JP7491720B2 - 内視鏡用処置具 - Google Patents

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Description

本発明は、内視鏡のチャネル内に挿脱され、内視鏡の視野内で病変部位の処置を行う先端処置片を先端部に有する内視鏡用処置具に関する。
内視鏡のチャネルは、体腔内に挿入され体腔内の病変部位の直接診察や治療を低侵襲により行う内視鏡用処置具のために使用される。内視鏡用処置具は、先端部に先端処置片を有し、内視鏡のチャネル内に挿脱可能に収容され、内視鏡の視野内で先端処置片により病変部位の処置(生体組織の患部の除去、サンプル採取、切除、止血等)を行うために使用される。一般に、内視鏡は医師が操作し、処置具は別の医師また技師が連繋操作する。
以下の特許文献1-4の内視鏡用処置具に関する説明で使用する符号は、各特許文献中で使用している符号である。
特許文献1に示される内視鏡用処置具は、開閉可能な一対の鉗子片3aを有する鉗子部3が生理食塩水を送水可能なシース2の先端の先端カバー30より突出状態に設けられ、シース2内に挿通された操作部材4dを前進後退により鉗子片3aが開閉するようになっており、先端カバー30内に、貫通孔7aを有しかつ貫通孔7aに操作部材4dが挿通した状態に流路形成部材7を備え、操作部材4dには大径部4d2を備えてなり、操作部材4dと貫通孔7aとの環状の隙間を第1の送液孔9とされ、操作部材4dと先端カバー30の先端部内周面との環状の隙間を第2の送液孔8とされ、操作部材4dが前進し大径部4d2が流路形成部材7に当接するときは、第1の送液孔9を閉塞するよう構成されている。
特許文献2に示される内視鏡用処置具は、コイルシース11の先端部に連結用筒状部16の筒内径が大きい後部が被嵌し溶接され、そして、連結用筒状部16の内径が小さい先部内に先端本体15が強制嵌入されることにより、先端本体15の外周面の先端部と後端部に設けられた鍔部15aと鍔部15bとの間の小径部に連結用筒状部16の内径が小さい先部が緩く嵌合している。
また、特許文献2に示される内視鏡用処置具は、先端処置片13と支軸14と先端本体15のそれぞれに電気絶縁被膜が設けられているとともに、可撓性コイルシース11の外周面に全長にわたり電気絶縁性の絶縁チューブ18を被覆した構成であり、もって、操作ワイヤ12を通じて先端処置片13に高周波電流を通電し、先端処置片13にて止血効果等を得る処置を行えるようになっている。
また、特許文献3に示される内視鏡用処置具は、先端支持枠41の一対の腕部の間に一対の鋏片(先端処置片)36a,36bが配設され回動軸35で串刺し状に連結され、先端支持枠41の小径筒部に後端より細筒部材40aと抜け止め部材41bが順に被嵌され、かつ抜け止め部材41bが先端支持枠41の小径筒部に溶接されているとともに、連結用筒状部40の太筒部材40bの後部がシース31の先端部に被嵌され溶接され、次いで連結用筒状部40の太筒部材40bの先部が抜け止め部材41bと細筒部材40aの中程にかけて被嵌され、太筒部材40bと細筒部材40aとが溶接され連結用筒状部40を構成している。もって、連結用筒状部40は、先端支持部材41とシース31とを相対回転可能に連結している。
再表2017-134757号公報、 特開2007-289593号公報、図1、図3 特開2018-33501号公報
特許文献1に示される内視鏡用処置具は、液流量と流れ方向が切り変わるが、いずれの場合も、鉗子片3aの先端から第2の送液孔8までの距離が長いこと、および液流が先端カバー30の内部で絞られかつ曲がりくねって流れるので、第2の送液孔8から流出する液流が大きく広がり、流速が無いので、生体の被処置部位の流血や淀み、濁りを効果的に洗い除けることができず、焼灼切開に効果を発揮することが十分であるとは言えないという課題がある。
特許文献2に示される内視鏡用処置具は、部品点数、組付工数が多くない簡素な構成ではあるが、一対の先端処置片13を先端本体15に組み付けるに際しての以下の様な問題がある。先端本体15の一方の軸孔に支軸14を嵌入してから一対の先端処置片13の交差部に設けられた軸孔に支軸14を嵌入し、更に先端本体15の軸孔に嵌入して溶接等するのであるが、支軸14の両端面部および先端本体15の軸孔の縁部の電気絶縁性被膜が剥離してしまうので、組立後に電気絶縁性被膜を再度形成する必要があり、一対の先端処置片13の円滑な開閉が阻害される結果になる。そこで、支軸14の端部等の電気絶縁性被膜が剥離しないよう改善したいという課題がある。
