JP7483187B1 - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

電力変換装置(1)は、直列接続された複数の変換器セル(7)を含む電力変換器(2)と、電力変換器(2)を制御する制御装置(3)とを備える。複数の変換器セル(7)の各々は、セル制御部(35)と、第1入出力端子(G1)および第2入出力端子(G2)と、複数のスイッチング素子(31s,32s)と、エネルギー蓄積要素(27)とを含む。セル制御部(35)は、複数のスイッチング素子(31s,32s)のいずれかに流れる過電流を検出した場合、複数のスイッチング素子(31s,32s)をゲートブロックし、過電流を検出したことを示す検出情報を制御装置(3)に送信する。制御装置(3)は、検出情報を受信した場合、複数の変換器セル(7)の各々に対して、当該変換器セル(7)の複数のスイッチング素子(31s,32s)をゲートブロックするように指示する。

Description

本開示は、電力変換装置に関する。
近年、電力系統等の高圧系統に適用される高電圧、大容量の電力変換装置として、モジュラーマルチレベル変換器(MMC:Modular Multilevel Converter)が知られている。MMCは、変換器セルがカスケード接続されたアームにより構成される。変換器セルは、複数のスイッチング素子と蓄電素子(例えば、コンデンサ)とを含んでおり、スイッチング素子をオンオフさせることにより、コンデンサの両端電圧またはゼロ電圧を出力する。
例えば、国際公開第2018/092303号(特許文献1)は、複数の変換器セルを含む電力変換回路部と、制御装置と、保護装置とを備える電力変換装置を開示している。制御装置は、各変換器セルを運転制御するための制御指令を生成する。保護装置は、制御指令に基づいて各変換器セルを動作させるか又は制御指令に依らずに各変換器セルの動作を停止させるかを指令するための保護指令を生成する。
国際公開第2018/092303号
MMCにおいては、電力系統の事故などによっていずれかのアームに過電流が流れたことが検出された場合には、回路故障を防ぐために各変換器セルのスイッチング素子をオフにする必要がある。特許文献1では、各変換器セルの上位装置である保護装置は、アーム電流、直流電流または循環電流の少なくとも1つが過電流であることを検出した場合に、各変換器セルの動作を停止する停止指令を出力する。
上位装置は種々の情報を集約して過電流検出を行なうため、その検出精度が高いという利点がある。しかし、情報収集に時間を要するため、上位装置から各変換器セルへの指令が遅れ、結果として保護動作が遅れる可能性がある。一方、各変換器セルに設けられた個別の制御部により過電流検出および保護動作を行なう場合、高速な保護は可能であるが、局所的な情報により過電流検出の判断がなされるため、その検出精度が低いという問題がある。したがって、上位装置と各変換器セルの制御部とで協調しながら、各変換器セルを適切に保護することが求められている。
本開示のある局面における目的は、上位装置と各変換器セルの個別の制御部とで協調することにより、各変換器セルを適切に保護することが可能な電力変換装置を提供することである。
ある実施の形態に従う電力変換装置は、直列接続された複数の変換器セルを含む電力変換器と、電力変換器を制御する制御装置とを備える。複数の変換器セルの各々は、セル制御部と、第1入出力端子および第2入出力端子と、複数のスイッチング素子と、複数のスイッチング素子を介して第1入出力端子および第2入出力端子に接続されるエネルギー蓄積要素とを含む。セル制御部は、複数のスイッチング素子のいずれかに流れる過電流を検出した場合、複数のスイッチング素子をゲートブロックし、過電流を検出したことを示す検出情報を制御装置に送信する。制御装置は、検出情報を受信した場合、複数の変換器セルの各々に対して、当該変換器セルの複数のスイッチング素子をゲートブロックするように指示する。
他の実施の形態に従う電力変換装置は、直列接続された複数の変換器セルを含む電力変換器と、電力変換器を制御する制御装置とを備える。複数の変換器セルの各々は、セル制御部と、直列接続された第1スイッチング回路および第2スイッチング回路と、第1入出力端子および第2入出力端子とを含む。第1スイッチング回路は、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、第1スイッチング素子および第2スイッチング素子を含む直列体に並列接続された第1エネルギー蓄積要素とを含む。第1入出力端子は、第1スイッチング素子の負極端子と第2スイッチング素子の正極端子との接続点に接続される。第2スイッチング回路は、第3スイッチング素子と、第4スイッチング素子と、第3スイッチング素子および第4スイッチング素子を含む直列体に並列接続された第2エネルギー蓄積要素とを含む。第2入出力端子は、第3スイッチング素子の負極端子と第4スイッチング素子の正極端子との接続点に接続される。セル制御部は、第1スイッチング素子および第4スイッチング素子のうちのいずれかに流れる過電流を検出した場合、第1~第4スイッチング素子をゲートブロックし、過電流を検出したことを示す検出情報を制御装置に送信する。制御装置は、検出情報を受信した場合、複数の変換器セルの各々に対して、当該変換器セルの第1~第4スイッチング素子をゲートブロックするように指示する。
本開示に係る電力変換装置によると、上位装置と各変換器セルの個別の制御部とで協調することにより、各変換器セルを適切に保護することができる。
本実施の形態に従う電力変換装置の概略構成図である。 本実施の形態に従う変換器セルの構成を示す図である。 本実施の形態に従う制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。 本実施の形態に従う変換器セルの処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施の形態に従う制御装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施の形態の変形例に従う変換器セルを示す図である。 本実施の形態の変形例に従う制御装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
