JP2013235751A - 燃料電池システムおよびその制御方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の劣化を抑制できる技術を提供する。
【解決手段】燃料電池システム100は、燃料電池10と、燃料電池10の出力電流を制御する制御部20とを備える。制御部20は、外部からの出力要求に応じて設定した燃料電池10の目標電流が、膜電極接合体5の乾燥状態を抑制するために予め設定された制限範囲内での出力でない場合には、その目標電流を燃料電池に出力させる通常出力制御を実行する。一方、制御部20は、燃料電池10の目標電流が、制限範囲内での出力である場合には、目標電流を制限範囲外の電流に変更して、その目標電流を燃料電池10に出力させる発電体保護制御を実行する。
【選択図】図4

Description

この発明は、燃料電池に関する。
固体高分子形燃料電池(以下、単に「燃料電池」とも呼ぶ)は、通常、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す電解質膜の両面に電極が配置された膜電極接合体を備える。電解質膜は、燃料電池内部の湿潤状態の変化に応じて膨潤と収縮とを繰り返す。そのため、燃料電池の運転中には、膜電極接合体では、電解質膜が著しく乾燥して収縮する際に、その変形に起因する内部応力が発生して、電解質膜や電極における亀裂や微小穴の発生等の不可逆的な劣化が生じてしまう場合がある。
これまで、燃料電池の運転中に電解質膜の著しい乾燥を検出した場合に、その乾燥状態を解消するための制御を実行する技術が提案されてきた(下記特許文献1等)。しかし、電解質膜が乾燥状態になってしまうこと抑制し、膜電極接合体の劣化を抑制し、ひいては、燃料電池の劣化を抑制することについては十分な工夫がなされてこなかった。
特開2008−047368号公報 特開2006−351506号公報
本発明は、燃料電池の劣化を抑制できる技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
外部からの出力要求に応じた電力を出力する燃料電池システムであって、燃料電池と、燃料電池の出力電流を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記出力要求に応じて目標電流値を設定して、前記目標電流値の電流を前記燃料電池に出力させる第1の制御を実行し、前記制御部は、前記第1の制御において、前記目標電流値が予め設定された制限範囲内である場合には、前記目標電流値を、前記制限範囲の境界値または前記制限範囲の外側の値に再設定して、再設定後の前記目標電流値の電流を前記燃料電池に出力させる第2の制御に切り替える、燃料電池システム。
この燃料電池システムであれば、予め設定された、燃料電池の劣化の可能性のある制限範囲内での電流の出力を回避することができるため、燃料電池の劣化を抑制できる。
[適用例2]
適用例1記載の燃料電池システムであって、前記燃料電池は膜電極接合体を備えており、前記制限範囲は、発電中の前記膜電極接合体における電流と抵抗との関係において、前記膜電極接合体が所定の湿潤度以下の乾燥状態であるときに計測される抵抗値の範囲に対して規定される電流値の範囲である、燃料電池システム。
この燃料電池システムであれば、膜電極接合体が乾燥状態となるときに検出される抵抗値の範囲に対応する電流の範囲での電流の出力を回避できるため、膜電極接合体が乾燥状態になることを抑制でき、膜電極接合体の乾燥に起因する劣化を抑制することができる。
[適用例3]
適用例1または適用例2記載の燃料電池システムであって、前記燃料電池の運転温度を検出する温度検出部を備え、前記制限範囲は、前記燃料電池の運転温度ごとに予め設定されており、前記制御部は、前記第1と第2の制御において、現在の前記燃料電池の運転温度に応じた前記制限範囲を用いる、燃料電池システム。
この燃料電池システムであれば、燃料電池の運転温度の上昇に伴って、燃料電池の劣化の可能性のある出力電流の範囲が広がる場合であっても、燃料電池を適切に保護することができる。ここで、膜電極接合体は、運転温度の上昇に伴って乾燥しやすくなり、膜電極接合体における電流と抵抗との関係が変化する。従って、適用例2を引用する適用例3の燃料電池システムであれば、運転温度の上昇に伴って制限範囲が広くなるため、膜電極接合体の乾燥をより適切に抑制でき、その乾燥に起因する劣化を、より適切に抑制することができる。
[適用例4]
適用例1から適用例3のいずれかに記載の燃料電池システムであって、さらに、前記燃料電池とともに電源部として機能する二次電池と、前記二次電池の充電状態を示す値を検出する充電状態検出部と、を備え、前記制御部は、前記充電状態検出部の検出値に基づいて、前記二次電池の充電と放電とを切り替え、前記制限範囲は、第1と第2の電流値Ia,Ib(Ia<Ib)の間の範囲であり、前記制御部は、前記第2の制御において、前記二次電池に放電させる制御を実行しているときには、前記第1の制御において設定された前記目標電流値Icを、前記第1の電流値Ia以下に再設定し、前記二次電池を充電する制御を実行しているときには、前記目標電流値Icを、前記第2の電流値Ib以上に再設定する、燃料電池システム。
この燃料電池システムによれば、第2の制御において、燃料電池の目標電流値を、二次電池の充電状態に応じて再設定する。従って、第2の制御の実行中における二次電池の負荷を適切に調整することができ、二次電池の充電状態を良好に保持させつつ、燃料電池の劣化を抑制することができる。
[適用例5]
適用例4記載の燃料電池システムであって、前記制御部は、前記充電状態検出部の検出値が、予め設定された許容範囲から外れる場合には、前記第1の制御において、前記目標電流値Icが前記制限範囲内に設定された場合であっても、前記第2の制御に切り替えることなく、前記燃料電池の発電条件を変更して、燃料電池の劣化が抑制される状態にした上で、前記目標電流値Icの電流を前記燃料電池に出力させる第3の制御を実行する、燃料電池システム。
この燃料電池システムによれば、第2の制御の実行によって二次電池の充電状態を良好に保持できない可能性がある場合には、燃料電池の劣化が抑制されるように、燃料電池の運転状態を変更した上で、燃料電池に出力要求に応じた電流を出力させる。従って、第2の制御に切り替えられることによって、二次電池に対する負荷が増大してしまうことを回避することができ、燃料電池とともに二次電池を保護することができる。
[適用例6]
適用例5記載の燃料電池システムであって、前記制御部は、前記充電状態検出部の検出値が、予め設定された許容範囲から外れる可能性の高い前記燃料電池の運転パターンを示す情報を予め記憶しており、前記燃料電池の運転パターンを示す情報に基づき、前記充電状態検出部の検出値が前記許容範囲から外れる可能性を検出したときに、前記二次電池の充電と放電とを切り替える基準を変更して、前記充電状態検出部の検出値が前記許容範囲から外れることを抑制する、燃料電池システム。
この燃料電池システムであれば、二次電池の充電状態をより適切な状態に保持することができ、二次電池の劣化を抑制できる。
[適用例7]
適用例5記載の燃料電池システムであって、前記燃料電池システムは、移動体に搭載されており、前記燃料電池システムは、さらに、前記移動体の移動情報を検出する移動情報検出部を備え、前記制御部は、前記移動情報に基づき、前記移動体が、前記充電状態検出部の検出値が前記許容範囲から外れる可能性の高い経路として予め設定された所定の経路に向かって移動中であることを検出した場合には、前記二次電池の充・放電を切り替える基準を変更して、前記充電状態検出部の検出値が前記許容範囲から外れることを抑制する、燃料電池システム。
この燃料電池システムであれば、移動体の移動情報に基づき、二次電池の充電状態をより適切な状態に保持することができるため、二次電池の劣化を抑制できる。
[適用例8]
適用例3を引用する、適用例4から適用例6のいずれかに記載の燃料電池システムであって、前記燃料電池システムは、移動体に搭載されており、前記燃料電池システムは、さらに、前記移動体の移動情報を検出する移動情報検出部と、前記燃料電池に冷媒を供給して前記燃料電池の運転温度を調整する冷媒循環供給系と、を備え、前記制御部は、前記移動情報に基づき、前記移動体が、前記燃料電池の運転温度が所定の閾値よりも高くなる可能性の高い経路として予め設定された所定の経路に向かって移動中であることを検出した場合には、前記燃料電池に対する前記冷媒の供給流量を増大させ、前記燃料電池の運転温度の上昇を抑制する、燃料電池システム。
この燃料電池システムであれば、移動体が、燃料電池の運転温度が上昇する可能性がある経路に向かって移動中である場合に、事前に、燃料電池の運転温度の上昇を抑制しておくことができる。従って、移動体が、その特定の経路に到達したときに、燃料電池の運転温度が著しく上昇して、燃料電池の出力電流の制限範囲が広がってしまうことを抑制することができる。
[適用例9]
適用例2から適用例8のいずれかに記載の燃料電池システムであって、前記燃料電池における抵抗を検出する抵抗検出部を備え、前記制御部は、前記燃料電池における出力電流と抵抗との関係の変化を検出し、前記関係の変化が、予め設定された許容範囲から外れる場合には、前記制限範囲の基準となる抵抗値の範囲を変更する、燃料電池システム。 この燃料電池システムであれば、燃料電池における電流と抵抗との関係が、許容範囲を超える変化をしたときには、制限範囲の設定基準となる抵抗値の範囲を変更して制限範囲を適切に補正することができる。従って、より適切に、燃料電池を保護することができる。
[適用例10]