特許文献3に示される内視鏡用処置具では、部品点数が多く、組付工数が多い。一対の半割リング43が極小部品であり、組み付けが難しい。そこで、細筒部材40aと太筒部材40bと抜け止め部材41bとを無くすことができる構成に改良し、部品点数を減らし、組付性を向上し製造コストを低減したいという課題がある。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、生体の被処置部に液体を正確に送液できるとともに、コイルシースと先端処置具支持部材との連結部材をゼロとする(設けず直接連結とする)か、または1つのみ設けるだけ備えれば足りる簡素な連結構造の実現と、組立の容易化、コスト低減が実現できる内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様に係る内視鏡用処置具は、上記目的を達成するため、可撓性を有するコイルシースと、前記コイルシース内に進退可能に配置された操作ワイヤと、前記コイルシースの後端部に設けられ前記コイルシース内に液体を注入する注液口を有し前記操作ワイヤを進退操作する操作部と、前記コイルシースの先端部または当該先端部に設けられた連結用筒状部に連結された筒部と前記筒部より先端側に延在する対向一対の腕部とを有する先端処置具支持部材と、前記腕部間に支持され、前記操作ワイヤの進退動作力を受けて生体患部の処置を行う先端処置具とを備え、前記先端処置具支持部材が前記腕部間で前記筒部が半割にされた一対の半割体を有しかつ各前記半割体の前記腕部の対向面の幅中央部に処置液が流れるよう液送用凹条部を備え、該一対の半割体を前記コイルシースの先端部または当該先端部に設けられた連結用筒状部に被嵌するように重ね合わせ一体に設けられていることを特徴とする。
本発明の第2の態様に係る内視鏡用処置具は、第1の態様の構成に加え、前記コイルシースの先端部または前記連結用筒状部に前記先端処置具支持部材の前記筒部が固定状態に被嵌されていることを特徴とする。
本発明の第3の態様に係る内視鏡用処置具は、第1の態様の構成に加え、前記コイルシースの先端部または前記連結用筒状部に前記先端処置具支持部材の前記筒部が回動可能に被嵌されていることを特徴とする。
本発明の第4の態様に係る内視鏡用処置具は、第1ないし3のいずれかの態様の構成に加え、前記コイルシースまたは前記連結用筒状部に先端を避けて先端小径部が設けられ、各前記半割体の内周面後端部より筒内方へ突出して設けられ前記先端小径部に被嵌する半円環状の軸受部を有することを特徴とする。
本発明の第5の態様に係る内視鏡用処置具は、第1ないし4のいずれか一態様の構成に加え、前記液送用凹条部は、前記先端処置具を前記先端処置具支持部材に支持する支持軸の両側に処置液が迂回して流れる幅広部を有していることを特徴とする。
本発明の第6の態様に係る内視鏡用処置具は、第1ないし5のいずれか一態様の構成に加え、前記一対の半割体には、半割面に位置決め用の凹部と凸部とが分配して設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、生体の被処置部に液体を正確に送液できるとともに、コイルシースと先端処置具支持部材との連結部材をゼロとする(設けず直接連結とする)か、または1つのみ設けるだけ備えれば足りる簡素な連結構造の実現と、組立の容易化、コスト低減が実現できる内視鏡用処置具を提供することができる。
本発明の実施形態1に係る内視鏡用処置具を含む内視鏡システムを説明するための図である。 本発明の実施形態1に係る内視鏡用処置具の全体図である。 本発明の実施形態1の内視鏡用処置具に係り、図3(A)は先端処置具が閉じた状態の処置具先端部を示す縦断正面図、図3(B)は先端処置具が閉じた状態の処置具先端部を示す縦断正面図である。 本発明の実施形態1の内視鏡用処置具に係り、図4(A)は先端処置具とコイルシースの先端部を示す斜視図であり、図4(B)は先端処置具とコイルシースの先端部を示す縦断面図である。 本発明の実施形態1の内視鏡用処置具の先端処置具支持部材に係り、図5(A)は平面図、図5(B)は正面図、図5(C)は底面図、図5(D)は先端処置具支持部材を構成する一方の半割体の斜視図、図5(E)は先端処置具支持部材を構成する他方の半割体の斜視図である。 本発明の実施形態1の内視鏡用処置具に係り、図6(A)は先端処置具が閉じた状態であるときに先端処置具支持部材の内部を通流する液体が先端処置具支持部材の先端から流出する状態を示す図であり、図6(B)は先端処置具が中間の開度にあるときに先端処置具支持部材の内部を通流する液体が先端処置具支持部材の先端から流出する状態を示す図であり、図6(C)は先端処置具が最大の開度にあるときに先端処置具支持部材の内部を通流する液体が先端処置具支持部材の先端から流出する状態を示す図である。 