JP7477800B2 - 被覆電線 - Google Patents

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Description

本開示は、被覆電線に関する。
特許文献1には、含有されているアルカリ金属およびアルカリ土類金属の総量(ppm)が、372℃におけるメルトフローレート(MFR)(g/10分、ASTM D2116)から式(1):
5.2×e0.125(MFR)+2 (1)
に従って計算される値を越えず、式(2):
0.35×e0.125(MFR) (2)
に従って計算される値を越える含フッ素重合体により被覆された電線またはケーブルが記載されている。
国際公開第01/018076号
本開示では、厚みが均一で、押出成形法により容易に形成できる被覆層を備えており、高温の熱水中に長時間設置された後であっても、優れた150℃耐引張クリープ特性、150℃で加わる引張力に対する優れた延性、および、150℃で負荷される引張荷重に対する優れた耐変形性を維持することができ、高温の熱水中に長時間設置された後に、さらに径の小さい円筒に巻き付けられた状態で長時間加熱されてもクラックが生じにくい被覆層を備える被覆電線を提供することを目的とする。
本開示によれば、心線と、前記心線の周囲に設けられた被覆層とを備える被覆電線であって、前記被覆層が、テトラフルオロエチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位およびフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位を含有する含フッ素共重合体を含有しており、前記含フッ素共重合体中のヘキサフルオロプロピレン単位の含有量が、全単量体単位に対して、9.5~10.5質量%であり、前記含フッ素共重合体中のフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位の含有量が、全単量体単位に対して、0~0.3質量%であり、前記含フッ素共重合体の372℃におけるメルトフローレートが、5.6~8.9g/10分である被覆電線が提供される。
本開示によれば、厚みが均一で、押出成形法により容易に形成できる被覆層を備えており、高温の熱水中に長時間設置された後であっても、優れた150℃耐引張クリープ特性、150℃で加わる引張力に対する優れた延性、および、150℃で負荷される引張荷重に対する優れた耐変形性を維持することができ、高温の熱水中に長時間設置された後に、さらに径の小さい円筒に巻き付けられた状態で長時間加熱されてもクラックが生じにくい被覆層を備える被覆電線を提供することができる。
以下、本開示の具体的な実施形態について詳細に説明するが、本開示は、以下の実施形態に限定されるものではない。
本開示の被覆電線は、心線と、心線の周囲に設けられた被覆層とを備えており、被覆層が、テトラフルオロエチレン(TFE)単位、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)単位およびフルオロ(アルキルビニルエーテル)(FAVE)単位を含有する。
フッ素樹脂は、電気特性に優れることから、特許文献1に記載のように、電線の被覆材として用いられている。また、フッ素樹脂は、耐熱性にも優れていることから、高温環境下で使用される耐熱電線の被覆材としても用いられている。
しかしながら、従来の電線の被覆材として用いられるフッ素樹脂は、高温の環境での使用しか想定されておらず、熱水中に長時間設置される電線の被覆材に用いるには、耐熱性が十分とはいえない問題がある。
そこで、本発明者らは、厚みの変動がない被覆層を容易に形成することができるフッ素樹脂であって、熱水中に長時間設置された場合でも電線を保護することができる被覆層を形成することができるフッ素樹脂を鋭意検討したところ、TFE単位、HFP単位およびFAVE単位を含有する含フッ素共重合体であって、HFP単位およびFAVE単位の含有量、ならびに、メルトフローレートを極めて限定された範囲内に調整した含フッ素共重合体を被覆材として用いることによって、熱水中に長時間設置される電線の被覆材として用いた場合でも、従来にはない高いレベルで電線を保護できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本開示の被覆電線は、HFP単位およびFAVE単位の含有量、ならびに、メルトフローレートが適切に調整された含フッ素共重合体を含有する被覆層を備えている。この被覆層は、このような含フッ素共重合体により形成されるものであることから、溶融させた含フッ素共重合体を心線上に押し出すことにより容易に形成させることができ、被覆層の厚みを均一とすることも容易である。また、この被覆層は、150℃のような高温の熱水中に長時間設置された後であっても、優れた150℃耐引張クリープ特性、150℃で加わる引張力に対する優れた延性、および、150℃で負荷される引張荷重に対する優れた耐変形性を維持することができる。さらに、高温の熱水中に長時間設置された後に、さらに径の小さい円筒に巻き付けられた状態で長時間加熱されてもクラックが生じにくい。
被覆層に含まれる共重合体は、溶融加工性のフッ素樹脂である。溶融加工性とは、押出機および射出成形機などの従来の加工機器を用いて、ポリマーを溶融して加工することが可能であることを意味する。
上記FAVE単位を構成するFAVEとしては、一般式(1):
CF=CFO(CFCFYO)-(CFCFCFO)-Rf (1)
(式中、YはFまたはCFを表し、Rfは炭素数1~5のパーフルオロアルキル基を表す。pは0~5の整数を表し、qは0~5の整数を表す。)で表される単量体、および、一般式(2):
CFX=CXOCFOR (2)
(式中、Xは、同一または異なり、H、FまたはCFを表し、Rは、直鎖または分岐した、H、Cl、BrおよびIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1~2個含んでいてもよい炭素数が1~6のフルオロアルキル基、若しくは、H、Cl、BrおよびIからなる群より選択される少なくとも1種の原子を1~2個含んでいてもよい炭素数が5または6の環状フルオロアルキル基を表す。)で表される単量体からなる群より選択される少なくとも1種を挙げることができる。
なかでも、上記FAVEとしては、一般式(1)で表される単量体が好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)およびパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、PEVEおよびPPVEからなる群より選択される少なくとも1種がさらに好ましく、PPVEが特に好ましい。
含フッ素共重合体のHFP単位の含有量は、全単量体単位に対して、9.5~10.5質量%であり、好ましくは9.6質量%以上であり、好ましくは10.4質量%以下であり、より好ましくは10.2質量%以下であり、さらに好ましくは10.1質量%以下である。HFP単位の含有量が少なすぎると、高温の熱水中に長時間設置された後において、150℃で加わる引張力に対する優れた延性および耐クラック性に優れる被覆層を得ることができない。HFP単位の含有量が多すぎると、高温の熱水中に長時間設置された後において、150℃耐引張クリープ特性および150℃で負荷される引張荷重に対する耐変形性に優れる被覆層を得ることができない。
含フッ素共重合体のFAVE単位の含有量は、全単量体単位に対して、0~0.3質量%であり、好ましくは0.2質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下である。FAVE単位の含有量が多すぎると、高温の熱水中に長時間設置された後において、150℃耐引張クリープ特性および150℃で負荷される引張荷重に対する耐変形性に優れる被覆層を得ることができない。
