JP7484109B2 - 窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法及び回路基板の製造方法 - Google Patents

窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法及び回路基板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、回路基板を多数個取りする為の窒化珪素セラミックス焼結基板及びその製造方法、窒化珪素セラミックス集合基板、並びに回路基板の製造方法に関する。
半導体モジュール、パワーモジュール等に利用される回路基板には、熱伝導性および絶縁性、強度などの点で回路用セラミックス基板が用いられ、この回路用セラミックス基板にCuやAlなどの金属回路板や金属放熱板が接合されて回路基板とされている。回路用セラミックス基板としては、アルミナ材が広く使われてきたが、最近では、より厳しい環境でも使用できるように、高強度で熱伝導性も改善された窒化珪素が使用されるようになってきた。
また、回路基板を量産する技術として、前記回路用セラミックス基板が多数切り出せる大きさの1枚のセラミックス集合基板に、活性金属ろう付け法や直接接合法などによりCu板等の金属板を接合し、エッチング加工等で金属回路板と金属放熱板を形成して、セラミックス集合基板を所定の大きさに分割して個々の回路基板を得るという方法がある。
個々の回路基板に分割する方法としては、例えば、Cu板等の接合前にレーザ加工により、セラミックス集合基板に凹部又は溝を形成しておき、Cu板等を接合後にセラミックス集合基板を撓ませて、凹部又は溝で分割する方法が採用されている。
本発明者が、焼結したままの焼結板にレーザ加工により分割用のスクライブ孔(非貫通の孔)を形成して、スクライブ孔による分割線で分割する(割断する)ことで、焼結板の四辺を除去してセラミックス集合基板を作製したところ、セラミックス集合基板の縁にバリが発生し易いことがわかった。そして、回路基板を製造するプロセスにおいて、縁を基準として位置合わせを行っても、Cu板等の金属板の中心が回路基板の中心に位置するように作製することが難しく、おもて面側の金属板の中心と裏面側の金属板の中心とが位置ずれを生じて、回路基板の合格率が低下するという問題があった。
なお、回路基板をスクライブ孔或いは分割溝でセラミックス集合基板から分割する技術が、特許文献1(特開2008-198905)、及び特許文献2(特開2017-28192)に開示されている。
特開2008-198905号公報 特開2017-28192号公報
従来技術では、おもて面側の金属板の中心と裏面側の金属板の中心とが位置ずれを生じることがある、という問題を解消できていなかった。おもて面側の金属板の中心と裏面側の金属板の中心とが大きく位置ずれを生じると、回路基板における熱抵抗が増加する虞がある。
本発明の目的は、おもて面側の金属板の中心と裏面側の金属板の中心とが位置ずれを生じることを抑制するために、窒化珪素セラミックス焼結基板及びその製造方法、窒化珪素セラミックス集合基板、並びに回路基板の製造方法を提供することにある。
本発明の窒化珪素セラミックス焼結基板は、窒化珪素セラミックス集合基板の周囲に耳部を有する矩形の窒化珪素セラミックス焼結基板から、回路基板を多数個取りするための回路形成部と縁部とを有する窒化珪素セラミックス集合基板を製造するための窒化珪素セラミックス焼結基板であって、
前記窒化珪素セラミックス集合基板と耳部を分割するためのスクライブ孔と、位置決め用の貫通孔とを備え、
前記スクライブ孔は、前記窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁から内側の位置に前記外縁に沿ってスクライブ孔による辺ブレークラインを形成し、
前記位置決め用の貫通孔は、前記辺ブレークラインよりも内側に形成されていることを特徴とする。
本発明の窒化珪素セラミックス集合基板は、回路基板を多数個取りするための回路形成部と縁部とを有する窒化珪素セラミックス集合基板であって、窒化珪素セラミックス集合基板の辺の内側に位置決め用の貫通孔が形成されていることを特徴とする。
本発明の窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法は、窒化珪素セラミックス集合基板の周囲に耳部を有する矩形の窒化珪素セラミックス焼結基板から、回路基板を多数個取りするための回路形成部と縁部とを有する窒化珪素セラミックス集合基板を製造するための窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法であって、
前記窒化珪素セラミックス集合基板と耳部を分割するためのスクライブ孔形成工程と、位置決め用の貫通孔形成工程とを備え、
前記スクライブ孔形成工程は、前記窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁から内側の位置に前記外縁に沿ってスクライブ孔による辺ブレークラインを形成し、
前記位置決め用の貫通孔形成工程は、前記辺ブレークラインよりも内側に貫通孔を形成することを特徴とする。
前記窒化珪素セラミックス焼結基板において、前記貫通孔は前記窒化珪素セラミックス集合基板の隅の近傍に少なくとも2つ形成されていることが好ましく、四隅近傍にそれぞれ形成されていることがより好ましい。前記貫通孔は、窒化珪素セラミックス焼結基板のおもて面(回路側)と裏面(放熱側)とで共通の位置決めの基準とすることが出来る。
