JP7483026B2 - 加飾フィルム及びその製造方法、成型体並びに物品 - Google Patents

加飾フィルム及びその製造方法、成型体並びに物品 Download PDF

Info

Publication number
JP7483026B2
JP7483026B2 JP2022551140A JP2022551140A JP7483026B2 JP 7483026 B2 JP7483026 B2 JP 7483026B2 JP 2022551140 A JP2022551140 A JP 2022551140A JP 2022551140 A JP2022551140 A JP 2022551140A JP 7483026 B2 JP7483026 B2 JP 7483026B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
light
decorative film
layer
crystal layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022551140A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2022064776A1 (ja
Inventor
千裕 増田
佑一 早田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Publication of JPWO2022064776A1 publication Critical patent/JPWO2022064776A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7483026B2 publication Critical patent/JP7483026B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B27/00Layered products comprising a layer of synthetic resin
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J5/00Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
    • C08J5/18Manufacture of films or sheets
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09KMATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
    • C09K19/00Liquid crystal materials
    • C09K19/02Liquid crystal materials characterised by optical, electrical or physical properties of the components, in general
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C09DYES; PAINTS; POLISHES; NATURAL RESINS; ADHESIVES; COMPOSITIONS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; APPLICATIONS OF MATERIALS NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • C09KMATERIALS FOR MISCELLANEOUS APPLICATIONS, NOT PROVIDED FOR ELSEWHERE
    • C09K19/00Liquid crystal materials
    • C09K19/04Liquid crystal materials characterised by the chemical structure of the liquid crystal components, e.g. by a specific unit
    • C09K19/38Polymers
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/20Filters
    • G02B5/26Reflecting filters
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本開示は、加飾フィルム及びその製造方法、成型体並びに物品に関する。
例えば、電子デバイス、家電製品、自動車部品等の製造に用いられる基材の表面に意匠を付与するために、加飾フィルムが広く用いられている。このような加飾フィルムとして、多層膜干渉による波長選択反射性を利用したものが知られており、その表面の反射率を調節することで、様々な色を発現することができる。そのため、多層膜干渉による波長選択反射性を利用した加飾フィルムについて、その表面の反射率を調節して所望の色を得るため、種々の技術が検討されている。
例えば、国際公開第2018/186184号には、着色透過層と、反射に波長選択性を有する反射層とを含む積層体を含む加飾シートが記載されている。
国際公開第2018/186184号等の技術を始めとして、加飾フィルムの反射率を制御するための技術が従来から検討されているが、より容易に任意の反射率に制御可能な技術が求められているのが現状である。
本開示は、このような状況を鑑みてなされたものであり、本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、任意の反射率に制御可能な加飾フィルムを提供することである。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記加飾フィルムの製造方法を提供することである。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記加飾フィルムを成型してなる成型体を提供することである。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記成型体を備えた物品を提供することである。
本開示は、以下の態様を含む。
<1> 波長選択反射性を有する光反射部と、光反射部に隣接する透光部と、を厚み方向に含む単一層からなる反射層を含む、加飾フィルム。
<2> 反射層が、光反射部の厚さが互いに異なる複数の領域を面内方向に含む<1>に記載の加飾フィルム。
<3> 反射層が、選択反射波長が互いに異なる複数の領域を面内方向に含む<1>又は<2>に記載の加飾フィルム。
<4> 選択反射波長が互いに異なる複数の領域は、選択反射波長が15nm以上異なる<3>に記載の加飾フィルム。
<5> 上記複数の領域は、最大反射率が10%以上異なる<2>~<4>のいずれか1つに記載の加飾フィルム。
<6> 反射層の選択反射波長が、350nm~1200nmである<1>~<5>のいずれか1つに記載の加飾フィルム。
<7> 反射層が、コレステリック液晶化合物を含む液晶層の硬化物であり、
光反射部が、コレステリック配向部であり、
透光部が、等方部である、
<1>~<6>のいずれか1つに記載の加飾フィルム。
<8> 反射層が、コレステリック液晶化合物の螺旋ピッチが10nm以上異なる複数の光反射部を面内方向に含む<7>に記載の加飾フィルム。
<9> 液晶層が、光異性化キラル化合物を含む<7>又は<8>に記載の加飾フィルム。
<10> 基材を含む<1>~<9>のいずれか1つに記載の加飾フィルム。
<11> 着色層を含む<1>~<10>のいずれか1つに記載の加飾フィルム。
<12> 基材と、コレステリック液晶化合物を含む光硬化性の液晶層とを有する液晶材料を準備する工程と、
液晶層を加熱してコレステリック液晶相とする工程と、
コレステリック液晶相とした液晶層に第1光を照射して液晶層の一部を硬化させる工程と、
第1光の照射後の液晶層を加熱して液晶層の未硬化部を等方相とする工程と、
少なくとも等方相とした未硬化部に第2光を照射して未硬化部を硬化させる工程と、
を含む加飾フィルムの製造方法。
<13> 液晶層の一部を硬化させる工程において、第1光の透過率が互いに異なる複数の領域を有する第1パターニングマスクを介して第1光を照射する<12>に記載の加飾フィルムの製造方法。
<14> 基材が透光性であり、
液晶層の一部を硬化させる工程において、基材の液晶層を有する側とは反対側から、第1パターニングマスク及び基材を介して第1光を照射し、
未硬化部を硬化させる工程において、基材の液晶層を有する側から、第2光を照射する、
<13>に記載の加飾フィルムの製造方法。
<15> 液晶層が、光異性化キラル化合物を含み、
液晶材料を準備する工程と、液晶層の一部を硬化させる工程との間に、コレステリック液晶相とした液晶層に第3光を照射して光異性化キラル化合物を光異性化させる工程を含む、
<12>又は<13>に記載の加飾フィルムの製造方法。
<16> 光異性化キラル化合物を光異性化させる工程において、第3光の透過率が互いに異なる複数の領域を有する第2パターニングマスクを介して第3光を照射する<15>に記載の加飾フィルムの製造方法。
<17> 液晶層が、光ラジカル重合開始剤を含み、
コレステリック液晶化合物が、ラジカル重合性基を有するコレステリック液晶化合物を含む、
<12>~<16>のいずれか1つに記載の加飾フィルムの製造方法。
<18> <1>~<11>のいずれか1つに記載の加飾フィルムを成型してなる成型体。
<19> <18>に記載の成型体を備えた物品。
<20> 電子デバイスである<19>に記載の物品。
本発明の一実施形態によれば、任意の反射率に制御可能な加飾フィルムが提供される。
本発明の他の実施形態によれば、上記加飾フィルムの製造方法が提供される。
本発明の他の実施形態によれば、上記加飾フィルムを成型してなる成型体が提供される。
本発明の他の実施形態によれば、上記成型体を備えた物品が提供される。
図1は、本開示に係る加飾フィルムの一例を示す概略的断面図である。 図2は、反射層を走査電子顕微鏡で観察した様子の一例を示す概略的断面図である。 図3は、基材と液晶層とを含む液晶材料の一例を示す概略的断面図である。 図4は、第1パターニングマスクを用いて第1光で液晶層を露光する様子の一例を示す概略的断面図である。 図5は、第2光で液晶層を露光する様子の一例を示す概略的断面図である。 図6は、第2パターニングマスクを用いて第3光で液晶層を露光する様子の一例を示す概略的断面図である。 図7は、第1パターニングマスクを用いて第1光で液晶層を露光する様子の一例を示す概略的断面図である。 図8は、第2光で液晶層を露光する様子の一例を示す概略的断面図である。 図9は、実施例1~実施例3の第1パターニングマスクを示す概略的平面図である。 図10は、実施例1の加飾フィルムを示す概略的平面図である。 図11は、実施例1の加飾フィルムを示す概略的断面図である。 図12は、実施例2の第2パターニングマスクを示す概略的平面図である。 図13は、実施例2の加飾フィルムを示す概略的平面図である。 図14は、実施例2の加飾フィルムを示す概略的断面図である。 図15は、実施例3の加飾フィルムを示す概略的平面図である。 図16は、実施例3の加飾フィルムを示す概略的断面図である。 図17は、実施例4のガラス部材を示す概略的平面図である。 図18は、実施例4のガラス部材を示す概略的断面図である。
以下、本開示に係る加飾フィルム及びその製造方法、成型体並びに物品の詳細を説明する。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において、「光」は、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線等の活性エネルギー線を包含する概念である。
本開示において、「工程」という語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念として用いられる語である。
本開示において、重量平均分子量(Mw)は、特に断りのない限り、カラムとして、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、及びTSKgel G2000HxL(いずれも商品名、東ソー社製)を使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶離液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、示差屈折率(RI)検出器により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示において、「全固形分量」とは、全組成から溶媒を除いた成分の総質量をいう。また、「固形分」とは、全組成から溶媒を除いた成分であり、例えば、25℃において固体であっても、液体であってもよい。
以下の説明において参照する図面は、例示的、かつ、概略的に示されたものであり、本開示は、これらの図面に限定されない。また、図面の符号は省略することがある。
<加飾フィルム>
本開示に係る加飾フィルムは、波長選択反射性を有する光反射部と、光反射部に隣接する透光部と、を厚み方向に含む単一層からなる反射層を含む。
多層膜干渉による波長選択反射性を利用した加飾フィルムは、その表面の反射率を調節することで、様々な色を発現することができる。反射率を調節するため、例えば、国際公開第2018/186184号に開示されているように、着色透過層と、反射に波長選択性を有する反射層とを含む積層体を用いることが考えられる。しかし、国際公開第2018/186184号に記載の積層体では、これらの層を塗分けて重ねることが必要となる。
これに対して、本開示に係る加飾フィルムでは、単一層からなる反射層中に、波長選択反射性を有する光反射部と、透光部とを設け、かつ、光反射部と透光部とが隣接するように厚み方向に配置させている。この構成により、反射層中で光反射部の厚さを変化させて、反射層の反射率を任意の値に容易に制御することができる。そのため、加飾フィルムの色を容易に変化させることができる。
[反射層]
反射層は、波長選択反射性を有する光反射部と、光反射部に隣接する透光部と、を厚み方向に含み、単一層からなる。
波長選択反射性を有する光反射部は、以下で定義される選択反射波長の中心波長(以下、単に「選択反射波長」と呼ぶことがある)を有する。
光反射部を含む反射層は、光反射部に由来する波長選択反射性を有しており、光反射部と同じ選択反射波長を有する。そのため、反射層が波長選択反射性を有する場合、光反射部も波長選択反射性を有することとなる。
本開示において「選択反射波長の中心波長」とは、対象となる物(部材)における反射率の極大値、かつ、最大値(以下、単に「最大反射率」と呼ぶことがある)をRmax(%)とした場合、下記の式で表される半値反射率R1/2(%)を示す2つの波長の平均値のことをいう。但し、上記2つの波長のうち一方の波長は、Rmaxを示す波長よりも短い波長を含む波長域における最大波長とし、上記2つの波長のうち他方の波長は、上記Rmaxを示す波長よりも長い波長を含む波長域における最小波長とする。
半値反射率を求める式:R1/2=Rmax÷2
本開示において、反射率は、積分球装置を備えた分光光度計で測定される積分反射率である。分光光度計及び積分球として、それぞれ市販品を用いることができ、例えば、日本分光社製の分光光度計「V-670」、及び同社製の大型積分球装置「ILV-471」が挙げられる。
選択反射波長及び反射率は、反射スペクトルを特徴付けるものであり、色に寄与する。そのため、選択反射波長及び反射率の少なくとも一方を変化させることで、色を変化させることができる。
本開示において、選択反射波長が同じ反射スペクトルから得られる色を「同系統の色」と呼ぶことがあり、選択反射波長が異なる反射スペクトルから得られる色を「別系統の色」と呼ぶことがある。
例えば、選択反射波長を一定とし、反射率を変化させることにより、同系統の色で明暗を調節することができる。例えば、選択反射波長を460nm(青色)として、最大反射率を23%(暗青色)から48%(明青色)の間で制御することで、同系統の青色で明暗を調節することができる。
また、例えば、選択反射波長を変化させることで、別系統の色を得ることができる。例えば、選択反射波長を460nm(青色)から552nm(緑色)に変更することで、別系統の色である緑色を得ることができる。
光反射部及び透光部の厚さは特に限定されず、所望の反射率が得られるように適宜調節してよい。光反射部及び透光部の厚さは、反射層の断面を走査電子顕微鏡(SEM;Scaning Electron Microscope)で観察して測定することができる。
また、反射層の厚さは特に限定されないが、より適切な反射率を得る観点から、0.1μm~10μmであることが好ましく、0.3μm~8μmであることがより好ましく、0.5μm~6μmであることが更に好ましい。
反射層は、反射部と透光部とを有する領域に加えて、透光部を有しない領域を含んでよく、透光部を有しない領域において、反射層の反射率は、反射部の反射率と同一となる。例えば、図1に示される加飾フィルム100において、反射層10は、反射部11と透光部12とを有する領域a1と、透光部12を有しない領域a2及び領域a3とを含む。この場合、領域a2及び領域a3の反射率は、光反射部11の反射率と同じとなる。