本発明の実施形態2の内視鏡用処置具に係り、先端処置具が開いた状態の処置具先端部を示す縦断正面図である。 本発明の実施形態3の内視鏡用処置具に係り、図8(A)は先端処置片が閉じた状態から開いた状態になった先端処置具の正面図、図8(B)は図8(A)におけるVIIIb-VIIIb断面図、図8(C)は先端処置片を除いた先端処置具の斜視図である。 本発明の実施形態3の内視鏡用処置具の先端処置具支持部材に係り、図9(A)は正面図、図9(B)は先端処置具支持部材を構成する一方の半割体の分割面側から視た図、図9(C)は先端処置具支持部材を構成する他方の半割体の斜視図、図9(D)は一方の半割体の斜視図である。
以下、本発明に係る内視鏡用処置具に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、先端処置具が位置する側を先端側、操作部が位置する側を基端側と呼ぶ。
[実施形態1]
[内視鏡システム]
図1は実施形態1に係る内視鏡用処置具が適用される内視鏡システム1を示す。内視鏡システム1は、生体の体腔内に挿入するための挿入部2と、基端部に設けられ挿入部2の先端を上下左右方向に湾曲操作するためのダイヤルを有する内視鏡操作部3と、挿入部2と内視鏡操作部3との間を接続するように配置された処置具導入部4とを備え、処置具導入部4から挿入部2の先端に向かって長手方向に形成された内視鏡チャネル5が形成され、内視鏡チャネル5内に、後述する内視鏡用処置具10の生体患部の処置を行う先端処置具としての一対の先端処置片(鋏片)15,16およびシース11を挿通するように構成されている。
[内視鏡用処置具の基本的構成]
実施形態1に係る内視鏡用処置具10は、内視鏡用電気焼灼切開鋏であり、一対の先端処置片15,16で体腔内の生体組織を挟みつつ所要の電流を通電し生体組織を焼灼し止血しつつ切開するものである。
実施形態1に係る内視鏡用処置具10は、図1-図3(A),(B)に示すように、内視鏡チャネル5に挿脱される可撓性を有する細長いシース11と、シース11内に進退可能に配置された操作ワイヤ12と、操作ワイヤ12を進退操作する操作部13と、シース11の先端外方に設けられた先端処置具支持部材14と、先端処置具支持部材14に支持軸18で回動可能に支持される先端処置具としての一対の先端処置片15,16とを備える。
シース11は、長さが500~2000mmの、可撓性を有しかつ適度の腰の強さ(屈曲耐性)を有する細長筒状体である。本実施形態のシース11は、コイルシース11aと、コイルシース11aの外面に被さる樹脂製外被11bとで構成されている。樹脂製外被11bは、PTFE、PEEK、PPS、ポリエチレン、またはポリイミド、等よりなり可撓性・電気絶縁性を有する。コイルシース11aは、例えば断面形状が矩形であるステンレス線等の金属材を密着巻きしてなるコイルシースが用いられることが好ましい。
内視鏡用処置具10は、先端処置具支持部材14の外面に電気絶縁被膜が形成されている。樹脂製外被11bが設けられない構成では、コイルシース11aの内外面に電気絶縁被膜が形成されていてもよい。
一対の先端処置片15,16は、刃部を除き、外面に電気絶縁被膜が設けられ互いに電気絶縁状態であり、刃部同士が閉じ合さるときに刃部間を電流が流れるようになっている。さらに、シース11の樹脂製外被11bと先端処置具支持部材14と一対の先端処置片15,16のそれぞれの外面の電気絶縁被膜に重ねて親水性被膜が形成され、もって、先端処置片15,16からシース11までが体腔内に引き攣りなく円滑に導入できるようになっている。
操作ワイヤ12は、シース11内に進退可能に緩く配置され、導電性であって回転追従性が大きなトルクワイヤからなる。操作ワイヤ12は、例えば、全長がステンレス製であるか、またはステンレス製の基端側部分とナイチノール(ニッケルチタン合金)製の先端側部分とをステンレスパイプで接続してなるものであっても良い。
図2に示すように、操作部13は、操作部本体13aと、スライダ13bと、液注入部13cと、接続キャップ13dとを備えてなる。
操作部本体13aは、両側面部に直線ガイドを有する長矩形枠部13a1と、長矩形枠部13a1の基端に延在する指掛け孔13a2と、長矩形枠部13a1の先端に延在する雄型接続部13a3とを有し、円錐状の雄型接続部13a3には貫通孔を有する。スライダ13bは、中央部が長矩形枠部13a1の直線ガイドに摺動可能に嵌着され、両側部に指掛け孔を有する。したがって、指掛け孔13a2に親指を掛け、スライダ13bの指かけ孔に人差し指及び中指を掛けて、操作部本体13a及びスライダ13bを相対的に移動させることができる。
