係る構造物は、長手方向が互いに直交する前記リンク機構が2つ以上配されることを特徴とする。
また、本発明に係る構造物は、前記基礎スラブと前記床スラブとの間の空間の外周を覆うスカート部材を有することを特徴とする。
また、本発明に係る構造物は、前記スカート部材は蛇腹構造であることを特徴とする。
また、本発明に係る構造物は、前記スカート部材が地盤内に埋設されることを特徴とする。
また、本発明に係る構造物は、前記床スラブは、水平部と、前記水平部から下方に延出する壁部を有しており、前記水平部と前記壁部で空気だまり部を形成することを特徴とする。
また、本発明に係る構造物は、前記床スラブを貫通する配管を有しており、前記配管は屈曲性を有することを特徴とする。
また、本発明に係る構造物は、前記配管が、上水道用配管、下水道用配管、電気配線用配管のいずれかであることを特徴とする。
また、本発明に係る構造物は、前記リンク機構の動作を規制する部材が設けられることを特徴とする。
また、本発明に係る構造物は、前記スカート部材は通水性を有することを特徴とする。
本発明に係る構造物は、建物を支持する床スラブが移動する際、基礎スラブに対して床スラブが直上下方向にのみ移動するように規制を行うリンク機構を備えており、このような本発明に係る構造物によれば、建物は水平を保ったまま昇降するので、河川の氾濫や津波による水害に伴い、建物内の備品が散乱してしまうようなことがない。
また、本発明に係る構造物によれば、水害による水が引いた後には、建物を支持する床スラブは、水害前の位置に戻る(着座)することが可能となる。
また、本発明に係る構造物によれば、建物は水害の際、直上・直下にのみ移動するので、建物の周囲に配されている樹木や車両などの周辺物と衝突する可能性が極めて低い。
本発明の第1実施形態に係る構造物1を模式的に示す図である。 本発明の第1実施形態に係る構造物1に用いられるリンク機構100を示す図である。 リンク機構100における第1支軸部151近傍の分解斜視図である。 リンク機構100における第2支軸部152近傍の分解斜視図である。 本発明の第1実施形態に係る構造物1周辺で水害が発生した時の様子を示す図である。 基礎スラブ10と床スラブ20との間に設ける下水道用配管80の一例を示す図である。 下水道用配管80の伸縮を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る構造物1を模式的に示す図である。 本発明の第2実施形態に係る構造物1周辺で水害が発生した時の様子を示す図である。 本発明の第3実施形態に係る構造物1に用いられるリンク機構100を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る構造物1の一部を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は本発明の第1実施形態に係る構造物1を模式的に示す図である。図1では、構造物1に含まれる建物40は、平面視で矩形の平屋の住宅を例示しているが、本発明に係る構造物1における建物40がこれに限定されるわけではない。また、本発明に係る構造物1では、建物40を浮上させる際にリンク機構100が用いられるが、建物40が平面視矩形であるため、このリンク機構100が矩形の各辺に沿って4つ用いられており、図1にはそのうちの3つが図示されている。
本発明に係る構造物1では、建物40は水密構造としたものを想定しており、水密構造のものが理想的ではあるが、後述する空気だまり部25などによる浮力を調整することができれば、建物40は必ずしも水密構造である必要はない。
基礎スラブ10は、地盤Gに埋設されてなるコンクリート製の床版である。図1においては、この基礎スラブ10は水平部12のみからなる矩形の板状のものを示しているが、基礎スラブ10は図のようなものに限定されるものではない。基礎スラブ10は他の形状のものであってもよいし、鉄筋などが埋設されるものであってもよいし、杭などを備えるものであってもよい。基礎スラブ10も構造物1の一部を構成するものである。構造物1には、この基礎スラブ10も含め、これより上方に配されている構成が含まれている。
