JP7483208B2 - 紫外線照射装置 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、紫外線照射装置に関する。
ピーク波長が200nm以下の紫外線を照射するバリア放電ランプがある。バリア放電ランプは、例えば、対象物の表面に付着した有機物の除去(光洗浄処理)、表面改質、酸化膜の形成などの表面処理に用いられている。バリア放電ランプは、例えば、誘電体から形成された発光管と、発光管の内側に設けられた内部電極と、発光管の外側に設けられた外部電極と、を有している。内部電極と外部電極とに交流電圧を印加すると、誘電体バリア放電が生じ、発光管の内部空間に封入されたガスの種類に応じて特定の波長を有する紫外線が照射される。
ここで、誘電体バリア放電を行うと、紫外線とともに熱が発生する。そのため、紫外線を長時間照射すると、発光管の温度が高くなって、発光管に反りや曲がりなどの変形が生じる場合がある。発光管に反りや曲がりなどの変形が生じると、発光管の内側に設けられた内部電極と、発光管の外側に設けられた外部電極との間の距離が部分的に変化するおそれがある。内部電極と外部電極との間の距離が部分的に変化すると、照度の均一性が悪化するおそれがある。
そこで、照度の均一性を向上させることができる紫外線照射装置の開発が望まれていた。
特開2013-211164号公報
本発明が解決しようとする課題は、照度の均一性を向上させることができる紫外線照射装置を提供することである。
実施形態に係る紫外線照射装置は、筒状を呈し、内部空間に希ガスが封入された発光管と;前記内部空間に設けられたコイルを有する内部電極と;前記発光管の外側に、前記発光管の管軸に沿った方向に並べて設けられた複数の外部電極と;前記複数の外部電極の外側に隙間を介して設けられた冷却部と;前記発光管の管軸に直交する方向において、前記発光管を挟んで設けられた一対の保持部と;を具備している。前記外部電極は、外側に向けて突出する取り付け部を少なくとも1つ有し、前記一対の保持部と、前記外部電極の前記取り付け部は、前記冷却部に取り付けられている。
本発明の実施形態によれば、照度の均一性を向上させることができる紫外線照射装置を提供することができる。
本実施の形態に係る紫外線照射装置を例示するための模式側面図である。 図1における紫外線照射装置のA-A線方向の模式側面図である。 バリア放電ランプを例示するための模式図である。 (a)、(b)は、変形した発光管と外部電極との位置関係を例示するための模式図である。 照度分布を例示するためのグラフ図である。 位置決め部を例示するための模式側面図である。 冷却部を例示するための模式断面図である。 (a)、(b)は、一対の保持部を例示するための模式斜視図である。 他の実施形態に係る紫外線照射装置を例示するための模式側面図である。 他の実施形態に係る紫外線照射装置を例示するための模式側面図である。
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係る紫外線照射装置1を例示するための模式側面図である。
図2は、図1における紫外線照射装置1のA-A線方向の模式側面図である。
図1および図2に示すように、紫外線照射装置1には、バリア放電ランプ2、位置決め部3、位置決め部4、フレーム5、点灯回路6、ガス供給部7、コントローラ8、および冷却部9を設けることができる。
なお、一例として、3つのバリア放電ランプ2が設けられる場合を例示したが、バリア放電ランプ2の数は、紫外線を照射する対象物の大きさや数などに応じて適宜変更することができる。すなわち、バリア放電ランプ2は、少なくとも1つ設けられていればよい。
図3は、バリア放電ランプ2を例示するための模式図である。
図3に示すように、バリア放電ランプ2には、発光管21、内部電極22、反射膜23、端子カバー24、リード線25、および外部電極26を設けることができる。
発光管21は、筒状を呈し、管径に比べて全長(管軸21dに沿った長さ)が長い形態を有する。発光管21は、例えば、円筒管とすることができる。発光管21の、管軸21dに沿った方向における両側の端部のそれぞれには、封止部21aが設けられている。封止部21aを設けることで、発光管21の内部空間を気密に封止することができる。封止部21aは、例えば、ピンチシール法やシュリンクシール法を用いて形成することができる。
また、それぞれの封止部21aの内部には、例えば、導電部21bとアウターリード21cを設けることができる。例えば、導電部21bは、1つの封止部21aに対して1つ設けることができる。導電部21bの平面形状は、四角形とすることができる。例えば、導電部21bは、薄膜状を呈している。例えば、導電部21bは、モリブデン箔から形成することができる。
アウターリード21cは、線状を呈し、少なくともリード線25が設けられる側の封止部21aの内部に設けることができる。アウターリード21cの一方の端部は、導電部21bと電気的に接続されている。アウターリード21cの端部の近傍は、例えば、導電部21bと、レーザ溶接または抵抗溶接することができる。アウターリード21cの他方の端部は、封止部21aから露出させることができる。アウターリード21cは、例えば、モリブデンなどを含むものとすることができる。
発光管21の内部空間には、希ガスが封入されている。バリア放電ランプ2においては、内部電極22と外部電極26との間でバリア放電を行って、封入されている希ガスに高いエネルギー電子を与えてエキシマ励起分子を生成する。エキシマ励起分子が元に戻る際に、希ガスの種類に応じて特定のピーク波長を有する光が発生する。そのため、発光管21の内部空間に封入する希ガスは、バリア放電ランプ2の用途に応じて適宜変更することができる。発光管21の内部空間に封入する希ガスは、例えば、クリプトン、キセノン、アルゴン、ネオンなどとすることができる。あるいは、発光管21の内部空間に、複数種類の希ガスを混合した混合ガスを封入することもできる。また、必要に応じて、ハロゲンガスなどをさらに封入することもできる。