反射層は、光反射部の厚さが互いに異なる複数の領域を面内方向に含んでよい。これにより、反射率が異なる複数の領域を面内方向に設けることができ、面内方向で色を変化させることができる。各光反射部間の厚さの差は特に限定されず、所望の反射率が得られるように適宜調節してよい。
反射層は、選択反射波長が互いに異なる複数の領域を面内方向に含んでよい。これにより、選択反射波長が異なる複数の領域を面内方向に設けることができ、面内方向で色を変化させることができる。各領域間の選択反射波長の差は特に限定されず、所望の選択反射波長が得られるように適宜調節してよい。例えば、上記領域は、選択反射波長が15nm以上異なってよく、これにより、面内方向において色をより明瞭に変化させることができる。選択反射波長の差の上限は、例えば、850nmであってよい。
光反射部の厚さが互いに異なる複数の領域は、最大反射率が10%以上異なってよい。これにより、面内方向において色をより明瞭に変化させることができる。
また、選択反射波長が互いに異なる複数の領域は、最大反射率が10%以上異なってよい。これにより、面内方向において色をより明瞭に変化させることができる。
例えば、選択反射波長を一定として、最大反射率が10%以上異なる複数の領域を反射層に設けることにより、同系統の色でより明瞭な明暗をつけることができる。最大反射率の差の上限は特に限定されず、例えば、90%であってよい。
反射層がコレステリック液晶化合物を含む液晶層の硬化物である態様(後に詳述)において、反射層は、コレステリック液晶化合物の螺旋の捩れ方向に一致する偏光のみを反射するため、最大反射率は50%が上限となる。反射層がコレステリック液晶化合物を含む液晶層の硬化物である態様においても、最大反射率の差の上限は特に限定されず、例えば、40%であってよい。
意匠性の観点から、反射層の選択反射波長は、350nm~1200nmであることが好ましい。中でも、380nm~780nmがより好ましい。
所望の色をより容易に得る観点から、反射層は、コレステリック液晶化合物を含む液晶層の硬化物であることが好ましい。「液晶層の硬化物」とは、液晶層に含まれる成分を含む液晶組成物の乾燥物及び重合硬化物を含む。
この態様において、波長選択反射性を示す光反射部とは、コレステリック液晶化合物が配向したコレステリック配向部をいう。また、透光部とは、コレステリック液晶化合物が一定の配向を有しない非配向の等方部をいう。
反射層中におけるコレステリック液晶化合物の配向の有無は、SEMを用いて、以下のようにして観察することができる。
例えば、図2に示すように、コレステリック液晶化合物を含む液晶層の硬化物である反射層10の断面をSEMで観察すると、コレステリック液晶化合物が配向したコレステリック配向部である光反射部11は、屈折率の変化に由来して、厚さ方向に明部Bと暗部Dとが交互に積層した縞模様として観察される。一方、コレステリック液晶化合物が非配向の等方部である透光部12では、縞模様が観察されない。そのため、明部と暗部との縞模様が観察された部分を光反射部11と判定し、それ以外の部分を透光部12と判定する。
明部Bと暗部Dとの繰り返し1周期分が、コレステリック液晶化合物の捩れの180度に対応している。よって、明部Bと暗部Dとの繰り返し2周期分が、コレステリック液晶化合物の捩れの360度に対応する。すなわち、これら2つの明部Bと2つの暗部Dとの幅Pが、コレステリック液晶化合物の螺旋ピッチ(以下、単に「螺旋ピッチ」と呼ぶことがある)である。
螺旋ピッチは、光反射部の選択反射波長に寄与する。すなわち、螺旋ピッチが長くなると、選択反射波長が長くなり、一方、螺旋ピッチが短くなると、選択反射波長は短くなる。そのため、螺旋ピッチを調節することで、選択反射波長を制御でき、所望の系統の色をより容易に得ることができる。
反射層は、螺旋ピッチが10nm以上異なる複数の領域を面内方向に含んでよい。これにより、面内方向において、別系統の色を有する領域を設けつつ、色をより明瞭に変化させることができる。螺旋ピッチの差の上限は特に限定されず、例えば、850nmであってよい。
[基材]
加飾フィルムは、基材を含んでよい。これにより、加飾フィルムの強度を高めることができるため取り扱いがより容易となる。また、加飾フィルムが基材を含む場合、加飾フィルムを成型してなる成型体を構成する部材として基材を用いることができる。
加飾フィルムが基材を含む態様において、反射層は、基材上に直接設けられていてよく、他の層を介して設けられていてもよい。
基材の形状及び材質は特に限定されず、所望に応じ適宜選択すればよい。加飾フィルムを成型する場合、成型容易性の観点から、基材は、樹脂基材であることが好ましい。
樹脂基材の材質として、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、アクリル-ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)、環状オレフィン-コポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、トリアセチルセルロース(TAC)、ウレタン樹脂、及びウレタン-アクリル樹脂が挙げられる。加飾フィルムの強度の観点、また、加飾フィルムを成型する場合の成型加工性の観点から、基材の材質は、ポリエチレンテレフタレート、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン-アクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリル-ポリカーボネート樹脂及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。基材は、材質が異なる複数の樹脂層の積層体であってよい。
樹脂基材は、必要に応じ、添加剤を含有していてよい。添加剤としては、例えば、鉱油、炭化水素、脂肪酸、アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、金属石けん、天然ワックス、シリコーン等の潤滑剤;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の無機難燃剤;ハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤等の有機難燃剤;金属粉、タルク、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ガラス繊維、カーボン繊維、木粉等の有機又は無機の充填剤;酸化防止剤、紫外線防止剤、滑剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤、着色剤、及び主成分の樹脂以外の樹脂が挙げられる。
樹脂基材は、市販品であってよい。市販品としては、例えば、テクノロイ(登録商標)シリーズ(アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、又はアクリル樹脂/ポリカーボネート樹脂積層フィルム、住友化学社製)、ABSフィルム(オカモト社製)、ABSシート(積水成型工業社製)、テフレックス(登録商標)シリーズ(PETフィルム、帝人フィルムソリューション社製)、ルミラー(登録商標)易成型タイプ(PETフィルム、東レ社製)、及びピュアサーモ(ポリプロピレンフィルム、出光ユニテック社製)が挙げられる。
基材の厚さは特に限定されないが、加飾フィルムの強度の観点、また、加飾フィルムを成型する場合の成型加工性の観点から、1μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましい。また、同様の観点から、基材の厚さは、300μm以下が好ましく、200μm以下がより好ましく、150μm以下が更に好ましい。
例えば、加飾フィルムが基材を含む場合、基材を含む加飾フィルムから基材を剥離したものを加飾フィルムとしてよい。
[着色層]
加飾フィルムは、着色層を含んでよい。これにより、所望の意匠を得ることがより容易となる。着色層は、着色剤を含む層である。着色層は、1層であってよく、2層以上であってもよい。
加飾フィルムにおいて、着色層の位置は特に限定されず、所望の位置に設けてよい。例えば、着色層は、反射層上に設けられてもよい。また、加飾フィルムが基材を含む場合、基材の反射層が形成されている側とは反対側に設けられてよく、また、基材を含む加飾フィルムから基材を剥離したものを加飾フィルムとし、基材剥離後の加飾フィルムに設けられてよい。
着色層の全光透過率は、視認性の観点から、10%以下であることが好ましい。全光透過率は、分光光度計(例えば、島津製作所社製の分光光度計「UV-2100」)により測定することができる。
着色層の色は特に限定されず、加飾フィルムの用途等に応じて適宜選択することができる。着色層の色としては、例えば、黒、灰、白、赤、橙、黄、緑、青、及び紫が挙げられる。また、着色層の色は、金属調の色であってもよい。
-着色剤-
着色剤は、顔料であってよく、染料であってもよい。耐久性の観点から、着色剤は、顔料であることが好ましい。着色層を金属調とするために、着色剤として、金属粒子、パール顔料等を用いてもよい。
顔料は、無機顔料であってもよく、有機顔料であってもよい。
無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、軽質炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の白色顔料;カーボンブラック、チタンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、黒鉛等の黒色顔料;酸化鉄、バリウムイエロー、カドミウムレッド、及びクロムイエローが挙げられる。
無機顔料としては、特開2005-7765号公報の段落0015及び段落0114に記載の無機顔料も挙げられる。
有機顔料としては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料;アゾレッド、アゾイエロー、アゾオレンジ等のアゾ系顔料;キナクリドンレッド、シンカシャレッド、シンカシャマゼンタ等のキナクリドン系顔料;ペリレンレッド、ペリレンマルーン等のペリレン系顔料;カルバゾールバイオレット、アントラピリジン、フラバンスロンイエロー、イソインドリンイエロー、インダスロンブルー、ジブロムアンザスロンレッド、アントラキノンレッド、及びジケトピロロピロールが挙げられる。
有機顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red 177、179、224、242、254、255、264等の赤色顔料、C.I.Pigment Yellow 138、139、150、180、185等の黄色顔料;C.I.Pigment Orange 36、38、71等の橙色顔料;C.I.Pigment Green 7、36、58等の緑色顔料;C.I.Pigment Blue 15:6等の青色顔料;及び、C.I.Pigment Violet 23等の紫色顔料が挙げられる。
有機顔料としては、特開2009-256572号公報の段落0093に記載の有機顔料も挙げられる。
顔料は、光透過性及び光反射性を有する顔料(いわゆる、光輝性顔料)であってもよい。光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム、及びこれらの合金の金属製光輝性顔料、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料、並びに、ガラスフレーク顔料が挙げられる。光輝性顔料は、無着色のものであってよく、着色されたものであってもよい。
着色剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。2種以上の着色剤を用いる場合、無機顔料と有機顔料と組み合わせてもよい。
着色剤の含有量は、目的とする色発現の観点から、着色層の全量に対して、1質量%~50質量%であることが好ましく、5質量%~50質量%であることがより好ましく、10質量%~40質量%であることが特に好ましい。
-バインダー樹脂-
着色層は、強度、耐傷性、及び成型加工適正の観点から、バインダー樹脂を含むことが好ましい。バインダー樹脂の種類は、特に制限されない。バインダー樹脂は、所望の色を得る観点から、透明な樹脂であることが好ましく、具体的には、全光透過率が80%以上の樹脂であることが好ましい。全光透過率は、分光光度計(例えば、島津製作所社製の分光光度計「UV-2100」)により測定することができる。
バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、及びポリオレフィンが挙げられる。バインダー樹脂は、単独重合体であってよく、共重合体であってもよい。
バインダー樹脂は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
バインダー樹脂の含有量は、成型加工性の観点から、着色層の全量に対して、5質量%~70質量%であることが好ましく、10質量%~60質量%であることがより好ましく、20質量%~60質量%であることが特に好ましい。
-分散剤-
着色層に含まれる着色剤、特に顔料の分散性を向上する観点から、着色層は、分散剤を含有してよい。分散剤が含まれると、着色層における着色剤の分散性が向上する。そのため、得られる加飾フィルムの色をより容易に均一にすることができる。
分散剤は、着色剤の種類、形状等に応じて適宜選択することができ、高分子分散剤であることが好ましい。
高分子分散剤としては、例えば、シリコーンポリマー、アクリルポリマー、及びポリエステルポリマーが挙げられる。例えば、加飾フィルムに耐熱性を付与したい場合には、分散剤は、グラフト型シリコーンポリマー等のシリコーンポリマーであることが好ましい。
分散剤の重量平均分子量は、1,000~5,000,000であることが好ましく、2,000~3,000,000であることがより好ましく、2,500~3,000,000であることが特に好ましい。重量平均分子量が1,000以上であると、着色剤の分散性がより向上する。
分散剤は、市販品であってよい。分散剤の市販品としては、BASFジャパン社製のEFKA 4300(アクリル系高分子分散剤);花王社製のホモゲノールL-18、ホモゲノールL-95、及びホモゲノールL-100;日本ルーブリゾール社製の、ソルスパース20000、及びソルスパース24000;並びにビックケミー・ジャパン社製のDISPERBYK-110、DISPERBYK-164、DISPERBYK-180、及びDISPERBYK-182が挙げられる。なお、「ホモゲノール」、「ソルスパース」、及び「DISPERBYK」はいずれも登録商標である。
分散剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
分散剤の含有量は、着色剤100質量部に対して、1質量部~30質量部であることが好ましい。
-添加剤-
着色層は、上記の成分以外に、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。添加剤は特に限定されず、例えば、特許第4502784号公報の段落0017、及び特開2009-237362号公報の段落0060~0071に記載の界面活性剤;特許第4502784号公報の段落0018に記載の熱重合防止剤(重合禁止剤ともいう。フェノチアジンが好ましく挙げられる。);並びに、特開2000-310706号公報の段落0058~0071に記載の添加剤が挙げられる。
-厚さ-
着色層の厚さは特に限定されないが、視認性及び立体成型性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、3μm~50μmであることが更に好ましく、3μm~20μmであることが特に好ましい。
着色層が2層以上である場合、各着色層がそれぞれ独立に、上記厚さの範囲であることが好ましい。
-着色層の形成方法-
着色層の形成方法としては、例えば、着色層形成用組成物を用いる方法、着色されたフィルムを貼り合せる方法等が挙げられる。中でも、着色層の形成方法は、着色層形成用組成物を用いる方法が好ましい。
着色層形成用組成物を用いて着色層を形成する方法としては、着色層形成用組成物を塗布して着色層を形成する方法、例えば、着色層形成用組成物を印刷して着色層を形成する方法が挙げられる。印刷方法としては、例えば、スクリーン印刷、インクジェット印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、及びオフセット印刷が挙げられる。
着色層形成用組成物は、着色剤と、必要に応じて、バインダー樹脂、分散剤及び添加剤の少なくとも1つとを含むものであってよい。各成分の種類は、着色層について上述したものであってよい。
着色剤の含有量は、着色層形成用組成物の全固形分量に対して、1質量%~50質量%であることが好ましく、5質量%~50質量%であることがより好ましく、10質量%~40質量%であることが特に好ましい。
バインダー樹脂の含有量は、着色層形成用組成物の全固形分量に対して、5質量%~70質量%であることが好ましく、10質量%~60質量%であることがより好ましく、20質量%~60質量%であることが特に好ましい。
