JP7495846B2 - 制御装置及び制御方法 - Google Patents
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Description
また、電動車両に限らず、他の製品においても回路部品から発熱する熱源の温度を精度良く推定することが求められることは多い。
前記回路に電流を供給する電流源と、
前記回路及び前記電流源を制御する制御部と、
前記回路で発熱する熱源の近傍の温度を検出する温度検出部と、
前記回路から出力される電流値及び前記回路から出力される電流の周波数の組み合わせと、前記熱源の熱が飽和する最大の温度である飽和温度と、を関連付けた飽和温度情報テーブルを記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、
前記回路から出力される電流値を取得するとともに、前記回路から出力される電流の周波数を取得し、
前記温度検出部が検出した実温度を取得し、
前記電流値、前記周波数、前記記憶部に記憶された前記飽和温度情報テーブル、及び、前記実温度を用いて制御用推定温度を算出し、
前記制御用推定温度に基づいて、前記回路から出力される電力を制御する
ことを特徴とする制御装置。
[2]前記制御部は、
前記回路から出力される電流値を取得するとともに、前記回路から出力される電流の周波数を取得した後に、
前記飽和温度情報テーブルを参照して、前記電流値と前記周波数との組み合わせに対応する、前記熱源の現在の飽和温度を算出するa工程と、
前記現在の飽和温度と第1係数を用いることで、前記熱源の温度を推定した現在推定熱源温度を算出するc工程と、
前記現在推定熱源温度と第2係数を用いることで、前記熱源の近傍の温度を推定した現在推定検出部温度を算出するe工程と、
前記温度検出部が検出した実温度を取得するf工程と、
前記現在推定検出部温度から前記実温度を減算することで、温度差分を算出するg工程と、
前記温度差分に予め設定された温度補正係数を乗算することで、温度補正値を算出するh工程と、
前記現在推定熱源温度に前記温度補正値を加算することで、制御用推定温度を算出するi工程と、
前記制御用推定温度に基づいて、前記回路から出力される電力を制御するj工程と、を実行する機能を備える
ことを特徴とする上記[1]に記載の制御装置。
[3]前記c工程の前記現在推定熱源温度は、
前記現在の飽和温度が過去推定熱源温度以上である場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が第1P閾値以上である場合は、前記第1係数を第1P係数とし、下記式31で算出され、
前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度以上である場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が前記第1P閾値未満である場合は、前記第1係数を前記第1P係数より小さい第2P係数とし、下記式32で算出され、
前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度より低い場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が第1N閾値以下である場合は、前記第1係数を第1N係数とし、下記式33で算出され、
前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度より低い場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が前記第1N閾値より大きい場合は、前記第1係数を前記第1N係数より小さい第2N係数とし、下記式34で算出され、
前記過去推定熱源温度は、第1の時間前に現在推定熱源温度の算出方法と同様の算出方法で算出された温度であり、
前記e工程の前記現在推定検出部温度は、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度より高い場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2P閾値以上である場合は、前記第2係数を第3P係数とし、下記式41で算出され、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度より高い場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が前記第2P閾値未満である場合は、前記第2係数を前記第3P係数より小さい第4P係数とし、下記式42で算出され、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度以下である場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2N閾値以下である場合は、前記第2係数を第3N係数とし、下記式43で算出され、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度以下である場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2N閾値より大きい場合は、前記第2係数を前記第3N係数より小さい前記第4N係数とし、下記式44で算出され、
前記過去推定検出部温度は、前記第1の時間前に現在推定検出部温度の算出方法と同様の算出方法で算出された温度である
ことを特徴とする上記[2]に記載の制御装置。
現在推定熱源温度 = 第1P係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式31)