発光管21の内部空間の25℃における希ガスの圧力(封入圧力)は、例えば、80kPa~200kPa程度とすることができる。発光管21の内部空間の25℃における希ガスの圧力(封入圧力)は、気体の標準状態(SATP(Standard Ambient Temperature and Pressure):温度25℃、1bar)により求めることができる。
例えば、フラットパネルディスプレイ用のガラス板の表面を光洗浄する場合には、封入する希ガスをキセノンとすることが好ましい。キセノンの封入圧力は、例えば、93kPa程度とすることができる。封入する希ガスをキセノンとすれば、ピーク波長が172nmの紫外線を発生させることができるので洗浄効果を高めることができる。
ここで、バリア放電を生じさせると(バリア放電ランプ2を点灯させると)、発光管21の内部空間において紫外線が発生する。発生した紫外線は、発光管21を介して外部に照射される。そのため、発光管21は、例えば、ピーク波長が200nm以下の紫外線の透過率が高い材料から形成される。発光管21は、例えば、SiOを含む材料から形成することができる。発光管21は、例えば、合成石英ガラスから形成することができる。
内部電極22は、コイル22aおよびレグ22bを有することができる。コイル22aおよびレグ22bは、一体に形成することができる。コイル22aおよびレグ22bは、線材を塑性加工することで形成することができる。線材の線径(直径)は、例えば、0.2mm~1.0mm程度とすることができる。
コイル22aおよびレグ22bは、例えば、タングステンを主成分として含むことができる。タングステンの含有量は、例えば、50wt%以上とすることができる。この場合、タングステンにカリウムなどを添加したドープタングステンを用いれば、コイル22aの寸法安定性を高めることができる。
コイル22aは螺旋状を呈し、発光管21の内部空間に設けられている。コイル22aは、発光管21の内部空間の中央領域を発光管21の管軸21dに沿って延びている。コイル22aのピッチ寸法P1は、例えば、10mm~120mm程度とすることができる。
コイル22aと発光管21の内壁との間には隙間を設けることができる。隙間は、例えば、10mm以下とすることができる。なお、隙間が設けられず、コイル22aと反射膜23が接触する様にしてもよい。また、反射膜23が設けられない場合には、コイル22aと発光管21の内壁が接触する様にしてもよい。隙間が所定の寸法以下であれば、低い電圧で安定したバリア放電を生じさせることができる。そのため、例えば、発光管21の内径寸法に応じて、所定の隙間が設けられるように、コイル22aの外径寸法を設定することができる。
レグ22bは、コイル22aの両側の端部のそれぞれに設けられている。レグ22bは、線状を呈し、コイル22aの端部から発光管21の管軸21dに沿って延びている。
レグ22bの端部は、封止部21aの内部において導電部21bと電気的に接続されている。レグ22bの端部の近傍は、例えば、導電部21bと、レーザ溶接または抵抗溶接することができる。
反射膜23は,膜状を呈し、発光管21の内壁に設けることができる。反射膜23は,外部電極26と内部電極22(コイル22a)との間に設けることができる。反射膜23は,発光管21の内部空間で発生し、照射方向に向かわない紫外線を照射方向に向けて反射させる。反射膜23が設けられていれば、紫外線の取り出し効率を向上させることができる。また、反射膜23が設けられていれば、発光管21の、紫外線が直接入射する領域を小さくすることができるので、紫外線による発光管21の化学的な構造変化を抑制することができる。
反射膜23の厚みは、例えば、100μm~300μm程度とすることができる。この様にすれば、紫外線に対する良好な反射率を維持するのが容易となる。
反射膜23は、例えば、SiO(二酸化珪素)を含むことができる。また、反射膜23は、紫外線を散乱させる粒子(例えば、酸化アルミニウムの粒子)を含むこともできる。
なお、反射膜23は、必ずしも必要ではなく省くこともできる。ただし、前述したように、反射膜23が設けられていれば、紫外線の取り出し効率を向上させることができ、且つ、発光管21の化学的な構造変化を抑制することができる。
端子カバー24は、発光管21の、管軸21dに沿った方向における両側の端部のそれぞれに設けられている。端子カバー24は、例えば、封止部21aを覆っている。端子カバー24は、例えば、樹脂やセラミックスなどの絶縁性材料から形成することができる。端子カバー24は、例えば、ステアタイト(steatite)、酸化アルミニウムなどから形成することができる。端子カバー24は、外部電極26と接触させてもよいし、外部電極26から離間させてもよい。
リード線25は、封止部21aから露出するアウターリード21cの端部に電気的に接続することができる。リード線25は、アウターリード21cおよび導電部21bを介して、内部電極22と電気的に接続されている。図2に示すように、リード線25は、点灯回路6に電気的に接続することができる。なお、リード線25は、図3に示すように、発光管21の一方の端部側のみに設けることもできるし、発光管21の両側の端部のそれぞれに設けることもできる。
外部電極26は、発光管21の外側に設けることができる。外部電極26は、発光管21の管軸21dに沿って延びている。反射膜23が設けられる場合には、外部電極26は、反射膜23と対峙する位置に設けることができる。
