JP7495342B2 - 外科用バー - Google Patents
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Description
このような外科用バーは、例えば、整形外科手術、神経外科手術、脊椎外科手術及び喉外科手術、等の各種の手術、又は組織の一部を選択的に除去する術式に用いられている。
回転軸線を中心に回転される軸部と、前記軸部の先端に設けられたボール状の切削部と、を有する外科用バーであって、
前記切削部は、
当該切削部の軸方向先端側に設けられ、ダイヤモンド砥粒が付着した砥粒部と、当該砥粒部から前記切削部の軸方向後端側に向けて形成された切刃部と、
を備え、
前記切刃部の軸方向先端側の部位は、
前記回転軸線に垂直な面に沿って形成される平坦面と、
前記平坦面の平面視中心部において、前記平坦面から軸方向外側へ突出する突起と、
を有し、
前記砥粒部は、前記平坦面及び前記突起の表面上に前記ダイヤモンド砥粒が付着されてなる、
外科用バー。
ここでは、本発明に係る外科用バーを用いる医療機器として、骨手術器械である外科手術システムを例示するが、これに限らず歯科用等の他の用途の医療機器であってもよい。
図1は、外科手術システム100の概略構成図である。
外科手術システム100は、コントロールユニット101と、ハンドピース103と、ハンドピース103をコントロールユニット101に接続する接続ケーブル105と、フットスイッチ107と、を含んで構成される。
図2は、外科用バー10の構成図である。
外科用バー10は、回転軸線Lに沿った棒状の軸部13と、軸部13の一方の先端に設けられたボール状の切削部11とを有する。ここでいうボール状とは、外科用バー10を、回転軸線Lを中心に回転させた場合に、切削部11に形成される刃先を包絡した曲面の形状が、回転軸線Lを中心とする球又は回転楕円体の表面形状を含むことを意味する。
この外科用バー10は、ステンレス鋼、超硬合金(タングステンカーバイド)等の硬質材料によって形成される。軸部13の切削部11と反対側の基端には、ハンドピース103の回転軸に固定される接続部15が設けられる。回転軸に固定された外科用バー10は、ハンドピース103の回転駆動によって切削部11と軸部13とが回転軸線を中心に回転される。
次に、切削部11の構成について説明を行う。
以下の説明では、外科用バー10の切削部11は、軸部13との接続部を軸方向後端、この接続部側を後端側といい、軸部13とは反対側の端部を先端又は軸方向先端、この端部側を先端側という。また、軸部13の軸方向をX方向、X方向に直交する方向をY方向、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。そして、同一の部材又は同一の部位に対しては、同一の符号を付与することで、その説明を省略、又は簡単にする。
図3、図4、図5に示すように、切削部11は、軸方向先端側にダイヤモンド砥粒が付着した砥粒部11Aと、砥粒部11Aから切削部11の軸方向後端側に向けて形成された切刃部11Bとを備える。
次に砥粒部11Aについて説明する。
図6、図7、図8は、砥粒部11Aにダイヤモンド砥粒Dを付着させる前の状態の切削部11の斜視図、正面図、側面図である。図6、図7、図8のそれぞれは、ダイヤモンド砥粒Dを付着させた状態の図3、図4、図5に対応している。
ダイヤモンド砥粒Dを付着させる前の切削部11は、図6、図7、図8に示す形状に加工がされている。すなわち、切削部11は、図6に示すように、切刃部11Bよりも先端側の部位が、平坦面16と突起17とを有するように加工されている。
次に切刃部11Bについて説明する。
図7は、外科用バー10の切刃部11Bの正面図である。
図7に示すように、切刃部11Bには、外科用バー10の先端側の正面から見て、回転軸線Lを中心として時計回りに第1切削刃BL1、第2切削刃BL2、第3切削刃BL3、第4切削刃BL4の4枚の切削刃が、それぞれ異なる周方向位置に、この順で形成されている。切削時には、切削部11は、外科用バー10の軸方向先端側から見たとき、回転方向Rに対応して反時計回りに回転し、4枚の切削刃が切削に寄与する。
図8に示すように、4枚の切削刃は、回転軸線Lを中心として、切刃部11Bの基端側に向けたねじれに沿って軸部13に向けて延びている。