スライダ13bには、ステンレス等からなるリードパイプにより基端側が覆われた操作ワイヤ12の基端が固定され、操作部本体13aの先端には後述する接続キャップ13dを介してシース11の後端が取り付けられており、操作部本体13a及びスライダ13bの相対的な移動により、操作ワイヤ12をシース11に対して進退可能である。
操作ワイヤ12とコイルシース11aは、基端部同士が一体に回転可能である構成である。したがって、操作部13を回動し操作ワイヤ12とシース11とを一体に回転することにより、シース11の先端側でシース11と操作ワイヤ12とを一体に回転することができる。
なお、雄型接続部13a3を長矩形枠部13aに一体に延設するのではなく、雄型接続部13a3を矩形枠部13aと分離して長く設けて回らないように保持部を付設し、この雄型接続部13a3を矩形枠部13aの先端部に相対回転可能に連結する構成とすれば、スライダ13bを矩形枠部13aの周りに回動すると、操作ワイヤ12とコイルシース11aが先端側において相対回転可能になる。
液注入部13cは、貫通孔13c1と、貫通孔13c1の中途部に連通するように送液接続口13c2と、貫通孔13c1の基端部に形成され操作部本体13aの雄型接続部13a3に螺着している円錐状の雌ねじ部(符号なし)と、貫通孔の先端部に形成され接続キャップ13dが螺着している円錐状の雄ねじ部(符号なし)とを有する。送液接続口13c2には、送液手段6が接続される。送液手段6は、シリンジあるいはポンプ等であり、生理食塩水やヒアルロン酸、等の液体をシース11内に送り込むことができるようになっている。
そして、シース11内に挿通された操作ワイヤ12が、接続キャップ13dと液注入部13cの貫通孔13c1と操作部本体13aの貫通孔に挿通され、操作ワイヤ12の基端が、矩形枠部13aの枠内に通され、スライダ13bに連結されており、スライダ13bを保持して矩形枠部13aに対して移動すると、操作ワイヤ12を進退可能となっている。操作ワイヤ12と操作部本体13aの貫通孔基端部の環状隙間を埋めるように液封リング(不図示)が設けられている。
また、シース11の基端部は液注入部13cの先端にフレアに当接され接続キャップ13dにより固定されている。送液手段6の液体は、送液接続口13c2からシース11内の操作ワイヤ12の周囲空間を通ってシース11先端に送液される。
図3(A),(B)に示すように、先端処置具支持部材14は、コイルシース11aの先端部に被嵌・連結された筒部14aと、筒部14aより先端側に延在する対向一対の腕部14bとを有する。
一対の先端処置片15,16は、ステンレス製またはナイチノール(ニッケルチタン合金)製であり、中程15a,16aが一対の腕部14b間にて交差して重なり、中程(交差部)15a,16aよりも先側部分が例えば刃状に成形されX状に重なる一対の鋏片よりなる。
一対の先端処置片15,16は、交差部15a,16aに軸孔(符号なし)を有する。交差部15a,16aの軸孔に挿通される支持軸18は、両端部を両側の腕部14b,14bに設けられた支持軸用軸受部14cに嵌合され両端支持されている。一対の先端処置片15,16の基端側部分15b,16bの後端部同士が、一対の開閉作動用リンク19,20の先端部とピン連結され、さらに一対の開閉作動用リンク19,20の後端部が進退伝動リンク21とピン連結され、さらに進退伝動リンク21の後端面より内部に設けられたワイヤ受け入れ穴に操作ワイヤ12の先端部が嵌入され進退伝動リンク21の側面より締め付けねじをねじ込むか、あるいは銀ロウ付け、ハンダ付け、カシメ、等により連結固定されている。
一対の先端処置片15,16は、支持軸18を回転中心として回動するように先端処置具支持部材14の一対の腕部14bに保持されていて、操作ワイヤ12がコイルシース11aに相対移動されると、一対の開閉作動用リンク19,20が開脚角度が大きくなるよう作動する。
すなわち、操作ワイヤ12がコイルシース11aに対し先端側へ相対移動されると、基端側部分15b,16bが操作ワイヤ12の進退動作力を受けて開脚動作し、一対の先端側部分15c,16cが開状態になる(図3(A))。また、操作ワイヤ12がコイルシース11aに基端側へ相対移動されると、一対の先端側部分15c,16cが閉状態になる(図3(B))。
したがって、操作ワイヤ12を進退操作することにより、一対の先端処置片15,16の先端側部分15c,16cが閉じるときに、電流を通電して体腔内の生体組織を焼灼し止血しつつ切開し生体組織の切除またはサンプル採取等の処置を行うよう構成されている。
[内視鏡用処置具の特徴的構成]
