本発明は、車体側に固定された支持軸に対してサンバイザー本体を回動可能に支持するとともに、支持軸に弾性作用してサンバイザー本体の回動に抵抗を付与するバネを備えた構成において、バネの形状等を工夫することにより、サンバイザー本体の回動操作について高級感のある操作フィーリングを実現し、品質を向上しようとするものである。以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るサンバイザー1は、自動車の車室2内に設けられた車両用サンバイザーであり、車室2内において、ステアリングハンドル3の後方に位置する運転席4、および運転席4の側方(左側方)にセンターコンソール5を介して設けられた助手席6の各座席に対応して、座席の前上方の位置に設けられている。サンバイザー1は、フロントウィンドウ7の上側において、車室2の天井8に対して設置されている。すなわち、サンバイザー1は、その設置対象を自動車の車体を構成する天井8としている。
サンバイザー1は、略矩形板状の外形を有するサンバイザー本体11と、サンバイザー本体11を車体側に対して回動可能に支持する支持軸12とを備える。サンバイザー本体11は、支持軸12により、自動車における略左右方向に沿う所定の回動軸O1を中心として回動するように支持されている(図2参照)。
サンバイザー1は、サンバイザー本体11の長手方向を自動車の左右方向に沿わせるように設けられている。サンバイザー1は、サンバイザー本体11に対し、回動軸O1を、サンバイザー本体11の短手方向の一側の縁部において、サンバイザー本体11の長手方向に沿わせるように位置させている。サンバイザー本体11の短手方向について、回動軸O1が位置する側(図2における上側)を支持基部側とし、その反対側(図2における下側)を先端側とする。
サンバイザー1は、サンバイザー本体11の回動動作に関し、フロントウィンドウ7の上側の天井8にサンバイザー本体11を沿わせた状態を格納状態とし、格納状態からサンバイザー本体11が下方に回動することで使用状態となる。サンバイザー1は、格納状態において、回動軸O1を車両における前側に位置させ、サンバイザー本体11の支持基部側の縁部を、フロントウィンドウ7の上縁に沿わせた状態となる。サンバイザー1は、格納状態から、サンバイザー本体11における先端側の縁部を下側に下ろすようにサンバイザー本体11を回動させることで、天井8に対してサンバイザー本体11を開いた状態となり、かかる状態で使用される。
図1および図3に示すように、サンバイザー1は、格納状態において、サンバイザー本体11の外形に沿って天井8に形成された凹部8a内に位置する。凹部8aは、サンバイザー本体11の板厚に対して浅い略矩形状の扁平な凹み部分であり、サンバイザー本体11と略同じ大きさの底面を有する。サンバイザー1の格納状態において、サンバイザー本体11は、一側の板面である本体裏面部11aを、凹部8aの底面に対して接触あるいは近接状態で対向させ、他側の板面である本体表面部11bを下側に向ける。
図3に示すように、サンバイザー1は、サンバイザー本体11を凹部8aに位置させる格納状態から、サンバイザー本体11を、天井8における凹部8aの前側の部分に沿わせた最大開状態となるまでの略180°の角度範囲で回動軸O1を中心として回動可能とするように設けられている。図3には、サンバイザー本体11の回動位置として、サンバイザー1の格納状態でのサンバイザー本体11Aと、サンバイザー1の最大開状態でのサンバイザー本体11Bと、鉛直状に垂下した状態のサンバイザー本体11Cとをそれぞれ二点鎖線で示している。なお、図3は、回動軸O1の軸方向視の図であり、図3において、左方が自動車の前方(FR)であり、上方が自動車の上方(UP)である。
図1に示すように、運転席4の前上方に設置されたサンバイザー1(1A)と、助手席6の前上方に設置されたサンバイザー1(1B)とは、左右対称に構成されている。図2は、運転席4に対応して設置されたサンバイザー1Aを示している。
本実施形態に係るサンバイザー1が備えるサンバイザーの支持部構造(以下「サンバイザー支持部構造」という。)について説明する。本実施形態に係るサンバイザー支持部構造は、図1から図4に示すように、サンバイザー本体11を回動可能に支持するものであって、車体側に取り付けられた支持軸12と、サンバイザー本体11に対して支持軸12を支持する軸受部材として機能する所定の軸支持部材13と、軸支持部材13に装着されるとともに支持軸12に弾性作用するバネ20とを備える。
支持軸12は、比較的硬質の樹脂材料や金属材料等により構成されており、短辺側の縦軸部14と長辺側の横軸部15とにより略「L」字状をなす屈曲棒状の軸本体部を有する。支持軸12は、横軸部15により、回動軸O1を中心としてサンバイザー本体11を回動可能に支持する。横軸部15は、直線状の軸部分であって、長さ方向の略全体にわたって円形の横断面形状を有し、横軸部15の中心軸が、回動軸O1に一致する。横軸部15は、その先端部を、他の部分に対して外径が小さい縮径部15aとしている。
支持軸12は、横軸部15の略全体を、サンバイザー本体11内に挿入させている。横軸部15は、サンバイザー本体11の支持基部側の縁部に沿って、サンバイザー本体11の長手方向の両端部を除いた中間部の略全体にわたる範囲に挿入されている。
サンバイザー本体11は、その外形形状において、支持基部側であって自動車における左右方向の外側(図2における右側)の角部に、略「L」字状の切欠部11cを有する。支持軸12は、縦軸部14と横軸部15による直角状の角部を、サンバイザー本体11の切欠部11cにおいてサンバイザー本体11の外部に露出させ、縦軸部14を天井8側へ延出させている。
