JP7487425B1 - 搬送用ベルト - Google Patents

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考太郎 山浦
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Abstract

搬送面とは逆側に位置する裏面に露出した帆布が、複数の経糸と複数の緯糸とから構成されていて、前記裏面に15mm角の判定領域を設定し、前記帆布の厚さ方向を高さ方向として、前記判定領域内での最低位置を基準とした場合の最高高さをHmax、前記帆布の厚さをT、前記緯糸の直径をDとした場合、H=Hmax-0.8×(T-D)/2と特定された基準高さH以上の高さとなっている領域を凸部領域とし、前記判定領域内での前記凸部領域の数量をN1とし、前記基準高さH未満の高さとなっている領域を凹部領域とし、前記判定領域内での前記凹部領域の数量をN2として、N1とN2の合計が100個以下とされている搬送用ベルトである。

Description

関連出願の相互参照
本願は、日本国特願2022-195610、日本国特願2023-114584号に基づく優先権を主張し、引用によって本願明細書の記載に組み込まれる。
本発明は、ベルトコンベアに用いられる搬送用ベルトに関するものである。
被搬送物を載置した状態で搬送するために用いられているベルトコンベアは、複数のプーリーと、これら複数のプーリーに巻かれて周回移動する搬送用ベルトとを備えている。搬送用ベルトは、搬送方向に対応して長手方向が長く形成された布地から構成されている。搬送用ベルトを構成する前記布地は帆布等である。
ここで、特許文献1(日本国特許第6894906号公報)に記載の発明は、作動中の騒音低減を課題としている。特許文献1には、搬送用等のベルトを構成する布地において、経糸と緯糸とを直角ではない傾斜角度で交差させると共に、緯糸を波状に形成したことが記載されている。
日本国特許第6894906号公報
ところが、このように経糸と緯糸とを特殊な位置及び形状の関係で設定する構成では、ベルトを製造する際に特殊な製造装置(織機等)が必要になることから好ましくない。
そこで本発明は、特殊な製造装置を要さずに搬送時の騒音を低減できるよう構成した搬送用ベルトを提供することを課題とする。
本発明は、長手方向に移動させられることにより、搬送面に当接させた搬送対象物品を搬送できる搬送用ベルトであって、少なくとも、前記搬送面とは逆側に位置する裏面に帆布が露出しており、前記帆布は、前記長手方向に沿って配置された複数の経糸と、前記複数の経糸の各々と交差して配置された複数の緯糸とから構成されていて、前記裏面に15mm角の判定領域を設定し、前記帆布の厚さ方向を高さ方向として、前記判定領域内での最低位置を基準とした場合の最高高さをHmax、前記帆布の厚さをT、前記緯糸の直径をDとした場合、
H=Hmax-0.8×(T-D)/2
と特定された基準高さH以上の高さとなっている領域を凸部領域とし、前記判定領域内での前記凸部領域の数量をN1とし、前記基準高さH未満の高さとなっている領域を凹部領域とし、前記判定領域内での前記凹部領域の数量をN2として、N1とN2の合計が100個以下とされている搬送用ベルトである。
また、前記経糸としてマルチフィラメントが用いられ、前記緯糸としてモノフィラメントが用いられることができる。
また、前記裏面に露出した前記帆布には接着剤が含浸されていてもよい。
また、前記凹部領域は、前記裏面に露出した凹部であり、前記経糸と前記緯糸とによりそれぞれ囲まれるように形成された複数の凹部が、空間を共有するように一部が連なり合うことで形成されていることができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る搬送用ベルトにおける裏側帆布の帆布断面を、裏面側を上にして示す模式図である。 図2は、前記搬送用ベルト全体の縦断面の構成を示す模式図である。 図3Aは、試作ベルトの騒音測定要領を示す概略図であって、平面図である。 図3Bは、試作ベルトの騒音測定要領を示す概略図であって、左側面図である。 図3Cは、試作ベルトの騒音測定要領を示す概略図であって、正面図である。 図4は、試作ベルトである、前記搬送用ベルトの試作品(実施例)の各構成、及び、騒音測定結果を示す表である。 図5は、試作ベルトである、前記搬送用ベルトの比較例の各構成、及び、騒音測定結果を示す表である。 図6は、前記搬送用ベルトの試作品(実施例)と比較例に対する騒音測定結果を示したグラフである。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。以下の説明においては、搬送時に搬送対象物品が当接する面(表面)を搬送面、搬送面とは逆側に位置する面(ベルトコンベアが備えるプーリー、ローラー、テーブルの各々に接する側の面)を裏面とする。これに即し、方向の表現として「表側」「裏側」を用いる。