床スラブ20は、この基礎スラブ10とは独立しており、基礎スラブ10の鉛直上方に配され、建物40を直接的に支持する。本実施形態では、床スラブ20は、平面視で矩形板状の水平部22と、水平部22の周縁から下方に延出する壁部24とを有している。床スラブ20は他の形状のものであってもよいが、本実施形態では、水平部22から下方に延出する壁部24を有することは必須である。水平部22と壁部24とで囲まれた空間は、水害が発生した際、床スラブ20上の建物40を浮上させる際の浮力を稼ぐ空気だまり部25として機能させるためである。
壁部24を水平部22のどの位置から下方に延出させるようにするかは任意であるが、所定の浮力を確保するため空気だまり部25として十分な体積が形成されるようにすることが肝要である。また、空気だまり部25の空間と接する、床スラブ20における水平部22と壁部24の内側の表面が気密・防水となるような加工を施すことが好ましい。
一般的に、コンクリート自体は、ひび割れがなければ気密・水密であるが、微細なひび割れを全く発生しないように施工することはほとんど不可能であり、気密・防水とする表面処理をしなければ、ひび割れを空気が通過して、数時間のオーダーの時間では、空気だまり部25の空間の空気が抜けてしまう。
上記のような気密性を実現する加工方法としては、樹脂などを塗布する(塗布防水)方法か、シートを貼り付ける(シート防水)方法かを用いることができる。このように、十分な空気だまり部25の空間の体積を確保すると共に、水平部22と壁部24の内側の表面に気密性を付与することで、床スラブ20が浮上の際の建物40の浸水深さを低減することができる。
図1に係る実施形態では、空気だまり部25を形成することで、床スラブ20に対する浮力を確保するようにしているが、本発明に係る構造物1ではこれに代えて、空気だまり部25の空間に、発砲スチロールや硬質ウレタンなどの比重が水にくらべ無視できる程度に小さいものを充填することで、浮力を確保するようにしてもよい。発砲スチロールや硬質ウレタンなどなどの材料を用いて、浮力を確保する場合には、水平部22と壁部24の内側の表面に気密性を付与する加工を施す必要はない。なお、発砲スチロールや硬質ウレタンなどの材料は、コンクリート製の床スラブ20を施工する際の型枠を兼ねることもできる。
発砲スチロールや硬質ウレタンなどの材料は、ある程度の吸水性を有しているが、本発明に係る構造物1で想定している河川の氾濫などによる浸水時間での吸水量は、それほど多くはないものと考えられる。そのため、空気だまり部25に相当する体積分の浮力程度が確保され得る。
なお、床スラブ20を構成するコンクリートと、発砲スチロールなどの材料との間に、水がしみこむとコンクリートには水圧が作用し、ひび割れが存在する場合、このひび割れを水が通過してしまうことが考えられる。しかし、ひび割れ幅×ひび割れの延長とコンクリートの厚さから計算される凡その通水量は、空気ほど通過できることはない。また、本発明に係る構造物1で想定している河川の氾濫による水は、清水でなく濁水でありすぐに目詰まりをおこすことからも、さほど問題はないものと考えられる。
発砲スチロールなどの材料の表面に樹脂を塗布し、当該樹脂が未硬化の状態で床スラブ20を構成するためのコンクリートを打ち込めば、コンクリートと発泡スチロールが確実・強固に密着し、境界面に水が浸透することがなくなり、このように床スラブ20を構成することは好ましい実施形態の一つである。
上記のように構成される基礎スラブ10と、床スラブ20との間の空間には、リンク機構100が設けられる。構造物1の周辺で水害が発生し、構造物1が浸水すると、空気だまり部25内の空気により浮力が発生し、建物40と共に床スラブ20が浮上する。このとき、リンク機構100は、基礎スラブ10に対して床スラブ20が直上下方向にのみ移動するように規制を行う構造を有している。
このようなリンク機構100としては、基礎スラブ10に対して床スラブ20が直上下方向にのみ移動するように規制を行うものであれば、どのような構造を有するものであってもよい。本実施形態に係る構造物1では、図2に示すようなリンク機構100が用いられている。
図2は本発明の第1実施形態に係る構造物1に用いられるリンク機構100を示す図である。また、図3はリンク機構100における第1支軸部151近傍の分解斜視図であり、図4はリンク機構100における第2支軸部152近傍の分解斜視図である。また、図5は本発明の第1実施形態に係る構造物1周辺で水害が発生した時の様子を示す図である。リンク機構100が図2の状態にあるとき、リンク機構100が縮んだ状態であると称することがある。また、リンク機構100が図5の状態にあるとき、リンク機構100が伸びた状態であると称することがある。
