JP7490895B2 - 複合金属酸化合物分酸液、複合金属酸化合物粉末、複合金属酸化合物膜、及びそれらの製造方法 - Google Patents

複合金属酸化合物分酸液、複合金属酸化合物粉末、複合金属酸化合物膜、及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、複合金属酸化合物分酸液、複合金属酸化合物粉末、複合金属酸化合物膜、及びそれらの製造方法に関する。
スマートフォンのディスプレイや、タッチパネル、太陽電池などに用いられる、透明で、且つ電気を通す特性を有する導電薄膜の研究が進められている。このような導電薄膜を形成する素材の1つとして、n型の伝導性を有する酸化チタン(TiO)が挙げられる。
例えば、特許文献1には、酸化チタンに、金属チタンと酸化ニオブを所定のモル比となるように秤量し、乾式ボールミルを用いて混合した混合物を焼成した熱電変換材料が開示されている。
特開2008-78608号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたように、酸化チタンを含有する熱電変換材料をアクリル樹脂に練り込んだ塗膜を形成した場合、均一な塗膜を形成することは困難であり、その表面抵抗率は高かった。
本発明は、上記課題に鑑みて、均一な塗膜を形成しやすく、導電性能に優れた塗膜を形成可能な複合金属酸化合物分酸液、複合金属酸化合物粉末、複合金属酸化合物膜、及びそれらの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明の複合金属酸化合物分散液は、チタンと、Nb,Ta,W,Mo,Si,Zn,Al,Y,La,Ce,Zr,Nd,Sm,Eu,Dy,Hfからなる群より選択される1種以上の元素Mと分散媒とを含有する複合金属酸化合物分散液であって、動的光散乱法を用いた粒子径分布測定による粒子径(D50)が100nm以下であることを特徴とする。
本発明の複合金属酸化合物分散液は、チタンと、Nb,Ta,W,Mo,Si,Zn,Al,Y,La,Ce,Zr,Nd,Sm,Eu,Dy,Hfからなる群より選択される1種以上の元素Mと分散媒とを含有するものであって、チタンと元素Mとが複合化した複合物や、チタンと元素Mとが混合した混合物が、分散媒中に分散された状態で、当該複合物や、当該混合物は結晶構造をとらず、アモルファスとして存在している。さらに、分散媒は、極性溶媒であり、当該複合物や、当該混合物が均一なるように分散されるものであれば良く、例えば水、水及びアルコールの混合溶媒、またはアルコールでよい。アルコールは、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、及びそれらの混合溶媒が挙げられ、好ましくはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、及びそれらの混合溶媒が挙げられる。
また、動的光散乱法を用いた粒子径分布測定による粒子径(D50)が100nm以下であると、分散媒への分散性、溶解性が向上する点で好ましい。また、当該粒子径(D50)が、50nm以下であるとより好ましく、40nm以下であるとさらに好ましく、30nm以下であると特に好ましく、25nm以下であるとまた特に好ましい。他方、粒子径(D50)は、0nm超過であると好ましく、0.6nm以上であるとより好ましく、1nm以上であるとさらに好ましい。このように、動的光散乱法を用いた粒子径分布測定により、粒子径(D50)が100nm以下である状態の溶液を、本発明の「複合金属酸化合物分散液」とする。例えば、本発明の複合金属酸化合物分散液中の複合金属酸化合物粒子などの動的光散乱法を用いた粒子径分布測定による粒子径(D50)が、100nm以下であると、分散媒への分散性、溶解性が向上する点で好ましく、50nm以下であるとより好ましく、40nm以下であるとさらに好ましく、30nm以下であると特に好ましく、25nm以下であるとまた特に好ましい。他方、当該複合金属酸化合物粒子などの動的光散乱法を用いた粒子径分布測定による粒子径(D50)は、0nm超過であると好ましく、0.6nm以上であるとより好ましく、1nm以上であるとさらに好ましい。さらに、本発明の複合金属酸化合物分散液中の複合金属酸化合物粒子を含む全ての粒子の動的光散乱法を用いた粒子径分布測定による粒子径(D50)が、10nm以上100nm以下であると好ましく、20nm以上50nm以下であるとより好ましい。
ここで、動的光散乱法とは、懸濁溶液などの溶液にレーザ光などの光を照射することにより、ブラウン運動する粒子群からの光散乱強度を測定し、その強度の時間的変動から粒子径と分布を求める方法である。具体的には、粒度分布の評価方法は、ゼータ電位・粒径・分子量測定システム(大塚電子株式会社製:ELSZ-2000ZS)を用いて、JIS Z 8828:2019「粒子径解析-動的光散乱法」に準拠して実施する。また、測定直前に測定対象である溶液中の埃等を除去するため、10μm孔径のフィルタで当該溶液を濾過し、超音波洗浄機(アズワン社製:VS-100III)にて3分間の超音波処理を実施する。さらに、測定態様である溶液の液温は25℃に調整した。なお、粒子径(D50)は、積算分布曲線の50%積算値を示す粒子径であるメディアン径(D50)をいう。
また、本発明の複合金属酸化合物分散液は、前記チタンと前記元素Mとの総和に対する前記元素Mのモル比が、0.01-0.8であることを特徴とする。
前記チタンと前記元素Mとの総和に対する前記元素Mのモル比は、0.01-0.8であると、優れた導電性能を有する点で好ましい。さらに、当該モル比は、0.05-0.5であるとより好ましい。なお、本明細書において「X-Y」(X、Yは任意の数字)と表現する場合、特段の説明がない限り「X以上/超、Y以下/未満」全ての組み合わせを意味する。
ここで、本発明の複合金属酸化合物分散液中のチタンの含有量は、当該複合金属酸化合物分散液を必要に応じて希塩酸で適度に希釈し、ICP発光分析(アジレント・テクノロジー社製:AG-5110)により、酸化チタン(TiO)換算のTi重量分率を測定して算出する。なお、本発明の複合金属酸化合物中のチタンは、必ずしもTiOの状態で存在するものではない。チタンの含有量を、TiO換算で示しているのは、慣例に基づくものである。
また、本発明の複合金属酸化合物分散液中の元素Mの含有量は、ICP発光分析により、元素Mの重量分率を測定して算出する。
上述したようにICP発光分析により算出されたチタンの含有量(Ti)と、元素Mの含有量(M)との総和に対する元素Mのモル比である、M/(Ti+M)が、0.01-0.8であると好ましく、0.05-0.5であるとより好ましく、0.2-0.5であるとさらに好ましく、0.2-0.3であると特に好ましい。なお、本明細書で言及するチタン、元素Mは、特段の説明がない限り、それらの酸化物を含むものである。
また、本発明の複合金属酸化合物分散液中の酸化物濃度は、0質量%超50質量%以下であると好ましい。当該酸化物濃度は、チタン酸化物濃度と元素Mの酸化物濃度との総和である。本発明の複合金属酸化合物分散液中の酸化物濃度は、1質量%以上20質量%以下であるとより好ましく、2質量%以上15質量%以下であるとさらに好ましく、5質量%以上10質量%以下であると特に好ましい。
また、本発明の複合金属酸化合物分散液は、前記元素Mが、Nb,Ta,W,Moからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする。
本発明の複合金属酸化合物分散液は、元素Mが、Nb,Ta,W,Moからなる群より選択される1種以上であると、その透明度が高く、また安定性にも優れている点で好ましい。
また、本発明の複合金属酸化合物分散液は、前記分散液中に、4級アンモニウム化合物が含まれると好ましい。
本発明の複合金属酸化合物分散液中に、4級アンモニウム化合物が含まれると、可溶化剤として機能し、当該分散液のゲル化が抑制されることから好適である。さらに、4級アンモニウム化合物は、揮発性が高く、除去しやすく好適である。
また、本発明に係る「4級アンモニウム化合物」は、本発明の複合金属酸化合物分散液中でそれがイオン化されたものを含む。後述する本発明の複合金属酸化合物分散液の製造方法中のチタン酸分散液の製造方法で詳しく説明するが、そのチタン酸分散液の製造工程において、硫酸チタニル水溶液を逆中和することにより得られたチタン含有沈殿物に、4級アンモニウム化合物を加え、混合することにより、本発明のチタン酸分散液が生成されることから、置換された4級アンモニウム化合物が陽イオンとして本発明のチタン酸分散液中に存在すると考えられる。
可溶化剤として用いられる4級アンモニウム化合物は、例えば、アルキルイミダゾリウム、ピリジニウム、ピロリジウム、テトラアルキルアンモニウムなどが挙げられる。ここで、アルキルイミダゾリウムの具体例としては、1-メチル-3-メチルイミダゾリウム、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム、1-メチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-プロピル-2,3-ジメチルイミダゾリウム、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムなどが挙げられる。また、ピリジニウム、ピロリジウムの具体例としては、N-ブチル-ピリジニウム、N-エチル-3-メチル-ピリジニウム、N-ブチル-3-メチル-ピリジニウム、N-ヘキシル-4-(ジメチルアミノ)-ピリジニウム、N-メチル-1-メチルピロリジニウム、N-ブチル-1-メチルピロリジニウムなどが挙げられる。さらに、テトラアルキルアンモニウムの具体例としては、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、エチル-ジメチル-プロピルアンモニウムが挙げられる。なお、上述したカチオンと塩を形成するアニオンとしては、OH、Cl、Br、I、BF 、HSO などが挙げられる。
当該分散液中に存在する4級アンモニウム化合物濃度の測定方法は、ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(LC)、質量分析(MS)、ガスクロマトグラフィー・質量分析(GC-MS)、液体クロマトグラフィー・質量分析(LC-MS)などが挙げられ、またガス化した試料中のN分を熱伝導度計で定量する方法を併用してもよい。その他、ケルダール法による、イオンクロマトグラフィー法(IC)を用いて定量することもできる。当該溶液中に存在する4級アンモニウム化合物濃度の測定方法は、液体クロマトグラフィー(LC)、液体クロマトグラフィー・質量分析(LC-MS)による測定が好ましく、難揮発性の4級アンモニウム化合物を含有する場合、液体クロマトグラフィー(LC)による測定が特に好ましい。
また、本発明の複合金属酸化合物分散液は、前記4級アンモニウム化合物が、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)であるとより好ましい。
4級アンモニウム化合物は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)や、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)であると、溶解性が高いだけではなく、高い結晶化抑制や、高いゾル化抑制を有する点で好ましく、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)であるとより好ましい。
本発明の複合金属酸化合物分散液は、波長550nmにおける透過率が90%以上であると、分散媒への分散性、溶解性が向上する点で好ましい。当該透過率が95%以上であるとより好ましく、98%以上であるとさらに好ましく、99%以上であると特に好ましい。
本発明の複合金属酸化合物分散液の透過率は、本発明の複合金属酸化合物分散液に対し、分光光度計を用いて、後述する透過率測定条件に準じて測定する。
上述した本発明の複合金属酸化合物分散液の製造方法について、以下説明する。
また、本発明の複合金属酸化合物分散液の製造方法は、チタンと、Nb,Ta,W,Mo,Si,Zn,Al,Y,La,Ce,Zr,Nd,Sm,Eu,Dy,Hfからなる群より選択される1種以上の元素Mとを含有する複合金属酸化合物と分散媒とを含む複合金属酸化合物分散液の製造方法であって、チタン酸水溶液と、前記元素Mの酸化物を含む元素M化合物とを混合し、複合金属酸化合物分散液を得る工程を有することを特徴とする。
後述するように調製したチタン酸水溶液と、元素Mの酸化物を含む元素M化合物とを、混合し、撹拌することにより、本発明の複合金属酸化合物分散液を生成することができる。なお、元素Mは、Nb,Ta,W,Moからなる群より選択される1種以上であり、前記元素M化合物が前記
元素Mの酸化物を含む元素M酸化物分散液であると好ましい。
先ず、チタン酸水溶液の製造方法について、以下説明する。
チタン酸水溶液の製造方法の一例として、チタン塩溶液とアンモニア水とを混合して中和反応液を生成し(以下、「チタン中和工程」という。)、当該中和反応液中に生じたチタン含有沈殿物を洗浄し(以下、「チタン洗浄工程」という。)、洗浄後のチタン含有沈殿物と4級アンモニウム塩と水とを混合し(以下、「チタン溶解工程」という。)、チタン酸水溶液を得る製造方法が挙げられる。
チタン塩溶液は、チタンが溶解している溶液であればよく、例えば硫酸チタニル水溶液、塩化チタニル水溶液、フッ化チタン水溶液などが挙げられる。
ここで、硫酸チタニル水溶液は、硫酸チタニルを熱水に溶解することにより得られる。当該硫酸チタニル水溶液は、チタンをTiO換算で8-15質量%含有するように調製すると好ましい。
(チタン中和工程)
チタン中和工程では、チタン塩溶液、例えば硫酸チタニル水溶液とアンモニア水とを混合して反応させることにより、中和反応液を生成することができる。ここで、硫酸チタニル水溶液を、アンモニア水に添加して反応させる、いわゆる逆中和を実施すると好ましい。
逆中和に用いるアンモニア水溶液のアンモニア濃度は10質量%-40質量%であると好ましい。当該アンモニア濃度が25質量%であると、チタンが溶け残りにくくなり、チタン乃至チタン酸化物を水に完全に溶解させることができる。他方、当該アンモニア濃度が30質量%以下であると、アンモニアの飽和水溶液付近であるから好ましい。
かかる観点から、アンモニア水溶液のアンモニア濃度は5質量%以上であると好ましく、10質量%以上であるとより好ましく、15質量%以上であるとさらに好ましく、20質量%であると特に好ましい。他方、当該アンモニア濃度は30質量%以下であると好ましく、35質量%以下であるとより好ましく、40質量%以下であるとさらに好ましい。
逆中和の際、アンモニア水に添加する硫酸チタニル水溶液の添加量は、NH/TiOのモル比が1以上200以下とするのが好ましく、10以上100以下とするのがより好ましい。また、アンモニア水に添加する硫酸チタニル水溶液は、薄いアンモニア水に溶けるチタン酸化合物が生成する観点から、NH/SO 2-のモル比が1以上とするのが好ましく、5以上とするとより好ましく、10以上とするとさらに好ましい。他方、コスト低減の観点から、NH/SO 2-のモル比が50以下とするのが好ましく、40以下とするとより好ましく、30以下とするとさらに好ましい。
