I.第1実施形態
A.構成の説明
1.電気自動車10全体
図1は、この発明の第1実施形態に係る電気自動車10の概略構成図である。図2は、電気自動車10の回路構成の一部を示す図である。電気自動車10は、走行用のモータ12と、トランスミッション14と、車輪16と、統合電子制御装置18(以下「統合ECU18」という。)と、電力系20とを有する。
2.モータ12
モータ12は、3相交流ブラシレス式であり、電力系20から供給される電力に基づいて駆動力を生成し、当該駆動力によりトランスミッション14を通じて車輪16を回転する。また、モータ12は、回生を行うことで生成した電力(回生電力Preg)[W]を電力系20に出力する。回生電力Pregは、図示しない補機に対して出力してもよい。
モータ12の具体的な構成としては、例えば、特開2009−240125号公報に記載の構成を用いることができる。
3.統合ECU18
統合ECU18は、電気自動車10全体の制御系を制御するものであり、図示しない入出力装置、演算装置、記憶装置等を有する。第1実施形態において、統合ECU18は、発電に使用するバッテリ及び充電に使用するバッテリそれぞれとして第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの少なくとも一方を選択する(詳細は後述する。)。
4.電力系20
(1)電力系20の全体構成
電力系20は、モータ12に電力を供給すると共に、モータ12からの回生電力Pregが供給されるものである。電力系20は、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bに加え、第1双方向スイッチ24a(以下「第1双方向SW24a」という。)と、第2双方向スイッチ24b(以下「第2双方向SW24b」という。)と、インバータ26と、電圧センサ28、30、32と、電流センサ38、40、42、44、46と、レゾルバ48と、電力電子制御装置50(以下「電力ECU50」と称する。)とを有する。
(2)第1バッテリ22a及び第2バッテリ22b
第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bのそれぞれは、複数のバッテリセルを含み、高電圧(第1実施形態では数百ボルト)を出力可能な蓄電装置(エネルギストレージ)であり、例えばリチウムイオン2次電池又はキャパシタ等を利用することができる。第1実施形態ではリチウムイオン2次電池を利用している。
第1バッテリ22aの出力電圧(以下「第1バッテリ電圧Vbat1」という。)[V]は、電圧センサ28により検出され、第1バッテリ22aの出力電流(以下「第1バッテリ電流Ibat1」という。)[A]は、電流センサ38により検出され、それぞれ電力ECU50に出力される。
同様に、第2バッテリ22bの出力電圧(以下「第2バッテリ電圧Vbat2」という。)[V]は、電圧センサ30により検出され、第2バッテリ22bの出力電流(以下「第2バッテリ電流Ibat2」という。)[A]は、電流センサ40により検出され、それぞれ電力ECU50に出力される。
第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの正極側は接続点52において連結し、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの負極側は接続点54において連結する。正極側の接続点52は、インバータ26の接続点56に接続し、負極側の接続点54は、インバータ26の接続点58に接続する。従って、第1バッテリ22aを含む電源経路及び第2バッテリ22bを含む電源経路は、インバータ26及びモータ12に対して並列に接続されている。
なお、以下では、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22b(並びに第3実施形態以降についてはバッテリ154)をバッテリ22と総称し、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22b(並びに第3実施形態以降についてはバッテリ154)からの出力電圧をバッテリ電圧Vbatと総称し、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22b(並びに第3実施形態以降についてはバッテリ154)からの出力電流をバッテリ電流Ibatと総称する。
(3)第1双方向SW24a及び第2双方向SW24b
第1双方向SW24a及び第2双方向SW24bは、電力ECU50からの指令に応じて、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの発電方向と充電方向のオンオフ(通電/遮断)を別々に切り替えることができる。
第1実施形態の第1双方向SW24a及び第2双方向SW24bは、双方向型の絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)である。すなわち、第1双方向SW24aは、発電方向(電力系20からモータ12への方向)への通電及び遮断を切り替える発電スイッチング素子60a(以下「発電SW素子60a」又は「SW素子60a」という。)と、充電方向(モータ12から電力系20への方向)への通電及び遮断を切り替える充電スイッチング素子62a(以下「充電SW素子62a」又は「SW素子62a」という。)とを有する。
同様に、第2双方向SW24bは、発電方向への通電及び遮断を切り替える発電スイッチング素子60b(以下「発電SW素子60b」又は「SW素子60b」という。)と、充電方向への通電及び遮断を切り替える充電スイッチング素子62b(以下「充電SW素子62b」又は「SW素子62b」という。)とを有する。
各SW素子60a、60b、62a、62bは、電力ECU50からの駆動信号Sh1、Sh2、Sl1、Sl2によりオンオフが制御される。
なお、双方向型のIGBTである第1双方向SW24a及び第2双方向SW24bの代わりに、図3に示すダイオードブリッジ70、図4及び図5に示す逆導通IGBT72、74、又は図6に示す逆阻止IGBT76を用いることもできる。
また、図2に示すように、第1バッテリ22aと第1双方向SW24aとの間には、第1平滑コンデンサ78aが配置され、第2バッテリ22bと第2双方向SW24bとの間には、第2平滑コンデンサ78bが配置される。
なお、以下では、第1双方向SW24a及び第2双方向SW24b(並びに第4実施形態以降では後述する第3双方向スイッチ24c)を双方向スイッチ24又は双方向SW24と総称する。また、発電SW素子60a、60b(及び第4実施形態以降では後述する発電スイッチング素子60c)を発電スイッチング素子60又はSW素子60と総称する。充電SW素子62a、62b(及び第4実施形態以降では後述する充電スイッチング素子62c)を充電スイッチング素子62又はSW素子62と総称する。
(4)インバータ26
インバータ26は、3相フルブリッジ型の構成とされて、直流/交流変換を行い、直流を3相の交流に変換してモータ12に供給する一方、回生動作に伴う交流/直流変換後の直流を第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの少なくとも一方に供給する。
図2に示すように、インバータ26は、3相の相アーム82u、82v、82wを有する。
U相アーム82uは、上アームスイッチング素子86u(以下「上アームSW素子86u」という。)及びダイオード88uを有する上アーム素子84uと、下アームスイッチング素子92u(以下「下アームSW素子92u」という。)及びダイオード94uとを有する下アーム素子90uとで構成される。
同様に、V相アーム82vは、上アームスイッチング素子86v(以下「上アームSW素子86v」という。)及びダイオード88vを有する上アーム素子84vと、下アームスイッチング素子92v(以下「下アームSW素子92v」という。)及びダイオード94vを有する下アーム素子90vとで構成される。W相アーム82wは、上アームスイッチング素子86w(以下「上アームSW素子86w」という。)とダイオード88wを有する上アーム素子84wと、下アームスイッチング素子92w(以下「下アームSW素子92w」という。)とダイオード94wを有する下アーム素子90wとで構成される。
上アームSW素子86u、86v、86wと下アームSW素子92u、92v、92wには、例えば、MOSFET又はIGBT等が採用される。
なお、以下では、各相アーム82u、82v、82wを相アーム82と総称し、各上アーム素子84u、84v、84wを上アーム素子84と総称し、各下アーム素子90u、90v、90wを下アーム素子90と総称し、各上アームSW素子86u、86v、86wを上アームSW素子86と総称し、各下アームSW素子92u、92v、92wを下アームSW素子92と総称する。
各相アーム82において、上アーム素子84と下アーム素子90の中点96u、96v、96wは、モータ12の巻線98u、98v、98wに連結されている。以下では、巻線98u、98v、98wを巻線98と総称する。
各上アームSW素子86及び各下アームSW素子92は、電力ECU50からの駆動信号UH、VH、WH、UL、VL、WLにより駆動される。
(5)電圧センサ28、30、32
上述のように、電圧センサ28は、第1バッテリ22aの第1バッテリ電圧Vbat1を検出し、電力ECU50に出力する。電圧センサ30は、第2バッテリ22bの第2バッテリ電圧Vbat2を検出し、電力ECU50に出力する。
電圧センサ32は、接続点52、56を結ぶ経路と接続点54、58を結ぶ経路との間に接続され、インバータ26の入力電圧Vinv[V]を検出し、電力ECU50に出力する。
(6)電流センサ38、40、42、44、46
上述のように、電流センサ38は、第1バッテリ22aの第1バッテリ電流Ibat1を検出し、電力ECU50に出力する。電流センサ40は、第2バッテリ22bの第2バッテリ電流Ibat2を検出し、電力ECU50に出力する。
電流センサ42は、接続点52、56を結ぶ経路上においてインバータ26の入力電流Iinv[A]を検出し、電力ECU50に出力する。
電流センサ44は、モータ12の巻線98uにおけるU相の電流(U相電流Iu)を検出し、電力ECU50に出力する。同様に、電流センサ46は、巻線98wにおけるW相の電流(W相電流Iw)を検出し、電力ECU50に出力する。
なお、電流センサ44、46は、モータ12の3相のうちの2つの相を検出するものであれば、U相とW相の組合せ以外の電流を検出するものであってもよい。
(7)レゾルバ48
レゾルバ48は、モータ12の図示しない出力軸又は外ロータの回転角度(モータ12の図示しないステータに対して固定された座標系での回転角度)である電気角θを検出する。レゾルバ48の構成としては、例えば、特開2009−240125号公報に記載のものを用いることができる。
(8)電力ECU50
(a)全体構成
電力ECU50は、電力系20全体を制御するものであり、図示しない入出力装置、演算装置、記憶装置等を有する。第1実施形態における電力ECU50は、主として、インバータ26の制御と双方向SW24の制御とを行う。
図7には、電力ECU50の機能的なブロック図が示されている。図7に示すように、電力ECU50は、双方向スイッチ論理生成部102(以下「双方向SW論理生成部102」又は「論理生成部102」という。)と、電気角速度算出部104と、3相−dq変換部106と、電流指令算出部108と、減算器110、112と、電流フィードバック制御部114(以下「電流FB制御部114」という。)と、dq−3相変換部116と、PWM生成部118とを有する。
各双方向SW24のオンオフは、論理生成部102により制御される。各双方向SW24のオンオフを切り替える際は、論理生成部102によりインバータ26が3相短絡状態にされる(詳細は後述する。)。
インバータ26の制御は、電気角速度算出部104と、3相−dq変換部106と、電流指令算出部108と、減算器110、112と、電流FB制御部114と、dq−3相変換部116と、PWM生成部118とを用いて行われる。
(b)SW24のオンオフの制御系
上記のように、各双方向SW24のオンオフは、論理生成部102により制御される。
図8には、双方向SW論理生成部102の機能的なブロック図が示されている。図8に示すように、論理生成部102は、双方向スイッチ論理決定部122(以下「双方向SW論理決定部122」又は「論理決定部122」という。)と、双方向スイッチ論理更新指令部124(以下「双方向SW論理更新指令部124」又は「論理更新指令部124」という。)と、双方向スイッチ論理出力部126(以下「双方向SW論理出力部126」又は「論理出力部126」という。)と、デッドタイム生成部128と、記憶部130とを有する。
論理決定部122は、統合ECU18からの電源指定信号Sd1、Sd2、Sd3と、インバータ26の入力電流Iinvと、記憶部130からの電流閾値THi1、THi2とに基づいて、スイッチング素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4(以下「SW素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4」という。)を生成し、論理出力部126に送信する。
