JP7484243B2 - 栽培施設の設計支援システム、栽培施設空調システム、栽培施設の設計支援方法、および、栽培施設の設計支援プログラム - Google Patents

栽培施設の設計支援システム、栽培施設空調システム、栽培施設の設計支援方法、および、栽培施設の設計支援プログラム Download PDF

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Description

本発明は、植物の栽培施設において、空調設備の設計支援を出力する栽培施設の設計支援システム、栽培施設空調システム、栽培施設の設計支援方法、および、栽培施設の設計支援プログラムに関する。
空調機は、室内が設定温度となるように、温度を調整する。一方、室内の温度は、外気負荷や内部発熱を含む熱負荷によって変動しうる。そのため、センサから熱負荷情報を取得し、温度の変動を推定することによって、安定した空調制御を可能とする(例えば、特許文献1)。
特開2016-61447号公報
上記のように、センサから熱負荷情報を取得し、室内の温度の変動を推定することによって空調制御を行うことが可能である。この場合、外気負荷や内部発熱を考慮した能力に応じて、空調機を選定する。しかしながら、栽培施設は、植物の生理機能によって、温度および湿度が変動する。具体的には、植物の蒸散によって、温度の低下および湿度の上昇が引き起こされる。従って、この植物の生理機能を考慮しなければ、的確な空調設計を行なうことができない。
上記課題を解決するための栽培施設の設計支援システムは、植物の栽培施設を栽培条件に制御する空調設備の設計を支援する制御部を備える。前記制御部が、前記栽培施設が設置された地域の気象情報を取得し、前記栽培条件に応じて、前記栽培施設において栽培される前記植物の生理機能による影響量を予測し、前記気象情報及び前記影響量から、前記栽培施設における熱負荷を算出し、前記熱負荷に基づいて、前記栽培施設の前記空調設備の能力を算出する。
上記構成によれば、植物の影響量を考慮した上で、空調設備の能力を算出することが可能である。そのため、植物の影響量を考慮しない場合と比べて、空調設備の能力を適切に設定することが可能である。したがって、栽培施設を栽培条件に制御する空調設備の設計を支援することが可能となる。
上記栽培施設の設計支援システムにおいて、前記制御部が、前記熱負荷、前記影響量、前記気象情報から、前記栽培施設の栽培環境を予測し、前記能力に応じた空調機が配置された前記栽培環境において、前記空調機による空調制御をシミュレーションしてもよい。
上記構成によれば、能力に応じた空調機が配置された栽培施設において、空調機による空調制御をシミュレーションすることが可能である。そのため、栽培施設内が栽培条件となる空調制御が可能であることをシミュレーションによって確認することが可能である。
上記栽培施設の設計支援システムにおいて、前記影響量は、前記栽培条件下における前記植物の光合成速度から算出される蒸散気熱であってもよい。植物の生理機能のなかでも、蒸散が空調設備の設計に与える影響は大きい。上記構成によれば、光合成速度から算出される蒸散気熱を影響量として考慮することが可能である。そのため、蒸散による影響を考慮して、空調設備の設計を行うことが可能となる。
本実施形態のシステムの説明図。 本実施形態のハードウェア構成の説明図。 本実施形態の栽培施設データの説明図。 本実施形態の植物の生理機能データの説明図。 本実施形態の空調機選定データの説明図。 本実施形態の処理手順の説明図。
以下、一実施形態を、図1~図6に従って説明する。本実施形態では、栽培施設において、空調設備の設計を行う場合に用いる栽培施設の設計支援システムとして説明する。なお、本実施形態においては、蒸散気熱および蒸散量を影響量として、蒸散の影響を考慮した場合について説明する。影響量とは、植物の生理機能により生じる副産物のなかでも、空調設計に影響を及ぼすものである。植物の生理機能とは、植物が生きていく上で必要な機能であり、例えば、呼吸、光合成、蒸散である。
本実施形態では、図1に示すように、気象情報サーバ10、設計支援装置20を用いる。
(ハードウェア構成の説明)
図2を用いて、気象情報サーバ10、設計支援装置20を構成する情報処理装置H10のハードウェア構成を説明する。情報処理装置H10は、通信装置H11、入力装置H12、表示装置H13、記憶部H14、プロセッサH15を備える。なお、このハードウェア構成は一例であり、他のハードウェアにより実現することも可能である。