逆中和において、硫酸チタニル水溶液のアンモニア水への添加に係る時間は、1分以内であると好ましく、30秒以内であるとより好ましく、10秒以内であるとさらに好ましい。すなわち、時間をかけて徐々に硫酸チタニル水溶液を添加するのではなく、例えば一気に投入するなど、出来るだけ短い時間でアンモニア水へ投入し、中和反応させると好適である。また、逆中和では、アルカリ性のアンモニア水へ、酸性の硫酸チタニル水溶液を添加することから、高いpHを保持したまま中和反応させることができる。
(チタン洗浄工程)
逆中和で得られた中和反応液中のチタン含有沈殿物のスラリーを洗浄することにより、不純物が除去され、チタン含有沈殿物が得られる。逆中和で得られたチタン含有沈殿物のスラリーには、不純物として、硫酸アンモニウムなどの硫酸化合物など、チタン乃至チタン酸化物の水和物乃至イオン及びアンモニア以外の不要な成分が存在するため、これらを除去することが好ましい。
洗浄方法、例えば硫酸化合物の除去方法は任意である。例えば、アンモニア水や純水を用いた逆浸透ろ過、限外ろ過、精密ろ過などの膜を用いたろ過による方法のほか、遠心分離、その他の公知の方法を採用することができる。なお、チタン洗浄工程は、常温で行えばよく、それぞれの温度調整は特に必要ない。
(チタン溶解工程)
そして、チタン洗浄工程で不純物が除去して得られたチタン含有沈殿物は、水などの分散媒を加えると共に、4級アンモニウム塩を加えて、必要に応じて撹拌して反応を促進させることにより、チタン酸分散液を作成することができる。
ここで、4級アンモニウム塩の種類としては、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)、水酸化テトラプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化メチルトリプロピルアンモニウム、水酸化メチルトリブチルアンモニウム、水酸化テトラペンチルアンモニウム、水酸化テトラヘキシルアンモニウム水酸化エチルトリメチルアンモニウム、水酸化ジメチルジエチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、又は、水酸化(2-ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムなどを挙げることができる。
4級アンモニウム塩の添加量は、上述したように、4級アンモニウムの量が多ければ、チタン乃至チタン酸の水に対する溶解性を高めることができるから、前記溶解工程では、前記洗浄後のチタン含有沈殿物に含まれるチタン1モルに対して0.44モル以上の4級アンモニウムを含む4級アンモニウム塩を混合するのが好ましい。他方、4級アンモニウムが多過ぎると、成膜性の障害になったり、触媒作用を阻害したりするなどの不具合を生じる可能性がある観点から、上述したチタン溶解工程では、前記洗浄後のチタン含有沈殿物に含まれるチタンに1モル対して1.0モル以下の4級アンモニウムを有する4級アンモニウム塩を混合するのが好ましい。
上述したチタン中和工程、チタン洗浄工程、及びチタン溶解工程は、常温で行えばよく、それぞれの温度調整は特に必要ない。
次に、元素Mの酸化物を含む元素M酸化物分散液の製造方法については、元素Mが、Nb,Ta,W,Moの酸化物を含む各酸化物分散液について、以下説明する。
Nbの酸化物を含む分散液、すなわちニオブ酸分散液の製造方法について、以下説明する。
ニオブ酸分散液の製造方法の一例として、酸性ニオブ溶液をアンモニア水溶液に添加して中和反応液を生成し(以下、「ニオブ中和工程」という。)、当該中和反応液中に生じたニオブ含有沈殿物を洗浄し(以下、「ニオブ洗浄工程」という。)、洗浄後のニオブ含有沈殿物に有機窒素化合物を添加し(以下、「ニオブ溶解工程」という。)、ニオブ酸分散液を得る製造方法が挙げられる。
酸性ニオブ溶液は、ニオブがフッ化水素酸を含む酸性溶液に溶解した溶解液を溶媒抽出することにより得られたフッ化物イオンを含有する酸性ニオブ溶液をいう。
ここで、フッ化物イオンを含有する酸性ニオブ溶液、例えばフッ化ニオブ水溶液は、水(例えば純水)を加えてニオブをNb換算で1~100g/L含有するように調整すると好ましい。この際、ニオブ濃度がNb換算で1g/L以上であると、水に溶けやすいニオブ酸化合物水和物となることから好ましく、生産性を考えた場合、10g/L以上がより好ましく、20g/L以上であるとさらに好ましい。他方、ニオブ濃度がNb換算で100g/L以下であれば、水に溶けやすいニオブ酸化合物水和物になることから好ましく、より確実に水に溶けやすいニオブ酸化合物水和物を合成するには、90g/L以下であるとより好ましく、80g/L以下であるとさらに好ましく、70g/L以下であると特に好ましい。なお、フッ化ニオブ水溶液のpHは、ニオブ乃至ニオブ酸化物を完全溶解させる観点から、2以下であると好ましく、1以下であるとより好ましい。
(ニオブ中和工程)
ニオブ中和工程では、フッ化物イオンを含有する酸性ニオブ溶液を所定濃度のアンモニア水中に添加、すなわち逆中和法により、ニオブを含有する沈殿スラリーを得るのが好ましい。
逆中和に用いるアンモニア水のアンモニア濃度は10質量%~30質量%であると好ましい。当該アンモニア濃度が10質量%であると、ニオブが溶け残りにくくなり、ニオブ乃至ニオブ酸を水に完全に溶解させることができる。他方、当該アンモニア濃度が30質量%以下であると、アンモニアの飽和水溶液付近であるから好ましい。
かかる観点から、アンモニア水のアンモニア濃度は10質量%以上であると好ましく、15質量%以上であるとより好ましく、20質量%以上であるとさらに好ましく、25質量%であると特に好ましい。他方、当該アンモニア濃度は30質量%以下であると好ましく、29質量%以下であるとより好ましく、28質量%以下であるとさらに好ましい。
ニオブ中和工程の際、アンモニア水に添加するフッ化ニオブ水溶液の添加量は、NH/Nbのモル比が95以上500以下とするのが好ましく、100以上450以下とするのがより好ましく、110以上400以下とするのがさらに好ましい。また、アンモニア水に添加するフッ化ニオブ水溶液の添加量は、アミンや薄いアンモニア水に溶けるニオブ酸化合物が生成する観点から、NH/HFのモル比が3.0以上とするのが好ましく、4.0以上とするとより好ましく、5.0以上とするとさらに好ましい。他方、コスト低減の観点から、NH/HFのモル比が100以下とするのが好ましく、50以上とするとより好ましく、40以上とするとさらに好ましい。
ニオブ中和工程において、フッ化ニオブ水溶液のアンモニア水への添加に係る時間は、1分以内であると好ましく、30秒以内であるとより好ましく、10秒以内であるとさらに好ましい。すなわち、時間をかけて徐々にフッ化ニオブ水溶液を添加するのではなく、例えば一気に投入するなど、出来るだけ短い時間でアンモニア水へ投入し、中和反応させると好適である。また、逆中和工程では、アルカリ性のアンモニア水へ、酸性のフッ化ニオブ水溶液を添加することから、高いpHを保持したまま中和反応させることができる。なお、フッ化ニオブ水溶液及びアンモニア水は、常温のまま用いることができる。
(ニオブ洗浄工程)
ニオブ洗浄工程では、逆中和法により得られたニオブを含有する沈殿スラリーからフッ化アンモニウムなどのフッ素化合物を除去し、当該フッ素化合物が除去されたニオブ含有沈殿を生成する。逆中和法により得られたニオブを含有する沈殿スラリーには、不純物として、フッ化アンモニウムなどのフッ素化合物が存在するため、これらを除去することが好ましい。
フッ素化合物の除去方法は任意であるが、例えばアンモニア水や純水を用いた逆浸透ろ過、限外ろ過、精密ろ過などの膜を用いたろ過による方法や、遠心分離、その他の公知の方法を採用することができる。なお、ニオブを含有する沈殿スラリーからフッ化物イオンを除去する際、温度調節は特に必要なく、常温で実施してもよい。
具体的には、逆中和法により得られたニオブを含有する沈殿スラリーを、遠心分離機を用いてデカンテーションし、遊離したフッ化物イオン量が100mg/L以下になるまで洗浄を繰り返すことにより、フッ化物イオンが除去されたニオブ含有沈殿物が得らえる。
フッ化物イオンの除去に用いられる洗浄液はアンモニア水であると好適である。具体的には、5.0質量%以下のアンモニア水が好ましく、4.0質量%以下のアンモニア水がより好ましく、3.0質量%以下のアンモニア水がさらに好ましく、2.5質量%のアンモニア水が特に好ましい。5.0質量%以下のアンモニア水であると、アンモニア、アンモニウムイオンがフッ素に対して適切であり不要なコストの増加を回避することができる。
(ニオブ溶解工程)
ニオブ溶解工程では、ニオブ含有沈殿をスラリー状としたニオブ含有沈殿スラリーに有機窒素化合物を添加することにより、ニオブ酸分散液を生成する。ここで、ニオブ含有沈殿スラリーは、上述したようにフッ化物イオンが除去されたニオブ含有沈殿を純水などで希釈し、スラリー状としたものである。なお、当該ニオブ含有沈殿スラリーのニオブ濃度は、当該スラリーの一部を採取し、110℃で24時間乾燥させた後、1,000℃で4時間焼成し、Nbを生成する。このように生成したNbの重量を測定し、その重量から当該スラリーのニオブ濃度を算出することができる。
そして、フッ化物イオンが除去されたニオブ含有沈殿スラリーに有機窒素化合物を混合することにより、ニオブ酸分散液が得られる。
具体的には、最終的な混合物のニオブ濃度がNb換算で0.1-40質量%となるように、得られたニオブ含有沈殿スラリーを、有機窒素化合物に加え、純水と混合し、当該混合物を撹拌しながら、液温を室温(25℃)に1時間保持することにより、ニオブ酸分散液が得られる。
ニオブ含有沈殿スラリーと混合する有機窒素化合物は、アミン、特に脂肪族アミン、およびまたは、4級アンモニウム化合物であると好ましい。
ここで、脂肪族アミンは、溶解性の観点から、ニオブ含有沈殿スラリー中の脂肪族アミン濃度が40質量%以下になるように混合するのが好ましい。また、同様な観点から、ニオブ含有沈殿スラリー中の脂肪族アミン濃度が0.1質量%以上になるように混合するのが好ましく、20質量%以上になるように混合するのがより好ましい。なお、脂肪族アミンは、メチルアミン、又はジメチルアミンであるとより好ましく、メチルアミンであると特に好ましい。
他方、4級アンモニウム化合物は、溶解性の観点から、ニオブ含有沈殿スラリー中の4級アンモニウム化合物濃度が40質量%以下になるように混合するのが好ましい。また、同様な観点から、ニオブ含有沈殿スラリー中の4級アンモニウム化合物濃度が0.1質量%以上になるように混合するのが好ましく、20質量%以上になるように混合するのがより好ましい。なお、4級アンモニウム化合物は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)や水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)であるとより好ましい。
上述したニオブ中和工程、ニオブ洗浄工程、及びニオブ溶解工程は、常温で行えばよく、それぞれの温度調整は特に必要ない。
また、タンタル酸分散液の製造方法について、以下説明する。
タンタル酸分散液の製造方法の一例として、タンタル塩溶液をアミン水溶液に加えて一次反応液を生成し(以下、「タンタル一次中和工程」という。)、当該一次反応液をアンモニア水に加えて二次反応液を生成し(以下、「タンタル二次中和工程」という。)、当該二次反応液で生じたタンタル含有沈殿物を洗浄し(以下、「タンタル洗浄工程」という。)、洗浄後のタンタル含有沈殿物とアミンと水とを混合し(以下、「タンタル分散工程」という。)、タンタル酸分散液を得る製造方法を挙げることができる。また、後述するタンタル酸化合物を利用して、タンタル酸化合物とアミンと水とを混合してタンタル酸分散液を得ることも可能である。
出発物質であるタンタル塩溶液は、タンタルが溶解している溶液であればよい。例えばフッ化タンタル水溶液、塩化タンタル水溶液などを挙げることができる。
フッ化タンタル水溶液は、タンタル、タンタル酸化物又は水酸化タンタルを、フッ化水素酸水溶液などのフッ酸(HF)と反応させてフッ化タンタル(HTaF)とし、これを水に溶解して作製することができる。
このフッ化タンタル水溶液は、水(例えば純水)を加えて、タンタルをTa換算で1-100g/L含有するように調製するのが好ましい。この際、タンタル濃度が1g/L以上であれば、水に溶けやすいタンタル酸化合物水和物になるので、フッ化タンタル水溶液のタンタル濃度は、Ta換算で1g/L以上であるのがより好ましく、生産性を考えた場合、中でも10g/L以上、その中でも20g/L以上であるのがさらに好ましい。他方、タンタル濃度が100g/L以下であれば、水に溶けやすいタンタル酸化合物水和物になるので、より確実に水に溶けやすいタンタル酸化合物水和物を合成するには、90g/L以下であるのがより好ましく、中でも80g/L以下、その中でも70g/L以下であるのがさらに好ましい。
フッ化タンタル水溶液のpHは、タンタル乃至タンタル酸化物を完全溶解させる観点から、2以下であるのが好ましく、中でも1以下であるのがさらに好ましい。他方、塩化タンタル水溶液は、塩化タンタル(TaCl)を少量のメタノールに溶かし、さらに水を加えて作製することができる。
(タンタル一次中和工程)
タンタル塩溶液とアミン水溶液とを反応させた後(一次中和)、アンモニア水と反応させる処理(二次中和)を行うことが重要である。
タンタル塩溶液とアミン水溶液による一次中和だけで、アンモニア水による二次中和を実施しないと、沈殿物が生成しないか、或いは沈殿生成量が少なくなり、本タンタル酸分散液の収率が低くなりやすい。さらに、沈殿物が生成したとしても、そのまま洗浄工程に進んだ場合、一部溶解しないタンタル酸化合物水和物となってしまい、分散性の高いタンタル酸分散液を得ることはできない。
また、一次中和と二次中和の順番を逆にして、タンタル塩溶液とアンモニア水とを反応させた後、アミン水溶液と反応させた場合も、後の分散工程において、タンタル乃至タンタル酸を好適に水中に分散させることはできず、まして水溶液とすることはできない。
タンタル一次中和工程では、フッ化タンタル水溶液などのタンタル塩溶液を、アミン水溶液に加えて反応させる逆中和を実施するのが好ましい。フッ化タンタル水溶液などのタンタル塩溶液にアミン水溶液を添加する正中和では、後の分散工程において、タンタル乃至タンタル酸を好適に水に分散させることはできず、まして水溶液とことはできない。逆中和することによって、タンタル乃至タンタル酸の構造が水に溶けやすい構造になると推測している。
タンタル一次中和工程で用いるアミン水溶液のアミンとしては、アルキルアミンなどを好ましく例示することができる。
上記アルキルアミンとしては、アルキル基を1-3個有するものを好ましく使用可能である。アルキル基を2-3個有する場合、3個のアルキル基は全部同じものでもよいし、また、異なるなるものを含んでいてもよい。アルキルアミンのアルキル基としては、溶解性の観点から、アルキル基の炭素数1-6のものが好ましく、中でも4以下、その中でも3以下、さらにその中でも2以下のものが好ましい。
