JP2023020959A - 加飾シート、成型体、加飾パネル、電子デバイス及び加飾シートの製造方法 - Google Patents

加飾シート、成型体、加飾パネル、電子デバイス及び加飾シートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】面内で色相パターンが滑らかでムラのない視認性を有する加飾シートの提供。【解決手段】コレステリック液晶層と、偏光解消能を有する層と、を含む加飾シート、コレステリック液晶層と、上記コレステリック液晶層に接触した透光性層と、を含み、上記コレステリック液晶層が、少なくとも面内の一部の領域に可視光域の選択反射ピークを有し、かつ、上記選択反射ピークの波長が面内で連続的に変化し、上記コレステリック液晶層と上記透光性層の屈折率の差が±0.2以内である、加飾シート及びその製造方法、上記加飾フィルムを成型してなる成型体、上記加飾フィルム又はその成型体を備えた加飾パネル、並びに、上記加飾パネルを備えた電子デバイス。【選択図】図1

Description

本開示は、加飾シート、成型体、加飾パネル、電子デバイス及び加飾シートの製造方法に関する。
コレステリック液晶相は、複数の液晶化合物がらせん状に並ぶことによって形成されることが知られている。コレステリック液晶相を含む層(以下、「コレステリック液晶層」という。)は、コレステリック液晶相の光学的な特性を活かして種々の用途に適用される。例えば、加飾シートに関する技術として、次のような技術が知られている。
例えば、特許文献1は、基材、中間層、及びコレステリック樹脂層をこの順に備えるコレステリック樹脂積層体を開示している。
例えば、特許文献2は、基材上に、コレステリック液晶化合物及び光異性化化合物を含む液晶層を硬化してなるコレステリック液晶層を有し、コレステリック液晶層において、光異性化性化合物の光異性化割合が互いに異なる複数の領域を有する、成型用加飾フィルムを開示している。
例えば、特許文献3は、パターン化されたコレステリック液晶反射層を有する加飾シートを開示している。加飾面内でパターン化された意匠は選択反射色による光輝性に色相の変化が加わり、より付加価値のある意匠を提供することができる。
国際公開第2017/018468号 国際公開第2020/122245号 特開2017-205988号公報
特許文献1又は2に記載されているようなコレステリック液晶層を有する積層体、及び、特許文献3に記載されているようなパターン化されたコレステリック液晶反射層を有する加飾シートは選択反射波長の変化に起因したムラ(以下、「縞状ムラ」ともいう。)が視認されることがあり、特にシート法線から斜め方向から観察する際に見えることがある。特に、縞状ムラは、面内で選択反射波長が徐々に変化する、すなわち色相のグラデーションがある意匠で視認されやすく、滑らかな色相変化を意図した意匠の品位が落ちる懸念がある。
本開示の一実施形態は、面内で色相パターンが滑らかでムラのない視認性を有する加飾シート及びその製造方法を提供することを目的とする。
本開示の他の一実施形態は、上記加飾シートを成型してなる成型体、上記加飾シート又はその成型体を備えた加飾パネル、及び、上記加飾パネルを備えた電子デバイスを提供することを目的とする。
本開示は、以下の態様を包含する。
<1> コレステリック液晶層と、偏光解消能を有する層と、を含む加飾シート。
<2> 上記偏光解消能を有する層が、光学異方性を有する光学異方性層、又は、光散乱性を有する光散乱性層である,<1>に記載の加飾シート。
<3> 上記偏光解消能を有する層が、上記光学異方性層であり、上記光学異方性層が、ヘイズ値が2%以下で、かつ下記式1及び式3で表されるReの値、又は、下記式2及び式4で表されるRthの値の少なくとも一つに当てはまる複屈折値を有する光学異方性層である、<2>に記載の加飾シート。
Re=(nx-ny)×d …式1
Rth={(nx+ny)/2-nz}×d …式2
3,000≦Re<50,000 …式3
1,000≦Rth<20,000 …式4
式1及び式2中、nxは光学異方性層の面内での屈折率が最大となる方向の屈折率を表し、nyは光学異方性層の面内での屈折率が最大となる方向に直交する方向の屈折率を表し、nx>nyであり、nzは光学異方性層の厚さ方向の屈折率を表し、dは光学異方性層の厚さ(μm)を表す。
<4> 上記偏光解消能を有する層が、上記光散乱性層であり、上記光散乱性層が、ヘイズ値が2%を超える光散乱性層である、<2>に記載の加飾シート。
<5> 上記光散乱性層が、表面に平均高さ1μm~10μmの凹凸形状を有する、<4>に記載の加飾シート。
<6> 上記偏光解消能を有する層が、上記コレステリック液晶層よりも視認側に配置される、<1>~<5>のいずれか1つに記載の加飾シート。
<7> 上記コレステリック液晶層が、少なくとも面内の一部の領域に可視光域の選択反射ピークを有し、かつ、上記選択反射ピークの波長が面内で連続的に変化する、<1>~<6>のいずれか1つに記載の加飾シート。
<8> コレステリック液晶層と、上記コレステリック液晶層に接触した透光性層と、を含み、上記コレステリック液晶層が、少なくとも面内の一部の領域に可視光域の選択反射ピークを有し、かつ、上記選択反射ピークの波長が面内で連続的に変化し、上記コレステリック液晶層の屈折率と上記透光性層の屈折率との差が、±0.2以内である、加飾シート。
<9> 面内で異なる選択反射波長を有する液晶化合物を含む層を形成する工程、及び、上記液晶化合物を含む層の配向を固定化させ上記コレステリック液晶層を形成する工程を含む、<1>~<8>のいずれか1つに記載の加飾シートの製造方法。
<10> <1>~<8>のいずれか1つに記載の加飾シートを成型してなる成型体。
<11> <1>~<8>のいずれか1つに記載の加飾シート、又は、<9>に記載の成型体を備えた加飾パネル。
<12> <10>に記載の加飾パネルを備えた電子デバイス。
本開示の一実施形態によれば、面内で色相パターンが滑らかでムラのない視認性を有する加飾シート及びその製造方法が提供される。
本開示の他の一実施形態によれば、上記加飾シートを成型してなる成型体、上記加飾シート又はその成型体を備えた加飾パネル、及び、上記加飾パネルを備えた電子デバイスが提供される。
図1は、光異性化に使用されるパターニング用のマスクの一例を示す概略平面図である。 図2は、光異性化に使用されるパターニング用のマスクの他の一例を示す概略平面図である。 図3は、光異性化に使用されるパターニング用のマスクの更に他の一例を示す概略平面図である。 図4は、光異性化に使用されるパターニング用のマスクの更に他の一例を示す概略平面図である。
以下、本開示の実施形態について詳細に説明する。本開示は、以下の実施形態に何ら制限されない。以下の実施形態は、本開示の目的の範囲内において適宜変更されてもよい。
本開示において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を示す。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「工程」との用語には、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
本開示において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを包含する。
本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを包含する。
本開示において「固形分」とは、溶剤以外の成分を意味する。溶剤に該当しない液状成分は、固形分としてみなされる。
本開示において、「置換」又は「無置換」との用語が付記されてない基(原子団)は、置換基を有する基及び置換基を有しない基を包含する。例えば、「アルキル基」は、置換基を有するアルキル基及び置換基を有しないアルキル基を包含する。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー株式会社製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示における透過率は、特に断りのない限り、分光光度計(例えば、株式会社島津製作所製、分光光度計UV-3100PC)を用いて測定される。
〔加飾シート〕
本開示に係る加飾シートの第一の実施態様は、コレステリック液晶層と、偏光解消能を有する層と、を含む。
本開示に係る加飾シートの第二の実施態様は、コレステリック液晶層と、上記コレステリック液晶層に接触した透光性層と、を含み、上記コレステリック液晶層が、少なくとも面内の一部の領域に可視光域の選択反射ピークを有し、かつ、上記選択反射ピークの波長が面内で連続的に変化し、上記コレステリック液晶層の屈折率と上記透光性層の屈折率との差が、±0.2以内である。
なお、本開示において、特に断りなく、単に「本開示に係る加飾シート」又は「加飾シート」という場合は、上記第一の実施態様及び上記第二の実施態様の両方について述べるものとする。
本開示に係る加飾フィルムの用途としては、特に制限はなく、例えば、電子デバイス(例えば、ウエアラブルデバイス、及びスマートフォン)、家電製品、オーディオ製品、コンピュータ、ディスプレイ、車載製品等の表示装置の加飾に用いることができる。中でも、本開示に係る加飾フィルムは、電子デバイス(例えば、ウエアラブルデバイス、及びスマートフォン)の加飾に好適に用いることができる。また、本開示に係る加飾フィルムは、立体成型性にも優れることから、例えば、立体成型及びインサート成型のような成型に用いられる、成型用加飾フィルムとして好適であり、立体成型用加飾フィルムとしてより好適である。
本開示において、面内で色相パターンが滑らかでムラのない視認性を有する加飾シートが提供される理由は、次のように推定される。コレステリック液晶層は、その螺旋構造のピッチに由来する選択反射波長すなわち反射色を呈する。膜厚が略均一であるコレステリック液晶層の面内で反射色が異なる場合、少なくとも一方の界面では液晶のダイレクタはそれぞれ異なる方位で配向していると考えられる。これにより、ある方位から見たときの液晶層表面の屈折率はそのダイレクタの向きにより液晶のΔnの範囲で変化しており、斜め方向から入射した光の反射率は面内でわずかに変化する。同様に選択反射光の偏光状態も面内で異なっており、これらに伴い反射光の強度が面内で微小に異なり、すなわち縞状ムラを生じさせると考えられる。これを解消すべく検討した結果、液晶層に隣接する媒体の屈折率を液晶層のそれに近づけること、又は、選択反射光の光中に偏光解消能を有する層を設けることが有効であることを見出した。前者においては、コレステリック液晶層と上記コレステリック液晶層に接触する層との界面における反射が小さくなり、面内での反射光強度の変化が抑制され、等方性の媒体を用いても有効に縞状ムラを解消できることがわかった。また、後者においては、偏光解消能を有する層により、反射光が偏光解消され反射が抑制されることで、面内での反射光強度の変化が抑制され、縞状ムラを解消できることがわかった。したがって、本開示によれば、面内で色相パターンが滑らかでムラのない視認性に優れる加飾シートが提供される。
また、本開示に係る加飾シートは、色材層、透光性着色層、光反射層、及び、回折層のいずれかか、これらの組み合わせを更に含むことで、より付加価値の高い加飾シートを提供することができる。
(偏光解消能を有する層)
本開示に係る加飾シートの第一の実施態様は、偏光解消能を有する層を含む。
本開示において、「偏光解消能を有する層」とは、光散乱性又は光学異方性を有する層であるものとする。
本開示における「光散乱性を有する層」とは、透過光を直進方向以外の方向に散乱させる作用のある層であり、上記散乱は、幾何光学的な散乱、ミー散乱、レイリー散乱などいずれの作用であってもよい。
本開示における「光学異方性を有する層」とは、層内部の方向によって屈折率が異なり、複屈折性を有する層であり、後述する式1で表されるReの値、又は、後述する式2で表されるRthの値の少なくとも一つに当てはまる複屈折値を有する層であることが好ましい。
偏光解消能を有する層は、光散乱性を有する光散乱性層及び光学異方性を有する光学異方性層のいずれか1つを含む層であることが好ましい。
<光散乱性層>
偏光解消能を有する層は、色相パターンのムラの少ない視認性の観点から、光散乱性を有する光散乱性層であることが好ましい。
光散乱性層は、例えば、表面若しくは内部に微小な凹凸構造をもつシート又は物品、顔料又は屈折率の異なる有機粒子若しくは無機粒子、空隙を分散させた媒体などが挙げられる。
また、光散乱性層は、同時に加飾シートなどの物品を白っぽく見せる副作用をもつことから、鏡面性やクリア感のある意匠を目的とする場合には好ましくないため、上記光散乱性層のヘイズは偏光解消能のある範囲のなかで小さいことが好ましく、そのために上記粒子等のサイズを適宜調整することが好ましい。
光散乱性層のヘイズ値は、色相パターンのムラの少ない視認性の観点から、2%を超えることが好ましく、5%~50%であることがより好ましく、10%~30%であることが特に好ましい。
本開示において、層の全光線透過率、拡散透過率、及び、ヘイズ値は、日本電色工業株式会社製ヘイズメータ NDH5000又は株式会社島津製作所製分光光度計UV-3100PCを用いて測定するものとする。
また、全光線透過率、拡散透過率、及び、ヘイズ値の測定波長範囲は、波長380nm~780nmの範囲であるものとする。
なお、拡散透過率とは、層に光を当て、層を透過する光のうち、平行成分と拡散成分とを全て含めた光線の全透過率から平行成分を除いた拡散光の透過率を指す。
また、へイズ値とは、下記式で表される値を示す。
ヘイズ(曇価)値=〔拡散透過率(Td)/全光透過率(Tt)〕×100
光散乱性層は、波長380nm~780nmの範囲における少なくとも一部の波長の光を拡散できる光散乱性層であることが好ましく、波長380nm~780nmの全範囲における光を拡散できる光散乱性層であることがより好ましい。
また、光散乱性層の全光線透過率は、色相パターンのムラの少ない視認性の観点から、40%~95%であることが好ましく、50%~90%であることがより好ましく、55%~90%であることが更に好ましく、65%~90%であることが特に好ましい。
光散乱性層は、拡散透過率の調整が容易であり、入手しやすいという観点からは、マトリックス材料とマトリックス材料中に存在する粒子とを含有する光散乱性層(以下、マトリックス材料と粒子とを含有する光散乱性層ともいう。)、マトリックス材料中に空隙を有する光散乱性層、又は、少なくとも一方の面に凹凸を有する光散乱性層であることが好ましく、マトリックス材料とマトリックス材料中に存在する粒子とを含有する光散乱性層であることがより好ましい。
-マトリックス材料と粒子とを含有する光散乱性層-
光散乱性層の一態様として、マトリックス材料とマトリックス材料中に存在し、光散乱性層に光散乱性を付与するための粒子(以下、特定粒子ともいう。)とを含有する層が挙げられる。
特定粒子を含む光散乱性層は、特定粒子が透明なマトリックス材料に分散されて含まれる層であることが好ましい。
マトリックス材料としては、ガラス、石英、樹脂材料等が挙げられる。
マトリックス材料としてガラス又は石英を用いる場合には、ガラス又は石英に特定粒子を練り込んで分散させたものを、光散乱性層とすればよい。
また、マトリックス材料としてガラス又は石英を用いる場合は、後述する加飾部材であることが好ましい。
マトリックス材料として樹脂材料を用いる場合、紫外線透過性の樹脂層を形成し得る樹脂であることが好ましく、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
マトリックス材料として樹脂材料を用いる場合には、光散乱性層の形成は、公知の方法で行うことができる。例えば、マトリックス材料の樹脂ペレットと特定粒子とを溶融混練して、射出成型により板状の光散乱性層を得ることができる。また、樹脂の前駆体モノマーと特定粒子とを含む樹脂組成物を硬化して光散乱性層としてもよく、樹脂材料と任意成分としての溶媒等を含む混合物に、特定粒子を混練した樹脂組成物を硬化して光散乱性層としてもよい。例えば、特定粒子、重合性化合物及び重合開始剤を含む樹脂組成物を硬化して光散乱性層を形成することが好ましい。重合性化合物としては、特に制限はなく、公知の重合性化合物を用いることができるが、(メタ)アクリレート化合物が好適に挙げられ、多官能(メタ)アクリレート化合物がより好適に挙げられる。また、重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
なお、光散乱性層の形成方法は、上記に限定されない。
特定粒子が光散乱性層に十分な光散乱性を与えるためには、マトリックス材料と特定粒子との屈折率差が0.05以上であることが好ましい。屈折率差は0.05~1.0の範囲であることがより好ましく、0.05~0.6であることが更に好ましい。
マトリックス材料と特定粒子との屈折率差が上記範囲であると、散乱光強度を大きくすることができる。
特定粒子の算術平均粒径は、光散乱性層に十分な光散乱性を与える観点から、1μm~1,000μmであることが好ましく、3μm~500μmであることがより好ましく、5μm~300μmであることが特に好ましい。
特定粒子の算術平均粒径は、電子顕微鏡を用いて視野角内に存在する任意の特定粒子200個の粒子径を測定し、測定した数値を算術平均することにより算出したものを採用する。
なお、粒子の形状が球形でない場合には、最も長い辺を粒子径とする。
特定粒子としては、例えば、酸化ジルコニウム粒子(ZrO粒子)、酸化ニオブ粒子(Nb粒子)、酸化チタン粒子(TiO粒子)、酸化アルミニウム粒子(Al粒子)、二酸化珪素粒子(SiO粒子)等の無機粒子、及び、架橋スチレン樹脂、架橋ポリメタクリル酸メチル等の有機粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、およびこれらの共重合、共縮合物からなる粒子が挙げられる。中でも、透光性アクリル粒子などの架橋ポリメタクリル酸メチル等の有機粒子が好ましい。
光散乱性層は、特定粒子を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定粒子の含有量には特に制限はなく、光散乱性層における特定粒子の種類、サイズ、含有量、形状、屈折率等を調整することで、所望の拡散透過率あるいは所望の散乱角を達成することが好ましい。
特定粒子の含有量としては、特に制限はないが、光散乱性層の全質量に対し、5質量%~70質量%であることが好ましく、10質量%~50質量%であることがより好ましい。
-少なくとも一方の面に凹凸を有する光散乱性層-
光散乱性層の他の態様として、少なくとも一方の面に凹凸を有する光散乱性層が挙げられる。光散乱性層の少なくとも一方の面に凹凸を有することで、凹凸により光が散乱される。
光散乱性層における凹凸は、隣り合う凸部と凸部との頂部間の距離が10μm~50μmであることが好ましい。
光散乱性層における凹凸の平均高さ(凹部の底部から凸部の頂部までの光散乱性層の厚さ方向における平均距離)は、光散乱性層に十分な光散乱性を与える観点から、1μm~1,000μmであることが好ましく、1μm~500μmであることがより好ましい。
凹凸は、隣接する凸部と凸部の底部間が接しており、隣接する凸部と凸部が空隙等の間隔を有さず密に形成されることが光散乱性の観点から好ましい。
凸部のサイズ、形状、凸部の単位面積当たりの形成密度等を調整することで、所望の拡散透過率あるいは所望の散乱角を達成し得る。凸部の形状には特に制限はなく、半球形、円錐形、角錐形、畝状等、目的とする拡散透過率、拡散角度等により、適宜選択される。
例えば、少なくとも一方の面に凹凸を有する光散乱性層として用いる拡散ガラスとしては、表面をサンドブラスト等により凹凸加工を施したガラス等が挙げられる。
中でも、光散乱性層は、表面に平均高さ1μm~10μmの凹凸形状を有することが好ましい。