電源指定信号Sd1、Sd2、Sd3は、発電用、発電/充電切替え用、充電用の電源(第1実施形態では、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22b)を指定するものである。より具体的には、電源指定信号Sd1は、発電用の電源を指定するものであり、電源指定信号Sd2は、発電/充電切替え用の電源を指定するものであり、電源指定信号Sd3は、充電用の電源を指定するものである。
論理決定部122は、インバータ26の入力電流Iinvと電流閾値THi1、THi2とを用いて、電気自動車10の力行状態(バッテリ22の発電時)、回生状態(バッテリ22の充電状態)及びこれらの中間状態(バッテリ22の発電/充電切替え時)を判定し、利用する電源指定信号Sd1、Sd2、Sd3を選択する(詳細は後述する。)。
SW素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4は、各双方向SW24の各SW素子60a、60b、62a、62bのうち、いずれをオンとし、いずれをオフとするかを選択するものである。より具体的には、SW素子選択信号Ss1は、発電SW素子60aをオンさせるものであり、SW素子選択信号Ss2は、発電SW素子60bをオンさせるものであり、SW素子選択信号Ss3は、充電SW素子62aをオンさせるものであり、SW素子選択信号Ss4は、充電SW素子62bをオンさせるものである。換言すると、各SW素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4がハイのとき、これに対応するSW素子60a、60b、62a、62bをオンとし、SW素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4がローのとき、これに対応するSW素子60a、60b、62a、62bをオフとする。
なお、後述する第4実施形態及び第5実施形態のように、電源が3つ以上ある場合、電源の数に2を乗じた数のSW素子選択信号が出力される。
また、論理決定部122は、SW素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4の論理(ハイ又はロー)を変更したときは、その旨(すなわち、論理の更新の準備が完了した旨)を通知する更新準備完了信号Suを論理更新指令部124に出力する。
論理更新指令部124は、論理決定部122からの更新準備完了信号Suと、PWM生成部118からの双方向スイッチ論理切替許可信号Sal(以下「切替許可信号Sal」という。)とに基づいて論理更新実行信号Scを生成し、論理出力部126に送信する。
切替許可信号Salは、双方向SW24の切替えが許可される際に、PWM生成部118から論理更新指令部124に対して送信されるものである(詳細は後述する。)。
論理更新指令部124は、論理決定部122においてSW素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4の論理の更新の準備が完了し、且つ双方向SW24の切替えが可能となったときに論理更新実行信号Scを論理出力部126に出力する。
論理出力部126は、論理決定部122からのSW素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4と、論理更新指令部124からの論理更新実行信号Scとに基づいて、各SW素子60a、60b、62a、62bへの駆動信号Sh1、Sh2、Sl1、Sl2を生成し、デッドタイム生成部128に出力する。
より具体的には、論理更新指令部124から論理更新実行信号Scを受信しないとき{論理更新実行信号Scがロー(論理0)であるとき}、論理出力部126は、論理決定部122からのSW素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4の論理が変更されていても(SW素子60a、60b、62a、62bのオンオフの切替えを求めていても)、変更前の論理を維持し、SW素子60a、60b、62a、62bのオンオフを切り替えることなく、駆動信号Sh1、Sh2、Sl1、Sl2を同じ論理で出力し続ける。この場合、SW素子60a、60b、62a、62bのオンオフを切り替えてしまうと、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間で短絡が生じてしまう等の不具合が発生するおそれがあるためである。
一方、論理出力部126は、論理更新指令部124から論理更新実行信号Scを受信しているとき{論理更新実行信号Scがハイ(論理1)であるとき}、論理決定部122からのSW素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4に応じた論理で駆動信号Sh1、Sh2、Sl1、Sl2を出力する。この場合、そのタイミングでSW素子60a、60b、62a、62bのオンオフを切り替えても、上記不具合が発生するおそれがないためである。
デッドタイム生成部128は、論理出力部126からの駆動信号Sh1、Sh2、Sl1、Sl2にデッドタイムdtを挿入して各SW素子60a、60b、62a、62bに出力する。デッドタイムdtを挿入するのは、意図しない短絡を防止するためである。
(c)インバータ26の制御系
上記のように、インバータ26の制御は、電気角速度算出部104と、3相−dq変換部106と、電流指令算出部108と、減算器110、112と、電流FB制御部114と、dq−3相変換部116と、PWM生成部118とを用いて行われる。なお、インバータ26の制御系としては、基本的に、特開2009−240125号公報に記載のものを用いることが可能であり、第1実施形態において省略されている構成要素についても付加的に適用可能である。
図7の電気角速度算出部104は、レゾルバ48からの電気角θを微分することで、モータ12の出力軸の回転速度(=外ロータの回転速度)の検出値(観測値)としての電気角速度ωを算出し、電流指令算出部108に出力する。
3相−dq変換部106は、電流センサ44からのU相電流Iuと、電流センサ46からのW相電流Iwと、レゾルバ48からの電気角θとを用いて3相−dq変換を行い、d軸方向の電流成分としてのd軸電機子の電流(以下「d軸電流Id」という。)と、q軸方向の電流成分としてのq軸電機子の電流(以下「q軸電流Iq」という。)を算出する。そして、3相−dq変換部106は、d軸電流Idを減算器110に出力し、q軸電流Iqを減算器112に出力する。
なお、3相−dq変換は、U相電流Iuと、W相電流Iwと、これらから求められるV相電流Iw(=−Iu−Iw)との組を、電気角θ(より詳しくは電気角θでの出力軸の回転角度)に応じた変換行列によりd軸電流Idとq軸電流Iqとの組に変換する処理である。
電流指令算出部108は、d軸電流Idの指令値であるd軸電流指令値Id_cとq軸電流Iqの指令値であるq軸電流指令値Iq_cとを算出する。すなわち、電流指令算出部108には、統合ECU18から与えられるトルク指令値T_cと、電気角速度算出部104で求められた電気角速度ωとが入力される。そして、電流指令算出部108は、これらの入力値から、予め設定されたマップに基づいて、d軸電流指令値Id_c及びq軸電流指令値Iq_cを算出する。このd軸電流指令値Id_c及びq軸電流指令値Iq_cは、トルク指令値T_cのトルクをモータ12の出力軸に発生させるためのd軸電流及びq軸電流のフィードフォワード指令値としての意味を持つ。
なお、トルク指令値T_cは、例えばモータ12を推進力発生源として搭載した電気自動車10のアクセル操作量(アクセルペダルの踏込み量)や走行速度に応じて決定される。また、トルク指令値T_cには、力行トルクの指令値と回生トルクの指令値とがあり、それらの指令値は、正負の極性が異なるものとされる。
減算器110は、d軸電流指令値Id_cとd軸電流Idとの偏差(=Id_c−Id)(以下「d軸電流偏差ΔId」という。)を演算し、電流FB制御部114に出力する。減算器112は、q軸電流指令値Iq_cとq軸電流Iqとの偏差(=Iq_c−Iq)(以下「q軸電流偏差ΔIq」という。)を演算し、電流FB制御部114に出力する。
電流FB制御部114は、減算器110、112からのd軸電流偏差ΔId及びq軸電流偏差ΔIqに応じて、d軸電機子の電圧指令値(d軸電圧の目標値)であるd軸電圧指令値Vd_cと、q軸電機子の電圧指令値(q軸電圧の目標値)であるq軸電圧指令値Vq_cとを演算し、dq−3相変換部116に出力する。
電流FB制御部114は、d軸電流偏差ΔIdに応じて、d軸電流偏差ΔIdを0に近づけるようにPI制御(比例・積分制御)等のフィードバック制御によりd軸電圧指令値Vd_cを決定する。同様に、電流FB制御部114は、q軸電流偏差ΔIqに応じて、q軸電流偏差ΔIqを0に近づけるようにPI制御などのフィードバック制御によりq軸電圧指令値Vq_cを決定する。
なお、d軸電圧指令値Vd_cとq軸電圧指令値Vq_cとを決定するとき、d軸電流偏差ΔId、q軸電流偏差ΔIqからフィードバック制御によりそれぞれ求められるd軸電圧指令値、q軸電圧指令値に、d軸とq軸との間で干渉し合う速度起電力の影響を打ち消すための非干渉成分を付加することで、d軸電圧指令値Vd_cとq軸電圧指令値Vq_cを求めることが好ましい。
dq−3相変換部116は、電流FB制御部114からのd軸電圧指令値Vd_c及びq軸電圧指令値Vq_cと、レゾルバ48からの電気角θとを用いてdq−3相変換を行い、U相、V相、W相の各相の相電圧指令値Vu_c、Vv_c、Vw_cを算出し、PWM生成部118に出力する。なお、dq−3相変換は、d軸電圧指令値Vd_cおよびq軸電圧指令値Vq_cの組を、電気角θ(より詳しくは電気角での出力軸の回転角度)に応じた変換行列により相電圧指令値Vu_c、Vv_c、Vw_cの組に変換する処理である。
PWM生成部118は、これらの相電圧指令値Vu_c、Vv_c、Vw_cに応じて、モータ12の各相の巻線98にパルス幅変調(PWM)制御によりインバータ26を介して通電する。PWM生成部118は、インバータ26の各SW素子86、92のオンオフを制御することで、各相の巻線98に通電する。
図9には、PWM生成部118の機能的なブロック図が示されている。図9に示すように、PWM生成部118は、デューティ値演算部132(以下「DUT演算部132」という。)と、キャリア信号生成部134と、コンパレータ136u、136v、136wと、3相論理強制変換部138と、3相論理判定部140と、NOT回路142u、142v、142wと、デッドタイム生成部144とを有する。
DUT演算部132は、インバータ26の入力電圧Vinvと、相電圧指令値Vu_c、Vv_c、Vw_cとに応じて各上アームSW素子86のディーティ値DUT1[%]を規定する3相の電圧指令値THu、THv、THwを演算し、コンパレータ136u、136v、136wに出力する。すなわち、U相の電圧指令値THuはコンパレータ136uに、V相の電圧指令値THvはコンパレータ136vに、W相の電圧指令値THwはコンパレータ136wに出力される。
キャリア信号生成部134は、キャリア信号Scaを生成し、各コンパレータ136u、136v、136wに出力する。
コンパレータ136uは、電圧指令値THuとキャリア信号Scaとを比較し、キャリア信号Scaが電圧指令値THu未満であるとき、論理0を出力し、キャリア信号Scaが電圧指令値THu以上であるとき、論理1を出力する。コンパレータ136v、136wも同様である。
3相論理強制変換部138は、統合ECU18からの強制短絡要求Rsを受信しないとき(強制短絡要求Rsの信号線が論理0のとき)、コンパレータ136u、136v、136wからの出力をそのまま3相論理判定部140に出力する。一方、統合ECU18からの強制短絡要求Rsを受信したとき(強制短絡要求Rsの信号線が論理1のとき)は、コンパレータ136u、136v、136wからの出力にかかわらず、3相全てについて強制的に論理0を3相論理判定部140に出力する。或いは、論理0にする代わりに3相全てについて論理1を出力してもよい。
3相論理判定部140は、3相全てについて論理0又は論理1であるかどうかを判定し、3相全てについて論理0又は論理1である場合、切替許可信号Salを論理生成部102に出力する。また、3相論理判定部140は、3相論理強制変換部138からの論理をそのままNOT回路142u、142v、142w及びデッドタイム生成部144に出力する。
NOT回路142u、142v、142wは、各下アームSW素子92のデューティ値DUT2[%]を演算するものであり、3相論理判定部140から通知された論理を反転させてデッドタイム生成部144に出力する。なお、上アームSW素子86のデューティ値DUT1と下アームSW素子92のデューティ値DUT2の和は、100%となる。