図3(A)に示すように、先端処置具支持部材14は、筒部14aと、筒部14aの線端面より先方に延在する対向一対の腕部14bとを有する。そして、図4(A),図5(B)に示すように、先端処置具支持部材14は、腕部14b間で筒部14aを半割した一対の半割体14A,14Bを合わせてなる。したがって、各半割体14A,14Bは、それぞれ半筒部14a1と腕部14b1、半筒部14a2と腕部14b2との一体形状である。
図5(A)-(D)に示すように、各半割体14A,14Bは、腕部14bに支持軸18の端部を支持するための支持軸用軸受部14cが設けられ、各半筒部14a1,14a2の内周面後端部に内方に突出する半円環状の軸受部14dが設けられ、また内周面先端部に内方に突出する内側凸壁14gが設けられ、各腕部14bの対向面の幅中央部に、各半筒部14a1,14a2の内側凸壁14gの位置から腕部14bの先端までにわたり液体が流れさらに先端処置具を先端処置具支持部材14に支持する支持軸18の両側の幅広部14k1を液体が迂回して流れるように液送用凹条部14kが設けられ、筒部14aの各半割面に位置決め用の凸部14eと凹部14fとが分配して設けられている。なお、図示の支持軸用軸受部14cは貫通孔として設けられているが、半割面側から設けられた円筒凹部(未貫通穴)であってもよい。
筒部14aを構成する一対の半割体は、ステンレス製またはナイチノール(ニッケルチタン合金)製の微細粒子をMIM方式(金属粉末射出成形)にて焼成されており、精密な形状・寸法が得られる。
したがって、コイルシース11aへの一対の半割体14A,14Bおよび一対の先端処置片15,16の第1段階の組立手順は、一対の先端処置片15,16を交差させ、交差部15a,16aの軸孔に支持軸18の中央部を嵌合し、次に、先端処置片15,16の後端と一対の開閉作動用リンク19,20の先端とをピン連結し、さらに一対の開閉作動用リンク19,20の後端と進退伝動リンク21とをピン連結し、さらにまた進退伝動リンク21と操作ワイヤ12とを連結する。
続く第2段階の組立手順は、一対の半割体14A,14Bの支持軸用軸受部14cを一対の先端処置片15,16の交差部15a,16aの軸孔に嵌合させて支持軸18の両端に被嵌させ(図4(B))、凸部14eと凹部14fとを契合させ(図4(A))、さらに、一対の半円環状の軸受部14dでコイルシース11aの先端部の脱出防止用凸部11a1を避けて形成された先端小径部11a2を挟み、もって、一対の半割体14A,14Bを重ね合わせ(図4(B))、半筒部14a1同士の外周面の両側の重ね合わせ線14iの全長を固着(レーザー溶接)されている(図4(A))。このレーザー溶接により、半筒部14a1同士の外周面の重ね合わせ線に沿う領域の電気絶縁被膜が剥離するが、一対の先端処置片15,16の刃部から離間した位置であることから、電流を通電し生体組織を焼灼し止血しつつ切開する際の支障になることはない。一対の内側凸壁14gは、進退伝動リンク21及び液体を通すようになる。
一対の半円環状の軸受部14dは、コイルシース11aの先端部11a1を避けて形成された先端小径部11a2を相対回転可能に被嵌することになり、先端部11a1は先端処置具支持部材14のコイルシース11aからの脱出を防止する役目を果たす。なお、先端小径部11a2を設ける場合に、先端まで含めて研磨加工を行い、先端部11a1に相当するリングを被嵌しレーザー溶接あるいは銀ロウ付け、等で固定してもよい。また、研削により薄くなったコイルシースを補強するため、研削部分及び該研削部分近傍にレーザー光を照射または、当該コイルに比して融点が低い合金(ろう)材を皮膜し、またはこれらの組み合わせ等によって、コイルシースの強度を所定値以上になるように補強すると共に且つ表面が潤滑になるように加工する。
上記のように組み立てることができるので、支持軸18を中央部が大径となる段軸形状に形成して、一対の先端処置片15,16を安定した開閉を保障できる。また、凸部14eと凹部14fとを契合させるので、一対の半割体14A,14Bの軸方向の位置合わせを迅速容易かつ正確に行えて、支持軸18の両側の端部を支持する一対の半割体14A,14Bの支持軸用軸受部14cが精密な一軸線上に位置し、一対の先端処置片15,16の中程15a,16aと一対の腕部14bとが平行状態に接触し、もって、一対の一対の腕部14bが一対の先端処置片15,16を円滑な回転を保障するように保持することができる。
上記構成の内視鏡用処置具10によれば、コイルシース11aに形成する先端小径部11a2に先端処置具支持部材14を離脱不能・回転可能に直接連結する構成をコイルシース11aの先端部に連結部品に介在しない簡素な構成として実現することができ、もって、簡素な連結構造の実現と、組立の容易化、コスト低減が実現できる。なお、先端小径部11a2に先端処置具支持部材14を回転不能に連結してもよく、軸方向に移動可能としてもよい。