本実施形態では、建物40が平面視矩形であるため、このリンク機構100が当該矩形の4つの辺に沿って4つ用いられている。本発明に係る構造物1を実現するためには、理屈の上では1つのリンク機構100が存在すれば良い。ただし、1つのリンク機構100を設けるだけでは、リンク機構100にかかる力が過大となる可能性があるので、好ましくはリンク機構100を2つ以上設けるようにする。さらにより好ましくは、例えば、建物40が平面視矩形である場合には、リンク機構100を当該矩形の4つの辺に沿って4つ用いるようにする。
ここで、リンク機構100の長手方向について定義する。リンク機構100により規制されて、床スラブ20は直上下方向にのみ移動するが、このように床スラブ20を直上下方向にのみ移動させる構造のリンク機構100を構成する上で、重要なパーツとなる水平棹部材140を基準として、リンク機構100の長手方向を定義する。すなわち、水平棹部材140が延びる方向を、リンク機構100(或いは、水平棹部材140)の長手方向とする。
基礎スラブ10と床スラブ20との間に、リンク機構100を2つ設けるようにする場合、2つのリンク機構100の長手方向が平行となるように配することができる。また、リンク機構100を2つ設けるようにする場合、2つのリンク機構100の長手方向が互いに直交するようにも配することができる。このとき、平面視で、2つのリンク機構100の長手方向がT字の配列となるようにすることができる。
また、基礎スラブ10と床スラブ20との間に、リンク機構100を3つ設けるようにする場合には、平面視で、3つのリンク機構100の長手方向がH字の配列となるようにすることができる。また、図1に示すように、基礎スラブ10と床スラブ20との間に、リンク機構100を4つ設けるようにする場合、平面視で、4つのリンク機構100の長手方向が口字の配列となるようにすることができる。
リンク機構100を構成する各パーツに用いる材料としては剛性を有する金属製のものであればどのようなものであってもよいが、例えば鋼材を材料として各パーツを構成することができる。各棹部材(110、110’、120、120’)や、水平棹部材140などには、例えば、既製の平鋼に加工を加えたものを用いることができる。さらに、各棹部材(110、110’、120、120’)や水平棹部材140に溝形鋼などの型鋼を用いればより強い曲げ剛性・強度が得られる。
基礎スラブ10に対しては、一対の基礎スラブ固定金具103、103’が固定されており、 床スラブ20に対しては、一対の床スラブ側固定金具130、130’が固定されている。このような固定には、不図示の固定金具の一部を、基礎スラブ10や床スラブ20を構成するコンクリートに埋設させることで、これを行うことができる。また、固定金具はいずれも同規格のものを用いることができる。
一対の基礎スラブ固定金具103、103’それぞれに対しては、一対の第1支軸部151、151’を中心として、一対の第1棹部材110、110’が回動可能に配されている。一対の第1棹部材110、110’それぞれには、同寸法・同規格のものを用いることができる。
また、一対の床スラブ側固定金具130、130’それぞれに対しては、一対の第3支軸部153、153’を中心として、一対の第2棹部材120、120’が回動可能に配されている。一対の第2棹部材120、120’それぞれには、同寸法・同規格のものを用いることができる。第1棹部材と第2棹部材とは全て同寸法・同規格のものを用いることができる。
図3には、第1支軸部151近傍の分解斜視図が示されている。第3支軸部153近傍については、基本的な構成が天地逆となるだけなので説明を省略する。
例えば、基礎スラブ固定金具130は、基礎スラブ10に対して固着状態にある接地部105と、この接地部105から上方に延出する立設部106とから構成することができる。この立設部106には、貫通孔107が設けられている。
第1棹部材110にも貫通孔117が設けられており、ボルト162の螺刻シャフト部が、基礎スラブ固定金具130の貫通孔107と、第1棹部材110の貫通孔117とに挿通されて、螺刻シャフト部にナット166が螺着されることで、一点鎖線で示されるような第1支軸部151が構成される。