少なくとも一方の面に凹凸を有する光散乱性層は、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、(株)オプティカルソリューションズ製、レンズ拡散板(登録商標)、商品名:(以下、同じ)LSD5ACUVT10、LSD10ACUVT10、LSD20ACUVT10、LSD30ACUVT10、LSD40ACUVT10、LSD60ACUVT10、LSD80ACUVT10(以上、紫外線透過アクリル樹脂製)、
レンズ拡散板(登録商標):LSD5AC10、LSD10AC10、LSD20AC10、LSD30AC10、LSD40AC10、LSD60AC10、LSD80AC10(以上、アクリル樹脂製)、
レンズ拡散板(登録商標):LSD5PC10、LSD10PC10、LSD20PC10、LSD30PC10、LSD40PC10、LSD60PC10、LSD80PC10、LSD60×10PC10、LSD60×1PC10、LSD40×1PC10、LSD30×5PC10(以上、ポリカーボネート製)、
レンズ拡散板(登録商標):LSD5U3PS(以上、石英ガラス製)等が挙げられる。
その他の光散乱性層としては、日本特殊光学樹脂(株)製のフライアイレンズFE10、(有)フィット製のDiffuser、サンテックオプト(株)製のSDXK-1FS,SDXK-AFS、SDXK-2FS、フィルプラス(株)製の光拡散フィルムMX、(株)渋谷光学製のアクリル拡散板ADF901、ADF852、ADF803、ADF754、ADF705、ADF656、ADF607、ADF558、ADF509、ADF451、王子エフテックス(株)製のナノバックリング(登録商標)、リンテック(株)製の光拡散フィルムHDA060,HAA120、GBA110、DCB200,FCB200、IKA130、EDB200、スリーエムジャパン(株)製のスコッチカル(登録商標)光拡散ディフューザーフィルム3635-30、3635-70、(株)きもと製のライトアップ(登録商標)SDW,EKW,K2S,LDS,PBU,GM7,SXE,MXE、SP6F、オプトセーバー(登録商標)L-9,L-11,L-19,L-20,L-35,L-52,L-57、STC3,STE3、ケミカルマット(登録商標)75PWX,125PW,75PBA,75BLB,75PBB、恵和(株)製のオパルス(登録商標)PBS-689G,PBS-680G,PBS-689HF,PBS-680HG,PBS-670G,UDD-147D2,UDD-148D2、SHBS-227C1,SHBS-228C2,UDD-247D2、PBS-630L,PBS-630A,PBS-632A,BS-539,BS-530,BS-531,BS-910,BS-911,BS-912、(株)クラレ製のレジェンダ(登録商標)PC,CL,HC,OC,TR,MC,SQ,EL,OE、(株)ツジデン製のD120P,D121UPZ,D121UP,D261SIIIJ1、D261IVJ1、D263SIII、S263SIV,D171,D171S,D174S等が挙げられる。
光散乱性層の厚さは、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1.5mm以下が更に好ましい。
また、光散乱性層の厚さは、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上であることが特に好ましい。
<光学異方性層>
偏光解消能を有する層は、クリア感のある視認性の観点から、光学異方性を有する光学異方性層であることが好ましい。
光学異方性層としては、例えば、一軸延伸等の延伸により光学異方性を付与した樹脂フィルム、液晶化合物を配向させた層等が挙げられる。上記液晶化合物としては、特に制限はなく、公知の液晶化合物を用いることができる。また、上記液晶化合物を配向させた層は、重合性化合物及び重合開始剤により硬化さあせてなる硬化層であってもよい。
また、光学異方性層は、レベリング剤、配向制御剤等を含んでいてもよい。レベリング剤及び配向制御剤としては、公知のものを用いることができる。
上記光学異方性層は、色相パターンのムラの少ない視認性の観点から、下記式1で表されるReの値、又は、下記式2で表されるRthの値の少なくとも一つに当てはまる複屈折値を有する、すなわち、Reの値又はRthの値の少なくとも一方が0でない、光学異方性層であることが好ましく、下記式1及び式3で表されるReの値、又は、下記式2及び式4で表されるRthの値の少なくとも一つに当てはまる複屈折値を有する光学異方性層であることがより好ましく、ヘイズ値が2%以下で、かつ下記式1及び式3で表されるReの値、又は、下記式2及び式4で表されるRthの値の少なくとも一つに当てはまる複屈折値を有する光学異方性層であることが特に好ましい。
Re=(nx-ny)×d …式1
Rth={(nx+ny)/2-nz}×d …式2
3,000≦Re<50,000 …式3
1,000≦Rth<20,000 …式4
式1及び式2中、nxは光学異方性層の面内での屈折率が最大となる方向の屈折率を表し、nyは光学異方性層の面内での屈折率が最大となる方向に直交する方向の屈折率を表し、nx>nyであり、nzは光学異方性層の厚さ方向の屈折率を表し、dは光学異方性層の厚さ(μm)を表す。
また、上記式3の範囲内のReの値、及び、上記式4の範囲内のRthの値を有する場合、ある入射偏光に対する出射光の偏光状態が波長によって極めて大きく変化するため、疑似的な偏光解消能をより付与することができ、面内で色相パターンがより滑らかでよりムラのない視認性を有する加飾シートが得られる。
なお、本開示における面内レターデーション及び厚み方向のレターデーションの値は、AxoScan OPMF-1((株)オプトサイエンス製)を用い、測定波長の光を用いて測定した値をいう。特に断りのない場合、測定波長は550nmとする。
光学異方性層のヘイズ値は、色相パターンのムラの少ない視認性の観点から、2%以下であることが好ましく、0.5%~1.8%であることがより好ましく、1.0%~1.8%であることが更に好ましい。
光学異方性層の厚さは、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1.5mm以下が更に好ましい。
また、光学異方性層の厚さは、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上であることが特に好ましい。
(透光性層)
本開示に係る加飾シートの第二の実施態様は、コレステリック液晶層と、上記コレステリック液晶層に接触した透光性層とを含む。
また、本開示に係る加飾シートの第二の実施態様は、上記コレステリック液晶層の屈折率と上記透光性層の屈折率との差が、±0.2以内であり、色相パターンのムラの少ない視認性の観点から、±0.1以内であることが好ましく、±0.05以内であることがより好ましく、±0.02以内であることが特に好ましい。
透光性層のヘイズ値は、色相パターンのムラの少ない視認性の観点から、2%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0%~0.5%であることが特に好ましい。
また、透光性層の全光線透過率は、色相パターンのムラの少ない視認性の観点から、80%~100%であることが好ましく、90%~100%であることがより好ましく、95%~100%であることが特に好ましい。
透光性層は、樹脂を含むことが好ましく、また、屈折率を調整するため、無機粒子等の屈折率調整剤を含んでいてもよい。また、透光性層は、重合性化合物を重合してなる層であってもよい。
透光性層を形成する重合性化合物及び重合開始剤としては、後述するコレステリック液晶層における重合性モノマー及び重合開始剤を好適に用いることができる。
透光性層の含まれる樹脂としては、屈折率調整の容易性、及び、低ヘイズ値の観点から、芳香環を有する樹脂を含むことが好ましい。
芳香環を有する樹脂を形成する芳香環を有する重合性化合物としては、特に制限はなく、公知の芳香環を有する重合性化合物を用いることができる。中でも、芳香環を有する(メタ)アクリレート化合物を用いることが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートを用いることが特に好ましい。
透光性層の厚さは、5mm以下が好ましく、2mm以下がより好ましく、1.5mm以下が更に好ましい。
また、光学異方性層の厚さは、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上であることが特に好ましい。
(コレステリック液晶層)
本開示に係る加飾シートは、コレステリック液晶層を含み、後述する粘着層に接触したコレステリック液晶層を含むことが好ましい。コレステリック液晶層が粘着層に接触していると、粘着層がクッションのように機能し、凹凸形状に対するコレステリック液晶層の追従性が向上できる。
また、本開示に係る加飾シートの第二の実施態様は、上記コレステリック液晶層が、少なくとも面内の一部の領域に可視光域の選択反射ピークを有し、かつ、上記選択反射ピークの波長が面内で連続的に変化する。
更に、本開示に係る加飾シートの第一の実施態様は、上記コレステリック液晶層が、少なくとも面内の一部の領域に可視光域の選択反射ピークを有し、かつ、上記選択反射ピークの波長が面内で連続的に変化することが好ましい。
なお、本開示における可視光域は、波長380nm~780nmであり、本開示に係る加飾シートの第二の実施態様は、この波長範囲に選択反射ピーク(選択反射極大波長ともいう。)を有し、上記選択反射ピークの波長が面内で連続的に変化し、グラデーション状の色の変化が視認される。
コレステリック液晶層は、選択反射性を有する。例えば、コレステリック液晶層は、380nm~780nmの少なくとも1つの波長の光に対して反射性を有する。コレステリック液晶層によって反射される光の波長は、分光光度計(例えば、株式会社島津製作所製、分光光度計UV-3100PC)を用いて測定される。
コレステリック液晶層は、コレステリック液晶相を含む層である。コレステリック液晶相は、公知の手段(例えば、偏光顕微鏡及び走査型電子顕微鏡)によって確認される。コレステリック液晶相における液晶化合物の配向状態は、右円偏光、左円偏光又は右円偏光及び左円偏光の両方を反射する配向状態であってもよい。コレステリック液晶相における液晶化合物の配向状態は、固定化されていてもよい。液晶化合物の配向状態は、例えば、液晶化合物の重合又は架橋によって固定化される。配向状態が固定化された液晶化合物の一部又は全部において、液晶化合物の液晶性は失われてもよい。
コレステリック液晶層は、加飾シートの意匠に寄与する。例えば、加飾シートの色及び観察角度に応じた加飾シートの色の変化の度合いは、コレステリック液晶相におけるらせん構造のピッチ、コレステリック液晶層の屈折率及びコレステリック液晶層の厚さによって調整される。らせん構造のピッチは、カイラル剤の添加量によって調整されてもよい。らせん構造とカイラル剤との関係は、例えば、「富士フイルム研究報告、No.50(2005年)、p.60-63」に記載されている。また、らせん構造のピッチは、コレステリック液晶相を固定する際の温度、照度及び照射時間といった条件によって調整されてもよい。
コレステリック液晶層の破断伸度は、20%以上であることが好ましく、25%以上であることがより好ましく、30%以上であることが更に好ましい。コレステリック液晶層の破断伸度が20%以上であると、装飾を受ける対象物の形状に対するコレステリック液晶層の追従性及び加飾シートの成型性(特に、3次元での成型性)が向上する。コレステリック液晶層の破断伸度は、500%以下であることが好ましく、400%以下であることがより好ましく、300%以下であることが更に好ましい。コレステリック液晶層の破断伸度が500%以下であると、コレステリック液晶層の強度が向上する。コレステリック液晶層の破断伸度は、例えば、コレステリック液晶層の架橋密度によって調整される。コレステリック液晶層の架橋密度が小さくなると、コレステリック液晶層の破断伸度は増大する傾向にある。コレステリック液晶層の架橋密度は、例えば、コレステリック液晶層を形成する組成物の成分及び硬化条件によって調整される。例えば、重合性化合物の種類(例えば、重合性基の種類及び数)及び添加量の最適化は、コレステリック液晶層の架橋密度を小さくし、コレステリック液晶層の破断伸度を増大できる。コレステリック液晶層を形成する組成物の成分及びコレステリック液晶層の硬化条件は、後述される。
このようなコレステリック層は、例えば単官能の液晶性及び/又は非晶性重合性化合物を50質量%~90質量%と、多官能の液晶性及び/又は非晶性重合性化合物を1質量%~50質量%含んだ組成物が、コレステリック配向した状態で固定化されていることで賦形性や成形性を付与することができる。
成型後における反射率変化の抑制の観点から、コレステリック液晶層の厚さは、10μm未満であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましく、0.05μm~5μmであることが更に好ましく、0.1μm~4μmであることが特に好ましい。
コレステリック液晶層は、例えば、液晶化合物を含む組成物(以下、単に「組成物」という場合がある。)を用いて形成される。組成物は、液晶化合物と、カイラル剤と、重合開始剤と、を含むことが好ましく、液晶化合物と、光異性化性カイラル剤と、光重合開始剤と、を含むことがより好ましい。光異性化性カイラル剤は、カイラル剤としても作用する光異性化性化合物である。コレステリック液晶層は、液晶化合物を含む組成物の硬化物であることが好ましい。組成物の硬化方法は、下記「加飾シートの製造方法」の項に記載されている。以下、組成物の態様を具体的に説明する。組成物の好ましい態様として、下記「加飾シートの製造方法」の項に記載された組成物の態様が適用されてもよい。
組成物における組成物の固形分の総量に対する2つの重合性基を有する化合物の総量の割合(すなわち、[2つの重合性基を有する化合物の総量]/[組成物の固形分の総量])は、4質量%~25質量%であることが好ましい。上記した割合が4質量%以上であると、反応性が向上し、コレステリック液晶層におけるコレステリック液晶層の単位体積あたりの10,000以下の分子量を有する化合物の含有量(すなわち、低分子化合物の含有量)が低減する。組成物における組成物の固形分の総量に対する2つの重合性基を有する化合物の総量の割合は、6質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。一方、上記した割合が25質量%以下であると、コレステリック液晶層の架橋密度の増大が抑制され、コレステリック液晶層の破断伸度が増大する。組成物における組成物の固形分の総量に対する2つの重合性基を有する化合物の総量の割合は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることが更に好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。
組成物は、液晶化合物を含む。液晶化合物とは、液晶性を有する化合物である。ただし、組成物の硬化物において、液晶化合物の液晶性は失われてもよい。
液晶化合物は、コレステリック液晶性を有する公知の化合物から選択されてもよい。液晶化合物の種類は、例えば、化学構造に応じて棒状液晶化合物及び円盤状液晶化合物に大別される。更に、棒状液晶化合物は、低分子型及び高分子型に大別され、円盤状液晶化合物も、低分子型及び高分子型に大別される。液晶化合物に関して使用される用語「高分子」とは、重合度が100以上の化合物を意味する(例えば、高分子物理・相転移ダイナミクス、土井 正男 著、2頁、岩波書店、1992)。液晶化合物として、2種以上の棒状液晶化合物、2種以上の円盤状液晶化合物、又は棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。
液晶化合物としては、2種以上の棒状液晶化合物、2種以上の円盤状液晶化合物、又は棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物との混合物を用いてもよい。温度変化及び湿度変化を小さくできることから、液晶化合物として、反応性基を有する棒状液晶化合物又は円盤状液晶化合物を用いることがより好ましく、これらのうち少なくとも1種の液晶化合物は1液晶分子中の反応性基が2以上あることが更に好ましい。2種以上の液晶化合物の混合物の場合、少なくとも1つが2以上の反応性基を有していることが好ましい。
また、架橋機構の異なる2種類以上の反応性基を有する液晶化合物を用いることが好ましい。架橋機構としては、縮合反応、水素結合、重合など特に限定はないが、2種類上の反応性基が存在する場合には利用される2種類以上の架橋機構のうち少なくとも一方は重合であることが好ましく、2種類以上の異なる重合反応を用いることがより好ましい。上記架橋における架橋反応においては、重合に用いられるビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニルエーテル基だけでなく、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基なども用いることができる。
本開示における架橋機構の異なる2種類以上の反応性基を有する化合物とは、異なる架橋反応工程を用いて段階的に架橋可能な化合物であり、各段階の架橋反応工程では、それぞれの架橋機構に応じた反応性基が官能基として反応する。また、例えば側鎖にヒドロキシ基を有するポリビニルアルコールのようなポリマーの場合で、ポリマーを重合する重合反応を行った後、側鎖のヒドロキシ基をアルデヒドなどで架橋させた場合は2種類以上の異なる架橋機構を用いたことになるが、本開示において2種類以上の異なる反応性基を有する化合物という場合は、支持体等の上に層を形成した時点において上記層中で2種類以上の異なる反応性基を有する化合物であって、その後にその反応性基を段階的に架橋させることができる化合物であることが好ましい。
反応性基としては、重合性基であることが好ましい。重合性基としては、ラジカル重合性基、及び、カチオン重合性基が挙げられる。好ましい重合性基としては、例えば、アクリロイル基及びメタクリロイル基が挙げられる。2種以上の重合性基を有する液晶化合物を用いることが特に好ましい。
段階的に架橋させるための反応条件の違いは、温度の違い、光(照射線)の波長の違い、重合機構の違いのいずれでもよいが、反応を分離しやすい点から重合機構の違いを用いることが好ましく、用いる重合開始剤の種類によって制御することがより好ましい。
重合性基の組み合わせとしては、ラジカル重合性基とカチオン重合性基との組み合わせが好ましい。中でも、ラジカル重合性基がビニル基又は(メタ)アクリロイル基であり、かつカチオン重合性基がエポキシ基、オキセタニル基又はビニルエーテル基である組み合わせが反応性を制御しやすく特に好ましい。
液晶化合物は、反応性、及び、らせん構造のピッチの固定容易性の観点から、ラジカル重合性基を有することが好ましい。
以下に反応性基の例を示す。なお、Etはエチル基を表し、n-Prはn-プロピル基を表す。
Figure 2023020959000002
棒状液晶化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく挙げられる。以上のような低分子液晶化合物だけではなく、高分子液晶化合物も用いることができる。高分子液晶化合物は、低分子の反応性基を有する棒状液晶化合物が重合した高分子化合物である。棒状液晶化合物の例としては特開2008-281989号公報、特表平11-513019号公報(国際公開第97/00600号)又は特表2006-526165号公報に記載のものが挙げられる。
以下に、棒状液晶化合物の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。なお、