分散剤の含有量は、着色剤100質量部に対して、1質量部~30質量部であることが好ましい。
着色層は、着色層形成用組成物を硬化してなる層であってもよく、例えば、重合性化合物及び重合開始剤を含む着色層形成用組成物を用いてよい。重合性化合物及び重合開始剤は特に限定されず、公知の重合性化合物及び公知の重合開始剤を用いてよい。重合性化合物は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
着色層形成用組成物は、塗布をより容易にする観点から、有機溶剤を含んでよい。有機溶剤は特に限定されず、公知の有機溶剤を適用することができる。有機溶剤としては、例えば、アルコール、エステル、エーテル、ケトン、及び芳香族炭化水素が挙げられる。有機溶剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
有機溶剤の含有量は、着色層形成用組成物の全量に対して、5質量%~90質量%であることが好ましく、30質量%~70質量%であることがより好ましい。
着色層形成用組成物として、例えば、naxレアルシリーズ、naxアドミラシリーズ、及びnaxマルチシリーズ(日本ペイント社製);レタンPGシリーズ(関西ペイント社製)等の市販の塗料を用いてよい。
着色層形成用組成物の調製方法は特に限定されず、例えば、着色剤等の各成分を混合することにより着色層形成用組成物を調製してよい。また、着色層形成用組成物が着色剤として顔料を含む場合、顔料の均一分散性及び分散安定性をより高める観点から、顔料と分散剤とを含む顔料分散液を予め調製し、顔料分散液に他の成分を混合することにより、着色層形成用組成物を調製することが好ましい。
[配向層]
加飾フィルムは、配向層を有してよい。配向層は、加飾フィルムの形成の際、光反射部中のコレステリック液晶化合物の分子をより容易に配向させるために用いられる。
配向層は、例えば、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成等によって設けられる。配向層としては、電場の付与、磁場の付与、又は光照射により配向機能が生じる配向層も知られている。
配向層の厚さは特に限定されないが、0.01μm~10μmであることが好ましい。
基材、液晶層等の下地の種類によっては、配向層を別途設けることなく、下地を配向層とすることができる。
例えば、基材を直接配向処理(例えば、ラビング処理)することで、配向層として機能させることができる。直接配向処理可能な基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる層が挙げられ、後述の要領でラビング処理を施してよい。
また、液晶層を下地とし、その上に直接反射層を設ける場合、下地の液晶層が配向層として機能する場合もある。
以下、好ましい例として、ラビング処理配向層及び光配向層について説明する。
-ラビング処理配向層-
液晶組成物が塗布される下地の表面に対して、ラビング処理を行う。ラビング処理は、例えば、ポリマーを主成分とする膜の表面を、紙又は布で一定方向に擦ることにより行うことができる。ラビング処理の一般的な方法については、例えば、「液晶便覧」(丸善社発行、平成12年10月30日)に記載されている。
上記のようなポリマーを主成分とする膜を形成する配向層用ポリマーとしては、例えば、特開平8-338913号公報の段落0022に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、及びポリカーボネートが挙げられる。また、配向層用ポリマーは、シランカップリング剤であってもよい。配向層用ポリマーは、水溶性ポリマー(例えば、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、又は変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
ラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」(丸善社発行)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl(1+2πrn/60v)
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm;revolutions per minute)、vはステージ移動速度(秒速)である。
ラビング密度を高くする方法としては、ラビング回数を増やす方法、ラビングローラーの接触長を長くする方法、ローラーの半径を大きくする方法、ローラーの回転数を大きくする方法、及びステージ移動速度を遅くする方法が挙げられる。一方、ラビング密度を低くする方法としては、ラビング回数を減らす方法、ラビングローラーの接触長を短くする方法、ローラーの半径を小さくする方法、ローラーの回転数を小さくする方法、及びステージ移動速度を速くする方法が挙げられる。また、ラビング処理の際の条件としては、特許第4052558号公報の記載を参照することもできる。
-光配向層-
光照射により形成される光配向層に用いられる光配向材料としては、例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-76839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-94071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号公報、及び特許第4151746号公報に記載のアゾ化合物;特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物;特開2002-265541号公報、及び特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミド及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物;特許第4205195号及び特許第4205198号公報に記載の光架橋性シラン誘導体;並びに、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報、及び特許第4162850号公報に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又は、エステルが挙げられる。中でも、光配向材料は、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又はエステルであることが好ましい。
光配向材料から形成した層に、直線偏光又は非偏光照射を施し、光配向層を製造する。
本開示において、「直線偏光照射」とは、光配向材料に光反応を生じさせるための操作である。用いる光の波長は、用いる光配向材料により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。光照射に用いる光は、ピーク波長が200nm~700nmの光であることが好ましく、ピーク波長が400nm以下の紫外線であることがより好ましい。
光照射に用いる光源としては、公知の光源、例えば、タングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例えば、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、又はYAGレーザー)、発光ダイオード、及び陰極線管が挙げられる。
直線偏光を得る方法としては、偏光板(例えば、ヨウ素偏光板、二色色素偏光板、又はワイヤーグリッド偏光板)を用いる方法、プリズム系素子(例えば、グラントムソンプリズム)又はブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、及び偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が挙げられる。また、フィルター又は波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
照射する光が直線偏光の場合、配向層の上面若しくは裏面から、配向層表面に対して垂直方向、又は斜め方向に光を照射する方法が挙げられる。光の入射角度は、光配向材料によって異なるが、配向層に対して、0°~90°(垂直)であることが好ましく、40°~90°であることがより好ましい。
非偏光を利用する場合には、配向層の上面若しくは裏面から、斜め方向に非偏光を照射する。入射角度は、10°~80°であることが好ましく、20°~60°であることがより好ましく、30°~50°であることが更に好ましい。照射時間は、1分~60分であることが好ましく、1分~10分であることがより好ましい。
[その他の層]
加飾フィルムは、着色層及び配向層以外のその他の層を有していてもよい。
その他の層としては、加飾フィルムにおいて公知の層である、保護層、粘着層、紫外線吸収層、反射層、自己修復層、帯電防止層、防汚層、防電磁波層、導電性層等が挙げられる。
その他の層は公知の方法により形成することができる。例えば、これらの層に含まれる成分を含む組成物(層形成用組成物)を層状に付与し、乾燥する方法が挙げられる。
<加飾フィルムの製造方法>
加飾フィルムの製造方法は特に限定されないが、以下に説明する本開示に係る加飾フィルムの製造方法により、コレステリック液晶化合物を含む光硬化性の液晶組成物を用いて、加飾フィルムを好ましく製造することができる。
本開示に係る加飾フィルムの製造方法は、
基材と、コレステリック液晶化合物を含む光硬化性の液晶層とを有する液晶材料を準備する工程(以下、「液晶材料準備形成工程」と呼ぶことがある)と、
液晶層を加熱してコレステリック液晶相とする工程(以下、「第1加熱工程」と呼ぶことがある)と、
コレステリック液晶相とした液晶層に第1光を照射して液晶層の一部を硬化させる工程(以下、「第1露光工程」と呼ぶことがある)と、
第1光の照射後の液晶層を加熱して液晶層の未硬化部を等方相とする工程(以下、「第2加熱工程」と呼ぶことがある)と、
少なくとも等方相とした未硬化部に第2光を照射して未硬化部を硬化させる工程(以下、「第2露光工程」と呼ぶことがある)と、
を含む。
[液晶材料準備工程]
液晶材料準備工程は、基材と、コレステリック液晶化合物を含む光硬化性の液晶層とを有する液晶材料を準備する工程である。
[基材]
基材は、上述したものを用いることができる。
[液晶層]
液晶層は、コレステリック液晶化合物を含み、必要に応じて、後述するキラル化合物等の他の成分を含んでよい。
-コレステリック液晶化合物-
コレステリック液晶化合物は特に限定されず、反応性基を有するコレステリック液晶化合物、又は反応性基を有しないコレステリック液晶化合物のいずれであってもよい。コレステリック液晶化合物の螺旋構造をより容易に固定する観点から、コレステリック液晶化合物は、反応性基を有するコレステリック液晶化合物を含むことが好ましい。反応性基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、及びアミノ基が挙げられる。反応性基の架橋機構としては、例えば、縮合反応、水素結合、及び重合が挙げられる。
コレステリック液晶化合物は、架橋機構の異なる2種以上の反応性基を含んでよい。液晶層が、コレステリック液晶化合物として、架橋機構の異なる2種以上の反応性基を有するコレステリック液晶化合物を含む場合、反応性の観点から、上記2種以上の反応性基のうち、少なくとも1種の反応性基の架橋機構が重合であることが好ましい。すなわち、2種以上の反応性基のうち、少なくとも1種は重合性基であることが好ましい。
重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基が挙げられる。
コレステリック液晶化合物が、重合性基を2つ以上有するコレステリック液晶化合物を含む場合、反応性の観点、及びコレステリック液晶化合物の螺旋構造をより容易に固定する観点から、上記2つ以上の重合性基のうち、少なくとも1つの重合性基がラジカル重合性基であることが好ましい。コレステリック液晶化合物が、重合性基を2つ以上有するコレステリック液晶化合物を含む場合、ラジカル重合性基とカチオン重合性基との組み合わせが好ましい。中でも、反応をより容易に制御する観点から、重合性基の組み合わせとして、ラジカル重合性基がビニル基又は(メタ)アクリロイル基であり、カチオン重合性基がエポキシ基、オキセタニル基又はビニルエーテル基である組み合わせが特に好ましい。
以下、反応性基の具体例を示す。なお、Etはエチル基を表し、n-Prはn-プロピル基を表す。
コレステリック液晶化合物の形状は特に限定されず、コレステリック液晶化合物は、棒状コレステリック液晶化合物であってよく、円盤状コレステリック液晶化合物であってもよい。コレステリック配向部の螺旋ピッチをより容易に調整する観点、また、反射率及び色の経時変化をより容易に抑制する観点から、コレステリック液晶化合物は、棒状コレステリック液晶化合物であることが好ましい。
棒状コレステリック液晶化合物としては、アゾメチン系化合物、アゾキシ系化合物、シアノビフェニル系化合物、シアノフェニルエステル系化合物、安息香酸エステル系化合物、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル系化合物、シアノフェニルシクロヘキサン系化合物、シアノ置換フェニルピリミジン系化合物、アルコキシ置換フェニルピリミジン系化合物、フェニルジオキサン系化合物、トラン系化合物及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル系化合物が挙げられる。棒状コレステリック液晶化合物は、低分子コレステリック液晶化合物であってもよく、高分子コレステリック液晶化合物であってもよい。高分子コレステリック液晶化合物は、反応性基を有する低分子コレステリック液晶化合物が重合した高分子化合物である。棒状コレステリック液晶化合物としては、特開2008-281989号公報、特表平11-513019号公報(国際公開第97/00600号)又は特表2006-526165号公報に記載のものが挙げられる。
以下、棒状コレステリック液晶化合物の具体例を示す。但し、棒状コレステリック液晶化合物は、これらに限定されるものではない。なお、以下に示す化合物は、特表平11-513019号公報(国際公開第97/00600号)に記載の方法で合成することができる。
円盤状コレステリック液晶化合物としては、モノマー等の低分子量の円盤状コレステリック液晶化合物、及び重合性の円盤状コレステリック液晶化合物が挙げられる。
円盤状コレステリック液晶化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体;C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physicslett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体;B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体;並びに、J.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、及びJ.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系又はフェニルアセチレン系マクロサイクルが挙げられる。
上記例示した円盤状コレステリック液晶化合物には、上記各種構造を分子中心の円盤状の母核とし、直鎖アルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等の基(L)が放射線状に置換された構造を有し、液晶性を示し、一般的に円盤状液晶とよばれる液晶化合物が含まれる。このような分子の集合体が一様に配向した場合は負の一軸性を示すが、円盤状コレステリック液晶化合物は、この記載に限定されるものではない。
更に、円盤状コレステリック液晶化合物の例としては、特開2008-281989号公報の段落0061~段落0075に記載のものが挙げられる。
コレステリック液晶化合物として、反応性基を有する円盤状コレステリック液晶化合物を用いる場合、硬化された液晶膜において、水平配向、垂直配向、傾斜配向、及び捩れ配向のいずれの配向状態で固定されていてもよい。
コレステリック液晶化合物は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
コレステリック液晶化合物の含有量は、反射層の反射率をより高める観点から、液晶層の全固形分量に対して、30質量%~100質量%であることが好ましく、40質量%~95質量%であることがより好ましく、50質量%~90質量%であることが更に好ましい。
-キラル化合物-
液晶層は、コレステリック配向層形成の容易性、及び螺旋ピッチの調整容易性の観点から、キラル化合物(すなわち、光学活性化合物)を含むことが好ましい。キラル化合物は、コレステリック液晶化合物について螺旋構造を誘起する機能を有する。