<電力変換装置の構成>
図1は、本実施の形態に従う電力変換装置の概略構成図である。図1を参照して、電力変換システム1000は、電力変換装置1と、交流回路12と、連系変圧器13と、直流回路14とを含む。典型的には、電力変換装置1および連系変圧器13は、変電所内に設けられる。電力変換装置1は、互いに直列接続された複数の変換器セル(図1中の「セル」に対応)7を含む電力変換器2と、電力変換器2を制御するための制御装置3とを含む。“変換器セル”は、“サブモジュール”あるいは“単位変換器”とも呼ばれる。電力変換装置1は、直流回路14と交流回路12との間で電力変換を行なう。本実施の形態では、電力系統は、交流回路12、電力変換装置1等を含む変電所、および直流回路14を含むものとする。
電力変換器2は、正極直流端子(すなわち、高電位側直流端子)Npと、負極直流端子(すなわち、低電位側直流端子)Nnとの間に互いに並列に接続された複数のレグ回路4u,4v,4w(以下、総称する場合または任意のものを示す場合、「レグ回路4」と記載する)を含む。
レグ回路4は、交流を構成する複数相の各々に設けられる。レグ回路4は、交流回路12と直流回路14との間に接続され、両回路間で電力変換を行なう。図1には、交流回路12が3相交流系統の場合が示され、U相、V相、W相にそれぞれ対応して3個のレグ回路4u,4v,4wが設けられている。
レグ回路4u,4v,4wにそれぞれ設けられた交流入力端子Nu,Nv,Nwは、連系変圧器13を介して交流回路12に接続される。交流回路12は、例えば、交流電源等を含む交流電力系統である。図1では、図解を容易にするために、交流入力端子Nv,Nwと連系変圧器13との接続は図示されていない。
各レグ回路4に共通に接続された高電位側直流端子Npおよび低電位側直流端子Nnは、直流回路14に接続される。直流回路14は、例えば、直流送電網等を含む直流電力系統または他の電力変換装置の直流端子である。後者の場合、2台の電力変換装置を連結することによって定格周波数、同期等が異なる交流電力系統間を接続するためのBTB(Back To Back)システムが構成される。
図1の連系変圧器13を用いる代わりに、連系リアクトルを介して交流回路12に接続した構成としてもよい。さらに、交流入力端子Nu,Nv,Nwに代えてレグ回路4u,4v,4wにそれぞれ一次巻線を設け、この一次巻線と磁気結合する二次巻線を介してレグ回路4u,4v,4wが連系変圧器13または連系リアクトルに交流的に接続するようにしてもよい。この場合、一次巻線を下記のリアクトル8A,8Bとしてもよい。すなわち、レグ回路4は、交流入力端子Nu,Nv,Nwまたは上記の一次巻線等、各レグ回路4u,4v,4wに設けられた接続部を介して電気的に(すなわち直流的または交流的に)交流回路12と接続される。
レグ回路4uは、高電位側直流端子Npから交流入力端子Nuまでの上アーム5と、低電位側直流端子Nnから交流入力端子Nuまでの下アーム6とを含む。上アーム5と下アーム6との接続点である交流入力端子Nuが連系変圧器13と接続される。高電位側直流端子Npおよび低電位側直流端子Nnが直流回路14に接続される。レグ回路4v,4wについても同様の構成を有しているので、以下、レグ回路4uを代表として説明する。
上アーム5は、カスケード接続された複数の変換器セル7と、リアクトル8Aとを含む。当該複数の変換器セル7およびリアクトル8Aは互いに直列接続されている。下アーム6は、カスケード接続された複数の変換器セル7と、リアクトル8Bとを含む。当該複数の変換器セル7およびリアクトル8Bは互いに直列接続されている。
リアクトル8Aが挿入される位置は、レグ回路4uの上アーム5のいずれの位置であってもよく、リアクトル8Bが挿入される位置は、レグ回路4uの下アーム6のいずれの位置であってもよい。リアクトル8A,8Bはそれぞれ複数個あってもよい。各リアクトルのインダクタンス値は互いに異なっていてもよい。さらに、上アーム5のリアクトル8Aのみ、もしくは、下アーム6のリアクトル8Bのみを設けてもよい。
電力変換装置1は、交流電圧検出器10と、交流電流検出器16と、直流電圧検出器11A,11Bと、各レグ回路4に設けられたアーム電流検出器9A,9Bとを含む。これらの検出器は、電力変換装置1の制御に使用される電気量(すなわち、電流、電圧)を計測する。これらの検出器によって検出された検出情報は、制御装置3に入力される。
制御装置3は、各変換器セル7の上位装置に相当し、これらの検出情報に基づいて各変換器セル7の運転状態を制御するための運転指令を出力する。制御装置3は、各変換器セル7から、当該変換器セル7に設けられたコンデンサの電圧の検出値を表す信号を受信する。
制御装置3は、専用回路によって構成してもよいし、その一部または全部をFPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイクロプロセッサ等によって構成してもよい。なお、制御装置3は、例えば、ディジタル保護リレー装置で構成されていてもよい。
交流電圧検出器10は、交流回路12のU相の交流電圧Vacu、V相の交流電圧Vacv、およびW相の交流電圧Vacw(以下、「交流電圧Vac」とも総称する。)を検出する。交流電流検出器16は、交流回路12のU相の交流電流Iacu、V相の交流電流Iacv、およびW相の交流電流Iacw(以下、「交流電流Iac」とも総称する。)を検出する。直流電圧検出器11Aは、直流回路14に接続された高電位側直流端子Npの直流電圧値Vdcpを検出する。直流電圧検出器11Bは、直流回路14に接続された低電位側直流端子Nnの直流電圧値Vdcnを検出する。
直流回路14の直流電圧Vdcは、高電位側直流端子Npと低電位側直流端子Nnとの間の直流電圧であり、直流電圧検出器11A,11Bによって検出された直流電圧値Vdcp,Vdcnから求められる。具体的には、“Vdc=Vdcp-Vdcn”である。