燃料電池システムの制御方法であって、
(a)外部からの出力要求を受け付け、前記出力要求に応じた燃料電池の目標電流値を設定する工程と、
(b)前記目標電流値が予め設定された制限範囲内である場合には、前記目標電流値を前記制限範囲の境界値または前記制限範囲の外側の値に再設定する工程と、
(c)前記工程(a)または前記工程(b)で設定された前記目標電流値の電流を前記燃料電池に出力させる工程と、
を備える、制御方法。
この燃料電池システムの制御方法であれば、予め設定された、燃料電池の劣化の可能性のある制限範囲での出力を回避することができるため、燃料電池の劣化を抑制できる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池システムおよびその制御方法、それらのシステムまたは制御方法の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
燃料電池システムの構成を示す概略図。 燃料電池システムの電気的構成を示す概略図。 膜電極接合体の構成を示す概略図と、電解質膜の湿潤状態に応じた変形を説明するための模式図。 燃料電池の出力制御の制御手順を示す説明図。 燃料電池の電流・電圧の指令値の取得工程を説明するための説明図。 燃料電池の出力電流が制限される制限範囲を説明するための説明図。 燃料電池の「局所抵抗」を説明するための模式図。 局所抵抗の制限値を決定する方法の一例を説明するための模式図。 発電体保護制御の手順を示す説明図。 発電体保護制御が実行されたときの燃料電池の目標電流の時間変化の一例を示す説明図。 第2実施例における発電体保護制御の手順を示す説明図。 第2実施例の燃料電池システムにおける、発電体保護制御が実行されたときの燃料電池の目標電流の時間変化を説明するための概略図。 第3実施例における燃料電池の出力制御の制御手順を示す説明図。 局所抵抗の制限値の補正処理の処理手順を示す説明図。 I−r特性の変化についての判定処理を説明するための概略図。 補正後の制限値の取得工程を説明するための概略図。 第4実施例における発電体保護制御の手順を示す説明図。 運転条件変更処理を説明するための模式図。 第5実施例における燃料電池の出力制御の制御手順を示す説明図。 第5実施例における発電体保護制御の手順を示す説明図。 SOCの基準値の変更による効果を説明するための概略図。 第6実施例の燃料電池システムの構成を示す概略図。 第6実施例における燃料電池の出力制御の制御手順を示す説明図。 SOCの基準値の変更処理の処理内容と、その処理による効果を説明するための概略図。 第7実施例における燃料電池の出力制御の制御手順を示す説明図。 運転温度の事前調整処理の処理内容と、その処理による効果を説明するための概略図。
A.第1実施例:
図1は本発明の一実施例としての燃料電池システムの構成を示す概略図である。この燃料電池システム100は、燃料電池車両に搭載され、運転者からの要求に応じて、燃料電池車両の動力源となる電力を出力する。燃料電池システム100は、燃料電池10と、制御部20と、カソードガス供給系30と、カソードガス排出系40と、アノードガス供給系50と、アノードガス排出系60と、冷媒循環供給系70と、を備える。
燃料電池10は、反応ガスとして水素(アノードガス)と空気(カソードガス)の供給を受けて発電する固体高分子形燃料電池である。燃料電池10は、複数の単セル11が積層されたスタック構造を有する。
各単セル11は、膜電極接合体(後述)と、膜電極接合体を狭持して反応ガスや冷媒の流路を形成するとともに、集電板としても機能する板状基材である2枚のセパレータ(図示せず)とを有する。また、燃料電池10には、反応ガスや冷媒のためのマニホールド(図示せず)が積層方向に沿った貫通孔として形成されている。
制御部20は、中央処理装置と主記憶装置とを備えるマイクロコンピュータによって構成することができる。制御部20は、以下に説明する各系30,40,50,60を制御して、システムに対する出力要求に応じた電力を燃料電池10に発電させる。制御部20による燃料電池10の運転制御については後述する。
カソードガス供給系30は、カソードガス配管31と、エアコンプレッサ32と、エアフロメータ33と、開閉弁34と、圧力計測部35とを備える。カソードガス配管31は、燃料電池10のカソード側の入口に接続された配管である。エアコンプレッサ32は、カソードガス配管31を介して燃料電池10と接続されており、外気を取り込んで圧縮した空気を、カソードガスとして燃料電池10に供給する。
エアフロメータ33は、エアコンプレッサ32の上流側において、エアコンプレッサ32が取り込む外気の量を計測し、制御部20に送信する。制御部20は、この計測値に基づいて、エアコンプレッサ32を駆動することにより、燃料電池10に対する空気の供給量を制御する。
開閉弁34は、エアコンプレッサ32と燃料電池10との間に設けられている。開閉弁34は、通常、閉じた状態であり、エアコンプレッサ32から所定の圧力を有する空気がカソードガス配管31に供給されたときに開く。圧力計測部35は、燃料電池10のカソード側の供給用マニホールドの入口近傍における空気の圧力を計測し、制御部20に出力する。
カソードガス排出系40は、カソード排ガス配管41と、調圧弁43と、圧力計測部44とを備える。カソード排ガス配管41は、燃料電池10のカソード側の排出用マニホールドに接続された配管である。カソード排ガスは、カソード排ガス配管41を介して、燃料電池システム100の外部へと排出される。
調圧弁43は、制御部20によって、その開度が制御されており、カソード排ガス配管41におけるカソード排ガスの圧力(燃料電池10のカソード側の背圧)を調整する。圧力計測部44は、調圧弁43の上流側に設けられており、カソード排ガスの圧力を計測し、その計測結果を制御部20に出力する。
アノードガス供給系50は、アノードガス配管51と、水素タンク52と、開閉弁53と、レギュレータ54と、水素供給装置55と、圧力計測部56とを備える。水素タンク52は、アノードガス配管51を介して燃料電池10のアノード側の供給用マニホールドと接続されており、タンク内に充填された水素を燃料電池10に供給する。
開閉弁53と、レギュレータ54と、水素供給装置55と、圧力計測部56とは、アノードガス配管51に、この順序で、上流側(水素タンク52側)から設けられている。開閉弁53は、制御部20からの指令により開閉し、水素タンク52から水素供給装置55の上流側への水素の流入を制御する。レギュレータ54は、水素供給装置55の上流側における水素の圧力を調整するための減圧弁であり、その開度が制御部20によって制御される。
水素供給装置55は、例えば、電磁駆動式の開閉弁であるインジェクタによって構成することができる。圧力計測部56は、水素供給装置55の下流側の水素の圧力を計測し、制御部20に送信する。制御部20は、圧力計測部56の計測値に基づき、水素供給装置55を制御することによって、燃料電池10に供給される水素の流量を制御する。
アノードガス排出系60は、アノード排ガス配管61と、開閉弁66と、圧力計測部67とを備える。アノード排ガス配管61は、燃料電池10のアノード側の排出用マニホールドに接続された配管である。発電反応に用いられることのなかった未反応ガス(水素や窒素など)を含むアノード排ガスは、アノード排ガス配管61を介して、燃料電池システム100の外部へと排出される。
開閉弁66は、アノード排ガス配管61に設けられており、制御部20からの指令に応じて開閉する。アノードガス排出系60の圧力計測部67は、アノード排ガス配管61に設けられている。圧力計測部67は、燃料電池10のアノード側の排出用マニホールドの近傍において、アノード排ガスの圧力(燃料電池10のアノード側の背圧)を計測し、制御部20に出力する。
冷媒循環供給系70は、冷媒用配管71と、ラジエータ72と、三方弁73と、冷媒循環用ポンプ75と、2つの冷媒温度計測部76a,76bとを備える。冷媒用配管71は、燃料電池10を冷却するための冷媒を循環させるための配管であり、上流側配管71aと、下流側配管71bと、バイパス配管71cとで構成される。
上流側配管71aは、燃料電池10に設けられた冷媒の排出用マニホールドとラジエータ72の入口とを接続する。下流側配管71bは、燃料電池10に設けられた冷媒の供給用マニホールドとラジエータ72の出口とを接続する。バイパス配管71cは、一端が、三方弁73を介して上流側配管71aと接続され、他端が、下流側配管71bに接続されている。制御部20は、三方弁73の開閉を制御することにより、バイパス配管71cへの冷媒の流入量を調整して、ラジエータ72への冷媒の流入量を制御する。
ラジエータ72は、冷媒用配管71に設けられており、冷媒用配管71を流れる冷媒と外気との間で熱交換させることにより、冷媒を冷却する。冷媒循環用ポンプ75は、下流側配管71bにおいて、バイパス配管71cの接続箇所より下流側(燃料電池10の冷媒入口側)に設けられており、制御部20の指令に基づき駆動する。2つの冷媒温度計測部76a,76bはそれぞれ、上流側配管71aと、下流側配管71bとに設けられており、それぞれの計測値を制御部20へと出力する。
制御部20は、各冷媒温度計測部76a,76bのそれぞれの計測値の差から燃料電池10の運転温度を検出し、その検出結果に基づき、冷媒循環用ポンプ75の回転数や、三方弁73の開度を制御して、燃料電池10の運転温度を調整する。具体的には、制御部20は、現在の燃料電池10の運転温度が設定した目標値より高い場合には、冷媒循環用ポンプ75の回転数を増大させたり、ラジエータ72への冷媒の流入量が増大するように三方弁73の開度を小さくしたりする。一方、現在の燃料電池10の運転温度が設定した目標値より低い場合には、冷媒循環用ポンプ75の回転数を低下させたり、ラジエータ72への冷媒の流入量が減少するように三方弁73の開度を大きくしたりする。