図6、図7、図8に示す4枚の切削刃の構成は、次のとおりであり、各面の詳細については後述する。
第1切削刃BL1は、第1の外周刃BL1Bを有する。
第2切削刃BL2は、第2の外周刃BL2Bを有する。
第3切削刃BL3は、第3の外周刃BL3Bを有する。
第4切削刃BL4は、第4の外周刃BL4Bを有する。
第1の外周刃BL1Bは、第4のリードギャッシュB4と第4の主溝H4をすくい面とし、第1の外周2番E1を逃げ面として形成される。また、第1の外周2番E1に続く逃げ面として、第1の外周3番F1、第1の背溝I1を有する。
第2の外周刃BL2Bは、第1のリードギャッシュB1と第1の主溝H1をすくい面とし、第2の外周2番E2を逃げ面として形成される。また、第2の外周2番E2に続く逃げ面として、第2の外周3番F2、第2の背溝I2を有する。
第3の外周刃BL3Bは、第2のリードギャッシュB2と第2の主溝H2をすくい面とし、第3の外周2番E3を逃げ面として形成される。また、第3の外周2番E3に続く逃げ面として、第3の外周3番F3、第3の背溝I3を有する。
第4の外周刃BL4Bは、第3のリードギャッシュB3と第3の主溝H3をすくい面とし、第4の外周2番E4を逃げ面として形成される。また、第4の外周2番E2に続く逃げ面として、第4の外周3番F4、第4の背溝I4を有する。
第1切削刃BL1は、前述した第1の外周刃BL1Bを備える。第1の外周刃BL1Bは、平坦面16の所定の位置から、切削部11のボール状の外周に沿って、軸方向後端に向けてねじれながら延びている。第2切削刃BL2は、前述した第2の外周刃BL2Bを備える。第2の外周刃BL2Bは、平坦面16の所定の位置から、切削部11のボール状の外周に沿って、軸方向後端に向けてねじれながら延びている。
ここで、再び図7を参照する。第1の外周刃BL1Bは、主に第4のリードギャッシュB4と、すくい面となる第4の主溝H4と、逃げ面となる第1の外周2番E1とにより形成される。
第2の外周刃BL2Bは、主に第1のリードギャッシュB1と、すくい面となる第1の主溝H1と、逃げ面となる第2の外周2番E2とにより形成される。
第3の外周刃BL3Bは、主に第2のリードギャッシュB2と、すくい面となる第2の主溝H2と、逃げ面となる第3の外周2番E3とにより形成される。
第4の外周刃BL4Bは、主に第3のリードギャッシュB3と、すくい面となる第3の主溝H3と、逃げ面となる第4の外周2番E4とにより形成される。
同様に、第2の外周刃BL2Bのすくい面は、第1のリードギャッシュB1と第1の主溝H1である。また、第2の外周刃BL2Bの外周逃げ面は、第2の外周2番E2と、第2の外周3番F2である。
同様に、第3の外周刃BL3Bのすくい面は、第2のリードギャッシュB2と第2の主溝H2である。また、第3の外周刃BL3Bの外周逃げ面は、第3の外周2番E3と、第3の外周3番F3である。
同様に、第4の外周刃BL4Bのすくい面は、第3のリードギャッシュB3と第3の主溝H3である。また、第4の外周刃BL4Bの外周逃げ面は、第4の外周2番E4と、第4の外周3番F4である。
このように、第1の外周刃BL1Bと、第2の外周刃BL2Bと、第3の外周刃BL3Bと、第4の外周刃BL4Bの外周逃げ面は、それぞれ逃げ角が異なる複数の面を有して構成される。
上述したように、第1の外周刃BL1Bの外周逃げ面は、第1の外周2番E1、第1の外周3番F1を有して構成される。これら第1の外周2番E1、第1の外周3番F1は、図10に示すように、互いに異なる複数の逃げ角γa,γbを形成している。
次に、第1の外周刃BL1B、第2の外周刃BL2B、第3の外周刃BL3B、第4の外周刃BL4Bの、軸方向に沿った刃形状について説明する。
図11は、外科用バー10の切削部11の側面図である。
本構成の外科用バー10においては、第1の外周刃BL1B、第2の外周刃BL2B、第3の外周刃BL3B、第4の外周刃BL4Bは、回転軸線Lを中心とする回転対称形状を有しつつ、回転軸線Lに沿ってそれぞれの刃形状を変化させている。つまり、上記の各刃は、回転軸線Lに沿った軸方向位置に応じて異なる刃形状を有し、且つ、前述したように、同じ軸方向位置では回転方向に関して同じ刃形状となる関係を有している。