下記に示す化合物は、特表平11-513019号公報(国際公開第97/00600号)に記載の方法で合成することができる。
Figure 2023020959000003
Figure 2023020959000004
Figure 2023020959000005
Figure 2023020959000006
Figure 2023020959000007
Figure 2023020959000008
Figure 2023020959000009
Figure 2023020959000010
Figure 2023020959000011
Figure 2023020959000012
Figure 2023020959000013
円盤状液晶化合物としては、モノマー等の低分子量の円盤状液晶化合物、又は、重合性の円盤状液晶化合物が挙げられる。
円盤状液晶化合物の例としては、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.71巻、111頁(1981年)に記載されているベンゼン誘導体、C.Destradeらの研究報告、Mol.Cryst.122巻、141頁(1985年)、Physicslett,A,78巻、82頁(1990)に記載されているトルキセン誘導体、B.Kohneらの研究報告、Angew.Chem.96巻、70頁(1984年)に記載されたシクロヘキサン誘導体及びJ.M.Lehnらの研究報告、J.Chem.Commun.,1794頁(1985年)、J.Zhangらの研究報告、J.Am.Chem.Soc.116巻、2655頁(1994年)に記載されているアザクラウン系又はフェニルアセチレン系マクロサイクルなどを挙げることができる。
円盤状液晶化合物には、上記各種構造を分子中心の円盤状の母核とし、直鎖のアルキル基、アルコキシ基、置換ベンゾイルオキシ基等の基(L)が放射線状に置換された構造を有し、液晶性を示し、一般的に円盤状液晶とよばれる液晶化合物が含まれる。このような分子の集合体が一様に配向した場合は負の一軸性を示すが、円盤状コレステリック化合物は、この記載に限定されるものではない。円盤状液晶化合物の例としては特開2008-281989号公報の段落0061~段落0075に記載のものが挙げられる。
液晶化合物として、反応性基を有する円盤状液晶化合物を用いる場合、硬化されたコレステリック液晶層において、水平配向、垂直配向、傾斜配向のいずれの配向状態で固定されていてもよい。
コレステリック液晶層は、1種又は2種以上の液晶化合物を含んでもよい。
意匠性の観点から、液晶化合物の含有率は、組成物の固形分の全質量に対し、30質量%~99質量%であることが好ましく、40質量%~99質量%であることがより好ましく、60質量%~99質量%であることが更に好ましく、70質量%~98質量%であることが特に好ましい。
組成物は、液晶化合物の架橋を促進するため重合性モノマーを含んでもよい。例えば、エチレン性不飽和結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーを重合性モノマーとして用いることができる。モノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物を挙げることができる。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレート又は単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパン、グリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレート又は多官能メタクリレートを挙げることができる。
更に特公昭48-41708号公報、特公昭50-6034号公報及び特開昭51-37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48-64183号公報、特公昭49-43191号公報及び特公昭52-30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜又はメタクリレートを挙げることができる。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジぺンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジぺンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11-133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
これらのモノマー又はオリゴマーは、単独でも、二種類以上を混合して使用してもよい。
また、カチオン重合性モノマーを用いることもできる。例えば、特開平6-9714号、特開2001-31892号、特開2001-40068号、特開2001-55507号、特開2001-310938号、特開2001-310937号、特開2001-220526号の各公報に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。エポキシ化合物としては、以下の芳香族エポキシド、脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシド等が挙げられる。
芳香族エポキシドとしては、例えば、ビスフェノールA、あるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールA或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル、並びにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセン又はシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによって得られる、シクロヘキセンオキサイド又はシクロペンテンオキサイド含有化合物が挙げられる。
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテル又は1,6-ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリン或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコール或いはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
また、カチオン重合性モノマーとして、単官能又は2官能のオキセタンモノマーを用いることもできる。例えば、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(東亞合成株式会社製、商品名OXT101等)、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシメチル]ベンゼン(同OXT121等)、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン(同OXT211等)、ジ(1-エチル-3-オキセタニル)メチルエーテル(同OXT221等)、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(同OXT212等)等を好ましく用いることができ、特に、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、ジ(1-エチル-3-オキセタニル)メチルエーテルなどの化合物、特開2001-220526号公報、同2001-310937号公報に記載されている公知のあらゆる単官能又は多官能オキセタン化合物を使用できる。
組成物は、カイラル剤を含むことが好ましく、光異性化性カイラル剤を含むことがより好ましい。カイラル剤は、液晶化合物によるらせん構造を誘起できる。光異性化性カイラル剤は、2つの重合性基を有する光異性化性カイラル剤(以下、本段落において「2官能の光異性化性カイラル剤」という。)を含むことが好ましい。2官能の光異性化性カイラル剤は、液晶化合物によるらせん構造を誘起するだけでなく、硬化反応を促進し、コレステリック液晶層における低分子化合物の含有量を低減できる。
カイラル剤としては、公知の化合物を用いることができるが、シンナモイル基を有するカイラル剤が好ましい。カイラル剤の例としては、液晶デバイスハンドブック(第3章4-3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989)、並びに、特開2003-287623号公報、特開2002-302487号公報、特開2002-80478号公報、特開2002-80851号公報、特開2010-181852号公報及び特開2014-034581号公報等に記載される化合物が例示される。
カイラル剤は、不斉炭素原子を含むことが好ましいが、不斉炭素原子を含まない軸性不斉化合物又は面性不斉化合物もカイラル剤として用いることができる。軸性不斉化合物又は面性不斉化合物の例には、ビナフチル、ヘリセン、パラシクロファン及びこれらの誘導体が含まれる。
カイラル剤は、重合性基を有していてもよい。カイラル剤と液晶化合物とが、いずれも重合性基を有する場合は、重合性基を有するカイラル剤(重合性カイラル剤)と重合性基を有する液晶化合物(重合性液晶化合物)との重合反応により、重合性液晶化合物から誘導される構成単位と、カイラル剤から誘導される構成単位とを有するポリマーを形成することができる。この態様では、重合性カイラル剤が有する重合性基は、重合性液晶化合物が有する重合性基と、同種の基であることが好ましい。カイラル剤の重合性基は、エチレン性不飽和基、エポキシ基又はアジリジニル基であることが好ましく、エチレン性不飽和基であることがより好ましい。
カイラル剤は、イソソルビド誘導体、イソマンニド誘導体及びビナフチル誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。イソソルビド誘導体としては、BASF社製のLC-756等の市販品を用いてもよい。
カイラル剤は、コレステック液晶化合物であってもよい。
カイラル剤は、カイラル剤としても作用する光異性化性化合物(すなわち、光異性化性カイラル剤)を含むことが好ましく、後述する式(CH1)で表される化合物を含むことがより好ましい。
光異性化性化合物は、光異性化可能な化合物であればよいが、成型後における反射率変化抑制、及び、異性化構造の維持性の観点から、露光により立体構造が変化する化合物であることが好ましい。
光異性化性化合物の異性化構造は、特に制限はないが、成型後における反射率変化抑制、光異性化容易性、及び、異性化構造の維持性の観点から、露光により立体構造が変化する構造であることが好ましく、露光によりEZ配置が異性化する2置換以上のエチレン性不飽和結合を有することがより好ましく、露光によりEZ配置が異性化する2置換のエチレン性不飽和結合を有することが特に好ましい。EZ配置の異性化には、cis-trans異性化も含まれる。2置換のエチレン性不飽和結合は、芳香族基とエステル結合とが置換したエチレン性不飽和結合であることが好ましい。
光異性化性化合物は、異性化構造を1つのみ有していても、2つ以上有していてもよいが、成型後における反射率変化抑制、光異性化容易性、及び、異性化構造の維持性の観点から、異性化構造を2つ以上有していることが好ましく、2~4つ有していることがより好ましく、2つ有していることが特に好ましい。
カイラル剤としても作用する光異性化性化合物は、波長313nmにおけるモル吸光係数が30,000以上のカイラル剤であることが好ましい。
カイラル剤としても作用する光異性化性化合物としては、下記式(CH1)で表される化合物が好ましく挙げられる。下記式(CH1)で表される化合物は、光照射時の光量に応じてコレステリック液晶相のらせんピッチ(ねじれ力、らせんのねじれ角)などの配向構造を変化させ得る。また、下記式(CH1)で表される化合物は、2つのエチレン性不飽和結合におけるEZ配置が露光により異性化可能な化合物である。
Figure 2023020959000014
式(CH1)中、ArCH1及びArCH2はそれぞれ独立に、アリール基又は複素芳香環基を表し、RCH1及びRCH2はそれぞれ独立に、水素原子又はシアノ基を表す。
式(CH1)におけるArCH1及びArCH2はそれぞれ独立に、アリール基であることが好ましい。
式(CH1)のArCH1及びArCH2におけるアリール基は、置換基を有していてもよく、総炭素数6~40であることが好ましく、総炭素数6~30であることがより好ましい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、シアノ基、又は、複素環基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、又は、アリールオキシカルボニル基がより好ましい。
式(CH1)におけるRCH1及びRCH2はそれぞれ独立に、水素原子であることが好ましい。
ArCH1及びArCH2としては、下記式(CH2)又は式(CH3)で表されるアリール基が好ましい。
Figure 2023020959000015
式(CH2)及び式(CH3)中、RCH3及びRCH4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボキシ基、又は、シアノ基を表し、LCH1及びLCH2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、又は、ヒドロキシ基を表し、nCH1は0~4の整数を表し、nCH2は0~6の整数を表し、*は式(CH1)におけるエチレン性不飽和結合との結合位置を表す。
式(CH2)及び式(CH3)におけるRCH3及びRCH4はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキ
シ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又は、アシルオキシ基であることが好ましく、アルコキシ基、ヒドロキシ基、又は、アシルオキシ基であることがより好ましく、アルコキシ基であることが特に好ましい。
式(CH2)及び式(CH3)におけるLCH1及びLCH2はそれぞれ独立に、炭素数1~10のアルコキシ基、又は、ヒドロキシ基であることが好ましい。
式(CH2)におけるnCH1は、0又は1であることが好ましい。
式(CH3)におけるnCH2は、0又は1であることが好ましい。
式(CH1)のArCH1及びArCH2における複素芳香環基は、置換基を有していてもよく、総炭素数4~40であることが好ましく、総炭素数4~30であることがより好ましい。置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、又は、シアノ基が好ましく、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、又は、アシルオキシ基がより好ましい。複素芳香環基としては、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、又は、ベンゾフラニル基が好ましく、ピリジル基、又は、ピリミジニル基がより好ましい。
光異性化性化合物としては、以下の化合物が好ましく挙げられる。なお、Buはn-ブチル基を表す。なお、以下の化合物は、各エチレン性不飽和結合の立体配置がE体(trans体)であるが、露光によりZ体(cis体)に変化する化合物である。
Figure 2023020959000016
カイラル剤としても作用する光異性化性化合物(すなわち、光異性化性カイラル剤)は、下記式(1)で表される化合物を含むことが好ましい。下記式(1)で表される化合物は、重合性基を含む光異性化性カイラル剤である。
Figure 2023020959000017
式(1)中、L~Lは、それぞれ独立に、単結合、-COO-、-OCO-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、-CH=C(CN)-COO-、-OCO-C(CN)=CH-、-CH=CH-CO-、-CO-CH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-CO-NH-、-NH-CO-、-CHO-、-OCH-、-CH-CH-O-、-OCH-CH-、-O-、-S-、-CO-、-CH=CH-、-C≡C-又は-N=N-を表し、A及びAは、それぞれ独立に、炭化水素環基又は複素環基を表し、P及びPは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、炭素数2~20のアルキル基における少なくとも1つの-CH-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-C(=O)-、-OC(=O)-若しくは-C(=O)O-で置換された構造を有する基、-CN又は-Sp-Pを表し、Spは、単結合、炭素数1~20のアルキレン基又は炭素数2~20のアルキレン基における少なくとも1つの-CH-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-C(=O)-、-OC(=O)-若しくは-C(=O)O-で置換された基を表し、Pは、下記式(P-1)又は下記式(P-2)で表される重合性基を表し、P及びPのうち少なくとも1つは、-Sp-Pであり、Qは、2価のキラル源を表し、n及びmは、それぞれ独立に、1~3の整数を表し、n又はmが2以上の整数である場合、複数のAは同じであっても互いに異なっていてもよく、複数のAは同じであっても互いに異なっていてもよく、複数のLは同じであっても互いに異なっていてもよく、複数のLは同じであっても互いに異なっていてもよい。
Figure 2023020959000018
式(P-1)及び式(P-2)中、*は、結合位置を表す。
以下、P及びPで表される「炭素数2~20のアルキル基における少なくとも1つの-CH-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-C(=O)-、-OC(=O)-若しくは-C(=O)O-で置換された構造を有する基」を「特定置換アルキル基X1」という場合がある。特定置換アルキル基X1に関して、炭素数2~20のアルキル基における少なくとも2つの-CH-は、それぞれ独立に、-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-C(=O)-、-OC(=O)-若しくは-C(=O)O-によって置換されてもよい。つまり、ある-CH-を置換する原子団は、別の-CH-を置換する原子団と同じであっても異なっていてもよい。特定置換アルキル基X1の構造は、隣り合う2つの酸素原子(すなわち、-O-O-)を含まない構造であってもよい。
以下、Spで表される「炭素数2~20のアルキレン基における少なくとも1つの-CH-が-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-C(=O)-、-OC(=O)-若しくは-C(=O)O-で置換された基」を「特定置換アルキレン基Y1」という場合がある。特定置換アルキレン基Y1に関して、炭素数2~20のアルキレン基における少なくとも2つの-CH-は、それぞれ独立に、-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-C(=O)-、-OC(=O)-若しくは-C(=O)O-によって置換されてもよい。つまり、ある-CH-を置換する原子団は、別の-CH-を置換する原子団と同じであっても異なっていてもよい。特定置換アルキレン基Y1の構造は、隣り合う2つの酸素原子(すなわち、-O-O-)を含まない構造であってもよい。
