以下、図面を参照して実施形態について説明する。
[作業機械の一例]
図1を参照して、本実施形態に係る作業機械1の一例について説明する。
図1は、作業機械1の一例の構成を示す図である。
図1に示すように、作業機械1は、燃料電池システム100と、水素タンク110と、アクチュエータ120と、補機負荷130と、蓄電池140と、インバータ装置150と、インバータ装置160と、DC/DCコンバータ170とを含む。
作業機械1は、燃料電池システム100及び蓄電池140の少なくとも一方から供給される電力でアクチュエータ120を駆動し、所定の作業を行う。
作業機械1は、例えば、移動型のトランスファークレーンである。また、作業機械1は、例えば、定置型のトランスファークレーンやガントリークレーン等であってもよい。また、作業機械1は、クレーンとは異なる他の荷役用の作業機械であってもよいし、荷役用以外の作業機械であってもよい。以下、作業機械1は、クレーンである前提で説明を行う。
燃料電池システム100は、アクチュエータ120に電力供給を行う。
燃料電池システム100は、燃料電池パッケージ10と、ラジエータ20と、制御ユニット30とを含む。
燃料電池パッケージ10は、燃料電池モジュール40と、熱交換器50と、イオン交換器60と、エアクリーナ70と、制御用電源80とを含む。
燃料電池モジュール40は、燃料電池セル41と、冷却部42と、コンバータ装置43とを含む。
燃料電池セル41は、水素タンク110から供給される水素と、外部から取り込まれる空気中の酸素とを化学反応させることにより電気を発生させる。燃料電池セル41は、例えば、固体高分子形燃料電池(PEFC:Polymer Electrolyte Fuel Cell)である。例えば、固体高分子形燃料電池としての燃料電池セル41は、多数の単セルを積層したスタック構造を有する。
燃料電池セル41における単セルは、高分子電解質膜と、高分子電解質膜の両側面に設けられた一対の電極とを含む膜-電極アッセンブリ(MEA:Membrane Electrode Assembly)を有する。高分子電解質膜は、水素イオンを選択的に輸送する。また、それぞれの電極は、多孔質材料により形成される。一対の電極のそれぞれは、例えば、白金系の金属触媒(電極触媒)を担持するカーボン粉末を主成分とする触媒層と、通気性及び電子導電性を併せ持つガス拡散層とを有する。更に、単セルは、膜-電極アッセンブリ(MEA)を両側から挟み込む一対のセパレータを有する。
燃料電池モジュール40からは、燃料電池セル41から水素と空気SAに含まれる酸素とを化学反応させた後の排気ガスが排出される。
尚、燃料電池セル41は、例えば、リン酸形燃料電池(PAFC:Phosphoric Acid Fuel Cell)や固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)であってもよい。また、燃料電池セル41は、例えば、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)であってもよい。
冷却部42は、燃料電池セル41を冷却する。具体的には、冷却部42の内部には、冷却液が通流する。そして、冷却部42は、燃料電池セル41と冷却液との間での熱交換を行うことにより、燃料電池セル41を冷却することができる。
コンバータ装置43は、燃料電池セル41から出力される電圧を昇圧し、燃料電池モジュール40の外部に出力する。
熱交換器50は、ラジエータ20を含む冷却回路CC1の冷却液と、冷却部42を含む冷却回路CC2の冷却液との間で熱交換を行い、冷却回路CC2の冷却液を冷却する。これにより、冷却回路CC2は、熱交換器50により冷却された冷却液を冷却部42に供給し、燃料電池セル41を冷却することができる。
イオン交換器60は、冷却回路CC2に設けられ、冷却回路CC2の冷却液のイオン不純物を除去する。
エアクリーナ70は、外部から取り込まれる空気SAに含まれる塵や不純物等を除去し燃料電池セル41に塵や不純物等を除去済みの空気SAを供給する。
制御用電源80は、燃料電池パッケージ10に搭載される各種センサ等の制御用機器に電力を供給する。
ラジエータ20は、冷却回路CC1の冷却液を冷却する。これにより、熱交換器50は、上述の如く、冷却回路CC1の冷却液と、冷却回路CC2の冷却液との間で熱交換を行い、冷却回路CC2の冷却液を冷却することができる。ラジエータ20は、例えば、フィンチューブ型又はフィンアンドチューブ型のラジエータである。
ラジエータ20の冷却水の入口及び出口が、燃料電池パッケージ10における熱交換器50からの冷却水の出口及び入口のそれぞれに対して接続されることにより、冷却回路CC1が構成される。
制御ユニット30は、燃料電池システム100に関する制御を含む、作業機械1の運転に関する制御を行う。例えば、制御ユニット30は、燃料電池システム100から直流リンク(直流バスとも称する)180への出力制御を含む、燃料電池システム100、アクチュエータ120、補機負荷130、及び蓄電池140の間での直流リンク180を通じた電力のやり取りに関する制御を行う。この際、制御ユニット30は、直接の制御対象として、燃料電池モジュール40、インバータ装置150、インバータ装置160、及びDC/DCコンバータ170を制御してよい。制御ユニット30は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)である。また、制御ユニット30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ装置、補助記憶装置、及び各種インタフェースを含むコンピュータを中心に構成されてもよい。
制御ユニット30は、1対1の通信線やローカルネットワーク(LAN:Local Area Network)等の所定の通信回線を通じて、燃料電池パッケージ10、インバータ装置150、インバータ装置160、及びDC/DCコンバータ170と通信可能である。これにより、制御ユニット30は、燃料電池パッケージ10、インバータ装置150、インバータ装置160、及びDC/DCコンバータ170の各種状態を表す情報をこれらから取得し、その情報に基づきこれらの構成要素を制御することができる。また、制御ユニット30は、1対1の通信線やローカルネットワーク(LAN)等の所定の通信回線を通じて、蓄電池140と通信可能である。これにより、制御ユニット30は、蓄電池140の電流、電圧、温度等の各種状態を表す情報を取得し、その情報に基づき、燃料電池パッケージ10、インバータ装置150、インバータ装置160、及びDC/DCコンバータ170等を制御することができる。
水素タンク110は、高圧水素を貯蔵し、燃料電池モジュール40の燃料電池セル41に高圧水素ガスを供給する。水素タンク110は、例えば、水素カードルである。
アクチュエータ120は、インバータ装置150を通じて供給される交流によって電気駆動され、作業機械1が作業を行う際に動作する可動部を駆動する。アクチュエータ120は、作業機械1の操業状態及び待機状態のうちの操業状態のみに電気駆動される負荷装置(以下、「主機負荷」)に相当する。作業機械1の操業状態とは、作業機械1の起動から停止までの間の作業を行うことが可能な状態のうち、作業機械1が実際に所定の作業を行っている状態を意味し、作業機械1の待機状態とは、作業機械1が所定の作業を行っていない状態を意味する。
作業機械1は、1又は複数のアクチュエータ120を含む。アクチュエータ120は、例えば、作業機械1としてのクレーンの吊荷の上げ下げのための電動機やトロリの移動のための電動機である。また、アクチュエータ120は、例えば、移動式の作業機械1における移動用の車輪等を駆動する電動機であってもよい。
補機負荷130は、インバータ装置160を通じて供給される交流によって稼働する。補機負荷130は、作業機械1の操業状態及び待機状態の双方で電気駆動される負荷装置である。