ここで、バリア放電ランプ2を点灯させると(誘電体バリア放電を行うと)、紫外線とともに熱が発生する。そのため、点灯時間が長くなると、発光管21の温度が高くなって、発光管21に反りや曲がりなどの変形が生じる場合がある。発光管21に反りや曲がりなどの変形が生じると、発光管21の内側に設けられた内部電極22と、発光管21の外側に設けられた外部電極26との間の距離が部分的に変化するおそれがある。内部電極22と外部電極26との間の距離が部分的に変化すると、照度の均一性が悪化するおそれがある。照度分布が生じると、対象物に処理ムラなどが生じるおそれがある。
この場合、発光管21の管軸21dに沿った方向の長さが長くなるほど変形が生じ易くなり、且つ、変形量も大きくなりやすい。そのため、発光管21の管軸21dに沿った方向の長さが長くなるほど照度のばらつきが大きくなりやすい。例えば、発光管21の管軸21dに沿った方向の長さが1000mm以上になると、照度のばらつきが大きくなる。
そこで、紫外線照射装置1においては、図2および図3に示すように、1つの発光管21に対して複数の外部電極26を設けている。複数の外部電極26は、発光管21の外側に、発光管21の管軸21dに沿った方向に並べて設けることができる。1つの発光管21に対して複数の外部電極26が設けられていれば、発光管21の変形状態に応じて、複数の外部電極26のそれぞれが、個別に追従することができる。そのため、発光管21と外部電極26との間の距離、ひいては、内部電極22のコイル22aと外部電極26との間の距離が変化するのを抑制することができる。その結果、バリア放電を安定させることができるので、照度の均一性を向上させることができる。
また、図3に示すように、外部電極26同士の間には、隙間26cを設けることができる。外部電極26同士の間に隙間26cが設けられていれば、外部電極26と外部電極26とが点灯中の熱膨張により干渉することを抑制することができる。隙間26cの寸法は、外部電極26の長さL(mm)、外部電極26の熱膨張係数α(1/℃)、外部電極の温度上昇Δt(℃)などに応じて適宜変更することができる。例えば、長さL=814mmのSUS製の外部電極を使用し、点灯中の外部電極の温度が200℃である場合、SUSの0~316℃の熱膨張係数α=17.8(10-6/℃)より、外部電極の伸びΔL(mm)は、ΔL=α×L×ΔT=2.9mmと算出される。この外部電極2つを使用した場合、各々2.9mmずつ伸びることが想定されるため、5.8mmより大きい隙間を確保しておけばよい。例えば、隙間26cの寸法は、8mm以上とすることができる。
図4(a)、(b)は、変形した発光管21と外部電極26との位置関係を例示するための模式図である。
なお、図4(a)は、1つの発光管21に対して1つの外部電極26が設けられた場合である。図4(b)は、1つの発光管21に対して2つの外部電極26が設けられた場合である。なお、外部電極26の数は例示をしたものに限定されるわけではない。例えば、発光管21の管軸21dに沿った方向の長さが長くなるほど、外部電極26の数を増やすことができる。
後述するように、発光管21の両端側には、位置決め部3および位置決め部4が設けられている。そのため、熱膨張により、発光管21の管軸21dに沿った方向の長さが延びると、図4(a)、(b)に示すように、発光管21が湾曲する場合がある。
1つの発光管21に対して1つの外部電極26が設けられた場合には、図4(a)に示すように、発光管21の両端側において、発光管21と外部電極26との間の隙間26bが大きくなる。隙間26bが大きくなると、発光管21の両端側において照度が低下することになる。
これに対して、1つの発光管21に対して複数の外部電極26が設けられた場合(例えば、2つの外部電極26が設けられた場合)には、図4(b)に示すように、発光管21の湾曲形状に合わせて、外部電極26のそれぞれが、個別に追従することができる。そのため、隙間26bの大きさを小さくすることができるので、照度の均一性を向上させることができる。
図5は、照度分布を例示するためのグラフ図である。
図5中のDは、1つの発光管21に対して1つの外部電極26が設けられた場合である。Eは、1つの発光管21に対して2つの外部電極26が設けられた場合である。
図5から分かるように、1つの発光管21に対して複数の外部電極26が設けられていれば、照度の均一性を向上させることができる。
外部電極26の、発光管21側の面の少なくとも一部は、発光管21の外面に接触させることができる。外部電極26は、例えば、金属の薄板を発光管21の外形形状に合わせて塑性加工したものとすることができる。外部電極26は、金属などの導電性材料から形成することができる。外部電極26は、例えば、ステンレス、アルミニウムなどを用いて形成することができる。ここで、バリア放電を生じさせると、紫外線とともに熱が発生する。そのため、外部電極26が金属などの熱伝導率の高い材料から生成されていれば、外部電極26を放熱部材として用いることができる。
また、発光管21の管軸21dに沿った方向から見た場合に、外部電極26の中心角が180°よりも小さくなると、外部電極26と内部電極22とが対峙する領域が小さくなり過ぎて、紫外線の発生量が少なくなるおそれがある。一方、中心角が300°よりも大きくなると、発光管21の内部空間において発生した紫外線が外部電極26に吸収されやすくなるので、紫外線の取り出し効率が低下するおそれがある。そのため、外部電極26の中心角は、180°以上、300°以下となるようにすることが好ましい。この様にすれば、必要となる紫外線の発生量を確保することができ、且つ、紫外線の取り出し効率が低下するのを抑制することができる。