図4を参照して、水平棹部材140について説明する。水平棹部材140は、第2支軸部152を中心として、第1棹部材110と第2棹部材120のそれぞれに対して、回動可能に配されている。図4には、第2支軸部152近傍の分解斜視図が示されている。水平棹部材140の一方端側の構成は、他方端側と同様の構成であるので、図4には一方端側のみを図示している。
図4に示すように、ボルト162の螺刻シャフト部が、第1棹部材110の貫通孔117と、水平棹部材140の貫通孔147と、第2棹部材120の貫通孔127とに挿通されて、螺刻シャフト部にナット166が螺着されることで、二点鎖線で示されるような第2支軸部152が構成される。
上記のように構成される本発明に係る構造物1においては、河川の氾濫や津波による水害のとき、図5に示すように水Wが、構造物1の周囲に発生し構造物1が浸水していくと、床スラブ20における空気だまり部25に存在する空気による浮力で、床スラブ20と建物40とが浮上する。
ここで、本実施形態に係るリンク機構100では、一対の棹部材の間には、平棹部材140が設けられているので、建物40を支持する床スラブ20の浮上に伴う移動の際、リンク機構100は、基礎スラブ10に対して床スラブ20が直上下方向にのみ移動するように規制を行う。このようなリンク機構100を備えた本発明に係る構造物1によれば、建物40は水平を保ったまま昇降するので、河川の氾濫や津波による水害に伴い、建物40内の備品が散乱してしまうようなことがない。また、床スラブ20の浮上中などに、屋内の家具などが傾いて転倒する恐れもない。
また、本発明に係る構造物1によれば、水害による水Wが引いた後には、建物40を支持する床スラブ20は直下方向に移動することで、水害前の位置に戻る(着座)することが可能となる。また、本発明に係る構造物1によれば、建物40は水害の際、直上・直下にのみ移動するので、建物40の周囲に配されている樹木や車両などの周辺物と衝突する可能性が極めて低くなる。
本発明に係る構造物1によれば、水害による水Wが引いた後には、建物40を支持する床スラブ20は直下方向に移動することで、水害前の位置に戻る(着座)することが可能となる。しかしながら、仮に河川氾濫による水Wが浮遊物や土砂が床スラブ20の下に入って滞留すると、着座の障害となってしまう。
本発明に係る構造物1においては、上記のような浮遊物や土砂が床スラブ20の下に入ってしまうことを防止するために、基礎スラブ10と床スラブ20との間の空間の外周を覆うスカート部材50を有している。このスカート部材50は、通水するが、浮遊物や土砂は遮断する布のような素材で構成される。また、スカート部材50は蛇腹構造であることが好ましい。また、水害が発生していない、平時においては、図1に示すようにスカート部材50を、地盤Gに埋設するようにしておくと、美観上にも好ましい。
スカート部材50を構成する布の通水性が低いと、洪水時の外水位の上昇に対し内部への通水が追い付かず、水圧により布が破れたり、床スラブ20や基礎スラブ10への固定が困難になったりする。また、布の通水性が低いことによって、スカート部材50が目詰まりすることは好ましくない。
洪水時の水位上昇速度は、およそ数m/h程度であり、スカート部材50の内外水位差(基礎スラブ10と床スラブ20との間の空間を「内」とする)を2.0mに抑えれば、スカート部材50を構成する布が受ける水圧は1.0tf/m2である。例えば、帆布の引張強度は、JIS規格(L3402:麻帆布)によれば、幅3cm当たり1000~2000N(100~200kgf)すなわち、幅1m当たり30kN~60kN(3~6tf)である。上記の水位差によりスカート部材50が受ける荷重は、上下の2辺で1.0 tf/m2×2.0m/2=1.0tf/mの水平力である。スカート部材50を構成する布がはらんで斜めに引張を受けることを考えても、一般的な帆布で負担できる。
一方、スカート部材50の通水性が高いと、上記の水位差による荷重は小さくなるが、濁水の土砂の細粒分が通過してしまい、洪水が治まった時に、基礎スラブ10に堆積してしまい、その除去作業が問題になるため、布の目はなるべく細かい方が好ましい。
上記の相反する要求性能を満足するスカート部材50に使用できる布としては、常時には地盤に埋設されることから耐腐食性も勘案すると、ポリエチレン製あるいはオレフィン系フラットヤーンクロス等の透水ネットが好適である。