上記アルキルアミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエチルアミン、n-プロピルアミン、ジn-プロピルアミン、トリn-プロピルアミン、iso-プロピルアミン、ジiso-プロピルアミン、トリiso-プロピルアミン、n-ブチルアミン、ジn-ブチルアミン、トリn-ブチルアミン、iso-ブチルアミン、ジiso-ブチルアミン、トリiso-ブチルアミンおよびtert-ブチルアミン、n-ペンチルアミン、n-ヘキシルアミンなどを挙げることができる。
中でも、溶解性の点からは、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、メチルエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミンおよびジメチルエチルアミンが好ましく、中でもメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミンがさらに好ましい。
タンタル一次中和において、分散性を高める観点から、前記タンタル塩溶液を、該タンタル塩溶液に含まれるフッ素とモル比で等量以上すなわち1以上のアミンを含有するアミン水溶液に加えることが好ましく、中でも1.2以上、その中でも1.4以上のアミンを含有するアミン水溶液に加えることがさらに好ましい。
他方、廃液量が多くなる観点から、前記タンタル塩溶液を、該記タンタル塩溶液に含まれるフッ素とモル比で2以下のアミンを含有するアミン水溶液に加えることが好ましく、中でも1.8以下、その中でも1.6以下のアミンを含有するアミン水溶液に加えることがさらに好ましい。
タンタル一次中和工程では、フッ化タンタル水溶液などのタンタル塩溶液を、アミン水溶液に加える際、1分以内に中和反応させるのが好ましい。すなわち、時間をかけて徐々に前記タンタル塩溶液を加えるのではなく、例えば一気に投入するなど、1分以内の時間で投入して中和反応させるのが好ましい。この際、前記タンタル塩溶液の添加時間は、1分以内とするのが好ましく、中でも30秒以内、その中でも10秒以内とするのがさらに好ましい。
(タンタル二次中和工程)
タンタル二次中和では、タンタル一次中和工程で得た一次反応液を、アンモニア水に加えて二次反応液を得るようにするのが好ましい。一次反応液をアンモニア水に加えると、水中に沈殿物(「タンタル含有沈殿物」と称する)が生じることになる。
タンタル二次中和においても、本タンタル酸分散液の分散性をさらに向上させる観点から、タンタル一次中和工程で得た一次反応液を、アンモニア水に加えて反応させる逆中和を実施するのが好ましい。
この際、上記アンモニア水溶液は、本タンタル酸分散液の分散性を高める観点から、アンモニア濃度が10-30質量%であることが好ましい。中でも15質量%以上、中でも20質量%以上、その中でも25質量%以上であるのがさらに好ましい。他方、中でも29質量%以下、その中でも28質量%以下であるのがさらに好ましい。
タンタル二次中和工程では、後のタンタル分散工程における分散性を高める観点から、前記一次反応液を、該一次反応液に含まれるフッ素に対してモル比で7.5以上のアンモニア、中でも8.0以上、その中でも8.5以上のアンモニアを含有するアンモニア水溶液に加えることがさらに好ましい。
他方、廃液量が多くなる観点から、前記一次反応液を、該一次反応液に含まれるフッ素に対してモル比で10.0以下のアンモニアを含有するアンモニア水に加えることが好ましく、中でも9.5以下、その中でも9.0以下の割合でアンモニアを含有するアンモニア水に加えることがさらに好ましい。
タンタル二次中和工程では、一次反応液をアンモニア水に加える際、1分以内に中和反応させるのが好ましい。すなわち、時間をかけて徐々に一次反応液を加えるのではなく、例えば一気に投入するなど、1分以内の時間で投入して中和反応させるのが好ましい。この際、一次反応液の添加時間は、1分以内とするのが好ましく、中でも30秒以内、その中でも10秒以内とするのがさらに好ましい。
(タンタル洗浄工程)
タンタル二次中和で得られた二次反応液、中でもそのタンタル含有沈殿物には、不純物として、フッ化アンモニウムなどのフッ素化合物など、タンタル乃至タンタル酸の水和物乃至イオン及びアミン以外の不要成分が水中に存在するため、当該不要成分を除去するのが好ましい。
洗浄方法、例えばフッ素化合物の除去方法は任意である。例えば、アンモニア水や純水を用いた逆浸透ろ過、限外ろ過、精密ろ過などの膜を用いたろ過による方法のほか、遠心分離、その他の公知の方法を採用することができる。
(タンタル分散工程)
次に、タンタル洗浄工程で洗浄されて得たタンタル含有沈殿物、例えばフッ素除去して得られたタンタル含有沈殿物は、水などの分散媒を加えると共に、アミン、およびまたは、4級アンモニウム化合物を加えて、必要に応じて攪拌して反応を促進させることで、タンタル酸分散液を作製することができる。
添加するアミンの種類としては、一次中和で用いることができるアミンと同様である。
アミンの添加量は、上述したように、アミンの量が多ければ、タンタル乃至タンタル酸の水に対する分散性乃至溶解性を高めることができる一方、アミンの量が多過ぎると、製膜性の障害になったり、触媒作用を阻害したりするなどの不具合を生じる可能性がある観点から、上述のように調整するのが好ましい。
他方、4級アンモニウム化合物は、溶解性の観点から、タンタル含有沈殿物中の4級アンモニウム化合物濃度が40質量%以下になるように混合するのが好ましい。また、同様な観点から、タンタル含有沈殿物中の4級アンモニウム化合物濃度が0.1質量%以上になるように混合するのが好ましく、20質量%以上になるように混合するのがより好ましい。なお、4級アンモニウム化合物は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)や水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)であるとより好ましい。
タンタル一次中和工程、タンタル二次次中和工程、タンタル洗浄工程、及びタンタル分散工程は、常温で行えばよく、強制的に温度調整する必要は特にない。
さらに、タングステン酸分散液の製造方法について、以下説明する。
タングステン酸分散液の製造方法の一例として、酸性タングステン水溶液をアンモニア水溶液に添加して中和反応液を生成し(以下、「タングステン中和工程」という。)、当該中和反応液中に生じたタングステン含有沈殿物を洗浄し(以下、「タングステン洗浄工程」という。)、洗浄後のタングステン含有沈殿物に有機窒素化合物を添加し(以下、「タングステン溶解工程」という。)、タングステン酸分散液を得る製造方法が挙げられる。
酸性タングステン水溶液は、タングステンが硫酸を含む酸性水溶液に溶解した溶解液を溶媒抽出することにより得られた硫酸タングステン水溶液をいう。
ここで、硫酸タングステン水溶液は、水(例えば純水)を加えてタングステンをWO換算で1~100g/L含有するように調整すると好ましい。この際、タングステン濃度がWO換算で1g/L以上であると、水に溶けやすいタングステン酸化合物水和物となることから好ましく、生産性を考えた場合、10g/L以上がより好ましく、20g/L以上であるとさらに好ましい。他方、タングステン濃度がWO換算で100g/L以下であれば、水に溶けやすいタングステン酸化合物水和物になることから好ましく、より確実に水に溶けやすいタングステン酸化合物水和物を合成するには、90g/L以下であるとより好ましく、80g/L以下であるとさらに好ましく、70g/L以下であると特に好ましい。なお、硫酸タングステン水溶液のpHは、タングステン乃至タングステン酸化物を完全溶解させる観点から、2以下であると好ましく、1以下であるとより好ましい。
(タングステン中和工程)
タングステン中和工程では、硫酸タングステン水溶液をアンモニア水溶液に添加する際、いわゆる逆中和法では、硫酸タングステン水溶液を10質量%~30質量%のアンモニア水溶液中に添加し、すなわち逆中和法により、タングステン酸化合物水和物のスラリー、いわゆるタングステン含有沈殿物のスラリーを得るのが好ましい。
逆中和に用いるアンモニア水溶液のアンモニア濃度は10質量%~30質量%であると好ましい。当該アンモニア濃度が10質量%であると、タングステンが溶け残りにくくなり、タングステン乃至タングステン酸化物を水に完全に溶解させることができる。他方、当該アンモニア濃度が30質量%以下であると、アンモニアの飽和水溶液付近であるから好ましい。
かかる観点から、アンモニア水溶液のアンモニア濃度は10質量%以上であると好ましく、15質量%以上であるとより好ましく、20質量%以上であるとさらに好ましく、25質量%であると特に好ましい。他方、当該アンモニア濃度は30質量%以下であると好ましく、29質量%以下であるとより好ましく、28質量%以下であるとさらに好ましい。
逆中和の際、アンモニア水に添加する硫酸タングステン水溶液の添加量は、NH/WOのモル比が0.1以上300以下とするのが好ましく、5以上200以下とするのがより好ましい。また、アンモニア水に添加する硫酸タングステン水溶液は、アミンや薄いアンモニア水に溶けるタングステン酸化合物が生成する観点から、NH/SO 2-のモル比が3.0以上とするのが好ましく、10.0以上とするとより好ましく、20.0以上とするとさらに好ましい。他方、コスト低減の観点から、NH/SO 2-のモル比が200以下とするのが好ましく、150以下とするとより好ましく、100以下とするとさらに好ましい。
逆中和において、硫酸タングステン水溶液のアンモニア水への添加に係る時間は、1分以内であると好ましく、30秒以内であるとより好ましく、10秒以内であるとさらに好ましい。すなわち、時間をかけて徐々に硫酸タングステン水溶液を添加するのではなく、例えば一気に投入するなど、出来るだけ短い時間でアンモニア水へ投入し、中和反応させると好適である。また、逆中和では、アルカリ性のアンモニア水へ、酸性の硫酸タングステン水溶液を添加することから、高いpHを保持したまま中和反応させることができる。なお、硫酸タングステン水溶液及びアンモニア水は、常温のまま用いることができる。
(タングステン洗浄工程)
タングステン洗浄工程では、逆中和法により得られたタングステン含有沈殿物のスラリーから硫黄分を除去し、硫黄分が除去されたタングステン含有沈殿を生成する。逆中和法により得られたタングステン含有沈殿物のスラリーには、不純物として、タングステン乃至タングステン酸化物と反応せず残った硫酸イオン、及び硫酸水素イオンの硫黄分が存在するため、これらを除去することが好ましい。
硫黄分の除去方法は任意であるが、例えばアンモニア水や純水を用いた逆浸透ろ過、限外ろ過、精密ろ過などの膜を用いたろ過による方法や、遠心分離、その他の公知の方法を採用することができる。なお、タングステン含有沈殿物のスラリーから硫黄分を除去する際、温度調節は特に必要なく、常温で実施してもよい。
具体的には、逆中和法により得られたタングステン含有沈殿物のスラリーを、遠心分離機を用いてデカンテーションし、タングステン含有沈殿物のスラリーの導電率が500μS/cm以下になるまで洗浄を繰り返すことにより、硫黄分が除去されたタングステン含有沈殿物が得られる。当該導電率は、タングステン含有沈殿物のスラリーの液温を25℃に調整し、導電率計(アズワン社製:ASCON2)の測定部を当該沈殿物のスラリーの上澄み液に浸漬され、導電率の値が安定してから、その数値を読み取った。
硫黄分の除去に用いられる洗浄液はアンモニア水であると好適である。具体的には、5.0質量%以下のアンモニア水が好ましく、4.0質量%以下のアンモニア水がより好ましく、3.0質量%以下のアンモニア水がさらに好ましく、2.5質量%のアンモニア水が特に好ましい。5.0質量%以下のアンモニア水であると、アンモニア、アンモニウムイオンが硫黄分に対して適切であり不要なコストの増加を回避することができる。
(タングステン溶解工程)
タングステン溶解工程では、タングステン含有沈殿をスラリー状としたタングステン含有沈殿スラリーに有機窒素化合物を添加し、タングステン酸溶液を生成する。ここで、タングステン含有沈殿スラリーは、上述したように硫黄分が除去されたタングステン含有沈殿を純水などで希釈し、スラリー状としたものである。なお、硫黄分が除去された、タングステン含有沈殿スラリーのタングステン濃度は、当該スラリーの一部を採取し、110℃で24時間乾燥させた後、1,000℃で4時間焼成し、WOを生成する。このように生成したWOの重量を測定し、その重量から当該スラリーのタングステン濃度を算出することができる。
そして、硫黄分が除去されたタングステン含有沈殿スラリーに有機窒素化合物を混合することにより、本発明のタングステン酸溶液が得られる。
具体的には、最終的な混合物のタングステン濃度がWO換算で0.1~40質量%となるように、得られたタングステン含有沈殿スラリーを、有機窒素化合物に加え、純水と混合し、当該混合物を撹拌しながら、液温を室温(25℃)に1時間保持することにより、本発明の無色透明なタングステン酸溶液が得られる。
タングステン含有沈殿スラリーと混合する有機窒素化合物は、脂肪族アミン、およびまたは、4級アンモニウム化合物であると好ましい。
ここで、脂肪族アミンは、溶解性の観点から、タングステン含有沈殿スラリー中の脂肪族アミン濃度が40質量%以下になるように混合するのが好ましい。また、同様な観点から、タングステン含有沈殿スラリー中の脂肪族アミン濃度が0.1質量%以上になるように混合するのが好ましく、20質量%以上になるように混合するのがより好ましい。なお、脂肪族アミンは、メチルアミン、又はジメチルアミンであるとより好ましい。
他方、4級アンモニウム化合物は、溶解性の観点から、タングステン含有沈殿スラリー中の4級アンモニウム化合物濃度が40質量%以下になるように混合するのが好ましい。また、同様な観点から、タングステン含有沈殿スラリー中の4級アンモニウム化合物濃度が0.1質量%以上になるように混合するのが好ましく、20質量%以上になるように混合するのがより好ましい。なお、4級アンモニウム化合物は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)であるとより好ましい。
上述したタングステン中和工程、タングステン洗浄工程、及びタングステン溶解工程は、常温で行えばよく、それぞれの温度調整は特に必要ない。
また、モリブデン酸分散液の製造方法について、以下説明する。
モリブデン酸分散液の製造方法の一例として、酸性モリブデン水溶液をアンモニア水溶液に添加して中和反応液を生成し(以下、「モリブデン中和工程」という。)、当該中和反応液中に生じたモリブデン含有沈殿物を洗浄し(以下、「モリブデン洗浄工程」という。)、洗浄後のモリブデン含有沈殿物に有機窒素化合物を添加し(以下、「モリブデン溶解工程」という。)、モリブデン酸分散液を得る製造方法が挙げられる。
酸性モリブデン水溶液は、モリブデンが硫酸を含む酸性水溶液に溶解した溶解液を溶媒抽出することにより得られた硫酸モリブデン水溶液をいう。