ここで、外部電極26に比べて、発光管21、内部電極22、および反射膜23などの方が消耗し易い。そのため、外部電極26が発光管21から取り外せるようになっていれば、メンテナンス性の向上やランニングコストの低減を図ることができる。例えば、外部電極26は、外側に向けて突出する取り付け部26aを少なくとも1つ有することができる。なお、図2に例示をした外部電極26は、4つの取り付け部26aを有している。取り付け部26aには、ネジなどの締結部材が挿入される孔を設けることができる。外部電極26(取り付け部26a)は、ネジなどの締結部材を用いて、保持部9dとともに、冷却部9の、フレーム5側とは反対側の端面に取り付けることができる(図7を参照)。
図6は、位置決め部3および位置決め部4を例示するための模式側面図である。
図6は、図2における紫外線照射装置1のB-B線方向の模式側面図である。
位置決め部3は、バリア放電ランプ2の管軸21d周りの位置がずれるのを抑制する。
図2および図6に示すように、位置決め部3は、1つのバリア放電ランプ2に対して、少なくとも1つ設けることができる。ただし、1つの端子カバー24に対して、1つの位置決め部3を設ければ、バリア放電ランプ2の回転をより効果的に抑制することができる。位置決め部3は、例えば、ネジなどの締結部材を用いてフレーム5に取り付けることができる。また、位置決め部4は、フレーム5と一体に形成することもできる。
位置決め部3は、板状を呈し、厚み方向に貫通するとともに、フレーム5側とは反対側の端面に開口する孔3aを有する。孔3aの内部には、バリア放電ランプ2の端子カバー24を設けることができる。
孔3aの内壁面には、互いに平行な2つの平坦面3a1が設けられている。平坦面3a1は、例えば、フレーム5の、位置決め部3を取り付ける面5aに略垂直な面とすることができる。また、端子カバー24の側面には、互いに平行な2つの平坦面24aが設けられている。平坦面3a1と平坦面3a1との間の距離は、平坦面24aと平坦面24aとの間の距離と同じ、または、若干大きくすることができる。すなわち、2つの平坦面24aの少なくともいずれかが平坦面3a1と接触するようになっている。この様にすれば、バリア放電ランプ2の管軸21d周りの位置がずれるのを抑制することができる。
なお、フレーム5の面5aに略垂直な平坦面3a1を例示したが、フレーム5の面5aに対して傾斜した平坦面、または、フレーム5の面5aに平行な平坦面としてもよい。この場合、位置決め部3の平坦面に合わせて、端子カバー24の側面に平坦面を設ければよい。ただし、フレーム5の面5aに略垂直な平坦面3a1とすれば、バリア放電ランプ2同士の間隔が小さい場合であっても、位置決め部3に対してバリア放電ランプ2を着脱するのが容易となる。
位置決め部4は、バリア放電ランプ2が管軸21dに沿った方向に動くのを抑制する。 図2および図6に示すように、位置決め部4は、1つのバリア放電ランプ2に対して、あるいは、並べて設けられた複数のバリア放電ランプ2に対して、一対設けることができる。位置決め部4と位置決め部4との間の空間には、バリア放電ランプ2を設けることができる。位置決め部4と位置決め部4との間の最短距離は、端子カバー24の端面と端子カバー24の端面との間の距離(バリア放電ランプ2の長さ)と同じ、または、若干大きくすることができる。すなわち、一対の位置決め部4の少なくともいずれかが端子カバー24の端面と接触するようになっている。この様にすれば、バリア放電ランプ2が管軸21dに沿った方向に動くのを抑制することができる。
位置決め部4の形状は、柱状とすることができる。位置決め部4の形状は、例えば、円柱状、角柱状などとすることができる。また、位置決め部4の形状は、円錐、円錐台、角錐、および角錐台などのテーパ形状、または、端子カバー24側の側面が傾斜している形状などとしてもよい。位置決め部4の形状が、テーパ形状や側面が傾斜している形状などであれば、位置決め部4と位置決め部4との間に、バリア放電ランプ2を装着するのが容易となる。
位置決め部4は、例えば、ネジなどの締結部材を用いて、フレーム5の、位置決め部3が取り付けられる面5aに取り付けることができる。また、位置決め部4は、フレーム5と一体に形成することもできる。
位置決め部3および位置決め部4の材料は、ある程度の剛性、耐熱性、および紫外線に対する耐性を有するものであれば特に限定はない。ただし、位置決め部3および位置決め部4が端子カバー24と接触した際に、端子カバー24に傷などが発生するのを抑制できる材料とすることが好ましい。位置決め部3および位置決め部4の材料は、例えば、フッ素樹脂などの樹脂とすることが好ましい。
フレーム5は、紫外線を照射する対象物に対向するように設けることができる。また、フレーム5は、対象物に紫外線を照射する際には対象物に対向する位置に設けられ、メンテナンスなどの際には対象物に対向する位置から移動するようにしてもよい。例えば、フレーム5は、対象物の上方などに設けられた開閉カバーの内側に設けることができる。
フレーム5の構造には特に限定がなく、図2に例示をした様な骨組構造とすることもできるし、板状体などとすることもできる。
図2に示すように、点灯回路6は、配線6b、端子6a、およびリード線25を介して、内部電極22に電気的に接続することができる。また、点灯回路6は、配線6cを介して、外部電極26に電気的に接続することができる。後述する図7に示すように、外部電極26の取り付け部26aは、冷却部9に設けられている。冷却部9は、例えば、アルミニウムやステンレスなどの金属から形成されている。そのため、点灯回路6は、配線6cおよび冷却部9を介して、外部電極26に電気的に接続することもできる。メンテナンスなどの際に、バリア放電ランプ2(外部電極26)が取り外されることがあるが、冷却部9が取り外されることは少ない。そのため、配線6cが外部電極26ではなく冷却部9に接続されていれば、メンテナンスなどの際に、配線6cの取り外しと取り付けを省略することができる。なお、図1では1つの点灯回路6で3本のバリア放電ランプを点灯する構成としているが、複数のランプに対して個別の点灯回路を設ける構成とすることもできる。