キラル化合物は、誘起する螺旋のよじれ方向又は螺旋ピッチが液晶化合物によって異なるため、目的に応じて選択すればよい。キラル化合物は特に限定されず、公知の化合物(例えば、「液晶デバイスハンドブック」、第3章4-3項、TN(twisted nematic)、STN(Super-twisted nematic)用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989に記載された化合物)、イソソルビド、及びイソマンニド誘導体を用いることができる。キラル化合物は、一般に不斉炭素原子を含むが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物又は面性不斉化合物もキラル化合物として用いることができる。軸性不斉化合物又は面性不斉化合物の例には、ビナフチル化合物、ヘリセン化合物、及びパラシクロファン化合物が好ましく挙げられる。
キラル化合物としては、例えば、光異性化キラル化合物及び重合性キラル化合物が挙げられる。
キラル化合物は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
液晶層がキラル化合物を含む場合、キラル化合物の含有量は、目的とする反射波長をより容易に得る観点から、液晶層の全固形分量に対して、1質量%~20質量%であることが好ましく、1質量%~15質量%であることがより好ましく、1質量%~10質量%であることが更に好ましい。
--光異性化キラル化合物--
液晶層は、選択反射波長をより容易に調節する観点から、キラル化合物として、光異性化キラル化合物を含んでよい。光異性化キラル化合物とは、1分子中に、光異性化構造を有し、かつ、キラリティーを有する化合物を意味する。
光異性化キラル化合物は、光異性化容易性、及び異性化構造の維持性の観点から、露光により立体構造が変化する化合物であることが好ましく、露光によりEZ(Zussammammen、Entgegen)配置が異性化する2置換以上のエチレン性不飽和結合を有することがより好ましく、露光によりEZ配置が異性化する3置換のエチレン性不飽和結合を有することが特に好ましい。
光異性化キラル化合物は、露光により異性化すると、コレステリック液晶化合物が形成するコレステリック配向部の螺旋ピッチ(捩れ力、螺旋の捩れ角)等の配向構造を変化させる。また、露光時の露光量によって、光異性化キラル化合物の光異性化割合を調整することができる。光異性化キラル化合物の光異性化割合によって、コレステリック配向部の螺旋ピッチの長さを変化させ、選択反射波長を変化させることができる。なお、光異性化割合とは、光異性化キラル化合物の総分子数に対する、光異性化した光異性化キラル化合物の分子数の割合を意味する。
本開示におけるEZ配置の異性化には、cis-trans異性化も含まれる。また、上記2置換以上のエチレン性不飽和結合は、芳香環基とエステル結合とが置換したエチレン性不飽和結合であることが好ましい。
また、光異性化キラル化合物は、光異性化構造を1つのみ有してよく、2つ以上有してもよい。光異性化容易性、及び異性化構造の維持性の観点から、光異性化キラル化合物は、光異性化構造を2つ以上有していることが好ましく、2つ~4つ有していることがより好ましく、2つ有していることが特に好ましい。
具体的には、光異性化キラル化合物は、下記式(CH1)で表される化合物であることが好ましい。
下記式(CH1)で表される化合物は、露光時の露光量に応じてコレステリック液晶相の螺旋ピッチ(捩れ力、螺旋の捩れ角)等の配向構造を変化させることができる。
また、下記式(CH1)で表される化合物は、2つのエチレン性不飽和結合におけるEZ配置が露光により異性化可能な化合物である。
式(CH1)中、ArCH1及びArCH2はそれぞれ独立に、アリール基又は複素芳香環基を表し、RCH1及びRCH2はそれぞれ独立に、水素原子又はシアノ基を表す。
式(CH1)におけるArCH1及びArCH2はそれぞれ独立に、アリール基であることが好ましい。
式(CH1)のArCH1及びArCH2におけるアリール基は、置換基を有していてもよく、総炭素数6~40であることが好ましく、総炭素数6~30であることがより好ましい。置換基は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、シアノ基、又は、複素環基であることが好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、又は、アリールオキシカルボニル基であることがより好ましい。
式(CH1)におけるRCH1及びRCH2はそれぞれ独立に、シアノ基であることが好ましい。
中でも、ArCH1及びArCH2は、下記式(CH2)又は式(CH3)で表されるアリール基であることが好ましく、下記式(CH2)で表されるアリール基であることがより好ましい。
式(CH2)及び式(CH3)中、RCH3及びRCH4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、又は、シアノ基を表し、LCH1及びLCH2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又は、ヒドロキシ基を表し、nCH1は0~4の整数を表し、nCH2は0~6の整数を表し、*は式(CH1)におけるエチレン性不飽和結合との結合位置を表す。
式(CH2)及び式(CH3)におけるRCH3及びRCH4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又は、アシルオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又は、アシルオキシ基であることがより好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
式(CH2)及び式(CH3)におけるLCH1及びLCH2はそれぞれ独立に、炭素数1~10のアルコキシ基、又は、ヒドロキシ基であることが好ましい。
式(CH2)におけるnCH1は、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
式(CH3)におけるnCH2は、0又は1であることが好ましく、0であることがより好ましい。
式(CH1)のArCH1及びArCH2における複素芳香環基は、置換基を有していてもよく、総炭素数4~40であることが好ましく、総炭素数4~30であることがより好ましい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、又は、シアノ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、又は、アシルオキシ基がさらに好ましい。
複素芳香環基は、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、又は、ベンゾフラニル基であることが好ましく、ピリジル基、又はピリミジニル基であることがより好ましい。
式(CH1)で表される化合物としては、以下の化合物が好ましく挙げられる。なお、以下の化合物は、各エチレン性不飽和結合の立体配置が、露光により変化する化合物である。
光異性化キラル化合物は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
液晶層が光異性化キラル化合物を含む場合、光異性化キラル化合物の含有量は、目的とする反射波長をより容易に得る観点から、液晶層の全固形分量に対して、0.5質量%~15質量%であることが好ましく、1質量%~10質量%であることがより好ましく、2質量%~7質量%であることが更に好ましい。
--重合性キラル化合物--
液晶層は、コレステリック液晶化合物の螺旋構造をより容易に固定する観点から、キラル化合物として、重合性キラル化合物を含んでよい。重合性キラル化合物は、重合性基を有するキラル化合物を意味する。ここでいう重合性キラル化合物は、光異性化構造を有しないものとし、光異性化キラル化合物とは区別される。
重合性キラル化合物が有する重合性基としては、例えば、ラジカル重合性基及びカチオン重合性基が挙げられる。重合性基は、エチレン性不飽和基、エポキシ基又はアジリジニル基であることが好ましく、エチレン性不飽和基であることがより好ましい。
重合性キラル化合物は、不斉炭素原子を含む化合物であることが好ましいが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物又は面性不斉化合物であってもよい。軸性不斉化合物又は面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン及びこれらの誘導体が含まれる。
液晶層が重合性基を有するコレステリック液晶化合物を含む場合、重合性キラル化合物は、コレステリック液晶化合物が有する重合性基と同種の重合性基を含むことが好ましい。例えば、コレステリック液晶化合物がラジカル重合性基を有する場合、重合性キラル化合物もラジカル重合性基を含むことが好ましい。これにより、重合性基を有するコレステリック液晶化合物と重合性キラル化合物とが重合したポリマーが形成され、コレステリック液晶化合物の螺旋構造をより容易に固定することができる。
重合性キラル化合物は、イソソルビド誘導体、イソマンニド誘導体、又はビナフチル誘導体であることが好ましい。イソソルビド誘導体の市販品としては、例えば、BASF社製の「パリオカラー LC756」が挙げられる。
重合性キラル化合物は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
液晶層が重合性キラル化合物を含む場合、重合性キラル化合物の含有量は、目的とする反射波長をより容易に得る観点から、液晶層の全固形分量に対して、0.5質量%~8質量%であることが好ましく、1質量%~10質量%であることがより好ましく、1質量%~5質量%であることがさらに好ましい。
-重合開始剤-
液晶層が重合性基を有する成分を含む場合(例えば、重合性基を有するコレステリック液晶化合物及び重合性キラル化合物の少なくとも1つを含む場合)、液晶層は、重合開始剤を含むことが好ましい。液晶層が重合性基を有する成分と重合開始剤を含む場合、液晶層は光硬化性であることが好ましく、重合開始剤は、光の照射によって重合反応を開始させることが可能な光重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、α-カルボニル化合物(例えば、米国特許第2367661号、及び米国特許第2367670号の各明細書に記載)、アシロインエーテル化合物(例えば、米国特許第2448828号明細書に記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(例えば、米国特許第2722512号明細書に記載)、多核キノン化合物(例えば、米国特許第3046127号、米国特許第2951758号の各明細書に記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(例えば、米国特許第3549367号明細書に記載)、アクリジン化合物及びフェナジン化合物(例えば、特開昭60-105667号公報、及び米国特許第4239850号明細書に記載)、及びオキサジアゾール化合物(例えば、米国特許第4212970号明細書に記載)が挙げられる。
光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であってよく、光カチオン重合開始剤であってもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、α-ヒドロキシアセトフェノン化合物、α-アミノアルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、チオキサントン化合物、及びオキシムエステル化合物が好ましく挙げられる。光ラジカル重合開始剤として市販品を用いてよく、市販品として、例えば、IGM Resins B.V.社製の「Omnirad907」(2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン)等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、ヨードニウム塩化合物、及びスルホニウム塩化合物が好ましく挙げられる。
反応性の観点から、液晶層が、光ラジカル重合開始剤を含み、かつ、コレステリック液晶化合物が、ラジカル重合性基を有するコレステリック液晶化合物を含むことが好ましい。
重合開始剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
液晶層が重合開始剤を含む場合、重合開始剤の含有量は、コレステリック液晶化合物の構造等に応じて適宜選択することができるが、硬化性の観点から、液晶層の全固形分量に対して、0.1質量%~5質量%であることが好ましく、0.2質量%~3質量%であることがより好ましく、0.3質量%~1.5質量%であることが更に好ましい。
-架橋剤-
液晶層は、液晶膜の強度向上及び耐久性向上の観点から、架橋剤を含んでよい。架橋剤は、紫外線、熱、湿気等により反応が進行する化合物であることが好ましい。
架橋剤としては、例えば、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;及びビニルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物が挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を併用することにより、反射層の強度及び耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。架橋剤として市販品を用いてよく、市販品として、例えば、新中村化学工業社製の「NKエステルA-DCP」(ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート)等が挙げられる。
架橋剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
液晶層が架橋剤を含む場合、架橋剤の含有量は、コレステリック液晶化合物の配向性の観点から、液晶層の全固形分量に対して、0.1質量%~6質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましく、1質量%~4質量%であることが更に好ましい。
-その他の添加剤-
液晶層は、必要に応じて、上記成分以外のその他の添加剤を含んでよい。その他の添加剤としては、例えば、界面活性剤、重合禁止剤、酸化防止剤、水平配向剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、着色剤、及び金属酸化物粒子が挙げられる。
その他の添加剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
液晶材料準備工程は特に限定されず、例えば、コレステリック液晶化合物を含む光硬化性の液晶組成物を基材に付与してなる膜(液晶層)を形成する工程であってよく、例えば、液晶組成物を基材に塗布して塗膜(液晶層)を形成する工程であってよい。
液晶組成物に含まれる成分の詳細は、液晶層について上述したものと同様であるが、成分の含有量については「液晶層の全固形分量に対して」を「液晶組成物の全固形分量に対して」と読み替えるものとする。
また、塗布をより容易にする観点から、液晶組成物は、溶剤を含んでよい。溶剤は特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。溶剤は、溶解性の観点から、有機溶剤であることが好ましい。
有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン;アルキルハライド、アミド、スルホキシド、ヘテロ環化合物、炭化水素、エステル、エーテル、及びアルコールが挙げられる。中でも、コレステリック液晶化合物の溶解性及び環境負荷への考慮から、ケトンが好ましい。
溶剤は、1種を単独で用いてよく、2種以上を併用してもよい。
液晶組成物が溶剤を含有する場合、溶剤の含有量は、液晶組成物の全量に対して、40質量%~90質量%であることが好ましく、50質量%~80質量%であることがより好ましい。
液晶組成物の調製方法は特に限定されず、例えば、コレステリック液晶化合物等の各成分を混合する方法により液晶組成物を調製してよい。
液晶組成物を基材に付与する方法は特に限定されず、例えば、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、ミスト法、インクジェット法、ディスペンサー法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、及び凹版印刷法が挙げられる。
液晶組成物が溶剤を含む場合、液晶組成物を基材に付与した後に乾燥してよい。乾燥方法として、例えば、加熱乾燥、及び減圧乾燥が挙げられる。加熱乾燥する場合、加熱温度及び加熱時間は、溶剤の種類に応じて適宜調節してよい。また、加熱乾燥は、下記の第1加熱工程の一部として行ってもよい。
[第1加熱工程]
第1加熱工程は、液晶層を加熱してコレステリック液晶相とする工程である。コレステリック液晶化合物を加熱すると、加熱温度が高くなるにつれて、コレステリック液晶化合物は、結晶状態から配向状態となり、更に、配向状態から等方状態となる。第1加熱工程では、コレステリック液晶化合物を含む液晶層を加熱することにより、コレステリック液晶化合物を配向状態として、液晶層をコレステリック液晶化合物が配向したコレステリック液晶相とする。