図2は、燃料電池システム100の電気的構成を示す概略図である。燃料電池システム100は、二次電池81と、DC/DCコンバータ82と、DC/ACインバータ83と、電流計測部90と、電圧計測部91と、SOC検出部92と、を備える。燃料電池10は、直流配線DCLを介してDC/ACインバータ83に接続されており、DC/ACインバータ83は、燃料電池車両の駆動力源であるモータ200に接続されている。
二次電池81は、DC/DCコンバータ82を介して、直流配線DCLに接続されている。二次電池81は、燃料電池10とともに電力源として機能する。二次電池81は、例えばリチウムイオン電池で構成することができる。制御部20は、DC/DCコンバータ82を制御することにより、燃料電池10の電流・電圧を制御するとともに、二次電池81の充・放電を制御し、直流配線DCLの電圧レベルを可変に調整する。
DC/ACインバータ83は、燃料電池10と二次電池81とから得られた直流電力を交流電力へと変換し、モータ200に供給する。そして、モータ200によって回生電力が発生する場合には、DC/ACインバータ83が、その回生電力を直流電力に変換する。直流電力に変換された回生電力は、DC/DCコンバータ82を介して二次電池81に蓄電される。
電流計測部90は、直流配線DCLに接続されており、燃料電池10の出力する電流値を計測し、制御部20に出力する。電圧計測部91は、燃料電池10に接続されており、燃料電池10の出力電圧を計測し、制御部20に出力する。SOC検出部92は二次電池81に接続されている。SOC検出部92は、二次電池81の充電状態であるSOC(State of Charge)を検出し、制御部20に出力する。
ここで、二次電池81のSOCとは、二次電池81の充電容量に対する二次電池81の充電残量(蓄電量)の比率を意味する。SOC検出部92は、二次電池81の温度や電力、電流を計測することにより、二次電池81のSOCを検出する。制御部20は、SOC検出部92の検出値に基づいて、以下のように二次電池81のSOCを管理する。
制御部20は、二次電池81のSOCの基準値を設定して、二次電池81のSOCが、その基準値を中心とする所定の範囲(二次電池81の劣化を抑制できる限界範囲)内に収まるように、二次電池81の充・放電を制御する。具体的には、制御部20は、SOCの検出値が設定した基準値より低い場合には、二次電池81が充電されるように制御し、SOCの検出値が設定した基準値より高い場合には、二次電池81に放電させるように制御する。
図3は、燃料電池10の備える膜電極接合体5を説明するための模式図である。図3(A)は、燃料電池10が備える膜電極接合体5の構成を示す概略図である。膜電極接合体5は、電解質膜1の両面に電極2,3が配置された構成を有している。電解質膜1は、湿潤状態のときに良好なプロトン伝導性を示す固体高分子薄膜であり、例えば、フッ素系のイオン交換樹脂の薄膜によって構成することができる。
電極2,3は、いわゆる触媒インクの塗布膜として形成することができる。ここで、「触媒インク」とは、発電反応を促進させるための触媒が担持された導電性粒子と、電解質膜1を構成するのと同種又は類似のアイオノマーと、を分散させた分散液を意味する。なお、触媒としては、例えば、白金(Pt)を採用することができ、導電性粒子としては、例えば、カーボン(C)粒子を採用することができる。
膜電極接合体5は、燃料電池10の各単セル11において、電解質膜1の外周端がシール部材(図示せず)などによって保持された状態で配置される。即ち、各単セル11では、電解質膜1は、その平面に沿った方向(以下、単に「平面方向」と呼ぶ)におけるサイズが、所定の基準サイズSで固定された状態で配置される。これに対して、電解質膜1は、以下に説明するように、その湿潤状態(含水状態)に応じて、そのサイズが変化する性質を有する。
図3(B)は、電解質膜1の湿潤状態に応じた変形を説明するための模式図である。図3(B)の中段には、基準サイズSであるときの電解質膜1を示してある。このときの電解質膜1の湿潤度を、以下では、「基準湿潤度」と呼ぶ。図3(B)には、基準湿潤度の電解質膜1を挟んで、基準湿潤度よりも乾燥した状態の電解質膜1をその上段に、基準湿潤度よりも湿潤した状態の電解質膜1をその下段に、それぞれ図示してある。
ここで、電解質膜1の基準湿潤度は、工場出荷時における湿潤度であるものとしても良い。電解質膜1は、通常、その湿潤度が低いほど、その平面方向における寸法が減少して収縮する(図3(B)の上段)。そして、その湿潤度が高いほど、その平面方向における寸法が増大して膨張する(図3(B)の下段)。
燃料電池10の運転中には、電解質膜1の湿潤度は運転状態(例えば、燃料電池10の運転温度や、発電量、反応ガスの流量等)に応じて変動する。しかし、上述したとおり、電解質膜1は、燃料電池10の各単セル11において、基準サイズSが保持されるように、固定的に保持されているため、その湿潤度に応じた平面方向の変形(特に、収縮変形)が抑制される。
そのため、燃料電池10の運転中には、電解質膜1の湿潤度が基準湿潤度よりも低下する乾燥状態となるときに、その収縮変形が抑制される分だけの応力が電解質膜1に生じる。また、膜電極接合体5の電極2,3は、湿潤度に応じた変形の度合いが電解質膜1と異なるため、燃料電池10の運転中には、電解質膜1と電極2,3との間にも、湿潤状態の変化に応じた応力が生じる。
発電中の燃料電池10において膜電極接合体5に繰り返し発生する湿潤状態の変化に応じた応力変動は、膜電極接合体5に、不可逆な劣化を生じさせる原因となる。具体的には、膜電極接合体5に繰り返し生じる内部応力の変動は、電解質膜1の構造に著しい粗密分布を生じさせたり、電解質膜1の微小穴の径の増大させたりして、電解質膜1の気密性を低下させてしまう原因となる。また、電極2,3においても亀裂を生じさせる原因となる。電極2,3の亀裂は、さらに、電解質膜1の応力集中の発生の起点となり、電解質膜1に亀裂を生じさせる原因となる。
そこで、本実施例の燃料電池システム100では、制御部20が、以下に説明する制御手順によって、燃料電池10の出力制御を実行することにより、膜電極接合体5に、劣化の原因となる応力変動が生じることを抑制する。
図4は、制御部20が実行する燃料電池10の出力制御の制御手順を示すフローチャートである。ステップS5では、制御部20は、外部からの出力要求を受け付ける。ステップS10では、外部からの出力要求に応じて、燃料電池10に出力させる電力を決定し、その電力を得るための燃料電池10の電流・電圧の目標値(指令値)を取得する。
図5は、ステップS10におけるの燃料電池10の電流・電圧の目標値の取得工程を説明するための説明図である。図5には、燃料電池10の電流−電圧特性(I−P特性)を示すグラフGI-Pと、電流−電圧特性(I−V特性)を示すグラフGI-Vとを、左右の縦軸をそれぞれ電圧軸および電力軸とし、横軸を電流軸として示してある。
通常、燃料電池のI−P特性は、上に凸の曲線グラフとして表される。また、燃料電池のI−V特性は、電流の増加に従ってなだらかに下降する横S字状の曲線グラフとして表される。制御部20は、燃料電池10についてのI−P特性およびI−V特性を表す情報を、燃料電池10の制御用情報として予め記憶しており、その制御用情報に基づいて、燃料電池10の電流・電圧の指令値を取得する。具体的には、以下の通りである。
制御部20は、外部からの出力要求に応じて、燃料電池10が出力すべき電力(目標電力Pt)を決定する。そして、燃料電池10のI−P特性に基づいて、目標電力Ptに対して燃料電池10が出力すべき電流の目標値(目標電流It)を取得する。
ここで、この燃料電池10のI−P特性に基づいて取得される目標電流Itは、以下に説明する通常制御において用いられる指令値であるため、特に、「通常目標電流It」とも呼ぶ。制御部20は、さらに、燃料電池10のI−V特性に基づいて、通常目標電流Itを出力するために必要な燃料電池10の電圧の目標値(目標電圧Vt)を取得する。
なお、燃料電池10のI−P特性およびI−V特性は、燃料電池10の運転温度など、その運転状態に応じて変化する。そのため、制御部20は、それらの運転状態ごとの制御用情報を予め記憶しており、現在の燃料電池10の運転状態に応じて、適宜、制御用情報を選択して用いることが好ましい。
ステップS20(図4)では、制御部20は、通常目標電流Itが制限範囲での出力であるか否かを判定する。ここで、「制限範囲」とは、膜電極接合体5に乾燥による応力の発生を引き起こし、不可逆的な劣化を生じさせる可能性がある出力を制限するために、燃料電池10の出力電流について予め設定された範囲である。
制御部20は、通常目標電流Itが制限範囲内での出力であると判定した場合には、膜電極接合体5を保護するための制御である発電体保護制御を実行する(ステップS40)。燃料電池10の出力電流の制限範囲および発電体保護制御の詳細については後述する。
通常目標電流Itが制限範囲内での出力ではないと判定した場合には、制御部20は、ステップS30において、通常出力制御を実行する。具体的には、制御部20は、燃料電池10に通常目標電流Itを出力させるために、燃料電池10に目標電圧Vtを出力させるように、DC/DCコンバータ82に指令する。なお、燃料電池10の出力電圧が目標電圧Vtに到達するまでの間の不足電力は、二次電池81の出力によって補償される。制御部20は、燃料電池車両の運転が停止されるまで、ステップS5〜S40の制御を繰り返す(ステップS50)。