反射波長変換能の向上といった観点から、式(1)において、L~Lのうち少なくとも1つは、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、-CH=C(CN)-COO-、-OCO-C(CN)=CH-、-CH=CH-CO-、-CO-CH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=CH-又は-N=N-であることが好ましい。また、式(1)において、L~Lのうち少なくとも1つは、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、-CH=C(CN)-COO-又は-OCO-C(CN)=CH-であることも好ましい。また、式(1)において、L~Lのうち少なくとも1つは、-CH=C(CN)-COO-又は-OCO-C(CN)=CH-であることも好ましい。「反射波長変換能」とは、意図的な外的要因によって反射波長が変化する性を意味する。
反射波長変換能の向上といった観点から、式(1)において、L及びLのうち少なくとも1つは、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、-CH=C(CN)-COO-、-OCO-C(CN)=CH-、-CH=CH-CO-、-CO-CH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=CH-又は-N=N-であることが好ましい。また、式(1)において、L及びLのうち少なくとも1つは、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、-CH=C(CN)-COO-又は-OCO-C(CN)=CH-であることも好ましい。また、式(1)において、L及びLのうち少なくとも1つは、-CH=C(CN)-COO-又は-OCO-C(CN)=CH-であることも好ましい。
反射波長変換能の向上といった観点から、式(1)において、L及びLは、それぞれ独立に、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、-CH=C(CN)-COO-、-OCO-C(CN)=CH-、-CH=CH-CO-、-CO-CH=CH-、-CH=N-、-N=CH-、-CH=CH-又は-N=N-であることが好ましい。また、式(1)において、L及びLは、それぞれ独立に、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、-CH=C(CN)-COO-又は-OCO-C(CN)=CH-であることも好ましい。また、式(1)において、L及びLは、それぞれ独立に、-CH=C(CN)-COO-又は-OCO-C(CN)=CH-であることも好ましい。
合成の容易性といった観点から、式(1)において、L及びLのうち少なくとも1つは、単結合、-COO-、-OCO-又は-O-であることが好ましい。また、式(1)において、L及びLは、それぞれ独立に、単結合、-COO-、-OCO-又は-O-であることも好ましい。
炭化水素環基は、少なくとも1つの炭化水素環を含む。炭化水素環は、縮合環であってもよい。炭化水素環を構成する原子の数は、5~18であることが好ましく、5~10であることがより好ましく、5又は6であることが更に好ましい。炭化水素環基としては、例えば、脂肪族炭化水素環基及び芳香族炭化水素環基が挙げられる。
脂肪族炭化水素環基は、少なくとも1つの脂肪族炭化水素環を含む。脂肪族炭化水素環が多環構造を有する場合、多環構造に含まれる環の少なくとも1つは5員環以上であることが好ましい。脂肪族炭化水素環を構成する原子の数は、5~10であることが好ましく、5又は6であることがより好ましい。脂肪族炭化水素環としては、例えば、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、ノルボルネン環及びアダマンタン環が挙げられる。シクロペンタン環又はシクロヘキサン環が好ましい。
芳香族炭化水素環基は、少なくとも1つの芳香族炭化水素環を含む。芳香族炭化水素環が多環構造を有する場合、多環構造に含まれる環の少なくとも1つは5員環以上であることが好ましい。芳香族炭化水素環を構成する原子の数は、6~18であることが好ましく、6~10であることがより好ましく、6であることが更に好ましい。芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環及びフルオレン環が挙げられる。ベンゼン環又はナフタレン環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
炭化水素環の具体例を以下に示す。ただし、炭化水素環の種類は、以下の具体例に制限されるものではない。
Figure 2023020959000019
式(1)において、A及びAで表される炭化水素環基は、置換基を有してもよい。
置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基及びハロゲン原子が挙げられる。炭化水素環基は、無置換の炭化水素環基であることが好ましい。
複素環基は、少なくとも1つの複素環を含む。複素環は、縮合環であってもよい。複素環を構成する原子の数は、5~18であることが好ましい。複素環に含まれるヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子が挙げられる。複素環基としては、例えば、脂肪族複素環基及び芳香族複素環基が挙げられる。
脂肪族複素環基は、少なくとも1つの脂肪族複素環を含む。脂肪族複素環が多環構造を有する場合、多環構造に含まれる環の少なくとも1つは5員環以上であることが好ましい。脂肪族複素環を構成する原子の数は、5~10であることが好ましい。脂肪族複素環としては、例えば、オキソラン環、オキサン環、ピぺリジン環及びピペラジン環が挙げられる。なお、脂肪族複素環は、-CO-を含む環構造を有してもよい。-CO-を含む環構造を有する脂肪族複素環としては、例えば、フタルイミド環が挙げられる。
芳香族複素環基は、少なくとも1つの芳香族複素環を含む。芳香族複素環が多環構造を有する場合、多環構造に含まれる環の少なくとも1つは5員環以上であることが好ましい。芳香族複素環を構成する原子の数は、5~18であることが好ましい。芳香族複素としては、例えば、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、トリアジン環、チオフェン環、チアゾール環及びイミダゾール環が挙げられる。
複素環の具体例を以下に示す。ただし、複素環の種類は、以下の具体例に制限されるものではない。
Figure 2023020959000020
式(1)において、A及びAで表される複素環基は、置換基を有してもよい。置換
基としては、例えば、既述した炭化水素環基の置換基が挙げられる。複素環基は、無置換の複素環基であることが好ましい。
式(1)において、P及びPで表される炭素数1~20のアルキル基(ただし、特定置換アルキル基X1を規定する炭素数2~20のアルキル基を除く。)は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であってもよい。
式(1)において、P及びPで表される特定置換アルキル基X1を規定する炭素数2~20のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であってもよい。
式(1)において、Spで表される炭素数1~20のアルキレン基(ただし、特定置換アルキレン基Y1を規定する炭素数2~20のアルキレン基を除く。)は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基であってもよい。
式(1)において、Spで表される特定置換アルキレン基Y1を規定する炭素数2~20のアルキレン基(以下、本段落において単に「アルキレン基」という。)は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキレン基であってもよい。液晶相の欠陥の抑制及び入手の容易性といった観点から、アルキレン基は、直鎖状アルキレン基又は分岐鎖状アルキレン基であることが好ましく、直鎖状アルキレン基であることがより好ましい。液晶相の欠陥の抑制及び入手の容易性といった観点から、アルキレン基の炭素数は、2~10であることが好ましく、2~8であることがより好ましく、4~6であることが更に好ましい。アルキレン基は、無置換アルキレン基であることが好ましい。
液晶相の欠陥の抑制及び入手の容易性といった観点から、式(1)において、Spで表される特定置換アルキレン基Y1は、炭素数2~20のアルキレン基における少なくとも1つの-CH-が-O-で置換された構造を有する基であることが好ましい。また、式(1)において、Spで表される特定置換アルキレン基Y1は、炭素数2~20のアルキレン基における少なくとも2つの-CH-が-O-で置換された構造を有する基であることも好ましい。
液晶相の欠陥の抑制及び入手の容易性といった観点から、式(1)において、Spで表される特定置換アルキレン基Y1は、炭素数1~19のアルキレンオキシ基又は炭素数1~18のアルキレンジオキシ基であることが好ましい。また、式(1)において、Spで表される特定置換アルキレン基Y1は、炭素数1~19のアルキレンオキシ基であることも好ましい。また、式(1)において、Spで表される特定置換アルキレン基Y1は、炭素数1~18のアルキレンジオキシ基であることも好ましい。
炭素数1~19のアルキレンオキシ基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキシ基であってもよい。アルキレンオキシ基は、直鎖状アルキレンオキシ基であることが好ましい。アルキレンオキシ基の炭素数は、2~10であることが好ましく、4~8であることがより好ましく、4~6であることが特に好ましい。アルキレンオキシ基としては、例えば、-OC-、-OC-、-OC-、-OC10-及び-OC
12-が挙げられる。
炭素数1~18のアルキレンジオキシ基は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンジオキシ基であってもよい。アルキレンジオキシ基は、直鎖状アルキレンジオキシ基であることが好ましい。アルキレンジオキシ基の炭素数は、2~10であることが好ましく、4~8であることがより好ましく、4~6であることが特に好ましい。
入手の容易性及び反応性といった観点から、式(1)において、Pは、式(P-1)で表される重合性基であることが好ましい。
硬化物の耐久性の向上といった観点から、式(1)において、P及びPは、それぞれ独立に、-Sp-Pであることが好ましい。
式(1)において、Qで表される2価のキラル源は、キラリティーの発現に寄与する。
2価のキラル源がキラリティーの発現に寄与する限り、2価のキラル源の化学構造は制限されない。2価のキラル源の具体例を以下に示す。ただし、2価のキラル源の種類は、以下の具体例に制限されるものではない。
Figure 2023020959000021
上記した具体例において、*は、結合位置を表し、Rは、置換基を表す。上記した具体例において、ビナフチル骨格は、(R)体又は(S)体であってもよい。上記した具体例において、ビナフチル骨格は、(R)体及び(S)体の混合であってもよい。
式(1)において、Qは、ビナフチル骨格、イソソルビド骨格又はイソマンニド骨格を含む2価のキラル源であることが好ましい。更に、式(1)において、Qは、下記式(Q-1)又は下記式(Q-2)で表される2価のキラル源であることが好ましく、下記式(Q-1)で表される2価のキラル源であることがより好ましい。
Figure 2023020959000022
式(Q-1)及び式(Q-2)中、*は、結合位置を表す。
反射波長変換能の向上といった観点から、式(1)において、n及びmは、それぞれ独立に、2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(1)で表される化合物としては、例えば、下記式(1-1)又は下記式(1-2)で表される化合物が挙げられる。式(1)で表される化合物は、下記式(1-1)又は下記式(1-2)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2023020959000023
式(1-1)及び式(1-2)中、Lは、上記式(1)におけるLと同義であり、Lは、上記式(1)におけるLと同義であり、Aは、上記式(1)におけるAと同義であり、Aは、上記式(1)におけるAと同義であり、Pは、上記式(1)におけるPと同義であり、Pは、上記式(1)におけるPと同義であり、nは、上記式(1)におけるnと同義であり、mは、上記式(1)におけるmと同義であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、-CN又は炭素数1~10のアルキル基を表す。
式(1-1)及び式(1-2)において、R及びRで表される炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基であってもよい。大きならせん誘起力の発現といった観点から、アルキル基は、直鎖状アルキル基又は分岐鎖状アルキル基であることが好ましく、直鎖状アルキル基であることがより好ましい。アルキル基の炭素数は、1~3であることが好ましく、1であることがより好ましい。すなわち、アルキル基は、メチル基であることが好ましい。
反射波長変換能の向上といった観点から、式(1-1)及び式(1-2)において、R及びRのうち少なくとも1つは、-CNであることが好ましい。また、式(1-1)又は上記式(1-2)において、R及びRは、-CNであることも好ましい。
式(1)で表される化合物の具体例を以下に示す。ただし、式(1)で表される化合物の種類は、以下の具体例に制限されるものではない。
Figure 2023020959000024
Figure 2023020959000025
Figure 2023020959000026
Figure 2023020959000027
上記化学式に示されるビナフチル化合物は、(R)体又は(S)体である。
Figure 2023020959000028
光異性化性カイラル剤は、下記式(C1)で表される化合物であることが好ましい。下記式(C1)で表される化合物は、2つの重合性基を有しており、熱環境下で加飾シートの色味が変化することを抑制できる。また、下記式(C1)で表される化合物は、光異性化を経て、視野角によって色が変化する意匠を加飾シートに付与できる。
Figure 2023020959000029
組成物は、1種又は2種以上のカイラル剤を含んでもよい。
カイラル剤の含有量は、使用する液晶化合物の構造及びらせん構造の所望のピッチに応じ適宜選択することができるが、液晶層形成の容易性、らせん構造のピッチの調整容易性、及び、成型後における反射率変化抑制の観点から、組成物の固形分の全質量に対し、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、2質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、3質量%以上9質量%以下であることが更に好ましく、4質量%以上8質量%以下であることが特に好ましい。
重合性基を有するカイラル剤の含有量は、成型後における反射率変化抑制の観点から、組成物の固形分の全質量に対し、0.2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上8質量%以下であることが更に好ましく、1.5質量%以上5質量%以下であることが特に好ましい。
重合性基を有しないカイラル剤を含有する場合、重合性基を有しないカイラル剤の含有率は、成型後における反射率変化抑制の観点から、組成物の固形分の全質量に対し、0.2質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上10質量%以下であることがより好ましく、2質量%以上8質量%以下であることが特に好ましい。
また、コレステリック液晶相のらせん構造のピッチ、並びに、反射波長及びその範囲は、使用する液晶化合物の種類だけでなく、カイラル剤の含有量を調製することによっても、容易に変化させることができる。一概には言えないが、液晶層におけるカイラル剤の含有量が2倍になると、上記ピッチが1/2となる場合がある。
組成物は、重合開始剤を含むことが好ましく、光重合開始剤を含むことがより好ましい。重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができる。また、重合開始剤は、紫外線照射によって重合反応を開始可能な光重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤の例としては、α-カルボニル化合物(米国特許第2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル化合物(米国特許第2448828号明細書記載)、α-炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許第2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許第3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp-アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許第3549367号明細書記載)、アクリジン化合物及びフェナジン化合物(特開昭60-105667号公報、米国特許第4239850号明細書記載)、オキサジアゾール化合物(米国特許第4212970号明細書記載)等が挙げられる。
光ラジカル重合開始剤としては、公知の光ラジカル重合開始剤を用いることができる。光ラジカル重合開始剤としては、α-ヒドロキシアルキルフェノン化合物、α-アミノアルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、チオキサントン化合物、オキシムエステル化合物等が好ましく挙げられる。
光カチオン重合開始剤としては、公知の光カチオン重合開始剤を用いることができる。光カチオン重合開始剤としては、ヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物等が好ましく挙げられる。
組成物は、1種又は2種以上の重合開始剤を含んでもよい。
重合開始剤の含有率は、使用する液晶化合物の構造及びらせん構造の所望のピッチに応じ適宜選択することができるが、らせん構造のピッチの調整容易性、重合速度、及び、硬化後の液晶層の強度の観点から、組成物の固形分の全質量に対し、0.05質量%~10質量%であることが好ましく、0.05質量%~5質量%であることがより好ましく、0.1質量%~4質量%であることが更に好ましく、0.2質量%~3質量%であることが特に好ましい。コレステリック液晶層における低分子化合物の含有量を低減し、熱環境下で加飾シートの色味が変化することを抑制するという観点から、重合開始剤の含有率は、組成物の固形分の全質量に対し、0.05質量%~1質量%であることが好ましく、0.05質量%~0.5質量%であることがより好ましい。
組成物は、硬化後の液晶層の強度向上及び耐久性向上のため、架橋剤を含んでもよい。架橋剤としては、紫外線、熱、湿気等で硬化するものが好適に使用できる。