支持軸12において、軸本体部の基端部となる縦軸部14の端部には、楕円形状をなすブラケット16が鍔状に設けられている。ブラケット16は、支持軸12を車体側に固定するための部分である。ブラケット16の裏側には、車体側に設けられた所定の被係合部に対して係合する係合部16aが突設されている。
ブラケット16は、例えばフロントルーフレール等の、車体のルーフを構成する骨格部材に対して、ボルト等の締結部材によって固定されることで、天井8に取り付けられた状態となる。これにより、支持軸12は、その軸本体部をブラケット16から延出させた態様で設けられる。ブラケット16には、締結部材を貫通させるための固定用孔16bが形成されている。支持軸12の軸本体部は、ブラケット16に対して、縦軸部14の軸方向を回動軸方向として回動可能に設けられている。
図2に示すように、サンバイザー本体11の長手方向について、切欠部11cと反対側の角部の近傍には、支持基部側を開放側とした凹状の切欠部11dが設けられている。切欠部11dには、係止軸17が固定状態で架設されている。係止軸17は、支持軸12の横軸部15と同軸心上に配置されている。つまり、係止軸17は、その中心軸を回動軸O1に一致させている。係止軸17は、天井8側に設けられたフック状の係止部18に対して、手動操作によって着脱可能な部分として設けられている。
以上のように、サンバイザー本体11は、支持軸12のブラケット16による固定支持部と、係止部18に係合する係止軸17による係止支持部とにより、天井8に対して両持ち支持の態様で支持されている。係止軸17を係止部18に係合させた状態において、サンバイザー本体11は、車体に対して固定位置にある回動軸O1を中心として回動可能な状態となる。
一方、係止軸17を係止部18から取り外すことで、サンバイザー本体11は、縦軸部14をピボット軸として、縦軸部14の軸回りに回動可能な状態となる。サンバイザー1は、縦軸部14の軸回りのサンバイザー本体11の回動により、例えば車体のルーフを構成するサイドルーフレールに横軸部15を沿わせたサイド使用位置での使用が可能となっている。サイド使用位置での使用においては、サンバイザー本体11が回動軸O1を中心とした回動位置によってドアウインドウ9(図1参照)に対向した状態となる。
サンバイザー本体11は、樹脂材料により形成された中空板状の部材を基材とし、この基材をシート状の外装部材により被覆した構成を備える。サンバイザー本体11の樹脂製の基材は、例えば、薄肉状のヒンジ部分を介して互いにつながった部分であって略線対称の形状を有する2つのプレート部を重ね合わせることで形成される。サンバイザー本体11の本体裏面部11a側には、サンバイザー本体11の長手方向に沿って移動するスライド扉19aによって開閉可能なミラー19が設けられている(図2参照)。
図4から図6に示すように、バネ20は、サンバイザー本体11に対して固定状態で取り付けられるとともに支持軸12の横軸部15に弾性作用することでサンバイザー本体11の回動に抵抗を付与する弾性部材である。本実施形態では、バネ20は、サンバイザー本体11に対して軸支持部材13を介して取り付けられている。バネ20は、支持軸12の横軸部15(以下単に「支持軸12」ともいう。)において、先端側寄りの部位、詳細には先端部をなす縮径部15aの近傍部分に、軸支持部材13とともに設けられている。
図4から図7、および図9に示すように、バネ20は、支持軸12の軸方向視で所定の屈曲形状ないし湾曲形状を有する板バネである。バネ20は、ステンレス鋼や炭素鋼等の金属を材料として形成された金属製の板バネである。バネ20は、支持軸12の軸方向の両端において、回動軸O1に対して垂直な平面に沿う端面を形成している。ここで、支持軸12の軸方向視は、図9に示すように、回動軸O1の軸方向視であり、以下では、「支持軸方向視」という。なお、図9は、図5におけるA-A位置の断面図であって、支持軸12およびバネ20のみを示したものである。
バネ20は、サンバイザー本体11に対する取付け部分である取付部21と、支持軸12を貫通させた態様で挟持する軸挟持部22とを有する。本実施形態では、バネ20は、軸支持部材13を介してサンバイザー本体11に取り付けられるものであり、取付部21は、軸支持部材13に対する取付け部分となる。
バネ20において、取付部21は、支持軸方向視で所定の方向の一側の部分をなし、軸挟持部22は、同所定の方向の他側の部分をなす。ここで、取付部21および軸挟持部22についての所定の方向は、支持軸方向視におけるバネ20の長手方向であり、図9における左右方向である。以下では、図9における左右方向を「軸方向視バネ長手方向」とする。
すなわち、図9に示すように、バネ20においては、軸方向視バネ長手方向の一側(図9における左側)の略半分が、取付部21となっており、同方向の他側(図9における右側)の略半分が、軸挟持部22となっている。以下の説明では、軸方向視バネ長手方向の一側を「取付側」とし、同方向の他側を「軸挟持側」とする。
取付部21は、支持軸方向視で、半円形状をなすとともに軸方向視バネ長手方向の取付側の端部をなす円弧状端部24を含み、軸方向視バネ長手方向の軸挟持側を開放側とした略U字状をなす部分である。取付部21は、回動軸O1の軸方向(以下「回動軸方向」という。)に延伸した扁平な略半筒状の部分である(図7参照)。
取付部21は、支持軸方向視において、円弧状端部24の一側(図9における上側)から延出した上側平面部25と、円弧状端部24の他側(図9における下側)から延出した下側平面部26とを有する。取付部21は、円弧状端部24、上側平面部25、および下側平面部26により、支持軸方向視において略U字状をなし、軸方向視バネ長手方向に直交する方向(図9における上下方向)について略対称な形状を有する。
上側平面部25は、下側平面部26との間の間隔を取付側から軸挟持側にかけて徐々に狭くするように、取付側から軸挟持側にかけてわずかに下り傾斜している。上側平面部25と下側平面部26の間の間隔の大きさは、支持軸12の外径よりも小さい。