ここで、硫酸モリブデン水溶液は、水(例えば純水)を加えてモリブデンをMoO換算で1-100g/L含有するように調整すると好ましい。この際、モリブデン濃度がMoO換算で1g/L以上であると、水に溶けやすいモリブデン酸化合物水和物となることから好ましく、生産性を考えた場合、10g/L以上がより好ましく、20g/L以上であるとさらに好ましい。他方、モリブデン濃度がMoO換算で100g/L以下であれば、水に溶けやすいモリブデン酸化合物水和物になることから好ましく、より確実に水に溶けやすいモリブデン酸化合物水和物を合成するには、90g/L以下であるとより好ましく、80g/L以下であるとさらに好ましく、70g/L以下であると特に好ましい。なお、硫酸モリブデン水溶液のpHは、モリブデン乃至モリブデン酸化物を完全溶解させる観点から、2以下であると好ましく、1以下であるとより好ましい。
(モリブデン中和工程)
モリブデン中和工程では、硫酸モリブデン水溶液をアンモニア水溶液に添加する際、いわゆる逆中和法では、硫酸モリブデン水溶液を10質量%-30質量%のアンモニア水溶液中に添加し、すなわち逆中和法により、モリブデン酸化合物水和物のスラリー、いわゆるモリブデン含有沈殿物のスラリーを得るのが好ましい。
逆中和に用いるアンモニア水溶液のアンモニア濃度は10質量%-30質量%であると好ましい。当該アンモニア濃度が10質量%であると、モリブデンが溶け残りにくくなり、モリブデン乃至モリブデン酸化物を水に完全に溶解させることができる。他方、当該アンモニア濃度が30質量%以下であると、アンモニアの飽和水溶液付近であるから好ましい。
かかる観点から、アンモニア水溶液のアンモニア濃度は10質量%以上であると好ましく、15質量%以上であるとより好ましく、20質量%以上であるとさらに好ましく、25質量%であると特に好ましい。他方、当該アンモニア濃度は30質量%以下であると好ましく、29質量%以下であるとより好ましく、28質量%以下であるとさらに好ましい。
逆中和の際、アンモニア水に添加する硫酸モリブデン水溶液の添加量は、NH/MoOのモル比が0.1以上300以下とするのが好ましく、5以上200以下とするのがより好ましい。また、アンモニア水に添加する硫酸モリブデン水溶液は、アミンや薄いアンモニア水に溶けるモリブデン酸化合物が生成する観点から、NH/SO 2-のモル比が3.0以上とするのが好ましく、10.0以上とするとより好ましく、20.0以上とするとさらに好ましい。他方、コスト低減の観点から、NH/SO 2-のモル比が200以下とするのが好ましく、150以下とするとより好ましく、100以下とするとさらに好ましい。
逆中和において、硫酸モリブデン水溶液のアンモニア水への添加に係る時間は、1分以内であると好ましく、30秒以内であるとより好ましく、10秒以内であるとさらに好ましい。すなわち、時間をかけて徐々に硫酸モリブデン水溶液を添加するのではなく、例えば一気に投入するなど、出来るだけ短い時間でアンモニア水へ投入し、中和反応させると好適である。また、逆中和では、アルカリ性のアンモニア水へ、酸性の硫酸モリブデン水溶液を添加することから、高いpHを保持したまま中和反応させることができる。
(モリブデン洗浄工程)
モリブデン洗浄工程では、逆中和法により得られたモリブデン含有沈殿物のスラリーから硫黄分を除去し、硫黄分が除去されたモリブデン含有沈殿を生成する。逆中和法により得られたモリブデン含有沈殿物のスラリーには、不純物として、モリブデン乃至モリブデン酸化物と反応せず残った硫酸イオン、及び硫酸水素イオンの硫黄分が存在するため、これらを除去することが好ましい。
硫黄分の除去方法は任意であるが、例えばアンモニア水や純水を用いた逆浸透ろ過、限外ろ過、精密ろ過などの膜を用いたろ過による方法や、遠心分離、その他の公知の方法を採用することができる。なお、モリブデン含有沈殿物のスラリーから硫黄分を除去する際、温度調節は特に必要なく、常温で実施してもよい。
具体的には、逆中和法により得られたモリブデン含有沈殿物のスラリーを、遠心分離機を用いてデカンテーションし、モリブデン含有沈殿物のスラリーの導電率が500μS/cm以下になるまで洗浄を繰り返すことにより、硫黄分が除去されたモリブデン含有沈殿物が得られる。当該導電率は、モリブデン含有沈殿物のスラリーの液温を25℃に調整し、導電率計(アズワン社製:ASCON2)の測定部を当該沈殿物のスラリーの上澄み液に浸漬され、導電率の値が安定してから、その数値を読み取った。
硫黄分の除去に用いられる洗浄液はアンモニア水であると好適である。具体的には、5.0質量%以下のアンモニア水が好ましく、4.0質量%以下のアンモニア水がより好ましく、3.0質量%以下のアンモニア水がさらに好ましく、2.5質量%のアンモニア水が特に好ましい。5.0質量%以下のアンモニア水であると、アンモニア、アンモニウムイオンが硫黄分に対して適切であり不要なコストの増加を回避することができる。
(モリブデン溶解工程)
モリブデン溶解工程では、モリブデン含有沈殿をスラリー状としたモリブデン含有沈殿スラリーに有機窒素化合物を添加することにより、モリブデン酸分散液を生成する。ここで、モリブデン含有沈殿スラリーは、上述したように硫黄分が除去されたモリブデン含有沈殿を純水などで希釈し、スラリー状としたものである。なお、硫黄分が除去された、モリブデン含有沈殿スラリーのモリブデン濃度は、当該スラリーの一部を採取し、110℃で24時間乾燥させた後、1,000℃で4時間焼成し、MoOを生成する。このように生成したMoOの重量を測定し、その重量から当該スラリーのモリブデン濃度を算出することができる。
そして、硫黄分が除去されたモリブデン含有沈殿スラリーに有機窒素化合物を混合することにより、モリブデン酸分散液が得られる。
具体的には、最終的な混合物のモリブデン濃度がMoO換算で0.1-40質量%となるように、得られたモリブデン含有沈殿スラリーを、有機窒素化合物に加え、純水と混合し、当該混合物を撹拌しながら、液温を室温(25℃)に1時間保持することにより、モリブデン酸分散液が得られる。
モリブデン含有沈殿スラリーと混合する有機窒素化合物は、アミン、特に脂肪族アミン、およびまたは、4級アンモニウム化合物であると好ましい。
ここで、脂肪族アミンは、溶解性の観点から、モリブデン含有沈殿スラリー中の脂肪族アミン濃度が40質量%以下になるように混合するのが好ましい。また、同様な観点から、モリブデン含有沈殿スラリー中の脂肪族アミン濃度が0.1質量%以上になるように混合するのが好ましく、20質量%以上になるように混合するのがより好ましい。なお、脂肪族アミンは、メチルアミン、又はジメチルアミンであるとより好ましく、メチルアミンであると特に好ましい。
他方、4級アンモニウム化合物は、溶解性の観点から、モリブデン含有沈殿スラリー中の4級アンモニウム化合物濃度が40質量%以下になるように混合するのが好ましい。また、同様な観点から、モリブデン含有沈殿スラリー中の4級アンモニウム化合物濃度が0.1質量%以上になるように混合するのが好ましく、20質量%以上になるように混合するのがより好ましい。なお、4級アンモニウム化合物は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)や水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)であるとより好ましい。
上述したモリブデン中和工程、モリブデン洗浄工程、及びモリブデン溶解工程は、常温で行えばよく、それぞれの温度調整は特に必要ない。
上述した各製造工程を経て、得られた4級アンモニウム化合物を含有するチタン酸分散液と、有機窒素化合物を含有する元素M酸化物分散液とを、チタンと元素Mとの総和に対する元素Mのモル比M/(Ti+M)が、0.01-0.8となるように調製した混合液を、液温を室温(25℃)で10分間撹拌することにより、本発明の複合金属酸化合物分散液が得られる。なお、元素M酸化物分散液は、ニオブ酸分散液、タンタル酸分散液、タングステン酸分散液、モリブデン酸分散液、及びそれらの混合分散液である。
また、チタン酸分散液中の4級アンモニウム化合物を含む有機窒素化合物と、元素M酸化物分散液中の有機窒素化合物との総添加量は、有機窒素化合物/(Ti+M)のモル比で0.44-2.0であると好ましく、0.46-1.6であるとより好ましく、0.5-1.3であると特に好ましい。ここで、チタン酸分散液中の有機窒素化合物は、アミンや、4級アンモニウム化合物であると好ましい。また、チタン酸分散液中の4級アンモニウム化合物は、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)や、水酸化テトラエチルアンモニウム(TEAH)であると、溶解性が高いだけではなく、高い結晶化抑制や、高いゾル化抑制を有する点で好ましく、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)であるとより好ましい。他方、元素M酸化物分散液中の有機窒素化合物は、アミンや、4級アンモニウム化合物であると好ましい。また、元素M酸化物分散液中の有機窒素化合物は、チタン酸分散液に合わせて、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)であるとより好ましい。
また、本発明の複合金属酸化合物膜は、上述した複合金属酸化合物分散液中の複合金属酸化合物を含有することを特徴とする。
本発明の複合金属酸化合物膜は、導電性膜として、スマートフォンのディスプレイや、タッチパネル、太陽電池などに利用可能である。
また、本発明の複合金属酸化合物膜は、その表面抵抗率が20.0Ω/□であると、導電性能に優れる点で好ましい。さらに、当該表面抵抗率が、10.0Ω/□以下であるとより好ましく、5.0Ω/□以下であるとさらに好ましく、1.0Ω/□以下であると特に好ましく、0.5Ω/□以下であるとより特に好ましく、0.1Ω/□以下であるとまた特に好ましい。他方、当該表面抵抗率は、0Ω/□以上であると好ましく、0Ω/□超であるとより好ましく、0.0001Ω/□以上であるとさらに好ましい。
表面抵抗率は、JIS-K6911に準じて測定された値である。表面抵抗率は、抵抗率計(三菱ケミカル株式会社製:Loresta-GX MCP-T700)を用い、塗膜状に形成されたサンプルの各表面に4端子のプローブを当てて、測定された各表面の表面抵抗率である。
また、本発明の複合金属酸化合物膜の製造方法は、上述した本発明の複合金属酸化合物分散液を、基材の表面に塗布する塗布工程と、前記基材の表面に塗布された前記複合金属酸化合物分散液を乾燥し、塗膜を得る乾燥工程と、前記塗膜を、大気下、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成する塗膜焼成工程と、焼成された前記塗膜を、還元雰囲気下、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成し、複合金属酸化合物膜を得る酸化物膜還元工程と、を有することを特徴とする。
具体的には、上述した本発明の複合金属酸化合物分散液の製造方法により得られた複合金属酸化合物分散液を、必要に応じて、例えば2μm孔径のフィルタで濾過しながらシリンジを用いて基材の表面上に滴下し、スピンコート(1,500rpm、30秒)により、塗布する。次に、塗布した箇所を、高圧エアーにより風乾することにより、基材の表面上に塗膜を形成させる。そして、当該塗膜が形成された基材を、静置炉内に載置し、大気下、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成した後、還元雰囲気下(いわゆる水素還元)、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成することにより、本発明の複合金属酸化合物膜が得られる。
さらに、本発明の複合金属酸化合物膜の製造方法は、前記塗膜焼成工程の焼成温度が900℃以上1,100℃以下で、焼成時間が3時間以上10時間以下であり、前記酸化物膜還元工程の焼成温度が900℃以上1,100℃以下で、焼成時間が3時間以上10時間以下であるとより好ましい。
また、本発明の複合金属酸化合物膜は、上述した本発明の複合金属酸化合物膜中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造がルチル型を含むことを特徴とする。
本発明の複合金属酸化合物膜中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造がルチル型を含むと、優れた導電性を有する点で好ましい。さらに、本発明の複合金属酸化合物膜中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造が、ルチル型とアナターゼ型とが混在した結晶構造を含むものである場合、後述するXRDピークから算出される各結晶構造の合計モル比に対するアナターゼ型のモル比の比率を示すアナターゼ率が100%未満であると好ましく、80%以下であるとより好ましく、60%以下であるとさらに好ましく、40%以下であると特に好ましく、20%以下であるとより特に好ましく、10%以下であるとまた特に好ましく、5%以下であるとさらに特に好ましい。アナターゼ率が0%であると最も好ましい。
ここで、本発明の複合金属酸化合物膜中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造は、以下の薄膜X線回折測定条件に従い、実施するX線回折測定によるX線回折パターンで、2θ=25°±1にシャープなXRDピークが見られれば、アナターゼ型の結晶構造であると、また2θ=27°±1(2θ=26°を除く)にシャープなXRDピークが見られれば、ルチル型の結晶構造であると判断する。
=薄膜X線回折測定条件=
・回折装置:X線回折装置SmartLab(株式会社リガク製)
・管電圧・管電流:40kV、30mA
・測定範囲:20~80(degree)
・測定ステップ:0.04deg
・測定スピード:5deg/min
・測定方法:汎用・中分解能PB/PSA(薄膜法)
*PB=Parallel Beam、PSA=Parallel Slit Analyzer
・X線解析ソフトウェア:PDXL2 Version2.9.1.0
さらに、本発明の複合金属酸化合物膜中の複合金属酸化合物結晶粒子のアナターゼ率
(%)は、ASTM D 3720-90に準拠してX線回折測定を実施し、以下の式(1)により算出することができる。
Figure 0007490895000001
式(1)中のルチル型の結晶構造を示すXRDピークの面積(Ir)及びアナターゼ型の結晶構造を示すXRDピークの面積(Ia)は、X線回折スペクトルの該当回折線におけるベースラインから突出した部分の面積を示し、その算出方法は公知の方法でよく、例えば、コンピュータ計算、近似三角形化などを用いることができる。
また、ルチル型粉末の重量(Wr)は、ルチル型粉末の重量の測定値であり、アナターゼ型の重量(Wa)は、アナターゼ型の重量の測定値である。さらに、「K」は、実際の重量比とX線強度比との差分を数点プロットすることにより算出され、この差分を補正する定数である。