本実施形態の搬送用ベルト1は、例えば、物流現場等において荷物の搬送等に用いられる軽搬送用ベルトに適用される。この搬送用ベルト1は、一端と他端が接続されて無端の環状に形成されていて、運転時、循環移動によって長手方向に移動させられることにより、搬送面に当接させた搬送対象物品を搬送できる。
この搬送用ベルト1は例えば、図2に示すような2プライ構成であって、2枚の帆布(表側帆布11、裏側帆布12)が、中間樹脂層13(本実施形態では熱可塑性ポリウレタン製)を介して貼り合わせられて一体化されている。また、表側帆布11の表面は、カバー樹脂層14で覆われている。
図1に、裏側帆布12の帆布断面を模式的に示す。なお図1には、ベルトコンベアに装着された場合、上側に位置する面(この面には、図2に示すように、中間樹脂層13を介して表側帆布11が積層されている)が下を向くように示されている。各帆布11,12は、ポリエステル製の複数の経糸2と複数の緯糸3とが織られることで構成されている。経糸2にはマルチフィラメントが用いられ、緯糸3にはモノフィラメントが用いられている。相対的に柔軟なマルチフィラメントを経糸2に用いることで、例えばベルトコンベアへの装着の際にプーリーに対して沿わせるように搬送用ベルト1を曲げやすい。このため、運転中のブレが生じにくい。一方、相対的に剛直なモノフィラメントを緯糸3に用いることで、搬送用ベルトの不要な幅方向への変形を抑制でき、搬送対象物品を安定して支持できる。また、ベルトコンベアの構成部材への接触時において、当該構成部材に押されることによる過度な変形も防止できる。
複数の経糸2は搬送用ベルト1の長手方向に沿って配置され、複数の緯糸3は搬送用ベルト1に対する平面視において、複数の経糸2とそれぞれ交差して配置されている。本実施形態の緯糸3は経糸2と直交して配置されているが、直角でない角度で交差するよう構成されていてもよい。図2に示すように、搬送面側の帆布はカバー樹脂層14(本実施形態では熱可塑性ポリウレタン製)で覆われており、このカバー樹脂層14が搬送対象物品に当接する。また、裏面に露出した帆布12には接着剤が含浸されている。これにより、搬送用ベルト1の幅方向の端部が接着剤により固められるので、経糸2(マルチフィラメント)の一部が外れることにより、端部にケバ立ちが発生することを抑制できる。また、蛇行防止のためのガイド部材を、搬送用ベルト1の裏面に溶着で取り付ける際、荒らし加工を行うことなく施工可能である。ちなみに、接着剤を含浸させると帆布が硬くなって、プーリーやテーブル等の支持体との接触時に発生する音が大きくなる傾向にあることから、低騒音化の観点では不利になる。しかし本実施形態では、下記のように凸部領域4と凹部領域5の数量を調整することによって低騒音化をはかることができるので、ケバ立ちへの対策や、ガイド部材の取り付けを容易にすべく、接着剤を含浸させることにしている。以上のような構成によって、少なくとも、前記搬送面とは逆側に位置する裏面に(本実施形態の場合、接着剤を含侵させた状態の)帆布が露出している。
搬送用ベルト1の製造方法の一例を示す。まず、用意した2枚の帆布11,12に樹脂溶液を含浸させるプライマー処理を施す。本実施形態ではウレタン樹脂製接着剤溶液を含浸させる。次に、2枚の帆布11,12の間に、加熱した樹脂を流し込む。本実施形態では、押出成形の手法でTダイから樹脂を吐出して流し込んでいる。この樹脂は搬送用ベルト1における中間樹脂層13となる。次に、樹脂を流し込んだ状態の2枚の帆布11,12を、2本の貼り合わせロールにより挟み込み、圧着することで一体化させる。