通信装置H11は、他の装置との間で通信経路を確立して、データの送受信を実行するインターフェースであり、例えばネットワークインターフェースや無線インターフェース等がある。
入力装置H12は、各種情報の入力を受け付ける装置であり、例えばマウスやキーボード等である。表示装置H13は、各種情報を表示するディスプレイ等である。
記憶部H14は、設計支援装置20の各種機能を実行するためのデータや各種プログラムを格納する記憶装置である。記憶部H14の一例としては、ROM、RAM、ハードディスク等がある。
プロセッサH15は、記憶部H14に記憶されるプログラムやデータを用いて、設計支援装置20における各処理を制御する。プロセッサH15の一例としては、例えばCPUやMPU等がある。このプロセッサH15は、ROM等に記憶されるプログラムをRAMに展開して、各処理のための各種プロセスを実行する。
プロセッサH15は、自身が実行するすべての処理についてソフトフェア処理を行うものに限られない。例えば、プロセッサH15は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行なう専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向けの集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、プロセッサH15は、〔1〕コンピュータプログラム(ソフトフェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ、〔2〕各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いは〔3〕それらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
(システム構成)
次に、図1を用いて、栽培施設の設計支援システムの各機能を説明する。
気象情報サーバ10は、気象情報を提供するコンピュータシステムである。気象情報は、気温、絶対湿度、法線面直達日射量、水平面天空日射量、水平面夜間放射量、風向、風速に関する時刻別の情報が含まれ、例えば、拡張アメダス気象データである。気象情報サーバ10は、この気象情報を用いて、設計用気象データと年間気象データとを算出する。設計用気象データは、気象情報のなかから空調機に過度な負荷がかかる日を複数選択し、気温、絶対湿度、法線面直達日射量、水平面天空日射量、水平面夜間放射量、風向、風速をそれぞれ時刻別に算出した平均値である。空調機に過度な負荷がかかる日とは、冷房運転における負荷や、暖房運転における負荷によって特定することができる。年間気象データは、気象情報から標準的な気候である日を複数選択し、気温、絶対湿度、法線面直達日射量、水平面天空日射量、水平面夜間放射量、風向、風速をそれぞれ時刻別の平均値である。年間気象データは、1年間の気象データの平均値でもよいが、例えば、季節ごとの平均値でもよい。上記の処理により算出された設計用気象データと年間気象データとは、気象情報サーバ10に保存される。
設計支援装置20は、栽培施設における空調設備の設計を支援するコンピュータシステムである。この設計支援装置20は、制御部21、記憶部22を備える。
制御部21は、後述する処理(栽培施設の設定段階、影響量算出段階、最大熱負荷算出段階、空調機の選定段階、空調機の配置設定段階、シミュレーション段階、総装置容量の再設定段階等を含む処理)を行なう。このための各処理のためのプログラムを実行することにより、制御部21は、栽培施設設定部211、影響量算出部212、空調機選定部213、空調機配置設定部214、シミュレーション部215等として機能する。
栽培施設設定部211は、栽培施設の3次元CAD(computer-aided design)を作成する処理を実行する。
影響量算出部212は、植物の影響量を算出する処理を実行する。
空調機選定部213は、栽培施設の空調機セットを選定する。空調機セットは、栽培施設に配置する空調機の台数と各空調機の機種との組み合わせである。また、この空調機選定部213は、空調機の機種毎に能力を記録した空調機使用テーブルを保持する。
空調機配置設定部214は、空調機の配置を設定する処理を実行する。
シミュレーション部215は、CFD(computational fluid dynamics)解析を用いて栽培環境をシミュレーションし、シミュレーションの結果が、予め保持している栽培条件の範囲内であるか判定する処理を実行する。栽培環境は、栽培領域周辺の温度や湿度であり、栽培領域は、栽培施設において植物が栽培される領域である。