デッドタイム生成部144は、3相論理判定部140から通知された3相の論理信号にデッドタイムdtを挿入して各上アームSW素子86に駆動信号UH、VH、WHを出力する。また、デッドタイム生成部144は、NOT回路142u、142v、142wから通知された3相の論理信号にデッドタイムdtを挿入して各下アームSW素子92に駆動信号UL、VL、WLを出力する。
以上説明したインバータ26の制御系によって、d軸電圧とq軸電圧との合成電圧が、電源電圧に応じた目標値(電圧円の半径)を超えないようにしつつ、モータ12の出力軸に発生するトルク(モータ12の出力トルク)をトルク指令値T_cに従わせるように(d軸電流偏差ΔId及びq軸電流偏差ΔIqが0に収束するように)、d軸電圧指令値Vd_c及びq軸電圧指令値Vq_cの組が決定される。そして、このd軸電圧指令値Vd_c及びq軸電圧指令値Vq_cに応じて、モータ12の各相の巻線98の通電電流が制御される。
B.各種制御
1.インバータ26の短絡制御
上記のように、各双方向SW24のオンオフの際は、PWM生成部118によりインバータ26が3相短絡状態にされる。
具体的には、PWM生成部118は、3相の下アームSW素子92を全てオンにする(図10参照)、又は3相の上アームSW素子86を全てオンにする(図11参照)。これにより、インバータ26は3相短絡状態となり、インバータ26には、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bのいずれからも電力が供給されなくなる。
PWM生成部118は、dq−3相変換部116からの相電圧指令値Vu_c、Vv_c、Vw_cに基づいて上記3相短絡状態を発生させる。或いは、PWM生成部118は、統合ECU18からの強制短絡要求Rsに基づいて上記3相短絡状態を強制的に発生させる。
dq−3相変換部116からの相電圧指令値Vu_c、Vv_c、Vw_cに基づいて上記短絡状態を発生させる場合、次のような処理がなされる。
まず前提として、第1実施形態において、PWM生成部118は、スイッチング周期毎に各相アーム82への駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLを生成する。ここで、上記のように、1スイッチング周期全体におけるデューティ値DUTを100%とすると、下アームSW素子92のデューティ値DUT2は、100%から上アームSW素子86へのデューティ値DUT1を引いたものとして演算され、さらに、上アームSW素子86及び下アームSW素子92それぞれのデューティ値DUT1、DUT2にデッドタイムdtを反映させたものが、実際に出力される駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLとなる。
また、各相の上アームSW素子86のデューティ値DUT1は、各相で電圧指令値THu、THv、THwを設定しておき、キャリア信号Scaが各電圧指令値THu、THv、THw以上となったときに、駆動信号UH、VH、WHが出力されるように設定される。
このため、図12に示す例の場合、時点t1以前及び時点t1から時点t2の間は、キャリア信号Scaは、各電圧指令値THu、THv、THw未満であるため、いずれの上アームSW素子86にも駆動信号UH、VH、WHは出力されない{駆動信号UH、VH、WHはロー(論理0)である。}。従って、各下アームSW素子92の全てに駆動信号UL、VL、WLが出力される{駆動信号UL、VL、WLがハイ(論理1)になる。}。この場合、全ての下アームSW素子92がオンとなるため、図10に示すような短絡状態が発生する。
また、時点t2から時点t3まではキャリア信号Scaは、電圧指令値THu以上となるため、U相の上アームSW素子86uはオンとなるが、V相及びW相の上アームSW素子86はオフであり、3相短絡状態は発生しない。同様に、時点t3から時点t4まではキャリア信号Scaは、電圧指令値THu、THv以上となるため、U相及びV相の上アームSW素子86u、86vはオンとなるが、W相の上アームSW素子86wはオフであり、3相短絡状態は発生しない。
時点t4から時点t5まではキャリア信号Scaは、全ての電圧指令値THu、THv、THw以上となり、全ての相の上アームSW素子86がオンとなるため、図11に示すような3相短絡状態が発生する。
統合ECU18からの強制短絡要求Rsに基づいて3相短絡状態を強制的に発生させる場合、PWM生成部118は、例えば、図13に示すように、駆動信号UH、VH、WHの全てをオンとする(具体的な処理については後述する。)。
2.双方向SW24のオンオフ制御
次に、各双方向SW24のオンオフ制御について説明する。
第1実施形態では、統合ECU18は、第1バッテリ22aの第1バッテリ電圧Vbat1と第2バッテリ22bの第2バッテリ電圧Vbat2を比較することなしに、いずれのバッテリ22を用いるかを設定する。
統合ECU18は、例えば、図14に示すモードを適宜切り替えて用いる。すなわち、第1実施形態では、統合ECU18は、「停止時」、「1電源発電」、「1電源充電」、「1電源利用」、「高電圧バッテリ発電」及び「低電圧バッテリ充電」の各モードを選択して用いる。
これらのモードの切替えは、インバータ26に対する駆動信号UH、UL、VH、VL、WH、WLの生成のように、1スイッチング周期においてオンオフ(ハイ/ロー)を切り替えるものではなく、切替えの必要が生じたときに適宜行うものである。換言すると、1スイッチング周期では、各SW素子60、62のオンオフを固定する制御(固定制御)を用いる(第2〜第5実施形態においても同様である。)。
「停止時」モードは、電気自動車10の停止時に用いるモードであり、各双方向SW24のいずれのスイッチング素子60、62もオフにする。
「1電源発電」モードは、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの一方を発電用として用いるモードである。「1電源発電」モードは、例えば、一方のバッテリ22が直ぐ後に交換されることがわかっている場合でモータ12が力行状態であるとき、一方のバッテリ22に不具合が生じたとき、ユーザの意志により使用したいバッテリ22があるときに用いられる。
「1電源充電」モードは、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの一方を充電用として用いるモードである。「1電源充電」モードは、例えば、一方のバッテリ22が直ぐ後に交換されることがわかっている場合でモータ12が回生状態であるとき、一方のバッテリ22に不具合が生じたとき、ユーザの意志により使用したいバッテリ22があるときに用いられる。
なお、「1電源発電」モードと「1電源充電」モードを組み合わせることにより、発電に用いるバッテリ22と充電に用いるバッテリ22とを切り替えることができる。
「1電源利用」モードは、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの一方を発電用及び充電用に用い、他方を発電用及び充電用のいずれにも用いないモードである。「1電源利用」モードは、例えば、一方のバッテリ22が直ぐ後に交換されることがわかっている場合でモータ12が力行状態か回生状態かの区別が難しい状態(すなわち、中間状態)であるとき、一方のバッテリ22に不具合が生じたとき、ユーザの意志により使用したいバッテリ22があるときに用いられる。
「高電圧バッテリ発電」モードは、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの発電SW素子60a、60bのそれぞれをオンとし、相対的に電圧が高いバッテリ22から発電を行うモードである。すなわち、電気自動車10が力行状態にある場合、発電SW素子60a、60bの両方がオンであれば、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの少なくとも一方からモータ12に電力が供給される。ここで、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間に電圧差がある場合、より電圧の高いバッテリ22からモータ12に電力が供給され、より電圧の低いバッテリ22からは電力が供給されない。従って、発電SW素子60a、60bの両方をオンにしているにもかかわらず、実質的に、より電圧の高いバッテリ22のみを選択して電力供給させることとなる。「高電圧バッテリ発電」モードは、例えば、電圧の高いバッテリ22でモータ12を駆動したい場合、電圧の高いバッテリ22は蓄電容量(SOC)が高いバッテリ22であるため、余裕のあるバッテリ22から優先的に出力したいときに用いられる。
「低電圧バッテリ充電」モードは、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの充電SW素子62a、62bのそれぞれをオンとし、相対的に電圧が低いバッテリに充電を行うモードである。すなわち、電気自動車10が回生状態にある場合、充電SW素子62a、62bの両方がオンであれば、モータ12から第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの少なくとも一方に電力が供給される。ここで、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間に電圧差がある場合、モータ12からの回生電力Pregは、より電圧の低いバッテリ22に供給され易くなり、より電圧の高いバッテリ22には供給され難くなる。従って、充電SW素子62a、62bの両方をオンにしているにもかかわらず、実質的に、より電圧の低いバッテリ22を優先的に充電させることとなる。「低電圧バッテリ充電」モードは、例えば、電圧の低いバッテリ22を充電したいとき、電圧の低いバッテリ22はSOCが低いバッテリ22であるため、SOCの低下しているバッテリ22に優先的に充電したいときに用いられる。
図14からもわかるように、第1実施形態では、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの一方が発電しているときは他方は充電できないように各SW素子60、62を制御する。同様に、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの一方が充電しているときは他方は発電できないように各SW素子60、62を制御する。言い換えると、図14では、各モードにおいてオンが斜めに存在すること(発電SW素子60aがオン且つ充電SW素子62bがオンとなること、又は発電SW素子60bがオン且つ充電SW素子62aがオンとなること)がないようにしている。これにより、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの間で短絡が発生することを防止することができる。
さらに換言すると、第1実施形態では、次の第1制御法則と第2制御法則の少なくとも一方が成立するように各SW素子60a、60b、62a、62bのオンオフを選択することで、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bの間における短絡の発生を防止する。
すなわち、第1制御法則とは、双方向SW24がN個(Nは、2以上の整数)ある場合、発電SW素子60と充電SW素子62がいずれもオフとなる双方向SW24がN−1個存在するものである。換言すると、発電経路と充電経路の両方がオフとなる電力系統がN−1個存在する。この場合、残りの1つの電力系統の双方向SW24については、発電SW素子60と充電SW素子62の一方のみがオンであってもよく、また、発電SW素子60と充電SW素子62の両方がオンであってもよい。
第2制御法則とは、全て(N個)の双方向SW24の発電SW素子60又は充電SW素子62全てがオフとなるものである。換言すると、全ての電力系統の発電経路又は充電経路がオフとなる。この場合、全てがオンとなる発電経路又は充電経路とは逆の充電経路又は発電経路は、一部又は全てをオンとすることができる。
上記の第1制御法則及び第2制御法則を用いることにより、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間における短絡を防止することができる。
3.双方向SW24の切替え時の制御
次に、各モードを切り替える際の各SW素子60、62の制御について説明する。上記のように、各モードを切り替える際は、インバータ26では、各下アームSW素子92の3相短絡状態(図10)又は各上アームSW素子86の3相短絡状態(図11)を発生させる。
(1)単純な切替え
「停止時」モードとその他のモードとを切り替える場合(例えば、「停止時」から「1電源発電」への切替え又はその逆)、電力ECU50は、各SW素子60、62のオンオフを図14に示した状態に単純に切り替える。このような切替えによっても、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間で短絡は発生しない。但し、切替え時にはデッドタイム生成部128においてデッドタイムdtを挿入する。
