JP7480101B2 - リチウムイオン二次電池、電池パック、車両及び定置用電源 - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、リチウムイオン二次電池等に関する。
近年、高エネルギー密度電池として、リチウムイオン二次電池や非水電解質二次電池などの二次電池の研究開発が盛んに進められている。二次電池は、ハイブリッド自動車や電気自動車といった車両用電源、又は携帯電話基地局の無停電電源用などの電源として期待されている。そのため、二次電池にはエネルギー密度に加え、急速充放電性能や長期信頼性などといった他の性能に優れることも要求されている。
近年では、金属複合酸化物を負極に用いた電池が開発されており、例えば、LiTi12を負極に用いた電池は、安定的な急速充放電が可能であり、カーボン系負極を用いた電池と比較して寿命も長い。
特開2019-61851号公報
本発明の実施形態は、容量低下が抑制されたリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
実施形態によれば、第1電極と、第2電極と、を備える電極群であって、第1電極は二相共存反応性を有する活物質を備え、第2電極は固溶体である活物質を備え、電極群にかかる圧力は第1領域より第2領域の方が大きいリチウムイオン二次電池が提供される。
実施形態に係るリチウムイオン二次電池が含み得る外装缶の側面を透過させた一例を概略的に示す斜視図。 実施形態に係るリチウムイオン二次電池が含む電極群の第1面を概略的に示す平面図。 実施形態に係るリチウムイオン二次電池が含み得る外装缶の側面を透過させた他の一例を概略的に示す斜視図。 実施形態に係るリチウムイオン二次電池が含み得る外装缶の一例を概略的に示す断面図。 実施形態に係るリチウムイオン二次電池が含む電極群を拘束する方法の一例を概略的に示す平面図。 実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図。 実施形態に係る組電池の他の一例を概略的に示す平面図。 実施形態に係る組電池の他の一例を概略的に示す平面図。 実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図。 図9に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。 実施形態に係る車両の一例を概略的に示す分解透過図。 実施形態に係る車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示した図。 実施形態に係る定置用電源を含むシステムの一例を示すブロック図。
活物質には充放電反応が二相共存反応で進行するものがある。このような二相共存反応で進行する活物質では、多くの他の負極活物質とは異なり、平坦な充放電電位を示す。電位が平坦である活物質を用いた負極では、電位勾配がないため電極内のキャリアイオン濃度分布が緩和されにくい。従って、二相共存反応をする活物質を用いた負極では、単一固相反応により充放電が進む活物質を用いた電極よりも緩和速度が遅い。その結果、二層共存反応性を示す活物質を用いた負極と、単一固相反応をする固溶体を活物質に用いた正極とを組み合わせた電池では、負極と正極との間でリチウムイオンの濃度分布の緩和速度に差が生じることになる。特に、電極群の外縁部では、電極間及び活物質間の距離が中心部より離れてしまうため、電極間及び活物質間でリチウムイオンの濃度分布の緩和速度差がより大きくなる。同様に、二相共存反応をする活物質を用いた正極と単一固相反応をする活物質を用いた負極とを組み合わせた電池においても、このような現象が起こり得る。
このような両極間のLi(リチウム)濃度分布の緩和速度に差があるまま充放電を繰り返すと、更に各電極面内においてLiイオン濃度分布にムラが生じる。その結果、電池容量が一時的に低下することが考えられる。
上記容量低下は一時的な電池性能の減少であって、永続的な電池の劣化ではない。急速充放電を繰り返した後、急速ではないレート(例えば、1C/1Cレート)で充放電サイクルを複数回実施することで、電池容量を回復させることができる。利便性を鑑みると、たとえ一時的な現象であっても、電池容量の低下を抑えることが望ましい。以下に説明する実施形態では、上述の一時的な容量低下が抑制される。
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。なお、各図は実施形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる点があるが、これらは以下の説明と公知の技術を参酌して適宜設計変更することができる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態によれば、第1電極と、第2電極と、を備える電極群であって、第1電極は二相共存反応性を有する活物質を備え、第2電極は固溶体である活物質を備え、電極群にかかる圧力は第1領域より第2領域の方が大きいリチウムイオン二次電池が提供される。また、リチウムイオン二次電池は第1部材を備え、電極群は面を有し、面に対して直交する方向に見たときに、面と第1部材の重なる領域が第2領域である。この面に対して直交する方向とは、図1で言う第3方向であり、電極群の厚さ方向である。
図1は実施形態に係るリチウムイオン二次電池が含み得る外装缶の側面を透過させた一例を概略的に示す斜視図である。
電極群3は、正極及び負極をその間にセパレータを介在させて偏平形状となるように渦巻き状に捲回した構造を有する。また、電極群3は、集電体(図示せず)を有する。集電体は、活物質含有層が担持されていない部分を含み、当該部分は集電タブ4として機能する。図示する例では、集電タブ4は第1方向に沿う長辺と第1方向と交差する第2方向に沿う一対の短辺で規定された帯形状を有する。
電極群3は、外装缶7内に収納され、電極群3の中心部である第1領域16と、電極群3の外縁部である第2領域17を有する。中心部とは外縁部より電極群の端部から離れた部分である。中心部とは、外縁部より電極群の面の中心に存在する。電極群3にかかる圧力は第1領域16より第2領域17の方が大きい。また、電極群3の面に対して直交する方向、つまり図1では第3方向に見たときに、面と第1部材8の重なる第2領域17を有する。電極群3にかかる圧力は第1領域16より第2領域17の方が大きいことによって、第2領域の電極間又は活物質間の距離を短くすることができる、即ち、電極間又は活物質間のリチウムイオンの移動距離が短くなり、電極群3の面の第2領域17においてリチウム拡散係数が高くすることができる。このように電極群3の面内における第1領域16よりも第2領域17での厚さ方向へのキャリアイオンの拡散速度が速くすることができることで、急速充放電による電極群3の面内でのキャリアイオンの濃度分布のムラを少なくすることができる。従って、濃度分布の緩和速度が異なる正極及び負極を用いた二次電池における両電極間の濃度分布のズレを低減し、ひいては急速充放電を繰り返した際に生じ得る一時的な容量低下を抑制することができる。
ここで、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の構成部材について説明する。
(電極群)
実施形態に係る二次電池が含む電極群は、第1領域と第2領域を有する。ここで、電極群は面を有し、面に対して直交する方向に見た際に、面と第1部材の重なる領域が第2領域であり、第1領域は、電極群の面における第2領域を除いた部分である。また、電極群にかかる圧力は第1領域より第2領域の方が大きい。これによって、電極間又は活物質間の距離が短くなり、リチウムの移動距離が短くすることができる。従って、第2領域における厚さ方向へのリチウム拡散係数Dtは、第1領域における厚さ方向へのリチウム拡散係数Dtより高くなる。そのため、二次電池の急速充放電の繰り返しサイクル後の放電容量を維持できる。
次に図2を用いて、電極群における第1領域及び第2領域について説明する。図2は、電極群3を第3方向に向かって観察した際の図である。
電極群3は、第1方向に沿う一対の第1a辺9及び第1方向と交差する第2方向に沿う一対の第1b辺10を含む面を有する。ここで、電極群3の前述した面を、第1面と呼ぶことがある。
第1面の一対の第1a辺9の間の距離又は一対の第1b辺10の間の距離をL1とし、端部から中心に向かう距離をL2とすると、L2は0.03L1以上0.25L1以下であり、第2領域17はL2の範囲内に含まれる。第2領域17はL2の範囲と等しくてもよい。第2領域17が0.03L1以上0.25L1以下であるL2の範囲内に含まれることで、第2領域17における厚さ方向へのリチウム拡散係数Dtが高くなる。ここで、第1面の形状が矩形である図2において、第1面の中心は、対角線の交点であり、端部は第1面の外縁における任意の点を意味する。そのため、L1が最も短い場合は、第1面の中心を通り一対の短辺の両方と垂直に交わる線分の長さであり、最も長い場合は第1面の中心を通り、隣り合う辺どうしの交点と第1面の中心を挟んで対抗するもう一方の隣り合う辺どうしの交点を結んだ長さである。
第2領域17は、一対の第1a辺9の少なくとも一方に沿い、第1a辺9から距離L2の幅を有する第2a領域14を含む。また第2領域17は、一対の第1b辺10の少なくとも一方に沿い、第1b辺10から距離L2の幅を有する第2b領域15を含む。第2領域17は、第2a領域14及び第2b領域15のうち少なくとも1つの領域を含む。第2領域17が第2a領域14及び第2b領域15の中から2つ以上の領域を含む場合、その2つ以上の領域の幅はL2の範囲内であれば、同じであっても良いし、異なっていても良い。
第1面の第2領域17が第2a領域14のみ含む場合は、第2領域17は、例えば、第1面の第1a辺9に沿った長辺を含む帯形状を有し得る。つまり第1面の第2領域17は、長辺が一対の第1a辺9の一方に沿った帯形状の第2a領域14、又は各々の長辺が両方の第1a辺9にそれぞれ沿った一対の帯形状の第2a領域14を含み得る。
第2a領域14及び第2b領域15を含む第1面では、第2a領域14と第2b領域15とが重なり得る。例えば、少なくとも1つの第2a領域14と少なくとも1つの第2b領域15を含んだ第1面では、第1面のうち1以上の角付近の部分にて第2a領域14と第2b領域15が重なり得る。この場合では、第2a領域14と第2b領域15とが組み合わさって、第1面の外周の内側をなぞる枠形状の第2領域17を構成し得る。
電極群3は、第1面と対向する第2面を有する。第2面も第1面で説明した第1領域及び第2領域は同様である。そのため、第2面に関して第1面と同様である部分の説明は省略する。
第1面及び第2面それぞれの第2領域17は、電極群3を厚さ方向に見た際に一致していてもよいし、異なってもよい。
