本発明は、エンジンからの排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置を備えたコンバインにおいて、排気ガス浄化装置および熱交換器の配置構成を工夫することにより、機体のスペースを有効活用し、排気ガス浄化装置の設置構成のコンパクト化を可能とするとともに、排気ガス浄化装置および熱交換器について良好なメンテナンス性を得ようとするものである。以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
まず、図1から図4を用いて、本実施形態に係るコンバイン1の全体構成について説明する。なお、以下の説明では、コンバイン1の前方に向かって左側および右側を、それぞれコンバイン1における左側および右側とする。
図1から図3に示すように、コンバイン1は、左右一対のクローラ部3,3を有するクローラ式の走行装置として構成された走行部2と、走行部2により支持された走行機体4とを備える。コンバイン1は、刈取部5と、脱穀部6と、穀粒タンク7と、選別部8と、排出オーガ9と、排藁処理部10とを備える。
走行部2を構成する各クローラ部3は、走行機体4の下方において前後方向に延設されたトラックフレーム3aと、トラックフレーム3aに支持された各種回転体と、これらの回転体に巻回された履帯3bとを有する。クローラ部3は、トラックフレーム3aに支持された回転体として、トラックフレーム3aの前端部に支持された駆動スプロケット3c等を含む。クローラ部3は、駆動スプロケット3cにおいて、走行機体4上に搭載された駆動源としてのエンジン11の動力の伝達を受けて駆動する。
刈取部5は、圃場の穀稈を刈り取りながら取り込むための装置構成であり、走行機体4の前部に設けられている。刈取部5は、走行機体4の前側において、コンバイン1の機体幅の略全体にわたって設けられている。刈取部5は、走行機体4に対して、昇降用の油圧シリンダを介して所定の軸回りに回動可能に装着されており、油圧シリンダの伸縮動作による回動動作によって昇降調節可能に設けられている。
刈取部5は、刈取フレームとしての刈取支持機枠5aを有し、この刈取支持機枠5aに、分草体5b、引起装置5c、刈刃装置5e、および穀稈搬送装置5fを支持させて構成されている。刈取部5は、分草体5bにより圃場の穀稈を分草し、分草した穀稈を引起装置5cにより引き起し、引き起した穀稈を穀稈搬送装置5fにより後側へ搬送しつつ刈刃装置5eにより切断して刈り取る。刈取部5が有する各装置は、コンバイン1が備えるエンジン11から動力が伝達されることで作動する。
走行機体4上には、刈取部5により刈り取られた穀稈を脱穀処理する脱穀部6と、脱穀部6から取り出された穀粒を貯留する穀粒貯留部としての穀粒タンク7とが、横並び状に設けられている。脱穀部6は機体左側に、穀粒タンク7は機体右側にそれぞれ配置されている。
脱穀部6は、前後方向を回転軸方向とする扱胴6aおよび処理胴(図示略)と、扱胴6aの左方に設けられた穀稈供給装置とを有する。穀稈供給装置は、穀稈の株元を挟持して穂先を扱胴6a側とした横臥姿勢で穀稈を後方へ搬送する。穀稈供給装置は、左右方向を回転軸方向とする複数のスプロケットに巻回されたフィードチェンと、フィードチェンと協働して穀稈の株元を挟扼する穀稈供給挟扼体(図示略)とを有する。
走行機体4上における脱穀部6の下方には、脱穀部6により脱穀処理された処理物を選別処理する選別部8が設けられている。選別部8は、揺動選別装置8aと、図示せぬ風選別装置および穀粒搬送装置を有する。選別部8は、脱穀部6から落下してきた処理物を揺動選別装置8aにより揺動選別し、揺動選別後の処理物を風選別装置により風選別する。選別部8は、風選別後の処理物のうち、穀粒を穀粒搬送装置により穀粒タンク7に向けて右方へ搬送し、藁屑や塵埃などを風選別装置により後方へ飛ばして機体の外部に排出する。穀粒搬送装置により穀粒タンク7に向けて搬送された穀粒は、穀粒タンク7に貯留される。
走行機体4上の右側後端部には、穀粒タンク7内の穀粒を外部へ排出する穀粒排出装置としての排出オーガ9が、走行機体4の右後側に設けられた縦取出しコンベア9bを介して旋回可能に設けられている。穀粒タンク7に貯留されている穀粒は、スクリューコンベアを内装した排出オーガ9により搬送され、排出オーガ9の先端部に設けられた排出口9aから排出される。排出口9aから排出された穀粒は、トラックの荷台やコンテナ等に投入される。
一方、走行機体4上において、脱穀部6の後方には、脱穀部6による脱穀処理後の排藁を処理する排藁処理部10が設けられている。排藁処理部10は、排藁搬送装置10aと、排藁切断装置10bとを有する。排藁搬送装置10aは、脱穀部6により脱穀済みの穀稈(排稈)を後方に搬送して機体の外部に排出するかあるいは排藁切断装置10bに搬送する。排藁切断装置10bは、排藁搬送装置10aから搬送された排稈を切断して機体の外部に排出する。
また、走行機体4上において、刈取部5の右方であって穀粒タンク7の前方には、キャビン20により覆われた運転部12が設けられている。つまり、運転部12は、走行機体4の前部の上方に設けられている。運転部12は、キャビン20内に設けられている。図4に示すように、運転部12の前部には、操向操作部としてのハンドル18が設けられており、ハンドル18の後方に、運転席19が設けられている。また、運転席19の左側方には、主変速レバー21や副変速レバー22等の各種操作具等をサイドコラム23に配設した側方操作部が設けられている。
運転部12の後下方には、エンジンルーム13内に設置されたエンジン11を含む原動機部が設けられている。エンジン11の動力は、変速装置等を介して、走行部2、刈取部5、脱穀部6、選別部8、排出オーガ9、排藁処理部10等、コンバイン1が備える各部の各種装置に伝達される。エンジン11は、ディーゼルエンジンである。
エンジンルーム13内において、エンジン11の右側方には、ラジエータ14が配置されている(図3参照)。ラジエータ14は、エンジン11の冷却水の循環経路の途中に設けられており、エンジン11から送られてきた冷却水を、外気との間の熱交換によって冷却する。ラジエータ14により冷却された冷却水は、エンジン11に戻される。ラジエータ14は、矩形板状の外形を有し、左右方向を厚さ方向とする向きで立設されている。
また、図2および図4に示すように、エンジン11の右側方には、エンジンルーム13の右側を覆うエンジンカバーとしての外気導入カバー15が設けられている。外気導入カバー15の内側に、ラジエータ14が位置している。つまり、エンジン11と外気導入カバー15との間に、ラジエータ14が配置されている。外気導入カバー15から取り込まれた外気は、ラジエータ14における熱交換に用いられる。
外気導入カバー15は、コンバイン1の右側において、キャビン20と穀粒タンク7との間に設けられている。外気導入カバー15は、穀粒タンク7の右側の側面部と面一状をなすように設けられている。
外気導入カバー15の後縁部は、側面視で鉛直方向に沿うように直線状に形成されている。外気導入カバー15は、その後縁部に沿うように走行機体4上に立設された図示せぬ支柱に対して、図示せぬヒンジ部を介して上下方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。外気導入カバー15は、支柱に対する後側の回動支持部により、前側から開くように開閉可能に設けられている。
外気導入カバー15が閉じた状態において、エンジン11およびラジエータ14の機外側となる右側が外気導入カバー15により覆われ、エンジンルーム13が右側から閉じられた状態となる。外気導入カバー15が開くことにより、エンジンルーム13の右側が開放された状態となる。
外気導入カバー15には、ロータリスクリーン16が設けられている。ロータリスクリーン16は、エンジンルーム13内に、エンジン11に対する冷却風として外気を取り込むための構成である。ロータリスクリーン16は、外気導入カバー15に形成された円形状の開口部16aの中心部に位置する回転支持部により回転可能に支持されており、図示せぬモータの駆動によって回転するように構成されている。
ロータリスクリーン16は、円形状の開口部16aに、メッシュ状の防塵網16bを張設した構成を有する。防塵網16bにより、塵や埃や藁等が捕集され、塵等が外気とともにエンジンルーム13内に侵入することが防がれる。防塵網16bにより捕集された塵等は、ロータリスクリーン16の外側に設けられた吸引装置17によって除去される。吸引装置17は、防塵網16bに付着した塵等を吸引して機外に排出するように構成されている。
また、外気導入カバー15の上側には、上カバー部24が設けられている。上カバー部24は、板状のカバー部分であり、外気導入カバー15と面一状の右側面部をなすように設けられている。上カバー部24は、所定のフレーム部分等に対して固定された状態で設けられている。
以上のような構成を備えたコンバイン1は、走行機体4の前部にエンジン11を配置し、走行機体4上に脱穀部6および穀粒タンク7を左右に横並び状に配置している。
走行機体4は、トラックフレーム3a上において前後方向または左右方向に配されたフレーム部材や板状部材等によって水平状に構成された機台部25を有する(図8参照)。前後方向について、機台部25の後側は、クローラ部3の後端から後側に延出している。
機台部25上に、エンジン11並びに脱穀部6および穀粒タンク7が設けられている。エンジン11は、出力軸の軸方向を左右方向とする向きで、機台部25の前部の右側寄りの位置に搭載されている。つまり、エンジン11は、走行機体4の前部の右側に配置されている。機台部25上におけるエンジン11よりも後側の部分に、脱穀部6および穀粒タンク7が設けられている。また、機台部25の前側における左右のクローラ部3の間には、ミッションケース26が配置されている。エンジン11の動力は、ミッションケース26を介して左右のクローラ部3に伝達される。
図5から図11に示すように、コンバイン1は、エンジン11からの排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置30を備えている。排気ガス浄化装置30は、第1ケースとしてのDPFケース31と、第2ケースとしてのSCRケース32とを有し、これらのケースにエンジン11からの排気ガスを導入して、排気ガス中に含まれる煤等の粒子状物質や窒素酸化物(NOx)等を除去することで、排気ガスを浄化する。
DPFケース31は、エンジン11の排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルタケースである。SCRケース32は、尿素を用いた選択触媒還元(SCR)のシステムをなし、エンジン11の排気ガス中の窒素酸化物質を除去するケースである。
DPFケース31は、ケース内に設けられたディーゼル酸化触媒およびスートフィルタを有する。ディーゼル酸化触媒は、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等の酸化触媒である。スートフィルタは、捕集した粒子状物質を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のフィルタである。DPFケース31のケース内において、ディーゼル酸化触媒およびスートフィルタは、排気ガスの流れに対して、上流側をディーゼル酸化触媒、下流側をスートフィルタとして直列的に配置されている。ディーゼル酸化触媒およびスートフィルタにより、DPFケース31内を通過するエンジン11の排気ガス中の黒煙を主体とする粒子状物質が除去されるとともに、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)が低減する。
SCRケース32は、ケース内に設けられたSCR触媒および酸化触媒を有する。SCR触媒は、尿素選択触媒還元用の触媒である。SCRケース32のケース内において、SCR触媒および酸化触媒は、排気ガスの流れに対して、上流側をSCR触媒、下流側を酸化触媒として直列的に配置されている。SCR触媒および酸化触媒により、SCRケース32内を通過する排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)を低減する。
DPFケース31およびSCRケース32は、いずれも略円筒状のケースとして構成されており、互いに同程度の大きさを有する。DPFケース31およびSCRケース32それぞれにおいて、略円筒状の外形における長手方向(筒軸方向)が、ケース内における排気ガスの流れの方向となる。