なお、アナターゼ型の結晶構造を示すXRDピークが見られるが、ルチル型の結晶構造を示すXRDピークが見られない場合、アナターゼ率は100%とする。また、ルチル型の結晶構造を示すXRDピークが見られるが、アナターゼ型の結晶構造を示すXRDピークが見られない場合、アナターゼ率は0%とする。
さらに、本発明の複合金属酸化合物膜中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造が、アモルファスとアナターゼ型とが混在した結晶構造を含むものである場合、上述したXRDピークから算出される各結晶構造の合計モル比に対するアモルファス及びアナターゼ型の合計モル比の比率を示すアモルファス及びアナターゼ型の合計の率が100%未満であると好ましく、80%以下であるとより好ましく、60%以下であるとさらに好ましく、40%以下であると特に好ましく、20%以下であるとより特に好ましく、10%以下であるとまた特に好ましく、5%以下であるとさらに特に好ましい。当該アモルファス及びアナターゼ型の合計の率が0%であると最も好ましい。
ここで、アモルファス及びアナターゼ型の合計の率は、当該複合金属酸化合物膜から採取したサンプルを、大気雰囲気下、400℃で3時間加熱することにより、アモルファスの結晶構造がアナターゼ型に変化させることができ、当該サンプルのアナターゼ率をいう。アモルファスの結晶構造を示すXRDピークはブロードニングであるから、厳密な強度比を算出することが不可能であることから、当該サンプルを加熱することにより、アモルファスをアナターゼ型に変化させることにより、アモルファス領域を特定することができる。例えば、アナターゼ率40%、且つアモルファスピークを検出した複合金属酸化合物膜において、当該複合金属酸化合物膜を、大気雰囲気下、400℃で3時間加熱し、3時間加熱した当該複合金属酸化合物膜のアナターゼ率が60%であれば、当該複合金属酸化合物膜のアモルファス及びアナターゼ型の合計の率は60%とする。
また、本発明の複合金属酸化合物粉末は、チタンと、Nb,Ta,W,Mo,Si,Zn,Al,Y,La,Ce,Zr,Nd,Sm,Eu,Dy,Hfのうちから選択される1種以上の元素Mとを含有する複合金属酸化合物粉末であって、前記複合金属酸化合物粉末は、下記組成式(1)で表され、レーザ回折・散乱法を用いた粒子径分布測定による粒子径の小さい方からの累積10%粒子径(D10)が3μm以上、累積50%粒子径(D50)が50μm以上、累積50%粒子径(D90)が100μm以上、且つ累積粒子径の比〔(D90-D10)/D50〕が4以下であることを特徴とする。
Ti(1-x)MxOy …(1)
(組成式(1)中、xは元素Mの含有量の総和を示す。また、xは、0.05≦x≦0.5で表される不等式を満たす数値である。)
本発明の複合金属酸化合物粉末は、上記組成式(1)で表され、「x」は元素Mの含有量(モル)の総和を示し、0.05≦x≦0.5で表される不等式を満たす。また、「O」は、酸素元素を表し、元素Mの原子価を「a」とすると、y≦2+(a/2-2)xで表される不等式を満たす。
また、本発明の複合金属酸化合物粉末は、レーザ回折・散乱法を用いた粒子径分布測定による粒子径の小さい方からの累積10%粒子径(D10)が3μm以上、累積50%粒子径(D50)が50μm以上、累積90%粒子径(D90)が100μm以上、且つ累積粒子径の比〔(D90-D10)/D50〕が4以下であると、粒度が大きく、且つ粒度分布が狭い点で好ましい。また、累積10%粒子径(D10)が7μm以上であるとより好ましく、40μm以上であるとさらに好ましい。累積50%粒子径(D50)が100μm以上であるとより好ましく、150μm以上であるとさらに好ましい。累積90%粒子径(D90)が200μm以上であるとより好ましく、300μm以上であるとさらに好ましい。
このように累積粒子径の比〔(D90-D10)/D50〕の上限値は4以下であると好ましいが、3以下であるとより好ましく、2.8以下、2.5以下、2.3以下、2以下であるとさらに好ましく、1.9以下、1.5以下、1.3以下であると特に好ましい。一方、累積粒子径の比〔(D90-D10)/D50〕の下限値は、理論上は0に近ければ近いほど好ましいが、実現可能な値として、典型的には1以上であると好ましく、0.5以上であるとより好ましく、0超過であるとさらに好ましく、0以上であると特に好ましい。
ここで、レーザ回折・散乱法とは、粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製:MT3300EXII)を用いて、JIS Z 8825:2013に準じた動的光散乱法により行うものである。また、フィルタリングは行なわず、次のような超音波を用いた分散処理を実施する。
具体的には、複合金属酸化合物粉末中の複合金属酸化合物結晶粒子に対する、超音波による分散処理の手順は、次の通りである。先ず、超音波による分散処理の前処理として、試料粉1mg、純粋20mLを容量50mLのPP製広口瓶に投入し、当該PP製広口瓶を超音波洗浄機(アズワン社製:VS-100III)にセットする。次に、当該洗浄機の槽内床面から上5cmまでを純水で満たした状態で、周波数28kHz、60分間に亘って超音波による分散処理を行う。
また、本発明の複合金属酸化合物粉末は、その圧粉抵抗値が15.0Ω・cm以下であると、凝集しにくく、流動性に優れるものである点で好ましい。さらに、当該圧粉抵抗値が、10.0Ω・cm以下であるとより好ましく、5.0Ω・cm以下であるとさらに好ましく、1.0Ω・cm以下であると特に好ましく、0.5Ω・cm以下であるとより特に好ましい。他方、圧粉抵抗値は、0Ω・cm以上であると好ましく、0Ω・cm超であるとより好ましく、0.001Ω・cm以上であるとさらに好ましい。
ここで、圧粉抵抗値は、抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック社製:MCP-PD51)を用いて測定される。具体的には、円筒状の測定容器内に粉末試料を充填して粉末試料層を形成した後、当該粉末試料層の上面に所定荷重を加えて圧粉して圧粉体を得る。次に、圧粉体を、温度25℃、湿度50%の条件下で圧粉された状態で厚さと抵抗値を測定し、これら及び前記測定容器の内径から圧粉体の体積抵抗率を算出し、これを圧粉抵抗値とする。
上述した本発明の複合金属酸化合物粉末の製造方法について、以下説明する。
また、本発明の複合金属酸化合物粉末の製造方法は、上述した複合金属酸化合物分散液を真空乾燥し、乾燥粉を得る乾燥工程と、前記乾燥粉を大気下で、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成する焼成工程と、焼成した前記乾燥粉を還元雰囲気下で、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成し、複合金属酸化合物粉末を得る還元工程と、を有することを特徴とする。
先ず、上述した本発明の複合金属酸化合物分散液の製造方法により得られた複合金属酸化合物分散液を静置炉内に載置し、加熱温度約80℃で7時間に亘って、真空乾燥することにより、本発明の複合金属酸化合物分散液中の水分を飛ばすことにより、本発明の複合金属酸化合物分散液に含まれる複合金属酸化合物結晶粒子を含有する複合金属酸化合物粉末の中間生成物(以下、「乾燥粉」という。)が得られる。ここで、当該中間生成物の一部を採取し、X線回折測定を実施したところ、2θ=20°~30°付近にアモルファスを示すブロードなXRDピークが見られた。
次に、得られた乾燥粉を静置炉内に載置し、大気下で、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成し、その後、還元雰囲気下(いわゆる水素還元)で、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成することにより、本発明の複合金属酸化合物粉末が得られる。得られた乾燥粉を、大気下で、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成した後、還元雰囲気下(いわゆる水素還元)で、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成すると、複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造が、ルチル型となり、優れた導電性能を有することができる点で好ましい。さらに、焼成工程の焼成温度が900℃以上1,100℃以下で、焼成時間が3時間以上10時間以下であり、還元工程の焼成温度が900℃以上1,100℃以下で、焼成時間が3時間以上10時間以下であると、複合金属酸化合物結晶粒子の成長に十分な時間であり、不要なコストを抑えることができる点でより好ましい。
また、焼成品を粉砕したものを複合金属酸化合物粉末として用いてもよい。また、粉砕されるか否かに拘らず、焼成品を篩などによって分級して得られた篩下(微粒側)を複合金属酸化合物粉末として用いてもよい。篩上(粗粒側)は再度粉砕し、分級して用いてもよい。なお、ナイロン、またはフッ素樹脂によりコーティングした鉄球等が粉砕メディアとして投入された振動篩を使用して粉砕と分級とを兼ねることも可能である。このように分級と粉砕とを兼ねることにより、焙焼後大き過ぎる複合金属酸化合物粉末が存在しても除去が可能である。具体的には、篩を用いて分級する場合、目開きが150μm-1,000μmのものを用いると好ましい。150μm-1,000μmであると、篩上の割合が多くなりすぎることがなく再粉砕を繰り返すことがなく、また篩下に再粉砕が必要な複合金属酸化合物粉末が分級されることがない。
このようにして得られた本発明の複合金属酸化合物粉末を、分散媒として水や、有機溶媒と混合し、ビーズ等のメディアを用いて湿式粉砕することにより、複合金属酸化合物粉末分散液を得ることができる。ここで、分散媒として用いられる有機溶媒は、例えばアルコール類、エステル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、エーテル類、及びそれらの混合溶媒が挙げられる。さらに、複合金属酸化合物粉末分散液を用いた、本発明の複合金属酸化合物膜の成膜性を向上させるために、樹脂成分等のバインダーを添加してもよい。バインダーとして用いられる樹脂成分は、例えばアクリル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、グリコール系樹脂、セルロース系樹脂、及びそれらの混合樹脂、共重合樹脂が挙げられる。
また、本発明の複合金属酸化合物膜は、上述した本発明の複合金属酸化合物粉末を含有することを特徴とする。
上述した本発明の複合金属酸化合物分散液から生成された本発明の複合金属酸化合物粉末から、本発明の複合金属酸化合物膜を形成してもよい。本発明の複合金属酸化合物膜は、導電性膜として、スマートフォンのディスプレイや、タッチパネル、太陽電池などに利用可能である。
また、本発明の複合金属酸化合物粉末は、上述した本発明の複合金属酸化合物粉末中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造がルチル型を含むことを特徴とする。
本発明の複合金属酸化合物粉末中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造がルチル型を含むと、優れた導電性を有する点で好ましい。ここで、本発明の複合金属酸化合物粉末中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造は、以下の粉末X線回折測定条件に従い、実施するX線回折測定によるX線回折パターンで、2θ=25°±1にシャープなXRDピークが見られれば、アナターゼ型の結晶構造であると、また2θ=27°±1(2θ=26°を除く)にシャープなXRDピークが見られれば、ルチル型の結晶構造であると判断する。
=粉末X線回折測定条件=
・回折装置:MiniFlex2(株式会社リガク製)
・X線管球:Cu
・管電圧・管電流:30kV、15mA
・スリット:DS-SS;1.25度、RS;0.3mm
・モノクロメータグラファイト
・測定間隔:0.01度
・計数方法:定時計数法
・X線解析ソフトウェア:PDXL2 Version2.9.1.0
さらに、本発明の複合金属酸化合物膜中の複合金属酸化合物結晶粒子のアナターゼ率(%)は、ASTM D 3720-90に準拠してX線回折測定を実施し、上記式(1)により算出することができる。
また、本発明の複合金属酸化合物結晶粉末は、上述した本発明の複合金属酸化合物粉末から形成された複合金属酸化合物膜中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造がルチル型を含むことを特徴とする。
本発明の複合金属酸化合物粉末から形成された複合金属酸化合物膜中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造がルチル型を含むと、優れた導電性を有する点で好ましい。
ここで、本発明の複合金属酸化合物粉末から形成された複合金属酸化合物膜中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造は、上述した薄膜X線回折測定条件に従い、実施するX線回折測定によるX線回折パターンで、2θ=25°±1にシャープなXRDピークが見られれば、アナターゼ型の結晶構造であると、また2θ=27°±1(2θ=26°を除く)にシャープなXRDピークが見られれば、ルチル型の結晶構造であると判断する。
さらに、本発明の複合金属酸化合物粉末から形成された複合金属酸化合物膜中の複合金属酸化合物結晶粒子のアナターゼ率(%)は、ASTM D 3720-90に準拠してX線回折測定を実施し、上記式(1)により算出することができる。
上述した本発明の複合金属酸化合物分散液、複合金属酸化合物膜、及び複合金属酸化合物粉末は、元素M乃至元素Mの酸化物と複合化せず、残存したチタン乃至チタン酸、例えばM-O+TiOや、その作用効果を阻害しない範囲で、添加物として、Si、Zr、Zn、Al、Y、V、La系(La、Ce、Nd、Eu、Gd、Dy、Yb),Hfなどの酸化物粉末を含有してもよい。上述した添加物の含有量は、本発明の複合金属酸化合物を100質量%としたとき、0.5質量%未満であるのが好ましく、0.1質量%未満であるのがより好ましく、0.01質量%未満であるとさらに好ましい。
さらに、本発明の複合金属酸化合物分散液、複合金属酸化合物膜、及び複合金属酸化合物粉末は、その作用効果を阻害しない範囲で、チタン乃至チタン酸に由来する成分、元素M乃至元素Mの酸化物に由来する成分、及び、分散媒に由来する成分以外の成分(「他成分」という。)を含有してもよい。他成分としては、例えばSi、Zr、Zn、Al、Y、V、La系(La、Ce、Nd、Eu、Gd、Dy、Yb),Hfなどが挙げられる。但し、これらに限定するものではない。上述した他成分の含有量は、本発明の複合金属酸化合物を100質量%としたとき、5質量%未満であるのが好ましく、4質量%未満であるのがより好ましく、3質量%未満であるとさらに好ましい。なお、本発明の複合金属酸化合物分散液、複合金属酸化合物膜、及び複合金属酸化合物粉末は、意図したものではなく、不可避不純物を含むことが想定される。不可避不純物の合計含有量は、本発明の複合金属酸化合物を100質量%としたとき、1質量%未満であるのが好ましく、0.1質量%未満であるのがより好ましく、0.01質量%未満であるのがさらに好ましい。