U相用のレグ回路4uに設けられたアーム電流検出器9Aおよび9Bは、上アーム5に流れるアーム電流Ipuおよび下アーム6に流れるアーム電流Inuをそれぞれ検出する。V相用のレグ回路4vに設けられたアーム電流検出器9Aおよび9Bは、アーム電流Ipvおよびアーム電流Invをそれぞれ検出する。W相用のレグ回路4wに設けられたアーム電流検出器9Aおよび9Bは、アーム電流Ipwおよびアーム電流Inwをそれぞれ検出する。以下、アーム電流Ipu~Inwを「アーム電流Iarm」とも総称する。
電力変換器2から出力される直流電流Idcは、図示しない直流電流検出器を用いて検出される。なお、直流電流Idcは、各アーム電流Ipu~Inwを用いて演算されてもよい。また、直流回路14に流れないが各相のレグ間に流れる循環電流は、各相のアーム電流Ipu~Inwおよび直流電流Idcを用いて演算される。例えば、U相の循環電流Izuは、「Izu=(Ipu+Inu)/2-Idc/3」であり、V相の循環電流Izvは、「Izv=(Ipv+Inv)/2-Idc/3」であり、W相の循環電流Izwは、「Izw=(Ipw+Inw)/2-Idc/3」である。以下、循環電流Izu~Izwを「循環電流Iz」とも総称する。
<変換器セルの構成>
図2は、本実施の形態に従う変換器セルの構成を示す図である。図2を参照して、変換器セル7は、ハーフブリッジ型のスイッチング回路21と、セル制御部35と、バイパス要素51と、入出力端子G1,G2とを含む。スイッチング回路21は、コンデンサ27と、半導体回路31,32とを含む。
半導体回路31は、スイッチング素子31sと、ダイオード31dとを含む。ダイオード31dは、スイッチング素子31sと逆並列(すなわち、並列かつ逆バイアス方向)に接続されるフリーホイールダイオード(以下、「FWD」とも称する。)である。半導体回路32は、スイッチング素子32sと、ダイオード32dとを含む。ダイオード32dは、スイッチング素子32sと逆並列に接続されるFWDである。
スイッチング素子31s,32sは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field-Effect Transistor)等の自己消弧型の半導体スイッチング素子により構成される。
エネルギー蓄積要素としてのコンデンサ27は、複数のスイッチング素子31s,32sを介して入出力端子G1,G2に接続される。具体的には、コンデンサ27は、直列接続された半導体回路31(例えば、スイッチング素子31s)および半導体回路32(例えば、スイッチング素子32s)を含む直列体に並列接続され、直流電圧を保持する。詳細には、スイッチング素子31sおよびスイッチング素子32sの接続ノードは高電位側の入出力端子G1と接続される。スイッチング素子32sおよびコンデンサ27の接続ノードは低電位側の入出力端子G2と接続される。また、コンデンサ27の正極はスイッチング素子31sの正極と接続され、コンデンサ27の負極はスイッチング素子32sの負極と接続される。
バイパス要素51は、入出力端子G1と入出力端子G2との間に接続される。図2の例では、バイパス要素51は、半導体回路32と並列に接続される。バイパス要素51をオンにすることによって、変換器セル7が短絡される。バイパス要素51は、変換器セル7の各素子(例えば、半導体回路31,32等)が故障した場合に、当該変換器セル7を短絡させる際にも利用されるスイッチである。これにより、複数の変換器セル7のうちの任意の変換器セル7が故障しても、他の変換器セル7を利用することにより電力変換器2の運転継続が可能となる。
電流検出器41は、半導体回路31と入出力端子G1との間に設けられ、半導体回路31(例えば、スイッチング素子31s)に流れる電流Isを検出する。電流検出器41は、例えば、シャント抵抗等により構成される。検出された電流Isは、セル制御部35に入力される。なお、電流検出器41は、半導体回路32と入出力端子G2との間に設けられていてもよい。
図2の例では、高電位側の入出力端子G1がスイッチング素子31sおよび32sの接続ノードに接続され、低電位側の入出力端子G2がスイッチング素子32sおよびコンデンサ27の接続ノードに接続される構成について説明したが、当該構成に限られない。例えば、入出力端子G1がスイッチング素子31sおよびコンデンサ27の接続ノードに接続され、入出力端子G2がスイッチング素子31sおよび32sの接続ノードに接続される構成であってもよい。この場合、バイパス要素51は、半導体回路31に並列接続される。
電圧検出部45は、コンデンサ27の両端の電圧(以下、「コンデンサ電圧」とも称する。)を検出する。検出されたコンデンサ電圧は、セル制御部35に入力される。セル制御部35は、制御装置3との間で各種情報を送受信する。
セル制御部35は、スイッチング素子31s,32sの動作を制御する。セル制御部35は、通常動作時(例えば、入出力端子G1,G2間にゼロ電圧または正電圧を出力する場合)においては、スイッチング素子31s,32sをオン状態またはオフ状態に制御して、入出力端子G1,G2間にゼロ電圧または正電圧を出力する。セル制御部35は、例えば、ASIC、FPGA、またはこれらを組み合わせたもの等で構成される。
変換器セル7は、スイッチング素子31s,32sを交互にオン状態とすることによって、ゼロ電圧またはコンデンサ27の電圧に依存した正電圧を出力できる。ダイオード31d,32dは、それぞれスイッチング素子31s,32sに逆方向電圧が印加されたときの保護のために設けられている。
セル制御部35は、電流検出器41から受け付けた電流Isに基づいて、過電流を検出する。典型的には、セル制御部35は、電流Isが閾値K1以上である場合に、半導体回路31(例えば、スイッチング素子31s)あるいは半導体回路32(例えば、スイッチング素子32s)に流れる過電流を検出する。セル制御部35は、当該過電流を検出した場合、スイッチング素子31s,32sをゲートブロック(例えば、スイッチング素子31s,32sをオフ状態に固定)する。この場合、セル制御部35は、当該過電流を検出したことを示す検出情報(以下、「過電流検出情報」とも称する。)を制御装置3に送信する。