図1に示すように、記憶部22には、栽培施設データ221、植物の生理機能データ222、熱負荷データ223、空調機選定データ224、シミュレーションモデル225が記録される。
図3に示すように、栽培施設データ221には、3次元モデル(オブジェクト)に関する情報が記録される。この栽培施設データ221は、3次元CADを用いて、栽培施設の設定を行った場合に記録される。栽培施設データ221には、プロジェクト情報、要素モデル、配置情報、属性情報に関する情報が含まれる。
プロジェクト情報は、栽培施設の名称、緯度・経度、栽培施設の方位等に関する情報を含む。
要素モデルは、栽培施設の建築に用いる各建築要素(部材)、栽培施設に配置される什器、栽培領域の3次元モデル(オブジェクト)に関する情報である。
配置情報は、各要素モデルを配置する座標に関する情報を含む。
属性情報は、各建築要素、什器、栽培領域の属性情報である。この属性情報には、仕様(規格、寸法、面積、体積、素材)に関する情報が含まれる。
図4に示すように、植物の生理機能データ222には、植物情報、光合成速度モデル、蒸散量モデル、蒸散気熱モデルに関する情報が記録される。植物の生理機能データ222は、蒸散気熱を算出した場合に記録される。
植物情報は、植物の種類、および植物の種類に対応する栽培条件、蒸散速度に関する情報が記録される。栽培条件は、植物の栽培に適した温度および湿度に関する情報が含まれる。蒸散速度は、植物の蒸散量を測定し、測定した蒸散量に対して測定に要した時間で除算することで算出される。
光合成速度モデルは、光合成速度を算出する数理モデルである。光合成速度モデルは、例えば、反応速度論に基づいて光強度、温度、および二酸化炭素濃度の関数として光合成速度を表現したFarquharモデルに基づいた数理モデルであってもよいし、例えば、無機リン酸の濃度が光合成速度を律速させるリン酸律速をFarquharモデルに組み込んだSharkeyモデルに基づいて作成される数理モデルであってもよい。また、光合成速度モデルは、例えば、FarquharモデルやSharkeyモデルを用いて作成された、温度と光合成速度との関係を二酸化炭素濃度ごとに示す三次元マップ、および温度と光合成速度との関係を光強度ごとに示す三次元マップであってもよい。
蒸散量モデルは、植物の光合成速度を入力値として植物の蒸散量を算出するための数理モデルである。蒸散量は、光合成速度と蒸散速度との相関関係であり、湿度に依存する。
蒸散気熱モデルは、植物の蒸散量に水の気化熱を乗算することで蒸散気熱を算出する数理モデルである。
熱負荷データ223は、栽培施設における熱負荷に関する情報である。熱負荷データ223には、外気負荷、貫流負荷、日射負荷、内部発熱負荷、蓄熱負荷に関する情報が含まれる。
外気負荷は、外気が室内に入りこむときに生じる熱負荷であり、ドアや窓の隙間から入り込む隙間風による熱負荷も含む。
貫流負荷は、栽培施設を構成する壁や柱を介して伝熱される熱負荷である。
日射負荷は、日射光による熱負荷である。
内部発熱負荷は、栽培施設内に設置される三次元オブジェクトによる熱負荷である。例えば、栽培施設内に設置される什器の内部発熱である。
蓄熱負荷は、栽培施設自体が蓄積する熱による熱負荷である。
熱負荷データ223は、栽培施設データ221の要素モデル、配置情報、属性情報を用いて、栽培施設内の熱環境のシミュレーションを行なうことにより算出することができる。
図5に示すように、空調機選定データ224には、総装置容量データ、空調機データ、安全率データに関する情報が記録される。空調機選定データ224は、空調機セットを選定した場合に記録される。
総装置容量データは、栽培施設に配置される全空調機の能力である。能力とは、定格消費電力である。栽培施設に配置される全空調機の能力である総装置容量は、最大熱負荷または必要容量を超えるように定められる。最大熱負荷とは、栽培施設における熱負荷の最大値である。必要容量とは、栽培環境を栽培条件に制御するために要する能力である。
空調機データは、空調機の機種と、その機種に対応する寸法、能力、熱負荷に関する情報である。空調機の熱負荷とは、空調機を稼働したときに生じる内部発熱である。
安全率データは、後述する栽培環境のシミュレーションの結果に応じて、総装置容量に乗算される安全率に関する情報である。総装置容量に安全率を乗算することで、必要容量が定められる。