排気ガス浄化装置30において、DPFケース31およびSCRケース32は、DPFケース31を下側、SCRケース32を上側として上下に縦並びに配置されている。SCRケース32は、DPFケース31の直上に位置しており、DPFケース31およびSCRケース32は、略円筒状の外形における中心軸を共通の鉛直面に位置させるように配置されている。DPFケース31とSCRケース32の間の上下の間隔は、いずれかのケースの外径より小さい間隔となっている。
DPFケース31およびSCRケース32は、略円筒状の外形における長手方向を前後方向とする向きで設けられている。DPFケース31およびSCRケース32は、互いに略同じ長さを有し、前後方向の位置を互いに略共通としている。
排気ガス浄化装置30は、走行機体4の前部に配置されたエンジン11の上方に設けられている。詳細には排気ガス浄化装置30は次のような位置に設けられている。
上下方向について、排気ガス浄化装置30は、エンジン11の本体部分の上方に、DPFケース31およびSCRケース32を位置させるように設けられている(図10参照)。上下方向についての排気ガス浄化装置30の配置位置は、脱穀部6の上側の位置であって、水平状の排出オーガ9よりも下側の位置である(図1参照)。
また、前後方向について、排気ガス浄化装置30は、エンジン11の本体部分の後端部の上方に、DPFケース31およびSCRケース32の前端部を位置させるように設けられている(図9参照)。前後方向についての排気ガス浄化装置30の配置位置は、キャビン20の後壁部20aの直後方の位置となる(図1、図2参照)。
また、左右方向について、排気ガス浄化装置30は、エンジン11の左側の端部の上方に、DPFケース31およびSCRケース32を位置させるように設けられている(図10参照)。左右方向についての排気ガス浄化装置30の配置位置は、走行機体4の略左右中央部の位置であり、脱穀部6と穀粒タンク7との間の位置となっている(図3参照)。
また、排気ガス浄化装置30は、キャビン20のルーフ部20bよりも下側の位置であって、キャビン20の左後側に配置されている(図1、図3参照)。特に、本実施形態では、キャビン20の後壁部20aは、後傾状に傾斜した面部となっており、キャビン20のルーフ部20bの後端部は後側に突出している。そして、上面視において、排気ガス浄化装置30の右前側の部分は、ルーフ部20bの左後側の角部により覆われている(図3参照)。
以上のような排気ガス浄化装置30の配置構成により、DPFケース31およびSCRケース32は、エンジン11の上方に配置された運転部12の後方、かつ脱穀部6の左右内側である右側に、長手方向を前後方向とする向きで上下に並んだ状態で配置されている。
排気ガス浄化装置30の配管構成および排気ガス浄化装置30に接続された装置構成について説明する。
エンジン11において、排気ガスの出口部を構成する排気マニホールドには、過給機40が設けられている(図7参照)。過給機40は、互いに同軸駆動される排気タービンおよびコンプレッサを有し、エンジン11に強制的に空気を送り込む。過給機40の排気ガスの出口側に、エンジン11からの排気ガスを排出する排気管41の一端側(上流側)が連通接続されている。
排気管41の他端側(下流側)は、排気ガス浄化装置30のDPFケース31に連通接続されている。DPFケース31は、その前部の下側に、下方に向けて突出した排気ガス導入口31aを有し、排気ガス導入口31aに、排気管41の下流側の接続を受けている。排気管41により、エンジン11の排気ガスがDPFケース31内に導入される。
過給機40は、エンジン11の上部の前側に設けられており、左側を排気ガスの出口側としている。排気管41は、過給機40の左側から後斜め上方に向けて延出し、DPFケース31の前端部の下側に接続されている。
排気管41は、過給機40の排気ガスの出口側に連通接続された排気連結管41aと、DPFケース31の排気ガス導入口31aに連通接続されたDPF入口管41bと、排気連結管41aおよびDPF入口管41bの間に介在してこれらの管同士を連通接続させるフレキシブル管41cとを有する。フレキシブル管41cは、折曲げや伸縮を可能とするように蛇腹状に構成され、エンジン11の振動を吸収し、エンジン11の振動が排気連結管41aからDPF入口管41bに伝達されることを防いでいる。なお、排気連結管41aおよびDPF入口管41bは、いずれも鋳物部品により構成されている。
DPFケース31において、略円筒状の外形における後面部31bから、DPFケース31内の排気ガスを排出するDPF出口管42が延出している。DPF出口管42は、DPFケース31の後面部31bの中央部から左上方に延出されてから前側に向かうように折り返し状に配されている。DPF出口管42は、DPFケース31の中心軸方向視(後面視)において、後面部31bの中央部から、鉛直方向に対して例えば50~55°程度の傾斜角度をなすように左上方に延出している。
一方、SCRケース32は、その前部の左下側に、左下方に向けて突出した排気ガス導入口32aを有し、排気ガス導入口32aに、SCR入口管43の下流側が連通接続されている。SCR入口管43は、排気ガス導入口32aから後側に向かうように配されたエルボ状の配管である(図13参照)。SCR入口管43は、SCRケース32の中心軸方向視において、排気ガス導入口32aから、鉛直方向に対して40~45°程度の傾斜角度をなすように設けられている(図17参照)。
DPF出口管42の下流側とSCR入口管43の上流側とは、前後方向に対向しており、DPF出口管42とSCR入口管43との間に、これらの管同士を連通接続させる尿素混合管45が設けられている。尿素混合管45は、DPFケース31の左上方の位置、かつSCRケース32の左下方の位置に位置し、これらのケースの中心軸方向と平行状となるように前後方向に沿って配されている。図17に示すように、後面視において、DPFケース31およびSCRケース32の各ケースの中心軸C1,C2の位置と、尿素混合管45の中心軸C3の位置とを結ぶ三角形は、右側を底辺側とする略二等辺三角形状となる。
以上のような構成において、DPFケース31から後側に排出される排気ガスは、DPF出口管42により流れを前側へと折り返し、尿素混合管45およびSCR入口管43を経て、排気ガス導入口32aからSCRケース32内に導入される。
SCRケース32の後側には、SCRケース32内の排気ガスを排出するSCR出口管46が設けられている。SCRケース32の後部は、前側から後側にかけて徐々に縮径したボウル状の縮径部32bとなっており、縮径部32bの後端部には、後方に向けて円筒状に突出した排出口部32cが設けられている(図12参照)。排出口部32cは、SCRケース32からの排気ガスの排出口を形成している。
SCR出口管46は、一端側(上流側)の内部に円筒状の排出口部32cを位置させた状態で設けられている。排出口部32cは、SCR出口管46内において開口しており、SCRケース32の内部空間とSCR出口管46が連通している。排出口部32cは、SCR出口管46の管径に対して小径の部分であり、SCR出口管46の内周面と排出口部32cの外周面との間には、外気を吸入するための隙間が全周にわたって存在している。
SCR出口管46は、後面視で左上側に向かうように、かつ平面視で左後側にむかうようにエルボ状に湾曲した形状を有する。SCR出口管46の他端側(下流側)には、SCR出口管46とともに排気ガス浄化装置30の排出管部分を構成するテールパイプ47が取り付けられている。テールパイプ47は、SCR出口管46を左斜め後上方に直線状に延出させた態様で設けられている。テールパイプ47は、先端側の開口部において斜めカット状の開口形状を有する。
DPF出口管42には、尿素噴射部48が設けられている。尿素噴射部48は、DPF出口管42において、上流側の湾曲部分と下流側の直線状の部分との間の部分から、尿素混合管45を後方に延出させた態様をなす筒状の突出部42aに対して設けられている。尿素噴射部48は、DPF出口管42に対して着脱可能に設けられている。
以上のように、排気ガス浄化装置30は、DPFケース31の排気の出口を構成するDPF出口管42とSCRケース32の排気の入口を構成するSCR入口管43との間に介在する尿素混合管45を有する。そして、尿素混合管45は、DPFケース31およびSCRケース32に対して脱穀部6側に配置されている。
すなわち、DPFケース31およびSCRケース32は、左右方向について左側の脱穀部6と右側の穀粒タンク7との間に配置されており、尿素混合管45は、DPFケース31およびSCRケース32に対して左側、つまり脱穀部6側に配置されている。そして、本実施形態では、尿素混合管45は、DPFケース31およびSCRケース32の左側において、これらのケースの中間の高さに位置している。
ここで、尿素噴射部48に尿素水を供給するための構成について、図14を用いて説明する。図14に示すように、排気ガス浄化装置30は、尿素混合管45に尿素水を供給するための尿素水供給装置50を有する。
尿素水供給装置50は、尿素水タンク51に貯留された尿素水(選択触媒還元用尿素水溶液)を、尿素噴射部48に供給する。尿素噴射部48は、尿素水供給装置50に対して噴射用配管52によって接続されており、噴射用配管52から尿素水の供給を受ける。尿素噴射部48は、噴射弁48aを有し、尿素水供給装置50により噴射用配管52から供給された尿素水を噴射弁48aによって尿素混合管45内に噴霧する。
尿素水供給装置50と尿素水タンク51との間には、尿素水タンク51から尿素水供給装置50へと尿素水を供給するための尿素水供給管53と、尿素水供給装置50から尿素水タンク51へと尿素水を戻すための尿素水戻し管54とが設けられている。また、尿素水供給装置50は、尿素水タンク51内の尿素水を圧送させるポンプ50aと、ポンプ50aを駆動する電動モータ50bとを有する。
尿素水供給装置50の動作は、尿素噴射コントローラ55により制御される。尿素噴射コントローラ55は、コンバイン1が備えるエンジンコントローラ56に接続されており、エンジンコントローラ56との間で信号のやりとりを行う。エンジンコントローラ56は、エンジン11の燃料噴射制御等を行う。尿素噴射コントローラ55は、尿素噴射部48の噴射弁48a、および尿素水供給装置50の電動モータ50bのそれぞれに接続されており、噴射弁48aおよび尿素水供給装置50の動作を制御する。
また、尿素水タンク51には、タンク内の尿素水の温度を検出するための温度センサ51aと、タンク内の尿素水の水量を検出するための水量センサ51bとが設けられている。温度センサ51aおよび水量センサ51bは、尿素噴射コントローラ55に接続されており、各センサの検出信号は尿素噴射コントローラ55に入力される。
このような構成により、エンジン11の作動状況などに応じて、適正なタイミングで尿素混合管45内に尿素水が供給される。尿素混合管45内に供給された尿素水は、DPFケース31から排出されSCRケース32に導入される排気ガス中にアンモニアとして混合される。
以上のような構成を備えた排気ガス浄化装置30においては、エンジン11の排気ガスがDPFケース31を経ることにより、排気ガス中に含まれた粒子状物質が連続的に酸化除去されるとともに、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減する。DPFケース31から排出された尿素混合管45内の排気ガスは、尿素噴射部48から尿素水を噴射することで加水分解により生成されたアンモニアの混合を受け、SCRケース32内に導入される。SCRケース32内に導入された排気ガスは、SCRケース32を経ることにより、窒素酸化物質(NOx)の含有量の低減作用を受ける。以上のようにしてDPFケース31およびSCRケース32によって浄化されたエンジン11の排気ガスは、SCR出口管46を経てテールパイプ47から左斜め後上方に向けて機外に排出される。
排気ガス浄化装置30の走行機体4上における支持構成について説明する。排気ガス浄化装置30は、走行機体4が有する機台部25に対して所定の支持部材によって支持されている。コンバイン1は、機台部25に対する排気ガス浄化装置30の支持構成として、走行機体4の機台部25上に設けられ、運転部12を支持する支持フレーム60と、支持フレーム60を走行機体4の機台部25に連結させる連結フレーム80とを備える(図11参照)。
図11に示すように、支持フレーム60および連結フレーム80は、機台部25の前部に設置されたエンジン11の周りを囲むように枠組み構成されており、エンジンルーム13(図3参照)を形成している。エンジン11の右側には、冷却ファン71が設けられており、冷却ファン71の右方に、ラジエータ14が設置されている(図10参照)。ラジエータ14の左側には、冷却ファン71の周囲を覆うシュラウドが設けられている。冷却ファン71が回転駆動することにより、ラジエータ14の右側方に配置された外気導入カバー15のロータリスクリーン16からエンジンルーム13内に冷却用の外気が取り込まれる(図3、図4参照)。