制御装置3は、当該過電流検出情報を受信した場合、電力変換器2に含まれるすべての変換器セル7の各々に対して、当該変換器セル7のスイッチング素子31s,32sをゲートブロックするように指示する(例えば、指示情報を送信する)。各変換器セル7のセル制御部35は、当該指示に従って、スイッチング素子31s,32sをゲートブロックする。制御装置3およびセル制御部35の以降の処理の詳細については後述する。
セル制御部35は、変換器セル7の故障を診断する自己診断機能を有していてもよい。例えば、変換器セル7の故障には、スイッチング素子の故障、ゲートドライバの故障、コンデンサの破損、通信異常等が含まれる。セル制御部35は、当該故障を示す故障情報を制御装置3に送信する。
<制御装置のハードウェア構成>
図3は、本実施の形態に従う制御装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図3の場合の制御装置3は、コンピュータに基づいて構成される。図3を参照して、制御装置3は、1つ以上の入力変換器70と、1つ以上のサンプルホールド回路71(図中の「S/H」に対応)と、マルチプレクサ(MUX:multiplexer)72と、A/D変換器73とを含む。さらに、制御装置3は、1つ以上のCPU(Central Processing Unit)74と、RAM(Random Access Memory)75と、ROM(Read Only Memory)76とを含む。さらに、制御装置3は、1つ以上の入出力インターフェイス77と、補助記憶装置78と、上記の構成要素間を相互に接続するバス79とを含む。
入力変換器70は、入力チャンネルごとに補助変成器を備える。各補助変成器は、図1に示す各種の電気量の検出器による検出情報を、後続する信号処理に適した電圧レベルの信号に変換する。
サンプルホールド回路71は、入力変換器70ごとに設けられる。サンプルホールド回路71は、対応の入力変換器70から受けた電気量を表す信号を規定のサンプリング周波数でサンプリングして保持する。
マルチプレクサ72は、複数のサンプルホールド回路71に保持された信号を順次選択する。A/D変換器73は、マルチプレクサ72によって選択された信号をディジタル値に変換する。なお、複数のA/D変換器73を設けることによって、複数の入力チャンネルの検出情報に対して並列的にA/D変換を実行するようにしてもよい。
CPU74は、制御装置3の全体を制御し、プログラムに従って演算処理を実行する。揮発性メモリとしてのRAM75および不揮発性メモリとしてのROM76は、CPU74の主記憶として用いられる。ROM76は、プログラムおよび信号処理用の設定値等を収納する。補助記憶装置78は、ROM76に比べて大容量の不揮発性メモリであり、プログラムおよび電気量検出値のデータ等を格納する。
入出力インターフェイス77は、CPU74と外部装置との間で通信する際のインターフェイス回路である。
制御装置3の少なくとも一部をFPGAおよびASIC等の回路を用いて構成してもよい。もしくは、制御装置3の少なくとも一部は、アナログ回路によって構成することもできる。
<制御装置およびセル制御部の協調動作>
上位装置としての制御装置3は、検出されたアーム電流Iarm、直流電流Idc、循環電流Iz等を用いて電力変換器2において過電流が発生したと判定した場合、各変換器セル7をゲートブロックする(例えば、各スイッチング素子をオフ状態に固定する)ことにより過電流を抑制できる。制御装置3は、各種情報を用いて当該判定を実行するため、その判定精度は高い。しかし、当該判定に一定の時間を要すること、および当該判定後に各変換器セル7への指令が必要であること等から、電力変換器2の保護が遅れてしまう可能性がある。また、変換器セル7内の短絡発生時には、アーム電流Iarmでは過電流を検出できない場合もある。
一方、変換器セル7において電流計測、過電流の発生の有無の判定および保護動作(例えば、ゲートブロック)を実行する場合には、計測、判定および保護が1つの変換器セル7で完結するため、これらの一連の処理を高速に実行できる。しかし、局所的な情報のみで判定を実行するため、その判定精度が制御装置3の当該判定精度よりも低い。
ここで、変換器セル7内の短絡導通等によるコンデンサ27の短絡は高速な現象であるため、この場合、変換器セル7自体が過電流の検出および保護動作を実行しなければ変換器セル7の保護が間に合わない。また、バルブ架台段間短絡等のインダクタンスを介さない短絡の場合も同様である。
一方、系統事故に伴って過電流が発生する場合、その電流変化、電流ピークが上記現象と比較して小さいため、制御装置3による保護でも間に合う。なお、この場合、系統事故発生時の擾乱がノイズとなるため、変換器セル7による判定精度が低くなる。
したがって、電力変換器2の保護を適切に行なうためには、制御装置3を介した保護動作および変換器セル7(すなわち、セル制御部35)での保護動作を適切に組み合わせる必要がある。以下、セル制御部35および制御装置3の処理手順について具体的に説明する。
図4は、変換器セルの処理手順の一例を示すフローチャートである。図4において、変換器セル7の処理はセル制御部35により実行される。
図4を参照して、セル制御部35は、変換器セル7における複数のスイッチング素子31s,32sのうちのいずれかに流れる過電流を検出したか否かを判定する(ステップS10)。具体的には、セル制御部35は、電流Isが閾値K1以上である場合に過電流を検出する。過電流が検出されていない場合(ステップS10においてNO)、セル制御部35はステップS10の処理を継続する。過電流が検出された場合(ステップS10においてYES)、セル制御部35は、変換器セル7内のスイッチング素子31s,32sをゲートブロックし(ステップS12)、過電流検出情報を制御装置3に送信する(ステップS14)。
上記のフローチャートでは、セル制御部35が過電流を検出してから過電流検出情報を送信するまでの流れについて説明した。セル制御部35は、制御装置3からの指示に従って、各種処理を実行する。例えば、セル制御部35は、制御装置3からのデブロック指令に基づいて、ゲートブロック状態のスイッチング素子31s,32sをデブロック状態(例えば、スイッチング素子31s,32sをオンオフできる状態)にする。また、セル制御部35は、制御装置3からのバイパス要素51の投入指令に基づいて、バイパス要素51をオン状態(すなわち、閉路状態)にする。