前記窒化珪素セラミックス焼結基板において、前記窒化珪素セラミックス集合基板の隅の近傍に形成された少なくとも2つの貫通孔から求めた中心点と、前記窒化珪素セラミックス集合基板の中心点とは、一致していることが好ましい。また、この窒化珪素セラミックス焼結基板(位置決め用貫通孔を有す)から耳部を除去して、窒化珪素セラミックス集合基板を得ることが出来る。また、前記窒化珪素セラミックス焼結基板において、前記窒化珪素セラミックス集合基板の隅の近傍に形成された少なくとも2つの貫通孔から求めたおもて面の中心点と、前記貫通孔から求めた裏面の中心点とが一致していることが好ましい。また、前記窒化珪素セラミックス集合基板において、隅の近傍に形成された少なくとも2つの貫通孔から求めたおもて面の中心点と、前記貫通孔から求めた裏面の中心点とが一致していることが好ましい。
前記窒化珪素セラミックス焼結基板や前記窒化珪素セラミックス集合基板において、前記貫通孔は、開口の形状が円形であることが好ましい。
前記窒化珪素セラミックス焼結基板において、前記辺ブレークラインと前記貫通孔の距離は、0.1~4.0mmであることが好ましい。前記窒化珪素セラミックス集合基板において、窒化珪素セラミックス集合基板の辺(辺ブレークラインに相当)と前記貫通孔との距離は、0.1~4.0mmであることが好ましい。
本発明の回路基板の製造方法は、前記窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法に、回路側の金属板を設ける工程と、放熱側の金属板を設ける工程とを加えることで回路基板を製造する方法であって、
前記回路側の金属板の中心点を位置決めする際に前記貫通孔の一方の開口を用い、前記放熱側の金属板の中心点を位置決めする際に前記貫通孔の他方の開口を用いることを特徴とする。
また、本発明の回路基板の製造方法は、回路基板を多数個取りするための回路形成部と縁部とを有する窒化珪素セラミックス集合基板を作製する工程と、窒化珪素セラミックス集合基板の辺の内側に位置決め用の貫通孔を形成する工程とを有し、
前記窒化珪素セラミックス集合基板に、回路側の金属板を設ける工程と、放熱側の金属板を設ける工程とを有し、
前記回路側の金属板の中心点を位置決めする際に前記貫通孔の一方の開口を用い、前記放熱側の金属板の中心点を位置決めする際に前記貫通孔の他方の開口を用いることを特徴とする。
前記回路基板の製造方法において、
回路側用の金属板にレジストの第1のパターンを設ける際に、前記第1のパターンの中心点を前記貫通孔の一方の開口の中心によって決めており、
放熱側用の金属板にレジストの第2のパターンを設ける際に、前記第2のパターンの中心点を前記貫通孔の他方の開口の中心によって決めていることを特徴とする。
本発明の窒化珪素セラミックス焼結基板及びその製造方法、並びに回路基板の製造方法によって、おもて面側の金属板の中心と裏面側の金属板の中心とが位置ずれを生じることが抑制され、よって回路基板の合格率を向上できる。
本発明に係る窒化珪素セラミックス焼結基板を説明する概略図である。 図1の基板から得た窒化珪素セラミックス集合基板を説明する概略図である。 図2の基板に第2のブレークラインを形成した概略図である。 図3の基板にろう材を塗布した概略図であり、(4a)はおもて面及び(4b)は裏面を示す。 図4の基板に原版のCu板を配置し、ろう付けした概略図であり、(5a)はおもて面及び(5b)は裏面を示す。 図5の基板で原版のCu板をパターニングし、はみ出したろう材層を除去した概略図であり、(6a)はおもて面及び(6b)は裏面を示す。 図6の基板から得た回路基板の概略図である。 図2の基板にろう材を塗布した概略図である。 図8の基板に原版のCu板を配置し、ろう付けした概略図である。 図9の基板で原版のCu板をパターニングした概略図である。 図10の基板で露出したろう材層を除去した概略図である。 図11の基板で第2のブレークラインを形成した概略図である。 (a)図1等における貫通孔に係る断面図であり、(b)貫通孔に係る他の形態の断面図である。 本発明に係る他の窒化珪素セラミックス焼結基板を説明する概略図である。 図14の基板に由来し、原版のCu板を配置し、ろう付けした概略図である。 本発明に係る他の窒化珪素セラミックス焼結基板を説明する概略図である。 図16の基板に由来し、原版のCu板を配置し、ろう付けした概略図である。
本発明の実施形態を、以下詳細に説明するが、本発明は必ずしもそれらに限定されるものではない。各実施形態に関する説明は、特に断りがなければ他の実施形態にも適用できる。
発明者は、焼結によって得た窒化珪素セラミックス焼結基板について、窒化珪素セラミックス集合基板の部分にCu板等の金属板を設ける際の位置ズレを抑制するべく、鋭意検討した結果、窒化珪素セラミックス焼結基板或いは窒化珪素セラミックス集合基板に位置決め用の貫通孔を設けるという本発明に想到した。
(実施形態1)
本発明に係る窒化珪素セラミックス焼結基板を図1に示し、その製造方法並びに回路基板の製造方法について図1~図7を用いて説明する。まず、図1に示すように、焼結で得た窒化珪素セラミックス焼結基板1に、炭酸ガスレーザ(COレーザ)等を用いて、窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁10から内側の位置に外縁10に沿ってスクライブ孔13a(非貫通の孔)を複数個形成することで、スクライブ孔の中心間を結ぶ分割線によるブレークライン13(以下、辺ブレークラインという)とする(スクライブ孔形成工程)。以下で「スクライブ孔」は基板を貫通していない孔(非貫通の孔)を指す。