本実施形態の搬送用ベルト1は、裏面において露出する帆布が以下のような形状に設定されている。まず、裏面に15mm角(裏面に正対した形状が正方形)の判定領域を設定する。そして、帆布の厚さ方向(図1では上向きの方向)を高さ方向として、判定領域内での最低位置を基準とした場合の最高高さをHmax、帆布(具体的には裏側帆布12)の厚さをT、緯糸3の直径をDとした場合、
H=Hmax-0.8×(T-D)/2
と特定された基準高さH以上の高さとなっている領域(つまり、他の部分よりも裏面側に突出している領域)を凸部領域4とし、判定領域内での凸部領域4の数量をN1とする。また、基準高さH未満の高さとなっている領域を凹部領域5とし、判定領域内での凹部領域5の数量をN2とする。なお、前記計算式における0.8との係数は、個体毎の織り形態のばらつきを考慮して、余裕を設けるための数値である。そして、N1とN2の合計が100個以下となるようにする。また、N1とN2の合計は、好ましくは50個以下となるようにする。また、N1とN2の合計の下限としては、製造面や搬送用ベルトに要求される他の特性(熱収縮率等)を考慮すると、20個以上が好ましい。
最高高さ(Hmax)は、例えば3D形状測定機等を用いて測定することができる。測定は、レーザーや可視光によるスキャン、画像解析等の種々の手段によって行うことができる。また、帆布の厚さ(T)はダイヤルゲージ等の測定具を用いて測定することができる。また、モノフィラメントからなる緯糸3の直径(D)は一定の数値であって、カタログ値を用いることができる。また、緯糸3を実際に測定することによって得ることもできる。なお、マルチフィラメントからなる経糸2の直径は、変形が生じやすくばらつきがあることから、前記計算式に直接的及び間接的(最高高さ(Hmax)に関し)に含めていない。
ここで、搬送用ベルト1による騒音の少なくとも一部は、ベルトを支持するテーブルやローラー等の支持体に移動中の搬送用ベルト1が当たることにより生じている。より詳しく述べると、ベルト裏面の凹凸に由来する段差41(詳しくは、凸部領域4の側面)の少なくとも一部が支持体に当たる(衝突する)ことが騒音の原因と考えられる。特に、搬送用ベルト(1)は帆布(本実施形態では表側帆布11、裏側帆布12)と樹脂層(本実施形態では中間樹脂層13、カバー樹脂層14)から構成されているものであるから、厚さ方向にぶれることがあって、ぶれながら支持体に当たる状況では、一層騒音が大きくなる可能性がある。
本実施形態では、この段差41の単位面積当たり(または、幅方向の単位長さ当たり)の数量を、従来の搬送用ベルト1よりも少なくなるよう設定することで、支持体に当たる段差41の個数を減らしたことに伴い、低騒音化を実現できたと考えられる。つまり、単位面積当たりの凹凸を意図的に少なくしたことが本発明の特徴と言える。
特に物流用途の搬送用ベルト1は、搬送スピードを上げるために高速運転されることがあり、高速運転した際の騒音低減が、設置現場の環境改善のために求められている。本実施形態の搬送用ベルト1は、この要求に十分に応えることができる。
複数積層された(本実施形態では2プライ構成)帆布のうち少なくとも裏面側に露出する帆布(具体的には裏側帆布12)の織組織としては、例えば綾織、朱子織が採用できる。なお、これらは代表的に例示したものであって、これらに限定されない。これらは、従来から搬送用ベルトの織組織として一般的であった平織よりも製造コストは高いが、騒音対策の観点を重視する際に選択できる。なお、図1に示した裏側帆布12の織組織は2/2綾織である(図1は1本の経糸2に沿って示されている)。
凹部領域5は、搬送用ベルト1の裏面に露出した凹部であり、経糸2と緯糸3とによりそれぞれ囲まれるように形成された凹部同士が、空間を共有するように一部の箇所で連なり合うことで形成されている。綾織の場合、ベルト長手方向に対して斜行した方向に複数の凹部が連なって、まとまった単位となっている。このため、凹部が連なって形成された凹部領域5(凹部同士が連ならない場合よりもはるかに大きくなる)と、凹部領域5に隣り合う凸部領域4の、所定範囲内の数量を例えば平織(凹部同士が連ならず、凸部によって離れている)の場合に比べて減少させることができる。このように、織組織(例えば綾織)により、複数の凹部が一まとまりとなった凹部領域5を容易に形成できる。