同様に、「1電源発電(第1バッテリ)」から「1電源発電(第2バッテリ)」に切り替える場合、その逆の場合、「1電源充電(第1バッテリ)」から「1電源充電(第2バッテリ)」に切り替える場合、その逆の場合、「1電源発電(第1バッテリ)」若しくは「1電源発電(第2バッテリ)」から「高電圧バッテリ発電」に切り替える場合、その逆の場合、「1電源充電(第1バッテリ)」若しくは「1電源充電(第2バッテリ)」から「低電圧バッテリ充電」に切り替える場合、その逆の場合、電力ECU50は、各SW素子60、62のオンオフを図14に示した状態にそのまま切り替える。このような切替えによっても、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間で短絡は発生しない。但し、切替え時にはデッドタイム生成部128においてデッドタイムdtを挿入する。
(2)段階的な切替え
上記のような単純な切替えでは、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間で短絡が発生する場合、例えば、次のような制御を用いて短絡を防止することができる。
(a)電気自動車10の力行時には一方のバッテリ22について「1電源利用」モードを実行し、回生時には他方のバッテリ22について「1電源利用」モードを実行する場合
例えば、電気自動車10の力行状態では「1電源利用(第1バッテリ)」モードを実行して第1バッテリ22aから発電し、回生状態では「1電源利用(第2バッテリ)」モードを実行して第2バッテリ22bに充電する場合、次のように、各SW素子60、62を切り替える。
図15に示すように、インバータ26の入力電流Iinvが正から負に切り替わる場合、すなわち、電気自動車10が力行状態から回生状態に切り替わる場合について説明する。まず、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi1を超える場合(便宜的に、この状態を「発電状態」という。)、第1双方向SW24aの発電SW素子60a及び充電SW素子62aの両方をオンにする。一方、第2双方向SW24bの発電SW素子60b及び充電SW素子62bの両方をオフにする。
時点t11において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi1以下になった場合、第1双方向SW24aの発電SW素子60a及び充電SW素子62aの両方をオフにする。その後、第2双方向SW24bの発電SW素子60b及び充電SW素子62bの両方をオンにする。インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2以上、電流閾値THi1以下である場合(便宜的に、この状態を「発電/充電切替え状態」という。)、このオンオフ制御を継続する。
時点t12において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2未満になった場合(便宜的に、この状態を「充電状態」という。)、第1双方向SW24aの発電SW素子60a及び充電SW素子62aの両方はオフのまま保持する。一方、第2双方向SW24bでは、発電SW素子60b及び充電SW素子62bの両方をオンのまま維持する。
次に、図16に示すように、インバータ26の入力電流Iinvが負から正に切り替わる場合、すなわち、電気自動車10が回生状態から力行状態に切り替わる場合について説明する。まず、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2未満である場合、第1双方向SW24aの発電SW素子60a及び充電SW素子62aの両方をオフにする。一方、第2双方向SW24bの発電SW素子60b及び充電SW素子62bの両方をオンにする。
時点t21において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2以上になった場合、第2双方向SW24bの発電SW素子60b及び充電SW素子62bの両方をオフにする。その後、第1双方向SW24aの発電SW素子60a及び充電SW素子62bの両方をオンにする。インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2以上、電流閾値THi1以下である場合、このオンオフ制御を継続する。
時点t22において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi1以上になった場合、第1双方向SW24aの発電SW素子60a及び充電SW素子62aの両方はオンのまま保持する。一方、第2双方向SW24bでは、発電SW素子60b及び充電SW素子62bの両方をオフのまま維持する。
なお、上記では、インバータ26の入力電流Iinvに基づいて第1双方向SW24aと第2双方向SW24bのオンオフを制御したが、インバータ26の入力電圧Vinv又はモータ12の消費電力(回生電力)によって制御することも可能である。或いは、発電と充電との切り替わり時点が判別可能である場合、当該切り替わり時点の前後の所定時点によってSW素子60、62のオンオフ切替えをすることも可能である。発電と充電との切り替わり時点が判別可能である場合としては、例えば、実電力がゼロを跨ぐまでの予測時間を用いる場合がある。
(b)「高電圧バッテリ発電」モードと「低電圧バッテリ充電」モードを組み合わせて用いる場合
「高電圧バッテリ発電」モードと「低電圧バッテリ充電」モードを組み合わせて用いる場合、次のように、各SW素子60、62を切り替える。なお、以下では、第1バッテリ電圧Vbat1よりも第2バッテリ電圧Vbat2の方が高いものとする。
図15に示すように、インバータ26の入力電流Iinvが正から負に切り替わる場合、すなわち、電気自動車10が力行状態から回生状態に切り替わる場合について説明する。まず、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi1を超える場合、各発電SW素子60a、60bをオンにし、各充電SW素子62a、62bをオフにする。この場合、より電圧が高い第2バッテリ22bからの電力がインバータ26に供給され、より電圧が低い第1バッテリ22aからは電力が供給されない。また、各充電SW素子62a、62bはオフであるため、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間で短絡は発生せず、第2バッテリ22bからの電力が第1バッテリ22aに供給されることはない。
時点t11において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi1以下になった場合、第1双方向SW24aの発電SW素子60aをオフにする。その後、第2双方向SW24bの充電SW素子62bをオンにする。その結果、第1双方向SW24aの発電SW素子60a及び充電SW素子62aはオフとなり、第2双方向SW24bの発電SW素子60b及び充電SW素子62bはオンになる。インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2以上、電流閾値THi1以下である場合、このオンオフ状態を継続する。
時点t12において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2未満になった場合、第2双方向SW24bの発電SW素子60bをオフにする。その後、第1双方向SW24aの充電SW素子62aをオンにする。その結果、各発電SW素子60a、60bはオフとなり、各充電SW素子62a、62bはオンになる。この場合、モータ12からの回生電力Pregは、より電圧が低い第1バッテリ22aに優先的に充電される。また、各発電SW素子60a、60bはオフであるため、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間で短絡は発生せず、第2バッテリ22bからの電力が第1バッテリ22aに供給されることはない。
次に、図16に示すように、インバータ26の入力電流Iinvが負から正に切り替わる場合、すなわち、電気自動車10が回生状態から力行状態に切り替わる場合について説明する。まず、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2未満である場合、各発電SW素子60a、60bをオフにし、各充電SW素子62a、62bをオンにする。この場合、モータ12からの回生電力Pregは、より電圧が低い第1バッテリ22aに優先的に充電される。また、各発電SW素子60a、60bはオフであるため、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間で短絡は発生せず、第2バッテリ22bからの電力が第1バッテリ22aに供給されることはない。
時点t21において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2以上になった場合、第1双方向SW24aの充電SW素子62aをオフにする。その後、第2双方向SW24bの発電SW素子60bをオンにする。その結果、第1双方向SW24aの発電SW素子60a及び充電SW素子62aはオフとなり、第2双方向SW24bの発電SW素子60b及び充電SW素子62bはオンになる。インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2以上、電流閾値THi1以下である場合、このオンオフ制御を継続する。
時点t22において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi1以上になった場合、第2双方向SW24bの充電SW素子62bをオフにする。その後、第1双方向SW24aの発電SW素子60aをオンにする。その結果、各発電SW素子60a、60bはオンとなり、各充電SW素子62a、62bはオフになる。この場合、より電圧が高い第2バッテリ22bからの電力がインバータ26に供給され、より電圧が低い第1バッテリ22aからは電力が供給されない。また、各充電SW素子62a、62bはオフであるため、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間で短絡は発生せず、第2バッテリ22bからの電力が第1バッテリ22aに供給されることはない。
なお、上記では、インバータ26の入力電流Iinvに基づいて第1双方向SW24aと第2双方向SW24bのオンオフを制御したが、インバータ26の入力電圧Vinv又はモータ12の消費電力(回生電力)によって制御することも可能である。或いは、発電と充電との切り替わり時点が判別可能である場合、当該切り替わり時点の前後の所定時点によってSW素子60、62のオンオフ切替えをすることも可能である。発電と充電との切り替わり時点が判別可能である場合としては、例えば、実電力がゼロを跨ぐまでの予測時間を用いる場合がある。
C.出力波形の例
図17には、第1実施形態の電気自動車10における強制短絡要求Rs、各SW素子60a、60b、62a、62bへの駆動信号Sh1、Sh2、Sl1、Sl2、第1バッテリ電圧Vbat1、第2バッテリ電圧Vbat2、インバータ26の出力電圧Vinv、第1バッテリ電流Ibat1、第2バッテリ電流Ibat2、インバータ26の出力電流Iinv、U相電流Iu、V相電流Iv、W相電流Iwの出力波形の一例が示されている。図18には、図17の時点t31周辺を拡大した出力波形が示されている。
図17及び図18に示されるように、時点t31より前は、駆動信号Sh1、Sl1がハイ(論理1)、駆動信号Sh2、Sl2がロー(論理0)であるため、SW素子60a、62aがオン、SW素子60b、62bがオフである。このため、インバータ26の入力電圧Vinvは、第1バッテリ22aの第1バッテリ電圧Vbat1と等しく、インバータ26の入力電流Iinvは、第1バッテリ22aの第1バッテリ電流Ibat1と略等しい。
時点t31において強制短絡要求Rsがなされると(論理が1になると)、例えば、駆動信号UH、VH、WHを全てハイ(論理1)とし、インバータ26で3相短絡状態を強制的に発生させ、インバータ26の入力電圧Vinvを一旦ゼロにさせる。ここで、駆動信号Sh1、Sl1をロー(論理0)に、駆動信号Sh2、Sl2をハイ(論理1)に切り替え、SW素子60a、62aをオフに、SW素子60b、62bをオンにする。そして、3相短絡が終了すると、インバータ26の入力電圧Vinvは、第2バッテリ22bの第2バッテリ電圧Vbat2と等しく、インバータ26の入力電流Iinvは、第2バッテリ22bの第2バッテリ電流Ibat2と等しくなる。
D.第1実施形態の効果
以上のように、第1実施形態によれば、第1バッテリ電圧Vbat1及び第2バッテリ電圧Vbat2を用いない場合の第2制御法則(第2遮断制御)を用いず、第1制御法則のみを用いる場合、すなわち、1電力系統の発電経路と充電経路が遮断する第1遮断制御のみを行う場合、第1遮断制御を行う電力系統がN−1個となるように双方向SW24の通電又は遮断を制御する(図14参照)。このため、第1遮断制御のみを行う場合、双方向SW24を通電させるのは、1電力系統のみである。従って、並列回路を通じて一方のバッテリ22から他方のバッテリ22に電流が流れ込む短絡状態の発生を防止することが可能となる。