図5は、制御装置の処理手順の一例を示すフローチャートである。図5における制御装置3の処理は、制御装置3内の処理回路により実行される。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、制御装置3の内部メモリ(例えば、RAM75、ROM76、補助記憶装置78)に格納されるプログラムを実行するCPU74であってもよい。処理回路が専用のハードウェアである場合、処理回路は、例えば、FPGA、ASIC、またはこれらを組み合わせたもの等で構成される。
図5を参照して、制御装置3は、少なくとも1つの変換器セル7から過電流検出情報を受信したか否かを判断する(ステップS30)。いずれの変換器セル7からも過電流検出情報を受信していない場合(ステップS30においてNO)、制御装置3はステップS30の処理を継続する。制御装置3は、少なくとも1つの変換器セル7から過電流検出情報を受信した場合(ステップS30においてYES)、電力変換器2内のすべての変換器セル7に対して、各スイッチング素子31s,32sのゲートブロックを指示するためのゲートブロック信号を送信する(ステップS32)。
制御装置3は、電力系統(例えば、交流回路12、変電所、直流回路14)において事故が発生したか否かを判断する(ステップS34)。具体的には、制御装置3は、交流電圧Vacおよび交流電流Iac等を用いて、公知の方式により当該事故が発生したか否かを判断する。
当該事故が発生している場合(ステップS34においてYES)、制御装置3は、当該事故が通常事故か否かを判断する(ステップS36)。通常事故は、電力系統側での多頻度故障(例えば、落雷による一時的な送電障害)を含む。具体的には、通常事故は、例えば、送電線、送電鉄塔等への落雷による地絡および短絡が、系統側変電所の保護リレー装置で検出され、交流回路12と変電所との間に設けられた遮断器(図示しない)による電流遮断により送電線保護が成功し、4サイクル程度で電圧が復帰するような事故である。通常事故が発生した場合には設備への被害はないため、落雷によるアークが消滅すれば、電力変換器2を再起動して運転継続が可能となる。
例えば、制御装置3は、系統接続点(例えば、連系変圧器13の一次側)の電圧低下(例えば、交流電圧Vacが電圧値Vk以下)および電流上昇(例えば、交流電流Iacが電流値Ik以上)を検出し、電圧位相および電流位相より事故点が系統側であることを検出することにより、系統事故が発生したと判定する。さらに、制御装置3は、当該系統事故を検出した後、想定時間内に電圧および電流が通常範囲に復帰した場合には、当該系統事故が一時的な事故(すなわち、通常事故)と判定する。
一方、事故が通常事故ではない重大事故である場合には、遮断器の開放および再投入によって電力変換器2の運転を継続することはできない。重大事故としては、例えば、変換所内の地絡事故または短絡事故が考えられる。変換所内の連系変圧器13の二次側での地絡事故または短絡事故の原因は落雷以外のものであり、事故が波及している可能性がある。そのため、電力変換装置1を含む電力変換システム全体を停止して調査する必要がある。制御装置3は、連系変圧器13の二次側および直流線路(例えば、直流回路14)の電気量(例えば、電流値および電圧値)および位相、電気量の複数計測値間の差に基づいて変電所内の事故(すなわち、重大事故)が発生したと判断する。
電力系統における事故が通常事故ではない(すなわち、重大事故である)場合(ステップS36においてNO)、制御装置3はシステム停止処理を実行して(ステップS38)、処理を終了する。具体的には、システム停止処理は、電力変換器2内のすべての変換器セル7のスイッチング素子31s,32sをゲートブロックするための処理と、遮断器を開放する処理と、電力変換器2の動作を完全に停止させるための規定の停止処理とを含む。上述したように、重大事故発生時においては電力変換器2の運転を継続すべきではなく、詳細な調査が必要であるため、システム停止処理が実行される。
電力系統における事故が通常事故である場合(ステップS36においてYES)、制御装置3は、事故発生時(例えば、事故が発生したと判定した時点)から規定時間経過後に電力変換器2を再起動するための再起動処理を実行して(ステップS40)、ステップS30の処理に戻る。再起動処理は、例えば、電力変換器2のすべての変換器セル7のスイッチング素子31s,32sをゲートブロック状態からデブロック状態に移行させるための処理(例えば、各変換器セル7にデブロック信号を送信する処理)と、電力変換器2の出力を通常状態に戻すための処理とを含む。通常事故は一時的な事故であるため、制御装置3は電力変換器2を再起動することにより電力変換器2の運転を継続させることができる。
次に、ステップS34において電力系統における事故が発生していない場合(ステップS34においてNO)、制御装置3は、2以上の変換器セル7から過電流検出情報を受信したか否かを判断する(ステップS42)。換言すると、ステップS42は、ステップS30において、制御装置3が複数の変換器セル7から過電流検出情報を受信していたか否かを判断するための処理である。
2以上の変換器セル7から過電流検出情報を受信した場合(ステップS42においてYES)、制御装置3はシステム停止処理を実行して(ステップS38)、処理を終了する。この場合、電力系統において事故が発生しておらず、かつ複数の変換器セル7において何らかの異常が発生していると考えられる。当該異常は、制御装置3により検出できない異常であることから、詳細な調査を行なうためにシステム停止処理が実行される。
2以上の変換器セル7から過電流検出情報を受信していない(すなわち、単独の変換器セル7からのみ過電流検出情報を受信している)場合(ステップS42においてNO)、制御装置3は、現時点における、過電流検出情報に基づく再起動処理の回数が閾値X以上であるか否かを判断する(ステップS44)。以下の説明では、“再起動処理の回数”とは変換器セル7からの過電流検出情報に基づく再起動処理の回数を意味するものとする。過電流検出情報に基づく再起動処理とは、後述するステップS46における再起動処理である。また、制御装置3は、過電流検出情報に基づく再起動処理を実行する毎に再起動処理の回数をカウントするものとする。閾値Xは、1以上の整数であり、系統運用者によって任意に決定される。