コレステリック液晶化合物の上記状態の変化との加熱温度との関係は、コレステリック液晶化合物の種類により異なる。そのため、第1加熱工程における加熱温度は、コレステリック液晶化合物が配向状態となるように、コレステリック液晶化合物の種類に応じて、適宜調節してよい。第1加熱工程における加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜調節してよい。また、加熱手段は特に限定されず、オーブン、ホットプレート等を用いてよい。
[第1露光工程]
第1露光工程は、コレステリック液晶相とした液晶層に第1光を照射して液晶層の一部を硬化させる工程である。第1加熱工程においてコレステリック液晶相となった液晶層の一部を第1光で光硬化させることで、液晶層の一部が、コレステリック液晶化合物が配向状態で硬化して光反射部となる。液晶層の光硬化が反射層の厚み方向に進行する程、光反射部が厚くなる。
液晶層を完全に硬化させず、液晶層の一部を硬化させるための手段として、例えば、第1光の露光量を小さくする方法、第1光の透過率を低減させる領域を含むマスクを介して第1光を露光する方法、液晶層に含まれる化合物によって光を吸収させる方法、重合禁止剤により重合を抑制する方法、酸素により重合を抑制する方法、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
第1光の種類は特に限定されないが、液晶化合物に含まれ得る成分の反応性を考慮すると、紫外線を用いることが好ましい。紫外線の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及び発光ダイオード(LED;Light Emission Diode)が挙げられる。
第1光の波長範囲は特に限定されないが、第1光が紫外線である場合、400nm以下が好ましく、360nm以下がより好ましく、300nm以下が更に好ましい。300nm以下の光を用いる場合、コレステリック液晶化合物の光吸収により、厚み方向における光硬化の制御がより容易となる。波長範囲は、例えば、光学フィルターを用いる方法、2種以上の光学フィルターを用いる方法、又は特定波長の光源を用いる方法により調整することができる。
第1光の露光量は特に限定されず、第1光が紫外線である場合、例えば、0.1mJ/cm~2,000mJ/cmであってよい。面内方向における光硬化の制御の観点から、紫外線の平行度は20°以下であることが好ましく、10°以下であることがより好ましい。
反射層は、光反射部と、透光部とを基材に対してどのような順に含んでいてもよい。すなわち、反射層は、光反射部と、透光部とを基材側から順に含んでよく、透光部と、光反射部と、を基材側から順に含んでもよい。後述する酸素濃度による光硬化の制御の観点から、反射層は、光反射部と、透光部とを基材側から順に含むことがより好ましい。
反射層が、光反射部と、透光部とを基材側から順に含む場合、第1露光工程は、基材の液晶層を有する側と反対側から露光することが好ましい。
反射層が、透光部と、光反射部とを基材側から順に含む場合、第1露光工程は、基材の液晶層を有する側から露光することが好ましい。
反射層が、光反射部と、透光部とを基材側から順に含む態様において、第1露光工程は、基材の液晶層を有する側と反対側から露光する場合には、低酸素雰囲気(酸素濃度1,000ppm以下、すなわち、酸素を含まないか、0ppm超1,000ppm以下の酸素を含む雰囲気)で行ってよく、酸素を含む雰囲気下(大気または1000ppm以上21%未満の酸素を含む雰囲気下)で行われることがより好ましい。酸素によってラジカル重合が阻害されるため、厚み方向における光硬化の制御がより容易となる。
反射層が、透光部と、光反射部とを基材側からに含む場合、第1露光工程は、光反射部の硬化を促進させる観点から、低酸素雰囲気下(好ましくは、酸素濃度1,000ppm以下、すなわち、酸素を含まないか、0ppm超1,000ppm以下の酸素を含む雰囲気)で行われることが好ましく、窒素雰囲気下で行われることがより好ましい。
第1露光工程において、第1光の透過率が互いに異なる複数の領域を有する第1パターニングマスクを介して第1光を照射してよい。これにより、液晶層の複数の領域を異なる露光量で露光することができるため、光反射部の厚さが互いに異なる複数の領域を単一層内に面内方向に形成し、面内方向の反射率を一括して制御することができる。
一方、単一層内に光反射部と透光部とを有しない国際公開第2018/186184号の技術では、面内方向の反射率を制御する場合、塗分けた層を重ねることが必要となる。更に、金属多層膜により面内方向の反射率を制御する場合、面内方向で厚さ及び層数が異なる金属多層膜を面内方向にスパッタリングで形成することが必要であるが、製造工程が複雑となる。
これに対して、本開示に係る加飾フィルムの製造方法では、第1パターニングマスクのパターンを変更することで、面内方向の反射率を容易に制御することができる。
第1パターニングマスクとしては、例えば、第1光の透過率が互いに異なる複数の領域のパターンが形成されたフォトマスクが挙げられる。そのようなフォトマスクとして、例えば、金属膜をエッチングすることによりパターン形成されたフォトマスク、及び各種印刷方法(例えば、レーザープリンタ又はインクジェットプリンターによる印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷)を用いてパターン印刷されたフォトマスクが挙げられる。金属膜をエッチングすることによりパターン形成されたフォトマスクは、例えば、石英基板上に金属クロム膜をスパッタで形成した後、フォトレジストを用いてパターニングすることにより得られる。
第1パターニングマスクを用いて第1光を照射する場合、第1パターニングマスクは、基材の液晶層を有する側とは反対側に配置してよく、基材の液晶層を有する側に配置してよい。
第1パターニングマスクを基材の液晶層を有する側に配置する場合、液晶層に第1パターニングマスクを接触させて第1光を照射してよく、液晶層と第1パターニングマスクとの間に間隙を設けて第1光を照射してもよい。
第1パターニングマスクを基材の液晶層を有する側とは反対側に配置する場合、基材を介して第1光で液晶層を露光するため、透光性の基材を用いることが好ましい。
基材の透光性について、第1光の透過率は特に限定されないが、液晶層をより容易に硬化させる観点から、高い程好ましい。
第1パターニングマスクを用いて第1光を照射する場合、第1パターニングマスクは、1種のみ用いてよく、2種以上用いてもよい。
[第2加熱工程]
第2加熱工程は、第1光の照射後の液晶層を加熱して液晶層の未硬化部を等方相とする工程である。上述のように、コレステリック液晶化合物を加熱すると、コレステリック液晶化合物は等方状態となる。第2加熱工程では、第1露光工程で硬化せずに未硬化である部分を含む液晶層を加熱することにより、未硬化部に含まれるコレステリック液晶化合物を等方状態として、未硬化部をコレステリック液晶化合物が非配向の等方相とする。
第2加熱工程における加熱温度は、コレステリック液晶化合物が等方状態となるように、コレステリック液晶化合物の種類に応じて、適宜調節してよい。第2加熱工程における加熱時間は、加熱温度等に応じて適宜調節してよい。また、加熱手段は特に限定されず、オーブン、ホットプレート等を用いてよい。
[第2露光工程]
第2露光工程は、少なくとも等方相とした未硬化部に第2光を照射して未硬化部を硬化させる工程である。第2加熱工程において等方相となった未硬化部を光硬化させることで、未硬化部が、コレステリック液晶化合物が等方状態で硬化して透光部となる。これにより、光反射部と、光反射部に隣接する透光部とを厚み方向に含む単一層からなる反射層が形成される。
第2露光工程において、未硬化部だけでなく、液晶層全体を露光してよい。これにより、未硬化部を硬化させると共に、第1露光工程で形成した光反射部の硬化を更に促進させることができる。例えば、基材の液晶層を有する側から、第2光を照射してよい。
第2光の種類は特に限定されないが、液晶化合物に含まれ得る成分の反応性を考慮すると、紫外線を用いることが好ましい。紫外線の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。また、液晶組成物の反応性の観点から、第2光の種類は、第1光の種類と同じであることが好ましい。
第2光の波長範囲は特に限定されず、例えば、250nm~400nmの波長範囲の光を用いることができる。波長範囲は、例えば、光学フィルターを用いる方法、2種以上の光学フィルターを用いる方法、又は特定波長の光源を用いる方法により調整することができる。
第2光の露光量は特に限定されず、第2光が紫外線である場合、例えば、5mJ/cm~2,000mJ/cmであってよい。
第2露光工程は、硬化を促進させる観点から、低酸素雰囲気下(好ましくは、酸素濃度1,000ppm以下、すなわち、酸素を含まないか、0ppm超1,000ppm以下の酸素を含む雰囲気)で行われることが好ましく、窒素雰囲気下で行われることがより好ましい。
本開示に係る加飾フィルムの製造方法の好ましい態様において、
基材が透光性であり、
第1露光工程において、基材の液晶層を有する側とは反対側から、第1パターニングマスク及び基材を介して第1光を照射し、
第2露光工程において、基材の液晶層を有する側から、第2光を照射する。
このような態様により、第1光を照射する際、光反射部の硬化を促進させ、かつ、未硬化部を形成することができ、第2光を照射する際、等方相とした未硬化部を硬化させて透光部を形成することができる。
上記の好ましい態様の一例について、図面を参照して説明する。例えば、図3に示すように、基材30と液晶層10pとを有する液晶材料200pを準備し(液晶材料準備工程)、液晶層10pを加熱してコレステリック液晶相とする(第1加熱工程)。
次いで、例えば、図4に示すように、第1光の透過率が高い領域51と、第1光の透過率が低い領域52とを含む第1パターニングマスク50を基材30の一方面(図4の下方の面)に配置し、基材30及び第1パターニングマスク50を介して第1光L1を照射して、液晶層10pの一部を硬化させる(第1露光工程)ことにより、光反射部11を形成する。
次いで、液晶層10pを加熱して液晶層10p中の未硬化部12pを等方相とした(第2加熱工程)後、図5に示すように、基材30の液晶層10pを有する側から、第2光L2を照射して、未硬化部12pを硬化させる(第2露光工程)ことにより、透光部12を形成する。
以上のようにして、例えば、図5に示すように、光反射部11と、光反射部11に隣接する透光部12とを厚み方向に含む単一層からなる反射層10を含む加飾フィルム200を製造することができる。図5に例示される加飾フィルム200において、反射層10は、光反射部11と、透光部12とを基材30側から順に含んでいる。
[第3露光工程]
本開示に係る加飾フィルムの製造方法は、光異性化キラル化合物を含む液晶層を用い、かつ、第1加熱工程と、第1露光工程との間に、コレステリック液晶相とした液晶層に第3光を照射して光異性化キラル化合物を光異性化させる工程(以下、「第3露光工程」と呼ぶことがある)を含んでよい。
第3露光工程において、第3光で光異性化キラル化合物を光異性化させることにより、選択反射波長を変化させて、別系統の色を得ることができる。
第3光の種類は特に限定されないが、光異性化キラル化合物をより容易に光異性化させる観点から、紫外線を用いることが好ましい。紫外線の光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、及び発光ダイオード(LED)が挙げられる。
第3光の波長範囲は特に限定されず、光異性化キラル化合物の種類、狙いの選択反射波長、光異性化率等を考慮して、適宜調節してよい。例えば、第3光が紫外線である場合、400nm以下が好ましく、380nm以下がより好ましく、300nm~380nmが更に好ましい。波長範囲は、例えば、光学フィルターを用いる方法、2種以上の光学フィルターを用いる方法、又は特定波長の光源を用いる方法により調整することができる。
第1光の種類及び第3光の種類が同じである場合、例えば、第1光及び第3光が紫外線である場合、光異性化キラル化合物を光異性化させる第3光の波長範囲は、液晶組成物を光硬化させる第1光の波長範囲と異なることが好ましい。これにより、第3光による液晶組成物の光硬化を抑制して、光異性化キラル化合物をより容易に光異性化することができるため、選択反射波長の調節がより容易となる。
第3光の露光量は特に限定されず、光異性化キラル化合物の種類、狙いの選択反射波長、光異性化率等を考慮して、適宜調節してよい。第3光が紫外線である場合、例えば、0.1mJ/cm~2000mJ/cmであってよい。
第3露光工程において、第3光の透過率が互いに異なる複数の領域を有する第2パターニングマスクを介して第3光を照射してよい。これにより、液晶層の複数の領域を異なる露光量で露光することができるため、選択反射波長が互いに異なる複数の領域を単一層内に面内方向に形成し、面内方向の選択反射波長を一括して制御することができる。
一方、単一層内に光反射部と透光部とを有しない国際公開第2018/186184号の技術では、面内方向の選択反射波長を制御する場合、塗分けた層を重ねることが必要となる。更に、金属多層膜により面内方向の選択反射波長を制御する場合、面内方向で厚さ及び層数が異なる金属多層膜を面内方向にスパッタリングで形成することが必要であるが、製造工程が複雑となる。
これに対して、本開示に係る加飾フィルムの製造方法では、第2パターニングマスクのパターンを変更することで、面内方向の選択反射波長を容易に制御することができる。
第2パターニングマスクとしては、例えば、第3光の透過率が互いに異なる複数の領域のパターンが形成されたフォトマスクが挙げられる。そのようなフォトマスクとして、例えば、金属膜をエッチングすることによりパターン形成されたフォトマスク、及び各種印刷方法(例えば、レーザープリンタ又はインクジェットプリンターによる印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷)を用いてパターン印刷されたフォトマスクが挙げられる。金属膜をエッチングすることによりパターン形成されたフォトマスクは、例えば、石英基板上に金属クロム膜をスパッタで形成した後、フォトレジストを用いてパターニングすることにより得られる。
第2パターニングマスクを用いて第3光を照射する場合、第2パターニングマスクは、基材の液晶層を有する側とは反対側に配置してよく、基材の液晶層を有する側に配置してよい。
第2パターニングマスクを基材の液晶層を有する側に配置する場合、液晶層に第2パターニングマスクを接触させて第3光を照射してよく、液晶層と第2パターニングマスクとの間に間隙を設けて第3光を照射してもよい。
第2パターニングマスクを基材の液晶層を有する側とは反対側に配置する場合、基材を介して第2光で液晶層を露光するため、透光性の基材を用いることが好ましい。
基材の透光性について、第2光の透過率は特に限定されないが、光異性化キラル化合物をより容易に光異性化させる観点から、高い程好ましい。
第2パターニングマスクを用いて第3光を照射する場合、第2パターニングマスクは、1種のみ用いてよく、2種以上用いてもよい。
本開示に係る加飾フィルムの製造方法が第3露光工程を含む場合の好ましい態様において、
基材が透光性であり、
第3露光工程において、基材の液晶層を有する側とは反対側から、第2パターニングマスク及び基材を介して第3光を照射し、
第1露光工程において、基材の液晶層を有する側とは反対側から、第1パターニングマスク及び基材を介して第1光を照射し、
第2露光工程において、基材の液晶層を有する側から、第2光を照射する。
このような態様により、第3光の照射によりキラル剤を異性化させて螺旋ピッチを変化させることができる。更に、第1光を照射する際、光反射部の硬化を促進させ、かつ、未硬化部を形成することができ、第2光を照射する際、等方相とした未硬化部を硬化させて透光部を形成することができる。
上記の好ましい態様の一例について、図面を参照して説明する。例えば、図3に示すように、基材30と液晶層10pとを有する液晶材料200pを準備し(液晶材料準備工程)、液晶層10pを加熱してコレステリック液晶相とする(第1加熱工程)。
次いで、例えば、図6に示すように、第3光の透過率が高い領域71と、第3光の透過率が低い領域72とを含む第2パターニングマスク70を基材30の一方面(図6の下方の面)に配置し、基材30及び第2パターニングマスク70を介して第3光L3を照射して(第3露光工程)、光異性化キラル化合物の光異性化率が互いに異なる領域101p及び領域102pを形成する。
次いで、例えば、図7に示すように、第1光の透過率が高い領域51と、第1光の透過率が低い領域52とを含む第1パターニングマスク50を基材30の一方面(図7の下方の面)に配置し、基材30及び第1パターニングマスク50を介して第1光L1を照射して、液晶層10pの一部を硬化させる(第1露光工程)ことにより、選択反射波長が互いに異なる光反射部111及び光反射部112を形成する。
次いで、液晶層10pを加熱して液晶層10p中の未硬化部121p及び未硬化部122pを等方相とした(第2加熱工程)後、図8に示すように、基材30の液晶層10pを有する側から、第2光L2を照射して、未硬化部121p及び未硬化部122pを硬化させる(第2露光工程)ことにより、透光部121及び透光部122を形成する。