そして、辺ブレークライン13が交差する角部に辺ブレークライン13と傾斜する方向に、いわば角部を面取りするように、窒化珪素セラミックス焼結基板1の厚さ方向に貫通するスリット14を形成する(面取り用の貫通孔形成工程(より詳細にはスリット形成工程))。以下で、「スリット」は一方の面から他方の面に基板を貫通した細長い切り込みを指す。「面取り用の貫通孔」は一方の面から他方の面に基板を貫通した孔を指す。前記スリット14は、複数個の貫通孔を連結して形成されており、貫通孔の中心間を結ぶ分割線によるブレークライン15(以下、角ブレークラインという)を構成している。なお、角ブレークライン15は、辺ブレークラインと交差して、辺ブレークラインから長さL2で突出していてもよい。長さL2はスリットの形成に用いたレーザのビームスポット直径より大きく、且つ3.5mm未満であることが好ましい。なお、実施形態1は角ブレークラインを形成したが、角ブレークラインを設けない形態とすることも出来る。
そして、窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁10を構成する四辺のうち、長い方の辺を長辺とするが、この長辺に沿って形成された辺ブレークライン13について、その内側(外縁10とは反対の側)に所定の距離L1をおいて位置決め用の貫通孔5を形成する(位置決め用の貫通孔形成工程)。長辺に沿った辺ブレークラインは2本あり、角ブレークライン15の近くに1個ずつ貫通孔5を形成するので、合計4個の位置決め用貫通孔5を有する本発明の窒化珪素セラミックス焼結基板を得る(辺ブレークライン13と位置決め用貫通孔5の間隔はいずれもL1である)。なお、位置決め用の貫通孔5の直径は、100~500μmが好ましく、150~300μmが更に好ましい。そして、距離L1は、0.1~4.0mmであることが好ましく、0.2~3.0mmであることが更に好ましく、0.5mm~2.0mmがより好ましい。このように数値範囲を規定するのは、L1が小さすぎると、位置決め用の貫通孔5が辺ブレークラインに接触する虞があり、また辺ブレークラインの近くに貫通孔を設けた場合、基板強度の低下につながる虞がある為である。またL1が大きすぎると、位置決め用の貫通孔を設ける為の取り代(第2の耳部に相当)の幅が大きくなって、相対的に回路基板におけるセラミックス部の面積が小さくなり、回路基板の取り数が減る。
ついで、窒化珪素セラミックス焼結基板1の四辺について、各々の耳部を順に撓ませて、辺ブレークライン13と直角な方向に曲げによる引張応力を作用させて、窒化珪素セラミックス焼結基板から四辺の耳部11を分割する(耳部分割工程)。得られた窒化珪素セラミックス集合基板12aは、図2に示すように、四隅の角部を面取した箇所の近くで、且つ辺ブレークライン13から所定の距離L1離れた箇所に、位置決め用の貫通孔5を有している。
ついで、図3に示すように、窒化珪素セラミックス集合基板12aの面に第2のスクライブ孔による第2のブレークライン18,18’を形成する。第2のブレークライン18は辺ブレークライン13に沿って形成されており、辺ブレークライン13と第2のブレークライン18の距離は前記距離L1より大きい。なお、第2の耳部に相当する箇所に貫通孔5は位置している。例えば2本の第2のブレークライン18’は、例えば4本の第2のブレークライン18の中点と交差するように形成されている。なお、窒化珪素セラミックス集合基板において、対角線を引き、対角線の交点を窒化珪素セラミックス集合基板の中心点として求めることが出来る。
ついで、図4の(a)に示すように、図3の基板のおもて面(表面)において、第2のブレークライン18,18’で区切られた領域に(図4では4つの領域それぞれに)、ろう材ペーストをスクリーン印刷で塗布することによってろう材16aを配置する。さらに、基板のおもて裏を反転させて、裏面においてろう材ペーストをスクリーン印刷で塗布することによってろう材16a’を配置する。
ついで、図5の(5a)に示すように、図4の基板のおもて面(表面)において、4箇所のろう材16aを覆うように、原版のCu板16bを設ける。さらに、基板を反転させて、裏面において、4箇所のろう材16a’を覆うように、もう1枚の原版のCu板16b’を設ける。ついで、Cu板16b’/ろう材16a’/窒化珪素セラミックス集合基板(12a)/ろう材16a/Cu板16bという順に積層された積層体を熱処理することで、ろう材16a,16a’をろう材層と為して、ろう付けを行う。
なお、Cu板16bやCu板16b’を設ける際には、少なくとも貫通孔5を覆わないように、位置を調整して設ける。位置決め用の貫通孔5が覆われてしまって見えないと、後の工程において、レジストパターンの位置決めに使えない為である。Cu板16bやCu板16b’の位置を調整するには、例えば、治具として一対のピン或いはストッパーを用意し、Cu板16bの1つの辺に一方のピン或いはストッパーを当接させて、Cu板16bの隣の辺に他方のピン或いはストッパーを当接させるといった手法を用いる。
ついで、画像解析装置等を用いて、おもて面において、それぞれの位置決め用の貫通孔5について中心を算定し、位置決め用貫通孔5に係る4つの中心から、窒化珪素セラミックス集合基板(12a)の第1の中心点を算定する。前記「4つの中心」および前記「第1の中心点」によって得られる窒化珪素セラミックス集合基板の第1の座標に基づき、フォトレジストを形成する手法やレジストフィルムを貼る手法を用いて、Cu板16bにレジストパターンを4つ形成する。レジストパターンのアウトラインや位置は、上記第1の座標によって決定できる。なお、4つの中心のうち、右上および左下の中心同士を結ぶ結線(仮想線)と、右下および左上の中心同士を結ぶ結線(仮想線)とを描き、2つの結線の交点を第1の中心点として算定してもよい。
さらに、基板のおもて裏を反転させて、裏面において、それぞれの位置決め用の貫通孔5で中心を算定し、位置決め用貫通孔5に係る4つの中心から、窒化珪素セラミックス集合基板(12a)の第2の中心点を算定する。前記「4つの中心」および前記「第2の中心点」によって得られる窒化珪素セラミックス集合基板の第2の座標に基づき、フォトレジストを形成する手法やレジストフィルムを貼る手法を用いて、Cu板16b’にレジストパターンを4つ形成する。レジストパターンのアウトラインや位置は、上記第2の座標によって決定できる。おもて面と裏面とで、同じ4つの貫通孔5を用いることで(共通の位置決めの基準として用いることで)、第1及び第2の座標を共通化したり、或いは、第1の中心点と第2の中心点を一致させたりすることが出来て、窒化珪素セラミックス集合基板を挟んで対向するレジストパターン同士の位置を、透視したときに重なるように、正確に合わせられる。