図6は、本実施例の燃料電池システム100において、燃料電池10の出力電流が制限される制限範囲を説明するための説明図である。図6には、燃料電池10の運転温度Tごとの電流Iと局所抵抗(後述)rとの関係(「I−r特性」とも呼ぶ)を示すグラフの一例を図示してある。図6(A)は、直交する3つの軸をそれぞれ、電流Iと、局所抵抗rと、運転温度Tとする三次元グラフであり、図6(B)は、図6(A)の三次元グラフから得られる、運転温度Tが任意の温度Taのときの、局所抵抗rと電流Iとの関係を示すグラフである。
なお、図6では、制限範囲に含まれる領域を制限領域LRとして図示し、制限範囲外の領域を許容領域ARとして図示してある。具体的には、図6(A)では、制限領域LRと許容領域ARとを異なるハッチングで図示し、図6(B)では、許容領域ARにおけるグラフを実線で、制限領域LRにおけるグラフを二点鎖線で図示してある。ここで、図6(A),(B)のグラフに示されている「局所抵抗」について説明する。
図7は、燃料電池10の「局所抵抗」を説明するための模式図である。図7には、上段に燃料電池10の模式図を図示してあり、下段に、単セル11の発電領域GAにおける温度分布を示す模式図を図示してある。通常、運転中の燃料電池10には温度分布が発生する。具体的には、燃料電池10では、両外側の単セル11ほど最も運転温度が低く、単セル11の積層方向中央に近い単セル11ほど運転温度が高くなる。
また、運転温度が最も高い単セル11c(以下、「高温セル11c」とも呼ぶ)の発電領域GAにおいても、図7の下段に示すように、一部位の温度が局所的に高くなる温度分布が発生する。以下では、高温セル11cの発電領域GAにおいて、最も運転温度が高くなる部位を「高温領域HTR」と呼ぶ。
一般に、発電中の膜電極接合体では、温度が高い部位ほど湿潤度が低くなり、抵抗が高くなる。従って、燃料電池10では、高温セル11cの高温領域HTRにおいて、膜電極接合体5の湿潤度が最も低くなり、抵抗が最も高くなる。本明細書では、この高温領域HTRにおいて計測される局所的な抵抗を「局所抵抗」と呼ぶ。
燃料電池10では、電流を増大させると、局所抵抗は、最大値をrmaxとして上昇傾向から下降傾向に変わる、上に凸の変化を示すI−r特性を得ることができる(図6)。また、燃料電池10のI−r特性は、運転温度Tが高いほど、局所抵抗の最大値rmaxが大きくなり、電流Iに対する局所抵抗の変化が急峻となる変化を示す。
本実施例の燃料電池システム100では、制御部20が上記のような運転温度TごとのI−r特性が表されたマップを予め記憶している。以後、本明細書では、このI−r特性が表されたマップを単に「I−rマップ」とも呼ぶ。
ここで、局所抵抗が著しく大きい場合には、高温セル11cの膜電極接合体5が著しく乾燥し、不可逆的な劣化を生じさせるような応力が当該膜電極接合体5に発生している可能性がある。そこで、I−rマップ上には、膜電極接合体5の保護のために部分抵抗に許容される限界を示す制限値rlimが設定されており、その制限値rlimより高い局所抵抗を示す電流の範囲が制限範囲として規定されている。
なお、本実施例のI−rマップでは、局所抵抗の制限値rlimを、運転温度にかかわらず一定の値として設定してある(図6(A)において破線で図示)。そのため、運転温度に応じたI−r特性の変化によって、燃料電池10の出力電流の制限範囲は、運転温度が高いほど広くなる。
このように、本実施例では、燃料電池10の出力電流の制限範囲が、予め設定された局所抵抗についての制限値rlimにより規定されている。ここで、本実施例では、局所抵抗の制限値rlimを、以下のような方法によって決定しておくことにより、膜電極接合体5の不可逆的な劣化の蓄積を適切に予防する。
図8(A)〜(C)は、局所抵抗の制限値rlimを決定する方法の一例を説明するための模式図である。図8(A)には、膜電極接合体5の疲労試験によって得られるS−N線図(S−N曲線)の一例を図示してある。このS−N線図は、例えば、以下のような方法によって取得することが可能である。
膜電極接合体5に対して平面方向に沿った所定の引張応力を一定の周期で付与し、膜電極接合体5に所定の不可逆的な劣化が生じた状態が観測されたときの引張応力の付与回数を計測する(疲労試験)。その計測結果を、縦軸を、膜電極接合体5に付与した引張応力の大きさとし、横軸を、その大きさの引張応力の付与回数(対数表示)とするグラフ上にプロットし、そのプロットの分布に基づいて曲線グラフ(S−N曲線)を作成する。
なお、上記の疲労試験における、「膜電極接合体5に所定の不可逆な劣化が生じた状態」としては、例えば、膜電極接合体5のサイズが塑性的に膨張し、所定のサイズまで不可逆的に伸びきってしまった状態であるものとしても良い。また、膜電極接合体5において、所定のサイズの裂傷が、所定の個数だけ観測される状態としても良いし、膜電極接合体5の厚み方向における透気度が所定のレベルまで増大してしまった状態であるものとしても良い。
上記のような疲労試験によって得られたS−N線図において、膜電極接合体5に生じる応力として許容できる大きさの応力を、許容応力δaとして選択する。なお、S−N線図において、疲労限度(その応力が無限回数付与されても膜電極接合体5が所定の不可逆な劣化を生じた状態にまで至らないであろう応力の限界)が現れている場合には、その疲労限度を、許容応力δaとすることが好ましい。
図8(B)には、膜電極接合体5の湿潤度(WH%)と、膜電極接合体5に生じる応力との関係を示すグラフの一例を図示してある。このグラフは、電解質膜1の湿潤度に応じた膨潤変化量(ひずみ量)に基づいて得られるものである。このグラフから、許容応力δaが発生するときの膜電極接合体5の湿潤度を、膜電極接合体5に許容される湿潤度の最小限界値である許容湿潤度Waとして取得する。
図8(C)には、膜電極接合体5の湿潤度(WH%)と、膜電極接合体5の抵抗を示すグラフの一例を図示してある。通常、膜電極接合体5の湿潤度が高いほど、膜電極接合体5の抵抗は、指数関数的に低下する。この関係に基づいて、許容湿潤度Waに対する膜電極接合体5の抵抗を、局所抵抗の制限値rlimとして取得する。
このように、膜電極接合体5の疲労試験に基づいて、局所抵抗の制限値rlimを設定することにより、膜電極接合体5の疲労を蓄積させる応力の発生が制限されるように、燃料電池10の出力電流の制限範囲を規定することができる。従って、より適切に、膜電極接合体5に蓄積される疲労の発生を抑制することができる。
上述したとおり、燃料電池10の運転制御(図4)では、制御部20は、ステップS20において、通常目標電流Itが制限範囲での出力であるか否かを判定する。より具体的には、制御部20は、I−rマップ(図6)上において、局所抵抗が制限値rlimとなる第1と第2の電流値Ia,Ib(Ia<Ib)に挟まれた電流の範囲に、通常目標電流Itが含まれるか否かを判定する。
通常目標電流Itが制限範囲内である場合には、燃料電池10に通常目標電流Itでの出力を実行させると、少なくとも高温セル11cにおいて、膜電極接合体5が著しい乾燥状態になる可能性がある。そこで、制御部20は、ステップS20において、通常目標電流Itが制限範囲内であった場合には、ステップS40において、以下に説明する発電体保護制御を実行する。
図9は、ステップS40(図4)において実行される発電体保護制御の手順を示すフローチャートである。ステップS110では、制御部20は、目標電流Itとして、第1と第2の電流値Ia,Ibのうちのいずれの電流値を用いるかを、外部からの要求出力に対して取得された通常目標電流It(図5)の大きさに応じて選択する。
制御部20は、通常目標電流Itが、所定の基準電流Ithより小さい場合には、発電体保護制御における燃料電池10の目標電流Itaを第1の電流値Iaに設定する(ステップS120)。一方、通常目標電流Itが、所定の基準電流Ith以上である場合には、燃料電池10の目標電流Itaを第2の電流値Ibに設定する(ステップS130)。
なお、本実施例では、発電体保護制御において燃料電池10の目標電流を設定するための基準となる基準電流Ithは、図6に示したI−rマップから取得することができる、局所抵抗が最大値rmaxを示すときの電流とする。基準電流Ithは、制限範囲内の他の電流値であるものとしても良く、例えば、制限範囲中央の電流値であるものとしても良い(Ith=(Ia+Ib)/2)。
ステップS140では、制御部20は、燃料電池10に目標電流Itaを出力させるための目標電圧Vtaを、図5で説明したのと同様な、燃料電池10のI−V特性を表すマップに基づいて取得する。そして、燃料電池10に目標電圧Vtaを出力させるように、DC/DCコンバータ82に指令する。なお、この発電体保護制御において、外部からの出力要求に対して不足する電力は、二次電池81の出力によって補償される。
図10は、発電体保護制御が実行されたときの燃料電池10の目標電流の時間変化の一例を示すグラフである。なお、この例では、燃料電池10の運転温度が一定であるものとする。
この例では、時刻t1および時刻t4において、燃料電池10の出力制御が、ステップS30の通常出力制御から、ステップS40の発電体保護制御に切り替えられ、時刻t3および時刻t4において、再び通常出力制御に復帰している。1回目の発電体保護制御(時刻t1〜t3)では、時刻t1〜t2の間は、通常目標電流Itが基準電流Ithより小さいため、燃料電池10の目標電流は第1の電流値Iaに設定されている。また、時刻t2〜t3の間は、通常目標電流Itが基準電流Ith以上となり、燃料電池10の目標電流は第2の電流値Ibに設定されている。