再起動処理の回数が閾値X未満である場合(ステップS44においてNO)、制御装置3は、事故発生時(例えば、事故が発生したと判定した時点)から規定時間経過後に再起動処理を実行して(ステップS46)、ステップS30の処理に戻る。再起動処理の回数が閾値X未満である場合には、変換器セル7による過電流検出が誤検出である可能性を鑑みて、再起動処理により電力変換器2の運転が継続される。
再起動処理の回数が閾値X以上である場合(ステップS44においてYES)、制御装置3は、過電流検出情報を制御装置3に送信した単独の変換器セル7(以下、便宜上「変換器セル7_i」とも称する。)のバイパス要素51を投入するための処理を実行し、電力変換器2の再起動処理を実行して(ステップS48)、ステップS30に戻る。具体的には、制御装置3は、変換器セル7_iの単独故障であると判定し、変換器セル7_iを短絡させるためにバイパス要素51を投入するための投入信号を変換器セル7_iに送信する。そして、制御装置3は、電力変換器2の再起動処理を実行して、残りの変換器セル7での運転を継続する。
上記フローチャートによると、制御装置3は以下のような機能を有する。
通常事故が発生している場合(例えば、ステップS36においてYES)、制御装置3は、通常事故が発生してから規定時間経過後に電力変換器2の再起動処理を実行する(例えば、ステップS40)。
事故が発生しておらず、かつ2以上の変換器セル7から過電流検出情報を受信した場合(例えば、ステップS42においてYES)、制御装置3は、電力変換器2の動作の停止処理を実行する(例えば、ステップS38)。
再起動処理(例えば、ステップS46の再起動処理)が1回もなされていない場合、制御装置3は、電力系統において事故が発生しておらず、かつ変換器セル7_iからのみ過電流検出情報を受信した場合(例えば、ステップS42においてNO)、電力変換器2の再起動処理を実行する(例えば、ステップS46)。
制御装置3は、再起動処理(例えば、ステップS46)の後、変換器セル7_iから過電流検出情報をさらに受信したか否かを判断し(例えば、ステップS30)、過電流検出情報をさらに受信していない場合(例えば、ステップS30においてNO)、変換器セル7_iにおける過電流の検出が誤検出であると判定する。この場合、電力変換器2の運転は継続される。
一方、再起動処理(例えば、ステップS46)の後、制御装置3は、変換器セル7_iのみから過電流検出情報をさらに受信した場合であって、かつ再起動処理の回数が閾値X以上である場合(例えば、ステップS42においてNOかつステップS44においてYES)、変換器セル7_iにおけるバイパス要素51を投入する処理および電力変換器2の再起動処理を実行する(ステップS48)。なお、閾値Xが“1”である場合には、制御装置3は、変換器セル7_iのみから過電流検出情報をさらに受信した場合(例えば、ステップS42においてNO)、変換器セル7_iにおけるバイパス要素51を投入する処理および電力変換器2の再起動処理を実行してもよい(例えば、ステップS48)。
<変形例>
図6は、本実施の形態の変形例に従う変換器セルを示す図である。図6を参照して、変換器セル7Aは、セル制御部35Aと、直列接続されたスイッチング回路21Pおよびスイッチング回路21Nと、バイパス要素51と、高電位側の入出力端子G1と、低電位側の入出力端子G2とを含む。
スイッチング回路21P,21Nは、ハーフブリッジ回路で構成される。具体的には、スイッチング回路21Pは、半導体回路31,32と、コンデンサ27Pとを含む。スイッチング回路21Pの構成は、図2のスイッチング回路21の構成と同様であるが、区別のため、便宜上“P”との符号が付されている。入出力端子G1は、スイッチング素子31sの負極端子とスイッチング素子32sの正極端子との接続点に接続される。
スイッチング回路21Nは、半導体回路33,34と、コンデンサ27Nとを含む。半導体回路33は、スイッチング素子33sと、ダイオード33dとを含む。ダイオード33dは、スイッチング素子33sと逆並列に接続されるFWDである。半導体回路34は、スイッチング素子34sと、ダイオード34dとを含む。ダイオード34dは、スイッチング素子34sと逆並列に接続されるFWDである。スイッチング素子33s,34sは、スイッチング素子31s,32sと同様の半導体スイッチング素子(例えば、IGBT,MOSFET)により構成される。
コンデンサ27Nは、半導体回路33(例えば、スイッチング素子33s)および半導体回路34(例えば、スイッチング素子34s)を含む直列体に並列接続される。スイッチング素子33sの負極端子とスイッチング素子34sの正極端子との接続点には、入出力端子G2が接続される。コンデンサ27Nの正極端子は半導体回路33の正極端子と接続され、コンデンサ27Nの負極端子は半導体回路34の負極端子と接続される。半導体回路32の負極端子およびコンデンサ27Pの負極端子は、半導体回路33の正極端子およびコンデンサ27Nの正極端子に接続される。
変換器セル7Aでは、2つのスイッチング回路21P,21Nが直列接続されているため、各スイッチング回路21P,21Nへの印加電圧が低減される。したがって、このような変換器セル7Aの構成は、高電圧適用のMMCにおいて変換器セル7Aを小型化および高密度化する場合に特に有用である。
半導体回路31において、過電流(例えば、短絡電流)が発生する場合、短絡電流の時間変化分に基づいて短絡電流の経路に発生する自己誘導起電力により、半導体回路31のエミッタ側の寄生インダクタンス81に電圧が発生する。セル制御部35Aは、寄生インダクタンス81の電圧に基づいて、半導体回路31(例えば、スイッチング素子31s)に流れる短絡電流を検出する。例えば、セル制御部35Aは、寄生インダクタンス81の電圧が規定電圧以上である場合に、半導体回路31に流れる短絡電流(すなわち、過電流)が発生したと判断する。同様に、セル制御部35Aは、半導体回路34のエミッタ側の寄生インダクタンス82の電圧が規定電圧以上である場合に、半導体回路34(例えば、スイッチング素子34s)に流れる短絡電流(すなわち、過電流)が発生したと判断する。