架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の多官能アクリレート化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等のエポキシ化合物;2-エチルヘキシルオキセタン、キシリレンビスオキセタン等のオキセタン化合物;2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]、4,4-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等のアジリジン化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、ビウレット型イソシアネート等のイソシアネート化合物;オキサゾリン基を側鎖に有するポリオキサゾリン化合物;ビニルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物などが挙げられる。また、架橋剤の反応性に応じて公知の触媒を用いることができ、液晶層の強度及び耐久性向上に加えて生産性を向上させることができる。
組成物は、1種又は2種以上の架橋剤を含んでもよい。
架橋剤の含有率は、液晶層の強度及び耐久性の観点から、組成物の固形分の全質量に対し、1質量%~20質量%であることが好ましく、3質量%~15質量%であることがより好ましい。
組成物は、他の添加剤を含んでいてもよい。他の添加剤としては、公知の添加剤を用いることができ、界面活性剤、重合禁止剤、酸化防止剤、水平配向剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、着色剤、金属酸化物粒子等を挙げることができる。
組成物は、溶剤を含んでいてもよい。溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、有機溶剤が好ましく用いられる。
有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、アルキルハライド類、アミド類、スルホキシド類、ヘテロ環化合物、炭化水素類、エステル類、エーテル類、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境への負荷を考慮した場合にはケトン類が特に好ましい。また、上述の成分が溶剤として機能していてもよい。
組成物は、1種又は2種以上の溶剤を含んでもよい。
(剥離性基材)
本開示に係る加飾シートは、剥離性基材を含んでもよい。剥離性基材は、例えば、必要に応じて加飾シートから剥離され、剥離性基材により覆われていた層の表面を露出できる。また、剥離性基材は、例えば、支持体又は保護層としても機能できる。剥離性基材を含む加飾シートは、剥離性基材、コレステリック液晶層及び粘着層がこの順に配置された構造を有することが好ましい。剥離性基材は、コレステリック液晶層に接触してもよい。剥離性基材とコレステリック液晶層との間に他の層が配置されてもよい。
剥離性基材の成分としては、例えば、樹脂が挙げられる。樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン-アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、アクリル-ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン(例えば、ポリプロピレン)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロオレフィンポリマー(COP)及びアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)が挙げられる。成型加工性及び強度の観点から、剥離性基材は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ウレタン-アクリル樹脂、ポリカーボネート、アクリル-ポリカーボネート樹脂及びポリプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むことがより好ましい。
剥離性基材は、単層構造又は複層構造であってもよい。剥離性基材は、例えば、易接着層を含んでもよい。剥離性基材は、例えば、アクリル樹脂を含む層とポリカーボネートを含む層とを含んでもよい。
剥離性基材は、必要に応じて、添加物を含んでもよい。添加物としては、例えば、鉱油、炭化水素、脂肪酸、アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、金属石けん、天然ワックス、シリコーン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハロゲン系有機難燃剤、リン系有機難燃剤、金属粉、タルク、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、ガラス繊維、カーボン繊維、木粉、酸化防止剤、紫外線防止剤、滑剤、分散剤、カップリング剤、発泡剤及び着色剤が挙げられる。
剥離性基材は、市販品であってもよい。市販品としては、例えば、コスモシャイン(ポリエチレンテレフタレートフィルム、東洋紡株式会社製)が挙げられる。
剥離性基材の厚さは、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることが更に好ましく、50μm以上であることが特に好ましい。剥離性基材の厚さは、500μm以下であることが好ましく、450μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが更に好ましい。
(基材)
本開示に係る加飾シートは、基材を更に含んでもよい。基材を含む加飾シートは、コレステリック液晶層、粘着層及び基材がこの順に配置された構造を有することが好ましい。基材を含む加飾シートは、基材、コレステリック液晶層及び粘着層がこの順に配置された構造を有することも好ましい。基材は、粘着層又はコレステリック液晶層に接触してもよい。基材と粘着層又はコレステリック液晶層との間に他の層が配置されてもよい。
基材の成分としては、例えば、樹脂が挙げられる。樹脂としては、例えば、上記「剥離性基材」の項に記載された樹脂が挙げられる。基材に含まれる樹脂の好ましい態様は、上記「剥離性基材」の項に記載された樹脂の好ましい態様と同じである。
基材は、必要に応じて、添加物を含んでもよい。添加物としては、例えば、上記「剥離性基材」の項に記載された添加物が挙げられる。
基材は、市販品であってもよい。市販品としては、例えば、テクノロイ(登録商標)シリーズ(アクリル樹脂フィルム又はアクリル樹脂/ポリカーボネート樹脂積層フィルム、住友化学株式会社製)ABSフィルム(オカモト株式会社製)、ABSシート(積水成型工業株式会社製)、テフレックス(登録商標)シリーズ(PETフィルム、帝人フィルムソリューション株式会社製)、ルミラー(登録商標)易成型タイプ(PETフィルム、東レ株式会社製)及びピュアサーモ(ポリプロピレンフィルム、出光ユニテック株式会社製)が挙げられる。
基材の厚さは、1μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることが更に好ましく、50μm以上であることが特に好ましい。剥離性基材の厚さは、500μm以下であることが好ましく、450μm以下であることがより好ましく、200μm以下であることが更に好ましい。
基材は、凹凸構造を有することが好ましい。「凹凸構造」とは、見かけ上、凹部、凸部又は凹部及び凸部の両方の存在によって平らでない構造を意味する。凹凸構造は、ある基準面に対して突き出た部分から形成されてもよく、ある基準面に対してへこんだ部分から形成されてもよく、又はある基準面に対して突き出た部分とへこんだ部分との両方から形成されてもよい。「凹凸構造」とは、隣り合う極大部と極小部との高低差の平均値が3μm~100μmである凹凸構造を意味する。隣り合う極大部と極小部との高低差の平均値は、後述する凸部の高さ(H)の測定方法に準ずる方法によって測定される。
平面視における凸部の形状としては、例えば、線状構造、渦巻き状構造、同心円状構造及び波線状構造が挙げられる。線状とは、特定方向に長さを持った形状を意味する。具体的には、長さ(L)と平均線幅(W)の比(L/W)が5以上である形態などが好ましく挙げられる。断面視における凸部の形状としては、例えば、三角形、正方形、長方形、台形、半円及び半楕円が挙げられる。例えば、基材が、複数の線状凸構造が並ぶ領域と、上記領域の線状凸構造とは長手方向の異なる複数の線状凸構造が並ぶ領域とを有する場合、それぞれの領域が視認する方向により一方の領域が明るく、他方の領域が暗くなる視認性を有する加飾シートが得られる。また、例えば、基材が、同心円状の凸構造を有する領域を有する場合、上記領域が上記同心円の中心から放射状に明暗部分が生じ、視認する方向により明暗部分が変化する視認性を有する加飾シートが得られる。
凹凸構造における凸部は、周期的なピッチで配置されていることが好ましい。ピッチは、凹凸構造において隣り合う凸部と凸部との間隔である。凸部と凸部との間隔は、凸部の最高点と凸部の最高点との間の距離である。例えば、凸部が半球形状である場合、ピッチは、最近接する2つの半球状の凸部の頂点間距離に相当する。例えば、凸部が三角形状である場合、ピッチは最近接する2つの三角形状の凸部の頂点間距離に相当する。
視野角によって色変化に富む視認性が得られること、及び、光輝性の観点から、凹凸構造における凸部の高さ(H)は、3μm~100μmであることが好ましく、3μm~50μmであることがより好ましく、3μm~40μmであることが更に好ましく、4μm~20μmであることが特に好ましい。凸部の高さは、レーザー顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス製のVK-X1000)を用いて測定される、測定対象面において隣り合う極大部と極小部との高低差の平均値によって表される。
視野角によって色変化に富む視認性が得られること、及び、光輝性の観点から、凹凸構造における凸部の幅(W)は、1μm以上であることが好ましく、2μm~200μmであることがより好ましく、30μm~100μmであることが更に好ましく、4μm~40μmであることが特に好ましい。凸部の幅は、レーザー顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス製のVK-X1000)を用いて測定される、測定対象面において隣り合う極小部と極小部との距離の平均値によって表される。
視野角によって色変化に富む視認性を得ること、及び、光輝性の観点から、凹凸構造における凸部の長さ(L)は、5μm以上であることが好ましく、10μm~100mであることがより好ましく、30μm~20mであることが更に好ましく、50μm~10mであることが特に好ましい。凸部の長さは、レーザー顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス製のVK-X1000)を用いて測定される。
視野角によって色変化に富む視認性を得ること、及び、光輝性の観点から、凹凸構造における凸部の幅と凹凸構造における凸部の高さとの比(幅:高さ)は、20:1~1:2であることが好ましく、10:1~1:0.8であることがより好ましく、8:1~1:1であることが更に好ましく、4:1~1:1.2であることが特に好ましい。
基材の厚さH及び基材の微細凹凸構造における凸部の高さHは、0.1<H/Hの関係を満たすことが好ましく、0.5<H/H<200の関係を満たすことがより好ましく、1<H/H<100の関係を満たすことが更に好ましく、5<H/H<50の関係を満たすことが特に好ましい。基材の厚さとは、基材の上面と基材の下面との距離を表す。
基材が線状凸構造を有する場合、凹凸構造における凸部の幅(W)に対する凹凸構造における凸部の長さ(L)の比(L/W)は、5以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましく、10以上であることが更に好ましく、20以上であることが特に好ましい。上記範囲により、光輝性が高く、視野角によって色変化に富む視認性が得られる。
基材が線状凸構造を有する場合、単一の線状凸形状において、長さ(L)の面内方向の成す角度が、45°以上となる領域を少なくとも有することが好ましく、60°以上となる領域を少なくとも有することがより好ましく、70°以上となる領域を少なくとも有することが更に好ましく、90°以上となる領域を少なくとも有することが特に好ましい。上記範囲により、光輝性が高く、視野角によって色変化に富む視認性が得られる。ここで、単一の線状凸形状において、線幅(W)内で、長さ(L)の面内方向の成す角が、20°未満の隣接する凸形状のものは、単一の凸形状の範囲内とみなす。
基材が線状凸構造を有する場合、隣接する線状凸構造同士の長さ(L)方向の成す角度が、45°以上となる領域を面内に少なくとも有することが好ましく、60°以上となる領域を面内に少なくとも有することがより好ましく、70°以上となる領域を面内に少なくとも有することが更に好ましく、80°以上となる領域を面内に少なくとも有することが特に好ましい。上記範囲により、光輝性が高く、視野角によって色変化に富む視認性が得られる。ここで、隣接するとは、隣接する線状凸形状の線幅(W1及びW2)の平均値Wa=(W1+W2)/2の10倍以内の距離に隣り合う形で存在することを意味する。
基材が線状凸構造を有する場合、隣接する凸構造の頂点間の距離(D)と、隣接する凸構造の平均値Wa=(W1+W2)/2との関係が、D>1.5Waとなる領域を含むことが好ましく、1.75Wa≦D≦10Waとなる領域を含むことがより好ましく1.8Wa≦D≦8Waとなる領域を含むことが更に好ましく2DWa≦D≦6Waとなる領域を含むことが特に好ましい。上記範囲により、光輝性が高く、視野角によって色変化に富む視認性が得られる。
(配向層)
本開示に係る加飾シートは、配向層を含んでもよい。配向層は、液晶層の形成の際、液晶化合物を配向させるために用いられる。配向層の厚みは、0.01μm~10μmの範囲にあることが好ましい。
配向層は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、SiOなどの無機化合物の斜方蒸着、マイクログルーブを有する層の形成等の手段で設けることができる。更には、電場の付与、磁場の付与、或いは光照射により配向機能が生じる配向層も知られている。
基材、液晶層などの下層の材料によっては、配向層を設けなくても、下層を直接配向処理(例えば、ラビング処理)することで、配向層として機能させることもできる。そのような下層となる支持体の一例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)を挙げることができる。
また、液晶層の上に直接層を積層する場合、下層の液晶層が配向層として振舞い上層の作製のための液晶化合物を配向させることができる場合もある。このような場合、配向層を設けなくても、また、特別な配向処理(例えば、ラビング処理)を実施しなくても上層の液晶化合物を配向することができる。
以下、好ましい例として表面をラビング処理して用いられるラビング処理配向層及び光配向層を説明する。
ラビング処理配向層に用いることができるポリマーの例には、例えば特開平8-338913号公報の段落0022に記載のメタクリレート系共重合体、スチレン系共重合体、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール及び変性ポリビニルアルコール、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリカーボネート等が含まれる。シランカップリング剤をポリマーとして用いることができる。ラビング処理配向層に用いることができるポリマーとしては、水溶性ポリマー(例、ポリ(N-メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールがより好ましく、ポリビニルアルコール又は変性ポリビニルアルコールが特に好ましい。
配向層のラビング処理面に組成物を塗布して、液晶化合物の分子を配向させる。その後、必要に応じて、配向層ポリマーと液晶層に含まれる多官能モノマーとを反応させるか、あるいは、架橋剤を用いて配向層ポリマーを架橋させることで、上記液晶層を形成することができる。
組成物が塗布される、配向層、基材、又は、そのほかの層の表面は、必要に応じてラビング処理をしてもよい。ラビング処理は、一般にはポリマーを主成分とする膜の表面を、紙又は布で一定方向に擦ることにより実施することができる。ラビング処理の一般的な方法については、例えば、「液晶便覧」(丸善社発行、平成12年10月30日)に記載されている。
ラビング密度を変える方法としては、「液晶便覧」(丸善社発行)に記載されている方法を用いることができる。ラビング密度(L)は、下記式(A)で定量化されている。
式(A) L=Nl(1+2πrn/60v)
式(A)中、Nはラビング回数、lはラビングローラーの接触長、rはローラーの半径、nはローラーの回転数(rpm:revolutions per minute)、vはステージ移動速度(秒速)である。
ラビング密度を高くするためには、ラビング回数を増やす、ラビングローラーの接触長を長く、ローラーの半径を大きく、ローラーの回転数を大きく、ステージ移動速度を遅くすればよく、一方、ラビング密度を低くするためには、この逆にすればよい。また、ラビング処理の際の条件としては、特許第4052558号公報の記載を参照することもできる。
光照射により形成される光配向層に用いられる光配向材料は、多数の文献等に記載がある。例えば、特開2006-285197号公報、特開2007-76839号公報、特開2007-138138号公報、特開2007-94071号公報、特開2007-121721号公報、特開2007-140465号公報、特開2007-156439号公報、特開2007-133184号公報、特開2009-109831号公報、特許第3883848号公報、特許第4151746号公報に記載のアゾ化合物、特開2002-229039号公報に記載の芳香族エステル化合物、特開2002-265541号公報、特開2002-317013号公報に記載の光配向性単位を有するマレイミド及び/又はアルケニル置換ナジイミド化合物、特許第4205195号、特許第4205198号公報に記載の光架橋性シラン誘導体、特表2003-520878号公報、特表2004-529220号公報、特許第4162850号公報に記載の光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又は、エステルが好ましい例として挙げられる。特に好ましくは、アゾ化合物、光架橋性ポリイミド、ポリアミド、又は、エステルである。
上記材料から形成した光配向層に、直線偏光又は非偏光照射を施し、光配向層を製造する。本明細書において、「直線偏光照射」とは、光配向材料に光反応を生じせしめるための操作である。用いる光の波長は、用いる光配向材料により異なり、その光反応に必要な波長であれば特に限定されるものではない。光照射に用いる光は、好ましくは、ピーク波長が200nm~700nmの光であり、より好ましくはピーク波長が400nm以下の紫外光である。
光照射に用いる光源は、公知の光源、例えばタングステンランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ、水銀ランプ、水銀キセノンランプ、カーボンアークランプ等のランプ、各種のレーザー(例、半導体レーザー、ヘリウムネオンレーザー、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAGレーザー)、発光ダイオード、陰極線管などを挙げることができる。
直線偏光を得る手段としては、偏光板(例、ヨウ素偏光板、二色色素偏光板、ワイヤーグリッド偏光板)を用いる方法、プリズム系素子(例、グラントムソンプリズム)又はブリュースター角を利用した反射型偏光子を用いる方法、又は、偏光を有するレーザー光源から出射される光を用いる方法が採用できる。また、フィルター又は波長変換素子等を用いて必要とする波長の光のみを選択的に照射してもよい。