また、本発明の帯電防止フィルムは、上述した本発明の複合金属酸化合物膜を有することを特徴とする。
本発明の帯電防止フィルムは、例えば基材フィルムと当該基材フィルム上に形成された本発明の複合金属酸化合物膜とを有する積層体の構造である。基材フィルムの材料は、特に限定されないが、種々の樹脂などを用いることができ、その用途に応じて適宜選択できる。
なお、本発明の複合金属酸化合物は、特段の説明がない限り、チタン酸化物粒子、元素Mの酸化物粒子を混合した混合物や、部分複合金属酸化合物粒子と単一金属酸化合物粒子との混合物も包含する。
本発明の複合金属酸化合物分散液は、分散性が高く、均一な塗膜を形成しやすい。また、本発明の複合金属酸化合物分散液から形成される本発明の複合金属酸化合物膜、及び本発明の複合金属酸化合物粉末は優れた導電性能を有する。
実施例1~12に係る複合金属酸化合物分散液、複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜、比較例1に係るチタン酸分散液、チタン酸化物粉末、及びチタン酸化物膜、比較例2に係るチタン酸混合粉末、チタン酸混合膜の物性値及び測定結果の一覧表である。
以下、本発明に係る実施形態の複合金属酸化合物分散液、複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜について、以下の実施例によりさらに説明する。但し、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
実施例1に係る複合金属酸化合物分散液は、後述するように調製したチタン酸分散液、ニオブ酸分散液を混合し得られた混合液を室温(25℃)で10分間撹拌することにより得られた。
チタン酸分散液は、例えば、以下に記す工程により、得られた。
硫酸チタニル33.3g(テイカ社製、TiO濃度33.3質量%、硫酸濃度51.1質量%)をイオン交換水66.7gに加え、90℃以上で1時間静置して溶解させ、硫酸チタニル水溶液(チタン濃度(TiO換算)11質量%、硫酸17質量%、pH1以下)を得た。
この硫酸チタニル水溶液100gを、25質量%アンモニア水2,200g(硫酸チタニル水溶液中の硫酸1モルに対して18.9モルのアンモニア量)に、1分未満の時間をかけて添加した。その後、15分撹拌し、中和反応液(pH12)を得た。この中和反応液はチタン含有物のスラリー、言い換えるとチタン含有沈殿物のスラリーであった。
この中和反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、上澄み液の硫酸が100mg/L以下になるまで洗浄して、硫酸を除去したチタン含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
このチタン含有沈殿物の一部を、1,000℃で4時間焼成することでTiOを生成し、その質量からチタン含有沈殿物に含まれるTiO濃度を算出した。TiO濃度は11.0質量%だった。
そして、このチタン含有沈殿物45gと、水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物(TMAH濃度50質量%)5g(チタン含有沈殿物中のチタン1モルに対して0.443モル)と混合し、ペイントシェイカーで24時間振り混ぜることにより、チタン酸水溶液を得た。
一方、ニオブ酸分散液は、例えば、以下に記す工程により、得られた。
五酸化ニオブ100gを55%フッ化水素酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を830mL添加することによって、ニオブをNb換算で100g/L含有する(Nb=8.84質量%)フッ化ニオブ水溶液を得た。このフッ化ニオブ水溶液200mLを、アンモニア水(NH濃度25質量%)1Lに、1分間未満の時間で添加して(NH/Nbモル比=177.9、NH/HFモル比=12.2)、反応液(pH11)を得た。この反応液はニオブ酸化合物水和物のスラリー、言い換えればニオブ含有沈殿物のスラリーであった。
次に、この反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、遊離したフッ化物イオン量が100mg/L以下になるまで洗浄して、当該フッ化物イオンを除去したニオブ含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
さらに、当該フッ化物イオンを除去したニオブ含有沈殿を純水で希釈しスラリーを得た。このスラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1,000℃で4時間焼成することでNbを生成し、その重量からスラリーに含まれるNb濃度を算出した。また、得られたニオブ含有沈殿のスラリーの動的光散乱法を用いた粒子径分布測定による粒子径(D50)は、1nm未満であった。
そして、純水で希釈したニオブ含有沈殿のスラリーを、最終的な混合物のニオブ濃度がNb換算で5質量%となるように、40質量%メチルアミンと純水とを混合し、この混合物を撹拌しながら、液温を室温(25℃)に維持しながら1時間保持し、ニオブ酸分散液を得た。
上述したチタン酸分散液と、ニオブ酸分散液とを、モル比Nb/(Ti+Nb)で0.05となるように調製した混合液を室温(25℃)で10分間撹拌した後、当該混合液を静置炉内に載置し、実施例1に係る複合金属酸化合物分散液を得た。なお、実施例1に係る複合金属酸化合物分散液の酸化物濃度は、10質量%であった。当該酸化物濃度は、混合前のチタン酸分散液及びニオブ酸分散液の各酸化物濃度から算出した。
また、実施例1に係る複合金属酸化合物粉末は、以下の通りにして、得られた。
実施例1に係る複合金属酸化合物分散液を静置炉内に載置し、加熱温度約80℃で7時間に亘って、真空乾燥することにより、実施例1に係る複合金属酸化合物分散液中の水分を飛ばすことにより、乾燥粉が得られた。そして、当該乾燥粉を、静置炉内に載置し、大気下で、焼成温度900℃で、3時間に亘って焼成し、その後、焼成温度1,000℃で1時間に亘って水素還元することにより、実施例1に係る複合金属酸化合物粉末を得た。
さらに、実施例1に係る複合金属酸化合物膜は、以下の通りにして、得られた。
実施例1に係る複合金属酸化合物分散液を、シリンジを用いて15mm×15mmのガラス基板に滴下し、スピンコート(1,500rpm、30秒)により、塗布した。そして、塗布した箇所を、高圧エアーにより風乾し、当該ガラス基板上に塗膜を形成した。当該塗膜を、静置炉内に載置し、大気下で、焼成温度900℃で、3時間に亘って焼成し、その後、焼成温度1,000℃で1時間に亘って水素還元することにより、実施例1に係る複合金属酸化合物膜を得た。また、実施例1に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
(実施例2)
実施例2に係る複合金属酸化合物分散液は、チタン酸分散液と、ニオブ酸分散液とを混合する際、モル比Nb/(Ti+Nb)で0.5となるように調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る複合金属酸化合物分散液を得た。また、実施例2に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜は、実施例2に係る複合金属酸化合物分散液から生成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜を得た。なお、実施例2に係る複合金属酸化合物分散液の酸化物濃度は、実施例1と同様に算出し、10質量%であった。また、実施例2に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
(実施例3)
実施例3に係る複合金属酸化合物分散液は、チタン酸分散液と、ニオブ酸分散液とを混合する際、モル比Nb/(Ti+Nb)で0.3となるように調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る複合金属酸化合物分散液を得た。また、実施例3に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜は、実施例3に係る複合金属酸化合物分散液から生成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜を得た。なお、実施例3に係る複合金属酸化合物分散液の酸化物濃度は、実施例1と同様に算出し、10質量%であった。また、実施例3に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
(実施例4)
実施例4に係る複合金属酸化合物分散液は、チタン酸分散液と、ニオブ酸分散液とを混合する際、モル比Nb/(Ti+Nb)で0.01となるように調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る複合金属酸化合物分散液を得た。また、実施例4に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜は、実施例4に係る複合金属酸化合物分散液から生成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例4に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜を得た。なお、実施例4に係る複合金属酸化合物分散液の酸化物濃度は、実施例1と同様に算出し、10質量%であった。また、実施例4に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
(実施例5)
実施例5に係る複合金属酸化合物分散液は、チタン酸分散液と、ニオブ酸分散液とを混合する際、モル比Nb/(Ti+Nb)で0.8となるように調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係る複合金属酸化合物分散液を得た。また、実施例5に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜は、実施例5に係る複合金属酸化合物分散液から生成したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜を得た。なお、実施例5に係る複合金属酸化合物分散液の酸化物濃度は、実施例1と同様に算出し、10質量%であった。また、実施例5に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
(実施例6)
実施例6に係る複合金属酸化合物分散液は、後述するように調製したチタン酸分散液、タンタル酸分散液を混合し得られた混合液を室温(25℃)で10分間撹拌することにより得られた。
チタン酸分散液は、実施例1と同様にして、得られた。
一方、タンタル酸分散液は、例えば、以下に記す工程により、得られた。
三井金属鉱業社製水酸化タンタル137.9g(Ta濃度66質量%)を55質量%フッ化水素酸水溶液120gに溶解させ、イオン交換水を849mL添加することによって、フッ化タンタル水溶液(TaO濃度9.1質量%)を得た。
このフッ化タンタル水溶液100gを、50質量%ジメチルアミン100mLに、1分未満の時間をかけて添加した。その後、15分撹拌し、一次反応液(pH11)を得た。この一次反応液を、アンモニア水(NH濃度25質量%)460mLに、1分未満の時間をかけて添加し、二次反応液(pH12)を得た。この二次反応液はタンタル酸化合物水和物のスラリー、言い換えるとタンタル含有沈殿物のスラリーであった。
次に、この二次反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、上澄み液のフリーフッ素量が100mg/L以下になるまで洗浄して、フッ素を除去したタンタル含有沈殿物を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
このタンタル含有沈殿物の一部を、1,000℃で4時間焼成することでTaOを生成し、その質量からタンタル含有沈殿物に含まれるTaO濃度を算出した。TaO濃度は38質量%だった。
このタンタル含有沈殿物11.8gに純水29.2mLと50質量%ジメチルアミンを9g添加し、液温を室温(25℃)で保持し、1時間撹拌することにより、タンタル酸分散液を得た。
上述したチタン酸分散液と、タンタル酸分散液とを混合する際、モル比Ta/(Ti+Ta)で0.05となるように調製した混合液を室温(25℃)で1時間撹拌した後、当該混合液を静置炉内に載置し、実施例6に係る複合金属酸化合物分散液を得た。なお、実施例6に係る複合金属酸化合物分散液の酸化物濃度は、10質量%であった。当該酸化物濃度は、混合前のチタン酸分散液及びタンタル酸分散液の各酸化物濃度から算出した。
また、実施例6に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜は、実施例6に係る複合金属酸化合物分散液から生成したこと以外、実施例1と同様にして、実施例6に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜を得た。また、実施例6に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
(実施例7)
実施例7に係る複合金属酸化合物分散液は、チタン酸分散液と、タンタル酸分散液とを混合する際、モル比Ta/(Ti+Ta)で0.2となるように調製したこと以外は、実施例6と同様にして、実施例7に係る複合金属酸化合物分散液を得た。また、実施例7に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜は、実施例7に係る複合金属酸化合物分散液から生成したこと以外、実施例1と同様にして、実施例7に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜を得た。なお、実施例7に係る複合金属酸化合物分散液の酸化物濃度は、実施例6と同様に算出し、10質量%であった。また、実施例7に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
(実施例8)
実施例8に係る複合金属酸化合物分散液は、後述するように調製したチタン酸分散液、モリブデン酸分散液を混合し得られた混合液を室温(25℃)で10分間撹拌することにより得られた。
チタン酸分散液は、実施例1と同様にして、得られた。
一方、モリブデン酸分散液は、例えば、以下に記す工程により、得られた。