支持フレーム60は、エンジン11の前部の上方において左右方向に配された横フレーム61と、横フレーム61と略同じ高さ位置でエンジン11の右方において前後方向に配された前後延伸フレーム62と、前左支柱63、前右支柱64および後右支柱65の3本の支柱とを有する。支持フレーム60を構成するこれらのフレームおよび支柱は、いずれも角形鋼管により形成されている。
前左支柱63は、機台部25上におけるエンジン11の左方の位置に設けられた支持台部73上に設けられている。支持台部73は、機台部25上に立設された支柱73aや支持台73b等によって水平状の支持面部73cを支持した構成を有する。前左支柱63は、前左支柱63の下端部に所定の支持金具を溶接等によって固定すること等により設けられた支持部63aを、支持面部73cに対してボルト等により固定させた状態で、支持面部73c上に鉛直状に立設されている。
前右支柱64は、前後方向について、前左支柱63よりも前方に位置し、エンジン11の右前方の位置に設けられている。前右支柱64は、前右支柱64の下端部に設けられた支持板部64a等を介して下端部を機台部25に対してボルト等により固定させた状態で機台部25上に鉛直状に立設されている。
後右支柱65は、前右支柱64に対して左右方向の位置を略同じとするとともに前右支柱64の後方に位置し、エンジン11の右後方の位置に設けられている。後右支柱65は、後右支柱65の下端部に設けられた支持板部65a等を介して下端部を機台部25に対してボルト等により固定させた状態で機台部25上に鉛直状に立設されている。
前後延伸フレーム62は、平面視で前後方向に沿うように延伸しており、前右支柱64および後右支柱65により前後両側で支持された状態で設けられている。前右支柱64は、前後延伸フレーム62の前端部を下側から支持している。後右支柱65は、前後延伸フレーム62の後部を下側から支持している。前右支柱64および後右支柱65それぞれの上端側は、溶接等によって前後延伸フレーム62に固定されている。
後右支柱65は、前後延伸フレーム62の後端部よりも前側の位置を支持している。したがって、前後延伸フレーム62は、後右支柱65による支持位置から後方に延出した後方延出部62aを有する。また、前後延伸フレーム62は、水平状の後部に対して前部を緩やかに前下がりに傾斜させた傾斜部62bとしており、傾斜部62bの前端部を支持する前右支柱64は、後右支柱65に対して高さが低くなっている。
横フレーム61は、前左支柱63と前後延伸フレーム62との間に水平状に架設されている。横フレーム61の左端部は、前左支柱63の上下中間部の前面に対して溶接等によって固定されている。横フレーム61の右端部は、前後延伸フレーム62の前部の上側に位置させ、前後延伸フレーム62に対して所定の支持金具66等を介して固定支持されている。
横フレーム61は、キャビン20の後部を下側から支持するフレームである。横フレーム61には、左右両側に受台部67が設けられている。受台部67は、横フレーム61から後方に向けて突設された水平板状の部分である。受台部67は、キャビン20の底面部の後部に設けられた支持脚体(図示略)を受ける部分である。支持脚体は、ゴム等の弾性部材により構成されている。受台部67には、支持脚体を受けるための円形の貫通孔67aが形成されている。
キャビン20は、左右の受台部67に対して支持脚体を上側から当接させた状態で、横フレーム61に支持されている。なお、キャビン20は、機台部25上においてエンジン11の前方に設けられた所定の回動支持部により、左右方向を回動軸方向として前方に回動可能に設けられており、キャビン20の後部は、左右の受台部67に対して離脱可能となっている。以上のような構成により、キャビン20内に設けられた運転部12が、機台部25上に設けられた支持フレーム60によって支持されている。
連結フレーム80は、エンジン11の上方において前後方向に配された中央前後延伸フレーム81と、エンジン11の後方に設けられた後中央支柱82とを有する。中央前後延伸フレーム81および後中央支柱82は、いずれも角形鋼管により形成されている。
後中央支柱82は、機台部25上におけるエンジン11の左右中央部の後方の位置に設けられている。後中央支柱82は、左右方向について、前左支柱63と前右支柱64の間の略中央の位置に設けられており、前後方向について、後右支柱65よりも後方の位置に設けられている。後中央支柱82は、後中央支柱82の下端部に所定の支持金具を溶接等によって固定すること等により設けられた支持部82aを、機台部25に対してボルト等により固定させた状態で、機台部25上に鉛直状に立設されている。
中央前後延伸フレーム81は、水平状に前後方向に沿うように延伸しており、横フレーム61および後中央支柱82により前後両端で支持された状態で設けられている。中央前後延伸フレーム81の前端部は、横フレーム61の左右略中央部の上方に位置しており、下支持金具83および上支持金具84を介して固定支持されている(図17参照)。
下支持金具83は、箱状に形成され水平状の上面部を有する金具であり、溶接によって横フレーム61に固定されている。上支持金具84は、水平状の下面部を有し側面視で略U字状をなす金具であり、溶接によって中央前後延伸フレーム81に固定されている。下支持金具83および上支持金具84は、下支持金具83の上面部と上支持金具84の下面部を重ねた状態で、ボルト85等によって互いに固定されている。横フレーム61上における中央前後延伸フレーム81の支持部は、横フレーム61に設けられた左側の受台部67の右側の近傍に位置している。
後中央支柱82は、中央前後延伸フレーム81の後端部を下側から支持している。後中央支柱82の上端側は、溶接等によって中央前後延伸フレーム81に固定されている。
このように、連結フレーム80をなす中央前後延伸フレーム81および後中央支柱82により、一端側を横フレーム61に連結支持させるとともに他端側を機台部25上に支持させたL字状のフレーム部分が構成されている。連結フレーム80に対して、中央前後延伸フレーム81上に、支持枠体90が設けられている。
支持枠体90は、DPFケース31およびSCRケース32を連結フレーム80に固定状態で支持させる部材である。すなわち、連結フレーム80を構成する中央前後延伸フレーム81上に、DPFケース31およびSCRケース32が、支持枠体90を介して固定支持された状態で設けられている。このように、コンバイン1は、機台部25に対する排気ガス浄化装置30の支持構成として、連結フレーム80に設けられた固定部材としての支持枠体90を備える。
図12に示すように、支持枠体90は、略矩形板状の外形をなす部材であり、略矩形枠状の外枠部91と、外枠部91内において放射状をなすように横方向および斜め方向に配された6本の直線状の部分を含む架設部92とを有する。外枠部91の各辺部と架設部92の直線部とにより、支持枠体90を板厚方向に貫通した複数の(本実施形態では6箇所の)開口部93が形成されている。複数の開口部93により、DPFケース31およびSCRケース32に対する通気性が確保されている。
本実施形態において、支持枠体90は、鋳物部品であり、高い剛性を有する。ただし、支持枠体90は、鋳物部品に限定されるものではなく、他の金属製の部材であってもよい。
支持枠体90は、略矩形板状の外形における板厚方向を左右方向とする向きで、中央前後延伸フレーム81に対して、支持ブラケット95および支持プレート96を介して固定支持されている(図15参照)。支持ブラケット95および支持プレート96は、いずれも中央前後延伸フレーム81の略半分の長さを有する長手状の部材であり、中央前後延伸フレーム81の後半部の上側に設けられている。また、DPFケース31およびSCRケース32並びにこれらを支持する支持枠体90は、前後方向について中央前後延伸フレーム81の略半分の長さを有し、中央前後延伸フレーム81の後半部に対して支持された状態で設けられている。
支持ブラケット95は、前面部、後面部、右側の側面部、および上面部を有し、下側および左側を開放側とした略角筒状の部材である。支持ブラケット95は、中央前後延伸フレーム81の上に重なった状態で、中央前後延伸フレーム81に対して溶接等によって固定されている。支持ブラケット95は、上面部を支持面部95aとしている。支持面部95aは、中央前後延伸フレーム81の上面81aの上方に位置する水平状の面部である。
支持ブラケット95は、前面部および後面部において、中央前後延伸フレーム81の左側面に沿う延出片部を有する。支持ブラケット95は、前面部、後面部、および側面部の端部を、中央前後延伸フレーム81に対する溶接部としている。なお、支持ブラケット95の内部には、中央前後延伸フレーム81および支持ブラケット95それぞれに対して溶接された複数の板状の支持部材95b(図17参照)が設けられている。
支持プレート96は、前後方向を長手方向とする略矩形板状の部材であり、支持ブラケット95の支持面部95aの上側に重なった状態で支持ブラケット95に固定されている。支持プレート96は、左右方向に対応した幅方向の右側の部分を支持ブラケット95の支持面部95a上に重ねた状態で、支持プレート96および支持ブラケット95の支持面部95aを上側から貫通するボルト97により支持ブラケット95に固定されている。ボルト97は、支持面部95aの下側に位置するナット部98に螺合している。ボルト97による固定部は、支持プレート96の長手方向に所定の間隔を隔てて複数箇所(例えば4箇所)に設けられている。
支持プレート96は、幅方向の左側の大部分を、支持ブラケット95の支持面部95aから左方に突出させている。なお、支持プレート96は、前後両端部に、平面状の本体部に対して下側に屈曲した屈曲部を有する。
このように支持ブラケット95に固定された支持プレート96に対して、支持枠体90が固定支持されている。支持枠体90は、支持プレート96における支持ブラケット95からの左方への突出部分の上に、固定ボルト99により固定された状態で支持されている。支持枠体90は、外枠部91の下辺部91aの下面を支持プレート96の上面に接触させた状態で、支持プレート96上に立設されている。
固定ボルト99は、支持プレート96を下側から貫通し、外枠部91の下辺部91aに形成されたネジ穴に螺挿されている。固定ボルト99による固定部は、支持プレート96の長手方向に所定の間隔を隔てて複数箇所(例えば4箇所)に設けられている。
このように、支持枠体90は、中央前後延伸フレーム81の後部に対して支持ブラケット95および支持プレート96を介して支持されている。支持枠体90は、支持ブラケット95および支持プレート96を介することで、中央前後延伸フレーム81の左上方の位置に立設されており、左右方向を厚さ方向とする支持壁部を構成している。
支持枠体90に対するDPFケース31およびSCRケース32の固定構造について説明する。なお、DPFケース31およびSCRケース32は、それぞれ同様の構成によって支持枠体90に固定されているため、ここではDPFケース31の固定構造について説明し、SCRケース32の固定構造については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
DPFケース31は、前側において、支持枠体90に対して、平面視で略L字状をなすケース取付部材100を介して固定されている。ケース取付部材100は、例えば鋳物部品である。ケース取付部材100は、平面視で略L字状をなす面部として、固定面部101と支持面部102とを有する。
図13に示すように、ケース取付部材100は、固定面部101を、支持枠体90の外枠部91をなす前辺部91bの左側面に合わせた状態で、上下2箇所ずつ計4箇所でボルト103により支持枠体90に締結固定されている。ケース取付部材100において、支持面部102は、支持枠体90の前側の縁部から左方に向けて突出した突片部となる。
ケース取付部材100は、支持面部102を、DPFケース31の前面部31dに対してボルト104によって上下2箇所で締結固定させている。支持面部102は、DPFケース31の前面部31dの右側の端部に固定されている。なお、SCRケース32に対して、ケース取付部材100の支持面部102は、SCRケース32の前面部32dの右側の端部に固定されている。このように、DPFケース31およびSCRケース32の前側は、それぞれケース取付部材100により支持枠体90に対して固定支持されている。