また、第2制御法則のみを用いる場合、発電時には全ての充電SW素子62がオフとされ(充電経路が遮断され)、充電時には全ての発電SW素子60がオフとされる(発電経路が遮断される)こととなる。このため、第2制御法則のみを用いる場合も、バッテリ22間の短絡状態の発生を防止することが可能となる。
よって、第1制御法則及び第2制御法則のいずれを用いる場合も、バッテリ22間の短絡状態の発生を防止することが可能となる。このため、バッテリ22間の電圧差に起因する過大な電流(特に、バッテリ22の切替え時におけるもの)の発生を防止することが可能となると共に、バッテリ22同士の均等化に伴う電力損失を防ぐことができる。また、第1制御法則及び第2制御法則の少なくとも一方を用いる場合、バッテリ22間の電圧の高低を用いた処理を伴わなくても確実に短絡状態の発生を回避することができる。
以上より、上記のような効果を伴って、バッテリ22の使用方法の選択枝を拡げることが可能となる。
第1実施形態では、双方向の通電を別々に遮断可能な半導体スイッチとして、双方向SW24を用いる。これにより、双方向の通電及び遮断を別々に制御することが可能となる。
第1実施形態では、各SW素子60、62のオンオフを切り替える際、例えば、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの一方の発電経路と他方の充電経路とを切り替える際、各SW素子60、62の駆動信号Sh1、Sl1、Sh2、Sl2にデッドタイムdtを挟む。これにより、より確実に第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間の短絡を防止することができる。
第1実施形態では、「1電源利用(第1バッテリ)」モードから「1電源利用(第2バッテリ)」モードに切り替わる場合、又はその逆の場合、電力ECU50は、一方のバッテリ22の双方向通電状態から他方のバッテリ22の双方向通電状態に移行するように各SW素子60、62を制御する。これにより、バッテリ22を切り替えながら発電及び充電を行うことが可能となる。
第1実施形態では、「1電源利用(第1バッテリ)」モードから「1電源利用(第2バッテリ)」モードへの切替え又はその逆の切替えは、電気自動車10の力行状態及び回生状態の中間状態としての「発電/充電切替え状態」(図15及び図16参照)において行う。これにより、発電用のバッテリ22と充電用のバッテリ22を区別して利用することが可能となる。
第1実施形態では、「高電圧バッテリ発電」モードの際、電気自動車10が力行状態であるとき、電力ECU50は、発電SW素子60a、60bを同時にオンさせる(図14参照)。これにより、第1バッテリ電圧Vbat1及び第2バッテリ電圧Vbat2を比較しなくても電圧の高い方のバッテリ22から電力供給がなされるため、高負荷で効率よく電力供給することが可能となる。また、電圧が低い、すなわち、SOCが低いバッテリ22からの発電を防止することができる。
第1実施形態では、「低電圧バッテリ充電」モードの際、電気自動車10が回生状態であるとき、電力ECU50は、充電SW素子62a、62bを同時にオンさせる(図14参照)。これにより、第1バッテリ電圧Vbat1及び第2バッテリ電圧Vbat2を比較しなくても自動的に電圧の低いバッテリ22に積極的に充電することが可能となる。すなわち、SOCの少ないバッテリ22に積極的に充電することとなるため、バッテリ22の過放電防止が可能となる。
第1実施形態では、電気自動車10の力行状態において「高電圧バッテリ発電」モードを用い、回生状態において「低電圧バッテリ充電」モードを用いることができる。これにより、状態に合わせた適切な制御が可能となる。
第1実施形態では、「高電圧バッテリ発電」モードと「低電圧バッテリ充電」モードを組み合わせて用いる際、電気自動車10の力行状態(発電状態)と回生状態(充電状態)の中間状態としての「発電/充電切替え状態」を判断し、発電/充電切替え状態にあるとき、SW素子60b、62bをオンとすることで第2バッテリ22bの双方向の通電を可能とし、SW素子60a、62aをオフとすることで第1バッテリ22aを双方向に遮断することができる。これにより、発電/充電切替え状態にあるとき、単一のバッテリ22による充放電を行うこととなる。このため、発電/充電切替え状態においても、電力ECU50及びバッテリ22は安定して動作することが可能となると共に、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間の短絡を確実に防止できる。
第1実施形態では、電力ECU50は、インバータ26において3相短絡状態が発生している間に各SW素子60、62のオンオフの切替えを行う。これにより、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間の短絡をより確実に防止することができる。
第1実施形態によれば、インバータ26に3相短絡状態が発生した状態で、各スイッチング素子60、62のオンオフの切替え、すなわち、バッテリ22の切替えを行う。このため、バッテリ22の切替えに伴う電圧変動がモータ12に伝達しない。従って、モータ12の意図しないトルク変動を防止することができる。
第1実施形態では、電力ECU50は、3相それぞれの電圧指令値THu、THv、THwとキャリア信号Scaの比較結果に基づき各相の上アームSW素子86及び下アームSW素子92のオンオフを制御し、3相全ての電圧指令値電圧指令値THu、THv、THwよりキャリア信号Scaが高くなった場合、又は3相全ての電圧指令値THu、THv、THwよりキャリア信号Scaが低くなった場合を検知して3相短絡状態であると検知する(図12参照)。
これにより、インバータ26の通常制御中、3相全ての上アームSW素子86又は下アームSW素子92がオンになったときを3相短絡状態であると判定し、当該3相短絡状態において各SW素子60、62を切り替えることが可能となる。従って、インバータ26の通常制御中、モータ12の意図しないトルク変動を防止しつつ、各SW素子60、62を切り替えることができる。
第1実施形態では、電力ECU50は、バッテリ22を切り替えるための強制短絡要求Rsを受けると、3相全ての上アームSW素子86に駆動信号UH、VH、WHを出力し又は下アームSW素子92に駆動信号UL、VL、WLを出力し、強制的に3相短絡状態を発生させる。これにより、バッテリ22の切替えが必要なとき、適切なタイミングで当該切替えを行うことが可能となる。
II.第2実施形態
A.構成の説明(第1実施形態との相違)
図19は、この発明の第2実施形態に係る電気自動車10Aの概略構成図である。電気自動車10Aは、第1実施形態の電気自動車10と同様の構成を有するが、電圧センサ28、30の検出値(第1バッテリ電圧Vbat1及び第2バッテリ電圧Vbat2)を統合ECU18に入力することが必須である点や統合ECU18によるバッテリ22の選択等で、第1実施形態と異なる。
以下では、第1実施形態と同じ構成要素については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
B.双方向SW24のオンオフ制御
次に、各双方向SW24のオンオフ制御について説明する。
第2実施形態では、統合ECU18は、第1バッテリ22aの第1バッテリ電圧Vbat1と第2バッテリ22bの第2バッテリ電圧Vbat2を比較して、いずれのバッテリ22を用いるかを設定する。
統合ECU18は、例えば、図20に示すモードを適宜切り替えて用いる。すなわち、第2実施形態では、統合ECU18は、第1実施形態と同様、「停止時」、「1電源発電」、「1電源充電」、「1電源利用」、「高電圧バッテリ発電」及び「低電圧バッテリ充電」の各モードを選択可能である。これに加え、統合ECU18は、「1電源発電及び1電源充電」、「高電圧バッテリ発電及び1電源充電」及び「1電源発電及び低電圧バッテリ充電」の各モードを選択して用いる。
但し、第1実施形態と異なり、第2実施形態で用いる「1電源発電」、「1電源充電」及び「1電源利用」の各モードは、電圧の高低に応じて設定可能である。
具体的には、「1電源発電」モードは、第1実施形態と同様、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの一方を発電用として用いるモードであるが、第2実施形態では、相対的に電圧が高いバッテリ(図20では第1バッテリ22a)を用いるモードと、相対的に電圧が低いバッテリ(図20では第2バッテリ22b)を用いるモードとを選択できる。
「1電源充電」モードは、第1実施形態と同様、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの一方を充電用として用いるモードであるが、第2実施形態では、相対的に電圧が高いバッテリ(図20では第1バッテリ22a)を用いるモードと、相対的に電圧が低いバッテリ(図20では第2バッテリ22b)を用いるモードとを選択できる。
「1電源利用」モードは、第1実施形態と同様、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの一方を発電用及び充電用に用い、他方を発電用及び充電用のいずれにも用いないモードであるが、第2実施形態では、相対的に電圧が高いバッテリ(図20では第1バッテリ22a)を用いるモードと、相対的に電圧が低いバッテリ(図20では第2バッテリ22b)を用いるモードとを選択できる。
なお、「1電源発電」、「1電源充電」及び「1電源停止」のいずれのモードにおいても、電圧の高低は、電圧センサ28からの第1バッテリ電圧Vbat1と、電圧センサ30からの第2バッテリ電圧Vbat2とを用いて統合ECU18が判定する。電圧判定を要するその他のモードについても同様である。
また、第1実施形態で用いた「1電源発電」、「1電源充電」及び「1電源停止」モード(バッテリ電圧の判定なしに選択可能なもの)を併せて用いることもできる。
次に、第2実施形態で加わった「1電源発電及び1電源充電」、「高電圧バッテリ発電及び1電源充電」及び「1電源発電及び低電圧バッテリ充電」モードについて説明する。
「1電源発電及び1電源充電」モードは、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bのうち電圧の低い方について「1電源発電」モードを、電圧の高い方について「1電源充電」モードを行うモードである。「1電源発電及び1電源充電」モードは、例えば、一方のバッテリ22が直ぐ後に交換されることがわかっている場合でモータ12が力行か回生かの判断がつかない状態であり、交換予定のバッテリ22から出力したい場合に用いることができる。「1電源発電」モードと「1電源充電」モードとの切替えは、第1実施形態で説明した方法を用いることができる。
「高電圧バッテリ発電及び1電源充電」モードは、電気自動車10が力行状態のとき、「高電圧バッテリ発電」モードを行い、電気自動車10が回生状態のとき、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bのうち電圧の高い方について「1電源充電」モードを行うモードである。「高電圧バッテリ発電及び1電源充電」モードは、例えば、一方のバッテリ22が直ぐ後に交換されることがわかっている場合でモータ12が力行か回生かの判断がつかない状態であり、できるだけ交換予定のバッテリ22から出力したい場合に用いることができる。「高電圧バッテリ発電」モードと「1電源充電」モードとの切替えは、第1実施形態で説明した方法を用いることができる。
「1電源発電及び低電圧バッテリ充電」モードは、電気自動車10が力行状態のとき、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bのうち電圧の低い方について「1電源発電」モードを行い、電気自動車10が回生状態のとき、「低電圧バッテリ充電」モードを行うモードである。「1電源発電及び低電圧バッテリ充電」モードは、例えば、一方のバッテリ22が直ぐ後に交換されることがわかっている場合でモータ12が力行か回生かの判断がつかない状態であり、できるだけ交換しないバッテリ22に充電したい場合に用いることができる。「1電源発電」モードと「低電圧バッテリ充電」モードとの切替えは、第1実施形態で説明した方法を用いることができる。
上述の通り、第1実施形態では、バッテリ22の一方が発電しているときは他方は充電できないようにSW素子60、62を制御し、バッテリ22の一方が充電しているときは他方は発電できないようにSW素子60、62を制御する。言い換えると、図14では、各モードにおいてオンが斜めに存在すること(発電SW素子60aがオン且つ充電SW素子62bがオンとなること、又は発電SW素子60bがオン且つ充電SW素子62aがオンとなること)がないようにしている。これにより、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの間で短絡が発生することを防止することができる。
これに対し、第2実施形態で加わった「1電源発電及び1電源充電」、「高電圧バッテリ発電及び1電源充電」及び「1電源発電及び低電圧バッテリ充電」モードは、上記の規則(すなわち、第1実施形態における第1制御法則及び第2制御法則)に反するものである。