蓄電池140は、アクチュエータ120及び補機負荷130に電力を供給可能な二次電池である。蓄電池140は、例えば、電解質が液体のリチウムイオン電池である。また、蓄電池140は、例えば、電解質が固定の全固体電池であってもよい。具体的には、DC/DCコンバータ170及びインバータ装置150を介してアクチュエータ120と電気的に接続される。蓄電池140は、DC/DCコンバータ170及びインバータ装置150を通じてアクチュエータ120に電力を供給することができる。同様に、蓄電池140は、DC/DCコンバータ170及びインバータ装置160を介して補機負荷130と電気的に接続される。蓄電池140は、DC/DCコンバータ170及びインバータ装置160を通じて補機負荷130に電力を供給することができる。
インバータ装置150は、直流を3相交流に変換しアクチュエータ120に出力する電力変換装置である。具体的には、インバータ装置150は、直流リンク180によってコンバータ装置43と電気的に接続され、燃料電池モジュール40から出力される直流を3相交流に変換しアクチュエータ120に出力する。これにより、インバータ装置150は、燃料電池システム100の出力を用いて、アクチュエータ120を駆動することができる。また、インバータ装置150は、直流リンク180によってDC/DCコンバータ170と電気的に接続され、蓄電池140から出力されDC/DCコンバータ170を通じて供給される直流を3相交流に変換しアクチュエータ120に出力する。これにより、インバータ装置150は、蓄電池140の出力を用いて、アクチュエータ120を駆動することができる。
また、インバータ装置150は、アクチュエータ120から回生される3相交流を直流に変換し直流リンク180に出力してもよい。これにより、作業機械1は、直流リンク180に出力された回生電力を、インバータ装置160を通じて補機負荷130に供給したり、DC/DCコンバータ170を通じて蓄電池140に充電したりすることができる。
例えば、インバータ装置150は、作業機械1の操業状態において運転され、作業機械1の待機状態において停止される。
インバータ装置160は、直流を3相交流に変換し補機負荷130に出力する電力変換装置である。具体的には、インバータ装置160は、直流リンク180によってコンバータ装置43と電気的に接続され、燃料電池モジュール40から出力される直流を3相交流に変換し補機負荷130に出力する。これにより、インバータ装置160は、燃料電池システム100の出力を用いて、補機負荷130を駆動することができる。また、インバータ装置160は、直流リンク180によってDC/DCコンバータ170と電気的に接続され、蓄電池140から出力されDC/DCコンバータ170を通じて供給される直流を3相交流に変換し補機負荷130に出力する。これにより、インバータ装置160は、蓄電池140の出力を用いて、補機負荷130を駆動することができる。また、インバータ装置160は、直流リンク180によってインバータ装置150と電気的に接続され、インバータ装置150から出力される直流を3相交流に変換し補機負荷130に出力する。これにより、インバータ装置160は、アクチュエータ120から回生される電力を用いて、補機負荷130を駆動することができる。
DC/DCコンバータ170は、直流を直流に変換する電力変換装置である。具体的には、DC/DCコンバータ170は、蓄電池140の出力を所定の電圧の直流に変換し、インバータ装置150,160と接続される直流リンク180に出力する。これにより、作業機械1は、蓄電池140の出力を直流リンク180からインバータ装置150を通じてアクチュエータ120に供給したり、インバータ装置160を通じて補機負荷130に供給したりすることができる。また、DC/DCコンバータ170は、燃料電池モジュール40やインバータ装置150から直流リンク180に供給される直流を所定の電圧の直流に変換し蓄電池140に出力してもよい。これにより、作業機械1は、燃料電池モジュール40の出力やアクチュエータ120の回生電力を用いて、蓄電池140を充電することができる。
尚、DC/DCコンバータ170及び蓄電池140の1は、複数設けられてもよい。この場合、複数のDC/DCコンバータ170及び蓄電池140の組み合わせは、直流リンク180に対して並列接続される。これにより、例えば、複数のDC/DCコンバータ170のうちの一部に異常が生じても、残りのDC/DCコンバータ170と、その残りのDC/DCコンバータ170に接続される蓄電池140とによって、作業機械1は、運転を継続することができる。
[作業機械の運転モード]
次に、図2を参照して、作業機械1の運転モードについて説明する。
以下、燃料電池システム100の停止状態において、制御ユニット30が動作可能である前提で説明を進める。
図2は、作業機械1の運転モードの変遷の一例を示す状態遷移図である。
図1に示すように、作業機械1の運転モードには、FC起動モードM1、イニシャルモードM2、待機モードM3、操業モードM4、FC停止モードM5、及び蓄電池単独モードM6が含まれる。
FC起動モードM1は、作業機械1の起動に伴って、燃料電池システム100を起動させる運転モードである。制御ユニット30は、作業機械1の起動操作に伴うFC起動指令に応じて、FC起動モードM1に移行する。例えば、FC起動指令は、作業機械1の全体制御を行う統括制御装置から制御ユニット30に入力される。
イニシャルモードM2は、FC起動モードM1の終了後、燃料電池システム100から出力される直流によって蓄電池140の蓄電率(SOC:State Of Charge)を所定の初期状態(目標値TGT0)まで充電するための運転モードである。目標値TGT0は、例えば、70%である。制御ユニット30は、FC起動モードM1において、燃料電池システム100の起動が完了すると、イニシャルモードM2に移行する。
待機モードM3は、作業機械1の待機状態に対応する運転モードである。制御ユニット30は、イニシャルモードM2において、蓄電池140のSOCが所定の目標値TGT0に到達すると、待機モードM3に移行する。
待機モードM3では、インバータ装置160は、燃料電池システム100及び蓄電池140のうちの燃料電池システム100のみの出力或いは燃料電池システム100及び蓄電池140の双方の出力を用いて、補機負荷130を駆動する。即ち、待機モードM3では、燃料電池システム100は、常時、直流リンク180に電力を出力し、蓄電池140は、直流リンク180に電力を出力する場合と出力しない場合とがある。
操業モードM4は、作業機械1の操業状態に対応する運転モードである。制御ユニット30は、待機モードM3において、作業機械1が待機状態から操業状態に移行する場合に、操業モードM4に移行する。具体的には、制御ユニット30は、作業機械1の主機負荷用のインバータ装置150が停止状態から運転状態に移行すると、操業モードM4に移行してよい。例えば、ユーザからのアクチュエータ120に対する操作に応じてインバータ装置150の運転が開始され、直流リンク180からアクチュエータ120への電力供給が開始される。また、制御ユニット30は、操業モードM4において、作業機械1が操業状態から待機状態に移行すると、待機モードM3に移行する。具体的には、制御ユニット30は、作業機械1の主機負荷用のインバータ装置150が運転状態から停止状態に移行すると、待機モードM3に移行してよい。例えば、ユーザからのアクチュエータ120に対する操作が停止されると、インバータ装置150が停止され、直流リンク180からアクチュエータ120への電力供給が停止される。
FC停止モードM5は、燃料電池システム100を停止させるための運転モードである。制御ユニット30は、待機モードM3或いは操業モードM4において、FC停止指令が入力されると、FC停止モードM5に移行する。例えば、ユーザによる作業機械1を停止させる操作が行われると、FC停止指令が統合制御装置から制御ユニット30に入力される。以下、ユーザによる作業機械1の停止の意思に基づくFC停止指令を便宜的に「通常のFC停止指令」と称する場合がある。また、例えば、統合制御装置によって、燃料電池システム100に異常がある、或いは、異常の兆候があると判断されると、FC停止指令が統合制御装置から制御ユニット30に入力される。以下、燃料電池システム100の異常等に起因するFC停止指令を便宜的に「特定条件下でのFC停止指令」と称する場合がある。