DPFケース31は、後側において、支持枠体90に対して、平板状のケース取付板部105を介して固定されている(図12参照)。ケース取付板部105は、DPFケース31の後端部に設けられたフランジ部31eから右方に向けて突出した突片部として設けられている。ケース取付板部105は、上下方向を長手方向とする略矩形状の外形に沿う形状を有する板状の部分である。
ケース取付板部105は、支持枠体90の外枠部91をなす前辺部91cの前面に対して、上下2箇所でボルト106により支持枠体90に締結固定させている。ボルト106は、ケース取付板部105を貫通して前辺部91cに形成されたネジ穴に螺挿されている。なお、SCRケース32において、ケース取付板部105は、SCRケース32の後端部に設けられたフランジ部32eから右方に向けて突出形成されている。このように、DPFケース31およびSCRケース32の後側は、それぞれケース取付板部105により支持枠体90に対して固定支持されている。
以上のようにDPFケース31およびSCRケース32を前後両側において支持する支持枠体90は、上下方向について、両ケースの配置スペースに対応した高さを有する。すなわち、支持枠体90の下端は、DPFケース31の円筒状のケース本体の下端と略同じ高さに位置し、支持枠体90の上端は、SCRケース32の円筒状のケース本体の上端と略同じ高さに位置している。
また、図13に示すように、DPFケース31およびSCRケース32のケース同士は、前側において、ケース連結板108により互いに連結支持されている。ケース連結板108は、上下方向を長手方向とした所定の形状を有する金属製の板状部材である。
ケース連結板108は、DPFケース31およびSCRケース32それぞれに対して、各ケースの前面部31d,32dに前側から重なった状態で、ボルト109により複数箇所で締結固定されている。ケース連結板108は、DPFケース31に固定される下連結板108aと、SCRケース32に固定される上連結板108bとを連結させた構成を有する。
具体的には、下連結板108aおよび上連結板108bは、互いの対向部分において内側(後側)に向けて屈曲形成された固定面部108c同士を重ね合わせ、その重ね合わせ部分を貫通するボルト108d等により、両連結板が互いに締結固定されている。ケース連結板108は、DPFケース31およびSCRケース32それぞれの前面部31d,32dの左側の縁部に固定されている。
このように支持枠体90に対してDPFケース31およびSCRケース32を支持した構成、つまりDPFケース31およびSCRケース32を上下2段に配置して支持枠体90により両ケースを互いに連結させた構成が、ケース同士を連結した尿素混合管45等を含み、一体的なケースユニット110として構成されている(図12、図13参照)。そして、このケースユニット110が、連結フレーム80の中央前後延伸フレーム81上に、支持ブラケット95および支持プレート96を介して支持されている。
このように連結フレーム80上にケースユニット110を支持した構成において、DPFケース31およびSCRケース32は、支持枠体90に対して脱穀部6側に配置されている。
すなわち、DPFケース31およびSCRケース32は、左右方向について左側の脱穀部6と右側の穀粒タンク7との間に配置されており、支持枠体90は、DPFケース31およびSCRケース32を右側から支持している。これにより、DPFケース31およびSCRケース32は、支持枠体90に対して左側、つまり脱穀部6側に配置されている(図16参照)。
このようにDPFケース31およびSCRケース32を支持枠体90の左側に支持した構成のケースユニット110は、両ケースの荷重等により、支持枠体90が左側に倒れる方向の作用を受ける。そこで、連結フレーム80上に支持されたケースユニット110は、支持部材としてのカバー支持フレーム120により、脱穀部6に対して上側から支持されている。すなわち、コンバイン1は、排気ガス浄化装置30の支持構成として、支持枠体90を脱穀部6に対して支持するカバー支持フレーム120を備える。
カバー支持フレーム120は、前後で対称的に設けられた前後のフレーム部121と、前後のフレーム部121間に架設されたカバー部123とを有する。カバー支持フレーム120は、前後方向については支持枠体90と略同じ寸法を有し、DPFケース31およびSCRケース32を上方および左方から覆うように設けられている。カバー支持フレーム120は、一側を脱穀部6側に固定支持させるとともに、他側をケースユニット110側に固定支持させ、SCRケース32の上方を左右に跨ぐように設けられている。
フレーム部121は、L字状の横断面形状を有する山形鋼を所定の形状に屈曲させた態様の部材により構成されている。図17に示すように、フレーム部121は、左側の鉛直辺部121aと、鉛直辺部121aの上側から右斜め上方に向けて延びた左傾斜辺部121bと、左傾斜辺部121bの上側から右方に向けて延びた水平辺部121cと、水平辺部121cの右側から右斜め下方に向けて延びた右傾斜辺部121dとを有する。フレーム部121は、これらの各辺部により、前後方向視においてSCRケース32の左側から上側を覆うような屈曲形状を有する。
フレーム部121の屈曲形状をなす各辺部は、L字状の横断面形状をなす一側の面部である縦面部121eを、前後の外側に位置させるとともに、他側の面部である外側面部121fを、SCRケース32を覆う屈曲形状の外周側に位置させている。すなわち、フレーム部121の屈曲形状をなす各辺部において、縦面部121eは、前後方向を板厚方向とする板状部分であり、外側面部121fは、縦面部121eに対してフレーム部121の外周側において縦面部121eとともに直角状をなす板状部分である。例えば、前後のフレーム部121のうち前側のフレーム部121に関し、鉛直辺部121aにおいては、縦面部121eは、前後方向を板厚方向とするとともに上下方向を長手方向とする板状部分であり、外側面部121fは、縦面部121eの左側から後側に向けて屈曲しており、左右方向を板厚方向とするとともに上下方向を長手方向とする板状部分である。
カバー部123は、前後のフレーム部121の外側に設けられた屈曲板状の部分である。カバー部123は、前後のフレーム部121の前後方向視での屈曲形態に沿う屈曲形状を有する。すなわち、カバー部123は、フレーム部121の鉛直辺部121a、左傾斜辺部121b、水平辺部121c、および右傾斜辺部121dの各辺部に沿う面部として、鉛直面部123a、左傾斜面部123b、水平面部123c、および右傾斜面部123dを有する。
カバー部123は、前後のフレーム部121に対して一体の屈曲板状の部材を固定することにより設けられている。カバー部123をなす屈曲板状の部材は、前後のフレーム部121の屈曲形態をなす各辺部の外側面部121fに対し、前後の縁部を外側から重ねた状態で、ボルト124によって複数箇所で締結固定されている。
ボルト124は、カバー支持フレーム120の外側からカバー部123およびフレーム部121の外側面部121fを貫通し、外側面部121fの内周側に設けられたナット部129に螺挿されている。カバー部123の鉛直面部123aおよび左傾斜面部123bには、多数の円形状の孔部が所定の配列で形成されており、これらの面部はパンチングメタル状となっている。これにより、カバー支持フレーム120の内外の通気性が確保されている。
以上のような構成を備えたカバー支持フレーム120は、脱穀部6の上面部に設けられた所定の平面部130に対して、前後のフレーム部121の左側の下端部、つまり鉛直辺部121aの下端部を、それぞれ支持部材125を介して固定支持させている(図16参照)。平面部130は、脱穀部6において、扱胴6aを収容した扱室等をなす外壁部分の一部であり、脱穀部6の上側の部分の右側の縁部において前後方向に沿って形成された面部である(図3参照)。
支持部材125は、縦面部125aと横面部125bとを有し、これらの面部によって左側面視で略L字状をなす屈曲板状の部材である。支持部材125は、フレーム部121の鉛直辺部121aの下端部の縦面部121eに対して前後の外側から縦面部125aを重ねた状態で、ボルト126等によって上下2箇所でフレーム部121に固定されている。
支持部材125は、脱穀部6の平面部130に対して上側から横面部125bを合わせた状態で、ボルト127等によって左右2箇所で平面部130に固定されている。支持部材125は、縦面部125aにおいて略台形状を有し、左側の部分を、フレーム部121の鉛直辺部121aから左側に突出させている。横面部125bは、左右方向について縦面部125aの下縁部に対応した長さの略矩形状の部分である。ボルト127による左右2箇所の固定部のうち、左側の固定部は、鉛直辺部121aからの横面部125bの左方への延出部分に設けられている。
また、脱穀部6の平面部130に対しては、支持棒128によってテールパイプ47が支持されている。支持棒128は、直線棒状の部材により構成されており、下端部にボルト等によって固定された支持ステー131を介して平面部130に固定させている。支持ステー131は、ボルト131aにより平面部130に固定されている。支持棒128の上端部は、テールパイプ47の下側に突設された支持突片部132に対してボルト等によって固定されている。
一方、図17に示すように、カバー支持フレーム120は、支持枠体90に対して、第1支持プレート135および第2支持プレート136を介して連結固定されている。第1支持プレート135は、支持枠体90の下側に設けられた支持プレート96と同様の部材であり、支持プレート96に対して左右方向および前後方向の位置を略共通として上下に対向するように、支持プレート96の上方に位置している。
第1支持プレート135は、幅方向の左側の部分を、支持枠体90の外枠部91の上辺部91dの上面の上側に位置させ、固定ボルト137により支持枠体90に固定されている。固定ボルト137は、第1支持プレート135を上側から貫通し、外枠部91の上辺部91dに形成されたネジ穴に螺挿されている。固定ボルト137による固定部は、第1支持プレート135の長手方向に所定の間隔を隔てて複数箇所(例えば4箇所)に設けられている。
第2支持プレート136は、略L字状の横断面形状を有する山形鋼状の部材であり、第1支持プレート135と略同じ長さを有する。第2支持プレート136は、略L字状の横断面形状をなす面部として固定面部136aと支持面部136bとを有し、第1支持プレート135の幅方向の右側の部分の上側に固定面部136aを重ね、支持面部136bを右側に立たせている。
第2支持プレート136は、ボルト138により第1支持プレート135に固定されている。ボルト138は、第2支持プレート136の固定面部136aおよび第1支持プレート135を上側から貫通するとともに第1支持プレート135の下側に設けられたナット部139に螺合している。ボルト138による固定部は、第2支持プレート136の長手方向に所定の間隔を隔てて複数箇所(例えば3箇所)に設けられている。
第2支持プレート136に対して、カバー支持フレーム120の右側の端部が固定されている。具体的には、カバー支持フレーム120を構成する前後のフレーム部121の右側の端部が、溶接等によって第2支持プレート136に固定されている。前後のフレーム部121は、第2支持プレート136に対する固定部分として、第2支持プレート136に対して内側に嵌った態様で第2支持プレート136の固定面部136aの上面および支持面部136bの左側面に接触する先端面部121gを有する。
以上のように、カバー支持フレーム120は、脱穀部6から延出した態様で設けられ、SCRケース32の上方を越えて支持枠体90の上側に固定され、ケースユニット110を脱穀部6に対して支持している。すなわち、カバー支持フレーム120は、DPFケース31およびSCRケース32の左側から上側にかけて、脱穀部6側と支持枠体90側との間に架設された態様で設けられ、脱穀部6に対して、DPFケース31およびSCRケース32を支持した支持枠体90を支持している。
また、第1支持プレート135と支持プレート96との間には、上段支柱140が架設されている。上段支柱140は、上下方向に沿う直線状の柱部分であり、第1支持プレート135および支持プレート96の後部間に設けられている。上段支柱140は、角形鋼管により形成されており、第1支持プレート135および支持プレート96それぞれに対して溶接等により固定されている。