2回目の発電体保護制御(時刻t4〜t6)では、時刻t4〜t5の間は、通常目標電流Itが基準電流Ith以上であるため、燃料電池10の目標電流は第2の電流値Ibに設定されている。また、時刻t5〜t6の間は、通常目標電流Itが基準電流Ithより小さいため、燃料電池10の目標電流は第1の電流値Iaに設定されている。
以上のように、本実施例の燃料電池システム100では、制御部20が、燃料電池10の出力制御を、通常出力制御から発電体保護制御へと適宜切り替え、燃料電池10の出力電流が、膜電極接合体5を劣化させる可能性のある制限範囲内となることを回避する。従って、燃料電池10において、膜電極接合体5が著しく乾燥する運転が繰り返されることにより、膜電極接合体5に劣化が蓄積されることを抑制できる。
B.第2実施例:
図11は本発明の第2実施例としての燃料電池システムにおいて実行される発電体保護制御の制御手順を示すフローチャートである。図11はステップS110に換えてステップS111が設けられている点以外は、図9とほぼ同じである。なお、第2実施例の燃料電池システムの構成は、第1実施例の燃料電池システム100と同様である(図1,図2)。
ここで、第1実施例において説明したように、制御部20は、SOCの基準値を設定して、その基準値に基づいて、二次電池81の充・放電を切り替える。具体的には、制御部20は、SOC検出部92(図2)によって計測される二次電池81の現在のSOCが、設定した基準値より小さい場合には、二次電池81が充電されるように制御する。二次電池81の現在のSOCが基準値以上の場合には、二次電池81を放電させるように制御する。
第2実施例の発電保護制御では、制御部20は、二次電池81の現在のSOCに基づいて、燃料電池10の目標電流Itaを設定する(ステップS111)。具体的には、二次電池81の現在のSOCが基準値以上である場合には、発電保護制御における目標電流Itaを、通常目標電流Itに対して出力電流が不足する第1の電流値Iaに設定し、二次電池81の放電を促進させる(ステップS120)。一方、二次電池81の現在のSOCが基準値より低い場合には、発電保護制御における目標電流Itaを、通常目標電流Itに対して出力電流が余る第2の電流値Ibに設定し、二次電池81の充電を促進させる(ステップS130)。
図12は、第2実施例の燃料電池システムにおける、発電体保護制御が実行されたときの燃料電池10の目標電流の時間変化を説明するための概略図である。図12の上段と下段にはそれぞれ、二次電池81のSOCの時間変化の一例を示すグラフと、燃料電池10の目標電流の時間変化の一例を示すグラフとを、それぞれの時間軸を対応させて図示してある。
なお、図12の上段のグラフには、二次電池81のSOCの基準値Csと、その基準値Csを中心とするSOCの上限値Cmaxおよび下限値Climとを示してある。また、この例では、燃料電池10の運転温度は一定であるものとする。
この例では、時刻t1および時刻t4において、燃料電池10の出力制御が、ステップS30の通常出力制御から、ステップS40の発電体保護制御に切り替えられ、時刻t3および時刻t4において、再び通常出力制御に復帰している。1回目の発電体保護制御(時刻t1〜t3)では、時刻t1〜t2の間は、二次電池81のSOCが基準値Csより小さいため、燃料電池10の目標電流は第2の電流値Ibに設定されている。また、時刻t2〜t3の間は、SOCが基準値Cs以上となり、燃料電池10の目標電流は第1の電流値Iaに設定されている。
一方、2回目の発電体保護制御(時刻t4〜t6)では、時刻t4〜t5の間は、二次電池81のSOCが基準値Cs以上であるため、燃料電池10の目標電流は第1の電流値Iaに設定されている。また、時刻t5〜t6の間は、SOCが基準値Csより小さいため、燃料電池10の目標電流は第2の電流値Ibに設定されている。
以上のように、第2実施例の燃料電池システムであれば、発電体保護制御における目標電流Itaを、二次電池81のSOCに応じて制御することにより、発電体保護制御において、二次電池81のSOCが著しく低下、または、増大してしまうことを抑制できる。
C.第3実施例:
図13は、本発明の第3実施例としての燃料電池システムにおいて、制御部20が実行する燃料電池10の出力制御の制御手順を示すフローチャートである。図13は、ステップS15とステップS45が追加されている点以外は、図4とほぼ同じである。なお、第3実施例の燃料電池システムの構成は、第2実施例の燃料電池システムと同様である(図1,図2)。
第1実施例において説明したように、発電体保護制御では、電流Iと局所抵抗rとの関係を表したI−rマップ(図6)に基づいて、燃料電池10の出力電流についての制限範囲が設定される。しかし、燃料電池10におけるI−r特性は、燃料電池10の運転状態に応じて変化したり、経時的に変化したりする可能性がある。
そのため、I−r特性が変化した場合には、I−rマップにおいて設定されている局所抵抗の制限値rlimについても、その変化に応じて補正されることが好ましい。第3実施例の燃料電池システムでは、制御部20は、ステップS15において、燃料電池10のI−r特性の変化を検出して、局所抵抗の制限値rlimの補正を実行する。
図14は、燃料電池10の出力制御のステップS15(図13)において実行される、局所抵抗の制限値rlimの補正処理の処理手順を示すフローチャートである。ステップS200では、制御部20は、電流計測部90によって計測される燃料電池10の電流と、電圧計測部91によって計測される燃料電池10の電圧とを用いて、燃料電池10の全体の抵抗(以後、「スタック抵抗」と呼ぶ)の実測値Rmを算出する。ステップS210では、制御部20は、算出したスタック抵抗の実測値Rmを用いて、I−r特性の変化が許容範囲内の変化であるか否かを判定する。
図15は、ステップS210におけるI−r特性の変化についての判定処理を説明するための概略図である。図15には、図6(B)で説明したI−rマップを表すグラフと同様なグラフを図示してある。制御部20は、ステップS20の判定処理を実行するために、燃料電池10の現在の運転温度Tcに対応するI−rマップを読み込み、そのI−rマップを用いて、燃料電池10の現在の電流Icに対する局所抵抗rcを取得する。
ここで、本実施例の制御部20は、実験により予め取得しておいた局所抵抗とスタック抵抗との関係を表したマップ(以下、単に「r−Rマップ」と呼ぶ)を予め記憶している。制御部20は、燃料電池10の現在の運転温度Tcに対応するr−Rマップを読み込み、そのr−Rマップを用いて、I−rマップから取得した局所抵抗rcに対するスタック抵抗Rcを取得する。
制御部20は、ステップS200で取得したスタック抵抗の実測値Rmと、I−rマップから取得したスタック抵抗Rcとを比較し、その差が予め設定された許容範囲内にあるか否かを判定する。その差が、所定の基準値以下であり、許容範囲内であった場合には、制御部20は、局所抵抗の制限値rlimを補正することなく、燃料電池10の運転制御(図12)に戻り、ステップS20の判定処理を実行する。
スタック抵抗の実測値Rmと、スタック抵抗Rcとの差が所定の閾値より大きく、許容範囲外であった場合には、制御部20は、局所抵抗の制限値rlimの補正を実行する。具体的には、制御部20は、以下のような方法によって補正後の制限値crlimを取得する。
図16(A),(B)は、ステップS220における補正後の制限値crlimの取得工程を説明するための概略図である。図16(A)は、ステップS220において用いる局所抵抗分布グラフを示す説明図である。
この局所抵抗分布グラフは、種々の発電状態における燃料電池10において、スタック抵抗と局所抵抗とを計測し、その計測結果をプロットした散布図において、プロットの分散領域の外周を曲線グラフDAによって囲むことにより取得することができる。なお、図16(A)では、プロットの分散領域を、ハッチングにより模式的に図示してある。
制御部20は、図16(A)の局所抵抗分布グラフにおいて曲線グラフDAによって表された局所抵抗とスタック抵抗との関係を予め記憶している。ステップS220では、この局所抵抗とスタック抵抗との関係を用いて、現在の局所抵抗の制限値rlimに対するスタック抵抗の低い方の値を補正基準抵抗Rsとして取得する。制御部20は、現在の燃料電池10の出力電圧と、補正基準抵抗Rsとを用いて、スタック抵抗が補正基準抵抗Rsとなるときの燃料電池10の電流を補正基準電流Isとして取得する。
図16(B)は、補正基準電流Isを用いた補正後の制限値rlimの取得工程を説明するための説明図である。図16(B)は、処理についての記載内容が異なる点以外は、図15とほぼ同じである。制御部20は、燃料電池10の現在の運転温度Tcに対応するI−rマップを再び読み込み、そのI−rマップに基づき、補正基準電流Isに対する局所抵抗を、補正後の制限値crlimとして取得する。
なお、補正後の制限値crlimが元の制限値rlimより大きい値として得られる場合には(crlim>rlim)、燃料電池10の電流の制限範囲が狭くなる方向に変更されることになる。従って、この場合には、膜電極接合体5の劣化を未然に防止する観点から、元の制限値rlimを補正することなく保持し、燃料電池10の電流の制限範囲をそのまま維持するものとしても良い。
補正後の制限値crlimが取得された場合には、ステップS20(図13)において、補正後の制限値crlimによって規定される制限範囲によって、通常目標電流Itの判定が実行される。ステップS40では、補正後の制限値crlimによって規定された制限範囲の境界値Ia,Ibを用いて発電体保護制御が実行される。