次に、本願の発明者が複数の異なる構成で試作品(実施例)と比較例に係る試作ベルト10をそれぞれ作成し、騒音を測定したので以下に説明する。測定対象の試作ベルト10は、表側帆布11(図2参照、以下の試作ベルト10の構成に関して同じ)として、経糸密度84本/5cm、緯糸密度52本/5cmの平織で製織したポリエステル織物を使用し、裏側帆布12として前記ポリエステル織物に準ずるが、織組織及び緯糸本数を図4及び図5に示すように変更して構成した帆布を、実施例1~参考例1、2、比較例1~6に使用した。また、中間樹脂層13はアジぺートエステル系熱可塑性ポリウレタンを使用した。各帆布11,12を構成する経糸2はポリエチレンテレフタラート製のマルチフィラメント(1100dtex/192f)であり、緯糸3はポリエチレンテレフタラート製のモノフィラメント(1100dtex)である。各帆布11,12の積層は、製造方法例として前述した要領で行った。裏側帆布12には予め前述した要領でウレタン樹脂製接着剤溶液を含浸させておいた。なお、表側帆布11に対してカバー樹脂層14は設けなかった。
図3A~図3Cに示すように、無端の環状に形成された試作ベルト10(周長260cm、幅10cm、厚さ1.4mm)は、2軸のベルトコンベヤのプーリーP,P間に掛け渡され、ステンレス合金製のテーブルTで支持されるようにした。なお、安全対策上、試験用のベルトコンベヤは金網を備えた枠内に配置した(図3A~図3Cの各図には枠を示していない)。前記テーブルT(すなわち、ベルトコンベヤにおける上側のベルト通過位置)と同じ高さで、テーブルTの長手方向中央であり、試作ベルト10の幅方向端縁からベルト長手方向と垂直な方向に1m離れた位置に集音部の先端を位置させ、前記テーブルの方に向けて1台のマイクMを設置した。騒音計は、リオン株式会社製の「NA-29E」を使用した。測定は室内で行った。この室内は、ベルト停止時の全騒音(暗騒音)が60dB以下の環境であった。
マイクMの水平方向側方に測定対象の布地が来たときの騒音値(全騒音)を測定値として採用した。騒音測定条件のうち、周波数重み付け特性はA特性、時間重み付け特性はF(速い)である。試作ベルト10の走行速度は150m/minとした。なお、他の速度でも試験を行ったが、ここでは代表して150m/minで運転した場合の測定について説明する。また、全騒音での騒音評価の境界を74dBとした。なおこの数値は、織組織が平織である搬送用ベルトの騒音が約85dBであったため、これより約10dBの低騒音化を目標として定めたものである。
試作ベルト10のうちで本願発明に係る搬送用ベルト1の試作品である実施例1~6、参考例1、2、比較例1~6の、裏側帆布12の帆布構成(織構造、組織図、長手方向5cm当たりの緯糸3の本数、前記計算式におけるHmax、T、D、Hの数値、N1とN2の個数)、及び、騒音測定結果を図4及び図5に示す。また図6に、横軸をN1とN2の合計数量(個数)で、縦軸を騒音測定結果で表示したグラフを示す。図6のグラフにおいてグレーに着色した領域内のポイントが良好な結果を示した設定である。
具体的に、前記計算式でのN1とN2の合計数量が28個(実施例1)、24個(実施例2,5)、22個(実施例3,6)、37個(実施例4)、89個(参考例1)、83個(参考例2)の各々に設定されたものが良好であった。このため、150m/min運転時の結果に応じ、N1とN2の合計数量の設定基準を100個以下と設定するようにした。なお、150m/min以外の他の速度で運転した場合の測定でも、騒音レベルの変化について同様の傾向がみられた。
以上、凸部領域4と凹部領域5の単位面積当たりの数量が、搬送用ベルト1の静音性に影響を与えることが明確に確認できた。これは従来になかった新しい観点によるものであって、例えば日本国特許第6894906号公報(前記特許文献1)に記載されたような特殊な織組織の形成を条件としないから、低コストである一般的製法を用いて低騒音の搬送用ベルト1を提供できる。従って、本発明によると、低コストながら大きな低騒音効果を得ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、帆布のプライ数は前記実施形態では2であったが、1や3以上であってもよい。また、カバー樹脂層14は形成しなくてもよい。また、帆布への接着剤の含浸はなされなくてもよく、この場合、接着剤が含侵された場合に比べて、帆布が相対的に柔らかくなるので、さらなる騒音の低減が期待できる。