ついで、Cu板16bとCu板16b’をエッチング処理によってパターニングして、Cu板の縁から外側へはみ出したろう材層を選択的なエッチングで除去することで、図6の(6a)に示すようにCu板16bから4つの銅の回路板16を形成し、図6の(6b)に示すようにCu板16b’から4つの銅の放熱板16’を形成する。レジストパターンで覆われた箇所に応じた形状にパターニングされるので、窒化珪素セラミックス集合基板を挟んで対向するように、銅の回路板16の位置と銅の放熱板16’の位置は、正確に合わせられる。この後に、銅の回路板16や銅の放熱板16’にNiめっき、Agめっき、或いはAuめっきなどを施してもよい。
その後、第2のブレークライン18,18’に沿って窒化珪素セラミックス集合基板12aを分割することで、回路形成部(回路基板20に相当)及び縁部17(第2の耳部に相当)を分離して、各々の回路基板20を得る。回路基板20は、図7に示すように、銅の回路板16及び銅の放熱板(図示せず)とセラミックス基板部19とを有するものとなる。セラミックス基板部19の面(回路板或いは放熱板を設けた面)に垂直な向きからみたときに、セラミックス基板部19の面内において、おもて面における銅の回路板16の位置と、裏面における銅の放熱板の位置とが合っている。
(実施形態2)
本発明に係る他の窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法並びに回路基板の製造方法を図1、図2、及び図8~図13を用いて説明する。まず、図1と同様の窒化珪素セラミックス焼結基板を作製して、その基板から図2と同様の窒化珪素セラミックス集合基板12aを得る。ついで、図2の基板のおもて面に、ろう材ペーストをスクリーン印刷で塗布することによって、図8に示すようにろう材16cを配置する。さらに、基板のおもて裏を反転させて、基板の裏面にろう材ペーストをスクリーン印刷で塗布することによって、ろう材16cと同様にろう材を配置する。
ついで、図9に示すように、図8の基板のおもて面(表面)において、ろう材16cの主要部を覆うように、原版のCu板16dを設ける。この際にCu板16dが貫通孔5を覆わないようにする。さらに、基板のおもて裏を反転させて、裏面においてろう材の主要部を覆うように、もう1枚の原版のCu板を設ける。この際に原版のCu板が貫通孔5を覆わないようにする。ついで、Cu板/ろう材/窒化珪素セラミックス集合基板(12a)/ろう材16c/Cu板16dという順に積層された積層体を熱処理することで、ろう材及びろう材16cをろう材層と為して、ろう付けを行う。
ついで、画像解析装置等を用いて、おもて面において、それぞれの位置決め用の貫通孔5について中心を算定し、位置決め用貫通孔5に係る4つの中心から、窒化珪素セラミックス集合基板(12a)の第1の中心点を算定する。前記「4つの中心」および前記「第1の中心点」によって得られる窒化珪素セラミックス集合基板の第1の座標に基づき、フォトレジストを形成する手法やレジストフィルムを貼る手法を用いて、Cu板16dにレジストパターンを4つ形成する。レジストパターンのアウトラインや位置は、上記第1の座標によって決定できる。
さらに、基板のおもて裏を反転させて、裏面において、それぞれの位置決め用の貫通孔5で中心を算定し、位置決め用貫通孔5に係る4つの中心から、窒化珪素セラミックス集合基板(12a)の第2の中心点を算定する。前記「4つの中心」および前記「第2の中心点」によって得られる窒化珪素セラミックス集合基板の第2の座標に基づき、フォトレジストを形成する手法やレジストフィルムを貼る手法を用いて、Cu板16dとは反対側に有るCu板にレジストパターンを4つ形成する。レジストパターンのアウトラインや位置は、上記第2の座標によって決定できる。おもて面と裏面とで、同じ4つの貫通孔5を用いることで(共通の位置決めの基準として用いることで)、第1及び第2の座標を共通化したり、或いは、第1の中心点と第2の中心点を一致させたりすることが出来て、窒化珪素セラミックス集合基板を挟んで対向するレジストパターン同士の位置を、透視したときに重なるように、正確に合わせられる。
ついで、Cu板16dともう1枚のCu板をエッチング処理によってパターニングすることで、図10に示すように、おもて面においてCu板16dから4つの銅の回路板16を形成し、裏面においてもう1枚のCu板から4つの銅の放熱板を形成する。レジストパターンで覆われた箇所に応じた形状にパターニングされるので、窒化珪素セラミックス集合基板を挟んで対向するように、銅の回路板16の位置と銅の放熱板の位置は、正確に合わせられる。この後に、銅の回路板16や銅の放熱板にNiめっき、Agめっき、或いはAuめっきなどを施してもよい。
ついで、図10の構成において、おもて面においてろう材16cに由来するろう材層16c’には銅の回路板16に覆われていない部分が有り、裏面においてろう材に由来するろう材層には銅の放熱板に覆われていない部分が有り、これらは露出したろう材層となっている。これらの露出したろう材層を選択的なエッチングによって除去すると、図11に示すように、窒化珪素セラミックス集合基板を挟んで対向するように、銅の回路板16と銅の放熱板とを有する構成を得る。この後に、銅の回路板16や銅の放熱板にNiめっき、Agめっき、或いはAuめっきなどを施してもよい。