含フッ素共重合体のTFE単位の含有量は、全単量体単位に対して、好ましくは89.2質量%以上であり、より好ましくは89.3質量%以上であり、さらに好ましくは89.4質量%以上であり、尚さらに好ましくは89.5質量%以上であり、特に好ましくは89.6質量%以上であり、最も好ましくは89.8質量%以上であり、好ましくは90.5質量%以下であり、より好ましくは90.4質量%以下であり、さらに好ましくは90.3質量%以下である。また、HFP単位、FAVE単位、TFE単位およびその他の単量体単位の含有量の合計が100質量%となるように、TFE単位の含有量を選択してもよい。
含フッ素共重合体は、上記の3つの単量体単位を含有するものであれば、上記の3つの単量体単位のみを含有する共重合体であっても、上記の3つの単量体単位およびその他の単量体単位を含有する共重合体であってもよい。
その他の単量体としては、TFE、HFPおよびFAVEと共重合可能な単量体であれば特に限定されず、フルオロモノマーであっても、フッ素非含有モノマーであってもよい。
フルオロモノマーとしては、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブチレン、CH=CZ(CF(式中、ZはHまたはF、ZはH、FまたはCl、nは1~10の整数である)で表される単量体、CF=CF-O-CH-Rf(式中、Rfは、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基)で表されるアルキルパーフルオロビニルエーテル誘導体、パーフルオロ-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール〔PDD〕、および、パーフルオロ-2-メチレン-4-メチル-1,3-ジオキソラン〔PMD〕からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
CH=CZ(CFで表される単量体としては、CH=CFCF、CH=CH-C、CH=CH-C13、CH=CF-CHなどが挙げられる。
フッ素非含有モノマーとしては、TFE、HFPおよびFAVEと共重合可能な炭化水素系モノマーなどが挙げられる。炭化水素系モノマーとしては、たとえば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルケン類;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n-酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ-t-ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、アジピン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ウンデシレン酸ビニル、ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシ吉草酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類;エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステル、イソブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリルエステル等のアルキルアリルエステル類等が挙げられる。
フッ素非含有モノマーとしては、また、TFE、HFPおよびFAVEと共重合可能な官能基含有炭化水素系モノマーであってもよい。官能基含有炭化水素系モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基を有するフッ素非含有モノマー;アミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテル等のアミノ基を有するフッ素非含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド等のアミド基を有するフッ素非含有モノマー;臭素含有オレフィン、ヨウ素含有オレフィン、臭素含有ビニルエーテル、ヨウ素含有ビニルエーテル;ニトリル基を有するフッ素非含有モノマー等が挙げられる。
含フッ素共重合体におけるその他の単量体単位の含有量としては、全単量体単位に対して、好ましくは0~1.3質量%であり、より好ましくは1.0質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下であり、特に好ましくは0.1質量%以下である。
含フッ素共重合体のメルトフローレート(MFR)は、5.6~8.9g/10分である。含フッ素共重合体のMFRは、好ましくは5.7g/10分以上であり、より好ましくは5.8g/10分以上であり、さら好ましくは5.9g/10分以上であり、特に好ましくは6.0g/10分以上であり、最も好ましくは6.1g/10分以上であり、好ましくは8.7g/10分以下であり、より好ましくは8.6g/10分以下であり、さらに好ましくは8.5g/10分以下であり、尚さらに好ましくは8.4g/10分以下であり、殊さらに好ましくは8.3g/10分以下であり、特に好ましくは8.2g/10分以下であり、最も好ましくは8.1g/10分以下である。MFRが低すぎると、高温の熱水中に長時間設置された後において、150℃で負荷される引張荷重に対する耐変形性に優れる被覆層を得ることができない。MFRが高すぎると、高温の熱水中に長時間設置された後において、150℃耐引張クリープ特性、150℃で加わる引張力に対する優れた延性に優れており、径の小さい円筒に巻き付けられた状態で長時間加熱されてもクラックが生じにくい被覆層を得ることができない。また、MFRが高すぎても低すぎても、厚みが均一な被覆層を形成しにくくなる。
本開示において、メルトフローレートは、ASTM D-1238に準拠して、メルトインデクサーG-01(東洋精機製作所製)を用い、372℃、5kg荷重下で、内径2mm、長さ8mmのダイから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)として得られる値である。
MFRは、単量体を重合する際に用いる重合開始剤の種類および量、連鎖移動剤の種類および量などを調整することによって、調整することができる。
含フッ素共重合体は、カルボニル基含有末端基、-CF=CFまたは-CHOHを有していてもよいし、有してなくてもよい。含フッ素共重合体は、カルボニル基含有末端基、-CF=CFおよび-CHOHの合計数が、主鎖炭素数10個当たり、好ましくは70個以下である。カルボニル基含有末端基、-CF=CFおよび-CHOHの合計数は、好ましくなる順に、60個以下、50個以下、40個以下、30個以下である。カルボニル基含有末端基、-CF=CFおよび-CHOHの合計数を上記範囲内とすることにより、成形不良を一層抑制でき、耐熱性に一層優れる被覆層を得ることができる。カルボニル基含有末端基、-CF=CFおよび-CHOHの合計数は、たとえば、重合開始剤または連鎖移動剤の種類の適切な選択により、あるいは、後述する含フッ素共重合体の湿潤熱処理またはフッ素化処理により、調整することができる。
カルボニル基含有末端基は、たとえば、-COF、-COOH、-COOR(Rはアルキル基)、-CONH、および、-O(C=O)O-R(Rはアルキル基)である。-COORおよび-O(C=O)O-Rが有するアルキル基(R)の種類は、含フッ素共重合体を製造する際に用いた重合開始剤、連鎖移動剤などにより決まり、たとえば、-CHなどの炭素数1~6のアルキル基である。