さらに、実施形態1の内視鏡用処置具10のように、一対の先端処置片15,16にて止血効果等を得る処置を行える内視鏡用電気焼灼切開鋏や止血鉗子等として提供される場合には、コイルシース11aの外周面に電気絶縁被膜が設けられるか、または樹脂製外被11bで被覆され、さらに、先端処置片15,16と先端処置具支持部材14と支持軸18のそれぞれに電気絶縁被膜が設けられるものであるが、支持軸18の両端部を一対の半割体14A,14Bを嵌合する構成であるから、支持軸18について中央部を大径に、両端部を小径に形成でき、半割体の軸受部として貫通孔を設けて支持軸18の両端部を嵌合して両者をレーザー溶接する構成とした場合には溶接個所が小さくて済み(電気絶縁被膜が剥がれる部位が極小に抑えられる)、また、半割体の軸受部として軸孔(非貫通)を設けて支持軸18の両端部を嵌合する構成とした場合には溶接を半割面側から行うことができる。
[液送用凹条部14kと流出する液流について]
実施形態1の内視鏡用処置具10によれば、先端処置具支持部材14について、一対の半割体を重ねて連結する構成とされ、さらに、腕部14bの対向面に液送用凹条部14kを備えている構成であるので、図6(A)に示すように、一対の先端処置片15,16が閉じた状態であるときに先端処置具支持部材14の内部の液送用凹条部14kを通流する液体が先端処置具支持部材14の先端から真直ぐ1本で流出する状態となる。また図6(B)に示すように、一対の先端処置片15,16が中間の開度にあるときに先端処置具支持部材14の内部の液送用凹条部14kを通流する液体が先端処置具支持部材14の先端から2本に分かれてから1本に集まって流出する状態となる。さらに、図6(C)に示すように、一対の先端処置片15,16が最大の開度にあるときに液送用凹条部14kを通流する液体が先端処置具支持部材14の先端から2本に分かれて流出する状態となる。
図6(A),(B),(C)に示す水流状態の変遷についてさらに詳述する。切開時や出血箇所には、図6(A)に示すように、先端処置片15,16を閉じて送水する。これにより、1本の棒状でかなりの威力がある水流が得られる。出血箇所が明確になってもすぐに血が噴き出すので、閉じて送水し開いて止血をスムーズに行えるときは良いが、少しでも時間がかかればすぐ血で見えなくなるので、その場合には図6(B)に示す半開きの状態にして送水をする。先端処置片15,16が半開きの状態であると、水流は表面張力で先端処置片15,16の内側に沿って広がるが、水流速度が落ちた散水状態になり、先端処置片15,16から出たところで真ん中に棒状に集まる。先端処置片15,16を開けば開くほど表面張力で先端処置片15,16の内縁に沿って流れ、水流は図6(C)に示すように分かれる。
したがって、生体の被処置部位(焼灼切開する領域)に出血や淀み、濁りがあるときに、出血等を除くには、一対の先端処置片15,16が閉じた状態で生体の被処置部位に近接させ、送液手段6により生理食塩水を送液すると、液体が先端処置具支持部材14の先端から1本の直線状に流出する。一対の先端処置片15,16をゆっくり開いていくと、液体が先端処置具支持部材14の先端から2本に分かれて開いていくので、出血や淀み、濁りを両側方へ流し除けることができる。必要に応じて、一対の先端処置片15,16の開閉を繰り返し、先端処置具支持部材14の先端から流出する生理食塩水を1本の直線状の流れと2本に分かれて開いていく流れとを繰り返すようにすれば一層効果的に出血や淀み、濁りを両側方へ流し除けることができ、処置に大きく寄与することができる。
[実施形態2]
[内視鏡用処置具の基本的構成]
図7は実施形態2に係る内視鏡用処置具10Aの先端処置具を含む先端部分を示す図である。内視鏡用処置具10Aは、内視鏡用電気焼灼切開鋏として用いられる。内視鏡用処置具10Aの基本的構成は、実施形態1に係る内視鏡用処置具10の基本的構成と略同一の構成であるので、図7に示す内視鏡用処置具の構成要素に図2-6に示す内視鏡用処置具の構成要素の符号と同一の符号を付けて説明は省略する。
[内視鏡用処置具の特徴的構成]
内視鏡用処置具10Aは、コイルシース11aの先端部に延長するように連結用筒状部22を有し、連結用筒状部22の先端部に先端処置具支持部材14が連結されていることが特徴的構成である。
先端処置具支持部材14は、実施形態1と同一であり、コイルシース11aの先端部に被嵌・連結された筒部14aと、筒部14aより先端側に延在する対向一対の腕部14bとを有し、腕部14b間で筒部14aを半割した一対の半割体を合わせてなり、各半割体には液送用凹条部14kが設けられている。先端処置具支持部材14について、詳細な構成、作用・効果の説明を省略する。