ついで、図12に示すように、窒化珪素セラミックス集合基板の面に第2のスクライブ孔による第2のブレークライン18、18’を形成する。第2のブレークライン18は辺ブレークライン13に沿って形成されており、辺ブレークライン13と第2のブレークライン18の距離は前記距離L1より大きい。なお、第2の耳部に相当する箇所に貫通孔5は位置している。例えば2本の第2のブレークライン18’は、例えば4本の第2のブレークライン18の中点と交差するように形成されている。
その後、第2のブレークライン18,18’に沿って窒化珪素セラミックス集合基板を分割することで、回路形成部(回路基板20に相当)及び縁部17(第2の耳部に相当)を分離して、各々の回路基板20を得る。回路基板20は、図7と同様の構成となり、銅の回路板16及び銅の放熱板(図示せず)とセラミックス基板部19とを有するものとなる。セラミックス基板部19の面(回路板或いは放熱板を設けた面)に垂直な向きからみたときに、セラミックス基板部19の面内において、おもて面における銅の回路板16の位置と、(透視して見た)裏面における銅の放熱板の位置とは合っている。
(位置決め用の貫通孔)
図13で位置決め用の貫通孔について説明する。図13の(a)は、図1等における貫通孔5の断面図であり、貫通孔の直径を強調して図示している。貫通孔を形成する際に、窒化珪素セラミックス集合基板12のおもて面にレーザを照射した側が図中の「入射側」であり、レーザが貫通した側が図中の「貫通側」である。レーザの照射条件にもよるが、貫通孔の直径は貫通側から入射側に向かって微増しており、入射側の縁のあたりでは直径が広がって、断面視において曲線的な傾斜が付くことがある。図13の(b)は、他の貫通孔5’の例を示す断面図であり、窒化珪素セラミックス集合基板(12)の断面視において貫通孔の内壁は積極的に傾斜がつけられて、貫通孔の直径が貫通側から入射側に向かって増加しており、このような貫通孔5’を用いることも出来る。
これら位置決め用の貫通孔について、基板に垂直な向きからみて、画像解析装置等を用いて、入射側の開口の中心(仮想的な中心)を算定したり、貫通側の開口の中心(仮想的な中心)を算定したりする。中心を通り、窒化珪素セラミックス集合基板の面と交差する関係にある垂直な仮想線を、図13(a),(b)にそれぞれ一点鎖線で図示している。
基板に垂直な向きからみて、貫通孔の開口の形状は円形であるのが好ましい。円の大きさがおもて側と裏面側とで異なったとしても、円の中心の位置は同じになる為である。なお、円形の開口の中心を求める方法として、例えば、円形の形状に対して少なくとも3本の仮想線を引いて、円形の縁の画像の濃淡から、円形の縁と仮想線との交点を特定して、少なくとも3つの交点から円形の中心(すなわち、貫通孔の開口の中心)を求める方法を用いることもできる。貫通孔の開口の形状は他に、楕円であったり、矩形であったり、或いは十字形状であったりしてもよいが、開口の形状が円形から変形されるほどに、開口の中心を高い精度に算定しようとすると、誤差を生じ易くなる可能性がある。すなわち、開口の形状の中心(画像から発明者がマニュアルで算定)と、画像解析装置に算定させた開口の中心とにずれを生じ易くなる場合がある。これに対して、円形の開口の縁は、仮に壁面における曲線的な傾斜の影響を受けて、アウトラインに濃淡(グラデーション)がついて見えたとしても、円形の中心は1点に決まるので、高い精度で開口の中心が算定される。
(実施形態3)
本発明に係る他の窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法並びに回路基板の製造方法を図14及び図15を用いて説明する。まず、図14の窒化珪素セラミックス焼結基板を作製するが、貫通孔5が2個に限られている点を除いて、図1の窒化珪素セラミックス焼結基板と共通している。窒化珪素セラミックス集合基板の右上の貫通孔5の位置と左下の貫通孔5の位置は、図1と同様である。ただし、窒化珪素セラミックス集合基板の右下と左上には貫通孔が形成されていない(貫通孔がない箇所に、便宜的に×印を図示している)。
おもて面において、右上の貫通孔5の中心と左下の貫通孔5の中心とを結ぶ仮想線(一点鎖線)の中点100(図14では□印で図示している)を第3の中心点として算定する。たとえば、図15に示すように、原版のCu板16bの中心点を中点100とする。前記「右上の貫通孔5の中心と左下の貫通孔5の中心」および前記「第3の中心点」によって得られる窒化珪素セラミックス集合基板の第3の座標に基づき、フォトレジストを形成する手法やレジストフィルムを貼る手法を用いる際に、レジストパターンのアウトラインや位置を、上記第3の座標によって決定する。
また、基板を反転させ、裏面については、2つの貫通孔5の中心同士を結ぶ仮想線の中点を第4の中心点として算定する。「2つの貫通孔5の中心」および「第4の中心点」によって得られる窒化珪素セラミックス集合基板の第4の座標に基づき、フォトレジストを形成する手法やレジストフィルムを貼る手法を用いる際に、レジストパターンのアウトラインや位置を、上記第4の座標によって決定する。そして、貫通孔に係る座標以外の要件や工程は、実施形態1或いは実施形態2と同様にして良く、図7と同様の回路基板を作製できる。したがって、セラミックス基板部19の面(回路板或いは放熱板を設けた面)に垂直な向きからみたときに、セラミックス基板部19の面内において、おもて面における銅の回路板16の位置と、(透視して見た)裏面における銅の放熱板の位置とは合っている。
(実施形態4)
図14の構成について、さらに、右下或いは左上の×印の箇所の一方に、貫通孔を1個追加することもできる。例えば、右下の×の箇所に貫通孔5を追加する場合、「右上の貫通孔5の中心と右下に追加した貫通孔の中心と左下の貫通孔5の中心」およびそれらから求めた「第3の中心点’」によって得られる窒化珪素セラミックス集合基板の第3の座標’に基づき、フォトレジストを形成する手法やレジストフィルムを貼る手法を用いる際に、レジストパターンのアウトラインや位置を、上記第3の座標’によって決定する。