含フッ素共重合体は、-CFHを有していてもよいし、有してなくてもよい。成形不良を一層抑制でき、耐熱性に一層優れる被覆層を得ることができることから、含フッ素共重合体は-CFHを有していることが好ましい。含フッ素共重合体の-CFHの数は、主鎖炭素数10個当たり、50個以上であってよく、好ましくは60個以上であり、より好ましくは90個超であり、さらに好ましくは120個超であり、尚さらに好ましくは150個超であり、特に好ましくは200個以上であり、最も好ましくは250個以上である。-CFHの数の上限は、特に限定されず、たとえば800個であってよい。-CFHの数は、たとえば、重合開始剤または連鎖移動剤の種類の適切な選択により、あるいは、後述する含フッ素共重合体の湿潤熱処理またはフッ素化処理により、調整することができる。
上記官能基の種類の同定および官能基数の測定には、赤外分光分析法を用いることができる。
官能基数については、具体的には、以下の方法で測定する。まず、上記含フッ素共重合体をコールドプレスにより成形して、厚さ0.25~0.30mmのフィルムを作製する。このフィルムをフーリエ変換赤外分光分析により分析して、上記含フッ素共重合体の赤外吸収スペクトルを得、完全にフッ素化されて官能基が存在しないベーススペクトルとの差スペクトルを得る。この差スペクトルに現れる特定の官能基の吸収ピークから、下記式(A)に従って、上記含フッ素共重合体における炭素原子1×10個あたりの官能基数Nを算出する。
N=I×K/t (A)
I:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚さ(mm)
参考までに、いくつかの官能基について、吸収周波数、モル吸光係数および補正係数を表1に示す。また、モル吸光係数は低分子モデル化合物のFT-IR測定データから決定したものである。
Figure 0007477800000001
-CHCFH、-CHCOF、-CHCOOH、-CHCOOCH、-CHCONHの吸収周波数は、それぞれ表中に示す、-CFH、-COF、-COOH freeと-COOH bonded、-COOCH、-CONHの吸収周波数から数十カイザー(cm-1)低くなる。
たとえば、-COFの官能基数とは、-CFCOFに起因する吸収周波数1883cm-1の吸収ピークから求めた官能基数と、-CHCOFに起因する吸収周波数1840cm-1の吸収ピークから求めた官能基数との合計である。
また、-CFH基の数は、核磁気共鳴装置を用い、測定温度を(ポリマーの融点+20)℃として19F-NMR測定を行い、-CFH基のピーク積分値からも求めることができる。
-CFH基などの官能基は、含フッ素共重合体の主鎖末端または側鎖末端に存在する官能基、および、主鎖中または側鎖中に存在する官能基である。これらの官能基は、たとえば、含フッ素共重合体を製造する際に用いた連鎖移動剤や重合開始剤によって、含フッ素共重合体に導入される。たとえば、連鎖移動剤としてアルコールを使用する、あるいは重合開始剤として-CHOHの構造を有する過酸化物を使用した場合、含フッ素共重合体の主鎖末端に-CHOHが導入される。また、官能基を有する単量体を重合することによって、上記官能基が含フッ素共重合体の側鎖末端に導入される。
このような官能基を有する含フッ素共重合体に対して、湿潤熱処理、フッ素化処理などの処理をすることによって、上記範囲内の官能基数を有する含フッ素共重合体を得ることができる。含フッ素共重合体は、湿潤熱処理されたものであることがより好ましい。
含フッ素共重合体の融点は、被覆層の特性を一層向上させることができることから、好ましくは220~290℃であり、より好ましくは255~275℃であり、さらに好ましくは264~271℃である。
本開示において、融点は、示差走査熱量計〔DSC〕を用いて測定できる。
含フッ素共重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれの重合方法によっても製造することができる。これらの重合方法において、温度、圧力等の各条件、重合開始剤、連鎖移動剤、溶媒やその他の添加剤は、所望の含フッ素共重合体の組成や量に応じて適宜設定することができる。
重合開始剤としては、油溶性ラジカル重合開始剤または水溶性ラジカル開始剤を使用できる。
油溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性の過酸化物であってよく、たとえば、
ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジsec-ブチルパーオキシジカーボネートなどのジアルキルパーオキシカーボネート類;
t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレートなどのパーオキシエステル類;
ジt-ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類;
ジ[フルオロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類;
などが代表的なものとしてあげられる。
ジ[フルオロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類としては、[(RfCOO)-](Rfは、パーフルオロアルキル基、ω-ハイドロパーフルオロアルキル基またはフルオロクロロアルキル基)で表されるジアシルパーオキサイドが挙げられる。
ジ[フルオロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類としては、たとえば、ジ(ω-ハイドロパーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロパレリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(ω-クロロ-ヘキサフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(ω-クロロ-デカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω-クロロ-テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル-ω-ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル-パーオキサイド、ω-クロロ-ヘキサフルオロブチリル-ω-クロローデカフルオロヘキサノイル-パーオキサイド、ω-ハイドロドデカフルオロヘプタノイル-パーフルオロブチリル-パーオキサイド、ジ(ジクロロペンタフルオロブタノイル)パーオキサイド、ジ(トリクロロオクタフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(テトラクロロウンデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ペンタクロロテトラデカフルオロデカノイル)パーオキサイド、ジ(ウンデカクロロトリアコンタフルオロドコサノイル)パーオキサイドなどが挙げられる。
水溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の水溶性過酸化物であってよく、たとえば、過硫酸、過ホウ素酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸などのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、t-ブチルパーマレエート、t-ブチルハイドロパーオキサイドなどがあげられる。亜硫酸塩類のような還元剤も併せて含んでもよく、その使用量は過酸化物に対して0.1~20倍であってよい。