以上のようにして、例えば、図8に示すように、選択反射波長が互いに異なる光反射部111及び光反射部112と、光反射部111に隣接する透光部121及び光反射部112に隣接する透光部122とを厚み方向に含む単一層からなる反射層10を含む加飾フィルム200Aを製造することができる。図8に例示される加飾フィルム200Aにおいて、反射層10は、光反射部111及び光反射部112と、透光部121及び透光部122とを基材30側から順に含んでいる。
[その他の工程]
本開示に係る加飾フィルムの製造方法は、必要に応じて、上記工程以外の他工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、基材を含む態様で製造した加飾フィルムから基材を剥離する工程が挙げられ、基材を含まない態様の加飾フィルムを製造することができる。
また、その他の工程としては、着色層形成工程、配向層形成工程、及びその他の層の形成工程が挙げられる。着色層及び配向層の詳細及び形成方法は上述の通りである。また、その他の層の詳細は上述の通りであり、その他の層の形成方法として、公知の方法を用いてよい。
<成型体、物品、電子デバイス>
本開示に係る加飾フィルムは、種々の用途に用いることができ、例えば、加飾フィルムを成型して成型体として用いることができる。このような成型体は、様々な物品に備えることができ、そのような物品として、例えば、スマートフォン、携帯電話、及びタブレット等の電子デバイス、自動車、電化製品、包装容器等が挙げられ、とりわけ、電子デバイスに好適に用いることができる。
加飾フィルムを成型して成型体を得るための手段は特に限定されず、例えば、立体成型、インサート成型等の公知の方法であってよい。また、加飾フィルムを物品に適用するための手段も特に限定されず、物品の種類に応じて、公知の方法を適宜用いてよい。
以下、実施例を挙げて本開示をより具体的に説明する。但し、本開示は、これらの実施例に限定されない。
<実施例1>
[基材の準備]
基材として、紫外線透過性を有するテクノロイC000(厚み100μm、ポリカーボネート樹脂単層シート、住化アクリル販売社製)を幅手方向210mm、長手方向300mmに裁断したものを準備した。
[配向層の形成]
下記に記載の組成を有する配向層形成用塗布液を調製した。
-配向層形成用塗布液の組成-
・下記に示す構造の変性ポリビニルアルコール…10.00質量部
・水…55.00質量部
・メタノール…35.00質量部
変性ポリビニルアルコールの構造を以下に示す。各構成単位の右下の数字はモル比を表す。
配向層形成用塗布液をワイヤーバー(番手#10)で基材に塗布し、100℃にて2分乾燥させることにより、液晶層を形成した。次いで、形成した液晶層に、基材の短辺方向を基準に反時計回りに3°回転させた方向にラビング処理(レーヨン布、圧力0.1kgf、回転数1,000rpm、搬送速度10m/min、回数1回)を施した。これにより、基材上に配向層を形成した。
[第1パターニングマスクの作製]
下記成分の混合物を分散機モーターミルM50(アイガー社製)に入れて、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで8時間分散することにより、ブラックミルベースKを作製した。
・SPECIAL BLACK 250(BASFジャパン社製)…30質量部
・2-フェノキシエチルアクリレート(商品名EBECRYL114、ダイセル・サイテック社製)…50質量部
・SOLSPERSE 32000(日本ルーブリゾール社製)…20質量部
得られたブラックミルベースKを用いて、下記成分の混合物を高速撹拌することでマスク印刷用インクを調製した。
・ブラックミルベースK…9質量部
・N-ビニルカプロラクタム(BASF社製)…25質量部
・イソボルニルアクリレート(商品名:SR506、Sartomer社製)…23.5質量部
・2-フェノキシエチルアクリレート(商品名:BECRYL114、ダイセル・サイテック社製)…27質量部
・CN9031:ウレタンアクリレートオリゴマー(Sartomer社製)…4質量部
・2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(商品名:Omnirad TPO H、IGM Resins B.V.社製)…5質量部
・ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、(商品名:Omnirad819、IGM Resins B.V.社製)…5質量部
・イソプロピルチオキサントン(シェルケミカルズジャパン社製)…1質量部
・4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニルオキシ(ADEKA社製)…0.3質量部
・トリス(N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミン)アルミニウム塩(商品名:FLORSTAB UV12、Kromachem社製)…0.2質量部
基材(テクノロイC000、厚み100μm、住化アクリル販売株式会社製、A4サイズ)の中央部に、インクジェットプリンター(DMP-2831、富士フイルム株式会社製)を用い、マスク印刷用インクにより、図9に示すマスクパターン(領域51:グレースケール100%設定、領域52:グレースケール50%設定)をグレースケールで印刷した。グレースケール100%設定で印刷した領域51にはマスク印刷用インクが塗布されないため、領域51は、マスク印刷用インクに由来する紫外線の吸収がない。そのため、紫外線の透過率は、領域51の方が領域52より高い。
次いで、マスクパターンを印刷した面側から、メタルハライドランプ(MAL625NAL、GSユアサ社製)を用いて300mJ/cmの露光量で紫外線を照射してマスク印刷用インクを硬化した。これにより、紫外線の透過率が互いに異なる領域51と領域52とを有する第1パターニングマスク50(152mm×80mm)を作製した。
[反射層の形成]
下記に記載の組成を有する液晶組成物を調製した。
-液晶組成物の組成-
・液晶化合物1:下記に示す構造を有する化合物…17.67質量部
・液晶化合物2:下記に示す構造を有する化合物…5.88質量部
・液晶化合物3:下記に示す構造を有する化合物…5.88質量部
・重合性キラル化合物:下記に示す構造を有する化合物(製品名「パリオカラー LC756」、BASF社製)…0.74質量部
・光異性化キラル化合物:下記に示す構造を有する化合物…2.06質量部
・架橋剤:ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート(製品名「NKエステルA-DCP」、新中村化学工業社製)…0.88質量部
・光重合開始剤:2-メチル-1-(4-(メチルチオ)フェニル)-2-モルホリノプロパン-1-オン(製品名「Omnirad907」、IGM Resins B.V.社製)…0.29質量部
・界面活性剤1:下記に示す構造を有する化合物…0.09質量部
・界面活性剤2:下記に示す構造を有する化合物…0.01質量部
・有機溶剤1:メチルエチルケトン…46.55質量部
・有機溶剤2:シクロヘキサノン…19.95質量部
以下、液晶化合物1、液晶化合物2、液晶化合物3、重合性キラル化合物、光異性化キラル化合物、界面活性剤1及び界面活性剤2の構造を示す。
(液晶化合物1)
(液晶化合物2)
(液晶化合物3)
(重合性キラル化合物)
(光異性化キラル化合物)
(界面活性剤1)
(界面活性剤2)
次に、配向層上に、ワイヤーバー(番手#8)を用いて液晶組成物を塗布した後、80℃で2分間乾燥処理を行うことにより、基材と液晶層とを有する液晶材料を準備した。
液晶材料を40℃の温度に保ったボックス内に入れ、基材の液晶層を有する側とは反対側に第1パターニングマスクを密着させた。UV(Ultra Violet)-LED(CCS社製)を用いて、基材と第1パターニングマスクとを介して300mJ/cmの露光量で波長285nmの紫外線(第1光)を照射し、光反射部を形成した。その後、第1パターニングマスクを取り外し、120℃のホットプレート上で液晶層を加熱し、低酸素雰囲気下(酸素濃度1,000ppm以下)にて、基材の液晶層を有する側からUV-LED(CCS社製)を用いて300mJ/cmの露光量で波長285nmの紫外線(第2光)を照射して液晶層を硬化させて反射層を形成した。このようにして、図10及び図11(図10のA-A断面)に示す実施例1の加飾フィルム200Bを作製した。図11に示すように、加飾フィルム200Bは、光反射部11と、光反射部11に隣接する透光部12とを厚み方向に含む単一層からなる反射層10を有しており、反射層10は、光反射部11と、透光部12とを基材30側から順に含んでいた。また、反射層10は、複数の領域(a4、a5)を面内方向に含んでいた。
<実施例2>
[第1パターニングマスクの作製]
実施例1と同様にして、図9に示す第1パターニングマスクを準備した。
[第2パターニングマスクの作製]
基材(テクノロイC000、厚み100μm、住化アクリル販売株式会社製、A4サイズ)の中央部に、インクジェットプリンター(DMP-2831、富士フイルム株式会社製)を用い、第1パターニングマスクの作製に用いたマスク印刷用インクにより、図12に示すマスクパターン(領域71:グレースケール100%設定、領域72及び領域73:グレースケール0%設定)をグレースケールで印刷した。グレースケール100%設定で印刷した領域71にはマスク印刷用インクが塗布されないため、領域71は、マスク印刷用インクに由来する紫外線の吸収がない。そのため、紫外線の透過率は、領域71の方が領域72及び領域73より高い。
次いで、マスクパターンを印刷した面側から、メタルハライドランプ(MAL625NAL、GSユアサ社製)を用いて300mJ/cmの露光量で紫外線を照射してマスク印刷用インクを硬化した。これにより、紫外線の透過率が互いに異なる領域71と領域72及び領域73とを有する第2パターニングマスク70(152mm×80mm、領域71幅:30mm、領域72幅:20mm、領域73幅:30mm)を作製した。
[反射層の形成]
実施例1と同様にして、基材と液晶層とを有する液晶材料を準備した。
液晶材料を40℃の温度に保ったボックス内に入れ、基材の液晶層を有する側とは反対側に第2パターニングマスクを密着させた。UV-LED(CCS社製)を用いて、基材と第2パターニングマスクとを介して1.8mJ/cmの露光量で波長365nmの紫外線(第3光)を照射し、光異性化キラル化合物の光異性化を行った。第2パターニングマスクを取り外した後、実施例1と同様の条件で、基材と第1パターニングマスクとを介した紫外線(第1光)の照射、次いで紫外線(第2光)の照射を行い、反射層を形成した。このようにして、図13及び図14(図13のB-B断面)に示す実施例2の加飾フィルム200Cを作製した。図14に示すように、加飾フィルム200Cは、光反射部111及び光反射部112と、光反射部112に隣接する透光部122及び光反射部111に隣接する透光部121とを厚み方向に含む単一層からなる反射層10を有しており、反射層10は、光反射部111及び光反射部112と、透光部121及び透光部122とを基材30側から順に含んでいた。また、反射層10は、複数の領域(a6~a11)を面内方向に含んでいた。
<実施例3>
[第1パターニングマスクの作製]
実施例1と同様にして、図9に示す第1パターニングマスクを準備した。
[反射層の形成]
実施例1と同様にして、基材と液晶層とを有する液晶材料を準備した。
液晶材料を40℃の温度に保ったボックス内に入れ、基材の液晶層を有する側に、液晶層と第1パターニングマスクとの間に間隙を設けて、第1パターニングマスクを配置した。ボックス内を低酸素雰囲気下(酸素濃度1,000ppm以下)にした後、UV-LED(CCS社製)を用いて、第1パターニングマスクを介して5mJ/cmの露光量で波長285nmの紫外線(第1光)を照射し、光反射部を形成した。その後、実施例1と同様の条件で、紫外線(第2光)の照射を行い、反射層を形成した。このようにして、図15及び図16(図15のC-C断面)に示す実施例3の加飾フィルム200Dを作製した。図16に示すように、加飾フィルム200Dは、光反射部11と、光反射部11に隣接する透光部12とを厚み方向に含む単一層からなる反射層10を有しており、反射層10は、透光部12と、光反射部11とを基材30側から順に含んでいた。また、反射層10は、複数の領域(a12、a13)を面内方向に含んでいた。
<加飾フィルムの特性評価>
実施例1~実施例3の加飾フィルムについて、以下の要領で、選択反射波長、最大反射率、光反射部の厚さ、透光部の厚さ、及び螺旋ピッチを測定した。
[選択反射波長、最大反射率]
加飾フィルムについて、基材の反射層を有する側とは反対の面に、黒PET(polyethylene terephthalate)(商品名「くっきりミエール」、株式会社巴川製紙所社製)を貼り合わせ、反射層が形成されている面を入射面として、反射スペクトルを測定した。反射率は、積分球装置を備えた分光光度計で測定される積分反射率であり、日本分光社製の分光光度計「V-670」、及び同社製の大型積分球装置「ILV-471」を用いて測定した。
また、得られた反射スペクトルを用いて、反射率の極大値、かつ、最大値をRmax(%)とし、下記の式で表される半値反射率R1/2(%)を示す2つの波長の平均値を選択反射波長とした。
半値反射率を求める式:R1/2=Rmax÷2
反射層は選択反射性を有しており、反射層中に選択反射性を有する光反射部が形成されていることが確認された。
[光反射部の厚さ、透光部の厚さ、螺旋ピッチ]
加飾フィルムから、ローラーカッターを用いて幅5mm×長さ2mmのサンプル片を切り出した。サンプル片をエポキシ樹脂で包埋し、ミクロト-ム(製品名「RM2265」、Leica社製)を用いて、反射層の厚み方向に向かって切断した。走査型電子顕微鏡(型式「S-5500」、日立ハイテクノロジーズ社製、観察倍率:10000倍、加速電圧:2.0kV)を用いて、サンプル断面のSEM画像を観察した。
明部と暗部との縞模様が観察された部分を光反射部と判定し、それ以外の部分を透光部と判定して、光反射部の厚さ、及び透光部の厚さを測定した。SEM観察により、加飾フィルムが、光反射部と、光反射部に隣接する透光部とが、厚み方向に含む単一層からなる反射層を有することが確認された。
また、明部と暗部との繰り返し2周期分をコレステリック液晶化合物の捩れの360度に対応すると判定し、これらの2つの明部と2つの暗部との幅を螺旋ピッチとして測定した。
以上の評価結果を表1に示す。また、目視で色の評価を行った結果を表2に示す。
実施例1~実施例3の加飾フィルムは、表1に示すように、任意の反射率に制御することができた。これにより、表2に示すように、加飾フィルムの色を容易に変化させることができた。
実施例1の加飾フィルムでは、選択反射波長を460nm(青色)として、最大反射率を23%(暗青色)から48%(明青色)の間で制御することで、同系統の青色で明暗を調節することができた。実施例3の加飾フィルムでも同様に、ほぼ一定の選択反射波長において、青色の明暗を調節することができた。
また、実施例2の加飾フィルムでは、領域a7及び領域a10において光異性化キラル化合物を光異性化させることにより、選択反射波長を460nm(青色)から552nm(緑色)に変更することで、別系統の色である緑色を得ることができた。更に、実施例2の加飾フィルムでは最大反射率の制御も行われており、その結果、青色及び緑色という別系統の色の変化に加えて、暗青色から明青色、及び暗緑色から明緑色という同系統の色で明暗をつけることができ、複雑な意匠を得ることができた。
<実施例4>
[成型体]
実施例1の加飾フィルムを用いて、以下のようにして成型体を作製した。
加飾フィルムの反射層上に、日本ペイント社製の「naxレアル スーパーブラック塗料」を、ワイヤーバー(番手#20)を用いて塗布し、100℃にて2分乾燥させることにより、厚さ10μmの着色層を形成した。
粘着層の両面に保護フィルムを有する粘着シート(G25、厚さ25μm、日榮新化社製)の片面の保護フィルムを剥離した後、加飾フィルムの着色層に粘着シートを張り付けてラミネート(温度:30℃、線圧100N/cm、搬送速度0.1m/分)した。これにより、保護フィルム、粘着層、着色層、反射層、及び基材をこの順に有する加飾フィルム(以下、「成型用加飾フィルム」と呼ぶことがある)を得た。
電子デバイスであるスマートフォン筐体パネルを想定し、図17及び図18(図17の断面)に示すガラス部材(l:152mm、l:82mm、l:20mm)を用いて、立体成型により成型体を作製した。
具体的には、成型用加飾フィルムから保護フィルムを剥離後、図17に示すガラス部材に成型用加飾フィルムを張り付け、布施真空社製のTOM(Three dimension Overlay Method)成型機「NGF0406」を用いて加熱温度170℃にて真空成型し、成型体を形成した。このようにして、実施例1の加飾フィルムに由来する青色の明暗がついた意匠を有する成型体を得ることができた。この成型体は、電子デバイスであるスマートフォンに好ましく用いることができる。
2020年9月23日に出願された日本国特許出願2020-158958号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記載された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。