電極群3が図1において第1方向にスタックされ形成されたとき、第1部材は外装缶7の上面5及び底面6に沿うように設けられることが好ましい。また、その際に電極群3の面と第1部材8が重なる第2領域は図2を用いた説明と同様である。
第2領域は、先述したように第1部材だけでなく、例えば、電極群を収納する外装缶やラミネート製容器の形状によっても形成することができる。
<リチウム拡散係数の測定>
電極の面でのリチウム拡散係数を測定することで、第1領域と第2領域の存在の有無を特定することができる。第1領域は大気圧がかかっている状態なので、後述するリチウム拡散係数の測定時に電池を解体し取り出した電極群における電極厚み方向へのリチウム拡散係数を第1領域のリチウム拡散係数とみなすことができる。この電池解体後に得られる電極群における電極厚み方向へのリチウム拡散係数を基準とし、電池解体前のリチウム拡散係数がこの基準に対し1.05倍以上であれば、電極群に圧力がかかっていることが分かる。これは、電極群にかかる圧力と電極厚み方向へのリチウム拡散係数には正の相関があり、電極群にかかる圧力が大きくなると、リチウム拡散係数は高くなるからである。また、好ましくは、基準のリチウム拡散係数に対し1.2倍以上であり、更に好ましくは1.5倍以上である。加えて、電池解体前のリチウム拡散係数が基準に対して3倍以下であることが好ましい。電池解体前のリチウム拡散係数が基準に対して3倍より大きくなるように電極群に圧力を加えると、電極群は損壊してしまう可能性があるため、3倍以下であることが好ましい。
ここで第2領域及びこのリチウム拡散係数の測定方法を以下の通り具体的に説明する。
まず、電池が第1部材を備えているかどうかを確認する。そのため、まず電池内部の形状及び構成像を撮影する。撮像には、例えばX線CT装置を用いることができる。電池内部の形状及び構成が確認できれば良いため、方法はX線CT装置に限るものではない。
上述した方法によって、電極群の面に対して直交する方向に見たときに面と第1部材が備えられているかどうかと、備えている場合第1部材の重なる領域が第2領域の範囲内に含まれているか確認する。
第1部材を備えている場合、下のようにリチウム拡散係数を測定する。
第1部材を取り外す前の電池のリチウム拡散係数を測定する。測定は、以下の通りである。
まず、電池を半充電状態まで充電する。ここでいう半充電状態とは、例えば、SOC(State Of Charge)が50%の状態を指す。
その後、この第1部材を取り外す前の電池に対して、ソーラトロン社製周波数応答アナライザ1260型を用いて交流インピーダンスの測定を行う。測定周波数範囲は、5Hzから32MHzの範囲とする。測定は、測定試料を大気に暴露することなく乾燥アルゴン雰囲気下に入れ、25℃環境下にて行う。
リチウム拡散係数Dtは電極厚み方向の抵抗値の逆数で示され、次のとおり算出する。測定された交流インピーダンスに基づいて、複素インピーダンスプロット(Cole-Coleプロット)を作成する。Cole-Coleプロットは、横軸を実数成分として、縦軸に虚数成分をプロットしたものである。以下の式(1)により電極厚み方向の抵抗値を算出する。なお、下記式(1)において、ZはCole-Coleプロットの円弧の直径から算出される抵抗値であり、Sは電極面積である。
Dt = 1 /(Z/S) ・・・(1)。
上述した方法により、第1部材を取り外す前の電池のリチウム拡散係数を測定することができる。
次いで、電池から第1部材を取り外して、再度電池を封止してインピーダンスを上述した方法で測定する。これによって、第1部材を取り外した後の電池のリチウム拡散係数を測定することができる。
次に電池が第1部材を備えておらず、例えば外装缶の形状によって電極群の面に圧力がかかる場合を説明する。この場合では、図1で言う第1方向、即ち、外装缶の上面5又は底面6から上述した電池内部の形状及び構成像を撮影し、外装缶の壁面と電極群が接触しているかどうかを確認する方法によって、第2領域を特定することができる。外装缶の壁面と電極群が接触している領域では、外装材と電極群が接触していない領域よりも電極群に圧力がかかっているものとする。接触している領域には圧力がかかっているとするため、外装材と電極群が接触している領域は第2領域に含まれる。接触している領域が第2領域の範囲内に含まれているか確認する。接触している領域が第2領域の範囲内に含まれている場合は、第2領域に圧力がかかっているものとする。
電池から電極群を取り出す前のリチウム拡散係数の測定は、先述した第1部材を取り外す前の電池のリチウム拡散係数の測定と同様に行う。そのため、省略する。
外装缶から電極群を取り出した後のリチウム拡散係数は、以下の通りである。
まず、電池を完全に放電状態とする。次いで、不活性雰囲気のグローブボックス、例えば、アルゴン雰囲気下のグローブボックス中で電池を分解し、電極を取り出す。ここで、正極及び負極の両電極を取り出す。次いで、取り出した各電極をエチルメチルカーボネートなどの溶媒を用いて洗浄して、25℃環境下で真空乾燥する。
各々の電極から、同径の円形試料を打ち出し、得られた円形の正負極を用いてコインセルを作製する。コインセルには、セパレータ及び電解質をさらに用いる。セパレータ及び電解質としては、第1の実施形態にて説明したものを用いることができる。ここで、解体した電池に用いられていたセパレータ及び電解質と同等のセパレータ及び電解質を用いることが望ましい。各電極の主面の端部から第1領域までの複数箇所から、円形試料を打ち出す。但し、正極と負極との間で、円形試料を打ち出す箇所をなるべく重ねる。具体的には、電池内で正極と負極とが向かい合っていた箇所同士から円形試料を打ち出す。コインセルは、両電極にて対応する箇所から打ち出した円形試料同士を用いて作製する。また、正負極を別々に電池から取り出すのではなく、電極群として重なったまま洗浄及び乾燥し、重ねたまま円形に打ち出すことで、コインセル用の電極群を準備してもよい。または、電池から電極群を取り出して、電極群に圧力がかからないように外装缶に再封止してインピーダンスの測定を行ってもよい。このとき、外装缶は新しいものを用意してもよいし、電池から電極群を取り出す前に用いていた外装缶の形状を電極群に圧力がかからないように変形させて用いてもよい。
次いで、コインセル又は、電極群に圧力がかからないように外装缶に再封止した電池を半充電状態まで充電し、交流インピーダンスの測定を行う。交流インピーダンスの測定は、上述した方法と同様の説明であるため省略する。
リチウム拡散係数は、リチウムイオン二次電池で充放電を行ったとしてもほとんど変化しない。そのため、リチウムイオン二次電池で充放電を行った後に測定してもリチウム拡散係数は変化しない。
上記第1領域及び第2領域の存在の有無及びリチウム拡散係数の測定方法をまとめると次のようになる。まず測定対象の電池が第1部材を備えているかを撮像して確認する。次に電池備える電極群のリチウム拡散係数を測定する。その後、第1部材を備えている場合は、第1部材を取り除いてリチウム拡散係数を測定する。
第1部材を備えていない場合は、撮像から外装材と電極群が接しているか否かを確認する。その後電池を解体してその電池からコインセルを作成するか、外装材のみ取り除き別の用意した外装材に電極群などを入れ、リチウム拡散係数を測定する。
このようにして電池が第1領域及び第2領域を有しているかどうか、及び第2領域に第1領域より圧力がかかっているかどうかを測定することができる。
(第1部材)
第1部材は、電極群の面に対して直交する方向から見た際に、面と第1部材が重なる領域があるように配置される。この重なる領域は電極群の面の第2領域である。第1部材の構成材料として、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、合成樹脂、又は金属などを用いることができる。第1部材は、例えば、外装缶や、ラミネート製容器内部に設けられたスペーサーや拘束部材を含む。外装缶や、ラミネート製容器内部に設けられたスペーサーは、収納された電極群の第2領域に第1領域より大きい圧力を生じさせることができる。従って、スペーサーは、第2領域の厚さ方向へのリチウム拡散係数Dtを、第1領域での厚さ方向へのリチウム拡散係数Dtよりも高くすることができる。また、これにより、二次電池の急速充放電の繰り返しサイクル後の放電容量を維持できる。
図3は実施形態に係るリチウムイオン二次電池が含み得る外装缶の側面を透過させた他の一例を概略的に示す斜視図であり、図1の第1部材の構造を変更したものである。
図3は、2つの第2a領域と2つの第2b領域とが組み合わさって、第1面及び第2面における外周の内側をなぞる枠形状の第2領域17を構成している例である。また、外装缶7の上面5及び底面6に第1部材8を更に備えることが好ましい。このとき、上面5及び底面6における第1部材8が電極群3の曲率部に及ぼす圧力は、第2領域17にかかる圧力よりも弱いことが好ましい。上面5及び底面6に第1部材8は、例えば、板状の部材であり、電極群3の曲率部と接しても良い。または、上面5及び底面6に第1部材8はU字の部分備えていて、電極群3の曲率部に沿うように配置されてもよい。これによって、急速充放電による電極群3の曲率部におけるキャリアイオンの濃度分布のムラを少なくすることができる。
図3において第3方向に見たときに、電極群3の面と第1部材8の重なる領域が第2領域であり、この第2領域は先述した図2での説明と同様である。
(外装部材)
外装部材としては、例えば、ラミネートフィルムからなる容器、又は金属製の外装缶を用いることができる。
ラミネートフィルムの厚さは、例えば、0.5mm以下であり、好ましくは、0.2mm以下である。
ラミネートフィルムとしては、複数の樹脂層とこれらの樹脂層間に介在した金属層とを含む多層フィルムが用いられる。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)等の高分子材料を含んでいる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなることが好ましい。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行うことにより、外装部材の形状に成形され得る。
外装缶の壁の厚さは、例えば、1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは、0.2mm以下である。
外装缶は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、及びケイ素等の元素を含むことが好ましい。アルミニウム合金は、鉄、銅、ニッケル、及びクロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は1質量%以下であることが好ましい。