現在推定熱源温度 = 第2P係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式32)
現在推定熱源温度 = 第1N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式33)
現在推定熱源温度 = 第2N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式34)
現在推定検出部温度 =第3P係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式41)
現在推定検出部温度 =第4P係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式42)
現在推定検出部温度 =第3N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式43)
現在推定検出部温度 =第4N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式44)
前記f工程、前記g工程及び前記h工程は、前記第1の時間より長い第2の時間毎に繰り返す
ことを特徴とする上記[2]又は[3]に記載の制御装置。
ことを特徴とする上記[2]から[4]のいずれか一項に記載の制御装置。
ことを特徴とする上記[1]から[5]のいずれか一項に記載の制御装置。
前記第2係数は、前記熱源から前記サーミスタへの熱伝導の時間変化の一次遅れの関係に基づき且つ前記第1係数と異なる時定数である
ことを特徴とする上記[2]から[5]のいずれか一項に記載の制御装置。
ことを特徴とする上記[6]又は[7]に記載の制御装置。
ことを特徴とする上記[1]から[8]のいずれか一項に記載の制御装置。
前記回路から出力される電流値及び前記回路から出力される電流の周波数の組み合わせと、前記回路で発熱する熱源の熱が飽和する最大の温度である飽和温度と、を関連付けた飽和温度情報テーブルを用意し、
前記回路から出力される電流値を取得するとともに、前記回路から出力される電流の周波数を取得し、
前記回路で発熱する熱源の近傍に配置された温度検出部が検出した実温度を取得し、
前記電流値、前記周波数、前記飽和温度情報テーブル、及び、前記実温度を用いて制御用推定温度を算出し、
前記制御用推定温度に基づいて、前記回路から出力される電力を制御する
ことを特徴とする制御方法。
[11]前記回路から出力される電流値を取得するとともに、前記回路から出力される電流の周波数を取得した後に、
前記飽和温度情報テーブルを参照して、前記電流値と前記周波数との組み合わせに対応する、前記熱源の現在の飽和温度を算出するa工程と、
前記現在の飽和温度と第1係数を用いることで、前記熱源の温度を推定した現在推定熱源温度を算出するc工程と、
前記現在推定熱源温度と第2係数を用いることで、前記熱源の近傍の温度を推定した現在推定検出部温度を算出するe工程と、
前記温度検出部が検出した実温度を取得するf工程と、
前記現在推定検出部温度から前記実温度を減算することで、温度差分を算出するg工程と、
前記温度差分に予め設定された温度補正係数を乗算することで、温度補正値を算出するh工程と、
前記現在推定熱源温度に前記温度補正値を加算することで、制御用推定温度を算出するi工程と、
前記制御用推定温度に基づいて、前記回路から出力される電力を制御するj工程と、を備える
ことを特徴とする上記[10]に記載の制御方法。
[12]前記c工程の前記現在推定熱源温度は、
前記現在の飽和温度が過去推定熱源温度以上である場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が第1P閾値以上である場合は、前記第1係数を第1P係数とし、下記式31で算出され、
前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度以上である場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が前記第1P閾値未満である場合は、前記第1係数を前記第1P係数より小さい第2P係数とし、下記式32で算出され、
前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度より低い場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が第1N閾値以下である場合は、前記第1係数を第1N係数とし、下記式33で算出され、
前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度より低い場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が前記第1N閾値より大きい場合は、前記第1係数を前記第1N係数より小さい第2N係数とし、下記式34で算出され、
前記過去推定熱源温度は、第1の時間前に現在推定熱源温度の算出方法と同様の算出方法で算出された温度であり、