Claims (15)

  1. 波長選択反射性を有する光反射部と、前記光反射部に隣接する透光部と、を厚み方向に含む単一層からなる反射層を含み、
    前記反射層が、前記光反射部の厚さが互いに異なる複数の領域を面内方向に含み、
    前記複数の領域は、最大反射率が10%以上異なり、
    前記反射層が、コレステリック液晶化合物を含む液晶層の硬化物であり、
    前記光反射部が、コレステリック配向部であり、
    前記透光部が、等方部である、加飾フィルム。
  2. 前記反射層が、選択反射波長が互いに異なる複数の領域を面内方向に含む請求項1に記載の加飾フィルム。
  3. 前記選択反射波長が互いに異なる複数の領域は、選択反射波長が15nm以上異なる請求項に記載の加飾フィルム。
  4. 前記反射層の選択反射波長が、350nm~1200nmである請求項1~請求項のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
  5. 前記反射層が、前記コレステリック液晶化合物の螺旋ピッチが10nm以上異なる複数の前記光反射部を面内方向に含む請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
  6. 前記液晶層が、光異性化キラル化合物を含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
  7. 基材を含む請求項1~請求項のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
  8. 着色層を含む請求項1~請求項のいずれか1項に記載の加飾フィルム。
  9. 基材と、コレステリック液晶化合物を含む光硬化性の液晶層とを有する液晶材料を準備する工程と、
    前記液晶層を加熱してコレステリック液晶相とする工程と、
    前記コレステリック液晶相とした液晶層に第1光を照射して前記液晶層の一部を硬化させる工程と、
    前記第1光の照射後の液晶層を加熱して前記液晶層の未硬化部を等方相とする工程と、
    少なくとも前記等方相とした未硬化部に第2光を照射して前記未硬化部を硬化させる工程と、を含み、
    前記基材が透光性であり、
    前記液晶層の一部を硬化させる工程において、前記基材の前記液晶層を有する側とは反対側から、前記第1光の透過率が互いに異なる複数の領域を有する第1パターニングマスク及び前記基材を介して前記第1光を照射し、
    前記未硬化部を硬化させる工程において、前記基材の前記液晶層を有する側から、前記第2光を照射する、
    飾フィルムの製造方法。
  10. 前記液晶層が、光異性化キラル化合物を含み、
    前記液晶材料を準備する工程と、前記液晶層の一部を硬化させる工程との間に、前記コレステリック液晶相とした液晶層に第3光を照射して前記光異性化キラル化合物を光異性化させる工程を含む、
    請求項に記載の加飾フィルムの製造方法。
  11. 前記光異性化キラル化合物を光異性化させる工程において、前記第3光の透過率が互いに異なる複数の領域を有する第2パターニングマスクを介して前記第3光を照射する請求項10に記載の加飾フィルムの製造方法。
  12. 前記液晶層が、光ラジカル重合開始剤を含み、
    前記コレステリック液晶化合物が、ラジカル重合性基を有するコレステリック液晶化合物を含む、
    請求項~請求項11のいずれか1項に記載の加飾フィルムの製造方法。
  13. 請求項1~請求項のいずれか1項に記載の加飾フィルムを成型してなる成型体。
  14. 請求項13に記載の成型体を備えた物品。
  15. 電子デバイスである請求項14に記載の物品。
JP2022551140A 2020-09-23 2021-06-01 加飾フィルム及びその製造方法、成型体並びに物品 Active JP7483026B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020158958 2020-09-23
JP2020158958 2020-09-23
PCT/JP2021/020827 WO2022064776A1 (ja) 2020-09-23 2021-06-01 加飾フィルム及びその製造方法、成型体並びに物品