外装部材の形状は、特に限定されない。外装部材の形状は、例えば、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、又はボタン型等であってもよい。外装部材は、電池寸法や電池の用途に応じて適宜選択することができる。
図4は、実施形態に係るリチウムイオン二次電池が含み得る外装缶の一例を概略的に示す断面図である。
外装缶7は、図4において断面形状が略四角形でない、略八角形の断面形状を有しているが、楕円形でも偏平形状でもよい。また、電極群3が外装缶7に収納された際に第2領域が存在できるならば、外装缶7の形状は問わない。
外装缶7は、略四角形や楕円形、偏平形状の断面形状を有することに加え、第1部材8を外装缶7内部に設けることもできる。第1部材8により、第1面又は第2面のうち少なくとも一方の面において第2領域を存在させることができる。
図5は、実施形態に係るリチウムイオン二次電池が含む電極群を拘束する方法の一例を概略的に示す平面図である。
電極群3は、ラミネートフィルム内に収納されている。その後、電極群3の第1面と第2面を挟み込むもの、例えばクリップのような第1部材8で拘束される。これによって、第1面及び第2面の両面内において第2領域が存在し得る。
図5では、一対の第1b辺10のそれぞれに沿う一対の第2b領域15を拘束するように第1部材8が設けられている。また、例えば第1部材は、上述した図2における第2領域の説明と同様に、一対の第1a辺9のそれぞれに沿う一対の第2a領域を拘束するように設けられてもよい。更に、第1部材8が複数個設けられる場合、それぞれの第1部材が生じる第2領域は、L2の範囲内であれば、全て異なっていてもよいし、同じであってもよい。
図5のように加圧された電極群3を組電池に用いる場合、隣接する電池も第1部材を備える電池により圧力をかけることができる。そのため、隣接する電池が備える第1部材8によって第2領域が加圧されるならば、第1部材8は電極群3の両面と接するように配置されなくてもよい。
(電極)
係る電極は、電池用電極であり得る。この電極は、例えば、リチウムイオン電池や非水電解質電池等の二次電池に用いられる電極であり得る。電極は、その態様によって、二次電池の負極又は正極であり得る。なお、係る電極を含んだ二次電池は、当該電池に対する対極を含み得る。両者を区別する目的で、第1電極とその対極である第2電極と呼ぶことがある。つまり、負極としての第1電極を含む二次電池において、第2電極は正極として含まれる。また、正極としての第1電極を含む二次電池において、第2電極は負極として含まれる。
電極は、集電体を含み得る。活物質含有層は、集電体の片方の面又は表裏両方の面に担持され得る。活物質含有層は、活物質に加え、導電剤及び結着剤をさらに含むことができる。ここで、第1電極で用いられる活物質を第1活物質と呼び、第2電極で用いられる活物質を第2活物質と呼ぶことがある。第1活物質は二相共存反応をする活物質を含み、第2活物質は単一固相反応により充放電反応が進行する固溶体である活物質を含む。
二次電池では、例えば、アルカリ金属イオンを電荷のキャリアイオンとし、正極と負極との間のキャリアイオンの行き来によって充放電が行われ得る。キャリアイオンとしては、例えば、リチウムイオンやナトリウムイオンが挙げられる。二次電池の具体例としては、リチウムイオンが正極と負極との間を行き来することで充放電が行われるリチウムイオン二次電池が挙げられる。典型的には、正極と負極との間をキャリアイオンが行き来する面積を確保するために、電池内で正極と負極は面で向かい合うように配置される。
二次電池の急速充放電が行われる際、正極及び負極の各々の面に沿った第1領域及び第2領域付近とで、キャリアイオンの拡散速度に差が生じる場合がある。具体的には、各電極の第1領域にて厚さ方向へのキャリアイオン拡散が速い傾向があり、端に沿った部分では厚さ方向へのキャリアイオン拡散が遅い傾向がある。ここでいう厚さ方向とは即ち、向かい合う面と交差する方向であって、正極から負極へ向かう方向、及び負極から正極へ向かう方向にそれぞれ沿っている。正極及び負極のそれぞれの面内の第1領域と第2領域とで厚さ方向へのキャリアイオンの拡散速度にこのような差があるため、急速充放電のサイクルを繰り返すと各電極の第1領域にてキャリアイオンが多く第2領域にてキャリアイオンが少ない濃度分布が生じる傾向がある。
正極と負極との間で活物質によるキャリアイオンの濃度分布の緩和速度が異なると、緩和速度の差に起因して正極と負極との間で上述の急速充放電による濃度分布のムラの程度にズレが生じる。急速充放電の繰り返しサイクルが進行するにつれて、正極と負極とで濃度分布のズレが大きくなるとともに、電池容量が低下する。
上述したとおり、電極の態様には、負極としての態様及び正極としての態様が含まれる。一方では、第1電極の負極としての態様では、第1活物質を第1負極活物質又は単に負極活物質と呼び、第1活物質含有層を第1負極活物質含有層又は単に負極活物質含有層と呼ぶことがある。他方、正極としての態様では、第1活物質を第1正極活物質又は単に正極活物質と呼ぶことがある。第2電極の負極及び正極としての態様も同様である。
<第1電極>
ここでは第1電極について説明する。第1電極は、集電体を含み得る。活物質含有層は、集電体の片方の面又は表裏両方の面に担持され得る。活物質含有層は、活物質に加え、導電剤及び結着剤をさらに含むことができる。ここで、第1電極で用いられる活物質を第1活物質と呼び、第1活物質は二相共存反応をする活物質である。
第1電極が負極の場合、第1負極活物質として、スピネル構造を有するリチウムチタン酸化物(例えば、Li4+vTi12で表され0≦v≦3である化合物)が挙げられる。このようなリチウムチタン酸化物の一例であるスピネル型LiTi12は、充電によりリチウムイオンが挿入されるとLiTi12に変化する。完全に充電されるまでは、LiTi12とLiTi12の二相が共存しており、その間は充電電位はほとんど変化せず、電位が一定に保たれる。但し、充電末期には充電電位が急峻に変化する。
第1電極が正極の場合、第1正極活物質として、オリビン構造を有するリン酸鉄リチウム(例えば、LiFePOで表され、0<x≦1である化合物)が挙げられる。オリビン型のリン酸鉄リチウムの一例であるLiFePOでは、充電によりリチウムイオンが脱離されるとFePOが生成する。完全に充電されるまでは、LiFePOとFePOの二相が共存しており、その間は充電電位はほとんど変化せず、電位が一定に保たれる。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバーのような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。また、導電剤を省略することもできる。或いは、導電剤を用いる代わりに、活物質粒子の表面に、炭素コートや電子導電性無機材料コートを施してもよい。また、導電剤を用いると共に活物質表面に炭素や導電性材料を被覆することで、活物質含有層の集電性能を向上させることもできる。
結着剤は、分散された活物質の間隙を埋め、また、活物質と集電体を結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム(styrene-butadiene rubber;SBR)、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
活物質含有層中の活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、電極の用途に応じて適宜変更することができる。
例えば、電極を二次電池の負極として用いる場合は、活物質(負極活物質)、導電剤及び結着剤を、それぞれ、68質量%以上96質量%以下、2質量%以上30質量%以下及び2質量%以上30質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤の量を2質量%以上とすることにより、活物質含有層の集電性能を向上させることができる。また、結着剤の量を2質量%以上とすることにより、活物質含有層と集電体との結着性が十分となり、優れたサイクル性能を期待できる。一方、導電剤及び結着剤はそれぞれ30質量%以下にすることが高容量化を図る上で好ましい。
活物質表面を炭素や導電性材料で被覆する場合、被覆材量は導電剤量に含めたものとみなすことができる。炭素又は導電性材料による被覆量は、0.5質量%以上5質量%以下であることが好ましい。この範囲の被覆量であれば、集電性能と電極密度を高められる。
例えば、電極を二次電池の正極として用いる場合は、活物質(正極活物質)及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上99質量%以下、及び1質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。結着剤の量を1質量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤は、絶縁体として機能し得る。そのため、結着剤の量を20質量%以下にすると、電極に含まれる絶縁体の量が減るため、内部抵抗を減少できる。
導電剤を加える場合には、活物質(正極活物質)、結着剤及び導電剤は、それぞれ、77質量%以上96質量%以下、1質量%以上20質量%以下、及び3質量%以上15質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤の量を3質量%以上にすることにより、上述した効果を発揮することができる。また、導電剤の量を15質量%以下にすることにより、電解質と接触する導電剤の割合を低くすることができる。この割合が低いと、高温保存下において、電解質の分解を低減することができる。
集電体は、第1活物質にリチウム(Li)が挿入及び脱離される電位において電気化学的に安定である材料が用いられる。
例えば、負極としての態様では、集電体(負極集電体)は、銅、ニッケル、ステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiからなる群より選択される1以上の元素を含むアルミニウム合金から作られることが好ましい。集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。このような厚さを有する集電体は、電極の強度と軽量化のバランスをとることができる。
例えば、正極としての態様では、集電体(正極集電体)は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される1以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99質量%以上であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれる鉄、銅、ニッケル、及びクロムなどの遷移金属の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。