図1に示すシミュレーションモデル225は、栽培環境をシミュレーションするための解析を実行する数理モデルである。本実施形態では、シミュレーションモデル225として、CFD解析モデルを用いる。発熱源を配置した環境に対して、このCFD解析モデルを適用することにより、環境の温度分布を予測することができる。更に、湿度発生源を配置した環境に対して、このCFD解析モデルを適用することにより、環境の湿度分布を予測することができる。更に、空調機や循環ファン等による気流を配置した環境に対して、このCFD解析モデルを適用することにより、気流分布を予測することができる。CFD解析モデルでは、温湿度や気流が相互に影響しながら形成する分布を予測することができる。
(設計支援処理)
図6を用いて、設計支援処理を説明する。
まず、設計支援装置20の制御部21は、栽培施設の設定処理を実行する(ステップS1-1)。具体的には、制御部21の栽培施設設定部211は、CAD画面を出力する。この場合、ユーザが、CAD画面において、栽培施設のレイアウト、栽培領域や什器を含む配置物等の各三次元モデル(オブジェクト)を配置することにより、栽培施設を構成する。ここでは、ユーザが、各三次元モデルの規格、寸法、素材を設定する。栽培施設設定部211は、各三次元モデルの面積や体積を算出し、三次元モデルの属性情報(プロパティ)として設定する。そして、栽培施設設定部211は、作成した栽培施設データ221を記憶部22に記録する。
次に、設計支援装置20の制御部21は、影響量の算出処理を実行する(ステップS1-2)。具体的には、制御部21の影響量算出部212は、栽培施設データ221に記録された栽培条件を光合成速度モデルに入力することで、栽培条件における光合成速度を算出する。次に、影響量算出部212は、栽培施設データ221の植物情報から栽培条件と蒸散速度とを取得する。影響量算出部212は、栽培条件の湿度および蒸散速度、算出した光合成速度を植物の生理機能データ222の蒸散量モデルに入力することで蒸散量を算出する。
次に、制御部21の影響量算出部212は、算出した蒸散量を、植物の生理機能データ222の蒸散気熱モデルに入力することで蒸散気熱を算出する。そして、影響量算出部212は、算出した植物の生理機能データ222を記憶部22に記録する。
次に、設計支援装置20の制御部21は、最大熱負荷の算出処理を実行する(ステップS1-3)。具体的には、制御部21の空調機選定部213は、栽培施設データ221、植物の生理機能データ222、気象情報に基づいて、栽培施設内の熱負荷を予測する。まず、空調機選定部213は、栽培施設を含む地域における設計用気象データを気象情報サーバから取得する。そして、空調機選定部213は、栽培施設データ221と、熱負荷データ223と、設計用気象データとをシミュレーションモデル225に入力することで、栽培施設内の温度分布をシミュレーションする。空調機選定部213は、熱負荷データ223の各熱負荷、及び設計用気象データの外的環境条件による熱負荷を、栽培施設データ221の栽培施設のレイアウトにおいて配置して、シミュレーションモデル225により栽培施設内の温度分布のシミュレーションを行なう。空調機選定部213は、シミュレーションにおいて、栽培施設内の熱負荷のピーク値を最大熱負荷として特定する。
次に、設計支援装置20の制御部21は、空調機の選定処理を実行する(ステップS1-4)。具体的には、制御部21の空調機選定部213は、保持している空調機の仕様テーブルを用いて、空調機の能力の合計値が最大熱負荷より高い空調機セットを選定する。空調機選定部213は、空調機の能力の合計値を総装置容量として特定する。空調機選定部213は、作成した空調機選定データ224を記憶部22に記憶する。
次に、設計支援装置20の制御部21は、空調機の配置の設定処理を実行する(ステップS1-5)。具体的には、制御部21の空調機配置設定部214は、表示装置H13にCAD画面を出力させる。この場合、空調機配置設定部214は、ユーザにより、CAD画面において配置された空調機の三次元モデルの配置位置を特定する。更に、空調機配置設定部214は、空調機セットに関する情報を空調機選定データ224から取得する。
次に、設計支援装置20の制御部21は、シミュレーション処理を実行する(ステップS1-6)。具体的には、制御部21のシミュレーション部215は、栽培施設を含む地域における年間気象データを気象情報サーバ10から取得し、植物の蒸散気熱を植物の生理機能データ222から取得する。まず、シミュレーション部215は、熱負荷データ223の各負荷、年間気象データの外的環境条件による熱負荷、及び栽培領域における蒸散気熱を、栽培施設データ221のレイアウトにおいて配置して、シミュレーションモデル225により栽培施設内の温度分布のシミュレーションを行なう。