また、基板を反転させ、裏面については「3つの貫通孔の中心」およびそれらから求めた「第4の中心点’」によって得られる窒化珪素セラミックス集合基板の第4の座標’に基づき、フォトレジストを形成する手法やレジストフィルムを貼る手法を用いる際に、レジストパターンのアウトラインや位置を、上記第4の座標’によって決定する。そして、貫通孔に係る座標以外の要件や工程は、実施形態1~3のいずれかと同様にして良く、図7と同様の回路基板を作製できる。したがって、セラミックス基板部19の面(回路板或いは放熱板を設けた面)に垂直な向きからみたときに、セラミックス基板部19の面内において、おもて面における銅の回路板16の位置と、(透視して見た)裏面における銅の放熱板の位置とは合っている。
(実施形態5)
本発明に係る他の窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法並びに回路基板の製造方法を図16及び図17を用いて説明する。まず、図16の窒化珪素セラミックス焼結基板を作製する。窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁10を構成する四辺のうち、短い方を短辺とする。この短辺に沿って形成された辺ブレークライン13について、その内側(外縁10とは反対側)に所定の距離L1をおいて、位置決め用の貫通孔5が形成されている。貫通孔5が、長辺近傍ではなく、短辺近傍に設けられている点を除いて、図1の窒化珪素セラミックス焼結基板と共通している。たとえば、図17に示すように、ろう材16aや原版のCu板16bを設け、フォトレジストを形成する手法やレジストフィルムを貼る手法を用いる際に、レジストパターンのアウトラインや位置を、上記第1の座標或いは上記第2の座標と同様の座標によって決定する。したがって、図7と同様の回路基板を作製できる。セラミックス基板部19の面(回路板或いは放熱板を設けた面)に垂直な向きからみたときに、セラミックス基板部19の面内において、おもて面における銅の回路板16の位置と、(透視して見た)裏面における銅の放熱板の位置とは合っている。
本発明に係る窒化珪素セラミックス焼結基板において、例えば図1に示すように、辺ブレークライン13同士が交差する角部に辺ブレークライン13と傾斜する方向に、いわば角部を面取りするように、角ブレークライン14を形成している。この角ブレークライン14は、基板を貫通するスリットであってもよいし、面取り用の貫通孔が連結してなるスリット14であってもよいし、複数の貫通孔(面取り用の貫通孔)を直列に並べたもの(但し、貫通孔のピッチを、辺ブレークラインのスクライブ孔のピッチよりも小さくする)であってもよい。角ブレークラインが有ることによって、窒化珪素セラミックス焼結基板1を撓ませて、窒化珪素セラミックス集合基板12と耳部11に分割する際に、窒化珪素セラミックス集合基板の四隅に亀裂や欠けを生じることを抑制することができる。
本発明に係る窒化珪素セラミックス焼結基板において、前記スクライブ孔13aは、基板表面における直径は例えば300μm以下、深さは例えば窒化珪素セラミックス集合基板の厚さの1/3以上とするのが好ましい。スクライブ孔の直径は使用するレーザのビームスポット径によるところが大きいが、30~200μmがより好ましく、50~150μmが更に好ましい。また、スクライブ孔の深さは、例えば基板厚さが0.32mmの場合、80~300μmがより好ましく、100~250μmが更に好ましい。またスクライブ孔のピッチはスクライブ孔直径の2倍以下が好ましく、より好ましくはスクライブ孔直径と等しくするのが良く、特に好ましくは基板を分割したときの割断性で決定するのがよい。このピッチ制御は加工速度制御により調整可能であり、レーザ出力パルス数などと連動させてもよい。
本発明に係る窒化珪素セラミックス焼結基板において、スクライブ孔による辺ブレークラインが交差する角部に形成し、面取り用の貫通孔を連結してなるスリット14は、たとえばスリット幅を30~200μm、スリットの長さを2.8~8.4mmとするのが好ましい。面取り用の貫通孔の直径或いはスリット幅は、20~150μmがより好ましく、30~100μmが更に好ましい。スリットの長さは、3.0~8.0mmがより好ましく、3.5~7.5mmが更に好ましい。また、面取り用の貫通孔によるブレークラインは、幅や長さをスリット寸法と同様にすることができる。
本発明に係る窒化珪素セラミックス焼結基板において、前記貫通孔による角ブレークライン或いはスリットは、スクライブ孔による辺ブレークラインに対して例えば30°~60°傾ける。より具体的にはスクライブ孔による辺ブレークラインに対して例えば45°傾けると、基板の面積を無駄なく有効に使えるので好ましい。
本発明に係る窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法において、位置決め用の貫通孔、前記スクライブ孔、前記面取り用の貫通孔、或いは前記スリットは、レーザで形成されることが好ましい。例えば、YAGレーザや炭酸ガスレーザ(COレーザ)を用いる。YAGレーザや炭酸ガスレーザの照射による加工は、基板を貫通する貫通孔を形成したり、深い孔を断続的に形成したりすることに適している。
本発明に係る窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法において、位置決め用の貫通孔を形成する際には、レーザのビームスポットの照射を複数回繰り返すことが好ましい。照射を複数回繰り返して孔を掘り下げていくと、照射毎のエネルギー密度を低くできるので、貫通孔の表面(内壁)に熱衝撃による亀裂が形成され難くなる。