軸挟持部22は、支持軸方向視で、取付部21の一端側から延出し支持軸12を抱持する軸抱持部28と、取付部21の他端側から延出し軸抱持部28とともに支持軸12を挟持する係合片部29とを含む。係合片部29は、支持軸12に形成された係合部としての係止凹部40に係合する部分となる。
軸抱持部28および係合片部29は、支持軸方向視で略U字状をなす取付部21の両側の端部のそれぞれに連続した部分である。軸抱持部28および係合片部29は、取付部21を介して互いにつながった部分であり、互いの間に支持軸12を挟み込んで挟持する。
軸抱持部28は、回動軸方向に延伸した略半筒状の部分であって、回動軸方向の全体にわたって一定の横断面形状をなす部分となっている。軸抱持部28は、支持軸方向視における取付部21の一端側となる下側平面部26の軸挟持側から延出した下傾斜面部31と、バネ20の軸挟持側の端部をなす湾曲面部32と、下傾斜面部31と湾曲面部32との間の屈曲部33とを有する。
下傾斜面部31は、取付部21において軸方向視バネ長手方向に沿う下側平面部26に対して、取付部側から軸挟持側にかけて下り傾斜するように屈曲状に形成された平面部である。下傾斜面部31は、支持軸方向視において、下側平面部26と略同じ長さを有する。下側平面部26と下傾斜面部31が支持軸方向視においてなす角度は、例えば150~160°程度である。
湾曲面部32は、支持軸方向視において、軸挟持側を凸側とする円弧状の湾曲形状をなす部分であり、軸方向視バネ長手方向に直交する方向について略対称な形状を有するように形成されている。支持軸方向視において、湾曲面部32がなす円弧状が沿う円周形状の曲率半径は、支持軸12の外周面12aが沿う円周形状の曲率半径よりも大きい。屈曲部33は、下傾斜面部31と湾曲面部32とをつなぐ湾曲状の面部であり、回動軸方向に沿う稜線状の部分をなす。
係合片部29は、上側平面部25に対して、回動軸方向について中間部分から延出形成されている(図7参照)。つまり、上側平面部25の端部において、回動軸方向について係合片部29の両側には、上側平面部25の縁端部25aが形成されている。係合片部29は、軸抱持部28とともに支持軸12を挟持する部分となる軸接触面部34と、軸接触面部34に対して外側(図9において上側)に屈曲状に形成された縁端面部35とを有する。
係合片部29が係合する支持軸12の係止凹部40について説明する。係止凹部40は、図8および図9に示すように、支持軸12におけるバネ20の配置位置に対応した部位において、支持軸12の外周部に、切欠き状の凹部として形成されている。係止凹部40は、回動軸方向について、係合片部29の形成範囲に対応して係合片部29と略同じ長さ範囲に形成されており、回動軸方向に延伸した細長い形状を有する。
係止凹部40は、支持軸12の横断面視において直線状をなす平面状のバネ受面41を有する。バネ受面41は、バネ20の弾性により係合片部29の圧接を受ける面となる。バネ受面41は、支持軸12の横断面視における円形状の一側を截頭状に切り欠いた面に沿うように形成されている。バネ受面41は、例えば、支持軸12の横断面視において、外周面12aが沿う周方向について60~70°の角度範囲で形成されている。
係止凹部40において、バネ受面41の周囲には、支持軸12の外周面12aに対するバネ受面41の段差をなす段差面が形成されている。すなわち、バネ受面41に対して、回動軸方向の両側には、傾斜状の段差面42,42が形成されている(図8参照)。また、バネ受面41に対して、支持軸12の周方向の一側(図9において右回り側)には、支持軸12の径方向と略同じ方向に沿う段差面43が形成されている。バネ受面41と段差面43が支持軸方向視においてなす角度は、例えば110~120°程度である。
一方、バネ受面41に対して、支持軸12の周方向の他側(図9において左回り側)は、外周面12aにつながっている。つまり、バネ受面41の、支持軸12の周方向の他側においては、バネ受面41と外周面12aとによる稜線部45が形成されている。
以上のような係止凹部40に係合する係合片部29において、軸接触面部34は、係止凹部40のバネ受面41に面接触する部分となる。軸接触面部34は、取付部21の上側平面部25に対して、取付部側から軸挟持側にかけて上り傾斜するように屈曲状に形成された平面部である。
軸接触面部34は、下傾斜面部31に対して、軸方向視バネ長手方向に直交する方向について略対称な傾斜態様を有する(図9参照)。つまり、上側平面部25と下側平面部26との間の比較的狭い間隔に対し、軸接触面部34および下傾斜面部31は、互いの間の間隔を取付側から軸挟持側にかけて徐々に大きくし、支持軸方向視において軸挟持側に向けて拡開した態様をなす。軸接触面部34は、支持軸方向視において、下傾斜面部31の略半分の長さを有する。
縁端面部35は、軸接触面部34に対して支持軸12側と反対側に屈曲した部分である。つまり、縁端面部35は、係合片部29の縁端側の部分を、軸接触面部34に対して支持軸12の外側(軸抱持部28側と反対側)に立ち上げた態様で形成された屈曲部分である。軸接触面部34の縁端面部35に対する屈曲角度、つまり縁端面部35および軸接触面部34が支持軸方向視においてなす角度は、例えば150~160°程度である。
縁端面部35は、回動軸方向について、軸接触面部34に対して長い寸法を有し、回動軸方向の両側を、軸接触面部34に対して突片部35aとして突出させている。つまり、係合片部29は、軸接触面部34を、縁端面部35に対して幅狭の部分とし、上側平面部25に対して軸接触面部34側をつなげた略「T」字状の突片形状を有する。