また、カバー支持フレーム120を構成する後側のフレーム部121から、SCR出口管46の基端部を上側から支持する出口管支持ステー141が設けられている(図15参照)。出口管支持ステー141は、後側のフレーム部121の水平辺部121cの左右中央部から後斜め下方に向けて突設された支持本体部141aを有し、SCR出口管46の基端部の上側の部分に固定されている。出口管支持ステー141により、SCR出口管46が、その基端部をSCRケース32の排出口部32cに対して同心状とする位置に支持されている。
また、DPFケース31およびSCRケース32のうち、下側に位置するDPFケース31は、脱穀部6の平面部130の右側に設けられた斜面部145に対向する位置に設けられている(図16参照)。斜面部145は、脱穀部6において、扱胴6aを収容した扱室等をなす外壁部分の一部であり、平面部130の右側において、平面部130に沿って前後方向に延伸するように形成された面部である。斜面部145は、前後方向について、DPFケース31およびSCRケース32の配設領域を含む範囲に設けられている。
斜面部145は、左側から右側にかけて下り傾斜をなす斜面部である。斜面部145の傾斜角度は、水平面に対して例えば50°程度である。このように脱穀部6の右上部に設けられた斜面部145に対して、DPFケース31は、右上方に位置することで、斜面部145に対向した状態で設けられている。
また、前後方向視において、脱穀部6の斜面部145は、DPFケース31の後面部31bからのDPF出口管42の延出方向に沿っている。すなわち、後面視において、斜面部145の水平方向に対する傾斜角度と、DPF出口管42の水平方向に対する傾斜角度とが、略同じとなっており、斜面部145の傾斜に沿うように、DPF出口管42が左上方に向けて延出している。
また、斜面部145に対向する位置に配置されたDPFケース31は、脱穀部6が扱室等をなす外壁部分において有する水平状の上面6bの高さよりも低い位置に設けられている。上面6bは、平面部130の左側に位置し、平面部130よりも高い位置に位置している。
このように、排気ガス浄化装置30は、脱穀部6の斜面部145と穀粒タンク7とキャビン20の後傾状の後壁部20aとにより形成された凹状の空間部分に納まった状態で設けられている。このような排気ガス浄化装置30の配置によれば、排気ガス浄化装置30の左側は、脱穀部6の上面6bよりも上方に位置し、コンバイン1の左方に露出した状態となる(図1参照)。
次に、尿素水供給装置50の配置について説明する。上述のとおり、排気ガス浄化装置30においては、尿素噴射部48に尿素水を供給するための尿素水供給装置50が設けられている(図14参照)。尿素水供給装置50は、連結フレーム80に支持された状態で設けられている。
図15に示すように、尿素水供給装置50は、装置の外装をなすケース150を有し、ケース150内に、装置の機能を発揮するための各種構成を収納している。ケース150は、略直方体状の外形を有する。
尿素水供給装置50は、連結フレーム80を構成する後中央支柱82に対して、支持ステー151を介して支持されている。支持ステー151は、ケース150の外形に対応した大きさを有する板状の部材であり、左右方向を板厚方向とした向きで、後中央支柱82の上部に固設されている。
支持ステー151は、後中央支柱82の前面82bの左側の位置から前方に延出するように設けられており、後中央支柱82に対して溶接等によって固定されている。なお、支持ステー151の後部の上下両側には、平面状の本体部に対して右側に屈曲した屈曲部151aが形成されている。
尿素水供給装置50は、支持ステー151の右側に位置し、ケース150を支持ステー151に対してボルト等の固定具によって複数箇所で固定させた状態で、支持ステー151に支持されている。
このような尿素水供給装置50の支持構成によれば、尿素水供給装置50は、中央前後延伸フレーム81の後部の下方に位置している。したがって、尿素水供給装置50は、側面視において、DPFケース31の下方に配置されている。また、後面視において、尿素水供給装置50の左側の部分は、後中央支柱82により隠れた状態となる(図18参照)。
また、尿素水供給装置50の右前側に、尿素水供給装置50を制御する尿素噴射コントローラ55が設けられている。尿素噴射コントローラ55は、連結フレーム80に対して所定の支持部材を介して支持されている。
具体的には、図15および図18に示すように、尿素噴射コントローラ55は、支持ステー151の右方に設けられたセンサ支持板156に支持された状態で設けられている。センサ支持板156は、尿素噴射コントローラ55の外形に対応した大きさを有する板状の部材であり、支持ステー151と平行状に設けられている。
尿素噴射コントローラ55は、扁平箱状の外形を有し、センサ支持板156の右側に、センサ支持板156に沿うように縦向きで支持されている。尿素噴射コントローラ55は、センサ支持板156に対してボルト157等により複数箇所で固定されている。ボルト157は、尿素噴射コントローラ55のケースの外縁部に設けられたボス部およびセンサ支持板156を貫通し、センサ支持板156の左側に設けられたナット158に螺挿されている。
センサ支持板156は、中央前後延伸フレーム81の下側から右方に向けて延出した上支持アーム部161と、支持ステー151から右方に向けて延出した下支持アーム162とにより上下の両側で支持されている。
上支持アーム部161は、中央前後延伸フレーム81の下側から右方に延出した前後の支持アーム163と、前後の支持アーム163の間に設けられた中間アーム部164とを有する。前後の支持アーム163および中間アーム部164は、互いに略平行状に右下がりの傾斜状に設けられており、いずれも右端部を介装プレート165を介してセンサ支持板156に支持させている。
介装プレート165は、略L字状の横断面形状をなす山形鋼状の部材であり、センサ支持板156の左側の面に、センサ支持板156の上縁部に沿って設けられており、ボルト166により前後2箇所でセンサ支持板156に固定されている。介装プレート165は、略L字状をなす一方の面部をセンサ支持板156に沿わせるとともに、他方の面部を下側とした向きで設けられている。介装プレート165に対して、前後の支持アーム163および中間アーム部164の右端部が溶接によって固定されている。
前後の各支持アーム163は、左端部を、支持金具167に対してボルト等の固定具によって固定支持させている。支持金具167は、中央前後延伸フレーム81の下面81bに溶接等によって固定された略U字状の金具であり、支持金具167の下側に、支持アーム163が固定支持されている。支持アーム163は、略L字状の横断面形状をなす山形鋼状の部材である。
中間アーム部164は、中央前後延伸フレーム81の下側において略左右方向に配された横支持フレーム168の右側の部分である。横支持フレーム168は、U字鋼により形成されており、下側を開放側として、左右の中間部を、支持ブラケット169を介して中央前後延伸フレーム81に支持させている。支持ブラケット169は、略U字状に屈曲形成された板状の部材であり、前後の面部において略矩形状の凹部に中央前後延伸フレーム81の下部を嵌合させた態様で溶接等によって中央前後延伸フレーム81に固定されている。また、支持ブラケット169は、底面部を、横支持フレーム168の上面部に対してボルト等の固定具170によって固定させている。
横支持フレーム168は、中央前後延伸フレーム81よりも左方に延伸しており、左側の端部を、ブラケット171を介して縦支持フレーム172の上端部に支持させている。横支持フレーム168の左端部は、ブラケット171に対して溶接等によって固定されている。ブラケット171は、縦支持フレーム172に対してボルト等の固定具によって固定されている。縦支持フレーム172は、図示せぬ支持部により機台部25上に支持されている。
下支持アーム162は、細長い板状の部材であり、支持ステー151とセンサ支持板156との間に架設されている。図18に示すように、下支持アーム162の左側の端部には、直線状の本体部に対して直角状に屈曲した固定部162aが形成されている。
下支持アーム162は、固定部162aを支持ステー151の下縁部に対して右側から重ねた状態で、これらを貫通するボルト173およびナット174によって支持ステー151に固定されている。一方、下支持アーム162は、右側の端部を、センサ支持板156において平板状の本体部分の下端部に左方に向けて屈曲形成された折曲部156aに対して下側から重ねた状態で、これらを貫通するボルト175およびナット176によってセンサ支持板156に固定させている。
以上のようにセンサ支持板156に尿素噴射コントローラ55を支持した構成において、尿素噴射コントローラ55は、尿素水供給装置50に対して右前側の近傍に位置している。尿素噴射コントローラ55は、右側面視において、後部を尿素水供給装置50の前部に重ねるような位置に設けられている。また、尿素水供給装置50および尿素噴射コントローラ55は、互いに略同じ高さ位置に設けられている。
コンバイン1において、穀粒タンク7は、排出オーガ9の縦取出しコンベア9bの軸心回りに、前側を機体の外側へと開くように回動可能に設けられている。穀粒タンク7を回動させて機外側方(右側方)へと開くことで、脱穀部6の右側やエンジンルーム13が開放される。
このように回動可能に設けられた穀粒タンク7に対しては、穀粒タンク7を収納位置に固定するためのロック装置180が設けられている。ロック装置180の構成について説明する。
図19および図20に示すように、ロック装置180は、走行機体4側に設けられたロック部材としてのロックピン部材181に対し、穀粒タンク7側に設けられたロックプレート182を係合させることで、穀粒タンク7を収納位置に保持するように構成されている。
ロックピン部材181は、走行機体4において、連結フレーム80の中央前後延伸フレーム81の上方に設けられた上段支柱140に対して設けられている。ロックピン部材181は、一対のピン支持板183と、一対のピン支持板183間に架設されたピン本体184とを有する。ロックピン部材181は、一対のピン支持板183とピン本体184とにより、一体的な部材として構成されている。
ピン支持板183は、所定の形状を有する平板状の部材である。一対のピン支持板183の長手方向の一側の部分間に、ピン本体184が架設されている。ピン本体184は、円形の横断面を有する円柱状の部材であり、両端部を、ピン支持板183に形成された円形の支持孔に嵌合させた状態で、溶接等によってピン支持板183に固定されている。
ロックピン部材181は、上段支柱140の下部(下端部の近傍)に設けられた前後一対の固定プレート185に固定された状態で設けられている。固定プレート185は、所定の形状を有する平板状の体面部と、本体面部の上下の辺部に沿って直角状に屈曲形成された折曲部とを有し、上下の折曲部の縁端部を上段支柱140の前面140aまたは後面140bに対して溶接等により固定させた状態で設けられている。したがって、固定プレート185の本体面部と上段支柱140の前面140aまたは後面140bとの間には空間が形成されている。固定プレート185は、右側の部分を、上段支柱140の右側面140cに対して右方に突出させている。
ロックピン部材181は、一対のピン支持板183を、前後の固定プレート185に対して前後内側に位置させ、固定ボルト186により2箇所で固定プレート185に固定されている。固定ボルト186は、ピン支持板183および固定プレート185を貫通し、ピン支持板183の内側に位置するナット(図示略)に螺挿されている。
ロックピン部材181は、前後の固定プレート185に固定された状態で、ピン支持板183におけるピン本体184の支持部分を固定プレート185から右方に突出させている。なお、固定ボルト186を貫通させる固定プレート185のボルト孔185aは、左右方向を長手方向とした長孔となっており、固定プレート185に対するロックピン部材181の左右方向の位置調整が可能となっている。
図19および図20に示すように、ロックプレート182は、穀粒タンク7が有する鉛直状の平面部分である前面部7aに対して、ベースプレート190を介して支持された状態で設けられている。ベースプレート190は、所定の形状を有する平板状の部材であり、右側(図20において左側)の部分を、前面部7aに対して固定ボルト191により4箇所で固定させるとともに、左側の部分を前面部7aから左方に突出させている。
ベースプレート190の左方への突出部分は、上側の斜辺部190aにより鋭角状の形状を有し、突出側の先端部に、左側を開放側とした係合凹部190bが形成されている。係合凹部190bは、ロックピン部材181のピン本体184が嵌合する凹部となる。