本発明に係る窒化珪素セラミックス焼結基板及び窒化珪素セラミックス集合基板は、厚さを例えば0.2mmから1.0mmとする。より具体的には厚さを例えば0.25mmから0.65mmとするのが好ましい。本発明に係る窒化珪素セラミックス焼結基板及び窒化珪素セラミックス集合基板では、破壊靱性値を例えば5.0MPa・m1/2以上とする。より具体的には破壊靱性値を例えば5.0~7.5MPa・m1/2とするのが好ましい。本発明の回路基板の製造方法について、金属板はCu板或いはAl板の少なくとも1種を用いることができる。また、窒化珪素セラミックス集合基板と金属板とを接合する手法は、ろう付けに限らず、直接接合法などを用いてもよい。
以下、本発明について実施例に基づき具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に必ずしも限定されない。
(実施例)
窒化珪素セラミックスを形成する為の原料において、主原料に窒化珪素粉末を用い、焼結助剤に2質量%のMgO及び3質量%のYを用いて、作製したシート成形体を窒素雰囲気中にて最高温度1850℃保持時間5時間で焼結して、厚さ0.32mm、縦150mm及び横200mmで矩形の窒化珪素セラミックス焼結基板1を作製した。炭酸ガスレーザを用いて、窒化珪素セラミックス焼結基板1の外縁10から内側の位置に外縁10に沿ってスクライブ孔13aによる辺ブレークライン13を形成した(スクライブ孔形成工程)。スクライブ孔13aは、基板表面において最大径が50μm、深さが150μm、ピッチが100μmであり、図1に示すようにスクライブ孔13aによる辺ブレークライン13を四辺の各々に沿って形成した。耳部11の幅は5mmとした。
続けて、炭酸ガスレーザ(出力100W)を用いて、レーザのビームスポットの走査を1回として、スクライブ孔13aによる辺ブレークライン13の交差する角部(4箇所)の各々に辺ブレークライン13と45°傾斜する方向に、L2だけ突出した位置から面取り用の貫通孔を連続的に形成していくことで、面取り用の貫通孔が連結してなるスリット14を形成した(スリット形成工程)。
レーザのビームスポットの直径=0.07mm
加工速度=15mm/s
スリットの突出長L2=0.7mm
スリットの全長=4.2mm
基板表面におけるスリット幅=0.10mm
続けて、炭酸ガスレーザを用いて、ビームスポットの直径を0.2mmとして、辺ブレークライン13の内側にL1=0.5mmで離れた箇所に位置決め用の貫通孔5を形成した。ここで、辺ブレークライン13に沿った向きにおいて、近傍のスリット14から前記位置決め用の貫通孔5は5mm離れた位置に形成するものとした。辺ブレークライン13は4本あるので、図1に示すように、位置決め用の貫通孔5は合計4個となった。
ついで、図1に係る窒化珪素セラミックス焼結基板1を撓ませて、辺ブレークライン13で割って、図2に示す窒化珪素セラミックス集合基板12と、耳部11とに分割した。ついで、図3に示すように、窒化珪素セラミックス集合基板12aに第2のブレークライン18,18’を形成して窒化珪素セラミックス12aとした。
ついで、図4に示すように、この窒化珪素セラミックス集合基板12aの表側および裏側にそれぞれろう材(16a,16a’)をスクリーン印刷法で塗布した。ろう材は、70質量%のAg、3質量%のIn、及び27質量%のCu(合計100質量部)からなる合金粉末に対して0.3質量部のTiHを添加し、さらに有機溶剤、有機バインダーを添加して混練してペーストとしたものを使用した。ろう材を塗布した窒化珪素セラミックス集合基板を乾燥した後、ろう材を覆うように、表側及び裏側にそれぞれ0.3mmの銅板、すなわちCu板(16b,16b’)を接触配置して積層体を得た(図5を参照)。ついで、加圧しながら800℃、20分、真空中で熱処理し、窒化珪素セラミックス集合基板とCu板との接合体を作製した。窒化珪素セラミックス集合基板及びCu板の間には、厚さがおよそ30μmのろう材の層が形成されている。
ついで、画像解析装置を用いて、おもて面において、それぞれの位置決め用の貫通孔5について中心(入射側における円形の中心)を算定し、得られた位置決め用貫通孔5に係る4つの中心から、窒化珪素セラミックス集合基板(12a)の第1の中心点を算定した。前記「4つの中心」および前記「第1の中心点」によって得られる窒化珪素セラミックス集合基板の第1の座標を決定した。ついで、接合体について、表側でCu板上に、紫外線で硬化可能なエッチングレジストインクを塗布した後、紫外線を照射してエッチングレジストインクを硬化させてレジスト膜のパターンを形成した。レジスト膜のパターンを露光する際のマスクの位置決めには、上記の第1の座標を用いて行った。エッチングレジストインクには、アルカリ剥離型のものを用いた。
ついで、基板を反転させて、裏面において、それぞれの位置決め用の貫通孔5で中心(貫通側における円形の中心)を算定し、得られた位置決め用貫通孔5に係る4つの中心から、窒化珪素セラミックス集合基板(12a)の第2の中心点を算定した。前記「4つの中心」および前記「第2の中心点」によって得られる窒化珪素セラミックス集合基板の第2の座標を決定した。ついで、接合体について裏側でもCu板上にエッチングレジストインクを塗布した後、紫外線を照射してエッチングレジストインクを硬化させてレジスト膜のパターンを形成した。レジスト膜のパターンを露光する際のマスクの位置決めには、上記の第2の座標を用いて行った。
30℃に保持した塩化銅55のエッチング液(塩化銅、塩酸及び過酸化水素を含む混合液)でエッチング処理を行い、回路板或いは放熱板のパターン外となる不要なCu板(すなわち、レジスト膜で被覆されていない部分のCu板)の除去を行った。