連結用筒状部22は、コイルシース11aの先端部に被嵌されレーザー溶接、銀ロウ付け、ハンダ付け、等により固定された大径筒部22aと、大径筒部22aの先端から延在していて先端処置具支持部材14の半円環状の軸受部14dが被嵌している先端小径筒部22bと、先端小径筒部22bの先端部に径方向外方に突出して設けられ先端処置具支持部材14の軸受部14dの離脱を防止する脱出防止用凸部22cとを有している。
[実施形態3]
[内視鏡用処置具の基本的構成]
図8(A),(B),(C)は実施形態3に係る内視鏡用処置具10Bの先端処置具を含む先端部分を示す図である。内視鏡用処置具10Bの基本的構成は、実施形態1に係る内視鏡用処置具10の基本的構成と略同一の構成であるので実施形態1と同一の符号を付けて説明を省略し、作用・効果の説明も省略する。
[内視鏡用処置具の特徴的構成]
先端処置具としての一対の先端処置片15B,16Bは、先端側部分15c,16cが弓形でかつ先端外側に角状の突出部がある形状であり、先端側部分を閉じると針状メスやマーカーとして使用でき、開閉すると鋏として使用できる。
図8(C),図9(A)に示すように、先端処置具支持部材14は、実施形態1と同様に、一対の半割体14A,14Bよりなり、一対の半割体14A,14Bをコイルシース11aの先端小径部11a2を挟むように重ねて一体にレーザー溶接、等が施されている。先端処置片先端処置具支持部材14とコイルシース11aとは離脱不能、回転可能に連結されている。
そして、先端処置具支持部材14は、各半割体14A,14Bは、各腕部14b1,14b2に支持軸18の端部を支持するための支持軸用軸受部14cが設けられ、各半筒部14a1,14a2の内周面後端部に内方に突出する半円環状の軸受部14dが設けられ、また内周面先端部に内方に突出する内側凸壁14gが設けられ、筒部14aの各半割面に位置決め用の凸部14eと凹部14fとが分配して設けられている。
[液送用凹条部14kについて]
先端処置具支持部材14は、図8(B)に示すように、先端処置片15B,16Bは、支持軸18の軸方向の厚み寸法が小さい。このため、図9(A)-(D)に示す先端処置具支持部材14は、各腕部14bの先端側対向面には先端肉厚部14hが突出するよう設けられ、先端処置片15B,16Bが支持軸18の軸方向へずれることを防止している。そして、液送用凹条部14kが、内側凸壁14gと各腕部14bの対向面の幅中央部に設けられている。支持軸18は中央が大径部とされ両側が小径部とされ、段差面が先端肉厚部14hに当接するように段軸状に形成されている。先端処置具が閉じた状態であるときに先端処置具支持部材の内部を通流する液体が先端処置具支持部材の先端から真直ぐ1本で流出する状態となり、先端処置具が開いた状態であるときに先端処置具支持部材の内部を通流する液体が先端処置具支持部材の先端から2本に分かれて流出する状態となるのは、実施形態1と同様である。
先端処置具支持部材14は液送用凹条部14kを備えていることによる作用・効果は実施形態1と同一である。
[実施形態3の変形例]
図7に示す実施形態2の特徴的構成として、コイルシース11aの先端部に延長するように連結用筒状部22を有し、連結用筒状部22の先端部に先端処置具支持部材14が連結されている構成は、実施形態3についても適用される。
[実施形態1-3の変形例]
上述したように、実施形態1-3では、コイルシース11aの先端部または当該先端部に設けられた連結用筒状部22に先端部を避けて先端小径部11a1または22cが設けられ、先端処置具支持部材14が腕部間で筒部14aが半割にされた一対の半割体14Aまたは14Bを有し、各半割体の内周面後端部より筒内方へ突出して設けられ先端小径部11a1または22cに被嵌する半円環状の軸受部14dを重ね合わせ一体に設けた構成であることにより、先端処置具支持部材14が、コイルシース11aの先端部または当該先端部に設けられた連結用筒状部22の先端部に、離脱不能であって、かつ軸周りに回転可能に設けられている。
実施形態1-3の変形例として、先端処置具支持部材14が、コイルシース11aの先端部または当該先端部に設けられた連結用筒状部22の先端部に固定状態に設けられていても良い。具体的には、先端処置具支持部材14が腕部間14bで筒部14aが半割にされた一対の半割体14A,14Bを有しかつ各半割体の腕部の対向面の幅中央部に処置液が流れるよう液送用凹条部14kを備え、一対の半割体14A,14Bをコイルシース11aの先端部または当該先端部に設けられた連結用筒状部22に被嵌するように重ね合わせ、溶接等により固定しコイルシース11aまたは連結用筒状部22に一体に設けられている構成としても良い。