ロックプレート182は、所定の形状を有する平板状の部材であり、ベースプレート190の前側に位置し、ベースプレート190に垂直な方向(前後方向)を回動軸方向とする軸支部195により、ベースプレート190に対して回動可能に支持されている。軸支部195は、ロックプレート182の右側の部分に位置している。
ロックプレート182は、左側の部分に、係合凹部182bを形成するフック部182aを有する。ロックプレート182は、軸支部195による回動動作により、ベースプレート190の係合凹部190bに嵌合した状態のピン本体184に対して、下側からフック部182aを引っ掛けて係合させる。
ロックプレート182は、軸支部195による回動動作について、コイル状の引張りバネである付勢バネ196により、ピン本体184に係合する方向(図20において左回り)に付勢されている。付勢バネ196は、軸支部195の左側に位置し、一端側である上側を、ベースプレート190の前面190cに突設された上支持ピン197に係止支持させるとともに、他端側である下側を、ロックプレート182の前面182cに突設された下支持ピン198に係止支持させている。
付勢バネ196により付勢された状態のロックプレート182が、ベースプレート190の係合凹部190bに嵌合した状態のピン本体184に対してフック部182aを係合させた状態が、ロック装置180のロック状態となる。すなわち、ロック装置180のロック状態において、ピン本体184は、ベースプレート190の係合凹部190bに嵌合するとともに、ロックプレート182の係合凹部182bに嵌合した状態となり、ベースプレート190と、付勢バネ196により付勢されたロックプレート182とにより挟持されて固定された状態となる。
また、ロックプレート182の下端部には、操作棒199の一端部が連結されている。操作棒199は、ロックプレート182から下側へ延設され、他端部を、穀粒タンク7の前面部7aに対して設けられた図示せぬ解除レバーに連結させている。解除レバーの操作により、操作棒199が押し引きされ、ロックプレート182が回動操作される。
ロック装置180のロック状態において、解除レバーによって操作棒199を引っ張る方向に操作することで、ロックプレート182が付勢バネ196の付勢力に抗して下側に(正面視で右回りに)回動し、ピン本体184に対するロックプレート182の係合が外れ、ロック状態が解除される。これにより、穀粒タンク7の機外側方への回動が可能な状態となる。また、機外側方に回動した状態の穀粒タンク7を収納位置に戻すことにともない、ロックプレート182が左下がりの傾斜辺部にピン本体184の当接を受けて一旦下側に回動した後に、付勢バネ196の付勢力によって戻り、係合凹部182bにピン本体184を嵌合させることで、ロック装置180が自動的にロック状態となる。
以上のように、コンバイン1は、連結フレーム80から上方に延出した延長フレームとして、上段支柱140を有し、上段支柱140には、穀粒タンク7を走行機体4における収納位置に固定するためのロック装置180を構成するロックピン部材181が設けられている(図17参照)。上段支柱140は、連結フレーム80の中央前後延伸フレーム81の後端部近傍の上側において、支持ブラケット95および支持プレート96を介して立設され、上方に延出している。
また、コンバイン1は、エンジン11に供給される空気を冷却する熱交換器としてのインタークーラ200を備えている。インタークーラ200は、エンジン11が有する過給機40のコンプレッサから吐出された空気を受けてその空気を冷却する冷却装置として機能する。インタークーラ200により冷却された空気は、エンジン11に対する給気としてエンジン11の吸気マニホールドへと供給される。
インタークーラ200は、排気ガス浄化装置30に対して機外側方に配置されている。本実施形態では、インタークーラ200は、排気ガス浄化装置30において上下に配置されたDPFケース31およびSCRケース32に対して、右側方の位置に設置されている。インタークーラ200は、機台部25上において、エンジン11の右上方の位置に、所定の支持部材によって支持された状態で設けられている。
インタークーラ200は、略直方体状の外形を有するボックス状のケース201により装置の外装をなしている。インタークーラ200は、ケース201の略直方体状の外形について、平面視においては長手方向を前後方向とするとともに、前後方向視においては長手方向を上下方向とした向きで設置されている。
インタークーラ200は、上下方向について、DPFケース31およびSCRケース32と略同じ高さ位置に設けられている。具体的には、図10に示すように、インタークーラ200は、上下方向について、ケース201の下面部201aを、DPFケース31の下端よりも下方に位置させており、ケース201の上面部201bを、DPFケース31の上端よりも上方に位置させている。また、インタークーラ200は、上下方向について、ケース201の上面部201bを、SCRケース32の上端よりも下方に位置させている。
以上のように、排気ガス浄化装置30およびインタークーラ200は、エンジン11の上方に配置された運転部12の後方で、互いの間に空間を隔てて左右方向に対向した状態で配置されている。本実施形態では、インタークーラ200は、DPFケース31およびSCRケース32の右方に位置し、ケース201の左側面部201cを、DPFケース31およびSCRケース32の右側に位置する支持枠体90に対向させた状態で設けられている。
詳細には、インタークーラ200のケース201は、上下方向について、支持枠体90の上下方向の寸法と略同じ寸法を有し、支持枠体90の右下方に位置している(図10参照)。インタークーラ200は、支持枠体90に対してわずかに低い位置に設けられている。したがって、インタークーラ200は、上下方向について、ケース201の上側の大部分を、支持枠体90の外形の範囲内に位置させている。また、インタークーラ200は、前後方向について、ケース201の後側の大部分を、支持枠体90の外形の範囲内に位置させている(図8参照)。
このように排気ガス浄化装置30の右方に配置されたインタークーラ200は、外気導入カバー15の上部の内側(左側)に位置している(図2参照)。ロータリスクリーン16の上方となる外気導入カバー15の上部には、外気の吸込口203が設けられている。
吸込口203は、図4に示すように、外気導入カバー15の上部の外形に沿うとともに下側をロータリスクリーン16の開口部16aの円形状に沿わせた形状を有する開口部203aに、メッシュ状の防塵網203bを張設した構成を有する。インタークーラ200は、右側面視において大部分が吸込口203に重なるように配置されている。
インタークーラ200とエンジン11との間には、エア流入管205およびエア流出管206が配管されている。
エア流入管205の一端側である上流側は、過給機40のコンプレッサ側に連通接続されている。エア流入管205の他端側である下流側は、ケース201の下面部201aの下側の前部に設けられた流入口207に連通接続されている(図21参照)。エア流入管205は、横フレーム61の下側を潜るように配されている。流入口207は、下面部201aの下側に設けられたダクト部209の前部に設けられ、左方に向けて開口した円筒状の突出部分である。
エア流入管205は、流入口207から左方に向けて配されるとともにエンジン11の右側において前下方に延出し、エンジン11の前上部に設けられた過給機40に対して右方から接続されている。エア流入管205により、過給機40のコンプレッサから吐出された空気がインタークーラ200に供給され、ケース201内に設けられたフィン等を有する所定の空気通路204(図23参照)を通過しながら冷却される。
エア流出管206の一端側である上流側は、ケース201の下面部201aの下側の後部に設けられた流出口208に連通接続されている(図21参照)。流出口208は、ダクト部209の後部に設けられ、左方に向けて開口した円筒状の突出部分である。エア流出管206の他端側である下流側は、エンジン11の吸気マニホールドに連通接続されている。
エア流出管206は、流出口208から左前下方に向けて延出し、エンジン11の後上部に位置する吸気マニホールドに対して右方から接続されている。エア流出管206により、ケース201内で冷却された空気がエンジン11の吸気マニホールドに供給される。
機台部25上におけるインタークーラ200の支持構成について説明する。インタークーラ200は、排気ガス浄化装置30と同様、支持フレーム60に対して支持された状態で設けられている。
排気ガス浄化装置30については、上述のとおり、DPFケース31およびSCRケース32は、支持枠体90とともにケースユニット110を構成し、ケースユニット110は、連結フレーム80を介して支持フレーム60に支持されている。ケースユニット110は、支持ブラケット95および支持プレート96を介して、連結フレーム80を構成する中央前後延伸フレーム81に支持されている。
そして、インタークーラ200は、支持フレーム60を構成する前後延伸フレーム62上に支持された状態で設けられている。インタークーラ200は、ケース201の前後両側において、前後延伸フレーム62上に設けられた支持突片部211に対して、ケース201に設けられた支持ステー212を固定させることで、前後延伸フレーム62上に支持されている。支持突片部211および支持ステー212による支持部210は、前後方向について対称的に構成されている。図22は、インタークーラ200の後側の支持部210を示している。なお、図22においては、ダクト部209等の図示を省略している。
支持突片部211は、前後延伸フレーム62の上面62c上に、平面視で略U字状をなす屈曲板状の金具を、左側を開放側とする向きで立った状態で溶接等によって固定することにより設けられている。支持突片部211は、左右方向を板厚方向とする平面部を、支持ステー212の固定を受ける固定面部211aとしている。固定面部211aには、固定用の孔部が貫通形成されている。支持突片部211は、ケース201の前後方向の寸法よりも大きい間隔を隔てて前後2箇所に設けられている。なお、後側の支持突片部211は、前後延伸フレーム62の後方延出部62a上に設けられている。
支持ステー212は、略L字状の横断面形状を有する長手状の屈曲板状の部材であり、長手方向を上下方向として、ケース201の前面部201dおよび後面部201eのそれぞれに固定されている。支持ステー212は、略L字状の横断面形状をなす面部として、ケース201側に固定される固定面部212aと、支持突片部211側に固定される支持面部212bとを有する。
支持ステー212は、ケース201に対して、上部の固定面部212aを、前面部201dまたは後面部201eに溶接等により固定させることで、下部を下面部201aよりも下方に突出させた状態で設けられている。支持ステー212は、下端部の支持面部212bを、支持突片部211の固定面部211aに対して右側から重ねた状態で、固定ボルト213により支持突片部211に固定されている。固定ボルト213は、支持面部212bおよび固定面部211aを貫通し、支持突片部211の支持面部の左側に設けられたナット部214に螺挿されている。
このように、支持ステー212は、ケース201の前後両側において下方に突出した脚部を構成しており、脚部の下端部が、前後延伸フレーム62上に突設された支持突片部211に固定されている。したがって、前後延伸フレーム62の上面62cとケース201の下面部201aとの間にスペースが形成されており、かかるスペースは、エア流入管205およびエア流出管206が接続されるダクト部209等の配置スペースとなっている。
以上のように、コンバイン1は、機台部25上に設けられたフレーム構成として、支持フレーム60に対して支持され排気ガス浄化装置30を支持する第1支持フレームとしての連結フレーム80と、インタークーラ200を支持する第2支持フレームとしての前後延伸フレーム62とを有する。そして、連結フレーム80および前後延伸フレーム62は、連結部材としての横フレーム61により互いに連結支持されている。
また、インタークーラ200は、排気ガス浄化装置30を支持するフレーム部との間に架設された架設部材としての第1支持棒221および第2支持棒222の2本の支持棒により、フレーム部に対して支持されている。本実施形態では、排気ガス浄化装置30を支持するフレーム部は、支持枠体90の上側に設けられた第1支持プレート135である。
第1支持棒221および第2支持棒222は、いずれも円形状の横断面形状を有する直線パイプ状の部材であり、わずかに右下がりで略左右方向に配されている。第1支持棒221は、第2支持棒222に対して後方に位置している。