また、集電体は、その表面に物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、集電タブとして働くことができる。
負極活物質含有層の密度(集電体を含まず)は、1.8g/cm以上2.8g/cm以下であることが好ましい。負極活物質含有層の密度がこの範囲内にある負極は、エネルギー密度と液状又はゲル状の電解質の保持性とに優れている。負極活物質含有層の密度は、2.1g/cm以上2.6g/cm以下であることがより好ましい。
正極活物質の一次粒径は、100nm以上1μm以下であることが好ましい。一次粒径が100nm以上の正極活物質は、工業生産上の取り扱いが容易である。一次粒径が1μm以下の正極活物質は、リチウムイオンの固体内拡散をスムーズに進行させることが可能である。
正極活物質の比表面積は、0.1m/g以上10m/g以下であることが好ましい。0.1m/g以上の比表面積を有する正極活物質は、Liイオンの挿入脱離サイトを十分に確保できる。10m/g以下の比表面積を有する正極活物質は、工業生産の上で取り扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。
<第2電極>
ここでは第2電極について説明する。第2電極は固溶体である活物質を備えている。第1電極と共通する導電剤、結着剤、及び集電体の詳細は、第1電極と同様であるため省略する。
第2電極が負極の場合、第2負極活物質の例には、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物が含まれる。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の例として、LiTi1-tM4Nb2-uM57+δで表される化合物が挙げられる。ここで、M4は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M5は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦s≦5、0≦t<1、0≦u<2、-0.3≦δ≦0.3である。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の具体例として、LiNbTiO(0≦s≦5)が挙げられる。
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の他の例として、LiTi1-tM6t+uNb2-u7-δで表される化合物が挙げられる。ここで、M6は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦s≦5、0≦t<1、0≦u<2、-0.3≦δ≦0.3である。
第2電極が正極の場合、第2正極活物質の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えば、LiMn2-wNiで表され0<x≦1及び0<w<2である化合物)及びリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(例えば、LiNi1-y-zCoMnで表され0<x≦1、0<y<1、0<z<1、及びy+z<1である化合物)が含まれる。
<活物質の確認>
電極に含まれている活物質は、X線回折(X-Ray Diffraction;XRD)測定及び誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分光法を組合わせることにより、確認することができる。XRD測定により活物質含有層に含まれている材料の結晶構造を確認できる。ICP測定により、活物質含有層中の元素を定量できる。
電池の電極に含まれている活物質を試料とする場合、次の方法により前処理を行って、測定試料を準備する。先ず、電池を完全に放電状態(例えば、SOC (State Of Charge)が0%)とする。次いで、不活性雰囲気のグローブボックス、例えば、アルゴン雰囲気下のグローブボックス中で電池を分解し、電極を取り出す。次いで、取り出した電極をエチルメチルカーボネートなどの溶媒を用いて洗浄する。電極を室温環境下で真空乾燥して、測定試料を得る。
次に、得られた測定試料を、ガラスホルダーに直接貼り付けて測定を行う。測定の際には、集電体である金属箔、導電剤、及び結着剤などに由来するピークをXRDを用いて予め測定して把握しておく。もちろん、これらを事前に把握できているのであれば、この操作は省略することができる。
集電体のピークと活物質のピークとが重なる場合、集電体から活物質含有層を剥離して測定することが望ましい。これは、ピーク強度を定量的に測定する際、重なったピークを分離するためである。活物質含有層を物理的に剥離しても良いが、溶媒中で超音波をかけると剥離しやすい。集電体から活物質含有層を剥離するのに超音波処理を行った場合、溶媒を揮発させることで、電極体粉末(活物質、導電剤、結着剤を含む)を回収することができる。回収した電極体粉末を、例えばリンデマンガラス製キャピラリ等に充填して測定することで、活物質の粉末X線回折測定を行うことができる。なお、超音波処理を行って回収した電極体粉末は、ICP測定に供することもできる。
次に、活物質含有層をキャピラリに封入し、回転試料台に載置して測定する。このような方法により、配向性の影響を低減したうえで、活物質のXRDパターンを得ることができる。
粉末X線回折測定の装置としては、例えばRigaku社製SmartLabを用いる。測定条件は以下の通りとする:
X線源:Cuターゲット
出力:45kV、200mA
ソーラスリット:入射及び受光共に5°
ステップ幅(2θ):0.02deg
スキャン速度:20deg/分
半導体検出器:D/teX Ultra 250
試料板ホルダー:平板ガラス試料板ホルダー(厚さ0.5mm)
測定範囲:5°≦2θ≦90°。
その他の装置を使用する場合は、粉末X線回折用標準Si粉末を用いた測定を行って、上記装置によって得られる結果と同等のピーク強度、半値幅及び回折角の測定結果が得られる条件を見つけ、その条件で試料の測定を行う。
上記粉末X線回折測定の条件は、リートベルト解析に適用できるXRDパターンを取得できる条件とすることが望ましい。リートベルト解析用のデータを収集するには、具体的にはステップ幅が回折ピークの最小半値幅の1/3-1/5となるようにし、最強度反射のピーク位置における強度が5000cps以上となるように適宜、測定時間又はX線強度を調整する。
電極に含まれている活物質の組成をICP発光分光法により測定するには、先ず、電極から活物質含有層を剥離する。例えば、超音波を照射することにより電極活物質が含まれている部分を剥離することができる。具体例として、例えば、ガラスビーカー中に入れたエチルメチルカーボネートに電極を入れ、超音波洗浄機中で振動させることで、電極集電体から電極活物質を含む活物質含有層を剥離させることができる。
次に、剥離した部分を大気中で短時間加熱して(例えば、500℃で1時間程度)、結着剤成分やカーボンなど不要な成分を焼失させる。この残渣を酸で溶解することで、活物質を含む液体サンプルを作製できる。このとき、酸としては塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素などを使用できる。この液体サンプルをICP分析に供することで、活物質中の組成を知ることができる。
(電解質)
電解質としては、例えば液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、溶質としての電解質塩を有機溶媒に溶解することにより調製される。電解質塩の濃度は、0.5mol/L以上2.5mol/L以下であることが好ましい。
電解質塩の例には、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CFSO)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiN(SOF);LiFSI)のようなリチウム塩、及び、これらの混合物が含まれる。電解質塩は、高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPFが最も好ましい。
有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate;VC)のような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate;MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2-methyl tetrahydrofuran;2MeTHF)、ジオキソラン(dioxolane;DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(dimethoxy ethane;DME)、ジエトキシエタン(diethoxy ethane;DEE)のような鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、及びスルホラン(sulfolane;SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で、又は混合溶媒として用いることができる。
ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide;PEO)、又はこれらの混合物が含まれる。
或いは、非水電解質としては、液状非水電解質及びゲル状非水電解質の他に、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)、高分子固体電解質、及び無機固体電解質等を用いてもよい。
常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンとアニオンとの組合せからなる有機塩の内、常温(15℃以上25℃以下)で液体として存在し得る化合物を指す。常温溶融塩には、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質塩と混合させることで液体となる常温溶融塩、有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩、又はこれらの混合物が含まれる。一般に、二次電池に用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、有機物カチオンは、一般に4級アンモニウム骨格を有する。