重合開始剤として、油溶性ラジカル重合開始剤を用いると、-COFおよび-COOHの生成を回避でき、含フッ素共重合体の-COFおよび-COOHの合計数を容易に上述した範囲に調整できることから好ましい。また、油溶性ラジカル重合開始剤を用いると、カルボニル基含有末端基および-CHOHを上述した範囲に調整することも容易になる傾向がある。特に、油溶性ラジカル重合開始剤を用いた懸濁重合により、含フッ素共重合体を製造することが好適である。油溶性ラジカル重合開始剤としては、ジアルキルパーオキシカーボネート類およびジ[フルオロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ジノルマルプロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートおよびジ(ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイドからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
連鎖移動剤としては、たとえば、エタン、イソペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類;トルエン、キシレン等の芳香族類;アセトン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;メタノール、エタノール、2,2,2-トリフルオロエタノール等のアルコール類;メチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等のハロゲン化炭化水素;3-フルオロベンゾトリフルオライド等が挙げられる。添加量は用いる化合物の連鎖移動定数の大きさにより変わりうるが、通常、溶媒100質量部に対して0.01~20質量部の範囲で使用される。
たとえば、重合開始剤として、ジアルキルパーオキシカーボネート類、ジ[フルオロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類などを用いる場合、得られる含フッ素共重合体の分子量が高くなりすぎ、所望のメルトフローレートに調整することが容易でない場合があるが、連鎖移動剤を用いて、分子量を調整することができる。特に、アルコール類などの連鎖移動剤および油溶性ラジカル重合開始剤を用いた懸濁重合により、含フッ素共重合体を製造することが好適である。
溶媒としては、水、水とアルコールとの混合溶媒等が挙げられる。また、含フッ素共重合体の重合に用いるモノマーを、溶媒として用いることもできる。
懸濁重合では、水に加えて、フッ素系溶媒を使用してもよい。フッ素系溶媒としては、CHCClF、CHCClF、CFCFCClH、CFClCFCFHCl等のハイドロクロロフルオロアルカン類;CFClCFClCFCF、CFCFClCFClCF等のクロロフルオロアルカン類;パーフルオロシクロブタン、CFCFCFCF、CFCFCFCFCF、CFCFCFCFCFCF等のパーフルオロアルカン類等が挙げられ、なかでも、パーフルオロアルカン類が好ましい。フッ素系溶媒の使用量は、懸濁性および経済性の面から、溶媒100質量部に対して、10~100質量部が好ましい。
重合温度としては特に限定されず、0~100℃であってよい。また、重合開始剤として、ジアルキルパーオキシカーボネート類、ジ[フルオロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類などを用いる場合など、重合開始剤の分解速度が速すぎる場合には、重合温度を0~35℃の範囲とするなど、比較的低温の重合温度を採用することが好ましい。
重合圧力は、用いる溶媒の種類、溶媒の量、蒸気圧、重合温度などの他の重合条件に応じて適宜定められるが、通常、0~9.8MPaGであってよい。重合圧力は、好ましくは0.1~5MPaG、より好ましくは0.5~2MPaG、さらに好ましくは0.5~1.5MPaGである。また、重合圧力を1.5MPaG以上とすると、生産効率を向上させることができる。
重合における添加剤としては、たとえば、懸濁安定剤が挙げられる。懸濁安定剤としては、従来公知のものであれば特に限定されず、メチルセルロース、ポリビニルアルコール等を使用することができる。懸濁安定剤を用いると、重合反応により生成する懸濁粒子が水性媒体に安定に分散するので、グラスライニングなどの付着防止処理を施していないSUS製の反応槽を使用しても、反応槽に懸濁粒子が付着しにくい。したがって、高圧に耐える反応槽を使用することができるので、高圧下での重合が可能となり、生産効率を向上させることができる。これに対し、懸濁安定剤を用いずに重合を行った場合、付着防止処理を施していないSUS製の反応槽を使用すると、懸濁粒子が付着して生産効率が低下するおそれがある。懸濁安定剤の水性媒体に対する濃度は、条件によって適宜調節することができる。
重合反応によりフルオロポリマーを含む水性分散液が得られる場合は、水性分散液中に含まれる含フッ素共重合体を凝析させ、洗浄し、乾燥することにより乾燥フルオロポリマーを回収してもよい。また、重合反応により含フッ素共重合体がスラリーとして得られる場合は、反応容器からスラリーを取り出し、洗浄し、乾燥することにより乾燥フルオロポリマーを回収してもよい。乾燥することによりパウダーの形状で含フッ素共重合体を回収できる。
重合により得られた含フッ素共重合体を、ペレットに成形してもよい。ペレットに成形する成形方法としては、特に限定はなく、従来公知の方法を用いることができる。たとえば、単軸押出機、二軸押出機、タンデム押出機を用いて含フッ素共重合体を溶融押出しし、所定長さに切断してペレット状に成形する方法などが挙げられる。溶融押出しする際の押出温度は、含フッ素共重合体の溶融粘度や製造方法により変える必要があり、好ましくは含フッ素共重合体の融点+20℃~含フッ素共重合体の融点+140℃である。含フッ素共重合体の切断方法は、特に限定は無く、ストランドカット方式、ホットカット方式、アンダーウオーターカット方式、シートカット方式などの従来公知の方法を採用できる。得られたペレットを、加熱することにより、ペレット中の揮発分を除去してもよい(脱気処理)。得られたペレットを、30~200℃の温水、100~200℃の水蒸気、または、40~200℃の温風と接触させて処理してもよい。
重合により得られた含フッ素共重合体を、空気および水の存在下で、100℃以上の温度に加熱してもよい(湿潤熱処理)。湿潤熱処理の方法としては、たとえば、押出機を用いて、空気および水を供給しながら、重合により得られた含フッ素共重合体を溶融させ、押し出す方法が挙げられる。湿潤熱処理により、含フッ素共重合体の-COF、-COOHなどの熱的に不安定な官能基を、熱的に比較的安定な-CFHに変換することができ、含フッ素共重合体の-COFおよび-COOHの合計数、ならびに、カルボニル基含有末端基および-CHOHの合計数を容易に上述した範囲に調整できる。空気および水に加えて、アルカリ金属塩の存在下で、含フッ素共重合体を加熱することにより、-CFHへの変換反応を促進することができる。しかしながら、含フッ素共重合体の用途によっては、アルカリ金属塩による汚染を回避すべきであることに留意すべきである。
重合により得られた含フッ素共重合体を、フッ素化処理してもよいし、フッ素化処理しなくてもよい。時間的および経済的な負担を回避する観点から、含フッ素共重合体をフッ素化処理しないことが好ましい。フッ素化処理は、フッ素化処理されていない含フッ素共重合体とフッ素含有化合物とを接触させることにより行うことができる。フッ素化処理により、含フッ素共重合体のカルボニル基含有末端基、-CHOHなどの熱的に不安定な官能基、および、熱的に比較的安定な-CFHなどの官能基を、熱的に極めて安定な-CFに変換することができる。結果として、含フッ素共重合体のカルボニル基含有末端基および-CHOHの合計数を容易に上述した範囲に調整できる。
フッ素含有化合物としては特に限定されないが、フッ素化処理条件下にてフッ素ラジカルを発生するフッ素ラジカル源が挙げられる。上記フッ素ラジカル源としては、Fガス、CoF、AgF、UF、OF、N、CFOF、フッ化ハロゲン(たとえばIF、ClF)などが挙げられる。