端子6aは、絶縁部6a1と導電部6a2を有することができる。絶縁部6a1は、例えば、フッ素樹脂やセラミックスなどの絶縁性材料から形成することができる。絶縁部6a1は、例えば、ネジなどの締結部材を用いて、フレーム5に取り付けることができる。導電部6a2は、例えば、ステンレスやニッケルなどの導電性材料から形成することができる。導電部6a2の一方の端部は、絶縁部6a1の一方の端部から露出し、リード線25が電気的に接続されている。導電部6a2の他方の端部は、絶縁部6a1の他方の端部から露出し、配線6bが電気的に接続されている。なお、リード線25が点灯回路6に接続される場合には、端子6aおよび配線6bを省くこともできる。ただし、端子6aおよび配線6bが設けられていれば、フレーム5内部への紫外線やオゾンの侵入を防止することができる。また、リード線25の長さを短くすることができるので、バリア放電ランプ2を着脱する際の作業性を向上させることができる。さらに、リード線25の長さを一定とすることができるので、バリア放電ランプ2の汎用性を向上させることができる。
点灯回路6は、交流電源からの電力を、高電圧かつ高周波(例えば、周波数が37kHzの正弦波)の電力に変換するインバータを有することができる。例えば、点灯回路6は、2.4kW程度のランプ電力で、バリア放電ランプ2を点灯させることができる。
ガス供給部7は、冷却部9に設けられた孔9cにガスを供給する。ガス供給部7には、ガス供給源71、およびガス制御部72を設けることができる。ガス供給源71とガス制御部72は、配管73により接続することができる。ガス制御部72と冷却部9は、配管74により接続することができる。
ガス供給源71は、例えば、高圧のガスが収納されたボンベや、高圧のガスを供給する工場配管などとすることができる。ガスは、例えば、乾燥空気、窒素ガス、希ガス(例えば、アルゴン、ネオン、ヘリウムなど)とすることができる。この場合、バリア放電を行った際に、冷却部9と外部電極26との間の隙間9aにおいて気中放電が発生する場合がある。隙間9aにあるガスに酸素と窒素が含まれている場合には、気中放電により酸素が電離し、電離した酸素と窒素が反応して、窒素酸化物(NOx)が生成される場合がある。
また、バリア放電ランプの点灯により172nmの紫外線が照射されると、大気中の酸素との反応により、オゾンが生成される。オゾンと窒素酸化物が生成されると、これらが反応して、五酸化二窒素(N)が生成される場合がある。この場合、隙間9aにあるガスに水蒸気などの水分が含まれていると、水分と五酸化二窒素とが反応して、硝酸(HNO)が生成される場合がある。生成された硝酸が発光管21の外面に付着すると、発光管21の光学特性が劣化して紫外線の透過が抑制されるおそれがある。
バリア放電ランプ2を点灯させる度に、このような化学反応が繰り返し生じると、紫外線の取り出し効率が経時的に低下するおそれがある。また、硝酸が滴下して対象物に付着すると、対象物に損傷が発生するおそれがある。
そのため、冷却部9と外部電極26との間の隙間9aは、気中放電が発生しないだけの十分な間隔が設けられていることが望ましい。隙間9aが狭く、気中放電が発生する場合は、例えば、冷却用の供給ガスを、酸素を含まないガス、または、空気よりも酸素濃度が低いガスとし、隙間9aの酸素濃度を低減することが好ましい。例えば、ガスは、窒素ガスや希ガスなどとすることが好ましい。この場合、窒素ガスとすれば、ランニングコストの低減を図ることができる。
ガス制御部72は、例えば、冷却部9に供給するガスの流量を制御することができる。ガス制御部72は、冷却部9に供給するガスの圧力を制御することで、ガスの流量を間接的に制御するものとしてもよい。すなわち、ガス制御部72は、ガスの流量、およびガスの圧力の少なくともいずれかを制御することができる。また、ガス制御部72は、ガスの供給の開始と、ガスの供給の停止とを切り替える機能をさらに有することもできる。
コントローラ8は、CPU(Central Processing Unit)などの演算素子と、半導体メモリなどの記憶素子を有することができる。コントローラ8は、例えば、コンピュータとすることができる。記憶素子には、点灯回路6とガス供給部7を制御する制御プログラムを格納することができる。演算素子は、記憶素子に格納されている制御プログラムに基づいて、バリア放電ランプ2への電力の印加と印加の停止の切り替え、冷却部9へのガスの供給と供給の停止の切り替え、供給するガスの流量などを制御することができる。また、コントローラ8には、操作者がデータを入力する入力部、紫外線照射装置1の稼働状況や異常表示などを表示するモニタ、電源スイッチなどを設けることもできる。
図2に示すように、冷却部9は、ネジなどの締結部材を用いて、フレーム5の面5aに取り付けることができる。冷却部9は、位置決め部3と位置決め部3の間に設けることができる。
図7は、冷却部9を例示するための模式断面図である。
図7は、図2における冷却部9のC-C線方向の模式断面図である。