或いは、非水電解質の代わりに、液状水系電解質又はゲル状水系電解質を電解質として用いることができる。液状水系電解質は、溶質として、例えば、上記電解質塩を水系溶媒に溶解することにより調製される。ゲル状水系電解質は、液状水系電解質と上記高分子材料とを複合化することにより調製される。水系溶媒としては、水を含む溶液を用い得る。水を含む溶液とは、純水であってもよく、水と有機溶媒との混合溶媒であってもよい。
(セパレータ)
セパレータは、正極と負極を電気的に絶縁できれば特に問わない。例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、セルロース、若しくはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)を含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。安全性の観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成された多孔質フィルムを用いることが好ましい。これらの多孔質フィルムは、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能なためである。
(負極端子)
負極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し0.8V以上3V以下の電位範囲(vs.Li/Li)において電気化学的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成することができる。具体的には、負極端子の材料としては、銅、ニッケル、ステンレス若しくはアルミニウム、又は、Mg,Ti,Zn,Mn,Fe,Cu,及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子の材料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることが好ましい。負極端子は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料からなることが好ましい。
(正極端子)
正極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し3V以上4.5V以下の電位範囲(vs.Li/Li)において電気的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成することができる。正極端子の材料としては、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は第1電極と、第2電極と、を備える電極群であって、第1電極は二相共存反応性を有する活物質を、第2電極は固溶体である活物質を備え、電極群にかかる圧力は第1領域より第2領域の方が大きい。これによって、第2領域におけるリチウム拡散係数が大きくなり、リチウムイオン二次電池の容量低下が抑制される。
[第2の実施形態]
第2の実施形態によると、二次電池を単電池とする組電池を提供することができる。二次電池には、第1の実施形態の二次電池を用いることができる。
第2の実施形態に係る組電池において、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置してもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて配置してもよい。
次に、第2実施形態に係る組電池の一例について、図面を参照しながら説明する。
図6は、第2の実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図である。図6に示す組電池200は、5つの単電池100a~100eと、4つのバスバー201と、正極側リード202と、負極側リード203とを具備している。5つの単電池100a~100eのそれぞれは、第1の実施形態に係る二次電池である。
単電池100a~100eは、電極群3が外装缶7に収納されている。電極群の厚み方向に見たときに電極群の第2領域と第1部材が重なるように外装缶内に第1部材が設けられてもよい。また、単電池100a~100eは、ラミネートフィルムに収納され、その後外装缶に収納されてもよい。ここで第2領域については、第1の実施形態で説明したため、省略する。また、単電池100a~100eそれぞれに存在する第2領域は、それぞれ異なっていてもよいし、同じであってもよい。
バスバー201は、例えば、1つの単電池100aの負極端子206と、隣に位置する単電池100bの正極端子207とを接続している。このようにして、5つの単電池100は、4つのバスバー201により直列に接続されている。すなわち、図6の組電池200は、5直列の組電池である。例を図示しないが、電気的に並列に接続されている複数の単電池を含む組電池では、例えば、複数の負極端子同士がバスバーにより接続されるとともに複数の正極端子同士がバスバーにより接続されることで、複数の単電池が電気的に接続され得る。
5つの単電池100a~100eのうち少なくとも1つの電池の正極端子207は、外部接続用の正極側リード202に電気的に接続されている。また、5つの単電池100a~100eうち少なくとも1つの電池の負極端子206は、外部接続用の負極側リード203に電気的に接続されている。
図7は、第2の実施形態に係る組電池の他の一例を概略的に示す平面図である。図7は、2つ以上のリチウムイオン二次電池が第1部材8によって拘束されている。図7に示す組電池200は、5つの組電池200と、バスバー(図示しない)と、タブ205と、第1部材8とを具備している。5つの単電池100a~100eのそれぞれは、第1の実施形態に係る二次電池であり、ラミネートフィルム内に収納されている。第1部材8は外装缶7の内部に設けられており、組電池200が外装缶7に収納された際に組電池200と接触する。
図7の組電池200は、単電池100a~100eを並べて配置させたときの最も端に位置する単電池100a、100eに第1部材8が備えられている。単電池100a~100eそれぞれの第1面及び第2面における第2領域は、第3方向から見た時に第1部材8と重なる領域である。
組電池200は外装缶7に収納されることが好ましく、外装缶7に収納されることにより、大きい圧力が単電池100a~100eの第2領域にかかる。単電池100a~100eの電気的接続は、図6の説明で記述した通りに直列又は並列接続され得る為、省略する。
図8は、第2の実施形態に係る組電池のまた他の一例を概略的に示す平面図である。図8に示す組電池200は、5つの組電池200と、バスバー(図示しない)と、タブ205と、第1部材8とを具備している。図8では、図7の第1部材8に加えて単電池100a~100eの間に第1部材8を設けている。5つの単電池100a~100eのそれぞれは、第1の実施形態に係る二次電池である。図8における単電池100a~100eのそれぞれは、ラミネートセルに収納されていることが好ましい。
単電池100a~100eそれぞれの第1面及び第2面における第2領域は、第3方向から見た時に第1部材8と重なる領域である。
単電池100a~100eの電気的接続は、図6の説明で記述した通りに直列又は並列接続され得る為、省略する。
第2の実施形態に係る組電池は、第1の実施形態に係るリチウムイオン二次電池を具備する。従って、係る組電池では容量低下が抑制されている。
[第3の実施形態]
第3の実施形態によると、電池バックが提供される。この電池パックは、第2の実施形態に係る組電池を具備している。この電池パックは、第2の実施形態に係る組電池の代わりに、単一の第1の実施形態に係る二次電池を具備していてもよい。
第3の実施形態に係る電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、二次電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用してもよい。
また、第3の実施形態に係る電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、外部に二次電池からの電流を出力するため、及び/又は二次電池に外部からの電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
次に、第3の実施形態に係る電池パックの一例について、図面を参照しながら説明する。
図9は、第3の実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。図10は、図9に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
図9及び図10に示す電池パック300は、収容容器301と、蓋302と、保護シート303と、組電池200と、プリント配線基板340と、配線347と、図示しない絶縁板とを備えている。
図9に示す収容容器301は、長方形の底面を有する有底角型容器である。収容容器301は、保護シート303と、組電池200と、プリント配線基板340と、配線347とを収容可能に構成されている。蓋302は、矩形型の形状を有する。蓋302は、収容容器301を覆うことにより、上記組電池200等を収容する。収容容器301及び蓋302には、図示していないが、外部機器等へと接続するための開口部又は接続端子等が設けられている。
組電池200は、複数の単電池100と、正極側リード202と、負極側リード203と、粘着テープ204とを備えている。
複数の単電池100の少なくとも1つは、第1の実施形態に係る二次電池である。複数の単電池100の各々は、図10に示すように電気的に直列に接続されている。複数の単電池100は、電気的に並列に接続されていてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されていてもよい。複数の単電池100を並列接続すると、直列接続した場合と比較して、電池容量が増大する。
粘着テープ204は、複数の単電池100を締結している。粘着テープ204の代わりに、熱収縮テープを用いて複数の単電池100を固定してもよい。この場合、組電池200の両側面に保護シート303を配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて複数の単電池100を結束させる。
正極側リード202の一端は、組電池200に接続されている。正極側リード202の一端は、1以上の単電池100の正極2と電気的に接続されている。負極側リード203の一端は、組電池200に接続されている。負極側リード203の一端は、1以上の単電池100の負極4と電気的に接続されている。