照射する光が直線偏光の場合、配向層に対して上面若しくは裏面から配向層表面に対して垂直、又は、斜めから光を照射する方法が例示される。光の入射角度は、光配向材料によって異なるが、配向層に対して、好ましくは0°~90°(垂直)、より好ましくは40°~90°である。非偏光を利用する場合には、斜めから非偏光を照射する。その入射角度は、好ましくは10°~80°、より好ましくは20°~60°、特に好ましくは30°~50°である。照射時間は、好ましくは1分~60分、より好ましくは1分~10分である。
(粘着層)
本開示に係る加飾シートは、粘着層を含む。例えば、粘着層は、加飾シートにおける層間の密着性を向上できる。例えば、粘着層は、他の部材への加飾シートの貼り付けを容易にできる。粘着層は、常温(例えば、25℃)で粘弾性を示す粘着層であることが好ましい。
粘着層の成分としては、例えば、粘着剤及び接着剤が挙げられる。粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤及びシリコーン系粘着剤が挙げられる。粘着剤としては、例えば、「「剥離紙・剥離フィルム及び粘着テープの特性評価とその制御技術」、情報機構、2004年、第2章」に記載のアクリル系粘着剤、紫外線(UV)硬化型粘着剤及びシリコーン粘着剤も挙げられる。「アクリル系粘着剤」とは、(メタ)アクリルモノマーの重合体を含む粘着剤を意味する。粘着層が粘着剤を含む場合は、粘着層は、粘着付与剤を更に含んでもよい。
接着剤としては、例えば、ウレタン樹脂接着剤、ポリエステル接着剤、アクリル樹脂接着剤、エチレン酢酸ビニル樹脂接着剤、ポリビニルアルコール接着剤、ポリアミド接着剤及びシリコーン接着剤が挙げられる。接着強度がより高いという観点から、ウレタン樹脂接着剤又はシリコーン接着剤が好ましい。
粘着剤、及び接着剤に種々の屈折率を有する無機微粒子を適量添加して本件に関わる屈折率を制御することも可能である。
粘着力及びハンドリング性の観点から、粘着層の厚さは、5μm~200μmであることが好ましい。
粘着層は、例えば、粘着剤及び接着剤からなる群より選択される少なくとも1種を含む組成物を用いて形成される。粘着層は、例えば、シート状の粘着剤又は接着剤を用いて形成されてもよい。シート状の粘着剤の市販品としては、例えば、成型用基材レス両面テープG25(日榮新化株式会社)が挙げられる。
(着色層)
本開示に係る加飾シートは、着色層を含んでもよい。加飾シートにおいて、着色層の少なくとも1層が、液晶層を介して視認するための層であることが好ましい。着色層の少なくとも1層を液晶層を介して視認することにより、液晶層における入射光の角度に応じた異方性に基づき、着色層が視認する角度に応じて色の変化が生じ、特殊な意匠性を示すと推察される。
また、本開示に係る加飾シートが着色層を2層以上有する場合、着色層の少なくとも1層が液晶層を介して視認するための層であり、かつ着色層の少なくとも他の1層が液晶層よりも視認方向に近い層(「カラーフィルター層」ともいう。)である態様が好ましく挙げられる。なお、「視認方向に近い」とは、視認される際において視認者に近いことを指している。液晶層よりも視認方向に近い着色層(カラーフィルター層)は、少なくとも特定の波長の光に対して透過性の高い層であり、その層構成に特に制限はなく、単色のカラーフィルター層であってもよいし、2色以上のカラーフィルター構造及び必要に応じブラックマトリックス等を有するカラーフィルター層であってもよい。加飾シートがカラーフィルター層を有することにより、更なる意匠性を有し、また、特定の波長範囲のみを視認可能な加飾シートが得られる。
着色層の少なくとも1つの層、好ましくは液晶層を介して視認するための着色層の全光透過率は、視認性の観点から、10%以下であることが好ましい。
着色層の色としては、制限されず、加飾シートの用途等に応じて適宜選択することができる。着色層の色としては、例えば、黒、灰、白、赤、橙、黄、緑、青、紫等が挙げられる。また、着色層の色は、金属調の色であってもよい。
着色層は、強度及び耐傷性の観点から、樹脂を含むことが好ましい。樹脂としては、後述するバインダー樹脂が挙げられる。また、着色層は、重合性化合物を硬化してなる層であってもよく、重合性化合物及び重合開始剤を含む層であってもよい。重合性化合物及び重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の重合性化合物及び公知の重合開始剤を用いることができる。
着色剤としては、例えば、顔料、染料等が挙げられ、耐久性の観点から、顔料が好ましい。着色層を金属調とするために、金属粒子、パール顔料等を適用することができ、蒸着、また、メッキ等の方法を適用することもできる。
顔料としては、制限されず、公知の無機顔料、有機顔料等を適用することができる。無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、リトポン、軽質炭酸カルシウム
、ホワイトカーボン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の白色顔料、カーボンブラック、チタンブラック、チタンカーボン、酸化鉄、黒鉛等の黒色顔料、酸化鉄、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローなどが挙げられる。
無機顔料としては、特開2005-7765号公報の段落0015及び段落0114に記載の無機顔料を適用することもできる。
有機顔料としては、例えば、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系顔料、アゾレッド、アゾイエロー、アゾオレンジ等のアゾ系顔料、キナクリドンレッド、シンカシャレッド、シンカシャマゼンタ等のキナクリドン系顔料、ペリレンレッド、ペリレンマルーン等のペリレン系顔料、カルバゾールバイオレット、アントラピリジン、フラバンスロンイエロー、イソインドリンイエロー、インダスロンブルー、ジブロムアンザスロンレッド、アントラキノンレッド、ジケトピロロピロールなどが挙げられる。有機顔料の具体例としては、C.I.Pigment Red 177、179、224、242、254、255、264等の赤色顔料、C.I.Pigment Yellow 138、139、150、180、185等の黄色顔料、C.I.Pigment Orange 36、38、71等の橙色顔料、C.I.Pigment Green 7、36、58等の緑色顔料、C.I.Pigment Blue 15:6等の青色顔料、C.I.Pigment Violet 23等の紫色顔料が挙げられる。有機顔料としては、特開2009-256572号公報の段落0093に記載の有機顔料を適用することもできる。
顔料としては、光透過性及び光反射性を有する顔料(いわゆる、光輝性顔料)を含んでいてもよい。光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、スズ、酸化アルミニウム、及びこれらの合金等の金属製光輝性顔料、干渉マイカ顔料、ホワイトマイカ顔料、グラファイト顔料、ガラスフレーク顔料などが挙げられる。光輝性顔料は、無着色のものであってよく、着色されたものであってもよい。光輝性顔料は、成型用加飾フィルムの成型において露光を行う場合、露光による硬化を妨げない範囲において用いられることが好ましい。
着色剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。また、2種以上の着色剤を用いる場合、無機顔料と有機顔料とを組み合わせてもよい。
着色剤の含有量は、目的とする色の発現及び成型加工適性の観点から、着色層の全質量に対して、1質量%~50質量%が好ましく、5質量%~50質量%がより好ましく、10質量%~40質量%が特に好ましい。
着色層に含まれる着色剤、特に顔料の分散性を向上する観点から、着色層は、分散剤を含有してもよい。分散剤を含むことにより、形成される着色層における着色剤の分散性が向上し、得られる加飾フィルムにおける色の均一化が図れる。
分散剤は、着色剤の種類、形状等に応じて適宜選択することができ、高分子分散剤であることが好ましい。
高分子分散剤としては、例えば、シリコーンポリマー、アクリルポリマー、ポリエステルポリマー等が挙げられる。加飾フィルムに耐熱性を付与したい場合には、例えば、分散剤として、グラフト型シリコーンポリマー等のシリコーンポリマーを用いることが好ましい。
分散剤の重量平均分子量は、1,000~5,000,000であることが好ましく、2,000~3,000,000であることがより好ましく、2,500~3,000,000であることが特に好ましい。重量平均分子量が1,000以上であると、着色剤の分散性がより向上する。
分散剤としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、BASFジャパン社のEFKA 4300(アクリル系高分子分散剤)、花王株式会社製のホモゲノールL-18、ホモゲノールL-95、ホモゲノールL-100、日本ルーブリゾール株式会社製の、ソルスパース20000、ソルスパース24000、ビックケミー・ジャパン株式会社製の、DISPERBYK-110、DISPERBYK-164、DISPERBYK-180、DISPERBYK-182等が挙げられる。なお、「ホモゲノール」、「ソルスパース」、及び「DISPERBYK」はいずれも登録商標である。
分散剤は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
分散剤の含有量は、着色剤100質量部に対して、1質量部~30質量部であることが好ましい。
着色層は、成型加工適正の観点から、バインダー樹脂を含むことが好ましい。バインダー樹脂としては、制限されず、公知の樹脂を適用することができる。バインダー樹脂は、所望の色を得る観点から、透明な樹脂であることが好ましく、具体的には、全光透過率が80%以上の樹脂であることが好ましい。全光透過率は、分光光度計(例えば、株式会社島津製作所製、分光光度計UV-3100PC)により測定することができる。
バインダー樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリオレフィン等が挙げられる。バインダー樹脂は、特定の単量体の単独重合体であってもよく、特定の単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。
バインダー樹脂は、1種単独で用いられてもよく、2種以上を組み合わせて用いられてもよい。
バインダー樹脂の含有量は、成型加工性の観点から、着色層の全質量に対して、5質量%~70質量%であることが好ましく、10質量%~60質量%であることがより好ましく、20質量%~60質量%であることが特に好ましい。
着色層は、上記の成分以外に、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、制限されず、公知の添加剤を適用することができる。添加剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009-237362号公報の段落0060~0071に記載の界面活性剤、特許第4502784号公報の段落0018に記載の熱重合防止剤(重合禁止剤ともいう。好ましくはフェノチアジンが挙げられる。)、特開2000-310706号公報の段落0058~0071に記載の添加剤等が挙げられる。
着色層の厚さは、特に制限はないが、視認性及び立体成型性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、3μm~50μmであることが更に好ましく、3μm~20μmであることが特に好ましい。加飾シートが着色層を2層以上有する場合は、各着色層がそれぞれ独立に、上記厚さの範囲であることが好ましい。
(紫外線吸収層)
本開示に係る加飾シートは、耐光性の観点から、紫外線吸収層を含んでもよい。紫外線吸収層は、紫外線吸収剤を含む層であることが好ましく、紫外線吸収剤及びバインダーポリマーを含む層であることがより好ましい。
紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤を特に制限なく使用することができ、有機化合物であっても無機化合物であってもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリチル酸化合物、金属酸化物粒子などが挙げられる。また、紫外線吸収剤としては、紫外線吸収構造を含むポリマーであってもよく、紫外線吸収構造を含むポリマーとしては、トリアジン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリチル酸化合物等の構造の少なくとも一部を含むアクリル酸エステル化合物に由来する単量体単位を含むアクリル樹脂等が挙げられる。金属酸化物粒子としては、酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化セリウム粒子などが挙げられる。
バインダーポリマーとしては、ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリエステル、フッ素樹脂、シロキサン樹脂及びポリウレタン等が挙げられる。
紫外線吸収層の厚さは、特に制限はないが、耐光性及び立体成型性の観点から、0.01μm~100μmであることが好ましく、0.1μm~50μmであることがより好ましく、0.5μm~20μmであることが特に好ましい。
(選択反射ピーク)
本開示に係る加飾シートにおいて、少なくとも2つの領域で測定される可視光の選択反射ピーク(スペクトルのピークが判別しにくい時は「反射帯域中心波長」という。)は、互いに異なることが好ましい。少なくとも2つの領域で測定される可視光の選択反射ピークが互いに異なることで、光輝性が高く、視野角によって色変化に富む視認性が得られる。選択反射ピークは、分光光度計(例えば、株式会社島津製作所製、分光光度計UV-3100PC)を用いて得られた反射率グラフを最大反射率Rmaxの50%の反射率を示す2つの波長のうちの短波長側の波長λ1及び長波長側の波長λ2に基づいて、λs=(λ1+λ2)/2で表される式により求められる。可視光の選択反射ピークは、例えば、光異性化性化合物の異性化に起因するらせん構造のピッチの変化によって調整される。
本開示に係る加飾シートにおいて、80℃で240時間の加熱試験前に測定される可視光の選択反射ピークと、80℃で240時間の加熱試験後に測定される可視光の反射帯域中心波長との差の絶対値は、0nm~20nmであることが好ましく、0nm~15nmであることがより好ましく、0nm~10nmであることが更に好ましく、0nm~5nmであることが特に好ましい。上記した絶対値の差が小さいと、熱環境下で、低分子化合物のマイグレーションに起因する加飾シートの色味の変化が抑制される。加熱試験において、試料の加熱はオーブンを用いて実施され、加熱試験後の測定箇所は、加熱試験前の測定箇所と同じである。
(その他の層)
本開示に係る加飾フィルムは、上述した以外のその他の層を有していてもよい。
その他の層としては、加飾フィルムにおいて公知の層である、保護層、易接着層、自己修復層、帯電防止層、防汚層、防電磁波層、導電性層等が挙げられる。
その他の層は公知の方法により形成することができる。例えば、これらの層に含まれる成分を含む組成物(層形成用組成物)を層状に付与し、乾燥する方法が挙げられる。
<各層の配置>
加飾フィルムの各層の配置は制限されない。加飾フィルムの各層は、次のように配置されてもよい。「/」は、層の境界を示す。また、左側が視認側であるものとする。
また、偏光解消能を有する層としては、光散乱層又は光学異方性層が好適に挙げられる。更に、コレステリック液晶層は、1つの層であっても、2以上の層からなる層であってもよい。
(1)偏光解消能を有する層/コレステリック液晶層
(2)透過性層/コレステリック液晶層
(3)偏光解消能を有する層/コレステリック液晶層/基材
(4)透過性層/コレステリック液晶層/基材
(5)偏光解消能を有する層/コレステリック液晶層/粘着層/基材
(6)透過性層/コレステリック液晶層/粘着層/基材
(7)偏光解消能を有する層/粘着層/コレステリック液晶層/粘着層/基材
(8)偏光解消能を有する層/コレステリック液晶層/基材/着色層
(9)透過性層/コレステリック液晶層/基材/着色層
(10)偏光解消能を有する層/コレステリック液晶層/粘着層/基材/粘着層/着色層
(11)透過性層/コレステリック液晶層/粘着層/基材/粘着層/着色層
(12)偏光解消能を有する層/粘着層/コレステリック液晶層/粘着層/基材/粘着層/着色層
上記偏光解消能を有する層が、上記コレステリック液晶層よりも視認側に配置されることが好ましい。
(加飾シートの製造方法)
目的とする加飾シートが得られる限り、加飾シートの製造方法は、制限されない。加飾シートは、例えば、上記「粘着層」に記載された粘着層の形成方法と、上記「コレステリック液晶層」に記載されたコレステリック液晶層の形成方法と、を組み合わせて製造される。本開示に係る加飾シートの製造方法は、重合性基を有する液晶性化合物と、重合性基を有する光異性化性カイラル剤と、光重合開始剤と、を含む組成物を準備すること(以下、「準備工程」という。)と、剥離性基材の上に上記組成物を塗布すること(以下、「塗布工程」という。)と、上記組成物を光により硬化させ、コレステリック液晶層を形成すること(以下、「硬化工程」という。)と、上記コレステリック液晶層の上に、粘着層を形成すること(以下、「粘着層の形成工程」という。)と、をこの順に含むことが好ましい。
また、本開示に係る加飾シートの製造方法は、面内で異なる選択反射波長を有する液晶化合物を含む層を形成する工程、及び、上記液晶化合物を含む層の配向を固定化させ上記コレステリック液晶層を形成する工程(上記硬化工程に該当する。)を含むことが好ましく、面内で異なる選択反射波長を有する液晶化合物を含む層を形成する工程、及び、上記液晶化合物を含む層の配向を固定化させ上記コレステリック液晶層を形成する工程をこの順で含むことがより好ましい。
準備工程では、重合性基を有する液晶性化合物と、重合性基を有する光異性化性カイラル剤と、光重合開始剤と、を含む組成物を準備する。組成物は、例えば、原材料を公知の方法によって混合することで得られる。組成物における各成分の態様は、上記「コレステリック液晶層」の項に記載されている。組成物の好ましい態様として、上記「コレステリック液晶層」の項に記載された組成物の態様が適用されてもよい。
準備工程において、光異性化性カイラル剤は、2つの重合性基を有する光異性化性カイラル剤を含むことが好ましい。既述のとおり、2つの重合性基を有する光異性化性カイラル剤は、液晶化合物によるらせん構造を誘起するだけでなく、硬化反応を促進し、コレステリック液晶層における低分子化合物の含有量を低減できる。
準備工程において、組成物における組成物の固形分の総量に対する2つの重合性基を有する化合物の総量の割合は、4質量%~25質量%であることが好ましい。既述のとおり、上記した割合が4質量%以上であると、熱環境下で加飾シートの色味が変化することが抑制され、上記した割合が25質量%以下であると、コレステリック液晶層の延伸性が増大する。上記した割合の好ましい範囲は、上記「コレステリック液晶層」の項に記載されている。
塗布工程では、剥離性基材の上に組成物を塗布する。剥離性基材の態様は、上記「剥離性基材」の項に記載されている。組成物の塗布方法としては、例えば、ロールコーティング法、グラビア印刷法、スピンコート法、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法及びダイコーティング法が挙げられる。また、組成物は、インクジェット装置を用いてノズルから吐出されてもよい。塗布工程は、剥離性基材の上に塗布された組成物を乾燥することを含むことが好ましい。組成物は、例えば、公知の方法によって乾燥されてもよい。組成物は、放置によって乾燥されてもよい。組成物は、加熱によって乾燥されてもよい。