第1支持棒221は、両端部に平板状の固定片部221a,221bを有する。第1支持棒221は、左側に位置する一方の固定片部221aを、第1支持プレート135に固設された支持ステー223に対してボルト224等によって固定させている(図17参照)。
支持ステー223は、第1支持プレート135の前後の中間部の下側に略L字状の金具を溶接等によって固定することで、前後方向を板厚方向とする垂下状の取付面部を形成している。第1支持棒221は、固定片部221aを支持ステー223に対して後側から重ねた状態で、固定片部221aおよび支持ステー223を貫通するボルト224およびボルト224の螺挿を受けるナット部によって支持ステー223に固定されている。
第1支持棒221は、右側に位置する他方の固定片部221bを、ケース201の後面部201eの左上側の隅部に対してボルト225等によって固定させている。第1支持棒221は、固定片部221bを後面部201eに対して後側から重ねた状態で、固定片部221bおよび後面部201eをなす壁部を貫通するボルト225およびボルト225の螺挿を受けるナット部226によってケース201に固定されている。
第2支持棒222は、両端部に平板状の固定片部222a,222bを有する。第2支持棒222は、左側に位置する一方の固定片部222aを、第1支持プレート135の後端部に形成された下側への屈曲部135aに対してボルト227等によって固定させている。第2支持棒222は、固定片部222aを屈曲部135aに対して後側から重ねた状態で、固定片部222aおよび屈曲部135aを貫通するボルト227およびボルト227の螺挿を受けるナットによって第1支持プレート135に固定されている。
第2支持棒222は、右側に位置する他方の固定片部222bを、ケース201の前面部201dの左上側の隅部に固設された支持ステー229に対してボルト230等によって固定させている。
支持ステー229は、略U字状の横断面形状を有する長手状の金具であり、ケース201の前面部201dの左上側の隅部から左上方に突出するように、前面部201dに溶接等によって固定されている。第2支持棒222は、固定片部222bを支持ステー229に対して後側から重ねた状態で、固定片部222bおよび支持ステー229を貫通するボルト230およびボルト230の螺挿を受けるナット部231によって支持ステー229に固定されている。
このように、インタークーラ200は、前後2本の第1支持棒221および第2支持棒222によって、排気ガス浄化装置30側に対して連結支持されている。特に、本実施形態では、第1支持棒221および第2支持棒222により、ケース201の前後両側の上端部(左側の隅部)が、排気ガス浄化装置30側に対して支持されている。
以上のように機台部25上において支持されたインタークーラ200は、排気ガス浄化装置30側への送風が可能なファン240を有する。図23に示すように、ファン240は、ファン本体241と、ファン本体241を駆動させる駆動源としての電動式のファンモータ242とを有する電動ファンである。ファン本体241の中心軸部にファンモータ242の駆動軸が連結されている。
ファン240は、ケース201内において、ファン本体241の回転軸方向を左右方向とした向きで、左側に配置されている。ケース201の左側面部201cには、ファン本体241と同心状に円形状の開口部である通風口201fが形成されている(図21参照)。通風口201fは、左側面視においてファン240の略全体を露出させるように形成されている。
一方、ケース201の右側面部は、ケース201の外形に沿う矩形状の枠部分にメッシュ状の防塵網201gを張設した構成を有する(図8参照)。なお、図8に示すように、ケース201の右側面部においては、防塵網201gの外側(右側)に、ファン240の回転によって生じる気流により回転する防塵用の回転羽根244が設けられている。
ファン240は、図23に示すように、コンバイン1が備えるファン制御用のコントローラ250に所定の接続ケーブル245により接続されている。コントローラ250により、ファン240の動作が制御される。コントローラ250は、例えばマイクロコントローラやメモリや入出力インターフェイス等を含んで構成されている。ただし、コントローラ250の構成は特に限定されるものではない。
ファン240は、正逆回転可能に構成されている。すなわち、ファン240は、ファンモータ242の駆動力により、ファン本体241を正回転方向と逆回転方向のいずれにも回転させることができるように構成されている。
コントローラ250によってファンモータ242の動作が制御されることで、ファン本体241の回転方向が制御される。ファン240およびコントローラ250は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)制御によってファンモータ242を制御することで、ファン240の動作を制御するように構成されている。
PWM制御において、ファン240を正回転させる場合、コントローラ250からのモータ正回転用のPWM出力がファンモータ242に入力され、ファンモータ242が正回転方向に回転し、ファン本体241が正回転方向に回転する。一方、ファン240を逆回転させる場合、コントローラ250からのモータ逆回転用のPWM出力がファンモータ242に入力され、ファンモータ242が逆回転方向に回転し、ファン本体241が逆回転方向に回転する。なお、ファン240の回転制御においては、ファン240の回転数の変更も行うことができる。また、ファン240の回転方向等は、例えば運転部12に設けられた操作部によって操作される。
以上のような構成を備えたインタークーラ200において、ファン240が正回転している状態では、インタークーラ200の右方に位置する外気導入カバー15の吸込口203が外気の取り込み口となり、インタークーラ200に供給される。すなわち、吸込口203から取り込まれた空気は、防塵網201gからケース201内に、空気通路204を通る空気に対する冷却風として取り込まれ、空気通路204の外壁面を通ってケース201の通風口201fから左方へと送られる。通風口201fから送り出される空気は、DPFケース31およびSCRケース32側への送風となる。
一方、ファン240が逆回転している状態では、ケース201の通風口201fからケース201内に外気が取り込まれる。ケース201内に取り込まれた空気は、防塵網201gから排出されるとともに、外気導入カバー15の吸込口203から外部へと排出される。
ファン240の正回転時においては、吸込口203の防塵網203b、およびケース201の防塵網201gにより、塵や埃や藁等が捕集され、塵等が外気とともにケース201内に侵入することが防がれる。一方、ファン240の逆回転時においては、ファン240からの送風により、ケース201の防塵網201gや吸込口203の防塵網203bに付着した塵等が除去されることになる。
また、コンバイン1は、エンジン11の給気系を構成するとともに給気管263により互いに接続されたエアクリーナ261およびプリクリーナ262を備えている。
プリクリーナ262は、エンジン11に対する給気経路の上流側の端部に設けられており、プリクリーナ262から給気経路内に大気が取り込まれる。プリクリーナ262により、大気中の粉塵等が除去され、給気経路内に取り込まれる大気が浄化される。
プリクリーナ262の下流側に、給気管263を介して、エアクリーナ261が設けられている。エアクリーナ261により、プリクリーナ262により浄化された空気がさらに浄化され、エンジン11に供給される。エアクリーナ261の空気の排出側からは、下流側給気管265が延出しており、下流側給気管265の下流側は、過給機40のコンプレッサ側に設けられた給気取入部に連通接続されている(図7参照)。
エアクリーナ261は、略円筒状の外形を有し、その筒軸方向(長手方向)を前後方向とする向きで、排気ガス浄化装置30とインタークーラ200との間に配置されている。詳細には、エアクリーナ261は、前後方向について、インタークーラ200のケース201の前後方向の寸法と略同じ寸法を有し、ケース201と略同じ位置に配置されている。
また、エアクリーナ261は、上下方向について、ケース201の下部に対応する高さに配置されている。エアクリーナ261の左方には、中央前後延伸フレーム81、支持ブラケット95、支持プレート96等が位置している。
エアクリーナ261は、支持ブラケット95の前部から右斜め上方に向けて延出した支持ブラケット266により、支持ブラケット95に支持されている(図10参照)。支持ブラケット266は、所定の屈曲形状を有する板状の部材であり、下側を、ボルト等によって支持ブラケット95の支持面部95aに対して固定支持させている。支持ブラケット266は、エアクリーナ261の周壁部の左上側に形成された平面状の取付面部に合わさった状態で、ボルト等によってエアクリーナ261に固定されている。
エアクリーナ261の前部の右側寄りの部位に、給気管263の下流側の端部が連通接続されている。給気管263は、エアクリーナ261の前部から上方に延出した鉛直部263aと、鉛直部263aの上流側から右後斜め上方に向けて延伸した傾斜部263bと、傾斜部263bの上流側から鉛直状に立ち上がった上端部263cとを有する(図24参照)。給気管263の上端部263cの上側に、略円筒状のプリクリーナ262が設けられている。
給気管263は、第1支持棒221と第2支持棒222の間を通るように設けられており、上下方向について、傾斜部263bの上側は、排気ガス浄化装置30の上面部をなすカバー支持フレーム120よりも上方に延出している。したがって、プリクリーナ262は、排気ガス浄化装置30よりも高い位置に設けられている。
下流側給気管265は、図7に示すように、エアクリーナ261の略円筒形状の外形における前面部から下方に延出するとともに、横フレーム61の下方を潜ってエンジン11の右前側の位置に向けて右前斜め下方に向けて延設され、エア流入管205の下側を通って、過給機40のコンプレッサ側に連通接続されている。
以上のようなエンジン11の給気系の配置構成によれば、エンジン11の左後上方に、DPFケース31およびSCRケース32が上下に配置されており、エンジン11の右後上方に、エアクリーナ261およびプリクリーナ262が上下に配置されている。すなわち、エンジン11の前部に位置する過給機40の排気タービン側(左側)から後方に延出した排気管41の接続を受ける排気ガス浄化装置30(DPFケース31およびSCRケース32)と、過給機40のコンプレッサ側(右側)から後方に延出した下流側給気管265の接続を受けるエアクリーナ261およびその上方に配置されたプリクリーナ262とが、エンジン11の後上方において、左右に振り分けて配置されている。
また、エンジン11の給気系の配置構成において、エアクリーナ261とプリクリーナ262を互いに連通接続する給気管263は、インタークーラ200から延出した支持体としての配管支持棒270によりインタークーラ200に対して支持されている。配管支持棒270は、略直線状の棒状部材により構成されており、給気管263とインタークーラ200との間に架設されている。
図24に示すように、配管支持棒270は、下端部に矩形板状の下取付板部271を有する。下取付板部271は、配管支持棒270の本体部分をなす棒状の部材の外周面に板状部材を溶接等により固定すること等によって設けられる。
配管支持棒270は、下取付板部271を、ケース201の後面部201eの上部にボルト272によって上下2箇所で固定させている。ボルト272は、下取付板部271を貫通し、後面部201eの内側に設けられたナット部に螺挿されている。配管支持棒270の下端部のケース201に対する固定部は、第1支持棒221のケース201に対する固定部の右側近傍に位置している。
配管支持棒270は、ケース201に対する固定部分から上方に鉛直状に延伸しており、上端部に、鉛直状の部分に対して鈍角状に屈曲して給気管263に対する固定部分をなす屈曲部270aを有する。屈曲部270aには、矩形板状の上取付板部273が設けられている。上取付板部273は、配管支持棒270の本体部分をなす棒状の部材の外周面に板状部材を溶接等により固定すること等によって設けられる。
一方、給気管263の傾斜部263bの上部の右側の外周面には、配管支持棒270の上端部を支持固定させる台座部275が設けられている。台座部275は、両端側を脚部として直角状に屈曲させた略U字状の屈曲板状の金具を、脚部側を傾斜部263bの外周面側として傾斜部263bに溶接等により固定すること等によって設けられる。台座部275においては、両脚部の間の面部が、傾斜部263bの外周面に対して離間した支持面部となる。