なお、図2の構成のように、電流検出器41を設けることにより、過電流を検出してもよい。例えば、一方の電流検出器41を、半導体回路31と入出力端子G1との間に設け、他の電流検出器41を、半導体回路34とコンデンサ27Nとの間に設ける構成であってもよい。
セル制御部35Aは、スイッチング素子31sおよびスイッチング素子34sのうちのいずれかに過電流が流れたことを検出すると、スイッチング素子31s~34sをゲートブロック(例えば、オフ状態に固定)する。セル制御部35Aは、スイッチング素子31sが故障に至るまでの数μs~数十μs以内に当該遮断を実現することにより、過電流を除去する。セル制御部35Aは、通常制御する場合のスイッチング動作よりも遅いスイッチング動作により、遮断させる「ソフト遮断」という動作によりスイッチング素子31sを遮断してもよい。これは、半導体スイッチング素子の飽和電流は通常制御する電流よりも大きいため、遮断時に半導体スイッチング素子の両端に発生するサージ電圧を抑制させるために行なわれる。
セル制御部35Aは、当該過電流を検出したことを示す過電流検出情報を制御装置3に送信する。制御装置3は、当該過電流検出情報を受信した場合、電力変換器2に含まれるすべての変換器セル7Aの各々に対して、当該変換器セル7Aのスイッチング素子31s~34sをゲートブロックするように指示する(例えば、指示情報を送信する)。各変換器セル7Aのセル制御部35Aは、当該指示に従って、スイッチング素子31s~34sをゲートブロックする。
以下、変形例に従う変換器セル7Aおよび制御装置3の処理手順について説明する。変換器セル7Aのセル制御部35Aが過電流を検出してから過電流検出情報を送信するまでの流れについては図4と同様である。具体的には、セル制御部35Aは、スイッチング素子31sおよび34sのうちのいずれかに流れる過電流を検出した場合、変換器セル7A内のスイッチング素子31s~34sをゲートブロックし、過電流検出情報を制御装置3に送信する。
図7は、本実施の形態の変形例に従う制御装置3の処理手順の一例を示すフローチャートである。図7における制御装置3の処理は、制御装置3内の処理回路により実行される。
図7を参照して、制御装置3は、少なくとも1つの変換器セル7Aから過電流検出情報を受信したか否かを判断する(ステップS60)。いずれの変換器セル7Aからも過電流検出情報を受信していない場合(ステップS60においてNO)、制御装置3はステップS60の処理を継続する。制御装置3は、少なくとも1つの変換器セル7から過電流検出情報を受信した場合(ステップS60においてYES)、電力変換器2内のすべての変換器セル7Aに対して、各スイッチング素子31s~34sのゲートブロックを指示するためのゲートブロック信号を送信する(ステップS62)。
ステップS64,S66,S68の処理は、それぞれ図5のステップS34,S36,S38の処理と同様である。なお、ステップS68で実行されるシステム停止処理は、電力変換器2内のすべての変換器セル7Aのスイッチング素子31s~34sをゲートブロックするための処理と、遮断器を開放する処理と、電力変換器2の動作を完全に停止させるための規定の停止処理とを含む。
ステップS70において、制御装置3は、事故発生時から規定時間経過後に電力変換器2を再起動するための再起動処理を実行する。再起動処理は、例えば、電力変換器2のすべての変換器セル7Aのスイッチング素子31s~34sをゲートブロック状態からデブロック状態に移行させるための処理と、電力変換器2の出力電圧を通常状態に戻すための処理とを含む。
ステップS72,S74,S76の処理は、それぞれ図5のステップS42,S44,S46の処理と同様である。
再起動処理の回数が閾値X以上である場合(ステップS74においてYES)、制御装置3は、過電流検出情報を制御装置3に送信した単独の変換器セル7A(以下、便宜上「変換器セル7A_i」とも称する。)のバイパス要素51を投入するための処理を実行し、電力変換器2の再起動処理を実行して(ステップS78)、ステップS60に戻る。具体的には、制御装置3は、変換器セル7A_iの単独故障であると判定し、変換器セル7A_iを短絡させるためにバイパス要素51を投入(すなわち、閉路)するための投入信号と、変換器セル7A_iのスイッチング素子32s,33sをオン状態に制御する信号とを変換器セル7A_iに送信する。
ここで、バイパス要素51の閉動作直前にスイッチング素子32s,33sをオン状態に制御する理由は、突入過電流によるバイパス要素51の損傷を防止するためである。例えば、半導体回路31(例えば、スイッチング素子31s)が短絡異常である場合には、スイッチング素子32sをオン状態とすることにより、コンデンサ27P、半導体回路31、半導体回路32の経路R1で過電流が流れる。これにより、コンデンサ27Pのエネルギーが消費されるため、バイパス要素51が実際に閉路される時点では、コンデンサ27Pに蓄積されたエネルギーが十分消費された状態となる。したがって、バイパス要素51の閉路後に、コンデンサ27P、半導体回路31、バイパス要素51、半導体回路33の経路で流れる過電流が抑制され、バイパス要素51の損傷を防止できる。
また、半導体回路34(例えば、スイッチング素子34s)が短絡異常である場合には、スイッチング素子33sをオン状態とすることにより、コンデンサ27N、半導体回路33、半導体回路34の経路R2で過電流が流れる。これにより、コンデンサ27Nのエネルギーが消費されるため、バイパス要素51が実際に閉路される時点では、コンデンサ27Nに蓄積されたエネルギーが十分消費された状態となる。したがって、バイパス要素51の閉路後に、コンデンサ27N、半導体回路32、バイパス要素51、半導体回路34の経路で流れる過電流が抑制され、バイパス要素51の損傷を防止できる。
<利点>
本実施の形態によると、上位装置である制御装置と各変換器セルのセル制御部とで協調することにより、各変換器セルを適切に保護できるとともに、どのような処理(例えば、システム停止処理、電力変換器2の再起動処理、バイパス要素51の投入処理)をすべきであるのか適切に判断できる。
その他の実施の形態.