作業機械1は、FC停止モードM5において、通常のFC停止指令に基づく燃料電池システム100の停止処理が完了すると、停止する。また、作業機械1は、FC停止モードM5において、FC起動指令が入力されると、FC起動モードM1に移行する。例えば、ユーザによる作業機械1を停止させる操作をキャンセルする操作が行われると、FC起動指令が統合制御装置から制御ユニット30に入力される。また、燃料電池システム100の異常或いは異常の兆候が解消されると、FC起動指令が統合制御装置から制御ユニットに入力されてもよい。
蓄電池単独モードM6は、蓄電池140の出力のみでアクチュエータ120や補機負荷130を運転する運転モードである。制御ユニット30は、FC停止モードM5において、特定条件下でのFC停止処理に基づく燃料電池システム100の停止処理を完了すると、蓄電池単独モードM6に移行する。
作業機械1は、蓄電池単独モードM6において、蓄電池140のSOCが所定の下限値LL2に到達すると、停止する。下限値LL2は、例えば、50%である。また、作業機械1は、蓄電池単独モードM6において、ユーザによる作業機械1を停止させる操作が行われると、停止する。
[作業機械の運転制御の第1例]
次に、図3~図5を参照して、制御ユニット30による作業機械1の運転制御の第1例について説明する。
図3~図5は、作業機械1の運転制御に関する処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。
図3~図5のフローチャートは、作業機械1の起動の完了から作業機械1の停止処理の開始までの期間で繰り返し実行される。
図3に示すように、ステップS102にて、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードがFC起動モードM1に該当するための条件(以下、「FC起動モード条件」)が成立するか否かを判定する。
FC起動モード条件のうちの1つ目は、作業機械1の起動処理に対応するFC起動指令が入力されることである。FC起動モード条件のうちの2つ目は、FC停止モードにおいて、FC起動指令が入力されることである。制御ユニット30は、何れかのFC起動モード条件が成立する場合、ステップS104に進み、それ以外の場合、ステップS108に進む。
ステップS104にて、制御ユニット30は、運転モードをFC起動モードM1に設定する。
ステップS104の処理が完了すると、制御ユニット30は、ステップS106に進む。
ステップS106にて、制御ユニット30は、燃料電池システム100の起動処理を行う。具体的には、制御ユニット30は、燃料電池システム100に含まれる各種構成要素に起動指令を送信し、各種構成要素を停止状態から所望の機能を果たすための動作を行うことが可能な状態に起動させる。また、制御ユニット30は、燃料電池セル41のリフレッシュ処理を行ってもよい。リフレッシュ処理は、燃料電池セル41のカソード電位を調整し触媒表面から酸化皮膜を除去して発電性能を回復させる既知の処理である。これにより、制御ユニット30は、燃料電池セル41の劣化(発電性能の低下)を抑制することができる。
尚、リフレッシュ処理は、燃料電池システム100の起動時に代えて、通常のFC停止指令に応じた燃料電池システム100の停止処理の一部として実施されてもよい。
ステップS106の処理、即ち、燃料電池システム100の起動処理が完了すると、制御ユニット30は、今回のフローチャートの処理を終了する。
一方、ステップS108にて、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードがイニシャルモードM2に該当するための条件(以下、「イニシャルモード条件」)が成立しているか否かを判定する。
イニシャルモード条件の1つ目は、前回のフローチャートにおいて、FC起動モードM1における燃料電池システム100の起動処理が完了したことである。また、イニシャルモード条件の2つ目は、現在の運転モードがイニシャルモードM2に設定され、且つ、作業機械1が所定の作業を行うためのイニシャル準備が完了していないこと(即ち、後述のステップS116の条件が成立していないこと)である。制御ユニット30は、何れかのイニシャル条件が成立する場合、ステップS110に進み、それ以外の場合、図4に示すように、ステップS120に進む。
ステップS110にて、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードをイニシャルモードM2に設定する。
ステップS110の処理が完了すると、制御ユニット30は、ステップS112に進む。
ステップS112にて、制御ユニット30は、蓄電池140の最新のSOCを確認する。蓄電池140のSOCは、例えば、蓄電池140から取得される、蓄電池140の電圧を表す情報に基づき推定される。また、制御ユニット30は、蓄電池140からそのSOCに関する情報を直接取得してもよい。
ステップS112の処理が完了すると、制御ユニット30は、ステップS114に進む。
ステップS114にて、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが目標値TGT0以上であるか否かを判定する。制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが目標値TGT0以上でない場合、ステップS116に進み、目標値TGT0以上である場合、ステップS118に進む。
ステップS116にて、制御ユニット30は、燃料電池モジュール40の出力を蓄電池140の充電のための所定値OP0に設定する。これにより、制御ユニット30は、燃料電池モジュール40及びDC/DCコンバータ170を制御し、燃料電池モジュール40からの出力によって蓄電池140を充電させることができる。
ステップS116の処理が完了すると、制御ユニット30は、今回のフローチャートを終了する。
一方、ステップS118にて、制御ユニット30は、作業機械1が所定の作業を行うためのイニシャル準備が完了したと判断する。
ステップS118の処理が完了すると、制御ユニット30は、ステップS120に進む。
ステップS120にて、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードが待機モードM3に該当するための条件(以下、「待機モード条件」)が成立するか否かを判定する。
待機モード条件の1つ目は、現在の運転モードがイニシャルモードであり、且つ、作業機械1が所定の作業を行うためのイニシャル準備が完了していること(即ち、上述のステップS116の条件が成立していること)である。また、待機モード条件の2つ目は、現在の運転モードが待機モードM3或いは操業モードM4であり、且つ、現在の作業機械1が待機状態にあることである。制御ユニット30は、何れかの待機モード条件が成立する場合、ステップS122に進み、それ以外の場合、ステップS126に進む。
ステップS122にて、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードを待機モードM3に設定する。
ステップS122の処理が完了すると、制御ユニット30は、ステップS124に進む。
ステップS124にて、制御ユニット30は、燃料電池モジュール40の出力を作業機械1の待機状態に対応する所定値OP1に設定する。所定値OP1は、アクチュエータ120及び補機負荷130のうちの後者のみに電力供給を行う際に必要な燃料電池モジュール40の出力に相当する。これにより、制御ユニット30は、燃料電池モジュール40及びインバータ装置160を制御し、燃料電池モジュール40の出力によって補機負荷130を駆動することができる。所定値OP1は、例えば、一定値(固定値)である。また、所定値OP1は、作業機械1の負荷状態、即ち、補機負荷130の負荷状態に応じて変化する可変値であってもよい。
ステップS124の処理が完了すると、図5に示すように、制御ユニット30は、ステップS132に進む。
一方、ステップS126にて、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードが操業モードM4に該当するための条件(以下、「操業モード条件」)が成立するか否かを判定する。