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2022064776A1 JPWO2022064776A1 (ja) 2022-03-31
JP7483026B2 true JP7483026B2 (ja) 2024-05-14

Family

ID=80846330

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022551140A Active JP7483026B2 (ja) 2020-09-23 2021-06-01 加飾フィルム及びその製造方法、成型体並びに物品

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP7483026B2 (ja)
WO (1) WO2022064776A1 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004133179A (ja) 2002-10-10 2004-04-30 Dainippon Printing Co Ltd 偏光素子およびその製造方法
JP2017205987A (ja) 2016-05-20 2017-11-24 富士フイルム株式会社 加飾シートおよび物品
WO2018212070A1 (ja) 2017-05-19 2018-11-22 富士フイルム株式会社 バックライトユニットおよび液晶表示装置
WO2018230395A1 (ja) 2017-06-13 2018-12-20 富士フイルム株式会社 液晶フィルムの製造方法および機能性フィルムの製造方法
WO2019009252A1 (ja) 2017-07-04 2019-01-10 富士フイルム株式会社 ハーフミラー
WO2020122245A1 (ja) 2018-12-14 2020-06-18 富士フイルム株式会社 成型用加飾フィルムの製造方法、成型方法、成型用加飾フィルム、成型物、自動車外装板、及び電子デバイス

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004133179A (ja) 2002-10-10 2004-04-30 Dainippon Printing Co Ltd 偏光素子およびその製造方法
JP2017205987A (ja) 2016-05-20 2017-11-24 富士フイルム株式会社 加飾シートおよび物品
WO2018212070A1 (ja) 2017-05-19 2018-11-22 富士フイルム株式会社 バックライトユニットおよび液晶表示装置
WO2018230395A1 (ja) 2017-06-13 2018-12-20 富士フイルム株式会社 液晶フィルムの製造方法および機能性フィルムの製造方法
WO2019009252A1 (ja) 2017-07-04 2019-01-10 富士フイルム株式会社 ハーフミラー
WO2020122245A1 (ja) 2018-12-14 2020-06-18 富士フイルム株式会社 成型用加飾フィルムの製造方法、成型方法、成型用加飾フィルム、成型物、自動車外装板、及び電子デバイス

Also Published As

Publication number Publication date
WO2022064776A1 (ja) 2022-03-31
JPWO2022064776A1 (ja) 2022-03-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7177273B2 (ja) 加飾成型体、加飾成型体の製造方法、加飾パネル、及び、電子デバイス
JPWO2020004155A1 (ja) 識別媒体、真正性判定方法、及び物品
US11650470B2 (en) Decorative film, molded product, and electronic device
JP7262587B2 (ja) 加飾フィルム、加飾パネル、及び、加飾パネルの製造方法、並びに、電子デバイス、ウエアラブルデバイス、及び、スマートフォン
WO2020262474A1 (ja) 成型用加飾フィルム、成型物、及びディスプレイ
JP7483026B2 (ja) 加飾フィルム及びその製造方法、成型体並びに物品
WO2022009508A1 (ja) 液晶膜、液晶膜の製造方法、加飾フィルム、及び電子デバイスの筐体パネル
US20230158771A1 (en) Decorative film, decorative molded article, decorative panel, and electronic device
WO2022059292A1 (ja) 加飾フィルム、加飾フィルムの製造方法、成型物、電子デバイス及び自動車外装板
WO2023032644A1 (ja) 加飾フィルム、成型体、及び、物品
JP2023034129A (ja) 加飾フィルム及びその製造方法、成型体、及び、物品
WO2023176857A1 (ja) 積層体、加飾フィルム、物品、加飾パネル、及び、表示装置
WO2022196327A1 (ja) 加飾用材料、加飾用パネル、電子デバイス及び加飾用材料の製造方法
JP2023048791A (ja) 加飾フィルム、成型体、加飾パネル、及び、表示装置
WO2023190789A1 (ja) 加飾フィルム及びその製造方法、積層体及びその製造方法、加飾フィルム製造用光学マスク付き基材、成型体、物品、並びに、表示装置
US20230203377A1 (en) Decorative film, decorative molded article, decorative panel, and electronic device
JP7309919B2 (ja) 積層体及びその製造方法、成型物及びその製造方法、電子デバイスの筐体パネル、並びに電子デバイス
JP2023129105A (ja) 加飾フィルム及びその製造方法、成型体、物品、並びに、表示装置
WO2024071343A1 (ja) 組成物、液晶膜、フィルム、表示装置、及び、分散剤
WO2024053437A1 (ja) 表示装置
JP2022054887A (ja) 成型体の製造方法、加飾用フィルム、装飾体、電子機器及び自動車用部品
JP2023020959A (ja) 加飾シート、成型体、加飾パネル、電子デバイス及び加飾シートの製造方法
JP2024063727A (ja) 窓用フィルム、窓、車載窓、モビリティ
WO2023026671A1 (ja) 加飾用材料、加飾用材料の製造方法、成型物、加飾用パネル及び電子デバイス
WO2022190936A1 (ja) 重合性組成物及び加飾用フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221202

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240123

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240321

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240409

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240430

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7483026

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150