ガスなどのフッ素ラジカル源は、100%濃度のものであってもよいが、安全性の面から不活性ガスと混合し、5~50質量%に希釈して使用することが好ましく、15~30質量%に希釈して使用することがより好ましい。上記不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどが挙げられるが、経済的な面より窒素ガスが好ましい。
フッ素化処理の条件は、特に限定されず、溶融させた状態の含フッ素共重合体とフッ素含有化合物とを接触させてもよいが、通常、含フッ素共重合体の融点以下、好ましくは20~220℃、より好ましくは100~200℃の温度下で行うことができる。上記フッ素化処理は、一般に1~30時間、好ましくは5~25時間行う。フッ素化処理は、フッ素化処理されていない含フッ素共重合体をフッ素ガス(Fガス)と接触させるものが好ましい。
被覆層は、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、充填剤、可塑剤、加工助剤、離型剤、顔料、難燃剤、滑剤、光安定剤、耐候安定剤、導電剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、香料、オイル、柔軟化剤、脱フッ化水素剤等を挙げることができる。
充填剤としては、たとえば、シリカ、カオリン、クレー、有機化クレー、タルク、マイカ、アルミナ、炭酸カルシウム、テレフタル酸カルシウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、架橋ポリスチレン、チタン酸カリウム、カーボン、チッ化ホウ素、カーボンナノチューブ、ガラス繊維等が挙げられる。導電剤としてはカーボンブラック等があげられる。可塑剤としては、ジオクチルフタル酸、ペンタエリスリトール等があげられる。加工助剤としては、カルナバワックス、スルホン化合物、低分子量ポリエチレン、フッ素系助剤等があげられる。脱フッ化水素剤としては有機オニウム、アミジン類等があげられる。
上記その他の成分として、上記した共重合体以外のその他のポリマーを用いてもよい。その他のポリマーとしては、上記した共重合体以外のフッ素樹脂、フッ素ゴム、非フッ素化ポリマーなどが挙げられる。
本開示の被覆電線は、心線と、心線の周囲に設けられており、上記した共重合体を含有する被覆層と、を備えるものである。例えば、心線上に上記の共重合体を溶融押出成形した押出成形体を上記被覆層とすることができる。被覆電線は、LANケーブル(Eathernet Cable)、高周波伝送ケーブル、フラットケーブル、耐熱ケーブル等に好適であり、なかでも、LANケーブル(Eathernet Cable)、高周波伝送ケーブルなどの伝送ケーブルに好適である。
心線の材料としては、例えば、銅、アルミ等の金属導体材料を用いることができる。心線は、直径0.02~3mmであるものが好ましい。心線の直径は、0.04mm以上であることがより好ましく、0.05mm以上が更に好ましく、0.1mm以上が特に好ましい。心線の直径は、2mm以下がより好ましい。
心線の具体例としては、例えば、AWG(アメリカンワイヤゲージ)-46(直径40マイクロメートルの中実銅製ワイヤー)、AWG-26(直径404マイクロメートルの中実銅製ワイヤー)、AWG-24(直径510マイクロメートルの中実銅製ワイヤー)、AWG-22(直径635マイクロメートルの中実銅製ワイヤー)等を用いてもよい。
被覆層の厚みは、0.1~3.0mmであるものが好ましい。被覆層の厚みは、2.0mm以下であることも好ましい。
高周波伝送ケーブルとしては、同軸ケーブルが挙げられる。同軸ケーブルは、一般に、内部導体、絶縁被覆層、外部導体層および保護被覆層が芯部より外周部に順に積層することからなる構造を有する。上記構造における各層の厚さは特に限定されないが、通常、内部導体は直径約0.1~3mmであり、絶縁被覆層は、厚さ約0.3~3mm、外部導体層は、厚さ約0.5~10mm、保護被覆層は、厚さ約0.5~2mmである。
被覆層は、気泡を含有するものであってもよく、気泡が被覆層中に均一に分布しているものが好ましい。
気泡の平均泡径は限定されるものではないが、例えば、60μm以下であることが好ましく、45μm以下であることがより好ましく、35μm以下であることが更に好ましく、30μm以下であることが更により好ましく、25μm以下であることが特に好ましく、23μm以下であることが殊更に好ましい。また、平均泡径は、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましい。平均泡径は、電線断面の電子顕微鏡画像を取り、画像処理により各泡の直径を算出し、平均することにより求めることができる。
被覆層は、発泡率が20%以上であってもよい。より好ましくは30%以上であり、更に好ましくは33%以上であり、更により好ましくは35%以上である。上限は特に限定されないが、例えば、80%である。発泡率の上限は60%であってもよい。発泡率は、((電線被覆材の比重-被覆層の比重)/電線被覆材の比重)×100として求める値である。発泡率は、例えば後述する押出機中のガスの挿入量の調節等により、あるいは、溶解するガスの種類を選択することにより、用途に応じて適宜調整することができる。
被覆電線は、上記心線と上記被覆層との間に別の層を備えていてもよく、被覆層の周囲に更に別の層(外層)を備えていてもよい。被覆層が気泡を含有する場合、本開示の被覆電線は、心線と被覆層の間に非発泡層を挿入した2層構造(スキン-フォーム)や、外層に非発泡層を被覆した2層構造(フォーム-スキン)、更にはスキン-フォームの外層に非発泡層を被覆した3層構造(スキン-フォーム-スキン)であってもよい。非発泡層は特に限定されず、TFE/HFP系共重合体、TFE/PAVE共重合体、TFE/エチレン系共重合体、フッ化ビニリデン系重合体、ポリエチレン〔PE〕等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル〔PVC〕等の樹脂からなる樹脂層であってよい。
被覆電線は、たとえば、押出機を用いて、共重合体を加熱し、共重合体が溶融した状態で心線上に押し出し、被覆層を形成することにより製造することができる。
被覆層の形成に際しては、共重合体を加熱し、共重合体が溶融した状態で、共重合体中にガスを導入することにより、気泡を含有する上記被覆層を形成することもできる。ガスとしては、たとえば、クロロジフルオロメタン、窒素、二酸化炭素等のガス又は上記ガスの混合物を用いることができる。ガスは、加熱した共重合体中に加圧気体として導入してもよいし、化学的発泡剤を共重合体中に混和させることにより発生させてもよい。ガスは、溶融状態の共重合体中に溶解する。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
<1> 本開示の第1の観点によれば、
心線と、前記心線の周囲に設けられた被覆層とを備える被覆電線であって、
前記被覆層が、テトラフルオロエチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位およびフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位を含有する含フッ素共重合体を含有しており、
前記含フッ素共重合体中のヘキサフルオロプロピレン単位の含有量が、全単量体単位に対して、9.5~10.5質量%であり、
前記含フッ素共重合体中のフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位の含有量が、全単量体単位に対して、0~0.3質量%であり、
前記含フッ素共重合体の372℃におけるメルトフローレートが、5.6~8.9g/10分である
被覆電線が提供される。
<2> 本開示の第2の観点によれば、
前記含フッ素共重合体中のヘキサフルオロプロピレン単位の含有量が、全単量体単位に対して、9.6~10.4質量%である第1の観点による被覆電線が提供される。
<3> 本開示の第3の観点によれば、