三酸化モリブデン100gを55質量%硫酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を添加することによって、モリブデンをMoO換算で100g/L含有する硫酸モリブデン水溶液を得た。この硫酸モリブデン水溶液200mLを、アンモニア水(NH濃度25質量%)1Lに、1分間未満の時間で添加して(NH/MoOモル比=105.66、NH/SO 2-モル比=65.56)、反応液(pH11)を得た。この反応液はモリブデン酸化合物水和物のスラリー、言い換えればモリブデン含有沈殿物のスラリーであった。
次に、この反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、導電率が500μS/cm以下になるまで洗浄して、硫黄分が除去されたモリブデン含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
さらに、硫黄分が除去されたモリブデン含有沈殿を純水で希釈することにより、硫黄分が除去されたモリブデン含有沈殿スラリーを得た。硫黄分が除去されたモリブデン含有沈殿スラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1,000℃で4時間焼成することでMoOを生成し、その重量から硫黄分が除去されたモリブデン含有沈殿スラリーに含まれるMoO濃度を算出した。
そして、純水で希釈した硫黄分が除去されたモリブデン含有沈殿スラリーを、最終的な混合物のモリブデン濃度がMoO換算で10質量%となるように、25質量%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液と純水とを混合し、この混合物を撹拌しながら、液温が室温下(25℃)に維持しながら1時間保持し、モリブデン酸分散液を得た。
上述したチタン酸分散液と、モリブデン酸分散液とを混合する際、モル比Mo/(Ti+Mo)で0.05となるように調製した混合液を室温(25℃)で10分間撹拌した後、当該混合液を静置炉内に載置し、実施例8に係る複合金属酸化合物分散液を得た。なお、実施例8に係る複合金属酸化合物分散液の酸化物濃度は、5質量%であった。当該酸化物濃度は、混合前のチタン酸分散液及びモリブデン酸分散液の各酸化物濃度から算出した。
また、実施例8に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜は、実施例8に係る複合金属酸化合物分散液から生成したこと以外、実施例1と同様にして、実施例8に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜を得た。また、実施例8に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
(実施例9)
実施例9に係る複合金属酸化合物分散液は、チタン酸分散液と、モリブデン酸分散液とを混合する際、モル比Mo/(Ti+Mo)で0.2となるように調製したこと以外は、実施例8と同様にして、実施例9に係る複合金属酸化合物分散液を得た。また、実施例9に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜は、実施例9に係る複合金属酸化合物分散液から生成したこと以外、実施例1と同様にして、実施例9に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜を得た。なお、実施例9に係る複合金属酸化合物分散液の酸化物濃度は、実施例8と同様に算出し、2質量%であった。また、実施例9に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
(実施例10)
実施例10に係る複合金属酸化合物分散液は、後述するように調製したチタン酸分散液、タングステン酸分散液を混合し得られた混合液を室温(25℃)で10分間撹拌することにより得られた。
チタン酸分散液は、実施例1と同様にして、得られた。
一方、タングステン酸分散液は、例えば、以下に記す工程により、得られた。
三酸化タングステン100gを55質量%硫酸水溶液200gに溶解させ、イオン交換水を添加することによって、タングステンをWO換算で100g/L含有する硫酸タングステン水溶液を得た。この硫酸タングステン水溶液200mLを、アンモニア水(NH濃度25質量%)1Lに、1分間未満の時間で添加して(NH/WOモル比=170.47、NH3/SO 2-モル比=13.11)、反応液(pH11)を得た。この反応液はタングステン酸化合物水和物のスラリー、言い換えればタングステン含有沈殿物のスラリーであった。
次に、この反応液を、遠心分離機を用いてデカンテーションし、導電率が500μS/cm以下になるまで洗浄して、硫黄分が除去されたタングステン含有沈殿を得た。この際、洗浄液にはアンモニア水を用いた。
さらに、硫黄分が除去されたタングステン含有沈殿を純水で希釈することにより、硫黄分が除去されたタングステン含有沈殿スラリーを得た。硫黄分が除去されたタングステン含有沈殿スラリーの一部を110℃で24時間乾燥後、1,000℃で4時間焼成することでWOを生成し、その重量から硫黄分が除去されたタングステン含有沈殿スラリーに含まれるWO濃度を算出した。
そして、純水で希釈した硫黄分が除去されたタングステン含有沈殿スラリーを、最終的な混合物のタングステン濃度がWO換算で10質量%となるように、2質量%メチルアミンと純水とを混合し、この混合物を撹拌しながら、液温が室温下(25℃)に維持しながら1時間保持し、実施例10に係るタングステン酸分散液を得た。
上述したチタン酸分散液と、タングステン酸分散液とを混合する際、モル比W/(Ti+W)で0.05となるように調製した混合液を室温(25℃)で10分間撹拌した後、当該混合液を静置炉内に載置し、実施例10に係る複合金属酸化合物分散液を得た。なお、実施例10に係る複合金属酸化合物分散液の酸化物濃度は、5質量%であった。当該酸化物濃度は、混合前のチタン酸分散液及びタングステン酸分散液の各酸化物濃度から算出した。
また、実施例10に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜は、実施例10に係る複合金属酸化合物分散液から生成したこと以外、実施例1と同様にして、実施例10に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜を得た。また、実施例10に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
(実施例11)
実施例11に係る複合金属酸化合物分散液は、チタン酸分散液と、タングステン酸分散液とを混合する際、モル比W/(Ti+W)で0.2となるように調製したこと以外は、実施例10と同様にして、実施例11に係る複合金属酸化合物分散液を得た。また、実施例11に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜は、実施例11に係る複合金属酸化合物分散液から生成したこと以外、実施例1と同様にして、実施例11に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜を得た。なお、実施例11に係る複合金属酸化合物分散液の酸化物濃度は、実施例10と同様に算出し、2質量%であった。また、実施例11に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
(実施例12)
実施例12に係る複合金属酸化合物分散液は、後述するように調製したチタン酸分散液と、ニオブ酸分散液と、タンタル酸分散液と、モリブデン酸分散液と、タングステン酸分散液とを混合し得られた混合液を室温(25℃)で10分間撹拌することにより得られた。
チタン酸分散液及びニオブ酸分散液は、実施例1と同様にして得られた。また、タンタル酸分散液は、実施例6と同様にして得られた。さらに、モリブデン酸分散液は、実施例8と同様にして得られた。そして、タングステン酸分散液は、実施例10と同様にして得られた。
上述したチタン酸分散液と、ニオブ酸分散液と、タンタル酸分散液と、モリブデン酸分散液と、タングステン酸分散液とを混合する際、モル比M/(Ti+M)がそれぞれ0.1(計0.4)となるように調製、具体的には、Nb/(Ti+Nb)、Ta/(Ti+Ta)、Mo/(Ti+Mo)、W/(Ti+W)がそれぞれ0.1(計0.4)となるように調製した混合液を室温(25℃)で10分間撹拌した後、当該混合液を静置炉内に載置し、実施例12に係る複合金属酸化合物分散液を得た。また、実施例12に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜は、実施例12に係る複合金属酸化合物分散液から生成したこと以外、実施例1と同様にして、実施例12に係る複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜を得た。なお、実施例12に係る複合金属酸化合物分散液の酸化物濃度は、10質量%であった。また、実施例12に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
(比較例1)
比較例1は、元素Mの酸化物の分散液と混合せず、チタン酸分散液のみである。また、比較例1に係るチタン酸粉末、及びチタン酸膜は、比較例1に係るチタン酸分散液から生成したこと以外、実施例1と同様にして、比較例1に係るチタン酸化物粉末、及びチタン酸化物膜を得た。なお、比較例1に係るチタン酸分散液の酸化物濃度は、10質量%であった。また、比較例1に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
(比較例2)
比較例2は、酸化チタンと酸化ニオブとからなるチタン酸混合粉末である。
比較例2に係るチタン酸混合粉末は、酸化チタン(TiO、株式会社高純度化学研究所製、アナターゼ率=10%)と酸化ニオブ(Nb、株式会社高純度化学研究所製)とを、モル比Ti/Nb=0.7/0.3、総重量100gとなるように秤量し、乳鉢で、0.5時間粉砕及び混合し、混合物を得た。そして、得られた混合物を静置炉内に載置し、大気下で、焼成温度900℃で、3時間に亘って焼成し、その後、焼成温度1,000℃で1時間に亘って水素還元することにより、比較例2に係るチタン酸混合粉末を得た。なお、比較例2に係るチタン酸混合粉末の酸化物濃度は、100質量%であった。また、比較例2に係る複合金属酸化合物の結晶構造は、ルチル型となり、アナターゼ率は0%であった。
比較例2に係るチタン酸混合粉末は、分散媒への分散性が低く、純水に分散させたチタン酸混合水分散液を用いて、成膜させることができず、表面抵抗率を測定することができなかった。そこで、比較例2に係るチタン酸混合膜は、比較例2に係るチタン酸混合粉末を8.5質量%アクリル樹脂に練り込んだチタン酸含有混合樹脂を、シリンジを用いて15mm×15mmのガラス基板に滴下し、スピンコート(1,500rpm、30秒)により、塗布し、当該ガラス基板上に塗膜を形成した。当該塗膜を、静置炉内に載置し、大気下で、焼成温度100℃で、1時間に亘って焼成し、比較例2に係るチタン酸混合膜を得た。
そして、実施例1~12に係る複合金属酸化合物分散液、複合金属酸化合物粉末、及び複合金属酸化合物膜、比較例1に係るチタン酸分散液、チタン酸化物粉末、及びチタン酸化物膜、比較例2に係るチタン酸混合粉末、チタン酸混合膜について、次のような物性を測定した。測定した物性値の測定方法は、以下の通りである。なお、後述した測定方法により、測定された物性値、及び試験結果を図1に示す。
〈透過率測定〉
実施例1~12に係る複合金属酸化合物分散液、及び比較例1に係るチタン酸分散液を、室温(25℃)に調整した各分散液を、光路長5.0mmの石英セルに入れて、分光光度計を用いて、透過率を測定した。
=透過率測定条件=
・測定装置:紫外可視近赤外分光光度計UH4150形(株式会社日立ハイテクサイエンス製)
・測定モード:波長スキャン
・データモード:%T(透過)
・測定波長範囲:200~2,600nm
・スキャンスピード:600nm/min
・サンプリング間隔:2nm
透過率測定条件に基づいて、測定して得られた透過率から、波長500nmにおける透過率を算出した。
〈動的光散乱法〉
実施例1~12に係る複合金属酸化合物分散液、及び比較例1に係るチタン酸分散液の粒度分布の評価は、ゼータ電位・粒径・分子量測定システム(大塚電子株式会社製:ELSZ-2000ZS)を用いて、JIS Z 8828:2019に準じた動的光散乱法により行った。また、2μm孔径のフィルタで濾過し、前述の超音波を用いた分散処理を行った。なお、粒子径(D50)は、積算分布曲線の50%積算値を示す粒子径であるメディアン径(D50)をいう。
図1中の「初期粒度(nm)」は、生成された直後に液温25℃に調整した実施例1~11に係る複合金属酸化合物分散液中の複合金属酸化合物の粒子径(D50)であり、比較例1に係るチタン酸分散液中のチタン酸化物の粒子径(D50)である。また、図1中の「経時粒度(nm)」は、室温25℃に設定した恒温器内で1カ月静置した後の実施例1~12に係る複合金属酸化合物分散液中の複合金属酸化合物の粒子径(D50)であり、比較例1に係るチタン酸分散液中のチタン酸化物の粒子径(D50)である。なお、比較例2は混合粉末であるため、測定していない。
〈pH測定〉
25℃にした実施例1~12に係る複合金属酸化合物分散液、及び比較例1に係るチタン酸分散液を卓上型pHメータ(株式会社堀場製作所製:F-71S:スタンダードToupH電極)を用いて測定した。なお、比較例2は混合粉末であるため、測定していない。
〈経時安定性試験〉
実施例1~12に係る複合金属酸化合物分散液、及び比較例1に係るチタン酸分散液を室温25℃に設定した恒温器内で1カ月間静置した後、経時粒度を測定し、初期粒度と比べることにより、著しい粒度の増加の有無を確認すると共に、沈殿物の有無を目視観察することにより行った。経時粒度が初期粒度と比べて10倍以下である場合、著しい粒度の増加が観察されなかったものとし、経時安定性を有するとして「○(GOOD)」と評価し、経時粒度が初期粒度と比べて10倍を超えた場合、著しい粒度の増加や、沈殿物が観察されたものとし、経時安定性を有しないとして「×(BAD)」と評価した。また、上述した通り、1カ月静置後の実施例1~12に係る複合金属酸化合物分散液中の複合金属酸化合物の経時粒子径(D50)、及び比較例1に係るチタン酸分散液中のチタン酸粒子の経時粒子径(D50)を、上述した動的光散乱法を用いて測定した。
〈レーザ回折・散乱法〉
実施例1~12に係る複合金属酸化合物粉末、比較例1に係るチタン酸化物粉末、及び比較例2に係るチタン酸混合粉末の粒度分布の評価は、レーザ回折・散乱法粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル株式会社製:MT3300EXII)を用いて、JIS Z 8825:2013に準じたレーザ回折・散乱法により行った。図1中の「粒度(USあり)」は、前述の超音波を用いた分散処理を行った後、測定した粒度である。一方、図1中の「粒度(USなし)」は、前述の超音波を用いた分散処理を行なう前に、測定した粒度である。