プリント配線基板340は、収容容器301の内側面のうち、一方の短辺方向の面に沿って設置されている。プリント配線基板340は、正極側コネクタ342と、負極側コネクタ343と、サーミスタ345と、保護回路346と、配線342a及び343aと、通電用の外部端子350と、プラス側配線(正側配線)348aと、マイナス側配線(負側配線)348bとを備えている。プリント配線基板340の一方の面は、組電池200の一側面と向き合っている。プリント配線基板340と組電池200との間には、図示しない絶縁板が介在している。
正極側コネクタ342に、正極側リード202の他端202aが電気的に接続されている。負極側コネクタ343に、負極側リード203の他端203aが電気的に接続されている。
サーミスタ345は、プリント配線基板340の一方の面に固定されている。サーミスタ345は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路346に送信する。
通電用の外部端子350は、プリント配線基板340の他方の面に固定されている。通電用の外部端子350は、電池パック300の外部に存在する機器と電気的に接続されている。通電用の外部端子350は、正側端子352と負側端子353とを含む。
保護回路346は、プリント配線基板340の他方の面に固定されている。保護回路346は、プラス側配線348aを介して正側端子352と接続されている。保護回路346は、マイナス側配線348bを介して負側端子353と接続されている。また、保護回路346は、配線342aを介して正極側コネクタ342に電気的に接続されている。保護回路346は、配線343aを介して負極側コネクタ343に電気的に接続されている。更に、保護回路346は、複数の単電池100の各々と配線347を介して電気的に接続されている。
保護シート303は、収容容器301の長辺方向の両方の内側面と、組電池200を介してプリント配線基板340と向き合う短辺方向の内側面とに配置されている。保護シート303は、例えば、樹脂又はゴムからなる。
保護回路346は、複数の単電池100の充放電を制御する。また、保護回路346は、サーミスタ345から送信される検出信号、又は、個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号に基づいて、保護回路346と外部機器への通電用の外部端子350(正側端子352、負側端子353)との電気的な接続を遮断する。
サーミスタ345から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の温度が所定の温度以上であることを検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の過充電、過放電及び過電流を検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100について過充電等を検出する場合、電池電圧を検出してもよく、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。
なお、保護回路346としては、電池パック300を電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を用いてもよい。
また、この電池パック300は、上述したように通電用の外部端子350を備えている。したがって、この電池パック300は、通電用の外部端子350を介して、組電池200からの電流を外部機器に出力するとともに、外部機器からの電流を、組電池200に入力することができる。言い換えると、電池パック300を電源として使用する際には、組電池200からの電流が、通電用の外部端子350を通して外部機器に供給される。また、電池パック300を充電する際には、外部機器からの充電電流が、通電用の外部端子350を通して電池パック300に供給される。この電池パック300を車載用電池として用いた場合、外部機器からの充電電流として、車両の動力の回生エネルギーを用いることができる。
なお、電池パック300は、複数の組電池200を備えていてもよい。この場合、複数の組電池200は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。また、プリント配線基板340及び配線347は省略してもよい。この場合、正極側リード202及び負極側リード203を通電用の外部端子350の正側端子352と負側端子353としてそれぞれ用いてもよい。
このような電池パックは、例えば大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に用いられる。この電池パックは、具体的には、例えば、電子機器の電源、定置用電池、各種車両の車載用電池として用いられる。電子機器としては、例えば、デジタルカメラを挙げることができる。この電池パックは、車載用電池として特に好適に用いられる。
第3の実施形態に係る電池パックは、第1の実施形態に係る二次電池又は第2の実施形態に係る組電池を備えている。従って、係る電池パックでは容量低下が抑制されている。
[第4の実施形態]
第4の実施形態によると、車両が提供される。この車両は第3の実施形態に係る電池パックを搭載している。
第4の実施形態に係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。車両は、この車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構(Regenerator:再生器)を含んでいてもよい。
第4の実施形態に係る車両の例としては、例えば、二輪から四輪までのハイブリッド電気自動車、二輪から四輪までの電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両が挙げられる。
第4の実施形態に係る車両における電池パックの搭載位置は、特には限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
第4の実施形態に係る車両は、複数の電池パックを搭載してもよい。この場合、それぞれの電池パックが含む電池同士は、電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。例えば、各電池パックが組電池を含む場合は、組電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、又は電気的に並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。或いは、各電池パックが単一の電池を含む場合は、それぞれの電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。
次に、第4の実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
図11は、第4の実施形態に係る車両の一例を概略的に示す部分透過図である。
図11に示す車両400は、車両本体40と、第3の実施形態に係る電池パック300とを含んでいる。図11に示す例では、車両400は、四輪の自動車である。
この車両400は、複数の電池パック300を搭載してもよい。この場合、電池パック300が含む電池(例えば、単電池又は組電池)は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
図11では、電池パック300が車両本体40の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている例を図示している。上述したとおり、電池パック300は、例えば、車両本体400の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック300は、車両400の電源として用いることができる。また、この電池パック300は、車両400の動力の回生エネルギーを回収することができる。
次に、図12を参照しながら、第4の実施形態に係る車両の実施態様について説明する。
図12は、第4の実施形態に係る車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示した図である。図12に示す車両400は、電気自動車である。
図12に示す車両400は、車両本体40と、車両用電源41と、車両用電源41の上位の制御装置である車両ECU(ECU:Electric Control Unit;電気制御装置)42と、外部端子(外部電源に接続するための端子)43と、インバータ44と、駆動モータ45とを備えている。
車両400は、車両用電源41を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。なお、図12に示す車両400では、車両用電源41の搭載箇所については概略的に示している。
車両用電源41は、複数(例えば3つ)の電池パック300a、300b及び300cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)411と、通信バス412とを備えている。
電池パック300aは、組電池200aと組電池監視装置310a(例えば、VTM:Voltage Temperature Monitoring)とを備えている。電池パック300bは、組電池200bと組電池監視装置310bとを備えている。電池パック300cは、組電池200cと組電池監視装置310cとを備えている。電池パック300a~300cは、前述の電池パック300と同様の電池パックであり、組電池200a~200cは、前述の組電池200と同様の組電池である。組電池200a~200cは、電気的に直列に接続されている。電池パック300a、300b、及び300cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パック300と交換することができる。
組電池200a~200cのそれぞれは、直列に接続された複数の単電池を備えている。複数の単電池の少なくとも1つは、第1の実施形態に係る二次電池である。組電池200a~200cは、それぞれ、正極端子413及び負極端子414を通じて充放電を行う。
電池管理装置411は、組電池監視装置310a~310cとの間で通信を行い、車両用電源41に含まれる組電池200a~200cに含まれる単電池100のそれぞれについて電圧及び温度などに関する情報を収集する。これにより、電池管理装置411は、車両用電源41の保全に関する情報を収集する。