上記したように、本構成の外科用バー10においては、切削部11に砥粒部11Aと切刃部11Bとが設けられる。
(1) 回転軸線を中心に回転される軸部と、前記軸部の先端に設けられたボール状の切削部と、を有する外科用バーであって、
前記切削部は、
当該切削部の軸方向先端側に設けられ、ダイヤモンド砥粒が付着した砥粒部と、当該砥粒部から前記切削部の軸方向後端側に向けて形成された切刃部と、
を備え、
前記切刃部の軸方向先端側の部位は、
前記回転軸線に垂直な面に沿って形成される平坦面と、
前記平坦面の平面視中心部において、前記平坦面から軸方向外側へ突出する突起と、
を有し、
前記砥粒部は、前記平坦面及び前記突起の表面上に前記ダイヤモンド砥粒が付着されてなる。
この外科用バーによれば、砥粒部が切削対象に接触し、精緻な切削を可能にするとともに、跳ね返りを抑制し、安定した切削が可能となる。また、切刃部を用いることにより速やかな切削を行える。
前記突起は、ボール状の前記切削部の半径よりも小さい半径を有する球面の一部で構成された球状曲面を有し、
前記回転軸線が前記球状曲面の中心を通過し、
前記球状曲面を取り囲むように前記平坦面が形成される。
この外科用バーによれば、ダイヤモンド砥粒が付着した砥粒部が、中心である回転軸線の部位に頂部を持つ略球状曲面の形状を呈することになり、切削対象を精緻に切削できる。
前記砥粒部は、前記切削部の軸方向において最大直径位置より軸方向先端側に設けられる。
この外科用バーによれば、先端側の砥粒部による精緻な切削を実施できるともに、少なくとも最大直径位置に存在する切刃部による速やかな切削をも行うことができ、砥粒部と切刃部の使い分けが容易となる。
前記切刃部は、
前記砥粒部の外縁に接続され、それぞれ前記切削部の軸方向後端側に向けて延びる複数の外周刃を備え、
前記切削部を任意の軸方向位置で前記回転軸線に直交する面で切断したとき、前記複数の外周刃のそれぞれの刃断面の形状が、前記回転軸線を中心とした回転対称形状である。
この外科用バーによれば、回転中において周方向に一定の切れ味が確保され、円滑な切削が可能となる。
前記複数の外周刃は、前記切削部の軸方向に沿って刃形状が変化している。
この外科用バーによれば、切削部の軸方向の位置毎に、刃に求められる性能に応えることが可能となる。
前記複数の外周刃のそれぞれは、前記切削部の最大直径位置より軸方向後端側に、前記最大直径位置より軸方向先端側の刃先角よりも小さい刃先角の後方切れ刃領域を有する。
この外科用バーによれば、切削対象に押し当てられる先端側の寿命を優先して確保するとともに、軸方向後端側の切れ味を優先して確保できる。
前記後方切れ刃領域は、前記切削部の前記最大直径位置から軸方向後端までの軸方向長さにおける半分以上の長さにわたって、前記最大直径位置から前記軸部に向けて形成されている。
この外科用バーによれば、切削部の軸方向基端側となる後方切れ刃領域でも良好な切削が行える。そのため、外科用バーを切削対象に傾斜して押し当てて、その傾斜方向に沿って移動させながら切削する場合に、後方切れ刃領域の外周刃によって切削性良く円滑に切削できる。
前記複数の外周刃は、それぞれ径方向に沿う主溝と、周方向に沿う外周逃げ面とを有し、
前記外周逃げ面のそれぞれは、互いに異なる逃げ角を形成する複数の面から構成される。
この外科用バーによれば、外周刃の刃先回転軌道よりも、複数の外周逃げ面を径方向内側に収めつつ、適正な刃の厚さが確保できるため、切れ味と刃強度とのバランスを保つことができる。
前記軸部の先端に設けられ、前記軸部の回転に連動して回転するボール状の切削部と
を具備し、
前記切削部は、
当該切削部の軸方向先端側に設けられ、ダイヤモンド砥粒が付着した砥粒部と、
前記砥粒部と前記軸部との間に形成された切刃部と、
を備える
外科用バー。
この外科用バーによれば、砥粒部が切削対象に接触し、精緻な切削を可能にするとともに、跳ね返りを抑制し、安定した切削が可能となる。また、切刃部を用いることにより速やかな切削を行える。
前記切刃部は、
刃先を有する複数の切刃を備え、
前記切削部を所定の位置で前記回転軸線に直角な面に切断するときの前記複数の切刃の各々が同じ断面形状である
外科用バー。
この外科用バーによれば、回転中において周方向に一定の切れ味が確保され、円滑な切削が可能となる。