縁端面部35の突片部35aには、縁端面部35の本体部分に対して外側(支持軸12側と反対側)に屈曲したガイド面部36が形成されている。ガイド面部36は、バネ20に対する支持軸12の挿入に際し、係合片部29に対する支持軸12の干渉を回避するための誘い部分(ガイド部分)として機能する。
本実施形態では、ガイド面部36は、縁端面部35の長手方向の両側に形成されているが、バネ20に対する支持軸12の挿入方向に応じて、少なくとも同長手方向の一側に形成されていればよい。このように、係合片部29は、縁端面部35の回動軸方向に沿う方向の両端側の少なくとも一側に形成され、縁端面部35に対して支持軸12側と反対側に屈曲したガイド面部36を有する。
以上のような構成を備えたバネ20の、軸支持部材13に対する取付け構造について、軸支持部材13の構成とともに説明する。軸支持部材13は、合成樹脂製の部材であり、サンバイザー本体11を構成する2つのプレート部により挟み込まれた態様で、サンバイザー本体11の内部において所定の位置に固定状態で設けられる。
軸支持部材13は、バネ20の取付けを受け、バネ20を固定状態で支持する。軸支持部材13は、バネ20とともに支持軸12を貫通させ、支持軸12を回動可能に支持する。これにより、支持軸12に対し、サンバイザー本体11、軸支持部材13、およびバネ20が一体的に回動する構成が得られる。
軸支持部材13は、回動軸方向の両側に、支持軸12を貫通させる貫通孔52をなす軸受部51を有する。軸受部51は、貫通孔52を形成する略環状ないし略筒状の軸貫通部53を含む。2つの軸貫通部53間の間隔は、バネ20の回動軸方向の寸法よりもわずかに大きい。
2つの軸受部51間には、バネ20の取付けを受けるバネ支持部54が設けられている。バネ支持部54は、2つの軸受部51間において、支持軸12に対して平行状となるように架設された態様で形成されている。バネ支持部54は、扁平なボックス状に形成されたバネ装着部55を有する。バネ装着部55は、支持軸12側(図5において上側)およびその反対側(図5において下側)を開放させたバネ支持空間56を形成している。
バネ支持部54に対し、バネ20は、バネ支持空間56の支持軸12側の開放部からバネ装着部55内に差し込まれることで、バネ支持部54に装着された状態となる。バネ20は、バネ装着部55に対し、円弧状端部24側から差し込まれる。
バネ装着部55内には、回動軸方向の両外側寄りの2箇所に、係止壁部57が形成されている。係止壁部57は、バネ20の取付部21に係合する板状部分であり、回動軸方向に直交する平面に沿うように、つまり回動軸方向を板厚方向とするように、バネ支持空間56を形成する対向壁面間に架設形成されている。2つの係止壁部57により、バネ支持空間56が回動軸方向について3つの空間に区画されている。
一方、バネ20においては、バネ装着部55内に差し込まれる取付部21において、係止壁部57に係合するためのスリット状の切欠部38が形成されている(図7参照)。切欠部38は、2箇所の係止壁部57の形成位置に対応して、バネ20の取付部21における回動軸方向の両側の2箇所に形成されている。
切欠部38は、回動軸方向について係止壁部57の厚さより大きい寸法で、バネ20の取付部21を、回動軸方向に直交する平面に沿うように切り欠いた態様で形成されている。切欠部38は、支持軸方向視で、円弧状端部24の全体、上側平面部25および下側平面部26の大部分にわたる範囲に形成されている。バネ20の取付部21は、バネ装着部55に差し込まれた状態において、切欠部38内に係止壁部57を差し込ませた状態となる。バネ20のうち、切欠部38に係止壁部57を受け入れた取付部21の円弧状端部24の部分が、バネ支持空間56の支持軸12側と反対側の開放部から露出している。
バネ20が軸支持部材13に取り付けられた状態において、取付部21の略全体が、バネ装着部55内に位置しており、支持軸12を挟持する軸挟持部22は、バネ支持空間56の支持軸12側の開放部から突出し、2つの軸貫通部53間において露出した状態となっている。すなわち、支持軸12のうち、2つの軸貫通部53間に位置する部分が、バネ20の軸挟持部22により挟持される部分となり、このバネ20による支持軸12の被挟持部分の横に、バネ装着部55に差し込まれた取付部21が位置している。
また、軸支持部材13において、各軸受部51の一側には、サンバイザー本体11に対する位置決め等に用いられる略矩形板状の張出部59が突出形成されている。張出部59は、バネ装着部55の外側(支持軸12側と反対側)の開口端面55aよりもさらに外側に突出した部分として形成されている。なお、支持軸12および軸支持部材13のそれぞれには、互いに係合することで、サンバイザー1の格納状態から使用状態となる側と反対側へのサンバイザー本体11の回動を規制する係止部(図示略)が設けられている。
本実施形態に係るサンバイザー支持部構造の組み立て手順の一例について説明する。まず、軸支持部材13に対し、取付部21をバネ装着部55に差し込むことで、バネ20が取り付けられる。その後、支持軸12が、縮径部15a側を挿入の先端側として、一方の軸貫通部53側から差し込まれる。支持軸12は、一方の軸貫通部53の貫通孔52から差し込まれ、バネ20の軸挟持部22を貫通して、他方の軸貫通部53の貫通孔52から突出する。支持軸12は、バネ20の弾性による軸挟持部22における挟持力に抗して貫通するように、バネ20に対して圧入される。ここで、支持軸12に対し、係合片部29が有するガイド面部36がガイド部分として機能する。
以上のように軸支持部材13を介してサンバイザー本体11に対して固定状態で設けられるバネ20は、軸挟持部22において、軸抱持部28と係合片部29との間に支持軸12を挟み込んだ状態で、支持軸12を圧接挟持している。