ついで、ろう材がCu板よりはみ出している部分(ろう材のはみ出し部)を除去するため、第1のろう材エッチング処理(カルボン酸及び/又はカルボン酸塩、並びに過酸化水素を含む酸性の溶液によるエッチング処理)、及び第2のろう材エッチング処理(フッ化水素アンモニウム及び過酸化水素を含む溶液によるエッチング処理)を順に行って、ろう材のはみ出し部を除去して、図6に示す接合体を得た。
ついで、接合体を、3質量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して、レジスト膜を除去した。次いで、化学研磨、及びイオン交換水による洗浄を経た後に、表側の銅板(回路板)及び裏側の銅板(放熱板)にNiメッキを施した。この化学研磨は、光沢処理を狙って、硫酸ベースの一般市販液を用いて行った。
このようにして、Niメッキした銅の回路板16及び銅の放熱板を、窒化珪素セラミックス集合基板及びろう材層を介して複数組接合した回路基板の集合体を得た。ついで、第2のブレークライン18,18’で分割することで、図7に示すように銅の回路板16及び銅の放熱板(図示せず)とセラミックス基板部19とを有する回路基板20を複数個得た。
上述の工程のうち、レジスト膜のパターンを形成したときについて説明する。レジスト膜のパターンは、長辺方向における中心点の位置精度(「ずれ」に相当)が、位置決め用の貫通孔において、開口が円形の場合には±0.025mmの範囲内に収まり、開口が十字形状の場合には±0.04mmの範囲内に収まった。したがって、おもて面側の金属板の中心と裏面側の金属板の中心とが位置ずれを生じることが抑制され、回路基板の合格率を向上することが出来た。
(比較例1)
位置決め用の貫通孔を形成せずに、窒化珪素セラミックス集合基板の長辺を治具に当接させて位置決めを行った(位置決め用貫通孔に係る要件以外は、実施例と同様にした)。しかしながら、耳部除去に伴って発生していたばりを除去しておいたのだが、長辺(長辺に沿った基板の側面)自体の平坦性のばらつきに影響を受けて、レジスト膜のパターンは、長辺方向における位置精度(ずれ)が、±0.08mmの範囲内となった。
(比較例2)
位置決め用の貫通孔を形成せずに、窒化珪素セラミックス集合基板のおもて面及び裏面にそれぞれマーク(塗膜或いは描画によるマーク)を形成して位置決めに用いた。しかしながら、レジスト膜のパターンは、長辺方向における位置精度が、実施例の場合よりも劣るものとなった。これは、おもて面にマーキングする工程と、裏面にマーキングする工程との間において、共通の基準を用いていないので、窒化珪素セラミックス集合基板を反転させる為のハンドリング工程を経る際にずれを生じたものと考えらえる。
なお、上述の実施例、比較例1、比較例2について、短辺方向における位置精度を比べたところ、比較例1、2に比べて実施例は位置精度が小さい範囲に収まることとなった。
1:窒化珪素セラミックス焼結基板、
5,5’:貫通孔、
10:外縁、
11:耳部、
12,12a:窒化珪素セラミックス集合基板、
13:辺ブレークライン、13a:スクライブ孔、
14:スリット、15:角ブレークライン、
16:銅の回路板、
16’:銅の放熱板、
16a,16a’,16c:ろう材、
16c’:ろう材層、
16b,16b’,16d:原版のCu板、
17:縁部、
18,18’:第2のブレークライン、
19:セラミックス基板部、 20:回路基板、
100:中心点


Claims (4)

  1. 窒化珪素セラミックス集合基板の周囲に耳部を有する矩形の窒化珪素セラミックス焼結基板から、回路基板を多数個取りするための回路形成部と縁部とを有する窒化珪素セラミックス集合基板を製造するための窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法であって、
    前記窒化珪素セラミックス集合基板と前記耳部を分割するためのスクライブ孔を形成するスクライブ孔形成工程と、
    前記窒化珪素セラミックス集合基板と前記耳部を分割する前に、位置決め用の貫通孔を形成する位置決め用の貫通孔形成工程とを備え、
    前記スクライブ孔形成工程は、前記窒化珪素セラミックス焼結基板の外縁から内側の位置に前記外縁に沿ってスクライブ孔による辺ブレークラインを形成し、
    前記位置決め用の貫通孔形成工程は、前記辺ブレークラインよりも内側であり、前記縁部に相当する位置に貫通孔を形成することを特徴とする窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法。
  2. 請求項に記載の窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法において、前記貫通孔は、窒化珪素セラミックス焼結基板のおもて面と裏面とで共通の位置決めの基準とすることを特徴とする窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法。
  3. 請求項に記載の窒化珪素セラミックス焼結基板の製造方法に、回路側の金属板を設ける工程と、放熱側の金属板を設ける工程とを加えることで回路基板を製造する方法であって、
    前記回路側の金属板の中心点を位置決めする際に前記貫通孔の一方の開口を用い、前記放熱側の金属板の中心点を位置決めする際に前記貫通孔の他方の開口を用いることを特徴とする回路基板の製造方法。
  4. 請求項に記載の回路基板の製造方法において、
    回路側用の金属板にレジストの第1のパターンを設ける際に、前記第1のパターンの中心点を前記貫通孔の一方の開口の中心によって決めており、
    放熱側用の金属板にレジストの第2のパターンを設ける際に、前記第2のパターンの中心点を前記貫通孔の他方の開口の中心によって決めていることを特徴とする回路基板の製造方法。
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