操業モード条件は、現在の運転モードが待機モードM3或いは操業モードM4であり、且つ、現在の作業機械1が操業状態にあることである。制御ユニット30は、操業モード条件が成立する場合、ステップS128に進み、それ以外の場合、ステップS148に進む。
ステップS128にて、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードを操業モードM4に設定する。
ステップS128の処理が完了すると、制御ユニット30は、ステップS130に進む。
ステップS130にて、制御ユニット30は、燃料電池モジュール40の出力を作業機械1の操業状態に対応する所定値OP2に設定する。所定値OP2は、アクチュエータ120及び補機負荷130のうちの双方に電力供給を行う際に必要な燃料電池モジュール40の出力に相当する。これにより、制御ユニット30は、燃料電池モジュール40、インバータ装置150、及びインバータ装置160を制御し、燃料電池モジュール40の出力によってアクチュエータ120及び補機負荷130を駆動することができる。所定値OP2は、例えば、一定値(固定値)である。また、所定値OP2は、作業機械1の負荷状態、即ち、アクチュエータ120及び補機負荷130の負荷状態に応じて変化する可変値であってもよい。
ステップS130が完了すると、図5に示すように、制御ユニット30は、ステップS132に進む。
ステップS132にて、制御ユニット30は、蓄電池140の最新のSOC、及びSOCの変化量を確認する。例えば、SOCの変化量は、蓄電池140の最新のSOCと、その直前の制御周期での蓄電池140のSOCとの間の変化量である。
ステップS132の処理が完了すると、制御ユニット30は、ステップS134に進む。
ステップS134にて、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが目標値TGT1(≧TGT0)以上であるか否かを判定する。目標値TGT1は、待機モードM3及び操業モードM4における蓄電池140のSOCの目標値である。目標値TGT1は、例えば、80%である。制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが目標値TGT1以上でない場合、ステップS136に進み、目標値TGT1以上である場合、ステップS142に進む。
ステップS136にて、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが増加中であるか否かを判定する。例えば、制御ユニット30は、蓄電池140の最新のSOCから直前の制御周期での蓄電池140のSOCを減じた値がゼロ以上である場合、増加していると判定し、それ以外の場合、減少していると判定する。制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが増加していない場合、ステップS138に進み、増加している場合、ステップS139に進む。
ステップS138にて、制御ユニット30は、蓄電池140のSOC及び変化量に応じて、燃料電池モジュール40の出力を増加させる。これにより、制御ユニット30は、燃料電池モジュール40及びDC/DCコンバータ170を制御し、燃料電池モジュール40の出力の増加分を用いて、蓄電池140の充電を行うことができる。例えば、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが低いほど増加の程度が大きくなるように燃料電池モジュール40の出力を増加させる。また、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCの変化量(減少量)が大きいほど増加の程度が大きくなるように燃料電池モジュール40の出力を増加させてよい。これにより、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCを適切に目標値TGT1に近づけることができると共に、蓄電池140のSOCが低下し、過放電の状態になるような事態を抑制することができる。
尚、蓄電池140の過放電の状態とは、蓄電池140のSOCが所定の下限値LL0に対して相対的に小さい状態を意味する。蓄電池140のSOCが下限値LL0に対して相対的に小さいとは、蓄電池140のSOCが下限値LL0以下であることであってもよいし、下限値LL0未満であることであってもよい。下限値LL0は、例えば、40%である。
一方、ステップS139にて、制御ユニット30は、蓄電池140のSOC及び変化量に応じて、燃料電池モジュール40の出力を調整する。
例えば、制御ユニット30は、蓄電池140の現在のSOCと目標値TGT1との差が比較的大きく、且つ、蓄電池140の変化量(増加量)が比較的小さい場合、燃料電池モジュール40の出力を増加させる。蓄電池140の現在のSOCと目標値TGT1との差が比較的大きいか否か、及び蓄電池140の変化量が比較的小さいか否かは、予め規定される閾値との大小関係により判断される。この際、制御ユニット30は、蓄電池140の変化量(増加量)が小さいほど増加の程度が大きくなるように燃料電池モジュール40の出力を増加させてよい。これにより、制御ユニット30は、蓄電池140の現在のSOCが目標値TGT1よりも小さく且つ比較的大きく離れている状況で、燃料電池モジュール40及びDC/DCコンバータ170を制御し、蓄電池140の充電速度を高めることができる。そのため、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCを適切に目標値TGT1に近づけることができる。また、制御ユニット30は、蓄電池140の現在のSOCと目標値TGT1との差が比較的小さく、且つ、蓄電池140の変化量(増加量)が比較的大きい場合、燃料電池モジュール40の出力を減少させてもよい。蓄電池140の現在のSOCと目標値TGT1との差が比較的小さいか否か、及び蓄電池140の変化量が比較的大きいか否かは、予め規定される閾値との大小関係により判断される。この際、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCの変化量(増加量)が大きいほど減少の程度が大きくなるように燃料電池モジュール40の出力を減少させてよい。これにより、制御ユニット30は、蓄電池140の現在のSOCが目標値TGT1よりも小さく且つ比較的近い状況で、燃料電池モジュール40及びDC/DCコンバータ170を制御し、蓄電池140の充電速度を下げることができる。そのため、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが目標値TGT1を大きくオーバーシュートするような事態を抑制することができる。
また、ステップS142にて、制御ユニット30は、ステップS136と同様、蓄電池140のSOCが増加中であるか否かを判定する。制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが増加していない場合、ステップS144に進み、増加している場合、ステップS145に進む。
ステップS144にて、制御ユニット30は、蓄電池140のSOC及び変化量に応じて、燃料電池モジュール40の出力を調整する。