具体的には、図9に示すように、軸抱持部28は、支持軸方向視において、下傾斜面部31の内側面31aの中央部と、湾曲面部32の内周面32aの中央部とを、支持軸12に対する接触部としている。これらの接触部は、回動軸方向に沿った接触部分となる。このような軸抱持部28と支持軸12との接触態様において、屈曲部33の内側には、支持軸12と軸抱持部28との2箇所の接触部間に、支持軸方向視で略三日月形状をなす空洞37が形成されている。また、湾曲面部32の支持軸12に対する接触部よりも縁端部側の部分は、支持軸12の外周面12aから離間した部分となっている。
また、図9に示すように、係合片部29は、サンバイザー1の格納状態(図3、サンバイザー本体11A参照)において、係止凹部40に係合する。すなわち、サンバイザー1の格納状態において、係合片部29は、軸接触面部34の内側の面を係合面34aとして、係合面34aをバネ受面41に圧接させ、係止凹部40に係合した状態(以下「係合状態」という。)となる。係合面34aは、縁端面部35側の大部分をバネ受面41に接触させる。
係合片部29の係合状態において、縁端面部35は、バネ受面41に対して離間するとともに、バネ受面41における係合面34aの非接触部分を覆う部分となる。係合片部29の係合状態では、係合片部29によって係止凹部40の略全体が覆われた状態となる(図5参照)。
サンバイザー1の格納状態において、係合片部29の係止凹部40に対する係合により、サンバイザー本体11の回動動作について係止作用が得られ、サンバイザー本体11が位置決めされた状態となる。そして、サンバイザー1が格納状態から使用状態となるべく、サンバイザー本体11が下方に回動操作されることで、係止凹部40に対する係合片部29の係合が解除され、支持軸12に対するバネ20の係止状態が解除される。
図10は、サンバイザー1の格納状態からサンバイザー本体11を回動操作した状態を示している。図10は、格納状態でのサンバイザー本体11を基準、つまり回動角度0°として、サンバイザー本体11が約26°回動した状態を示している(矢印A1参照)。なお、サンバイザー本体11の回動動作においては、車体側に設けられた支持軸12側を固定側として、支持軸12に対してサンバイザー本体11がバネ20および軸支持部材13とともに一体的に回動するが、図9および図10においては、サンバイザー本体11側(バネ20側)を固定側として、バネ20に対する回動軸O1を中心とした支持軸12の相対的な回動を示している。
したがって、図9および図10に示す支持軸方向視は、図3に示す側と反対側の支持軸方向視であり、図10に示す状態は、サンバイザー本体11の下側への回動にともなって、バネ20が支持軸12に対して取付部21側を下側に下げる方向に回動した状態である。以下では、支持軸12に対するサンバイザー本体11(バネ20)の回動動作を、バネ20に対する支持軸12の相対的な回動動作として説明する。
図10に示すように、サンバイザー本体11が格納状態から回動操作されると、バネ20に対する支持軸12の相対的な回動にともない、係合片部29の係合状態が解除される。すなわち、支持軸12の回動にともなって、まず、支持軸12は、係合面34aに対してバネ受面41を面接触させた状態から、係合面34aに対して稜線部45を線接触させた状態となる。そして、支持軸12の回動が進むと、係合面34aに対して外周面12aを接触させた状態となる。なお、支持軸12の回動動作において、支持軸12の外周面12aによる下傾斜面部31および湾曲面部32に対する接触態様は保持される。
以上のような本実施形態に係るサンバイザー支持部構造において、支持軸12の回動動作にともない、バネ20において実質的に弾性変形する部分(弾性変形により移動する部分)は、上側平面部25および係合片部29の部分となる。すなわち、図9および図10に示すように、係合片部29の係合状態から、支持軸12の回動によって係止凹部40に対する係合片部29の係合が解除される際に、係合面34aに稜線部45の接触を受ける係合片部29が、支持軸12により押し上げられ、下傾斜面部31側に対して離間するように移動する。
このように、バネ20は、バネ20の上面部をなす上側平面部25および係合片部29と、バネ20の下面部をなす下側平面部26および下傾斜面部31との間の間隔を広げるように弾性変形する。なお、図10においては、バネ20の変形前の状態を二点鎖線で示している。以下では、支持軸12の回動動作にともなうバネ20の弾性変形において実質的な移動部分となる上側平面部25および係合片部29の部分を「弾性変形部分」という。
このように、バネ20において、支持軸12の回動動作にともなって弾性変形部分を移動させる変形態様を示す本実施形態に係るサンバイザー支持部構造は、支持軸12およびバネ20の相対的な回動動作に関し、次のように構成されている。すなわち、サンバイザー支持部構造は、サンバイザー本体11の格納位置からの回動角度であるサンバイザー回動角度θ(図3参照)について、所定の回動角度θ1以降、支持軸方向視において、円弧状端部24が沿う円周の中心点P1から係合片部29に対する支持軸12の接触点T1までの長さl、およびバネ20の撓みによる係合片部29の移動量である撓み量ζが一定となるように構成されている。
図10に示すように、長さlは、支持軸方向視において、円弧状端部24が沿う仮想円周S1の中心点P1から、係合片部29に対する支持軸12の接触点T1までの距離である。本実施形態では、接触点T1は、係合面34aに対する稜線部45または外周面12aの接触位置となる。撓み量ζは、バネ20の基準状態からの弾性変形部分の変位量であり、支持軸方向視において、変形後の係合面34aに直交する方向についての、接触点T1から変形前の係合面34aまでの長さ寸法である。ここで、バネ20についての「基準状態」は、バネ20が係合片部29を係止凹部40に係合させた状態、つまりサンバイザー1の格納状態に対応するバネ20の状態である。