硬化工程では、組成物を光により硬化させ、コレステリック液晶層を形成する。硬化工程は、液晶化合物の配向状態を固定化できる。硬化工程に使用される光源は、光重合開始剤の種類に応じて決定されてもよい。光源は、365nm、405nm又は365nm及び405nmの両方を含む光を照射する光源であることが好ましい。光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯及びメタルハライドランプが挙げられる。
硬化反応の促進の観点から、照度は、200mW/cm以上であることが好ましく、200mW/cm~1,500mW/cmであることがより好ましく、300mW/cm~1,000mW/cmであることが更に好ましい。
硬化反応の促進の観点から、照射量は、500mJ/cm以上であることが好ましく、500mJ/cm~1,500mJ/cmであることがより好ましく、500mJ/cm~1,000mJ/cmであることが更に好ましい。
露光方法として、例えば、特開2006-23696号公報の段落0035~段落0051に記載の方法が適用されてもよい。
硬化工程では、光だけでなく、光及び熱の併用によって組成物が硬化されてもよい。硬化反応の促進の観点から、加熱温度は、50℃~120℃であることが好ましく、60℃~120℃であることがより好ましく、70℃~120℃であることが更に好ましい。加熱時間は、1分間~2時間であることが好ましい。加熱手段としては、例えば、ヒーター、オーブン、ホットプレート、赤外線ランプ及び赤外線レーザーが挙げられる。
硬化工程が実施される雰囲気は、制限されない。硬化工程は、大気下、酸素雰囲気下又低酸素雰囲気下(好ましくは、酸素濃度1,000ppm以下、つまり酸素を含まないか、0ppm超1,000ppm以下の酸素を含む雰囲気下)で実施されてもよい。硬化をより促進するため、硬化工程は、低酸素雰囲気下で実施されることが好ましく、加熱下かつ低酸素雰囲気下で実施されることがより好ましい。
粘着層の形成工程では、コレステリック液晶層の上に、粘着層を形成する。粘着層の具体的な形成方法は、上記「粘着層」の項に記載されている。
本開示に係る加飾シートの製造方法が、面内で異なる選択反射波長を有する液晶化合物を含む層を形成する工程を含むことが好ましい。具体的には、組成物の硬化前(すなわち、硬化工程の前)に、フォトマスクを介して組成物に光を照射することを更に含み、フォトマスクの少なくとも2つの領域で測定される透過率は、互いに異なることが好ましい。以下、本段落において上記した方法を「光異性化工程」という。
光異性化工程では、例えば、光の照射範囲及び組成物に到達する光の波長に応じて、光異性化性カイラル剤を異性化させる範囲及び異性化割合が調整される。光の照射範囲は、目的(例えば、成型の形状)に応じて決定されてもよい。また、ある領域の異性化割合と他の領域の異性化割合との間に差が生じるように、フォトマスクを介して光が照射されてもよい。例えば、組成物に対して、異性化割合が0%である領域と、異性化割合が100%である領域とを形成してもよい。例えば、組成物に対して、異性化割合が0%から100%まで連続的に又は非連続的に変化する領域を形成してもよい。例えば、組成物に対して、異性化割合が0%である領域と、異性化割合が50%から100%まで連続的に又は非連続的に変化する領域とを形成してもよい。例えば、組成物に対して、異性化割合が10%である領域と、異性化割合が80%である領域とを形成してもよい。光異性化の進行は、異性化部の反射率の極大波長を測定することでわかる。異性化割合は、対象とする光異性化性化合物の総分子数に対する、光異性化した光異性化性化合物分子数の割合を表し、同様に、反射率の極大波長を測定することで求めることができる。
光異性化工程では、光の照射領域ごとに露光強度を変えてもよい。露光強度は、異性化割合を調整できる。露光強度は、連続的又は非連続的に変化してもよい。
光異性化工程において組成物に照射される光は、光異性化可能な波長を含む光であればよい。400nm以下の波長範囲の光が好ましく、360nm以下の波長範囲の光がより好ましく、310nm~360nmの波長範囲の光が更に好ましい。光異性化工程における露光波長の調整は、公知の手段及び公知の方法を用いることができる。例えば、光学フィルターを用いる方法、2種以上の光学フィルターを用いる方法及び特定波長の光源を用いる方法が挙げられる。光異性化工程においては、重合開始剤から重合開始種が発生しない波長域の光が照射されることが好ましい。例えば、光異性化合物の光異性化が生じる波長域の光を透過し、重合開始剤から重合開始種が発生する波長域の光を遮光するマスクが好ましく使用される。
光異性化工程で使用される光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯及びメタルハライドランプが挙げられる。また、光源としては、波長域の狭い光を照射可能な発光ダイオード等も用いることができる。その場合は、必要に応じて、マスクを使用してもよいし、使用しなくともよい。
光異性化工程における照射量としては、特に制限はなく、適宜設定すればよく、5mJ/cm~2,000mJ/cmであることが好ましく、10mJ/cm~1,000mJ/cmであることがより好ましい。また、所望の異性化割合に応じ、照射領域ごとに照射量を変化させてもよい。
光異性化工程では、組成物を加熱することが好ましい。加熱温度としては、特に制限はなく、使用する光異性化性化合物等に応じて選択すればよく、例えば、60℃~120℃が挙げられる。
光異性化工程における露光方法としては、光異性化が可能であれば、特に制限はないが、例えば、特開2006-23696号公報の段落0035~段落0051に記載の方法を本開示においても好適に用いることができる。
光異性化工程において、フォトマスクの少なくとも2つの領域で測定される透過率は、互いに異なっている。例えば、フォトマスクは、透過率が0%である領域と、透過率が100%である領域と、を含んでもよい。例えば、フォトマスクは、透過率が0%から100%まで連続的に又は非連続的に変化する領域を含んでもよい。透過率が0%から100%まで連続的に変化する領域を含むフォトマスクとしては、例えば、図1に示されるパターニング用のマスクが挙げられる。図1に示されるパターニング用のマスクの詳細は、後述される。
本開示に係る加飾シートの製造方法は、粘着層の形成工程の後に、剥離性基材にかえて凹凸構造を有する基材を導入することを含んでもよい。既述した準備工程、塗布工程、必要に応じて光異性化工程、硬化工程及び粘着層の形成工程を経て得られた積層体から剥離性基材を剥離し、粘着層及びコレステリック液晶層を含む積層体と、凹凸構造を有する基材とを貼り合わせることで、剥離性基材にかえて凹凸構造を有する基材が導入される。凹凸構造を有する基材の態様は、上記「基材」の項に記載されている。積層体と基材との貼り合わせは、加熱条件で実施されることが好ましい。加熱温度は、50℃~90℃であることが好ましい。
本開示に係る加飾シートの製造方法は、既述した加飾シートの製造方法によって、粘着層と、上記粘着層に接触したコレステリック液晶層と、を含む積層体を準備することと、上記積層体と、凹凸構造を有する基材とを貼り合わせることと、を含むことが好ましい。積層体は、例えば、既述した準備工程、塗布工程、必要に応じて光異性化工程、硬化工程及び粘着層の形成工程によって得られる。積層体が剥離性基材を含む場合、凹凸構造を有する基材は、既述の方法によって、剥離性基材にかえて積層体に導入されてもよい。凹凸構造を有する基材の態様は、上記「基材」の項に記載されている。積層体と基材との貼り合わせは、加熱条件で実施されることが好ましい。加熱温度は、50℃~90℃であることが好ましい。
<加飾用パネル>
本開示に係る加飾用パネルは、本開示に係る加飾シート、又は、後述する本開示に係る成型体を備えた加飾パネルである。加飾シートの好ましい態様は、上記「加飾シート」に記載された加飾シートの好ましい態様と同じである。
加飾パネルの形状は制限されない。加飾パネルの形状は、例えば、用途に応じて決定すればよい。加飾パネルは、例えば、平板状であってもよい。また、加飾パネルは、曲面を有してもよい。
加飾パネルは、例えば、種々の物品(例えば、電子デバイス、自動車及び電気製品)の内外装に用いることができる。
加飾パネルは、例えば、加飾フィルム又は成型体の反射層側の表面と加飾パネルの表層部となる部材の表面とを接着させることで製造することができる。加飾パネルの表層部となる部材としては、例えば、ガラスパネルが挙げられる。加飾フィルム又は成型体と加飾パネルの表層部となる部材との接着には、例えば、上述した粘着層を用いることができる。加飾フィルム又は成型体と他の部材とを組み合わせず、成型体を単独で加飾パネルとして用いてもよい。
加飾用パネルは、例えば、電子デバイスの筐体及び自動車の内外装に利用される。ただし、加飾用パネルの用途は、上記した具体例に制限されるものではない。
<成型体、物品、電子デバイス>
本開示に係る加飾シートは、種々の用途に用いることができ、例えば、加飾シートを成型して成型体として用いることができる。
本開示に係る成型体は、加飾シートを成型してなる成型体である。
本開示に係る物品は、本開示に係る加飾シート、又は、本開示に係る成型体を備えた物品である。
このような加飾フィルム又は成型体は、様々な物品に備えることができる。
そのような物品としては、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット、及び、携帯ゲーム機等の電子デバイス、自動車、電化製品、包装容器等が挙げられ、とりわけ、電子デバイスに好適に用いることができる。
本開示に係る電子デバイスは、本開示に係る加飾用パネルを含む。加飾用パネルの好ましい態様は、上記「加飾用パネル」に記載された加飾用パネルの好ましい態様と同じである。電子デバイスとしては、例えば、ディスプレイ、スマートフォン、携帯電話及びタブレットが挙げられる。
中でも、通常のディスプレイ、又は、スマートフォン、家電製品、オーディオ製品、コンピュータ、車載製品等の表示装置におけるディスプレイに特に好適に用いることができる。
加飾フィルムを成型して成型体を得るための手段は、特に限定されず、例えば、立体成型、インサート成型等の公知の方法であってよい。また、加飾フィルムを物品に適用するための手段も特に限定されず、物品の種類に応じて、公知の方法を適宜用いてよい。
成型方法としては、例えば、インサート成型及び立体成型が挙げられる。インサート成型において、成型物は、例えば、金型内に加飾シートを配置して、金型内で樹脂を射出成型することにより得られる。インサート成型により、樹脂成型物と加飾シートとが一体化された成型物が得られる。立体成型としては、例えば、熱成型、真空成型、圧空成型及び真空圧空成型が挙げられる。真空とは、100Pa以下の状態を指す。真空成型は、例えば、日本製図器工業株式会社製のFormech508FSを用いて実施される。立体成型における温度は、60℃以上であることが好ましく、80℃以上であることより好ましく、100℃以上であることが更に好ましい。立体成型における温度の上限は、200℃であることが好ましい。
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「%」とは「質量%」を意味し、「部」とは「質量部」を意味する。
<支持体>
支持体として、片面に易接着層を含むポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡株式会社製、コスモシャインA4100、膜厚100μm)を準備した。支持体の両面のうち易接着層が形成されていない片面に、ラビング処理(レーヨン布、圧力0.1kgf、回転数1000rpm(revolutions per minute)、搬送速度10m/分、回数1回)を実施した。
<液晶層形成用塗布液1>
下記の組成を有する液晶層形成用塗布液1を調製した。下記の化学式において、Meはメチル基を表す。
・下記液晶化合物1:11.01質量部
Figure 2023020959000030
・下記液晶化合物2:11.01質量部
Figure 2023020959000031
・下記液晶化合物3(3種の混合物):1.16質量部
Figure 2023020959000032
・下記カイラル剤1:1.62質量部
Figure 2023020959000033
・光重合開始剤(ジエチルチオキサントン(富士フイルム和光純薬株式会社製)):0.12質量部
・下記界面活性剤1:0.07質量部
Figure 2023020959000034
・下記界面活性剤2:0.01質量部
Figure 2023020959000035
・メチルエチルケトン(溶剤):52.5質量部
・シクロヘキサノン(溶剤):22.5質量部
<液晶層形成用塗布液2>
下記の組成を有する液晶層形成用塗布液2を調製した。
・液晶化合物3:31.14質量部
・カイラル剤1:2.58質量部
・光重合開始剤(ジエチルチオキサントン(富士フイルム和光純薬株式会社製)):1.25質量部
・界面活性剤1:0.02質量部
・界面活性剤2:0.02質量部
・メチルエチルケトン(溶剤):45.5質量部
・シクロヘキサノン(溶剤):19.5質量部
<液晶層形成用塗布液3>
下記の組成を有する液晶層形成用塗布液3を調製した。
・液晶化合物3:29.76質量部
・下記カイラル剤2:4.02質量部
Figure 2023020959000036
・光重合開始剤(ジエチルチオキサントン(富士フイルム和光純薬株式会社製)):1.19質量部
・界面活性剤1:0.02質量部
・界面活性剤2:0.02質量部
・メチルエチルケトン(溶剤):45.5質量部
・シクロヘキサノン(溶剤):19.5質量部
<液晶層形成用塗布液4>
下記の組成を有する液晶層形成用塗布液4を調製した。
・液晶化合物3:30.78質量部
・カイラル剤1:2.95質量部
・光重合開始剤(ジエチルチオキサントン(富士フイルム和光純薬株式会社製)):1.23質量部
・界面活性剤1:0.02質量部
・界面活性剤2:0.02質量部
・メチルエチルケトン(溶剤):45.5質量部
・シクロヘキサノン(溶剤):19.5質量部
<透光性層用塗布液1>
下記の組成を有する透光性用塗布液1を以下の順で添加し調製した。
・光重合開始剤(Omnirad127(IGMレジンズ社製)):2.36質量部
・メチルエチルケトン(希釈溶剤):21.24質量部
・フェノキシエチルアクリレートPO-A(共栄社化学社製):76.3質量部
<光散乱性層用塗布液1>
下記の組成を有する光散乱性層用塗布液1を調製した。
・メチルエチルケトン(分散媒):57.44質量部
・透光性アクリル粒子(粒径3μm、SSX-103(積水化成品工業社製)):6.38質量部
・光重合開始剤(Omnirad127(IGMレジンズ社製)):0.85質量部
・フェノキシエチルアクリレートPO-A(共栄社化学社製):35.32質量部
<光散乱性層用塗布液2>
下記の組成を有する光散乱性層用塗布液1を調製した。
・メチルエチルケトン(分散媒):57.44質量部
・透光性アクリル粒子(粒径8μm、MBX-8(積水化成品工業社製)):5.11質量部
・光重合開始剤(Omnirad127(IGMレジンズ社製)):0.85質量部
・フェノキシエチルアクリレートPO-A(共栄社化学社製):36.59質量部
<実施例1>
(積層体1A)
ワイヤーバー#5を用いて、支持体のラビング処理面に液晶層形成用塗布液1を塗布し、85℃で2分間乾燥させることによって、液晶層を形成した。
次に、液晶層に対して異性化処理を行った。具体的には、支持体と液晶層とを含む積層体における支持体に、図1に示されるパターニング用のマスクを密着させた。メタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光を、マスクを介して液晶層に照射することで、液晶層の一部に対して異性化処理を行った。図1に示されるパターニング用のマスクは、黒色インクと、基材としてポリエチレンテレフタレートとを用いて作製された。マスクの一端から他端に向かって、マスクの透過率は、100%から0%へ連続的に変化している。マスクの透過率は、2μm程度のドットから構成されるドット密度で調整された。ドット密度が大きくなるほど、透過率が小さくなる。ドットは、黒色インクを用いて形成された。光の照射量は、10mJ/cmであった。
次に、液晶層に対して硬化処理を行い、液晶層を硬化させた。具体的には、低酸素雰囲気下(酸素濃度1,000ppm以下)、85℃のホットプレートの上で、メタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光を液晶層に照射することで、液晶層を硬化させコレステリック液晶層を形成した。光の照射量は、1,000mJ/cmであった。コレステリック液晶層の反射波長領域は、450nm~650nmであった。
次に、ワイヤーバー#4を用いて、コレステリック液晶層の面に透光性層用塗布液1を塗布し、60℃で1分乾燥させ、引き続きメタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光を透光性層に照射することで、透光性層を硬化させた。光の照射量は、1,000mJ/cmであった。
次に、透光性層の上に、粘着剤(日榮新化株式会社製G25)を用いて粘着層を形成した。
更に、粘着層を覆っていたセパレータを剥離し、粘着層にガラス(日本電気硝子株式会社製OA-10G)を貼り付けた。
また、支持体の液晶塗布面とは逆の面に粘着剤付き黒色PETフィルム(くっきりミエール、(株)巴川製紙所製)をラミネートし積層体1Aを得た。
<実施例2>
(積層体1B)
透光性層用塗布液1を光散乱性層用塗布液1に変更したこと以外は、実施例1と同じ手順によって積層体1Bを得た。コレステリック液晶層の反射波長領域は、450nm~650nmであった。光散乱性層1の平均高さは1.6μmであった。
<光学異方性層1>
ポリカーボネートフィルム:テクノロイC000(住化アクリル販売株式会社製)を150℃雰囲気下で自由端一軸延伸したフィルムを粘着剤を介して数枚重ね合わせて光学異方性層1を作製した。光学異方性層1のReは2.4×10nm、Rthは1.1×10nmであった。
<実施例3>
(積層体1C)
実施例1のコレステリック液晶層の面に粘着剤(日榮新化株式会社製G25)を介して光学異方性層1、上記粘着剤を介してガラス(日本電気硝子株式会社製OA-10G)をこの順で貼り付けた。
また、支持体の液晶塗布面とは逆の面に粘着剤付き黒色PETフィルム(くっきりミエール、(株)巴川製紙所製)をラミネートし積層体1Cを得た。
<実施例4>
(積層体2A)
液晶層形成用塗布液1を液晶層形成用塗布液2に変更したこと以外は、実施例1と同じ手順によって積層体2Aを得た。コレステリック液晶層の反射波長領域は、400~620nmであった。
<実施例5>
(積層体2B)
液晶層形成用塗布液1を液晶層形成用塗布液2に変更したこと以外は、実施例2と同じ手順によって積層体2Bを得た。コレステリック液晶層の反射波長領域は、400~620nmであった。光散乱性層1の平均高さは1.6μmであった。
<実施例6>
(積層体2C)
液晶層形成用塗布液1を液晶層形成用塗布液2に変更したこと以外は、実施例3と同じ手順によって積層体2Cを得た。コレステリック液晶層の反射波長領域は、400nm~620nmであった。
<実施例7>
(積層体3A)
ワイヤーバー#5を用いて、支持体のラビング処理面に液晶層形成用塗布液2を塗布し、85℃で2分間乾燥させることによって、1層目の液晶層を形成した。