本発明によれば、生体の被処置部に至近距離より液体を送液できるとともに、コイルシースに形成する先端小径部に先端処置具支持部材を離脱不能かつ回転自在に直接連結した構成、またはコイルシースの先端部に継ぎ足した連結用筒状部に先端処置具支持部材を離脱不能かつ回転自在に直接連結した構成を実現することができ、もって、コイルシースと先端処置具支持部材との連結部材をゼロとする(設けず直接連結とする)か、または1つのみ設けるだけ備えれば足りる簡素な連結構造の実現と、組立の容易化、コスト低減が実現できるという効果を有し、優れた内視鏡用処置具を提供することができる。
1…内視鏡システム、
2…挿入部、
3…内視鏡操作部、
4…処置具導入部、
5…内視鏡チャネル、
6…送液手段、
10,10A,10B…内視鏡用処置具、
11…シース、
11a…コイルシース、
11a1…先端部(脱出防止用凸部)、
11a2…先端小径部、
11b…樹脂製外被、
12…操作ワイヤ、
13…操作部、
13a…操作部本体、
13a1…長矩形枠部、
13a2…指掛け孔、
13a3…雄型接続部、
13b…スライダ、
13c…液注入部、
13c1…貫通孔、
13c2…送液接続口、
13d…接続キャップ、
14…先端処置具支持部材、
14A,14B…半割体、
14a…筒部、
14a1…半筒部、
14b,14b…腕部、
14c…支持軸用軸受部、
14d…軸受部、
14e…凸部、
14f…凹部、
14g…内側凸壁、
14h…先端肉厚部、
14i…重ね合わせ線、
14k…液送用凹条部
14k1…幅広部
15,15A,15B…先端処置片(先端処置具)、
15a,16a…中程(交差部)、
15b,16b…基端側部分、
15c,16c…先端側部分、
15e…円孔、
18…支持軸、
19,20…開閉作動用リンク、
21…進退伝動リンク、
22…連結用筒状部、
22a…大径筒部、
22b…先端小径筒部、
22c…脱出防止用凸部、

Claims (6)

  1. 可撓性を有するコイルシースと、
    前記コイルシース内に進退可能に配置された操作ワイヤと、
    前記コイルシースの後端部に設けられ前記コイルシース内に液体を注入する注液口を有し前記操作ワイヤを進退操作する操作部と、
    前記コイルシースの先端部または当該先端部に設けられた連結用筒状部に連結された筒部と前記筒部より先端側に延在する対向一対の腕部とを有する先端処置具支持部材と、
    前記腕部間に支持され、前記操作ワイヤの進退動作力を受けて生体患部の処置を行う先端処置具とを備え、
    前記先端処置具支持部材が前記腕部間で前記筒部が半割にされた一対の半割体を有しかつ各前記半割体の前記腕部の対向面の幅中央部に処置液が流れるよう液送用凹条部を備え、該一対の半割体を前記コイルシースの先端部または当該先端部に設けられた連結用筒状部に被嵌するように重ね合わせ一体に設けられている
    ことを特徴とする内視鏡用処置具。
  2. 前記コイルシースの先端部または前記連結用筒状部に前記先端処置具支持部材の前記筒部が固定状態に被嵌されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用処置具。
  3. 前記コイルシースの先端部または前記連結用筒状部に前記先端処置具支持部材の前記筒部が回動可能に被嵌されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡用処置具。
  4. 前記コイルシースまたは前記連結用筒状部に先端を避けて先端小径部が設けられ、
    各前記半割体の内周面後端部より筒内方へ突出して設けられ前記先端小径部に被嵌する半円環状の軸受部を有する
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の内視鏡用処置具。
  5. 前記液送用凹条部は、前記先端処置具を前記先端処置具支持部材に支持する支持軸の両側に液体が迂回して流れる幅広部を有している
    ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の内視鏡用処置具。
  6. 前記一対の半割体には、半割面に位置決め用の凹部と凸部とが分配して設けられている
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の内視鏡用処置具。
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