バネ20から支持軸12に作用する力であるバネ反力F(N)は、次式(1)で表される。なお、バネ反力Fは、支持軸方向視において、支持軸12の接触点T1に対して係合面34aに垂直な方向に作用する力である。
式(1)において、rは、円弧状端部24が沿う仮想円周S1の半径(バネ半径)である。式(1)において、Lは、サンバイザー本体11の長さであり、図3に示すように、支持軸方向視における回動軸O1からサンバイザー本体11の先端までの長さ(サンバイザー長さ)である。式(1)において、Eは、バネ20のヤング率である。
式(1)において、長さlおよび撓み量ζは、支持軸12の回動動作において変化する変動値である。一方、式(1)において、バネ半径r、サンバイザー長さL、およびヤング率Eは、支持軸12の回動動作にかかわらず一定の固定値である。
式(1)から、撓み量ζの変化量Δζが、長さlの変化量Δlよりも大きい場合、つまり、Δζ>Δlの場合、バネ反力Fは増加する。一方、撓み量ζの変化量Δζが、長さlの変化量Δlよりも小さい場合、つまり、Δζ<Δlの場合、バネ反力Fは減少する。なお、変化量Δζおよび変化量Δlは、いずれも支持軸12の単位回動量当たりの変化量である。
本実施形態に係るサンバイザー支持部構造においては、サンバイザー回動角度θについて、所定の回動角度θ1(本実施形態では21°)以降、長さlおよび撓み量ζが一定となるように、つまり、回動角度θ1以降、変化量Δζおよび変化量Δlが0となるように構成されている。このような構成によれば、サンバイザー本体11の回動操作について高級感のある操作フィーリングを実現することができ、サンバイザー1の品質を向上させることができる。
このような効果が得られることについて、本実施形態に係るサンバイザー支持部構造に対する比較対象の構造である比較構造を用いて説明する。
図11に示すように、比較構造においては、係合片部29において、縁端面部35が形成されておらず、軸接触面部34Xが、係合片部29の縁端部まで延設されている。つまり、比較構造は、係合片部29として、内側の面をバネ受面41に圧接する係合面34bとする平坦な軸接触面部34Xを有する。係合片部29の係合状態において、係合面34bは、その略全体をバネ受面41に接触させる。
このような比較構造によれば、サンバイザー本体11の回動操作について、操作荷重の変化が大きくなり、操作フィーリングが悪いという問題がある。かかる問題に関し、図12に、比較構造におけるサンバイザー操作荷重の推移(F-S線図)を示す。図12に示すグラフにおいて、横軸はサンバイザー回動角度θ(°)であり、縦軸は操作荷重(N)である。なお、操作荷重は、上記の式(1)で表せるバネ反力Fに依存する。
図12のグラフに示されるように、格納状態(θ=0°)からのサンバイザー本体11の回動動作、つまりサンバイザー1を開くときの回動動作において、サンバイザー回動角度θが20°近傍となるまでは操作荷重が比較的急勾配で増大し、その後、サンバイザー回動角度θが50°近傍となるまでに操作荷重が比較的急勾配で減少している。そして、サンバイザー回動角度θの50°以降は、サンバイザー1が最大開状態となるまで、操作荷重は、変動しながら概ね徐々に増大している。
このような比較構造における操作荷重の推移においては、操作荷重の変化が大きく、特に、サンバイザー回動角度θが20°付近から50°付近にかけての落差が大きく勾配が急である(矢印B1参照)。こうした操作荷重の急激な変化は、サンバイザー本体11の回動操作において、安定感を損ない、操作フィーリングを悪化させる原因となる。図12に示す例では、サンバイザー1を開く際、最初に操作荷重が急上昇した後に急激に減少するため、回動操作の抵抗が急に小さくなり不安定となる。
続いて、比較構造におけるバネ反力Fの推移(変化)について、図13および図14を用いて説明する。図13に示すグラフにおいて、横軸はサンバイザー回動角度θ(°)であり、縦軸はバネ反力F(N)である。
図13に示すように、バネ反力Fの推移において、サンバイザー回動角度θ(°)を、区間A、区間B、および区間Cに分けている。
区間Aは、サンバイザー1を開くときのサンバイザー本体11の回動動作において、バネ反力Fが増大してピークに達するまでの区間である。この区間Aにおいては、変化量Δζが変化量Δlよりも大きい(Δζ>Δl)。本例では、区間Aは、θ=0~21°の範囲である。
図14Aおよび図14Bに示すように、サンバイザー本体11が格納状態から回動操作されると、バネ20に対する支持軸12の相対的な回動にともない、係合片部29の係合状態が解除される。つまり、支持軸12は、係合面34bに対してバネ受面41を面接触させた状態から、係合面34bに対して稜線部45を接触させた状態となり、バネ20の弾性変形部分を押し開くように作用する。図14Aは、サンバイザー回動角度θが0°の状態を示しており、図14Bは、サンバイザー回動角度θが21°の状態を示している。
長さlに関し、サンバイザー回動角度θが21°の状態での長さl2は、サンバイザー回動角度θが0°の状態での長さl1よりも長くなる(l2>l1)。なお、サンバイザー回動角度θが0°の状態での長さlに関し、接触点T1は、バネ受面41の縁端である稜線部45の位置となる。また、サンバイザー回動角度θが21°の状態での撓み量ζを、撓み量ζ1とする。
区間Bは、サンバイザー本体11の回動動作において、サンバイザー回動角度θが21°の状態から、バネ反力Fが徐々に減少する区間である。この区間Bにおいては、変化量Δζが変化量Δlよりも小さい(Δζ<Δl)。本例では、区間Bは、θ=21~38.6°の範囲である。
図14Bおよび図14Cに示すように、サンバイザー回動角度θが21°の状態からさらにサンバイザー本体11が回動操作されると、支持軸12は、稜線部45による係合面34bに対する接触部位を軸接触面部34Xの縁端側へと移動させ、バネ20の弾性変形部分をさらに押し開くように作用する。