しかし、第2実施形態では、第1バッテリ電圧Vbat1及び第2バッテリ電圧Vbat2を用いた次の第1制御法則及び第2制御法則を用いて、短絡の発生を防止している。
すなわち、第2実施形態の第1制御法則とは、対応する発電SW素子60がオンとされるバッテリ22のうち最もバッテリ電圧Vbatが高いもの(以下「最高電圧バッテリ」という。)よりも低いバッテリ電圧のバッテリ22に対応する充電SW素子62をオフにする。換言すると、通電する発電経路の中で最も電圧の高い発電経路(以下「最高電圧発電経路」という。)より低い電圧の充電経路を遮断する。この場合、最高電圧バッテリ以上の電圧のバッテリ22については、対応する充電SW素子62をオンオフいずれにしてもよい。換言すると、最高電圧発電経路以上の電圧の充電経路についてはオンオフいずれにしてもよい。
例えば、図20の「1電源発電及び1電源充電」モードでは、第1バッテリ電圧Vbat1の方が第2バッテリ電圧Vbat2よりも高いため、第2バッテリ22bに対応する充電SW素子62bがオフにされる。これにより、第1バッテリ22aからの電力が第2バッテリ22bに供給されることがなくなり、両バッテリ22間の短絡を防止することができる。
第2実施形態の第2制御法則とは、対応する充電SW素子62がオンとされるバッテリ22のうち最も電圧が低いもの(以下「最低電圧バッテリ」という。)よりも高い電圧のバッテリ22に対応する発電SW素子60をオフにする。換言すると、通電する充電経路の中で最も電圧の低い充電経路(以下「最低電圧充電経路」という。)よりも高い電圧の発電経路を遮断する。この場合、最低電圧バッテリ以下の電圧のバッテリ22については、対応する発電SW素子60をオンオフいずれにしてもよい。換言すると、最低電圧充電経路以下の電圧の発電経路についてはオンオフいずれにしてもよい。
例えば、図20の「1電源発電及び1電源充電」モードでは、第1バッテリ電圧Vbat1の方が第2バッテリ電圧Vbat2よりも高いため、第1バッテリ22aに対応する発電SW素子60aがオフにされる。これにより、第1バッテリ22aからの電力が第2バッテリ22bに供給されることがなくなり、両バッテリ22間の短絡を防止することができる。
上記のような第2実施形態の第1制御法則及び第2制御法則を用いることにより、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間における短絡を防止することができる。
C.第2実施形態の効果
以上のように、第2実施形態によれば、第1実施形態の効果に加え、下記の効果を奏することができる。
すなわち、第2実施形態によれば、第1バッテリ電圧Vbat1及び第2バッテリ電圧Vbat2を用いる場合の第1制御法則及び第2制御法則に基づいて各SW素子60、62を制御する。第1制御法則(第1遮断状態)では、対応する発電SW素子60がオンになるバッテリ22の中でも最も電圧の高い最高電圧バッテリより低い電圧であるバッテリ22に対応する充電SW素子62がオフとなる。換言すると、通電する発電経路の中で最も電圧の高い最高電圧発電経路より低い電圧である充電経路が遮断となる。このため、並列回路を通じて最高電圧バッテリ(最高電圧発電経路)からいずれかのバッテリ22(充電経路)に電流が流れ込む短絡状態が発生しない。
また、第2制御法則(第2遮断状態)では、対応する充電SW素子62がオンになるバッテリ22の中でも最も電圧の低い最低電圧バッテリより高い電圧であるバッテリ22に対応する発電SW素子60がオフとなる。換言すると、通電する充電経路の中で最も電圧の低い最低電圧充電経路より高い電圧である発電経路が遮断となる。このため、並列回路を通じて最低電圧バッテリ(最低電圧充電経路)からいずれかのバッテリ22(発電経路)に電流が流れ込む短絡状態が発生しない。
従って、第1制御法則又は第2制御法則のいずれを用いる場合であっても、バッテリ22間での短絡状態の発生を防止することが可能となる。このため、バッテリ22間の電圧差に起因する過大な電流(特に、バッテリ22の切替え時におけるもの)の発生を防止することが可能になると共に、バッテリ22同士の均等化に伴う電力損失を防ぐことができる。
以上より、上記のような効果を伴って、バッテリ22の使用方法の選択枝を拡げることが可能となる。
第2実施形態では、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bそれぞれの電圧センサ28、30を備え、電圧センサ28、30に基づきバッテリ22間の電圧の大小を把握し、把握した電圧に基づき制御を行う。これにより、把握した電圧に基づく制御を行うことで、確実にバッテリ22間の短絡を防止できる。
III.第3実施形態
A.構成の説明(上記各実施形態との相違)
図21は、この発明の第3実施形態に係る電気自動車10Bの概略構成図である。図22は、電気自動車10Bの回路構成の一部を示す図である。電気自動車10Bは、上記各実施形態と同様、走行用のモータ12と、トランスミッション14と、車輪16と、統合ECU18と、電力系20bとを有する。
以下では、上記各実施形態と同じ構成要素については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
電力系20bは、モータ12に電力を供給すると共に、モータ12からの回生電力Pregが供給されるものである。電力系20bは、燃料電池152(以下「FC152」という。)と、バッテリ154と、DC/DCコンバータ156と、第1双方向SW24aと、第2双方向SW24bと、インバータ26と、電圧センサ32、158、160と、電流センサ42、44、46、162、164と、レゾルバ48と、電力電子制御装置50b(以下「電力ECU50b」と称する。)とを有する。電力系20bはFC152を有するため、電気自動車10Bは燃料電池車両である。
FC152は、例えば、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで両側から挟み込んで形成されたセルを積層したスタック構造にされている。FC152には、図示しない反応ガス供給部が配管を通じて接続されている。反応ガス供給部は、一方の反応ガスである水素(燃料ガス)を貯留する水素タンクと、他方の反応ガスである空気(酸化剤ガス)を圧縮するコンプレッサを備えている。反応ガス供給部からFC152に供給された水素と空気のFC152内での電気化学反応により生成された発電電流がモータ12とバッテリ154に供給される。
バッテリ154は、第1実施形態の第1バッテリ22a又は第2バッテリ22bと同様のものである。
DC/DCコンバータ156は、一方側(1次側)がバッテリ154に接続され、他方側(1次側)がFC152とインバータ26との接続点52に接続されたチョッパ型の電圧変換装置である。DC/DCコンバータ156は、1次側の電圧(以下「1次電圧V1」という。)を2次側の電圧(以下「2次電圧V2」という。)に電圧変換(昇圧変換)するとともに、2次電圧V2を1次電圧V1に電圧変換(降圧変換)する昇降圧型の電圧変換装置である(V1≦V2)。
DC/DCコンバータ156により2次電圧V2を制御することにより、FC152の出力を制御することが可能である。当該制御としては、例えば、特開2009−232631号公報に記載のものを用いることができる。
電圧センサ158は、FC152の出力電圧(以下「FC電圧Vfc」という。)[V]を検出する。電圧センサ160は、バッテリ154の出力電圧(以下「バッテリ電圧Vbat」という。)[V]を検出する。
電流センサ162は、FC152の出力電流(以下「FC電流Ifc」という。)[A]を検出する。電流センサ164は、DC/DCコンバータ156の2次側の出力電流(以下「コンバータ出力電流Icon」という。)[A]を検出する。
B.各種制御
1.双方向SW24のオンオフ制御
次に、各双方向SW24のオンオフ制御について説明する。
第3実施形態では、FC152は発電を行うのみで充電することができない。この点を踏まえ、統合ECU18は、以下のように各双方向SW24を制御する。
統合ECU18は、例えば、図23に示すモードを適宜切り替えて用いる。すなわち、第3実施形態では、統合ECU18は、第1実施形態と同様、「停止時」、「1電源発電」、「1電源充電」及び「1電源利用」の各モードを選択して用いる。このうち、「1電源発電(FC)」モードでは、バッテリ154に対応する発電スイッチング素子60bもオンとなっているが、これは、バッテリ電圧VbatをDC/DCコンバータ156により昇圧してFC152の出力を調整するためである。また、「1電源充電」モードは、バッテリ154のみを対象とする。さらに、FC152については、「1電源発電」と「1電源利用」が実質的に同じであるため、図23では「1電源利用(FC)」は表示していない。さらにまた、「1電源発電及び1電源充電」モードでは、FC152で発電し、バッテリ154に充電する。
第3実施形態では、第1実施形態と同様、FC電圧Vfcとバッテリ電圧Vbatとを比較していない。
2.双方向SW24の切替え時の制御
次に、各モードを切り替える際の各SW素子60、62の制御について説明する。上記のように、各モードを切り替える際は、インバータ26では、各上アームSW素子86の3相短絡状態又は各下アームSW素子92の3相短絡状態を発生させる。また、第1双方向SW24aの充電SW素子62aは常にオフのままである。このため、第1双方向SW24aの代わりに、発電SW素子60aのみを設けてもよい。
(1)単純な切替え
「停止時」モードとその他のモードとを切り替える場合(例えば、「停止時」から「1電源発電」への切替え又はその逆)、電力ECU50は、各SW素子60、62のオンオフを図23に示した状態に単純に切り替える。このような切替えによっても、FC152とバッテリ154との間で短絡は発生しない。但し、切替え時にはデッドタイム生成部128(図8)によりデッドタイムdtを挿入する。
同様に、「1電源発電(FC)」から「1電源発電(バッテリ)」に切り替える場合、その逆の場合、電力ECU50は、各SW素子60、62のオンオフを図23に示した状態にそのまま切り替える。このような切替えによっても、FC152とバッテリ154との間で短絡は発生しない。但し、切替え時にはデッドタイム生成部128によりデッドタイムdtを挿入する。
(2)段階的な切替え
上記のような単純切替えでは、FC152とバッテリ154との間で短絡が発生する場合、例えば、電気自動車10の力行状態では「1電源発電(FC)」モードを実行してFC152から発電し、回生状態では「1電源利用(バッテリ)」モードを実行してバッテリ154を充電する場合、次のような制御を用いて短絡を防止することができる。
図15に示すように、インバータ26の入力電流Iinvが正から負に切り替わる場合、すなわち、電気自動車10が力行状態から回生状態に切り替わる場合について説明する。まず、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi1を超える場合、第1双方向SW24aにおいて、発電SW素子60aをオンにし、充電SW素子62aをオフにする。また、第2双方向SW24bの発電SW素子60bをオンにし、充電SW素子62bをオフにする。
時点t11において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi1以下になった場合、第1双方向SW24aの発電SW素子60aをオフにする。その後、第2双方向SW24bの発電SW素子60b及び充電SW素子62bの両方をオンにする。これにより、FC152からの電力が充電SW素子62bを介してバッテリ154に供給される短絡状態を防ぐことができる(但し、意図的にこのような短絡状態を発生させ、バッテリ154を充電することも可能である。)。インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2以上、電流閾値THi1以下である場合、このオンオフ制御を継続する。
時点t12において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2未満になった場合、第1双方向SW24aの発電SW素子60a及び充電SW素子62aの両方はオフのまま保持する。一方、第2双方向SW24bでは、発電SW素子60b及び充電SW素子62bの両方をオンのまま維持する。
次に、図16に示すように、インバータ26の入力電流Iinvが負から正に切り替わる場合、すなわち、電気自動車10が回生状態から力行状態に切り替わる場合について説明する。まず、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2未満である場合、第1双方向SW24aの発電SW素子60a及び充電SW素子62aの両方をオフにする。一方、第2双方向SW24bの発電SW素子60b及び充電SW素子62bの両方をオンにする。
時点t21において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2以上になった後、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2以上、電流閾値THi1未満である場合も、第1双方向SW24aの発電SW素子60a及び充電SW素子62aの両方をオフのまま維持する。一方、第2双方向SW24bの発電SW素子60b及び充電SW素子62bの両方をオンのまま維持する。