図7に示すように、冷却部9の外部電極26側の面9bと、外部電極26の外面との間には隙間9aを設けることができる。すなわち、冷却部9は、外部電極26の外側に隙間9aを介して設けられている。冷却部9は、隙間9aを介して、外部電極26と対峙させることができる。発光管21の管軸21dと直交する方向における隙間9aの寸法Sを小さくし過ぎると、前述の通り、冷却部9と外部電極26との間で気中放電が発生する他、バリア放電により生じた熱で発光管21が変形した際に、発光管21の一部が冷却部9と接触するおそれがある。発光管21の一部が冷却部9と接触すると、隙間9aに供給されたガスの流通が阻害されるので、発光管21の冷却が抑制されるおそれがある。一方、隙間9aの寸法Sを大きくし過ぎると、隙間9aに供給されたガスの流速が遅くなり、発光管21からの放熱が抑制されたり、発光管21に温度の異なる領域が生じたりするおそれがある。本発明者の得た知見によれば、隙間9aの寸法Sは、0.5mm以上、8mm以下とすることが好ましい。隙間9aの寸法Sが、この範囲内にあれば、発光管21の冷却を効果的に行うことができる。この場合、冷却部9の外部電極26側の面9bと、発光管21の外面との間の距離Lは、例えば、外部電極26の厚みを0.5mmとした場合、1mm以上とすることができる。
冷却部9の外部電極26側の面9bは、曲面とすることができる。面9bは、例えば、発光管21の管軸21dを中心とする円柱の側面の一部とすることができる。この様にすれば、隙間9aの寸法Sが略一定となるようにすることが容易となる。そのため、発光管21の冷却を効果的に行うことができる。
冷却部9は、ブロック状を呈し、発光管21の管軸21dに沿った方向に延びた形状を有している。冷却部9は、熱伝導率の高い材料から形成することが好ましい。冷却部9は、例えば、アルミニウムやステンレスなどの金属から形成することができる。冷却部9の内部には、ガスを流すための孔9cを設けることができる。孔9cは、発光管21の管軸21dに沿って延びている。図2に示すように、孔9cの両端は、栓9c1により塞がれている。孔9cの数や断面形状には特に限定はないが、複数の孔9cが設けられていれば、発光管21の冷却を効果的に行ったり、発光管21に温度分布が生じるのを抑制したりすることができる。
図2に示すように、孔9cには、供給孔9c2を設けることができる。供給孔9c2の一方の端部は孔9cに開口し、他方の端部は、例えば、冷却部9の、外部電極26側とは反対側の面に開口している。供給孔9c2には配管継手を介して配管74を接続することができる。供給孔9c2の数には限定がないが、複数の供給孔9c2を設けることが好ましい。例えば、孔9cの両側の端部の近傍のそれぞれに、供給孔9c2を設けることができる。この様にすれば、孔9cの両端側からガスを供給することができるので、発光管21の表面に供給されるガスの流量がばらつくのを抑制することができる。
図2に示すように、孔9cには、複数の排出孔9c3を設けることができる。複数の排出孔9c3は、発光管21の管軸21dに沿った方向に並べて設けることができる。排出孔9c3の一端は孔9cに開口し、他端は隙間9aに開口している。複数の排出孔9c3の開口寸法は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、発光管21の中央領域は、発光管21の端部の近傍に比べて温度が高くなりやすい。そのため、発光管21の中央領域に対峙する排出孔9c3の開口寸法を、発光管21の端部の近傍に対峙する排出孔9c3の開口寸法よりも大きくすることができる。この様にすれば、温度が高くなりやすい発光管21の中央領域に供給されるガスの流量を増加させることができる。そのため、発光管21の冷却を効果的に行ったり、発光管21に温度分布が生じるのを抑制したりすることができる。
複数の排出孔9c3のピッチ寸法P2は、例えば、コイル22aのピッチ寸法P1以下とすることができる。ピッチ寸法P2は、例えば、10mm以上、30mm以下とすることができる。複数の排出孔9c3の間隔は、略一定であってもよいし、異なっていてもよい。前述したように、発光管21の中央領域は、発光管21の端部の近傍に比べて温度が高くなりやすい。そのため、発光管21の中央領域に対峙する排出孔9c3のピッチ寸法を、発光管21の端部の近傍に対峙する排出孔9c3のピッチ寸法よりも小さくすることができる。この様にすれば、温度が高くなりやすい発光管21の中央領域に供給されるガスの流量を増加させることができる。そのため、発光管21の冷却を効果的に行ったり、発光管21に温度分布が生じるのを抑制したりすることができる。
また、図7に示すように、排出孔9c3は、発光管21の管軸21dに向かって延びる形状を有することができる。この様にすれば、発光管21の表面にガスを吹き付けることができ、且つ、発光管21の表面に略均等にガスを流すのが容易となる。
また、排出孔9c3は、発光管21の管軸21dに沿った方向に延びるスリットなどとしてもよい。排出孔9c3がスリットなどであれば、発光管21の表面のより広い領域にガスを直接供給することができる。
図2および図7に示すように、冷却部9には、バリア放電ランプ2を保持する複数の保持部9dを設けることができる。複数の保持部9dは、冷却部9の、フレーム5側とは反対側の端面に設けることができる。フレーム5の面5aに垂直な方向において、複数の保持部9dのフレーム5側とは反対側の面9d1は、発光管21の管軸21dと、発光管21のフレーム5側とは反対側の端部21eとの間の領域に位置するようにすることが好ましい。この様にすれば、発光管21の保持が容易となるので、バリア放電ランプ2の姿勢を安定させることができる。
保持部9dは、例えば、板状を呈するものとすることができる。発光管21の管軸21dに直交する方向において、一対の保持部9dが、発光管21を挟んで設けられている。一対の保持部9dの発光管21側の端部は、外部電極26を介して発光管21に接触させることができる。