次いで、シミュレーション部215は、年間気象データの外的環境条件による湿度と、植物の生理機能データ222の蒸散量とを、栽培施設データ221のレイアウトにおいて配置させ、シミュレーションモデル225により栽培施設内の湿度分布のシミュレーションを行なう。
次いで、シミュレーション部215は、温度分布のシミュレーションと、湿度分布のシミュレーションと、空調機による空調制御とを、栽培施設のレイアウトにおいて配置させ、シミュレーションモデル225により栽培施設内の温度や湿度、気流分布のシミュレーションを行なうことで、栽培環境をシミュレーションする。このとき、空調機による空調制御は、栽培施設内の温度分布および湿度分布が栽培条件の範囲内となるように行われる。
シミュレーション部215は、シミュレーションモデル225よりシミュレーションされた栽培環境が、栽培条件の範囲内であるか判定する(ステップS1-6)。このとき、シミュレーション部215は、シミュレーションモデル225によって算出した空気の温度分布および湿度分布が栽培条件の範囲内であるかを判定する。制御部21は、栽培環境が栽培条件の範囲内である場合(ステップS1-6において「YES」の場合)、空調機選定データ224を含む情報を表示装置H13に出力する。
栽培環境が栽培条件の範囲内ではない場合(ステップS1-6において「NO」の場合)、設計支援装置20の制御部21は、総装置容量の再設定を行う(ステップS1-7)。具体的には、制御部21の空調機選定部213は、栽培環境と栽培条件との差に応じて安全率を算出する。ここでは、差が大きいほど、高い安全率を算出する関数を用いる。そして、空調機選定部213は、総装置容量に安全率を乗算することで、必要容量を算出する。空調機選定部213は、空調機の能力の合計値が必要容量を越えるように、空調機セットを再度選定する。選定された空調機の能力の合計値を総装置容量として再度特定し、作成した空調機選定データ224を記憶部22に記憶する。以後の工程は、前述した空調機の配置選定処理、シミュレーション処理と同様である。設計支援装置20は、栽培環境が栽培条件の範囲内に収まるまで、上述した総装置容量の再設定処理(ステップS1-7)、空調機選定処理(ステップS1-4)、空調機の配置設定処理(ステップS1-5)、シミュレーション処理(ステップS1-6)を繰り返し実行する。なお、空調機の機種の組み合わせや、配置パターンを全て試した場合であっても、栽培環境を栽培条件の範囲内に制御できないときは、表示装置H13にエラーを示す画面を表示する。また、総装置容量の上限が予め設定されていてもよく、総装置容量の再設定処理(ステップS1-7)において、総装置容量が上限に達した場合に、エラーを示す画面が表示装置H13に表示されてもよい。
以上、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、設計支援装置20の制御部21は、蒸散気熱を予測し、予測した蒸散気熱と設計用気象データとに基づいて最大熱負荷を算出する。制御部21は、算出した最大熱負荷に基づいて、栽培施設の空調設備の能力を算出する。これにより、蒸散気熱を考慮した上で、空調設備の能力を設定することができる。
(2)栽培施設の設計システムにおいて、制御部21は、蒸散気熱を考慮した栽培施設における最大熱負荷に基づいて、空調機セットが設定される。これにより、総装置容量を的確に設定することができる。
(3)栽培施設の設計システムにおいて、制御部21は、シミュレーションモデル225により、栽培環境をシミュレーションする。そのため、空調機の能力や配置の選定が適切であることを確かめることができる。その結果、栽培環境を栽培条件に空調制御可能である空調設備を設計することができる。
(4)空調設備の能力は、シミュレーションモデル225によってシミュレーションされた栽培環境と栽培条件との比較に基づいて、安全率が乗算される。栽培環境が栽培条件を満たさない場合、空調設備の能力は、安全率が乗算されることで、高い値に設定される。これにより、栽培条件に制御可能である空調設備の能力を設定することができる。
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施例では、設計支援装置20の制御部21は、CAD画面において、三次元オブジェクトを配置することで、栽培施設を設定する(ステップS1-1)。ここで、設計支援装置20の制御部21は、予め作成された栽培施設の3DCADのテンプレートを選択することで、栽培施設の設定をしてもよい。また、3DCADのテンプレートに基づいて、栽培施設の設定をしてもよい。