時点t22において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi1以上になった場合、第2双方向SW24bの発電SW素子60b及び充電SW素子62bの両方をオフにする。その後、第1双方向SW24aの発電SW素子60aをオンにする。
なお、上記では、インバータ26の入力電流Iinvに基づいて第1双方向SW24aと第2双方向SW24bのオンオフを制御したが、インバータ26の入力電圧Vinv又はモータ12の消費電力(回生電力)によって制御することも可能である。或いは、発電と充電との切り替わり時点が判別可能である場合、当該切り替わり時点の前後の所定時点によってSW素子60、62のオンオフ切替えをすることも可能である。発電と充電との切り替わり時点が判別可能である場合としては、例えば、実電力がゼロを跨ぐまでの予測時間を用いる場合がある。
C.第3実施形態の効果
以上のように、第3実施形態によれば、上記各実施形態の効果に加え、FC152を有する電力系20bにおいても、各SW素子60、62を適切に制御することが可能となる。
IV.第4実施形態
A.構成の説明(上記各実施形態との相違)
図24は、この発明の第4実施形態に係る電気自動車10Cの概略構成図である。図25は、電気自動車10Cの回路構成の一部を示す図である。電気自動車10Cは、上記各実施形態と同様、走行用のモータ12と、トランスミッション14と、車輪16と、統合ECU18と、電力系20cとを有する。
以下では、上記各実施形態と同じ構成要素については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
電力系20cは、モータ12に電力を供給すると共に、モータ12からの回生電力Pregが供給されるものである。電力系20cは、FC152と、第1バッテリ22aと、第2バッテリ22bと、第1DC/DCコンバータ172と、第2DC/DCコンバータ174と、第1双方向SW24aと、第2双方向SW24bと、第3双方向スイッチ24c(以下「第3双方向SW24c」という。)と、インバータ26と、電圧センサ28、30、32、158と、電流センサ38、40、42、44、46、162と、レゾルバ48と、電力電子制御装置50c(以下「電力ECU50c」という。)とを有する。電力系20cはFC152を有するため、電気自動車10Cは燃料電池車両である。
第3双方向SW24cは、第1双方向SW24a及び第2双方向SW24bと同様の構成を有する。
第1DC/DCコンバータ172と第2DC/DCコンバータ174は、第3実施形態のDC/DCコンバータ156と同様のものである。図25において、第1DC/DCコンバータ172と第2DC/DCコンバータ174は、省略されている。
B.各種制御
1.双方向SW24のオンオフ制御
次に、各双方向SW24のオンオフ制御について説明する。
第4実施形態では、電源としてFC152、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bが存在し、各電源の選択に各電源の電圧(FC電圧Vfc、第1バッテリ電圧Vbat1及び第2バッテリ電圧Vbat2)を用いないため、基本的に、第1実施形態の制御(図14)と第3実施形態の制御(図23)を組み合わせて用いる。
統合ECU18は、例えば、図26に示すモードを適宜切り替えて用いる。すなわち、第4実施形態では、統合ECU18は、「停止時」、「1電源発電」、「1電源充電」、「1電源利用」、「高電圧バッテリ発電」及び「低電圧バッテリ充電」の各モードを選択して用いる。
FC152による発電を行う場合、上記の通り、FC152の出力制御にはバッテリ22の出力を用いる。このため、FC152を用いる「1電源発電」には、第1バッテリ22aにより出力制御する「1電源発電(FC、第1バッテリ)」と、第2バッテリ22bにより出力制御する「1電源発電(FC、第2バッテリ)」とがある。「高電圧バッテリ発電」及び「低電圧バッテリ充電」モードでは、FC152を休止する点を除き、第1実施形態と同じである。
2.双方向SW24の切替え時の制御
次に、各モードを切り替える際の各SW素子60、62の制御について説明する。上記のように、各モードを切り替える際は、インバータ26では、各上アームSW素子86の3相短絡状態又は各下アームSW素子92の3相短絡状態を発生させる。また、第1双方向SW24aの充電SW素子62aは常にオフのままである。このため、第1双方向SW24aの代わりに、発電SW素子60aのみを設けてもよい。
(1)単純な切替え
「停止時」モードとその他のモードとを切り替える場合(例えば、「停止時」から「1電源発電」への切替え又はその逆)、電力ECU50は、各SW素子60、62のオンオフを図26に示した状態に単純に切り替える。このような切替えによっても、FC152、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの間で短絡は発生しない。但し、切替え時にはデッドタイム生成部128(図8)においてデッドタイムdtを挿入する。
同様に、「1電源発電(FC、第1バッテリ)」から「1電源発電(第1バッテリ)」に切り替える場合、その逆の場合、「1電源発電(FC、第2バッテリ)」から「1電源発電(第2バッテリ)」に切り替える場合、その逆の場合、「1電源発電(FC、第1バッテリ)」から「1電源発電(第2バッテリ)」に切り替える場合、その逆の場合、「1電源発電(FC、第2バッテリ)」から「1電源発電(第1バッテリ)」に切り替える場合、その逆の場合、「1電源発電(第1バッテリ)」から「1電源発電(第2バッテリ)」に切り替える場合、その逆の場合、「1電源充電(第1バッテリ)」から「1電源充電(第2バッテリ)」に切り替える場合、その逆の場合、「1電源発電(FC、第1バッテリ)」若しくは「第1電源発電(FC、第2バッテリ)」若しくは「1電源発電(第1バッテリ)」若しくは「1電源発電(第2バッテリ)」から「高電圧バッテリ発電」に切り替える場合、その逆の場合、「1電源充電(第1バッテリ)」若しくは「1電源充電(第2バッテリ)」から「低電圧バッテリ充電」に切り替える場合、その逆の場合、電力ECU50は、各SW素子60、62のオンオフを図14に示した状態にそのまま切り替える。このような切替えによっても、FC152、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの間で短絡は発生しない。但し、切替え時にはデッドタイム生成部128(図8)においてデッドタイムdtを挿入する。
(2)段階的な切替え
上記のような単純切替えでは、FC152、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの間で短絡が発生する場合、例えば、電気自動車10の力行時には「1電源発電(FC、第1バッテリ)」モードを実行し、回生時には「低電圧バッテリ充電」モードで第1バッテリ22a又は第2バッテリ22bを充電する場合、次のような制御を用いて短絡を防止することができる。
図15に示すように、インバータ26の入力電流Iinvが正から負に切り替わる場合、すなわち、電気自動車10が力行状態から回生状態に切り替わる場合について説明する。まず、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi1を超える場合、第1双方向SW24aの発電SW素子60aをオンにし、充電SW素子62aをオフにする。また、第2双方向SW24bにおいて、発電SW素子60bをオンにし、充電SW素子62bをオフにする。一方、第3双方向SW24cにおいて、発電SW素子60c及び充電SW素子62cの両方をオフにする。
時点t11において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi1以下になった場合、第1双方向SW24aの発電SW素子60aをオフにする。その後、第2双方向SW24bの発電SW素子60b及び充電SW素子62bの両方をオンにする。これにより、FC152からの電力が充電SW素子62bを介して第1バッテリ22aに供給される短絡状態を防ぐことができる(但し、意図的にこのような短絡状態を発生させ、第1バッテリ22aを充電することも可能である。)。第3双方向SW24cでは、発電SW素子60c及び充電SW素子62cの両方をオフのまま維持する。インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2以上、電流閾値THi1以下である場合、このオンオフ制御を継続する。
なお、第3双方向SW24cの発電SW素子60c及び充電SW素子62cではなく、第2双方向SW24bの発電SW素子60b及び充電SW素子62bをオンにしたのは、事前にそのような設定をしていたためである。代わりに、第3双方向SW24cの発電SW素子60c及び充電SW素子62cをオンにしてもよい。
時点t12において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2未満になった場合、第1双方向SW24aの発電SW素子60a及び充電SW素子62aの両方はオフのまま保持する。また、第2双方向SW24bの発電SW素子60bをオフにする。その後、第3双方向SW24cの充電SW素子62cをオンにする。これにより、第2双方向SW24bの充電SW素子62b及び第3双方向SW24cの充電SW素子62cがオンとなり、その他のSW素子はオフとなる。この場合、モータ12からの回生電力Pregは、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bのうち電圧が低い方に優先的に充電される。また、各発電SW素子60a、60b、60cはオフであるため、FC152、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bの間で短絡は発生しない。
次に、図16に示すように、インバータ26の入力電流Iinvが負から正に切り替わる場合、すなわち、電気自動車10が回生状態から力行状態に切り替わる場合について説明する。まず、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2未満である場合、第2双方向SW24bの充電SW素子62b及び第3双方向SW24cの充電SW素子62cをオンにし、その他のSW素子をオフにする。
時点t21において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2以上になった場合、第3双方向SW24cの充電SW素子62cをオフにする。その後、第2双方向SW24bの発電SW素子60bをオンにする。これにより、第1バッテリ22aと第2バッテリ22bとの間の短絡なしに、第1バッテリ22aによる充放電をすることが可能となる。インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi2以上、電流閾値THi1以下である場合、このオンオフ制御を継続する。
時点t22において、インバータ26の入力電流Iinvが電流閾値THi1以上になった場合、第2双方向SW24bの充電SW素子62bをオフにする。その後、第1双方向SW24aの発電SW素子60aをオンにする。第2双方向SW24bの発電SW素子60bはオンのままとする。これにより、FC152と第1バッテリ22aとの間の短絡なしにFC152による発電に切り替えることができる。
なお、上記では、インバータ26の入力電流Iinvに基づいて第1双方向SW24aと第2双方向SW24bのオンオフを制御したが、インバータ26の入力電圧Vinv又はモータ12の消費電力(回生電力)によって制御することも可能である。或いは、発電と充電との切り替わり時点が判別可能である場合、当該切り替わり時点の前後の所定時点によってSW素子60、62のオンオフ切替えをすることも可能である。発電と充電との切り替わり時点が判別可能である場合としては、例えば、実電力がゼロを跨ぐまでの予測時間を用いる場合がある。
C.第4実施形態の効果
以上のように、第4実施形態によれば、上記各実施形態の効果に加え、次の効果を奏することが可能となる。
すなわち、第4実施形態では、3つの電源(FC152、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22b)を用いた電力系20cにおいて、各電源の電圧値を用いずに、SW素子60、62を適切に制御することが可能となる。
V.第5実施形態
A.構成の説明(第4実施形態との相違)
図27は、この発明の第5実施形態に係る電気自動車10Dの概略構成図である。電気自動車10Dは、第4実施形態の電気自動車10Cと同様、走行用のモータ12と、トランスミッション14と、車輪16と、統合ECU18と、電力系20dとを有する。第4実施形態の電気自動車10Cと同様の構成を有するが、電圧センサ158、28、30の検出値(FC電圧Vfc、第1バッテリ電圧Vbat1及び第2バッテリ電圧Vbat2)を統合ECU18に入力することが必須である点や統合ECU18によるFC152及びバッテリ22の選択等で、第4実施形態と異なる。