例えば、制御ユニット30は、蓄電池140の現在のSOCと目標値TGT1との差が比較的大きく、且つ、蓄電池140の変化量(減少量)が比較的小さい場合、燃料電池モジュール40の出力を減少させる。蓄電池140の現在のSOCと目標値TGT1との差が比較的大きいか否か、及び蓄電池140の変化量が比較的小さいか否かは、予め規定される閾値との大小関係により判断される。この際、制御ユニット30は、蓄電池140の変化量(減少量)が小さいほど減少の程度が大きくなるように燃料電池モジュール40の出力を減少させてよい。これにより、制御ユニット30は、蓄電池140の現在のSOCが目標値TGT1よりも大きく且つ比較的大きく離れている状況で、燃料電池モジュール40及びDC/DCコンバータ170を制御し、蓄電池140の放電速度を高めることができる。そのため、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCを適切に目標値TGT1に近づけることができる。また、制御ユニット30は、蓄電池140の現在のSOCと目標値TGT1との差が比較的小さく、且つ、蓄電池140の変化量(減少量)が比較的大きい場合、燃料電池モジュール40の出力を増加させてもよい。蓄電池140の現在のSOCと目標値TGT1との差が比較的小さいか否か、及び蓄電池140の変化量が比較的大きいか否かは、予め規定される閾値との大小関係により判断される。この際、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCの変化量(減少量)が大きいほど増加の程度が大きくなるように燃料電池モジュール40の出力を増加させてよい。これにより、制御ユニット30は、蓄電池140の現在のSOCが目標値TGT1よりも大きく且つ比較的近い状況で、燃料電池モジュール40及びDC/DCコンバータ170を制御し、蓄電池140の放電速度を下げることができる。そのため、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが目標値TGT1を大きくオーバーシュートするような事態を抑制することができる。
一方、ステップS145にて、制御ユニット30は、蓄電池140のSOC及び変化量に応じて、燃料電池モジュール40の出力を減少させる。これにより、制御ユニット30は、燃料電池モジュール40及びDC/DCコンバータ170を制御し、燃料電池モジュール40の出力の減少に応じて、蓄電池140からアクチュエータ120や補機負荷130への放電を行わせることができる。例えば、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが大きいほど減少の程度が大きくなるように燃料電池モジュール40の出力を減少させる。また、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCの変化量(増加量)が大きいほど減少の程度が大きくなるように燃料電池モジュール40の出力を減少させてよい。これにより、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCを適切に目標値TGT1に近づけることができると共に、蓄電池140のSOCが上昇し、過充電の状態になるような事態を抑制することができる。
尚、蓄電池140の過充電の状態とは、蓄電池140のSOCが所定の上限値UL0(>LL0)に対して相対的に大きい状態を意味する。蓄電池140のSOCが上限値UL0に対して相対的に大きいとは、蓄電池140のSOCが上限値UL0以上であることであってもよいし、上限値UL0を超えていることであってもよい。上限値UL0は、例えば、100%である。
ステップS138,S139,S144,S145の何れかの処理が完了すると、図3に示すように、制御ユニット30は、今回のフローチャートの処理を終了する。
尚、ステップS134,S136,S138,S139,S142,S144,S145の処理に相当する制御ユニット30の動作は、蓄電池140のSOCと目標値TGTとの偏差に基づき動作するPI(Proportional Integral:比例積分)調節器により実現されてもよい。
また、図4に示すように、ステップS148にて、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードがFC停止モードM5に該当する条件(以下、「FC停止モード条件」)が成立するか否かを判定する。
FC停止モード条件は、FC停止指令が入力されることである。制御ユニット30は、FC停止モード条件が成立する場合、ステップS150に進み、それ以外の場合、ステップS154に進む。
ステップS150にて、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードをFC停止モードM5に設定する。
ステップS150の処理が完了すると、制御ユニット30は、ステップS152に進む。
ステップS152にて、制御ユニット30は、燃料電池システム100を停止させる処理を行う。
ステップS152の処理、即ち、燃料電池システム100を停止させる処理が完了すると、図3に示すように、制御ユニット30は、今回のフローチャートの処理を終了する。
一方、ステップS154にて、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードが蓄電池単独モードに該当するための条件(以下、「蓄電池単独モード条件」)が成立するか否かを判定する。
蓄電池単独モード条件の1つ目は、現在の作業機械1の運転モードがFC停止モードM5であり、且つ、特定条件下でのFC停止処理に基づく燃料電池システム100の停止処理が完了していることである。また、蓄電池単独モード条件の2つ目は、現在の作業機械1の運転モードが蓄電池単独モードであり、且つ、蓄電池140のSOCが下限値LL2より大きく、且つ、ユーザからの作業機械1を停止させる操作がされていないことである。制御ユニット30は、蓄電池単独モード条件が成立する場合、ステップS156に進み、それ以外の場合、図3に示すように、今回のフォローチャートの処理を終了する。
ステップS156にて、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードを蓄電池単独モードM6に設定する。
ステップS156の処理が完了すると、制御ユニット30は、ステップS158に進む。
ステップS158にて、制御ユニット30は、インバータ装置150、インバータ装置160、及びDC/DCコンバータ170を制御し、蓄電池140の出力のみで作業機械1の運転を行う。
ステップS158の処理が完了すると、制御ユニット30は、ステップS160に進む。
ステップS160にて、制御ユニット30は、蓄電池140の最新のSOCを確認する。
ステップS160の処理が完了すると、制御ユニット30は、ステップS162に進む。
ステップS162にて、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが下限値LL2以下であるか否かを判定する。制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが下限値LL2以下でない場合、ステップS164に進み、下限値LL2以下である場合、図3に示すように、今回のフローチャートの処理を終了する。これにより、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが下限値LL2に到達するまでの期間に限定して、蓄電池140の出力のみを用いた作業機械1の運転を許可することができる。
ステップS164にて、制御ユニット30は、ユーザによって作業機械1を停止させる操作が行われたか否かを判定する。制御ユニット30は、作業機械1を停止させる操作が行われていない場合、ステップS158に戻り、作業機械1を停止させる操作が行われた場合、図3に示すように、今回のフローチャートの処理を終了する。これにより、制御ユニット30は、蓄電池単独モードM6において、ユーザの意思に沿って作業機械1を停止させることができる。
[作業機械の運転状態の具体例]
次に、図6、図7を参照して、作業機械1の運転状態の具体例について説明する。
<第1例>
図6は、燃料電池モジュール40の出力、及び蓄電池140の蓄電率(SOC)の時間変化の第1例を示すタイムチャートである。具体的には、図6は、燃料電池モジュール40の出力の時間変化を示す図6Aと、蓄電池140のSOCの時間変化を示す図6Bとを含む。
図6Aに示すように、時刻t10にて、作業機械1が起動されることによりFC起動指令が出力され(図3のステップS102のYES)、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードをFC起動モードM1に設定している(図3のステップS102)。これにより、時刻t10~時刻t11にて、制御ユニット30は、燃料電池システム100の起動処理を行っている(図3のステップS106)。そのため、時刻t10~時刻t11では、燃料電池モジュール40の出力はゼロ(0)である。