ステップS45では、制御部20は、補正後の制限値crlimを破棄し、次回以降の処理では、元の制限値rlimが用いられるように設定する。ただし、制御部20は、ステップS15における局所抵抗の制限値rlimの補正処理が繰り返し実行された実行回数を記憶しており、補正処理が所定の回数繰り返されたときに、補正後の制限値crlimを、制限値rlimの初期値として設定する。これによって、一時的なI−r特性の変化が生じるたびに、局所抵抗の制限値rlimが不可逆的に更新されてしまうことを抑制することができる。
以上のように、第3実施例の燃料電池システムであれば、燃料電池10のI−r特性が変化し、予め記憶していたI−rマップとの差が生じた場合であっても、局所抵抗の制限値rlimを変更することによって、制限範囲を適切に変更することができる。従って、膜電極接合体5を、より適切に保護することができる。
D.第4実施例:
図17は、本発明の第4実施例としての燃料電池システムにおいて実行される、発電体保護制御の制御手順を示すフローチャートである。図17は、3つの工程(ステップS105,S150,S151)が追加されている点以外は、図11とほぼ同じである。なお、第4実施例の燃料電池システムの構成は、第3実施例の燃料電池システムと同様である(図1,図2)。また、制御部20による燃料電池10の運転制御の制御手順も、第3実施例と同様である(図13)。
ここで、制御部20は、二次電池81のSOCについて、所定の限界範囲(上限値Cmax,下限値Clim)を設定して、SOCがその限界範囲内に収まるように、二次電池81の充・放電を制御する。この限界範囲は、二次電池81の充電過多または充電不足に起因する劣化を抑制できるように設定された範囲である。
しかし、ステップS111以降の制御では、燃料電池10の出力電流が制限範囲から強制的にオフセットされるため、二次電池81に対する負荷が増大する可能性が高い。そこで、第4実施例の発電体保護制御では、二次電池81がSOCが、限界範囲よりも余裕のある許容範囲内である場合にのみ、燃料電池10の出力電流をオフセットする処理を実行する。そして、二次電池81がSOCが、許容範囲から外れる場合には、燃料電池10の運転条件を変更することにより、膜電極接合体5を保護しつつ、二次電池81の負荷の増大を回避可能な出力制御を実行する。具体的には、以下の通りである。
ステップS105では、制御部20は、二次電池81の現在のSOCが許容範囲内の値であるか否かを判定する。具体的には、制御部20は、限界範囲内の値であって、それぞれ上限値Cmax、下限値Climの近傍の値である第1と第2の閾値Ca,Cbを予め設定しておき、SOCが第1の閾値Ca以下、かつ、第2の閾値Cb以上の値であるか否かを判定する。制御部20は、二次電池81の現在のSOCが上記の許容範囲内であるときには、ステップS111以降の制御を実行し、二次電池81の現在のSOCが許容範囲外であるときには、ステップS150以降の制御を実行する。
図18は、ステップS150の運転条件変更処理を説明するための模式図である。図18の上段には、図6で説明したのと同様なI−r特性を表す三次元グラフを図示してある。図18の下段には、運転条件を変更した後の燃料電池10のI−r特性を示す三次元グラフを、図18の上段と対比可能なように図示してある。
ステップS150では、制御部20は、燃料電池10の運転条件を変更して、局所抵抗の最大値が制限値rlimよりも低い値となるように燃料電池10のI−r特性を変化させる。具体的には、燃料電池10のカソード側の背圧を通常より増大させたり、燃料電池10のアノードガスのストイキ比を通常より増大させるなど、膜電極接合体5の湿潤度を増大させることができる運転条件に変更する。
ステップS151では、燃料電池10のI−r特性を変化させた状態で、通常運転制御と同様に、DC/DCコンバータ82を制御して、燃料電池10に目標電圧Vtを出力させて、通常目標電流Itを出力させる。なお、以下では、このステップS150,S151における制御を「I−r特性変更制御」と呼ぶ。
以上のように、第4実施例の燃料電池システムでは、燃料電池10の出力電流を制限範囲から強制的にオフセットさせる制御によって二次電池81に劣化が生じる可能性がある場合には、I−r特性変更制御によって、そうした制御の実行を回避する。従って、膜電極接合体5とともに、二次電池81の保護も可能である。
E.第5実施例:
図19は、本発明の第5実施例としての燃料電池システムにおいて制御部20が実行する、燃料電池10の出力制御の制御手順を示すフローチャートである。図19は、ステップS12,S13が追加されている点以外は、図13とほぼ同じである。図20は、第5実施例の燃料電池システムにおいて制御部20が実行する発電体保護制御の制御手順を示すフローチャートである。図20は、ステップS149が追加されている点以外は、図17とほぼ同じである。
第5実施例の燃料電池システムの構成は、第4実施例の燃料電池システムと同様である(図1,図2)。なお、第5実施例の燃料電池システムでは、制御部20は、運転中の制御データの履歴を記録しつつ運転制御を実行する。記録する制御データの履歴としては、例えば、外部からの要求出力の時間変化や、燃料電池10の出力電力の時間変化、二次電池81のSOCの時間変化などがある。
第5実施例の発電体保護制御では、第4実施例で説明したのと同様に、二次電池81のSOCが許容範囲内にない場合には(ステップS105)、I−r特性変更制御が実行される(ステップS150,S151)。しかし、I−r特性変更制御の実行は、システム効率や、燃料電池車両の燃費を低下させる可能性があるため、その実行頻度は低減されることが好ましい。
そこで、第5実施例の制御部20は、発電体保護制御においてI−r特性変更制御が実行される可能性を検出した場合には、事前に、二次電池81のSOCを許容範囲内に調整するための制御を実行する(図19のステップS12,S15)。具体的には、以下の通りである。なお、説明の便宜上、まず、発電体保護制御(図20)において、I−r特性制御が実行される場合について説明する。
制御部20は、発電体保護制御において、二次電池81のSOCが許容範囲外であると判定された場合には(ステップS105)、その直前の所定の期間における制御データの履歴を、サンプル履歴データとして不揮発的に記録する(ステップS149)。制御部20は、サンプル履歴データを、二次電池81のSOCが低下しすぎて許容範囲から外れた場合のデータと、二次電池81のSOCが増大しすぎて許容範囲から外れた場合のデータとに分類して蓄積していく。制御部20は、運転制御のサンプル履歴データを記録した後に、I−r特性変更制御を実行し(ステップS150,S151)、燃料電池10の運転制御に復帰する(図19)。
燃料電池10の運転制御では、制御部20は、外部からの出力要求を受け付けた後に(ステップS10)、発電体保護制御においてI−r特性変更制御が実行される可能性を検出するための判定処理を実行する(ステップS12)。具体的には、発電体保護制御(図20)のI−r特性変更制御の実行が繰り返されたことによって蓄積されたサンプル履歴データと、直前の所定の期間における制御データの履歴とを照合して、その類似性を検証する。
制御部20は、蓄積されたサンプル履歴データの中に、現在までの所定の期間における制御データの履歴と所定の類似度を有するデータが存在することを検出した場合には、今後の運転において、二次電池81のSOCが許容範囲から外れる可能性があると判定する。この場合には、制御部20は、二次電池81のSOCを制御するための基準値を変更する処理を実行する(ステップS13)。
図21(A),(B)は、ステップS13におけるSOCの基準値の変更による効果を説明するための概略図である。図21(A),(B)にはそれぞれ、ステップS13の処理の実行した後のSOCの時間変化を示すグラフを図示してある。なお、図21(A),(B)のグラフにはそれぞれ、比較例として、ステップS13の処理を実行しなかった場合のSOCの時間変化を示す破線グラフを図示してある。
ステップS13では、制御部20は、所定の類似度を有するサンプル履歴データが、SOCが低下しすぎて許容範囲から外れたときのデータである場合には、SOCの基準値Csを上昇させる。これによって、その後の運転制御において、二次電池81を充電する頻度を増大させることができるため、SOCの不足により、SOCが許容範囲から外れることを回避できる(図21(A))。
一方、制御部20は、所定の類似度を有するサンプル履歴データがSOCが増大しすぎて許容範囲から外れたときのデータである場合には、SOCの基準値Csを低下させる。これによって、その後の運転制御において、二次電池81に放電させる頻度を増大させることができるため、SOCの過剰により、SOCが許容範囲から外れることを回避できる(図21(B))。
以上のように、第5実施例の燃料電池システムであれば、制御部20が運転制御の履歴に基づいて、SOCが許容範囲から外れる運転パターンを学習し、未然に、SOCが許容範囲から外れる状態を回避することができる。従って、I−r特性変更制御が実行される頻度を低減することができ、膜電極接合体5や二次電池81を保護しつつ、システム効率や燃料電池車両の燃費の低下を抑制することができる。
F.第6実施例:
図22は、本発明の第6実施例としての燃料電池システム100Aの構成を示す概略図である。図22は、走行ルート検出部93が追加されている点以外は、図1とほぼ同じである。なお、第6実施例の燃料電池システム100Aの電気的構成は、第5実施例の燃料電池システムと同様である(図2)。