浸水深が増加するときは、スカート部材50に通水抵抗があることから、外部の水深の方がスカート部材50の内側の水深よりも高くなるため、浮上に合わせ、スカート部材50の布は、基礎スラブ10と床スラブ20との間の床下空間側にはみ出す。一方、浸水が収まり、水Wが引くときには、当該床下空間の水位の方が外部よりも高くなるので、スカート部材50の布が、床下空間に挟まれることはない。このように、伸長と折り畳みが好適となる適度な通水抵抗をもった布をスカート部材50として選定することは容易である。
また、スカート部材50は、地表面下に埋設すれば、常時の建物40周辺の様子は通常の住宅と何ら異なることはなく、庭や駐車場などの利用に制限を受けるようなこともない。
本発明に係る構造物1にスカート部材50を用いることで、浸水により床スラブ20の下の空間に、細粒分などを含む濁水が入り込むが、床スラブ20が着座するにあたり、土砂や障害となるような大きさの異物となる漂流物が入り込むことがないので、浸水被害が収まった後の復旧が速やかである。
本発明に係る構造物1においては、建物40が支持されている床スラブ20と、基礎スラブ10との間の距離が、平時と水害時とで、変更することを想定しているものである。そこで、基礎スラブ10から床スラブ20へと渡され、さらに床スラブ20側を貫通して建物40内に引き込まれる配管などが、前記のような距離の変更に対応したものである必要がある。なお、図1等にこのような配管は図示していない。
床スラブ20側を貫通して建物40内に引き込まれる配管の例としては、上水道用配管、下水道用配管、電気配線用配管などを挙げることができる。これらの配管は、前記のような距離の変更に対応するために、少なくとも屈曲性を有するものであることが好ましい。
上水道用配管、電力の引き込みに用いられる電気配線用配管などは、フレキシブルなものは用いることができ、床スラブ20の浮上によっても引きちぎられないだけの長さの余裕をもたせ、基礎スラブ10にたるませておくなどで対処できる。このような対処のために配管・配線は、数m程度延長させればよく、延長分による、水道の圧力損失、或いは電圧の損失はほぼ無視することができるし、配管・配線部材のコスト上の問題もほぼ無視できる。
下水道用配管などの太径の配管の場合については上記のような対処ができない。そこで、以下に説明する下水道用配管80を用いることが好ましい。本発明においては、床スラブ20は直上に浮上し、そのまま直下に降下するため、下水道用配管80に角度変化機構を設けることで、床スラブ20の浮上・着座に伴って、損傷しない配管としている。
図6は基礎スラブ10と床スラブ20との間に設ける下水道用配管80の一例を示す図である。また、図7は下水道用配管80の伸縮を示す図であり、図7(A)は平時における下水道用配管80が縮んだ状態を示しており、図7(B)は床スラブ20の浮上に伴い下水道用配管80が伸びた状態を示している。
下水道用配管80を構成する部品には、一般的な塩化ビニル管を用いることができる。図において、下側固定管81は基礎スラブ10側に固定される配管であり、上側固定管84は床スラブ20側に固定される配管である。
下側固定管81は、継手部86を介して下側U字管82と接続されており、上側固定管84は、継手部86を介して上側U字管83と接続されている。また、下側U字管82と上側U字管83も継手部86を介して接続される。これら各管の接続により、下水道用配管80に角度変化機構を付与している。
また、継手部86中には、図示していないOリングが配されており、管内の下水が管外に漏出することを防止している。継手部86としては、一般的な塩化ビニル管の角度自在継手を用いることができる。なお、一般的な塩化ビニル管の角度自在継手は、±15°程度の角度変化が可能である。
以上に示すような、くの字状の角度変化機構を設けた下水道用配管80を採用することで、床スラブ20と基礎スラブ10との間の距離が、平時と水害時とで変更されても、下水道用配管80が損傷してしまうことがない。
以上のように、本発明に係る構造物1は、建物40を支持する床スラブ20が移動する際、基礎スラブ10に対して床スラブ20が直上下方向にのみ移動するように規制を行うリンク機構100を備えており、このような本発明に係る構造物1によれば、建物40は水平を保ったまま昇降するので、河川の氾濫や津波による水害に伴い、建物40内の備品が散乱してしまうようなことがない。
また、本発明に係る構造物1によれば、水害による水が引いた後には、建物40を支持する床スラブ20は、水害前の位置に戻る(着座)することが可能となる。