以下では、上記各実施形態と同じ構成要素については同一の参照符号を付してその説明を省略する。
B.双方向SW24のオンオフ制御
次に、各双方向SW24のオンオフ制御について説明する。
第5実施形態では、電源としてFC152、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bが存在し、FC152の出力は、第1バッテリ22a又は第2バッテリ22bの出力を用いて制御すると共に、各電源の電圧(FC電圧Vfc、第1バッテリ電圧Vbat1及び第2バッテリ電圧Vbat2)を用いて各電源の選択をする。このため、基本的に、第1実施形態の制御(図14)、第2実施形態の制御(図20)、第3実施形態の制御(図23)及び第4実施形態の制御(図26)を組み合わせて用いる。
統合ECU18は、図28に示すモードを適宜切り替えて用いる。すなわち、第5実施形態では、統合ECU18は、「停止時」、「1電源発電」、「1電源充電」、「1電源利用」、「高電圧バッテリ発電」、「低電圧バッテリ充電」、「1電源発電及び1電源充電」、「高電圧バッテリ発電及び1電源充電」及び「1電源発電及び低電圧バッテリ充電」の各モードを選択して用いることができる。
なお、「1電源発電」モードについては、FC152による発電を行う際、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bのいずれを用いてFC152の出力を制御するのかを両バッテリ22の電圧の高低に基づいて設定することができる。
C.第5実施形態の効果
以上のように、第5実施形態によれば、上記各実施形態の効果に加え、次の効果を奏することが可能となる。
すなわち、第5実施形態では、3つの電源(FC152、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22b)を用いた電力系20dにおいて、各電源の電圧値を用いて、SW素子60、62を適切に制御することが可能となる。
VI.変形例
なお、この発明は、上記各実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下の構成を採用することができる。
A.電源の数
第1〜第3実施形態では、電力系20、20a、20bは、2つの電源(第1バッテリ22aと第2バッテリ22bの組合せ、及びFC152とバッテリ154の組合せ)を有し、第4及び第5実施形態では、電力系20c、20dは、3つの電源(FC152と第1バッテリ22aと第2バッテリ22bの組合せ)を有したが、電源の数はこれに限らず、4つ以上であってもよい。
B.電源の数が4つ以上である場合の双方向SW24のオンオフ制御
1.電源電圧を用いない場合
第1、第3及び第5実施形態では、電源電圧(第1バッテリ電圧Vbat1、第2バッテリ電圧Vbat2、FC電圧Vfc、バッテリ電圧Vbat)が不明であっても、各双方向SW24のオンオフの切替えを行った。同様に、電源が4つ以上である場合、電源電圧を用いなくても、第1実施形態で述べたような第1制御法則及び第2制御法則の少なくとも一方が成立すれば、短絡を発生させることなしに、双方向SW24のオンオフを選択することができる。
すなわち、電源電圧を用いない場合の第1制御法則とは、双方向SW24がN個(Nは、2以上の整数)ある場合、発電SW素子60と充電SW素子62がいずれもオフとなる双方向SW24がN−1個存在する。換言すると、発電経路と充電経路の両方がオフとなる電力系統がN−1個存在する。この場合、残りの1つの双方向SW24については、発電SW素子60と充電SW素子62の一方のみがオンであってもよく、また、発電SW素子60と充電SW素子62の両方がオンであってもよい。
例えば、図29に示すように、第4電源に対応する発電SW素子60(第4電源の発電経路)がオンであり、その他の発電経路がオフである場合、第4電源に対応する充電SW素子62(第4電源の充電経路)はオンオフいずれでも構わないが、その他の充電経路はオフにする必要がある。
電源電圧を用いない場合の第2制御法則とは、全て(N個)の双方向SW24の発電SW素子60又は充電SW素子62がオフとなる。換言すると、全ての電力系統の発電経路又は充電経路がオフとなる。この場合、全てがオンとなる発電経路又は充電経路とは逆の充電経路又は発電経路は、一部又は全てをオンとすることができる。
例えば、図30に示すように、全ての電源の発電経路がオフである場合、各充電経路はオンオフいずれでも構わない。
上記の第1制御法則及び第2制御法則を用いることにより、電源の数が増えていっても、電源間における短絡を防止することができる。
2.電源電圧を用いる場合
第2及び第4実施形態では、電源電圧(第1バッテリ電圧Vbat1、第2バッテリ電圧Vbat2、FC電圧Vfc、バッテリ電圧Vbat)を用いて、各双方向SW24のオンオフの切替えを行った。同様に、電源が4つ以上である場合、バッテリの電圧を用いて、次の第1制御法則及び第2制御法則の少なくとも一方が成立すれば、電源間に短絡を発生させることなしに、双方向SW24のオンオフを選択することができる。
すなわち、電源電圧を用いる場合の第1制御法則とは、対応する発電SW素子60がオンとされる電源のうち最も電源電圧が高いもの(以下「最高電圧電源」という。)よりも低い電源電圧の電源に対応する充電SW素子62をオフにする。換言すると、通電する発電経路の中で最も電圧の高い発電経路(以下「最高電圧発電経路」という。)より低い電圧の充電経路を遮断する。この場合、最高電圧電源以上の電圧の電源については、対応する充電SW素子62をオンオフいずれにしてもよい。換言すると、最高電圧発電経路以上の電圧の充電経路についてはオンオフいずれにしてもよい。
図31の例では、電圧の高い順に並べた第1電源から第N電源のうち対応する発電SW素子60(発電経路)がオンとなり且つ最も電圧が高いのは、第4電源である。この場合、第4電源よりも電圧が低い第5〜第N電源の充電経路はオフとし、第1〜第4電源の充電経路はオンオフいずれでも構わない。
電源電圧を用いる場合の第2制御法則とは、対応する充電SW素子60がオンとされる電源のうち最も電圧が低いもの(以下「最低電圧電源」という。)よりも高い電圧の電源に対応する発電SW素子60をオフにする。換言すると、通電する充電経路の中で最も電圧の低い充電経路(以下「最低電圧充電経路」という。)よりも高い電圧の発電経路を遮断する。この場合、最低電圧電源以下の電圧の電源については、対応する発電SW素子60をオンオフいずれにしてもよい。換言すると、最低電圧充電経路以下の電圧の発電経路についてはオンオフいずれにしてもよい。
図32の例では、電圧の低い順に並べた第1電源から第N電源のうち充電経路がオンとなり且つ最も電圧が低いのは、第6電源である。この場合、第6電源よりも電圧が高い第1〜第5電源の発電経路はオフとし、第6〜第n電源の発電経路はオンオフいずれでも構わない。
上記の第1制御法則及び第2制御法則を用いることにより、電源の数が増えていっても、電源間における短絡を防止することができる。
C.電源の種類
上記各第1実施形態及び第2実施形態では、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bを用い、第3実施形態では、FC152及びバッテリ154を用い、第4実施形態及び第5実施形態では、FC152、第1バッテリ22a及び第2バッテリ22bを用いたが、利用可能な電源は、これに限らない。例えば、エンジンとオルタネータを組み合わせたものを電源とすることもできる。
D.モードの切替え
上記各実施形態では、双方向SW24の切替え時の制御として、いくつかの単純な切替えやいくつかの段階的な切替えについて言及したが、モード切替え時の制御はこれに限らない。例えば、モードを切り替える際、一旦、全てのスイッチング素子60、62をオフにした後、新たなモードに切り替えることもできる。
E.電力ECU50
上記各実施形態では、図7に示す構成の電力ECU50を用いたが(図1、図19、図21、図24及び図27参照)、電力ECU50の構成はこれに限らない。例えば、以下に示す変形例を用いることができる。
1.第1変形例
図33に示す電力ECU50aは、負荷電力演算部180を有する点等で、図7の電力ECU50と異なる。負荷電力演算部180は、インバータ26の入力電圧Vinvと入力電流Iinvを乗算して負荷電力P1を演算し、双方向スイッチ論理生成部102a(以下「双方向SW論理生成部102a」又は「論理生成部102a」という。)に出力する(P1=Vinv*Iinv)。
図34には、論理生成部102aの機能的なブロック図が示されている。論理生成部102aの双方向スイッチ論理決定部122a(以下「双方向SW論理決定部122a」又は「論理決定部122a」という。)は、統合ECU18からの電源指定信号Sd1、Sd2、Sd3と、負荷電力演算部180からの負荷電力P1と、記憶部130aからの電力閾値THp1、THp2(THp1>THp2)とに基づいてSW素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4を出力する。
より具体的には、負荷電力P1と電力閾値THp1、THp2を比較し、負荷電力P1が電力閾値THp1より大きいとき「発電状態」であると判定し、負荷電力P1が電力閾値THp2以上、電力閾値THp1以下であるとき「発電/充電切替え状態」であると判定し、負荷電力P1が電力閾値THp2未満であるとき「充電状態」であると判定する(図15及び図16参照)。
2.第2変形例
図35に示す電力ECU50bは、負荷電力演算部180aを有する点で、図7の電力ECU50と異なる。負荷電力演算部180aは、電気角速度ωとトルク指令値T_cを乗算したものをモータ12の極対数で除算して負荷電力P2を演算し、双方向スイッチ論理生成部102b(以下「双方向SW論理生成部102b」又は「論理生成部102b」という。)に出力する(P2=ω*T/極対数)。
論理生成部102bは、第1変形例における論理生成部102aと同様のものであり、統合ECU18からの電源指定信号Sd1、Sd2、Sd3と、負荷電力演算部180aからの負荷電力P2と、記憶部130aからの電力閾値THp1、THp2(THp1>THp2)とに基づいてSW素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4を出力する。
より具体的には、負荷電力P2と電力閾値THp1、THp2を比較し、負荷電力P2が電力閾値THp1より大きいとき「発電状態」であると判定し、負荷電力P2が電力閾値THp2以上、電力閾値THp1以下であるとき「発電/充電切替え状態」であると判定し、負荷電力P2が電力閾値THp2未満であるとき「充電状態」であると判定する(図15及び図16参照)。
3.第3変形例
図36に示す電力ECU50cは、負荷電力演算部180bを有する点で、図7の電力ECU50と異なる。負荷電力演算部180bは、d軸電圧指令値Vd_cとd軸電流Idの積とq軸電圧指令値Vq_cとq軸電流Iqの積とを加算して負荷電力P3を演算し、双方向スイッチ論理生成部102c(以下「双方向SW論理生成部102c」又は「論理生成部102c」という。)に出力する(P3=Vd_c*Id+Vq_c*Iq)。
論理生成部102cは、第1変形例における論理生成部102aと同様のものであり、統合ECU18からの電源指定信号Sd1、Sd2、Sd3と、負荷電力演算部180bからの負荷電力P3と、記憶部130aからの電力閾値THp1、THp2(THp1>THp2)とに基づいてSW素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4を出力する。
より具体的には、負荷電力P3と電力閾値THp1、THp2を比較し、負荷電力P3が電力閾値THp1より大きいとき「発電状態」であると判定し、負荷電力P3が電力閾値THp2以上、電力閾値THp1以下であるとき「発電/充電切替え状態」であると判定し、負荷電力P3が電力閾値THp2未満であるとき「充電状態」であると判定する(図15及び図16参照)。
4.第4変形例
図37に示す電力ECU50dは、トルク指令値T_cが双方向スイッチ論理生成部102d(以下「双方向SW論理生成部102d」又は「論理生成部102d」という。)に入力される点で、図7の電力ECU50と異なる。
論理生成部102dは、統合ECU18からの電源指定信号Sd1、Sd2、Sd3と、統合ECU18からのトルク指令値T_cと、記憶部130aからのトルク閾値THt1、THt2(THt1>THt2)とに基づいてSW素子選択信号Ss1、Ss2、Ss3、Ss4を出力する。
より具体的には、トルク指令値T_cとトルク閾値THt1、THt2を比較し、トルク指令値T_cがトルク閾値THt1より大きいとき「発電状態」であると判定し、トルク指令値T_cがトルク閾値THt2以上、トルク閾値THt1以下であるとき「発電/充電切替え状態」であると判定し、トルク指令値T_cがトルク閾値THt2未満であるとき「充電状態」であると判定する(図15及び図16参照)。