前記実施形態に関する構成と作用につき、以下にまとめて記載する。前記実施形態は、長手方向に移動させられることにより、搬送面に当接させた搬送対象物品を搬送できる搬送用ベルト1であって、少なくとも、前記搬送面とは逆側に位置する裏面に帆布12が露出しており、前記帆布12は、前記長手方向に沿って配置された複数の経糸2と、前記複数の経糸2とそれぞれ交差して配置された複数の緯糸3とから構成されていて、前記裏面に15mm角の判定領域を設定し、前記帆布12の厚さ方向を高さ方向として、前記判定領域内での最低位置を基準とした場合の最高高さをHmax、前記帆布の厚さをT、前記緯糸の直径をDとした場合、
H=Hmax-0.8×(T-D)/2
と特定された基準高さH以上の高さとなっている領域を凸部領域4とし、前記判定領域内での前記凸部領域4の数量をN1とし、前記基準高さH未満の高さとなっている領域を凹部領域5とし、前記判定領域内での前記凹部領域5の数量をN2として、N1とN2の合計が100個以下とされている搬送用ベルト1である。
この構成によると、裏面の単位面積当たりの凸部領域4の数量と凹部領域5の数量の合計を従来よりも減らすことができることから、凸部領域4及び凹部領域5に起因する騒音を低減できる。
また、前記経糸2としてマルチフィラメントが用いられ、前記緯糸3としてモノフィラメントが用いられることができる。
この構成によると、相対的に柔軟なマルチフィラメントを経糸2に用いることで、例えばベルトコンベアへの装着の際にプーリーに対して沿わせるように搬送用ベルト1を曲げやすい。一方、相対的に剛直なモノフィラメントを緯糸3に用いることで、搬送用ベルトの不要な幅方向への変形を抑制でき、搬送対象物品を安定して支持できる。
また、前記裏面に露出した前記帆布には接着剤が含浸されていてもよい。
この構成によると、搬送用ベルト1の幅方向の端部が接着剤により固められるので、当該端部にケバ立ちが発生することを抑制できる。
また、前記凹部領域5は、前記裏面に露出した凹部であり、前記経糸2と前記緯糸3とによりそれぞれ囲まれるように形成された複数の凹部が、空間を共有するように一部が連なり合うことで形成されていることができる。
この構成によると、複数の凹部が一まとまりとなった凹部領域5を容易に形成できる。
前記実施形態によると、凸部領域4の数量と凹部領域5の数量の合計を減らすことで騒音を低減できる。よって、特殊な製造装置を要さずに搬送時の騒音を低減できる。
1…搬送用ベルト、2…経糸、3…緯糸、4…凸部領域、5…凹部領域、11…表側帆布、12…裏側帆布、13…中間樹脂層、14…カバー樹脂層、41…段差

Claims (4)

  1. 長手方向に移動させられることにより、搬送面に当接させた搬送対象物品を搬送できる搬送用ベルトであって、
    少なくとも、前記搬送面とは逆側に位置する裏面に帆布が露出しており、
    前記帆布は、
    前記長手方向に沿って配置された複数の経糸と、前記複数の経糸とそれぞれ交差して配置された複数の緯糸とから構成されていて、
    前記裏面に15mm角の判定領域を設定し、
    前記帆布の厚さ方向を高さ方向として、前記判定領域内での最低位置を基準とした場合の最高高さをHmax、前記帆布の厚さをT、前記緯糸の直径をDとした場合、
    H=Hmax-0.8×(T-D)/2
    と特定された基準高さH以上の高さとなっている領域を凸部領域とし、前記判定領域内での前記凸部領域の数量をN1とし、
    前記基準高さH未満の高さとなっている領域を凹部領域とし、前記判定領域内での前記凹部領域の数量をN2として、N1のN2に対する数量比が85%以上100%以下であり、かつ、N1とN2の合計が40個以下とされている搬送用ベルト。
  2. 前記経糸としてマルチフィラメントが用いられ、前記緯糸としてモノフィラメントが用いられた、請求項1に記載の搬送用ベルト。
  3. 前記裏面に露出した前記帆布には接着剤が含浸されている、請求項1に記載の搬送用ベルト。
  4. 前記凹部領域は、前記裏面に露出した凹部であり、前記経糸と前記緯糸とによりそれぞれ囲まれるように形成された複数の凹部が、空間を共有するように一部が連なり合うことで形成されている、請求項1に記載の搬送用ベルト。
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