時刻t11にて、燃料電池システム100の起動処理が完了すると、イニシャルモード条件が成立し(図3のステップS108のYES)、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードをイニシャルモードM2に設定している(図3のステップS110)。これにより、時刻t11~時刻t12にて、制御ユニット30は、燃料電池モジュール40の出力を所定値OP0に設定し(図3のステップS116)、燃料電池モジュール40の出力によって蓄電池140の充電を行っている。そのため、図6Bに示すように、時刻t11以降で、蓄電池140のSOCは、上昇し、時刻t12の時点で目標値TGT0に到達している。
時刻t12にて、蓄電池140のSOCが目標値TGT0に到達すると(図3のステップS114のYES)、待機モード条件が成立し(図4のステップS120)、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードを待機モードM3に設定している(図4のステップS122)。これにより、時刻t12以降、制御ユニット30は、燃料電池モジュール40の出力を所定値OP1に設定している(図4のステップS124)。本例では、所定値OP1は一定値である。
本例では、目標値TGT1よりも目標値TGT0が小さいことから、時刻t12~t13にて、蓄電池140のSOCが目標値TGT1より小さい状態が継続する(図4のステップS136のNO)。また、本例では、時刻t12で燃料電池モジュール40の出力が所定値OP1に設定されると、直ぐに、蓄電池140のSOCの上昇し始めている。そのため、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCの上昇(図5のステップS136のYES)に応じて、燃料電池モジュール40の出力を所定値OP1の状態に維持している(図5のステップS139)。そして、時刻t13にて、蓄電池140のSOCが目標値TGT1付近まで上昇している。
時刻t13にて、作業機械1が待機状態から操業状態に移行すると、操業モード条件が成立し(図4のステップS126のYES)、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードを操業モードM4に設定する(図4のステップS128)。これにより、時刻t13にて、制御ユニット30は、燃料電池モジュール40の出力を所定値OP2に設定している(図4のステップS130)。本例では、所定値OP2は、一定値である。そのため、時刻t13を起点として、燃料電池モジュール40の出力は、所定値OP1から所定値OP2まで上昇する。
燃料電池モジュール40の出力が所定値OP2に到達した後、制御ユニット30は、所定値OP2を基準として燃料電池モジュール40の出力を比較的小さい幅で増減させることにより、蓄電池140のSOCを目標値TGT1付近で維持させる。具体的には、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが目標値TGT1未満の場合(図5のステップS134のNO)、燃料電池モジュール40の出力を若干増加させる(図5のステップS138)。一方、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが目標値TGT1以上である場合(図5のステップS134のYES)、燃料電池モジュール40の出力を若干減少させる。本例では、制御ユニット30は、この繰り返しによって、目標値TGT1を基準として蓄電池140のSOCを増減させながら、蓄電池140のSOCを目標値TGT1付近に維持させる。これにより、制御ユニット30は、目標値TGT1を含む、上限値UL1及び下限値LL1の間の目標範囲TR1に蓄電池140のSOCを収めることができる。そのため、制御ユニット30は、蓄電池140の劣化を抑制することができる。上限値UL1は、上述の過充電の状態に対応する上限値UL0以下の値であり、例えば、90%である。下限値LL1は、上述の過放電の状態に対応する下限値LL0以上の値であり、例えば、70%である。
時刻t14にて、特定条件下でのFC停止指令が出力され、FC停止モード条件が成立し(図4のステップS148のYES)、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードをFC停止モードM5に設定している(図4のステップS150)。これにより、時刻t14以降、制御ユニット30は、燃料電池システム100の停止処理を行い(図4のステップS152)、燃料電池モジュール40の出力はゼロ(0)になる。
時刻t15にて、燃料電池システム100の停止処理が完了すると、蓄電池単独モード条件が成立し(図4のステップS154のYES)、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードを蓄電池単独モードM6に設定している(図4のステップS156)。これにより、時刻t15以降、制御ユニット30は、インバータ装置150、インバータ装置160、及びDC/DCコンバータ170を制御し、蓄電池140の出力のみでアクチュエータ120や補機負荷130を駆動している。そのため、蓄電池140のSOCは、時間経過に応じて減少している。そして、時刻t16にて、蓄電池140のSOCは、下限値LL2に到達し(図4は、ステップS162のYES)、作業機械1が停止している。
<第2例>
図7は、燃料電池モジュール40の出力、及び蓄電池140の蓄電率(SOC)の時間変化の第2例を示すタイムチャートである。具体的には、図7は、燃料電池モジュール40の出力の時間変化を示す図7Aと、蓄電池140のSOCの時間変化を示す図7Bとを含む。
図7に示すように、時刻t20→時刻t21→時刻t22→時刻t23の流れは、図6の時刻t10→時刻t11→時刻t12→時刻t13の流れと同じであるため、説明を省略する。
時刻t23にて、作業機械1が待機状態から操業状態に移行すると、操業モード条件が成立し(図4のステップS126のYES)、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードを操業モードM4に設定する(図4のステップS128)。これにより、時刻t23以降、制御ユニット30は、燃料電池モジュール40の出力を所定値OP2に設定している(図4のステップS130)。本例では、所定値OP2は、一定値である。そのため、時刻t23を起点として、燃料電池モジュール40の出力は、所定値OP1から所定値OP2まで上昇する。
燃料電池モジュール40の出力が所定値OP2に到達した後、制御ユニット30は、上述の第1例(図6)と同様、所定値OP2を基準として燃料電池モジュール40の出力を比較的小さい幅で増減させることにより、蓄電池140のSOCを目標値TGT1付近で維持させる。これにより、制御ユニット30は、目標値TGT1を含む、上限値UL1及び下限値LL1の間の目標範囲TR1に蓄電池140のSOCを収めることができる。そのため、制御ユニット30は、蓄電池140の劣化を抑制することができる。
時刻t24にて、作業機械1が操業状態から待機状態に移行すると、待機モード条件が成立し、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードを待機モードM3に設定する。これにより、時刻t24にて、制御ユニット30は、燃料電池モジュール40の出力を所定値OP1に設定している。そのため、時刻t24を起点として、燃料電池モジュール40の出力は、所定値OP2から所定値OP1まで低下する。