前記e工程の前記現在推定検出部温度は、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度より高い場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2P閾値以上である場合は、前記第2係数を第3P係数とし、下記式41で算出され、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度より高い場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が前記第2P閾値未満である場合は、前記第2係数を前記第3P係数より小さい第4P係数とし、下記式42で算出され、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度以下である場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2N閾値以下である場合は、前記第2係数を第3N係数とし、下記式43で算出され、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度以下である場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2N閾値より大きい場合は、前記第2係数を前記第3N係数より小さい前記第4N係数とし、下記式44で算出され、
前記過去推定検出部温度は、前記第1の時間前に現在推定検出部温度の算出方法と同様の算出方法で算出された温度である
ことを特徴とする上記[11]に記載の制御方法。
現在推定熱源温度 = 第1P係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式31)
現在推定熱源温度 = 第2P係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式32)
現在推定熱源温度 = 第1N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式33)
現在推定熱源温度 = 第2N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式34)
現在推定検出部温度 =第3P係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式41)
現在推定検出部温度 =第4P係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式42)
現在推定検出部温度 =第3N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式43)
現在推定検出部温度 =第4N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式44)
前記f工程、前記g工程及び前記h工程は、前記第1の時間より長い第2の時間毎に繰り返す
ことを特徴とする上記[11]又は[12]に記載の制御方法。
図1は、本発明の一態様に係る制御装置を示す模式図である。図2は、図1に示す筐体30を示す図である。
図1の制御部10は、回路12及び電流源2を以下のように制御する。
制御部10は、回路12から出力される電流値を取得するとともに、回路12から出力される電流の周波数を取得し、温度検出部11が検出した実温度を取得し、前記電流値、前記周波数、記憶部20に記憶された前記飽和温度情報テーブル、及び、前記実温度を用いて制御用推定温度を算出し、前記制御用推定温度に基づいて、回路12から出力される電力を制御する。飽和温度情報テーブルを用いることで、より正確な制御用推定温度を算出することが可能となる。
以下に詳細に説明する。
なお、この第1係数は、例えば、0より大きく且つ1より小さい値である。この第1係数によって現在の飽和温度に対する一次遅れを補正することができる。
まず、第1係数について以下に詳細に説明する。図4は、一定の電流で回路から電力を出力させて熱源の温度が上昇する場合の通電時間と熱源の温度との関係を示す図である。図5は、一定の電流で回路から電力を出力させても熱源の温度が下降する場合の通電時間と熱源の温度との関係を示す図である。
(現在の飽和温度 -過去推定熱源温度)≧ 0 ・・・(式a)
なお、過去推定熱源温度は、前記第1の時間前に、現在推定熱源温度の算出方法と同様の方法で算出された温度である。また、過去推定熱源温度が算出されていない場合はサーミスタSで検出した実サーミスタ温度を用いてもよい。
(現在の飽和温度 -過去推定熱源温度) ≧ P傾き閾値 ・・・(式b)
(i) 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて急激に上昇する場合(図4に示す符号81)であり、第1係数としてP係数(急)を使用する。このP係数(急)は例えば0.05である。このP係数(急)は、第1P係数ともいう。
(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)< P傾き閾値 ・・・(式c)
(ii) 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて緩やかに上昇する場合(図4に示す符号82)であり、第1係数としてP係数(緩)を使用する。このP係数(緩)は例えば0.03である。このP係数(緩)は、P係数(急)より小さく、第2P係数ともいう
(現在の飽和温度 -過去推定熱源温度)< 0 ・・・(式d)
第1係数が負(N)となる場合で、現在の飽和温度と過去推定熱源温度との温度差がN傾き閾値(第1N閾値;例えば-30℃)以下である以下の(式e)の場合は熱源の温度下降が急激である以下の(iii)と判断する。
(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度) ≦ N傾き閾値 ・・・(式e)
(iii) 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて急激に下降する場合(図5に示す符号83)であり、第1係数としてN係数(急)を使用する。このN係数(急)は例えば0.06である。このN係数(急)は、第1N係数ともいう。