・上記実施例では、設計支援装置20の制御部21は、CAD画面においてユーザが任意に空調機を配置することで、空調機の配置を設定する(ステップS1-5)。ここで、空調機の配置可能である空調機の配置可能領域が設定されてもよい。特に、3DCADのテンプレートが作成されている場合において、空調機の配置可能領域が予め設定されてもよい。また、空調機の配置パターンが予め定められてもよい。
・上記実施例では、設計支援装置20の制御部21は、制御部21のシミュレーション部215は、熱負荷データ223の各負荷、年間気象データの外的環境条件による熱負荷、及び栽培領域における蒸散気熱を、シミュレーションモデル225に入力することで、栽培領域の温度分布のシミュレーションを行う(ステップS1-6)。ここで、設計支援装置20の制御部21は、設計用気象データの外的環境条件による熱負荷をシミュレーションモデル225に入力してもよい。
・上記実施例では、設計支援装置20の制御部21は、栽培環境が栽培条件を満たさない場合、総装置容量の再設定を行う(ステップS1-7)。ここで、設計支援装置20の制御部21は、総装置容量を再設定せずに、空調機の配置を再設定してもよい。
10…気象情報サーバ、20…設計支援装置、21…制御部、22…記憶部、211…栽培施設設定部、212…影響量算出部、213…空調機選定部、214…空調機配置設定部、215…シミュレーション部、221…栽培施設データ、222…植物の生理機能データ、223…熱負荷データ、224…空調機選定データ、225…シミュレーションモデル。

Claims (5)

  1. 植物の栽培施設を栽培条件に制御する空調設備の設計を支援する制御部を備えた設計支援システムであって、
    前記制御部が、
    前記栽培施設が設置された地域の気象情報を取得し、
    前記栽培条件に応じて、前記栽培施設において栽培される前記植物の生理機能による影響量として、前記栽培条件下における前記植物の光合成速度から算出される蒸散気熱を予測し、
    前記気象情報及び前記影響量から、前記栽培施設における熱負荷を算出し、
    前記熱負荷に基づいて、前記栽培施設の前記空調設備の能力を算出することを特徴とする栽培施設の設計支援システム。
  2. 前記制御部が、
    前記熱負荷、前記影響量、前記気象情報から、前記栽培施設の栽培環境を予測し、
    前記能力に応じた空調機が配置された前記栽培環境において、前記空調機による空調制御をシミュレーションすることを特徴とする請求項1に記載の栽培施設の設計支援システム。
  3. 植物の栽培施設を栽培条件に制御する空調設備を備えた栽培施設空調システムであって、
    前記栽培施設が設置された地域の気象情報に応じて、前記栽培施設において栽培される前記植物の生理機能による影響量として、前記栽培条件下における前記植物の光合成速度から算出される蒸散気熱を予測し、
    前記気象情報及び前記影響量から、前記栽培施設における熱負荷を算出し、
    前記熱負荷に基づいて能力を定めた空調設備を備えた栽培施設空調システム。
  4. 植物の栽培施設を栽培条件に制御する空調設備の設計を支援する制御部を備えた設計支援システムを用いて設計支援を行う方法であって、
    前記制御部が、
    前記栽培施設が設置された地域の気象情報を取得し、
    前記気象情報に応じて、前記栽培施設において栽培される前記植物の生理機能による影響量として、前記栽培条件下における前記植物の光合成速度から算出される蒸散気熱を予測し、
    前記気象情報及び前記影響量から、前記栽培施設における熱負荷を算出し、
    前記熱負荷に基づいて、前記栽培施設の前記空調設備の能力を算出することを特徴とする栽培施設の設計支援方法。
  5. 植物の栽培施設を栽培条件に制御する空調設備の設計を支援する制御部を備えた設計支援システムに設計支援を実行させるためのプログラムであって、
    前記制御部
    前記栽培施設が設置された地域の気象情報を取得し、
    前記気象情報に応じて、前記栽培施設において栽培される前記植物の生理機能による影響量として、前記栽培条件下における前記植物の光合成速度から算出される蒸散気熱を予測し、
    前記気象情報及び前記影響量から、前記栽培施設における熱負荷を算出し、
    前記熱負荷に基づいて、前記栽培施設の前記空調設備の能力を算出する処理を実行させることを特徴とする栽培施設の設計支援プログラム。
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