前記含フッ素共重合体中のフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位の含有量が、全単量体単位に対して、0~0.1質量%である第1または第2の観点による被覆電線が提供される。
<4> 本開示の第4の観点によれば、
フルオロ(アルキルビニルエーテル)単位が、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)単位である第1~第3のいずれかの観点による被覆電線が提供される。
<5> 本開示の第5の観点によれば、
前記含フッ素共重合体の372℃におけるメルトフローレートが、6.1~8.1g/10分である第1~第4のいずれかの観点による被覆電線が提供される。
<6> 本開示の第6の観点によれば、
前記含フッ素共重合体のカルボニル基含有末端基、-CF=CFおよび-CHOHの合計数が、主鎖炭素数10個当たり、70個以下である第1~第5のいずれかの観点による被覆電線が提供される。
<7> 本開示の第7の観点によれば、
前記含フッ素共重合体の-CFHの数が、主鎖炭素数10個当たり、50個以上である第1~第6のいずれかの観点による被覆電線が提供される。
つぎに本開示の実施形態について実施例をあげて説明するが、本開示はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
(単量体単位の含有量)
含フッ素共重合体の各単量体単位の含有量は、NMR分析装置(たとえば、ブルカーバイオスピン社製、AVANCE300 高温プローブ)、または、赤外吸収測定装置(パーキンエルマー社製、Spectrum One)を用いて測定した。
(メルトフローレート(MFR))
含フッ素共重合体のMFRは、ASTM D-1238に準拠して、メルトインデクサーG-01(東洋精機製作所製)を用い、372℃、5kg荷重下で、内径2mm、長さ8mmのダイから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)を測定することにより、求めた。
(-CFHの数)
含フッ素共重合体の-CFH基の数は、核磁気共鳴装置AVANCE-300(ブルカーバイオスピン社製)を用い、測定温度を(ポリマーの融点+20)℃として19F-NMR測定を行い、-CFH基のピーク積分値から求めた。
(-COOH、-COOCH、-CHOH、-COF、-CF=CF、-CONHの数)
実施例および比較例で得られた乾燥粉体もしくはペレットを、コールドプレスにより成形して、厚さ0.25~0.3mmのフィルムを作製した。このフィルムをフーリエ変換赤外分光分析装置〔FT-IR(Spectrum One、パーキンエルマー社製)〕により40回スキャンし、分析して赤外吸収スペクトルを得た。得られた赤外吸収スペクトルを、既知のフィルムの赤外吸収スペクトルと比較して末端基の種類を決定した。また、得られた赤外吸収スペクトルと、既知のフィルムの赤外吸収スペクトルとの差スペクトルに現れる特定の官能基の吸収ピークから、下記式(A)に従って試料における炭素原子1×10個あたりの官能基数Nを算出した。
N=I×K/t (A)
I:吸光度
K:補正係数
t:フィルムの厚さ(mm)
参考までに、実施例における官能基について、吸収周波数、モル吸光係数および補正係数を表2に示す。また、モル吸光係数は低分子モデル化合物のFT-IR測定データから決定したものである。
Figure 0007477800000002
(-OC(=O)O-R(カーボネート基)の数)
国際公開第2019/220850号に記載の方法にて分析を行った。吸収周波数を1817cm-1、モル吸光度係数を170(l/cm/mol)、補正係数を1426とした以外は、官能基数Nの算出方法と同様にして、-OC(=O)O-R(カーボネート基)の数を算出した。
(融点)
含フッ素共重合体の融点は、示差走査熱量計(商品名:X-DSC7000、日立ハイテクサイエンス社製)を用いて、昇温速度10℃/分で200℃から350℃までの1度目の昇温を行い、続けて、冷却速度10℃/分で350℃から200℃まで冷却し、再度、昇温速度10℃/分で200℃から350℃までの2度目の昇温を行い、2度目の昇温過程で生ずる溶融曲線ピークから融点を求めた。
比較例1
容積174Lの攪拌機付きオートクレーブに脱イオン水40.25kgとメタノール0.251kgを投入し、オートクレーブ内を十分に真空窒素置換した。その後、オートクレーブ内を真空脱気し、真空状態となったオートクレーブ内にHFP40.25kgを投入し、オートクレーブを30.0℃に加温した。続けて、オートクレーブの内部圧力が0.909MPaになるまでTFEを投入し、次に8質量%のジ(ω-ヒドロパーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド溶液(以下DHPと略す)0.63kgをオートクレーブ内に投入して重合を開始した。重合開始時点のオートクレーブの内部圧力を0.909MPaに設定し、TFEを連続追加することで設定圧力を保つようにした。重合開始から1.5時間後にメタノール0.251kgを追加投入した。重合開始から2時間後、4時間後、にDHP0.63kgを追加投入するとともに内部圧力を0.001MPa下げ、6時間後に0.48kgを投入するとともに内部圧力を0.001MPa下げた。以降、反応が終了するまで2時間ごとにDHP0.13kgを追加投入し、その都度内部圧力を0.001MPa下げた。
また、TFEの追加投入量が6.0kg、18.1kgに達した時点でそれぞれ0.251kgのメタノールをオートクレーブ内に追加投入した。 そして、TFEの追加投入量が40.25kgに達したところで重合を終了させた。重合終了後、未反応のTFE及びHFPを放出し、湿潤粉体を得た。そしてこの湿潤粉体を純水で洗浄した後、150℃で10時間乾燥し、45.6kgの乾燥粉体を得た。
得られた粉末を、スクリュー押出機(商品名:PCM46、池貝社製)により370℃にて溶融押出して、共重合体のペレットを得た。得られたペレットを用いて、上記した方法により各種物性を測定した。結果を表3に示す。
比較例2
重合開始前に投入するメタノールの量を0.263kgに変更し、重合開始後に分割して追加投入するメタノールの量をそれぞれ0.263kgに変更し、重合開始前後のオートクレーブ内部の設定圧力を0.928MPaに変更した以外は、比較例1と同様にして共重合体ペレットを得た。得られたペレットを用いて、上記した方法により各種物性を測定した。結果を表3に示す。
比較例3
容積174Lの攪拌機付きオートクレーブに脱イオン水40.25kgとメタノール0.317kgを投入し、オートクレーブ内を十分に真空窒素置換した。その後、オートクレーブ内を真空脱気し、真空状態となったオートクレーブ内にHFP40.25kgを投入し、オートクレーブを25.5℃に加温した。続けて、オートクレーブの内部圧力が0.837MPaになるまでTFEを投入し、次に8質量%のジ(ω-ヒドロパーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド溶液(以下DHPと略す)1.25kgをオートクレーブ内に投入して重合を開始した。重合開始時点のオートクレーブの内部圧力を0.837MPaに設定し、TFEを連続追加することで設定圧力を保つようにした。重合開始から1.5時間後にメタノール0.317kgを追加投入した。重合開始から2時間後、4時間後、にDHP1.25kgを追加投入するとともに内部圧力を0.002MPa下げ、6時間後に0.96kgを投入するとともに内部圧力を0.002MPa下げた。以降、反応が終了するまで2時間ごとにDHP0.25kgを追加投入し、その都度内部圧力を0.002MPa下げた。