(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度) > N傾き閾値 ・・・(式f)
(iv) 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて緩やかに下降する場合(図5に示す符号84)であり、第1係数としてN係数(緩)を使用する。このN係数(緩)は例えば0.04である。なお、N係数(緩)は、N係数(急)より小さく、第2N係数ともいう。
なお、第1係数は時定数であるため、温度が上昇する場合も下降する場合も係数は複雑なものとなるが、時定数を上記の4つの場合に近似することで、計算負荷を減らすことができるとともに熱源の温度推定の精度を高めることができる。
現在推定熱源温度 = 第1係数(P係数(急)、P係数(緩)、N係数(急)、N係数(緩)のいずれか)×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式3)
(i)現在の飽和温度が過去推定熱源温度以上である場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が第1P閾値以上である場合は、前記第1係数を第1P係数とし、下記式31で算出される。
現在推定熱源温度 = 第1P係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式31)
現在推定熱源温度 = 第2P係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式32)
現在推定熱源温度 = 第1N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式33)
(iv)前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度より低い場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が前記第1N閾値より大きい場合は、前記第1係数を前記第1N係数より小さい第2N係数とし、下記式34で算出される。
現在推定熱源温度 = 第2N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式34)
なお、現在推定サーミスタ温度は、現在推定検出部温度ともいう。
また、この第2係数は、例えば、0より大きく且つ1より小さい値である。この第2係数によって熱源12aからサーミスタ11への熱伝導の時間変化の一次遅れを補正することができる。
(d工程)上記(式3)で算出した現在推定熱源温度と第1の時間(例えば10ms)前(1回前)に算出した過去推定サーミスタ温度を比較する。このとき、現在推定熱源温度が過去推定サーミスタ温度より高い以下の(式g)の場合はサーミスタの温度が上昇するものと判断する。このときの第2係数は正(P)となる。
(現在推定熱源温度 -過去推定サーミスタ温度)≧ 0 ・・・(式g)
なお、過去推定サーミスタ温度は、前記第1の時間前に、現在推定サーミスタ温度の算出方法と同様の方法で算出された温度である。また、過去推定サーミスタ温度が算出されていない場合はサーミスタSで検出した実サーミスタ温度を用いてもよい。
(現在推定熱源温度 -過去推定サーミスタ温度) ≧ P傾き閾値 ・・・(式h)
(i)サーミスタの温度が急激に上昇する場合であり、第2係数としてP係数(急)を使用する。このP係数(急)は例えば0.03である。このP係数(急)は、第3P係数ともいう。
(現在推定熱源温度 -過去推定サーミスタ温度)< P傾き閾値・・・(式i)
(ii) サーミスタの温度が緩やかに上昇する場合であり、第2係数としてP係数(緩)を使用する。このP係数(緩)は例えば0.02である。このP係数(緩)は、P係数(急)より小さく、第4P係数ともいう。
(現在推定熱源温度 -過去推定サーミスタ温度)< 0 ・・・(式j)
第2係数が負(N)となる場合で、現在推定熱源温度と過去推定サーミスタ温度との温度差がN傾き閾値(第2N閾値;例えば-10℃)以下である以下の(式k)の場合はサーミスタの温度下降が急激である以下の(iii)と判断する。
(現在推定熱源温度 -過去推定サーミスタ温度) ≦ N傾き閾値・・・(式k)
(iii) サーミスタの温度が急激に下降する場合であり、第2係数としてN係数(急)を使用する。このN係数(急)は例えば0.02である。N係数(急)は、第3N係数ともいう。
(現在推定熱源温度 -過去推定サーミスタ温度) > N傾き閾値・・・(式m)
(iv) サーミスタの温度が緩やかに下降する場合であり、第2係数としてN係数(緩)を使用する。このN係数(緩)は例えば0.01である。N係数(緩)は、第3N係数より小さく、第4N係数ともいう。
なお、第2係数は時定数であるため、温度が上昇する場合も下降する場合も係数は複雑なものとなるが、時定数を上記の4つの場合に近似することで、計算負荷を減らすことができるとともに熱源の温度推定の精度を高めることができる。
現在推定サーミスタ温度 = 第2係数(P係数(急)、P係数(緩)、N係数(急)、N係数(緩)のいずれか) ×(現在推定熱源温度 - 過去推定サーミスタ温度)+過去推定サーミスタ温度・・・(式4)
(i)前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度より高い場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2P閾値以上である場合は、前記第2係数を第3P係数とし、下記式41で算出される。