配管支持棒270は、上取付板部273を台座部275の支持面部に重ねた状態で、ボルト276によって2箇所で台座部275に固定されている。ボルト276は、上取付板部273および台座部275の支持面部を貫通し、台座部275の支持面部の裏側に設けられたナット部277に螺挿されている。
以上のように、配管支持棒270は、一側の端部である下端部を、インタークーラ200のケース201に固定支持させるとともに、他側の端部である上端部を、給気管263の傾斜部263bに固定支持させている。これにより、給気管263が、配管支持棒270によってケース201に対して支持されている。
以上のような構成を備えた本実施形態に係るコンバイン1によれば、以下のような作用効果が得られる。
本実施形態に係るコンバイン1によれば、機体のスペースを有効に活用することができ、排気ガス浄化装置30をコンパクトに設置することができるとともに、優れた重量バランスを得ることができる。
排気ガス浄化装置30の配置に関し、DPFケース31およびSCRケース32は、エンジン11の上方の運転部12の後方、かつ脱穀部6の右側に、前後方向を長手方向として上下2段に配置されている。このような構成によれば、キャビン20の後側で脱穀部6の右側のスペースを利用してDPFケース31およびSCRケース32をコンパクトに配置することができる。これにより、コンバイン1の機体のコンパクト化を図ることができる。また、重量物であるエンジン11および排気ガス浄化装置30が機体の前部において前後に配置されることから、機体の重量バランスの面で好ましい配置構成を得ることができる。
また、コンバイン1は、機台部25上におけるDPFケース31およびSCRケース32の支持構成として、運転部12を支持する支持フレーム60と、支持フレーム60を機台部25上に支持する連結フレーム80と、連結フレーム80上にDPFケース31およびSCRケース32を支持する支持枠体90とを備える。このような構成によれば、排気ガス浄化装置30をコンパクトに納めながら強固に支持することが可能となる。また、排気ガス浄化装置30の支持構成として運転部12を支持する支持フレーム60を用いることにより、既存の構成を利用することができ、走行機体4上のスペースを有効に活用することができる。
また、コンバイン1は、DPFケース31およびSCRケース32の支持構成として、支持枠体90を脱穀部6側に支持するカバー支持フレーム120を備える。このような構成によれば、排気ガス浄化装置30をコンパクトに納めながら、脱穀部6を利用して、上下に配置されたDPFケース31およびSCRケース32をより強固に支持することが可能となる。
また、DPFケース31およびSCRケース32は、支持枠体90に対して脱穀部6側に配置されている。このような構成によれば、排気ガス浄化装置30をコンパクトに納めることができる。また、DPFケース31およびSCRケース32の支持構成について、脱穀部6に対する支持部を容易に配置することができる。
また、排気ガス浄化装置30の尿素混合管45は、DPFケース31およびSCRケース32に対して脱穀部6側に配置されている。このような構成によれば、排気ガス浄化装置30をコンパクトに納めることができる。特に、尿素混合管45がDPFケース31およびSCRケース32の長手方向に沿って配された構成において、尿素混合管45を、上下に配置されたDPFケース31およびSCRケース32の中間の高さ位置に配置することで、尿素混合管45の配置スペースを容易に確保することができ、効果的に排気ガス浄化装置30のコンパクト化を図ることができる。
また、尿素混合管45においては、尿素噴射部48に対して制御用のハーネスや尿素水供給用の配管等が接続されるが、排気ガス浄化装置30において尿素混合管45を脱穀部6側に配置することにより、ハーネスや配管等の支持対象として脱穀部6を用いることができる。これにより、尿素混合管45に接続されるハーネスや配管等の支持構造に関し、別途支持部を設けることなく脱穀部6を利用して容易に支持することが可能となる。
また、尿素混合管45に尿素水を供給する尿素水供給装置50は、DPFケース31およびSCRケース32の支持構成をなす連結フレーム80の後中央支柱82に支持された状態で設けられている。このような構成によれば、DPFケース31およびSCRケース32の支持構成と尿素水供給装置50の支持構成を共用することができ、機台部25上の装置構成をコンパクトに納めることができる。
また、連結フレーム80の中央前後延伸フレーム81の上側に上段支柱140が設けられており、上段支柱140に、穀粒タンク7のロック装置180を構成するロックピン部材181が設けられている。このような構成によれば、DPFケース31およびSCRケース32の支持構成を利用してロック装置180を設けることができるので、別途ロック装置180を構える必要がなくなり、機台部25上の装置構成をコンパクトに納めることができるとともに、穀粒タンク7の収納状態を強固に保持することができる。
本実施形態に係るコンバイン1によれば、機体のスペースを有効に活用することができ、排気ガス浄化装置30をコンパクトに設置することができるとともに、排気ガス浄化装置30およびインタークーラ200に対してアクセスしやすく良好なメンテナンス性を得ることができる。
すなわち、排気ガス浄化装置30のDPFケース31およびSCRケース32と、排気ガス浄化装置30の右側方に配置されたインタークーラ200とは、運転部12を有するキャビン20の後方で、互いの間に空間を隔てて左右方向に対向した状態で配置されている。
このような構成によれば、排気ガス浄化装置30とインタークーラ200との間に開放空間が形成されることから、排気ガス浄化装置30とインタークーラ200それぞれに対するアクセス性を向上することができ、メンテナンスを容易に行うことが可能となる。特に、インタークーラ200に介しては、ケース201の左側面部201c側からのメンテナンス性を向上することができる。
また、インタークーラ200は、排気ガス浄化装置30側への送風が可能なファン240を有する。このような構成によれば、インタークーラ200から排気ガス浄化装置30に対する冷却風を送ることができるので、機体自体をコンパクトなものにしながら、冷却効果をもたらすことができ、排気ガス浄化装置30が高温になることを防止することが可能となる。
また、ファン240は、正逆回転可能に構成されている。このような構成によれば、インタークーラ200に付着する塵挨を取り除くことが可能となる。すなわち、ファン240の正回転により排気ガス浄化装置30側への送風が行われる際、外気の取込み側となるケース201の右側面部に調節された防塵網201gに大気中の塵挨が付着するが、ファン240を逆回転させることで、防塵網201gに対してケース201の内側から風を送ることができるので、防塵網201gに付着した塵挨を吹き飛ばして除去することが可能となる。これにより、ファン240による送風の良好な通風性を確保することができる。
また、排気ガス浄化装置30およびインタークーラ200は、キャビン20を介して運転部12を支持する支持フレーム60に対して支持された状態で設けられている。すなわち、排気ガス浄化装置30は、キャビン20を支持する横フレーム61の左右中間部から後方に延出した中央前後延伸フレーム81上に支持されており、インタークーラ200は、横フレーム61の右端部から後方に延出した前後延伸フレーム62上に支持されている。
このような構成によれば、排気ガス浄化装置30をコンパクトに納めながら、排気ガス浄化装置30およびインタークーラ200を強固に支持することが可能となる。また、インタークーラ200の支持構成として運転部12を支持する支持フレーム60を用いることにより、既存の構成を利用することができ、走行機体4上のスペースを有効に活用することができる。
また、コンバイン1は、排気ガス浄化装置30およびインタークーラ200の支持構成として、排気ガス浄化装置30を支持する連結フレーム80と、インタークーラ200を支持する前後延伸フレーム62とを有し、これらのフレームを横フレーム61により連結した構成を備える。このような構成によれば、走行機体4上のスペースを有効利用しながら、排気ガス浄化装置30およびインタークーラ200を強固に支持することが可能となる。
また、インタークーラ200は、排気ガス浄化装置30を支持するフレーム部との間に架設された第1支持棒221および第2支持棒222により、排気ガス浄化装置30側に対して支持されている。このような構成によれば、機台部25上における排気ガス浄化装置30の支持構造を利用して、インタークーラ200を強固に支持することが可能となる。
特に、第1支持棒221および第2支持棒222による支持構造によれば、インタークーラ200が左右に振れたり倒れたりすることを防止することができ、前後延伸フレーム62上においてインタークーラ200をしっかりと支持することが可能となる。インタークーラ200を強固に支持する観点からは、第1支持棒221および第2支持棒222によるによるインタークーラ200の支持位置は、ケース201の上部であることが好ましい。
また、コンバイン1は、エンジン11に対して設けられたエアクリーナ261およびプリクリーナ262を互いに連通接続させる給気管263を、配管支持棒270によりインタークーラ200に対して支持した構成を備える。このような構成によれば、機台部25上において強固に支持されたインタークーラ200に対して給気管263を支持することができるので、エアクリーナ261から上方に延設された給気管263およびプリクリーナ262を強固に支持することが可能となる。
また、エアクリーナ261は、円筒状の外形における中心軸方向を前後方向とする向きで、互いに対向した排気ガス浄化装置30とインタークーラ200との間に配置されている。このような構成によれば、排気ガス浄化装置30とインタークーラ200との間のスペースを有効に利用してエアクリーナ261をコンパクトに配置することができる。
また、エアクリーナ261は、排気ガス浄化装置30を支持する支持ブラケット95に対して支持ブラケット266を介して支持された状態で設けられている。このような構成によれば、機台部25上にエアクリーナ261を支持する構成を別途設けることなく、排気ガス浄化装置30の支持構成を利用して、エアクリーナ261を強固に支持することが可能となる。
また、インタークーラ200は、エンジン11の右側方に配置されたラジエータ14の上方に配置されている。このような構成によれば、エンジン11の幅が大きくなることによっても、走行機体4の幅を大きくすることなく、インタークーラ200をコンパクトに配置することが可能となる。
また、後面視において、脱穀部6の斜面部145は、DPFケース31の後面部31bからのDPF出口管42の左斜め上方への延出方向に沿っている(図16参照)。このような構成によれば、脱穀部6の斜面部145の右方のスペースにDPFケース31を納めることができるとともに、DPFケース31の左上方に位置する尿素混合管45を、脱穀部6の斜面部145の上方の開放スペースに位置させることができる。これにより、尿素混合管45へのアクセス性を向上させることができ、尿素混合管45について良好なメンテナンス性を得ることができる。
上述した実施形態の説明は本発明の一例であり、本発明に係るコンバインは上述の実施形態に限定されることはない。このため、上述した実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
上述した実施形態では、DPFケース31が下側、SCRケース32が上側に配置されているが、これらの配置は上下逆であってもよい。ただし、エンジン11からDPFケース31までの管路を短くして排気ガスの温度低下を防いで排気ガス浄化装置30による処理性能を確保する観点からは、上述した実施形態のように、エンジン11からの排気ガスの流入を受けるDPFケース31を下側に配置した構成が好ましい。
また、上述した実施形態では、排気ガス浄化装置30側とインタークーラ200との間に架設された架設部材は、第1支持棒221および第2支持棒222の2本の支持棒であるが、架設部材の構成は特に限定されるものではない。架設部材としては、例えば板状の部材や山形鋼や角形鋼管等により構成されたものであってもよい。ただし、上述した実施形態のように架設部材を第1支持棒221および第2支持棒222とすることで、架設部材をコンパクトにすることができ、排気ガス浄化装置30とインタークーラ200との間のスペースを有効に利用することが可能となる。