また、本発明に係る構造物1によれば、建物40は水害の際、直上・直下にのみ移動するので、建物40の周囲に配されている樹木や車両などの周辺物と衝突する可能性が極めて低い。
次に、本発明の他の実施形態に係る構造物1について説明する。図8は本発明の第2実施形態に係る構造物1を模式的に示す図である。また、図9は本発明の第2実施形態に係る構造物1周辺で水害が発生した時の様子を示す図である。以下、第2実施形態に係る構造物1が、第1実施形態に係る構造物1と相違する点についてのみ説明し、同様の構成については説明を省略する。
第2実施形態に係る構造物1においても、床スラブ20は、平面視で矩形板状の水平部22と、水平部22から下方に延出する壁部24とを有しているが、壁部24は水平部22の周縁でない位置から、下方に延出している点で、先の第1実施形態に係る構造物1と相違している。
床スラブ20における水平部22と壁部24の内側の空間は、先の実施形態と同様に空気だまり部25として利用される。第2実施形態に係る構造物1においても、基礎スラブ10と床スラブ20との間にリンク機構100を4つ設けるようにしており、4つのリンク機構100は、空気だまり部25として利用される空間に配されている。しかしながら、4つのリンク機構100を、26に示す壁部24の外側の空間に配するようにしてもよい。
また、先の第1実施形態に係る構造物1では、基礎スラブ10は水平部12のみから構成されていたが、第2実施形態に係る構造物1においては、基礎スラブ10は、平面視で矩形板状の水平部12と、この水平部12の周縁4辺から上方に延出する壁部14とを有している。第2実施形態に係る構造物1においては、基礎スラブ10側の壁部14と、床スラブ20側の壁部24とが互いに対向するように延出した構造となっている。
河川の氾濫や津波による水害時、図9に示すように水Wが、構造物1の周囲に発生し構造物1が浸水し、空気だまり部25に存在する空気による浮力で、床スラブ20と建物40とが浮上する。この場合、スカート部材50が存在するので、土砂が基礎スラブ10上に入り込むことは基本的に防止されている。第2実施形態に係る構造物1においては、基礎スラブ10側の壁部14と地盤面が接する構造となっており、この壁部14が障壁となるので基礎スラブ10上への土砂の入り込みを、より確実に防止することができる。
また、上記のような本発明の第2実施形態に係る構造物1によれば、先の第1実施形態に係る構造物1と同様の効果を享受することができる。
次に、本発明の他の実施形態に係る構造物1について説明する。浸水深が非常に深くなり、床スラブ20の浮上量が多くなると、リンク機構100においては、第1棹部材と第2棹部材が一直線状となる程度までに延びてしまうことがあり得る。このような場合、リンク機構100を構成するパーツが伸びて損傷し、リンク機構100が縮む際に、円滑に動作しない恐れがある。
上記のようなリンク機構100の損傷を防止に対応するために、リンク機構100の動作を規制する部材を適宜採用することも好ましい実施形態である。次に説明する第3実施形態に係る構造物1は、リンク機構100の中に、このようなリンク機構100の動作規制部材を設けた例である。
図10は本発明の第3実施形態に係る構造物1に用いられるリンク機構100を示す図である。図10(A)は平時においてリンク機構100が縮んだ状態を示している。これまでの実施形態と相違する点は、水平棹部材140の下方において、一対の第1棹部材110、110’のそれぞれの動作を規制する、ストッパーとして機能する一対の第1棹規制部材141、141’が設けられている点と、水平棹部材140の上方において、一対の第2棹部材120、120’のそれぞれの動作を規制する、ストッパーとして機能する一対の第2棹規制部材142、142’ が設けられている点である。
例えば、平鋼を加工した水平棹部材140に対して、各規制部材(141、141’、142、142’)を設けるには、各棹部材(110、110’、120、120’)と同じ程度の厚さを持つ板材を、隅肉溶接により接合することで、これを行うことができる。
図10(B)は床スラブ20の浮上に伴いリンク機構100が伸びた状態を示している。リンク機構100においては、一対の第1棹部材110、110’は、一対の第1棹規制部材141、141’に当接することで、また、一対の第2棹部材120、120’は、一対の第2棹規制部材142、142’に当接することで、所定量以上の伸び動作が制限される。