上述した実施の形態において、セル制御部35は、変換器セル7において過電流を検出した場合に過電流の検出回数をカウントし、当該検出回数が閾値X以上である場合に変換器セル7におけるバイパス要素51を投入する処理を実行してもよい。例えば、閾値Xが“2”に設定されているとする。セル制御部35が、変換器セル7において1回目の過電流を検出した場合に過電流検出信号を制御装置3に送信し、制御装置3が再起動処理を実行する。その後、セル制御部35は、2回目の過電流を検出した場合、バイパス要素51の投入を実行する。検出回数のカウンタ数は、電力変換器2の起動時にリセット可能であってもよいし、上位装置(例えば、制御装置3)からの指示あるいはタイマーによってリセット可能であってもよい。
上述の実施の形態として例示した構成は、本開示の構成の一例であり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本開示の要旨を逸脱しない範囲で、一部を省略する等、変更して構成することも可能である。また、上述した実施の形態において、他の実施の形態で説明した処理および構成を適宜採用して実施する場合であってもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 電力変換装置、2 電力変換器、3 制御装置、4u,4v,4w レグ回路、5 上アーム、6 下アーム、7,7A 変換器セル、8A,8B リアクトル、9A,9B アーム電流検出器、10 交流電圧検出器、11A,11B 直流電圧検出器、12 交流回路、13 連系変圧器、14 直流回路、16 交流電流検出器、21,21N,21P スイッチング回路、27,27N,27P コンデンサ、31~34 半導体回路、31d~34d ダイオード、31s~34s スイッチング素子、35,35A セル制御部、41 電流検出器、45 電圧検出部、51 バイパス要素、70 入力変換器、71 サンプルホールド回路、72 マルチプレクサ、73 A/D変換器、74 CPU、75 RAM、76 ROM、77 入出力インターフェイス、78 補助記憶装置、79 バス、81,82 寄生インダクタンス、1000 電力変換システム。

Claims (8)

  1. 直列接続された複数の変換器セルを含む電力変換器と、
    前記電力変換器を制御する制御装置とを備え、
    前記複数の変換器セルの各々は、
    セル制御部と、
    第1入出力端子および第2入出力端子と、
    複数のスイッチング素子と、
    前記複数のスイッチング素子を介して前記第1入出力端子および前記第2入出力端子に接続されるエネルギー蓄積要素とを含み、
    前記セル制御部は、前記複数のスイッチング素子のいずれかに流れる過電流を検出した場合、前記複数のスイッチング素子をゲートブロックし、前記過電流を検出したことを示す検出情報を前記制御装置に送信し、
    前記制御装置は、前記検出情報を受信した場合、前記複数の変換器セルの各々に対して、当該変換器セルの前記複数のスイッチング素子をゲートブロックするように指示する、電力変換装置。
  2. 前記制御装置は、
    前記検出情報を受信した場合、電力系統において事故が発生したか否かを判断し、
    前記事故が発生しておらず、かつ前記複数の変換器セルのうちの1の変換器セルのみから前記検出情報を受信した場合、前記電力変換器の再起動処理を実行する、請求項1に記載の電力変換装置。
  3. 前記制御装置は、前記事故が発生しておらず、かつ前記複数の変換器セルのうちの2以上の変換器セルから前記検出情報を受信した場合、前記電力変換器の動作の停止処理を実行する、請求項2に記載の電力変換装置。
  4. 前記制御装置は、
    前記再起動処理の後、前記1の変換器セルから前記検出情報をさらに受信したか否かを判断し、
    前記検出情報をさらに受信していない場合、前記1の変換器セルにおける前記過電流の検出が誤検出であると判定する、請求項2または請求項3に記載の電力変換装置。
  5. 前記複数の変換器セルの各々は、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子との間に接続されるバイパス要素をさらに含み、
    前記制御装置は、前記1の変換器セルのみから前記検出情報をさらに受信した場合であって、かつ前記再起動処理の回数が閾値以上である場合、前記1の変換器セルにおける前記バイパス要素を投入する処理を実行する、請求項4に記載の電力変換装置。
  6. 前記複数の変換器セルの各々は、前記第1入出力端子と前記第2入出力端子との間に接続されるバイパス要素をさらに含み、
    前記セル制御部は、
    前記過電流を検出した回数をカウントし、
    前記過電流を検出した回数が閾値以上である場合、対応する前記変換器セルにおける前記バイパス要素を投入する処理を実行する、請求項4に記載の電力変換装置。
  7. 前記制御装置は、発生した前記事故が通常事故である場合、前記通常事故が発生してから規定時間経過後に前記電力変換器の再起動処理を実行する、請求項2または請求項3に記載の電力変換装置。
  8. 直列接続された複数の変換器セルを含む電力変換器と、
    前記電力変換器を制御する制御装置とを備え、
    前記複数の変換器セルの各々は、
    セル制御部と、
    直列接続された第1スイッチング回路および第2スイッチング回路と、
    第1入出力端子および第2入出力端子とを含み、
    前記第1スイッチング回路は、第1スイッチング素子と、第2スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子および前記第2スイッチング素子を含む直列体に並列接続された第1エネルギー蓄積要素とを含み、
    前記第1入出力端子は、前記第1スイッチング素子の負極端子と前記第2スイッチング素子の正極端子との接続点に接続され、
    前記第2スイッチング回路は、第3スイッチング素子と、第4スイッチング素子と、前記第3スイッチング素子および前記第4スイッチング素子を含む直列体に並列接続された第2エネルギー蓄積要素とを含み、
    前記第2入出力端子は、前記第3スイッチング素子の負極端子と前記第4スイッチング素子の正極端子との接続点に接続され、
    前記セル制御部は、前記第1スイッチング素子および前記第4スイッチング素子のうちのいずれかに流れる過電流を検出した場合、前記第1~第4スイッチング素子をゲートブロックし、前記過電流を検出したことを示す検出情報を前記制御装置に送信し、
    前記制御装置は、前記検出情報を受信した場合、前記複数の変換器セルの各々に対して、当該変換器セルの前記第1~第4スイッチング素子をゲートブロックするように指示する、電力変換装置。
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