現在推定検出部温度 =第3P係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式41)
現在推定検出部温度 =第4P係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式42)
現在推定検出部温度 =第3N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式43)
現在推定検出部温度 =第4N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式44)
現在推定サーミスタ温度-実サーミスタ温度=温度差分 ・・・(式5)
なお、実サーミスタ温度は、実温度ともいう。
温度差分×温度補正係数=温度補正値 ・・・(式6)
なお、温度補正係数は、温度検出部(例えばサーミスタ)の種類や個体のバラツキから温度差分を制御用推定温度に反映させる割合である。
現在推定熱源温度+温度補正値=制御用推定温度 ・・・(式7)
また、第1の時間毎(例えば10ms毎)に得られた制御用推定温度及び計算過程の現在推定熱源温度は記憶部に記憶され、第2の時間毎(例えば100ms毎)に得られた温度補正値及び計算過程の現在推定サーミスタ温度は記憶部に記憶される。また、第1の時間毎に得られた現在の飽和温度も記憶部に記憶されてもよいし、第2の時間毎に得られた実温度も記憶部に記憶されてもよい。
10 制御部
11 温度検出部
12 回路
12a 熱源
20 記憶部
30 筐体
41~50 矢印
61 回路から出力される電流の電流値
62 サーミスタが検出した実サーミスタ温度
63 熱源の実際の温度
64 熱源の飽和温度
65 現在の飽和温度に対する一次遅れの関係
66 熱源からサーミスタへの熱伝導の時間変化の一次遅れの関係
81 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて急激に上昇する場合
82 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて緩やかに上昇する場合
83 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて急激に下降する場合
84 熱源の温度が現在の飽和温度に向けて緩やかに下降する場合
Claims (10)
- 発熱する回路と、
前記回路に電流を供給する電流源と、
前記回路及び前記電流源を制御する制御部と、
前記回路で発熱する熱源の近傍の温度を検出する温度検出部と、
前記回路から出力される電流値及び前記回路から出力される電流の周波数の組み合わせと、前記熱源の熱が飽和する最大の温度である飽和温度と、を関連付けた飽和温度情報テーブルを記憶する記憶部と、を備え、
前記制御部は、
前記回路から出力される電流値を取得するとともに、前記回路から出力される電流の周波数を取得し、
前記温度検出部が検出した実温度を取得し、
前記電流値、前記周波数、前記記憶部に記憶された前記飽和温度情報テーブル、及び、前記実温度を用いて制御用推定温度を算出し、
前記制御用推定温度に基づいて、前記回路から出力される電力を制御する
ことを特徴とする制御装置。 - 前記制御部は、
前記回路から出力される電流値を取得するとともに、前記回路から出力される電流の周波数を取得した後に、
前記飽和温度情報テーブルを参照して、前記電流値と前記周波数との組み合わせに対応する、前記熱源の現在の飽和温度を算出するa工程と、
前記現在の飽和温度と第1係数を用いることで、前記熱源の温度を推定した現在推定熱源温度を算出するc工程と、
前記現在推定熱源温度と第2係数を用いることで、前記熱源の近傍の温度を推定した現在推定検出部温度を算出するe工程と、
前記温度検出部が検出した実温度を取得するf工程と、
前記現在推定検出部温度から前記実温度を減算することで、温度差分を算出するg工程と、
前記温度差分に予め設定された温度補正係数を乗算することで、温度補正値を算出するh工程と、
前記現在推定熱源温度に前記温度補正値を加算することで、制御用推定温度を算出するi工程と、
前記制御用推定温度に基づいて、前記回路から出力される電力を制御するj工程と、を実行する機能を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。 - 前記c工程の前記現在推定熱源温度は、
前記現在の飽和温度が過去推定熱源温度以上である場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が第1P閾値以上である場合は、前記第1係数を第1P係数とし、下記式31で算出され、
前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度以上である場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が前記第1P閾値未満である場合は、前記第1係数を前記第1P係数より小さい第2P係数とし、下記式32で算出され、
前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度より低い場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が第1N閾値以下である場合は、前記第1係数を第1N係数とし、下記式33で算出され、
前記現在の飽和温度が前記過去推定熱源温度より低い場合で、かつ、前記現在の飽和温度から前記過去推定熱源温度を減算した温度差が前記第1N閾値より大きい場合は、前記第1係数を前記第1N係数より小さい第2N係数とし、下記式34で算出され、