一対の保持部9dと、外部電極26の取り付け部26aは、ネジなどの締結部材を用いて、冷却部9に取り付けられている。
図8(a)、(b)は、一対の保持部を例示するための模式斜視図である。
例えば、図8(a)に示すように、同じ形状を有する保持部9dを一対設けることができる。保持部9dは板状を呈し、厚み方向に貫通する取付穴9d2を少なくとも1つ有することができる。保持部9dの発光管21側の側面9d3は、曲面とすることができる。側面9d3の曲率半径は、発光管21の管径の半分の値と同じ、または若干大きくすることができる。または、側面9d3を曲面ではなく、前記曲率半径に近似させた傾斜面としても良い。保持部9dの材料は、例えば、ステンレスなどの金属や、フッ素樹脂などの樹脂とすることができる。
例えば、図8(b)に示すように、保持部19と保持部29を設けることができる。保持部19は、保持部29と対峙させて設けることができる。
保持部19は、板状を呈し、冷却部9に取り付けられる面19d1を有している。保持部19の発光管21側の側面19d3は、曲面とすることができる。側面19d3の曲率半径は、発光管21の管径の半分の値と同じ、または若干大きくすることができる。または、側面19d3を曲面ではなく、前記曲率半径に近似させた傾斜面としても良い。保持部19は、厚み方向に貫通する取付穴19d2を少なくとも1つ有することができる。取付穴19d2は、保持部19と保持部29が対峙する方向に延びた形状を有する、そのため、保持部19の側面19d3と保持部29の側面29d3との間の距離を調整することができる。
保持部29は、板状を呈し、冷却部9に取り付けられる面29d1を有している。保持部29の発光管21側の側面29d3は、曲面とすることができる。側面29d3の曲率半径は、発光管21の管径の半分の値と同じ、または若干大きくすることができる。または、側面29d3を曲面ではなく、前記曲率半径に近似させた傾斜面としても良い。保持部29は、厚み方向に貫通する取付穴29d2を少なくとも1つ有することができる。面29d1の、側面29d3の側とは反対側の周縁には凸部29d4を設けることができる。面29d1が冷却部9に取り付けられた際には、凸部29d4が冷却部9の側面に接触する様にすることができる。この様にすれば、冷却部9に対する保持部29の位置を決めることができる。そして、保持部19を保持部29の側に移動させることで、保持部19と保持部29の間にバリア放電ランプ2を挟むようにすることができる。そのため、バリア放電ランプ2の保持位置を所定の範囲内とすることができ、且つ、バリア放電ランプ2の保持をより確実に行うことができる。
保持部19および保持部29の材料は、例えば、ステンレスなどの金属や、フッ素樹脂などの樹脂とすることができる。
図9は、他の実施形態に係る紫外線照射装置1aを例示するための模式側面図である。 図9に示すように、紫外線照射装置1aには、バリア放電ランプ2、位置決め部3、位置決め部4、フレーム5、点灯回路6、ガス供給部7、コントローラ8、冷却部9、および温度制御部10を設けることができる。
前述したように、冷却部9と外部電極26との間の隙間9aにおいて、隙間9aの条件によっては、硝酸が生成される場合がある。硝酸が生成されると、発光管21の光学特性が劣化したり、外部電極26に損傷が発生したり、紫外線を照射する対象物に損傷が発生したりするおそれがある。前述したように、隙間9aに供給されるガスは、酸素を含まないガス、または、空気よりも酸素濃度が低いガスとすることもできる。しかしながら、一般的には、バリア放電ランプ2は大気中に設置される。そのため、バリア放電ランプ2の周囲にある空気が、隙間9aの内部に侵入することも考えられる。隙間9aの内部に空気が侵入すると、前述した化学反応が生じて硝酸が生成されるおそれがある。
そこで、紫外線照射装置1aには、温度制御部10が設けられている。
温度制御部10は、冷却部9の温度、および、隙間9aに供給されるガスの温度、の少なくともいずれかを制御する。例えば、温度制御部10は、冷却部9およびガス供給部7の少なくともいずれかに設けられたヒータなどとすることができる。
例えば、温度制御部10は、冷却部9とフレーム5の間に設けられたヒータや、冷却部9の内部に設けられたヒータなどとすることができる。この場合、温度センサを冷却部9に設け、コントローラ8が、温度センサからの信号に基づいて温度制御部10を制御することができる。
また、例えば、温度制御部10は、配管74などに設けられたヒータなどとすることができる。この場合、温度センサを配管74や冷却部9に設け、コントローラ8が、温度センサからの信号に基づいて温度制御部10を制御することができる。
ここで、五酸化二窒素の昇華温度は32.4℃である。そのため、隙間9aにあるガスの温度を32.4℃以上にすれば、五酸化二窒素が固体となるのを抑制することができる。五酸化二窒素が気体であれば、ガス供給部7により隙間9aに供給されたガスとともに五酸化二窒素を排出するのが容易となる。
また、五酸化二窒素は、45℃~50℃程度に加熱されると、二酸化窒素と酸素に分解される。そのため、隙間9aにあるガスの温度を45℃以上にすれば、硝酸の生成を抑制することができる。
この場合、冷却部9の温度、または、冷却部9およびフレーム5の温度を32.4℃以上とすれば、五酸化二窒素が昇華して隙間9aの外部に排出され易くなるので、硝酸の生成を抑制することができる。
なお、冷却部9の温度、または、冷却部9およびフレーム5の温度を高くすれば、五酸化二窒素の昇華を促進させることができるので、硝酸の生成をさらに抑制することができる。本発明者の得た知見によれば、冷却部9の温度、または、冷却部9およびフレーム5の温度を35℃以上とすれば、硝酸の生成をさらに抑制することができる。