さらに、図1中の「D10(μm)」は、粒子径の小さい方からの累積10%粒子径(D10)である。図1中の「D50(μm)」は、粒子径の小さい方からの累積50%粒子径(D50)である。図1中の「D90(μm)」は、粒子径の小さい方からの累積90%粒子径(D90)である。さらに、図1中の「(D90-D10)/D50」は、これらの累積粒子径の比である。そして、図1中の「D50粒度比(USあり/USなし)」、すなわち「D50(USあり)/D50(USなし)」は、前述の超音波を用いた分散処理前後での粒度比率を算出したものである。「D50(USあり)/D50(USなし)」は、1±0.5であると、粉末の流動性に優れ、塗膜を形成する際の抵抗力も小さく、膜厚が均一な膜を形成しやすい点で好ましい。また、「D50(USあり)/D50(USなし)」は、1±0.3であるとより好ましく、1±0.2であるとさらに好ましく、1±0.1であると特に好ましい。
〈圧粉抵抗値〉
実施例1~12に係る複合金属酸化合物粉末、比較例1に係るチタン酸化物粉末、及び比較例2に係るチタン酸混合粉末(以下、「粉末試料」という。)の圧粉抵抗値は、抵抗率計(三菱ケミカルアナリテック社製:MCP-PD51)を使用して測定した。具体的には、内径20mmの円筒状の測定容器内に5gの粉末試料を充填して粉末試料層を形成した後、当該粉末試料層の上面に4kNの荷重を加えて圧粉して圧粉体を得た。圧粉体を、温度25℃、湿度50%の条件下で圧粉された状態(4kNの荷重が加えられたまま)で厚さと抵抗値を測定し、これら及び前記測定容器の内径から圧粉体の体積抵抗率を算出し、これを圧粉抵抗値とした。
〈流動性試験〉
実施例1~12に係る複合金属酸化合物粉末、比較例1に係るチタン酸化物粉末、及び比較例2に係るチタン酸混合粉末(以下、「粉末試料」という。)の流動性は、小型の粉末充填機(株式会社ナオミ製:RD703-T+SU01)に容量20Lのホッパーを取り付け、粉末試料を当該ホッパーに5kg/minで投入し、60分間連続運転時の詰まりの有無により評価した。具体的には、投入した粉末試料のホッパーからの排出速度が4kg/minを超える速度を保持し続けた場合を、ホッパーに詰まりが発生せず、粉末試料が流れ続けたと判断し「○(GOOD)」と評価した。一方、投入した粉末試料のホッパーからの排出速度が4kg/min以下となった場合を、ホッパーに詰まりが発生し、粉末試料に流動がなくなったと判断し「×(BAD)」と評価した。
〈成膜性試験〉
実施例1~12に係る複合金属酸化合物膜、比較例1に係るチタン酸化物膜、及び比較例2に係るチタン酸混合膜を、ガラス基板(15mm×15mm)の表面に形成し、それら塗膜の外観評価を光学顕微鏡で観察することによって行った。形成した塗膜を光学顕微鏡で100倍にて観察し、且つ当該塗膜中に粗粒子が存在せず、気泡、塗工ムラ、ひび割れが一つも観察されなかったものは、成膜性に優れているとして「○(GOOD)」と評価し、当該塗膜中に粗粒子が存在し、または気泡、塗工ムラ、ひび割れが少なくとも一つでも観察されたものを成膜性に優れていないとして「×(BAD)」と評価した。
〈表面抵抗率〉
実施例1~12に係る複合金属酸化合物膜、比較例1に係るチタン酸化物膜、及び比較例2に係るチタン酸混合膜の表面抵抗率は、それぞれJIS-K6911に準じて測定された値である。それらの表面抵抗率は、抵抗率計(三菱ケミカル株式会社製:Loresta-GX MCP-T700)を用いて、実施例1~12に係る複合金属酸化合物膜、比較例1に係るチタン酸化物膜、及び比較例2に係るチタン酸混合膜の各表面に4端子のプローブを当てて、各表面の表面抵抗率を測定した。そして、表面抵抗率が1.0Ω/□以下であれば、導電性が特に優れるものとして「〇〇(Very Good)」と評価し、表面抵抗率が1.0Ω/□超20.0Ω/□であれば、導電性が優れるものとして「〇(Good)」と評価し、表面抵抗率が20.0Ω/□超であれば、導電性が劣るものとして「×(Bad)」と評価した。なお、比較例2に係るチタン酸混合膜の表面抵抗率は、上述した通り、比較例2に係るチタン酸混合粉末を8.5質量%アクリル樹脂に練り込んだチタン酸含有混合樹脂を焼成し、成膜したものであり、実施例1~11に係る複合金属酸化合物膜や、比較例1に係るチタン酸化物膜とは、成膜条件が異なる。
実施例1~12に係る複合金属酸化合物分散液は、動的光散乱法を用いた粒子径分布測定による粒子径(D50)が100nm以下であると、分散媒への分散性が高く、溶解性も優れるものであった。
実施例1~12に係る複合金属酸化合物分散液は、モル比M/(Ti+M)が、0.01-0.8であると、長期保管時の溶液安定性に優れるものであった。
実施例1~12に係る複合金属酸化合物分散液は、透過率が90%以上であると、分散媒への分散性が高く、溶解性にも優れるものであった。
実施例1~12に係る複合金属酸化合物分散液は、それらのpHが12以上であると、安定性に優れていた。
実施例1~12に係る複合金属酸化合物分散液は、1カ月経過した後であっても、経時粒度(D50)は、初期粒度(D50)から粒度の増加はほぼ観察されず、また沈殿物が観察されず、経時安定性に優れるものであった。
実施例1~12に係る複合金属酸化合物粉末は、レーザ回折・散乱法を用いた粒子径分布測定による粒子径の小さい方からの累積10%粒子径(D10)が3μm以上、累積50%粒子径(D50)が50μm以上、累積90%粒子径(D90)が100μm以上、且つ累積粒子径の比〔(D90-D10)/D50〕が4以下であることから、粒度が大きく、その粒度分布が狭い焼成粉であった。
実施例1~12に係る複合金属酸化合物粉末は、超音波を用いた分散処理前後での粒度比率「D50(USあり)/D50(USなし)」が1±0.5の範囲内であることから、粉末の流動性に優れ、塗膜を形成する際の抵抗力も小さく、膜厚が均一な膜を形成しやすいものであった。
実施例1~12に係る複合金属酸化合物粉末は、その圧粉抵抗が15.0Ω・cm以下であることから凝集しにくく、流動性に優れるものであった。
さらに、実施例1~12に係る複合金属酸化合物膜は、各複合金属酸化合物分散液から形成した塗膜を光学顕微鏡で100倍にて観察した結果、当該塗膜中に粗粒子が存在せず、且つ気泡、塗工ムラ、ひび割れが一つも観察されず、成膜性に優れるものであった。
実施例1~12に係る複合金属酸化合物膜の表面抵抗率は、20Ω/□以下であり、導電性能に優れるものであった。
本明細書開示の発明は、各発明や実施形態の構成の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な構成を本明細書開示の他の構成に変更して特定したもの、或いはこれらの構成に本明細書開示の他の構成を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な構成を部分的な作用効果が得られる限度で削除して特定した上位概念化したものを含む。
本発明に係る複合金属酸化合物分散液は、均一な塗膜を形成しやすく、導電性能に優れた塗膜を形成することが可能であるから、本発明に係る複合金属酸化合物分散液から生成された複合金属酸化合物分散膜は、スマートフォンのディスプレイや、タッチパネル、太陽電池などの幅広い用途に好適である。また、本発明に係る複合金属酸化合物分散液は、導電性能に優れることから、従来よりも少量の複合金属酸化合物であっても同等の導電性能を発揮することができる。それにより、製造物自体や、それに伴う廃棄物の量を減らすことでき、製造時及び廃棄時の処分におけるエネルギーコストを削減することが可能となる。このように、天然資源の持続可能な管理及び効率的な利点、並びに脱炭素(カーボンニュートラル)化を達成することにつながる。

Claims (21)

  1. チタンと、Nb,Ta,W,Mo,Zn,Al,Y,La,Ce,Nd,Sm,Eu,Dy,Hfからなる群より選択される1種以上の元素Mとを含む複合金属酸化合物と、分散媒と、を含有する複合金属酸化合物分散液の製造方法であって、
    チタン塩溶液を中和して得られたチタン含有沈殿物と4級アンモニウム化合物とを混合しチタン酸水溶液を得る工程と、前記チタン酸水溶液と前記元素Mの酸化物を含む元素M化合物とを混合し、複合金属酸化合物分散液を得る工程とを有し、
    前記複合金属酸化合物分散液が、動的光散乱法を用いた粒子径分布測定による前記複合金属酸化合物分散液中の粒子の粒子径(D50)が100nm以下であることを特徴とする複合金属酸化合物分散液の製造方法
  2. 前記チタンと前記元素Mとの和に対する前記元素Mのモル比が、0.01-0.8であることを特徴とする請求項1に記載の複合金属酸化合物分散液の製造方法
  3. 前記モル比が、0.05-0.5であることを特徴とする請求項2に記載の複合金属酸化合物分散液の製造方法
  4. 前記元素Mが、Nb,Ta,W,Moからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の複合金属酸化合物分散液の製造方法
  5. 前記4級アンモニウム化合物が、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)であることを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の複合金属酸化合物分散液の製造方法
  6. 前記分散媒が極性溶媒であることを特徴とする請求項1~3の何れか1つに記載の複合金属酸化合物分散液の製造方法
  7. 前記極性溶媒は、水であることを特徴とする請求項6に記載の複合金属酸化合物分散液の製造方法
  8. 請求項1~3の何れか1つに記載の複合金属酸化合物分散液の製造方法により製造された、複合金属酸化合物分散液を塗布し、焼成ることを特徴とする複合金属酸化合物膜の製造方法
  9. 請求項1~3の何れか1つに記載の複合金属酸化合物分散液の製造方法により製造された、複合金属酸化合物分散液を、基材の表面に塗布する塗布工程と、
    前記基材の表面に塗布された前記複合金属酸化合物分散液を乾燥し、塗膜を得る乾燥工程と、
    前記塗膜を、大気下、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成する塗膜焼成工程と、
    焼成された前記塗膜を、還元雰囲気下、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成し、複合金属酸化合物膜を得る酸化物膜還元工程と、
    を有することを特徴とする複合金属酸化合物膜の製造方法。
  10. 前記塗膜焼成工程の焼成温度が900℃以上1,100℃以下で、焼成時間が3時間以上10時間以下であり、前記酸化物膜還元工程の焼成温度が900℃以上1,100℃以下で、焼成時間が3時間以上10時間以下であることを特徴とする請求項に記載の複合金属酸化合物膜の製造方法。
  11. 前記複合金属酸化合物膜中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造がルチル型を含むことを特徴とする請求項8に記載の複合金属酸化合物膜の製造方法。
  12. 請求項1~3の何れか1つに記載の複合金属酸化合物分散液の製造方法により製造された、複合金属酸化合物分散液を、基材フィルム上に塗布し、焼成することを特徴とする帯電防止フィルムの製造方法
  13. チタンと、Nb,Ta,W,Mo,Zn,Al,Y,La,Ce,Zr,Nd,Sm,Eu,Dy,Hfのうちから選択される1種以上の元素Mとを含有する複合金属酸化合物粉末であって、
    前記複合金属酸化合物粉末は、下記組成式(1)で表され、レーザ回折・散乱法を用いた粒子径分布測定による粒子径の小さい方からの累積10%粒子径(D10)が3μm以上、累積50%粒子径(D50)が50μm以上、累積90%粒子径(D90)が100μm以上、且つ累積粒子径の比〔(D90-D10)/D50〕が4以下であることを特徴とする複合金属酸化合物粉末。
    Ti(1-x)MxOy …(1)
    (組成式(1)中、xは元素Mの含有量の総和を示す。また、xは、0.05≦x≦0.5で表される不等式を満たす数値である。また、「O」は、酸素原子を表し、元素Mの原子価を「a」とすると、y≦2+(a/2-2)xで表される不等式を満たす。)
  14. 前記元素Mは、Ta,W,Mo,Zn,Hfのうちから選択される1種以上の元素であることを特徴とする請求項1に記載の複合金属酸化合物粉末。
  15. チタンと、Nb,Ta,W,Mo,Si,Zn,Al,Y,La,Ce,Zr,Nd,Sm,Eu,Dy,Hfのうちから選択される1種以上の元素Mとを含有する複合金属酸化合物粉末であって、
    前記複合金属酸化合物粉末は、下記組成式(1)で表され、レーザ回折・散乱法を用いた粒子径分布測定による粒子径の小さい方からの累積10%粒子径(D10)が3μm以上、累積50%粒子径(D50)が50μm以上、累積90%粒子径(D90)が100μm以上、且つ累積粒子径の比〔(D90-D10)/D50〕が4以下であり、
    且つ前記複合金属酸化合物粉末は、複合金属酸化合物粉末中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造がルチル型を含むことを特徴とする複合金属酸化合物粉末。
    Ti(1-x)MxOy …(1)
    (組成式(1)中、xは元素Mの含有量の総和を示す。また、xは、0.05≦x≦0.5で表される不等式を満たす数値である。また、「O」は、酸素原子を表し、元素Mの原子価を「a」とすると、y≦2+(a/2-2)xで表される不等式を満たす。)
  16. 請求項1~3の何れか1つに記載の複合金属酸化合物分散液を真空乾燥し、乾燥粉を得る乾燥工程と、
    前記乾燥粉を大気下で、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成する焼成工程と、
    焼成した前記乾燥粉を還元雰囲気下で、焼成温度が600℃以上1,200℃以下で、焼成時間が30分以上10時間以下で焼成し、複合金属酸化合物粉末を得る還元工程と、
    を有することを特徴とする複合金属酸化合物粉末の製造方法。
  17. 前記焼成工程の焼成温度が900℃以上1,100℃以下で、焼成時間が3時間以上10時間以下であり、前記還元工程の焼成温度が900℃以上1,100℃以下で、焼成時間が3時間以上10時間以下であることを特徴とする請求項1に記載の複合金属酸化合物粉末の製造方法。
  18. 請求項1~1の何れか1つに記載の複合金属酸化合物粉末を含有することを特徴とする複合金属酸化合物膜。
  19. 請求項1、又は1に記載された複合金属酸化合物粉末中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造がルチル型を含むことを特徴とする複合金属酸化合物粉末。
  20. 請求項18に記載された複合金属酸化合物膜中の複合金属酸化合物結晶粒子の結晶構造がルチル型を含むことを特徴とする複合金属酸化合物膜。
  21. 請求項18に記載の複合金属酸化合物膜を有することを特徴とする帯電防止フィルム。
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