そして、サンバイザー回動角度θが38.6°となったタイミングで、支持軸12は、係合面34bに対する接触部を、稜線部45から外周面12aに切り替える。つまり、支持軸12は、外周面12aを係合面34bに接触させ、バネ20に対して接地した状態となる。図14Cは、サンバイザー回動角度θが38.6°の状態を示している。ここで、支持軸12とバネ20が接地した状態とは、支持軸方向視において、係合面34bに垂直な直線のうち、係合面34bに対する支持軸12の接触点T1となる稜線部45を通る直線が、回動軸O1を通る状態である。
長さlに関し、サンバイザー回動角度θが38.6°の状態での長さl3は、サンバイザー回動角度θが21°の状態での長さl2よりも長くなる(l3>l2)。また、撓み量ζに関し、サンバイザー回動角度θが38.6°の状態での撓み量ζ2は、サンバイザー回動角度θが21°の状態での撓み量ζ1よりも長くなる(ζ2>ζ1)。
区間Cは、サンバイザー本体11の回動動作において、サンバイザー回動角度θが38.6°以降の区間である。この区間Cにおいては、撓み量ζおよび長さlが一定となり、変化量Δζと変化量Δlが同一(いずれも0)となる(Δζ=Δl)。
図14Cおよび図14Dに示すように、サンバイザー回動角度θが38.6°の状態からさらにサンバイザー本体11が回動操作されても、支持軸12は、係合面34bに対して所定の部位に外周面12aを接触させた状態を保持する。支持軸12が係合面34bに外周面12aを接触させた状態においては、バネ20に対する支持軸12の接触態様、言い換えるとバネ20による支持軸12の被挟持形態は、回動角度によらず、支持軸方向視において、支持軸12の横断面形状が沿う回動軸O1を中心とした円周形状となる。このため、区間Cにおいて、長さlおよび撓み量ζは、それぞれ支持軸12がバネ20に接地した状態での長さl3および撓み量ζ2を保持する。図14Dは、区間Cの状態の一例として、サンバイザー回動角度θが60°の状態を示している。
以上のように、比較構造によれば、区間Aにおいて、バネ反力Fが増大し(矢印C1参照)、区間Bにおいて、バネ反力Fが減少し(矢印C2参照)、その後、区間Cにおいて、バネ反力Fが一定となる(矢印C3参照)。このようなバネ反力Fの変化において、サンバイザー回動角度θについて、21°と38.6°が、変化量Δζと変化量Δlの関係が変わるポイントとなる。すなわち、サンバイザー回動角度θが増加する過程において、θ=21°で、Δζ>ΔlからΔζ<Δlに変わり、θ=38.6°で、Δζ<ΔlからΔζ=Δlに変わる。
図13に示すグラフにおいて、θ=21°の点が、変化量Δζと変化量Δlの大小関係が入れ替わるポイント、つまりバネ反力Fについての荷重変曲点となる。これにより、区間Bにおいて、バネ反力Fの落ち込みが発生している(符号D1で示す部分参照)。
このように、比較構造においては、変化量Δζと変化量Δlの大小関係が入れ替わるポイントが存在しており、バネ反力Fの落ち込みが発生している。このことは、区間Bの最後に、支持軸12とバネ20が接地した状態が生じることに起因する。こうしたバネ反力Fの落ち込みは、サンバイザー1の回動操作について操作フィーリングを悪化させる要因となる。
以上のような比較構造に対し、本実施形態に係るサンバイザー支持部構造によれば、バネ反力Fの落ち込みを抑制することができる。本実施形態に係るサンバイザー支持部構造におけるバネ反力Fの推移について、図15および図16を用いて説明する。図15に示すグラフにおいて、横軸はサンバイザー回動角度θ(°)であり、縦軸はバネ反力F(N)である。
図15に示すように、バネ反力Fの推移において、サンバイザー回動角度θ(°)についての区間A、区間B、および区間Cは、図13に示す比較構造の場合と同様の角度範囲である。
すなわち、区間Aは、バネ反力Fが増大して最大値に達するまでの区間であり、この区間Aにおいては、変化量Δζが変化量Δlよりも大きい(Δζ>Δl)。
図16Aおよび図16Bに示すように、サンバイザー本体11が格納状態から回動操作されると、バネ20に対する支持軸12の相対的な回動にともない、係合片部29の係合状態が解除される。つまり、支持軸12は、係合面34aに対してバネ受面41を面接触させた状態から、係合面34aに対して稜線部45を接触させた状態となり、バネ20の弾性変形部分を広げるように作用する。図16Aは、サンバイザー回動角度θが0°の状態を示しており、図16Bは、サンバイザー回動角度θが21°の状態を示している。
長さlに関し、サンバイザー回動角度θが21°の状態での長さl02は、サンバイザー回動角度θが0°の状態での長さl01よりも長くなる(l02>l01)。なお、サンバイザー回動角度θが0°の状態での長さlに関し、接触点T1は、バネ受面41の縁端である稜線部45の位置となる。また、サンバイザー回動角度θが21°の状態での撓み量ζを、撓み量ζ01とする。
本実施形態に係るサンバイザー支持部構造によれば、区間Bにおけるバネ反力Fの変化態様が、比較構造の場合と異なる。すなわち、本実施形態に係るサンバイザー支持部構造の場合、区間Bにおいて、サンバイザー回動角度θが21°の状態でのバネ反力Fの大きさが保持される。したがって、区間Bにおいては、撓み量ζおよび長さlが一定となり、変化量Δζと変化量Δlが同一(いずれも0)となる(Δζ=Δl)。
図16Bおよび図16Cに示すように、サンバイザー回動角度θが21°の状態からさらにサンバイザー本体11が回動操作されると、支持軸12は、稜線部45による係合面34aに対する接触部位を縁端面部35側へと移動させるとともに、係合面34aに対して外周面12aを接触させる。