前記過去推定熱源温度は、第1の時間前に現在推定熱源温度の算出方法と同様の算出方法で算出された温度であり、
前記e工程の前記現在推定検出部温度は、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度より高い場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2P閾値以上である場合は、前記第2係数を第3P係数とし、下記式41で算出され、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度より高い場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が前記第2P閾値未満である場合は、前記第2係数を前記第3P係数より小さい第4P係数とし、下記式42で算出され、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度以下である場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2N閾値以下である場合は、前記第2係数を第3N係数とし、下記式43で算出され、
前記現在推定熱源温度が過去推定検出部温度以下である場合で、かつ、前記現在推定熱源温度から前記過去推定検出部温度を減算した温度差が第2N閾値より大きい場合は、前記第2係数を前記第3N係数より小さい第4N係数とし、下記式44で算出され、
前記過去推定検出部温度は、前記第1の時間前に現在推定検出部温度の算出方法と同様の算出方法で算出された温度である
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
現在推定熱源温度 = 第1P係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式31)
現在推定熱源温度 = 第2P係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式32)
現在推定熱源温度 = 第1N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式33)
現在推定熱源温度 = 第2N係数 ×(現在の飽和温度 - 過去推定熱源温度)+過去推定熱源温度 ・・・(式34)
現在推定検出部温度 =第3P係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式41)
現在推定検出部温度 =第4P係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式42)
現在推定検出部温度 =第3N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式43)
現在推定検出部温度 =第4N係数 ×(現在推定熱源温度 - 過去推定検出部温度)+過去推定検出部温度・・・(式44) - 前記a工程、前記c工程、前記e工程及び前記i工程は、前記第1の時間毎に繰り返し、
前記f工程、前記g工程及び前記h工程は、前記第1の時間より長い第2の時間毎に繰り返す
ことを特徴とする請求項3に記載の制御装置。 - 前記第1係数は、0より大きく且つ1より小さい値であり、前記第2係数は、0より大きく且つ1より小さい値である
ことを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の制御装置。 - 前記回路から出力される電流値及び前記回路から出力される電流の周波数の組み合わせは、予め設定された回路動作期間だけ連続して前記回路を動作させたときにおける、前記回路から出力される電流値及び前記回路から出力される電流の周波数の組み合わせである
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の制御装置。 - 前記第1係数は、前記現在の飽和温度に対する前記熱源の温度の時間変化の一次遅れの関係に基づいた時定数であり、
前記第2係数は、前記熱源からサーミスタへの熱伝導の時間変化の一次遅れの関係に基づき且つ前記第1係数と異なる時定数である
ことを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の制御装置。 - 前記飽和温度は、少なくとも前記回路動作期間において、前記制御部が前記回路から所定電力を連続して出力するように前記回路を制御することで、飽和する前記熱源の温度である
ことを特徴とする請求項6に記載の制御装置。 - 前記温度検出部は、前記熱源の近傍に配置されている
ことを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の制御装置。 - 電流源から電流を供給する回路を制御する方法において、
前記回路から出力される電流値及び前記回路から出力される電流の周波数の組み合わせと、前記回路で発熱する熱源の熱が飽和する最大の温度である飽和温度と、を関連付けた飽和温度情報テーブルを用意し、
前記回路から出力される電流値を取得するとともに、前記回路から出力される電流の周波数を取得し、
前記回路で発熱する熱源の近傍に配置された温度検出部が検出した実温度を取得し、
前記電流値、前記周波数、前記飽和温度情報テーブル、及び、前記実温度を用いて制御用推定温度を算出し、
前記制御用推定温度に基づいて、前記回路から出力される電力を制御する
ことを特徴とする制御方法。
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