電池管理装置411と組電池監視装置310a~310cとは、通信バス412を介して接続されている。通信バス412では、1組の通信線が複数のノード(電池管理装置411と1つ以上の組電池監視装置310a~310cと)で共有されている。通信バス412は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。
組電池監視装置310a~310cは、電池管理装置411からの通信による指令に基づいて、組電池200a~200cを構成する個々の単電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての単電池の温度を測定しなくてもよい。
車両用電源41は、正極端子413と負極端子414との間の電気的な接続の有無を切り替える電磁接触器(例えば図12に示すスイッチ装置415)を有することもできる。スイッチ装置415は、組電池200a~200cへの充電が行われるときにオンになるプリチャージスイッチ(図示せず)、及び、組電池200a~200cからの出力が負荷へ供給されるときにオンになるメインスイッチ(図示せず)を含んでいる。プリチャージスイッチ及びメインスイッチのそれぞれは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオン又はオフに切り替わるリレー回路(図示せず)を備えている。スイッチ装置415等の電磁接触器は、電池管理装置411又は車両400全体の動作を制御する車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。
インバータ44は、入力された直流電圧を、モータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ44の3相の出力端子は、駆動モータ45の各3相の入力端子に接続されている。インバータ44は、電池管理装置411又は車両全体の動作を制御するための車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。インバータ44が制御されることにより、インバータ44からの出力電圧が調整される。
駆動モータ45は、インバータ44から供給される電力により回転する。駆動モータ45の回転によって発生する駆動力は、例えば差動ギアユニットを介して車軸及び駆動輪Wに伝達される。
また、図示はしていないが、車両400は、回生ブレーキ機構(リジェネレータ)を備えている。回生ブレーキ機構は、車両400を制動した際に駆動モータ45を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ44に入力され、直流電流に変換される。変換された直流電流は、車両用電源41に入力される。
車両用電源41の負極端子414には、接続ラインC1の一方の端子が接続されている。接続ラインC1の他方の端子は、インバータ44の負極入力端子417に接続されている。接続ラインC1には、負極端子414と負極入力端子417との間に電池管理装置411内の電流検出部(電流検出回路)416が設けられている。
車両用電源41の正極端子413には、接続ラインC2の一方の端子が、接続されている。接続ラインC2の他方の端子は、インバータ44の正極入力端子418に接続されている。接続ラインC2には、正極端子413と正極入力端子418との間にスイッチ装置415が設けられている。
外部端子43は、電池管理装置411に接続されている。外部端子43は、例えば、外部電源に接続することができる。
車両ECU42は、運転者などの操作入力に応答して電池管理装置411を含む他の管理装置及び制御装置とともに車両用電源41、スイッチ装置415、及びインバータ44等を協調制御する。車両ECU42等の協調制御によって、車両用電源41からの電力の出力及び車両用電源41の充電等が制御され、車両400全体の管理が行われる。電池管理装置411と車両ECU42との間では、通信線により、車両用電源41の残容量など、車両用電源41の保全に関するデータ転送が行われる。
第4の実施形態に係る車両は、第3の実施形態に係る電池パックを搭載している。電池パックでは放電容量が改善されているため、信頼性の高い車両を提供することが可能である。
[第5の実施形態]
第5の実施形態によると、第3の実施形態に係る電池パックを含む定置用電源が提供される。
係る定置用電源は、第3の実施形態に係る電池パックの代わりに、第2の実施形態に係る組電池又は第1の実施形態に係る二次電池を搭載していてもよい。実施形態に係る定置用電源は、長寿命を実現できる。
図13は、実施形態に係る定置用電源を含むシステムの一例を示すブロック図である。図13は、実施形態に係る電池パック300A、300Bの使用例として、定置用電源112、123への適用例を示す図である。図13に示す一例では、定置用電源112,123が用いられるシステム110が示される。システム110は、発電所111、定置用電源112、需要家側電力系統113及びエネルギー管理システム(EMS)115を備える。また、システム110には、電力網116及び通信網117が形成され、発電所111、定置用電源112、需要家側電力系統113及びEMS115は、電力網116及び通信網117を介して、接続される。EMS115は、電力網116及び通信網117を活用して、システム110全体を安定化させる制御を行う。
発電所111は、火力及び原子力等の燃料源によって、大容量の電力を生成する。発電所111からは、電力網116等を通して電力が供給される。また、定置用電源112には、電池パック300Aが搭載される。電池パック300Aは、発電所111から供給される電力等を蓄電できる。また、定置用電源112は、電池パック300Aに蓄電された電力を、電力網116等を通して供給できる。システム110には、電力変換装置118が設けられる。電力変換装置118は、コンバータ、インバータ及び変圧器等を含む。したがって、電力変換装置118は、直流と交流との間の変換、互いに対して周波数が異なる交流の間の変換、及び、変圧(昇圧及び降圧)等を行うことができる。このため、電力変換装置118は、発電所111からの電力を、電池パック300Aへ蓄電可能な電力に変換できる。
需要家側電力系統113には、工場用の電力系統、ビル用の電力系統、及び、家庭用の電力系統等が、含まれる。需要家側電力系統113は、需要家側EMS121、電力変換装置122及び定置用電源123を備える。定置用電源123には、電池パック300Bが搭載される。需要家側EMS121は、需要家側電力系統113を安定化させる制御を行う。
需要家側電力系統113には、発電所111からの電力、及び、電池パック300Aからの電力が、電力網116を通して供給される。電池パック300Bは、需要家側電力系統113に供給された電力を蓄電できる。また、電力変換装置122は、電力変換装置118と同様に、コンバータ、インバータ及び変圧器等を含む。したがって、電力変換装置122は、直流と交流との間の変換、互いに対して周波数が異なる交流の間の変換、及び、変圧(昇圧及び降圧)等を行うことができる。このため、電力変換装置122は、需要家側電力系統113に供給された電力を、電池パック300Bへ蓄電可能な電力に変換できる。
なお、電池パック300Bに蓄電された電力は、例えば、電気自動車等の車両の充電等に用いることができる。また、システム110には、自然エネルギー源が設けられてもよい。この場合、自然エネルギー源は、風力及び太陽光等の自然エネルギーによって、電力を生成する。そして、発電所111に加えて自然エネルギー源からも、電力網116を通して、電力が供給される。
第5の実施形態に係る定置用電源は、第3の実施形態に係る電池パックを搭載している。従って、レート特性とサイクル特性を改善させた定置用電源を実現することができる。
[実施例]
以下に実施例を説明するが、実施形態は、以下に記載される実施例に限定されるものではない。
まず、圧力に対するリチウム拡散係数の変化を確認した。
(参考例1)
<第1電極の作製>
第1活物質としてスピネル型チタン酸リチウムLiTi12(LTO)を準備した。導電剤としてカーボンブラック(CB)を準備した。結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を準備した。これら材料をLTO:CB:PVdF=100:4:2の質量割合で分散溶媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に加えて混合して活物質含有スラリーを調製した。このスラリーを、厚さ12μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した。その後、スラリー塗膜を乾燥し、プレスすることにより、第1活物質含有層を形成した。その後、第1活物質含有層の面の輪郭が長方形となるように切出した。但し、長方形の一辺にて、集電体のうち活物質含有層が形成されていない部分を残すことで、集電タブを形成した。
こうして、第1活物質含有層を備えた第1電極を作製した。
<第2電極の作製>
第2活物質としてリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM)を準備した。導電剤としてアセチレンブラック(AB)及びカーボンブラック(CB)を準備した。結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を準備した。これら材料をNCM:AB:CB:PVdF=100:3.33:1.67:1.2の質量割合で分散溶媒としてのN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に加えて混合して活物質含有スラリーを調製した。このスラリーを、厚さ12μmのアルミニウム箔からなる集電体の両面に塗布した。その後、スラリー塗膜を乾燥し、プレスすることにより、第2活物質含有層を形成した。その後、第2活物質含有層の面の輪郭が長方形となるように切出した。但し、長方形の一辺にて、集電体のうち活物質含有層が形成されていない部分を残すことで、集電タブを形成した。
こうして、第2活物質含有層を備えた第2電極を作製した。
<電極群の作製>
15μmの厚さを有するセルロースセパレータを準備した。上記第1電極と、上記第2電極との間にセパレータを介在させて扁平形状になるようにこれらを渦巻状に捲回した構造を有する、コイル体を得た。
<液状電解質の調整>
プロピレンカーボネート(PC)及びジエチルカーボネート(DEC)を、PC:DEC=1:2の体積割合で混合して、混合溶媒を得た。混合溶媒に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.0M溶解させて、液状非水電解質を調製した。
<電池の組み立て>
上記電極群を、アルミニウム箔とその両面に形成されたポリプロピレン層とから構成されたラミネートフィルムからなるパックに収納した。その後、電極群が収納されたラミネートフィルムパック内に上記液状非水電解質を注入した。ラミネートフィルムパックをヒートシールにより完全密閉し、電池を作製した。