また、前述したように、五酸化二窒素は、45℃~50℃程度に加熱されると、二酸化窒素と酸素に分解される。そのため、冷却部9の温度、または、冷却部9およびフレーム5の温度を45℃以上とすれば、硝酸の生成を効果的に抑制することができる。
ところが、冷却部9の温度、または、冷却部9およびフレーム5の温度を45℃以上とすれば、発光管21や外部電極26の冷却が抑制されるおそれがある。
本発明者の得た知見によれば、冷却部9の温度、または、冷却部9およびフレーム5の温度が35℃以上、40℃以下であれば、発光管21や外部電極26の冷却効果を維持することができ、且つ、硝酸の生成を抑制することができる。
すなわち、温度制御部10は、冷却部9の温度、または、冷却部9およびフレーム5の温度を、32.4℃以上、40℃以下にすることが好ましく、35℃以上、40℃以下にすることがさらに好ましい。
図10は、他の実施形態に係る紫外線照射装置1bを例示するための模式側面図である。 図10に示すように、紫外線照射装置1bには、バリア放電ランプ2、位置決め部3、位置決め部4、フレーム5、点灯回路6、ガス供給部7、コントローラ8、冷却部9、およびカバー11を設けることができる。
カバー11は、窓11aと取付部材11bを有することができる。
窓11aは、板状を呈し、バリア放電ランプ2の、フレーム5側とは反対側に設けることができる。すなわち、窓11aは、バリア放電ランプ2と、紫外線を照射する対象物との間に設けることができる。窓11aは、紫外線を透過する材料から形成することができる。窓11aは、例えば、石英ガラスや、紫外線を透過するフッ素樹脂などから形成することができる。特に、172nmの紫外線を放射するキセノンが封入されたバリア放電ランプ2の場合、窓11aは、172nmの紫外線を透過する合成石英ガラスを使用することができる。
取付部材11bの一端は、例えば、ネジなどの締結部材を用いて、フレーム5の側面などに取り付けることができる。取付部材11bの他端には、例えば、ネジなどの締結部材を用いて、窓11aを取り付けることができる。
ここで、紫外線が対象物に照射されると、対象物の成分が蒸散する場合がある。蒸散した対象物の成分が発光管21に付着すると、バリア放電ランプ2から照射さる紫外線の照度が低下するおそれがある。
紫外線照射装置1bには、カバー11(窓11a)が設けられているので、蒸散した対象物の成分が発光管21に付着するのを抑制することができる。また、冷却部9と外部電極26との間の隙間9aに供給されたガスは、バリア放電ランプ2と窓11aとの間の空間に流入することになる。そのため、紫外線照射装置1bの周囲にある蒸散した対象物の成分がバリア放電ランプ2と窓11aとの間の空間に侵入するのを抑制することができる。すなわち、隙間9aから流出したガスをパージガスとして再利用することができる。例えば、172nmの紫外線を放射するキセノンが封入されたバリア放電ランプ2の場合、発光管21から窓11aまでの空間での紫外線の減衰を防止するため、冷却用ガスとしては、不活性ガス、例えば、窒素、アルゴンの使用が適当である。
なお、蒸散した対象物の成分が窓11aに付着するが、窓11aは単なる板状体のため、取り外して交換したり、洗浄したりすることが容易である。
また、仮に、前述した硝酸が生成され、バリア放電ランプ2から滴下したとしても、滴下した硝酸をカバー11(窓11a)により受け止めることができる。そのため、硝酸が、対象物に付着するのをより確実に抑制することができる。さらに、バリア放電ランプ2と窓11aとの間の空間に供給された不活性ガスにて、完全にパージすることで、原理的には硝酸の発生を防止することが可能となる。
本実施の形態に係る紫外線照射装置1bとすれば、バリア放電ランプ2から照射さる紫外線の照度が低下するのを抑制することができ、且つ、メンテナンスなども容易とすることができる。
また、バリア放電ランプ2と対象物との間の距離を小さくしても、蒸散した対象物の成分が発光管21に付着するのを抑制することができる。そのため、対象物に照射される紫外線の照度を大きくすることができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
1 紫外線照射装置、1a 紫外線照射装置、1b 紫外線照射装置、2 バリア放電ランプ、3 位置決め部、4 位置決め部、5 フレーム、6 点灯回路、7 ガス供給部、8 コントローラ、9 冷却部、9a 隙間、9b 面、9c 孔、9c3 排出孔、9d 保持部、10 温度制御部、11 カバー、11a 窓、19 保持部、21 発光管、21d 管軸、22 内部電極、24 端子カバー、26 外部電極、26a 取り付け部、26c 隙間、29 保持部

Claims (2)

  1. 筒状を呈し、内部空間に希ガスが封入された発光管と;
    前記内部空間に設けられたコイルを有する内部電極と;
    前記発光管の外側に、前記発光管の管軸に沿った方向に並べて設けられた複数の外部電極と;
    前記複数の外部電極の外側に隙間を介して設けられた冷却部と;
    前記発光管の管軸に直交する方向において、前記発光管を挟んで設けられた一対の保持部と;
    を具備し
    前記外部電極は、外側に向けて突出する取り付け部を少なくとも1つ有し、
    前記一対の保持部と、前記外部電極の前記取り付け部は、前記冷却部に取り付けられている紫外線照射装置。
  2. 前記複数の外部電極同士の間には隙間が設けられている請求項1記載の紫外線照射装置。
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