以上のような第3実施形態に係る構造物1は、リンク機構100の動作を規制する規制部材(141、141’、142、142’)が水平棹部材140に設けられており、このような第3実施形態に係る構造物1によれば、浸水深が非常に深くなり床スラブ20の浮上量が多くなったとしても、リンク機構100の伸び量を抑制することができ、リンク機構100自体の損傷を防止し、リンク機構100が縮む際も、円滑に動作する。
次に、本発明の他の実施形態に係る構造物1について説明する。第3実施形態に係る構造物1においては、リンク機構100の動作を規制する部材が、リンク機構100自体に設けられていた。一方、第3実施形態に係る構造物1においては、リンク機構100の動作を規制する部材は、リンク機構100外の箇所に設けられている。以下、このような第4実施形態について説明する。
図11は本発明の第4実施形態に係る構造物1の一部を示す図である。第4実施形態に係る構造物1においては、基礎スラブ10と、床スラブ20とを、長さがそろった複数のワイヤ部材で予め連結した構造を採用している。このワイヤ部材は、平時には基礎スラブ10上にたるんだ状態で配されているが、水害時、床スラブ20が浮上すると、床スラブ20は、基礎スラブ10からワイヤ部材で規制されているので、予め規定される距離より離れることがなく、これによりリンク機構100が保護される。以下、このようなワイヤ部材として、玉掛けワイヤ180を用いた具体的な構成について説明する。しかしながら、本発明が、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
図11(A)はリンク機構100が縮んでいる平時の様子を示している。また、図11(B)は床スラブ20の浮上に伴いリンク機構100が伸びた状態を示しており、このとき、床スラブ20と基礎スラブ10との間の玉掛けワイヤ180にテンションがかかり、床スラブ20が基礎スラブ10から、規定される距離より離れないようになっている。これにより、リンク機構100はその損傷から免れることができる。
このような構造物1を構成するために、基礎スラブ10及び床スラブ20には、インサート170を埋設しておくようにする。次に、埋設されたインサート170には、アイボルト173を螺合されて、これを基礎スラブ10及び床スラブ20に対して固定する。
基礎スラブ10に固定されたアイボルト173と、床スラブ20に基礎スラブ10に固定されたアイボルト173とには、それぞれシャックル176を取り付けて、これらシャックル176の間に玉掛けワイヤ180を装着して、床スラブ20と基礎スラブ10とを結合する。
なお、第4実施形態に係る構造物1においては、インサート170、シャックル176、玉掛けワイヤ180は太さなどの寸法に応じ許容荷重が定められており、リンク機構が伸び切った状態からの浸水深に対して計算される浮力に応じ、玉掛けワイヤ180の本数、あるいは、太さなどを適宜選定すればよい。
また、玉掛けワイヤ180の長さは、図11(B)に示すように、リンク機構100を構成する各棹部材で形成される平行四辺形が長方形になる直前の状態に応じた長さを選定すればよい。
また、インサート170には種々の形式があり、本発明が、図11に示したものに限定されるものではない。
また、第4実施形態に係る構造物1の施工手順としては、基礎スラブ施工(インサート埋設)、床スラブ施工(インサート埋設)、建物施工、床下空間にてワイヤ部材の取付けといった通常の施工手順で施工できる。
以上のような構成によれば、浸水深が非常に深くなり床スラブ20の浮上量が多くなったとしても、リンク機構100の伸び量を抑制することができ、リンク機構100自体の損傷を防止し、リンク機構100が縮む際も、円滑に動作する。なお、リンク機構100の伸び量を抑制する構成として、第3実施形態に係る構成と、第4実施形態に係る構成とを併用する構成とすることもできる。
以上、本発明に係る構造物1は、建物40を支持する床スラブが移動する際、基礎スラブ10に対して床スラブ20が直上下方向にのみ移動するように規制を行うリンク機構100を備えており、このような本発明に係る構造物1によれば、建物40は水平を保ったまま昇降するので、河川の氾濫や津波による水害に伴い、建物40内の備品が散乱してしまうようなことがない。
また、本発明に係る構造物1によれば、水害による水が引いた後には、建物40を支持する床スラブ20は、水害前の位置に戻る(着座)することが可能となる。