また、TFEの追加投入量が6.0kg、18.1kgに達した時点でそれぞれ0.317kgのメタノールをオートクレーブ内に追加投入した。 そして、TFEの追加投入量が40.25kgに達したところで重合を終了させた。重合終了後、未反応のTFE及びHFPを放出し、湿潤粉体を得た。そしてこの湿潤粉体を純水で洗浄した後、150℃で10時間乾燥し、44.8kgの乾燥粉体を得た。
得られた粉末を、スクリュー押出機(商品名:PCM46、池貝社製)により370℃にて溶融押出して、共重合体のペレットを得た。得られたペレットを用いて上記した方法によりHFP含有量とPPVE含有量を測定した。結果を表3に示す。
比較例4
重合開始前に投入するメタノールの量を0.361kgに変更し、重合開始後に分割して追加投入するメタノールの量をそれぞれ0.361kgに変更し、重合開始前後のオートクレーブ内部の設定圧力を0.918MPaに変更した以外は、比較例1と同様にして共重合体ペレットを得た。得られたペレットを用いて、上記した方法により各種物性を測定した。結果を表3に示す。
比較例5
容積174Lの攪拌機付きオートクレーブに脱イオン水40.25kgとメタノール0.232kgを投入し、オートクレーブ内を十分に真空窒素置換した。その後、オートクレーブ内を真空脱気し、真空状態となったオートクレーブ内にHFP40.25kgとPPVE0.38kg投入し、オートクレーブを30.0℃に加温した。続けて、オートクレーブの内部圧力が0.918MPaになるまでTFEを投入し、次に8質量%のジ(ω-ヒドロパーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド溶液(以下DHPと略す)0.63kgをオートクレーブ内に投入して重合を開始した。重合開始時点のオートクレーブの内部圧力を0.918MPaに設定し、TFEを連続追加することで設定圧力を保つようにした。重合開始から1.5時間後にメタノール0.232kgを追加投入した。重合開始から2時間後、4時間後、にDHP0.63kgを追加投入するとともに内部圧力を0.001MPa下げ、6時間後に0.48kgを投入するとともに内部圧力を0.001MPa下げた。以降、反応が終了するまで2時間ごとにDHP0.13kgを追加投入し、その都度内部圧力を0.001MPa下げた。
なお、PPVEはTFEの連続追加投入量が8.1kg、16.2kg、24.3kgに達した時点でそれぞれ0.11kg追加投入した。 また、TFEの追加投入量が6.0kg、18.1kgに達した時点でそれぞれ0.232kgのメタノールをオートクレーブ内に追加投入した。 そして、TFEの追加投入量が40.25kgに達したところで重合を終了させた。重合終了後、未反応のTFE及びHFPを放出し、湿潤粉体を得た。そしてこの湿潤粉体を純水で洗浄した後、150℃で10時間乾燥し、45.9kgの乾燥粉体を得た。
得られた粉末を、スクリュー押出機(商品名:PCM46、池貝社製)により370℃にて溶融押出して、共重合体のペレットを得た。得られたペレットを用いて、上記した方法により各種物性を測定した。結果を表3に示す。
実施例1
重合開始前に投入するメタノールの量を0.315kgに変更し、重合開始後に分割して追加投入するメタノールの量をそれぞれ0.315kgに変更し、重合開始前後のオートクレーブ内部の設定圧力を0.937MPaに変更した以外は、比較例1と同様にして共重合体ペレットを得た。得られたペレットを用いて、上記した方法により各種物性を測定した。結果を表3に示す。
実施例2
重合開始前に投入するメタノールの量を0.265kgに変更し、重合開始後に分割して追加投入するメタノールの量をそれぞれ0.265kgに変更し、重合開始前後のオートクレーブ内部の設定圧力を0.928MPaに変更した以外は、比較例1と同様にして共重合体ペレットを得た。得られたペレットを用いて上記した方法によりHFP含有量とPPVE含有量を測定した。結果を表3に示す。
得られたペレットを、電気炉にて200℃で8時間脱気した後、真空振動式反応装置VVD-30(大川原製作所社製)に入れ、200℃に昇温した。真空引き後、Nガスで20体積%に希釈したFガスを大気圧まで導入した。Fガス導入時から0.5時間後、いったん真空引きし、再度Fガスを導入した。さらにその0.5時間後、再度真空引きし、再度Fガスを導入した。以降、上記Fガス導入及び真空引きの操作を1時間に1回行い続け、200℃の温度下で8時間反応を行った。反応終了後、反応器内をNガスに十分に置換して、フッ素化反応を終了し、ペレットを得た。得られたペレットを用いて、上記した方法により各種物性を測定した。結果を表3に示す。
実施例3
容積174Lの攪拌機付きオートクレーブに脱イオン水40.25kgとメタノール0.307kgを投入し、オートクレーブ内を十分に真空窒素置換した。その後、オートクレーブ内を真空脱気し、真空状態となったオートクレーブ内にHFP40.25kgとPPVE0.04kg投入し、オートクレーブを30.0℃に加温した。続けて、オートクレーブの内部圧力が0.926MPaになるまでTFEを投入し、次に8質量%のジ(ω-ヒドロパーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド溶液(以下DHPと略す)0.63kgをオートクレーブ内に投入して重合を開始した。重合開始時点のオートクレーブの内部圧力を0.926MPaに設定し、TFEを連続追加することで設定圧力を保つようにした。重合開始から1.5時間後にメタノール0.307kgを追加投入した。重合開始から2時間後、4時間後、にDHP0.63kgを追加投入するとともに内部圧力を0.001MPa下げ、6時間後に0.48kgを投入するとともに内部圧力を0.001MPa下げた。以降、反応が終了するまで2時間ごとにDHP0.13kgを追加投入し、その都度内部圧力を0.001MPa下げた。
なお、PPVEはTFEの連続追加投入量が8.1kg、16.2kg、24.3kgに達した時点でそれぞれ0.01kg追加投入した。 また、TFEの追加投入量が6.0kg、18.1kgに達した時点でそれぞれ0.307kgのメタノールをオートクレーブ内に追加投入した。 そして、TFEの追加投入量が40.25kgに達したところで重合を終了させた。重合終了後、未反応のTFE及びHFPを放出し、湿潤粉体を得た。そしてこの湿潤粉体を純水で洗浄した後、150℃で10時間乾燥し、45.3kgの乾燥粉体を得た。
得られた粉末を、スクリュー押出機(商品名:PCM46、池貝社製)により370℃にて溶融押出して、共重合体のペレットを得た。得られたペレットを用いて、上記した方法により各種物性を測定した。結果を表3に示す。
実施例4
重合開始前に投入するメタノールの量を0.288kgに変更し、重合開始後に分割して追加投入するメタノールの量をそれぞれ0.288kgに変更し、重合開始前後のオートクレーブ内部の設定圧力を0.918MPaに変更した以外は、比較例1と同様にして共重合体ペレットを得た。得られたペレットを用いて、上記した方法により各種物性を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0007477800000003
表3中の「その他(個/C10)」との記載は、-COOCH、-CF=CFおよび-CONHの合計数を表す。表3中の「<9」との記載は、-CFH基の数(合計数)が9個未満であること意味する。表3中の「<6」との記載は、対象の官能基の数(合計数)が6個未満であることを意味する。表3中の「ND」との記載は、対象の官能基について、定量できる程度のピークを確認できなかったことを意味する。
次に得られたペレットを用いて、下記の特性を評価した。結果を表4に示す。
(成形条件)
30mmφ電線被覆成形機(田辺プラスチック機械社製)により、導体径0.70mmの銅導体上に、下記被覆厚みで押出被覆し、被覆電線を得た。電線被覆押出成形条件は以下の通りである。
a)心導体:軟鋼線導体径0.70mm
b)被覆厚み:0.30mm
c)被覆電線径:1.30mm
d)電線引取速度:20m/分)
e)押出条件:
・シリンダー軸径=30mm,L/D=22の単軸押出成形機