次に、液晶層に対して異性化処理を行った。具体的には、支持体と液晶層とを含む積層体における支持体に、図1に示されるパターニング用のマスクを密着させた。メタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光を、マスクを介して液晶層に照射することで、液晶層の一部に対して異性化処理を行った。図1に示されるパターニング用のマスクは、黒色インクと、基材としてポリエチレンテレフタレートとを用いて作製された。マスクの一端から他端に向かって、マスクの透過率は、100%から0%へ連続的に変化している。マスクの透過率は、2μm程度のドットから構成されるドット密度で調整された。ドット密度が大きくなるほど、透過率が小さくなる。ドットは、黒色インクを用いて形成された。光の照射量は、10mJ/cmであった。
次に、液晶層に対して硬化処理を行い、液晶層を硬化させた。具体的には、低酸素雰囲気下(酸素濃度1,000ppm以下)、85℃のホットプレートの上で、メタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光を液晶層に照射することで、液晶層を硬化させ1層目のコレステリック液晶層を形成した。光の照射量は、1,000mJ/cmであった。1層目のコレステリック液晶層の反射波長領域は、400nm~620nmであった。
次に、ワイヤーバー#5を用いて、1層目のコレステリック液晶層の面に液晶層形成用塗布液3を塗布し、85℃で2分間乾燥させることによって、2層目のコレステリック液晶層を形成した。
次に、1層目の液晶層と同様に異性化処理、硬化処理を行い、2層目のコレステリック液晶層を作製した。異性化処理の光の照射量は、120mJ/cmであった。コレステリック液晶層の反射波長領域は400nm~620nmであった。
次に、ワイヤーバー#4を用いて、2層目のコレステリック液晶層の面に透光性層用塗布液1を塗布し、60℃で1分乾燥させ、引き続きメタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光を透光性層に照射することで、透光性層を硬化させた。光の照射量は、1,000mJ/cmであった。
次に、透光性層の上に、粘着剤(日榮新化株式会社製G25)を用いて粘着層を形成した。
更に、粘着層を覆っていたセパレータを剥離し、粘着層にガラス(日本電気硝子株式会社製OA-10G)を貼り付けた。
また、支持体の液晶塗布面とは逆の面に粘着剤付き黒色PETフィルム(くっきりミエール、(株)巴川製紙所製)をラミネートし積層体3Aを得た。
<比較例1>
(積層体1D)
透光性層用塗布液1を用いた透光性層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同じ手順によって積層体1Dを得た。
<比較例2>
(積層体2D)
透光性層用塗布液1を用いた透光性層を形成しなかったこと以外は、実施例4と同じ手順によって積層体2Dを得た。
<比較例3>
(積層体3D)
透光性層用塗布液1を用いた透光性層を形成しなかったこと以外は、実施例7と同じ手順によって積層体3Dを得た。
<比較例4>
(積層体2E)
透光性層用塗布液1を、透光性層用塗布液1にジルコニア分散液:OZ-S40K-AC(日産化学社製)を加えた透光性層用塗布液2に変更したこと以外は、実施例4と同じ手順によって積層体2Eを得た。コレステリック液晶層の反射波長領域は、400~620nmであった。
<参考例1>
(積層体2F)
比較例2において、異性化処理のパターニングマスクをUV波長域の減光フィルタに変更した以外は比較例2と同じ手順によって積層体2Fを得た。コレステリック液晶層の反射波長領域は、面内均一で500nmであった。
<参考例2>
(積層体3F)
比較例3において、異性化処理のパターニングマスクをUV波長域の減光フィルタに変更した以外は比較例2と同じ手順によって積層体2Fを得た。コレステリック液晶層の反射波長領域は、面内均一で500nmであった。
<実施例8>
(積層体4A)
ワイヤーバー#5を用いて、支持体のラビング処理面に液晶層形成用塗布液4を塗布し、85℃で2分間乾燥させることによって、液晶層を形成した。
次に、液晶層に対して異性化処理を行った。具体的には、支持体と液晶層とを含む積層体における支持体に、図1に示されるパターニング用のマスクを密着させた。メタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光を、マスクを介して液晶層に照射することで、液晶層の一部に対して異性化処理を行った。図1に示されるパターニング用のマスクは、黒色インクと、基材としてポリエチレンテレフタレートとを用いて作製された。マスクの一端から他端に向かって、マスクの透過率は、100%から0%へ連続的に変化している。マスクの透過率は、2μm程度のドットから構成されるドット密度で調整された。ドット密度が大きくなるほど、透過率が小さくなる。ドットは、黒色インクを用いて形成された。光の照射量は、12mJ/cmであった。
次に、液晶層に対して硬化処理を行い、液晶層を硬化させた。具体的には、低酸素雰囲気下(酸素濃度1,000ppm以下)、85℃のホットプレートの上で、メタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光を液晶層に照射することで、液晶層を硬化させコレステリック液晶層を形成し、積層体4LCを得た。光の照射量は、1,000mJ/cmであった。コレステリック液晶層の反射波長領域は、360nm~555nmであった。
次に、積層体4LCのコレステリック液晶層の面にUV硬化性ウレタンアクリレート樹脂(UX8、大成ファインケミカル社製)をディスペンサーで塗設し、その上にガラス板(日本電気硝子株式会社製OA-10G)を被せ、その上から該ウレタンアクリレート樹脂を厚みが10μmとなるようにハンドローラーで塗り広げ、引き続きメタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光をガラス板側から照射することで、ウレタンアクリレート樹脂を硬化させた。光の照射量は、1,000mJ/cmであった。ウレタンアクリレート樹脂層はコレステリック層と隣接しており、透光性層として機能する。
また、支持体の液晶塗布面とは逆の面に粘着剤付き黒色PETフィルム(くっきりミエール、(株)巴川製紙所製)をラミネートし積層体4Aを得た。
<実施例9>
(積層体4B)
実施例8と同一の手順で、積層体4LCを得た。積層体4LCのコレステリック液晶層の面に光散乱性層用塗布液2をワイヤーバー#6を用いて塗布し、60℃で1分乾燥させ、引き続きメタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光を光散乱性層に照射することで、光散乱性層2を硬化させた。光の照射量は、1,000mJ/cmであった。
次に、光散乱性層2の上に、粘着剤(日榮新化株式会社製G25)を用いて粘着層を形成した。
更に、粘着層を覆っていたセパレータを剥離し、粘着層にガラス(日本電気硝子株式会社製OA-10G)を貼り付けた。
また、支持体の液晶塗布面とは逆の面に粘着剤付き黒色PETフィルム(くっきりミエール、(株)巴川製紙所製)をラミネートし積層体4Bを得た。
<実施例10>
(積層体4C)
実施例8と同一の手順で、積層体4LCを得た。次に、積層体4LCのコレステリック液晶層の面に、粘着剤(日榮新化株式会社製G25)を用いて粘着層を形成した。
更に、粘着層を覆っていたセパレータを剥離し、粘着層にガラス(日本電気硝子株式会社製OA-10G)を貼り付けた。次に、ガラスの表面にサンドブラスト処理を行い、光散乱性層3を形成した。
また、支持体の液晶塗布面とは逆の面に粘着剤付き黒色PETフィルム(くっきりミエール、(株)巴川製紙所製)をラミネートし積層体4Cを得た。
<光学異方性層2>
ポリカーボネートフィルム:テクノロイC000(住化アクリル販売株式会社製)を2軸延伸機にて150℃雰囲気下で幅方向の収縮を抑制するように把持しながら一軸延伸したフィルムを粘着剤を介して数枚重ね合わせて光学異方性層2を作製した。光学異方性層2のReは3.2×10nm、Rthは1.8×10nmであった。
<光学異方性層3>
ポリカーボネートフィルム:テクノロイC000(住化アクリル販売株式会社製)を2軸延伸機にて150℃雰囲気下で自由端一軸延伸した。つぎにこのフィルムの両面に熱収縮フィルムを貼合し、170℃雰囲気下で厚み方向の延伸を行い、室温に冷却したのちに熱収縮フィルムを剥離した。出来上がったフィルムを粘着剤を介して数枚重ね合わせて光学異方性層3を作製した。光学異方性層3のReは1.6×10nm、Rthは0.8×10nmであった。
<光学異方性層4>
ポリカーボネートフィルム:テクノロイC000(住化アクリル販売株式会社製)を2軸延伸機にて150℃雰囲気下で幅方向の収縮を抑制するように把持しながら一軸延伸したフィルムを粘着剤を介して数枚重ね合わせて光学異方性層4を作製した。光学異方性層4のReは6.0×10nm、Rthは3.0×10nmであった。
<実施例11>
(積層体4D)
実施例8と同一の手順で、積層体4LCを得た。次に、積層体4LCのコレステリック液晶層の面に粘着剤(日榮新化株式会社製G25)を介して光学異方性層2、上記粘着剤を介してガラス(日本電気硝子株式会社製OA-10G)をこの順で貼り付けた。
また、支持体の液晶塗布面とは逆の面に黒色塗料(naxレアル642ミラーブラック、日本ペイント社製)を#24バーで塗布し、80℃で4分乾燥し積層体4Dを得た。
<実施例12>
(積層体4E)
実施例8と同一の手順で、積層体4LCを得た。次に、積層体4LCのコレステリック液晶層の面に粘着剤(日榮新化株式会社製G25)を介して光学異方性層3、上記粘着剤を介してガラス(日本電気硝子株式会社製OA-10G)をこの順で貼り付けた。
また、支持体の液晶塗布面とは逆の面に黒色塗料(naxレアル642ミラーブラック、日本ペイント社製)を#24バーで塗布し、80℃で4分乾燥し積層体4Dを得た。
<実施例13>
(積層体4F)
実施例8と同一の手順で、積層体4LCを得た。次に、積層体4LCのコレステリック液晶層の面に粘着剤(日榮新化株式会社製G25)を介して光学異方性層4、上記粘着剤を介してガラス(日本電気硝子株式会社製OA-10G)をこの順で貼り付けた。
また、支持体の液晶塗布面とは逆の面に黒色塗料(naxレアル642ミラーブラック、日本ペイント社製)を#24バーで塗布し、80℃で4分乾燥し積層体4Fを得た。
<実施例14>
(積層体5A)
実施例8と同一の手順で、積層体4LCを得た。次に、ワイヤーバー#5を用いて、積層体4LCのコレステリック液晶層の面に液晶層形成用塗布液2を塗布し、85℃で2分間乾燥させることによって、2層目のコレステリック液晶層を形成した。
次に、図2に示すパターニング用マスクを用い、積層体4LCの液晶層と同様に異性化処理、硬化処理を行い、2層目のコレステリック液晶層を作製した。異性化処理におけるマスクの透過率は、100%から53%へ連続的に変化している。異性化処理の光の照射量を18mJ/cmであった。
次に、ワイヤーバー#4を用いて、2層目のコレステリック液晶層の面に透光性層用塗布液1を塗布し、60℃で1分乾燥させ、引き続きメタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光を透光性層に照射することで、透光性層を硬化させた。光の照射量は、1,000mJ/cmであった。
次に、透光性層の上に、粘着剤(日榮新化株式会社製G25)を用いて粘着層を形成した。更に、粘着層を覆っていたセパレータを剥離し、粘着層にガラス(日本電気硝子株式会社製OA-10G)を貼り付けた。
また、支持体の液晶塗布面とは逆の面に黒色塗料(naxレアル642ミラーブラック、日本ペイント社製)を#24バーで塗布し、80℃で4分乾燥し積層体5Aを得た。
<実施例15>
(積層体5B)
ワイヤーバー#5を用いて、支持体のラビング処理面に液晶層形成用塗布液4を塗布し、85℃で2分間乾燥させることによって、1層目のコレステリック液晶層を形成した。
次に、液晶層に対して異性化処理を行った。具体的には、支持体と液晶層とを含む積層体における支持体に、図3に示されるパターニング用のマスクを密着させた。メタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光を、マスクを介して液晶層に照射することで、液晶層の一部に対して異性化処理を行った。マスクの透過率は、85%から25%へ連続的に変化している。光の照射量は、15mJ/cmであった。
次に、液晶層に対して硬化処理を行い、液晶層を硬化させた。具体的には、低酸素雰囲気下(酸素濃度1,000ppm以下)、85℃のホットプレートの上で、メタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光を液晶層に照射することで、液晶層を硬化させ1層目のコレステリック液晶層を形成した。光の照射量は、1,000mJ/cmであった。1層目のコレステリック液晶層の反射波長領域は、420nm~570nmであった。
次に、ワイヤーバー#5を用いて、1層目のコレステリック液晶層の面に液晶層形成用塗布液2を塗布し、85℃で2分間乾燥させることによって、2層目のコレステリック液晶層を形成した。
次に、図4に示されるパターニング用マスクを用い、1層目のコレステリック液晶層と同様に異性化処理、硬化処理を行い、2層目のコレステリック液晶層を作製した。異性化処理におけるマスクの透過率は、100%から53%へ連続的に変化している。異性化処理の光の照射量は、18mJ/cmであった
次に、ワイヤーバー#4を用いて、2層目のコレステリック液晶層の面に透光性層用塗布液1を塗布し、60℃で1分乾燥させ、引き続きメタルハライドランプ(株式会社GSユアサ製MAL625NAL)の光を透光性層に照射することで、透光性層を硬化させた。光の照射量は、1,000mJ/cmであった。
次に、透光性層の上に、粘着剤(日榮新化株式会社製G25)を用いて粘着層を形成した。更に、粘着層を覆っていたセパレータを剥離し、粘着層にガラス(日本電気硝子株式会社製OA-10G)を貼り付けた。
また、支持体の液晶塗布面とは逆の面に黒色塗料(naxレアル642ミラーブラック、日本ペイント社製)を#24バーで塗布し、80℃で4分乾燥し積層体5Bを得た。
(パターン(パターニング用のマスク有無))
表1において、コレステリック液晶の異性化処理の際にパターニング用のマスクを使用したものを「使用」、使用しなかったものを「使用せず」と評価した。
<評価>
実施例及び比較例で得られた各積層体を用いて、次の評価を行った。表1及び表2に示す。なお、表1及び表2において、上記層とは偏光解消能を有する層又は透光性層のうち、積層体に含まれる層を表す。
(屈折率)
アッベ屈折率計(NAR-1T、アタゴ社製)を用いて、コレステリック液晶層、対象の層の単層を支持体上で形成し、支持体から剥離した単膜を測定した。ここで言う対象の層とは、透過性層、光散乱性層、及び、光学異方性層のいずれか1つを指す。
(ヘイズ)
ヘイズメーター(NDH-5000、日本電色工業社製)を用いてコレステリック液晶層、対象の層の単膜を支持体上で形成し測定し、支持体のみの測定値を差し引いた。ここで言う対象の層とは、透過性層、光散乱性層、及び、光学異方性層のいずれか1つを指す。
(縞状ムラ)
作成した積層体を明室下でガラス面から観察した。ガラス面法線からの角度(極角)、積層体の向き(方位)や光源との位置関係を変えて目視により観察し、縞状ムラが最も視認されるレベルを評価した。光源は白色のLEDシーリング照明であった。下記基準に基づき5段階でレベルを評価した。3以上の評点であれば、実用上問題ない品質となる。
1:多くの方向から容易にムラが視認できる。
2:法線から極角40°以内の方向からムラが視認できる。
3:法線から極角70°以上傾けた方向からムラが視認できる。
4:法線から極角70°以上傾け、かつごく一部の方位からのみムラが視認できる。
5:ムラが視認できない。
(意匠性)
面内での色味変化のグラデーション、鮮明性や明るさについて下記基準に基づき、目視により評価した。
1:グラデーションが認識できない。
2:グラデーションが滑らかでなく不自然。
3:グラデーションがやや不均一、および/または色味の鮮やかさにやや乏しいが、許容できるレベル。
4:5よりも色味の明るさ、鮮やかさはやや劣るが、落ち着いた色調で意匠性に優れる
5:グラデーションが滑らかで、かつ色味が明るく鮮やか。
Figure 2023020959000037
Figure 2023020959000038
なお、各実施例、比較例及び参考例におけるコレステリック液晶層の屈折率はいずれも1.53、ヘイズは0.5%であった。また、各実施例、比較例及び参考例における粘着剤の屈折率はいずれも1.46、ヘイズは0.7%であった。
また、実施例14、実施例15における2層目のコレステリック液晶層を支持体のラビング処理面に単層で形成、マスク露光、硬化露光をして作製したコレステリック液晶層の反射波長領域は、ともに610nm~800nmであった。
表1及び表2のとおり、本開示に係る加飾シートは面内での色相パターンが滑らかでムラのない視認性を有することが示される。

Claims (13)

  1. コレステリック液晶層と、
    偏光解消能を有する層と、を含む
    加飾シート。
  2. 前記偏光解消能を有する層が、光学異方性を有する光学異方性層、又は、光散乱性を有する光散乱性層である,請求項1に記載の加飾シート。
  3. 前記偏光解消能を有する層が、前記光学異方性層であり、
    前記光学異方性層が、ヘイズ値が2%以下で、かつ下記式1及び式3で表されるReの値、又は、下記式2及び式4で表されるRthの値の少なくとも一つに当てはまる複屈折値を有する光学異方性層である、請求項2に記載の加飾シート。
    Re=(nx-ny)×d …式1
    Rth={(nx+ny)/2-nz}×d …式2
    3,000≦Re<50,000 …式3
    1,000≦Rth<20,000 …式4
    式1及び式2中、nxは光学異方性層の面内での屈折率が最大となる方向の屈折率を表し、nyは光学異方性層の面内での屈折率が最大となる方向に直交する方向の屈折率を表し、nx>nyであり、nzは光学異方性層の厚さ方向の屈折率を表し、dは光学異方性層の厚さ(μm)を表す。
  4. 前記偏光解消能を有する層が、前記光散乱性層であり、
    前記光散乱性層が、ヘイズ値が2%を超える光散乱性層である、請求項2に記載の加飾シート。
  5. 前記光散乱性層が、表面に平均高さ1μm~10μmの凹凸形状を有する、請求項4に記載の加飾シート。
  6. 前記偏光解消能を有する層が、前記コレステリック液晶層よりも視認側に配置される、請求項1又は請求項2に記載の加飾シート。
  7. 前記コレステリック液晶層が、少なくとも面内の一部の領域に可視光域の選択反射ピークを有し、かつ、前記選択反射ピークの波長が面内で連続的に変化する、請求項1又は請求項2に記載の加飾シート。
  8. コレステリック液晶層と、
    前記コレステリック液晶層に接触した透光性層と、を含み、
    前記コレステリック液晶層が、少なくとも面内の一部の領域に可視光域の選択反射ピークを有し、かつ、前記選択反射ピークの波長が面内で連続的に変化し、
    前記コレステリック液晶層の屈折率と前記透光性層の屈折率との差が、±0.2以内である、
    加飾シート。
  9. 面内で異なる選択反射波長を有する液晶化合物を含む層を形成する工程、及び、前記液晶化合物を含む層の配向を固定化させ前記コレステリック液晶層を形成する工程を含む、請求項1又は請求項8に記載の加飾シートの製造方法。
  10. 請求項1又は請求項8に記載の加飾シートを成型してなる成型体。
  11. 請求項1又は請求項8に記載の加飾シートを備えた加飾パネル。
  12. 請求項9に記載の成型体を備えた加飾パネル。
  13. 請求項10に記載の加飾パネルを備えた電子デバイス。
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