また、本発明に係る構造物1によれば、建物40は水害の際、直上・直下にのみ移動するので、建物40の周囲に配されている樹木や車両などの周辺物と衝突する可能性が極めて低い。
1・・・構造物
10・・・基礎スラブ
12・・・水平部
14・・・壁部
20・・・床スラブ
22・・・水平部
24・・・壁部
25・・・空気だまり部
40・・・建物
50・・・スカート部材
80・・・下水道用配管
81・・・下側固定管
82・・・下側U字管
83・・・上側U字管
84・・・上側固定管
86・・・継手部
100・・・リンク機構
103、103’・・・基礎スラブ固定金具
105・・・接地部
106・・・立設部
107・・・貫通孔
110、110’・・・第1棹部材
117・・・貫通孔
120、120’・・・第2棹部材
127・・・貫通孔
130、130’・・・床スラブ側固定金具
140・・・水平棹部材
141、141’・・・第1棹規制部材
142、142’・・・第2棹規制部材
147・・・貫通孔
151、151’・・・第1支軸部
152、152’・・・第2支軸部
153、153’・・・第3支軸部
162・・・ボルト
166・・・ナット
170・・・インサート
173・・・アイボルト
176・・・シャックル
180・・・玉掛けワイヤ
G・・・地盤
W・・・水

Claims (10)

  1. 地盤に埋設される基礎スラブと、
    前記基礎スラブの鉛直上方に配され、建物を支持する床スラブと、
    前記基礎スラブと前記床スラブとの間の空間に配され、前記床スラブが移動する際、前記基礎スラブに対して前記床スラブが直上下方向にのみ移動するように規制を行うリンク機構と、
    を含み、
    前記基礎スラブと前記床スラブとの間の空間の外周を覆うスカート部材を有し、
    前記スカート部材が前記基礎スラブと前記床スラブのそれぞれに固定されることを特徴とする構造物。
  2. 前記リンク機構が、
    前記基礎スラブに固定される一対の基礎スラブ固定金具と、
    前記一対の基礎スラブ固定金具それぞれに対して一対の第1支軸部を中心として回動可能に配される一対の第1棹部材と、
    前記一対の第1棹部材それぞれに対して一対の第2支軸部を中心として回動可能に配される一対の第2棹部材と、
    前記一対の第2棹部材それぞれに対して一対の第3支軸部を中心として回動可能に配され、前記床スラブに固定される一対の床スラブ側固定金具と、
    前記一対の第2支軸部との間に配される水平棹部材と、からなることを特徴とする請求項1に記載の構造物。
  3. 長手方向が互いに直交する前記リンク機構が2つ以上配されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の構造物。
  4. 前記スカート部材は蛇腹構造であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の構造物。
  5. 前記スカート部材が地盤内に埋設されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の構造物。
  6. 前記床スラブは、水平部と、前記水平部から下方に延出する壁部を有しており、前記水平部と前記壁部で空気だまり部を形成することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の構造物。
  7. 前記床スラブを貫通する配管を有しており、前記配管は屈曲性を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の構造物。
  8. 前記配管が、上水道用配管、下水道用配管、電気配線用配管のいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の構造物。
  9. 前記リンク機構の動作を規制する部材が設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の構造物。
  10. 前記スカート部材は通水性を有することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の構造物。
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