・ダイ(内径)/チップ(外形)=13.0mm/7.0mm
押出機の設定温度:バレル部C-1(330℃)、バレル部C-2(360℃)、バレル部C-3(370℃)、ヘッド部H(380℃)、ダイ部D-1(385℃)、ダイ部D-2(380℃)。心線予備加熱は80℃に設定した。
(外径ブレの評価)
外径測定器(Zumbach社製ODAC18XY)を用いて1時間連続で測定し、目標外径1.30mmに対し、外径の最大最小値の小数点3桁目の検出値を四捨五入して、±1%未満を合格(〇)、1%以上を不合格(×)と記載した。
(引張クリープ試験)
日立ハイテクサイエンス社製TMA-7100を用いて引張クリープ歪を測定した。得られた被覆電線から、長さ20cmの電線を切り取り、ポータブルリアクタ(TVS1型、耐圧ガラス工業社製)に水と切り取った電線を入れ、電気炉にて150℃で7時間加熱後取り出し、室温に冷却してから電線を取り出し、被覆層を剥がした。得られた被覆層から幅2mm、長さ22mmのサンプルを作製した。サンプルを治具間距離10mmで測定治具に装着した。サンプルに対して、断面荷重が2.93N/mmになるように荷重を負荷し、150℃に放置し、試験開始後70分の時点から試験開始後300分の時点までのサンプルの長さの変位(mm)を測定し、初期のサンプル長(10mm)に対する長さの変位(mm)の割合(引張クリープ歪(%))を算出した。150℃、300分間の条件で測定する引張クリープ歪(%)が小さい被覆層は、高温の環境中で引張荷重が長時間負荷されても伸びにくく、150℃耐引張クリープ特性に優れている。
(巻きつけクラック試験)
得られた被覆電線から、長さ20cmの電線を10本切り取り、巻きつけクラック試験用の電線(試験片)とした。この試験片をストレートの状態で水の入ったポータブルリアクタ(TVS1型、耐圧ガラス工業社製)に入れ、電気炉にて150℃で7時間加熱後、室温に冷却してから試験片を取り出し、試験片を試験片と同径の電線に巻き付けた試料を、再度、水の入ったポータブルリアクタ(TVS1型、耐圧ガラス工業社製)に入れ、電気炉にて150℃で1時間加熱後、室温に冷却してから試料を取り出し、電線を巻き戻し、目視及び拡大鏡を用いて、亀裂の発生した電線の個数を数えた。一本の電線中にクラックが一箇所でもあればクラック有りとした。クラック有と確認された電線が10本中、1本以下である場合は○、2本以上の場合×とした。
(150℃引張弾性率、150℃引張伸び)
得られた被覆電線から、長さ20cmの電線を切り取り、ポータブルリアクタ(TVS1型、耐圧ガラス工業社製)に水と切り取った電線を入れ、電気炉にて150℃で7時間加熱後取り出し、室温に冷却してから電線を取り出して心線を抜きとり、残った被覆層を試験片とした。オートグラフ(島津製作所社製 AG―I 300kN)を使用して、ASTM D638に準じて、標点間20mm、引張速度50mm/分の条件下で、150℃で引張弾性率及び引張伸びを測定した。150℃での引張弾性率が高い被覆層は、150℃で負荷される引張荷重に対する耐変形性に優れている。また、150℃での引張伸びが大きい被覆層は、150℃で加わる引張力に対する延性に優れている。
Figure 0007477800000004
(参考例:フィルム成形)
φ14mm押出機(井元製作所製)にて、Tダイを用い、比較例1~5、および、実施例1~4に記載された共重合体のフィルムを作製し、問題なくフィルムが作製されたことを目視で確認した。押出成形条件は以下の通りである。
a)巻き取り速度:1m/分
b)ロール温度:120℃
c)フィルム幅:70mm
d)厚み:0.10mm
e)押出条件:
・シリンダー軸径=14mm,L/D=20の単軸押出成形機
押出機の設定温度:バレル部C-1(330℃)、バレル部C-2(350℃)、バレル部C-3(365℃)、Tダイ部(370℃)
(参考例:チューブ成形)
φ30mm押出機(田辺プラスチックス機械製)にて、比較例1、2、5、および実施例1~4に記載された共重合体を用いて、外径10.0mm、肉厚1.0mmのチューブを押出成形し、問題なくチューブが作製されたことを目視で確認した。押出成形条件は以下の通りである。
a)ダイ内径:25mm
b)マンドレル外径:13mm
c)サイジングダイ内径:10.5mm
d)引取り速度:0.4m/分
e)外径:10.0mm
f)肉厚:1.0mm
g)押出条件:
・シリンダー軸径=30mm,L/D=22の単軸押出成形機
押出機の設定温度:バレル部C-1(350℃)、バレル部C-2(370℃)、バレル部C-3(380℃)、ヘッド部H-1(390℃)、ダイ部D-1(390℃)、ダイ部D-2(390℃)

Claims (6)

  1. 心線と、前記心線の周囲に設けられた被覆層とを備える被覆電線であって、
    前記被覆層が、
    テトラフルオロエチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位およびフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位を含有する含フッ素共重合体であって、前記含フッ素共重合体中のヘキサフルオロプロピレン単位の含有量が、全単量体単位に対して、9.5~10.5質量%であり、前記含フッ素共重合体中のフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位の含有量が、全単量体単位に対して、0.1~0.3質量%であり、前記含フッ素共重合体の372℃におけるメルトフローレートが、5.6~8.9g/10分であり、前記含フッ素共重合体のカルボニル基含有末端基、-CF=CF および-CH OHの合計数が、主鎖炭素数10 個当たり、70個以下であ含フッ素共重合体、または、
    テトラフルオロエチレン単位およびヘキサフルオロプロピレン単位を含有する含フッ素共重合体であって、前記含フッ素共重合体中のヘキサフルオロプロピレン単位の含有量が、全単量体単位に対して、9.5~10.5質量%であり、前記含フッ素共重合体中のフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位の含有量が、全単量体単位に対して、0質量%であり、前記含フッ素共重合体の372℃におけるメルトフローレートが、5.6~8.9g/10分であり、前記含フッ素共重合体のカルボニル基含有末端基、-CF=CF および-CH OHの合計数が、主鎖炭素数10 個当たり、70個以下である含フッ素共重合体
    を含有する被覆電線(ただし、前記被覆層として、前記した2つの含フッ素共重合体以外の樹脂を含有する被覆層を備える被覆電線を除く)。
  2. 前記含フッ素共重合体中のヘキサフルオロプロピレン単位の含有量が、全単量体単位に対して、9.6~10.4質量%である請求項1に記載の被覆電線。
  3. テトラフルオロエチレン単位、ヘキサフルオロプロピレン単位およびフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位を含有する含フッ素共重合体中のフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位の含有量が、全単量体単位に対して、0.1質量%である請求項1または2に記載の被覆電線。
  4. フルオロ(アルキルビニルエーテル)単位が、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)単位である請求項1または2に記載の被覆電線。
  5. 前記含フッ素共重合体の372℃におけるメルトフローレートが、6.1~8.1g/10分である請求項1または2に記載の被覆電線。
  6. 前記含フッ素共重合体の-CFHの数が、主鎖炭素数10個当たり、50個以上である請求項1または2に記載の被覆電線。
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