11 切削部
11A 砥粒部
11B 切刃部
13 軸部
15 接続部
16 平坦面
17 突起
100 外科手術システム
101 コントロールユニット
103 ハンドピース
103a アタッチメント
103b 把持部
105 接続ケーブル
107 フットスイッチ
B1 第1のリードギャッシュ
B2 第2のリードギャッシュ
B3 第3のリードギャッシュ
B4 第4のリードギャッシュ
BL1 第1切削刃
BL2 第2切削刃
BL3 第3切削刃
BL4 第4切削刃
BL1B 第1の外周刃
BL2B 第2の外周刃
BL3B 第3の外周刃
BL4B 第4の外周刃
E1 第1の外周2番
E2 第2の外周2番
E3 第3の外周2番
E4 第4の外周2番
F1 第1の外周3番
F2 第2の外周3番
F3 第3の外周3番
F4 第4の外周3番
H1 第1の主溝
H2 第2の主溝
H3 第3の主溝
H4 第4の主溝
I1 第1の背溝
I2 第2の背溝
I3 第3の背溝
I4 第4の背溝
L 回転軸線
Claims (10)
- 回転軸線を中心に回転される軸部と、前記軸部の先端に設けられたボール状の切削部と、を有する外科用バーであって、
前記切削部は、
当該切削部の軸方向先端側に設けられ、ダイヤモンド砥粒が付着した砥粒部と、当該砥粒部から前記切削部の軸方向後端側に向けて形成された切刃部と、
を備え、
前記切刃部の軸方向先端側の部位は、
前記回転軸線に垂直な面に沿って形成される平坦面と、
前記平坦面の平面視中心部において、前記平坦面から軸方向外側へ突出する突起と、
を有し、
前記砥粒部は、前記平坦面及び前記突起の表面上に前記ダイヤモンド砥粒が付着されてなる、
外科用バー。 - 請求項1に記載の外科用バーであって、
前記突起は、ボール状の前記切削部の半径よりも小さい半径を有する球面の一部で構成された球状曲面を有し、
前記回転軸線が前記球状曲面の中心を通過し、
前記球状曲面を取り囲むように前記平坦面が形成される、
外科用バー。 - 請求項1又は2に記載の外科用バーであって、
前記砥粒部は、前記切削部の軸方向において最大直径位置より軸方向先端側に設けられる、
外科用バー。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の外科用バーであって、
前記切刃部は、
前記砥粒部の外縁に接続され、それぞれ前記切削部の軸方向後端側に向けて延びる複数の外周刃を備え、
前記切削部を任意の軸方向位置で前記回転軸線に直交する面で切断したとき、前記複数の外周刃のそれぞれの刃断面の形状が、前記回転軸線を中心とした回転対称形状である、
外科用バー。 - 請求項4に記載の外科用バーであって、
前記複数の外周刃は、前記切削部の軸方向に沿って刃形状が変化している、
外科用バー。 - 請求項5に記載の外科用バーであって、
前記複数の外周刃のそれぞれは、前記切削部の最大直径位置より軸方向後端側に、前記最大直径位置より軸方向先端側の刃先角よりも小さい刃先角の後方切れ刃領域を有する、
外科用バー。 - 請求項6に記載の外科用バーであって、
前記後方切れ刃領域は、前記切削部の前記最大直径位置から軸方向後端までの軸方向長さにおける半分以上の長さにわたって、前記最大直径位置から前記軸部に向けて形成されている、
外科用バー。 - 請求項4~7のいずれか1項に記載の外科用バーであって、
前記複数の外周刃は、それぞれ径方向に沿う主溝と、周方向に沿う外周逃げ面とを有し、
前記外周逃げ面のそれぞれは、互いに異なる逃げ角を形成する複数の面から構成される、外科用バー。 - 回転軸線を軸に回転する軸部と、
前記軸部の先端に設けられ、前記軸部の回転に連動して回転するボール状の切削部と
を具備し、
前記切削部は、
当該切削部の軸方向先端側に設けられ、ダイヤモンド砥粒が付着した砥粒部と、
前記砥粒部と前記軸部との間に形成された切刃部と、
を備える
外科用バー。 - 請求項9に記載の外科用バーにおいて、
前記切刃部は、
刃先を有する複数の切刃を備え、
前記切削部を所定の位置で前記回転軸線に直角な面に切断するときの前記複数の切刃の各々が同じ断面形状である
外科用バー。
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