すなわち、サンバイザー回動角度θが21°となったタイミングで、支持軸12は、係合面34aに対する接触部を、稜線部45から外周面12aに切り替える。したがって、支持軸12は、サンバイザー回動角度θが21°から38.6°となるまで、バネ20に対する作用状態を変化させることなく、サンバイザー回動角度θが21°の状態における作用状態を保持する。
このため、サンバイザー回動角度θが38.6°の状態での長さlは、サンバイザー回動角度θが21°の状態での長さl02と同じであり、サンバイザー回動角度θが38.6°の状態での撓み量ζは、サンバイザー回動角度θが21°の状態での撓み量ζ01と同じとなる。図16Cは、サンバイザー回動角度θが38.6°の状態を示している。
区間Cは、サンバイザー本体11の回動動作において、サンバイザー回動角度θが38.6°以降の区間である。この区間Cにおいては、区間Bにおけるバネ反力Fの大きさが保持され、撓み量ζおよび長さlが一定となり、変化量Δζと変化量Δlが同一(いずれも0)となる(Δζ=Δl)。
図16Cおよび図16Dに示すように、サンバイザー回動角度θが38.6°の状態からさらにサンバイザー本体11が回動操作されても、支持軸12は、係合面34aに対して所定の部位に外周面12aを接触させた状態を保持する。つまり、支持軸12は、バネ20による被挟持形態を、支持軸方向視において支持軸12の横断面形状が沿う回動軸O1を中心とした円周形状に保持する。このため、区間Cにおいて、長さlおよび撓み量ζは、それぞれ区間Bにおける長さl02および撓み量ζ01を保持する。図16Dは、区間Cの状態の一例として、サンバイザー回動角度θが60°の状態を示している。
以上のように、本実施形態に係るサンバイザー支持部構造によれば、区間Aにおいて、バネ反力Fが増大し(矢印E1参照)、最大となった後、区間Bから区間Cにかけて、つまり区間B以降は、バネ反力Fが一定となる(矢印E2参照)。このようなバネ反力Fの変化において、サンバイザー回動角度θについて、21°が、変化量Δζと変化量Δlの関係が変わるポイントとなる。すなわち、サンバイザー回動角度θが増加する過程において、θ=21°で、Δζ>ΔlからΔζ=Δlに変わり、θ=21°以降、Δζ=Δlの関係が保持される。したがって、本実施形態では、所定の回動角度θ1は21°となる。
このように、本実施形態に係るサンバイザー支持部構造においては、変化量Δζと変化量Δlの大小関係が入れ替わるポイントが存在しておらず、バネ反力Fの落ち込みが発生していない。このことは、比較構造においてバネ反力Fが減少し始めるタイミング(本例ではθ=21°のタイミング)で、支持軸12が係合面34aに対する接触部を稜線部45から外周面12aに切り替えることに基づく。つまり、支持軸12のバネ20に対する接触状態について、上述した比較構造における接地した状態が生じないように、接地した状態が生じる前段階で、外周面12aが係合面34aに接触し始めることに基づく。
以上のように、本実施形態に係るサンバイザー支持部構造は、サンバイザー1を開く際に、ある一定の回転角度まではバネ反力Fが漸増し、それ以降の回転角度においてバネ反力Fが略一定に保たれるように構成されている。本実施形態に係るサンバイザー支持部構造によれば、サンバイザー本体11の回動操作について、バネ反力Fの落ち込みを抑制することができ、操作荷重の変化を小さくすることができる。これにより、サンバイザー本体11の回動操作について、適度な重さを得ながら、滑らかさと安定感を向上させることができ、高級感のある操作フィーリングを得ることができる。結果として、サンバイザー1の質感を向上させることができる。
また、本実施形態に係るサンバイザー支持部構造は、上述したような支持軸12の回動にともなうバネ20の挙動を実現するための構成として、次のような構成を備える。すなわち、本実施形態に係るサンバイザー支持部構造において、支持軸12の係止凹部40は、支持軸12の横断面視において直線状をなし係合片部29の圧接を受ける平面状のバネ受面41を有する切欠き状の凹部であり、係合片部29は、バネ受面41に面接触する軸接触面部34と、軸接触面部34に対して屈曲した縁端面部35とを有する。
このような構成によれば、上述したような支持軸12の回動にともなうバネ20の挙動を簡単な構成により実現することができる。本実施形態では、サンバイザー回動角度θが21°の状態で、バネ20に対する接触部が稜線部45から外周面12aに切り替わるように、係合片部29における軸接触面部34の長さや、軸接触面部34に対する縁端面部35の屈曲角度や、バネ受面41の形成範囲等が設定されている。
また、本実施形態に係るサンバイザー支持部構造によれば、支持軸12と板バネであるバネ20とによる簡単な支持構成において、支持軸12の係止凹部40に対するバネ20の形状を工夫することで、操作フィーリングを向上することができる。これにより、少ない部品点数で安価な構成により、サンバイザー1の質感を向上させることができる。
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係るサンバイザー支持部構造およびサンバイザーは、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
上述した実施形態では、バネ20は、軸支持部材13を介してサンバイザー本体11に取り付けられているが、このような構成に限定されるものではない。例えば、サンバイザー本体11を構成するプレート部に、バネ20の取付け部分が一体的に形成され、バネ20が軸支持部材13を介することなく直接的にサンバイザー本体11に対して固定状態で取り付けられる構成であってもよい。
また、上述した実施形態では、図13および図15に示すバネ反力Fの推移図において、サンバイザー回動角度θについての区間A、区間B、および区間Cを規定する角度は21°および38.6°であるが、これらの角度の大きさはあくまでも一例である。