燃料電池モジュール40の出力が所定値OP1に到達した後、制御ユニット30は、所定値OP1を基準として燃料電池モジュール40の出力を比較的小さい幅で増減させることにより、蓄電池140のSOCを目標値TGT1付近で維持させる。具体的には、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが目標値TGT1未満の場合(図5のステップS134のNO)、燃料電池モジュール40の出力を若干増加させる(図5のステップS138)。一方、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが目標値TGT1以上である場合(図5のステップS134のYES)、燃料電池モジュール40の出力を若干減少させる。本例では、制御ユニット30は、この繰り返しによって、目標値TGT1を基準として蓄電池140のSOCを増減させながら、蓄電池140のSOCを目標値TGT1付近に維持させる。これにより、制御ユニット30は、目標値TGT1を含む、上限値UL1及び下限値LL1の間の目標範囲TR1に蓄電池140のSOCを収めることができる。そのため、制御ユニット30は、蓄電池140の劣化を抑制することができる。
時刻t25にて、作業機械1が待機状態から操業状態に移行すると、操業モード条件が成立し、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードを操業モードM4に設定している。本例では、時刻t25以降、時刻t23→時刻t24→時刻t25の流れと同様に、操業モードM4及び待機モードM3が繰り返されている。
その後、待機モードM3に対応する時刻t26にて、作業機械1を停止させる操作に応じて通常のFC停止指令が出力され、FC停止モード条件が成立し(図4のステップS148のYES)、制御ユニット30は、作業機械1の運転モードをFC停止モードM5に設定している(図4のステップS150)。これにより、時刻t26以降、制御ユニット30は、燃料電池システム100の停止処理を行い(図4のステップS152)、燃料電池モジュール40の出力はゼロ(0)になる。そして、時刻t27にて、燃料電池システム100の停止処理が完了すると、作業機械1が停止している。
[作業機械の運転制御の第2例]
次に、図8を参照して、制御ユニット30による作業機械1の運転制御の第2例について説明する。
以下、本例では、上述の第1例(図3~図5)と異なる部分を中心に説明し、上述の第1例と同じ或いは対応する内容の説明を省略する場合がある。
図8は、作業機械1の運転制御に関する処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。
本例では、上述の第1例(図3~図5)の処理のうちの、図5の処理が図8の処理に置換される点で上述の第1例と異なり、他の点で上述の第1例と同じである。そのため、本例では、図3、図4に対応する処理の図示を省略し、図3、図4を援用して説明を行う。
ステップS102~S134は、上述の第1例と同じであるため、説明を省略する。
ステップS134にて、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCが目標値TGT1以上でない場合、ステップS135に進み、目標値TGT1以上である場合、ステップS41に進む。
ステップS135にて、制御ユニット30は、蓄電池140の過放電の兆候があるか否かを判定する。
制御ユニット30は、任意の方法を用いて、蓄電池140の過放電の兆候があるか否かを判定してよい。例えば、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCと過放電に対応する下限値LL0との差が比較的小さくなっている場合に、過放電の兆候があると判定する。また、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCの減少速度が比較的高くなっている場合に、蓄電池140の過放電の兆候があると判定してもよい。また、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCの減少速度の移動平均が比較的高くなっている場合に、蓄電池140の過放電の兆候があると判定してもよい。また、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCと下限値LL0との差、及び蓄電池140のSOCの減少速度の双方を考慮して、蓄電池140の過放電の兆候があるか否かを判定してもよい。また、制御ユニット30は、外部の診断機能(例えば、蓄電池140に内蔵される、蓄電池140の過放電や過充電等の各種状態を診断する機能)の診断結果をそのまま参照して、蓄電池140の過放電の兆候があるか否かを判定してもよい。蓄電池140のSOCと過放電に対応する下限値LL0との差が比較的小さくなっているか否か、及び蓄電池140のSOCの減少速度或いはその移動平均が比較的高くなっているか否かは、予め規定される閾値との大小関係により判断される。制御ユニット30は、蓄電池140の過放電の兆候がない場合、ステップS136に進み、蓄電池140の過放電の兆候がある場合、ステップS140に進む。
ステップS136,S138,S139の処理は、上述の第1例と同じであるため説明を省略する。
一方、ステップS140にて、制御ユニット30は、蓄電池140のSOC及び変化量に応じて、蓄電池140の過放電の兆候がない場合よりも増加の程度が大きくなるように、燃料電池モジュール40の出力を増加させる。具体的には、制御ユニット30は、ステップS138の場合よりも蓄電池140のSOC及び変化量に応じた増加の感度が大きくなるように、蓄電池140のSOC及び変化量に応じて燃料電池モジュール40の出力を増加させてよい。これにより、制御ユニット30は、蓄電池140の過放電の兆候がある場合に、蓄電池140のSOCの低下をより適切に抑制し、蓄電池140の過放電をより適切に抑制することができる。
また、ステップS141にて、制御ユニット30は、蓄電池140の過充電の兆候があるか否かを判定する。
制御ユニット30は、任意の方法を用いて、蓄電池140の過充電の兆候があるか否かを判定してよい。例えば、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCと過充電に対応する上限値UL0との差が比較的小さくなっている場合に、過充電の兆候があると判定する。また、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCの増加速度が比較的高くなっている場合に、蓄電池140の過充電の兆候があると判定してもよい。また、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCの増加速度の移動平均が比較的高くなっている場合に、蓄電池140の過充電の兆候があると判定してもよい。また、制御ユニット30は、蓄電池140のSOCと上限値UL0との差、及び蓄電池140のSOCの増加速度の双方を考慮して、蓄電池140の過充電の兆候があるか否かを判定してもよい。また、制御ユニット30は、外部の診断機能の診断結果をそのまま参照して、蓄電池140の過充電の兆候があるか否かを判定してもよい。蓄電池140のSOCと過充電に対応する上限値UL0との差が比較的小さくなっているか否か、及び蓄電池140のSOCの増加速度或いはその移動平均が比較的高くなっているか否かは、予め規定される閾値との大小関係により判断される。制御ユニット30は、蓄電池140の過充電の兆候がない場合、ステップS142に進み、蓄電池140の過充電の兆候がある場合、ステップS146に進む。
ステップS142,S144,S145の処理は、上述の第1例と同じであるため説明を省略する。
一方、ステップS146にて、制御ユニット30は、蓄電池140のSOC及び変化量に応じて、蓄電池140の過充電の兆候がない場合よりも減少の程度が大きくなるように、燃料電池モジュール40の出力を減少させる。具体的には、制御ユニット30は、ステップS145の場合よりも蓄電池140のSOC及び変化量に応じた減少の感度が大きくなるように、蓄電池140のSOC及び変化量に応じて燃料電池モジュール40の出力を減少させてよい。これにより、制御ユニット30は、蓄電池140の過充電の兆候がある場合に、蓄電池140のSOCの上昇をより適切に抑制し、蓄電池140の過充電をより適切に抑制することができる。