走行ルート検出部93は、例えば、GPS機能を備えるナビゲーション装置によって構成することができ、燃料電池システム100Aが搭載される燃料電池車両の現在の走行ルートを検出することができる。走行ルート検出部93は、検出した走行ルートの情報を制御部20に出力する。
図23は、第6実施例の燃料電池システム100Aにおいて制御部20が実行する、燃料電池10の運転制御の制御手順を示すフローチャートである。図23は、ステップS12に換えてステップS12Aが設けられている点以外は、図19とほぼ同じである。
第6実施例の燃料電池システム100Aでは、制御部20は、外部からの出力要求を受け付けた後に(ステップS10)、現在の燃料電池車両の走行ルートの情報に基づいて、二次電池81のSOCの基準値を変更する処理を実行する(ステップS12A,S13)。具体的には以下の通りである。
ステップS12Aでは、制御部20は、走行ルート検出部93から取得した走行ルートの情報に基づき、現在地から燃料電池車両の進行方向に所定の距離だけ離れた場所の高度情報を取得する。制御部20は、現在地と、その燃料電池車両の進行方向の先にある場所との間に所定の高度差がある場合には、燃料電池車両がこれから、上り坂、または、下り坂を走行する可能性があると判定する。
一方、現在地と、燃料電池車両の進行方向の先にある場所との間に、そのような高度差がない場合には、燃料電池車両は比較的平坦なルートを走行し続けると判定して、ステップS20以降の処理を実行する。なお、第6実施例の燃料電池システム100Aでは、ステップS40の発電体保護制御は、第4実施例の燃料電池システムと同様な制御手順で実行される(図17)。
ステップS12Aにおいて、燃料電池車両が、これから、上り坂、または、下り坂を走行する可能性があると判定した場合には、制御部20は、第5実施例で説明したのと同様なSOCの基準値変更処理(ステップS13)を実行する。具体的には、以下の通りである。
図24(A)〜(D)は、ステップS13におけるSOCの基準値の変更処理の処理内容と、その処理による効果を説明するための概略図である。図24(A),(B)にはそれぞれ、走行途中に下り坂にさしかかる場合における、燃料電池車両の高度の時間変化の一例を示すグラフと、二次電池81のSOCの時間変化の一例を示すグラフとを、時間軸を対応させて図示してある。
また、図24(C),(D)にはそれぞれ、走行途中に上り坂にさしかかる場合における、図24(A),(B)のグラフと同様なグラフを図示してある。なお、図24(B),(D)には、SOCの基準値Csを一点鎖線で図示するとともに、SOCの基準値を変更しなかった場合のSOCの時間変化を示す、比較例としてのグラフを破線で図示してある。
時刻tpにおいて、燃料電池車両の進行方向に下り坂を検出した場合には、制御部20は、ステップS13において、SOCの基準値Csを低下させる(図24(A),(B))。SOCの基準値Csを低下させると、二次電池81の放電の頻度を増大させることができるため、二次電池81を、比較的SOCの低い状態にすることができる。従って、その後の時刻t以降に、燃料電池車両が下り坂を走行した場合であっても、燃料電池10の出力の余剰分を十分に蓄電することが可能である。
一方、時刻tpにおいて、燃料電池車両の進行方向に上り坂を検出した場合には、制御部20は、ステップS13において、SOCの基準値Csを上昇させる(図24(C),(D))。SOCの基準値Csを上昇させると、二次電池81の充電の頻度を増大させることができるため、二次電池81を、比較的SOCの高い状態にすることができる。従って、時刻t以降に、燃料電池車両が上り坂を走行し、燃料電池10の出力が不足する場合であっても、その不足分を二次電池81に確実に補償させることが可能となる。
なお、制御部20は、燃料電池車両の高度情報の変動幅が所定の範囲内に収まり、降坂または登坂が完了したことを検出した場合には、SOCの基準値Csを再び初期値に戻すものとしても良い。
以上のように、第6実施例の燃料電池システムであれば、燃料電池車両の走行ルートに基づき、事前に二次電池81のSOCを調整する。従って、二次電池81のSOCが許容範囲から外れることを抑制することができ、I−r特性変更制御(図17)の実行頻度を低下させることができる。
G.第7実施例:
図25は、本発明の第7実施例としての燃料電池システムにおいて、制御部20が実行する燃料電池10の出力制御の制御手順を示すフローチャートである。図25は、ステップS12Aの判定処理における判定条件が異なる点と、ステップS13に換えてステップS14が設けられている点以外は、図23とほぼ同じである。
なお、第7実施例の燃料電池システムの構成は、第6実施例の燃料電池システムの構成と同様である(図22,図2)。また、第7実施例の燃料電池システムにおいて実行される発電体保護制御(ステップS40)の制御手順は、第6実施例の燃料電池システムと同様である(図17)。
第7実施例の燃料電池システムでは、制御部20は、ステップS12Aにおいて、走行ルート検出部93の出力情報から、燃料電池車両の進行方向に所定の高度の上昇を検出したときに、燃料電池車両が上り坂を走行する可能性があるものと判定する。この場合には、制御部20は、ステップS14において、燃料電池10の運転温度を調整する事前処理を実行する。これによって、燃料電池車両の登坂に伴って、燃料電池10の運転温度が過剰に上昇してしまうことを抑制し、燃料電池10の運転温度の上昇に伴って、燃料電池10の出力電流についての制限範囲が拡大してしまうことを抑制する。具体的には、以下の通りである。
図26(A)〜(C)は、ステップS14における燃料電池10の運転温度の事前調整処理の処理内容と、その処理による効果を説明するための概略図である。図26(A)には、走行途中に上り坂にさしかかる場合における、燃料電池車両の高度の時間変化の一例を示すグラフを図示してある。
図26(B)には、時間軸が図26(A)のグラフに対応している、燃料電池10の運転温度の時間変化を示すグラフを図示してある。図26(B)のグラフには、制御部20が設定する燃料電池10の御店温度の目標値Ttを一点鎖線で図示してある。なお、図26(B)には、比較例として、ステップS140の処理を実行しなかった場合における燃料電池10の運転温度の時間変化を示すグラフを破線で図示してある。
図26(C)には、時間軸が図26(A)のグラフに対応する、燃料電池10の制限範囲の時間変化を示すグラフを図示してある。図26(C)には、制限範囲の境界値となる2つの電流値Ia,Ibの変化を実線で示すとともに、2つの電流値Ia,Ibに挟まれた制限範囲にハッチングを付してある。また、図26(B)には、比較例として、ステップS140の処理を実行しなかった場合における2つの電流値Ia,Ibの変化を示すグラフを破線で図示してある。
制御部20は、時刻tpにおいて、燃料電池車両の進行方向に下り坂を検出した場合には、ステップS14において、運転温度の事前調整処理として、燃料電池10の運転温度の目標値Ttを低下させる処理を実行する。これによって、その後の時刻tにおいて、燃料電池車両が上り坂にさしかかる前に、燃料電池10の運転温度の上昇を抑制し、比較的運転温度が低い状態にしておく(図26(B))。
ここで、図6において説明したように、燃料電池10の出力電流の制限範囲は、燃料電池10の運転温度が高いほど狭くなるように設定されている。従って、ステップS14の処理の実行後には、燃料電池10の運転温度の上昇が抑制されている分だけ、燃料電池10の出力電流の制限範囲の拡大が抑制されることになる(図26(C))。
以上のように、第7実施例の燃料電池システムによれば、燃料電池10の出力増大が予測される場合には、事前に燃料電池10の運転温度の上昇を抑制する制御が実行される。従って、燃料電池10の運転温度の上昇に伴う、燃料電池10の出力電流の制限範囲の拡大が抑制され、二次電池81の負荷が低減される。
H.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
H1.変形例1:
上記実施例では、発電体保護制御において、燃料電池10の目標電流Itaを、制限範囲の境界値である電流値IaまたはIbに設定していた。しかし、発電体保護制御における燃料電池10の目標電流Itaは、制限範囲の境界値Ia,Ibに設定されなくとも良く、目標電流Itaは、制限範囲の外側の値に設定さるものとしても良い。即ち、燃料電池10の目標電流Itaは、制限範囲の第1の境界値Ia以下、または,第2の境界値Ib以上の値に設定されれば良い。
H2.変形例2:
上記実施例では、I−rマップにおいて、燃料電池10の運転温度ごとの、燃料電池10の出力電流の制限範囲が設定されていた。しかし、燃料電池10の出力電流の制限範囲は、燃料電池10の運転温度にかかわらず、一定の範囲が設定されるものとしても良い。
H3.変形例3:
上記実施例では、予め準備されたI−rマップ上において、燃料電池10の局所抵抗に制限値rlimを設定することにより、燃料電池10の出力電流の制限範囲を規定していた。しかし、燃料電池10の出力電流の制限範囲は、I−rマップや、局所抵抗に制限値rlimを用いることなく、他の基準によって規定されるものとしても良い。燃料電池10の出力電流の制限範囲は、例えば、スタック抵抗に基づいて規定されるものとしても良い。また、単に、制限範囲を規定するための第1と第2の電流値Ia,Ibが、運転温度ごとに予め設定されているのみであるとしても良い。
H4.変形例4:
上記実施例におけるI−r特性は、燃料電池における電流と抵抗との関係を表した特性の一態様として解釈することも可能であり、上記実施例では、局所抵抗を、発電領域GAの任意の場所の抵抗や、発電領域GA全体における平均抵抗、任意の単セル11における抵抗、スタック抵抗に置き換えることも可能である。従って、上記実施例における制限範囲は、発電中の膜電極接合体における電流と抵抗との関係において、膜電極接合体が所定の湿潤度以下の乾燥状態であるときに計測される抵抗値の範囲に対して規定される電流値の範囲であると解釈することもできる。また、上記第3実施例では、制御部20が、燃料電池10における出力電流と抵抗との関係の変化を検出し、その関係の変化が、予め設定された許容範囲から外れる場合に、制限範囲の基準となる抵抗値の範囲を変更しているものと解釈することが可能である。
H5.変形例5:
上記第5実施例では、制御部20は、SOCが許容範囲から外れたときに記録されたサンプル履歴データと、直前の制御データの履歴との間の類似性に基づき、SOCが許容から外れる可能性を検出していたしていた。しかし、制御部20は、サンプル履歴データと、直前の制御データの履歴との間の類似性に基づき、SOCが許容から外れる可能性を検出しなくとも良い。制御部20は、直前の制御データの履歴において、所定の運転パターンが検出されたときに、SOCが許容から外れる可能性を検出するものとしても良い。サンプル履歴データは、実際の燃料電池システムの運転において取得されたデータでなくとも良く、予め準備されたデータであっても良い。
H6.変形例6:
上記第6実施例では、制御部20は、走行ルート検出部93の出力情報に基づき、燃料電池車両の進行方向の先に坂道を検出したときに、SOCが許容範囲から外れる可能性の高い経路に燃料電池車両が向かっているものとして、SOCの基準値を変更していた。しかし、制御部20は、燃料電池車両の進行方向の先に坂道を検出したときにSOCを変更しなくとも良く、SOCが許容範囲から外れる可能性の高い経路として予め設定された所定の経路に向かって移動中であることを検出したときにSOCの基準値を変更すれば良い。同様に、第7実施例においても、制御部20は、 燃料電池10の運転温度が所定の閾値よりも高くなる可能性の高い経路として予め設定された所定の経路に向かって移動中であることを検出した場合に、燃料電池10に対する冷媒の供給流量を増大させれば良い。
H7.変形例7:
上記実施例では、燃料電池システムは車両に搭載されていた。しかし、上記実施例の燃料電池システムは、車両以外の移動体に搭載されるものとしても良いし、建造物や施設等に固定的に設置されるものとしても良い。
1…電解質膜
2,3…電極
5…膜電極接合体
10…燃料電池
11…単セル
11c…高温セル
20…制御部
30…カソードガス供給系
31…カソードガス配管
32…エアコンプレッサ
33…エアフロメータ
34…開閉弁
35…圧力計測部
40…カソードガス排出系
41…カソード排ガス配管
43…調圧弁
44…圧力計測部
50…アノードガス供給系
51…アノードガス配管
52…水素タンク
53…開閉弁
54…レギュレータ
55…水素供給装置
56…圧力計測部
60…アノードガス排出系
61…アノード排ガス配管
66…開閉弁
67…圧力計測部
70…冷媒循環供給系
71…冷媒用配管
71a…上流側配管
71b…下流側配管
71c…バイパス配管
72…ラジエータ
73…三方弁
75…冷媒循環用ポンプ
76a,76b…冷媒温度計測部
81…二次電池
82…DC/DCコンバータ
83…DC/ACインバータ
90…電流計測部
91…電圧計測部
92…SOC検出部
93…走行ルート検出部
100,100A…燃料電池システム
200…モータ
AR…許容領域
LR…制限領域
DA…曲線グラフ
DCL…直流配線
GA…発電領域
HTR…高温領域

Claims (10)

  1. 外部からの出力要求に応じた電力を出力する燃料電池システムであって、
    燃料電池と、
    燃料電池の出力電流を制御する制御部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記出力要求に応じて目標電流値を設定して、前記目標電流値の電流を前記燃料電池に出力させる第1の制御を実行し、
    前記制御部は、前記第1の制御において、前記目標電流値が予め設定された制限範囲内である場合には、前記目標電流値を、前記制限範囲の境界値または前記制限範囲の外側の値に再設定して、再設定後の前記目標電流値の電流を前記燃料電池に出力させる第2の制御に切り替える、燃料電池システム。
  2. 請求項1記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池は膜電極接合体を備えており、
    前記制限範囲は、発電中の前記膜電極接合体における電流と抵抗との関係において、前記膜電極接合体が所定の湿潤度以下の乾燥状態であるときに計測される抵抗値の範囲に対して規定される電流値の範囲である、燃料電池システム。
  3. 請求項1または請求項2記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池の運転温度を検出する温度検出部を備え、
    前記制限範囲は、前記燃料電池の運転温度ごとに予め設定されており、
    前記制御部は、前記第1と第2の制御において、現在の前記燃料電池の運転温度に応じた前記制限範囲を用いる、燃料電池システム。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、さらに、
    前記燃料電池とともに電源部として機能する二次電池と、
    前記二次電池の充電状態を示す値を検出する充電状態検出部と、
    を備え、
    前記制御部は、前記充電状態検出部の検出値に基づいて、前記二次電池の充電と放電とを切り替え、
    前記制限範囲は、第1と第2の電流値Ia,Ib(Ia<Ib)の間の範囲であり、
    前記制御部は、前記第2の制御において、前記二次電池に放電させる制御を実行しているときには、前記第1の制御において設定された前記目標電流値Icを、前記第1の電流値Ia以下に再設定し、前記二次電池を充電する制御を実行しているときには、前記目標電流値Icを、前記第2の電流値Ib以上に再設定する、燃料電池システム。
  5. 請求項4記載の燃料電池システムであって、
    前記制御部は、前記充電状態検出部の検出値が、予め設定された許容範囲から外れる場合には、
    前記第1の制御において、前記目標電流値Icが前記制限範囲内に設定された場合であっても、前記第2の制御に切り替えることなく、前記燃料電池の発電条件を変更して、燃料電池の劣化が抑制される状態にした上で、前記目標電流値Icの電流を前記燃料電池に出力させる第3の制御を実行する、燃料電池システム。
  6. 請求項5記載の燃料電池システムであって、
    前記制御部は、前記充電状態検出部の検出値が、予め設定された許容範囲から外れる可能性の高い前記燃料電池の運転パターンを示す情報を予め記憶しており、
    前記燃料電池の運転パターンを示す情報に基づき、前記充電状態検出部の検出値が前記許容範囲から外れる可能性を検出したときに、前記二次電池の充電と放電とを切り替える基準を変更して、前記充電状態検出部の検出値が前記許容範囲から外れることを抑制する、燃料電池システム。
  7. 請求項5記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池システムは、移動体に搭載されており、
    前記燃料電池システムは、さらに、前記移動体の移動情報を検出する移動情報検出部を備え、
    前記制御部は、前記移動情報に基づき、前記移動体が、前記充電状態検出部の検出値が前記許容範囲から外れる可能性の高い経路として予め設定された所定の経路に向かって移動中であることを検出した場合には、前記二次電池の充・放電を切り替える基準を変更して、前記充電状態検出部の検出値が前記許容範囲から外れることを抑制する、燃料電池システム。
  8. 請求項3に従属する請求項4から請求項6のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池システムは、移動体に搭載されており、
    前記燃料電池システムは、さらに、
    前記移動体の移動情報を検出する移動情報検出部と、
    前記燃料電池に冷媒を供給して前記燃料電池の運転温度を調整する冷媒循環供給系と、
    を備え、
    前記制御部は、前記移動情報に基づき、前記移動体が、前記燃料電池の運転温度が所定の閾値よりも高くなる可能性の高い経路として予め設定された所定の経路に向かって移動中であることを検出した場合には、前記燃料電池に対する前記冷媒の供給流量を増大させ、前記燃料電池の運転温度の上昇を抑制する、燃料電池システム。
  9. 請求項2から請求項8のいずれか一項に記載の燃料電池システムであって、
    前記燃料電池における抵抗を検出する抵抗検出部を備え、
    前記制御部は、前記燃料電池における出力電流と抵抗との関係の変化を検出し、
    前記関係の変化が、予め設定された許容範囲から外れる場合には、前記制限範囲の基準となる抵抗値の範囲を変更する、燃料電池システム。
  10. 燃料電池システムの制御方法であって、
    (a)外部からの出力要求を受け付け、前記出力要求に応じた燃料電池の目標電流値を設定する工程と、
    (b)前記目標電流値が予め設定された制限範囲内である場合には、前記目標電流値を前記制限範囲の境界値または前記制限範囲の外側の値に再設定する工程と、
    (c)前記工程(a)または前記工程(b)で設定された前記目標電流値の電流を前記燃料電池に出力させる工程と、
    を備える、制御方法。
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