<リチウム拡散係数の測定時における電池の加圧方法>
ベーク板でラミネートフィルムを上下に貼り付け、さらに上下から、4カ所に穴があいた金属板で抑え、4カ所をねじで締め拘束を行った。ねじ閉めはトルクレンチを用い、1.0kNの圧がかかるように行った。
(参考例2~3)
作製した電池に加える圧力を表1に示すように変更すること以外は参考例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
(参考例4)
作製した電池に大気圧以外の圧力を加えないようにすること以外は参考例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
<測定方法>
以下、電池についての測定方法を説明する。具体的には、第2領域におけるリチウム拡散係数DtE及び第1領域におけるリチウム拡散係数DtCを求める方法及び寿命評価の方法を説明する。
(リチウム拡散係数Dt、リチウム拡散係数Dt
先述したように圧力を変えて作製した参考例1~4の電池を用いて、リチウム拡散係数の測定をした。
上述した方法に沿って、各電池を半充電状態まで充電し、交流インピーダンスを測定し、測定結果から電極群厚さ方向へのリチウム拡散係数Dt(Dt及びDt)を算出した。ここで言う電極群厚さ方向とは、電極群の面と交差する方向である。
下記表1に、参考例1~4にて作製した電池に加える圧力、並びにリチウム拡散係数Dtの測定結果を示す。リチウム拡散係数Dtとしては、参考例1~3においては、電池に表1記載の圧力をかけたときの厚さ方向へのリチウム拡散係数Dt、参考例4としては、電池に大気圧以外の圧力かけないときの厚さ方向へのリチウム拡散係数Dtを示す。
Figure 0007480101000001
表1から電極群に対して圧力がかかるほどリチウム拡散係数が大きくなることが確かめられた。
(実施例1)
上述した参考例1と同様の作製方法で得た電池における第2領域に以下の方法で圧力をかけた。
<放電容量維持率の測定における電池の加圧方法>
電極幅L1に対して、長さL1、幅0.1L1のベイク板4本用意し、ラミネートフィルムの第1面及び第2面それぞれにおける外縁部に設置し、さらに第1面及び第2面を4カ所に穴があいた金属板で抑え、4カ所をねじで締め拘束を行った。ねじ閉めはトルクレンチを用い、1.0kNの圧がかかるように行った。この外縁部を第2領域とした。
(実施例2~3)
作製した電池に加える圧力を表2に示すように変更すること以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
(比較例1)
作製した電池に大気圧以外の圧力を加えないようにすること以外は実施例1と同様にして、リチウムイオン二次電池を作製した。
<寿命評価>
実施例1-3及び比較例1で作製した各々の電池について、下記のとおり寿命性能を評価した。
先ず、次のようにして初回放電容量を測定した。25℃の温度環境下、1Cレート(600mA)の定電流でSOC 100%まで充電した。10分間の休止時間を設けた後、0.2Cレート(120mA)の定電流でSOC 0%まで放電した。放電の際の容量を測定し、記録した。
上記初回充放電を0サイクル目として、その後12000サイクルの充放電を繰り返した。但し、2000サイクル毎に容量確認試験を実施し、その時点での容量維持率を算出した(放電容量維持率 = [各サイクル目の放電容量/初回(0サイクル目)放電容量]×100%)。
各サイクル毎の充放電は、次の条件で行った。温度は25℃とし、5Cレート(3A)の定電流でSOC 43%まで充電し、その後、5Cレート(3 A)の定電流でSOC 28%まで放電した。充電及び放電の間に休止時間を設けなかった。
2000サイクル毎の容量確認試験は、初回放電容量の測定と同様の条件で行った。つまり、温度は25℃とし、1Cレート(600mA)の定電流でSOC 100%まで充電し、0.2Cレート(120mA)の定電流でSOC 0%まで放電した。充電の後、放電を開始する前に、10分間の休止時間を設けた。
下記表2に、寿命性能の評価結果を示す。具体的には、初回放電容量及び2000サイクル毎の放電容量維持率を示す。
Figure 0007480101000002
表2に示すとおり、実施例1~3及び比較例1に係る電池は、いずれも同程度の初回放電容量を示した。また、実施例1~3に係る電池では、比較例1に係る電池よりも放電容量の低下が少なかった。実施例1~3に係る電池では、表1に示したとおり規定の圧力が電池にかかっているため、第1領域と見なした部分の厚さ方向へのリチウム拡散係数Dt(比較例1の結果)よりも、第2領域とみなした部分の厚さ方向へのリチウム拡散係数Dt(実施例1-3の結果)のほうが高かった。実施例1~3と比較例1との間の比較から、電極群に係る圧力が第1領域より第2領域のほうが大きいことで電極群の面における第1領域よりも第2領域における厚さ方向へのリチウム拡散係数Dtを高くできたことにより、急速充放電サイクルの繰り返しに伴う容量低下の抑制がみられた。また、第1部材を用いることにより電極群の面における第2領域を加圧することができ、第2領域における厚さ方向へのリチウム拡散係数が高くなることで急速充放電サイクルの繰り返しに伴う容量低下の抑制がみられた。
以上説明した1以上の実施形態及び実施例によれば、リチウムイオン二次電池が提供される。係るリチウムイオン二次電池は、第1電極と、第2電極と、を備える電極群であって、第1電極は二相共存反応性を有する活物質を、第2電極は固溶体である活物質を備え、電極群にかかる圧力は第1領域より第2領域の方が大きい。係るリチウムイオン二次電池は、容量低下が抑制された電池パック並びにこの電池パックを搭載した車両及び定置用電源を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…正極端子、2…負極端子、3…電極群、4…タブ、5…上面、6…底面、7…外装缶、8…第1部材、9…第1a辺、10…第1b辺、14…第2a領域、15…第2b領域、16…第1領域、17…第2領域、100…二次電池、110…システム、111…発電所、112…定置用電源、113…需要家側電力系統、115…エネルギー管理システム、116…電力網、117…通信網、118…電力変換装置、121…需要家側EMS、122…電力変換装置、123…定置用電源、200…組電池、200a…組電池、200b…組電池、200c…組電池、201…バスバー、202…正極側リード、203…負極側リード、204…粘着テープ、205…タブ、206…負極端子、207…正極端子、300…電池パック、301…収容容器、302…蓋、303…保護シート、310a…組電池監視装置、310b…組電池監視装置、310c…組電池監視装置、340…プリント配線基板、342…正極側コネクタ、342a…配線、343…負極側コネクタ、343a…配線、345…サーミスタ、346…保護回路、347…配線、350…通電用の外部端子、352…正側端子、353…負側端子、348a…プラス側配線、348b…マイナス側配線、400…車両、411…電池管理装置、412…通信バス、413…正極端子、414…負極端子、415…スイッチ装置、416…電流検出部、417…負極入力端子、418…正極入力端子、C1…接続ライン、C2…接続ライン、W…駆動輪。

Claims (13)

  1. 第1電極と、
    第2電極と、を備える電極群を有し
    前記第1電極は二相共存反応性を有する第1活物質を備え、前記第2電極は固溶体である第2活物質を備え、
    前記電極群にかかる圧力は第1領域より第2領域の方が大きいリチウムイオン二次電池。
  2. 第1電極と、第2電極と、を備える電極群と、
    第1部材と、を有し
    前記第1電極は二相共存反応性を有する第1活物質を備え、前記第2電極は固溶体である第2活物質を備え、
    前記電極群は面と、第2領域と、を有し、前記面に対して直交する方向に見たときに、前記面と前記第1部材の重なる領域が前記第2領域であるリチウムイオン二次電池。
  3. 前記電極群は、さらに第1領域を有し、
    前記第1領域は、前記電極群の前記面における前記第2領域を除いた領域であり、
    前記第1部材は拘束部材を含み、前記拘束部材によって前記第2領域に圧力がかかる請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
  4. 前記面の中心から端部までの距離の2倍をL1とし、端部から中心に向かう距離をL2としたとき、前記第2領域は0.03L1以上0.25L1以下のL2の範囲内に含まれ、前記第1領域は前記第2領域を除いた部分である請求項3に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記電極群は、面を有し、
    前記面の中心から端部までの距離の2倍をL1とし、端部から中心に向かう距離をL2としたとき、前記第2領域は0.03L1以上0.25L1以下のL2の範囲内に含まれ、前記第1領域は前記第2領域を除いた部分である請求項1に記載のリチウムイオン二次電池。
  6. 前記第1活物質は、チタン酸リチウム、オリビン型リン酸鉄リチウムからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む請求項1から請求項のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池を具備する、電池パック。
  8. 複数のリチウムイオン二次電池を備え、前記リチウムイオン二次電池の配列における両端が請求項2から請求項のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池である電池パック。
  9. 通電用の外部端子と、
    保護回路と
    を更に具備する請求項又は請求項に記載の電池パック。
  10. 複数の前記リチウムイオン二次電池を具備し、
    前記リチウムイオン二次電池が、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている、請求項から請求項のいずれか1項に記載の電池パック。
  11. 請求項から請求項10のいずれか1項に記載の電池パックを具備する、車両。
  12. 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む、請求項11に記載の車両。
  13. 請求項から請求項10のいずれか1項に記載の電池パックを具備する、定置用電源。
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