ステップS138,S139,S140,S144,S145,S146の何れかの処理が完了すると、制御ユニット30は、図3に示すように、今回のフローチャートの処理を終了する。
ステップS148~S164は、上述の第1例と同じであるため、説明を省略する。
[作用]
次に、本実施形態に係る燃料電池システム、制御装置、作業機械、及び制御方法の作用について説明する。
本実施形態では、燃料電池システムは、燃料電池と、制御装置と、を備える。燃料電池システムは、例えば、上述の燃料電池システム100である。燃料電池は、例えば、上述の燃料電池モジュール40である。制御装置は、例えば、上述の制御ユニット30である。具体的には、燃料電池は、負荷装置、及び負荷装置に電力供給可能なように接続される蓄電池に向けて電力を出力可能である。負荷装置は、例えば、上述のアクチュエータ120や補機負荷130である。蓄電池は、例えば、上述の蓄電池140である。そして、制御装置は、燃料電池の出力変動、及び蓄電池の蓄電状態(SOC)の双方を考慮して、燃料電池の出力を制御する。
また、本実施形態では、制御装置は、負荷装置、及び負荷装置に電力供給可能なように接続される蓄電池に向けて電力を出力可能な燃料電池の出力を制御する。具体的には、制御装置は、燃料電池の出力変動、及び蓄電池の蓄電状態の双方を考慮して、燃料電池の出力を制御する。
また、本実施形態では、作業機械は、アクチュエータと、蓄電池と、燃料電池と、制御装置と、を備える。作業機械は、例えば、上述の作業機械1である。アクチュエータは、例えば、上述のアクチュエータ120である。具体的には、アクチュエータは、作業を行うための可動部を駆動する。また、蓄電池は、アクチュエータに電力供給可能なように接続される。また、燃料電池は、アクチュエータ及び蓄電池に向けて電力を出力可能である。そして、制御装置は、燃料電池の出力変動、及び蓄電池の蓄電状態の双方を考慮して、燃料電池の出力を制御する。
また、本実施形態では、制御方法は、制御装置が、負荷装置、及び負荷装置に電力供給可能なように接続される蓄電池に向けて電力を出力可能な燃料電池の出力を制御する。具体的には、制御方法は、制御装置が、燃料電池の出力変動、及び蓄電池の蓄電状態の双方を考慮して、燃料電池の出力を制御する。
これにより、制御装置は、燃料電池の出力変動、及び蓄電池の蓄電状態を考慮することで、燃料電池及び蓄電池の双方の劣化を抑制するように、燃料電池の出力を制御することができる。そのため、制御装置は、燃料電池及び蓄電池の双方の劣化をより適切に抑制することができる。
また、本実施形態では、制御装置は、負荷装置に負荷状態に応じて、燃料電池の出力変動が所定の基準に対して相対的に小さく、且つ、蓄電池の充電率が所定の範囲の中に収まるように、燃料電池の出力を制御してもよい。所定の範囲は、例えば、上述の目標範囲TR1である。
これにより、制御装置は、燃料電池の出力変動を抑制することにより、燃料電池の劣化を抑制することができると共に、蓄電池の充電率を所定の範囲に収めることにより、蓄電池の劣化を抑制することができる。また、制御装置は、蓄電池の充電率を適切に制御することにより、蓄電池が負荷装置の回生エネルギに相当する電力を蓄電可能な状態を維持させることができる。そのため、例えば、負荷装置の回生動作時に蓄電池が回生エネルギを吸収できないような事態が生じた際に、直流回路が過電圧となるのを防止する既知のDB(Dynamic Brake)回路が不要となる。そのため、水素電池システムを搭載する作業機械等のコスト低減を図ることができる。
また、本実施形態では、制御装置は、蓄電池の充電率が所定の範囲に含まれる第1の蓄電目標値を基準として増減するように、燃料電池の出力を制御してもよい。第1の蓄電目標値は、例えば、上述の目標値TGT1である。
これにより、制御装置は、蓄電池の充電率を所定の範囲に収めつつ、燃料電池の出力変動を抑制することができる。
また、本実施形態では、制御装置は、負荷装置を含む所定の機械の起動時において、蓄電池の充電率が第1の蓄電目標値以下に設定される第2の蓄電目標値に到達するように、燃料電池の出力を制御してもよい。所定の機械は、例えば、上述の作業機械1である。第2の蓄電目標値は、例えば、上述の目標値TGT0である。
これにより、制御装置は、所定の機械の起動時に充電率を比較的高い状態まで高めた上で、所定の機械の運転中における充電率の調整を開始することができる。そのため、制御装置は、所定の機械の運転中において、充電率を高めるための燃料電池の出力変動を抑制することができる。よって、制御装置は、燃料電池の出力変動をより適切に抑制することができる。
また、本実施形態では、制御装置は、蓄電池の充電率と第1の蓄電目標値との大小関係に合わせて、負荷装置の負荷状態に応じて設定される出力目標値を基準として燃料電池の出力が増減するように、燃料電池の出力を制御してもよい。出力目標値は、例えば、所定値OP1,OP2である。
これにより、制御装置は、燃料電池の出力を、出力目標値を基準として増減させることにより、第1の蓄電目標値を基準として増減するように、燃料電池の出力を制御することができる。
また、本実施形態では、出力目標値は、負荷装置を含む所定の機械が待機状態である場合、第1の出力目標値に設定され、所定の機械の操業状態である場合、第1の出力目標値よりも大きい第2の出力目標値に設定されてもよい。第1の出力目標値は、例えば、上述の所定値OP1である。第2の出力目標値は、例えば、上述の所定値OP2である。
これにより、制御装置は、所定の機械の待機状態及び操業状態のそれぞれに必要な電力に合わせて、燃料電池の出力を制御することができる。
また、本実施形態では、第1の出力目標値及び第2の出力目標値は、一定値であってもよい。
これにより、制御装置は、所定の機械の操業状態及び待機状態のそれぞれに必要な電力に合わせて、一定値を基準として増減させるように燃料電池の出力を制御することができる。そのため、制御装置は、燃料電池の出力変動を更に抑制することができ、その結果、燃料電池の劣化をより適切に抑制することができる。
また、本実施形態では、制御装置は、蓄電池の充電率が所定の範囲の下限値以下に設定される放電限界値に対して相対的に低い、蓄電池の過放電状態、又は、蓄電池の充電率が所定の範囲の上限値以上に設定される充電限界値に対して相対的に高い、蓄電池の過充電状態の兆候がある場合、蓄電池の充電率が放電限界値又は充電限界値から離れるように、燃料電池の出力を増加又は減少させてもよい。所定の範囲の上限値及び下限値は、例えば、上述の上限値UL1及び下限値LL1である。放電限界値は、例えば、上述の下限値LL0である。充電限界値は、例えば、上述の上限値UL0である。
これにより、制御装置は、蓄電池の過放電状態や過充電状態の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、制御装置は、蓄電池の過放電状態、又は、蓄電池の過充電状態の兆候がある場合、その兆候がない場合よりも高い程度で蓄電池の充電率が放電限界値又は充電限界値から離れるように、燃料電池の出力を増加又は減少させてもよい。
これにより、制御装置は、蓄電池の過放電状態や過充電状態の発生をより適切に抑制することができる。
また、本実施形態では、制御装置は、負荷装置を含む所定の機械の起動時又は停止時において、燃料電池のリフレッシュ運転を行ってもよい。
これにより、制御装置は、燃料電池の劣化を抑制することができる。
また、本実施形態では、作業機械は、アクチュエータと電気的に接続される直流母線と、直流母線と蓄電池との間に設けられるDC/DCコンバータとを備えてもよい。直流母線は、例えば、上述の直流リンク180である。DC/DCコンバータは、例えば、上述のDC/DCコンバータ170である。具体的には、蓄電池及びDC/DCコンバータの組み合わせが直流母線に対して複数並列に接続されてもよい。
これにより、作業機械は、仮に、複数のDC/DCコンバータのうちの一部に異常が生じても、残りのDC/DCコンバータと残りのDC/DCコンバータに接続される蓄電池とによって運転を継続することができる。
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。